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Joetsu Curriculum Handbook Joetsu Curriculum Handbook カリキュラムづくり のポイント 15 m m J J J m m m m l t t C C i m m l d b b k k k b b k k k d b H H H d d H b b d k k k k m m m m m u l u u u J o e t s u C u r r i c o e t s u C u r r i c u m m m r u i c u u u u l l l u u m m u u u l l l u u m m m m u u u u m m m m u u u u u u u c c c c c c c u u u C C u u u C u o o e e t t s s o o e e t t s s e e t t s s t s s o o o o o o e s s s u u u C C u u r r r r r i i i c c c u u u o o e s s s u u u C C u u r r r r i i i c c u u m m l l i i i i c c c m m r r m m m u u u u r r c c r r r u u u u u u u u u r u u i i c c C C C C H H H a n d b o o o k H H o o n d ok H H H a H H H H H a H k H H H a a a n n n d d d b b o o o o k k k H H H a a n n n d d d b b o o o o H H b b o o o H o o o o o H H a a H H a b b b b n d n d H a H H a a n n d d b H a n n d d b a a a H H H H H n n a a H H H H a n a n H H H H d d a a a a n n b o n n n n o d d o o o o o o d d d d b b o o 上越 カリキュラム ハンドブック Joetsu Curriculum Handbook

上越 カリキュラム handbook.pdfJoetsu Curriculum 子ど これまで 置かれる傾 成する」に 等を工夫・ 視します。 子どもが いき、子ど とがポイン

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Joetsu Curriculum HandbookJoetsu Curriculum Handbook

カリキュラムづくりのポイント15

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上越カリキュラムハンドブックJoetsu Curriculum Handbook

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Joetsu Curriculum

子ど これまで置かれる傾成する」に等を工夫・視します。 子どもがいき、子どとがポイン

上越カリキュ

特色ある学校づくり学校の自主性・自立性の発揮を支援 学校教育の成果は、教職員の自主的・創造的な姿勢に委ねに向けて知恵を出し合い、見通しのある取組が教職員の士気た教育や実践に基づく学校改善・カリキュラム改善を着実に そのため、教育委員会・教育センターは、情報共有、研修、学校は、「最適な状況」としての自校のカリキュラムを常に

広義のカリキュラム これまでは、「教育課程=カリキュラム」と捉えられていましたが、上越カリキュラムでは、「教育課程」など計画されたものだけでなく、実践、評価、改善を含む「学習経験の総体」「教育活動のまとまり」として広義に捉えます。

カリキュラムの「4つの相(側面・見え方)」 (横浜国大:金馬国晴氏)

1の相 基準としてのカリキュラム(学習指導要領など)2の相 計画としてのカリキュラム(「○○教育」プラン)3の相 カリキュラム実践(教室での授業・学習指導など)4の相  カリキュラム経験(学びの履歴:子どもが経験した

こと、教師のカリキュラム経験も含む) 上越カリキュラムでは、2の相に止まらず、4の相までの全てを含み、評価・改善を重視します。これが「子どもと生成するカリキュラム」の特色です。 ※平成22年度 実践研究収録集 第39集 P3

目次Ⅰ グランドデザインの作成と活用 …………… 2①学校評価に基づき、教育課題を焦点化する …… 2②教育課題解決のための方策を立案する ………… 2③グランドデザインに盛り込む内容を決定する … 3④グランドデザインを効果的に活用する ………… 3グランドデザイン作成の実際 小学校編(直江津小学校) … 5グランドデザイン作成の実際 中学校編(雄志中学校) … 6

Ⅱ 視覚的カリキュラム表の作成・活用 ……… 8⑤視覚的カリキュラム表のよさを確認する ……… 8⑥学校課題をカリキュラム表に落とし込む ……… 8⑦視覚的カリキュラム表を創り続ける …………… 9⑧視覚的カリキュラム表の活用を工夫する ……… 9視覚的カリキュラム表作成と活用事例 小学校編(春日小学校) … 10視覚的カリキュラム表作成と活用事例 中学校編(直江津東中学校) … 12

Ⅲ 授業をつくる ………………………………… 14⑨追求意欲を高める課題設定の工夫 ……………… 14⑩納得した知を導く支援 …………………………… 14⑪多様な教育的ニーズに対応する授業をデザイン … 16⑫新しい気づきや学びの深まりを生む場の設定 … 16

Ⅳ 地域とともにある学校とカリキュラム …… 18⑬学校と地域で学校評価 …………………………… 18⑭戦略的に地域とかかわる ………………………… 19⑮子どもの成長で地域を変える …………………… 19

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1もと生成するカリキュラムの教育課程研究では、「○○プラン」など計画づくりに力点が向がありました。上越カリキュラムの開発では、「子どもと生着眼し、学ぶ側に立った幅広い指導方法、学習形態、学習環境整備し、教師と子どもが共に学習活動をつくっていくことを重

示す事実に学びつつ、カリキュラムファイルが改善・充実してもの成長につながる教育実践がなされるサイクルを生み出すこトとなります。

ラム

られます。そして、学校課題を共有し、課題解決を高めます。また、子どもの実態や地域に根差し行い、特色ある学校づくりを行う必要があります。カリキュラムモデルの開発をし学校を支援します。創り出していかなければなりません。

10年先を見据えた総合教育プラン 上越市総合教育プラン(平成19~28年度)の5つの重点施策の一つが「上越カリキュラムで上越らしい教育の推進」です。 ・ 「最適な状況」としての自校のカリキュラムづくりを支援

する体制を整備します。 ・ カリキュラムの在り方、モデル開発、研修の方法などを含

んだ上越プランを作成します。 ・ 教育課題をコアとなる学習で受け止め、教科や領域を横断

的につないでいくカリキュラムモデルを基本とします。

上越カリキュラムの 開発目的 市の学校教育目標「ふるさと上越を愛し、学ぶ力、豊かな心、健やかな体をもって、自立と共生ができる子どもを育てる。」を実現するため、方向性や方法等の統一性・共通性をもちつつも学校の創意工夫・特色ある学校づくりを推進・支援するための取組です。

カリキュラムマネジメント ・ 学校、地域、子どもの現状を見直す……実態認識

からの課題の顕在化  ・ 学校課題・目標を明確化・焦点化する……グラン

ドデザインの作成 ・ 学習内容の関連化・体系化を図る……視覚的カリ

キュラム表の作成 ・ カリキュラムの実践・評価・改善を図る……確実

な評価と改善策 ・ マネジメントのための組織やシステムをつくる

……攻め・恊働のサイクルを生み出す

上越カリキュラム開発システム上越カリキュラム開発システム

上越カリキュラム

上越カリキュラム開発研究推進委員会

カリキュラムモデル開発

カリキュラム研修

市立教育センター<カリキュラムセンター>

カリキュラム研究(情報の共有)

子どもの実態学校・地域の実態教職員の願い

保護者・住民の願い

 学校は、「最適な状況」としてのカリキュラムづくりに取り組まなければなりません。教職員には、柔軟で弾力的なカリキュラムマネジメント能力が、これまで以上に求められます。こうした取組を支援するため「上越カリキュラム」が開発されました。その特色の一つは、学校づくりの理念や戦略・方策から授業実践に至る過程をできる限り「可視化」し、工夫・改善の気風を高め、子どものよりよい成長、よりよい教育活動を目指した「攻めの姿勢」「協働の姿勢」を促すことにあります。 上越カリキュラムの目的を再確認するとともに、地域とともにある学校づくりに向け、本書の積極的な活用を期待します。

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学校評価に基づき、教育課題を焦点化するステップ❶自校の「強み」と「弱み」の把握 学校が、学校運営や教育活動の改善を進めていくためには、学校評価計画に基づき、学校運営や教育活動にかかわる「強み」と「弱み」の把握に努める必要があります。

◆定期的に実施する学校評価*自己評価(児童・生徒保護者アンケート調査等を含む)*学校関係者評価◆学力調査、QーU、体力テスト等の調査の分析◆学校関係団体からの意見や要望の聴取 等

☞『上越カリキュラム』P3-6,7

ステップ❷教育課題の焦点化 強みを一層伸ばし、弱みを補強するとともに、学校改善を継続的に進めていくためには、教育課題を焦点化することが重要です。この役割を担うのは「学校評価委員会」であり、強みと弱みを総合的・多面的に分析し、中長期的目標や次年度の重点目標を定めます。

◆教育課題との整合性◆長期・中期・短期で取り組む目標の分類・設定◆地域及び中学校区の教育課題との関連づけ 等

☞『上越市学校評価システムガイド(第1集)』P8,9

教育課題解決のための方策を立案するステップ❸重点目標等を達成する方策の立案と検討 中長期的目標や次年度の重点目標は、その背景を含めて教職員全員が共有し、自分のものとして受け止めることが重要です。次に、プロジェクトチームを組織するなどして教職員一人一人の創意や同僚性を引き出しながら、重点目標等を達成するための方策を立案します。なお、研究推進委員会をはじめとする各部会やチームで立案された方策は、学校評価委員会等でその妥当性や有効性について検討が行われることになります。

◆網羅的になっていないか◆学校運営や教育活動に直結するものか◆重点目標等の達成に有効性が期待できるものか◆教職員全員の理解と納得が得られるものか◆家庭・地域等との連携は考慮されているか  等

☞『上越市学校評価システムガイド(第1集)』P10,11

 『上越市学校評価システムガイド(第2集)』P56,57

強みと弱みの把握の手立て

目標設定で留意すべきこと

方策を検討する視点

グ ランドデザインの作成と活用Ⅰ

Point

Point

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グランドデザインを効果的に活用するステップ❻グランドデザインに基づいた学校評価の実施 グランドデザインに示した具体的な取組が確実に実施されたのか、また有効に機能したのか検証しなければなりません。実効性のある検証とするためには、グランドデザインに基づいて学校評価を実施することが重要です。

ステップ❼地域とともに歩む学校づくりの推進 「平成24年度 学校教育の重点」でも述べているように、学校は保護者や地域の人々と目標を共有し、積極的な参画や連携協力による学校づくりを推進することが求められています。同時に、評価結果の公表を行うことも求められています。いずれの場合にもグランドデザインが有効な手立てとなるのです。

グランドデザインに盛り込む内容を決定するステップ❹学校評価報告書との整合性の確保 年度始めと年度末に「学校評価報告書」を提出することが義務づけられています。したがって、重点目標等を達成する方策の決定に当たっては、学校評価報告書との整合性を考慮し、具体的な取組の優先順位を決めたり、目指す成果における判定基準を明確にしたりすることが大切です。

☞『上越市学校評価システムガイド(第2集)』P44~48

ステップ❺学校運営協議会への提案 上越市立小中学校では、学校運営協議会が設置されました。前年度中に、次年度の学校経営方針の承認を学校運営協議会から得る必要があります。学校運営の基本構想であるグランドデザインについても各委員からの意見・要望を聴取し、必要に応じて修正することになります。

◆ 盛り込む内容を精選する。◆ 平易な表記や見やすいレイアウトを工夫し、学校職員だけでなく、家庭・地域の理解が得られるものにする。

◆ 家庭及び地域が参画・協働する内容を明示する。◆ 教育の連続性という観点から、年度ごとに大幅な変更が生じないようにする。

グランドデザイン作成のポイント

 学校のグランドデザインは、目指す学校像や児童・生徒像等だけでなく、これらの実現を図るための具体的な課題と方策等を示した基本構想です。学校運営や教育活動の改善に直結するものであり、教職員間で納得いくものとして共有化されなければなりません。また、家庭や地域の理解や協働・参画が得られるように、記載内容を精選する必要があります。さらに、様々な場で活用していくことが大切です。

Point

3 Point

 上越市のPRマスコットであり、上杉謙信公のふるさと・上越市を全国にPRするための応援隊、「上越忠義隊けんけんず」。 「けんけんず」は、戦国の名将といわれた上杉謙信公、かぶとに「愛」をかかげた直江兼続公をモデルにした「謙信くん」「兼続くん」のほか、天地人の小説の中で登場する犬のキャラクターも加わっています。

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グランドデザイン作成の実際

中長期的目標の設定 学校評価から「学習指導要領の趣旨を実現する教育活動を展開する」「地域に根ざした学校づくりを一層進める」「東日本大震災の教訓に学ぶ防災教育を進める」ことが中長期的な課題として明確になりました。これらの課題を解決していくためには、具体的な成果が見える目標を設定するとともに、職員の参画意識を高めていく必要があります。このため、職員の希望や校務分掌に応じた4つのプロジェクトを立ち上げることにしました。各プロジェクトでは、これまでの取組の経緯や中学校区の連携事業も加味しながら、中長期的目標を設定しました。

年度の重点目標と研究主題の統一 年度の重点目標については、基本的に校内研究の研究主題と一致するようにしています。公開授業や協議会を通して成果や課題を教職員全員で共有できること、教育活動の大半を占める授業の具体的な改善が期待できることが、その理由です。また、公開授業の実施に伴い、年度当初に作成したカリキュラムの見直しと改善が必須の作業として生じます。事前の構想検討会や指導案検討会の場では、授業者以外の職員も当該学年のカリキュラムについて多様な提案を行います。年度の重点目標と研究主題を統一することにより、同僚性を発揮したカリキュラムの見直しと改善が図られています。

学校評価に基づき、教育課題を焦点化する

教育課題解決プロジェクトの組織 年度末に教職員から校務分掌の希望調査を行う際に、プロジェクトの所属希望を尋ねていますが、各自の校務分掌希望に呼応する形でプロジェクトの所属希望も出されるため、ほとんど調整することもありません。なお、各プロジェクトの主任が研究推進委員会メンバーを兼ねるようにしているため、互いの進捗状況の確認やプロジェクト間の調整も比較的円滑に行われています。また、当校は複数の特別支援学級があるものの、単学年単学級の構成となっており、校務分掌は一人一役が基本です。プロジェクトを組織することで、「教育理念や情報の共有化が図られる」「これまで以上に教職員の創意や総意が発揮される」など、同僚性が高まるという効果も生まれています。

プロジェクトによる活動計画の作成 学校評価や次年度の重点目標、中学校区の連携事業等を受けて、年度末に各プロジェクトでは次年度の活動計画を作成します。活動計画に盛り込む内容は「活動目標」「重点事項」「主な取組内容」です。この活動計画は、学校評価委員会を兼ねる研究推進委員会で検討され修正等が加えられます。最終的に、活動計画をもとに「学校評価計画書」が作成され、グランドデザインの骨格が完成します。

教育課題解決のための方策を立案する

【学びプロジェクト】○ 一人一人に確かな学力を形成する。○ 互いの考えを交流することを通して、よりよい学びを促す。【心プロジェクト】○ 多様な活動を通して、よりよいかかわり方を身に付けさせたり、自己有用感を高めたりする。【汐なりプロジェクト】○ 地域と積極的にかかわり、問題解決能力や地域を愛する心を育てる。【健康・安全プロジェクト】○ 生活習慣の見直しや体力の向上を図る。○ 防犯や防災に対する意識や対応能力を高める。

【学びプロジェクト】 ★算数主任  理科主任 ☆教頭【心プロジェクト】 ★生活指導主任 道徳教育推進委員  特支コーディネーター  通級教室担当【汐なりプロジェクト】 ★総合主任 ☆研究主任 ☆教務主任  生活科主任【健康・安全プロジェクト】 ★体育主任  安全主任  保健主事(養護教諭)

各プロジェクトの中長期的目標

プロジェクトの構成

 ★主任 ☆研究推進委員

Point

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小学校編(直江津小学校)

グランドデザインに盛り込む内容を決定するプロジェクトとの連動 プロジェクトが発足した平成23年度に、グランドデザインを全面リニューアルしました。教育目標、重点目標に続いて、各プロジェクトの概要を掲載しています。プロジェクトの概要では、まず、「プロジェクトの目標」を掲げ、これを達成するための「具体的な取組」を箇条書きで記載しています。プロジェクトの目標は、中長期的な目標をベースにしているため、重点目標に直結しないものになっているものもあります。具体的な取組についても同様であり、次年度以降の課題と考えています。

コミュニティ・スクールの発足 上越市では、平成24年度からすべての小・中学校でコミュニティ・スクールが発足しました。本年度のグランドデザインでは、学校運営協議会の意義を新たに付け加えるとともに、学校と家庭・地域との具体的に連携する場や機会について修正を行いました。

意識付けと周知 グランドデザインは、学校の基本構想を示した設計図です。教職員全員が常に確かめながら、学校運営や教育活動を進めていくことが欠かせません。このため、教務室のホワイトボードに拡大掲示して意識付けを図るようにしています。また、右図に示したように、様々な機会を通じて保護者や地域住民への周知を行っています。

学校運営協議会の意見・要望の把握 さて、本年度から年度末の学校運営協議会では、次年度のグランドデザインについても協議していただくことになります。忌憚のない意見や感想を引き出し、家庭や地域の理解を一層得やすいものに改善していきたいと考えています。

① 教職員全員に配付する。② 教育計画に綴じ込む。③ A0判に拡大したものを教務室・校長室・児童玄関前に掲示する。④ 4月のPTA総会当日に開催する「学校運営説明会」で活用する。⑤ 年度始めの学校だよりに掲載する。⑥ 学校関係団体の会合の開催時に、説明資料として活用する。

グランドデザインの活用場面

グランドデザインを効果的に活用する

平成24年度 上越市立直江津小学校 グランドデザイン

学びプロジェクト 心プロジェクト

汐なりプロジェクト

【 重 点 目 標 】

安 全 の 確 保

教育活動の改善

基本的生活習慣の改善 そのほかの活動等

ものや金銭の価値に気付き、よりよく生きようとする子どもの育成

健康・安全プロジェクト

Point

意識付け

Point

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グランドデザイン作成の実際

具体的な目指す生徒像を示し、教育課題を焦点化 前年度の学校評価から生徒の実態を把握し、課題を整理することで中学校の教育課題を明確にしました。人間関係形成能力の育成、自己肯定感の向上、意欲的な学習態度を育成する上でキャリア教育の有効性を再確認し、キャリア教育の理念を教育課程の中核に据え、すべての教育活動を見直しました。そして、「大きな志を抱き、限りなく伸びようとする生徒の育成」を重点目標に設定し、特色ある教育の実践を目指しました。

重点目標の全職員共通理解 キャリア教育は生徒の自立を促すもので、すべての教育活動で実践できるものです。キャリア教育の推進を意図した重点目標を校内研究の研究主題として設定することで、授業力向上を基盤にした自立の力を育成する(目指す生徒像を実現する)研修の共通理解と研修の日常化を図る。

学校評価に基づき、教育課題を焦点化する

キャリア教育をとおして付けたい力の明確化 教育課題解決のために、生徒に身に付けさせたい5つの能力(「人間関係形成能力」「情報活用能力」「社会形成能力」「将来設計能力」「意思決定能力」)を設定し、教育活動全体を通して育成していくことを全職員で共通理解し、指導目標としてグランドデザインに位置付けました。

重点課題達成のための具体的な取組 キャリア教育を効果的に行うために、3領域を「自立プログラム」「共生プログラム」「深化・統合プログラム」に編成しました。3つのプログラムに目指す生徒とキャリア教育の具体的な能力を示し、活動のねらいと活動内容をより具現化し、全職員で指導できるようにしました。

教育課題解決のための方策を立案する

なぜ、キャリア教育か

3つのプログラム

自立した人間の育成

社会の要請

保護者の願い

地域の願い

学校の願い

自立への教育理念

キャリア教育

重点目標と研究主題の一体化

□自分の将来に目標をもっ

て、主体的に学習に励む

生徒を育む

 「自立プログラム」

□社会や地域の発展に寄与

しようとする生徒を育む

 「共生プログラム」

□役割と責任を自覚した言

動をとれる生徒を育む

 「深化・統合プログラム」

大きな志を抱き、限りなく伸びようとする生徒

Point

Point

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中学校編(雄志中学校)

グランドデザインに盛り込む内容を決定するキャリア教育を中核とした教育課程の構造化 グランドデザインをより簡素化し、教職員はもちろん保護者や地域の方に活動のねらいをより明確に理解してもらうために改訂しました。生徒像で示した重点目標や身に付けたい力、教育課程における具体的な取組、地域との連携をキャリア教育の視点で構造化し、指導の方向性を明確にすることで、キャリア教育を中核とした特色ある教育活動が一目で分かるようにしました。

全職員で確認し、全職員でデザインすること グランドデザインの作成にあたっては、職員研修でワークショップを

行い決定しました。全職員が制作にかかわることで、活動の意義や指導の道筋を総合的、構造的に共通認識し、キャリア教育の必要性や重要性を再確認するとともに、主体的に学校運営に参画する意欲が高まりました。

視覚的カリキュラム表への位置付け グランドデザインの3つのプログラムを機能的に実践するために、視覚的カリキュラム表に3つのプログラムのボタンを設定し、年間指導計画に位置付けました。 また、教科間や総合的な学習の時間、道徳の時間、特別活動がそれぞれ関連付けられるように、単元や題材、活動を調整し、効果的に配置して指導しやすいカリキュラム表にしました。

グランドデザインと視覚的カリキュラム表をつなぐ構造図 グランドデザインと視覚的カリキュラム表との関連性を図るため、3つのプログラムの年間活動構造図を作成し、それぞれの活動のねらいや意義と活動との関連性を視覚化しました。視覚化することにより、評価のPDCAサイクルを機能しやすくするとともに、見通しをもって実践できるようにしました。

□ 構想(グランドデザイン)と実践(視覚的カリキュラム表)をつなぐ年間活動構造図

□ 内容を絞り込み、ワークショップでそれぞれを関係付けながらグランドデザインを作成します。

年間活動構造図

ワークショップでの構造化

グランドデザインを効果的に活用する

視覚的カリキュラム表【構想】

年間活動構造図【整合】

グランドデザイン【実践】

Point

Point

☞ 教育センターホームページ(http://www.jecenter.jorne.ed.jp/)に掲載されています

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運用 改善 評価カリキュラム表の作成

4月 5月 6月

カリキュラム構想

3月 7月 8月日常的な修正➡

1学期実践仮のカリキュラムの作成と検討

視覚的カリキュラム表のよさを確認する方策❶重点目標等の意識化を促す 視覚的カリキュラム表に学校課題を位置づけることで、解決の場がどこにあるかを明確にします。教職員の一人一人が、常に学校課題に正対してカリキュラムを創るよう、意識化するようにします。

方策❷教職員の協働を促す 可視化したカリキュラム表を用い、ワークショップ型研修を行うことで、職員相互のコミュニケーションを促し、同僚性を高めます。その繰り返しにより、教職員のベクトルを揃えます。

方策❸マネジメント能力を育成する 視覚的カリキュラム表をもとに、実践と評価を繰り返すことで、全体的・俯瞰的にカリキュラムを見る力をはぐくみます。カリキュラムユーザーから、カリキュラムメーカーへと教職員を成長させます。

☞『上越カリキュラム』P3-10

学校課題をカリキュラム表に落とし込む方策❶重点目標をもとにボタンを設定する 重点目標をキーワードで置き換え、ボタンを構想します。それによって、課題解決のアプローチを捉えやすくし、課題解決の場を具体的に構想します。

方策❷年間を見通し調整を図る 教育活動全体を見通し、関連行事などを踏まえて単元の実施時期を検討します。重点目標に照らし合わせて単元の入れ替えや時数配分などの調整を行います。

☞『上越カリキュラム』P3-11

方策❸中核となる教科・領域を構造的に示す 課題解決の主となる場を軸に、中核となる教科・領域を構造的に配置します。関連した活動や教科横断的な取り扱い等を考慮しつつ、視覚的カリキュラム表に整理します。

☞『上越カリキュラム』P3-9~10

視 覚的カリキュラム表の作成・活用Ⅱ

Point

5 Point

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価 活用 改善 評価 カリキュラム構想

1月 2月 3月月 9月 10月 11月 12月日常的な修正➡

次年度の教育課程編成会議

実践の成果の検証と集積

2学期実践交流会交流会

視覚的カリキュラム表の活用を工夫する方策❶授業改善の資料とする 視覚的カリキュラム表をもとに、見通しをもって一単位時間の授業を構想します。また、教科間や、生活科、総合的な学習との関連を図るなど、教科横断的なカリキュラムを構想する際の資料として活用します。

方策❷学校運営協議会委員・地域住民に示す 今年度から始まったコミュニティ・スクールでは、地域の有効な資源・人材の活用が期待されます。学校運営協議会委員や地域住民に視覚的カリキュラム表を示すことによって、教職員の知らない郷土の資源・人材を見付け出し、活用を図ります。

方策❸掲示する 日常的に利用するためには、手元に置いておくことはもちろんですが、目に付くところに掲示するのもよい方法です。教職員だけでなく、児童・生徒、保護者も目にする場所に掲示し、学校の姿勢や主張点を伝えます。

☞『上越カリキュラム』P3-13

視覚的カリキュラム表を創り続ける方策❶研修に確実に位置付ける 年度始めに、どの時期に視覚的カリキュラム表の見直しを行うかを明確にしておきます。各教職員は、見通しをもって実践を進め、修正を行います。付箋をはったり書き込みを入れたりしながら、子どものよさや改善点等の可視化を図ります。

方策❷スケジュールを管理する 年間を通して、タイムスケジュールの管理ツールとして使います。学期末にあわてて帳尻を合わせるなどの事態を回避するためにも、こまめにチェックするようにします。それによって、限られた時数を有効に使って、校外学習や施設見学などの体験活動を仕組むようにします。

方策❸子どもの姿を基に修正する 年度始めに構想したカリキュラムを、子どもの姿の変容を基に修正します。「まだ、表現力が乏しいので、表現する体験を積ませたい」「社会性に乏しいので、異学年交流の機会を増やしたい」など、子どもの事実をもとに、カリキュラムを柔軟に改善します。

☞『上越カリキュラム』P3-12

 学校課題は、授業づくりに反映することで初めて解決が図られます。どのようにカリキュラムを構築し、授業を進めていくか、具体的にイメージし、マネジメントするツールが「視覚的カリキュラム表」です。年間カリキュラムを実践・評価・改善を含むまとまりとして考えたとき、可視化することによって、見通しをもった取組が実現します。そして、評価~改善の営みが、教職員を鍛え、学校力を高めます。

Point

7Point

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視覚的カリキュラム表作成と活用事例

方策③ マネジメント能力を育成する 視覚的カリキュラム表は、学期単位・年度単位でマネジメントする課題や内容を明らかにします。その課題を受け、実践→評価→修正する中でマネジメント能力が高まります。 2学年部は、学年会の中で学校の課題である社会性の育成について協議する時間を設定しています。各学級の取組を協議し、取組の中で意図した社会性の育成の効果を確かめ合います。その上で次の取組を考えていきます。次の一手を考える中で、カリキュラムが修正されていきます。 このような学年会の取組を受け、代表者が集まるプロジェクト推進委員会が定期的に開かれます。学年会の協議を反映した各自のレポートをもとに、日々の実践を紹介・情報交換し、自身の実践を評価していきます。その結果が、学年会に反映されます。 このような学級・学年、全校規模での情報共有・評価を繰り返し、教職員一人一人のマネジメント能力を高めていきます。

視覚的カリキュラム表のよさを確認する

方策③ 中核となる教科・領域を構造的に表す 視覚的カリキュラム表を大きく印刷し、ワークショップ型研修を行うと、次々とアイデアがわいてきます。そして、そのアイデアを分かりやすく表現しようと様々な工夫が生まれてきます。 社会性の育成を目指し、当校では「伝え合う」「思いやる」「(自分を)見つめる」の3つをボタンとして設定しています。各教科・領域でボタンを設定してみると、道徳の時間と学級活動、国語でつながりが強いことが分かりました。そこで、この3つの教科・領域を近くに配置し、関係性を分かりやすくする工夫が見られます。また、総合的な学習の時間(のびやか活動)は、他教科と関連して指導される面が多いため、カリキュラム表の中央にし、矢印を使って関係性を分かりやすくしています。 教科の並べ順や教科の幅を変える等の工夫を学年で考えることで、カリキュラムの中で育む社会性について意識を高めることができました。

学校課題を視覚的カリキュラム表に落とし込む

心づくりプロ

健康・体力づくりプロ

学びづくりプロ

プロジェクト推進委員会

1年2年3年4年5年6年すまいる

○レポートワークショップによる情報や課題の共有

○各部・各学年の状況把握○進捗状況の評価

級外

すまいる

学年会○学年会で課題の共有○改善の方略○プロジェクト推進委員会の情報共有

○進捗状況の評価

プロジェクト部会○進捗状況の評価 ○改善の方略、次年度の提言

3年

5年

6年

2年

4年

1年

Point

Point

カリキュラム・マネジメントを行う校内組織

5年生のカリキュラム表

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小学校編(春日小学校)

視覚的カリキュラム表を創り続ける方策① 研修に確実に位置づける 上越カリキュラムには、「カリキュラムは変容する」という基本認識があります。そのため、カリキュラムの改善を研修に位置づけ、子どもの学びの変容を、計画的にカリキュラムに反映・具体化することが大切です。 計画的にカリキュラムを修正するために、学校評価の取組と修正を一連のものとして取り扱っています。学校評価を受けた改善事項は、いつ・どのように改善するかを明確にすることで、具体化されます。長期休業に入ってすぐ、8月前半に、各種評価を分析し課題を明らかにします。8月下旬、学年チームで視覚的カリキュラム表の見直しを行います。課題を解決するために、カリキュラム上でできることや具体的な方策を話し合います。その後、全体研修で各学年のカリキュラム表の変更点を伝え合います。学校全体の取組の方向性を、年度途中で確認・修正しています。

方策③ 掲示する 視覚的カリキュラム表を活用することで、学校の取組を具体的に分かりやすく伝えることができます。さらに、地域の支援を受け、様々な地域の学習素材をカリキュラムに組み込むことで、充実したカリキュラムを作成することができます。 カリキュラムへ教職員の意識・関心を高めるために、教務室脇廊下にカリキュラム表を掲示しています。教職員だけでなく、時々、来校者のみなさんがカリキュラム表の前で立ち止まり、熱心に見ていることがあります。カリキュラム表を見れば、今、小学校で何が行われ、これからどうなっていくのか一目瞭然です。 また、4月の保護者会の折に、学年・学級の1年間の取組について説明するための資料として使います。年間の活動の流れ、特色のある学年の活動などが一目で分かりやすいためです。このようにして地域住民と連携を図っていくためのツールとして活用できます。

視覚的カリキュラム表の活用を工夫する

夏季休業中の研修と学校評価 ~1学期を振り返り、2学期の実践の方策を視覚化する~日 が研修、 が主な取組 学年の準備日程7/25

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8/1

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2021

8/22

2223

24

25

26

2728

1学期の実践の資料を収集ハートアイ・アンケートデータ提出

実践交流研修

改善調査採点終了

分析・報告準備

前半: 学習指導改善研修

:プロジェクト会議学びづくりプロジェクト

人間関係づくりプロジェクト

心づくりプロジェクト

健康体力づくりプロジェクト

改善の提案

学年会(評価プロジェクト)学習指導改善研修、アンケート、実践交流、評価プロの情報

を総合し、改善策を考えて、カリキュラム表を修正する。

中旬 報告書

同和教育現地研修会

後半: のびやか活動報告会

改善の提案 改善の提案 改善の提案

:教育課程研修報告

三校合同研修

セレクト研修

職員会議でカリキュラム表をもとに報告

1 職員自己評価アンケート集計

 夏季休業中の研修は、いずれも学校評価改善につながります。そのイメージを図にしてみました。この図を参照の上、以下のように準備下さい。○最終のアウトプットである、改善の方策やカリキュラム表の修正をイメージしながら、研修に参加する。○学年の打ち合わせを、いつ行うか予定をたてる。

地域に広がる学校のカリキュラム カリキュラム検討会に参加された学校運営協議会の委員の方々から、次のような感想をいただきました。「小1から小6まで段階を踏んで進めるカリキュラムに興味をもちました。検討の際、中学生の活動の現状、特に地域等で行われている社会貢献の活動など、地域の情報を活用されると一層の成果が期待できるのではないかと感じました。」 カリキュラムの作成を通して、地域の方々とつながることで、様々な効果が期待できます。学校の教育活動が地域に伝わるだけでなく、学校を飛び出し地域とかかわるダイナミックな学習活動が可能になります。

Point

Point

カリキュラム修正の工程図

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視覚的カリキュラム表作成と活用事例

方策② 教職員の協働を促す 教科部会や学年部会を開き、学校の課題解決に向けて教職員のベクトルを揃えることが大切です。 今年度は、新学習指導要領の全面実施にともなって、教科書が変わった教科があったため、研究主任が各教科書会社のWebサイトから年間指導計画などをダウンロードし教科主任に配布しました。それをもとに、各教科部会で生徒の実態を考えながら単元ごとの時数を調整しました。また、総合的な学習の時間に関しては、大まかな活動構想を学年部で検討しました。そして、どの部分で地域の方から協力をしていただくかを検討しました。

視覚的カリキュラム表のよさを確認する

方策② 教科や行事等を関連付ける 総合的な学習の時間や学校行事と教科を関連付けることで、生徒の学習に系統性や発展性をもたせるとともに、学校課題をどの単元や題材で解決するのかを話し合いながら、ボタンを設定したり時数を調整したりすることが大切です。 今年度は、2年生の総合的な学習の時間の「修学旅行をとおして、自分の生きる道を探る」に結び付く単元・題材を各教科で構想しました。○ 国語科…単元「根拠を明らかにして書こう」 今回は学級別コースを決定する前に、まず個人で、「どこへ行きたいのか、なぜそこに行きたいのか」という考えをもたせ、その考えをもとに理由を明確にして書く活動を実施しました。○ 美術科…「郷土のよさを伝えよう」 商品ラベルの制作では、日常生活の中のパッケージデザインのもつよさや美しさ、デザインの働きについての理解を深め、修学旅行で「米粉クッキー」を販売することを目的に、そのパッケージに貼るラベルをデザインする活動を実施しました。

学校課題を視覚的カリキュラム表に落とし込む

Point

Point

webサイトから年間指導計画をダウンロードし、時数を考える

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中学校編(直江津東中学校)

視覚的カリキュラム表を創り続ける方策③ 子どもの姿をもとに改善する 生徒の姿の変容をみとり、年度当初計画したカリキュラムを柔軟に変容させていくことが重要です。 2年生美術の学習では、年度始めに1年間の授業の流れについてガイダンスを行いました。最初は、パッケージに貼るラベルをデザインする学習をした後、粘土による和菓子のデザインとモデルの制作を行う予定でした。しかし、ガイダンスの内容を聞いた生徒は、和菓子のデザインに大変興味をもち、「早く制作したい」と意欲的な姿が見られました。そこで、年度当初考えた計画を入れ替え、授業を行いました。結果的に、昨年度の既習事項である粘土による塑像の制作や他者の視点で見るデザインの学習を生かすことができ、学習の深化を図る上でも効果的であるということが分かりました。

方策① 授業改善の資料とする 教科部会では、視覚的カリキュラム表によって時数管理をすることで、見通しをもって一単位時間の授業を構想することができます。 今年度の職員研修テーマは、「生徒が意欲的に取り組む授業づくりの研究 ~学習意欲と達成感を高める授業の在り方の工夫~」です。新しい取組として、校内一人一公開授業を行い、中学校区の4つの小学校にも案内を出して参観してもらいました。授業後には、ユニバーサルデザインを取り入れた授業になっているかなどを評価してもらうアンケートを実施しました。そのアンケートと視覚的カリキュラム表をもとに、月1回の全教科一斉教科部会では、具体的な生徒の姿を語り合います。そして効果的な指導方法を、付け加えたり、軌道修正すべきところを明確にしたりして、これまでの取組のよい点や充実させるべき内容を見出しています。

視覚的カリキュラム表の活用を工夫する

若手教員からのコメント 初めて上越市に勤務したときに「視覚的カリキュラム表」を知りました。今まで自分が担当している教科では、年度始めに年間指導計画を見直し教育計画に載せただけで、日常的に見直すことがありませんでした。しかし、この視覚的カリキュラム表は、学習進度がリアルタイムで分かります。そのため、毎日とはいきませんが、単元毎に見直すようになりました。また、他教科がどのような単元配列で授業が行われているかを一目で見ることができます。そのため、他の教科と関連を図った授業を考えるようになりました。授業内容を考えるときに、他の教科の先生からアドバイスをいただくことができ、自分の教材研究にもつながります。楽しく、分かりやすい授業を行うことを日々心がけた結果、各学期末に行われる生徒の学習アンケートの「作業や課題に興味関心をもち、意欲的に取り組んでいる」という項目では、昨年度よりも数値がアップしました。

Point

Point

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追求意欲を高める課題設定の工夫 課題設定の仕方を工夫し、子どもの知的好奇心を揺さぶり、追求意欲が高まるように努めます。特に、授業の導入では、子どもの困り感を取り上げ、一人一人が課題解決への具体的なイメージをもてるようにしました。

納得した知を導く支援 仲間の考えのよさを共有し、子どもみんなが納得できる知となるように、子どもの何気ないつぶやきを大切にします。また、思考力・表現力をはぐくむために、仲間の考えの続きを言わせたり、代弁させたりする場を意図的に仕組み、子どもに考えることの楽しさを実感させていきます。

小4年算数

授 業をつくるⅢ

1 重点目標「かかわって学び、高め合う子どもの育成」に迫る 小規模校である当校では、子ども相互の仲間意識が強い半面、人間関係が固定化する傾向があります。また、与えられた仕事を最後までやり抜くなど、勤労意欲が高い一方で、主体性や創造性に物足りなさがあります。そこで学校評価から明らかになったこれらの課題を解決するため、まず学ぶ意欲や考えを伝えたいという気持ちを全校体制で高めることが重要だと考えました。互いのよさに気付き、仲間の考えを大切にしながら互いに学び合うことで、個々の学びが深まるようにしたいと考えました。

2 学力向上にかかわる取組 自分の学びを深めていくために、仲間の多様な考えに触れることは大切です。しかしながら、発言する子どもが固定化していたり、能力差があったりして、仲間の考えが理解できない場面が見られました。そこで、国語科を中心に、「考えることを楽しむ子ども」の育成を目指すことにしました。 「考えを深める」ためには、子どもの学習意欲を喚起するような発問や教材提示が大切です。そこで考えざるを得ない場を意図的につくり出し、自他の考えを伝え合い、比較したり、練り上げたりしていく場を設定します。また、こうした場を通して自分の考えの変容を実感できるように、ノート記述など、書くことを重視します。そのため、視覚的カリキュラム表に「伝え合う」ことを重視した単元を設定しました。そして、「話す-聞く」場や自分の考えを振り返る場を授業に位置付けるなどして、全校体制で授業改善に取り組むことにしました。

3 単元の構想⑴ 単元名  第4学年算数「面積」⑵ 単元の目標  ◎ 面積の求め方や単位の関係を理解し、求積に必要な辺の長さを調べて、長方形や正方形、複合図形の面積を

求めることができる。⑶ 本単元で目指したもの(下のPoint9,10)

Point

9Point

10

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4 授業の実際⑴ 本時のねらい  ○ どちらの面積が大きいかを追求する中で、必要な辺の長さを見出し、複合図形の面積を

工夫して求める。⑵ 展開の概要 図-1を提示し、「どちらの面積が大きいか」と問うことで、子どもに「面積を求める」必然性を与えたいと考えました。しかし、それを判断するためのアイデアが出てきません。そこで、「AとBのどちらの面積なら求められそうか」を問い、Bの面積を求めることにしました。 子どもからは、図-2①~④の求め方が出されました。ネーミングには、子どもの思考が表現されており、おもしろいと思いました。 「AとBどちらの面積が大きいか」を考える場面では、AとBの図形をそれぞれ別々に分けて提示しました。すると、④のはめぬき方式が子どもの思考の中でつながったのか、「あーっ、そうすればいいんだ!」の声が聞こえてきました。そして、Aの図形(長方形)の縦と横の長さを知らせると、「あ~同じだ!」の子どもの声と同時に、予想で「面積は同じ」と答えた、たった1人の子どもが「やった‼」と満面の笑みを浮かべ、跳び上がって喜ぶ姿も見られました。 その後、子どもが見出した図-2①~④の求め方が、図-3ア~エの図形でも活用できるか、また、どの方法が一番簡単にできそうかを問うことで、子どもの見出した求積方法の活用を図るとともに、よさを感じさせました。

●私の授業改善

 算数科では、本時のように複合図形の求積場面を課題とすると、多様な求積方法が子どもから挙げられます。このように、多様な考えが出される授業においては、「どの求め方が一番効率がよいか」を問うだけではなく、「場面に応じて効率のよい求め方は変わる」ということを子どもに実感させることが大切です。それにより、それぞれの考えのよさが際立つと考えるからです。 その際、算数科では、ノートを効果的に活用したいのです。「板書したこと」「分からなさ」「解決への見通し」「自分の考え」「友達の考えのよさ」「分かったこと」など、書くことはいくらでもあります。すぐには定着できないかもしれませんが、発達段階に合わせて、継続的に取り組むことが大切だと考えています。これは、算数科に限らず、他教科においても、子どもの思考の変容を把握するのに大切です。また、子ども自身が自分の学びを実感できることから重視していきたいことです。

 学校課題を解決していくための具体的な場が授業です。グランドデザインに示した具体的な取組をもとに、解決策を一層具体化し、授業づくりに努めます。1時間1時間の授業を大切にする、その延長上に学校課題の解決、目指す子ども像の具現があるのです。ここでは、小学校算数と中学校社会科をもとに、授業づくりのポイントを例として示します。

②よこ切り方式①たて切り方式

④はめぬき方式③いどう方式

アイ

ウ エ

図-1

図-2

図-3

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中1年社会

授 業をつくるⅢ

多様な教育的ニーズに対応する授業をデザイン 「どの生徒にも分かる」授業づくりを目指します。学習の流れを提示し先を見通せるようにするとともに、教師からの課題や発問は短く明確にします。板書は授業タイトル、ねらい、まとめを確実に記すようにします。また、ICT機器等の活用による視覚に訴える資料提供の工夫、ねらいに対して自分の言葉でまとめる場の保証など、日常化していくことが大切です。

新しい気付きや学びの深まりを生む場の設定 多様な主張がでそうなテーマや自分とのつながりが見いだせるテーマを設定し、ディベートなど意見交換の場を学習過程に位置付けます。異なる価値観や多様な意見に触れたり、グループの仲間と教え合ったことを学級全体で共有したりするように意見交換の場をコーディネートしていきます。また、教師が価値付けを行うことで、生徒は「分かる、できる」を実感していきます。

1 学校課題「学習の質的向上を図り、自己有用感・自己肯定感を高める」に迫る 年2回行う学校評価アンケートから、「学習意欲」「学習規律(忘れ物やチャイムスタート)」「家庭学習時間」「基礎基本の定着」の向上が学校課題として挙がりました。学習意欲の低下は、忘れ物や家庭学習の不足につながるとともに、授業そのものも消極的になり、自分の意見や考えを主張したり、発言をしたりすることができなくなってしまいます。そこで、授業のユニバーサルデザイン化を図り、どの生徒も「できた」「分かった」と実感でき、自信を深めることができるようにしたいと考えました。

2 学習の質的向上を図る取組 学習の質的向上を図るために「発問や指示、課題提示の工夫」「板書の工夫」「授業のねらいや流れの提示」「まとめの場面の設定」に全校体制で取り組んでいます。例えば、生徒の関心を高めるために、実物を提示したりICT機器を用いたりします。また、授業のねらいや流れを説明し授業に見通しをもたせます。板書は重要語句を黄色チョークで示したり、「⇒」や図示したりして構造化を図ります。 単元や題材によっては、意見交換の場を設定します。自分の考えをグループや学級全体の場で主張し意見交換することはコミュニケーションの育成につながります。さらに、マグネットボード等を用い主張や考えを視覚的に提示することで、効果的な説明や思考の広がりや深まりが期待できます。

3 単元の構想⑴ 題材名 『あなたはどこに住む? -上越vs新潟vs東京都内-』(「身近な地域の調査」)⑵ 単元の目標  ◎ 身近な地域の調査における成果や既有知識を基に、学級の仲間と意見交換することで、自らの認識や思考を

広げ深めることができる。  ◎ 読図のスキルを身に付けるとともに、上越の地理的事象に対する長所・短所を他の地域と比較し、将来、自

分の住みたい地域と関連付けて考察することができる。

Point

11Point

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⑶ 本単元で目指したもの(左下のPoint11、12)

4 授業の実際⑴ 本時のねらい  ○ 追究の成果を基に、仲間に効果的に説明したり、意見を述べ合ったりして、自分の住む地域の特性について

考えを広げ深めることができる。⑵ 展開の概要 「将来上越に住みたい」と考える生徒が非常に少ないことが分かりました。「地方=田舎=不便」という認識が生徒の中にありました。そこで、新潟市や東京都と比較する追究活動を行い意見交換に臨みました。「安全性」「利便性」「住居」「経済(豊かさ)」「環境」という視点で追究することを条件としました。 同じ主張同士でグループを作り、意見交換を行いました。意見を述べる際は「結論-理由(数値や情報)」の順に述べるようにしました。中には、家庭科で学んだことを生かした主張もありました。上越市・新潟市・東京都のそれぞれの立場から意見を述べた後、反論や反対意見を仲間と話し合いました。この時間をしっかりと確保することは、意見交換において非常に重要となります。自由に話し合える雰囲気づくりも日頃から習慣化しておかなくてはなりません。また、教師はあらかじめ生徒の主張や情報を確認し、必要に応じてデータをプロジェクターで提示するなど準備をしておく必要があります。意見交換中は、メモをとることに時間をとりすぎないよう、ワークシートはキーワードのみを記入できるような形式に留意しました。 最後に、都市圏から上越に移り住んだ保護者の方のメッセージを朗読しました。その中には、私たちが気付かない上越のよさや風土、特色について言及してあり、「そういう見方もあるのか!」「なるほど!」と、認識を深める生徒が多くいました。

●私の授業改善

 毎時間の授業では、生徒の表情や発言、つぶやき、作業への取組状況から、ねらいや課題、主発問などを再検討し、次時に活かしています。そして、生徒が今、何をすべきかが分かるように、具体的で分かりやすい語句を用いて課題を出したり、発問したりしています。 単元構成においては、具体的に自分とのつながりが見出せる題材を取り入れたり、教科間の連携を図ることができる課題を提示したりしています。そのために、視覚的カリキュラム表を活用し、他教科の学習内容や題材を確認しています。また、生徒による授業アンケートを年2回行い、教師の説明・指示や板書の分かりやすさ、授業の進め方や具体的な要望などを確認し、生徒にどのような点を改善し進めていくか説明しています。

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学校と地域で学校評価 自校の学校運営協議会で行う学校関係者評価が次年度のグランドデザインやカリキュラム編成に生きるようにするために、次のことから評価活動を見直します。1  学校の自己評価の客観性や透明性が高まったか。2  評価活動等をとおしたコミュニケーションにより、委員が相互に理解を深めることができたか。3  よりよい学校をつくるため、委員が、教職員と一緒になって子どものことを考え、それぞれの立場、視点から意見を出し合うことができたか。

地 域とともにある学校とカリキュラムⅣ

楽しい学校の創造

ネガティブ(消極的)

ポジティブ(積極的)

クリエイティブ(創造的)

待つ姿勢評価を受ける形骸化し行事消化的

○ 仕事を与えられる○ 地域を待つ・ 地域の声を待つ・ 来校を待つ・ 読み聞かせボランティアを学校で待つ

依頼する姿勢評価を求める意欲的な取組

○ 仕事を求める○ 地域に呼びかける・ 地域の声を求める・ アンケートをお願いする・ 上学年が下学年に読み聞かせをする

開発する姿勢評価を創造する創造的機動的な組織力

○ 仕事を創造する○ 地域に出て行く・ 委員の声を聞き、協議会で話し合う・ 中学生が小学校へ読み聞かせボランティアに行く

※嬉野市2010を改変

教職員の意識や地域に対する姿勢

Point

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戦略的に地域とかかわる 地域とともにどんな学校づくりをしていくのか、目指す学校の姿を具体的にして、保護者や地域の皆さんに分かりやすく説明することは、校長の責任です。 学校、家庭、地域が、子どもの教育について同じ考えに立つことが大切です。 学校が、また家庭や地域が、何をしていかなければいけないのか、学校運営協議会を中心に具体的な協議をします。 教職員は、地域に出かけ、地域を知ることがとても大切です。地域で学んだことをカリキュラム編成に生かします。

上越市内の学校で ほとんどの教職員は、学区以外の地域から通勤していることから、地域のことがよく分かりません。しかし、転入するとすぐにカリキュラムの確認や編成をしなければなりません。そこで、学校運営協議会の委員が各学年部会に入って、視覚的カリキュラム表を真ん中に話し合いが行われました。委員が地域の情報を提供したり自らの専門的な知見からのアドバイスをしたりすることから、よりよいカリキュラムづくりができました。

子どもの成長で地域を変える上越市内の学校で

 学校運営協議会で学校評価中間まとめについて協議したときに、子どものあいさつのことが話題になりました。そのときに、子どもが上手にあいさつできないのは、大人がよいあいさつをしていないからだという意見が出ました。そして、大人が子どもの模範になる必要があることから、地域での大人のあいさつ運動へとつながっていきました。 子どもは大人の鏡です。家庭での保護者の様子や学校での教職員の様子を見て、学んでいます。子どもの学びは、大人のまねから始まるのです。

 子どもの成長と地域の元気は、みんなの喜びです。学校を核に、地域ぐるみで教育を推進していきましょう。 子どもが、周りの大人に支えられて活動を企画し、自ら運営し、やり遂げる体験が大切です。周りの大人も、子どもとともに活動を考え、創り、成し遂げる体験が大切です。そして、子どもの成長が見えたとき、また地域に活気が生まれたとき、大きな喜びになります。

 校長は、学校経営の責任者です。校長を含めた学校運営協議会や地域青少年育成会議での熟議により、学校・家庭・地域でともにどんな子どもを育成していくのか明確にすることが大切です。この子ども像が、みんなの目標になるのです。学校では、この子ども像を念頭に学校の実態を見据えたうえで、自校の教育目標や重点目標を見直します。一方、目標の達成状況を点検・評価する学校評価も、次年度の学校運営の基本方針を定めるためにとても重要です。学校の目標、カリキュラム、運営、評価の一体的なマネジメントは、校長のリーダーシップにかかっているのです。

Point

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学校がカリキュラムを開発するということ 平成に入った頃からだろうか。学校研究が一単位時間の授業を超えてカリキュラムのレベルで構想されるようになり、学校教育を柔軟で闊達な、目の前の子どもの事実、地域の実態に即したものとするのに貢献した。ただ、その一方で一単位時間の授業が粗くなったり、自らが開発したカリキュラムに実践が拘束される等、本末転倒な事態も生じる。そのような中、上越カリキュラムの取組が、具体的な子どもや日々の授業を拠点に学校ごとの個性的なカリキュラムを、しかも常に更新されるものとして生み出すことを課題としたこと、またそれによって個々の教師、学校がカリキュラムのレベルで教育を思考する資質・能力の向上に重点が置かれていることは、まさに卓見であると思う。

上智大学教授奈須 正裕

意識が変わる! 組織が変わる!  

 授業づくりをテーマに学校現場と一緒にカリキュラムや授業の開発研究を進める。平成24年度から上越カリキュラムの指導者を務めている。

上越カリキュラム関係出版物

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「地」を生かした「知」の創造 「上越カリキュラム」は、郷土を大切にする教育実践の在り方を、市内全校が目指す姿として明確にするものです。しかしながら、それはローカルスタンダードの設定や評価指標の標準化などの形で個別学校の実践内容を枠付けるものではありません。モデルの例示や、道具としての視覚的カリキュラム表の活用促進など、緩やかながら確かなリーダーシップの下に、個々の学校のカリキュラム・マネジメントの自校化を促しています。ここが大変魅力的なのではないかと思います。上越の「地」を生かした「知」の創造へむけて各校が自主的に取り組める、そんな実践環境の保障として「上越カリキュラム」に息づいていって欲しいと思います。

上越教育大学准教授安藤 知子

カリキュラムが変わる!

 上越カリキュラムの開発に着手して6年経過しようとしています。用語の定義や情報量の多さに戸惑いを感じながらも、学校のグランドデザインの策定、視覚的カリキュラム表の作成などの具体的な取組が着実に定着してきました。その中で、ツールとして開発した視覚的カリキュラム表が各学校で積極的に作成・活用され、具体的な取組をとおして教職員の「意識が変わる」、学校の「組織がかわる」という動きが見え始めてきたのです。 上越カリキュラムの開発は、授業の充実、子どものよりよい成長に結び付いて目的が達せられます。このハンドブックでは、その道筋が見えるよう努めました。また、コミュニティスクールの充実を図ったり、小中一貫教育を実践したりしていくためには、これまで以上に地域参画型のカリキュラムづくり、校種間の連携を密にしたカリキュラムづくりが求められます。受け身ではなく、積極的に課題を見出し解決する「攻め」姿勢で、経営戦略としてのカリキュラム改善を図ることを期待します。

 主に学校経営学、学年・学級経営論、教師論について研究を進める。平成23年度から上越カリキュラムの指導者を務めている。

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2013上越カリキュラムハンドブック