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3 2 札幌市内にある子ども食堂・子どもの 居場所の事例紹介 札幌市内で子ども食堂・子どもの居場所を運営している7つの団体に、ヒアリング調査のご協力をいただきまし た。活動を始めたきっかけから、運営の工夫、課題、今後の展望についてなど様々な内容をうかがいました。この 章では、各団体の活動概要や特徴を事例紹介としてまとめています。 お忙しい中、長時間のヒアリングにご協力いただいたみなさんに心よりお礼申し上げます。 *平成30年3月現在の情報です。6章には各事例の開催概要を掲載していますので、併せてご覧ください。 事例にじ色こども食堂 (NPO法人子どもの未来・にじ色プレイス) ………………………………………………………………… 代表 安田 香織 事例西野こども食堂kaokao ………………………………………………………………… 代表 堀川 淳子 事例こども食堂りあん …………………………………………………………………… 西本香奈江 事例おかえりひろば (NPO法人ねっこぼっこのいえ) ………………………………………………………………… 代表 小林 真弓 事例ぴらけし子ども食堂 ………………………………………………………………… 代表 塚本  薫 事例ゆるきち (NPO法人Kacotam カコタム………………………………………………………………… 代表 高橋 勇造 事例すすきのこどもCafé わくわく ………………………………………………………… 運営チーム 富塚 とも子 みなさんへ 事例および回答者一覧

札幌市内にある子ども食堂・子どもの 居場所の事例 …...3 2 札幌市内にある子ども食堂・子どもの 居場所の事例紹介 札幌市内で子ども食堂・子どもの居場所を運営している7つの団体に、ヒアリング調査のご協力をいただきまし

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Page 1: 札幌市内にある子ども食堂・子どもの 居場所の事例 …...3 2 札幌市内にある子ども食堂・子どもの 居場所の事例紹介 札幌市内で子ども食堂・子どもの居場所を運営している7つの団体に、ヒアリング調査のご協力をいただきまし

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2札幌市内にある子ども食堂・子どもの居場所の事例紹介 札幌市内で子ども食堂・子どもの居場所を運営している7つの団体に、ヒアリング調査のご協力をいただきまし

た。活動を始めたきっかけから、運営の工夫、課題、今後の展望についてなど様々な内容をうかがいました。この

章では、各団体の活動概要や特徴を事例紹介としてまとめています。

 お忙しい中、長時間のヒアリングにご協力いただいたみなさんに心よりお礼申し上げます。

*平成30年3月現在の情報です。6章には各事例の開催概要を掲載していますので、併せてご覧ください。

事例❶ にじ色こども食堂(NPO法人子どもの未来・にじ色プレイス)

    …………………………………………………………………… 代表 安田 香織 氏

事例❷ 西野こども食堂kaokao    …………………………………………………………………… 代表 堀川 淳子 氏

事例❸ こども食堂りあん    ……………………………………………………………………… 西本香奈江 氏

事例❹ おかえりひろば(NPO法人ねっこぼっこのいえ)

    …………………………………………………………………… 代表 小林 真弓 氏

事例❺ ぴらけし子ども食堂    …………………………………………………………………… 代表 塚本  薫 氏

事例❻ ゆるきち(NPO法人Kacotam ─カコタム─)

    …………………………………………………………………… 代表 高橋 勇造 氏

事例❼ すすきのこどもCafé わくわく    ……………………………………………………………運営チーム 富塚 とも子 氏

みなさんへ

事例および回答者一覧

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4さっぽろ「子ども食堂・子どもの居場所づくり」ガイドブック

きっかけは、ある子どもとの文通でした

 縁があって手紙を交わしていた子どもが、孤独の中でいろい

ろと大変な出来事を乗り越えてきたことを知りました。“私たち

大人は何ができるのか?…子どもが近所の大人と気軽に付き合

い、話し合える場所があればいいのに。”

 そんなときにテレビで子ども食堂の特集を見かけました。“こ

れだ!新しい形の地域コミュニティをつくろう!”と思ったのが

すべての始まりでした。

活動の一歩目は、仲間探し

 開設の方法すらわからないところからスタートした活動も、

3年目を迎えました(平成27年11月開設)。

 にじ色プレイスでは、月2回の子ども食堂のほかに、月1回

のフリースペースや学習スペース(予約制)の開催、学び舎(出

張する場合もあり)として自由研究や社会体験も行っています。

 もちろん、最初からすべてが上手くいったわけではありませ

ん。一緒にやっていく仲間探しから始まり、開催場所の確保の

ために奔走しました。

 また、学校や区役所・保健センターなどへの相談や、運営を

学ぶために全国の子ども食堂にも足を運びました。

子どもたちのために、次のステップへ

 子どもたちのニーズに応えるために、活動ごとにリーダーを

立てチーム体制で企画・運営を進めています。

 平成29年にはNPO法人格も取得したことで、社会的信用を

得ることもでき、民間企業や様々な団体ともより連携を図りや

すくなりました。

 今後は、子ども食堂を継続しながら、学習スペースやフリー

スペースの毎日開催を目指しています。

 にじ色プレイスが、

子どもたちの「第二

のふるさと」になれ

たらという思いを込

めて、準備を進めてい

ます!

事例❶ にじ色こども食堂(NPO法人子どもの未来・にじ色プレイス)

札幌の子ども食堂のパイオニア

NPO法人格を取得し、活動の幅を拡大中

●運営場所

・子ども食堂:民家を活かした飲食店舗をレンタル

・フリースペース・学習スペース:戸建て住宅

(事務局)

●運営体制

 コアメンバー5名、ボランティア10~15名の

シフト制

 *受付や見守り担当、調理担当、配膳担当に

  分担

●利用者(定員約40人)

 子ども約20~30人、大人約5人

●利用料(子ども食堂)

 子ども0~200円、大人300~500円

●資金・支援

・支援制度による寄付

・企業・団体・農家から米・野菜・菓子などの

協賛

●就学援助を受けているご家庭に、年3回食

材を配達する「おすそわけ事業」を実施(小

学校と連携)。

●子ども食堂と別日開催プログラムも用意し交

流を深めている。

●子どもが不安や悩みをつぶやきやすい少人

数での送迎を実施。

●スタッフが子どもや保護者の悩みに気づけ

るよう傾聴講座を実施。

・正会員/年50,000円

・ファンドサポート会員/1口2,000円~

・ボランティア会員/活動支援

・フードサポート会員/食材等の提供支援

  にじ色こども食堂

【開催日時】第2・第4火曜

17:30~19:30

【開催場所】豊平区月寒東2条7丁目9-3

(野草茶房蓬ほう)

【連 絡 先】 090-9439-3748

[email protected]

実施概要

支援・寄付

運営の特徴

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5

子どもと高齢者の憩いの家

 高齢者を対象としたコミュニティカフェ「西野厨房だんらん」

を10年間やってきました。

 「子どもの居場所を考える」活動を続けているスタッフから子

ども食堂開設に関する相談を受けました。

 高齢者にとっても子どもと触れ合える機会があることは貴重

なことです。そこで毎週水曜日を「西野こども食堂kaokao」

として開設することになりました。

 地域の子どもは地域で見守ろうという思いを共有したわけ

です。

地域の信用を得る = 安心・安全

 「思い」だけではなく、地域における必要性を調査したり、地

域の方々の理解を得ることは開設にあたっての重要なポイント

です。

 そのために、中心メンバーは町内会や学校・幼稚園・保育園

へのニーズ調査、保護者へのヒアリングなど、状況把握ととも

に挨拶・周知を行いました。

 メンバーは食品衛生責任者資格者養成講習会を受講して、安

全衛生管理には注意を払っています。

子どもとの触れ合い

 住宅地でもあり、隣近所との付き合いも薄い中、子どもが一

人でも来られて、先生でもない、親でもない大人、様々な世代

の人と、気楽に触れ合えて伸び伸びできる場所があることは、

子どもたちにとってよい経験になると思います。

 子どもたちにとって、安心できて、楽しい場所でありたいと思っ

ています。特別なことをするのではなく、普通に当たり前に接し

ています。

活動は定期的に見直しをします

 「無理なく活動を続ける」ために、

現状の活動期間の区切りを設けるこ

とも大切だと思っています。私たち

はまず最初の2年間で大きなふりかえ

りをし、今後につなげていきたいと考

えています。

事例❷ 西野こども食堂kaokao

コミュニティカフェが毎週水曜日は

「西野こども食堂kaokao」に!

●運営場所

 戸建ての多い住宅街にある一軒家

●運営体制

 コアメンバー5名、地域ボランティア3名、

企業の社会貢献ボランティア(CSR)4名

 *8名前後のシフト制で運営

●利用者(定員約60人)

 子ども約50人、大人約10人

●利用料

 子ども300円、大人500円

●資金・支援

・食堂応援団による食材の定期的なサポート

・企業・団体・農家から米・野菜・菓子などの

協賛

●開設前にプレオープンとして内覧会を実施。

町内会など地域の方を招待。活動体験や意見

交換会などを行い理解や協力をお願いした。

●毎週1回、定期開催。

●地域活動団体と保護者を中心としたボラン

ティアによるコラボで運営(NPO法人ぐ

るーぽ・ぴの、子どもの居場所を考える会、

kaokaoサポーターズ)。

●民間企業が社会貢献事業として運営をお手

伝い。毎回社員の方が運営ボランティアに

参加。

●食堂応援団/一口2,000円~

●人・物・食材などの寄付やボランティアの依

頼をFacebookで発信(不定期)

  西野こども食堂kaokao

【開催日時】毎週水曜14:00~20:00

【開催場所】西区西野8条9丁目18-67

(西野厨房だんらん)

【連 絡 先】 671-1443

実施概要

運営の特徴

支援・寄付

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6さっぽろ「子ども食堂・子どもの居場所づくり」ガイドブック

2札幌市内にある子ども食堂・子どもの居場所の事例紹介

商店街振興組合が旗揚げ

 テレビや報道の「子どもが安心できる居場所がない」という

ニュースが他人事には思えませんでした。

“麻生の地域でも、子どもの健やかな成長を商店街と地域で見

守ることができれば、まちの力になるはず!”すぐさま商店街

理事会に提案をしました。

「麻生キッチンりあん」だからできること

 藤女子大学食物栄養学科(隈元ゼミ)、 NPO法人Kacotam

(P.9)、NPO法人ぱすとらる、地域コーディネーターかどまー

るが運営するコミュニティスペース「麻生キッチンりあん」。こ

こでは、日替わりのシェフによるランチ営業や定期的な食と学

習支援、「まちの教室」などを続けています。

“ここに、子どもが一人でも来られて、みんなで一緒に温かい

ご飯を食べる居場所ができればもっといいんじゃないか”それ

が「こども食堂りあん」です。

子どもの受け入れには「覚悟」も必要

 こども食堂りあんでは、親の連絡先などは確認していません。

会員制のように敷居が高くなり、子どもが来にくくなることを

懸念したためです。

 ただし、もし子どもが急に体調を崩したら…、親が迎えに来

ないときは…などについても、しっかり考えています。

商店街発信で北区にこどもネットワークが発足

 平成30年2月に「麻生発・こどもネットワーク会議」を立ち

上げました。

 連合町内会や、学校、児童会館、保健師、民生委員、NPO

など地域で子どもに関わる方々の横の連携を強め、子どもや親

たちの困り事に気づいた際に相談や対応につなぐためです。

 私たちは、顔の見える関係をつくり、さらに「あさぶ」が互

いに支え合う温かい地域になれ

ばと思います。

 これからも、子ども食堂を続

けて、地域のみなさんと子ども

たちを見守っていくつもりです。

事例❸ こども食堂りあん

麻生商店街×地域交流=りあん

子どもたちが「よくまなび、よくあ・

さ・

ぶ・

」場所

●運営場所

 麻生商店街区内の空き店舗を改装

●運営体制

 団体スタッフ3名、地域ボランティア6名、

 学生ボランティア3名のシフト制

 *調理・ホール・片づけ隊で分担

●利用者(定員約50人)

 子ども約40人、大人約10人

●利用料

 子ども100円、大人500円

●資金・支援

・寄付金

・商店街店舗に募金箱設置

・商店街・お寺・ご近所から米・野菜・菓子な

どの協賛

●麻生キッチンりあんの協力団体からも助言を

受けて、商店街とボランティアの力で運営。

●名簿管理はなく、コミュニケーションをとり

ながら名前や学校名などを確認。

●ひとり親家庭などのお子さんの食支援、

NPO法人Kacotamと連携した学習支援

(へるすたでぃ)も行っている。

●振込での寄付

●夢のピース募金

 一口1,000円で、麻生キッチンりあん内に

飾っている大きなジクソーパズルのピースを

1つお渡しします。みなさんからの支援で

1枚の絵を完成させてください!

  こども食堂りあん

【開催日時】第3金曜18:00~20:00

【開催場所】北区北39条西5丁目2-12

(麻生キッチンりあん)

【連 絡 先】 707-9923

実施概要

運営の特徴

支援・寄付

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7

「多世代型子育てサロン」を始めて10年

 平成19年から「ねっこぼっこのいえ」として、赤ちゃんから

お年寄りまでくつろげる子育てサロンを運営してきました。活

動を続けて10年目を迎えたときに、ふと思いました。“なんで

昼間の居場所しかないんだろう?”

前例がなくても、必要だと思うから始めてみる

 今の時代、共働きで忙しい子育て世代も多く、日中は仕事に

追われ、夜は家事に追われ…。

 「たまには食事の用意を気にせず、気楽に帰れる居場所があっ

てもいいじゃない」「ついでに悩みや愚痴を言い合おうよ」そん

な企画書がドコモさんの目に留まり、「おかえりひろば」のスター

トとなりました。夜間に子育てサロンを開催するのは全国的に

もあまり例を見ない取組です。

自宅以外の「ただいま。」を言える居場所

 始めてみると毎回満員御礼で、用意していた食事もすぐに売

り切れてしまいます。夕方からの開催が功を奏したのか、仕事

帰りのお父さんも多く参加しているのが特徴です。

地域で見守る力は大きくて「長い」

 子どもも保護者も、気軽に集える場所で、同じ悩みや不安を

共有し合うだけでも、気持ちは楽になるはずです。

 大切なのは独りで抱え込まないこと。もし必要だったら、数

ある支援の中から状況に合っ

たものを一緒に探したり、公

的機関につなぐお手伝いもし

ています。

 地域の中に居場所をつく

るからこそ、子どもたちの

成長を側でずっと見守り続

けられます。

 地域に「ねっこ」を張り、

支え合う。それが何よりも

価値のあることだと感じて

います!

事例❹ おかえりひろば(NPO法人ねっこぼっこのいえ)

みんなが助け合い育ちあえる心のよりどころ

「夜の多世代型子育てサロン」を試行中

●運営場所

 商店街や公共施設近くの教会・幼稚園敷地

内の一軒家

●運営体制

 団体スタッフ1名、調理担当4名、

 ボランティアスタッフ3名のシフト制

 学生は主に学習支援2名

●利用者(定員約50人)

 子ども約20人、大人約30人

●利用料(夕食代)

 子ども100~300円、高校生以上300円

●資金・支援

・ドコモ市民活動団体助成事業

・フードバンクも活用(1割程度)

●専門員個別相談日(予約制)を設け、日常的

な悩み事や困り事から、支援制度などの相

談まで可能(しんぐるまざあず・ふぉーらむ

北海道と連携)。

●ひとり親向け講座やおさがり会、中高生向け

講座、読み聞かせなどのイベントも開催。

●学生ボランティアによる学習支援。

●日中(月・水・金)は「札幌市常設子育てサロ

ン『ねっこひろば』」を開催。

●ひろば保険に加入。

●賛助会員/1口1,000円以上

  おかえりひろば

【開催日時】第3金曜17:00~20:00

【開催場所】豊平区月寒東1条2丁目10-9

(しののめ幼稚園隣)

【連 絡 先】 852-1100

[email protected]

実施概要

運営の特徴

支援・寄付

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8さっぽろ「子ども食堂・子どもの居場所づくり」ガイドブック

2札幌市内にある子ども食堂・子どもの居場所の事例紹介

立上げに「思い」は大切

それを具現化するための準備はもっと大切

 “自分の子育て時代に子ども食堂があったら、絶対利用してたな”

自分自身が共働きで、わが子には一人でご飯を食べさせてしまっ

たという自責の思いがありました。

 地域交流サロンのボランティアの「子ども食堂をやってみた

い」という一言が後押しになり、すぐさま立上げを決断しまし

た…が「思い」だけで突っ走ってはいけません。まずは先輩子

ども食堂「にじ色こども食堂」(P.4)の門を叩き、経験を積ま

せてもらいました。

 安全な居場所づくりのためには、多少時間をかけて土台を固

めることが必要だと思っています。

子どものために、頼るべきところは頼る

 顔見知りが来てくれる際には「○○を持ってきてくれたら嬉

しいな。」、漁師の友人には「子どもにおいしい魚を食べさせて

あげたいな。」とお願いしています。

 みなさん「子どもたちのためなら!」と快く協力してくれます。

中には、体験講座を企画してくれる方もいます。

 何でもかんでも一人ではできません。周囲の人に頼ることも

運営する上で大切なポイントです。

企業プロジェクトとしての子ども食堂

 子ども食堂の継続のためには、ある種の経営感覚をもって運

営を回す必要があると思っています。

 どうしても赤字になりがちな子ども食堂。母体となる地域交

流サロン「ぴらけし」の事業性を上げるなど、助成金などに頼

らずとも、自分たちの団体の中で上手く運用するという感覚は

意外と重要です。

中学生にフォーカスを当てた居場所を検討中

 子どもの抱える悩みが周りに見え

にくくなる世代だと思います。静か

で落ち着いた環境で学習したり、将

来の夢を話したりできればいいな

と、大学に相談をもちかけるなど、

少しずつ準備を始めています!

事例❺ ぴらけし子ども食堂

コミュニティFM「FMアップル」が運営する地域交流サロン

地域密着型企業による子どもの居場所づくり

●運営場所

 ビジネスビルの1階路面店

●運営体制

 団体スタッフ4名(うち調理担当2名)、地域

ボランティア3名

●利用者(定員約50人)

 子ども約30人、大人約20人

●利用料

 子ども200円、大人300~500円

●資金・支援

・寄付金

・漁師・商店街・企業や団体の経営者からの

協賛

●企業の運営する子ども食堂。

●コミュニティFMということで、学校・商店街

などとの連携が強い。

●大人の利用者が経営者やアーティストなど

多様。

●多様な利用者が子ども食堂で体験講座を実

施することもある。

●仕組はまだありませんが、随時受け付けてい

ます。

  ぴらけし子ども食堂

【開催日時】第4火曜17:00~19:00

【開催場所】豊平区平岸3条5丁目

平岸グランドビル本館

【連 絡 先】 813-2233(FMアップル)

実施概要

運営の特徴

支援・寄付

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家庭教師をしていたことがきっかけです

 教え子の様子から子どもが抱える不安や悩み事に関心をもつ

ようになりました。平成23年4月から一人で活動を始めて、平

成24年1月から任意団体としての活動をスタート。NPO法人格

は平成26年に取得しています。

スタサポ事業

 カコタムでは、主にひとり親世帯・生活保護世帯の子どもを

対象とした学習支援を行っています。ボランティアと子どもが

普段使用している教科書などを中心に学習します。その中でも、

「実験をやりたい」という声が出たら、一緒にできる方法を考え

るなど、子どものニーズに合わせた総合的学習支援を心掛けて

います。

 子どもが興味のある職業の方にお話を聞きに行く「お仕事カ

コタム」を実施することもあります。

中高生に向けた「ゆるきち」を開設

 子どもたちの“カコタムメンバーともっと話したい”、“もっ

とカコタムにいたい”という声に応え、ゆるく集まれる基地(ゆ

るきち)をつくりました。中学1年生~18歳までの子どもを対

象としています。

 子どもたちがここに来る理由は「安心できるところ」だから

です。学びや交流はその後のことです。何をするにも、まずは

居場所としての居心地のよさが大切だと思っています。

 ここで提供している食材は10割寄付。お米はテレビを見た農

家さんが申し出てくれました。

子どもの主体性は大切に

 子どもの困り事に気づくことはありますが、子どもは公的機

関への相談を望んでいないこ

とのほうが多いです。

 支援の必要性を感じた場合

は、一緒に解決の方向を探っ

ていきます。

事例❻ ゆるきち(NPO法人Kacotam ─カコタム─)

ボランティアによる子どもたちへの学習支援を展開

新たに「居場所」として、食事の提供も開始

●運営場所

 大学に近い住宅街の一軒家

●運営体制

 団体スタッフ10名、学生ボランティア8名の

シフト制

●利用者(定員15人)

 子ども約7人

●利用料

 子ども100円

 *中学1年生~18歳以下対象

●資金・支援

・助成金(民間団体)

・寄付金

・企業・団体から菓子・飲料などの協賛、お仕

事カコタムへの協力

●カコタムではゆるきち以外にも、ねっこぼっ

このいえ(P.7)や麻生キッチンりあん(へる

すたでぃ:P.6)など16か所で学習支援(学

ボラ・スクールサポートなど)を実施。

●ボランティア登録は122名(平成28年時

点)。チーム制で運営。

●企業・団体から協賛・寄付が寄せられている。

●カコタムメイト(継続寄付)

 月1,000円、3,000円、5,000円、10,000円

●自由な金額による寄付

 一口1,000円~

  ゆるきち

【開催日時】毎週火曜16:00~20:30

毎週金曜16:00~18:00

【開催場所】東区北25条東6丁目3-2 

【連 絡 先】 299-2545

[email protected]

運営の特徴

実施概要

支援・寄付

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10さっぽろ「子ども食堂・子どもの居場所づくり」ガイドブック

2札幌市内にある子ども食堂・子どもの居場所の事例紹介

ホテルと子ども食堂がタイアップ

 ホテルリリーフから、CSR活動として子ども食堂をやりたい

と西野こども食堂kaokao(P.5)に相談のあったことがきっか

けで、市内にある子ども食堂スタッフが集まって運営が始まり

ました。

 会場提供と光熱費をホテルが、その他運営に係る費用と人員

の手配を子ども食堂スタッフが、分担しています。

「子どもは10円」の意味

 中学生以下の利用料は10円としました。無料も検討しました

が、来てくれる子どもは「お客さま」であり、お金を払って食

事する経験やマナーを意識してもらうためです。

 実のところ赤字ですが、運営方針は崩せません。運営費の節

約や寄付などの支援で、しっかりと安定した活動を継続させる

観点も外せません。

魅力はホスピタリティと大浴場

 ホテルが会場なので、仕事中のホテルスタッフなど、働く大

人の姿を間近に見ることができます。

 また、全国的にも珍しいのが「お風呂」にも入れる点です。

ホテルスタッフが浴室内外に常駐して見守ってくれるので子ど

もたちも安全に入浴することができます。特に銭湯体験がない

子どもたちにとってはよい経験になっているようです。

徹底した安全・衛生管理

 ホテルの飲食店営業許可のもとで運営しているため、消毒を

徹底し、まな板・冷蔵庫などの使い分け等、リスク管理は特に

意識しています。

 また、会場が繁華

街にあり交通量も多

いので、子どもが一

人で来たら送るよう

にしています。

事例❼ すすきのこどもCafé わくわく

ホテルが全面バックアップする、ニュータイプの居場所

すすきのから全国へ。ホテル界にも、広がれ、子ども食堂の輪

●運営場所

 すすきの鴨々川近くのデザイナーズホテル内

のカフェ

●運営体制

 団体スタッフ5名、地域ボランティア10名、

学生ボランティア1名のシフト制

●利用者(定員約100人)

 子ども約60人、大人約40人

●利用料

 子ども10~100円、大人200~500円

●資金・支援

・募金箱への寄付

・カフェの賃料・光熱費はCSR活動としてホテ

ルが負担

・飲食店から食材の寄付

・農家から米やじゃがいもの寄付

●すすきの繁華街のホテルにある。

●ホテルスタッフには外国人も。

●ホテルはデザイン性が高いため、おでかけ

感が強い。

●お風呂がある。

●町内会の児童委員さんの見守りを受けている。

●町内会の児童委員さんからアドバイスを受

け、運営に反映している。

●振込での寄付

●会場での募金箱

  すすきのこどもCafé わくわく

【開催日時】第3火曜15:00~20:00

【開催場所】中央区南8条西3丁目1-4

ホテルリリーフ札幌すすきの1階

【連 絡 先】 520-6550(ホテル代表番号)

実施概要

運営の特徴

支援・寄付