14
内側開大式高位脛骨骨切り術における 外側ヒンジ部骨折の評価に関する検討 KKR北陸病院 整形外科 洋祐 小林尚史 第46回北陸リウマチ・関節研究会

内側開大式高位脛骨骨切り術における 外側ヒンジ部 …hokurikuriumachikansetsu.jp/wordpress/wp-content/uploads/...外側ヒンジ骨折(LHF) LHFの 正確な評価が重要

  • Upload
    others

  • View
    10

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: 内側開大式高位脛骨骨切り術における 外側ヒンジ部 …hokurikuriumachikansetsu.jp/wordpress/wp-content/uploads/...外側ヒンジ骨折(LHF) LHFの 正確な評価が重要

内側開大式高位脛骨骨切り術における

外側ヒンジ部骨折の評価に関する検討

KKR北陸病院 整形外科

島 洋祐 小林尚史

第46回北陸リウマチ・関節研究会

Page 2: 内側開大式高位脛骨骨切り術における 外側ヒンジ部 …hokurikuriumachikansetsu.jp/wordpress/wp-content/uploads/...外側ヒンジ骨折(LHF) LHFの 正確な評価が重要

外側ヒンジ骨折(LHF)

LHFの 正確な評価が重要

Takeuchi分類

TypeⅠは安定

TypeⅡ/Ⅲは不安定 • 開大部癒合遷延

• 矯正損失の可能性

内側開大式高位脛骨骨切り術(OWHTO)

の予後を左右する重要な合併症

Page 3: 内側開大式高位脛骨骨切り術における 外側ヒンジ部 …hokurikuriumachikansetsu.jp/wordpress/wp-content/uploads/...外側ヒンジ骨折(LHF) LHFの 正確な評価が重要

目的

OWHTO後のLHFに関して、

画像所見を既存の評価方法を用いて

詳細に検討すること

Page 4: 内側開大式高位脛骨骨切り術における 外側ヒンジ部 …hokurikuriumachikansetsu.jp/wordpress/wp-content/uploads/...外側ヒンジ骨折(LHF) LHFの 正確な評価が重要

対象

• 20例(男性_10例、女性_10例)

OWHTO単独施行(全例人工骨移植併用)

【除外】DLO、ACL再建術併用、半月板pull-out修復術併用

術後6MでMPRCTを撮像

TomoFix_5例、TriS_15例

• 平均年齢:66.5±12.4歳 (33-84歳)

Page 5: 内側開大式高位脛骨骨切り術における 外側ヒンジ部 …hokurikuriumachikansetsu.jp/wordpress/wp-content/uploads/...外側ヒンジ骨折(LHF) LHFの 正確な評価が重要

評価項目

年齢、BMI、開大幅

X-pで判断可能なLHF発生の有無

CTで判断可能なLHF発生の有無

LHFのTakeuchi分類

外側ヒンジの位置(Nakamura分類)

外側ヒンジ部癒合遷延の有無(術後6M)

第2骨切り面癒合遷延の有無(術後6M)

骨棘移植の有無

PTH製剤使用の有無

Nakamura分類

Page 6: 内側開大式高位脛骨骨切り術における 外側ヒンジ部 …hokurikuriumachikansetsu.jp/wordpress/wp-content/uploads/...外側ヒンジ骨折(LHF) LHFの 正確な評価が重要

結果

Nakamura 分類

LHF Takeuchi分類 合計

LHF typeⅡ/Ⅲの

発生率 %(case/合計)

外側ヒンジ部癒合遷延の 発生率

%(case/合計) 無し 有り TypeⅠ TypeⅡ TypeⅢ

B 0 1 0 1 0 1 100(1/1) 100(1/1) AM 0 0 0 0 0 0 0(0) 0(0) WM 0 1 0 1 0 1 100(1/1) 100(1/1) AL 1 6 6 0 0 7 0 (0/7) 42.9(3/7) WL 1 10 7 2 1 11 27.3(3/11) 27.3(3/11) 合計 2 18 13 4 1 20

18/20膝(90%)にLHF発生

※LHF発生率 20~79% (Takeuchi R et al.2012, 丸山ら 2016)

Page 7: 内側開大式高位脛骨骨切り術における 外側ヒンジ部 …hokurikuriumachikansetsu.jp/wordpress/wp-content/uploads/...外側ヒンジ骨折(LHF) LHFの 正確な評価が重要

結果

• Nakamura分類

– LHFではなく、ヒンジの部位(骨切り面の硬化した

線の合わさるところ)を術後6MのCTで判断するの

は非常に難しい!

Page 8: 内側開大式高位脛骨骨切り術における 外側ヒンジ部 …hokurikuriumachikansetsu.jp/wordpress/wp-content/uploads/...外側ヒンジ骨折(LHF) LHFの 正確な評価が重要

結果

Takeuchi分類 外側ヒンジ部癒合遷延

有り 無し

TypeⅠ 5 8

TypeⅡ 3 1

TypeⅢ 0 1

無し 0 2

LHFの有無

外側ヒンジ部癒合遷延

有り 無し

X-p, CT共に無し 0 2

X-p無し, CT有り 4 5

X-p, CT共に有り 4 5

TypeⅠでも5例(38%)に 外側ヒンジ部癒合遷延を 認めている

Page 9: 内側開大式高位脛骨骨切り術における 外側ヒンジ部 …hokurikuriumachikansetsu.jp/wordpress/wp-content/uploads/...外側ヒンジ骨折(LHF) LHFの 正確な評価が重要

TypeⅠ症例における検討

癒合遷延群(D群_5例)

vs.

遷延なし群(N群_8例)

• 年齢、BMI、開大幅

⇨ NS

• 骨棘移植・PTH製剤使用の有無 ⇨ NS

• 第2骨切り面の癒合遷延

⇨ P=0.0349

D群 > N群

Page 10: 内側開大式高位脛骨骨切り術における 外側ヒンジ部 …hokurikuriumachikansetsu.jp/wordpress/wp-content/uploads/...外側ヒンジ骨折(LHF) LHFの 正確な評価が重要

考察

LHFを含めた外側ヒンジ部の評価は

coronal面での評価がメイン

⇨ 限界がある

Sagittal, axial面を含めた三次元での評価

が必要

Page 11: 内側開大式高位脛骨骨切り術における 外側ヒンジ部 …hokurikuriumachikansetsu.jp/wordpress/wp-content/uploads/...外側ヒンジ骨折(LHF) LHFの 正確な評価が重要

Coronal面での評価

• MPRCTでLHFの存在を

Takeuchi分類を用いて評価

• Nakamura分類の判断は

難しく、汎用するには…

Page 12: 内側開大式高位脛骨骨切り術における 外側ヒンジ部 …hokurikuriumachikansetsu.jp/wordpress/wp-content/uploads/...外側ヒンジ骨折(LHF) LHFの 正確な評価が重要

Sagittal面での評価

• 第2骨切り面癒合遷延の予防

①骨切り面の密着

– 術中膝完全伸展位で固定

– 助手が脛骨粗面を圧迫する

②骨切り面の方向が重要

– メインの骨切り方向が決まったら、

それに沿うように第2の骨切りから

始める

Page 13: 内側開大式高位脛骨骨切り術における 外側ヒンジ部 …hokurikuriumachikansetsu.jp/wordpress/wp-content/uploads/...外側ヒンジ骨折(LHF) LHFの 正確な評価が重要

Axial面での評価

• 第2骨切り面の骨切り方向は

骨開大方向を規定する重要な因子

• 脛腓関節の位置には個人差があり、

術前に評価すべきでは?

Page 14: 内側開大式高位脛骨骨切り術における 外側ヒンジ部 …hokurikuriumachikansetsu.jp/wordpress/wp-content/uploads/...外側ヒンジ骨折(LHF) LHFの 正確な評価が重要

まとめ

OWHTOにおけるLHFの有無は術後成績を左右

する重要な問題となる。

術前後のX-pだけでなくMPRCTを用いた3次元的

なLHFや骨切り部の評価が必要である。

LHFを予防するため、基本に忠実で緻密な骨切り

手技の重要性を再認識すべきである。