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鉄建建設㈱ 田辺 洋一
第5回 最新トンネル技術講演会 11
硬岩地山トンネルにおける硬岩地山トンネルにおける
長孔発破の施工実績について長孔発破の施工実績について~~ 熊野尾鷲道路熊野尾鷲道路 亥谷山トンネル(賀田工区)亥谷山トンネル(賀田工区) ~~
いがたにやま
報告概要
・亥谷山トンネル(賀田工区)工事において
(全長3,197mのうち,1,511mの
本坑および避難坑のトンネル施工)
本坑のBパターン(掘削支保パターン)を
対象として,一掘進長一掘進長6.36.3m以上m以上 となる
長孔発破長孔発破 について,施工実績を報告する。
第5回 最新トンネル技術講演会 22
2
①観光
②生活環境の充実
③災害時の道路
第5回 最新トンネル技術講演会
熊野尾鷲道路
尾鷲地区年間雨量
4,000mm
33
第5回 最新トンネル技術講演会
熊野尾鷲道路
44
亥谷山トンネル
3
第5回 最新トンネル技術講演会
工事概要
55
工事名称:
平成20年度熊野尾鷲道路亥谷山トンネル賀田工区工事
工事場所:三重県尾鷲市賀田町地内
発注者:国土交通省中部地方整備局
施工者:鉄建建設㈱
工期:平成21年2月26日 ~ 平成23年10月31日
工事内容:トンネル延長 1,511m (本坑および避難坑)
避難連絡坑4箇所
掘削断面積 本坑 75.6㎡ ~ 95.7㎡
避難坑 16.0㎡ ~ 18.7㎡
第5回 最新トンネル技術講演会
標準断面図
66
避難坑避難坑 避難連絡坑避難連絡坑 本坑本坑避難坑避難坑 避難連絡坑避難連絡坑 本坑本坑
避難坑:16.0㎡ 本坑:75.6㎡
避難連絡坑:4箇所
4
第5回 最新トンネル技術講演会
亥谷山トンネルの地質
77
起点側坑口
NO.99+59
終点側坑口
NO.131+56
亥谷山トンネル(3197m)
鉄建建設施工(1511m) 他社施工(1686m)
施工方向
いがたにやま
1285m 9.13現在
最大土被り:約500m
事前調査結果より良好な岩盤(花崗斑岩)が,想定された
※本坑 設計時のBパターン1,259m / 1,511m (83.3%)
■サイクル向上・機械の大型化,全断面掘削工法の採用
■削孔精度の確保・コンピュータージャンボの採用
■確実な発破パターン・大口径バーンカット・密充填による効率的な装薬・スムースブラスティングによる余掘り低減・導火管付雷管による多段発破
第5回 最新トンネル技術講演会
長孔発破の施工方針
88
対象区間:支保パターン対象区間:支保パターンBB区間区間一掘進長:一掘進長:6.36.3mm 【【国内初の試み:高度技術国内初の試み:高度技術】】
5
第5回 最新トンネル技術講演会
支保構造(Bパターン)
99
10951
S.L
C
t=50(σ =18N/mm )28吹付コンクリート
2
t=300(18-15-40BB)覆工コンクリート
単位セメント量 C=270kg/m 以上3
L=3000(耐力117.7kN以上)ロックボルト
4951
7501
2200
30050
覆工コンクリート
吹付厚 5cm
ロックボルト D25 L3000mm 9本/2m
第5回 最新トンネル技術講演会
使用機械
1010
機械の大型化によるサイクル向上標準 長孔発破
削孔機械3ブーム
ドリルジャンボ3ブームドリルジャンボ(コンピューター制御)
削岩機ドリフタ150kg級
ドリフタ210kg級
ロッド継ぎ足し
- ロッドチェンジャー
人力装填 機械装填
コソク大型
ブレーカー1.3t級 1.6t級
積込ホイールローダー
2.3m3積
ホイールローダー
3.0m3積
DT 10t 30t
吹付 吹付機 6m3/h~20m3/h(一体型)
25m3/h(一体型)
ロックボルト 削孔機械3ブーム
ドリルジャンボ3ブーム
ドリルジャンボ
削孔
ずり出し
項目
装薬
6
第5回 最新トンネル技術講演会
発破パターン
1111
標準 長孔発破
Vカット 大口径バーンカット
装薬孔 136孔(φ45) 118孔(φ64)
ボアホール - 3(φ127)
単位あたりの削孔数
1.8孔/㎡ 1.6孔/㎡
心抜き 他ANFO
(密充填,機械装填)
踏まえ粒状エマルジョン
(密充填,機械装填)
最外周含水爆薬
(人力装填)
DS電気雷管 導火管付雷管
なし ありスムースブラスティングの有無
心抜き方式
雷管
項目
削孔数
含水爆薬(人力装填)
使用爆薬
効率的な発破パターンの選定
第5回 最新トンネル技術講演会
使用爆薬および雷管
1212
導火管付雷管
通常の施工
含水爆薬
長孔発破(6.3m)
アンホ爆薬 粒状エマルジョン爆薬
7
第5回 最新トンネル技術講演会
ANFO・粒状エマルジョン・導火管付雷管の選定理由
1313
•装填機が必要•アンホに比べてコストが高い。
•帯電性がある。
•同左•後ガス良好•耐水性優良。
粒状エマルジョン爆薬
•後ガス(CO、NOx等)が悪い。
•吹付コンクリートと反応しアンモニアガスを発生する。
•耐水性なし。•帯電性がある。•装填機が必要。
•孔にエアーにて圧縮し密充填できるため長孔でも確実な充填が可能。
→発破威力の向上
→削孔数の削減
アンホ爆薬
•電気雷管に比べてコストが高い。
短所
・1段から29段まで多段化
できるため発破振動を低減
できる。(29段→9秒後)参考:電気雷管15段
(15段→4.5秒後)・静電気・漏洩電流に対し
て安全である。
長所
導火管付雷管
含水爆薬・電気雷管との比較
第5回 最新トンネル技術講演会
発破パターン
1414
心抜き部:パラレルカット(ボアホール3孔)
孔数:118
削孔長:心抜き6.8m 他6.6m
11 11
1111
10
9
10
9
1 3
5 7
57
心抜き部
○:ボアホール(φ127)
●:装薬孔(φ64)
8
第5回 最新トンネル技術講演会
発破パターン
1515
長孔発破(6.3m)
■踏まえ部:耐水性の良好な粒状エマルジョン爆薬■最外周部:スムースブラスティング(含水爆薬)
第5回 最新トンネル技術講演会
施工手順
1616
①避難坑による地山評価予測
②探り削孔による前方地山確認
④装薬
⑤発破・換気
③削孔
⑥ズリだし,コソク 1回目
⑦吹付(1回目)
⑧ズリだし,コソク 2回目
⑨吹付(2回目)
⑩ロックボルト一括施工
⑪支保の点検および計測
9
第5回 最新トンネル技術講演会
前方地山予測
1717
避難坑によるBパターン予測■走向・傾斜より新鮮な花崗斑岩の分布状況を予測
探り削孔による前方地山予測■長孔発破1サイクルごと
左右側壁部に計2箇所 L=10.0m■削孔速度,削孔水,スライム状態,ジャーミング
孔内の目視
長孔
発破6.3m
以上
探り削孔L10.0m
トンネル中心
探り削孔 探り削孔
第5回 最新トンネル技術講演会
コンピュータージャンボ
1818
ロッドチェンジャー搭載型のガイドシェルを使用
削孔時間の短縮
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第5回 最新トンネル技術講演会
コンピュータージャンボの設定
1919
事前入力設定
トンネルの設計座標(X,Y,Z)
トンネル掘削断面
削孔を実施する切羽の測点
レーザー座標(始点および,終点)コンピュータージャンボの位置決め
発破パターン
第5回 最新トンネル技術講演会 2020
コンピュータージャンボの位置決め
仮想切羽面仮想切羽面
のみ尻を揃えられるのみ尻を揃えられる レーザーシステムのレーザー照射にガイドシェルのターゲットを一致させる
運転席モニターに削孔データが表示される
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第5回 最新トンネル技術講演会
削孔データの可視化
2121
モニター映像
計画削孔長,実測削孔長,残長
削孔速度
削孔角度
ガイドシェルの断面位置
発破パターン
第5回 最新トンネル技術講演会
コンピュータージャンボモニター
2222
発破パターン発破パターン
削孔角度削孔角度
削孔速度削孔速度
ガイドセルのガイドセルの
ズームアップズームアップ
仮想切羽から仮想切羽からの削孔距離の削孔距離
削孔距離・削孔距離・残距離残距離
削孔後の削孔後の孔の角度孔の角度
左中右
左中右
ガイドセルガイドセルの角度の角度
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第5回 最新トンネル技術講演会
レーザーマーキングシステムによる削孔精度の向上
2323
最外周部 削孔箇所のレーザー照射
最外周部の削孔箇所をレーザーにて照射する
コンピュータージャンボの削孔精度の確認
第5回 最新トンネル技術講演会
削孔
2424
コンピュータージャンボによる削孔の利点■水平削孔精度の確保
→ 心抜き部の確実な自由面の形成■最外周部の削孔精度
→ トンネル壁面の地山の損傷抑制→ 余掘り量低減
ロッドチェンジャー搭載型ガイドシェル■ロッドの接続作業の自動化
→ 削孔時間の短縮
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第5回 最新トンネル技術講演会 2525
装薬完了
装薬完了全景
第5回 最新トンネル技術講演会
発破完了
2626
長孔発破実施後約500m3
CⅠ 発破完了後約120m3
ずりの破砕粒度は長孔発破時の方が小さい
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第5回 最新トンネル技術講演会
発破後の換気
2727
ANFO爆薬の後ガス
■含水爆薬に比較して後ガス量が多い
換気時間:50分 ~ 60分(坑内環境測定結果より設定)
■排気1,500m3/h 送気1,000m3/h→ 発破後遠隔操作により換気
第5回 最新トンネル技術講演会
吹付コンクリートの2分割施工
2828
・安全の確保
目的:無支保区間に立ち入らない
・コソク,浮石除去の徹底
・トンネル壁面(特に,アーチ部)の素掘り面
亀裂状態をよく目視観察し,岩塊の抜け落ち
がないかを確認する
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第5回 最新トンネル技術講演会
吹付コンクリートの2分割施工
2929
7000
切羽
7000
切羽
7000
切羽
7000
切羽
7000
切羽
7000
切羽
①ズリだし(1回目)
②コソク(1回目)
③吹付(1回目)
④ズリだし(2回目)
⑤コソク(2回目)
⑥吹付(2回目)
第5回 最新トンネル技術講演会
長孔発破施工実績
3030
■計13回実施(長孔発破区間 L=83.91m)
■平均一掘進長6.45m(最大7.2m)■装薬量:平均1,422kg(2.92kg/m3)
1102孔第4回~
1182孔第2回~
1062孔第8回~
1183孔第1回
孔数ボアホール長孔発破
発破パターンの孔数低減発破パターンの孔数低減
削孔時間・装薬時間の短縮削孔時間・装薬時間の短縮
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第5回 最新トンネル技術講演会
長孔発破施工実績
3131
■サイクルタイム
Bパターン設計(一掘進長 2.0m)220220分/分/mm
長孔発破(平均一掘進長 6.45m)241241分/分/mm 最短最短207207分分//mm
■習熟度の向上・削孔数の低減・削孔機械の配置・装填機の改良等により更なるサイクルタイムの向上が期待できる。ただし,総合的な経済比較が必要である。
第5回 最新トンネル技術講演会
長孔発破の施工実績
3232
■スムースブラスティングの効果
■平均余掘り量:280mm(設計値270mm)■トンネル壁面には,のみ跡がはっきりと残り,削孔精度が良好であったこと,壁面の損傷を最小限に抑制し,平滑な掘削をおこなったと判断できる。■のみ尻が残らず,効率的な発破が可能である。
17
第5回 最新トンネル技術講演会
まとめ
3333
■削孔精度(特に,心抜きおよび,最外周部)を高めることが,長孔発破を効率的に実施する最重要項目である。
■スムースブラスティングによりトンネルの壁面の損傷を最小限に抑制することで,通常パターンと同等の余掘り量とすることができる。
■強度が高く,亀裂が少ない地山の方が,破砕効果は良好である。
■施工計画を改善することにより更なるサイクル向上が期待できる。但し,経済性を比較する必要がある。