56
事業主体 : (株)トライ・ウッド 共同研究グループ: 安成工務店、九州大学、福岡女子大学、近畿大学 発表者 : 九州大学農学研究院/准教授 清水邦義 スギ材需要拡大を目指した スギ無垢材内装住宅の 健康機能の検証 1

スギ材需要拡大を目指した スギ無垢材内装住宅の 健康機能の …...60 65 70 75 80 85 90 0 60 120 180 240 300 360 420 480 相対湿度( % ) 冬季(1月~2月):B棟

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事業主体 :(株)トライ・ウッド

共同研究グループ:安成工務店、九州大学、福岡女子大学、近畿大学

発表者 :九州大学農学研究院/准教授 清水邦義

スギ材需要拡大を目指したスギ無垢材内装住宅の健康機能の検証

1

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本プロジェクトの概要

―でもそれってどうして??人が感覚で捉えている『木の良さ』を科学してみよう!

無垢材と非無垢材の居住空間を様々な観点で比較

国産木材を使用した居住空間が人に及ぼす影響を科学的に検証

木の家って気持ちがいい

2

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林業を守るために今、私たちがすべきこととは・・?* 木材市場における競争力を高め、国産木材をまもる* 国産木材の優れた点を明らかにし、新たな需要を生み出す

→ これらの点に基づく研究が求められている

問題 ~近年における日本林業の衰退~

国内の木材消費の多くを占める住宅に着目

1960年代から続く日本林業の不振

山間部の人口減少・高齢化

山間部の荒廃

森林環境の危機林野庁による森林再生計画

(2009)

3

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住宅に対する消費者ニーズ

耐震性が◎

品質・性能!

身体に優しい

アレルギーも安心!

消費ニーズ

「木材」と「人」の相性の良さを示す情報の充実

→ 消費者ニーズに応える

→ 国産木材消費を増やす

健康への配慮「木は良い」と言うけど何が良いの・・・??

耐震性や品質・性能乾燥技術の向上大規模国産材製材工場の増加

企業対応

4

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研究目的

国産木材の機能性に着目し日本林業の活性化に寄与すること

科学的な検証により,さまざまな木材がヒトにもたらす効果を消費者に示すこと

5

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実験内容

6

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大規模工場高温乾燥等や加工木材

大量生産により利用率がUP

中小規模の製材所自然または低温乾燥

木材が本来持つ自然の香りと調湿作用の維持が可能

日本林業の現状

7

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無垢材と非無垢材の違い無垢材 非無垢材

例.) 津江杉のような自然の木材(Japanase ceder,

Cryptomeria japonica)

例) ビニールクロスが張られたフローリング材のような化学加工されたもの

裁断と乾燥のみ 化学物質による接着、補強、着色など

・製造に手間がかかり、費用が高価・自然乾燥には多くの利点(自然の香りや調湿作用が残るなど)

・比較的安価で丈夫・自然の香りや調湿作用は

高温乾燥などで損失の可能性

⇒林業の再活性化のためには、消費者に無垢材の利点を提示し、杉やヒノキといった日本特有の木材の需要を増やすことも重要

8

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実験方針

脳機能 生理効果 心理効果

無垢材 非無垢材

そこで…無垢材と非無垢材の物理化学的性質の比較のみならず、

ヒトに与える影響に差があるのか生理学および心理学的観点から解明を検討

9

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実験設備

10

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実験棟について

A棟 B棟

本実験のために九州大学構内に建てられた2つの実験棟:視覚的先入観をなくすため、

外観は同じだが、内装に使用されている木材が異なる

A棟の内装 : 大分県日田市上津江町“津江杉”(無垢材) B棟の内装 : 無垢材を模した木目調のビニルクロス(非無垢材) 11

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2m

3.65m 1.35m

5m

被験者室 実験者室

実験棟見取図

12

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内装材と構造内装材および主要構造等

A棟 B棟

床無垢の杉板(床材)(厚さ:15 mm)

表面:UV塗装した床材料基材:特殊MDF(中密度繊維板)*1

(厚さ:6 mm)

ホルムアルデヒド放散量性能区分:F☆☆☆☆*2

壁無垢の杉板(壁天井化粧材)(厚さ:12 mm)

表面:ビニルクロス下地:パーティクルボード*3(厚さ:12.5 mm)ホルムアルデヒド放散量性能区分:F☆☆☆☆*2

天井無垢の杉板(壁天井化粧材)(厚さ:12 mm)

表面:ビニルクロス下地:パーティクルボード*3(厚さ:9.5 mm)ホルムアルデヒド放散量性能区分:F☆☆☆☆*2

土台等 杉

(天然または中低温域乾燥)杉(高温乾燥材)

梁・桁

*1 木材を繊維化し合成樹脂を加えて成形した繊維板(ファイバーボード)のうち、密度が0.35–0.80g/cm3のもの。*2 ホルムアルデヒド放散量平均値0.3mg/L、最大値0.4mg/L以下(上位等級)であることを示す。*3 木材の小片を合成樹脂と混合し高温・高圧で成型した木質ボード。

13

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目次

1.調湿作用

2.揮発性成分分析

3.内装材の抗菌試験

4.ヒトの生理・心理に与える影響~日中試験~

5.ヒトの生理・心理に与える影響~睡眠試験~

14

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夜間睡眠実験 - 温湿度測定~実験方法~

15

使用機器:温・湿度データロガー「おんどとり」(㈱テイアンドデイ)

測定時間:23時~翌朝7時までの約8時間(1分間隔)

温度:18~20℃湿度:60~70%に設定

湿度の上昇が抑制→ 調湿作用

実施期間:梅雨(5~6月、6~7月)、冬季(1~2月、2~3月)

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夜間睡眠実験 - 温湿度測定~データ解析~

16

50

55

60

65

70

75

80

85

90

0 60 120 180 240 300 360 420 480

相対

湿度

( %)

(分)

冬季(1月~2月):B棟1分毎に記録した1回分の湿度データ

8時間の平均値を算出

算出した平均値より、同じ期間毎に中央値を算出

冬季(1~2月)

85

72

70

69

62

・・・

・・・

・・・

代表値とする

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実験2. 夜間睡眠実験 - 温湿度測定~結果1 睡眠中の温度~

17

12

14

16

18

20

22

24

1 2 3 4 5 6 7 8Time

A棟 B棟

(h)12

14

16

18

20

22

24

1 2 3 4 5 6 7 8Time

A棟 B棟

(h)

各棟における睡眠時の湿度(1時間毎の経時変化)

2014年5~6月 2015年1~2月 2015年2~3月 2015年6~7月

A棟 B棟 A棟 B棟 A棟 B棟 A棟 B棟

相対湿度(%)

** * * *

A棟(無垢材)

B棟(非無垢材)

冬季 雨季(梅雨)

温度

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夜間睡眠実験 - 温湿度測定~結果1 睡眠中の温度~

18

各棟における睡眠時の室温(8時間の代表値)

2014年5~6月 2015年1~2月 2015年2~3月 2015年6~7月

A棟 B棟 A棟 B棟 A棟 B棟 A棟 B棟

温度(

)℃

B棟(非無垢材)

A棟(無垢材) 実験棟間で

差異無し

5~6月 6~7月1~2月 2~3月

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実験2. 夜間睡眠実験 - 温湿度測定~結果1 睡眠中の湿度~

19

各棟における睡眠時の湿度(1時間毎の経時変化)

65

70

75

80

85

90

95

100

1 2 3 4 5 6 7 8Time

A棟 B棟

(h)2014年5~6月 2015年1~2月 2015年2~3月 2015年6~7月

A棟 B棟 A棟 B棟 A棟 B棟 A棟 B棟

相対湿度(%)

** * * *

A棟(無垢材)

B棟(非無垢材)

冬季 雨季(梅雨)

65

70

75

80

85

90

95

100

1 2 3 4 5 6 7 8Time

A棟 B棟

(h)2014年5~6月 2015年1~2月 2015年2~3月 2015年6~7月

A棟 B棟 A棟 B棟 A棟 B棟 A棟 B棟

相対湿度(%)

** * * *

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夜間睡眠実験 - 温湿度測定~結果1 睡眠中の湿度~

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各棟における睡眠時の湿度(8時間の代表値)

Wilcoxon signed rank test:*p < 0.05, **p < 0.012014年5~6月 2015年1~2月 2015年2~3月 2015年6~7月

A棟 B棟 A棟 B棟 A棟 B棟 A棟 B棟

相対湿度(%)

** * * *

低A棟

(無垢材)

B棟(非無垢材)

5~6月 6~7月1~2月 2~3月

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夜間睡眠実験 - 温湿度測定~結論~

21

【温度】

無垢材を内装に用いた建物はヒト滞在時においても高い調湿作用を有する

結論

B棟(非無垢材)

A棟(無垢材) ≒

【湿度】

<※ヒトの影響による湿度の上昇を抑制

B棟(非無垢材)

A棟(無垢材)

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目次

1.調湿作用

2.揮発性成分分析

3.内装材の抗菌試験

4.ヒトの生理・心理に与える影響~日中試験~

5.ヒトの生理・心理に与える影響~睡眠試験~

22

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揮発性成分分析方法:TDU (Thermal Desorption Unit)法

23

捕集管(Tenax TA)

・低沸点成分から高沸点成分まで、広範囲の成分を捕集することができる

・定性分析に加え定量分析ができる

【内部標準物質:定量分析に使用】ベンズアルデヒド(benzaldehyde)200 ppm(アセトン)を測定直前の捕集管に1µl添加

各実験棟にて平成26年度より室内の揮発性成分について吸着管を用いた捕集と測定を定期的に実施

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24

⇒今年度は定期的な捕集に加え、被験者実験中の状況を再現するためエアコンを稼働させた条件でも捕集を実施

A棟(無垢材)とB棟(非無垢材)それぞれの実験室内に、捕集管をとりつけたポンプを3台並べ、同時に稼働し(0.15L/min,1h)、室内の空気に含まれる香り成分を捕集管に吸着させる

2m

3.65m 1.35m

5m

被験者室 実験者室

ポンプ実験者控え室

GC-MSによる成分分析(ベンズアルデヒドを

添加して定量分析)

捕集管

揮発性成分分析方法:TDU (Thermal Desorption Unit)法

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揮発性成分分析ガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)

25

①注入口 ③検出器(MS)

②カラム

キャリアガス

試料 データ

オーブン

1. 試料は注入口で気化される。

2. キャリアガスによりカラム内に運ばれる。

3. カラム内で成分が分離され、検出器に向かう。

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揮発性成分分析 - TDU 法GC-MSクロマトグラフ

26

0

2

4

6

8

10

12

14

10 15 20 25 30 35 40 45 50

Inte

nsity

(min)

(x 106 μV)

1

2

3

4

5

7

11

12

13

Internal

standard

8

9

10

0

2

4

6

8

10

12

14

10 15 20 25 30 35 40 45 50

Inte

nsity

(min)

(x 106 μV)

1

2

3 4

5

7

1311

12

9

Internal

standard

10

6

8

各棟揮発性成分のGC-MS分析クロマトグラム

定性的には同様の成分構成

B棟(非無垢材)

A棟(無垢材)

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揮発性成分分析 - TDU 法GC-MS検出成分

27

実験棟の匂い主要成分1: a-Cubebene 2: a-Copaene

3: b-Elemene 4: b-Caryophyllene

5: cis-Thujopsene

6: cis-Muurola-3,5-diene

7: a-Humulene 8: g-Cadinene

9: g-Muurolene

10: trans-Muurola-4(14),5-diene

11: a-Muurolene 12: d-Cadinene

13: Calamenene

H

12:d-Cadinene

11:a-Muurolene

H

H

13: Calamenene

セスキテルペンが主要成分

1: a-Cubebene

HH

テルペン・・・イソプレンが構成単位

モノテルペン・・・C10化合物セスキテルペン・・C15化合物ジテルペン・・・・C20化合物

・・

イソプレン(isoprene)

モノテルペン

セスキテルペンは精油の主成分

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揮発性成分分析;成分量の年間推移

28

0

5

10

15

20

25

30

35

0

1

2

3

4

5

6

26年

3月

26年

6月

26年

8月

26年

12月

27年

2月

27年

5月

27年

6月

27年

7月

27年

8月

27年

9月

27年

10月

27年

11月

27年

12月

28年

1月

28年

5月

28年

6月

28年

8月

28年

9月

28年

10月

28年

11月

28年

12月

29年

1月

セスキテルペン類(β-カリオフィレン換算)

A棟 B棟 A気温 B気温

70%75%

73%68%

A棟>B棟(ほぼ2倍以上)夏季に多く、冬季は少ない

N=3, エラーバー:標準偏差

内部標準物質ベンズアルデヒドを添加してセスキテルペン類の含有量を換算mg/m3

63%56%

68%66%

77%84%

70%72%

63%61%

73%74%

70%75%

76%79%

72%72%

78%70%

69%68%

66%64%

68%63%

72%70%

73%73%

70%70%

64%69%

71%69%

n = 3, 平均値 ± 標準偏差

より長期間の継続調査が必要

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揮発性成分分析 ~考察~

29

スギ材を内装材として使用した室内空間における揮発性成分の分析およびその季節変動

清水ら:日本木材学会誌(2017)、印刷中

A棟(無垢材)で、年間を通して常に多くの香り成分が検出

木の家に対して、人が好感や快適性を抱きやすい要因のひとつとして“香り”成分が関係している可能性

無垢材を内装に用いた建物は豊かな香りを有している

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目次

1.調湿作用

2.揮発性成分分析

3.内装材の抗菌試験

4.ヒトの生理・心理に与える影響~日中試験~

5.ヒトの生理・心理に与える影響~睡眠試験~

30

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抗菌試験 ~目的~

31

A棟の内装材である無垢材には抗菌効果はあるか?

健康維持に良い空間

これまで「木の家は健康に良い」などと広く言われてきたが、科学的な検証は不十分

A棟 B棟

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抗菌試験~方法~

バイアル瓶に試料入れて菌液0.2ml(107CFU/mL)を添加37℃で培養(18h)

生理食塩水を20 ml加えて菌の洗い出し(振盪)

菌希釈液をNA培地で培養(18h)

供試菌:黄色ブドウ球菌

試料:無垢材(A棟)、塩化ビニル素材(B棟内装)、コピー用紙(コントロール) 各0.4g

※UV照射で滅菌

布の抗菌試験法を応用

32

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抗菌試験 ~結果~

33

コピー用紙・塩化ビニル素材コロニー数:高密度

スギ無垢材の抗菌効果を確認

スギ無垢材コロニー数:0-2個

無垢材コピー用紙 塩化ビニル素材

シャーレ1枚当たり

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抗菌試験 ~まとめ~

34

黄色ブドウ球菌に対するスギ無垢材の抗菌効果を確認

→ 内装としての素材が持つ抗菌効果

衛生的な居住環境の創出におけるスギ無垢材の優位性

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目次

1.調湿作用

2.揮発性成分分析

3.内装材の抗菌試験

4.ヒトの生理・心理に与える影響~日中試験~

5.ヒトの生理・心理に与える影響~睡眠試験~

35

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ヒトの生理・心理に与える影響-概要

36

実験場所

対象者

実験目的

: 1) A棟:天然・低温乾燥の無垢材2) B棟:ビニルクロス等を張り付けた内装材

: 健康な大学生(10~15名)

:各実験棟での滞在時におけるリラックス状態、作業効率や注意力などの差異を調査

A棟(無垢材) B棟(非無垢材)

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測定項目

37

1) 生理指標 :

2) 心理指標 :

3) 行動指標 :

4) 環境測定 :

脳波 → 脳機能の指標心電図 → 自律神経活動の指標唾液アミラーゼ濃度 → ストレスの指標血圧・脈拍 → 自律神経活動の指標

POMS短縮版→ 主観的な気分状態を評価

SD法 → 部屋の印象を評価評定尺度法 → 香りの印象を評価

課題成績

温度・湿度 → 調湿作用・快適性に影響揮発性成分 → ヒトに対する影響

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実験の流れ

38

正常な脳波を示すかチェック

脳波・心電図測定機器

後述

•各実験棟でカウンターバランスを取り、実験を実施(15名 計30回)

安静 作業 安静

開閉眼試験 開閉眼試験

12セット

安静 安静

Pre Post

● ● ● ● ●

● ●

● ● ● ● ● ● ●温度・湿度

POMS・SD法

●血圧・脈拍

測定項目

脳波・心電図

唾液アミラーゼ●

0 120 (分)

30分

ポリメイト装着 Oddball課題

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視覚Oddball課題(PC課題)

39

標的刺激がPCモニター上に表示された時のみボタンを押す

提示間隔(1秒前後:ランダム)

刺激呈示(45 ミリ秒)

標準刺激, 出現頻度 60%

ボタン押し刺激出現頻度 20%

レア刺激出現頻度 20%

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脳波とは…

40

FzC3 Cz C4

PzOz

帯域 波形例 周波数

d(デルタ)波 0.5~3.5Hz

q(シータ)波 4~7 Hz

a(アルファ)波 8~13Hz

b(ベータ)波 14~30Hz

g(ガンマ)波 30~55 Hz

各波形には複数の周波数成分が様々な割合(振幅)で含まれている

→ 周波数ごとに分解

脳内の神経細胞の電気的活動を巨視的に計測したもの

※ 事象関連電位も調査

リラックス状態↓

a波振幅 増

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課題中(3等分)

A棟(無垢材)

B棟(非無垢材)

α波

の振

幅(

μV)

日中 結果:生理指標【脳波】

41

後頭部におけるα波の振幅の経時変化

リラックス時に出現

A棟(無垢材)で課題終了後すぐ上昇

→ リラックスor 疲労回復

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0.25

0.29

0.33

0.37

0.41

0.45

HF

/(L

F +

HF

)

A棟 B棟

0.25

0.29

0.33

0.37

0.41

0.45

Time (min)

A棟 B棟

1.2

1.4

1.6

1.8

2.0

2.2

2.4

2.6

2.8

3.0

LF

/HF

Time (min)

A棟 B棟

1.2

1.4

1.6

1.8

2.0

2.2

2.4

2.6

2.8

3.0

Time (min)

A棟 B棟

日中 結果:生理指標【心電図】

42

副交感神経活動

興奮・活動状態の指標

リラックス状態の指標

交感神経活動

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日中 結果:結論1

43

無垢材を内装に用いた建物はリラックスする効果を持つ可能性を示唆

結論1

【課題後α波】 B棟(非無垢材)

A棟(無垢材) >

【交感神経活動】 < B棟(非無垢材)

A棟(無垢材)

【副交感神経活動】 > B棟(非無垢材)

A棟(無垢材)

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事象関連電位とは…

44

【作業効率や注意力の指標】★ニューロンのミリ秒単位の脳機能計測が可能に★記憶の無意識および意識的脳機能を区別して評価可能

ミスマッチ陰性電位

1. 意識に上らない迅速な注意力の変化

2. 明確に意識できる比較的ゆっくりとした注意力の変化

P300

事象関連電位の一種であるミスマッチ陰性電位およびP300について

A棟およびB棟間での差異を調査

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視覚Oddball課題(PC課題)

45

標的刺激がPCモニター上に表示された時のみボタンを押す

提示間隔(1秒前後:ランダム)

刺激呈示(45 ミリ秒)

標準刺激, 出現頻度 60%

ボタン押し刺激出現頻度 20%

レア刺激出現頻度 20%

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日中 結果:生理指標【ミスマッチ陰性電位】

46

A棟(無垢材)

A棟でミスマッチ陰性電位が大きい傾向(灰色部面積)→ 意識に上らない迅速な注意処理が促進する可能性

*P300では棟間で明らかな差異は認められず

B棟(非無垢材)

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0

5

10

15

20

25

30

35

2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24

誤答

率(%

)

日中 結果:行動指標【誤答率】

47

A棟(無垢材) B棟(非無垢材)

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

30.0

35.0

2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24

Rat

e of

fals

e hit

(%

)

Time (min)

Room A Room B

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

30.0

35.0

2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24

Rat

e of

fals

e hit

(%

)

Time (min)

Room A Room B

誤答

率(%

課題経過時間(分)

*†

Paired t-test:*p < 0.05

B棟 > A棟

→ A棟では課題へ集中

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日中 結果:結論2

48

無垢材を内装に用いた建物は作業効率や注意力が高くなる可能性を示唆

結論2

【誤答率】

< B棟(非無垢材)

A棟(無垢材)

【ミスマッチ陰性電位】

> B棟(非無垢材)

A棟(無垢材)

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日中実験:まとめ

49

・ リラックスできる可能性を示唆(課題後で顕著)→ 脳波(α波)・心電図(交感・副交感神経感動)

・ 課題に対する作業効率や注意力の高さを示唆→ 課題成績(誤答率)・脳波(ミスマッチ陰性電位)

A棟(無垢材内装)の特徴~B棟(非無垢材内装)と比較して~

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目次

1.投稿論文

2.揮発性成分分析

3.内装材の抗菌試験

4.ヒトの生理・心理に与える影響~日中試験~

5.ヒトの生理・心理に与える影響~睡眠試験~

50

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実験の流れ

51

安静 安静

開閉眼試験 開閉眼試験

12セット

安静 安静

Pre Post

● ● ● ● ●

● ●

● ● ● ● ● ● ●温度・湿度

POMS・SD法

●血圧・脈拍

測定項目

脳波・心電図

唾液アミラーゼ●

0 120 (分)

30分

ポリメイト装着 Oddball課題睡眠

8時間

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52

睡眠ステージ 睡眠第3段階 レム睡眠

特徴深い睡眠で、外からの呼びかけにも反応しにくい状態

身体は眠っているが、脳は覚醒に近く、浅い眠りの状態

8時間の就床中 に お け る各 睡 眠 段 階の 合 計 時 間

結果

新建材 無垢材

225

200 -

175 -

150 -

125 -

100

平均

睡眠

段階

3(分

新建材 無垢材

90

80 -

70 -

50 -

20 -

10

平均

REM

睡眠

(分

30 -

40 -

60 -

B棟A棟

B棟(非無垢材)

A棟(無垢材)

A棟B棟

B棟(非無垢材)

A棟(無垢材) <>

一般的には「中等度睡眠期」とも

睡眠 結果:睡眠の質

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睡眠 結果:睡眠の質

53

深い睡眠で外からの呼びかけにも

反応しにくい状態

身体は眠っているが脳は覚醒に近く浅い眠りの状態

0

100

200

300

400

500

A棟 B棟

睡眠

第3段

階の

長さ

A棟 B棟

0

20

40

60

80

100

120

A棟 B棟

レム

睡眠

の長

A棟 B棟

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睡眠 結果:結論

54

無垢材を内装に用いた建物は、深い眠りが長く、浅い眠りが短い

= 睡眠の質が高い

結論

【睡眠第3段階】 > B棟(非無垢材)

A棟(無垢材)

【レム睡眠】 < B棟(非無垢材)

A棟(無垢材)

深い眠り

浅い眠り

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まとめ

スギの無垢材を使用した空間は…

調湿作用 香りの量

睡眠の質作業効率

→ これらの点で優れている可能性

さらなる「スギ無垢材内装住宅の健康機能」を科学する

55

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謝辞九州大学 農学研究院

Akiyoshi Honden, Yuki Washioka, Atsushi Nagaike, Sayaka Matsumoto, Atsushi Yamamoto, Ryudai Fukuda, Hiromi Saijyo, Eriko Haga, Yuko Yamabe, Kayo Terui, Yuri Yoshimura, Toshinori, Nakagawa, Koki Fujita, Akie Kawasaki, Nobuko Sato, Makoto Inagami, Nahoko Fukumoto, Taku Okuda, Yuki Washioka, Keiko Ihaya, Taisuke Nakashima, Noboru Fujimoto

九州大学 基幹教育院

Tsuyoshi Okamoto, Yuki Yamada, Jun Nagano

九州大学 システム情報科学研究院

Takako Mitsudo

近畿大学 産業理工学部

Koichiro Ohnuki

福岡女子大学 国際文理学部Hiroya Ishikawa

株式会社 トライ・ウッド

Shinji Inoue, Yuichiro Watanabe, Hisanori Shimazu, Genichi Okamoto

株式会社 安成工務店 Shinji Yasunari 56