38
高度IT人材育成に係る実態調査(サマリ) 2008613独立行政法人情報処理推進機構 IT人材育成本部IT人材育成企画部 資料4

高度IT人材育成に係る実態調査(サマリ) - IPA · 山梨大学 (大学院)医学工学総合研究部b教授. 豊橋技術科学大学 : 知識情報工学系c教授他3名

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高度IT人材育成に係る実態調査(サマリ)

2008年6月13日

独立行政法人情報処理推進機構IT人材育成本部IT人材育成企画部

資料4

1

第1章

調査概要

2

第1章

調査概要

調査の背景と目的

【調査の背景】

ITが人間社会の隅々にまで浸透し、IT抜きには社会が成立しなくなっている現在、ITの開発側だけでなく、利用側にとっても高度IT人材の育成が重要な課題となってきている。

しかし、企業や大学が高度IT人材をどのように育てているのか、その実態は必ずしも明らかではなく、今後、必要な高度IT人材を育成してゆく上での課題も見えてきていない。

このような中、平成19年7月20日には、産業構造審議会情報経済分科会 情報サービス・ソフトウェア小委員会 人材育成ワーキンググループから「高度IT人材の育成をめざして」と題する報告書が出され、新人教育やリカレント教育のベストプラクティス、ファカルティディベロップメント(FD)の支援、高度IT人材ディレクトリの整備などが課題として取り上げられた。

このような状況に鑑み、情報処理推進機構(IPA)は、高度IT人材育成に係るリカレント教育調査、高度IT人材育成に係るファカルティディベロップメント調査、高度IT人材に係る人材ディレクトリ調査を行うことにしたものである。

【調査の目的】

以上を背景とし、本調査では企業・大学における以下の実態を明らかにすることを目的とする。

さらに、これらの実態から課題を抽出し、課題を克服するための提言を得ることを目的とする。高度IT人材に係るリカレント教育

ファカルティディベロップメント

他分野の人材ディレクトリの実態

3

第1章

調査概要

調査体制

本調査は、以下の調査体制によって実施された。

独立行政法人情報処理推進機構IT人材育成本部IT人材育成企画部

株式会社野村総合研究所社会システムコンサルティング部・調査実施・報告書作成

外部有識者レビュアー会・日本アイ・ビー・エム株式会社取締役執行役員 宇田茂雄

・慶應義塾大学

環境情報学部教授 大岩 元

・株式会社日立製作所渉外統括本部主管 大島信幸

・佐賀大学

知能情報システム学科准教授 掛下哲郎

・群馬大学

社会情報学部准教授 佐渡一広

・財団法人

日本経済団体連合会高度情報通信人材育成部会事務局 田中一郎

請負契約

報告書

順不同・敬称略

4

第1章

調査概要

調査の概要・1

アンケート調査の概要

アンケート調査は、企業向けと大学向けの2種類を実施した。それぞれの配布・回収状況は以下のとおりである。

企業向けアンケート調査1.対象企業・東証1部上場企業1713社

2.方法・郵送による送付・郵送による回答

3.調査期間・調査票は1月下旬に送付し、2月初旬に回収した(約2週間)

4.督促・アンケート実施期間の途中一度、はがきによる督促を行った。・しかし、回収数が伸びないため、実施期間を延長し、その間2度にわ

たり電話による督促を行った。

5.回収数・回収率・回収数:172票(社)/ 1713社=回収率:10.0%

大学向けアンケート調査1.対象大学・全743 ・1432学科

(理工系1182学科+情報系学科250学科)

2.方法・郵送による送付・郵送による回答

3.調査期間・調査票は1月下旬に送付し、2月初旬に回収した(約2週間)

4.督促・アンケート実施期間の途中一度、はがきによる督促を行った。

5.回収数・回収率・回収数:409票(学科)/1432学科=回収率:28.6%

(252大学)

5

第1章

調査概要

調査の方法・2

インタビュー調査の概要

リカレント教育調査、FD調査に向けて、企業10社、大学10大学のインタビュー調査を行った。

企業はITベンダー側企業とユーザー側企業から選び、ベンダー側企業は規模が偏らないように選んだ。インタビュー対象

は人材開発担当のマネージャークラスである。

大学は、文部科学省の「先導的ITスペシャリスト」指定大学(●:申請大学、○連携大学)、経団連の「重点協力拠点」大学(▲) 、JABEE取得大学(■)、ならびに大学院大学(▼)の中からなるべく偏りのないよう選定した。

名称 業種等

A社 大手流通系企業(ユーザー系企業)

B社 大手製造業(ユーザー系企業)

C社 大手証券会社(ユーザー系企業)

D社 大手社会インフラ業(ユーザー系企業)

E社 大手エンタプライズ系システム開発会社(大手ベンダー企業)

F社 大手エンタプライズ系システム開発会社(大手ベンダー企業)

G社 大手エンタプライズ兼組込系開発会社(大手ベンダー企業)

H社 大手パッケージソフトシステム開発会社(大手ベンダー企業)

I社 中規模エンタプライズ系システム開発会社(社員数1000名規

模)(中規模ベンダー企業)

J社 小規模エンタプライズ系/組込系システム開発会社(社員数200名規模)(小規模ベンダー企業)

大学名 学科名

東京大学● (大学院)情報理工学研究科 A教授

山梨大学■ (大学院)医学工学総合研究部 B教授

豊橋技術科学大学

知識情報工学系 C教授 他3名

九州大学●▲ (大学院)システム情報科学研究院 D教授 他4名

筑波大学●▲■ (大学院)システム情報工学研究科 E教授 他1名

名古屋大学● (大学院)情報科学研究科 F教授

早稲田大学○■ (大学院)商学学術院

IT戦略研究所 G教授

産業技術大学院大

学▼

産業技術研究科 H教授

神戸情報大学院大

学▼

情報技術研究科 I教授

東京工業大学○■ (大学院)社会理工学研究科 J教授

インタビュー先一覧(企業) インタビュー先一覧(大学)

※大学院と記したものは、ヒアリング対象の教員が大学院所属のためで

あり、ヒアリングの際には関連する学部教育についても伺っている。

6

インタビュー先一覧(人材ディレクトリ関係)

機関名 人材ディレクトリ名称

NPO法人A財団法人 B市産業振興財団独立行政法人 C 本部独立行政法人 C・H地域センター独立行政法人 D

研究者データベースKデータベース

研究者データベース技術開発支援者データベースD1データベースD2データベース

人材ディレクトリ調査として、既存の人材ディレクトリの整備・運営主体5機関6事例について、インタビュー調査を行った。

人材ディレクトリの事例は、「人材データベース」をキーワードに検索エンジンを使い、あがって来たものから実際に稼動しているものを選んだ。実際に稼動しているものは6者7事例が見つかったが、一者にはインタビューが断られたため、残りの5者へインタビューを行った。

7

第2章

調査1:高度IT人材育成におけるリカレント教育の実態と 今後のあり方

8

調査1:高度IT人材育成におけるリカレント教育の実態と今後のあり方

リカレント教育の実態

OJT以外に高度IT人材の研修・教育を行っている企業は4割弱に留まる。

なお、今回調査回答企業の売上高平均は8610億円であり、一社あたりの平均の教育・研修にかけた費用は1億948万円であった。従って、教育・研修にかけた費用は売上高の約0.013%で

あり、かなり低く抑えられているものと考えられる。

また、中でも従業員の少ない企業は研修を行っている企業が少なく、また、従業員数が2000名

未満の比較的中小の企業は半数を占める。

しかし一方で、今後の意向としては「現状より高度な研修・教育を行いたい」と「現状よりも対象者を増やしたい」は、現在研修を行っている企業・行っていない企業の両者とも5割を超えている。

教育・研修を行う上での阻害要因は「対象者が業務多忙で参加できない」と「研修・教育体制ができていない」の2者が他を引き離している。3番目は「能力を身に着けた人の処遇制度が不備」な点。

9

「高度IT人材」育成の為の社内外研修・教育の有無(n=172)

社内外研修・教育を行っている企業は半数以下。

過半数の企業はOJTや自己研鑽の推奨以外、特には行っていない。

(n=172)

38.4 61.6

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

行っている OJT、自己研鑽の推奨以外、特に行っていない

高度IT人材育成のための社内外研修・教育の有無

御社では前述のような「高度IT人材」を育成するために、社内外での研修・教育を

組織として行っておられますか。

10

研修教育のための予算規模

(平均売上高)

一社あたりの平均売上高は約8011億円

最大値は21兆1千億円

8

37

27

35

46

19

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

50

~100億円未満

100~500億円未満

500~1000億円未

1000~3000億円

未満

3000億円以上

無回答

売上高(n=172)一社あたりの平均売上高:8011億円(最大21兆1千億円)

11

研修教育のための予算規模

(研修・教育のための一社当りの平均予算額)

一社あたりの研修・教育のための年間の予算は、平均7870万円

一社あたりの研修・教育のための予算規模は、お答えいただけた企業の平均値は一社あたり7870万円であった(OJT以外の研修を行っていないという企業の研修・教育予算は0とした)。

106

9 7 5

37

0

20

40

60

80

100

120

~1億円未満

1~10億円未満

10~100億円未

100億円以上

無回答

12

研修の有無×従業員数

(n=172)

従業員の1000人未満の企業は研修を行っている企業が少ない。

※現在OJT以外の研修を実施している企業n=66、していない企業n=106

9.1

18.2

15.2 15.213.6

16.7

30.2

3.4

9.4

4.76.6 7.5

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

30.0

35.0

~1000人未満

1000~2000人未満

2000~3000人未満

3000~5000人未満

5000~10000人未

10000人以上

研修あり 研修なし

13

企業規模の分布(n=172)

従業員数2000人未満の比較的中小規模の企業が半数を占める。

24.4%

30.8%

12.8%9.6% 10.3%

12.2%10.3%

0.0%

5.0%

10.0%

15.0%

20.0%

25.0%

30.0%

35.0%

~1000人未満

1000~2000人

未満

2000~3000人

未満

3000~5000人

未満

5000~10000

人未満

10000人以上

無回答

14

高度人材育成の為の研修・教育の今後の意向

n=66

一方で、今後の意向としては「現状より高度な研修・教育を行いたい」と「現状よりも

対象者を増やしたい」が両者とも5割を超える。

※回答対象は、現在OJT以外の研修・教育を実施している66社。

(複数回答可:n=66)

65.2

50.0

0.0

0.0

7.6

6.1

3.0

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

現状よりもさらに高度な研修・教育を行いたい

現状よりも研修・教育の対象者を増やしたい

研修・教育のレベルを現状よりも下げたい

研修・教育の規模を現状よりも縮小したい

今のままでよい

その他

無回答

(%)

高度IT人材育成のための研修・教育の今後の意向

御社では今後どのような高度IT人材を育成するための研修・教育を行いたいとお考えですか。

15

高度人材育成の為の研修・教育の今後の意向

n=172

高度IT人材のための研修・教育を行う上での障害は、現場の忙しさと、研修・教育

体制の不備が大きい。

■3番目の要因は、能力を身に着けた人の処遇制度が不備な点。

(複数回答可:n=172)

49.4

45.9

24.4

16.3

15.7

15.7

15.1

12.8

3.5

8.7

7.6

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100

対象者が業務多忙で研修・教育に参加できない

高度IT人材を育成するための研修・教育体制ができていない

能力を身に付けた社員を適切に処遇する人事制度ができていない

育成するための研修・教育の効果が具体的に想定できない

育成するための適切・有効な研修・教育の手段がわからない

資金的な余裕がない

社員が研修・教育の必要性を認識していない

経営層が高度IT人材育成の必要性を認識していない

社外に適切な教育機関がない

その他

無回答

(%)

高度IT人材育成のための研修・教育を行う上での障害御社で高度IT人材を育成するための研修・教育を行う上で、現在障害となっている

ものは何ですか。

16

調査1:高度IT人材育成におけるリカレント教育の実態と今後のあり方

課題と提言

【課題】

研修・教育を充実させるためには、忙しい現場から対象者を一時引き離して研修・教育を受講させることが重要。

また、社内外で研修・教育を実施するための制度の整備が必要となる。

さらに、リカレント教育等を通じて能力を身に着けた人材の処遇制度も、その整備が課題となっている。

なお、大企業よりはむしろ従業員数の少ない比較的中小規模の研修・教育を支援することが重要である。

企業にとってはITスペシャリストだけでなく、ITを使って付加価値を高められるようなITユーザーとしての能力を持つ人材も重要である。

社員教育がOJTに依存している状況があることに加え、部署ごとによって教育内容や必要とされる専門性が異なり、体系的な教育が出来ない状況になっている。

学部・学科の区別なく採用することは、より幅広い人材を採用することができるため、ITの活用によって付加価値を高めることができる高度IT人材の育成につながりやすいと考えられる。

17

【提言】

(対企業)比較的長期の研修のためにはサバティカル制度や国内外への留学制度を充実させることが、忙しい現場から引き離すことにつながる。

(対企業)短期的な研修・教育のためには、研修制度を義務化させることが必要となる。

(対企業)また、能力を身に着けた人の処遇を改善するに当たり、IPAのITスキル標準等の活用が望まれる。

(対企業)研修・教育の内容をITについてのみ絞るのではなく、他分野の知識を広く身につけさせる研修や留学などが望まれる。

まず部ごとの研修制度を充実させるとともに、関連する業務を行っている部署間で適切な人材の配置転換を行い、配置された部署による能力のレベル格差をなくす必要がある。

(対IPA)他企業におけるベストプラクティスの共有化が、自社の制度改善につながる。このため、IPAとしてベストプラクティスの事例を収集し、公開することが望まれる。

(対IPA)また、自社で教育プログラムを開発することが困難な中小の企業向けに、IPAが研修・教育の標準的なプログラムを作成することも、中小の企業の教育・研修を助けることになる。

学生はIT業界をいわゆる「3K」あるいは「7K」と見られており、就職活動において不人気な業界となっている。しかし高度IT人材を育成するためには、IT業界への就職を希望する学生の数を増やすことが必要だと考えられる。したがってIT業界についてイメージではなくその業務内容や実態を学生に、正しく理解してもらうための取組みが必要である。

18

第3章

調査2:高度IT人材育成におけるファカルティディベロップメント(FD)の実態と

今後のあり方

19

調査2:高度IT人材育成に向けたファカルティディベロップメントの課題と提言

ファカルティディベロップメントの実態【FD活動全般について】

ほとんどの大学で、大学として何らかのFD活動が行われている。

しかし行われている活動は偏っており、行われているレベルを問わずに、いずれかのレベルで行われているか、いないかを見た場合、「学生による授業評価」はほぼ100%の大学で実施されているのに対し、実践的な教育能力向上に効果的と思われる、「教員相互の授業参観・授業評価」や「教員を企業や大学等への派遣」等は実施されている率が低い。

一方で、今後のFD活動の予定に関しては現状維持が多いものの、「教員のための研修会」や「教員相互の授業参観・授業評価」等は3割程度の大学が追加して行いたいと答えている。

さらに、約6割の大学が、今後FD活動を追加して行う計画を持っている。

【産学連携を通じたFD活動について】

情報系学科は他の理工系学科に比べて、圧倒的に産業界との連携を保っている比率が高く、なおかつ今後連携方法を増やして行きたいと考えている。

その目的は「学生の実務能力の向上のためにインターンとして派遣」が最も多く次いで「現役IT人材を非常勤教員として雇用」があがっている。

一方で、連携を進めるうえでの阻害要因として、「教員を企業等に派遣する制度がない」「教員を企業等に派遣するだけの人材が不足している」「インターンを希望する学生が少ない」などがあげられている。

【企業とFD活動について】

多くの企業はFDに関する大学の様々な活動を知らない。

しかし、FDの強化が必要と答えた企業では、実践的教育の場の提供などの支援ができると考えており(p28)、特に売上高の大きい企業では様々な支援が行えると答えている。

【企業が情報系学科・修士課程者に「企業の期待する能力」と「大学の評価」間の比較】

大学が自ら評価しているほどには、全般に企業は学生に期待していない。

20

FDの取り組みは、その多くが大学単位で行われている。しかし、教員相互の授業

参観や産学連携のFDフォーラム、FDのための教員の派遣は行われている率が低い。

18%

46%

0%

28%

11%

36%

57%

90%

74%

12%15%18%

14%11% 13% 11%

2% 4% 3% 1%

33%

17%

27%

16%

33%

17%14%

2%8%

2%

63%

26%

82%

52%

64%

46%

27%

3%

16%

1%2% 2% 0% 2% 1% 2% 3% 2% 2%

85%

0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%

100%

a.教員

のための研修会を開催し

ている

.教員相互

の授業参観

・授業評

価を行

っている

c.学生

による授業評価を実施し

ている

.学生

による授業評価

の結果を

学生等

に公開している

e.教育方法改善

のための講演会

や授業検討会等を開催している

.授業方法改善

のための専門

部門等を設置している

g.産学連携

のFDフォーラム等

を行

っている

.教員を企業等

へ派遣して実践

能力

の向上を図

っている

.教員を国内外

の大学等

へ派遣

、教育能力

の向上を図

っている

.その他

なし 学科レベルで実施 学部レベルで実施 全学レベルで実施 無回答

FD(ファカルティ・ディベロップメント)活動状況【現在】(n=409)

21

学科による差のクロス集計結果

75%

52%

100%

73%

84%

53%

39%

8%

23%

3%

83%

54%

99%

67%

89%

67%

40%

8%

25%

3%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

a.教員のための研修

会を開催している

b.教員相互の授業参

・授業評価を行

ってい

c.学生による授業評価

を実施している

d.学生による授業評価

の結果を学生等に公開し

ている

e.教育方法改善のため

の講演会や授業検討会等

を開催している

f.授業方法改善のため

の専門の部門等を設置し

ている

g.産学連携のFD

フォーラム等を行

ってい

h.教員を企業等

へ派遣

して実践能力の向上を

っている

i.教員を国内外の大学

へ派遣し

、教育能力の

向上を図

っている

.その他

情報系 情報系でない

(FD活動・現在)実施(情報系n=132、非情報系n=276)

22

FD活動の今後は、現状維持が多いが、「教員のための研修会」や「教員相互の

授業参観や授業評価」等は3割程度の大学が今後拡大する計画を持っている。

36% 36%

14%22%

33%25% 28%

16% 19%

2%

55% 52%

77%68%

57%62%

58%65% 64%

11%

0% 0% 0% 0% 0% 0% 0% 0% 0% 0%9% 12% 9% 10% 10% 13% 14%

18% 16%

87%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

a.教員のための研修会

を開催する

b.教員相互の授業参

・授業評価を行う

c.学生による授業評価

を実施する

d.学生による授業評価

の結果を学生等に公開す

e.教育方法改善のため

の講演会や授業検討会等

を開催する

f.授業方法改善のため

の専門の部門等を設置す

g.産学連携のFD

フォーラム等を行う

h.教員を企業等

へ派遣

して実践能力の向上を図

i.教員を国内外の大学

へ派遣し

、教育能力の

向上を図る

.その他

拡大 現状維持 縮小 無回答

FD(ファカルティ・ディベロップメント)活動状況【今後】(n=409)

23

6割の大学が、追加して今後FD活動を行う意向を持っている。

59.7% 35.9% 4.4%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

あり なし 無回答

今後、FD活動を追加する予定の有無(n=409)

24

情報系学科は、他の理工系学科と比べて、圧倒的に産業界との連携を保っている

割合が高い

57%

42%

17%

81%

0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%

100%

っている

特に保

ってはいな

情報系 情報系でない

学科として産業界との連携を保っているか

(情報系n=132、非情報系n=276)

25

現在の産学連携の状態と同様、今後産学連携方法を増やして行きたいという

大学も、情報系学科がそれ以外を大きく上回っている。

60%

37%

25%

67%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

あり

なし

情報系 情報系でない

連携の方法追加予定

(情報系n=132、非情報系n=276)

26

しかし、情報系とそれ以外の理工系学科別に、連携の有無を尋ねると、産学の連携の方法

として、「インターンの派遣」「現役IT人材の非常勤教員としての採用」が特に情報系学科で

上位にあがっている。

43% 45%

29%

13%

67%

81%

5%

20% 21%

10% 8%

22%

52%

2%0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

a.IT人材養成のため

に教育課程を開設し社会

人教育を行

っている

b.IT人材養成のため

に公開講座等を開設し

研修を行

っている

c.研究生等として受け

入れ

、個別に技術指導を

っている

d.現役IT人材を常勤

の教員として期限付きで

っている

e.現役IT人材を非常

勤の教員として雇

ってい

f.実践能力の向上のた

めにインター

ンとして派

遣している

g.その他

情報系 情報系でない

(連携の方法・現在)実施(情報系n=132、非情報系n=276)

27

情報系学科では、教員を企業等に派遣する制度、人材の不足が問題視されている。

39% 36%

10%

23%

51%41%

9% 8%

21%

5%

35% 34%

6%16%

37%24%

6%1%

16%6%

0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%

100%

1.

学生をイン

ター

ンとして受け

入れてくれる企業

が少な

2.

インター

ンを

希望する学生が少

3.

教員を受け入

れてくる企業が少

4.

企業等での研

修を希望する教員

が少な

5.

教員を企業等

に派遣する派遣の

制度が学内にな

6.

教員を企業等

に派遣するだけの

人的資源が不足し

ている

7.

社会人向けの

コー

ス受講者が集

まらな

8.

社会人向けの

コー

スの講師が確

保できな

9財政支援がな

、社会人向け

コー

スの開設が難

しい

10.

その他

情報系 情報系でない

連携の障害(情報系n=132、非情報系n=276)

28

企業におけるFDに関する認知度(n=172)

大多数の企業がFDの取組を知らない。

17.4% 79.7% 2.9%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

知っていた 知らなかった 無回答

企業におけるFDに関する認知度(n=172)

御社では、大学におけるこのような動きをご存知でしたか。

29

大学の専門教育強化に向け、企業として出来る支援内容(複数回答可:n=70)

FD強化が必要だと考えている企業のうち、大学に対して実践的な研修の場を提供できる、

学生が持つべき能力に対する要求の明確化・具現化ができる、と考えている企業が多い。

64.3

57.1

37.1

21.4

20.0

14.3

12.9

7.1

5.7

0.0

5.7

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

専門教育を受ける学生への実践的研修の場の提供

学生が持つべき能力に対する要求の明確化・具体化

一定以上の能力を持つ学生に対する優先的な採用

実践的な専門教育を行うための社内IT人材の派遣

教育カリキュラムや教育現場のレビュー

実践的な専門教育を行うための教育コンテンツの提供

専門教育を担当する大学教員への実践的研修の場の提供

実践的な専門教育を行うための教育課程の設置・運営

実践的な専門教育を行うための資金の提供

その他

無回答

(%)

大学の専門教育強化に向け、企業として出来る支援内容

(複数回答可:n=70)

30

Q20 実践的な専門教育に支援できる内容

Q21 FS 売上高

特に売上高が3000億円を越える企業には、様々な支援内容が期待できる。

3%

31%

21%18%

28%

0%

24% 24%

16%

36%

0%

24%

17% 17%

41%

14%

29%

14%

0%

43%

7%

29%

14%

7%

43%

7%

21%

0%

7%

64%

0%

11%

0%

89%

0%

33%

0%

33% 33%

0%

25% 25%

50%

0%0%0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

1 

~100億円未満

2 

100~500億円未満

3 

500~1000億円未

4 

1000~3000億円

未満

5 

3000億円以上

Q21 FS 売上高

Q20-1学生が持つべき能力(知識、スキル等)に対する要求の明確化・具体化

Q20-2一定以上の能力を持つ学生に対する優先的な採用

Q20-3専門教育を受ける学生への実践的研修の場の提供

Q20-4専門教育を担当する大学教員への実践的研修の場の提供

Q20-5教育カリキュラムや教育現場のレビュー(大学を対象とした外部審査への協力)

Q20-6実践的な専門教育を行うための社内IT人材の派遣

Q20-7実践的な専門教育を行うための教育コンテンツ(PBL教材、関連資料等)の提供

Q20-8実践的な専門教育を行うための資金の提供

Q20-9実践的な専門教育を行うための教育課程の設置運営

Q20-10その他

実践的な専門教育に支援できる内容×売上高(n=172)

31

大学による学生の能力評価と企業による期待

企業が情報系学科・修士課程者に「企業の期待する能力」と「大学の評価」間の

比較大学が自ら評価しているほどには、全般に企業は学生に期待していない。

但し、「IT技術者としてすぐに実務を担当できる能力」については企業の期待が大学の評価を上回っている。

47

38

27

1519

0 3 3

61

43 40

1218

14

3 20.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0

70.0

ITリテラシー、問題解決

能力等の基礎能力

比較的短期間の訓練で実務が

担当できるようになる能力

「高度IT人材」候補者としての

潜在能力

IT技術者として就職後

すぐに実務を担当できる能力

特にITに関する能力は期待していな

IT分野以外の職業に就くことを前提

としている

その他

無回答

企業 大学

学部・修士課程新卒者に期待する能力の「企業の期待」と「大学の評価」の比較(複数回答可 企業n=172・大学n=409)

32

調査2:高度IT人材育成におけるFDの実態と今後のあり方

課題と提言

【課題】

「教員相互の授業参観」や「教員の企業や他大学への派遣」などの実施率が低く、実践的な教育能力の向上に向けて、FD活動は偏ったものとなっている。

また、産学連携を通じたFD活動に関しても、連携を進める上での課題として、情報系学科では「教員を企業等に派遣する制度がない」「教員を企業等に派遣するだけの人材が不足している」が上位を占めており、教員を企業や他大学などに派遣することの難しさが浮き彫りにされた。

一方、企業アンケートでは、FDの取り組みを知っている企業の割合は低く、企業によるFDの支援の機会を見逃してしまっている率が高いものと考えられる。

企業の期待と大学自らの学生評価のギャップを埋めることが必要である。

教育の「質」の評価手法が大学の現場でも悩みとなっている。これまでは研究への評価が中心で、論文数が評価基準だったことに伴う障害である。

【提言】

(対大学)教員を企業や他大学などへ派遣するしくみを創設し、教員が自らを高めてゆくための機会を設けることが重要である。

(対大学)また、産学が一体となってFDを進めるために、企業にFDへの取り組みを紹介し、また企業からの支援を受けやすくするため、一本化された窓口機能を充実化させることが重要である。

(対大学)教育成果を質的に評価するためには、学生による授業評価に加え、多面的に教育成果を評価するしくみが必要であろう。

(対IPA)高度IT人材育成iPedia等で産業界に大学におけるFDの取り組みを紹介する場を設定し、継続的に運営してゆくことが望まれる。

(対IPA)産学の連携の機会を創出し、産と学それぞれの評価のギャップを取り除くことが望まれる。

33

第4章

調査3:高度IT人材のディレクトリの実態と今後のあり方

34

調査3:高度IT人材のディレクトリの実態と今後のあり方

まとめ

様々な目的でDBが構築されており、その目的に沿って様々な形のDBが構築されている。また、DBの規模も様々であり、規模やDB作成の仕方によって、整備・運営コストも異なってくる。個別に見ると、既存のDBをベースに新たなDBを構築することにより、整備コストを抑えている事例や、自らのDBには人名と所属、プロフィールの

みを載せて、必要に応じて他機関のDBに飛ぶように設計し、初期投資や運営費を抑えている例など、夫々が工夫を凝らしていることが分かる。

設置者 NPO法人A B市産業振興財団 独立行政法人C 独立行政法人C・H地

域センター

独立行政法人D 独立行政法人D

ディレクトリ名 研究者データベース Kデータベース 研究者データベース 技術開発支援者データ

ベース

D1データベース D2データベース

設置の主な目的 中小企業が大学の研究

者を見出し共同研究等

の産学連携を行うこと

を支援すること

中小企業が人材を探す

のを支援すること、お

よび企業が発注先や受

注元を探すことを支援

すること

Cの研究者が、C内の

他の研究者を探索する

こと

主として自らが利用し、

企業と研究者のマッチ

ングを行うこと

研究者の求職を支援す

ること産学連携の橋渡し

規模 約40,000名 人材約150名企業約1200社

約3,000名 公的機関33機関人材約4,700名

研究機関約2200機関、

研究者約20万名、研究

課題約5.8万件

コスト 初期:2000万円運営:2000万円/年

初期:2400万円運営:数百万円/年

初期:1400万円運営:数人日/年

初期: -運営:100万円/年

初期:1億2400万円運営:6000万円/年

運営:3億円/年

特徴 ・理工農薬系の公開さ

れている学会の名簿と、

同大学の名簿を元に

データ収集・データを公開後に、

載せてほしくない人の

データを削除

・個人のデータは本人

が入力し更新も行う・企業データも基本的

には自分たちで登録・

更新を行うが、インタ

ーネットにアクセスで

きない小企業は紙媒体

で修正してもらってい

・データの殆どが、既

往のDBから移植した

もの・但し個人のプロフィ

ール等は個々人が入力

・更新する

・データベース本体に

は、人名と所属機関、

プロフィールのみを載

せている・プロフィールのキー

ワードからヒットする

人名をリストアップし

、リストアップされた

人名をクリックするこ

とにより、所属機関の

HPに飛ぶような設計

とされている

・求人情報は、求人を

している組織が登録す

るとともに、大学の

HP等を元に登録

・求職者情報は求職者

が自ら登録する

・データは、研究機関

等が自らの機関の研究

者データを含む各種

データをデータベース

D2側に提供すること

により収集・また研究者個人が自

ら登録・変更すること

も可能

35

調査3:高度IT人材のディレクトリの実態と今後のあり方

課題と提言

1

利用目的・利用形態の明確化

【課題】

人材ディレクトリの作成方法は、その利用目的・利用形態によって大きく異なる。例えば、IPA内部の業務だけで使うの

であれば、相当詳細な個人情報まで載せることが可能であるが、一般に公開するとすれば、個人情報の扱いに相当な配慮が必要となる。これは一例であるが、他にもその利用目的・利用形態によって人材ディレクトリの作り方は大きく違ってくる。

【IPAに対する提言】

このため、高度IT人材ディレクトリの作成に当たっては、内部の業務で使用するためのものか、一般に公開することを

前提とするのか等、まず最初にその利用目的・利用形態を明確にしておくことが必要となる。

既存データの活用

【課題】

作成の仕方にもよるが、一般に人材ディレクトリの開発には多大なコストがかかる。これを削減し、効率的に開発するためには、既存のデータを有効に活用する必要がある。例えば、独立行政法人Cにおける研究者データベース(独立行政法人C・研究者DB)は、既存の人事情報DBや特許DB論文DBを有効活用して開発コストを大幅に圧縮することに

成功している。

【IPAに対する提言】

このように既存データを有効活用することや、情報処理技術者試験のDBとデータを共有するなど、他のDBとデータを

共有化することにより開発コストを低減させることができる。

36

調査3:高度IT人材のディレクトリの実態と今後のあり方

課題と提言

2

メンテナンスコストの捻出

【課題】

一般に人材ディレクトリのメンテナンスには、開発コストと同規模程度のコストが掛かっており、このコストを捻出することができなければ、すぐにディレクトリは陳腐化し、使われなくなってしまう。一方で、B市産業振興財団による例など、メンテナンスはディレクトリへの掲載者に任せ、メンテナンスコストを大幅に圧縮(年間数百万円程度)している例や、独立行政法人Cの研究者DBのように、他のDBと連携させ、メンテナンスコストを年間数人日程度にまで削減している例

も見られる。

IPAに対する提言】

このため、人材ディレクトリの開発に当たっては、最初からメンテナンス計画を織り込み、メンテナンスの方法に見合ったメンテナンスコストを見込んで、予めその手当てをしておくことが重要となる。

信頼性の確保

【課題】

人材ディレクトリは、整備・運営主体、すなわち責任者が誰で、どのような使われ方がしているのかなどが明らかにされ、そこに掲載される人から信頼されるディレクトリでなければ掲載を拒否する人が増え、人材ディレクトリとしての機能を果たせなくなる。 また、他人によるデータの改竄なども徹底的に排除する必要がある。

IPAに対する提言】

このため、運営責任者名、連絡先、ディレクトリ設置の目的と使われ方などの情報を公開し、同時にディレクトリのセキュリティを高めて、掲載される人から信頼される人材ディレクトリとすることが必要となる。

37

調査3:高度IT人材のディレクトリの実態と今後のあり方

課題と提言

3

人材ディレクトリの有益性の検証

【課題】

一般に人材ディレクトリの整備・運営には、年間数千万円から数億円規模のコストが掛かる。このため、人材ディレクトリが有効に活用されており、確かに有益であることが検証されなければ、外からの批判に耐えられなくなる。例えば独立行政法人Dなどでは、アンケート調査により、人材ディレクトリがどの程度使われているかを検証している。

IPAに対する提言】

「使われる」人材ディレクトリを整備するとともに、利用者による評価を求めるなど、これが有効に使われていることを常に検証する必要がある。