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箕面市における子どもの貧困の実態を把握するため、次のような調査を行いました。この調査においては支援を検討するために相関関係を分析しました。
1 箕面市子どもの実態把握調査の概要
子どもの家庭環境と「箕面子どもステップアップ調査」
(詳細は次のページ)の結果の関連を分析しました。
学力・体力
自信充実感
問題解決力
伝える力学習習慣
?
家庭環境
・生活保護受給状況 ・児童扶養手当受給状況・虐待相談、保健指導相談の有無 など
子どもの実態把握調査
【ヒアリング対象】
・各小中学校 ・幼稚園や保育所(一部)
・関係機関
(社協、NPO法人あっとすくーる、暮らし
づくりネットワーク北芝、国際交流協会)
・子育て支援センター
・青少年指導センター
・スクールソーシャルワーカー
・母子自立支援員、保健師 など
【ヒアリング内容】
・対象となる子どもや家庭への支援体制
・ケース会議等の開催頻度や参加メンバー
・関係機関との連携における課題
・支援がうまくいった事例、そうでない事例
学校や関係機関が連携し、地域で協力しながら子ど
もたちを支援できているかどうか、その支援の内
容・頻度・手法等が十分かつ効果的かどうかを調査
しました。
地域資源調査(学校等への聞き取り)
2
実態把握調査は、経済的困窮世帯と養育力にリスクのある世帯の子どもを対象として子どもの家庭環境と箕面子どもステップアップ調査(学力調査・生活実態調査・体力調査)の結果との関連について分析を行いました。
2 実態把握調査の概要
生活困窮世帯の子ども 対象層 該当者概数
経 済 的 困 窮 世 帯 の 子 ど も
生活保護、児童扶養手当、就学援助、子ども医療非課税階層のうち1つ以上を利用している世帯の子ども
約 4,000人
養 育 力 リ ス ク の あ る 世 帯 の 子 ど も
虐待相談、保健指導相談のうち1つ以上を利用している世帯の子ども
約 300人
学力調査
3
3 実態把握調査の分析 -経済的困窮・養育力と生活状況との関連
分析のまとめ
・生活困窮世帯の子どもについてはどの項目においても、
肯定的な回答が少なくなっています。
・「④成功体験と自信」「⑤充実感と向上心」「⑥感動体験」
「⑦他者からの評価」は、その質問内容から子どもたちの
心のあり様を測ることができ、これらの項目の肯定的回答
率が低いのは「自己肯定感が低い」といえます。
・「⑧規範意識」「⑨思いを伝える力」「⑩問題解決力」は社会
性が育まれているかを測ることができ、これらの項目の肯
定率が低いのは、「ソーシャルスキルが低い」といえます。
※次ページからの項目数字は肯定な回答を比較しやすいよう数字に置
き換えたものであり、平均値はほぼ50となります。
数字が大きければ大きいほど、肯定率が高いことを示し、その項目に
ついて「良い方向への傾向」が強くなります。
その反対に数字が小さければ、肯定率が低く、その項目についての
「力が小さい」「その思いが弱い」という「良くない傾向」にあると言えます。
生活状況調査偏差値平均
47
48
49
50
51
52
53①家族のささえ
②友だちのささえ
③先生のささえ
④成功体験と自信
⑤充実感と向上心
⑥感動体験
⑦他者からの評価
⑧規範意識
⑨思いを伝える力⑩問題解決力
⑪社会参画
⑫学級の規範意識
⑬学級の絆
⑭いじめのサイン
⑮対人ストレス
⑯生活習慣
⑰学習習慣
生活困窮世帯 非生活困窮世帯
・特に、「⑯生活習慣」「⑰学習習慣」の肯定的な回答率に
おいて、生活困窮世帯の子どもと非生活困窮世帯の子ど
もとの差が大きくなっています。
4
3 実態把握調査の分析-経済的困窮・養育力と生活状況との関連(詳細1)
各項目のグラフは各階層の小1~中3の回答を偏差値の分布で表したものです。グラフの下に「35以上45未満、45以上55未満、55以上65未満」とありますが、数字が大きければ大きいほど、肯定率が高いことを示し、数字が小さければ、肯定率が低く、その項目についての「その力が小さい」「その思いが弱い」ということになります。
「友だちのささえ」の肯定率「家族のささえ」の肯定率
【 質 問 内 容 の 例 】 ・あなたの気持ちをわかってくれる友だちがいますか。 ・あなたががんばった時、友だちから、すごいねとほめてもらったことが ありますか。 ・悲しい時、友だちからなぐさめてもらって、うれしかったことがありますか。
【 質 問 内 容 の 例 】 ・家の人はあなたが努力してがんばった時ほめてくれますか。 ・家の人はあなたの気持ちをわかってくれますか。 ・あなたの家は心がほっとする場所ですか。 ・悲しいことや困ったことがあった時、家の人に相談できますか。
0% 50% 100%
生活困窮世帯
非生活困窮世帯
35以上45未満 45以上55未満 55以上65未満
非生活困窮世帯
生活困窮世帯
0% 50% 100%
生活困窮世帯
非生活困窮世帯
35以上45未満 45以上55未満 55以上65未満
肯定率の偏差値平均
非生活困窮世帯 52.2
生活困窮世帯 51.0
肯定率偏差値
肯定率の偏差値平均
非生活困窮世帯 50.7
生活困窮世帯 50.2
【参考】肯定率の偏差値割り合い 【参考】肯定率の偏差値割り合い
非生活困窮世帯
生活困窮世帯
肯定率偏差値
5
3 実態把握調査の分析-経済的困窮・養育力と生活状況との関連(詳細2)
各項目のグラフは各階層の小1~中3の回答を偏差値の分布で表したものです。グラフの下に「35以上45未満、45以上55未満、55以上65未満、65以上」とありますが、数字が大きければ大きいほど、肯定率が高いことを示し、数字が小さければ、肯定率が低く、その項目についての「その力が小さい」「その思いが弱い」ということになります。
「成功体験と自信」の肯定率「先生のささえ」の肯定率
【 質 問 内 容 の 例 】 ・勉強やスポーツ、習い事や趣味などで自慢できる得意なことがありま すか。 ・自分なりに努力したことがうまくいって、うれしかったことがありますか。 ・自分にはいいところがあると思いますか。
【 質 問 内 容 の 例 】 ・先生からほめられて、うれしかったことがありますか。 ・つらいことや、困ったことを、学校の先生に相談できますか。 ・先生は、あなたの気持ちをわかってくれますか。
0% 50% 100%
生活困窮世帯
非生活困窮世帯
35以上45未満 45以上55未満
55以上65未満 65以上
肯
0% 50% 100%
生活困窮世帯
非生活困窮世帯
35以上45未満 45以上55未満
55以上65未満 65以上
肯定率の偏差値平均
非生活困窮世帯 50.9
生活困窮世帯 50.2
【参考】肯定率の偏差値割り合い
肯定率の偏差値平均
非生活困窮世帯 51.2
生活困窮世帯 50.2
【参考】肯定率の偏差値割り合い
肯定率偏差値
非生活困窮世帯
生活困窮世帯
非生活困窮世帯
生活困窮世帯
6
3 実態把握調査の分析--経済的困窮・養育力と生活状況との関連(詳細3)
「充実感と向上心」の肯定率「感動体験」の肯定率
【 質 問 内 容 の 例 】 ・勉強やスポーツ、習い事や趣味などでがんばっていることがあり ますか。 ・将来、あんな人になりたい、こんな事がしたい、こんな仕事につ きたいという夢や目標がありますか。
【 質 問 内 容 の 例 】 ・今までの人生で、心から感動したことがありますか。(小説、映画、 ドラマ、マンガ、体験、音楽、芸術、スポーツなど) ・夢中になった、勉強がおもしろいと思った、やる気が出た、という 記憶に残っている授業がありますか。
各項目のグラフは各階層の小1~中3の回答を偏差値の分布で表したものです。グラフの下に「35以上45未満、45以上55未満、55以上65未満、65以上」とありますが、数字が大きければ大きいほど、肯定率が高いことを示し、数字が小さければ、肯定率が低く、その項目についての「その力が小さい」「その思いが弱い」ということになります。
0% 50% 100%
生活困窮世帯
非生活困窮世帯
35以上45未満 45以上55未満
55以上65未満 65以上
0% 50% 100%
生活困窮世帯
非生活困窮世帯
35以上45未満 45以上55未満
55以上65未満
肯定率の偏差値平均
非生活困窮世帯 51.3
生活困窮世帯 50.5
肯定率の偏差値平均
非生活困窮世帯 50.7
生活困窮世帯 49.8
【参考】肯定率の偏差値割り合い 【参考】肯定率の偏差値割り合い
肯定率偏差値 肯定率偏差値
非生活困窮世帯
生活困窮世帯
非生活困窮世帯
生活困窮世帯
7
「思いを伝える力」の肯定率「他者からの評価」の肯定率
3 実態把握調査の分析-経済的困窮・養育力と生活状況との関連(詳細4)
【 質 問 内 容 の 例 】 ・まわりの大人からほめてもらったり、友たちから「いいなあ」と言わ れたりする、得意なことがありますか。 ・あなたは、先生や家の人から、期待されているな、と感じることが ありますか。
【 質 問 内 容 の 例 】 ・自分がうれしかったとき、くやしかったとき、それを言葉やからだで 表す方ですか。 ・友だちがうまくできたときは、一緒に喜び、失敗したときは、はげまし ていますか。
各項目のグラフは各階層の小1~中3の回答を偏差値の分布で表したものです。グラフの下に「35以上45未満、45以上55未満、55以上65未満、65以上」とありますが、数字が大きければ大きいほど、肯定率が高いことを示し、数字が小さければ、肯定率が低く、その項目についての「その力が小さい」「その思いが弱い」ということになります。
0% 50% 100%
生活困窮世帯
非生活困窮世帯
35以上45未満 45以上55未満
55以上65未満 65以上
0% 50% 100%
生活困窮世帯
非生活困窮世帯
35以上45未満 45以上55未満
55以上65未満 65以上
肯定率の偏差値平均
非生活困窮世帯 51.2
生活困窮世帯 49.6
肯定率の偏差値平均
非生活困窮世帯 51.5
生活困窮世帯 50.4
【参考】肯定率の偏差値割り合い 【参考】肯定率の偏差値割り合い
非生活困窮世帯
生活困窮世帯
非生活困窮世帯
生活困窮世帯
肯定率偏差値 肯定率偏差値
「社会参画」の肯定率「問題解決力」の肯定率
3 実態把握調査の分析-経済的困窮・養育力と生活状況との関連(詳細5)
【 質 問 内 容 の 例 】 ・だれかと友だちになりたいと思ったとき、自分から声をかけることが できますか。 ・友だちとけんかをした後、自分からすすんで仲直りができますか。 ・友だちがけんかをしているとき、理由を聞いて、二人が仲直りでき るように、お話しできますか。
【 質 問 内 容 の 例 】 ・小さい子やお年寄りが困っているときは、迷わず手助けしていま すか。 ・お祭りやボランティア活動など、地域の行事に参加していますか。 ・ニュースなどで、戦争や災害、貧しさで苦しんでいる人々を見ると 心が痛みますか。
8
各項目のグラフは各階層の小1~中3の回答を偏差値の分布で表したものです。グラフの下に「35以上45未満、45以上55未満、55以上65未満、65以上」とありますが、数字が大きければ大きいほど、肯定率が高いことを示し、数字が小さければ、肯定率が低く、その項目についての「その力が小さい」「その思いが弱い」ということになります。
0% 50% 100%
生活困窮世帯
非生活困窮世帯
35以上45未満 45以上55未満
55以上65未満 65以上
0% 50% 100%
生活困窮世帯
非生活困窮世帯
35以上45未満 45以上55未満
55以上65未満 65以上
肯定率の偏差値平均
非生活困窮世帯 51.5
生活困窮世帯 50.7
肯定率の偏差値平均
非生活困窮世帯 50.7
生活困窮世帯 49.8
【参考】肯定率の偏差値割り合い 【参考】肯定率の偏差値割り合い
肯定率偏差値 肯定率偏差値
非生活困窮世帯
生活困窮世帯
非生活困窮世帯
生活困窮世帯
9
「規範意識」の肯定率 「対人ストレス」の肯定率
3 実態把握調査の分析-経済的困窮・養育力と生活状況との関連(詳細6)
【 質 問 内 容 の 例 】
・学校の規則やクラスで話し合って決めたことを守っていますか。 ・近所の人に会ったときはあいさつをしていますか。 ・公共の場所や乗り物の中では、人に迷惑をかけないように気をつ けていますか。
【 質 問 内 容 の 例 】 ・仲間はずれになるのがこわくて、本当は気が進まないのに、友だ ちの意見に合わせたり、一緒に行動したりすることがありますか。 ・学校に行きたくないと思うことがありますか。 ・仲のいい友だちから、自分がどう思われているか、つい気になって しまうことがありますか。
各項目のグラフは各階層の小1~中3の回答を偏差値の分布で表したものです。グラフの下に「35以上45未満、45以上55未満、55以上65未満、65以上」とありますが、数字が大きければ大きいほど、肯定率が高いことを示し、数字が小さければ、肯定率が低く、その項目についての「その力が小さい」「その思いが弱い」ということになります。
0% 50% 100%
生活困窮世帯
非生活困窮世帯
35以上45未満 45以上55未満
55以上65未満
0% 50% 100%
生活困窮世帯
非生活困窮世帯
35以上45未満 45以上55未満
55以上65未満 65以上
肯定率の偏差値平均
非生活困窮世帯 50.3
生活困窮世帯 49.2
肯定率の偏差値平均
非生活困窮世帯 51.7
生活困窮世帯 51.0
【参考】肯定率の偏差値割り合い 【参考】肯定率の偏差値割り合い
肯定率偏差値 肯定率偏差値
非生活困窮世帯
生活困窮世帯
非生活困窮世帯
生活困窮世帯
10
「生活習慣」の肯定率 「学習習慣」の肯定率
3 実態把握調査の分析-経済的困窮・養育力と生活状況との関連(詳細7)
【 質 問 内 容 の 例 】 ・朝食を毎日食べていますか。 ・朝は自分で起きていますか。 ・一日の遊び時間はこれくらいと、決めていますか。(テレビ、DVD、 ゲーム、インターネットをふくみます。)
【 質 問 内 容 の 例 】 ・家での勉強時間を決めていますか。 ・家で授業の予習や復習をしていますか。 ・テストでまちがえた問題は後で見直していますか。 ・好きな教科や授業がありますか。
各項目のグラフは各階層の小1~中3の回答を偏差値の分布で表したものです。グラフの下に「35以上45未満、45以上55未満、55以上65未満、65以上」とありますが、数字が大きければ大きいほど、肯定率が高いことを示し、数字が小さければ、肯定率が低く、その項目についての「その力が小さい」「その思いが弱い」ということになります。
0% 50% 100%
生活困窮世帯
非生活困窮世帯
35以上45未満 45以上55未満
55以上65未満 65以上
0% 50% 100%
生活困窮世帯
非生活困窮世帯
35以上45未満 45以上55未満
55以上65未満 65以上
肯定率の偏差値平均
非生活困窮世帯 51.5
生活困窮世帯 49.8
肯定率の偏差値平均
非生活困窮世帯 50.9
生活困窮世帯 49.0
【参考】肯定率の偏差値割り合い 【参考】肯定率の偏差値割り合い
肯定率偏差値 肯定率偏差値
非生活困窮世帯
生活困窮世帯
非生活困窮世帯
生活困窮世帯
0% 20% 40% 60% 80% 100%
非生活困窮世帯
生活困窮世帯
25以上35未満 35以上45未満 45以上55未満 55以上65未満 65以上75未満
0% 20% 40% 60% 80% 100%
非生活困窮世帯
生活困窮世帯
25以上35未満 35以上45未満 45以上55未満 55以上65未満 65以上75未満
0% 20% 40% 60% 80% 100%
非生活困窮世帯
生活困窮世帯
25以上35未満 35以上45未満 45以上55未満 55以上65未満 65以上75未満
0% 20% 40% 60% 80% 100%
非生活困窮世帯
生活困窮世帯
25以上35未満 35以上45未満 45以上55未満 55以上65未満 65以上75未満
11
3 実態把握調査の分析--経済的困窮・養育力と学力との関連
生活困窮世帯の子どもの方が、学力調査の偏差値が低い傾向にあります。家庭の経済状況と養育状況が、学力と密接に関連していると言えます。
国語 小1~中2 算数・数学 小1~中2
社会 小3~中2 理科 小3~中2
12
H26に学習保障学習支援制度を申請し、支援を受けた児童生徒について、H27に生活状況調査の結果がどうであったかを比較しました。
肯定率の増加が顕著なもの
─ H26 - - H27
H26とH27の比較
感動体験「夢中になった、勉強がおもしろいと思った、やる気が出た、という
記憶に残っている授業がありますか。」という設問に肯定的な回
答が増えたことが考えられます。制度利用により授業に対しても
前向きに取りくんでいる様子がうかがえます。
※ 「生活習慣」については設問内容と制度利用との関係は想定できません。
「お祭りやボランティア活動など、地域の行事に参加していますか。」
や「ニュースなどで、戦争や災害、貧しさで苦しんでいる人々を見ると
心が痛みますか。」という設問に肯定的な回答が増えたことが考えら
れます。
学生ボランティアが学力への支援だけでなく、子どもに寄り添うことも
大切にする中で、地域行事への参加をうながしたり、時には、ニュー
スの話題をしたりして、社会に関心をもってもらうような工夫をしてい
る効果ではないかと考えられます。
社会参画肯定率の減少が顕著もの
この支援制度の実施場所は学校が多数を占めているため、「家
での勉強時間を決めていますか。」「家で授業の予習や復習をし
ていますか。」の設問に対して肯定率が下がったものと考えられ
ます。
学習習慣
─ H26 - - H27
4 実態把握調査における支援施策の分析 ~学力保障学習支援制度の成果
家族のささえ 感動体験 社会参画
家族のささえ制度利用により、家族に子どものがんばりが見えやすくなり、「家
の人はあなたが努力してがんばった時ほめてくれますか。」という
設問に肯定的な回答が増えたことが考えられます。
13
4 地域資源調査の分析(1)
学校や関係機関が連携し、地域で協力しながら子どもたちを支援できているか、その支援の内容や手法について調査しました。各機関が実施している支援のうち聞き取り調査で確認できたものを次の3つに分類し、どういう支援があるのかを図にしました。
1
21 3
(人とのつながり・ 居場所提供など)
(資金・物資の 支給など)
(学習支援・ 健康管理など)