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導電性カーボンフィラー 機能性カーボンフィラー研究会 副会長 前野 聖二 導電性カーボンフィラーは、絶縁性の高分子材料に導電性を付与する素材として、また、二次電池 や燃料電池に代表されるパワーソースの電子キャリアー材(導電パス)や触媒胆持体として、様々な エレクトロニクス関連品に用いられている。導電性フィラーとしては、種々知られているが、コスト および性能の点でバランスが良い導電性カーボンフィラーが広く用いられている。 本節では、導電性カーボンフィラー、特に導電性カーボンブラックの構造と特徴、導電性発現機構、 用途および各種導電性フィラーの種類と特徴を中心に説明する。 1.導電性カーボンブラックの導電機構 1.1 導電性カーボンブラックの構造 タイヤ補強用やゴム増量用途に用いられているオイルファーネス系カーボンブラック(汎用カーボ ンブラック)も高充填することにより、高分子材料の導電化が可能であるが、高分子マトリックスの 流動性や力学的特性に悪影響を及ぼさないよう、低添加量で導電性を付与できるカーボンブラックが 導電性カーボンブラックとして各社より販売されている。代表的なものとしては、ケッチェンブラッ クインターナショナル社のケッチェンブラックEC、電気化学工業社のアセチレンブラック(写真1) 等が有り、少量添加で導電回路を形成できるように、カーボンブラックの各種物性値をコントロール している。 写真1 導電性カーボンブラックの TEM 写真 導電性カーボンブラックは組成的に言えば、汎用カーボンブラック、炭素繊維、黒鉛(グラファイ ト)と同様炭素から構成されており、縮合ベンゼン環のπ電子の移動により導電性を発現させる。そ の構造は非常に複雑であり、縮合ベンゼン環が擬似グラファイト構造と呼ばれる結晶子として配列し、 その結晶子が集合して一次粒子を形成し、一次粒子が融着することによりアグリゲート構造をとり、 更にアグリゲート同志が Van der Waals 力により結合した構造体として存在している(図1) 1) 1.2 カーボンブラックによる導電性発現機構 カーボンブラックによる導電性発現機構は、パーコレーション理論 2)3) により説明ができる。カ ーボンブラックの充填率が少ない場合には電気伝導度は変化しないが、ある臨界充填率を超えたとこ ろでカーボンブラックが一定の間隔以下に配列した導電回路を形成し、急激な電気伝導度の上昇(抵 抗の下降)が生じ、その後一定値に達する(図2)。 パーコレーション理論によると、電気伝導度:σは、カーボンブラック濃度:xと臨界粒子濃度: と相関が有り、式―1で表わされ、tは1.80~1.95が実験的に求められている。 σ ∝ (x-x (式―1) ケッチェンブラックEC アセチレンブラック

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導電性カーボンフィラー

機能性カーボンフィラー研究会

副会長 前野 聖二

導電性カーボンフィラーは、絶縁性の高分子材料に導電性を付与する素材として、また、二次電池

や燃料電池に代表されるパワーソースの電子キャリアー材(導電パス)や触媒胆持体として、様々な

エレクトロニクス関連品に用いられている。導電性フィラーとしては、種々知られているが、コスト

および性能の点でバランスが良い導電性カーボンフィラーが広く用いられている。

本節では、導電性カーボンフィラー、特に導電性カーボンブラックの構造と特徴、導電性発現機構、

用途および各種導電性フィラーの種類と特徴を中心に説明する。

1.導電性カーボンブラックの導電機構

1.1 導電性カーボンブラックの構造

タイヤ補強用やゴム増量用途に用いられているオイルファーネス系カーボンブラック(汎用カーボ

ンブラック)も高充填することにより、高分子材料の導電化が可能であるが、高分子マトリックスの

流動性や力学的特性に悪影響を及ぼさないよう、低添加量で導電性を付与できるカーボンブラックが

導電性カーボンブラックとして各社より販売されている。代表的なものとしては、ケッチェンブラッ

クインターナショナル社のケッチェンブラックEC、電気化学工業社のアセチレンブラック(写真1)

等が有り、少量添加で導電回路を形成できるように、カーボンブラックの各種物性値をコントロール

している。

写真1 導電性カーボンブラックの TEM 写真

導電性カーボンブラックは組成的に言えば、汎用カーボンブラック、炭素繊維、黒鉛(グラファイ

ト)と同様炭素から構成されており、縮合ベンゼン環のπ電子の移動により導電性を発現させる。そ

の構造は非常に複雑であり、縮合ベンゼン環が擬似グラファイト構造と呼ばれる結晶子として配列し、

その結晶子が集合して一次粒子を形成し、一次粒子が融着することによりアグリゲート構造をとり、

更にアグリゲート同志が Van der Waals 力により結合した構造体として存在している(図1)1)。

1.2 カーボンブラックによる導電性発現機構

カーボンブラックによる導電性発現機構は、パーコレーション理論2)3)により説明ができる。カ

ーボンブラックの充填率が少ない場合には電気伝導度は変化しないが、ある臨界充填率を超えたとこ

ろでカーボンブラックが一定の間隔以下に配列した導電回路を形成し、急激な電気伝導度の上昇(抵

抗の下降)が生じ、その後一定値に達する(図2)。

パーコレーション理論によると、電気伝導度:σは、カーボンブラック濃度:xと臨界粒子濃度:

xcと相関が有り、式―1で表わされ、tは1.80~1.95が実験的に求められている。

σ ∝ (x-xc)t (式―1)

ケッチェンブラックEC アセチレンブラック

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図1 カーボンブラックの構造

図2 導電性発現機構(パーコレーション理論)

tはスケーリング指数、xはカーボンブラックの添加量により決定されるファクターであり、臨界

粒子濃度:xcのみが、カーボンブラックの構造と関係があるため、xcの低下(即ち、少量添加で高

導電性を発現させる)という観点から導電性カーボンブラックの特徴を考えることが重要となる。

xcを低下させるためには、いかに効率良く導電回路を形成させるかがポイントとなるため、導電

性カーボンブラックに要求される特徴として、以下の項目が上げられる。

1. 粒子径が小さいこと

2. 非表面積が大きいこと

3. 多孔性であること

4. アグリゲートが発達していること

5. ネットワーク構造を形成するようにアグリゲート同志が結合していること

1~3は、単位重量当たりの粒子密度の増加による導電回路の形成しやすさを、4~5は、元来保

有している導電回路の発達度合いを示している。

1.3 導電性カーボンブラックの物性

表14)に各種導電性カーボンブラックの物性値をHAF、SRFカーボン(代表的汎用カーボンブ

ラック)、グラファイト、活性炭との比較で示す。また、図34)には、高密度ポリエチレン(HDP

E)樹脂に各種カーボンブラックを充填した場合の体的固有抵抗率を示す。

σ ∝ (x-xc)t (式1)

σ :電気伝導度 X :カーボンブラック濃度 xc :臨界粒子濃度 t :スケーリング指数(1.80~1.95)

カーボン充填ポリスチレン樹脂の 導電性とカーボンブラック充填率

COOH HOOC

OH

OH

O CHO

OHC

O

凝集体

一次粒子 (30-50nm

結 晶

アグロメレート

アグリゲート (100-500nm)

ミクロ

マクロ

縮合ベンゼン環 疑似グラファイト構造

↓ 一次粒子

↓ アグリゲート

↓ アグロメレート

↓ 凝集体

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表1に示すDBP(ヂブチルフタレート)吸油量は、上述した1~5全てに関連する物性値であり、

図3に示すように一般的にDBP吸油量が高いカーボンブラックを用いる場合ほど少量添加で導電性

を付与できることが判る。

表1 各種導電性カーボンブラックの物性値

カーボンブラック DBP 吸油量

(ml/100g)

一次粒子径

(nm)

BET 比表面積

(m2/g)

多孔度

(%)

揮発分

(%)

灰分

(%)

Dmed

(nm)

ケッチェンブラック

EC600JD 495 34 1270 78 0.7 0.2 112

ケッチェンブラック EC 365 40 800 60 0.5 0.1 125

アセチレンブラック 212 43 76 22 0.4 0.05 300

バルカン XC-72 175 37 214 25 1.6 0.8 -

HAF カーボン 103 30 88 - - - -

SRF カーボン 65 75 28 - 0.3 0.2 -

グラファイト - 175 31 - 0.6 7.3 -

活性炭 - 9600 950 - 5.1 6.2 -

図3 各種カーボンブラックの添加量と体積抵抗率

導電性カーボンブラックの中でケッチェンブラックは、比表面積、多孔度ともに高いことが特徴的

であり、そのことより、上述した粒子密度の増加による導電回路の形成が支配的となって高導電性を

発現させていると考えることができる。表2には平均一次粒子径と多孔度の値から算出した単位重量

当たりの一次粒子数を、また写真2にはケッチェンブラックEC600JDおよびアセチレンブラッ

クを10重量%充填したポリカーボネート(PC)樹脂超薄片のTEM写真を示す。計算上、ケッチ

ェンブラックの粒子数はアセチレンブラックに比べ約6~8倍多く、またTEM写真からも、明らか

にケッチェンブラックの方が粒子数が多く観察され、結果として高導電性を示している。一方、アセ

チレンブラックは比表面積および多孔度共に低いにも拘わらず、DBP吸油量は比較的高い値を示し

ているため、上述した「導電性カーボンブラックに要求される特徴4、5」に示すような元来から保

有する導電回路が支配的となって導電性を発現させていると考えられている5)。

また、その他物性値として表面官能基に起因する揮発分、不純物重金属に起因する灰分も少ないこ

とが導電性カーボンブラックの特徴である。その理由は、揮発分や重金属により、用いるマトリック

ス樹脂の種類によっては、分解や反応が起こり、機械的強度に悪影響を及ぼすためである。アセチレ

ンブラックは純度99%以上のアセチレンガスの連続分解法により、また、ケッチェンブラックは不

純物の少ない原料油の不完全燃焼により生成するため、灰分や揮発分の少ない導電性カーボンブラッ

クとなる。

1

10

100

1000

10000

0 10 20 30 40 50 60

ケッチェンブラック EC600JD

ケッチェンブラックEC

アセチレンブラック

グラファイトSRFカーボン

<HDPE樹脂>

カ ー ボ ン 添 加 量 (wt%)

率 (

Ω・cm

)

活性炭

バルカン XC-72

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表2 導電性カーボンブラックの特性値

カーボンブラック 一次粒子数

(×1015 個/g)

ケッチェンブラックEC 110

ケッチェンブラック

EC600JD 38

アセチレンブラック 16

写真2 PC 樹脂中の導電性カーボンブラック

2. 導電性フィラーの種類と特徴

導電性フィラーには、表3に示すように、カーボン系をはじめ、金属系、金属酸化物系等様々なも

のがある。導電性カーボンブラックと比較した場合、メリット/デメリットがあり、用途や特性に応じ

た使い分けが製品開発をする上で重要となる。以下各種導電性フィラーの種類と特徴について詳述す

る。

2.1 金属系フィラー

繊維状、フレーク状、粉末状のフィラーが各社から市販されている。繊維状、フレーク状の金属フ

ィラーは導電性プラスチック成形体用に、粉末状フィラーは導電性塗料や接着剤の導電材として用い

られている。

金属系フィラーは、例えば銀や銅の場合、導電性は体積固有抵抗率で10-8Ω・cm であり、カー

ボンブラックの10-1Ω・cm と比べ高い。そのため、電磁波シールド材やプリント回路、ジャンパ

ー回路、スルーホール等、高導電性が要求される用途に用いられている。一方、比重(ex.ステンレス:

8)が高く、高充填する必要があるため、金属系フィラー充填プラスチック成形体は、導電性カーボン

ブラック(比重:2)充填プラスチックより重たくなる。高価な金、銀以外の金属は、酸化により導

電性が劣化する可能性がある。繊維状の場合、金型に傷を付けるなど、カーボンブラックと比較した

デメリットもある。

2.2 金属被覆系フィラー

絶縁性のマイカ、炭酸カルシウム、ガラスビーズなどの無機フィラーや炭素繊維にアルミニウムや

ニッケルを被覆したフィラーが知られている。無電解メッキなど複雑な工程により製造されるため高

価であり、被覆剤の剥離や酸化による性能低下の可能性があるというデメリットがある一方、金属と

同程度の高い導電性を示し、比重はベースとなる基材に従うため、金属系フィラーに比べ軽量であり、

カーボンブラックより高導電性という特徴がある。例えば、0.25ミクロン厚のニッケルを被覆し

た炭素繊維は、比重は2.7であり、10-5Ωcmの高導電性6)を有している。

ケッチェンブラック EC600JD 10wt%/PC体積抵抗率:3.9Ω・cm

アセチレンブラック 10wt%/PC 体積抵抗率:>108 Ω・cm

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表3 導電性フィラーの種類

分類 形状 導電性フィラー

カーボン系

カーボン粉末

炭素繊維

カーボンフレーク

炭素超短繊維

導電性カーボンブラック(ケッチェンブラックなど)

PAN 系、ピッチ系炭素繊維

膨張化黒鉛粉砕品

カーボンナノチューブ

金属系

粉末

フレーク

繊維

Ag、Ni、Cu、Zn、Al、ステンレス

Ag、Ni、Cu、Zn、Al

Cu、ステンレス、黄銅

金属酸化物系 粉末、針状 SnO2(Sb ドープ)、In2O3(Sn ドープ)、ZnO(Al ドープ)

金属被覆系 粉末、繊維

被覆材 : Ni,Al

ベースフィラー: マイカ、ガラスビーズ、ガラス繊維、炭素繊維、

炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化チタン

2.3 金属酸化物系フィラー

基材として、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズを用い、これら基材にアルミニウ

ム、酸化アンチモンをドープすることにより数10-3~102Ωcm の導電性をもたせている。表4に

金属酸化物系の導電性フィラーの種類と性状を示す。7)

黒色のカーボンブラックとは異なり白色あるいは淡色であるため、顔料により着色でき、また、酸

化スズ系導電性フィラーに塗料を塗布した基材は透明8)となる等、色調の点でカーボンブラックより

も有利となる。そのため、CRTのコート材など特殊な用途に使用可能となり、また、金属化物であ

るため、耐熱性、耐薬品性に優れるという特徴がある。一方、カーボンブラックと比べ高価(透明導

電膜用は数10万円/kg)である。ドープ材であるアンチモンは毒性が懸念される。などのデメリット

がある。

表4 金属酸化物系導電性フィラーの代表例

種類 組成

被覆/芯材

粉体抵抗

Ω・cm

μm 形状 粒径 比重 製造メーカー

酸化スズ SnO2(Sb) 1~3 灰青色 球状 0.02 6.6 三菱マテリアル

酸化亜鉛系 ZnO(Al)

ZnO(Al)

1~10

<200

白色

白色

球状

球状

0.20

<2

5.7

5.7

三井金属パストラン

白水化学

チタンブラック TiO(N) 104 黒色 球状 0.03 4.6 三菱マテリアル

酸化チタン系 SnO2(Sb)/TiO2 5~10 白色 球状 0.20 4.6 三菱マテリアル

酸化チタン系

(針状)

SnO2(Sb)/TiO2

SnO2(Sb)/TiO2

10~15

5~10

白色

白色

針状

針状

0.1×6

0.1×2

4.8

4.8

石原産業

石原産業

チタン酸カリ状

(針状)

SnO2(Sb)/K2O・

nTiO2

C/K2O・nTiO2

10~100

1~10

0.1~1

白色

白色

黒色

針状

針状

針状

0.5×20

0.5×20

0.5×20

4.5

4.5

3.5

大塚化学デントール

大塚化学デントール

大塚化学デントール

2.4 カーボンナノチューブ

炭素系導電性フィラーの中には、導電性カーボンブラックの他に、炭素繊維(PAN系、ピッチ系)、

黒鉛、カーボンナノチューブがある。近年、非常に注目されているカーボンナノチューブに関して詳

述する。

カーボンナノチューブは、縮合ベンゼン環からなるグラッフェンシートが円筒状にまるまったもの

(図4)であり、単層(SWCNT)、多層(MWCNT)ナノチューブおよび気相成長炭素繊維(V

GCF)が知られている(表5)。導電性フィラーとしての期待が高まっているものはMWCNTおよ

びVGCFであり、MWCNTでは、直径:2~50nm、長さ:1-10μmと非常に微細な繊維

状の物質である。

・アスペクト比が高いため、マトリックス樹脂中にネットワークを形成しやすい。

・微細であるため、単位重量当たりの本数が多い。

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ことより導電性カーボンブラックよりも少量で高分子材料に導電性を付与できる可能性がある。

写真3には、MWCNTの電子顕微鏡写真を示す。糸まり状に絡まった形態をしており、黒い粒子は、

カーボンナノチューブを生成させるための金属触媒である。導電性プラスチックスのフィラーとして

用いた場合、導電性カーボンブラックを分散させる一般的な分散方法では、この絡み合い(凝集)を

ほぐすことは困難であり、その結果期待した導電性が得られない。また、分散条件の微妙な違いによ

り、凝集/分散の度合いが変化し、最終製品の導電性が安定しない。樹脂の種類によっては、残存する

金属触媒により樹脂強度が低下する。 などの問題点がある。

上述したように導電性カーボンブラックの用途は多岐に渡っており、その求められる要求も年々向

上している。これら高度な要求に応えるためには、用途や分野に応じた導電性カーボンブラックの最

適化をはかる必要があり9)、導電性カーボンブラックメーカーとして弊社もその一翼を担うべく今後

の開発をおこなっていきたい。

表5 カーボンナノチューブの種類と製法

メーカー名 タイプ 製法

GSIクレオス MWCNT 気相合成法(CVD)

日機装 MWCNT 気相成長法(気相流動法・日機装法)

本荘ケミカル MWCNT アーク放電法

ハイペリオンキャタリシス MWCNT -

CNI(住友商事) SWCNT -

昭和電工 VGCF 気相法

<参考文献>

1)カーボンブラック便覧<第3版>,カーボンブラック協会,P-7(1995).

2)A.Bellamy, Conf. Int. Caoutch,Paris,#Ⅲ-3,1(1982).

3)A.I.Medalia,Rubber Chem.Tec.,59,432(1978).

4)接着の技術, 導電性カーボンブラック Vol29,No2 P-39 (2009).

5)カーボンブラック便覧<第3版>,カーボンブラック協会,P-550(1995).

ケッチェンブラック インターナショナル社 ケッチェンブラック カタログ

6)東邦テナックス(株)ホームページ

http://www.tohotenax.com/tenax/jp/products/mc.html

7)機能性フィラー総覧,フィラー研究会編,テクノネット社 P-20(2000)

8)石原産業(株)ホームページ「機能材料酸化チタン」

http://www.iskweb.co.jp/ISKWEB1-3-1-2-1.htm

9)久 英之,機能材料20(8),42(2000).

図4 金属酸化物系導電性フィラーの代表例 写真3 多層カーボンナノチューブ(MWCNT)