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中心市街地再生に向けて ~認定基本計画の取り組み~ 連 載 大分市の認定中心市街地活性化基本計画について 大分市都市計画部 都市計画課 中心市街地活性化担当班リーダー 専門員 高瀬 和夫 SHINTOSHI Vol.63 No.3 2009 77 1.はじめに 本市は、九州の東端、東九州軸の北部、瀬戸内海 の西端にあって、大分県の扇状県域の要に位置し、 九州でも有数の広い市域(約 501 km 2 )を有する人 口約 47 万人の中核市です。 中心市街地では、「大分駅付近連続立体交差事業」 「大分駅南土地区画整理事業」及び「庄の原佐野線等 関連街路事業」を三位一体の事業(大分駅周辺総合 整備事業)として総合的なまちづくりを展開中であ り、中心市街地にふさわしい都市環境の整備と情報 機能、交通結節点としてのターミナル機能といった 高次都市機能の集積を図り、21 世紀の新たな都市拠 点の形成を推進しています。 展開中の大分駅周辺総合整備事業 大分市都市計画マスタープラン(平成 16 年 12 月 策定・平成 20 年 5 月一部改定)では、大分駅を中心 として、大分駅北の既成市街地については、商業・ 業務機能の強化による拠点性を高めつつ、教育・文 化や観光、余暇等新たな機能の集積により都市の魅 力を向上させ、集客性のある中心商業・業務地を形 成する「駅北・商業業務中核都心」、大分駅南地区に ついては、文化交流機能や情報系業務機能、都市型 居住機能等の集積を図るとともに、緑豊かで先進的 な「駅南・情報文化新都心」と位置づけています。 また、湾岸拠点から中央通り~大分駅~シンボル ロードを結び、上野丘・都心の森に至る都心軸につ いては、都心の顔となるメインストリートとして、 植栽等による緑化や修景などによる「都心南北軸」 の形成を図ることとしています。 中心市街地の将来都市構造図 (大分市都市計画マスタープランより) 平成 19 年 10 月に行った市民アンケート調査では、 中心市街地が目指す方向としては、多様な都市機能 が集積し、緑豊かで歩いて暮らせる人間中心のまち づくりを期待されていることがうかがえました。 このようなことから、中心市街地の概況や旧基本

大分市の認定中心市街地活性化基本計画について - mlit.go.jp連 載 中心市街地の再生に向けて ~認定基本計画の取り組み~ 大分市の認定中心市街地活性化基本計画について

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  • 中心市街地の再生に向けて ~認定基本計画の取り組み~連 載

    大分市の認定中心市街地活性化基本計画について

    大分市都市計画部 都市計画課 中心市街地活性化担当班リーダー 専門員 高瀬 和夫

    SHINTOSHI Vol.63 No.3 2009 77

    1.はじめに本市は、九州の東端、東九州軸の北部、瀬戸内海

    の西端にあって、大分県の扇状県域の要に位置し、九州でも有数の広い市域(約 501 km2)を有する人口約 47 万人の中核市です。

    中心市街地では、「大分駅付近連続立体交差事業」「大分駅南土地区画整理事業」及び「庄の原佐野線等関連街路事業」を三位一体の事業(大分駅周辺総合整備事業)として総合的なまちづくりを展開中であり、中心市街地にふさわしい都市環境の整備と情報機能、交通結節点としてのターミナル機能といった高次都市機能の集積を図り、21 世紀の新たな都市拠点の形成を推進しています。

    展開中の大分駅周辺総合整備事業

    大分市都市計画マスタープラン(平成 16 年 12 月策定・平成 20 年 5 月一部改定)では、大分駅を中心として、大分駅北の既成市街地については、商業・業務機能の強化による拠点性を高めつつ、教育・文化や観光、余暇等新たな機能の集積により都市の魅力を向上させ、集客性のある中心商業・業務地を形

    成する「駅北・商業業務中核都心」、大分駅南地区については、文化交流機能や情報系業務機能、都市型居住機能等の集積を図るとともに、緑豊かで先進的な「駅南・情報文化新都心」と位置づけています。

    また、湾岸拠点から中央通り~大分駅~シンボルロードを結び、上野丘・都心の森に至る都心軸については、都心の顔となるメインストリートとして、植栽等による緑化や修景などによる「都心南北軸」の形成を図ることとしています。

    中心市街地の将来都市構造図(大分市都市計画マスタープランより)

    平成19年10月に行った市民アンケート調査では、中心市街地が目指す方向としては、多様な都市機能が集積し、緑豊かで歩いて暮らせる人間中心のまちづくりを期待されていることがうかがえました。

    このようなことから、中心市街地の概況や旧基本

  • 連 載

    78 Vol.63 No.3 2009 SHINTOSHI

    計画の検証、市民ニーズの把握などを基にして、中心市街地に蓄積されている歴史的・文化的資源、景観資源、社会資本や産業資源等の既存ストックを有効活用し、地域の創意工夫を活かしながら、地域が必要とする事業等について、総合的かつ一体的に推進するための基本計画を策定し、平成 20 年 7 月 9 日付けで国に認定されました。

    42.3%

    7.9%

    42.0%

    22.2%

    33.0%

    2.6%

    46.7%

    2.5%

    13.3%

    %0.05%0.0

    魅力ある商業機能を中心として、文化、福祉、業務

    など多様な都市機能が集積・連携した街(542)

    商業機能は郊外大型店や他都市に任せ、業務や観

    光など他の都市機能に主軸を移した街(101)

    高齢者をはじめとして誰もが安全快適に歩いて暮ら

    すことのできる人間中心の街(538)

    自家用車で行きやすく大規模駐車場を備えた郊外

    ショッピングセンターのような自動車中心の街(284)

    自分で運転しなくても鉄道やバスなどで行きやすい

    公共交通中心の街(423)

    コンクリートやガラスの高層建築物が建ち並ぶ近代

    的な街(33)

    高木の街路樹や植栽、公園、ベンチなどが設けられ

    た緑豊かで潤いのある街(598)

    その他(32)

    無回答(170)

    市民アンケート調査(複数回答)

    2.中心市街地の位置・区域計画期間を平成 20 年 7 月から平成 25 年 3 月まで

    の 4 年 9 ヶ月と設定し、その期間内に実施または着手可能な事業区域 145 ha を中心市街地に設定しました。

    3.基本方針・目標貿易都市で栄えた長い歴史と文化を有する商都・

    大分において、高齢社会や成熟社会到来を踏まえ、ますます個性化する市民の消費活動に対応した商業集積を充実させ、来街者の出会いや交流、ビジネス、体験、学習などの高次都市機能の集積などにおいても、官民協働で取り組みを行うために、本市の中心市街地活性化を支える基本コンセプトとして「あなたのライフスタイルを彩るまちへ」とし、それを補完するサブタイトルとして「個の贅(ぜい)がみつかるまち“復活する商都・おおいたの拠点づくり”」と設定しました。

    4.推進する主な事業(総事業数:57事業)

    (1)市街地の整備改善(16事業)・大分駅南土地区画整理事業ほか

    (2)都市福利施設の整備(1事業)・複合文化交流施設整備事業

    中心市街地の区域 大分市中心市街地活性化基本計画の体系

  • SHINTOSHI Vol.63 No.3 2009 79

    (3)まちなか居住の推進(再掲1事業)・大分駅南土地区画整理事業(再掲)

    (4)商業の活性化(27事業)・新大分第 6 ビルリノベーション事業・ 中央通りと連携した中心商業地の集客・回遊性

    向上とコミュニティ形成事業ほか(5)公共交通機関の利用者の利便の増進

    (14事業、再掲1事業含む)・自転車通行環境に関するモデル地区事業ほか

    新大分第 6ビルリノベーション事業

    中央通りと連携した中心商業地の集客・回遊性向上とコミュニティ形成事業

    5.おわりにこの認定基本計画をもとに、短期の認定期間内に

    実感ある活性化に結び付けていくためには、官民でさらに強力な推進体制を構築し、連続した事業実行を図るとともに、毎年のフォローアップを重ね、活性化の新規事業発掘なども行うことと併せて、まちなかの持続可能な魅力創出につながる取り組みも進めてまいります。

    (たかせ かずお)