53

臨

牀

實

験

猩紅熱異常例

東

京

市

立

駒

込

病

院

谷

島

森

壽

簸

弓

之

助

松

林

三

吉

(一)黄

疸

デ

件

ヒ

タ

ル

狸

紅

熱

三

例

狸紅

熱

登疹期

二指

塵

二依

り登

疹

ヲ裾色

セ

シ

ムルト

キ皮膚

ノ異

常

二黄

色

ヲ

呈

シ、尿

中

二一「ウ

ロビリ

ノーグ

ン」、「ウ

ロビ

リ

ン」等

謹

明

セラ

レ又

種

々

ノ肝

臓機能

槍査法

ニヨリ

ソ

ノ機

能障

碍

ヲ認

メラ

ル

・モ黄

疸

ヲ呈

ス

ル

ハ少

ク

又第

二病期

二

至

リテ黄疸

ヲ俘

フ

コト

モ少

ク

Schざ"

ハ偶然

三例

二経験

シ

Agan Rach

ハニ四

二四例

中七

例

二

Rosenwald

ハ二三

一

三例中

一八

例

二認

メ

シ

モ

SehloBｍann

ハ唯

一例

二認

メ

シ

ニ過

ギズ。

例

ヲ我國

ノ文獄

二求

ムル

モ甚

ダ稀

ニシテ間島

氏

ノ

一例

清川

氏

ノ家

族

二出

現

セ

シニ例

及

ビ佐藤

氏

ノ

一例

ヲ畢

グ得

ルノ

ミ。

余

ハ最近

登疹期

二出現

セ

ル黄疸

一例

及

ビ第

二病期

二出現

セ

シニ例

ヲ経

験

シタ

レバ鼓

二二経過

ノ大要

ヲ述

ベ

ント

ス。

症

例

第

闇例

三

一歳

女

家

族

歴

特

記

ス

ベ

キ

コ

トナ

シ。

既往症

生來盧弱ナリシモ特筆

スベキ疾病テ経過セズ妊娠二同、

早流産

ナシ。

谷島

・簾・松

林=猩紅熱異常

例

一

一九

五

54

谷

島

・簾

・松林

=猩紅熱異常

例

一

一九

六

現病歴

昭和八年十月六日突然

二悪寒テ以ッテ熱登

シ倦怠感

アリ

シカバ直

二就褥

セリ。口渇咽頭痛存

シ又強度

ノ嚥下痛テ伴

ヘリ。

後頭部痛

アリシモ四肢關節痛腰痛等

ハ訣如セリ。

尚登熱ト同時

二

嘔吐

一回アリシモ腹痛等

ハナク便通

一日二行軟便

ニシテ粘液等テ

混ゼズ。越

エテ十日胸部

二登疹ヲ認メ猩紅熱トシテ翌十

一日途院

セラレタリ。

入院當時ノ所見

榮養佳良、

禮格中等大皮下脂肪良ク叢蓬セリ。

眼瞼結膜雛革膜黄色ラ帯ブ

ルモ充血セズ。皮膚

ハ一般

二乾一燥シ胸部

腹部ラ始

メ全身

二粟粒大ノ嚢疹テ認メ指歴

ニョリ嚢疹禮色部ガ著

明

二黄色ラ帯ビルヲ認

メタリ、爾胸部

ニ貼牀ノ出血疹ヲ認

メシモ

落屑

ハ何塵

ニモ認

メヲレザ

リキ。

口膣所見

咽頭粘膜

一船皿二叢赤シ一扁桃腺

ハ雨側丘ハニ腫脹

セルモ白

雲ロラ認メズ。舌

ハ後部術白苔ヲ被

ルモ払剛部

ハ既

三覆盆子牀ヲ呈

シ

ロ園紬梢支黄色味テ帯ブ。

顎下腺雨側共

二碗豆大

二腫脹

スルモ駆痛ナカリキ。

心臓

濁音界稽

ど右方

一一鑛大

スルモ心音

ニハ攣化ナク、

肺臓

異牀ナシ。

腹部

肝臓肥大

シ右季肋部

ニテ肋骨弓下二横指

二鰯知

シ稽

ど硬ク

歴痛テ訴

フ。脾臓

ハ鰯知

シ得ズ。

下肢

脛骨稜

二浮腫ナク筋肉痛ナシ。腱反射

(膝蓋、「アヒレスし爾

反射)正常ナリキ。

尿

ノ所見

蛋白反慮陽性、

「ウロビリノーゲ

ン」反慮陽性

「グメリ

ンし反鷹強陽性、沈渣

二赤血球白血球膀胱上皮細胞等

テ認メシモ圓

堵

ハ鋏如セリ。

血液所見

中性嗜好白血球増多症、「エォジ

ン」嗜好細胞増加

ノ外

著攣

ノコトナシ。

経過

十月十

一日ハ第六病日)早朝静脈内

一二

%ノ「アゾ

ルビン」～四耗注

射シ十二指腸液中

二出現

セル時間テ計リシニ多少遅延セルラ認メ

タリ。

十月十七日(第十二病日)

肘部

二落屑ヲ認ム。

十月十八日(第十三病日)

黄疸梢

支減退シ始ム。

十月二十日(第十五病日)

腕部

二落屑ラ認

ム。

黄疸

ハ十月二十三日(第十八病日)二至リ完全

二清醒

シ肝臓

ハ十月

二十九日(第二十四病日)迄鯛知

シ得タリ。

十

一月二十

一日(第四十六病日)

落屑完了シ他

二病徴ナカリシ故

退院テ許可セリ。

第

二例

二十

一歳

男

家族歴銑往症

特筆スベキコトナシ。

現病歴

昭和九年

一月十六日突然頭痛咽頭痛テ以ツテ嚢熱

シ一二八

度

一分

二達

セリ。嘔吐腹痛、四肢關節痛腰痛等ナク亦便通

ニモ異

常

ナカリキ。翌十七日二至リ登疹ラ認メ十八日(第三病日)二猩紅

55

熱

トシテ入院

セリ。

當時ノ所見

骨儲中等大榮養皮膚乾燥シ全身

二登疹テ認

メタレド

モ皮下出血、俘腫等ラ認メザ

リキ。ルンベルレーデ氏礎五

現象陽性。

扁桃腺

ハ爾側共嚢赤腫脹

セルモ白苔ナク、舌

ハ白苔

テ被リ覆盆子

牀テ示サズ。著明ナルロ園蒼白テ認メタリ。

顎下腺

腫脹

セズ。

胸部腹部

ニハ異牀ナシ。

尿

ノ所見

蛋白陽性、「ウロビリノーゲ

ン」「ウロビリン」反慮陽性、

沈渣

ニハ特別

ノモノナシ。

経過

入院時禮温三八・九度テ示

セルモ漸次下降

シ第八病日

二至リ全ク

無熱トナル。

一月二十日(第五病日}

舌

ノ白苔トレ覆盆子牀ラ示

ス。

全身

二落屑始

マル。

一月三十日(第十五病日)

罷温突然三八・七度

二上昇

セルモ悪寒

ラ件

ハズ。口腔粘膜

一般

二嚢赤セシモ扁桃腺上

二白苔ラ認

メズ叉

嚥下痛

モナヵリキ。

一月三十

一日(第十六病日)

禮温稽く下降

セルモ爾三八・六度

テ

示

ス。

二月

一日及ビニ日(第十七、第十八病旦

膿温爾三七・五度及ビ三

七・二度テ示

ス。

二月三日(第十九病日)

無熱トナル。

二月四日(第二十

一病日)

突然悪心嘔吐現

ハレ食慾不振デ訴フ.

コノ頃ヨリ球結膜、皮膚

ノ梢ど黄色

ヲ帯ブ

ルテ認

メニ月七日(第二

十三病日)二至リ著明トナ

ル。腹部テ鰯診スルニ肝臓テ肋骨弓下

一

横指

二鰯

ル・モ歴痛ナシ。脾臓

ハ鰯知シ得ズ。

血由栴中

「ビ

リ

ルビ

ン」量租

支増加

シもイレングラバト氏

法ニテニ

八・五ヲ示セリ。

尿

「ヂァゾ」反慮陰性、「グメリン」反鷹陽性蛋白陰性。

尿色調

二攣化ラ見ズ。

二月十四日(第三十病旦

血清中「ビリルビン」量梢支減少

シモ氏

法

ニテ約二〇ナリキ。

肝臓

ハ術燭知シ得タルモ落屑殆

ンド完了シ、本人ノ切望アリ家庭

ノ情況ヂ考察シテ退院テ許可セリ。

第三例

二三歳

女

家族歴既往症

特述

スベキコトナシ。

現病歴

昭和九年六月十六日悪寒ラ以ツテ突然

二熱叢

シ頭痛咽頭

痛ラ俘

ヒシカバ直

二就牀池リ。當時四肢、關節痛嘔吐等アリ便通

ハ秘結

二傾ヶリ。

先ヅ頸部

二登疹テ認メ躯幹

二籏ガリ十九日猩紅

熱トシテ入院セリ。

當時

ノ所見

骨賂大

ニシテ榮養佳良ナル女予

ニシテ皮下脂肪

薫亦

良ク登達ス。顔貌

ハ正常

ニテ眼結膜

二充血黄疸等テ見ズ。

谷島

・簾・松林=猩紅熱異

常例

二

九七

56

谷島

・簾・松林=猩紅熱異常例

二

九八

舌

ハ乾

燥

シ覆

盆

子歌

テ

ナ

シ扁

桃腺

ハ腫

大

登赤

セ

ルモ白

苔

Pfropfテ

見

ズ

、

軟

ロ蓋

モ

一般

二登

赤

ス。

咽

頭痛

ナ

シ。

口園

蒼

白

著

明

ナ

リ。

淋

巴

腺

顎

下

腺

ハ爾

側獄

豆大

二腫脹

ス

ル

モ歴

痛

ナ

ク

頸

部

淋

巴

腺

ハ

腫

脹

セズ

。

心臓

肺

臓

ニハ異

常

ナ

ク腹部

二於

テ

モ肝

脾

共

ニフ

レズ

。

腱

反

射

正

常

全身

二粟

粒

大

ニシテ

指

駆

ニョ

リ

テ

腿

色

ス

ル畿

疹

テ

認

メ

シ

ュル

ツ

シ

ヤー

ルト

ン氏

反慮

陰

性

眉

ン

ペ

ル

レーデ

氏

反鷹

陽性

。

尿

酸

性

ニシテ蛋

白

反

慮

陰

性

、

「ウ

ロビ

リ

ノー

ゲ

ン一「ウ

ロビ

リ

ン」強

陽性。

尿

毒卵等

テ認メズ。

経過

第六病日後時

ニハ三七度三・四分ノ微熱ラ見タルモ大約李熱ナリ

キ。

六月二十五日(第十病日)

頸部上臆大腿

二落屑テ見

ル。

六月二十七日(第十二病日)

全身

二落屑

テ見ル。

七月九日(第二十四病日)

二三日來三七度代

ノ微熱

アリシモコノ

日

二至リ三七・八度

二上昇

シ右ノ肘關節、雨側ノ膝關節

二疹痛現

ハ

レタリ。直

二鉛糖水

ニテ漁布

セルニニ十七病日

二至リテ清失セ

リ。

七月十五日(第三十病日)

結膜梢

ど黄色ラ帯ビ來リ悪心噌灘等

ア

リ。

七月十九日(第三十四病日)

悪心嘔吐ラ登

シ皮膚瘍.痒感テ訴

フ、

尿

ハ灰白色

ニシテ寄生虫蛇卵テ認

メズ。

尿

多少澗濁

シ蛋白反慮「ズ

ルホサリチル」酸三

テ陽性、グ

メリン

氏反慮陽=性「ウロビリノーゲ

ン」「ウ

ロビリン」陰性。

血球算定

赤血球三九〇萬、血色素八〇%、白血球

一萬四〇〇。

七月二十三日(第三十八病日)

早朝十二指腸「ボ

ンプ」テ用ヒ十二

指腸内容ラ探取

セルニB膿汁訣如ス。粘液等ナシ。

七月二十四日(第三+九病日)

胃部

二歴痛

アリシモ嘔吐等

ナシ。

七月二十六日(第四十

一病日)

黄疸稽ど減退

セルモ尿ノ

「グメリ

ン」反鷹弱胆吻性。

七月二十八日(第四十三病日)

以後藪回反復検尿

セ

シ

モ蛋白反

慮

「グメリン」反慮何

レモ陰性ナリキ。

八月五日(第五十

一病日)

第二同膿汁囁取、以前訣如

セシB膿汁

ノ分泌テ認ム。

落屑完了シ咽頭

二於テ溶血性猩紅熱連鎖牀球菌

ヲ認

メザリシカバ

八月八日(第五十四病日)二退院テ許可セリ。

要

スル

ニ第

一例

ハ登疹ト同時

二、第

二例

ハ第三病週、第三例

ハ第四病週

二黄疸

ヲ登セル壬ノナジ。

総括及ビ結語

57

猩紅熱

ニ來

ル黄疸

ヲ便宜上登疹期

二來

ルモノト第

二病期

二起

ルモノトノニッニ分

チ

一、登疹期

ニ

ハ屡

ζ尿中

ニ「ウ

ロビリノーゲ

ン」「ウ

ロゼリ

ン」ガ讃明

セラ

レ更

二諸種

ノ機能槍査法(Vogt)ニ依リ肝臓

障碍認

メラル。Jochmam

ハ斯

ノ如

ク障碍

セラ

レタ

ル肝臓ガ多

クノ破壊

セラ

レタル赤血球ヲ完全

二庭理

スルコト能

ハズ

シテ起

ルモノナリトナ

シ、Schottmuller

ハ猩紅熱第

一、

二、三週

ニ來

ル黄疸

ハ連鎖朕球菌ガ直接

二肝臓實質内

二移行

スルモノ

ニアラズ

シテ「ロイ

マトイド」腎炎ト同

ジク猩紅熱

二特有ナ

ル毒素

二依

リテ起

ルモノナリトイフ。何

レニセヨ猩紅熱毒

二依リテ

一面肝臓機能障碍

セラ

レ他面赤血球盛

二破壊

セラ

レ病的

ノ肝臓克

ク之ヲ虚理

シ得ズ

シテ

起

川モノナルベ

シ。

二、第

二病期

二現

ハル

・黄疸

ノ成因

ト

シテ

Rolly

ハ

(1)一種

ノ(カタルL一性黄一疸

(十二指腸「カタル」、

「カタル」性臨膿道炎)ニシテニ一二日

ニシテ漕旧失

スルモノト

(2)一般内

臓器官

ノ脂肪攣性ト急性黄色肝萎縮

ヲ伜

フ黄疸ト

ニ分

チ、EgonRach

モニ四二四例中七例

二著明ノ

黄疸

ヲ

認

メシ

モ登生

ノ少キ黙、發生期ガ猩紅熱経過

ト

一定

ノ關係

ヲ有

セザ

ル黙

ヨリ「ヵタ

ル」性黄疸

ノ合併

セルモノト云

ヘヲ。

然

ルニ

SchloBmam

ハ第

二病期

二出現

スル黄疸

ハ肝門淋巴腺腫脹

二起因

セル醗血性黄疸ナリトナ

シ

Jochmam

ハ

解剖

ニヨリ腫脹

セル肝門淋巴腺ガ歎

個集

マリテ輸謄管

ヲ厘追

シテ謄嚢水腫

ノ原因トナ

レルヲ経験

セリ。

要

スル

ニ第二病期

二出現

スル黄疸

ハ前述

セル猩紅熱特有

ノ毒素

二基因セルモノ第

二病期

ト關聯

セル肝門淋巴腺腫脹

ニヨル雛血性黄疸或

ハ猩紅熱

ト全然關係

ナキ偶然併登セル「カタ

ル」性黄疸

ノ何

ソカ

ニ薦

スペキ

モノナラ

ン。間島氏

モ氏

ノ経験

セル患者

ノ十

二指腸内容液透明

ニシテ粘液

ヲ訣

キ槍鏡

上血球ヲ見ズ黄疸出現當初B膿汁歓如

シ黄疸消失

後B膿汁ヲ得タ

ル黙更

二患者

ノ黄疸ト同時

二諸所

ノ淋巴腺

ノ腫脹

セル黙

ヨリ推

シテ氏

ノ経験

セル黄疸

ハ肝門淋巴腺

腫脹

二基

クニ次的

二起

レル軽血性黄疸ナリト結論

セリ。

之

レニ反

シテ清川氏

ハ猩紅熱連鎖朕球菌

ノ毒素ノタメ或

ハ菌自身ガ血行中

二入リ

シ結果溶血

ヲ起

シ途

二黄疸ヲ起

シ

谷島・簸・松林

聾猩紅熱異常例

一一九九

58

谷島

・箙

・松林

=猩紅熱異常例

一二〇〇

一方毒素或

ハ菌ガ肝臓

ニ作用

シ所謂

dynamischer Icterusヲ惹起

セルモノナリトイフ。

以上

ノ

コトヨり余

ノ経験

セル第

一例

ハ

アゾ

ルゼ

ン」S試用

ニヨり肝臓機能障碍ヲ認

メタ

レバ

Jochmann所説ノ多數

ニ破壊

セラ

レタ

ル赤血球ヲ機能障碍ヲ惹起

セル肝臓

ノ充分

ニ處理

シ得

ズ

シテ生ぜ

ル黄疸

ニ

一致セルモノト見得

ベク

第三例

ニ於

テ

ハ肝臓腫大淋巴腺腫脹

ヲ證明

シ十

二指腸内容叫中粘液肱献如「シ黄疸

ノ出現セシトキ十二指腸内容竿甲B膿汁

歓如

シ黄疸

ノ消失

スルヤB膿汁

ヲ認

メタル黙

ヨリ

シテ所謂肝門淋巴腺腫脹

ニ基

ク雛滞性黄疸

ト認

メテ可ナ

ルベシ。

第

二例

ニ就

テ

ハ検索不充分

ニシテソノ何

レニ属

スベキヤヲ論

ジ難

シ。

容

島記)

(二

)狸

紅

熱

再

感

染

三

例

(内第

一第

二例

ハ第

百五十六同

内科集談會所演

ノモノ)

猩

紅

熱

罹

患

後

ノ見

疫

性

ハ確實

、

恒

久的

ノ

モノ

ナ

レド

モ時

二例外

的

二再

度

感

染

テ見

ル

モノ

ァ

リ、甚

シキ

ニ至

ツ

テ

ハ七

度

感

染

セ

ル報

告

例

ス

ラ

ア

ル程

ナ

リ。

之

ラ泰

西

ノ文

獻

ニ見

ル

ニワ

イ

セソ

ベ

ク

ヒピプ

ラ

引

ス

リ

ッ

ヒ、

ゾ

ンター

グ

、

ヤ

コブ

ソ

ン、

ト

ー

マス、

ケ

レ

ハー

、

バー

ト

ン、

バ

ルメ

イ

ン、

シ

ュレーゲル

、ク

ラ

イ

荊ン

ン

ミ

ット,等

ソ

ノ例

ラ報

ジ

、就

中

、

ケ

レ

ハー

ハ同

一患

者

ガ

五度

、

シ

ュレー

ゲ

ル

ハ七

度

狸

紅

熱

二一罹

患

セ

ル

コト

ラ

記

載

セ

リ。

然

ラバ

コ

ノ再

感

染

ハ如

何

ニシ

テ起

ルヤ

ソ

ノ理由

ト

シテ

フ

チ

ィー

、矛

ル及

ビ

ナ

ダー

ル

ハ狸

紅熱

経

過

後

他

ノ急

性

傳

染

病

(肺

炎急

性

多

發

性

關

節

炎及

ビ外

科

的

化

膿

疾

患

)二罹

患

シテ

ソ

ノ発

疫

性

テ清

失

ス

ル

ニ由

ルト

シ、

叉

シ

ッ

ク

モ同様

、

重

篤

ナ

ル傳

染

病

叉

ハ抵抗

カ

テ激減

スル外因ノ影響テ受

ケテ再感染

モ可能ナリト説ケリ。刈昌

沼及ビベ

クククン

ハ彼等ノ支持

スル溶血性連鎖状菌説ヨリシテ、狸紅熱

ノ

再發叉

ハ再感染

ハ患者

ノ菌毒素

ニ封

スル晃疫發生度

ニヨルモノナリ鄙チ、ソノ度弱キモノニ於イテハ菌ガ患者自身

ノ體内

ニ漕在シテ自

家感染テ見ルカ、又

ハ他

ノ患者ヨリ同型叉ハ異型ノ感染テ見

ルモノニシテ再感染

ハ一般

ニ他ノ患者ヨリノ相互感染多

シト。而シテ第二

次感染ノ臨牀的経過

ハ一般

ニ第

一次感染

ニ比シ輕症

ニ経過

スルテ例トス。

吾邦

ニ於テ狸紅熱

ハ明治初年中年

ニ亙リテハ稀

ナル疾病トセラレタリシモ年テ経

ルニ從ッテ漸

クソノ數ヲ増シ殊

ニ近時著

シク

増加ノ

59

傾向ヲ示シツ

・アリ而シテ再感染例

ノ報告

ハ僅ヵ中山、近藤外二氏、俣野、青木等ノ數例

ニ過ギザルモ前述

ノ如ク近時猩紅熱患者發生

數

ハ加速度的増加ラ示

シ叉重篤悪性實

二恐

ルベキモノモァリテ再感染等

ノ發生モ或

ハ績出ナキヲ保

シ難

シ。患者等

ハ最近本院

ニ於イテ

猩紅熱再感染三例テ見

ルニ及ビ特

ニソノ感ラ深クスルモノナレバ弦

ニソノ症例テ簡單

ニ報告

シオカントス。

症

例

第

一例

患者

某

十歳男子

家族歴及ビ既往症

特記スベキモノナシ。

猩紅熱第

一同發病

ハ昭和八年十月二十日突然發熱體温上昇

シテ三

十九度

ニナリタルタメ牀

二就

ク。

翌二十

一日體温依然下降

セズ全

身

二紅色

テ帯ビタル發痺テ發見

シテ署師ノ診察テ受ケ猩紅熱ト診

定。二十二日駒込病院大久保分室

二入院

ス。

入院當時

ノ現症、體格中等度榮養佳良體温三十九度八分脈搏百三

十至全身

ニハ紅潮

セル發疹

アリ。

ソノ發疹

ハ毛根

一二

致シ、數多

密生セリ。口園蒼白テ認ム。舌苔テ衣

シ舌端僅カニ覆盆子状ナ

ル

テ見

ル。

」アンギーナーL著明義膜

ナシ。二十四日體温下降シ始メ

發疹清散ス。二十八日

二至リ腹部

二膜様落屑テ認

ム。

三十日胸部

轡部落屑

シ始ム。十

一月八日手足

二落屑テ認

ム。

十

一月二十五日

退院。

第二同感染

ハ昭和九年十月七日

ニシテ同日頭痛,熱感

アリ、嘔吐

一

同、咽頭

ニ疹痛テ訴フ。翌八日上見症状ノ外

二紅色

ノ發疹テ全身

ニ認

メ再ビ猩紅熱ト診定サ

レ九日大久保分室

二牧容

セラル。

入院當時

ノ現症

體温三十七度五分脈搏九六、顔面テ除ク全身

ハ

紅潮セル發疹

二覆

ハレ特

ニ頸部大腿内側

ニ紅潮

ノ度著

シ。發疹

ハ

粟粒大ノ密生セル紅色

ノ小斑

ヨリナル。舌

ハ發赤

シテ覆盆子状

テ

呈

シ「アンギーナー」アリ。灰白色

ノ穎粒

テ附著ス。

十

一日體温正

常

一一復

シ頸部胸腹部大腿

一一膜様落屑ヲ認

ム。十八日轡部背部よ膊

部落屑

シ始

ム。

二+三旦剛搏手掌

二落屑ラ認

メ+

一月+八日全

治退院。

第二例

患者

某

三十二歳女子

家族歴トシテ認

ムベキハソノ息女(八歳)ガ患者

ヨリ少

クモ十二時

間以前

二猩紅熱

二罹患シ昭和九年十月四日

二當病院

二牧容

セラレ

シコト

ニシテ本例

ハ從ツテ家族感染

ノ一例ナリ。

既往症及ビ現病歴

二歳ノ時「ヂフテリー」二罹リ四歳ゴ腦膜炎

テ

患

フ。七歳

ニシテ麻疹テ経過シニ十六歳

ノ頃肺炎加答見

ニカ

・リ、

二十八歳ノ時腸「チフス」ラ経過セリ。十

一歳ノトキ即チ大正二年

猩紅熱

二罹患東京市内ノ某私立病院

入院重篤

ニシテ、ニケ月後

ニ退院

セリ。啓田時

ノ状況テ患者ノ記憶テ蘇

シメテ談

ル所

ニヨレバ、

罹患當初高熱アリ咽頭痛激甚

ニシテ殆ド全身

二分布

セル紅色

ノ發

疹ヲ見タリキ。ソノ後全身

ニ亙リテ皮膚

二落屑アリ、

ソノ度

モ著

谷島・箙

・松林=猩

紅熱異

常例

一二

〇

一

60

谷島

・箙

・松林

=猩紅熱異常例

一二〇

二

明ナリキ。腎炎頸腺腫脹

ハ記憶

セズ。

以上患者

ハ虚弱

ニシテ幾多諸種

ノ疾病テ経過

シ種々ノ治療ラ施サ

レタルニ藥剤

二封

シテ特異性

テ現

ハシタルコト

未グ嘗テナカリ

キ。從

ツテ患者

ノ記惜勘セル節園

ニ於イテハ藥疹ハ一度

モ経一駿セズ

ト云フ。

猩紅熱第二同感染

昭和九年十月

一日發熱三十九度アリ手足

二疹

痛テ豊

工下痢アリ。下痢

ハ水様便

ニシテ數同

ニシテ止

ム。同時

二

悪心アリ數回嘔吐テ催

ス、タ

ニ至リテ咽頭痛ソノ度

テ加フ。二日

午前依然高熱テ綾ケ嘔吐

一同術手足

ニ疹痛アリ。食慾不良

ニシテ

睡眠妨グラル。三日手

ニ紅色

ノ發疹テ認

ム。四日該發疹

ハ全身

二

波及シ猩紅熱

卜診定駒込病院

二牧容

セラル。爾發病

ヨリ入院時

マ

デ體温上昇、激烈ナル咽頭痛手足ノ疹痛去ラズ。

入院當時7現症

體格強健榮養佳良顔貌苦悶牀ヂ呈

シ體温三十八

度八分脈搏百二十至。全身

紅潮

セル發疹

二覆

ハレ發疹

ハ小サキ粟

粒大ノ密集

セル紅キ小斑

ニシテ毛根

二二

致シテ生ジ腋窩部大腿ノ

内側ハ紅潮度著シク稽ミ紫色

テ帯ブ。口園

ハ蒼白

ニシテ舌

ハ白色

。ノ厚

キ苔ラ衣シ舌端

ハ著明ナル覆盆子状テ呈ス。扁桃腺左右共

二

發赤腫脹殊

二右側扁桃腺腫脹著明

ニシテ鳩卵大

二及ビソノ表面

二

黄色ノ義膜所々二附著

入。懸墾垂前口蓋弓

ハ同時

二發赤腫脹

シ軟

口蓋

ト明カニ匿別サル。爾側ノ顎下腺及頸腺

ハ腫脹

シ墜痛アリ。

咽頭痛術激甚燕下困難ナリ。

扁桃腺

ノ表面

ヨリ多數ノ溶血性連鎖状球菌

テ證明シ得。

叉傳研ノ

猩紅熱用血清テ以テ、シュルツシャールトン氏現象

テ行

フ

ニ陽

性。尿

ハ少量ノ蛋白テ認メ沈渣

ハ腎上皮、穎粒状圓柱、白血球少

數ラ認

ム。十日

二發疹消退、十三日義膜減少、十五日咽頭痛和グ。

同時

二腕關節

二疹痛テ訴

フ。體温最高三十九度

ニシテ十七日

二至

リ正常

二下降、十八日

二至リ頸部大腿内側

二膜歌落屑テ認

メ、二

十日全身落屑

シ始

ム、十

一月十日全治退院。

第三例

患者

某

七歳男子

家族歴及ビ既往症

特記

スベキモノナシ。三歳

ノトキ麻疹テ経過

ス、猩紅熱第

一回發病

ハ昭和七年三月二十四日突然體温

ハ三十九

度

ニ上昇

シ咽頭痛アリタルモ悪心嘔吐ナシ。翌二十五日發疹

テ認

メ醤師テ訪

ヒテ猩紅熱ト診定、二十七日駒込病院

ニ入院。

入院當初

ノ現症

體格及ビ榮養中等度體温三十八度脈搏百至

テ算

シ呼吸數十八。舌、白苔テ衣

シ舌端覆盆子状テ呈シ咽頭粘膜發赤

扁桃腺左右共

ニ栂指頭大

ニ發赤腫脹シ咽頭痛テ訴

フ。全身皮膚

ハ

紅潮セル發疹

ニ蔽

ハレ毛根

ニ一致

シテ密生

ス。

口園蒼白テ證ス。

胸腹部諸内臓器官著變テ認

メズ。悪心テ訴フ、尿所見蛋白陰性。

経過

二十八日發疹倫存

ス、二十九日發疹消退、三十

一日

二轡部

二落屑

テ認ム。尿中蛋白僅微、四月三日全身

ニ落屑ラ認

ム。

四日

尿蛋白陰性、五月四日發病後四十二日

ニシテ全治退院。

第二回發病

昭和十年

一月

一月,熱發、同時

ニ水様

ノ下痢

アリ。

61

發疹全身

ニァリ。再ビ猩紅熱

ト診定サレ一月十日本院

二入院。

入院當初ノ現症トシテ體温

三七・六度脈搏八二至、呼吸二十、全身

發疹ナシ。舌

ハ覆盆子状テ呈シ、扁桃腺左右共

二腫脹發赤

ソノ表

面

ニ白色ノ顆粒

ヲ附著

ス。

咽頭痛

ノタメ嚥下困難ナリ。

十二日下

熱讐部及ビ左眼雨側膜状落屑テ認

ム。

十四日上肢

二落屑アリ、十

八日咽頭症状全ク滑失、二十日全身

ニ落居

テ認ム。

二月十

百

全

治退院。術

コノ患者

ハ家族感染

ノ一例

ニシテ家族ノ

一人ガ同時

ニ

猩紅熱トシテ入院定型的ノ發疹、咽頭症状落屑テ以テ経験セリ。

以上第

一例第

一同感染

ハ發熱發疹覆盆子舌」アンギーナー」落屑

ヨリシテ明

二猩紅熱

ニシテ、第二同

ニォイテモ嘔吐發熱覆盆子舌、發

疹落屑

ニョリ猩紅熱テ疑フ

ノ絵地ナシ。

第二例

ニ於イテモ、第

一同感染

ハ發熱發疹咽頭痛及ビ落屑

ニョリ又患者

ニ藥剤

ニ封スル特異性ナカリシコトヨリ

猩紅熱

ニ信テ置クベ

ク第二同感染

ニ至リテハ定型的ノ猩紅熱

ニシテ、反復叙述ノ要ナシ。

第三例第

一同

ハ同檬發熱定

型的ノ發疹覆盆子舌、咽頭症状膜状落屑

ヨリ、第二同感染

ハ入院後發疹テ見ザリシモ、發熱覆盆子舌、」ア

ンギーナーし落屑、家族ノ一人

二猩紅熱

ノ定型的ノモノテ見タルコトテ考察

シテ猩紅熱ナルコトテ察

シウベシ。

由

來、

吾邦

ニ於

イ

テ猩紅

熱再

戚

染

ノ報告

例

ハ明治初

年

ヨリ六

十絵年

間近

々四例

二過

ギズ。

而

モ昨年報

ぜラ

レシ青

木

ノ

一例

ヲ除

ケ

バ三例

ノ

ミ。然

ル

ニ昨年

ヨり四例

ノ再

戚染

例

(青

木

一例

ヲ含

ム)ヲ出

シタ

ル

コト

ハ大

ニ注目

ス

ベキ事

項

ナ

ル

ベ

シ。

本院

二於

テ昨

年

二月

ヨり今

年

二月

マデ

ニ牧

容

セラ

レタ

ル猩紅

熱患

者

ハ大約

一千七

百名

(大

久

保分室

ヲ含

ム)ニシテ再

發患

者

ハソ

ノ〇

・一八%

ニアタり、

欧

米

ニオ

イテ最

近報

ぜ

ラ

レタ

ルクライ

ン

シ

ュミ

ット

ノ〇.三%

(千

例

中

三

例)二近

シ。

今茲

ニコノ三

例

ニ就

キテ

爾観察

ス

ル

ニ、第

一同威染

ヨリ再

戚染ニ

至

ル期間

ハ第

一例満

一ヶ年

、第三

例

ハ約

二十年

、第

三

例

ハニ年八

ケ月

ニシテ文獻

ニ徴

ス

レバ再

發

ハ三年

乃至六年

間

ニ最

モ多

シ。臨

牀経

過

ハ第

一例、第

三例

ハ第

一同第

二

同戚染

共

*輕症

二経

過

セ

ル

ニ反

シ、第

二例

ハ第

一回第

二同共

二重篤

ナ

リ

シ

コト

ハ興味

ア

ル黙

ナり。而

モ第

二例

ニ於

イ

テ

ハ第

一同戚染

前

後

ニ於

イ

テ諸

種

ノ傳

染病

ニ耐

ヘタ

ルヲ見

テ、

フチィ鎖

刻

ク、

ナダ

ル及

ビ

シ

ックノ意

見

二賛

意

ヲ表

スル

モノナ

り。

又第

二例

第

三例

ハ共

二家族

戚染

例

ニシテ、

凡

ソ再

戚

染

者ナ

ル

モノ

ハ猩紅

熱戚染

ノ素

質

ヲ多分

二有

シ

谷島・箙

・松林

=猩紅熱異常例

一二〇

三

62

谷島

・箙

・松林

=猩紅熱異

常例

一二〇

四

而

モ該免疫性

ノ暫定的ナ

ルノ感ヲ懐

カシム。

(箙記)

(三

)出

血

性

猩

紅

熱

一例

猩紅熱

患

者

ノ皮

膚及粘

膜

ガ出血

シ易

キ傾向

ヲ有

スル

コト

ハ周

知

ノ事

實

ニシテ、

カ

ノ

ルムペ

ル

レー

デ氏

現象

ハ明

ニ此

ノ事

實

ヲ證

明

スルモノ

ナ

り。

併

シ吾

々ガ

日常

経験

ス

ル猩紅

熱

ニ於

テ

ハ發疹

ノ著

明

ナ

ル時期

二

一過

性

ノ黙牀

出血

ヲ認

ムル

コト

ア

ルモ、

コレガ

タ

メ

患者

ノ豫後

ヲ不

良

ナ

ラ

シ

ムル程

ノ

モノ

ニアラズ、

然

ル

ニ所謂

出血性

猩紅

熱

(Hamorrhggischer Scharhch)ニ於

テ

ハ出

血

ガ單

ニ皮

膚

及粘膜

ニ限

局

セズ

シテ内

臓

諸器官

ヨリ

モ出血

シ病勢

ヲ甚

シク悪

化

セ

シムル

コト

ア

ル

ハ文獄

ニ散

見

スル

ト

コロナり、

而

シテ斯

力

ル症例

ハ多數

ノ猩紅熱

患

者

ヲ牧容

スル本院

ニ於

テ

モ遭

遇

スル

コト稀

ニシテ、

僅

カ

ニ富

士氏

ノ報

告

セ

ル數

例

ア

ル

ニ過

ギズ。

然

レド

モ

泰

西

ニテ

ハ

Steveeson,

Rolleston,Mc.Cririck

氏等

ニ

ョり

猩紅

熱経

過中

二

發生

セ

ル急

奔性紫

斑病

(purpma fulmmes)ト

シテ報

告

セラ

レ、就

中

Mc Connell,

Harry,W

eaver

氏等

ハ過去

二十

年

間

ノ出血

熱

性猩紅

熱

五十

例

ヲ蒐

メ其

ノ發生

輻機

ニ論及

セり。

又

Meyer,Hutinell Rollym,

Schlossmann, Jochmnn

氏等

ハ何

レモ出血

性

猩紅

熱

ノ豫

後極

メテ不良

ナ

ルヲ警告

セり。

本邦

二於

ケ

ル報告

ハ甚

勘

ク上述

セル富

士氏

ノ他

ニ田中、

佐竹

氏

ノ記載

ア

ル

ニ通

ギズ。

吾

々

ハ最

近皮膚

及粘

膜

ヨリ

ノ

ミナ

ラズ下

血、

吐血、血

尿等

、

殆

ンド全身

ヨり出血

シ

一時

ハ危

篤朕態

ニ陥

り

シガ、幸

ニシテ全快

セ

シ猩紅

熱

患

見

ヲ観察

セ

ルヲ以

テ弦

ニ報

告

スル次第

ナ

り。

症

例

既往症

患者

ハ

四歳

ノ男見

ニシテ遺傳關係

ニ就

キ特記ス

ベキコトナク又直系及傍系血族

ニ於テ出血性素因テ有

スル者ナシ。

出産ハ正常

ニシテ此ノ際著シキ出血ナク、母乳

ニヨッテ發育

シ、

離乳後

モ極メテ健全

ニシテ著患

テ知ラズ。

初期種痘

ハ善感

シ未ダ

63

麻疹ヲ経過

セズ。又歯齪、

鼻孔粘膜或

ハ創傷ヨリ出血シテ止血

二

苦

シミ記憶ナシト。

現症

本患者

ハ昭和九年四月

一日、夕刻ヨリ氣カナク、頭痛倦怠、

熱感ヲ訴

へ帯甲夜ハ罷濫三一九

・三・度アリシガ嘔氣、悪寒、咽喉痛㎜ナク

輕度

ノ腹痛ヲ訴

ヘシニヨリ「グリセリン」灌腸ヲ行

ハントシタル際

既

二陰股部

二禰蔓性ノ登疹

ヲ登見セリ。

翌朝直チ

ニ医師ヲ訪ネ狸紅熱トシテ本院

二送ラレタリ。

當時ノ所見

ハ嚢育良好榮養佳良ナル男見

ニシテ、罷温三九・一度、

脈搏九八至、緊張良、整調

ナリ。

顔貌

八正常ナレドモ頬部

ノ著

シキ嚢赤

二封比

シテ著明ナ

ルロ園蒼

白及全身

二看

ル汎登性登疹

ハ一見狸紅熱

ヲ想

ハシムルニ充分ナリ

キ。初診時

二「ペテヒェン」ヲ登見

セザ

レドモルムペル、

レーデ氏

現象ハ陽牲ナリ。

雨眼

ハ其

ノ眼球及眼瞼結膜ガ

充血

セル他

二異常ナク、舌

ハ覆盆

子状

ニシテ左右爾側扁桃腺

ハ揖指頭大

二嚢赤腫脹シ其ノ上

二「プ

ロツプ」黙在

シテ濾胞性「ア

ンギーナ」ノ像

ヲ呈

セリ。

肺音

ハ正常、心音

ハ第二肺

動脈音ガ充進セル他

二特記

スベキコト

ナク、肝、脾、腎臓

ハ鯛知

シ得ズ.

下腹部

二多少墜痛ヲ訴

ヘシガ

腸索條

ハ鯛知スルコト能

ハザリキ。

其ノ他知覧異常、蓮動障碍

及浮腫ナシ。

略

と同様ナル状態

ハニ日間縫績

シ四月五日(病日第五日)ニハ登疹

ハ殆

ンド罷色

セシガ依然

トシテ腹痛ヲ訴

へ療痒甚シク盛痕

二滑ヒ

テ葬麻疹様

ノ登疹出浸セリ。

然ルニ翌四月六日

(病日第六日)早期突然關温三六・五度

二降下

シ

肱搏頻数

(九二至ニ

シテ緊張ヲ減ジ嘔氣

二次イデ

瑚緋残渣檬物ヲ

数同嘔吐

シ腹痛烈シク、盛

ンニ裏急後重ヲ訴

ヘテ血液ヲ混ゼル水

様便ヲ排泄

スル様

ハ恰

モ赤痢患者ヲ見

ルニ似タリ。

書頃、

一時小康ヲ得タレドモ同日夕刻凝血約二〇〇琵ヲ排便

シ脈

搏九四至、緊張頗

ル微弱辛

ジテ鯛知スルニ過ギズ。顔貌

ハ苦悶状

ニシ

テ蒼白

、眼

窩

深

ク陥

浸

シロ屑

二「チ

ア

ー

ぜ」ヲ認

メ冷

汗

ヲ

流

シ病勢

刻

々

二悪

化

セリ。

肺

音鋭

強

シ、

心

音

ハ基

底

部

二貧

血

性

雑

音

ヲ蕪

取

セ

リ。

腹

部

ハ寧

ロ陥

浸

シ、

至

ル所

二駆

痛

ヲ訴

ヘシガ腹

鳴

鼓

腸

及

腸

索

條

ヲ

鯛

レズ

、'下

肢

ニハ輕

度

ノ浮

腫

ア

ル他

二膝

蓋

及

「ア

ヒ

レス」腱

反

射

二

異常

ナ

カリ

キ。

當

日

ノ尿

、ビー

ル」様

二著

色

シ絹

と潮

濁

セリ弱

酸

性

ニシ

テ

蛋

白

反

鷹

ハ煮

沸

及

「ズ

ルフ

ォサ

リ

チ

ル」酸

試

験

共

二陽性

ニシテ

沈

渣

ヲ鏡

検

ス

レバ無

数

ノ赤

血

球

密集

シ他

二白

血

球

、

上皮

細

胞、

圓

壕

ヲ見

ズ。

エスバ捌イ

氏

法

ニヨリ蛋

白

ヲ定

量

セ

ル

一二

・〇%

、数

厨

濾

過

セ

ル尿

二就

テ

ハ殆

ンド沈

澱

ヲ

生

ぜザ

リ

キ。

「ウ

ロビ

リ

ン」及

「ウ

ロビ

リ

ノー

ゲ

ン」反

慮

ハ

陽

性

ナ

レド

其

ノ他

「ニ

ー

ラ

ンデ

ル」試

験

、

「ヂ

ァツォ」反癒

、

「グ

メリ

ン」反

脳、

「イ

ンヂ

カ

谷島

・箙

・松林

=猩紅

熱異常例

一二〇

五

64

谷島・箙・松林

=猩紅熱異常例

一二〇

六

ン」試験何レモ陰性ナリキ。

糞便

ハ水様ナレド粘液脳

汁ナク、

暗赤色

ヲ呈

シテ凝血

ヲ混ジ、

「グ

ァヤーク」及「ベンチヂ

ン」潜血反慮

ハ勿論著明ナリキ。

翌四月七日、

一般状態梢

と恢復

シタレドモ殆

ンド

全身

(顔頭ヲ除

ク)殊

二四肢

ノ皮膚

二小ナ

ルハ粟大、粒

ヨリ大ナ

ルハ米粒大

二隆起

シタル鮮紅色乃至暗赤色

ノ指厘

ニョリテ褐色セザ

ル出血斑

ノ生ゼ

ルチ登見

セリ。殊

二注意

スベキハロ腔、鼻腔,歯齪粘膜

ヨリ出血

シ恰

モ紫斑病ノ如シ、然

レドモ關節及筋肉痛ナク脾腫、肝腫ヲ謹

明

スルコト能

ハザリキ。

當日ノ血液像及細菌、血清

學的検査

ノ結果

ハ次ノ如シ。

血液像

「ヘモグ

ロビンし

六〇(ザーリー氏法

、二縁

ル)

赤血球数

三七七萬

白血球数

三ー六〇〇

白血球百分率

中性多核白血球

六八・〇%

桿状核白血球

二・七%

「エオジン」嗜好細胞

一・三%

盤基嗜好細胞

〇・%

大輩核細胞及移行型

六・〇%

稿ヲ終ルニ臨ミ院長高木敏授ノ御枚閲ヲ深謝ス。

淋巴球

二二・〇%

血小板数

一五八七〇〇

血液二蝿ヲ「アガー

ル」平板

二培養

セシガ細菌ヲ謹明セズ、

ヴィダ

ル氏反慮

ハ「チフス」「パラチフスA及B」菌

二何

レモ陰性ナリ。糞

便ノ細菌検査

ハ数同行

ハレタレド途

二赤痢其他

ノ病原菌

ヲ謹明ス

ルコト能

ハザリキ。

其ノ後

一度降下セシ禮温

ハ次第

二上昇

シ一二七・五度乃至三八・五度

ノ間

ヲ往來シ、脈搏

モ緊張ヲ候復シ四月十日頃

ヨリ頬部鼻尖腋窩

四肢

ノ順

二落屑

シ、叉前後

シテ生ぜル出血斑

ハ鮮紅色

ヨリ暗褐色

二攣ジ.アルモノハ色素沈著

ヲ残

シテ清失

シ、アルモノハ痂皮

二被

レタリシガ、同月十三日ニハ全身

二散在

セシ出血斑

ハ全ク其

ノ影

ヲ没セリ、患者ノ

一般状態

ハ日噌

二帳復

シ尿申

ニハ蛋白及赤血球

ナク叉四月十六日マデ陽性ナリシ糞便中

ノ「ベンチヂ

ン」漕血反慮

ハ以後全ク陰性トナリタルヲ以テ四月二十五日退院

セシメタリ。予

(松林記)

文

獻

狸紅熱黄疸ニ關スルモノ

1) Rosenwold, 猩紅熱ニ於クル後黄疸. Zeitschrift f. K. H. K. Bd. 52 Heft 2. 2) Schlofmann, Handbuch der Kinderheilkunde Ite Aufl

age

.

3) 清

川安武, 黄疸ヲ來セル猩紅熱例. 見科雑誌. 376. 4) 間島英夫, 猩紅熱黄疸ノ成因ニ關シテ. 實験消化器病學. 第2巻. 第9號, 5) 佐藤

静

馬

,

黄

疸

ヲ伴ヘル猩紅熱ノ一例.日本傳染病學会雑誌, 第7巻. 第8號. 6) Friedrich, Roily, Handbuch der Inneren Medizin Infektionskran

kheiten

65

1. Ite Auflage. Scharlach. 7) Schottmisller, 狸紅熱合併症トジテノ肝臓炎膽嚢炎. Klinische Wochenschrft Jahrgung 10. Nr. 1.(1931

).

8)

Harro Vogt, Uber den ablauf von Leberfunktionsstorungen bei Infektionskrankheiten Zeitschr. f. Kl. Mediz. 122. Band 1/2 H

eft.

9)

Jochmann, Lahrbuch der Infektionskrankhei

ten 1914.

狸

紅

熱

再

感

染

ニ關

スル

モノ

1) Phaundler und Schlossmann. Hanab. d. Kinderheilk. Bd. II. Aufl. III. 2) Mohr und Staehelin, Handb. d. inneren. Med. Bd. I II

Teil

Aufl. II. 3) A. H. G. Burton and A. R. Balmain, Lancet Vol. CC XIV No.5165 1928.) 4) Hutinel u. Nadal, zit. nach Kongre13-Zentral

bl

.

f. d. ges. Med. u, ihre grenzgeb. 1922 Bd. 21, H. 3. 5) 中山正巳, 實験医報大正7年. 第5年. 第51號. 6) 俣野純夫,「テラピー

」. 昭

和

4

年

. 第

6

年. 第3號. 7) 近藤, 吉田, 安積, 日本傅染病學会雑誌. 昭和3年. 第2巻. 第2號. 8) 青木二郎, 日本傳染病學會雑誌

. 昭

和

9年

.

8

月

. 第

8巻

. 第11

號

.

狸

紅

熱

ノ

出

血

性

ニ關

ス

ル

モ

ノ

1) M

c. Connell, Jour. Amer. Ass. Vol. LXX VIII. 2) Victor, Hutinell, Ergeb. f. ges. Med. Bd. 13. 1914. 3) Meyer, Ergeb. f. inn

. M

ed.

u. K

inderheilk. 4) Mohr u. Staehelin, Handb. d. inn med. Bd. 1. II Teil Aufl. H. 5) Pfaundler u. Schlossann, Handb. d. Kind

erheilk.

Bd. II Aufl. III. 6) Jochmann, Lehrb. d. Inf. Krht. 2 Aufl. 1924. 7) 近藤, 第19同駒込病院報告. 8) 吉田, 日本傳染病學会雑誌.

第

17巻

.

第

7號

.

9) 田

中

. 實験醫報. 第15號. 昭和2年5月. 10) 富士, 實験醫報. 第199號. 昭和6

年

5

月

.

Jaksch-Hayem

氏

貧

血

二出

血

性水

痘

ヲ併

發

セ

ル

一症例

ニ就

テ

京

都

市

立

京

都

病

院

駐

學

士

林

峻

士

第

一章

緒

言

Jaksch、Hayem

氏貧血

二出血性水痘

ヲ併登

シタル興味

アル臨躰例

ニ就キテ観察

セリ。此臨鉢的経過ヲ述

ぺ、併

セテ肝

林

=Jaksch-Hayem

氏

貧

血

ニ出

血性

水

痘

ヲ併

發

セ

ル

一症

例

ニ就

テ

一二〇七