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広州日本人学校だより N.2 2015年 03月 31日
~yi-
bu`
bu`
~ 広州日本人学校
小柴 瑛
広州に来てから早1年!!
2014年4月に中国広州日本人学校に赴任してから、2度目の春がやってきました。はじめは驚
いていた中国ならではの習慣や文化も、いまでは当たり前に感じているこの頃です。今回は1
年間を通して知った、広州や中国の文化を、日本人学校の生活や行事とともにご紹介します。
~広州の生活~ ☆中国の言葉☆
私が勤務する広州日本人学校は、中国の
南部、広東省の中心都市である広州市にあ
ります。中国は国土が広く、56もの民族がく
らす多民族国家です。そのため、地域や民族
により異なる言葉がたくさんあります。
中国の標準語である普通語(プートン語)
は、北京語を基としており「こんにちは=你好(二―ハオ)」や「ありがとう=謝謝(シェイシェ
イ)」などがそうです。でも、ここ広州は香港やマカオなどとともに広東語(カントン語)が話さ
れており、全く違った発音にびっくりします。広州では若い人たちはテレビの普及などで普通語
を話す人が多く一般的には普通語で通じるのですが、市場のおじさんやローカル食堂のおばさ
んは広東語。簡単に言うと、日本の方言のようなものですが、あまりの違いに全く会話が分かり
ません!!広東語では先ほどの「こんにちは」は「=你好(ネイホウ)」、「ありがとう」にいたっては
漢字も異なり「=多謝 (ドーゼー) / 唔該(ンゴイ)」。何を話しているか分からなくても、普通
語でないことだけは分かるくらい違います。だから、中国全土のローカルテレビ局の番組を見
るだけでも、言葉の違いが分かって面白いです。
ちなみに…漢字にも簡体字と繁体字というも
のがあって、とっても複雑!!漢字発祥の地で進化し
たり枝分かれしたりして今に至っているようです。
☆中国の民族☆
世界一人口が多い中国は、2014年末の人口が13億6782万人と発表されました。これは、前
年の同時期に比べ710万人も多い数で、日本の約10倍の人口は、ますます増えていくと予想さ
れています。日本人学校のある広州市は、総人口のうちの約1300万人が住む大都市です。
そんな中国の人口の約90%は漢民族で占められ、残りの数%に55もの少数民族が存在して
います。出会った方に出身の民族を聞いてみると、やはり漢民族が多いのですが、内陸から出
☆ことばの違い☆
日本語 中国・普通語 中国・広東語
こんにちは 你好(ニーハオ) 你好(ネイホウ)
ありがとう 謝謝(シェイシェイ) 多謝(ドーゼー)
唔該(ンゴイ)
さようなら 再见(ザイチェン) 再見(ジョイギン)
一(いち) 一 (イー) 一 (ヤ)
☆漢字の違い☆
簡体字 繁体字 コーラ 可乐 可樂
飛行機 飞机 飛機
中国語の授業では、普通語を勉強しています。↑中国語の教科書
↓一般的な文字 ↓中国 ↓香港.台湾
稼ぎに来ている人も多いので出身は様々。民族も“ミャオ族”や“チワン族”、“朝鮮族”など多岐
にわたっています。それぞれの民族により、生活習慣や信じる宗教が違い、また広い大陸の中
で自然環境や気候に応じた住居や衣服などそれぞれに伝統的なくらしがあります。広州市の
隣にある深圳市には、中国のたくさんの民族の住居や生活を再現した民族村があり、それぞれ
の民族出身者が伝統的な暮らしを紹介したりショーを行ったりしています。
☆中国の食卓☆
国土が広く気候も様々、そして多様な民族のくらすこの国
で、もう一つの多様性を見せるのが、「食」です。中華料理とい
っても、北京料理に上海料理、四川料理…とたくさんの種類が
あります。広州市は、というと広東省に位置しているため、料
理でいえば「広東料理」の本場になります。
「食在広州(食は広州にあり)」という言葉を聞いたことは
ありませんか?世界に知られた広東料理といえば、「飲茶(ヤムチャ)」。中国茶を飲みながら点
心を食べるのがまさに広州スタイル。老舗のお店から屋台まで、オーソドックスな点心からかわ
中国の民族構成と衣装
出典「独立行政法人 情報処理推進機構」
←写真に写る全ての人が、中国人‼国土の広い
中国では、南は熱帯に近い生活で東南アジア
系の顔立ち。西には砂漠が広がりイスラム教を
信仰する人が多く西アジア系の顔立ち。高地
のチベット高原では、チベット仏教が生活の中
心。北には草原が広がり遊牧が生活の中心…
と、本当に多様な人々が暮らしています。
深圳民族村のようす
いらしい動物点心まで、何でもそろっています。中国茶も普洱茶(プーアール茶)や鉄観音など
の烏龍茶、茉莉花茶(ジャスミンティー)など様々なお茶から選ぶことができます。広州では、早
朝7時ごろから飲茶屋の店先に並び始めるお年寄りを出勤のバスの車中から見ることもしばし
ば。お値段もお手頃な飲茶は、広州の人々の生活の一部のようです。
また、広東料理では「広東人は飛ぶものは飛行機以外、泳ぐものは潜水艦以外、四足は机と
いす以外、二本足は親以外何でも食べる」などといわれるほど、様々なものを食材に使用して
います。市場には、日本で見かける食材はもちろん、カエルやすっぽん、ワニやヘビが当たり前
のように並んでいます。中華包丁で次々とさばかれていく鳥や豚肉。活気あふれる市場とそこ
に集う人々。夜遅くまで道端には屋台が立ち、人々は野外で集まってみんなで円卓を囲む。そ
んなローカル風景も、広州ならではです。
~日本人学校の児童・生徒と中国文化~
日々中国という異国の文化に触れ、歴史を知り今の中国を見つめている児童・生徒たち。現
地理解を深めた1年を紹介します。
☆現地理解教育の柱☆
①中国語の授業…小学部1年生から中学部3年生まで、毎週1時間の中国語の授業の実施。日常
会話以外にも現地の中国語の先生たちが中国の文化についても教えてくれます。
②現地小学校との交流…小学部は地元の東風東路小学と年
2回交流しています。中国語で覚えた東風東路小学の校歌
を披露したり、日本の遊びを教えたり中国の遊びを教わっ
たりしながら、小学生は言葉の壁をすんなり越えてすぐに
仲良しに。交流の中で、特に中国語が得意な児童がいつも
以上に輝いているのが印象的です。
③現地大学との交流…中学部は地元の華联大学と年2
回交流しています。大学生の多くは日本語学科の生
徒で日本に興味をもって交流を楽しみにしてくれて
います。中学生も学習した単語を使って自己紹介を
したり、日本文化を中国語で説明したりと奮闘。互い
の文化の交流はもちろん、たとえつたなくても、想い
を伝えようとする気持ちが大切で、それが人の心を結ぶことを感じているようです。
↓かわいい動物点心。中はカスタードのデザート点心です。
④PTA主催中国伝統文化鑑賞会
…毎年PTAの役員さんたちが中心となり、中国
の伝統文化を紹介してくれています。授業参
観の後に開催されるため、児童・生徒だけで
はなく保護者の皆さんにとっても貴重な現地
理解の機会です。今年度は、カンフーで有名
な黄飛鴻の流れをくむ演武集団が来校。中国
獅子舞とカンフーの演武を披露してくれました。児童・生徒もその迫力とカッコよさに大興奮‼
☆1年間の取り組み☆
5月 運動会(中学部による集団演技「カンフー」)
6月 東風東路小学来校(小学部1~6年生が日本人学校に招いて日本の遊びで交流)
〃 華联大学へ訪問(中学部1~3年生が大学に訪問し中国文化に触れる)
〃 西安修学旅行(小学部6年生)、中山宿泊研修(小学部5年生)
9月 深圳宿泊研修(中学部1年生)
〃 PTA主催中国伝統文化鑑賞会(カンフー演武、中国獅子舞)
10月 北京修学旅行(中学部2年生)
12月 東風東路小学へ訪問(小学部1~6年生が訪問し中国の遊びに触れる)
〃 華联大学来校(中学部1~3年生が日本人学校に招いて日本の文化を紹介)
☆生活科の学習―本校中国人スタッフへのお仕事調べインタビュー(小学部2年生)
☆社会科見学 ―現地日本企業イオンスーパー見学(小学部3年生)
―現地消防署見学(小学部4年生)
―現地合弁企業広汽トヨタ自動車工場見学(小学部5年生)
―南越王博物館見学(小学部6年生)
☆職場体験学習―現地日本企業への職場体験(中学部3年生)
☆部活動(PRC)―現地学校、インターナショナル校との交流試合(中学部1~3年)
☆現地理解研修―本校事務スタッフを講師に招いた広東語講座(教職員)
~新しい春です~
広州日本人学校の敷地内には日本より2足くらい早く、桜が咲
き春を告げてくれました。明日から4月。赴任2年目の広州生活
がスタートします。これからも、目の前の児童・生徒のために一生
懸命力を尽くすことはもちろん、中国や広州の魅力をさらに見
つけていきたいと思います。