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令和2年 (2020年) 1月26日 介護老人保健施設 (老健) における 救急搬送と看取りのあり方 令和元年度 船橋在宅医療ひまわりネットワーク実践発表会 医療法人社団ますお会 第2北総病院 1) 医療法人社団寿光会 介護老人保健施設 エスポワール市川 2) 医療法人社団よつ葉会 介護老人保健施設さかき光陽 3) 帝京大学大学院 公衆衛生学研究科 4) 白山 裕士 1)-4)

介護老人保健施設 老健 における 救急搬送と看取りのあり方...2020/02/06  · 令和2年(2020年) 1月26日 介護老人保健施設(老健) における 救急搬送と看取りのあり方

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  • 令和2年 (2020年) 1月26日

    介護老人保健施設 (老健) における

    救急搬送と看取りのあり方

    令和元年度船橋在宅医療ひまわりネットワーク実践発表会

    医療法人社団ますお会 第2北総病院 1)

    医療法人社団寿光会 介護老人保健施設エスポワール市川 2)

    医療法人社団よつ葉会 介護老人保健施設さかき光陽 3)

    帝京大学大学院公衆衛生学研究科 4)

    白山 裕士 1)-4)

  • 老健

    急性期 慢性期家族

    「なるべく自然に・・・」「本当はこのまま施設で・・・」

    「ぐったりしています」「食事がとれません」「施設では限界です」老衰? 老衰?

  • 老健

    急性期 慢性期家族

    「なるべく自然に・・・」「本当はこのまま施設で・・・」

    「ぐったりしています」「食事がとれません」「施設では限界です」老衰? 老衰?

    高齢社会白書(内閣府, 2012)

    65歳以上の91%

    延命のみを目的とした医療は行わず、自然にまかせてほしい

  • 自宅医療施設

    28%

    老健

    急性期 慢性期家族

    「なるべく自然に・・・」「本当はこのまま施設で・・・」

    「ぐったりしています」「食事がとれません」「施設では限界です」老衰? 老衰?

    最期を迎えたい場所

    病院で死亡自宅13%

    実際に亡くなる場所

    高齢社会白書(内閣府, 2012)

    65歳以上の91%

    延命のみを目的とした医療は行わず、自然にまかせてほしい

    55%

    75%

  • 住み慣れた自宅や介護施設など、国民が望む場所において看取りを

    医政指発0330第9号在宅医療に係る医療体制について (2012.3)平成30年度診療報酬改定の基本方針 (2017.11)

    施設救急

    老衰?高齢者施設からの救急搬送は年々増加

    伊藤ら,日臨救急医会誌 2016

  • 住み慣れた自宅や介護施設など、国民が望む場所において看取りを

    医政指発0330第9号在宅医療に係る医療体制について (2012.3)平成30年度診療報酬改定の基本方針 (2017.11)

    施設救急

    老衰?高齢者施設からの救急搬送は年々増加

    伊藤ら,日臨救急医会誌 2016

    全国の主要自治体の74消防機関を調査2017年12月, 毎日新聞調べ

    現場で蘇生処置を希望しないとの意思が⽰された

    全体の62%

  • 住み慣れた自宅や介護施設など、国民が望む場所において看取りを

    医政指発0330第9号在宅医療に係る医療体制について (2012.3)平成30年度診療報酬改定の基本方針 (2017.11)

    施設救急

    老衰?高齢者施設からの救急搬送は年々増加

    伊藤ら,日臨救急医会誌 2016

    全国の主要自治体の74消防機関を調査2017年12月, 毎日新聞調べ

    現場で蘇生処置を希望しないとの意思が⽰された

    全体の62%

    蘇生不要の意思を受けた場合の対応で「苦慮する」

    全体の81%

  • 住み慣れた自宅や介護施設など、国民が望む場所において看取りを

    医政指発0330第9号在宅医療に係る医療体制について (2012.3)平成30年度診療報酬改定の基本方針 (2017.11)

    施設救急

    老衰?高齢者施設からの救急搬送は年々増加

    伊藤ら,日臨救急医会誌 2016

    全国の主要自治体の74消防機関を調査2017年12月, 毎日新聞調べ

    現場で蘇生処置を希望しないとの意思が⽰された

    全体の62%

    蘇生不要の意思を受けた場合の対応で「苦慮する」

    全体の81%入所者本人の身体的負担や生活の質の面からは、終末期におけるケアの場の移行は適切ではない (Gozalo et al. NEJM 2011)

  • 老健 (介護老人保健施設) 特養 (介護老人福祉施設)

    基本的性格

    要介護高齢者にリハビリ等を提供し在宅復帰を目指す施設

    要介護高齢者のための生活施設(終の住処)

    100人あたり 常勤医師 1名、看護師 9名 嘱託医(非常勤1)名、看護師3人

    入所者年齢 80歳以上 81% 90歳以上 35% 80歳以上 83% 90歳以上 39%(厚労省 2016年)

  • 老健 (介護老人保健施設) 特養 (介護老人福祉施設)

    基本的性格

    要介護高齢者にリハビリ等を提供し在宅復帰を目指す施設

    要介護高齢者のための生活施設(終の住処)

    100人あたり 常勤医師 1名、看護師 9名 嘱託医(非常勤1)名、看護師3人

    入所者年齢 80歳以上 81% 90歳以上 35% 80歳以上 83% 90歳以上 39%

    看取りのニーズ「この施設で看取ってほしい」(厚労省 2016年)

  • 老健 (介護老人保健施設) 特養 (介護老人福祉施設)

    基本的性格

    要介護高齢者にリハビリ等を提供し在宅復帰を目指す施設

    要介護高齢者のための生活施設(終の住処)

    100人あたり 常勤医師 1名、看護師 9名 嘱託医(非常勤1)名、看護師3人

    入所者年齢 80歳以上 81% 90歳以上 35% 80歳以上 83% 90歳以上 39%

    看取りについての基本的な方針 平成29年度介護報酬改定検証・研究調査(厚労省委託調査)

    継続的な利用者について必要な時期になれば行うこともある

    28% 53%

    積極的に施設内看取りを行っている

    老健 (1,325施設)

    看取りのニーズ「この施設で看取ってほしい」(厚労省 2016年)

  • 老健 (介護老人保健施設) 特養 (介護老人福祉施設)

    基本的性格

    要介護高齢者にリハビリ等を提供し在宅復帰を目指す施設

    要介護高齢者のための生活施設(終の住処)

    100人あたり 常勤医師 1名、看護師 9名 嘱託医(非常勤1)名、看護師3人

    入所者年齢 80歳以上 81% 90歳以上 35% 80歳以上 83% 90歳以上 39%

    看取りについての基本的な方針 平成29年度介護報酬改定検証・研究調査(厚労省委託調査)

    継続的な利用者について必要な時期になれば行うこともある

    28% 53%

    積極的に施設内看取りを行っている

    老健 (1,325施設)

    看取りのニーズ「この施設で看取ってほしい」

    (厚労省 2016年)

    老健における看取り・救急搬送の量的実態

    ・救急搬送数

    ・看取り数

  • 老健施設に関すること 看取り・救急に関すること

    ・設置形態

    独立型

    診療所併設

    病院併設

    ・救急搬送数(過去1年間、入所100人あたり)

    ・看取り数 (同上)

    ・病院入院による退所数 (同上)

    ・ターミナルケア加算の算定有無

    調査項目

  • 調査

    観察研究(横断研究) 調査依頼 回答数

    質問紙による調査 175施設 64施設

    施設所在地 (n=64) 施設数 (%)

    千葉県 38 (59%)

    宮城県 9 (14%)

    東京都 6 (9%)

    埼玉県 5 (8%)

    神奈川県 2 (3%)

    福島県 2 (3%)

    茨城県 1 (2%)

    栃木県 1 (2%)

    設置形態 (n=64) 施設数 (%)

    独立型 42 (66%)

    病院併設 11 (17%)

    病院近隣 7 (11%)

    診療所併設 4 (6%)

    ターミナルケア加算 施設数 (%)

    算定あり 31 (48%)

    算定なし 33 (52%)

    回収率37%

    ※船橋市内 7施設

  • 診療所併設

    独立型 病院併設+近隣

    0

    20

    40

    60

    80

    設置形態

    救急搬送数

    ( 100床あたり

    )

    Kruskal-Wallis検定 p = 0.11

    0

    10

    20

    30

    看取り数

    ( 100床あたり

    )

    Kruskal-Wallis検定 p = 0.052(独立型とそれ以外 MNU検定 p = 0.04) (診療所併設とそれ以外 MNU検定 p = 0.039)

    診療所併設

    独立型 病院併設+近隣

  • Spearmanの順位相関係数 -0.52

    p < 0.001Spearmanの順位相関係数 -0.15

    p = 0.24

    救急搬送数

    ( 100床あたり

    )

    病院入院による退所数

    ( 100床あたり

    )

    看取り数 看取り数

  • Mann–WhitneyのU検定 p = 0.62

    加算あり 加算なし

    0

    20

    40

    60

    80

    ターミナルケア加算

    救急搬送数

    ( 100床あたり

    )

    Mann–WhitneyのU検定 p = 0.003

    加算あり 加算なし

    50

    100

    150

    ターミナルケア加算

    病院入院による退所数

    ( 100床あたり

    )

  • 看取りができる老健を増やしたい

    老健からの救急搬送を減らしたい

    変えたいこと

    今回の結果

    解決策立案

  • 「診療所併設」看取り多

    看取りができる老健を増やしたい

    「独立型老健」救急搬送多

    老健からの救急搬送を減らしたい

    変えたいこと

    今回の結果

    解決策立案

  • 「診療所併設」看取り多

    看取りができる老健を増やしたい

    「独立型老健」救急搬送多

    老健からの救急搬送を減らしたい

    変えたいこと

    1. 近隣の診療所・病院・介護施設・かかりつけ医との連携を強化

    2. 新設の「かかりつけ医連携薬剤調整加算」を活用

    3. 非常勤医の活用

    今回の結果

    解決策立案

  • 「診療所併設」看取り多

    看取りができる老健を増やしたい

    「独立型老健」救急搬送多

    老健からの救急搬送を減らしたい

    変えたいこと

    1. 近隣の診療所・病院・介護施設・かかりつけ医との連携を強化

    2. 新設の「かかりつけ医連携薬剤調整加算」を活用

    3. 非常勤医の活用

    今回の結果

    解決策立案

    「病院入院による退所が多い」 看取り 少

  • 「診療所併設」看取り多

    看取りができる老健を増やしたい

    「独立型老健」救急搬送多

    老健からの救急搬送を減らしたい

    変えたいこと

    1. 近隣の診療所・病院・介護施設・かかりつけ医との連携を強化

    2. 新設の「かかりつけ医連携薬剤調整加算」を活用

    3. 非常勤医の活用

    4. 入院となりそうな入所者を検討

    5. 入院となった入所者の事後フォローアップ

    6.「入所 or 退所前後訪問指導」を活用

    今回の結果

    解決策立案

    「病院入院による退所が多い」 看取り 少

  • 倫理的配慮・事業者(老健)に対する事業内容や対象件数に関する調査・人(試料・情報を含む)は対象としていない

    本研究の限界1. 関東・東北に所在する老健64施設のみを対象 (回収率37%)2.横断研究であり、因果の逆転に注意3. 看取りや救急搬送に影響を与えそうな以下項目は今回未収集

    近隣の医療資源

    入所者の疾患名や認知症有無

    母体法人グループの規模や経営方針

    施設長(管理医師)の考えや方針、年齢や専門科目

    看護管理者の看取りに対する姿勢