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Information-technology Promotion Agency, Japan Software Engineering Center 1 Software Engineering Center Copyright© 2009 Information-technology Promotion Agency, Japan. All rights reserved. プロセス改善の進め方 ~プロセス改善8ステップと10の勘所~ 2009年6月4日 SEC主催セミナー IPA (独立行政法人 情報処理推進機構) SEC (ソフトウェア・エンジニアリング・センター) プロセス改善WG 足立 久美 SEC主催セミナー@大阪 2009/06/04-05

プロセス改善の進め方 - IPA · 検討ステップ プロセス改善目標の設定. 開始ステップ プロセス改善サイクルの開始. 診断ステップ 現状の把握

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プロセス改善の進め方 ~プロセス改善8ステップと10の勘所~

2009年6月4日SEC主催セミナー

IPA

(独立行政法人

情報処理推進機構)

SEC

(ソフトウェア・エンジニアリング・センター)プロセス改善WG

足立

久美

SEC主催セミナー@大阪2009/06/04-05

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お伝えしたいメッセージ

プロセス改善とは、自らのゴールを目指して、よいと信じる方向に仕事のやり方を改善していくことです。

プロセス改善では、ソフトウェアエンジニアリングなどのノウハウを活用し、[検討→開始→診断→計画→実装→確認→維持→定着]とサイクリックに進めることで成果を高めやすく、継続しやすくなります。

→プロセス改善の8ステップ

プロセス改善の成功のために、大事な勘所があります。

→プロセス改善における10の勘所

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これまでの主な部会成果物

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プロセス改善ナビゲーションガイド

<虎の巻編>

はじめに第1章 プロセス改善8ステップ

プロセス改善の基本は「サイクルに沿った活動」検討ステップ

プロセス改善目標の設定開始ステップ

プロセス改善サイクルの開始診断ステップ

現状の把握計画ステップ

行動計画の開発実装ステップ

改善の実施確認ステップ

改善効果の確認維持ステップ

プロセスの維持定着ステップ

実行結果の監視第2章

プロセス改善8ステップ

一問一答Q1 改善は誰のために行うものQ2 改善による売り上げやトラブルの問題解決Q3 要求変更により、実業務がうまく回りませんQ4 マネジメントシステムとプロセス改善の違いQ5 QCサークル活動とプロセス改善の違いQ6 事業目標から改善のゴールへブレークダウンQ7 経営者がやってはいけないことQ8 改善推進者がよくやってしまう誤りQ9 プロセス改善を導入しやすくする方法Q10 改善を推進する人に必要なスキル(能力)Q11 ゆとりのない場合のよいプロセス改善の方法Q12 プロセス改善は管理の問題なのでしょうかQ13 改善の有効性の判断Q14 測定した結果を効果的に活用する

Q15 アセスメントの進め方で注意すべきこと

Q16 プロセスアセスメントによる組織の現状把握

Q17 アセッサを育成するときの注意点

Q18 銀の弾丸(特効薬)はありませんか?

Q19 実現性の高い計画を立てる際に注意すべき

Q20 派遣企業でのプロセス改善の進め方のコツ

Q21 受託ソフト開発にプロセス改善は必要

Q22 改善(の効果)を維持する

Q23 改善活動の関連組織への展開

Q24 改善活動の水平展開

Q25 統廃合されたときの改善(の効果)の維持

Q26 「継続的な改善」とは、どのようなこと

Q27 火消し活動は、沈静化させるだけではダメ

第3章

プロセス改善8ステップによるプロセス改善

事例

事例1:スミセイ情報システム

事例2:パナソニック

エレクトロニックデバイス

おわりに

巻頭:折り込み

「プロセス改善における10の勘所」

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プロセス改善の進め方

【8STEP】

SEC BOOKS プロセス改善ナビゲーションガイド<虎の巻編> 図

1-1

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STEP1

【検討:プロセス改善目標の設定】

経営者がプロセス改善の必要性を認識する。

事業目標(組織目標)達成のためにプロセス改善目標を決定する。→問題解決型/課題解決型

経営者がプロセス改善に対する経営上のコミットメントを行う。例:自らの言葉で説明する、都

度状況確認を行うなどの直接的な関与や費用・要員・期間の確保と提供

経営者を含む関係者全員で事業目標、プロセス改善目標に対する認識を共有する。

SEC BOOKS プロセス改善ナビゲーションガイド<虎の巻編> より

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STEP2

【開始:プロセス改善サイクルの開始】

組織でプロセス改善をどのように進めるのかを検討し、「プロセス改善プログラム」を作成する。

→改善対象範囲、関係者の役割・責任の明

確化、マイルストン設定、予算計画、進捗管

理方法、改善支援体制などを含む

組織として「プロセス改善プログラム」を承認し、改善対応を開始する。

何を目指していくのかを関係者全員で理解する。(動機づけ)

→当事者意識を持ってもらう

必要な場合、改善推進者の教育・訓練を実施する

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STEP3

【診断:現状の把握】

アセスメント実施、現状分析などにより現在のプロセス状況を把握する。

→アセスメントを行う場合は、活用するア

セスメントモデル(SPEAK-IPA版等)を

十分理解し、プロセス改善目標の達成

を目指した対応にする。

→事実情報、定量的な情報を中心に収

集し、状況を把握する。

アセスメント、現状分析などの結果から、現状の強み・弱み、良いところ、問題事項などを関係者全員で認識共有する。

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STEP4

【計画:行動計画の開発】

診断結果により改善対象プロセスを明確にし、改善目標を詳細化、ターゲットとなる改善領域を設定する。

改善目標を実現するための組織としての詳細な改善実行計画(行動計画)を立案(開発)し、組織として承認する。

関係者全員に伝達する。

----------------------------

診断の結果、当初計画との乖離が発生した場合、プロセス改善プログラムの見直しを行う。

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STEP5

【実装:改善の実施】

行動計画に従い、改善策を実施する。

→小さな領域で試験的に実施してから拡

げるなどの対応も有効

改善策実施に関する進捗管理を行う。・計画通り進められているか

・目標に対する効果は獲得できたか

計画と実績に乖離があれば適切な処置を行う。

→計画の見直し/改善策の見直しなど

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STEP6

【確認:改善効果の確認】

設定済マイルストンで期待した効果が獲得され、改善目標が達成できたかを確認する。

→必要な場合は再診断を依頼

確認→診断へのパス

→計画不備の有無を確認

目標未達成の場合、プロセス改善プログラムの見直しや改善策の再検討などを実施する。

----------------------------

もうひとつのパスが存在する→再診断で計画通りの場合

計画→確認のパス

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STEP7

【維持:プロセスの維持】

改善したプロセスを制度化し、必要な場合は教育訓練を実施してから組織内に(必要な範囲まで)水平展開する。

→特定のプロジェクトや業務で適用可能

かどうか、教訓やフィードバック事項は

何かを確認して展開する方法もある。

→維持できるように、あらかじめ実施状況

を確認する手段も検討しておく。

→社内ガイドの発行、社内外での事例発

表などの方法もある。

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STEP8

【定着:実行結果の監視】

定着の意味:×同じ状態に留まること。

◎目標達成に向けて改善が繰り返し

(当たり前のこととして)実施されること。

改善したプロセスが事業目標の達成に向けて適切に実施されているかを継続的に確認する。

必要な場合、プロセス改善プログラムの見直しを行う。

改善目標の達成度、改善策の実施の反省点などの経験や教訓から、次の新しい改善テーマの抽出、より効果的な方法の模索を行う。

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プロセス改善の8STEP

適用上の注意

できる範囲から取り組む身の丈に合う取り組みにする

小さく生んで大きく育てる

場合によっては順番を変える“順番通りでなければならない”わけではない

場合によっては診断→検討→計画→実装→確認などの運 営もありえる

目指す効果を考えて常識的に対応する

プロセス改善8ステップの適用方法にも改善を改善サイクルを回すたびに経験・教訓を獲得・蓄積し、プロ

セス改善サイクルやステップ内の適用方法等も改善する

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プロセス改善8ステップ

一問一答

プロセス改善8ステップ

一問一答 検討 開始 診断 計画 実装 確認 維持 定着

Q1

改善は誰のために行うもの ●

Q2

改善による売り上げやトラブルの問題解決 ●

Q3

要求変更により、実業務がうまく回りません ●

Q4

マネジメントシステムとプロセス改善の違い ●

Q5

QCサークル活動とプロセス改善の違い ●

Q6

事業目標から改善のゴールへブレークダウン ●

Q7

経営者がやってはいけないこと ● ● ●

Q8

改善推進者がよくやってしまう誤り ●

Q9

プロセス改善を導入しやすくする方法 ●

Q10

改善を推進する人に必要なスキル(能力) ●

Q11

ゆとりのない場合のよいプロセス改善の方法 ●

Q12

プロセス改善は管理の問題なのでしょうか ●

Q13

改善の有効性の判断 ● ●

Q14

測定した結果を効果的に活用する ● ●

Q15

アセスメントの進め方で注意すべきこと ●

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プロセス改善8ステップ

一問一答 検討 開始 診断 計画 実装 確認 維持 定着

Q16

プロセスアセスメントによる組織の現状把握 ● ●

Q17

アセッサを育成するときの注意点 ●

Q18

銀の弾丸(特効薬)はありませんか? ●

Q19

実現性の高い計画を立てる際に注意すべき点 ●

Q20

派遣企業でのプロセス改善の進め方のコツ ● ●

Q21

受託ソフト開発にプロセス改善は必要 ●

Q22

改善(の効果)を維持する ●

Q23

改善活動の関連組織への展開 ●

Q24

改善活動の水平展開 ●

Q25

統廃合されたときの改善(の効果)の維持 ● ●

Q26

「継続的な改善」とは、どのようなこと ●

Q27

火消し活動は、沈静化させるだけではダメ ● ● ● ● ● ● ● ●

プロセス改善8ステップ

一問一答

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でも、プロセス改善の成功は難しい・・・なぜ?

これまで積み重ねられたプロセス改善実績や経験則から様々なプロセス改善モデルや方法論が提案され、その内容に基づく取り組みが拡がっているのに、大きな成功を収めている組織が存在する一方で、求める成果が得られない、計画通り進められないなど必ずしも成功していない組織も多い・・・・・なぜ?

プロセス改善に関する組織・関係者の認識が合っていない、合意が得られていないにもかかわらず強引に進める、あるいはすでに提案されているモデルや方法論、ガイド等に記載されている「型」に形式的、表面的に合わせる、などの状況が考えられます。

※つまり、プロセス改善では、組織、関係者の思 い(心)と取り組みの内容、型・形が連携し、

一体化していることが重要です。

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プロセス改善における10の勘所

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No 勘所 解説 自己評価

1 目的・目標の明

確化

何のための改善なのか、どうなれば達成したといえるのか

を具体的に把握できること、さらにはその意義に納得、共

感できるものにしましょう。そのことで、プロセス改善の内容

や結果の評価が容易に、目的に適切な手段を選択でき、

改善に対する関係者への動機付けになります。

2 計画的に プロセス改善で求める効果を確実に獲得するために、改善

計画(改善目標・対象範囲・役割分担・実施事項・スケ

ジュールなど)の検討と立案、進行状況や徐々に明確にな

る事項に応じたタイムリーな処置と、計画の見直しが重要

です。

3 現実を直視 改善を進める上で、現在の自分たちの状態や状況から考

えて、所有するリソース(時間・期間を含む)や能力で対応

可能で、「自分たちでもできそうだ」と実感できること、やっ

てみようと思える内容であることが重要です。改善目標や

手段、スケジュールなどを十分に練り上げ、対象領域にお

いて実現可能なものである必要があります。

4 事実に基づく 改善を成功させるためには、想像や思いこみ、バイアスの

かかった情報をできるだけ排除し、現物確認などの事実情

報に基づいて分析や評価、判断を行うことが必要です。

評価や判断を誤らないよう、改善の過程では、事実ではな

い情報が入り込まないように十分に配慮した対応を行って

ください。

5 認識共有 人間は自分が納得したこと、聞いていて同意したことには

賛同し、行動を起こす特性を持ちます。よって現在状況に

対しては事実情報に基づき全体として今どのようになって

いるのかについて、また改善目的や改善手段に対しては、

その意図や根拠、適切さなどについて、改善対象領域の関

係者の認識を合わせ、確かにそうだと同意を獲得すること

が重要です

プロセス改善における10の勘所

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No 勘所 解説 自己評価

6 主体的に やらされる対応は、生産性も悪く、成果も上がりにくくなりま

す。

また、他者責任追求型の改善も同じ結果になりがちです。

関係者ひとり一人が主体性を持ち、まずは自らを変える、

その結果周囲が変わる対応にするのが理想です。

7 成功共有 たとえ小さな成功でも、関係者で喜びを分かち合いましょう。

組織内で改善効果を獲得した実績を一つでも出し、その喜

びやノウハウを共有・展開することで“はずみ”をつけながら

改善を拡大していくことができます。

小さな改善を一つひとつ確実に対応し続けることで、最後

には大きな成果が獲得できます。

8 全員参加 気がついた人が、あるいは指定された改善推進者が改善

進める範疇では獲得できる改善効果は非常に小さいと言

えます。

関係者全員が当事者意識を持ちつつ参画し、ひとり一人の

改善努力が同じベクトルに向かうとき、改善目標や事業目

標の達成を促進します。

9 継続的に取り組

改善の効果を確かなものにするためには、単発・イベント的

対応ではなく、改善サイクルをつなげて継続的に行うこと、

一つひとつの改善を徐々に意図的に繋げ、相乗効果を得

るようにしていくことが必要です。

10 人間中心 実際の改善では、技術や論理、制度・ルールなどだけでは

解決できない要因が存在します。

改善を実際に行うのが人間である以上、コミュニケーション

を重視し、関係者の気持ちを理解する、聞き届ける、ありの

ままを受け容れるなど人間的な側面も十分考慮して進めて

ください。

プロセス改善における10の勘所

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ご清聴ありがとうございました

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