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イントロダクション
Brainworxの創設者でありCEOのディルク・ウルリッヒはミックスダウンでの周波数トリートメント
において、正確なフィルター処理がいかに重要かを常々説いてきました。プロデューサー/エ
ンジニアとしてドリーム・シアターや TOTO、マイケル・ジャクソンをらとの数々のセッションを経
験して来た彼は、超高音と超低音の処理こそミックス作業で最も重要な要素の 1 つであると結
論づけました。つまり、可聴範囲外の帯域をカットすることは濁りのないミックスへの近道であ
ることに気がついたのです。
ディルクはこの考えのもと bx_cleansweep を開発しました。シンプルかつパワフルなハイパス/
ローパス・バターワース・フィルターで、緩やかなカーブ(6 dB/octave)による音楽的でさりげな
い効果を特徴とするプラグインです。X/Y パッドによく似たジョイスティック・コントロールによっ
て目的のサウンドを直感的に作ることができます。また bx_cleansweepには、兄弟分とも言える
bx_digital V3や bx_hybrid V2 と同様、アンチ・クラッシュ・テクノロジーが搭載されています。アナ
ログ回路モデリングによるフィルター・カーブが搭載され、他社のプラグイン EQで生じがちなハ
ーシュ・ノイズやエイリアス・ノイズが極限まで抑えられています。
そして今回発売する bx_cleansweep Pro では更なる改良が施されました。従来のフィルターの
他に 5 種類のフィルター・タイプが加わり、ローパスとハイパスでスロープとキャラクターをそれ
ぞれ個別に設定することができるようになりました。また周波数や位相を詳細に確認できるア
ナライザーも新たに搭載された bx_cleansweep Proは、より正確で直感的なミックス体験を提供
いたします。ミックス・ダウン時のフィルター処理に使用するだけでなく、サウンド・デザインの強
力な武器として使うことも可能です。是非、全トラックの最初のスロットにアサインしてみてくださ
い。ほんの少しのフィルタリング処理がミックス全体にどれだけの効果を生むのか理解してい
ただけるはずです。
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bx_cleansweep Pro の処理について
録音信号の処理に多くの時間を費やした人であれば、ローエンドの濁りとトップエンドのノイズ
を簡単に取り除ける方法を切望するはずです。bx_cleansweep Pro はこの用途に最適です。キ
ャラクターを強調しつつ、信号に含まれる不要なゴミを抑えることができます。
搭載される様々なタイプのフィルターを適切に組み合わせることでハイエンドとローエンドに含
まれるノイズを相当程度取り除くことが可能です。グラフ・エリアにはフィルターのマグニチュー
ド、位相、グループ遅延などのメーターに加えスペクトル・アナライザーも搭載されており、周波
数処理の様子を様々な視点で確認することができます。
また bx_cleansweep Pro はカット・フィルターとしての用途だけでなく、ドラマチックなサウンドを
作り出す非常にクリエイティブなサウンド・デザイン・ツールとしてもご活用いただけます。ジョイ
スティックやX/Yパッドを用いることで周波数特性を直感的かつ劇的に変化させることができま
す。これを応用しライブ・パフォーマンスのフィルター・エフェクトとして使用しても良いでしょう。
フィルター・シェイプをカスタマイズすることで、フィルターだけとは思えないとても面白い効果を
生み出すことも可能です。bx_cleansweep Pro の最大の特徴はそのクリーンなフィルタリング能
力にあります。これは位相ずれやエイリアスの発生を徹底的に抑えるアンチ・クラッシュ・テクノ
ロジーによって実現されています。ノイズ除去やスイープ・エフェクトを行うフィルター・プラグイ
ンは現在市場に数多く出回っていますが、それらと比較しても bx_cleansweep Proは最高にクリ
ーンなフィルター処理が得られるプラグインと言えるでしょう。オリジナルの bx_cleansweep同様、
bx_cleansweep Pro はアナログ・フィルターがモデリングされており、それが最終的なサウンドに
大きく貢献しています。Brainworx の EQ サウンドが素晴らしいのは、全ての製品にこのアナロ
グ・モデリング技術が搭載されているからに他なりません。
bx_cleansweep はアンチ・クラッシュ・テクノロジーによる素晴らしいサウンドで高い評価を得て
きました。しかしその一方で機能が少々限定されていることをヘビーユーザーから指摘されて
いたのも事実です。そこで bx_cleansweep Pro では機能面で大幅な改良を施すことにしました。
より複雑なフィルター処理とモニタリング機能が搭載されオリジナル版よりも高精度なフィルタリ
ングが可能となったのです。個々のフィルター自体は Brainworx製 EQにあるフィルター・セクシ
ョンと同等です。しかし周波数レスポンスの検出能力とフィルター・カーブのカスタマイズ性は
bx_cleansweep Pro ならではの特徴と言えるでしょう。bx_cleansweep Proは全てのプラグイン・
チェインの最上段にインサートするフィルターとして最適なプラグインです。
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bx_cleansweep Pro グローバル・コントロール
操作性の更なる向上
bx_cleansweep PROでは前バージョンである bx_cleansweep V2の使いやすい操作性が受け継
がれています。それに加え、デュアル・フィルター・コントロールのためのインターフェイスをジョ
イスティックとマトリックスの 2 種類から選択できるようになりました。重要な機能である位相反
転機能も V2から引き継がれています。
ジョイスティックとマトリックスは LPF と HPF の
設定を同時に調整できる優れたインターフェイ
スで、目的の周波数帯域に対して直感的にタ
ーゲットを絞り込むことが可能です。ジョイステ
ィック/マトリックスを使用して求めるポイント
を見つけた後は、フィルターによって下がった
音量をメイクアップ・ゲインで補いましょう。つ
ぎに各フィルターのパラメーターを個別に調整
し、目的のサウンドへ更なる追い込みを行うと
良いでしょう。
Gain(ゲイン)
フィルターに入力される信号のレベルを調整
するインプット・ゲインです。
PHASE REV.(位相反転)
位相反転ツールです。
コントローラー・セレクト
ジョイスティックとマトリックスのいずれかを選
択します。
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bx_cleansweep Pro フィルター・セクション
無限の可能性を秘めた 6基のフィルター
ハイパスおよびローパス・フィルターのパラメーターはカットオフ周波数以外は全く同じです。各
フィルターには 4 つのノブが搭載されています。パラメーターの種類はフィルター・タイプによっ
て変化します。各フィルターの定義と使い方は後述のセクションを参照してください。
OFF/ON(オン/オフ)
フィルターのオン/オフを設定します。
CUTOFF(カットオフ)
ローパス・フィルターは 20Hz~2.2kHz、ハイパス・フィルターは 20Hz~1.1kHz の範囲でカットオ
フ周波数を設定できます。
TYPE(タイプ)
6 ステップのノブで Butterworth、Bessel、 Chebyshev I、Chebyshev II、Elliptic、Resonant
Butterworthの中からフィルター・タイプを選択します。以下通り、数値を入力することでもフィル
ター・タイプの設定が可能です。1=Butterworth、2=Bessel、3=Chebyshev I、4=Chebyshev II、
5=Elliptic、6=Resonant Butterworth
ORDER(フィルター次数)
ステップ式ノブでフィルター次数を 1~6の中から選択できます。
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フィルター・パラメーター
フィルター・タイプによって異なるパラメーターを設定するノブです。
フィルター・タイプが Butterworth もしくは Bessel のときは無効となります。それ以外のタイプで
はそれぞれ以下の通りにパラメーターを調整できます。
.Chebyshev I(チェビシェフ I):Ripple(リップル)、-6dB~0.1dB
.Chebyshev II(チェビシェフ II):ローパスのOrderが1の場合は無効。それ以外の場合はRipple
(リップル)、-160dB~-40dB
.Elliptic(楕円):ローパスの Orderが 1の場合は無効。それ以外の場合は Selectivity(セレクテ
ィビティ:選択定数)、 +20dB~+120dB
.Resonant Butterworth(レゾナント・バターワース):ローパスの Orderが 1の場合は無効。それ
以外の場合は Resonance(レゾナンス)、-6dB~+24dB
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bx_cleansweep Pro フィルターについて
フィルター全般
.全てのフィルターは次数を 1~6に設定できます。
.6 種類全てのフィルターはローパスおよびハイパス・フィルターとして使用できます。またシンメ
トリーなカーブを設定できるように、ローパス/ハイパス・フィルターの挙動は左右対称に動作
するよう設計されています。
.各フィルター・タイプは高次になるほどそれぞれ特徴的な振る舞いをします。1 次の場合は、
Chebyshev I フィルターのみリップルが-3dB 落ちますが、他はどのタイプも全く同じカーブとな
ります。
.パスバンド=フィルター処理されない周波数帯(通過帯域)
.ストップバンド=フィルターによってカットされる周波数帯(除去帯域)
Butterworth(バターワース)
.標準的な 6dB/Oct フィルター。次数を上げることで、6 次数で最大値 36dB/Oct となります。
.最もフラットなカーブを描くフィルターです。パスバンドの周波数レスポンスは可能な限りフラッ
トです。パラメーターは Orderのみ。
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Bessel(ベッセル)
.バターワース・タイプより緩やかなカーブを描くフィルター。
.グループ遅延/位相遅延が最もフラットです。
.このフィルターはパスバンドのグループ遅延が一定です。つまりパスバンド内の帯域に限って
見ると周波数/周波数帯の遅延がゼロとなります。グループ遅延が一定でないフィルターは周
波数遅延や位相のずれがサウンドに悪影響を与えてしまう場合があります。
.パラメーターは Orderのみ。
Chebyshev I(チェビシェフ I):
.パスバンドにリップルを持つフィルター。
.急勾配なスロープが特徴。リップルを大きくするとスロープがかなり急になると同時に、リップ
ルが特徴的なサウンドを作り出します。
.パラメーター:リップル、リップルの大きさを設定します。
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Chebyshev II(チェビシェフ II):
.ストップバンドにリップルがあるフィルターです。
.急勾配なスロープが特徴。リップルが大きいほどスロープが急になり、同時にストップバンドの
レベルが高くなります。これによりストップバンドのリップル成分がサウンドに現れてきます。
.チェビシェフ IIはチェビシェフ Iほどスロープが急ではありませんが、ストップバンドにリップルが
あるのが特徴です。
.パラメーター:リップル、リップルの大きさを設定します。
Elliptic (楕円)フィルター(別名カウアー・フィルター)
.パスバンドとストップバンドいずれにもリップルを持ちます。
.搭載されるフィルター・タイプの中でスロープが最も急で、かつパスバンド、ストップバンドのい
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ずれにもリップルがあるカーブを特徴とします。
.設定次第でチェビシェフ・フィルターI または II、もしくはそれらの併用時と似たカーブを作ること
もできます。
.パラメーター:楕円フィルターは選択係数(Selectivity)とリップルの値によりカーブが形成され
ます。bx_cleansweep Pro ではリップル値が固定されており、パスバンドのゲインは-3dB となり
ます。
Resonant Butterworth(レゾナント・バターワース):
.レゾナント・フィルターです。
.次数を高くするほどレゾナンス周波数帯のカーブが緩やかになります。
.パラメーター:レゾナンス
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多彩なメーター表示
bx_cleansweep Pro では様々な角度から処理結果を確認できるようになりました。従来の周波
数レスポンス表示に加え、位相、グループ遅延、スペクトル解析の表示モードを搭載し、各座
標の数値を詳細に表示させることができます。またマウス・カーソルをグラフ上に置きホイール
を動かすことでグラフの表示エリアを上下に移動させることが可能となりました。
マウス・ホイールによるコントロール
Cmd+マウス・ホイール(MAC)または Ctrl + マウス・ホイール(WIN)によりグラフのズームが可能
です。ズームは右クリックでリセットされます。