8
■ポンプの全揚程(H) 図においてポンプ全揚程は次の式から求められます。 H=Ha+Δhp+HVd 2 2g Δhp=hpd-hps、一般にhpは大気圧故Δhp=0m H=Hs=Hd ウォータエースにつきましては302頁を、直結給水につき ましては553頁をご参照ください。 ■管路の損失水頭(Hℓ) H =H 1 +H 2 +H 3 +H 4 +H 5 +H 6 ⑴ 直管の損失水頭(Hℓ 1 イ ダーシーの公式(549頁による) H 1 =λ× V 2 2g × L D λ=0.020.0005 D V=平均流速(m/s) D=管径(m) L=直管の長さ(m) ロ ウイリアム・ヘーゼンの公式(550頁による) H1 =L×S V=0.849×CR 0.63 S 0.54 R=D/4 S=1m当り損失水頭 または H1 10.666×Q 1.852 ×L C 1.852 ×D 4.87 Q=流量(m 3 /s) L=直管の長さ(m) D=管径(m) ハ 池田の公式(549頁による) H1 4.172×10 5 × Q 1.972 D 5.09 Q=流量(m 3 /min) D=管径(m) ⑵ 拡大管の損失水頭(Hℓ 2 )(551頁による) H2 =f 2 × V 2 2g V=平均流速(m/s) f 2 =損失係数 ⑶ 曲管の損失水頭(Hℓ 3 )(552頁による) H3 =f 3 × V 2 2g f 3 =曲管の損失係数 ⑷ 90゜曲管の損失水頭(Hℓ 4 )(552頁による) H4 =f 4 × V 2 2g f 4 90゜曲管の損失係数 ⑸ 多管曲管の損失水頭(Hℓ 5 )(552頁による) H5 =f 5 × V 2 2g f 5 =多管曲管の損失係数 ⑹ 流入口の損失水頭(552頁による) H6 =f 6 × V 2 2g f 6 =流入口損失係数 546 ポンプ全揚程計算と水理計算例

ポンプ全揚程計算と水理計算例...ポンプの選定 前項の計算結果にもとづき、ポンプを次のように選定し ます。 仕様要目 1)周波数(50Hzか、60Hzか)

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Page 1: ポンプ全揚程計算と水理計算例...ポンプの選定 前項の計算結果にもとづき、ポンプを次のように選定し ます。 仕様要目 1)周波数(50Hzか、60Hzか)

■ポンプの全揚程(H)

 図においてポンプ全揚程は次の式から求められます。

H=Ha+Δhp+Hℓ+Vd2

2gΔhp=hpd-hps、一般にhpは大気圧故Δhp=0m

Hℓ=Hℓs=Hℓd

 ウォータエースにつきましては302頁を、直結給水につき

ましては553頁をご参照ください。

■管路の損失水頭(Hℓ)Hℓ=Hℓ1+Hℓ2+Hℓ3+Hℓ4+Hℓ5+Hℓ6

⑴ 直管の損失水頭(Hℓ1)

イ ダーシーの公式(549頁による)

Hℓ1=λ×V2

2g×LD

λ=0.02+0.0005 DV=平均流速(m/s)

D=管径(m)

L=直管の長さ(m)

ロ ウイリアム・ヘーゼンの公式(550頁による)

Hℓ1=L×S

V=0.849×CR0.63S0.54

R=D/4

S=1m当り損失水頭

または

Hℓ1=10.666×Q1.852×LC1.852× D4.87

Q=流量(m3/s)

L=直管の長さ(m)

D=管径(m)

ハ 池田の公式(549頁による)

Hℓ1=4.172×105×Q1.972D5.09

Q=流量(m3/min)

D=管径(m)

⑵ 拡大管の損失水頭(Hℓ2)(551頁による)

Hℓ2=f2×V22g

V=平均流速(m/s)

f2=損失係数

⑶ 曲管の損失水頭(Hℓ3)(552頁による)

Hℓ3=f3×V22g

f3=曲管の損失係数

⑷ 90 曲管の損失水頭(Hℓ4)(552頁による)

Hℓ4=f4×V22g

f4=90゜曲管の損失係数

⑸ 多管曲管の損失水頭(Hℓ5)(552頁による)

Hℓ5=f5×V22g

f5=多管曲管の損失係数

⑹ 流入口の損失水頭(552頁による)

Hℓ6=f6×V22g

f6=流入口損失係数

546

ポンプ全揚程計算と水理計算例

Page 2: ポンプ全揚程計算と水理計算例...ポンプの選定 前項の計算結果にもとづき、ポンプを次のように選定し ます。 仕様要目 1)周波数(50Hzか、60Hzか)

■管内平均流速図表

547

参考資料管内流速V=m/s

流量

(m3/min)

ポンプ全揚程計算と水理計算例●

Page 3: ポンプ全揚程計算と水理計算例...ポンプの選定 前項の計算結果にもとづき、ポンプを次のように選定し ます。 仕様要目 1)周波数(50Hzか、60Hzか)

■速度水頭図表

hv= V2

2g =0.000023Q2D4 〔Q:m

3/min、D:m〕

548

速度水頭(m)

流量

(m3/min)

●ポンプ全揚程計算と水理計算例

Page 4: ポンプ全揚程計算と水理計算例...ポンプの選定 前項の計算結果にもとづき、ポンプを次のように選定し ます。 仕様要目 1)周波数(50Hzか、60Hzか)

■直管100mあたりの損失水頭(ダーシーの公式、池田の公式)

Darcy100mあたりhf=(0.02+0.0005D )×0.0023D5 ×Q2〔Q:m3/min、D:m〕

池田公式100mあたりhf=0.00004172Q1.972

D5.09

549

参考資料直管100mあたりの損失水頭(m)

流量

(m3/min)

ポンプ全揚程計算と水理計算例●

Page 5: ポンプ全揚程計算と水理計算例...ポンプの選定 前項の計算結果にもとづき、ポンプを次のように選定し ます。 仕様要目 1)周波数(50Hzか、60Hzか)

■100mあたりの損失水頭(ウィリアム・ヘーゼンの公式C=120:新鋼管)

■100mあたりの損失水頭(ウィリアム・ヘーゼンの公式C=100:古鋳鉄管)

550

100m当たりの損失水頭(m)

流速V

(m/s)

100m当たりの損失水頭(m)

流速V

(m/s)

●ポンプ全揚程計算と水理計算例

Page 6: ポンプ全揚程計算と水理計算例...ポンプの選定 前項の計算結果にもとづき、ポンプを次のように選定し ます。 仕様要目 1)周波数(50Hzか、60Hzか)

■拡大管損失係数 f

551

参考資料

d2 /d1

θ゜

1.1

1.2

1.4

1.6

1.8

2.0

2.5

3.0

0.01

0.02

0.02

0.03

0.03

0.03

0.03

0.03

0.03

0.01

0.02

0.03

0.03

0.04

0.04

0.04

0.04

0.04

0.01

0.02

0.03

0.04

0.04

0.04

0.04

0.04

0.05

0.02

0.03

0.04

0.05

0.05

0.05

0.05

0.05

0.06

0.03

0.04

0.06

0.07

0.07

0.07

0.08

0.08

0.08

0.05

0.09

0.12

0.14

0.15

0.16

0.16

0.16

0.16

0.10

0.16

0.23

0.26

0.28

0.29

0.30

0.31

0.31

0.13

0.21

0.30

0.35

0.37

0.38

0.39

0.40

0.40

0.16

0.25

0.36

0.42

0.44

0.46

0.48

0.48

0.49

0.18

0.29

0.41

0.47

0.50

0.52

0.54

0.55

0.56

0.19

0.31

0.44

0.51

0.54

0.56

0.58

0.59

0.60

0.20

0.33

0.47

0.54

0.58

0.60

0.62

0.63

0.64

0.21

0.35

0.50

0.57

0.61

0.63

0.65

0.66

0.67

0.23

0.37

0.53

0.61

0.65

0.68

0.70

0.71

0.83

2 4 6 8 10 15 20 25 30 35 40 45 50 60

ポンプ全揚程計算と水理計算例●

Page 7: ポンプ全揚程計算と水理計算例...ポンプの選定 前項の計算結果にもとづき、ポンプを次のように選定し ます。 仕様要目 1)周波数(50Hzか、60Hzか)

■ポンプの選定 前項の計算結果にもとづき、ポンプを次のように選定し

ます。

 仕様要目

1)周波数(50Hzか、60Hzか)

2)吐出し量0.6m3/min

3)全揚程28.2m

4)用途 飲料水揚水用

 周波数を50Hzとすると、次のポンプが選定できます。

 陸上形

JD形モートルポンプ 65×50C-55.5

JC形うず巻ポンプ 65×50C-55.5

GMN形多段ポンプ 80×3-55.5

いずれも、電動機出力は5.5kWです。

 寸法、質量を比較すると次のようになるので、JD形モー

トルポンプが一番有利です。(HDポンプシリーズを優先的

に選択してください。)

 用途により、吸込側の条件が変わりますのでご注意くだ

さい。一般に次の3種類があります。

1)吸上方式

2)流れ込方式

3)押込方式

 また空調用ポンプでは、温水を扱う場合がありますので、

温度のチェックと適用ポンプの許容温度の確認が必要です。

温水を揚水する場合にはポンプの吸込性能が低下します。

下表より、許容吸込全揚程のチェックをしてください。

● 水温と許容吸込全揚程

 液の温度が高くなると許容吸込揚程が少なくなります。

液の温度により適用図の許容吸込全揚程を次の表から差し

引いてご計画ください。

■各種異形管の損失係数 f

552

異形管名称

流 入 口

角  端

ストレーナ付

全開時

丸味付き

面 取 り

管 突 出

0.5

0.06~0.005(r小)(r大)

0.5~0.3 (鈍)(鋭)

0.25

1.0

1.5(大形)2.0(小形)1.50.05(大形)~0.2(小形)

d:管径(a)

(a) (b)

(a)0.2(鋳鉄ベルマウス)(b)0.4(鋼鉄ベルマウス)

(a)1.0

(b)

(c)0.88

(d)

(b)

(c) (d)

ベルマウス

多節曲管(えび胴)

放   流

チェック弁スルース弁

フ ー ト 弁

90 曲がり

形     状 損 失 係 数 f

V

V

V

V

V

V

V

r

V

V

θ1θ

V

V

r

θ1全 屈 曲 角θ各節屈曲角N節   数

r =1.5:f=0.40 d

f1.0 1.25 1.5 2.50.27 0.22 0.17 0.13

θNθ1f

22.5゜2

45゜0.284

30゜2

60゜0.268

20゜3

60゜0.236

45゜2

90゜0.377

22.5゜4

90゜0.250

30゜3

90゜0.299

r d

機 種 名 寸法(長さ) 質 量モートルポンプうず巻ポンプ多 段 ポ ン プ

100%156 210 

100%157 279 

温     度 補正値(m)

40℃をこえ 50℃以下

50℃をこえ 60℃以下

60℃をこえ 70℃以下

70℃をこえ 80℃以下

80℃をこえ 90℃以下

90℃をこえ 95℃以下

95℃をこえ100℃以下

+ 1.2

+ 2.0

+ 3.2

+ 4.8

+ 7.2

+ 8.6

+10.3

例)常温で許容吸込全揚程6mのポンプでも、給水温度55℃の場合には(-6)+2=-4 mとなり、許容吸込全揚程は-4mとなります。

●ポンプ全揚程計算と水理計算例

Page 8: ポンプ全揚程計算と水理計算例...ポンプの選定 前項の計算結果にもとづき、ポンプを次のように選定し ます。 仕様要目 1)周波数(50Hzか、60Hzか)

●水理計算例■ダイレクト・ウォータエース水理計算例● 計算例

8階建て共同住宅・40戸の場合

1.概略配管系統図

2.計算

水理計算シート

553

参考資料

EE~(18)(18)~(17)(17)~(16)

(16)~(15)(15)~(14)(14)~(13)(13)~(12)(12)~(11)(11)~(10)(10)~(9)(9)~(8)

(8)~(7)(7)~(6)(6)~(5)(5)~(4)

ポンプ下流側の給水管、給水器具の損失水頭(h4)

給水栓給水管給水管給水管単式逆止め弁メータ伸縮甲止水栓給水管給水管給水管給水管給水管給水管給水管給水管ストップバルブ給水管給水管給水管給水管ストップバルブ

132020202020205050505050505050505050505050

12122942424242425360667176808383

122160194225225

0.641.542.23

0.360.450.510.560.610.640.680.71

1.031.361.651.91

33150289

4689

10121314

27436179

3.82.02.4

3.03.03.03.03.03.03.0

12.0

8.08.08.09.0

0.800.120.300.691.413.252.430.010.020.020.030.030.030.040.160.280.210.340.480.711.53

12.92

BPポンプ損失水頭(h3 )

増圧給水ポンプ 40 225 0.000.00

区間 給水器具 口径(mm)

流  量( l /min)

流  速(m/s)

動水勾配(0/00)

延  長(m)

損失水頭(m)

区間 給水器具 口径(mm)

流  量( l /min)

流  速(m/s)

動水勾配(0/00)

延  長(m)

損失水頭(m)

(3)~(2)

(2)~(1)

ポンプ上流側の給水管、給水器具の損失水頭(h2)

配水管と増圧給水ポンプとの高低差(h1)増圧給水ポンプと末端給水栓との高低差(h5)末端給水栓の必要圧力(P’)設計水圧(P0)

2.0022.807.00

35.00

※増圧給水ポンプの全揚程※一次停止圧力※二次圧設定値増圧給水ポンプ仕様ダイレクト・ウォータエース形式

H=h1+h2+h3+h4+h5+P’-P0

P=P0-(h2+h1)-0.05MPaPs=h4+h5+P’40mm×225 l /min×21mBUS 40-1.5R

20.8916.8335.72

減圧式逆流防止器給水管ストップバルブメータ給水管仕切弁弁付割T字管

40505050757575

225225225225225225225

1.91

0.85

79

11

10.0

1.5

7.000.791.531.800.020.010.02

11.17

区間 給水器具 口径(mm)

流  量( l /min)

流  速(m/s)

動水勾配(0/00)

延  長(m)

損失水頭(m)

※:呼称並びに値は水道事業体により異なりますので、施工基準対比表(325~327頁)をご参照ください。

(16)(15)(14)(13)(12)(11)(10)(9)

(8)

(18)(17)

(16)

A

ED

CB

(7)(6)(5)

(4)(3)

(2)(1)

AAAAA

A

M

ポンプ全揚程計算と水理計算例●