複数基地局連携送信による

ユーザスループット高速化技術の研究開発

株式会社KDDI研究所

三菱電機株式会社

電波資源拡大のための研究開発 第3回成果発表会（平成22年6月24日）

目次

研究開発の概要

実施期間/研究課題/実施体制

研究成果 マルチサイトMIMO電波伝搬測定技術

マルチサイト電波伝搬モデル化技術

基地局連携MIMO電力制御技術

基地局連携干渉回避・干渉除去伝送制御技術

基地局連携プリコーディング方式

基地局連携無線リソーススケジューラ

まとめ

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研究開発の概要

これまでの移動通信システムの課題 セル境界領域において、隣接基地局からの同一周波数干渉により、

ユーザスループットが低下する

複数基地局連携MIMO送信（マルチサイトMIMO）技術 隣接基地局を含む複数基地局からの信号を、MIMO送受信技術により

所望の信号源として積極活用

セル境界領域におけるユーザスループットの高速化を目指す

目標 セル境界において従来方式に対して2倍以上のユーザスループットを実現

セル境界におけるユーザスループットを改善しつつシステム容量の劣化を回避

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マルチサイトMIMO技術の概要

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連携送信適用エリア

連携制御部ｽﾙｰﾌﾟｯﾄ

基地局

連携送信ON

連携送信OFF基地局

セル境界

実施期間/研究課題/実施体制

実施期間 平成19年7月20日から平成22年3月31日

研究課題/実施体制 課題(a)マルチサイト電波伝搬に関する研究開発

(a-1)マルチサイト電波伝搬測定技術（三菱電機株式会社）

(a-2)マルチサイト電波伝搬モデル化技術（株式会社KDDI研究所）

課題(b)連携送信技術に関する研究開発（三菱電機株式会社）

課題(c)連携送信切り替え制御技術に関する研究開発（株式会社KDDI研究所）

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課題(a-1)マルチサイトMIMO電波伝搬測定技術

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植生

50m

BS#A

BS#C

MS (LOS)

MS (NLOS)

• マルチサイト電波伝搬特性測定装置の開発• マルチサイト電波伝搬特性測定 （マルチサイト環境でのアンテナ相関を取得）• マルチサイトMIMO性能評価

図a-1-1 マルチサイト電波伝搬特性測定装置

図a-1-2 マルチサイトMIMO性能評価

マルチサイトMIMOにより、空間多重性能が大きく改善．

NLOS LOS

送信アンテナ間相関

0.20⇒0.04 0.26⇒0.05

受信アンテナ間相関

0.25⇒0.16 0.64⇒0.47

表a-1-1 マルチサイト電波伝搬特性測定（平均アンテナ間相関）

(“⇒”はマルチサイトMIMOによるアンテナ間相関の変化を示す)

＜得られた成果＞マルチサイト電波伝搬評価用測定装置を実現した。 LOS環境おける受信アンテナ間相関の平均値が0.64から0.47まで低

下することを確認した。マルチサイトMIMO化することで，BERを10－１から10－４まで改善される

ことを確認した（16QAM Rate=1/2）。

送信局受信局

1.E-06

1.E-05

1.E-04

1.E-03

1.E-02

1.E-01

1.E+00

MCS Lebel

Bit

Err

or

Rate

SS-MIMO

MS-MIMO(2x2)

QPSK3/4

16QAM1/2

16QAM3/4

64QAM1/2

64QAM3/4

QPSK1/2

SNR=17dB

BERが10-1から10-4まで改善

MCSレベル

課題(a-2)マルチサイト電波伝搬モデル化技術

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• 異なる基地局間での受信信号電力差に対するMIMO空間多重効果の特性をフィールドでの電波伝搬実験に基づき評価

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

1

5 5.5 6 6.5 7 7.5 8 8.5 9 9.5 10 10.5 11 11.5

受信信号電力差 [dB]

P(C M

S-M

IMO

> 2x

C SS-

MIM

O)

図a-2-4 受信信号電力差とマルチサイトMIMOがシングルサイトMIMOに対して有効である確率の関係

図a-2-3 第1、第2固有値の固有値広がり

100m 100m

送信局 干渉局

図a-2-1 基地局間受信信号電力差 図a-2-2 マルチサイト実測エリア図

＜得られた成果＞横浜市街にて電波測定を実施し、IUT-R Rep. M.2135のチャネルモデ

ルをベースに伝搬パラメータを評価した結果、実験した環境はurban macro相当であることを確認した。

本環境におけるマルチサイトMIMOのキーパラメーターが複数基地局間の受信信号電力差であることを示し、マルチサイトMIMOが有効なレベル差は10dB以下であることを示した。

課題(b)複数基地局連携送信技術（その1）

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• 基地局連携MIMO電力制御技術 MIMO統合電力制御（基地局連携MIMO電力制御、MIMOストリーム間電力制御）

図b-1 提案方式（MIMO統合電力制御）

図b-2 性能評価（MIMO統合電力制御）

■ MIMO統合電力制御

■基地局連携MIMO電力制御（BSC-PC）

Per Stream SNR [dB]

P.D

.F

Closed Loop MIMO

4th stream

3rd stream 2nd stream

1st stream

-10 0 10 20 30 40 500

0.05

0.1

0.15

0.2

PSPC move minor stream SNR close to

1st steam SNR

・ 伝送路方程式：

・ BSC-PC行列：

電力上げる

基地局連携MIMO電力制御基地局連携MIMO電力制御

電力上げる

電力下げる

電力下げる

基地局連携MIMO伝送性能改善

受信電力差

PSPCを用いることで、効果的なストリーム間調整電力量を決定する。

最大送信電力制約のある中で、アンテナごとの電力制御量を含め送信ウエイトを計算する。

242526272829303132333435

0 2 6 10difference for received power between BSs [dB]

requ

ired

CNR

[dB]

unified PC (BSC-PC + PSPC)BSC-PC onlyno PC

3dB改善

所要

CIN

R*1 [d

B]

BS間受信電力差 [dB]

＜得られた成果＞◆複数基地局が連携して送信を行う基地局連携MIMO伝送方式について基地局連携MIMO電力制御、MIMOストリーム間電力制御を考案し、基地局間の受信電力差が10dB生じている環境において3dBの所要CINRを改善することができた。

BSC-PC：Base Station Cooperation-Power ControlPSPC: Per Stream Power Control

■MIMOストリーム間電力制御（PSPC）

*1: FEC Block(600Byte）に対する16QAM Rate ¾の所望CINR

課題(b)複数基地局連携送信技術（その2）

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• 基地局連携干渉回避・干渉除去伝送制御技術 ABFアンテナ連携伝送制御 複数基地局連携オープンループ型マルチユーザMIMO伝送制御

図b-3 提案方式（複数基地局連携オープンループ型マルチユーザMIMO伝送制御）

図b-4 性能評価（複数基地局連携オープンループ型マルチユーザMIMO伝送制御）

シンボル

干渉除去

.

*34

*34

*43

*43

*12

*12

*21

*21

−−−−

−−

=

SSSSSSSSSSSSSSSS

S

MS１信号

MS2信号

アンテナ

BS1ビーム1

BS2ビーム1

BS1ビーム2

BS2ビーム2

■自己干渉除去符号

■複数基地局連携オープンループ型マルチユーザMIMO伝送

自己干渉除去符号を用いることでユーザ間干渉を除去

ABFアンテナを用いた場合の第2回、第3回再送

セクタアンテナを用いた場合の第2回、第3回再送

BLERを0.21から0.01へ改善（伝送路相関）

ブロック誤

り率

CNR [dB]

＜得られた成果＞■考案した複数基地局連携オープンループ型マルチユーザMIMO伝送制御に加えABFアンテナによりCINR20dBにおけるブロック誤り率を0.21から0.01に低減することができた。

ABF：Analog Beam Forming

BS2MS2

BS1

MS1

MS1ストリーム１MS1ストリーム２

MS2ストリーム２MS2ストリーム１

固定干渉 固定干渉

ABFアンテナ

初送 第2回再送 第3回再送 第4回再送

課題(c)複数基地局連携送信切り替え制御技術（その1）

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• 基地局連携プリコーディング方式 同一基地局内のアンテナ間相関 異なる基地局間での受信信号電力差

＜得られた成果＞◆ビット誤り率 BER = 0.001を満たす所要信号対雑音電力比を、

R = 1（誤り訂正符号化なし）のとき5.5 dB、R = 3/4のとき2.2 dB、R = 1/2のとき0.7 dB、削減可能。

BS Controller

BS Controller

電力差と相関による特性劣化を緩和

高い相関による誤りの発生

受信電力差による誤りの発生

プリコーディングなし

プリコーディングあり

0.001

0.01

0.1

1

0 5 10 15 20 25

ConventionalProposed

BE

R

SNR per a receiver antenna [dB]

R = 1

R = 3/4R = 1/2

課題(c)複数基地局連携送信切り替え制御技術（その2）

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＜得られた成果＞◆セル境界のユーザスループットを2倍、セル容量を維持する基地局連携無線リソーススケジューラを考案した。◆課題aのフィールド試験で得た実測値に基づく相関係数、課題bで考案したプリコーディング技術、課題cで考案したスケジューラ技術らをそれぞれ実装した検証ソフトウェアを完成させ、マルチサイトMIMO技術の効果を確認した。

• 基地局連携無線リソーススケジューラの開発

0 1.0 2.0 3.0 4.0

1.00.90.80.70.60.50.40.30.20.1

Normalized user throughput

CD

F

SS-MIMO

MS-MIMO w/ non-cooperative scheduler

MS-MIMO w/ proposed scheduler

Cell-edge user throughput: 5% CDF

提案スケジューラは、セル中心近くのユーザに対してSS-MIMOと同等のスループット

セル境界ユーザのスループットは、SS-MIMOに対して約3.4倍に改善

• SS-MIMOに対して、周波数利用効率が”連携基地局数”倍以上となる移動機を、マルチサイトMIMOの対象とする セル境界ユーザスループットの

改善

• マルチサイト接続移動機に対するリソース割り当て機会を制御

セル中心ユーザへのリソース割り当てを確保することにより、システム容量を維持

BS A BS B

UE3

UE5 UE6

UE4

UE1

UE2

UE2

UE5 UE3

UE5

UE1

UE2

UE4

UE4

UE6

UE6

UE1

UE3

Time Time

Freq

uenc

y

Freq

uenc

y

まとめ

複数基地局連携における電波伝搬モデルとして、 マルチサイト電波伝搬評価用測定装置を開発し、マルチサイトMIMOの有効性と

してアンテナ間相関の低減とBER改善を検証

横浜におけるフィールド実験を通じて、複数基地局間での受信信号電力差がマルチサイトMIMOの性能に与える影響を評価し、適用領域を明確化

複数基地局連携送信技術として、 MIMO統合電力制御方式により、マルチサイトMIMO環境での所要CINR特性を

改善

複数基地局連携オープンループ型マルチユーザMIMO伝送方式により、ブロックエラー特性を改善

複数基地局連携送信切り替え制御技術として、 基地局連携プリコーディング方式により、受信信号電力差と基地局内アンテナ

間相関によるBER特性の劣化を回避

基地局連携無線リソーススケジューラにより、システム容量を劣化させることなく、セルエッジユーザスループットを2倍以上に改善

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複数基地局連携送信による�ユーザスループット高速化技術の研究開発目次研究開発の概要マルチサイトMIMO技術の概要実施期間/研究課題/実施体制課題(a-1)マルチサイトMIMO電波伝搬測定技術課題(a-2)マルチサイト電波伝搬モデル化技術課題(b)複数基地局連携送信技術（その1）課題(b)複数基地局連携送信技術（その2）課題(c)複数基地局連携送信切り替え制御技術（その1）課題(c)複数基地局連携送信切り替え制御技術（その2）まとめ