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2014 経済産業省 国際即戦力育成インターンシップ事業 参加報告書 2015 3 12_07105 澤村新之介 東京工業大学 工学部 国際開発工学科 4

経済産業省 国際即戦力育成インターンシップ事業 参加報告書 · われ、帰国後にも事後研修としての各インターンによるインターンシップ内容の報告会が

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2014年

経済産業省

国際即戦力育成インターンシップ事業

参加報告書

2015 年 3月

12_07105

澤村新之介

東京工業大学 工学部

国際開発工学科 4年

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目次

1. 国際即戦力育成インターンシップ事業について

2. 派遣地域について

2.1 バングラデシュ(派遣国)

2.2 チッタゴン(派遣地域)

3. 受入機関について

4. インターンシップ内容について

4.1 チッタゴン市役所

4.2 チッタゴン上下水道公社

4.3 チッタゴン開発局

4.4 チッタゴン港湾局

4.5 IMAGE(NGO)

4.6 CODEC(NGO)

4.7 その他の活動

5. 総括

参考文献

付録 1: インターンシップ日程表

付録 2: 事後研修の報告会で使用したビジネスモデルキャンバス

付録 3: ダッカでの最終報告会で使用した資料

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1. 国際即戦力育成インターンシップ事業について

経済産業省 JETRO(日本貿易促進機構)が経済産業省より委託を受けて実施している事

業である。本事業の目的は、1)中小、中堅企業の海外展開促進(市場調査、現地パートナー

探し、人材育成)、2)インフラビジネス案件の獲得において重要な政府系機関、現地キーパ

ーソンとのネットワークや協力関係の構築促進、3)新興国のビジネスにおいて重要な政府系

機関とのコネクションの獲得促進、4)将来のグローバルリーダーとなり得る日本の学生の育

成促進の 4つである。日本の若手社会人および学生を 3〜6ヶ月間、開発途上国へ派遣する

事業であり、派遣先機関としては民間企業、政府系機関および業界団体など多種多様な多

くの機関が選択肢にある。応募方法は、経済産業省、日本貿易振興機構(JETRO)、海外産

業人材育成協会(HIDA)が有するネットワークを通じて開拓した受入機関リストから派遣希

望先を選定して応募する公募型と、応募時に応募者が自らの希望に基づいて開拓しインタ

ーン受け入れの合意を得た受入機関を提案する提案型の 2種類がある1。

私は公募型の学生として、2014年 9月初めから 2015年 2月終わりまでの約 6ヶ月間、

バングラデシュ、チッタゴンの Chattagram AOTS Alumni Society (CAAS)に派遣された。

本事業では、派遣前後の研修や滞在費や渡航費等の経済的支援、現地でのインターンの安

全に対する十分な配慮などがあり、とても内容の充実しているプログラムであったと感じ

る。派遣前の事前研修では、私の場合表 1で示すような研修が計 15日間おこなわれた。ま

た現地到着後にも現地の JETRO事務所が主催する危機管理についてのセミナーがおこな

われ、帰国後にも事後研修としての各インターンによるインターンシップ内容の報告会が

あった。また派遣前後にはそれぞれ、Waseda Expert Assessmentという早稲田大学トラン

スナショナルHRM研究所で開発された日本人の海外派遣に対する適性を評価するテスト

と、英語のスピーキングとライティングの能力を把握するための TOEIC SWのテストを本

事業の一環として受けた。

また今年度の本事業では、帰国後に単純にインターンシップ内容の報告だけではなく、

派遣国での活動からこれまでにない新しいビジネスのタネを発見しビジネスモデルを練っ

て発表することが学生インターンに対する課題として課された。これは事前研修、ネクス

トリーダー育成コースの新規ビジネス開拓の講義を参考にビジネスモデルキャンバスを使

ってビジネスアイデアをまとめ事後研修の報告会で発表するものであり、事後研修の報告

会では専門家の方や他の学生インターンがそれぞれのインターンのビジネスモデルを評価

した。詳しくは 4.7その他の活動にある。

1 http://intern.hidajapan.or.jp より

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表 1: 事前研修の内容

コース名 期間 内容

オリエンテーションコ

ース

2日間 危機管理、安全管理、健康管理、インターンシップ計画策定の進め

方、グローバル経済論、外国人に対する日本紹介

ネクストリーダー育成

コース

3日間 異文化コミュニケーション、新規ビジネス開拓、プレゼンテーショ

ンスキル、ネゴシエーションスキル、過去のインターンとの交流会

現地語研修コース 10日間 ベンガル語

2. 派遣地域について

2.1 バングラデシュ(派遣国)

バングラデシュは図 1にある通り、南アジアに位置

し、インドとミャンマーに接している国である。アジ

ア最貧国と呼ばれており、日本の 4割程の国土に約 1

億 5千万人が暮らしている。首都はダッカであり、首

都ダッカに次ぐ 2番目に大きな都市チッタゴンが私の

派遣地域である。民族はベンガル人が大部分を占める。

国語はベンガル語であり、成人(15歳以上)の識字率

は 56.8%(Human Development Report 2011年)とな

っている。インターンシップではほとんど英語で会話

をしていたが、職員によっては英語が使えない、もし

くは英語があまり堪能でない職員も中にはい

てコミュニケーションに苦労した部分もあっ

た。宗教はイスラム教徒が人口の約 9割を占め

ており、他にヒンズー教徒、仏教徒、キリスト

教徒が存在する。イスラム教徒が大多数である

ため、都市のいたるところにモスクというお祈

りをするための建物があったり、図 2のように

気づいたら職員がみな 1日 5回のお祈りに出

ていたり、豚肉、お酒がほとんど利用できなか

ったり、Eid(犠牲祭)と呼ばれるイスラム教

の祭に参加したりとイスラム教色を感じる機会が非常に多くあった。イスラム教以外の宗

教に関しても。ドゥルガ・プジャ(図 3)というヒンズー教のイベントなどに参加すること

図 1: バングラデシュの位置

出所: JICAウェブサイト「バングラ

デシュ」

http://www.jica.go.jp/bangladesh/か

ら引用

図 2: ムスリムの礼拝の様子

出所: 筆者撮影

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や寺院に行くことなど、様々な宗教を学ぶことができた2。

バングラデシュは 1947年の印パ独立時に国

の宗教であるイスラム教に基づき一旦はパ

キスタンへの帰属を選んだが、ベンガル人と

してのアイデンティティーを訴えた独立戦

争(第三次印パ戦争)を経て、1971年 12月

にパキスタンから独立した。独立後、長年に

わたり軍事政権が続いたが、1990年12月

エルシャド大統領が、2大政党(BNP、アワ

ミ連盟)および国民の退陣要求に応じた結果、

民主化に移行した。1991年の憲法改正で議院内閣制へと体制を変更した。以降 5年ごとに

総選挙が実施され、1991,1996,2001,2008年の総選挙の度に政権が交代した。2006年 11

月から約 2年間政党間対立激化のため、非常事態宣言下で選挙管理内閣が継続し、選挙人

の名簿および IDの作成や汚職対策が推進された。その後の 2008年 12月 29日の総選挙で

アワミ連盟が大勝し、翌年 1月 6日にハシナ政権(第 2期)が発足した3。

2013年 1月 5日には BNPなどがボイコットするなか総選挙がおこなわれ、現シェイク・

ハシナ首相率いるアワミ連盟が勝利した。BNPは選挙に正当性がない批判し続けており、

私のインターンシップも与野党間の抗争により大きな影響を受けた。とくに 2015年になっ

てからは大きく影響を受け、予定通りに事が進まないことが多々あった。

バングラデシュではハルタルと呼ばれる野党によるゼネラルストライキのような活動が頻

繁におこなわれる。これは野党の現政府に対する反対活動であり、私の滞在中には最高裁

判所で政治的に重要な判決が下ったときや国会で法案が通ったときなどの次の日に起きて

いた。ハルタルが宣言された当日は放火や投石されることを避けるため、商店や学校など

は活動を停止したり車による外出が極端に減ったりということが起きる。私の滞在中にも

基本的に月に何日かはハルタルが宣言され外出を控えることがあった。2015年 1月 5日は

前回の総選挙から 1周年の日であったが、当日の BNPの政治集会を治安当局が許可しなか

ったことをきっかけに 1月 6日以降は、無期限で宣言された BNP率いる野党 20党連合に

よる全国規模の道路、鉄道、水上交通の封鎖が 2015年 4月現在もおこなわれていたり、3

週間以上連続でハルタルが宣言されたりという、ひどく政情不安定な状況が続いている。

私の滞在しているホテル付近でも発火性爆弾の爆発や車に対する投石が起きた。1月 6日以

降は外出をともなう活動は基本的に全て受入機関の方と相談し、外出は基本的に控える、

2 http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/bangladesh/data.html より 3 http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/bangladesh/data.html より

図 3: ドゥルガ・プジャの様子

出所: 筆者撮影

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外出したとしても受入機関の方の同伴のもと外出するというような形で安全管理をおこな

っていた。

バングラデシュはアジア最貧国という負のイメージを持ちながらも、GDP成長率は毎年

6%前後を達成し堅調な経済成長を遂げてきており、その人口規模と豊富で安価な労働力に

より、投資先、市場として近年注目されている。2014年 4月時点の進出日系企業は 181社

と過去 4年で 2倍以上に急増した。バングラデシュのビジネス上の課題は多くあるが、イ

ンフラの未整備と不安定な政治、社会情勢は 8割以上の進出日系企業が指摘した重要課題

である。インフラは電力、土地、港湾など様々な分野で課題としてあげられている。不安

定な政治、社会情勢というのは先に述べたようなことである4。

2.2 チッタゴン(派遣地域)

チッタゴンは首都ダッカに次ぐ 2番目に大きい都市であり、国内最大の港を持つ主要な

商業都市である。チッタゴン港は国の総輸出入の 8割以上を扱うほどである。位置は図 4

に示した通りである。チッタゴンは図 5に示すとおり、西側はベンガル湾、南側と東側は

カルナフリ川に囲まれた都市である。

チッタゴンはケッペン気候区分によれば熱帯モンスーン気候に分類され、季節は大きく分

けて雨季と乾季がある5。表 2はチッタゴンの気温と降水量である。雨季は 4〜10月あたり

で、乾季はその他となる。雨季、とくに 6〜10月にはモンスーンに襲われ、その季節には

洪水が頻繁に起こる。私は 9月からの 6ヶ月間チッタゴンにいたが、洪水するほどの雨は

4 JETRO 事前研修配布資料より 5 ADB IEE Report of Chittagong, UPHSDP, 2013 より

図 4: チッタゴンの位置

出所: ジュマネットウェブサイト「チッタゴン丘陵問題とは」

http://www.jummanet.org/cht/から引用

図 5: チッタゴンの地図

出所: チッタゴン市役所配布資料

から引用

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見ることがなく乾季の期間が多く雨を見る機会も少なかった。

表 2: チッタゴンの気温と降水量

Month Jan Feb Mar Apr May Jun Jul Aug Sep Oct Nov Dec Year

Record

High ℃

34 37 40 43 40 38 37 35 38 36 34 33 43

Average

High ℃

26 28 31 32 32 31 30 30 31 31 29 26 30

Average

Low ℃

13 15 19 23 24 25 25 24 24 23 18 14 21

Record

Low ℃

7 8 11 15 18 20 19 22 22 17 11 8 7

Precipitation

mm

5 28 64 150 264 533 597 518 320 180 56 15 2,730

出所: Disaster Risk and Resource Map of Major Cities of Bangladesh

バングラデシュ統計局によれば、2011年時点でのチッタゴンの人口は約 269万人である。

しかし、チッタゴン市役所の職員や現地のUNDP職員は統計局の情報はあまり正確でない、

2014年現在は 500〜600万人である、という。チッタゴンの面積は 15.5平方キロメートル

でありどちらにしても非常に高い人口密度である。また、チッタゴンの人口のうちの 4〜5

割はスラム住民であるといわれている。チッタゴンの町中を歩いたり車で移動したりして

もこのような人口密度の高さやスラム住民の割合の大きさは強く実感することができた。

図 6,7はチッタゴンの町の様子である。

チッタゴンは先にも述べたように国内最大の港を持つバングラデシュの主要な工業都市

であり、周辺地域における輸送の中心都市として、港だけでなく既存の空港の改修や首都

ダッカとチッタゴンをつなぐ幹線道路の改修がおこなわれており、北インド、ブータン、

ネパール、中国南部やミャンマーといった周辺国にといった陸に囲まれた地域にとっても

極めて重要な都市であると認識されている。チッタゴンにおける産業としては石油精製、

綿やジュートの紡績、紅茶やマッチの製造業、製鉄、製鋼、フルーツ缶詰の製造、皮革製

図 6: チッタゴンの町の様子

出所: 筆者撮影

図 7: 線路および線路沿いのスラム

出所: 筆者撮影

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品の製造や造船、船舶解体といった産業がある6。また、チッタゴンは初めて Export

Processing Zone (EPZ)とよばれる輸出加工区ができた都市である。チッタゴンには現在チ

ッタゴン輸出加工区とカルナフリ輸出加工区、さらには韓国輸出加工区の 3つの輸出加工

区があり、整備されたインフラなど産業発展のための好条件がそろっている。私自身もチ

ッタゴン輸出加工区に訪問し、現地企業の紡績工場や日系企業の工場などを訪問すること

ができたが、あきらかに輸出加工区の外と中でのビジネス環境のちがいを感じ取ることが

できた。現在、日本企業は少なくとも 25社以上チッタゴンに進出しており、ダッカと比べ

れば大きく劣るもののこれからの進出が期待される。

私はこのような都市であるチッタゴンの中心部に位置するWell Park Residenceという

三ツ星のホテルに 6ヶ月間宿泊した。このホテルではWi-Fiやホットシャワーなどがちゃ

んと利用でき、宿泊は非常に快適であった。私の派遣先機関である CAASのメンバーがこ

のホテルの運営関係者ということで、宿泊代を値引いていただきこのような設備のよいホ

テルに宿泊することができた。

3. 受入機関について

私は本インターンシップ事業において、Chattagram AOTS Alumni Society (以下、

CAAS)という同窓会組織に派遣される形でバングラデシュ、チッタゴンに渡航した。CAAS

は現HIDA(旧 AOTS)の実施するプログラムによって日本で研修を受けた経験のあるチ

ッタゴンに住むバングラデシュ人の同窓会である。現在、CAASメンバー(日本にHIDA

の事業によって研修に来たことのある人たち)はチッタゴンだけで 300人以上となってい

る。CAASは、HIDA のプログラムによってチッタゴンから日本やその他の国へ研修に行

く人の選考や決定後の渡航を円滑に進めるためのサポートをおこなったり、私たちのよう

なインターン生がチッタゴンに来ている時にはインターン生の生活などのお世話をしてく

れたり、他には他国の同様な組織である AOTS同窓会から講師として呼び 5Sや Kaizenと

いったマネジメントのノウハウに関するセミナーをチッタゴンにて開催をおこなったりし

ている。CAASはこのようなものが主な業務であるが、主に幹部役員の数名が取り仕切っ

ておこなっている。

私の受入機関は以上に述べたような機関であるが、私は実際には CAASがおこなう普段

の業務とは全く関係のないことをインターンシップとして 6ヶ月間おこなっていた。それ

は主に、CAASの人的ネットワークを利用してチッタゴン市にあるいくつかの政府機関を

6 ADB IEE Report of Chittagong, UPHSDP, 2013 より

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訪問し、そこで職員への聞き取りや関連施設への訪問、職員の仕事に同行等をおこないな

がら、各機関の現活動の内容や仕組みを学ぶということである。具体的にはチッタゴン市

役所(Chittagong City Corporation)、チッタゴン上下水道公社(Chittagong Water Supply

and Sewerage Authority)、チッタゴン開発局(Chittagong Development Authority)、チッ

タゴン港湾局(Chittagong Port Authority)、バングラデシュ電力開発庁(Bangladesh

Power Development Board)チッタゴン支部といった機関を訪問した。各機関への訪問期間

はまちまちであり数日間の機関もあれば数ヶ月間という機関もある。政府機関の他にも、

縫製業などの民間企業や小規模のNGOにもいくつか訪問したこともあった。元々、本イン

ターンシップ事業に参加した個人的な動機として、今後の進路を決める前により時間をと

って現場で経済開発および社会開発を推し進める組織(とくに政府機関)とその活動を幅

広く見てみたいという思いがあり、それを実行する方法を考える中で、本インターンシッ

プ事業で CAASに申請しようと決めた。非常に明確でない動機であることは間違えないの

だが、今までに何か研究活動をおこなっていた訳でもなにか非常に特定されたこだわりが

あった訳でもないため、何か非常に特定された分野にかなり限定して行動をおこなうとい

うよりよりむしろ自分の興味のある分野の現場の様子を広く見てみたいという思いがあっ

た。本事業でのインターンシップは 1つの機関で 6ヶ月間本当にそこの機関で活動するよ

うな形が一般的であるが、CAASでは 1つの機関に絞らず複数の機関、とくに政府系の機

関への訪問をインターンシップ内容としてできることを過去のインターン生からお聞きし

たため私は CAASを希望し申請した。また同じ大学から過去に本事業に参加していた先輩

が 2人ともチッタゴンに派遣されていたこともあり、そこでの生活を含めた活動の様子を

お聞きしたこともチッタゴンにある CAASを志望する大きな要因であった。実際、CAAS

では自分がしたいと思っていたこのようなことをでき、派遣機関としては非常によい選択

であったと感じている。各機関での活動内容や学習内容などの詳しい内容は次章で述べる。

4. インターンシップ内容について

4.1 チッタゴン市役所

(1) 概要

チッタゴン市役所(Chittagong City Corporation、以下 CCC)は今回の私の 6ヶ月間の

インターンシップのメインの訪問機関であり、約 45日間チッタゴン市役所で活動をしてい

た。CCCはチッタゴン市を対象とした基礎自治体であり、教育、保健衛生、環境美化や道

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路、排水路等の整備をおこなっていたり、外部からも

JICA7やUNDP8による事業がおこなわれていたり(も

しくは、これからおこなわれたり)とチッタゴン市民に

とって非常に重要な機関である。

CCCは工学部門(Engineering Department)、保健衛

生部門(Health Department)、教育部門(Education

Department)、総務部(Secretary)、会計部門(Accounts

Department)、歳入部門(Revenue Department)、環境

美化部門(Conservancy Department)の 7部署で構成さ

れている。また私が CCCに訪問した 2014年 11月〜

2015年 12月の間の段階では JICAの廃棄物管理能力向

上のためのプロジェクトの事前準備調査がおこなわれ

ていたり、これから本格的に実施される JICA(財務支援)と LGED9(実施機関)による

行政能力向上のためのプロジェクトの前段階の準備がおこなわれていたり、また LGED,

DFAID10, UNDP, UN-HABITAT11による貧困削減のための都市パートナーシップ(Urban

Partnership for Poverty Reduction、以下UPPR)事業がおこなわれていたりした。私は

それぞれの部門の様々な課、またはプロジェクトを実施している方を訪問し、そこでのお

仕事の様子、現状を聞き取りや現場視察を通じて学んだ。

(2) 議会

CCCはチッタゴン市を対象とした基礎自治体であり、市議会が存在する。市議会に参加

するメンバーは表 3の通りである。CCCに選挙管理委員会のような委員会はなく、市長と

ワード議員、女性議員の選挙は、Bangladesh Election Commission という国の組織がおこ

なっている。CCC自体がチッタゴン市の行政の権限を大きく握っている訳ではなくチッタ

ゴン開発公社やチッタゴン港湾局、チッタゴン上下水道公社なども大きな行政の役割を担

っているが、それらの機関は CCCの管轄下にある訳ではなく連携や協調行動もほぼないた

め、CCCの市議会での決定がチッタゴンの開発や発展を含む全体への政策に強い影響をお

よぼす訳ではない。市議会という名ではあるが影響力がそこまで強くないように見えた。

逆を言えば、チッタゴン開発局やチッタゴン上下水道公社などの各機関には市議会を通さ

7 国際協力機構 Japanese International Cooperation Agency の略 8 国連開発計画 United Nations Development Program の略 9 地方政府技術局 Local Government Engineering Departmentの略 10 英国国際開発庁 Department for International Development 11 国際連合人間居住計画

図 8: チッタゴン市役所の建物

出所: 筆者撮影

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ずにチッタゴンでの重要な政策を、中央省庁の許可のみでおこなう権限がある。また CCC

の代表である市長は現在 BNPに所属しているが、チッタゴン開発公社の代表はアワミ連盟

に所属していることも注目すべき点である。ともかく、CCCの市議会での決定がチッタゴ

ンにおける政策の全てではなく、各機関が各々の政策決定をそれなりにできてしまう状況

にあるため、市全体に対してあまり包括的でないような活動が生じてしまう。今後、CCC

だけでなくチッタゴン開発公社やチッタゴン港湾局など各機関がちゃんと参加できるよう

な法的拘束力のある政策決定の場が必要とされるのではないかと考える。また、この問題

には深く政治の問題、2大政党の関係が関わっていることに注意したい。

表 3: チッタゴン市議会に参加するメンバー

役職 人数 その他

市長 1人 任期は 5年である。選挙の際は市内全域で市長選挙がおこなわれる。

現在の市長は BNPに所属しており、野党側の人である。今年の 6

月あたりに次の市長選挙がおこなわれる予定である。

CCCの幹部職員 10人程度 各部門の代表などが行政職員として参加する。

ワード議員 41人 チッタゴン市は 41のワード(最小行政区域)にわけられ、それぞ

れのワードでの選挙に当選した議員のことである。任期は 5年であ

る。それぞれのワードでの選挙はそれぞれのワード内に住む人しか

投票権がない。現状、41人全員が男である。政党はアワミ連盟に所

属している議員が最も多く次に多いのが BNPである。そのほかに

Jamaat-e-Islamiというイスラムの政党などの所属の議員が数人い

る。

女性議員 14人 女性のみに被選挙権が与えられる役職がある。3ワードごと(1地

域だけ 2ワード)に 1人の女性議員の枠があり、それぞれの地域で

選挙がおこなわれる。任期は 5年である。

関連機関代表職員 数人 チッタゴン上下水道公社、回線を管理している会社、消防隊などの

代表が参加する。しかし、超重要機関であるチッタゴン開発局やチ

ッタゴン港湾局から参加する人はいないのが現状である。

(3) 工学部門

CCCの工学部門は土木工学部門、機械工学部門、電気工学部門の三部門に分かれている。

土木工学部門は主に既存の CCCの建物の維持、管理やインフラの整備と開発を仕事とし

ている。基本的に土木工学部門はチッタゴン市を 5つの区域に分けてそれぞれの地域の担

当の局がそれぞれの地域の、既存の CCCの建物の補修や道路の整備などの維持管理作業と

インフラ整備、建物建設などの開発をおこなっている。維持管理作業に関して、道路整備

などは住民からの依頼の多かった部分や土木工学部門の職員が見つけ修復が急務であると

見なしたところから順におこなっていくが明確な規定は全くない。予算の制約上、道路の

凸凹がひどかったり橋がこわれかけていたりと十分に修復できていないことが多々ある。

また道路などのインフラ整備を CCCはおこなっているが CDAもおこなっており、明確な

役割のちがいが非常に曖昧である。インフラ整備事業の中でも大規模で費用が莫大である

事業は中央政府の許可のもと中央政府からの資金援助を利用しておこなわれるが、比較的

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小規模な事業はどちらも自主財源でおこなわれる。しか

し、CCCの自主財源の中には市民からの税金が含まれ

るという点では CCCと CDAでは大きくちがう。また

このような修復作業と建設作業は、非常に簡単な作業で

ない限り全てを外注して施工管理する形をとっている。

しかし、職員の施工管理能力はレベルが低く規模の大き

いインフラ整備を彼らだけでおこなった経験は今のと

ころない。施工管理能力に関しては、インフラ整備をお

こなう国内最大の政府機関である LGED(Local

Government Engineering Department)と比べて大き

く劣っている。そのため、規模の大きいインフラ整備事

業をおこなうには外部からのサポートが資金的にだけ

でなく技術的にも必要不可欠であり、今後これ

らの能力を職員自身が高めていく必要があると

感じた。

また、注目すべき事業として自主財源による

スラム住民向けの低価格アパートメントを建設

し、土砂崩れが頻繁に起こる丘陵の傾斜地に住

むもしくはその傾斜地のすぐ下に住む人々をア

パートメントに移住させる事業がおこなわれて

いる。現在、そのアパートメントは建設中であ

り、図 9がその写真である。土地代を除くこの事業で要した費用を全てこれからアパート

メントに移り住む人々からの家賃で回収しきるためにできる限り費用を抑えて建設し、1部

屋あたりの大きさも非常に小さく必要最低限のつくりとなっている。CCCの職員によれば

家賃も安く対象としていたスラム住民の多くは移住に積極的であるとのことであった。15

年ほどで土地代を除く初期費用を全て回収できるとのことである。スラム住民を対象とし

た低価格 10択事業が今後どのように進展していくのか期待できる事業である。

機械工学部門は CCC の所有する車や機材の維持、管理とアスファルトの製造を担当して

いる。CCCの所有する車は表 4のとおりである。

図 9: 建設中のアパートメント

出所: 筆者撮影

図 10: 建設工事の様子

出所: 筆者撮影

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表 4: CCCの所有する車の種類と台数

表 2にあるとおり、多くの車を所有している

のだが維持、管理は十分でないことが多い。そ

もそも、これらの車の損傷を未然に防ぐための

定期的なメンテナンスは全くおこなわれてい

ず、なにか損傷が発見されてから修理作業がお

こなわれることが維持、管理が十分でない原因

の 1つである。大きく車が損傷している場合に

は業者に委託するが、基本的には CCCの修理

場で修理はおこなわれる。それぞれの車に対す

る整備記録がきちんと残されている訳でもな

く、修理するか破棄するかなど決断は全て一部

の人の裁量にかかっている。しかしそもそもそ

のような上級職員の人数も足りていず、対応が

遅い等の問題がある。廃棄物管理能力向上のた

めの事業の一環で、ごみ収集用の圧縮収集車が

贈与される予定であるが、過去に贈与された圧

縮収集車は数年で圧縮できなくなりもう数年

の使用で破棄されたものもあったため、贈与とともに維持、管理の技術を高めることが必

要である。図 11が修理場の様子である。アスファルト工場を所有していて、道路補修で使

用されるアスファルトはここで製造される。図 12がその写真である。

電気工学部門は交通信号や街灯の維持、管理を担当している。チッタゴン市内に交通信

Vehicles / Equipment Name No.

Car 6

Jeep 6

Single Cabin Pick-Up 4

Double Cabin Pick-Up 12

Ambulance 8

Microbus 4

Taxi (4 Stroke) 55

Truck 45

Chain Dogger 8

Pay-loader 10

Arial Lift 10

Dump Truck 4

Flat Bed Truck 60

Tractor Wagon 2

Vehicles / Equipment Name No.

Roller 25

Vibromax 1

Vibrato Roller 3

Oil Tanker 1

Water Boucher 13

Dead Body Carrier 6

Brake Down 2

Screw Composer Machine 1

Bitumen Sprayer Taker 1

Trailer 1

Motor Cycle 81

Road Marking Machine 1

Container Carrier 13

図 11: 修理場の様子

出所: 筆者撮影

図 12: アスファルト工場

出所: 筆者撮影

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14

号は 46つ設置されているが、そのほとんどは役目を果たしていず、交通整理のための警官

が交差点などには立っていて交通整理をしている。

私は学科では土木、機械、電気などといった工学分野を広く浅く勉強しているが、実際

に現地ではどの程度の技術水準で使用されているか等、直接ものを見ながら知ることがで

きよい経験であった。

(4) 環境美化部門

環境美化部門は名の通り、チッタゴン市内

の環境美化を担当している部門である。CCC

は環境美化として排水路や道路の清掃、ため

池や排水路などの蚊のたまりやすい所での

蚊駆除スプレーの散布、ごみの中間収集場か

ら最終処分場への運送(二次収集)、最終処

分場の運営を主におこなっている。

排水路や道路の清掃には計 1,100人の清掃員が交代

で 24時間市内のそれぞれの担当場所を清掃している。

清掃員は黄色いゼッケンを着て清掃しているため市内

を見渡せばその活動している様子を見つけることがで

きる。各清掃員はそれぞれの地域で清掃し、回収され

たごみは中間収集場へ集められる。しかし、一般市民

はごみを回収するという意識がまだまだ弱く、いたる

ところへ捨てる行為(いわゆるポイ捨て)がおこなわ

れることやそもそも人口が非常に大きいことからとて

も市内は綺麗である、清潔に保たれているとは言えな

い状況である。

基本的にチッタゴン市におけるごみ収集の

方法は、家庭や工場、オフィスなどから中間収

集場を経由して最終処分場へ運ばれる流れと

なっている。中間収集場として、そのまま車に

積んで運搬することができる鉄製のコンテナ

が 94個とコンクリートでできたダストビンが

1,250カ所、市内に点在している。家庭から中

図 13: ごみ散乱している様子

出所: 筆者撮影

図 14: 排水路にたまったごみ

出所: 他のインターン生撮影

図 15:清掃員

出所: CCC Presentation Slide

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15

間収集場までは家庭から直接運ばれる、もしく

は NGOや CBO12による個別収集によって中

間収集場まで運ばれている。CCCのごみ回収

要員が 600人働いており、彼らが中間収集場

であるコンテナもしくはダストビンがいっぱ

いになっているところを発見し次第、回収され

最終処分場まで運ばれるという仕組みになっ

ている。回収がスムーズにおこなわれるわけで

はないため、市内にはごみであふれかえった

非常に不潔なダストビンもしくはコンテナ

が常に多くある。またコンテナの場合はコン

テナごとごみを運ぶことができるが、ダスト

ビンであればダストビンからトラックにス

コップや素手でごみを移さなくてはいけな

い、またごみの中には危険物も含まれるため、

清掃員の安全があまり確保されていない。

CCCの最終処分場は 2つあり、ごみはその

どちらかへ運ばれる。どちらの最終処分場に

おいてもごみは何か処理されるわけではな

く、そのまま山積みされるだけで非衛生的で

あり、いたるところで自然発火が起きている。

市内に点在している中間処理場もしくは最

終処分場ではウェイストピッカーがごみを

あさって、有価廃棄物を集めているが、これ

がインフォーマルな形でのリサイクルとな

っている。また、パイロット事業として導入

されたコンポストセンターが 1つだけ最終処分場の隣にあり今も運営されている。ここで

は集められたごみを手で分別し有機廃棄物だけにしたごみを、堆肥化させている。堆肥と

して製品になるまでは 2ヶ月程度かかることや容量の関係で、本当にごく一部のごみのみ

を取り扱っている。

ごみ問題は下水と並んでチッタゴン市の重要な環境問題であり、今回の学習を通じてご

12 Community Based Organization

図 17: ごみあふれかえったコンテナ

出所: 筆者撮影

図 16: ダストビン

出所: 筆者撮影

図 18: 最終処分場の様子

出所: 筆者撮影

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16

みが適正に処理されないということかどういう状態であるのか理解することができた。ま

すます人口が増加していくチッタゴンでは回収の徹底や適正な処理の導入だけでなく根本

的なごみ発生量の削減が必要であると強く感じた。

(5) 他の部門と都市パートナーシップ事業

総務部は Establishment section, General section, Ward Secretary section, Magistrate

section, Law section, Public Relationship section, Security section, Record sectionの 8つ

の部門で構成されている。Establishment sectionは人事を担当している部門であり、各職

員の今までの記録もとに法で決まった形で昇進、昇給などを決めている。General section

は市長と市長以外の職員の間での書簡のやりとりを管理している。ほぼ全ての活動には市

長の許可が必要であり、非常に書簡のやりとりは多い。媒体も全て紙であり、ICTは利用

されていない。また他に注目すべき点としては、総務部には Law sectionがあるものの今

までに一度として条例(チッタゴン市内でのみ有効な法律)を制定したことがないことで

ある。現在は実質このような法的権限も中央政府が握っているのである。また市民への広

報を Public Relationship sectionが担っていて、新聞などを通じて活動を広報しているが

CCCのホームページの記載内容はだいぶ古く使いものにならない情報が多い。また市民か

らの苦情や相談を受け入れる窓口はなく、苦情などを抱えた市民はそれらの内容に合った

部署の職員のところへ直接出向き話をする形がとられている。よってちゃんとした対応が

取られているかはさておき多くの場合、上級職員(主に各部門の代表)は住民対応が日々

の業務の大きな時間を占めるものとなっている。

会計部門は Payroll section, Audit and Budget section、Bill and Bookkeeping section,

Cash sectionの 4部門で構成される。Payroll sectionは CCCの全職員の給料を総務部の

Establishment sectionで管理されている各職員の記録をもとに給料を各職員の口座へ支払

う。各職員の給料は CCCで役職ごとに規定された給料を支払うことになっている。CCC

図 19: ウェイストピッカーによって集められ

たごみ

出所: 筆者撮影

図 20: コンポストセンター

出所: 筆者撮影

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の多くの職員はCCCの仕事だけで暮らしていくには厳しいため副業をしていると言ってい

た。Audit and Budget sectionは予算作成と会計監査を担当している部門である。予算は

年度予算のみ作成され、各部門の前年度の支出と今年度の需要額をもとに作成され、最終

的に市議会で可決されることで決定となる。会計監査は中央政府からの派遣職員による会

計監査と民間に委託した民間企業による会計監査の 2つが毎年おこなわれているとのこと

であった。Bill and Bookkeeping section は各部門で使用した額の請求書(つまり、支払の

証明)を管理している。Cash sectionはその逆で、受け取った額を管理している。

他の歳入部門、教育部門、保健衛生部門なども数日程度は訪問したが担当の人たちが忙

しく十分な情報を手に入れることができない部分もあった。歳入部門は税収をふくめた全

ての歳入を管理しており、CCCの歳入は年々増加している。教育部門と保健衛生部門は他

の都市の市役所にはないチッタゴンだけにある特別な部門で、市立の学校と病院を運営し

ている。

また UNDPの都市パートナーシップ事業の活動を学ぶ機会が多くあった。この事業は都

市における貧困削減のため、スラムでのコミュニティの構築、教育機会の拡充、コミュニ

ティでの共同貯蓄の促進、住居確保のためのお金の貸与、雇用訓練の提供など様々な分野

のプログラムを合わせておこなう事業である。この事業は他都市でもおこなわれており、

都市パートナーシップ事業の一環で、CCCの職員がシレットというバングラデシュ北東に

位置する都市へ訪問するところに同行させていただいたり、チッタゴン市内での事業を聞

いたりすることができた。

CCCはチッタゴンにおける様々な問題に取り組んでいる政府機関であり、現状どのよう

な活動がおこなわれているのか、現状の問題を変えていくためにどのようなことがおこな

われているのか等知ることができ、非常によかった。

図 21: 都市パートナーシップ事業で他都市の

スラムコミュニティのリーダーたちと CCC

職員の話し合い

出所: 筆者撮影

図 22: CCC職員の人たちと

出所: 筆者撮影

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4.2 チッタゴン上下水道公社

チッタゴン上下水道公社(Chittagong

Water Supply and Sewerage Authority、以

下 CWASA)は私のインターンシップの中で

チッタゴン市役所に次いで 2番目に私が訪

問した機関である。名の通り、チッタゴン市

の上下水道を担う機関である。

現状、チッタゴン市には下水処理設備はな

く CWASAは上水道のみを取り扱っている。

現在、CWASAは地下水と表流水を利用して

おり、その総給水量は給水能力から

計算して 219,000m3/日である13。バ

ングラデシュの水といえば砒素が含

まれている地域があることで有名だ

が、チッタゴンにある地下水には砒

素は一切含まれていないことがわか

っている。地下水は CWASAが所有

する 91つの深井戸を利用して汲み

取っており、地下水が鉄分を多く含

む地域では鉄分除去施設を通してか

らその地下水を供給しており、その

量は CWASA が汲み上げる地下水の

約半分である。そのほかの地域で汲

み上げられた地下水は直接家庭に給水される。表流水はハルダ川というカルナフリ川の支

流の水を利用しており、現在 CWASA が持つ唯一の浄水場、モハラ浄水場で浄水され市民

に届けられる。図 23は以上の流れを図にまとめたものである。そのようにして給水される

水量は市民の総水需用量に対して 2007年時点で 47%であり14、現在は 30-40%であるとい

われている。つまり、チッタゴン市民の水需要に対して給水量は大きく足りていないので

ある。そのため市内のほとんどの地域では制限給水がおこなわれている。

13 JICA(2013) バングラデシュ国チッタゴン上下水道改善事業準備調査最終報告書 14 JICA(2007) バングラデシュチッタゴン上水道セクタープロジェクト形成調査報告書

図 23: 給水の流れ

出所: JICA(2013) バングラデシュ国チッタゴン上下水道改

善事業準備調査最終報告書より筆者作成

図 23: CWASAの建物

出所: 筆者撮影

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19

スラムに住むような貧困層は、飲料水のみ公共水栓から可搬容器で水を運び使用する、

もしくは近隣の浅井戸(CWASAの管理下にない)から手動ポンプで水を汲み上げ使用する

ことが一般的である15。しかし浅井戸から汲み上げられる地下水は必ずしも水質のよいとは

限らず、鉄分を多く含む等、飲料に適さないことが多い。事実、NGO(IMAGE)での活動の

中で私がいくつかのスラムを訪問した際にそこで飲料用に使用されている水を数カ所から

持って帰り CWASAの研究施設で成分調査をしてもらったところ、多くの水はWHO飲料

水水質ガイドが規定する含有鉄分量を超える鉄分を含んでいることがわかった。また、生

活用水は近くにある池の水を使用するなど非常に水質の悪い水を使用していることが一般

的である。CWASAでのインターンシップを通じて、Dushtha Shasthya Kendra(以下、

DSK)というNGOの活動を見学しに行ったことがあった。DSKはスラムにおいてその地

域に住む人たちが共同で使用できる共同水栓や共用トイレを導入し、住民自身による維持

管理を手助けするような活動をおこなっており、私たちは実際に導入されているスラムを

訪問しそこで実際に共同水栓を利用してい

る住民に聞き取りをおこない使用料金の明

細書を見せて頂いた。それらの調査から明ら

かにその共同水栓で使用できる水量は足り

ていないことがわかった。これは値段の問題

ではない。この共同水栓に入る水は結局

CWASA が供給する水であり、CWASA が供

給できる水量が増えなければ根本的な上水

道の問題解決にはつながらないことがあら

ためて明らかになった。

比較的裕福な住民の家や工場、ホテルなどでは個人の井戸を所有している場合もあるが、

15 同上

図 25: CWASAが使用している深井戸

出所: 筆者撮影

図 24: モハラ浄水場の沈殿池

出所: 筆者撮影

図 26: スラムにおける共同水栓視察

出所: 筆者撮影

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多くの住民は常時水栓を開けて、給水がおこなわれる時間中に受水槽もしくは容器に水を

貯めて使用している。また共同住宅に住んでいる人も多く、それらの住宅では給水管を 1

本引き込み、常時給水を受け入れる態勢で受水槽に水を貯め、それを屋上の水槽に揚水し

棟内の住宅に給水している16。

このように明らかに給水量の足りていない CWASAは今後、ますます増加する人口に対

して給水していくために給水量を増加させなくてはいけない。CWASAには、現在 JICAの

円借款と技術協力による上水道支援事業17と世界銀行(財務支援)による水道および衛生事

業(Chittagong Water Supply Improvement and Sanitation Project、以下 CWSISP)が

おこなわれている。

JICAの円借款事業であるカルナフリ上水道

第 1期整備事業は(1)カルナフリ川を水源とす

る取水および浄水施設の建設(給水量

143,000m3/日)、(2)現在のものに代わる新しい

送・配水管の敷設、(3)配水池・高架水槽の建

設の 3つの工事のパッケージで構成されてい

る。現在はこれらの工事の施工過程にある。取

水及び浄水施設が新設されることで給水量を

増加させることができ、さらにはアスベストを

含みなおかつ計画的に接続されず網目状につながった、現在使用されている老朽化した配

水管は全て新しい配水管に置き換えることで計画的に制限給水をおこなうことができるよ

うになる。JICAはこのようなハード面での支援と共に、それらの施設を維持、運営できる

ような CWASAに対する維持、運営能力向上のための技術協力プロジェクトをおこなって

いる。これが無収水削減推進事業である。GISを利用した上での料金徴収や漏水補修等の

上水道運営の技術を移転している。これらの事業は日本のコンサルタント企業でおこなわ

れており、また 3つの工事をおこなう企業の中にも日本企業があり、そこで働かれている

方からお話聞くことができたことは現場で働くというのはそれぞれ具体的にどういうこと

であるのか知ることができ、またそれらの方のお仕事を見ることができ非常に良い経験で

あったと感じている。

世界銀行の CWSISP の事業は 3つの要素に分かれており、(1)取水および浄水施設、送・

配水管の新規建設によって安全な水の供給量を増やすこと、(2)下水道に関するマスタープ

ランを更新しいくつかの下水設備を補修すること、(3)CWASAの組織としての運営能力を

16 JICA(2007) バングラデシュチッタゴン上水道セクタープロジェクト形成調査報告書 17 カルナフリ上水道第 1期整備事業(円借款)と無収水削減推進事業(技術協力)の 2 つに分けられる。

図 27: 送水管敷設の工事現場

出所: 筆者撮影

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21

向上することの 3つである。

CWASAではチッタゴンにおける現在の水事情を学ぶことができたことに加えて、そこで

働くコンサルタントの方、ゼネコンや商社の方などのお仕事に関する話を聞くことができ、

現場でどのようなお仕事をそれぞれされているのかよく理解することができよかったと感

じている。

4.3 チッタゴン開発局

チッタゴン開発局(Chittagong Development Authority、以下 CDA)に 2日程度であっ

たが訪問し、組織の仕組みやそこの仕事を学んだ。CDAの役割は、(1)マスタープランの策

定、(2)開発行為の管理、(3)開発の促進の 3つである。

(1)マスタープランの策定は、チッタゴン市を中心とした広域エリアを対象とした、短期

や長期の開発計画や土地利用を含んだマスタープランを策定するということである。現在、

1995年に作成された建造物計画(Structure Plan)、都市開発計画(Urban Development

Plan)、運輸・交通に関する長期的開発戦略(Long Term Development Strategy for

Chittagong)、雨水排水計画(Storm Water and Drainage Master Plan)の 4つのマスタープ

ランとその後作成された土地利用詳細計画(Detailed Area Plan)が使用されている。それら

の期限は 2015年までとされているが、現在まだ新しいマスタープランは作成するための案

件が審議されている段階でありまだとうぶんはそれらの以前から使われているマスタープ

ランをもとに開発をおこなう、または管理する予定となっている。(2)開発行為の管理に関

して、CDAの管理区域内で開発行為に当たるような活動は全てCDAの許可が必要であり、

CDAは申請内容が土地利用詳細計画で規定された土地利用を満たしているか等を判断し管

理する。規模が大きい、周囲の自然に大きな影響を与える等の特別な開発行為の場合、さ

らに厳重な審査が委員会によっておこなわれる。しかし、現在 CDA 管理区域の開発行為を

管理する役職の人員数は管理する区域の大きさと比べて足りておらずきちんとした管理が

行き届いていない、もしくは非常に時間を要する等の問題があげられている。また(3)開発

の促進に関して、CDA は住宅開発、道路建設、高架交差道建設などの事業をおこなってい

る。CDA、CCCともにこのような住宅開発や交通インフラ整備に取り組んでおり、CDA

は開発行為の管理、CCCは交通インフラ等の維持管理をそれぞれ担当しているのだが、そ

の間での各機関の役割が非常に不明確であったり、そもそも両機関が協議したり連絡を取

ったりという動きがなくやりとりがほぼ皆無であるため、個々におこなわれている開発行

為間での整合性に欠けていたり、建設後の維持管理が上手く引き渡されず上手くいかない

等の問題を引き起こしているように感じた。このような関係機関間での調整不足は CDAと

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CCCに限った話ではなく、チッタゴンのどの機関の活動を見ていてもそのような現状があ

るように感じた。政治、利権の問題が深く絡んでいるように見えたが、今後さらなるチッ

タゴンの開発を計画的に進めていくためにもこれらの機関の関係構築を推し進めていく必

要があるのではないかと感じた。また現在チッタゴンには完成し使用されている高架交差

道が 2つあるのだが 2つとも(とくに 1つは)いつ見ても非常に交通量が少なく重大な交

通渋滞の緩和に寄与しているようにはとても見えなかった。それは他機関からも指摘があ

り開発行為の優先順位付けという点においても多少問題を抱えていることが想像される。

4.4 チッタゴン港湾局

チッタゴン港湾局(Chittagong Port

Authority、以下 CPA)には 1日だけ他のイン

ターン生と一緒にプログラムとして訪問する

機会があった。そこでは、CPAの担当者から

チッタゴン港の概要に関する説明を聞き、その

後施設を少し見学した。

CPAはバングラデシュ最大の港であるチッ

タゴン港を管理、運営する政府機関である。バ

ングラデシュは、国の総貿易量の 92%が海運

で輸送されており、バングラデシュが取り扱う

海運での輸送量の 95%がチッタゴン港を通し

ておこなわれている。つまりバングラデシュの

輸出品、輸入品のほとんどはチッタゴン港を通

って輸出入されるのである。とくにバングラデ

シュで非常に盛んな縫製業では、製品の輸出量

の約 100%、原料の輸入量の約 80%がチッタゴ

ン港を通って輸送されている。また、バングラ

デシュ政府の歳入の約 35〜40%は輸出税、輸入税から取っていることから、チッタゴン港

がバングラデシュ政府にとって極めて重要な港であることがわかる。チッタゴン港には水

深が浅いためサイズの大きな船舶が入港できないという状況にあり、シンガポールやどこ

かの地域での経由を通じて貨物を輸送するのが一般的である。チッタゴン港が整備されて

いることはバングラデシュの経済発展に極めて重要であるため、ADB など様々な機関から

援助を受けて設備拡充を含め運営能力を向上してきた。港湾整備だけでなく、輸出入品の

図 28: チッタゴン港見学の様子

出所: 他のインターン生撮影

図 29: チッタゴン港の様子

出所: 他のインターン生撮影

Page 23: 経済産業省 国際即戦力育成インターンシップ事業 参加報告書 · われ、帰国後にも事後研修としての各インターンによるインターンシップ内容の報告会が

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多くはダッカから来る、またはダッカへ行くためダッカ、チッタゴン間での交通整備も極

めて重要である。現在は鉄道輸送が極めて脆弱な状態にあるためトラックによる輸送が使

用されているが、ダッカ、チッタゴン間の道路も非常に混むため現在、ダッカチッタゴン

間の道路の拡充がおこなわれている。チッタゴン市内においても、港からダッカへとつな

がる道路を ADBの財務支援によって CPAが新たに建設したことがあった18。

今後、ダッカだけでなく周辺の内陸国にとっても重要な港となることが予想されるため、

CPAがチッタゴンの他の政府機関と連携を取りながらどのように港を運営していくかが極

めて重要であると感じた。チッタゴンにとってもバングラデシュにとってもこのチッタゴ

ン港は極めて重要な施設であり、そのような機関に足を運び実際に見学することができた

のは、たとえ 1日だけであっても非常に有意義であったと感じている。

4.5 IMAGE(NGO)

IMAGEというチッタゴン市内にて保健衛

生、医療分野で活動している非常に小規模の

NGOに訪問し、活動の見学を私がバングラ

デシュに到着してから最初の 2週間程度お

こなった。IMAGEは NGO Health Service

Delivery Project(以下、NHSDP)に参加し

ている NGOの 1つであり、チッタゴン市内

の一部地域で貧困層を対象に医療サービス

を供給している。NHSDP はUSAID19と

UKAID20の資金協力のもと Pathfinder

International21というNGOが実施機関とな

ってPathfinder Internationalに選定された

NGOが各地で貧困層を対象とした医療サー

ビスの提供をおこなうという事業である。医

療サービスの中でもとくに避妊、出産、母子

保健といった分野に重点が置かれている。

18 Chittagong Port Authority Presentation Slide より 19 United States Agency for International Development 20 United Kingdom Agency for International Development 21 http://www.pathfinder.org

図 30: サテライトクリニックの様子

出所: 筆者撮影

図 31: サテライトクリニックの入り口

出所: 筆者撮影

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IMAGEは固定のクリニックと様々なスラム地域で週に 1回など定期的に開かれるサテ

ライトクリニックの2種類で医療サービス、とくに避妊、出産や母子保健の分野における

サービスを主に供給している。私が訪問しお世話になったクリニックは 3階建てで 1階が

診察室や処置室、薬局、待合室などの普通の病院のようになっており、2階が出産前、出産

後等の入院患者の部屋および手術室があり、3階がデスクワーク用のオフィスであった。民

間の運営する病院よりも格段に安い値段で診察を受けて薬をもらうことができ、多くの人

が並んで利用していた。とくに妊産婦の利用が多かった。また各スラムで別々に定期的に

開いているサテライトクリニックをも何度か見学しに行った。スラムでのサテライトクリ

ニックでも基本的には活動内容は同じで診察と薬を超安価に利用できるということで、多

くの人々が利用していた。スラムではこのようなサテライトクリニックでの活動に加えて、

看護師が各家庭に訪問し妊産婦の様子や避妊に関する知識、状況を確認するということを

おこなっていた。基本的に、どのような食べ物に栄養があってどのような食事をすると栄

養をバランスよく取ることができるか、新生児の扱い方、避妊に関する正しい知識等を知

らないことが往々にしてあるため、診察や各家庭への訪問ではこのような知識の提供もお

こなわれる。また栄養に関してはどうしても足りないところは薬としてサプリメントを提

供することで補っている。

このような活動を見学したのだが、妊産婦を含め普段医療サービスを利用できない人々

にとってどれだけこれらの活動が役に立っているのか、同行し見学することで理解するこ

とができた。このような人々が正しい知識にアクセスでき、避妊や出産が正しくおこなわ

れることが、急激な人口増加がおこっているバングラデシュでは非常に重要であることを

強く感じた。

4.6 CODEC(NGO)

CODECは Community Development

Centerの略語である。チッタゴン管区周辺を

中心に活動している現地の NGOであり、その

対象は主に水害を受けやすい沿岸部に住む貧

困層や迫害を受けやすい少数民族である。私は

CODECで実施されているプロジェクトの 1

つである、少数民族に対する生計向上プロジェ

クト(Livelihood Improvement Facilities for

図 32: 役所での聞き取りの様子

出所: 協力者撮影

Page 25: 経済産業省 国際即戦力育成インターンシップ事業 参加報告書 · われ、帰国後にも事後研修としての各インターンによるインターンシップ内容の報告会が

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Ethnics Project、以下 LIFE-Project)でイン

ターンシップをおこなった。LIFE-Projectは

チッタゴン管区 Fatikchoriという丘陵地帯と

なっている農村部でそこに住む少数民族を含

む住民に対して、(1)受益者の現地に適した農

業技術の向上、(2)CBO22のキャパシティディ

ベロップメント、(3)CBOの収入確保のための

ビジネス開発、(4)少数民族の人権促進をおこ

なうことの 4つで構成されているプロジェク

トである。実施機関は CODECだけでなく、インターンシップ内容としては実際にプロジ

ェクトサイトで 5日間程度滞在し、プロジェクトのコーディネイターの協力のもと、受益

者、実施者を含む様々な関係者への聞き取りなどをおこない、最後に CODECに対して自

身のプロジェクトに対する評価を報告書とプレゼンを通して発表するというものであった。

プロジェクトサイトでは、プロジェクトチームのスタッフに対してプロジェクト実施方法

など、CBOの役員に対して運営方法など、CBOで収入向上のためのビジネスをおこなって

いる人に対してそのビジネスの内容、対象地域の役所の職員に対して対象地域の今までの

変遷や役所の提供するサービスなどをそれぞれ聞き取りし学んだ。

5年前から実施されているプロジェクトで

あり、(1)受益者の現地に適した農業技術の向

上に関しては、それぞれの土地に合った作物お

よびその栽培方法が研究され、明らかな変化が

聞き取れた。とくに今までは自給用の作物の栽

培だけであったが、近代化の流れの中で肥料や

特別な技術を必要とする換金作物の栽培に手

を出し始めるような人々が多く、そのような

人々に対してそれらの栽培方法、また適した作

物が何なのか、農業教育と農業研究を通して提供できたということは非常に有益なことで

あったのではないかと想像した。(2)CBOのキャパシティディベロップメントに関しては、

非常に効果が出ているとは思ったが同時にまだ至らない部分が多くあるのではないかと考

えた。CBOは新規ビジネスに挑戦しようとしている人々に超低利子で小規模融資を実施し

たり、CODECから教わった農業技術の普及の中心組織であったりとそのコミュニティを

22 Community-Based Organization

図 33: CBOの役員との写真

出所: 協力者撮影

図 34: 家畜に対する薬の販売

出所: 筆者撮影

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代表する組織である。運営に関して帳簿のつけ方など様々な知識がついているのは明らか

であったが、毎回の各 CBOのミーティングにプロジェクトスタッフが参加し口をかなり挟

む、新規ビジネス案が融資するに値するものであるか現地住民だけで判断したことがない

等、プロジェクト開始から 5年経ったものの CBOの運営をプロジェクト終了後に現地の住

民だけでできるかはかなり怪しいことがわかった。今後そのような部分をより強化してお

こなっていくことを報告書およびプレゼンテーションでは発表した。CODECの幹部職員

の方々の前での発表であったが、評価してくださった。(3)CBOの収入確保のためのビジネ

ス開発に関しては、家畜のための薬販売や竹から作られるマット販売などをおこなってい

る人々にその内容や成果を聞いたが、どれも黒字であり帳簿をつけておこなわれており、

彼らの生活のプラスになるものであったと思う。(4)少数民族の人権促進に関しても、啓蒙

のためのセミナーや実際に現地政府機関との連携などがおこなわれていた。

今回の私の 6ヶ月間のインターンシップは都市に焦点を置いていたものであったが 1週

間農村部に滞在し現地の様子を知れるということは非常に良い経験であったと感じている。

とくに農村から都市に流入する人口が大きいが、その農村はどういう状態であるのか、な

にが起きているのかということを学ぶよい機会であった。住民などに失礼のないようにお

話を聞くというのは非常に難しいものであった。CODECにおけるインターンシップ全体

としてはそれらの活動を最後に評価しアドバイスをくれる等非常に充実したものであった

と思う。

4.7 その他の活動

(1) チッタゴン輸出加工区

チッタゴン輸出加工区(Chittagong Export Processing Zone、以下 CEPZ)という経済

特区に 1日訪問し、CEPZを管理している政府機関である BEPZA(Bangladesh Export

Processing Zone Authority)のチッタゴン支部、発光ダイオードを製造しているオプシード

というタムラ製作所の子会社(日系企業)、日本に多く輸出している現地縫製企業、レンズ

研磨加工をおこなっている SANKO(日系企業)をそれぞれ見学した。CEPZ外の会社と比

べて明らかに高い品質管理がおこなわれているように見えた。日系企業の進出に向けてま

だまだ課題はあるものの、インフラや法などの面でよい待遇にあり、これからの日系企業

の進出が期待される。

Page 27: 経済産業省 国際即戦力育成インターンシップ事業 参加報告書 · われ、帰国後にも事後研修としての各インターンによるインターンシップ内容の報告会が

27

(2) バングラデシュ電力開発庁

バングラデシュ電力開発庁(Bangladesh Power

Development Board、以下 BPDB)のチッタゴン支部に

2日間訪問した。元々、2週間程度訪問する予定であっ

たが担当者が今回発電所建設のプロジェクトに従事し

ており忙しく、2日のみの訪問となった。BPDBはバン

グラデシュにあるいくつかの電力セクターの政府系機

関の 1つであり、発電および配電を担っている。チッタ

ゴン市内における配電は全て BPDBの管理下にある。

チッタゴン市周辺にもいくつか発電所があり、最も近く

にあるガスで発電しているシカルバハ発電所を私は訪

問した。

(3) 現地での報告会

バングラデシュでインターンシップの最後に 2回ほど報告会をおこなった。1回はチッタ

ゴンでお世話になった方の前で主に自身の学んだことや感じたことが発表した。もう 1回

はダッカで JETROが主催するプログラムとしてダッカ大学の日本に興味のある学生の前

で同じような内容を発表した。発表に使用した資料は付録 3にある。

(4) 学生課題

本事業では学生インターンに対して課題が課せられた。課題内容は、以下のような内容

であった。

・ インターンシップ期間中に派遣される国の文化、市場、社会について観察し、その中

から、これまでにない新しいビジネスのタネを発見する。

図 35: シカルバハ発電所

出所: 筆者撮影

図 36: CCCでのインターンシップの最後に

出所: 協力者撮影

図 37: 現地の新聞に載ったダッカでの報告会

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・ ビジネスのタネからアイデアを膨らませ、新しい製品、またはサービスを提供するた

めのビジネスモデルを考案する。

・ 国内事前研修「ネクストリーダー育成コース」(表 1参照)で受講した「新規ビジネス

開拓」の講義を参考に、そこで習ったビジネスモデルキャンバス23を使用してそのビ

ジネスアイデアをまとめる。

・ 現地でできる限り考案したビジネスモデルの実現可能性を調査する。

ここで各自考案したビジネスモデルは、帰国後におこなわれる報告会で発表することに

なっていた。報告会では、各自の考案したビジネスモデルを制限時間約 3分の中で発表し、

(1)顧客課題の設定がインターン本人の派遣国における体験や観察に基づいている、具体的

なストーリーが感じられるか、(2)価値提案が具体的かどうか、現実性があるかどうか(単

なる一般論になってしまっていないか、(3)このビジネスモデルについてもっと聞きたいと

思ったか(興味を持ったか)どうかの 3つの基準で、他の学生インターンと専門家の方々

から各々の考案したビジネスモデルが評価される。そして総合得点で上位 5人があがった

インターンが発表される。

私は本課題で、バングラデシュにおける通信添削教育の導入可能性について調査した。

私の作成したビジネスモデルキャンバスは、付録 2にある通りである。チッタゴンでは、

現在塾を運営するビジネスがものすごい勢いで増加しており、生徒の子を持つ親の関心は

非常に高くまだまだ需要が多いにある。この背景としては、バングラデシュの教育制度と

していくつかの学年のタイミングで国内統一の進級試験や大学受験があるが、多くの子が

通う公立の学校は教育の質が極めて低く公立学校の教育だけでは、試験を通ることができ

ないという認識が広く広まっていることがあげられる。しかし、塾を利用する価格も非常

に安いといえるわけではなく、公立学校での教育以外でなにか補助的な教育を受ける手段

を利用したいと考えているにも関わらず、価格面から塾を利用できない家庭は潜在的に多

く存在することが予想される。またバングラデシュの教育は、公立の学校においても私営

の塾においても、教室にできる限り生徒を詰め込み莫大な人数の集団で授業を受けるのが

一般的であり、生徒が各々先生からアドバイスやコメントを受けるなど 1対 1のやりとり

は滅多にないことが予想される。これらの状況を実際にチッタゴンで塾や学校を運営して

いる先生への聞き取りや JICA文献24の記載をもとに確認、把握した上で考案したのが、通

信添削による教育ビジネスである。通信添削による教育ビジネスというのは、いわゆる日

本でおこなわれているようなものである。先生から教材が生徒に送られ、生徒は送られて

きた教材をもとに勉強し、定期的に教材についている確認テストをおこない、その解答を

23 www.shoeisha.com/book/hp/BMY/images/BMY_section1_canvas.pdf参照 24 JICA(2011)のことである。

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29

先生に送り、先生はその解答を採点しコメントをつけて再度生徒に送るというものである。

日本でも多く実施され、正しく使用すればそれなりに学力増強に役に立つことが証明され

ている。また、このようなシステムは日本同様にバングラデシュでも塾や家庭教師を利用

する価格よりはるかに安価に利用することができると予想される。1つ懸念されることとし

て、バングラデシュの既存の郵送システムは脆弱で今回のビジネスでは利用できないこと

が予想される。しかし、バングラデシュの都市であればリキシャや CNG等の既存の交通を

利用して郵送はお金をかけずにおこなうことができると考えた。

第 2回帰国報告会に参加した私は、そこでの報告会で以上のようなビジネスモデルを発

表し 34人中 4位の評価をいただき、2015年 3月 19日におこなわれた 2014年度国際即戦

力育成インターンシップ事業成果事例セミナーでも一例として取り上げていただいた。

(5) 休日の過ごし方

インターンシップ内容と関係はないが、休日

にも派遣機関の方がいろんなところに連れて

いってくれたりと様々な活動をすることがで

きた。チッタゴンから少し距離のある世界で一

番長いといわれる砂浜に連れていってくれて

サーフィンをしたり、休日の日にはお家に招待

してくれたり、ダッカ観光やクルージングへ連

れて行ってくれたりと本当に休日にもお世話

になった。ダッカに訪問した際にはグラミン銀

行で有名なユヌス先生が開く Social Business

Design Labにも参加し、ユヌス先生を見るこ

とができた。また、自分たちでどこかに行くこ

とも計画次第では可能で、他のプログラムでイ

ンターンシップをしている方に連れて行って

もらいかなり田舎の方へ行くこともあった。ま

た他のインターンが現地の大学で日本語

教室をおこなっていてそのお手伝いをす

るなどを休日や平日のインターンシップ

を終えた後も楽しいことが多々あり充実

したものであった。

図 38: サーフィンをした時に

図 39: 担当者のお家へ訪問した際に

図 40: ダッカでのユヌス先生が主催する Social

Business Design Labの様子(右端に映ってい

るのが私たちインターン生である。)

Page 30: 経済産業省 国際即戦力育成インターンシップ事業 参加報告書 · われ、帰国後にも事後研修としての各インターンによるインターンシップ内容の報告会が

30

5. 総括

受入機関 CAASや JETROとHIDAの担当の方はもちろんのこと、受入機関 CAASを通

じて訪問した機関の方たちや現地でお会いした日本人の方たちなど本当に多くの人の協力

のおかげで、様々な活動を怪我等なく無事におこなうことができ、とても満足している。

しかし今回私が感じた点として、あまりにも幅広く分野のちがう機関を訪問したため、浅

くしか状況を理解することができなかったことがあげられる。もともと研究テーマや進路

を決める前に幅広く現状をみておきたいという思いでこのような活動をしたいと考えたた

めできた活動自体には全く不満はないのだが、そうはいっても分野の幅が広く私の事前知

識も相当乏しかったため、各分野において非常に浅い学びにしかならなかった部分があっ

た。せっかく現地で半年間様々なことができたのだから、出発前にどこか分野を絞って事

前にその分野について深く勉強してから行ってもよかったということを感じた。

これからの大学生活では、現地で直感的に感じた問題、浅くしか理解することができな

かったことなどを勉強しより深く掘り下げていけるようにしたい。そして将来は、このよ

うな学習の機会を私に提供してくださった方々に恩を返すためにも、今回の経験を活かせ

るよう一生懸命勉強して、何かの形で社会に活かせるようなことができればと思う。まず

は目の前の研究に尽力したい。

図 41: クルージングに受入機関の人たちと

図 42: 現地の大学での折り紙教室

Page 31: 経済産業省 国際即戦力育成インターンシップ事業 参加報告書 · われ、帰国後にも事後研修としての各インターンによるインターンシップ内容の報告会が

31

付録 1: インターンシップ日程表

9月 1日 月 移動

9月 2日 火 移動

9月 3日 水 CAAS Chittagong

9月 4日 木 NGO(IMAGE) Chittagong

9月 5日 金 休日 Chittagong

9月 6日 土 休日 Chittagong

9月 7日 日 NGO(IMAGE) Chittagong

9月 8日 月 NGO(IMAGE) Chittagong

9月 9日 火 NGO(IMAGE) Chittagong

9月 10日 水 NGO(IMAGE) Chittagong

9月 11日 木 NGO(IMAGE) Chittagong

9月 12日 金 休日 Chittagong

9月 13日 土 休日 Chittagong

9月 14日 日 NGO(IMAGE) Chittagong

9月 15日 月 NGO(IMAGE) Chittagong

9月 16日 火 NGO(IMAGE) Chittagong

9月 17日 水 NGO(IMAGE) Chittagong

9月 18日 木 ハルタル Chittagong

9月 19日 金 休日 Chittagong

9月 20日 土 NGO(IMAGE) Chittagong

9月 21日 日 ハルタル Chittagong

9月 22日 月 CWASA Chittagong

9月 23日 火 CWASA Chittagong

9月 24日 水 CWASA Chittagong

9月 25日 木 IMAGE Chittagong

9月 26日 金 休日 Dhaka

9月 27日 土 休日 Dhaka

9月 28日 日 CWASA Chittagong

9月 29日 月 CWASA Chittagong

9月 30日 火 CWASA Chittagong

10月 1日 水 CWASA Chittagong

10月 2日 木 CWASA Chittagong

10月 3日 金 休日 Chittagong

Page 32: 経済産業省 国際即戦力育成インターンシップ事業 参加報告書 · われ、帰国後にも事後研修としての各インターンによるインターンシップ内容の報告会が

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10月 4日 土 休日 Chittagong

10月 5日 日 休日(Eid) Chittagong

10月 6日 月 休日(Eid) Chittagong

10月 7日 火 休日(Eid) Chittagong

10月 8日 水 CWASA Chittagong

10月 9日 木 IMAGE Chittagong

10月 10日 金 休日 Chittagong

10月 11日 土 休日 Chittagong

10月 12日 日 BPDB, CCC Chittagong

10月 13日 月 CWASA Chittagong

10月 14日 火 CWASA, BPDB Chittagong

10月 15日 水 BPDB Chittagong

10月 16日 木 NGO(CODEC) Chittagong

10月 17日 金 休日 Chittagong

10月 18日 土 休日 Chittagong

10月 19日 日 NGO(CODEC) Chittagong

10月 20日 月 体調不良 Chittagong

10月 21日 火 CAAS Chittagong

10月 22日 水 CAAS Chittagong

10月 23日 木 JICA(Dhaka Office) Dhaka

10月 24日 金 休日 Dhaka

10月 25日 土 休日 Dhaka

10月 26日 日 ハルタル Dhaka

10月 27日 月 Social Business Design Lab, JETRO (Dhaka Office) Dhaka

10月 28日 火 CWASA Chittagong

10月 29日 水 CWASA Chittagong

10月 30日 木 ハルタル Chittagong

10月 31日 金 休日 Chittagong

11月 1日 土 休日 Chittagong

11月 2日 日 ハルタル Chittagong

11月 3日 月 ハルタル Chittagong

11月 4日 火 ハルタル Chittagong

11月 5日 水 ハルタル Chittagong

11月 6日 木 ハルタル(CODEC) Chittagong

11月 7日 金 休日 Chittagong

Page 33: 経済産業省 国際即戦力育成インターンシップ事業 参加報告書 · われ、帰国後にも事後研修としての各インターンによるインターンシップ内容の報告会が

33

11月 8日 土 休日 Chittagong

11月 9日 日 CODEC Chittagong(Project Site)

11月 10日 月 CODEC Chittagong(Project Site)

11月 11日 火 CODEC Chittagong(Project Site)

11月 12日 水 CODEC Chittagong(Project Site)

11月 13日 木 CODEC Chittagong(Project Site)

11月 14日 金 CAAS Chittagong

11月 15日 土 休日 Chittagong

11月 16日 日 CAAS Chittagong

11月 17日 月 CCC Chittagong

11月 18日 火 CCC Chittagong

11月 19日 水 CCC Chittagong

11月 20日 木 CCC Chittagong

11月 21日 金 休日 Chittagong

11月 22日 土 休日 Chittagong

11月 23日 日 CODEC Chittagong

11月 24日 月 CODEC Chittagong

11月 25日 火 CCC Chittagong

11月 26日 水 CCC Chittagong

11月 27日 木 CCC Chittagong

11月 28日 金 CCC Sylhet

11月 29日 土 CCC Sylhet

11月 30日 日 CCC Sylhet

12月 1日 月 CCC Sylhet

12月 2日 火 CCC Chittagong

12月 3日 水 CCC Chittagong

12月 4日 木 CCC Chittagong

12月 5日 金 休日 Chittagong

12月 6日 土 休日 Chittagong

12月 7日 日 CCC Chittagong

12月 8日 月 CWASA Chittagong

12月 9日 火 CWASA Chittagong

12月 10日 水 CCC Chittagong

12月 11日 木 CCC Chittagong

12月 12日 金 休日 Chittagong

Page 34: 経済産業省 国際即戦力育成インターンシップ事業 参加報告書 · われ、帰国後にも事後研修としての各インターンによるインターンシップ内容の報告会が

34

12月 13日 土 休日 Chittagong

12月 14日 日 CCC Chittagong

12月 15日 月 祝日 Chittagong

12月 16日 火 CCC Chittagong

12月 17日 水 CCC Chittagong

12月 18日 木 CWASA Chittagong

12月 19日 金 休日 Chittagong

12月 20日 土 休日 Chittagong

12月 21日 日 CCC, CODEC Chittagong

12月 22日 月 CCC Chittagong

12月 23日 火 CCC Chittagong

12月 24日 水 CCC Chittagong

12月 25日 木 祝日 Mymensingh

12月 26日 金 休日 Mymensingh

12月 27日 土 休日 Mymensingh

12月 28日 日 CCC Chittagong

12月 29日 月 ハルタル Chittagong

12月 30日 火 CODEC, CCC Chittagong

12月 31日 水 ハルタル Chittagong

1月 1日 木 LGED Chittagong

1月 2日 金 休日 Chittagong

1月 3日 土 CODEC Chittagong

1月 4日 日 休日 Chittagong

1月 5日 月 CCC Chittagong

1月 6日 火 ハルタル Chittagong

1月 7日 水 CCC Chittagong

1月 8日 木 CCC Chittagong

1月 9日 金 休日 Chittagong

1月 10日 土 休日 Chittagong

1月 11日 日 CODEC Chittagong

1月 12日 月 RHD, CCC Chittagong

1月 13日 火 Chittagong EPZ, CODEC Chittagong

1月 14日 水 CCC Chittagong

1月 15日 木 ハルタル Chittagong

1月 16日 金 休日 Chittagong

Page 35: 経済産業省 国際即戦力育成インターンシップ事業 参加報告書 · われ、帰国後にも事後研修としての各インターンによるインターンシップ内容の報告会が

35

1月 17日 土 休日 Chittagong

1月 18日 日 CCC Chittagong

1月 19日 月 ハルタル Chittagong

1月 20日 火 ハルタル Chittagong

1月 21日 水 ハルタル Chittagong

1月 22日 木 CCC Chittagong

1月 23日 金 休日 Chittagong

1月 24日 土 CCCI Chittagong

1月 25日 日 ハルタル(CCC) Chittagong

1月 26日 月 ハルタル Chittagong

1月 27日 火 ハルタル Chittagong

1月 28日 水 CCC Chittagong

1月 29日 木 CCC Chittagong

1月 30日 金 休日 Chittagong

1月 31日 土 休日 Chittagong

2月 1日 日 ハルタル(CDA) Chittagong

2月 2日 月 ハルタル(CCC) Chittagong

2月 3日 火 ハルタル Chittagong

2月 4日 水 CDA Chittagong

2月 5日 木 CCC Chittagong

2月 6日 金 CCC Chittagong

2月 7日 土 休日 Chittagong

2月 8日 日 CCC Chittagong

2月 9日 月 ハルタル(CCC) Chittagong

2月 10日 火 ハルタル Chittagong

2月 11日 水 ハルタル(CCC) Chittagong

2月 12日 木 ハルタル(CPA) Chittagong

2月 13日 金 休日 Chittagong

2月 14日 土 休日 Chittagong

2月 15日 日 ハルタル(CCC) Chittagong

2月 16日 月 ハルタル Chittagong

2月 17日 火 ハルタル(CCC) Chittagong

2月 18日 水 ハルタル Chittagong

2月 19日 木 ハルタル(CCC) Chittagong

2月 20日 金 CAAS Chittagong

Page 36: 経済産業省 国際即戦力育成インターンシップ事業 参加報告書 · われ、帰国後にも事後研修としての各インターンによるインターンシップ内容の報告会が

36

2月 21日 土 休日 Chittagong

2月 22日 日 休日 Chittagong

2月 23日 月 CWASA, CCC Chittagong

2月 24日 火 JETRO (Dhaka Office) Dhaka

2月 25日 水 移動

2月 26日 木 移動

付録 2: 事後研修の報告会で使用したビジネスモデルキャンバス

Page 37: 経済産業省 国際即戦力育成インターンシップ事業 参加報告書 · われ、帰国後にも事後研修としての各インターンによるインターンシップ内容の報告会が

37

付録 3: ダッカでの最終報告会で使用した資料

InternshipReportIns tu onalProblemof

InfrastructureDevelopment

Cha agramAOTSAlumniSociety(CAAS)Intern

ShinnosukeSawamura

Self-Introduc on

1.Self-Introduc on 2.WhatIlearned 3.Conclusion

(1)StudyBroadAreasofEngineering(Japan)

(2)InternshipatGovernmentOrganiza ons(Bangladesh)

Self-Introduc on

1.Self-Introduc on 2.WhatIlearned 3.Conclusion

(1)StudyBroadAreasofEngineering(Japan)

(2)InternshipatGovernmentOrganiza ons(Bangladesh)

3rdYearStudentofTokyoIns tuteofTechnologyDepartmentofInterna onalDevelopmentEngineering

• ChemicalEngineering• MechanicalEngineering• Informa onEngineering• CivilEngineering• ProjectManagement• DevelopmentEconomicsetc.

Self-Introduc on

1.Self-Introduc on 2.WhatIlearned 3.Conclusion

(1)StudyBroadAreasofEngineering(Japan)

(2)InternshipatGovernmentOrganiza ons(Bangladesh)

CityCorpora on

CDA

CWASA CPA

WhatIlearned

1.Self-Introduc on 2.WhatIlearned 3.Conclusion

ManyProblemsrelatedtoInfrastructure

• Slum• LackofWaterSupply• TrafficConges on• UnpavedRoad• LackofDisasterPreven on• WaterLogging• LackofElectricalPower• EnvironmentPollu on• ImproperDrainageSystem• LackofSolidWasteManagement• LackofSewerageSystem,etc.

CityCorpora on

CDA

CWASA

CPA

PDB

WDB

...

NGOs

RHD

PrivateSectors

Approach

Page 38: 経済産業省 国際即戦力育成インターンシップ事業 参加報告書 · われ、帰国後にも事後研修としての各インターンによるインターンシップ内容の報告会が

38

1.Self-Introduc on 2.WhatIlearned 3.Conclusion

• Slum• LackofWaterSupply• LackofSewerageSystem• LackofSolidWasteManagement• TrafficConges on• LackofDisasterPreven on• WaterLogging• LackofElectricalPower• EnvironmentPollu on• ImproperDrainageSystem• UnpavedRoad,etc.

ManyProblemsrelatedtoInfrastructure CityCorpora on

CDA

CWASA

CPA

PDB

WDB

...

Approach

NGOs

RHD OverlappingFunc ons&Li leCoordina on

PrivateSectors

WhatIlearned

1.Self-Introduc on 2.WhatIlearned 3.Conclusion

EX.WorkRelatedtoRoadsandTrafficintheCity

WhatIlearned

CityCorpora on

RHD

CDA

• MaintenanceWork• DevelopmentWork• RoadDiggingControlWork

• RoadDiggingWork

• PlanningWork• DevelopmentControlWork• DevelopmentWork

• MaintenanceWorkforHighways• DevelopmentWorkforHighways

CPA • DevelopmentWorkinsomecases

CWASA

CMP • TrafficControlWork

WDB

1.Self-Introduc on 2.WhatIlearned 3.Conclusion

EX.WorkRelatedtoRoadsandTrafficinCity

WhatIlearned

CityCorpora on

RHD

CDA

• MaintenanceWork• DevelopmentWork• RoadDiggingControlWork

• RoadDiggingWork

• PlanningWork• DevelopmentControlWork• DevelopmentWork

• MaintenanceWorkforHighways• DevelopmentWorkforHighways

CPA • DevelopmentWorkinsomecases

CWASA

CMP • TrafficControlWork

WDB

OverlappingFunc ons&Li leCoordina on

(NoRegularFormalMee ng)

1.Self-Introduc on 2.WhatIlearned 3.Conclusion

EX.WorkRelatedtoRoadsandTrafficinCity

WhatIlearned

CityCorpora on

RHD

CDA

• MaintenanceWork• DevelopmentWork• RoadDiggingControlWork

• RoadDiggingWork

• PlanningWork• DevelopmentControlWork• DevelopmentWork

• MaintenanceWorkforHighways• DevelopmentWorkforHighways

CPA • DevelopmentWorkinsomecases

CWASA

CMP • TrafficControlWork

WDB

Coordina onMee ng

1.Self-Introduc on 2.WhatIlearned 3.Conclusion

EX.WorkRelatedtoRoadsandTrafficinCity

WhatIlearned

CityCorpora on

RHD

CDA

• MaintenanceWork• DevelopmentWork• RoadDiggingControlWork

• RoadDiggingWork

• PlanningWork• DevelopmentControlWork• DevelopmentWork

• MaintenanceWorkforHighways• DevelopmentWorkforHighways

CPA • DevelopmentWorkinsomecases

CWASA

CMP • TrafficControlWork

WDB

Coordina onMee ng

FundamentalStructural/Ins tu onalRenova onincludingMerger&Dissolu onofTheseOrganiza ons

Conclusion

1.Self-Introduc on 2.WhatIlearned 3.Conclusion

PhysicalProblem

Ins tu onalProblem

Thereare…

CentralGovernment