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© 2012 Microchip Technology Inc. DS01372A_JP - p. 1 AN1372 はじめに 現在、高輝度放電 (HID) ランプは、車載ヘッドライト アプリケーションに適した光源として認められていま す。しかし、車載 HID の始動プロセスは複雑です。 このプロセスは 6 段で構成され、各段の特性が異なる ため、それぞれ別々の制御ストラテジが必要です。 デジタル制御バラストは、従来のアナログ手法と比べ て下記のような各種利点を備えます。 高度な制御アルゴリズムの実装が容易 高性能な動作 効果的な保護機能 非常に堅牢 低コスト 本アプリケーション ノートでは、マイクロチップ社製 GS シリーズ 16 ビット デジタルシグナル コントロー (DSC) を使った車載 HID 電子バラストの実装に焦点 を当てています。 HID ランプ 通常条件において気体は高い絶縁性を備えます。しか し強い電場、X 線放射、イオン照射、高温の熱源等、 特殊な条件下では、気体分子がイオン化して自由荷電 粒子が生成される可能性があります。電場に置かれた 荷電粒子は電流を伝導できます。この現象は気体放電 として知られます。 このような原理に基づく光源をガス放電灯と呼びま す。HID ランプはガス放電灯の一種です。その他に高 圧水銀ランプ、メタルハライド ランプ、希ガスランプ ( キセノンおよびクリプトンランプ等) が放電灯に含ま れます。 HID ランプは、白熱および蛍光ランプに比べて、長寿 命、高効率、高輝度、低消費電力等、多くの利点を備 えます。 HID ランプは、工場建屋、空港、スタジアム、 角型照明器具に幅広く使われています。また、車載ア プリケーションには、キセノンランプが幅広く用いら れます。 通常のハロゲンランプに比べた場合、キセノンランプ は高発光効率、低消費電力、優れた演色性、長寿命等 の特長を備えます。キセノンランプを使った車載ヘッ ドランプ システムは、夜間運転の安全性を大幅に高め ます。 1: 定常状態における HID ランプの電流と電 圧の関係 HID 電子バラスト 1 のように、 HID ランプは負性抵抗特性を示します。 1: 負性抵抗特性 これは、ランプを直接電圧源に接続するとバラストが 不安定になる事を意味します。バラストに2 に示す 正の抵抗特性を持たせるには、直列の正のインピーダ ンスが必要です。これが基本的なバラストの原理です。 2: 正の抵抗特性 Author: Jin Wang Microchip Technology Inc. I V dV lamp dI lamp ----------------- 0 < dV system dI system -------------------- 0 > dsPIC ® DSC を使った車載ヘッドランプ HID バラスト リファレンス デザイン 注意 : この日本語版文書は参考資料としてご利用ください。最新情報は必ずオリジ ナルの英語版をご参照願います。

dsPIC DSC HID - Microchip Technologyww1.microchip.com/downloads/jp/AppNotes/01372A_JP.pdfHID ランプは、白熱および蛍光ランプに比べて、長寿 命、高効率、高輝度、低消費電力等、多くの利点を備

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  • AN1372dsPIC® DSC を使った車載ヘッドランプ HID バラスト

    リファレンス デザイン

    注意 : この日本語版文書は参考資料としてご利用ください。最新情報は必ずオリジナルの英語版をご参照願います。

    はじめに

    現在、高輝度放電 (HID) ランプは、車載ヘッドライトアプリケーションに適した光源として認められています。しかし、車載 HID の始動プロセスは複雑です。このプロセスは 6 段で構成され、各段の特性が異なるため、それぞれ別々の制御ストラテジが必要です。

    デジタル制御バラストは、従来のアナログ手法と比べて下記のような各種利点を備えます。

    • 高度な制御アルゴリズムの実装が容易• 高性能な動作• 効果的な保護機能• 非常に堅牢• 低コスト本アプリケーション ノートでは、マイクロチップ社製GS シリーズ 16 ビット デジタルシグナル コントローラ (DSC)を使った車載HID電子バラストの実装に焦点を当てています。

    HID ランプ通常条件において気体は高い絶縁性を備えます。しかし強い電場、X 線放射、イオン照射、高温の熱源等、特殊な条件下では、気体分子がイオン化して自由荷電粒子が生成される可能性があります。電場に置かれた荷電粒子は電流を伝導できます。この現象は気体放電として知られます。

    このような原理に基づく光源をガス放電灯と呼びます。HID ランプはガス放電灯の一種です。その他に高圧水銀ランプ、メタルハライド ランプ、希ガスランプ(キセノンおよびクリプトンランプ等 )が放電灯に含まれます。

    HID ランプは、白熱および蛍光ランプに比べて、長寿命、高効率、高輝度、低消費電力等、多くの利点を備えます。HID ランプは、工場建屋、空港、スタジアム、角型照明器具に幅広く使われています。また、車載アプリケーションには、キセノンランプが幅広く用いられます。

    通常のハロゲンランプに比べた場合、キセノンランプは高発光効率、低消費電力、優れた演色性、長寿命等の特長を備えます。キセノンランプを使った車載ヘッドランプ システムは、夜間運転の安全性を大幅に高めます。

    図 1: 定常状態における HID ランプの電流と電圧の関係

    HID 電子バラスト式 1 のように、HID ランプは負性抵抗特性を示します。

    式 1: 負性抵抗特性

    これは、ランプを直接電圧源に接続するとバラストが不安定になる事を意味します。バラストに式 2 に示す正の抵抗特性を持たせるには、直列の正のインピーダンスが必要です。これが基本的なバラストの原理です。

    式 2: 正の抵抗特性

    Author: Jin WangMicrochip Technology Inc.

    I

    V

    dVlampdIlamp----------------- 0<

    dVsystemdIsystem--------------------- 0>

    © 2012 Microchip Technology Inc. DS01372A_JP - p. 1

  • AN1372

    図 2 に示す従来型の誘導バラストは大容量のバルクコンデンサを必要とし、力率 (PF) が低く、再点火が容易ではない等、多くの問題を抱えます。電子バラストはランプ電流とランプ出力電力を制御します。電子バラストを使う事により、瞬時の始動、小型化、高 PF、高効率を達成できます。

    図 2: 誘導バラスト

    電子バラストは下記の重要な特長を備える必要があります。

    • 高い力率 ( バラスト入力において 0.9 を超える事 )• 低い THD (33% 以下に抑える事 )• ランプ始動プロセス中にフリッカが発生しない事• 高い電力効率• 音響共振が発生しない事

    車載 HID バラストの技術的背景車載 HID ランプの始動プロセスは極めて複雑です。図 3 に、始動プロセス中の HID ランプ電圧および電流の動作プロファイルを示します。これは HID ランプに固有の特性であり、バラストはこのプロファイルに適合するよう設計する必要があります。設計が適切でない場合、HID ランプは期待通りに動作しません。

    図 3: 車載 HID ランプの電圧と電流

    L

    AC INC

    Lamp

    Vlamp

    Ilamp

    Turn-o

    nIgn

    ition

    Takeov

    er

    Warm-

    up

    Run-up

    Steady

    -state

    30 ms 50 ms 6s-8s

    -400V

    25 kV

    20V-40V20V-65V

    65V-105V

    0A

    -12Amax -2.5A (max)

    2.5A~0.41A0.41A (@85V,35W)

    2.5A(max)

    • 電源投入 (Turn-on): 点火前のランプの等価インピーダンスは無限大とみなせるため、バラストを開回路として扱います。このステージでは、バラストは適度な電圧を生成します。このステージでは、バラストが生成した電圧をイグナイタ回路に供給してランプを点火します。

    • 点火 (Ignition): 車載 HID ランプは高圧気体ランプです。このステージでは、イグナイタ回路がランプに対して高電圧パルスを生成し、ランプは絶縁状態から電流電導状態へ遷移します。結果として、放電管内でアークが形成され、可視光が生成されます。高温状態のランプに必要な点火電圧は約 25 kV です。低温状態のランプに必要な点火電圧は約 10 kV です。

    • 引き継ぎ (Takeover): 点火後のランプは、アークを維持するために大きな電流 ( 引き継ぎ電流 ) を必要とします。出力コンデンサと補助電流回路は、DC/DC コンバータが十分な電力をランプに供給し始める前に、この大電流を供給する事ができます。

    • 暖機 (Warm-up): このステージでは、アークを維持するために、DC/DC コンバータがランプの状態に応じた特定量の電流を供給します。コンバータは電流モードとして動作し、矩形波 AC 電流を生成します。定常状態に比べて周波数が 20 Hz と低いため、この状態を DC ステータスとも呼びます。

    • 助走 (Run-up): これは始動プロセスの重要ステージです。光出力の時間的変化に関する SAE J2009および ECE Reg. No 99 仕様を満たすために、 ランプの始動時過渡電力を定常状態よりも大幅に高くします。その後、バラストはランプ電力を通常レベルまで徐々に落とします。

    • 定常状態 (Steady State): ランプの条件によって変わりますが、ランプ電圧は約 85 V、ランプ電流は約 0.4 A です。ただし、ランプ電力を 35 W ±1 W に設定する事を推奨します。これは光出力性能とランプ寿命の改善を助けます。

    Note: 図内の値は、ランプの型式と動作条件によって異なります。

    DS01372A_JP - p. 2 © 2012 Microchip Technology Inc.

  • AN1372

    本リファレンス デザインのバラストは、図 4 に示す4 つのセクションにより構成されます。

    • 高周波数 DC/DC コンバータ• 低周波数 DC/AC インバータ• イグナイタ回路• デジタルシグナル コントローラ

    DC/DC コンバータは、バッテリ電圧 (9 ~ 16 V) を、まずイグナイタ回路用の高電圧まで昇圧した後、定常動作用の約85 Vまで電圧を落とします。 DC/ACインバータは、ランプの 2 つの電極を均等に励起するために、DC 電流を矩形波電流に変換します。高電圧イグナイタは、高電圧パルスを生成してランプを点火します。デジタル シグナル コントローラは、DC/DC コンバータと DC/AC インバータの両方を制御します。

    図 4: デジタル車載 HID バラスト リファレンス デザインのブロック図

    Lamp

    Igniter

    DC/ACInverter

    Inverter signalDigital Signal Controller

    Ilamp

    VlampDC/DC

    Converter

    PWM signal

    Bat

    tery

    © 2012 Microchip Technology Inc. DS01372A_JP - p. 3

  • AN1372

    車載 HID バラストのデジタル設計

    システム設計仕様

    表 1 に、車載 HID バラストのデジタル設計に適用するシステム仕様の一覧を示します。

    表 1: システム設計仕様特性 仕様 条件

    入力電圧 公称値 13.5 V

    動作レンジ 9 ~ 16 V温度レンジ 動作レンジ -40 ~ 105 ℃過渡時 最大入力電流 低温ランプ : 12 A

    高温ランプ : 4 A

    最大出力電流 2.5 A

    最大入力電力115 W

    13.5 V、25 ℃

    9 ~ 16 V、-40 ~ 105 ℃最大出力電力

    75 W13.5 V、25 ℃9 ~ 16 V、-40 ~ 105 ℃

    光出力 ECE R99 に適合 13.5 V、25 ℃定常 入力電流 最大 3.5 A 13.5 V、-40 ~ 105ºC

    出力電力 35 W ±1 W 9 ~ 16 V、-40 ~ 105 ℃定常光出力までの時間 ≤ 150 s 13.5 V、25 ℃効率 > 85% 13.5 V

    音響共振 — 音響共振なき事 —

    フリッカ — フリッカなき事信頼性 再点火 100% 100 回の ON/OFF

    連続動作 3000 hr

    入力保護 低電圧保護 9 V

    過電圧保護 16 V

    出力保護 短絡保護 あり

    開回路保護 あり

    寸法 — ≤10 mm * 60 mm * 80 mmEMI — ECE R10 に適合

    ( 誤差 < 20%)

    DS01372A_JP - p. 4 © 2012 Microchip Technology Inc.

  • AN1372

    ハードウェア トポロジの選択

    DC/DC 回路DC/DC コンバータはランプ電圧、ランプ電流、ランプ電力の制御を実装するための重要ステージです。バラストの性能と効率は、このステージによって決まります。前述したように、このステージは昇圧機能と、開回路負荷に対する高電圧出力能力を備える必要があります。部品点数を最小限に抑えるために、図 5 に示すフライバック トポロジを選択しました。さらに、フライバック トランスの昇圧機能により、スイッチの電圧および電流ストレスを低く抑えられます。しかし、トランスの漏れインダクタンスによってスイッチで高電圧パルスが発生し、システムの電力効率に影響します。

    図 5: フライバック DC/DC コンバータ

    DC/AC 回路このステージにはフルブリッジ インバータを選択しました。図 6 に、フルブリッジ インバータのトポロジを示します。インバータの動作周波数はランプの動作状態によって異なります。点火前の電源投入 (Turn-on) および点火ステージでは、インバータは 1 kHz で動作します。点火後の暖機ステージの動作周波数は 20 Hz まで低下します。暖機ステージの終了後、インバータは200 Hz で動作します。

    図 6: フルブリッジ インバータ

    イグナイタ回路

    車載 HID バラストに採用したイグナイタ回路は、図7(B)に示すデュアル周波数インバータにより駆動されます。この回路は、図 7(A) に示す電圧ダブラを使う従来型のイグナイタ回路に比べて 2 つの利点を備えます ( 大容量コンデンサ C1 を大幅に小さくでき(C3 ≤ C1/10)、より高電力のパルスを生成できます )。これにより、特に高温ランプを始動する際の点火成功率を改善できます。

    図 7: イグナイタ回路

    Vin

    Vout

    Vdc

    Load

    C1 C2 C3

    C4

    電圧ダブラ デュアル周波数インバータ

    (A) (B)

    © 2012 Microchip Technology Inc. DS01372A_JP - p. 5

  • AN1372

    デジタル シグナル コントローラdsPIC DSC は、アナログ / デジタル コンバータ (ADC)のペア0 (AN0とAN1)を介してランプ電圧とランプ電流を検出し、このランプ電圧に従ってDC/DCコンバータの参照電流を計算します。コントローラは、ランプ電流を制御するために、DC/DC コンバータの PWMデューティサイクルを調整します。この間、デジタルシグナル コントローラは各種フォルト信号を監視します。開回路保護と短絡保護は高速な応答を要求するため、これらの保護機能の実装には内部コンパレータ(CMP1D と CMP2D) を使います。同時に、デジタルシグナル コントローラは、ADC ペア 1 (AN2) を介してバッテリ電圧を計測します。バッテリ電圧が正常動作レンジ外である場合、バラストは動作を停止します。加えて、DSC の Timer2 を使ってフルブリッジ インバータの動作周波数を制御するために、I/O ポートRB14 を介してインバータ駆動信号を生成します。

    表 2 に、使う dsPIC のリソースを示します。図 8 にデジタル シグナル コントローラのブロック図を示します。

    表 2: dsPIC® リソースの使用

    図 8: デジタル シグナル コントローラのブロック図

    機能 内容

    システム クロック 内部 FRC オシレータ

    入力電圧保護 ADC ペア 1、 Timer2 をトリガに使用

    DC/DC コンバータ制御 PWM1

    開回路および短絡保護 CMP1D; CMP2D

    ランプ電流および電圧計測

    ADC ペア 0、PWM1 をトリガに使用

    フルブリッジ インバータ駆動信号

    Timer2; RB14

    点火失敗保護 Timer2

    遅延機能 Timer1

    Vlamp

    Ilamp

    Ierr Iref PI

    Timer2

    PWM

    Vmin < VIN < VMAX

    FULL-BRIDGEPWM SIGNAL

    Vin

    PWM1H AN2 AN1 AN0

    Fault

    RB14

    CM

    P1D

    CM

    P2D

    Ballast Circuitry

    DAC Output

    DAC Output

    DS01372A_JP - p. 6 © 2012 Microchip Technology Inc.

  • AN1372

    制御ストラテジと制御ループの設計

    制御ストラテジの設計

    「車載 HID バラストの技術的背景」で述べたように、車載HIDランプの始動プロセスは 6段階のステージにより構成されます。各ステージで異なる制御ストラテジが必要であり、非常に正確なタイミング制御が要求されます。図 9 に、制御ストラテジのタイミング フローチャートを示します。

    電源投入 (Turn-on) ステージでは、バラストはバッテリ電圧を適正レベルまで昇圧する必要があります。この電圧は、イグナイタ コンデンサを完全に充電するために、ランプ内の気体が絶縁状態から電流電導状態に遷移するまで、一定期間維持されます。このモード中、DC/DC 段は一定電圧で動作します ( 図 10(A) 参照 )。

    ランプ内の気体が絶縁状態から電流電導状態へ遷移してランプの点火に成功した直後に、バラストは素早く応答して十分な電流を供給し、アークを維持する必要があります。暖機ステージでは、定電圧制御を定電流制御に切り換えます (図10(B)参照 )。最後の助走 (Run-up)ステージと定常動作では、バラストは電力制御モードで動作します。バラストは、ランプ電圧が 30 V を超えた時に、助走ステージに移行します。バラストは、定常状態に移行する前に、ランプ電力を高レベル ( 約75 W、ランプの状態に依存 ) から低レベル (35 W) へ制御する必要があります。このステージ中は、電力低減制御モードを選択します。ランプ電圧が 65 V を超えると、ランプは定常状態に移行します。バラストは定電力制御で動作してランプ電力を 35W ±1W に維持します。定常状態での回路の状態を図 10(C) に示します。

    図 9: 制御ストラテジのタイミング フローチャート

    図 10: 電圧、電流、電力制御の状態図 (A、B、C)

    t

    Vlamp

    Stead

    y Stat

    e

    Run-u

    p

    Warm

    -up

    Take

    over

    Ignitio

    n

    Turn-

    on

    Cons

    tant

    Volta

    ge

    Contr

    ol No

    Contr

    ol No

    Contr

    olCo

    nstan

    t

    Curre

    nt

    Contr

    ol

    Decre

    asing

    Pow

    er

    Contr

    ol

    Cons

    tant P

    ower

    Contr

    ol

    Note: この図はランプの電圧振幅の変化をそのまま示しています。電圧の極性の変化 ( 波形 ) を示したものではありません。

    Co

    ko Gi

    K1

    Vlamp

    Vref

    Verr

    Co

    ko Gi

    K2Ilamp

    Iref

    Ierr

    Co

    ko Gi

    K1

    Plamp

    Pref

    Perr

    K2MULT

    Constant Voltage Constant Current

    Power Control Mode

    (A) (B)

    (C)

    Control ModeControl Mode

    © 2012 Microchip Technology Inc. DS01372A_JP - p. 7

  • AN1372

    始動プロセスには 3 種類の制御モード ( 電圧、電流、電力制御 ) が必要であるため、ソフトウェアは非常に複雑になります。しかし、dsPIC DSC の機能により、ソフトウェア設計の複雑化を最小限に抑える事ができます。そのような機能には下記が含まれます。

    • 複数の優先度を使う割り込み駆動制御• ソフトウェア オーバーヘッドを最小限に抑えるインテリジェント周辺モジュール

    • 複雑な計算を効率的に実行する高性能算術演算および DSP エンジン

    • 高速で信頼性の高い保護機能を提供する内蔵コンパレータ

    • 正確な電力計測を可能にする同時サンプリングADC

    さらに、始動プロセスでは、制御モードの遷移が 2 回発生します。最初の遷移は、電圧制御モードと電流制御モード間の遷移です。これにより、点火後の DC/DCコンバータの電流応答が遅れ、ランプのアークが消えてしまう可能性があります。次の遷移は、電流制御モードと電力制御モード間の遷移です。これにより、ランプ電流が不安定になります。本リファレンス デザインでは、上記を考慮して制御モードを最適化した結果、始動プロセス全体を通して電流制御モードだけを使います。dsPIC DSC を使って先進の制御方式を実装する事により、ランプ電流の不安定または点火アークの消失等の障害をともなわずに、各種制御モードを達成できます。

    まず、電源投入 (Turn-on) ステージにおける定電圧制御モードを定電流制御モードに置き換えます。DC/DCコンバータの最大出力電圧は、デジタル シグナル コントローラの PWM モジュールのサイクルバイサイクル電流制限機能によって制限されます。電圧制限値は、イグナイタ回路に対して設定する必要があります ( イグナイタ回路部品の許容電圧に対応して 360 ~ 400 Vレンジ内の任意の電圧に設定 )。この制御方式は DC/DC コンバータの電流応答を高速化し、点火成功率の向上に寄与します。また、補助電流回路から供給する引き継ぎ (Takeover) 電流が減少するため、補助電流コンデンサを小型化できます。

    次に、助走 (Run-up) ステージと定常状態における電力制御モードを、電流制御モードに置き換えます。これにより、始動プロセスが暖機ステージから助走ステージに移行する際に制御モードの遷移が発生しないため、ランプ電流は不安定になりません。このように、ランプ電流を制御する事により、ランプ電力制御を達成できます。これらの 2 つのステージにおける参照電流は、式 3 のように計算します。

    式 3: 参照電流の計算式

    これらの 2 つのステージ ( 助走と定常 ) では、デジタル シグナル コントローラの ADC モジュールで計測したランプ電圧によって参照電力が決まります。ランプ電圧と参照電力の関係を図 11 に示します。

    図 11: ランプ電圧と参照電力の関係

    以上の始動プロセス全体を通してのレギュレータ参照電流のプロファイルを図 12 に示します。

    Iref : ランプ参照電流Pref : ランプ参照電力Vlamp: ランプ電圧

    IrefPref

    Vlamp--------------=

    Pref: ランプ参照電力Vlamp: ランプ電圧

    30V 65V Vlamp

    Pref

    58W

    35W

    DS01372A_JP - p. 8 © 2012 Microchip Technology Inc.

  • AN1372

    図 12: 参照電流

    電流制御ループの設計

    フルブリッジ インバータは、DC 電圧を、完全な対称パターンを持つ低周波数の矩形波 AC に変換します。従って、バラストの微小信号モデリングは、フライバック コンバータに関してのみ行います。「制御ストラテジと制御ループの設計」で述べたように、本リファレンス デザインでは電流ループだけを使います。図 13に、電流ループのブロック図を示します。

    表 3 に、定常状態における電流ループの設計パラメータの一覧を示します。

    表 3: 電流ループ設計パラメータ

    式 4: 未補償伝達関数

    PWM ジェネレータの伝達関数は、Gm(s) = 1/8 です。フィードバック回路の伝達関数は、2 つの部品 ( サンプル抵抗 (0.68Ω)と比例増幅器 (ゲイン 2))により構成されます。従って H(s) の値は 1.36 です。電源段の伝達関数 Gp(s) は、図 14 に示すフライバック微小信号モデルにより計算します。

    図 13: 電流ループのブロック図

    Stead

    y Stat

    e

    Run-u

    p

    Warm

    -up

    Take

    over

    Ignitio

    n

    Turn-

    on

    Iref

    1.8A

    0.8A

    0.41A

    t

    設計パラメータ 値

    出力電力 Po = 35 W

    出力電流 Io = 0.41 A

    入力電圧 Vi = 13.5 V

    動作周波数 fs = 180 kHz

    電流ループ サンプリング周波数 f = 22.5 kHz

    一次側インダクタンス Lp = 3.47 µH

    デューティサイクル D = 0.51

    巻き数比 n = 6

    電流ループ帯域幅 fsw = 200 Hz

    Gm(s): PWM ジェネレータの伝達関数Gp(s): 電源段の伝達関数H(s): フィードバック回路の伝達関数

    G s( ) Gm s( ) Gp s( ) H s( )⋅⋅=

    LampPower StagePWM

    I

    dVc

    H(s)

    Compensator(GI)

    IerrIref + Gp(s)Gm(s)

    © 2012 Microchip Technology Inc. DS01372A_JP - p. 9

  • AN1372

    図 14: フライバック コンバータの微小信号モデル

    図 14 に基づき、電源段の伝達関数 Gp(s) は式 5 のように計算できます。結果として、総合的な未補償伝達関数は式 6 のように計算できます。

    式 5: 電源段伝達関数

    式 6: 総合的な未補償伝達関数

    式 7: 電流誤差補償器

    式 7 に基づき、

    kpi = 0.1162、kIi = 14.59/ サンプリング周波数 = 0.00065

    Vg(t)

    Ig(t)

    Ig d(t)

    L

    1:D

    (Vg+V/n) * d(t)

    1-D:n+

    RC

    V(t)

    I * d(t)/n

    I(t)

    Vo = 入力電圧D = デューティサイクルD' = (1-D)R = ランプ等価抵抗Lp = 一次側インダクタンス

    Gp s( )v t( )

    R dt⋅-------------

    Vg (t)= 0 =

    VoR------

    D′D------

    LpD′ R⋅--------------s–

    n2LpCs2 n

    2LpR

    -----------s D′2+ +

    ---------------------------------------------------------⋅=

    G s( ) Gm s( ) Gp s( ) H s( )⋅ ⋅VoR------

    D′D------

    LpD′ R⋅--------------s–

    n2LpCs2 n

    2LpR

    -----------s D′2+ +

    --------------------------------------------------------- 1.368

    ----------⋅ ⋅= =Gm(s) = PWM モジュールの伝達関数H(s) = フィードバック回路の伝達関数

    電流誤差補償器の伝達関数は下式により与えられます。

    fZ = 20 HZ ( 電流 PI コントローラのゼロ位置 ) から下記が求まります。

    GI s( ) kpikIis

    ------ kpi1 Tco s⋅+

    Tco s⋅------------------------⎝ ⎠

    ⎛ ⎞=+=

    Tco1

    2πfz---------- 0.00796==

    GI s( )nLpCD

    ′2R2fswVoLp

    ------------------------------------ 81.36----------

    1 Tco s⋅+Tco s⋅

    ------------------------⎝ ⎠⎛ ⎞⋅ ⋅=

    GI s( ) 0.11621 0.00796 s⋅+

    0.00796 s⋅-----------------------------------⎝ ⎠

    ⎛ ⎞⋅=⇒

    GI s( ) 0.116214.59

    s-------------+=⇒

    DS01372A_JP - p. 10 © 2012 Microchip Technology Inc.

  • AN1372

    図 15 に、未補償伝達関数と補償済み伝達関数のボード線図を示します。

    図 15: 未補償と補償済みのボード線図

    未補償伝達関数 ( ゲインマージン : 33.83 dB、位相マージン : 15.2º)

    補償済み伝達関数 ( ゲインマージン : 48.43 dB、位相マージン : 101.7°)

    © 2012 Microchip Technology Inc. DS01372A_JP - p. 11

  • AN1372

    ソフトウェア設計

    図 16 に、システムの制御フローチャートを示します。

    図 16: 制御フローチャート

    Initialization

    Turn OFFConverter

    Timer1 Start to Count

    Exceed

    Vin < 9VOR VIN > 16V?

    YES

    NO

    NO

    NO

    YES

    NONO

    TURN ON CONVERTERAND CONTROL THEOUTPUT VOLTAGE

    AT 360V

    IGNITIONSUCCESSFUL?

    DCOPERATION

    Vlamp > 65V?CONSTANT

    POWER

    DECREASEDPOWER CONTROL

    OPEN OR SHORTCIRCUIT?

    10 SECONDS?

    CONTROL

    YES

    YES

    YES

    DS01372A_JP - p. 12 © 2012 Microchip Technology Inc.

  • AN1372

    ソフトウェア実装のタイミング ロジックTimer1 は周波数 1 kHz で動作します。Timer1 は、遅延サブルーチン関数のタイムベースとして、点火失敗検出用に使います。Timer2 は、フルブリッジ インバータの駆動信号用に使用し、動作周波数は変化します。

    点火前に、Timer2 は周波数 2 kHz で動作して、イグナイタ コンデンサを充電します。点火後、Timer2 は周波数 40 Hz で動作して、ランプの電極を暖機します。暖機ステージ後、Timer2 は 400 Hz で動作します ( 以後、周波数は 400 Hz で一定 )。加えて、バッテリ電圧を計測するために、Timer2 は ADC ペア 1 を毎周期トリガします。

    PWM1 は 180 kHz で動作します。これは 8 サイクル毎に ADC ペア 0 をトリガします。ADC ペア 0 では、ランプ電圧とランプ電流を計測します。トリガ毎に ADC割り込みをサービスします。割り込みサービス ルーチン (ISR) では、デジタル シグナル コントローラが ADC結果を読み出し、ランプの状態を確認し、補償を実行し、最後に PWM デューティサイクルを更新してランプに適切な電力を供給します。図 17 にタイミング図を示します。

    図 17: タイミング ロジック

    Timer1Counter 1 kHz

    Timer2Counter

    2 kHz 40 Hz 400 Hz

    Trigger

    180 kHzPWM1

    TriggerADC Pair 0 22.5 kHz

    ADC Pair 1

    © 2012 Microchip Technology Inc. DS01372A_JP - p. 13

  • AN1372

    ソフトウェア フローソフトウェア フローを図 18 に示します。

    電源投入時に、全ての変数と周辺モジュールを初期化します。PWM1 の動作周波数を 180 kHz に設定します。Timer1 と Timer2 の動作周波数をそれぞれ 1 kHzと 2 kHz に設定します。Timer2 は毎周期割り込みを生成します。割り込みサービス ルーチン内で出力ピンRB14 をトグルする事により、フルブリッジ MOSFETに PWM 信号を供給します。この割り込みサービスルーチンでは、点火タイムアウトおよび暖機完了検出機能も実行します。Timer2 は ADC ペア 1 もトリガします。ただしその結果は、バッテリ電圧が期待するレンジ内に入っているかどうかを検出するために、バックグラウンドで読み出されます。

    8 PWM サイクル毎に、PWM1 が ADC ペア 0 をトリガしてランプの電流と電圧を計測します。制御アルゴリズムの大部分は、ADC ペア 0 割り込みサービスルーチン内で実行されます。割り込みサービルルーチンの開

    始時に点火成功フラグを確認します。点火フラグが0 である場合、プログラムは点火確認機能へ進みます。点火を検出した場合、点火フラグがセットされます。この場合、暖機動作に向けて Timer2 周期を 40 Hz に設定します。次いでプログラム フローは暖機機能へ進みます。点火が検出されない場合、プログラムは開ループ制御フローへジャンプします。

    点火フラグが 1 である場合、暖機コードを実行します。暖機ステージの後に、ランプ電圧を確認します。ランプ電圧が 65 V を超えている場合、プログラムは定電力制御フローへジャンプします。一定値 (35 W) に固定された参照電力をランプ電圧で除算し、その結果を参照電流として電流補償器に入力します。ランプ電圧が65 V よりも低い場合、プログラムは電力低減制御フローへジャンプします。この場合、参照電力は一定ではなく、図 11 のように変化します。この参照電力をランプ電圧で除算し、その結果を参照電流として電流補償器に入力します。補償器は補償を実行し、その結果を PWM モジュールに入力します。

    図 18: ソフトウェア フロー

    InitializeCompensators

    Turn ONPWM1 Module

    Turn ONTimer2 Wait for

    Timer2Interrupt

    CheckInput

    Voltage

    Wait forADC0

    Interrupt

    Reset

    InitializePeripherals

    Trigger ADC pair 1

    VIN

    Trigger

    ADC p

    air 0

    DS01372A_JP - p. 14 © 2012 Microchip Technology Inc.

  • AN1372

    図 19: TIMER2 割り込みサービスルーチン (ISR) のフロー

    Timer2Interrupt

    ToggleInverterDrive

    Check Endof Warm-up

    StageCheckIgnitionFailure

    Signal

    © 2012 Microchip Technology Inc. DS01372A_JP - p. 15

  • AN1372

    図 20: ADC 割り込みサービスルーチン (ISR) のフロー

    凡例 赤のテキストはアセンブリコード内のラベルです。黒のテキストはジャンプ条件です。

    ADC0Interrupt Ignition Flag = 1

    Startup_Phase_Operation:Ignition Flag = 0Open_Loop:

    Open

    _Con

    trol

    :

    Confirm_Ignition:

    Step

    _up:

    Decreased_power_control:

    Cons

    tant

    _con

    trol

    _Ope

    rati

    on:

    De

    cr

    ea

    se

    d_

    Vo

    lt

    ag

    e_

    co

    nt

    ro

    l:

    IgnitionCheck

    Filter LampCurrent

    FeedbackSignal

    Filter LampVoltage

    FeedbackSignal

    CalculateIref

    CurrentLoop

    Compensator

    CurrentLoop

    Compensator

    Warm-upStage

    CurrentCompensator

    VoltageLoop

    Compensator

    UpdateInverter

    Frequency

    CalculateIref

    Bus_

    War

    mup

    _Suc

    cess

    _Fla

    g!=

    2 Bus_Warmup_Success_Flag = 2

    V lamp

    > 6

    5V

    Ilamp > 0.3A

    I lamp

    < 0

    .3A

    Ilamp

    PWM

    PWM

    PWM

    PWM

    Vlamp < 65V

    Vlamp

    Ilamp

    Loop

    DS01372A_JP - p. 16 © 2012 Microchip Technology Inc.

  • AN1372

    ソフトウェアで使う機能

    車載HIDランプバラストの各種ステージを実装するためにソフトウェアで使う機能の一覧を表 4 と表 5 に示します。

    表 4: ソフトウェア機能

    表 5: isr_asm.s の機能

    ファイル名 機能名 内容

    main.c main() デジタルシグナル コントローラの周波数の設定

    補助クロックの設定

    PWM、CMP、ADC の設定

    補償器の初期化

    PWM と ADC の有効化

    フルブリッジ駆動の有効化

    入力電圧異常の確認

    init.c init_FlybackDrive() PWM1 モジュールの設定init_CMP() CMP1D と CMP2D の設定init_ADC() ADC ペア 0 と ADC ペア 1 の設定init_FlybackCurrentCtrl() フライバック補償器の初期化

    Delay_ms タイミング遅延の設定

    init_Timer2_full_bridge_drive() フルブリッジ インバータ駆動信号の設定Init_Variables() 変数とフラグのリセット

    Init_IO() RB14 をフルブリッジ PWM 信号の出力として初期化isr.c T1Interrupt() 割り込みカウンタのインクリメント

    T2Interrupt() I/O のトグル

    点火タイムアウトの確認

    暖機終了の確認

    FlybackCurrentCntrl() フライバック補償器

    isr_asm.s 表 5 を参照してください。

    ファイル名 セクションラベル 内容

    isr_asm.s Startup_Phase_Operation ランプ電流のフィルタ処理

    step_up 暖機電流の制御

    Decreased_power_control ランプ電圧のフィルタ処理

    ランプ電圧条件により参照電流を提供

    Decreased_current_control 助走 (Run-up) ステージの電流ループ制御Power_Control_Operation 参照電流の計算

    電力ループ制御

    Open_Loop 点火成功の確認

    Open_control 開回路電圧制御

    Confirm_ignition 点火成功フラグのセット

    DC 動作周波数の設定

    フィルタの初期化

    © 2012 Microchip Technology Inc. DS01372A_JP - p. 17

  • AN1372

    ハードウェア設計

    システムブロック図

    図 21 に、本リファレンス デザインのシステム回路図を示します。「ハードウェア トポロジの選択」で述べたように、回路は 4 つの主要セクションにより構成されます。また、回路は各種補助回路も含みます。

    入力側の EMI フィルタは、電磁干渉 (EMI) を抑制します。入力側には、逆入力電圧保護回路も備えています。さらに、フルブリッジ インバータの前に設けた RCD補助電流回路は、コンバータが応答する前の引き継ぎ(Takeover) 電流の大部分を供給します。信号フィルタは、ADC に入力する前のランプ電圧および電流信号を調整します。最後に、補助電源システムは、基板上のデジタルおよびアナログ IC に電源を供給します。

    電力段パラメータの設計

    表 6: フライバックの設計データ設計パラメータ 値

    定格入力電圧 Vin = 13.5 V

    最小入力電圧 Vin_min = 9 V

    最大入力電圧 Vin_max = 16 V

    定格出力電圧 Vo = 85 V

    最小出力電圧 Vo_min = 30 V

    最大出力電圧 Vo_max = 102 V

    定格出力電流 Io = 0.41 A

    最大出力電流 Io_max = 1.8 A

    定格出力電力 Po = 35 W

    最大出力電力 Po_max = 75 W

    動作周波数 fs = 180 kHz

    システム効率 η = 85%

    ダイオード順方向電圧 Vf = 1 V

    DS01372A_JP - p. 18 © 2012 Microchip Technology Inc.

  • © 2012 M

    icrochip Technology Inc.D

    S01372A

    _JP - p. 19

    AN

    1372

    T2

    LAMPARC GAPC5

    C4

    D5

    R5IGNITIONCIRCUIT

    内部コンパレータの使用を推奨しま

    Q3Q4Q5Q6

    D6

    21: システム回路図

    R1

    EMIFILTER

    D7R4

    T1D3

    C2

    Q1

    Q2

    C3

    R4D4

    Q3 Q5

    Q4 Q6

    dsPIC® DSC

    Vdc

    D1

    R2

    R3Vin R5

    IlampVlamp

    R6

    Vin

    AuxiliaryCurrent Circuit

    PWMDriver

    PWMSignal

    Driv

    er

    InverterDriverSignal

    ReverseProtection

    Note: この回路では、点火開始時の入力突入電流を制御しません。この突入電流を低減するために、dsPIC デバイスのす。その場合、コンパレータを PWM 電流制限モードのトリガ源として設定する必要があります。

    D212V

    Aux.Power

  • AN1372

    トランス巻き数比 n の計算

    式 8: MOSFET の最大ドレイン - ソース間電圧Vds_max

    式8に基づき、トランスの巻き数比n = 6が得られます。

    一次側インダクタ LP の計算

    式 9: 定格動作時のコンバータ電圧比 VIN/VO

    式 9 に基づき、定格動作時のデューティサイクルD = 0.51 が得られます。

    フライバック コンバータは、定格動作時に CCM モードで動作します。

    式 10: 一次側インダクタの電流パラメータ

    式 10 に基づき、平均入力電流 Iin_ave = 3.05 A、一次側インダクタ ピーク電流 IL_pk = 11.48 A、一次側インダクタ RMS 電流 IL_rms = 4.73 A が得られます。

    式 11: 一次側インダクタの値

    式 11 に基づき、一次側インダクタ Lp = 3.47 µH が得られます。

    イグナイタ回路の出力電圧 : Vig = 360 V最大入力電圧 : Vin_max = 16 Vオーバーシュート電圧 : V’ ≈ 15 VMOSFET の最大ドレイン - ソース間電圧 : VDSS = 100 V最大ドレイン - ソース間電圧 : Vds_max = 90% * VDSS = 90 V

    Vds_max Vin_maxVign

    ------- V′+ +=

    定格入力電圧 : Vin = 13.5 V定格出力電圧 : Vo = 85 Vデューティ サイクル : D計算で求めた巻き数比 : n = 6

    Von Vin D⋅ ⋅

    1 D–------------------------=

    電力変換に従う平均入力電流 :

    定格出力電力 : Po = 35 W定格入力電圧 : Vin =13.5 Vシステム効率 : η = 85%

    ON 期間中の平均電流 :

    デューティ サイクル : D = 0.51

    一次側インダクタのピーク電流 :

    想定インダクタ リップル電流 : ΔI = 11 A

    一次側インダクタの RMS 電流 :

    Iave_onIin_ave

    D---------------=

    Iin_avePo

    Vin η⋅----------------=

    IL_pk Iave_onΔI2

    ------+=

    IL_rms IL_pkD3----⋅=

    定格入力電圧 : Vin = 13.5 Vターンオン時間 : ton = D * (1/fs) = 2.83 µsインダクタ リップル電流 : ΔI = 11 A

    LpVin ton⋅

    ΔI-------------------=

    DS01372A_JP - p. 20 © 2012 Microchip Technology Inc.

  • AN1372

    平面実装コアの選択

    インダクタコアを飽和させる事はできません。従って最悪条件 (Vin = 9 V; Po = 75 W; Vo = 30 V) を考慮する必要があります。

    式 9 に基づき、最悪条件でのデューティサイクルDw = 0.357 が得られます。

    式 10 に基づき、平均入力電流 Iin_ave_w = 9.8 A、平均ON 電流 Iave_on_w = 27.46 A が得られます。

    式 12: 最悪条件時のインダクタ リップル電流

    式 12 に基づき、最悪条件時のインダクタ リップル電流 ΔIw = 5.14 A が得られます。

    式 10 に基づき、最悪条件時一次側インダクタ ピーク電流 IL_pk_w = 30.03 A、最悪条件時一次側インダクタRMS 電流 IL_rms_w = 10.36 A が得られます。

    式13に示すAP計算手法を用いて平面実装コアを選択します。

    式 13: AP の値

    式 13 に基づき、総合 AP = 0.72 cm4 が得られます。

    各種の平面実装インダクタコアを比較した結果、フライバック トランスには FR43208EC と FR43208IC を選択しました ( 式 14 参照 )。

    式 14: 選択した平面実装コアのパラメータ

    一次側と二次側の巻き数の計算

    式 15: 一次側と二次側の巻き数

    式 15 に基づき、一次側巻き数 Np = 2.65 ( 整数巻き数として Np = 2 を選択 )、二次側巻き数 Ns = 12 が得られます。

    トランスギャップの計算

    式 16: トランスギャップ

    式 16 に基づき、トランスギャップ Lgap = 0.19 mm が得られます。

    最小入力電圧 : Vin_min = 9 V最悪条件時のデューティサイクル : Dw = 0.357動作周波数 : fs = 180 kHz一次側インダクタ : Lp = 3.47 µH

    ΔIwVin_min Dw⋅

    fs Lp⋅------------------------------=

    一次側 AP:

    一次側インダクタ : Lp = 3.47 µH一次側巻き線径 : d2p = 1.816 mm飽和磁気誘導 : ΔB = 0.3 T

    二次側 AP:

    総合 AP:

    APp6.33 Lp d

    2p 10

    8⋅ ⋅ ⋅

    ΔB---------------------------------------------- cm4( )=

    APs 2 3∼( ) APp⋅≈

    AP APp APs+=

    Aw = 58.99 mm2

    Ae = 130 mm2

    AP Aw Ae 0.767cm4 0.72cm4>=⋅=

    一次側巻き数 :

    一次側インダクタ : Lp = 3.47 µH最悪条件時の一次側インダクタ ピーク電流 : IL_pk_w = 30.03 A

    飽和磁気誘導 : ΔB = 0.3 TAe = 130 mm2

    二次側巻き数 :

    巻き数比 : n = 6

    NpLp IL_pk_w⋅

    ΔB Ae⋅---------------------------=

    Ns n Np⋅=

    一次側巻き数 : Np = 2Ae = 130 mm2

    一次側インダクタ : Lp = 3.47 µH

    Lgapμ0 Np

    2 Ae⋅ ⋅Lp

    ---------------------------=

    © 2012 Microchip Technology Inc. DS01372A_JP - p. 21

  • AN1372

    電源部品の選択

    • 逆入力電圧保護用 MOSFET Q1

    式 17: 主要最大パラメータの計算

    式 17 に基づき、Q1 には FDD8896 を選択します(VDSS = 30 V、Rds_on = 5.7 mΩ)。

    • フライバック コンバータ用 MOSFET Q2

    式 18: フライバック MOSFET の最大パラメータの計算

    式 18 に基づき、Q2 には FDB3652 を選択します(VDSS = 100 V、Rds_on = 16 mΩ)。

    • フライバック コンバータ用ダイオード D3

    式 19: フライバック ダイオードの最大パラメータの計算

    式 19 に基づき、D3 には RHR660 を選択します(VR_max = 600 V、IF(AV)_max = 6 A、Qrr = 45 nC)。

    • フルブリッジ インバータ用 MOSFET Q3 ~ Q6

    式 20: フルブリッジ MOSFET の最大パラメータの計算

    式 19 に基づき Q3 ~ Q6 には FCD7N60 を選択します(VDSS = 650 V、ID_rms_max = 7 A、Rds_on = 0.53 Ω)。

    イグナイタ回路のパラメータ設計

    デュアル周波数インバータで駆動するイグナイタ回路を採用します。その設計パラメータを表 7 に示します。

    表 7: イグナイタ回路の設計パラメータ

    イグナイタ コンデンサと抵抗点火エネルギを考慮して、共振静電容量 C4 = 33 nF/630 V とします。

    式 21: ポンプ静電容量 C5 と充電抵抗 R5 の計算

    式 21 に基づき、ポンプ静電容量 C5 = 33 nF/630 V、充電抵抗 R5 = 1k/3 W を選択します。

    トランスの計算

    式 22: 巻き数比 N の計算

    最大 RMS ドレイン電流 :

    ID_rms_max IL_rms_w 10.36A= =

    最大ドレイン電流 :

    最大ドレイン - ソース間電圧 :

    ID_max IL_rms_w 10.36A= =

    Vds_max Vin_max=Vign

    -------+ V′ 90V= =

    最大順方向電流 :

    最大逆方向電圧 :

    IF_maxIL_pk_w

    n----------------- 5A= =

    VR_max Vig Vin_max n 504V=⋅+=

    最大ドレイン電流 :

    最大ドレイン - ソース間電圧 :

    ID_max Io_max 1.8A= =

    Vds_maxVig2

    ------- 180V= =

    設計パラメータ 値

    定格入力電圧 Vig = 360 V

    ガス放電管の絶縁破壊電圧 Vbreak = 600 V

    点火パルス電圧値 Vig_pulse > 25 kV

    点火パルス幅 Tw > 0.5 µs

    点火用インバータ周波数 fig = 1 kHz

    充電時間と放電時間はほとんど同じです :

    充電および放電期間 :

    点火用インバータ周波数 : fig = 1 kHz

    加えて、充電時間とC5は下記を満たす必要があります :

    かか

    Tdischarge Tcharge 5 C5 R5⋅ ⋅=≈

    Tig1fig-----=

    TchargeTig2

    -------< C5C410------≤

    点火パルス電圧値 : Vig_pulse > 25 kVガス放電管の絶縁破壊電圧 : Vbreak = 600 V

    nVig_pulseVbreak

    -------------------->

    DS01372A_JP - p. 22 © 2012 Microchip Technology Inc.

  • AN1372

    式 22 に基づき、巻き数比 n > 41.7 が得られます。寄生パラメータを考慮し、巻き数比として n = 80 を選択します。

    図 22: RMS 点火パルス幅

    式 23: 一次側インダクタ LP の計算

    式 23 に基づき、一次側インダクタ Lp > 0.28 µH が得られます。これに従い Lp = 0.28 µH、Ls = 1.78 mH を選択します。

    システム補助回路の設計

    補助電源システムの設計

    2 種類の補助電源を使います。1 つは 3.3 V のデジタルシグナル コントローラおよびオペアンプ用電源、もう1 つは 15 V のフルブリッジ MOSFET ドライバ用電源です。図 23 に、補助電源システムの回路を示します。

    15 V 回路の電力は式 24 により計算します。

    式 24: 15 V 補助電源回路の電力

    式 24 に基づき、15 V 補助電源電力 P = 1.18 W が得られます。

    図 23: 補助電源システムの回路

    Wd t⋅( )sin 0.707=

    共振周波数 :

    点火パルス幅 :

    Wd t⋅( )sin 0.707=

    Wd 1Lp C4⋅

    ---------------------=

    Wd t1 0.24π Wd t2⋅, 0.76π= =⋅⇒

    Tw t2 t10.76π 0.24π–

    Wd---------------------------------- 0.5μs>=–=

    図 22 の RMS 点火パルス幅 :

    一次側インダクタの漏れインダクタンス : Lp_leak = 0.1 µH一次側インダクタのピーク電流 : IL_pk = 11.48 A動作周波数 : fs = 180 kHz

    P 12---Lp_leak IL_pk

    2 fs⋅ ⋅=

    Vbat

    CIN Cout

    3.3VMCP1703

    3.3 V 補助電源回路

    15V 補助電源回路

    T1

    15V

    © 2012 Microchip Technology Inc. DS01372A_JP - p. 23

  • AN1372

    MOSFET ドライバの設計回路内で 5 種類の駆動信号を使います。1 つはフライバック MOSFET 用、その他の 4 つはフルブリッジ インバータ MOSFET 用です。フライバック MOSFET の駆動には MCP1407 IC を使います。4 個のフルブリッジ MOSFET の駆動には IR2453 IC を使います。デッドタイムは 1 µs 固定です。図 24 に、2 つの駆動回路を示します。

    信号フィルタの設計

    ランプ電圧および電流フィードバック信号を増幅およびフィルタ処理するために、オペアンプを使います。図 25 に、2 つの信号フィルタを示します。式 25 により、これら 2 つのフィルタの伝達関数を計算します。

    図 24: MOSFET ドライバ回路

    図 25: 信号フィルタ回路

    式 25: 2 つのフィルタの伝達関数

    MCP1407

    VDD VDD1

    InputNCGND GND

    OUTOUT

    Vbat

    Drive Signal

    DigitalController

    Signal

    Rt

    Ct

    SD

    IR2453

    VCC

    GND

    HO1VB1

    VS1LO1

    HO2VB2

    VS2LO2

    VCC

    DigitalController

    SignalVS1

    VS2

    HO1

    LO1

    HO2

    LO2

    フライバック MOSFET ドライバ回路

    フルブリッジ MOSFET ドライバ回路

    +

    -

    C2R2R1

    C1Lamp VoltageSample Signal Vo

    Vi +

    -R5

    R6

    Vo

    R4R3C3

    Lamp CurrentSample Signal

    Vi

    ランプ電圧フィードバック ランプ電流フィードバック

    電圧フィルタの伝達関数 :

    電流フィルタの伝達関数 :

    VoVi------ 1

    C1C2R1R2 s2 C2R1 C2R2+( ) s 1+⋅+⋅

    ------------------------------------------------------------------------------------------------=

    VoVi------

    R5 R6+R5

    ------------------ 1C3R3 s 1+⋅-----------------------------⋅=

    DS01372A_JP - p. 24 © 2012 Microchip Technology Inc.

  • AN1372

    デモボードの使用方法

    図 26 はデモパネルの写真です。デモケースの内部には、DC12 V/6.5 AH のゲル電池と、スタンドアロン動作用のバッテリ充電器を格納しています。HID ランプとリング型蛍光ランプは、別々の ON/OFF スイッチを介してバッテリに接続されています。

    1. 治具付きキセノン HID ランプ2. リング型蛍光ランプ3. イグナイタ4. バッテリ充電器用の電源ソケット5. dsPIC33FJ06GS202 デジタルバラスト ボード :

    バラストボード上の緑 LED の点灯は、3.3 V の制御回路用電源が供給されている事を示します。

    ブラストボード上の赤 LED の点灯は、バッテリ電圧が低すぎてボードの動作をサポートできない事を示します。この場合、両方の ON/OFF スイッチを OFF にしてから、バッテリ充電器の電源ソケットに電源コードを接続する必要があります。

    dsPIC33FJ06GS202デジタルバラスト ボードは、リング型蛍光ランプおよび Hi/Lo ビーム機能を制御しません。

    6. HID ランプの ON/OFF スイッチ7. リング型蛍光ランプの ON/OFF スイッチ8. Hi/Lo ビームスイッチ

    アプリケーション コードのプログラミングMPLAB® ICD 2、MPLAB IDC 3、PICkit™ 3、MPLABREAL ICE™ インサーキット エミュレータを、MPLABIDE と組み合わせて使う事により、ユーザ ソフトウェアをデバッグおよびプログラミングできます。MPLABIDE はマイクロチップ社ウェブサイトからダウンロードできます。

    専用のソフトウェアが MPLAB IDE アプリケーションと連携して、プログラムの実行、停止、シングルステップ実行を行います。ブレークポイントの設定とプロセッサのリセットも可能です。プロセッサの停止時に、レジスタの内容を確認および変更できます。MPLABIDE の詳細な使用法については、下記のマニュアルを参照してください。

    •「MPLAB® IDE ユーザガイド」(DS51519)•「MPLAB® IDE クイックスタート ガイド」(DS51281)• MPLAB® IDE ヘルプ

    図 26: デモパネルと部品

    1

    2

    34

    5

    6 7 8

    © 2012 Microchip Technology Inc. DS01372A_JP - p. 25

  • AN1372

    アプリケーションのプログラミング

    デモボードのプログラミング手順は下記の通りです。

    1. HID ランプの ON/OFF スイッチが OFF 位置である事を確認します。

    2. エミュレータ ヘッダを 6ピンコネクタ (ICD_1)に接続します。

    図 27: エミュレータ コネクタの位置

    3. HID ランプの ON/OFF スイッチを ON に切り換えます。

    4. MPLAB IDEを起動し、HIDバラスト デモプロジェクト用の .mcw ファイルをダブルクリックして開きます。以降の手順は MPLAB IDE 内で行います。

    5. [Project > Build All] を選択してプロジェクトをビルドします。

    6. [Programmer > Select Programmer] を選択して、使うプログラマ (MPLAB ICD 3 等 ) を選びます。

    7. [Programmer > Program]を選択してデバイスをプログラミングします。

    8. デバイスにプログラミングした後に、HID ランプの ON/OFF スイッチを OFF に切り換えます。

    9. エミュレータ ヘッダを 6ピンコネクタ (ICD_1)から切断します。

    以上により、HID バラストボードがプログラミングされて、デモの実行が可能となります。

    アプリケーション デモの実行以下では、下記の 3 種類の車載ヘッドライト デモについて説明します。

    • 完全デジタル制御による HID ランプの操作• リング型蛍光ランプの操作• Hi/Lo ビームの操作下記の手順により、これらのデモの全てを同時に実行する事も、別々に実行する事もできます ( 図 26 のスイッチ参照 )。

    1. HID ランプの操作には、ランプの ON/OFF スイッチを使います。

    このランプを ON にすると、バラスト動作の起動時に高音のノイズが聞こえるかもしれませんが、これは正常な状態であり、気にする必要はありません。

    2. 高温状態のランプ動作を確認するために、下記を行います。

    a) ランプを昇温するために 1 分間以上ランプを点灯します。

    b) その後、ランプの ON/OFF スイッチを OFFに切り換えてランプを消灯します。

    c) 数秒間待ってから、ランプの ON/OFF スイッチを ON に切り換えます。この時、ランプが即座に点灯する必要があります。

    3. 低温状態のランプ動作を確認するために、下記を行います。

    a) HID ランプの温度が常温状態である事を確認します。ランプを十分に冷やすには、10 分間以上ランプを OFF にしておく必要があります。

    b) ランプのON/OFFスイッチをONに切り換えます。この時、ランプが即座に点灯する必要があります。

    4. リング型蛍光ランプは、単純にランプの ON/OFFスイッチを使って操作できます。

    5. Hi/Lo デモも、単純に Hi/Lo ビームの ON/OFF スイッチを使って操作できます。

    Note: エミュレータを使って HID バラストをデバッグする場合、ランプ点火からのノイズ干渉により、PC とボード間の接続が失われる可能性があります。このためプログラミング モードの使用を推奨します。

    警告 : 点灯中のランプは非常に強い光を照射するため、目を傷めないよう注意してください。

    また、ランプ管は数秒で非常に高温になります。ランプには手を触れないでください。また、可燃物をランプ管に近付けないでください。

    これらの警告に従わない場合、物的損害または身体への傷害の原因となる可能性があります。

    DS01372A_JP - p. 26 © 2012 Microchip Technology Inc.

  • AN1372

    試験結果と波形

    車載HIDバラストの最終プロトタイプを技術的要件に従って試験しました。試験結果を表 8 に示します。試験条件は下記の通りです。

    • 供試ランプ : キセノン HID ランプ、35 W、 色温度 6000 K

    • 周囲温度 : 25 ℃ ±5 ℃• 試験時入力電圧 : 9 ~ 16 V• 定格電圧 : 13.5 V• オシロスコープ : YOKOGAWA DLM2024• 電圧源 : Chroma 62024P-80-60

    図 28 ~図 37 に、電源投入 (Turn-on) ステージから定常状態への遷移時の各種波形 ( ランプ電流、電圧、電力等 ) と、各ステージでの拡大図を示します。さらに、リファレンス デザインを検証するために、点火曲線と入力電流曲線を示します。

    表 8: 試験結果

    表 9 に、HID バラスト回路に必要なリソース ( メモリサイズ、周辺モジュール、MIPS 等 ) の要約を示します。

    表 9: dsPIC リソースの使用

    特性 試験結果 注釈

    入力電圧 公称電圧 (13.5 V) 合格 —動作電圧 (9 ~ 16V) 合格 —

    温度 動作温度 (-40 ~ 105 ℃ ) 合格 —過渡 最大出力電流 1.8 A VIN = 9.4 ~ 16 V

    最大入力電力 101 W VIN = 9.4 V

    最大出力電力 82.5 W VIN = 13.5 V78 W VIN = 16 V

    83.5 W VIN = 9.4 V光出力 70.2 W VIN = 13.5 V

    67.2 W VIN = 16 V入力電流 3 A VIN = 13.5 V

    定常 出力電力 35 W VIN = 13.5 V定常光出力に達するまでの時間 合格 ≤ 150 s効率 85.91% VIN = 13.5 V音響共振 なし —

    フリッカ 再点火 100% —信頼性 連続動作 合格 —

    低電圧保護 9.4 V —入力保護 過電圧保護 16 V —

    短絡保護 3 A —出力保護 開回路保護 360 V —

    リソース 値

    プログラムメモリ 2048 byte

    データメモリ 1024 bytePWM 1 チャンネルADC 3 チャンネルコンパレータ 2 チャンネルMIPS 3.5I/O 1 チャンネル

    © 2012 Microchip Technology Inc. DS01372A_JP - p. 27

  • AN1372

    図 28: イグナイタ出力電圧波形

    図 29: 始動プロセス中の入力電流 ( 低温ランプ )

    電圧スケール : 10 kv/div 時間スケール : 500 ns/div

    電流スケール : 2 A/div 時間スケール : 2 s/div

    DS01372A_JP - p. 28 © 2012 Microchip Technology Inc.

  • AN1372

    図 30: 開回路電圧波形と点火失敗保護

    図 31: 絶縁破壊点の DC バス電圧 ( 点火成功時 )

    電圧スケール : 100 V/div 時間スケール : 200 ms/div、5ms/div

    電圧スケール : 100V/div 時間スケール :1 s/div、10 ms/div

    © 2012 Microchip Technology Inc. DS01372A_JP - p. 29

  • AN1372

    図 32: 低温ランプのランプ電力波形

    図 33: 高温ランプのランプ電力波形

    電力スケール : 30 W/div 時間スケール : 2 s/div

    電力スケール : 30 W/div 時間スケール : 500 ms/div

    DS01372A_JP - p. 30 © 2012 Microchip Technology Inc.

  • AN1372

    図 34: 低温ランプの電流 ; 引き継ぎ (TAKEOVER) 電流の拡大表示

    図 35: 低温ランプの電流と電圧 ; DC 暖機電流の拡大表示

    電流スケール : 1 A/div 時間スケール : 2 s/div、500 us/div

    電圧スケール : 100 V/div 電流スケール : 1 A/div 時間スケール : 2 s/div、10 ms/div

    © 2012 Microchip Technology Inc. DS01372A_JP - p. 31

  • AN1372

    図 36: 低温ランプの電流と電圧 ; 助走 (RUN-UP) ステージの拡大表示

    図 37: 低温ランプの電流と電圧 ; 定常状態の拡大表示

    電圧スケール : 100 V/div 電流スケール :1 A/div 時間スケール :2 s/div、10 ms/div

    電圧スケール : 100 V/div 電流スケール :1 A/div 時間スケール :2 s/div、10 ms/div

    DS01372A_JP - p. 32 © 2012 Microchip Technology Inc.

  • AN1372

    まとめ

    本アプリケーション ノートに記載したリファレンスデザインは、単純な回路と高速応答性を備えた完全デジタル制御式 HID バラスト回路です。本リファレンスデザインで使ったマイクロチップ社の dsPIC DSC は、高性能HIDバラストの実装に必要な全ての機能と周辺モジュールを提供します。dsPIC DSC が備える高速な40 MHz DSP エンジンは、リアルタイム電力ループ制御の実装を可能にします。内蔵インテリジェント電源周辺モジュール ( 高速 ADC、コンパレータ、PWM) を使う事により、各種制御ループを高精度タイミング制御と組み合わせて容易に実装する事ができました。異なる制御ループ間の高速かつ円滑な遷移方法も開発しました。初期アークは確実に検出されました。また、引き続きアークを維持するための高速応答を実現しました。さらに、部品を追加する事なく、システム診断とフォルト保護機能を実装する事も可能です。

    Note: 本アプリケーション ノートには、将来MATLAB モデリング情報を追加掲載する予定です。本書の更新については、マイクロチップ社ウェブサイトで引き続きご確認ください。

    © 2012 Microchip Technology Inc. DS01372A_JP - p. 33

  • AN1372

    補遺 A: ソースコード

    本アプリケーション ノートに関連する全てのソフトウェアは、1 つの WinZip ファイルに収められています。このファイルはマイクロチップ社のウェブサイト(www.microchip.com) からダウンロードできます。

    ソフトウェア ライセンス使用許諾Microchip Technology Incorporated ( 以下「弊社」) が提供するソフトウェアは、弊社製品との組み合わせでのみ使用される事を目的として弊社のお客様に供給されます。

    ソフトウェアの所有権は弊社および / またはソフトウェアのサプライヤに帰属し、適用著作権法のもとに保護されています。無断複写、複製、転載は禁じられています。上記の制約に違反してソフトウェアを使用した場合、使用者はライセンス使用許諾の侵害に対して民事責任を問われ、適用法のもとに罰せられます。

    本ソフトウェアは「無条件受け取り」を条件として提供されます。本ソフトウェアの商品性および特定目的に対する適合性の黙示

    保証を含む ( ただし必ずしもこれらに限定されない ) 明示、暗示、法的な保証は一切いたしません。弊社は、いかなる場合も、特殊、偶発的、必然的にかかわらず、いかなる理由があろうとも、一切の賠償責任を負いません。

    DS01372A_JP - p. 34 © 2012 Microchip Technology Inc.

    http://www.microchip.com

  • © 2012 M

    icrochip Technology Inc.D

    S01372A

    _JP - p. 35

    AN

    1372

    C5

    0.1n/1000V

    C15

    0.1n/1000V

    Q2FCD7N60

    Q3FCD7N60

    C121.0n/1000V

    L3

    BLM31PG121SH1

    R48 20k

    R49 20k

    OUT2

    53

    n/1000V

    LO1

    HO1

    VS1

    遺 B: 回路図と基板レイアウト

    B-1: バラスト回路図

    Vdd1Input2

    Nc3

    Gnd4

    Vdd 8Out 7

    Out 6

    Gnd 5

    U1

    MCP1407

    C17

    104/25V

    L1

    1u

    D4

    FR1M

    1 3

    2 4

    *

    *

    T1

    2:12

    R5499R/1W

    R12R330/1W

    D3

    15V

    R110K

    C8104/25V

    C6

    0.1n/1000V

    C14

    0.1n/1000V

    Q5

    FDD8896

    Q1FCD7N60

    Q4FCD7N60

    PWM

    C310n/100V

    R1110k

    C11

    100n/500V

    R9

    3R3/0.25W

    D1RHR660

    Q6

    FDB3652

    13.5V

    C4100u/25V

    D5SS14

    R4680R/0.25W

    C47

    47u/25V

    13.5V

    C2

    0.1n/1000V

    C1 2.2uF/400V

    L2

    BLM31PG121SH1

    C131.0n/1000V

    R10R330/1W

    C16

    100u/25V

    R47 20k

    R50 20k

    R2499R/2W

    C10

    100n/500V

    D615V

    C7

    104/25V

    VCC

    R3

    10K

    Battery+

    Battery-

    OUT1

    400V

    HO2

    LO2

    Fault

    C520.1n/1000V

    C

    0.1

    Ilamp+

    VS2

  • AN

    1372

    DS

    01372A_JP

    - p. 36©

    2012 Microchip Technology Inc.

    C26104/25V

    FB Control

    PWM

    R15

    0R

    F/6.3V

    C27104/25V

    3.3VL4

    S2

    ed

    図 B-2: dsPIC® DSC デバイス回路図

    MCLR1

    AN0/CMP1A/RA02

    AN1/CMP1B/RA13

    AN2/CMP1C/CMP2A/RA24

    AN3/CMP1D/CMP2B/RB05

    AN4/CMP2C/RB96

    AN5/CMP2D/RB107

    VSS8

    OSCI/CLKIN/RB19OSCO/CLKO/RB2

    10

    PGD2/EMUD2/DACOUT/INT0/RB3 11

    PGC2/EMUC2/EXTREF/RB412

    VDD13

    PGD3/EMUD3/RB814

    PGC3/EMUC3/RB15 15

    TDO/RB5 16

    PGD1/EMUD1/TDI/SCL/RB6 17

    PGC1/EMUC1/SDA/RB718

    VSS19

    VCAP20

    TMS/RB11 21

    TCK/RB12 22

    PWM2H/RB13 23

    PWM2L/RB14 24

    PWM1H/RA425

    PWM1L/RA326

    AVSS27

    AVDD 28

    U2

    dsPIC33FJ06GS202

    MCLPEMUDEMUC

    Voltage limit

    VlampIlamp

    C33100u

    Vin

    C32

    104/25V

    C28

    102/25V

    Current Protection

    3.3V

    C45

    105/25V

    C44

    104/25V

    R52 1k

    D

    R

  • AN1372

    図 B-3: 電源回路図

    図 B-4: MOSFET ドライバ回路図

    Vout 3

    Vin

    1

    GND2

    U3

    MCP1703

    C18

    100uF/6.3VC21

    105/25v

    3.3V

    L5

    22uH/0.5AC31

    100u/25V

    13.5V

    C29

    104/25V

    C19

    104/25V

    C46

    104/25V

    place close to VDD (pin13 of dsPIC)

    Rsc1

    0R1/1W

    R511k

    DS1

    Green

    VC

    C1

    CO

    M2

    CT3

    RT4

    SD5

    LO1 6

    LO2 7VS2 8

    HO2 9

    VB2 10

    VS1 12

    HO1 13

    VB1 14

    IC1

    IRS2435D

    C20105/25V

    R137.5k

    R14 22R/0.25W

    C24

    102/25V

    R19 22R/0.25W

    R16 22R/0.25W

    R23 22R/0.25W

    VCC

    FB Control

    R2120k

    R17

    3.3k

    R20

    1k

    Q7

    NPN8050

    C25

    2.2u/50V

    C22

    2.2u/50V

    LO1

    HO1

    HO2

    LO2VS2

    VS1

    C48

    2.2u/50V

    C49

    2.2u/50V

    C50

    2.2u/50V

    C51

    2.2u/50V

    © 2012 Microchip Technology Inc. DS01372A_JP - p. 37

  • AN1372

    図 B-5: デバッガ、入力電圧、過電流保護の回路図

    VPPVDDVSSDATCLONC

    ICD

    Header 6H

    EMUDEMUC

    R274.7K

    C34

    105/25V

    Vin

    R29

    20k

    R35 2k

    R32

    1k

    C37 104/25V

    13.5V

    MCLP

    Current Protection

    R30

    2k

    C36 104/25V

    3.3V

    Fault

    Debugger

    Input Voltage

    Overcurrent

    DS01372A_JP - p. 38 © 2012 Microchip Technology Inc.

  • AN1372

    図 B-6: ランプ電圧とランプ電流の回路図

    R28 470k/0.25W

    R34 5.1K/0.25W

    Vlamp

    R33

    2k

    C38 104/25V

    Ilamp

    R26 750k/0.25W

    C39 103/25VR37 3K/0.25W

    Voltage limit

    R45100k

    R44

    100kC40

    220p/25V

    C41220p/25V

    3.3V

    2

    31A

    84

    U5:1

    MCP6002

    R41

    10k

    R3910k

    R46

    10k

    C42 105/25V

    C43 104/25V5

    67

    B

    84

    U5:2

    MCP6002 3.3V

    Ilamp+

    400V

    Lamp Current

    Lamp Voltage

    © 2012 Microchip Technology Inc. DS01372A_JP - p. 39

  • AN1372

    図 B-7: イグナイタ回路の回路図

    D112

    P1OUT1

    OUT2

    C1

    C2330n/630V

    R11K/3W

    R2

    6.8MR3

    6.8M

    R46.8M

    D2

    D3

    T1

    Trans

    SG

    600V

    12

    P2

    Connect to Lamp

    DS01372A_JP - p. 40 © 2012 Microchip Technology Inc.

  • AN1372

    図 B-8: バラスト基板のレイアウト - 上面層

    © 2012 Microchip Technology Inc. DS01372A_JP - p. 41

  • AN1372

    図 B-9: バラスト基板のレイアウト - 中間層 1

    DS01372A_JP - p. 42 © 2012 Microchip Technology Inc.

  • AN1372

    図 B-10: バラスト基板のレイアウト - 中間層 2

    © 2012 Microchip Technology Inc. DS01372A_JP - p. 43

  • AN1372

    図 B-11: バラスト基板のレイアウト - 下面層

    DS01372A_JP - p. 44 © 2012 Microchip Technology Inc.

  • AN1372

    図 B-12: バラスト基板のレイアウト - 上面側

    © 2012 Microchip Technology Inc. DS01372A_JP - p. 45

  • AN1372

    図 B-13: バラスト基板のレイアウト - 下面側

    DS01372A_JP - p. 46 © 2012 Microchip Technology Inc.

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    本書に記載されているデバイス アプリケーション等に関する情報は、ユーザの便宜のためにのみ提供されているものであ

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    リケーションが仕様を満たす事を保証する責任は、お客様に

    あります。マイクロチップ社は、明示的、暗黙的、書面、口

    頭、法定のいずれであるかを問わず、本書に記載されている

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    切の責任を否認します。マイクロチップ社の明示的な書面に

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    商標

    マイクロチップ社の名称と Microchip ロゴ、dsPIC、KEELOQ、KEELOQ ロゴ、MPLAB、PIC、PICmicro、PICSTART、rfPIC、UNI/O は、米国およびその他の国におけるマイクロチップ・テクノロジー社の登録商標です。

    FilterLab、Hampshire、HI-TECH C、Linear Active Thermistor、MXDEV、MXLAB、SEEVAL、Embedded Control SolutionsCompany は、米国におけるマイクロチップ・テクノロジー社の登録商標です。

    Analog-for-the-Digital Age,Application Maestro、chipKIT、chipKIT logo、CodeGuard、dsPICDEM、dsPICDEM.net、dsPICworks、dsSPEAK、ECAN、ECONOMONITOR、FanSense、HI-TIDE、In-Circuit Serial Programming、ICSP、Mindi、MiWi、MPASM、MPLAB Certifiedr ロゴ、MPLIB、MPLINK、mTouch、Omniscient Code Generation、PICC、PICC-18、PICDEM、PICDEM.net、PICkit、PICtail、REAL ICE、rfLAB、Select Mode、Total Endurance、TSHARC、UniWinDriver、WiperLock、ZENA は、米国およびその他の国におけるマイクロチップ・テクノロジー社の登録商標です。

    SQTP は、米国におけるマイクロチップ・テクノロジー社のサービスマークです。

    その他、本書に記載されている商標は各社に帰属します。

    © 2011, Microchip Technology Incorporated, All RightsReserved.

    ISBN: 978-1-61341-521-4

    マイクロチップ社製デバイスのコード保護機能に関して次の点にご注意ください。

    • マイクロチップ社製品は、該当するマイクロチップ社データシートに記載の仕様を満たしています。

    • マイクロチップ社では、通常の条件ならびに仕様に従って使用した場合、マイクロチップ社製品のセキュリティ レベルは、現在市場に流通している同種製品の中でも最も高度であると考えています。

    • しかし、コード保護機能を解除するための不正かつ違法な方法が存在する事もまた事実です。弊社の理解ではこうした手法は、マイクロチップ社データシートにある動作仕様書以外の方法でマイクロチップ社製品を使用する事になります。このような行

    為は知的所有権の侵害に該当する可能性が非常に高いと言えます。

    • マイクロチップ社は、コードの保全性に懸念を抱くお客様と連携し、対応策に取り組んでいきます。

    • マイクロチップ社を含む全ての半導体メーカーで、自社のコードのセキュリティを完全に保証できる企業はありません。コード保護機能とは、マイクロチップ社が製品を「解読不能」として保証するものではありません。

    コード保護機能は常に進歩しています。マイクロチップ社では、常に製品のコード保護機能の改善に取り組んでいます。マイクロ

    チップ社のコード保護機能の侵害は、デジタル ミレニアム著作権法に違反します。そのような行為によってソフトウェアまたはその他の著作物に不正なアクセスを受けた場合は、デジタル ミレニアム著作権法の定めるところにより損害賠償訴訟を起こす権利があります。

    マイクロチップ社では、ChandlerおよびTempe (アリゾナ州 )、Gresham( オレゴン州 ) の本部、設計部およびウェハー製造工場そしてカリフォルニア州とイドのデザインセンターが ISO/TS-16949:2009 認証を取得しています。マイクロチップ社の品質システム プロセスおよび手順は、PIC® MCU および dsPIC® DSC、KEELOQ® コード ホッピング デバイス、シリアル EEPROM、マイクロペリフェラル、不揮発性メモリ、アナログ製品に採用されています。さらに、開発システムの設計と製造に関するマイクロチップ社の品質システムは ISO 9001:2000 認証を取得しています。

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    北米本社2355 West Chandler Blvd.Chandler, AZ 85224-6199Tel:480-792-7200 Fax:480-792-7277技術サポート : http://www.microchip.com/supportURL: www.microchip.com

    アトランタDuluth, GA Tel:678-957-9614 Fax:678-957-1455

    ボストンWestborough, MA Tel:774-760-0087 Fax:774-760-0088

    シカゴItasca, IL Tel:630-285-0071 Fax:630-285-0075

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    アジア / 太平洋アジア太平洋支社Suites 3707-14, 37th FloorTower 6, The GatewayHarbour City, KowloonHong KongTel:852-2401-1200Fax:852-2401-3431

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    ヨーロッパ

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    各国の営業所とサービス

    11/29/11

    http://support.microchip.comhttp://www.microchip.com

    はじめにHIDランプ図1: 定常状態におけるHIDランプの電流と電 圧の関係

    HID電子バラスト式1: 負性抵抗特性式2: 正の抵抗特性図2: 誘導バラスト

    車載HIDバラストの技術的背景図3: 車載HIDランプの電圧と電流図4: デジタル車載HIDバラスト リファレンス デザインのブロック図

    車載HIDバラストのデジタル設計システム設計仕様表1: システム設計仕様

    ハードウェア トポロジの選択図5: フライバックDC/DCコンバータ図6: フルブリッジ インバータ図7: イグナイタ回路表2: dsPIC®リソースの使用図8: デジタル シグナル コントローラのブロック図

    制御ストラテジと制御ループの設計図9: 制御ストラテジのタイミング フローチャート図10: 電圧、電流、電力制御の状態図 (A、B、C)式3: 参照電流の計算式図11: ランプ電圧と参照電力の関係図12: 参照電流表3: 電流ループ設計パラメータ式4: 未補償伝達関数図13: 電流ループのブロック図図14: フライバック コンバータの微小信号モデル式5: 電源段伝達関数式6: 総合的な未補償伝達関数式7: 電流誤差補償器図15: 未補償と補償済みのボード線図

    ソフトウェア設計図16: 制御フローチャートソフトウェア実装のタイミング ロジック図17: タイミング ロジック

    ソフトウェア フロー図18: ソフトウェア フロー図19: Timer2割り込みサービスルーチン(ISR)のフロー図20: ADC割り込みサービスルーチン(ISR)のフロー

    ソフトウェアで使う機能表4: ソフトウェア機能表5: isr_asm.sの機能

    ハードウェア設計システムブロック図電力段パラメータの設計表6: フライバックの設計データ図21: システム回路図式8: MOSFETの最大ドレイン-ソース間電圧 Vds_max式9: 定格動作時のコンバータ電圧比Vin/Vo式10: 一次側インダクタの電流パラメータ式11: 一次側インダクタの値式12: 最悪条件時のインダクタ リップル電流式13: APの値式14: 選択した平面実装コアのパラメータ式15: 一次側と二次側の巻き数式16: トランスギャップ式17: 主要最大パラメータの計算式18: フライバックMOSFETの最大パラメー タの計算式19: フライバック ダイオードの最大パラメー タの計算式20: フルブリッジMOSFETの最大パラメー タの計算

    イグナイタ回路のパラメータ設計表7: イグナイタ回路の設計パラメータ式21: ポンプ静電容量C5と充電抵抗R5の計算式22: 巻き数比nの計算図22: RMS点火パルス幅式23: 一次側インダクタLpの計算

    システム補助回路の設計式24: 15 V補助電源回路の電力図23: 補助電源システムの回路図24: MOSFETドライバ回路図25: 信号フィルタ回路式25: 2つのフィルタの伝達関数

    デモボードの使用方法アプリケーション コードのプログラミング図26: デモパネルと部品

    アプリケーションのプログラミング図27: エミュレータ コネクタの位置

    アプリケーション デモの実行

    試験結果と波形表8: 試験結果表9: dsPICリソースの使用図28: イグナイタ出力電圧波形図29: 始動プロセス中の入力電流 (低温ランプ)図30: 開回路電圧波形と点火失敗保護図31: 絶縁破壊点のDCバス電圧(点火成功時)図32: 低温ランプのランプ電力波形図33: 高温ランプのランプ電力波形図34: 低温ランプの電流; 引き継ぎ(Takeover)電流の拡大表示図35: 低温ランプの電流と電圧; DC暖機電流の拡大表示図36: 低温ランプの電流と電圧; 助走(Run-up)ステージの拡大表示図37: 低温ランプの電流と電圧; 定常状態の拡大表示

    まとめ補遺A: ソースコード補遺B: 回路図と基板レイアウト図B-1: バラスト回路図図B-2: dsPIC® DSCデバイス回路図図B-3: 電源回路図図B-4: MOSFETドライバ回路図図B-5: デバッガ、入力電圧、過電流保護の回路図図B-6: ランプ電圧とランプ電流の回路図図B-7: イグナイタ回路の回路図図B-8: バラスト基板のレイアウト - 上面層図B-9: バラスト基板のレイアウト - 中間層1図B-10: バラスト基板のレイアウト - 中間層2図B-11: バラスト基板のレイアウト - 下面層図B-12: バラスト基板のレイアウト - 上面側図B-13: バラスト基板のレイアウト - 下面側