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株式会社Mix-up 理学療法士 森本 義朗
栄養と介護予防
第10回松坂地区在宅栄養研究会 2015.2.20(fri)
介護予防
専門家というものは、より少ないものについて、さらに知識を増やしていく人のことであるという定義は、適切であり真実です。
メイヨー兄弟の格言集 2004
チームアプローチ
医師 理学療法士
作業療法士
薬剤師
管理栄養士
言語聴覚士 看護師
介護福祉士
歯科衛生士
社会福祉士
・医師と他の医療従事者との関係に差はなく多職種連携型より統合している ・各医療従事者の業務の境界は不明確 ・重要課題が抜け落ちず、高い成果を出すことができる、最も質の高い形態
臨床検査技師
チームアプローチの極意
相手を知る。
専門性志向
患者志向
職種構成志向
協働志向
チーム医療の4つの要素
『「チーム医療」の理念と現実』細田満和子著、日本看護協会出版会、2003年 『「チーム医療」とは何か』細田満和子著、日本看護協会出版会、2012年
PDCA Cycle
PLAN:改善行動計画の立案 DO:改善行動計画の実行 CHECK:改善行動計画の実行具合の確認とその効果の評価 ACT:改善の達成や次なる改善行動計画の立案)
患者のSpiral Upに繋がる
介護予防の定義と意義 介護予防とは「要介護状態の発生をできる限り防ぐ(遅らせる)こと、そして要介護状態にあってもその悪化をできる限り防ぐこと、さらには軽減を目指すこと」と定義される。 介護保険は高齢者の自立支援を目指しており、一方で国民自らの努力についても、介護保険法第4条(国民の努力及び義務)において、「国民は、自ら要介護状態となることを予防するため、 加齢に伴って生ずる心身の変化を自覚して常に健康の保持増進に努めるとともに、要介護状態となった場合においても、進んでリハビリテーションその他の適切な保健医療サービス及び福祉サ ービスを利用することにより、その有する能力の維持向上に努めるものとする」と規定されている。また、第 115 条 45(地域支援事業)において、「可能な限り、地域において自立した日常生活を営むことができるよう支援するために、地域支援事業を行うものとする」とされている。介護予防は、高齢者が可能な限り自立した日常生活を送り続けていけるような、地域づくりの視点が重要である。
介護予防マニュアル改訂版より抜粋
「介護予防」は、要介護状態の軽減や悪化の防止だけでなく、高齢者が地域で再び自立して生活することができるようにすることを目的に、要支援者に対し介護予防サービスを効果的に提供する予防給付と併せて、要支援・要介護状態等となる恐れのある高齢者を早期に把握し、水際で食い止める介護予防事業が重視されることとなった。
介護予防マニュアル改訂版より抜粋
栄養と介護予防
栄養改善に関する研究
体重減少・低体重が認められる対象者において、栄養改善プログラム参加前後で平均2.3% の体重増加、基本チェックリストでの評価結果の改善や主観的健康感の改善がみられた。 平成21年度老人保健事業推進費等補助金「予防給付及び介護給付における『栄養改善及び 栄養マネジメントサービス』の事業の評価・検証及び業務改善に資する調査研究事業」
全国83カ所の地域包括支援センターで把握された特定高齢者(平成22年度改正以後二次予防事業の対象者)のうちBMI18.5 未満の全1,070名において、栄養改善実施者のBMIが改善する割合は、非実施者に比べ1.49倍であった。 平成21年度老人保健事業推進費等補助金「介護予防事業等の効果に関する総合的評価・分析に関する研究」
栄養改善に関する研究
国際誌に発表された論文のレビューによると、BMI20未満の地域高齢者を対象にたんぱく質及びエネルギーを補給した介入研究では、15論文中、エネルギー摂取量は14論文、体重は13論文、身体機能は8論文で有意な改善が報告されていた。
杉山 2007, Stratton, 2005
栄養改善に関する研究
http://www.mna-elderly.com/forms/mini/mna_mini_japanese.pdf
A 過去3 ヶ月間で食欲不振、消化器系の問題、そしゃく・嚥下困難などで食事量が減少しましたか? B 過去3 ヶ月間で体重の減少がありましたか? C 自力で歩けますか? D 過去3 ヶ月間で精神的ストレスや急性疾患を経験しましたか? E 神経・精神的問題の有無 F1 BMI (kg/m2):体重(kg)÷身長(m)2 F2 ふくらはぎの周囲長(cm) : CC
MNA-SF 項目
S. Izawa et al: The nutritional status of frail elderly with care needs according to the mini-nutritional assessment. Clinical Nutrition (2006) 25, 962‒967
S. Izawa et al: The nutritional status of frail elderly with care needs according to the mini-nutritional assessment. Clinical Nutrition (2006) 25, 962‒967
山田 陽介. フレイルティ&サルコペニアと介護予防. 京府医大誌 121(10),535~547,2012.
Isao Kaneko et al: A Cinefluorographic Study of Hyoid Bone Movement During Deglutition.Vol. 95 (1992) No. 7 P 974-987,1139
舌骨の年齢による位置の違い
Isao Kaneko et al: A Cinefluorographic Study of Hyoid Bone Movement During Deglutition.Vol. 95 (1992) No. 7 P 974-987,1139
舌骨筋群
舌骨筋
舌骨上筋
舌骨下筋
顎二腹筋 茎突舌骨筋 顎舌骨筋 オトガイ舌骨筋
胸骨甲状筋 甲状舌骨筋 肩甲舌骨筋 甲状腺挙筋
フレイルとSarcopenia
フレイル(Frailty) Frailty = 虚弱、脆弱性
「高齢期になると様々な要因が関与し、生命活動に重要な役割を担っている各種臓器の予備能力が低下してしまい、体の内部環境のみならず外部環境の変化に適応する能力が低下し、健康障害(生活機能障害、施設入所、死亡など)を招きかねない」状態
Fried LP et al: Frailty in older adults: evidence for a phenotype. J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 56: M146-56, 2001.
サルコペニア(Sarcopenia)とは、骨格筋・筋肉(Sarco)が減少(penia)していること。狭義では加齢に伴う筋肉量の低下1)、つまり老年症候群のひとつ。筋肉量は30 歳ごろがピークであり、その後は加齢とともに低下する。
1)Baumgartner RN, et al. Epidemiology of sarcopenia among the elderly in New Mexico. Am J Epidemiol. 1998 ; 147 (8): 755-63.
Sarcopenia①
広義では、すべての原因による筋肉量と筋力の低下を意味する2)。70歳以下の高齢者の13-24%、80歳以上では50%以上に、Sarcopeniaを認めるという報告1)
1)Baumgartner RN, et al. Epidemiology of sarcopenia among the elderly in New Mexico. Am J Epidemiol. 1998 ; 147 (8): 755-63. 2)Cruz-Jentoft AJ, et al. Sarcopenia: European consensus on definition and diagnosis: Report of the European Working Group on Sarcopenia in Older People. Age Ageing. 2010 ; 39 (4): 412-23.
Sarcopenia②
Sarcopeniaの定義 ①筋肉量低下 若年の2標準偏差以下
②筋力低下 握力:男<30kg 女<20kg
③身体機能低下 歩行速度0.8m/s以下
A.J.Cruz-Jentoft et al: Sarcopenia: European consensus on definition and diagnosis. Age and Ageing 39: 412-423,2010
Sarcopenia 診断基準:① + ② or ③
Sarcopeniaの代替指標である骨格筋量に対する 運動介入効果に関するSystematic Review
・強度 :最大挙上重量(1RM)の 80% 以上 ・セット数・挙上回数 :2~3セット・8~12回 / セット ・頻度:週 3 回 ・期間:3 カ月以上
Motohiko Miyachi:Treatment indications for sarcopenia: A systematic review of exercise intervention effect Nippon Ronen Igakkai Zasshi 2011; 48: 51―54
サルコペニアの診断と治療, 鈴木隆雄 : 総合臨床
Sarcopenia高齢女性に対する運動効果とアミノ酸補充効果の検証
M. YAMADA, H. ARAI, K. YOSHIMURA, Y. KAJIWARA, T. SONODA, S. NISHIGUCHI, T. AOYAMA: NUTRITIONAL SUPPLEMENTATION DURING RESISTANCE TRAINING IMPROVED SKELETAL MUSCLE MASS IN COMMUNITY-DWELLING FRAIL OLDER ADULTS. The Journal of Frailty & Aging 1(2), 64-70, 2012
P:在宅虚弱高齢者に E:レジスタンストレーニング(週3回、3カ月)に ペムパル®アクティブを併用すると C:レジスタンストレーニング単独の場合と比較して O:筋肉量が増加する
結果 対照群(4.41→4.45kg/m2)と比較して介入群(4.62→4.87kg/m2)で有意に筋肉量が増加。その結果、サルコペニアの有病割合も介入群(65.7%→42.9%)で有意に低下。 これより筋トレと栄養剤の併用は筋肉量増加に有効。
IAIR リハビリ