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開経偈/懺悔文/三帰礼文/三帰依文/三尊礼文 次 - Amagon目 次 開経偈/懺悔文/三帰礼文/三帰依文/三尊礼文 摩訶般若波羅蜜多心経/本尊上供回向文/四弘誓願文

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    曹洞宗勤行

            

    ○○寺

  • 目 

      

    開経偈/懺悔文/三帰礼文/三帰依文/三尊礼文

      

    摩訶般若波羅蜜多心経/本尊上供回向文/四弘誓願文

      

    大悲心陀羅尼/普門品偈/寿量品偈

      

    仏垂般涅槃略説教誡経/消災呪/十句観音経

      

    舎利礼文/甘露門/参同契/宝鏡三昧/修証義

      

    普回向/在家略回向/普勧坐禅儀/食事の偈

  • - 4 -

    開かい経きょう偈げ

    無む上じょう甚じん深じん微み妙みょう法ほう  

    百ひゃく

    千せん万まん劫ごう難なん遭そう遇ぐう

    我が今こん見けん聞もん得とく受じゅ持じ  

    願がん解げ如にょ来らい真しん実じつ義ぎ

  • - 5 -

    懺さん悔げ文もん

    我が昔しゃく所しょ造ぞう諸しょ悪あく業ごう  

    皆かい由ゆう無む始し貪とん瞋じん癡ち

    従じゅう身しん口く意い之し所しょ生しょ

    う  

    一いっ切さい我が今こん皆かい懺さん悔げ

  • - 6 -

    三さん帰き礼らい文もん

    自じー帰き依え仏ぶつ 

    当とう願がん衆しゅ生じょ

    う 

    体たい解げ大だい道どう 

    発ほつ無む上じょう意い

    自じー帰き依え法ほう 

    当とう願がん衆しゅ生じょ

    う 

    深じん入にゅう経きょう蔵ぞう 

    智ち慧え如にょ海かい

    自じー帰き依え僧そう 

    当とう願がん衆しゅ生じょ

    う 

    統とう理り大だい衆しゅ

    う 

    一いっ切さい無む礙げ

  • - 7 -

    三さん帰き依え文もん(三さん帰き戒かい文もん)

    南な無む帰き依え仏ぶつ 

    南な無む帰き依え法ほう 

    南な無む帰き依え僧そう

    帰き依え仏ぶつ無む上じょう尊そん 

    帰き依え法ほう離り塵じん尊そん 

    帰き依え僧そう和わ合ごう尊そん

    帰き依え仏ぶっ竟きょ

    う 

    帰き依え法ほう竟きょ

    う 

    帰き依え僧そう竟きょう

  • - 8 -

    三さん尊ぞん礼らい文もん

    南な無む大だい恩おん教きょう主しゅ本ほん師し釈しゃ迦か牟む尼に仏ぶつ

    南な無む高こう祖そ承じょう陽よう大だい師し

    南な無む太たい祖そ常じょう済さい大だい師し

    南な無む大だい慈ず大だい悲ひ哀あい愍みん摂しょう受じゅ

    生しょう生しょう世せ世せ値ち遇ぐう頂ちょう戴だい

  • - 9 -

    摩ま訶か般はん若にゃ波は羅ら蜜みっ多た心しん経ぎょう

    観かん自じー在ざい菩ぼー薩さー。行

    ぎょう

    深じん般はん若にゃー波はー羅らー蜜みー多たー時じー。照

    しょう

    見けん五ごー蘊おん皆かい空くう。

    度どー一いっ切さい苦くー厄やく。舎

    しゃー

    利りー子しー。色しき不ふー異いー空くう。空くう不ふー異いー色しき。色しき即そく是ぜー

    空くう。空くう即そく是ぜー色しき。受

    じゅー

    想そう行ぎょう識しき。亦やく復ぶー如にょー是ぜー。舎

    しゃー

    利りー子しー。是ぜー諸しょー

    法ほう空くう相そう。不ふー生しょう不ふー滅めつ。不ふー垢くー不ふー浄じょ

    う。不ふー増ぞう不ふー減げん。是ぜー故こー空くう

    中ちゅう。

    無むー色しき無むー受じゅー想そう行ぎょう識しき。無むー眼げん耳にー鼻びー舌ぜつ身しん意にー。無むー色しき声しょう香こう味みー

    触そく法ほう。無むー眼げん界かい乃ない至しー無むー意いー識しき界かい。無むー無むー明みょう亦やく無むー無むー明みょう尽じん。乃ない

  • - 10 -

    至しー無むー老ろう死しー。亦やく無むー老ろう死しー尽じん。無むー苦くー集しゅう滅めつ道どう。無むー智ちー亦やく無むー得とく。

    以いー無むー所しょー得とく故こー。菩ぼー提だい薩さっ埵たー。依えー般はん若にゃー波はー羅らー蜜みー多たー故こー。心しん無むー

    けー

    礙げー。無むー

    けー

    礙げー故こー。無むー有うー恐くー怖ふー。遠おん離りー一いっ切さい顚てん倒どう夢むー想そう。究くー竟ぎょう

    涅ねー槃はん。三さん世ぜー諸しょー仏ぶつ。依えー般はん若にゃー波はー羅らー蜜みー多たー故こー。得とく阿あー耨のく多たー羅らー三さん

    藐みゃく三さん菩ぼー提だい。故こー知ちー般はん若にゃー波は羅らー蜜みー多たー。是ぜー大だい神じん呪しゅー是ぜー大だい明みょう呪しゅ

    ー。

    是ぜー無むー上じょう呪しゅ

    ー。是ぜー無むー等とう等どう呪しゅ

    ー。能のう除じょ一いっ切さい苦くー。真しん実じつ不ふー虚こー。故こー

    説せつ般はん若にゃー波はー羅らー蜜みー多たー呪しゅ

    ー。即そく説せつ呪しゅー曰わつ。羯

    ぎゃー

    諦てい。羯

    ぎゃー

    諦てい。波はー羅らー羯ぎゃー

    諦てい。波はー羅らー僧そう羯ぎゃー諦てい。菩ぼー提じー薩そ婆わ訶かー。般はん若にゃー心しん経ぎょ

    う。

  • - 11 -

    本ほん尊ぞん上じょう供ぐ回え向こう文もん

    上じょう来らい、摩ま訶か般はん若にゃ波は羅ら蜜みっ多た心しん経ぎょ

    うを諷ふ誦じゅする功く徳どくは、大だい

    恩おん教きょう主しゅ本ほん師し釈しゃ迦か牟む尼に仏ぶつ、高こう祖そ承じょう陽よう大だい師し、太たい祖そ常じょう済さい大だい

    師しに供く養ようし奉

    たてまつり

    、無む上じょう仏ぶっ果か菩ぼ提だいを荘

    しょう

    厳ごんす。伏ふして願ねが

    わくは四し恩おん総すべて報ほうじ、三さん有ぬ斉ひとしく資たすけ、法ほっ界かいの有う情じょう

    と、同おなじく種しゅ智ちを円まどかにせんことを。

  • - 12 -

    冀こいねがう

    所ところは、家か門もん繁はん栄えい、子し孫そん長ちょう久きゅ

    う、災さい障しょう消しょう除じょ、諸しょ縁えん吉きち

    祥じょうな

    らんことを。

    十じー方ほー三さん世しー一いー切しー仏ふー

    諸しー尊そん菩ぶー薩さー摩もー訶こー薩さー

    摩もー訶こー般ほー若じゃ波ほー羅ろー密みー

         ﹇略三宝﹈

  • - 13 -

    四し弘ぐ誓せい願がん文もん

    衆しゅ生じょう無む辺へん誓せい願がん度ど  

    煩ぼん悩のう無む尽じん誓せい願がん断だん

    法ほう門もん無む量りょう誓せい願がん学がく  

    仏ぶつ道どう無む上じょう誓せい願がん成じょう

  • - 14 -

    大だい悲ひ心しん陀だ羅ら尼に(大だい悲ひ呪しゅ

    う)

    南な無む喝か囉ら怛たん那のう。哆と囉ら夜やー耶やー。南な無む阿お唎り耶やー。婆ぼ盧りょ羯きー帝ちー灤し

    囉らー耶やー。菩ふ提じ薩さ哆と婆ぼー耶やー。摩も訶こ薩さ哆と婆ぼー耶やー。摩もー訶こー迦きゃー

    尼に

    迦きゃー耶やー。唵えん。薩さー皤は囉ら罰はー曳えー数しゅう怛たん那のう怛とん写しゃ

    ー。南な無む悉し吉き

    りー

    埵と伊い

    蒙もー。阿お唎り耶やー。婆ぼ盧りょ吉きー帝ちー。室し仏ふ囉らー。楞りん駄とう婆ぼー。南なー無むー那のー

    囉らー。謹きん墀じー

    きー

    唎りー。摩もー訶こー皤ほー哆どー。沙

    しゃー

    咩みー薩さー婆ぼー。阿おー他とう豆じょー輸しゅー朋べん。

    阿おー遊しゅー孕いん。薩さー婆ぼー薩さー哆とー。那のー摩もー婆ぼー伽ぎゃ

    ー。摩もー罰はー特てー豆ちょ

    ー。怛とー姪じー他とー。

    唵えん。阿おー婆ぼー盧りょー

    。盧るー迦ぎゃー帝ちー。迦

    きゃー

    羅らー帝ちー。夷いー

    唎り摩もー訶こー。菩ふ提じ

  • - 15 -

    薩さー埵とー。薩さー婆ぼー薩さー婆ぼー。摩もー囉らー摩もー囉らー。摩もー

    きー

    摩もーきー

    。唎りー駄とー孕いん倶くー盧りょー

    倶くー盧りょ

    ー。羯けー蒙もー度とー盧りょー度とー盧りょ

    ー。罰ほー闍じゃー耶やー帝ちー。摩もー訶こー罰ほー闍じゃー耶やー帝ちー。陀とー

    囉らー陀とー囉らー。地ち唎り尼にー。室し仏ふ囉らー耶やー。遮

    しゃー

    囉ろー遮しゃー囉ろー。

    もーもー

    罰はー摩もー

    囉らー。穆ほー帝ちー隷りー。伊いー

    きー

    伊いーきー

    。室しー那のー室しー那のー。阿お囉ら

    さん

    仏ふ囉ら舎しゃー

    利りー。罰はー沙ざー罰はー

    ざん

    。仏ふ囉ら舎しゃー耶やー。呼くー盧りょー呼くー盧りょ

    ー。摩もー囉らー呼くー盧りょー呼くー

    盧りょー。きー

    唎りー婆しゃー囉ろー婆しゃー囉ろー。悉しー唎りー悉しー唎りー。蘇すー

    りょー

    蘇すーりょー

    。菩ふ提じ夜やー。

    菩ふ提じ夜やー。菩ふ駄ど夜やー菩ふ駄ど夜やー。弥みー帝ち唎り夜やー。那の囉ら謹きん墀じー。地ち唎り

    瑟しゅ尼に那のー。婆ほ夜や摩も那の。娑そ婆も訶こー。悉し陀ど夜やー。娑そ婆も訶こー。摩も訶こ

    悉し陀ど夜やー。娑そ婆も訶こー。悉し陀ど喩ゆー芸きー。室し皤ふ囉らー耶やー。娑そ婆も訶こー。那の

  • - 16 -

    囉ら謹きん墀じー。娑そ婆も訶こー。摩もー囉らー那のー囉らー娑そ婆も訶こー。悉し囉ら僧すー阿お穆も佉ぎゃー

    耶やー。娑そ婆もー訶こー。娑そ婆ぼ摩も訶こ悉し陀ど夜やー。娑そ婆も訶こー。者しゃ吉き囉らー阿お悉し

    陀どー夜やー。娑そ婆も訶こー。波ほ哆ど摩も羯ぎゃ悉し哆ど夜やー。娑そ婆も訶こー。那の羅ら謹きん墀じー

    皤はー伽ぎゃ羅ら耶やー。娑そ婆も訶こー。摩もー婆ほ利り勝しん羯ぎゃ羅ら耶やー娑そ婆も訶こー。

    南な無む喝か囉ら怛たん那のう哆と囉ら耶やー夜やー。南な無む阿お唎り耶やー。婆ぼ盧りょ吉きー帝ちー。爍し

    皤ふ囉らー夜やー。娑そ婆も訶こー。悉し殿て都どー漫も多ど囉ら。跋ほ陀ど耶やー。娑そー婆もー訶こー。

  • - 17 -

    普ふ門もん品ぼん偈げ

    世せー尊そん妙みょう相そう具ぐー 

    我がー今こん重じゅう問もん彼ぴー 

    仏ぶっ子しー何がー因いん縁ねん 

    名みょう

    為いー観かん世ぜー音おん

    具ぐー足そく妙みょう相そう尊そん 

    偈げー答とう無むー尽じん意にー 

    汝にょー

    聴ちょう観かん音のん行ぎょ

    う 

    善ぜん応のう諸しょー方ほう所しょー

    弘ぐー誓ぜい深じん如にょー海かい 

    歴りゃっ

    劫こう不ふー思しー議ぎー 

    侍じー多たー千せん億のく仏ぶつ 

    発ほっ大だい清しょう浄じょう願がん

    我がー為いー汝にょー略りゃく説せつ 

    聞もん名みょう及ぎゅう見けん身しん 

    心しん念ねん不ふー空くう過かー 

    能のう滅めっ諸しょー有うー苦くー

    仮けー使しー興こう害がい意いー 

    推すい落らく大だい火かー坑きょ

    う 

    念ねん彼ぴー観かん音のん力りき 

    火かー坑きょう変へん成じょう池ちー

    或わく漂ひょう流るー巨こー海かい 

    竜りゅう

    魚ぎょー諸しょー鬼きー難なん 

    念ねん彼ぴー観かん音のん力りき 

    波はー浪ろう不ふー能のう没もつ

    或わく在ざい須しゅー弥みー峰ぶー 

    為いー人にん所しょー推すい堕だー 

    念ねん彼ぴー観かん音のん力りき 

    如にょー

    日にち虚こー空くう住じゅう

  • - 18 -

    或わく被ひー悪あく人にん逐ちく 

    堕だー落らく金こん剛ごう山せん 

    念ねん彼ぴー観かん音のん力りき 

    不ふー能のう損そん一いち毛もう

    或わく値ちー怨おん賊ぞく繞にょ

    う 

    各かく執しゅう刀とう加かー害がい 

    念ねん彼ぴー観かん音のん力りき 

    咸げん即そく起きー慈じー心しん

    或わく遭そう王おう難なん苦くー 

    臨りん刑ぎょう欲よく寿じゅー終しゅ

    う 

    念ねん彼ぴー観かん音のん力りき 

    刀とう尋じん段だん段だん壊えー

    或わく囚しゅう禁きん枷かー鎖さー 

    手しゅー

    足そく被ひー杻ちゅう械かい 

    念ねん彼ぴー観かん音のん力りき 

    釈しゃく

    然ねん得とく解げー脱だつ

    呪しゅー詛そー諸しょー毒どく薬やく 

    所しょー

    欲よく害がい身しん者しゃ

    ー 

    念ねん彼ぴー観かん音のん力りき 

    還げん著じゃく於おー本ほん人にん

    或わく遇ぐう悪あく羅らー刹せつ 

    毒どく竜りゅう諸しょー鬼きー等とう 

    念ねん彼ぴー観かん音のん力りき 

    時じー悉しっ不ぷー敢かん害がい

    若にゃく悪あく獣じゅう囲いー繞にょ

    う 

    利りー牙げー爪そう可かー怖ふー 

    念ねん彼ぴー観かん音のん力りき 

    疾しっ走そう無むー辺へん方ぽう

    がん

    蛇じゃ及ぎゅう蝮ぶっ蠍かつ 

    気けー毒どく煙えん火かー燃ねん 

    念ねん彼ぴー観かん音のん力りき 

    尋じん声しょう自じー回えー去こー

    雲うん雷らい鼓くー掣せい電でん 

    降ごう雹ばく澍じゅー大だい雨うー 

    念ねん彼ぴー観かん音のん力りき 

    応おう時じー得とく消しょう散さん

  • - 19 -

    衆しゅー生じょう被ひー困こん厄やく 

    無むー量りょう苦くー逼ひっ身しん 

    観かん音のん妙みょう智ちー力りき 

    能のう救ぐー世せー間けん苦くー

    具ぐー足そく神じん通ずう力りき 

    広こう修しゅー智ちー方ほう便べん 

    十じっ方ぽう諸しょー国こく土どー 

    無むー刹せつ不ふー現げん身しん

    種しゅー種じゅー諸しょー悪あく趣しゅ

    ー 

    地じー獄ごく鬼きー畜ちく生しょ

    う 

    生しょう

    老ろう病びょう死しー苦くー 

    以いー漸ぜん悉しつ令りょう滅めつ

    真しん観かん清しょう浄じょう観かん 

    広こう大だい智ちー慧えー観かん 

    悲ひー観かん及ぎゅう慈じー観かん 

    常じょう

    願がん常じょう瞻せん仰ごう

    無むー垢くー清しょう浄じょう光こう 

    慧えー日にち破はー諸しょー闇あん 

    能のう伏ぶく災さい風ふう火かー 

    普ふー明みょう照しょう世せー間けん

    悲ひー体たい戒かい雷らい震しん 

    慈じー意いー妙みょう大だい雲うん 

    澍じゅー

    甘かん露ろー法ほう雨うー 

    滅めつ除じょー煩ぼん悩のう

    えん

    諍じょう訟しょう経きょう官かん処しょ

    ー 

    怖ふー畏いー軍ぐん陣じん中ちゅ

    う 

    念ねん彼ぴー観かん音のん力りき 

    衆しゅー

    怨おん悉しっ退たい散さん

    妙みょう音おん観かん世ぜー音おん 

    梵ぼん音のん海かい潮ちょう音おん 

    勝しょう

    彼ひー世せー間けん音のん 

    是ぜー故こー須しゅー常じょう念ねん

    念ねん念ねん勿もっ生しょう疑ぎー 

    観かん世ぜー音おん浄じょう聖しょ

    う 

    於おー苦くー悩のう死しー厄やく 

    能のう為いー作さー依えー怙こー

  • - 20 -

    具ぐー一いっ切さい功くー徳どく 

    慈じー眼げん視じー衆しゅー生じょ

    う 

    福ふく聚じゅー海かい無むー量りょ

    う 

    是ぜー故こー応おう頂ちょう礼らい

    爾にー時じー。持じー地じー菩ぼー薩さー。即そく従じゅう座ざー起きー。前ぜん白びゃく仏ぶつ言ごん。世せー尊そん。若

    にゃく

    有うー

    衆しゅー生じょ

    う。聞もん是ぜー観かん世ぜー音おん菩ぼー薩さー品ほん。自じー在ざい之しー業ごう。普ふー門もん示じー現げん。神じん

    通ずう力りき者しゃ

    ー。当とう知ちー是ぜー人にん。功くー徳どく不ふー少しょ

    う。仏ぶっ説せつ是ぜー普ふー門もん品ほん時じー。衆

    しゅー

    中ちゅう八はち万まん四しー千せん衆しゅー生じょ

    う。皆かい発ほっ無むー等とう等どう阿あー耨のく多たー羅らー三さん藐みゃく三さん菩ぼー提だい

    心しん。

  • - 21 -

    寿じゅ量りょう品ほん偈げ

    自じー我がー得とく仏ぶつ来らい 

    所しょー

    経きょう諸しょー劫こう数しゅ

    ー 

    無むー量りょう百ひゃく千せん万まん 

    億おく載さい阿あー僧そう祇ぎー

    常じょう説せっ法ぽう教きょう化けー 

    無むー数しゅー億おく衆しゅー生じょ

    う 

    令りょう

    入にゅう於おー仏ぶつ道どう 

    爾にー来らい無むー量りょう劫こう

    為いー度どー衆しゅー生じょう故こー 

    方ほう便べん現げん涅ねー槃はん 

    而にー実じつ不ふー滅めつ度どー 

    常じょう

    住じゅう此しー説せっ法ぽう

    我がー常じょう住じゅう於おー此しー 

    以いー諸しょー神じん通ずう力りき 

    令りょう

    顚てん倒どう衆しゅー生じょ

    う 

    雖すい近ごん而にー不ふー見けん

    衆しゅー見けん我がー滅めつ度どー 

    広こう供くー養よう舎しゃー利りー 

    咸げん皆かい懐えー恋れん慕ぼー 

    而にー生しょう渇かつ仰ごう心しん

    衆しゅー生じょう既きー信しん伏ぶく 

    質しつ直じき意いー柔にゅう軟なん 

    一いっ心しん欲よく見けん仏ぶつ 

    不ふー自じー惜しゃく身しん命みょう

    時じー我がー及ぎゅう衆しゅー僧そう 

    倶ぐー出しゅつ霊りょう鷲じゅー山せん 

    我がー時じー語ごー衆しゅー生じょ

    う 

    常じょう

    在ざい此しー不ふー滅めつ

    以いー方ほう便べん力りき故こー 

    現げん有ぬー滅めつ不ふー滅めつ 

    余よー国こく有うー衆しゅー生じょ

    う 

    恭くー敬ぎょう信しん楽ぎょう者しゃー

  • - 22 -

    我がー復ぶー於おー彼ひー中ちゅ

    う 

    為いー説せつ無むー上じょう法ほう 

    汝にょー

    等とう不ふー聞もん此しー 

    但たん謂にー我がー滅めつ度どー

    我がー見けん諸しょー衆しゅー生じょ

    う 

    没もつ在ざい於おー苦くー海かい 

    故こー不ふー為いー現げん身しん 

    令りょう

    其ごー生しょう渇かつ仰ごう

    因いん其ごー心しん恋れん慕ぼー 

    乃ない出しゅつ為いー説せっ法ぽう 

    神じん通ずう力りき如にょー是ぜー 

    於おー阿あー僧そう祇ぎー劫こう

    常じょう在ざい霊りょう鷲じゅー山せん 

    及ぎゅう

    余よー諸しょー住じゅう処しょ

    ー 

    衆しゅー

    生じょう見けん劫こう尽じん 

    大だい火かー所しょー焼しょう時じー

    我がー此しー土どー安あん穏のん 

    天てん人にん常じょう充じゅう満まん 

    園おん林りん諸しょー堂どう閣かく 

    種しゅー

    種じゅー宝ほう荘しょう厳ごん

    宝ほう樹じゅー多たー華けー果かー 

    衆しゅー

    生じょう所しょー游ゆう楽らく 

    諸しょー

    天てん撃きゃく天てん鼓くー 

    常じょう

    作さー衆しゅー伎ぎー楽がく

    雨うー曼まん陀だー羅らー華けー 

    散さん仏ぶつ及ぎゅう大だい衆しゅ

    ー 

    我がー浄じょう土どー不ふー毀きー 

    而にー衆しゅー見けん焼しょう尽じん

    憂うー怖ふー諸しょー苦くー悩のう 

    如にょー

    是ぜー悉しつ充じゅう満まん 

    是ぜー諸しょー罪ざい衆しゅー生じょ

    う 

    以いー悪あく業ごう因いん縁ねん

    過かー阿あー僧そう祇ぎー劫こう 

    不ふー聞もん三さん宝ぼう名みょ

    う 

    諸しょー

    有うー修しゅー功くー徳どく 

    柔にゅう

    和わー質しつ直じき者しゃー

  • - 23 -

    則そく皆かい見けん我がー身しん 

    在ざい此しー而にー説せっ法ぽう 

    或わく時じー為いー此しー衆しゅ

    ー 

    説せつ仏ぶつ寿じゅー無むー量りょう

    久くー乃ない見けん仏ぶっ者しゃ

    ー 

    為いー説せつ仏ぶつ難なん値ちー 

    我がー智ちー力りき如にょー是ぜー 

    慧えー光こう照しょう無むー量りょう

    寿じゅー命みょう無むー数しゅー劫こう 

    久くー修しゅー業ごう所しょー得とく 

    汝にょー

    等とー有うー智ちー者しゃ

    ー 

    勿もっ於とー此しー生しょう疑ぎー

    当とう断だん令りょう永よう尽じん 

    仏ぶつ語ごー実じつ不ふー虚こー 

    如にょー

    医いー善ぜん方ほう便べん 

    為いー治じー狂おう子しー故こー

    実じつ在ざい而にー言ごん死しー 

    無むー能のう説せっ虚こー妄もう 

    我がー亦やく為いー世せー父ぶー 

    救ぐー諸しょー苦くー患げん者しゃー

    為いー凡ぼん夫ぶー顚てん倒どう 

    実じつ在ざい而にー言ごん滅めつ 

    以いー常じょう見けん我がー故こー 

    而にー生しょう憍きょう恣しー心しん

    放ほう逸いつ著じゃく五ごー欲よく 

    堕だー於おー悪あく道どう中ちゅ

    う 

    我がー常じょう知ちー衆しゅー生じょ

    う 

    行ぎょう

    道どう不ふー行ぎょう道どう

    随ずい応おう所しょー可かー度どー 

    為いー説せつ種しゅー種じゅー法ほう 

    毎まい自じー作さー是ぜー念ねん 

    以いー何がー令りょう衆しゅー生じょう

    得とく入にゅう無むー上じょう道どう 

    速そく成じょう就じゅー仏ぶっ身しん

  • - 24 -

    仏ぶっ垂し般はつ涅ね槃はん略りゃく説せつ教きょう誡かい経きょう

    釈しゃ迦か牟む尼に仏ぶつ、初はじめに法ほう輪りんを転てんじて、阿あ若にゃ憍きょう陳ぢん如にょを度ど

    し、最さい後ごの説せっ法ぽうに須しゅ跋ばつ陀だ羅らを度どしたもう。応まさに度どす

    べき所ところの者ものは、皆みな已すでに度どし訖おわって、娑しゃ羅ら双そう樹じゅの間あいだに

    於おいて、将まさに涅ね槃はんに入いりたまわんとす。是この時とき中ちゅう夜や寂じゃく

    然ねんとして声こえ無なし、諸

    もろもろの

    弟で子しの為ために略りゃくして法ほう要ようを説と

    きたもう。

    汝なん等だち比び丘く、我わが滅めつ後ごに於おいて、当まさに波は羅ら提だい木もく叉しゃを尊そん重じゅう

    し珍ちん敬ぎょ

    うすべし。闇あんに明みょうに遇あい、貧びん人にんの宝たからを得うるが如ごと

  • - 25 -

    し。当まさに知しるべし、此これは即すなわち是これ汝なん等だちが大だい師しな

    り。若もし我われ世よに住じゅうするとも、此これに異ことなること無な

    けん。浄

    じょう

    戒かいを持たもたん者ものは、販ぼん売まい貿む易やくし、田でん宅たくを安あん置ち

    し、人にん民みん奴ぬ婢び畜ちく生しょ

    うを畜ちく養ようすることを得えざれ。一いっ切さいの

    種しゅ植じき及および諸

    もろもろの

    財ざい宝ほう、皆みな当まさに遠おん離りすること火か坑きょ

    うを避さくる

    が如ごとくすべし。草そう木もくを斬ざん伐ばつし、土どを墾たがやし地ちを掘ほり、

    湯とう薬やくを合ごう和わし、吉きっ凶くを占せん相そうし、星

    しょう

    宿しゅくを

    仰ごう観かんし、盈よう虚こ

    を推すい歩ほし、暦

    りゃく

    数しゅ算さん計けいすることを得えざれ、皆みな応おうぜざる

    所ところな

    り。身みを節せっし時ときに食じきして、清

    しょう

    浄じょうに

    して自じ活かつせ

  • - 26 -

    よ。世せ事じに参さん預よし、使し命みょ

    うを通つう知ちし、呪しゅ術じゅ

    つし、仙せん薬やく

    し、好よしみを貴き人にんに結むすび、親しん厚こう

    せつ

    慢まんすることを得えざ

    れ、皆みな作さに応おうぜず。当まさに自みずから端たん心しん正しょう念ねんにして度どを求もと

    むべし。瑕け疵しを包ほう蔵ぞうし、異いを顕あらわし衆しゅを惑まどわすことを

    得えざれ、四し供く養ように於おいて量りょうを知しり足たることを知しるべ

    し。趣わずかに供く事じを得えて、蓄ちく積しゃ

    くす応べからず。此これ即すなわち略りゃくし

    て持じ戒かいの相そうを説とく。戒かいは是これ正

    しょう

    順じゅん解げ脱だつの本もとなり、

    故かるがゆえに

    波は羅ら提だい木もく叉しゃと名なづく。此この戒かいに依え因いんすれば、

    諸もろもろの

    禅ぜん定じょう及および滅めっ苦くの智ち慧えを生しょうずることを得う。是この故ゆえ

  • - 27 -

    に比び丘く当まさに浄

    じょう

    戒かいを持たもって、毀き欠けつせしむること勿なかるべ

    し。若もし人ひと能よく浄

    じょう

    戒かいを持じすれば、是これ則すなわち能よく善ぜん法ぼう

    あり。若もし浄

    じょう

    戒かい無なければ、諸しょ善ぜんの功く徳どく皆みな生しょ

    うずること

    を得えず。是これを以もって当まさに知しるべし、戒かいは第だい一いち安あん穏のん功く

    徳どくの所しょ住じゅう処しょたることを。

    汝なん等だち比び丘く、已すでに能よく戒かいに住じゅうす。当まさに五ご根こんを制せいすべ

    し、放ほう逸いつにして五ご欲よくに入いらしむること勿なかれ。謦たとえば

    牧ぼく午ごの人ひとの杖つえを執とって、之これを視みせしめて、縦

    じゅう

    逸いつにし

    て人ひとの苗

    みょう

    稼けを犯おかさしめざるが如ごとし。若もし五ご根こんを縦

    ほしいまま

  • - 28 -

    にすれば、唯ただ五ご欲よくの将まさに涯がい畔はん無のうして制せいす可べからざるの

    みにあらず。亦また悪あく馬めの轡

    くつわづらを

    以もって制せいせざれば、将ま当さ

    に人ひとを牽ひきいて、坑

    きょう

    陥かんに墜おとさんとするが如ごとし。劫ごう害がいを

    被こうむるが如ごときんば、苦く一いっ世せに止とどまる。五ご根こんの賊ぞくは禍か

    殃おう累るい世せに及およぶ、害がいたること甚はなはだ重おもし、慎つつしまずんばあ

    るべからず。是この故ゆえに智ち者しゃは制せいして而しかも随したがわず。之これ

    を持じすること賊ぞくの如ごとくにして、縦

    じゅう

    逸いつならしめざれ。

    仮たとい令

    之これを縦

    ほしいままに

    するとも、皆みな亦また久ひさしからずして其その

    磨ま滅めつを見みん。此この五ご根こんは心しんを其その主しゅと為なす。是この故ゆえ

  • - 29 -

    に汝なん等だち当まさに好よく心しんを制せいすべし。心しんの畏おそるべきこと毒どく

    蛇じゃ、悪あく獣じゅ

    う、怨おん賊ぞくよりも甚はなはだし。大たい火かの越おつ逸いつなるも、

    未いまだ

    たとえと

    するに足たらず。譬たとえば人ひとあって手てに密みつ器きを

    執とって、動どう転てん軽きょう躁そうして、但ただ蜜みつのみを観みて、深じん坑きょ

    うを

    見みざるが如ごとし。又また狂おう象ぞうの鉤かぎなく、猿えん猴こうの樹きを得えて

    騰とう躍やく

    ちょう

    躑ちゃくし

    て、禁きん制ぜいすべきこと難かたきが如ごとし。当まさに急

    きゅう

    に之これを挫

    とりひしい

    て、放ほう逸いつならしむること無なかるべし。此こ

    の心しんを縦

    ほしいままに

    すれば、人ひとの善ぜん事じを喪うしのう。之これを一いっ処しょに制せい

    すれば、事こととして弁べんぜずということ無なし。是この故ゆえに

  • - 30 -

    比び丘く当まさに勤つとめて精

    しょう

    進じんして、汝なんじが心しんを折

    しゃく

    伏ぶくすべし。

    汝なん等だち比び丘く、諸

    もろもろの

    飲おん食じきを受うけては、当まさに薬くすりを服ふくするが

    如ごとくすべし。好よきに於おいても、悪あしきに於おいても、増ぞう減げんを

    生しょうず

    ること勿なかれ。趣わずかに身みを支ささうることを得えて以もって飢き

    渇かつを除のぞけ。蜂はちの華はなを採とるに、但ただ其その味あじわいのみを取とっ

    て、色しき香こうを損そんせざるが如ごとし。比び丘くも亦また爾しかなり、人ひと

    の供く養ようを受うけて趣わずかに自みずから悩のうを除のぞけ、多おおく求もとめて其その

    善ぜん心しんを壊えすることを得うること無なかれ。譬たとえば智ち者しゃの牛ご

    力りきを堪たうる所ところの多た少しょ

    うを籌

    ちゅう

    量りょうし

    て、分ぶんに過すごして以もって、

  • - 31 -

    其その力ちからを竭つくさしめざるが如ごとし。

    汝なん等だち比び丘く、昼ひるは則すなわち勤ごん心しんに善ぜん法ぼうを修しゅ習じゅ

    うして、時ときを失しっ

    せしむること無なかれ。初しょ夜やにも後ご夜やにも亦また廃はいするこ

    と有あること勿なかれ。中

    ちゅう

    夜やに誦じゅ経きょ

    うして以もって自みずから消

    しょう

    息そくせ

    よ。睡すい眠みんの因いん縁ねんを以もって一いっ生しょう空むなしく過すごして所しょ得とくなから

    しむること無なかれ。当まさに無む常じょ

    うの火ひの諸

    もろもろの

    世せ間けんを焼やくこ

    とを念ねんじて、早はやく自じ度どを求もとむべし。睡すい眠みんすること勿なか

    れ、諸

    もろもろの

    煩ぼん悩のうの賊ぞく、常つねに伺

    うかが

    って人ひとを殺ころすこと、怨おん家け

    よりも甚はなはだし。安いずくんぞ睡すい眠みんして自みずから警

    きょう

    寤ごせざる可べけ

  • - 32 -

    んや。煩ぼん悩のうの毒どく蛇じゃ、眠ねむって汝なんじが心むねに在あり、譬たとえば黒こく

    がん

    の汝なんじが室しつに在あって眠ねむるが如ごとし。当まさに持じ戒かいの鉤かぎを以もって早はや

    く之これを屏

    びょう

    除じょすべし。睡すい蛇じゃ既すでに出いでなば乃すなわち安あん眠みんすべ

    し。出いでざるに而しかも眠ねむるは是これ無む慙ざんの人ひとなり。慙ざん恥ち

    の服ふくは諸

    もろもろの

    荘しょう

    厳ごんに於おいて最もっとも第だい一いちなりとす。慙ざんは鉄てっ鉤こう

    の如ごとく、能よく人ひとの非ひ法ほうを制せいす。是この故ゆえに比び丘く常つねに当まき

    に慙ざん恥ちすべし、暫しばらくも替すつることを得うること勿なかれ。

    若もし慙ざん恥ちを離りすれば、則すなわち諸

    もろもろの

    功く徳どくを失しっす。有う愧ぎの

    人ひとは則すなわち善ぜん法ぼうあり。若もし無む愧ぎの者ものは諸

    もろもろの

    禽きん獣じゅ

    うと相あい異こと

  • - 33 -

    なること無なけん。

    汝なん等だち比び丘く、若もし人ひとあり来きたって節せつ節せつに支し解げするとも、

    当まさに自みずから心しんを摂おさめて瞋しん恨ごんせしむること無なかるべし。

    亦また当まさに口くちを護まもるべし、悪あく言ごんを出いだすこと勿なかれ。若もし

    恚い心しんを縦

    ほしいままに

    すれば、則すなわち自みずから道どうを妨さまたげ、功く徳どくの利りを

    失しっす。忍にんの徳とくたること持じ戒かい苦く行ぎょ

    うも及およぶこと能あたわざる

    所ところな

    り。能よく忍にんを行ぎょうずる者ものは、乃すなわち名なづけて有う力りきの

    大だい人にんと為なすべし。若もし其それ悪お罵めの毒どくを歓かん喜ぎし忍にん受じゅし

    て、甘かん露ろを飲のむが如ごとくすること能あたわざるものは、入

    にゅう

  • - 34 -

    道どう智ち慧えの人ひとと名なづけず。所ゆ以えは何いかんとなれば、瞋しん恚に

    の害がいは、則すなわち、諸

    もろもろの

    善ぜん法ぼうを破やぶり、好こう名みょう聞もんを壊えす、今こん

    世ぜ後ご世せの人ひと、見みんことを喜ねがわず。当まさに知しるべし、瞋しん

    心じんは猛

    みょう

    火かよりも甚はなはだし。常つねに当まさに防ぼう護ごして、入いるこ

    とを得えせしむること勿なかるべし。功く徳どくを劫かすむるの賊ぞくは

    瞋しん恚にに過すぎたるは無なし。白

    びゃく

    衣え受じゅ欲よく非ひ行ぎょう動どうの人ひと、法ほうと

    して自みずから制せいすること無なきすら、瞋しん猶なお恕なだむべし。出

    しゅっ

    家け行ぎょう道どう無む欲よくの人ひとにして、而しかも瞋しん恚にを懐いだけるは甚はなはだ不ふ

    可かなり。譬たとえば清

    しょう

    涼りょうの

    雲くもの中なかに霹

    びゃく

    靂りゃく火ひを起おこすは、所しょ

  • - 35 -

    応おうに非あらざるが如ごとし。

    汝なん等だち比び丘く、当まさに自みずから頭こうべを摩なづべし。已すでに飾しき好こうを捨すて

    て、壊え色じきの衣ころもを着ちゃくし、応おう器きを執しゅ持じして、乞こつを以もって自じ

    活かつす、自じ見けん是かくの如ごとし。若もし憍

    きょう

    慢まん起おこらば、当まさに疾はやく之これ

    を滅めっすべし。憍

    きょう

    慢まんを増ぞう長ちょ

    うするは、尚なおお世せ俗ぞく白びゃく衣えの宜よろ

    しき所ところに非あらず。何いかに況いわんや出

    しゅっ

    家け入にゅう道どうの人ひと、解げ脱だつの為ため

    めの故ゆえに、自みずから其その身みを降くだして而しかも乞こつを行ぎょうずるをや。

    汝なん等だち比び丘く、諂てん曲ごくの心しんは道どうと相そう違いす。是この故ゆえに宜よろしく

    応まさに其その心しんを質しつ直じきにすべし。当まさに知しるべし、諂てん曲ごくは

  • - 36 -

    但ただ欺ご誑おうを為なすことを。入

    にゅう

    道どうの人ひとは則すなわち是この処

    ことわりな

    し。是この故ゆえに汝なん等だち宜よろしく応まさに端たん心しんにして質しつ直じきを以もって

    本ほんと為なすべし。

    汝なん等だち比び丘く、当まさに知しるべし、多た欲よくの人ひとは利りを求もとむるこ

    と多おおきが故ゆえに苦く悩のうも亦また多おおし。少

    しょう

    欲よくの人ひとは無む求ぐ無む欲よく

    なれば則すなわち此この患

    うれい

    無なし、直ただ

    ち爾に少

    しょう

    欲よくすら尚なお応まさに修しゅ

    習じゅうす

    べし。何いかに況いわんや、少

    しょう

    欲よくの能よく諸

    もろもろの

    功く徳どくを生しょうず

    るをや。少

    しょう

    欲よくの人ひとは則すなわち諂てん曲ごくして以もって人ひとの意こころを求もとむ

    ること無なし。亦ま復た諸しょ根こんの為ために牽ひかれず。少

    しょう

    欲よくを行ぎょうず

  • - 37 -

    る者ものは、心

    こころ

    則すなわち

    坦たん然ねんとして憂う畏いする所

    ところ

    無なし。事ことに触ふ

    れて余あまり有あり、常つねに足たらざること無なし。少

    しょう

    欲よくある者もの

    は則すなわち涅ね槃はんあり。是これを少

    しょう

    欲よくと名なづく。

    汝なん等だち比び丘く、若もし諸

    もろもろの

    苦く悩のうを脱だっせんと欲ほっせば、当まさに知ち

    足そくを観かんずべし。知ち足そくの法ほうは即すなわち是これ富ふ楽らく安あん穏のんの処ところな

    り。知ち足そくの人ひとは地ち上じょ

    うに臥ふすと雖いえども、猶なお安あん楽らくなりと

    す。不ふ知ち足そくの者ものは、天てん堂どうに処しょすと雖いえども亦また意こころに称かなわ

    ず。不ふ知ち足そくの者ものは富とめりと雖いえども、而しかも貧まずしし。知ち足そく

    の人ひとは貧まずしと雖いえども而しかも富とめり。不ふ知ち足そくの者ものは常つねに五ご

  • - 38 -

    欲よくの為ために牽ひかれて。知ち足そくの者ものの為ために憐れん愍みんせら

    る。是これを知ち足そくと名なづく。

    汝なん等だち比び丘く、寂

    じゃく

    静じょう無む為いの安あん楽らくを求もとめんと欲ほっせば、当まさに

    かい

    鬧にょうを

    離はなれて独どく処しょに閑げん居ごすべし。静

    じょう

    処しょの人ひとは、帝たい釈しゃく

    諸しょ天てんの共ともに敬

    きょう

    重じゅうす

    る所ところなり。是この故ゆえに当まさに己こ衆しゅ他た衆しゅ

    を捨すてて、空くう閑げんに独どく処しょして、滅めっ苦くの本ほんを思おもうべし。

    若もし衆しゅを楽ねごう者ものは則すなわち衆しゅ悩のうを受うく、譬たとえば大だい樹じゅの衆しゅ

    鳥ちょう之これに集あつまれば、則すなわち枯こ折せつの患うれいあるが如ごとし。世せ間けんの

    縛ばく著じゃ

    くは衆しゅ苦くに没ぼっす。譬たとえば老ろう象ぞうの泥でいに溺おぼれて、自みずから

  • - 39 -

    出いづること能あたわざるが如ごとし。是これを遠おん離りと名なづく。

    汝なん等だち比び丘く、若もし勤つとめて精

    しょう

    進じんすれば、則すなわち事こととして難かた

    き者ものなし。是この故ゆえに汝なん等だち当まさに勤つとめて精

    しょう

    進じんすべし。譬たと

    えば少

    しょう

    水すいの常つねに流ながれて、則すなわち能よく石いしを穿うがつが如ごとし。

    若もし行

    ぎょう

    者じゃの心

    こころ

    数しば々しば懈げ廃はいすれば、譬たとえば火ひを鑚きるに未いま

    だ熱あつからずして而しかも息やめば、火ひを得えんと欲ほっすと雖

    いえど

    も、火ひを得うべきこと難がたきが如ごとし。是これを精

    しょう

    進じんと名なづ

    く。

    汝なん等だち比び丘く、善ぜん知ち識しきを求もとめ善ぜん護ご助じょを求もとむることは、不ふ

  • - 40 -

    忘もう念ねんに如しくは無なし。若もし不ふ忘もう念ねんある者ものは、諸

    もろもろの

    煩ぼん悩のう

    の賊ぞく、則すなわち入いること能あたわず。是この故ゆえに汝なん等だち常つねに当まさに

    念ねんを摂おさめて心むねに在おくべし。若もし念ねんを失しっする者ものは則すなわち

    諸もろもろの

    功く徳どくを失しっす。若もし念ねん力りき堅けん強ごうなれば、五ご欲よくの賊ぞくの

    中なかに入いると雖いえども、為ために害がいせられず。譬たとえば鎧よろいを著き

    て陣じんに入いれば、則すなわち畏おそるる所ところなきが如ごとし。是これを不ふ

    忘もう念ねんと名なづく。

    汝なん等だち比び丘く、若もし念ねんを摂おさむる者ものは心

    こころ

    則すなわち

    定じょうに在あり。心

    こころ

    定じょうに

    在あるが故ゆえに能よく世せ間けん生しょう滅めつの法ほっ相そうを知しる。是この故ゆえ

  • - 41 -

    に汝なん等だち常つねに当まさに精

    しょう

    進じんして、諸

    もろもろの

    定じょうを修しゅ習じゅ

    うすべし。若も

    し定じょうを得うる者ものは心

    こころ

    則すなわち

    散さんぜず。譬たとえば水みずを惜おしめる家いえ

    の、善よく提てい塘とうを治じするが如ごとし。行

    ぎょう

    者じゃも亦また爾しかなり、

    智ち慧えの水みずの為ための故ゆえに、善よく禅ぜん定じょ

    うを修しゅして漏ろう失しつせざ

    らしむ。是これを名なづけて定じょうと為なす。

    汝なん等だち比び丘く、若もし智ち慧えあれば則すなわち貪とん著じゃ

    くなし。常つねに自みずから

    省しょう察さつして失しつあらしめざれ。是これ則すなわち我わが法ほう中ちゅ

    うに於おいて

    能よく解げ脱だつを得う。若もし爾しからざる者ものは、既すでに道どう人にんに非あら

    ず、又また白

    びゃく

    衣えに非あらず、名なづくる所ところなし。実じっ智ち慧えの者もの

  • - 42 -

    は、則すなわち是これ老ろう病びょう死し海かいを度わたる堅けん牢ろうの船ふねなり、亦また是こ

    れ無む明みょう黒こく暗あんの大だい明みょう灯とうなり、一いっ切さい病びょう者しゃの良

    りょう

    薬やくなり、煩ぼん

    悩のうの樹きを伐きるの利り斧ふなり。是この故ゆえに汝なん等だち、当まさに聞もん思し

    修しゅの慧えを以もって、而しかも自みずから増ぞう益やくすべし。若もし人ひと智ち慧えの

    照しょうあ

    れば、是これ肉にく眼げんなりと雖いえども、而しかも是これ明

    みょう

    見けんの人ひと

    なり。是これを智ち慧えと名なづく。

    汝なん等だち比び丘く、若もし種しゅ種じゅの戯け論ろんは其その心

    こころ

    則すなわち

    乱みだる。復また

    出しゅっ家けすと雖いえども、猶なお未いまだ得とく脱だつせず。是この故ゆえに比び丘く当まさ

    に急

    すみやかに

    乱らん心しん戯け論ろんを捨しゃ離りすべし。若もし汝

    なんじ

    寂じゃく滅めつの楽らくを得え

  • - 43 -

    んと欲ほっせば、唯ただ当まさに善よく戯け論ろんの患とがを滅めっすべし。是これ

    を不ふ戯け論ろんと名なづく。

    汝なん等だち比び丘く、諸

    もろもろの

    功く徳どくに於おいて、常つねに当まさに一いっ心しんに諸

    もろもろの

    放ほう

    逸いつを捨すつること怨おん賊ぞくを離りするが如ごとくすべし。大だい悲ひ世せ

    尊そん所しょ説せつの利り益やくは、皆みな已すでに究く竟きょ

    うす。汝なん等だち但ただ将まさに勤つとめ

    て之これを行ぎょうずべし。若もしは山せん間げん、若もしは空くう沢たくの中なかに於おい

    ても、若もしは樹じゅ下げ、閑げん処しょ、静

    じょう

    室しつに在あっても、所しょ受じゅの

    法ほうを念ねんじて忘もう失しつせしむること勿なかれ。常つねに当まさに自みずから勉つと

    めて精

    しょう

    進じんして之これを修しゅすべし。為なすこと無のうして空むなし

  • - 44 -

    く死しせば、後のちに悔くいあることを致いたさん。我われは良

    りょう

    医いの

    病やまいを

    知しって薬くすりを説とくが如ごとし、服ふくすと服ふくせざるとは医いの

    咎とがに非あらず。又また善よく導みちびくものの、人ひとを善ぜん道どうに導みちびく

    が如ごとし、之これを聞きいて行ゆかざるは、導みちびくものの過とがに非あ

    らず。

    汝なん等だち比び丘く、若もし苦く等とうの四し諦たいに於おいて疑うたがう所ところある者ものは、

    疾はやく之これを問とうべし。疑

    うたがいを

    懐いだいて決けつを求もとめざること得う

    ること無なかれ。爾その時ときに、世せ尊そん、是かくの如ごとく三みたび

    唱となえたもうに、人ひと問といたてまつる者ものなし。所ゆ以えは何いか

  • - 45 -

    んとなれば、衆しゅ疑うた

    がい無なきが故ゆえに。

    時ときに阿あ

    楼る駄だ、衆しゅの心こころを観かん察さつして、而しかも仏ほとけに白もうして

    言もうさく、世せ尊そん、月つきは熱あつからしむべく、日ひは冷ひややかなら

    しむべくとも、仏ほとけの説ときたもう四し諦たいは、異いならしむ

    べからず。仏ほとけの説ときたもう苦く諦たいは、実じつに苦くなり、楽らく

    ならしむべからず。集しゅうは真まことに是これ因いんなり、更さらに異い因いん

    なし。苦く若もし滅めっすれば即すなわち是これ因いん滅めつす、因いん滅めつするが

    故ゆえに果か滅めっす。滅めっ苦くの道どうは実じつに是これ真しん道どうなり、更さらに余よ

    道どうなし。世せ尊そん、是この諸

    もろもろの

    比び丘く、四し諦たいの中なかに於おいて決けつ定じょう

  • - 46 -

    して疑うたがい無なし。

    此この衆しゅ中ちゅ

    うに於おいて若もし所しょ作さ未いまだ弁べんぜざる者ものあらば、仏

    ほとけ

    の滅めつ度どを見みて当まさに悲ひ感かんあるべし。若もし初はじめて法ほうに入い

    る者ものあれば、仏ほとけの所しょ説せつを聞きいて即すなわち皆みな得とく度どす。譬たとえ

    ば夜よる電でん光こうを見みて、即すなわち道みちを見みることを得うるが如ごとし。

    若もし所しょ作さ已すでに弁べんじ已すでに苦く海かいを度わたる者ものは但ただ是この念ねんを

    作なすべし、世せ尊そんの滅めつ度ど一ひと

    えに何なんぞ疾

    すみやかな

    る哉やと。

    阿あぬ

    楼る駄だ、此この語ごを説といて、衆しゅ中ちゅう皆みな悉ことご

    とく四し聖しょう諦たいの義ぎ

    を了

    りょう

    達たつすと雖いえども、世せ尊そん此この諸

    もろもろの

    大だい衆しゅをして皆みな堅けん固ごな

  • - 47 -

    ることを得えせしめんと欲ほっして、大だい悲ひ心しんを以もって復また衆しゅ

    の為ために説ときたもう。

    汝なん等だち比び丘く、悲ひ悩のうを懐いだくこと勿なかれ。若もし我われ世よに住じゅうす

    ること一いっ劫こうするとも、会あうものは亦また当まさに滅めっすべ

    し。会おうて而しかも離はなれざること終ついに得うべからず。自じ利り

    利り人じんの法ほうは皆みな具ぐ足そくす。若もし我われ久ひさしく住じゅうするとも更さら

    に所しょ益やくなけん。応まさに度どすべき者ものは、若もしは天てん上じょう人にん間げん

    皆みな悉ことご

    とく已すでに度どす。其その未いまだ度どせざる者ものには、皆みな亦また

    已すでに得とく度どの因いん縁ねんを作なす。自じ今こん已い後ご、我わが諸

    もろもろの

    弟で子し、

  • - 48 -

    展てん転でんして之これを行ぎょうぜば、即すなわち是これ如にょ来らいの法ほっ身しん常つねに在いまし

    て而しかも滅めっせざるなり。是この故ゆえに当まさに知しるべし、世よは

    皆みな無む常じょ

    うなり、会あうものは必かならず離はなるることあり。憂う

    悩のうを懐いだくこと勿なかれ、世せ相そう是かくの如ごとし。当まさに勤つとめて精

    しょう

    進じん

    して早はやく解げ脱だつを求もとめ、智ち慧えの明みょうを以もって、諸

    もろもろの

    痴ち暗あんを

    滅めっすべし。世よは実じつに危き脆ぜいなり、牢ろう強ごうなる者ものなし。我わ

    れ今いま滅めつを得うること悪あく病びょ

    うを除のぞくが如ごとし。此これは是これ応まさ

    に捨すつべき罪ざい悪あくのものなり。仮かりに名なづけて身みと為な

    す、老ろう病びょう生しょう死じの大だい海かいに没もつ在ざいせり。何なんぞ智ち者しゃは之これを除じょ

  • - 49 -

    滅めつすることを得うること、怨おん賊ぞくを殺ころすが如ごとくにして、

    而しかも歓かん喜ぎせざること有あらんや。

    汝なん等だち比び丘く、常つねに当まさに一いっ心しんに出

    しゅっ

    道どうを勤ごん求ぐすべし。一いっ切さい

    世せ間けんの動どう不ふ動どうの法ほうは、皆みな是これ敗はい壊え不ふ安あんの相そうなり。

    汝なん等だち且しば

    らく止やみね、復また語ものいうこと得うること勿なかれ。時とき

    将まさに過すぎなんと欲ほっす、我われ滅めつ度どせんと欲ほっす。是これ我わ

    が最さい後ごの教

    きょう

    誨げする所ところなり。

  • - 50 -

    消しょう災さい呪しゅう

    曩のー謨もー三さん満まん哆だー。母も駄と喃なん。阿お

    囉らー底ちい賀こ多と舎しゃ

    ー。娑そ曩の喃なん怛とう姪じー

    他とう。唵えん。佉

    ぎゃー

    佉ぎゃー。

    佉ぎゃーきー

    佉ぎゃーきー

    。吽うん吽ぬん。入し

    囉らー入し

    囉らー。

    囉ら入し

    囉らーは

    囉ら入し

    囉らー。底ち瑟しゅ

    さー

    底ち瑟しゅ娑さー。致ち瑟しゅ哩りー致ち瑟しゅ

    哩りー。娑そ発わ

    じゃー

    娑そ発わ

    じゃー。

    扇せん底ちー迦ぎゃ

    ー。室し哩り曳えい娑そー婆もー訶こー。

  • - 51 -

    十じっ句く観かん音のん経ぎょう

    観かん世ぜー音おん 

    南なー無むー仏ぶつ

    与よー仏ぶつ有うー因いん 

    与よー仏ぶつ有うー縁えん

    仏ぶっ法ぽう僧そう縁えん 

    常じょう

    楽らく我がー浄じょう

    朝ちょう念ねん観かん世ぜー音おん 

    暮ぼー念ねん観かん世ぜー音おん

    念ねん念ねん従じゅう心しん起きー 

    念ねん念ねん不ふー離りー心しん

  • - 52 -

    舎しゃ利り礼らい文もん

    一いっ心しん頂ちょう礼らい 

    万まん徳とく円えん満まん 

    釈しゃ迦か如にょ来らい 

    真しん身じん舎しゃ利り

    本ほん地じ法ほっ身しん 

    法ほっ界かい塔とう婆ば 

    我が等とう礼らい敬きょ

    う 

    為いー我がー現げん身しん

    入にゅう我が我が入にゅ

    う 

    仏ぶつ加かー持じー故こー 

    我がー証しょう菩ぼー提だい 

    以いー仏ぶつ神じん力りき

    利りー益やく衆しゅ生じょ

    う 

    発ほつ菩ぼー提だい心しん 

    修しゅ菩ぼ薩さつ行ぎょ

    う 

    同どう入にゅう円えん寂じゃく

    平びょう等どう大だい智ちー 

    今こん将じょう頂ちょう礼らい

  • - 53 -

    甘かん露ろ門もん

      

    ◇奉ぶ請しょう三さん宝ぼう

    南な無む十じっ方ぽう仏ぶつ。南な無む十じっ方ぽう法ほう。南な無む十じっ方ぽう僧そう。

    南な無む本ほん師し釈しゃ迦か牟む尼に仏ぶつ。

    南な無む大だい慈ず大だい悲ひ救きゅう苦く観かん世ぜ音おん菩ぼ薩さつ。

    南な無む啓けい教きょう阿あ難なん尊そん者じゃ。

      

    ◇招ちょう請しょう発ほつ願がん

    是ぜ諸しょ衆しゅ等とう、発ほっ心しんして一いっ器きの浄

    じょう

    食じきを奉ぶ持じして、普あまねく十じっ

  • - 54 -

    方ぽう、窮ぐう尽じん虚こ空くう、周

    しゅう

    遍へん法ほっ界かい、微み塵じん刹せつ中ちゅ

    う、所しょ有う国こく土どの一いっ

    切さいの餓が鬼きに施ほどこす、先せん亡もう久く遠おん、山さん川せん地ち主しゅ、乃ない至し曠こう野やの

    諸しょ鬼き神じん等とう、請こう来きたって此ここに集あつまれ、我われ今いま悲ひ愍みんして、

    普あまねく

    汝なんじに食じきを施ほどこす、願ねがわくは汝

    なんじ

    各かく各かく、我わが此この食じきを受うけて、

    転てんじ持もって尽じん虚こ空くう海かいの諸しょ仏ぶつ及ぎゅう聖しょ

    う、一いっ切さいの有う情じょ

    うに供く養よう

    して、汝なんじと有う情じょ

    うと、普あまねく皆みな飽ぼう満まんせんことを、亦また願ねが

    わく

    は汝なんじが身み、此この咒しゅ食じきに乗じょうじて、 

    苦くを離はなれて解げ脱だつし、

    天てんに生しょうじて楽らくを受うけ、十じっ方ぽうの浄

    じょう

    土ども、意こころに随

    したが

    って遊ゆ

    往おうし、菩ぼ提だい心しんを発はっし、菩ぼ提だい道どうを行ぎょうじ、当とう来らいに作さ仏ぶつして、

  • - 55 -

    永ながく退たい転てんなく、前さきに道どうを得うる者ものは、誓ちかって相あい度ど脱だっせん

    ことを、又また願ねが

    わくは汝

    なんじ

    等ら、昼

    ちゅう

    夜や恒ごう常じょ

    うに、我われを擁よう護ごして、

    我わが所しょ願がんを満まんぜんことを、願ねがわくは此この食じきを施ほどこす、所しょ生しょ

    うの

    功く徳どく、普あまねく以もって法ほっ界かいの有う情じょ

    うに廻え施せして、諸

    もろもろの

    有う情じょ

    うと、

    平びょう等どう共ぐ有うならん、諸

    もろもろの

    有う情じょ

    うと共ともに、同おなじく此この福ふくを以もっ

    て、悉

    ことごとく

    将もつて真しん如にょ法ほっ界かい、無む上じょう菩ぼ提だい、一いっ切さい智ち智ちに回え向こう

    して、願ねがわくは速

    すみやかに

    成じょう

    仏ぶつして、余よ果かを招まねくこと勿なからん。

    法ほっ界かいの含がん識じき願ねが

    わくは此この法ほうに乗じょうじて、疾とく成

    じょう

    仏ぶつすること

    を得えん。

  • - 56 -

      

    ◇雲うん集しゅう鬼き神じん招ちょう請しょう陀だ羅ら尼に

    曩のう謨ぼー 

    歩ぼ布ほ哩り 

    迦ぎゃ哩り多た哩り 

    怛た他たー

    ぎゃ

    多た也や

      

    ◇破は地じ獄ごく門もん開かい咽いん喉こう陀だ羅ら尼に

    唵おん歩ぼ布ほ帝てい哩り 

    迦ぎゃ多た哩り 

    怛た他たー

    ぎゃ

    多た也や

      

    ◇無む量りょう威い徳とく自じ在ざい光こう明みょう加か持じ飲おん食じき陀だ羅ら尼に

    曩のう莫まく 

    薩さらば 

    怛た他たー

    ぎゃ

    多た ば

    嚕ろ吉き帝てい 

    唵おん 

    三さん婆ば羅ら 

    三さん

    婆ば羅ら吽うん

      

    ◇蒙もう甘かん露ろ法ほう味み陀だ羅ら尼に

    曩のう莫まく 

    蘇そ嚕ろ頗ば也や 

    怛た佗たー

    ぎゃ

    多た也や 

    怛た儞に也や佗た

  • - 57 -

    唵おん 

    蘇そ嚕ろ蘇そ嚕ろ 

    鉢は羅ら蘇そ嚕ろ 

    鉢は羅ら蘇そ嚕ろ 

    娑そ婆わ賀か

      

    ◇毘び廬る舎しゃ那な一いち字じ心しん水すい輪りん観かん陀だ羅ら尼に

    曩のう莫まく 

    三さん満まん多だ 

    没ぼ駄た南なん鑁ばん

      

    ◇五ご如にょ来らい宝ほう号ごう招ちょう請しょう陀だ羅ら尼に

    南な無む多た宝ほう如にょ来らい 

    曩のう謨ぼ 

    薄ば伽ぎゃ筏ば帝てい 

    鉢は囉ら歩ぼ多た

    阿あ囉ら怛たん曩のう也や 

    怛た他たー

    ぎゃ

    多た也や 

    徐じょ慳けん貪とん業ごう福ふく智ち円えん満まん

    南な無む妙みょう色しき身しん如にょ来らい 

    曩のう謨ぼ 

    薄ば伽ぎゃ筏ば帝てい 

    蘇そ嚕ろ波ば耶や 

    怛た佗たー

    ぎゃ

    多た也や 

    破は醜しゅう陋ろ形ぎょう円えん満まん相そう好こう

    南な無む甘かん露ろ王おう如にょ来らい 

    曩のう謨ぼ 

    薄ば伽ぎゃ筏ば帝てい 

    阿あ蜜み

    帝てい 

    阿あ囉らん

  • - 58 -

    惹じゃ耶や 

    怛た他たー

    ぎゃ

    他た也や 

    灌かん法ぽう身しん心じん令りょう受じゅ快け楽らく

    南な無む広こう博はく身しん如にょ来らい 

    曩のう謨ぼ 

    婆ば伽ぎゃ筏ば帝てい 

    尾び布ほ邏ら

    ぎゃ 

    怛た囉ら

    耶や 

    怛た佗たー

    ぎゃ

    多た也や 

    咽いん喉こう広こう大だい飲おん食じき充じゆう飽ぼう

    南な無む離り怖ふ畏い如にょ来らい 

    曩のう謨ぼ 

    婆ば伽ぎゃ筏ば帝てい 

    阿あ婆ば演えん迦ぎゃ羅ら

    耶や 

    怛た佗たー

    ぎゃ

    多た耶や 

    恐く怖ふ悉しつ除じょ離り餓が鬼き趣しゅ

      

    ◇発ほつ菩ぼ提だい心しん陀だ羅ら尼に

    唵おん 

    冒ぼう地ぢ即しっ多た 

    母ぼ怛だ 

    波は多だ野や迷み

      

    ◇授じゅ菩ぼ薩さつ三さん摩ま耶や戒かい陀だ羅ら尼に

    唵おん 

    三さん昧ま耶や 

    薩さ怛と鑁ばん

  • - 59 -

      

    ◇大だい宝ほう楼ろう閣かく善ぜん住じゅう秘ひ密みつ根こん本ぽん陀だ羅ら尼に

    曩のう莫まく 

    薩さらば

    怛た他たー

    ぎゃ

    多た南なん 

    唵おん 

    尾び補ほ羅ら 

    ぎゃ

    羅ら陛べい 

    摩まに

    鉢は羅ら陛べい 

    怛た佗た多た儞に捺た捨しゃ寧に 

    摩まに

    に 

    蘇そ鉢は囉ら陞べい 

    尾び

    黎れい娑しゃ

    ぎゃ

    囉ら 

    儼げん鼻び

    れい 

    吽うん吽ぬん入じん

    囉ら入じん

    囉ら 

    没ぼ駄だ 

    尾び

    盧ろ枳き帝てい 

    麌くぎ

    夜や 

    智ち瑟しゅ恥つ多た

    ぎゃ

    囉ら陛べい 

    娑そわ

    訶か 

    唵おんま

     ば

    日じ哩れい吽うん 

    唵おんま

    駄だ哩れい 

    吽うん泮ばっ

      

    ◇諸しょ仏ぶつ光こう明みょう真しん言ごん灌かん頂ちょう陀だ羅ら尼に

    唵おん阿あ暮ぼ伽ぎゃ 

    廃べい嚕ろ者しゃ娜のう 

    摩ま訶か畝ぼ捺だ囉ら 

    鉢はん頭ど

    ま  

    入じんば

    囉ら跛は囉ら韈ば利り 

    野や吽うん

  • - 60 -

      

    ◇回え向こう偈げ

    以いー此すー修しゅう行あん衆しゅう善せん根げん 

    報ほう答とう父ぶー母もー劬き労ろう徳てー 

    存そん者しゃー福ふー楽らー寿じゅ無むー窮きゅー

    亡もう者しゃ離りー苦くー生さん安なん養よう 

    四すー恩いん三さん有ゆう諸しー含あん識しー 

    三さん途ずー八はー難なん苦くー衆しゅう生さん

    倶きゅー蒙もう悔くい過こー洗せん瑕なん疵すー 

    尽じん出しゅー輪りん回ぬい生さん浄じん土ずー

  • - 61 -

    参さん同どう契かい

    竺ちく土ど大だい仙せんの心しん、東とう西ざい密みつに相あい附ふす、人にん根こんに利り鈍どんあり、

    道どうに南なん北ぼくの祖そなし

    霊れい源げん明みょ

    うに皓こう潔けつたり、支し派は暗あんに流る注ちゅ

    うす、事じを執しゅうするも

    元もとこれ迷まよい、理りに契かなううも亦また悟さと

    りにあらず

    門もん門もん一いっ切さいの境きょう、回え互ごと不ふ回え互ごと、回えしてさらに相あい渉わた

    る、しからざれば位くらいによって住じゅうす

    色しきもと質しつ像ぞうを殊ことにし声しょうもと楽らく苦くを異ことにす、暗あんは上

    じょう

    中ちゅう

  • - 62 -

    の言ことに合かない、明めいは清せい濁だくの句くを分わかつ

    四し大だいの性しょうおのずから復ふくす、子この其その母ははを得うるがごと

    し、火ひは熱ねっし、風かぜは動どう揺よう、水みずは湿うるおい地ちは堅けん固ご、眼まなこは

    色いろ、耳みみは音おん声じょ

    う、鼻はなは香か、舌したは鹹かん酢そ、しかも一いち一いちの法ほう

    において、根ねによって葉は分ぶん布ぷす、本ほん末まつすべからく宗

    しゅう

    に帰きすべし、尊そん卑ぴ其その語ごを用もちゆ

    明めい中ちゅ

    うに当あたって暗あんあり、暗あん相そうをもって遇あうことなかれ、

    暗あん中ちゅ

    うに当あたって明めいあり、明めい相そうをもって覩みることなかれ

    明めい暗あんおのおの相あい対たいして、比ひするに前ぜん後ごの歩あゆみみのごと

  • - 63 -

    し、万ばん物もつおのずから功こうあり、当まさに用ようと処しょとを言いうべ

    し、事じ存そんすれば函かん蓋がい合がっし、理り応おうずれば箭せん鋒ぽう拄さそう

    言ことを承うけてはすべからく宗しゅうを会えすべし、みずから規き矩く

    を立りっすることなかれ、触そく目もく道どうを会えせずんば、足あしを運はこ

    ぶもいずくんぞ路みちを知しらん、歩あゆみをすすむれば近ごん遠のんに

    あらず、迷まようて山せん河がの固こをへだつ、謹つつしんで参さん玄げんの人ひとに

    もうす、光こう陰いん虚むなしく度わたることなかれ

  • - 64 -

    宝ほう鏡きょう三ざん昧まい

    如にょ是ぜの法ほう、仏ぶっ祖そ密みつに附ふす、汝

    なんじ

    今いまこれを得えたり、宜よろし

    く能よく保ほう護ごすべし、銀ぎん盌わんに雪ゆきを盛もり、明めい月げつに鷺ろを蔵かく

    す、類るいして斉ひとしからず、混こんずるときんば処ところを知しる、意

    こころ

    言ことに在あらざれば来らい機き亦またおもむく、動どうずれば窠か臼きゅ

    うをなし、

    差たがえば

    顧こ佇ちょに落おつ、背はい触そくともに非ひなり、大たい火か聚じゅの如ごとし、

    但ただ文もん彩さいに形あらわせば、即すなわち染ぜん汚なに属ぞくす、夜や半はん正しょう明めい、天てん暁ぎょう

    不ふ露ろ、物もののために則のりとなる、用もちいて諸しょ苦くをぬく、有う

  • - 65 -

    為いにあらずといえども、是これ語ごなきにあらず、宝ほう鏡きょ

    うに

    のぞんで、形

    ぎょう

    影よう相あい覩みるがごとし、汝なんじこれ渠かれにあら

    ず、かれ正まさに是これなんじ、世よの嬰よう児にの五ご相そう完がん具ぐするが

    如ごとし、不ふ去こ不ふ来らい、不ふ起き不ふ住じゅ、婆ば婆ば和わ和わ、有う句く無む句く、

    ついに物ものを得えず、語ごいまだ正ただしからざるがゆえに、

    重じゅう離り六りっ爻こう、偏へん正しょう回え互ご、畳たたんで三さんとなり、変へんじ尽つきて

    五ごとなる、

    艸そうの味

    あじわいの

    ごとく、金こん剛ごうの杵ちょのごとし、

    正しょう中ちゅう妙みょう挟きょ

    う、敲こう唱しょう雙ならびあぐ、宗しゅうに通つうじ途とに通つうず、挟

    きょう

    帯たい

    挟きょう路ろ、錯

    しゃく

    然ねんなるときんば吉きつなり、犯ぼん忤ごすべからず、

  • - 66 -

    天てん真しんにして妙みょうなり、迷めい悟ごに属ぞくせず、因いん縁ねん時じ節せつ、寂

    じゃく

    然ねん

    として照

    しょう

    著ちょす、細さいには無む間けんに入いり、大だいには方ほう所じょを絶ぜっ

    す、毫ごう忽こつの差たがい、律りつ呂りょに応おうぜず、今いま頓とん漸ぜんあり、宗

    しゅう

    趣しゅを

    立りっするによって、宗

    しゅう

    趣しゅわかる、即すなわち是これ規き矩くなり、

    宗しゅう通つうじ趣しゅ極きわ

    まるも、真しん常じょう流る注ちゅ

    う、外ほか寂じゃ

    くに内うち揺うごくは、繫つなげ

    る駒こま、伏ふくせる鼠ねずみ(繫け駒く伏ふく鼠そ)、先せん聖しょ

    うこれを悲かなしんで、

    法ほうの檀だん度どとなる、其その顚てん倒どうに随

    したが

    って緇しをもって素そと

    なす、顚てん倒どう想そう滅めっすれば、

    こう

    心しんみずから許ゆるす、古こ轍てつに

    合かなわんと要ようせば、請こう前ぜん古こを観かんぜよ、仏ぶつ道どうを成じょうずる

  • - 67 -

    になんなんとして、十じっ劫こう樹じゅを観かんず、虎とらの欠かけたるがご

    とく、馬うまの

    よめ

    の如ごとし(虎この欠けつの如ごとく馬めの

    しゅう

    の如ごとし)、

    下げ劣れつあるをもって、宝ほう几き珍ちん御ぎょ、驚

    きょう

    異いあるをもって、

    狸り奴ぬ白びゃく

    、羿げいは巧

    ぎょう

    力りきをもって、射いて百

    ひゃっ

    歩ぽに中あつ、箭せん

    鋒ぽうあい値あう、巧

    ぎょう

    力りきなんぞ預あずからん、木ぼく人じんまさに歌うたい、

    石せき女じょたって舞まう、情

    じょう

    識しきの到いたるにあらず、むしろ思し慮りょを

    容いれんや、臣しんは君きみに奉ぶし、子こは父ちちに順じゅんず、順じゅんぜざれば

    孝こうにあらず、奉ぶせざれば輔ほにあらず。潜せん行こう密みつ用ようは、

    愚ぐのごとく魯ろのごとし、只ただ能よく相そう続ぞくするを、主しゅ中ちゅ

    うの

  • - 68 -

    主しゅと名なづく。

  • - 69 -

    修しゅ証しょう義ぎ

       

    第一章 

    総そう序じょ

    生しょうを

    明あきらめ死しを明あきらむるは仏ぶっ家け一いち大だい事じの因いん縁ねんな

    り、生

    しょう

    死じの中なかに仏ほとけあれば生

    しょう

    死じなし、但ただ生しょう死じ即すな

    わち

    涅ね槃はんと心

    こころ

    得えて、生

    しょう

    死じとして厭いとうべきもなく、涅ね

    槃はんとして欣ねごうべきもなし、是この時とき初はじめて生

    しょう

    死じを離はなる

    る分ぶんあり、唯ただ一いち大だい事じ因いん縁ねんと究ぐう尽じんすべし。人にん身しん得う

    ること難かたし、仏ぶっ法ぽう値おうこと希まれなり、今いま我われ等ら宿しゅく善ぜん

  • - 70 -

    の助たすくるに依よりて、已すでに受うけ難がたき人にん身しんを受うけた

    るのみに非あらず、遇あい難がたき仏ぶっ法ぽうに値あい奉

    たてまつれ

    り、生

    しょう

    死じの中なかの善ぜん生しょ

    う、最さい勝しょ

    うの生しょうなるべし、最さい勝しょ

    うの善ぜん身しん

    を徒いたずらにして露ろ命めいを無む常じょ

    うの風かぜに任まかすること勿なかれ。

    無む常じょう憑たのみ難がたし、知しらず露ろ命めいいかなる道みちの草くさにか落おち

    ん、身み已すでに私

    わたくしに

    非あらず、命いのちは光こう陰いんに移うつされて暫しばらくも停とど

    め難がたし、紅こう顔がんいずくへか去さりにし、尋たずねんとする

    に蹤

    しょう

    跡せきなし、熟

    つらつら

    観かんずる所ところに往おう事じの再ふたたび逢おうべから

    ざる多おおし、無む常じょう忽たち

    まちに到いたるときは国こく王おう大だい臣じん親しん

    じつ

    従じゅう

  • - 71 -

    僕ぼく妻さい子し珍ちん宝ほうたすくる無なし、唯ただ独ひとり黄こう泉せんに趣おもむくのみ

    なり、己おのれに随したがい行ゆくは只ただ是これ善ぜん悪あく業ごっ等とうのみなり。

    今いまの世よに因いん果がを知しらず業ごっ報ぽうを明あきらめず、三さん世ぜを知し

    らず、善ぜん悪あくを弁わきまえざる邪じゃ見けんの党とも侶がらには群ぐんすべ

    からず、大おお凡よそ因いん果がの道どう理り歴れき然ねんとして私

    わたくしな

    し、造ぞう

    悪あくの者ものは堕おち修しゅ善ぜんの者ものは陞のぼる、

    豪ごう釐りも

    たが

    わざるな

    り、若もし因いん果が亡ぼうじて虚むなしからんが如ごときは、諸しょ仏ぶつ

    の出

    しゅっ

    世せあるべからず、祖そ師しの西せい来らいあるべからず。

    善ぜん悪あくの報ほうに三さん時じあり、一

    ひとつ

    者には順じゅん現げん報ほう受じゅ、二

    ふたつ

    者には順じゅん次じ

  • - 72 -

    生しょう受じゅ、三みつ者には順じゅん後ご次じ受じゅ、これを三さん時じという、仏ぶっ

    祖その道どうを修しゅ習じゅ

    うするには、其その最さい初しょより斯この三さん時じの

    業ごっ報ぽうの理りを効ならい験あきらむるなり、爾しかあらざれば

    多おおく錯あやまりて邪じゃ見けんに堕おつるなり、但ただ邪じゃ見けんに堕おつ

    るのみに非あらず、悪あく道どうに堕おちて長

    ちょう

    時じの苦くを受うく。

    当まさに知しるべし今こん生じょ

    うの我わが身み二ふたつ無なし、三みつ無なし、徒いたずら

    に邪じゃ見けんに堕おちて虚むなしく悪あく業ごうを感かん得とくせん、惜おしからざらめ

    や、悪あくを造つくりながら悪あくに非あらずと思おもい、悪あくの報ほうあるべ

    からずと邪じゃ思し惟ゆいするに依よりて悪あくの報ほうを感かん得とくせざるに

  • - 73 -

    は非あらず。

       

    第二章 

    懺さん悔げ滅めつ罪ざい

    仏ぶっ祖そ憐あわ

    れみの余あまり広こう大だいの慈じ門もんを開ひらき置おけり、是こ

    れ一いっ切さい衆しゅ生じょ

    うを証

    しょう

    入にゅうせ

    しめんが為ためなり、人にん天でん誰たれ

    か入いらざらん、彼かの三さん時じの悪あく業ごっ報ぽう必かな

    らず感かんず

    べしと雖いえども、懺さん悔げするが如ごときは重おもきを転てんじ

    て軽

    きょう

    受じゅせしむ、又また滅めつ罪ざい清しょう浄じょ

    うならしむるなり。

    然しかあれば誠

    じょう

    心しんを専もっぱらにして前ぜん仏ぶつに懺さん悔げすべし、

  • - 74 -

    恁いん麼もするとき前ぜん仏ぶつ懺さん悔げの功く徳どく力りき我われを拯すくいて清

    しょう

    浄じょう

    ならしむ、此この功く徳どく能よく無む礙げの浄

    じょう

    信しん精しょう進じんを生

    しょう

    長ちょうせ

    しむるなり、浄

    じょう

    信しん一いち現げんするとき、自じ佗た同おな

    じく転てんぜ

    らるるなり、其その利り益やく普あまねく情

    じょう

    非ひ情じょ

    うに蒙こうぶらしむ。

    其その大だい旨しは、願ねがわくは我われ設たとい過か去この悪あく業ごう多おおく重かさな

    りて障

    しょう

    道どうの因いん縁ねんありとも、仏ぶつ道どうに因よりて得とく道どうせり

    し諸しょ仏ぶつ諸しょ祖そ我われを愍あわれみて業ごう累るいを解げ脱だつせしめ、学がく

    道どう障さわり無なからしめ、其その功く徳どく法ほう門もん普あまねく無む尽じん法ほっ界かい

    に充

    じゅう

    満まん弥み綸りんせらん、哀あわれみを我われに分ぶん布ぷすべし、仏ぶっ

  • - 75 -

    祖その往おう昔しゃ

    くは吾われ等らなり、吾われ等らが当とう来らいは仏ぶっ祖そならん。

    我が昔しゃく所しょ造ぞう諸しょ悪あく業ごう、皆かい由ゆう無む始し貪とん瞋じん痴ち、従

    じゅう

    身しん口く意い之し所しょ

    生しょう、

    一いっ切さい我が今こん皆かい懺さん悔げ、是かくの如ごとく懺さん悔げすれば必かならず仏ぶっ祖そ

    の冥

    みょう

    助じょあるなり、心しん念ねん身しん儀ぎ発ほつ露ろ白びゃく仏ぶつすべし、発ほつ露ろの

    力ちから罪ざい根こんをして銷

    しょう

    殞いんせしむるなり。

       

    第三章 

    受じゅ戒かい入にゅう位い

    次つぎには深ふかく仏ぶっ法ぽう僧そうの三さん宝ぼうを敬うやまい奉

    たてまつる

    べし、生しょうを易かえ

    身みを易かえても三さん宝ぼうを供く養ようし敬うやまい奉

    たてまつら

    んことを願ねがう

  • - 76 -

    べし、西さい天てん東とう土ど仏ぶっ祖そ正しょう伝でんする所ところは恭く敬ぎょう仏ぶっ法ぽう僧そうなり。

    若もし薄はく福ふく少しょう徳とくの衆しゆ生じょ

    うは三さん宝ぼうの名

    みょう

    字じ猶なお聞きき奉

    たてまつら

    ざる

    なり、何いかに況いわんや帰き依えし奉

    たてまつる

    ことを得えんや、徒いたずらに所しょ

    逼ひつを怖おそれて山さん神じん鬼き神じん等とうに帰き依えし、或あるいは外げ道どうの制せい多た

    に帰き依えすること勿なかれ、彼かれは其その帰き依えに因よりて衆しゅ苦くを

    解げ脱だつすること無なし、早はやく仏ぶっ法ぽう僧そうの三さん宝ぼうに帰き依えし奉

    たてまつ

    りて衆しゅ苦くを解げ脱だつするのみに非あらず菩ぼ提だいを成

    じょう

    就じゅう

    すべし。

    其その帰き依え三さん宝ぼうとは正まさに浄

    じょう

    心しんを専もっぱらにして或あるいは如にょ来らい現げん在ざい

    世せにもあれ、或あるいは如にょ来らい滅めつ後ごにもあれ、合がっ掌しょ

    うし低てい頭ず

  • - 77 -

    して口くちに唱となえて云いわく、南な無む帰き依え仏ぶつ、南な無む帰き依え法ほう、

    南な無む帰き依え僧そう、仏ほとけは是これ大だい師しなるが故ゆえに帰き依えす、法ほう

    は良

    りょう

    薬やくなるが故ゆえに帰き依えす。僧そうは勝

    しょう

    友ゆうなるが故ゆえに帰き

    依えす、仏ぶつ弟で子しとなること必かならず三さん帰きに依よる、

    何いずれの

    戒かいを受うくるも必かならず三さん帰きを受うけて其その後のち諸しょ戒かいを受うくる

    なり、然しかあれば即すなわち三さん帰きに依よりて得とく戒かいあるなり。

    此この帰き依え仏ぶっ法ぽう僧そうの功く徳どく、必かならず感かん応のう道どう交こうするとき成

    じょう

    就じゅうす

    るなり、設たとい天てん上じょう人にん間げん地じ獄ごく鬼き畜ちくなりと雖いえども、感かん応のう道どう

    交こうすれば必かならず帰き依えし奉

    たてまつる

    なり、已すでに帰き依えし奉

    たてまつる

    が如ごと

  • - 78 -

    きは生

    しょう

    生しょう世せ世せ在ざい在ざい処しょ処しょに増ぞう長ちょ

    うし、必かならず積

    しゃっ

    功く累るい徳とくし、

    阿あ耨のく多た羅ら三さん藐みゃく三さん菩ぼ提だいを成

    じょう

    就じゅうす

    るなり、知しるべし三さん

    帰きの功く徳どく其それ最さい尊そん最さい上じょう甚じん深じん不ふ可か思し議ぎなりというこ

    と、世せ尊そん已すでに証

    しょう

    明みょうし

    まします、衆しゅ生じょう当まさに信しん受じゅすべし。

    次つぎには応まさに三さん聚じゅ浄じょう戒かいを受うけ奉

    たてまつる

    べし、第だい一いち摂しょう

    律りつ儀ぎ戒かい、第だい二に摂しょう善ぜん法ぽう戒かい、第だい三さん摂しょう衆しゅ生じょう戒かいなり、

    次つぎには応まさに十

    じゅう

    重じゅう禁きん戒かいを受うけ奉

    たてまつる

    べし、第だい一いち不ふ

    殺せっ生しょう戒かい、第だい二に不ふ

    ちゅう

    盗とう戒かい、第だい三さん不ふ邪じゃ婬いん戒かい、第だい四し

    不ふ妄もう語ご戒かい、第だい五ご不ふ酤こ酒しゅ戒かい、第だい六ろく不ふ説せっ過か戒かい、第だい

  • - 79 -

    七しち不ふ自じ讃さん毀き佗た戒かい、第だい八はち不ふ慳けん法ほう財ざい戒かい、第だい九く不ふ瞋しん

    恚い戒かい、第だい十じゅう不ふ謗ぼう三さん宝ぼう戒かいなり、上

    じょう

    来らい三さん帰き三さん聚じゅ浄じょう

    戒かい、十

    じゅう

    重じゅう禁きん戒かい、是これ諸しょ仏ぶつの受じゅ持じしたまう所ところなり。

    受じゅ戒かいするが如ごときは、三さん世ぜの諸しょ仏ぶつの所しょ証しょ

    うなる阿あ耨のく多た羅ら

    三さん藐みゃく三さん菩ぼ提だい金こん剛ごう不ふ壊えの仏ぶっ果かを証しょうするなり、誰たれの智ち人にん

    か欣ごん求ぐせざらん、世せ尊そん明あきらかに一いっ切さい衆しゅ生じょ

    うの為ために示しめし

    まします、衆しゅ生じょう仏ぶっ戒かいを受うくれば、�