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コーディネーター (公財)日本交通公社 理事 寺崎 竜雄 パネリスト 株式会社合力 代表取締役 近藤 光一 京都大学 農学研究科教授 栗山 浩一 屋久島公認ガイド 満園 場所 屋久島環境文化研修センター 環境保全と協力金「現状と協力金のあり方について考える」

環境保全と協力金「現状と協力金のあり方について …• エコツーリズムという視点が入らなければいけない。• 単に行政と観光客の関係だけでなく、観光の事業者、地域住民も協力しなければいけない、協力金を払ってくれたら割引

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Page 1: 環境保全と協力金「現状と協力金のあり方について …• エコツーリズムという視点が入らなければいけない。• 単に行政と観光客の関係だけでなく、観光の事業者、地域住民も協力しなければいけない、協力金を払ってくれたら割引

コーディネーター (公財)日本交通公社 理事 寺崎 竜雄

パネリスト 株式会社合力 代表取締役 近藤 光一

京都大学 農学研究科教授 栗山 浩一

屋久島公認ガイド 満園 茂

場所 屋久島環境文化研修センター

環境保全と協力金「現状と協力金のあり方について考える」

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これまでの経緯

• 1994年 屋久島山岳部利用対策協議会. 山岳部利用に関する様々な取り組みを展開

• 2008年 山岳部保全募金制度によりトイレのし尿対策を開始 2016年度まで継続

年平均17,708千円(し尿搬出費用は12,570千円)

・ 2017年3月世界自然遺産屋久島山岳部環境保全協力金開始

協力金の収入額 65,392千円

協力金の協力率 79%

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-現状-

屋久島は協力金制度が成功した大きな例である。

どのようなことに協力金が使われるか(し尿処理など)が明確であり、問題意識を利用者が共有出来ている。

工夫としては

協力金をバスのチケットに添付する。ゲートを設ける。観光事業と連携し、協力して頂いた人は割り引きになるといった店舗を増やしていく

などを行っている。

-改善-

人件費を削減し、貰ったお金をすべて環境保全や使用者の安全のために活用したい

屋久島全体が世界遺産だという認識していただき、協力者を増やしたい。各所のゲートで協力金を取られるという仕組みではなく

パスポートなどの仕組みを導入したい。

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協力金の効果 環境経済学によるアプローチ

協力金に対する批判

1.訪問者が減るのではないか 2.ほんとに払ってくれるのか これらの不満を解消するためにデータで証明する必要がある。

トラベルコスト法

旅費が安ければ訪問者は来てくれるという事実から、協力金により旅費が上がることから、どれだけ訪問者が減ってしまうかを予測する。

屋久島ではほとんど減らないことが予測され予測減少率(5.6%)、実際減少率4.2%という結果になった。

屋久島では協力金の収集率が良いのはなぜか?

理由としては、協力金がどのように使われるかが明確であり(し尿処理など)、そこに対する問題意識も強い。

その他にも、バスチケットと協力金との一体化やゲートの設置や小屋での呼びかけなどが理由として挙げられる。

屋久島や小笠原諸島などの原生性の高い遠隔の離島では減少率は低いが、他の自然公園では必ずしも当てはまらない。

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富士山という例から

-現状-

富士山では環境保全と登山者の安全を目的に現在している。しかし、もともとは世界遺産登録に基づく登山者の抑制が目的であったが、協力金による抑制もうまくいかず、現在は、使途がまだよくわからないという現状。徴収率 6割強

政策として 呼びかけやゲートの設置、協力して頂いた方に木札を差し上げるといったことをしている。

しかし、登山前の協力金の支払いが煩わしいことや、各所で払わなけばいけないといった不満もある。

「富士山は強制徴収はなじまない」といった声もある。

-改善-

協力金の目的、使途の周知強化

地域との連携

制度設計の段階ではガイドは関わることが出来なかった。

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• エコツーリズムという視点が入らなければいけない。

• 単に行政と観光客の関係だけでなく、観光の事業者、地域住民も協力しなければいけない、協力金を払ってくれたら割引

屋久島での買い物が増える 宣伝効果 屋久島の環境保全に協力できた満足感 さらにバックがあってうれしい。

• 地域住民が屋久島の住みよい、暮らしやすい環境をつくる

• 地域住民も支払いの対象

• 全国のモデルとなるような協力金の仕組みを作りたい

• エコツーリズムとは、稼いだお金がしっかりと環境のために使われるという仕組みが必要

• 島内の中でもよくわからないという声を聞く

• 宿泊事業にエコツーリヅムが浸透していない。

• 人と里や山や海などの繋がり自体がエコツーリズムである。そういったストーリーが必要

• 払う人は良いが、集める人が一番表に立っている。その人たちがこのシステムを理解していないといけない。

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-屋久島モデルから学ぶ-

ガイド

討論の歴史

高い理念

-発展に向けて-

情報発信

地域住民との協働

エコツーリズムの島

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• エコツーリズムとは、稼いだお金がしっかりと環境のために使われるという仕組みが必要

お金を払って自然を享受するというのが当たり前。環境客がその場のアクティビティに参加するとそれだけで環境のためになる

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九州大学

島内のアンケートの結果

島内の中でもよくわからないという声を聞く

宿泊事業にエコツーリヅムが浸透していない。

屋久島の人が1000円払うのは不満

地元の人が山に入るのに抵抗が生まれるのは問題。観光教育に協力金を使う

埼玉の飯能

飯能では市民がガイドをやっている

市民自身がまず町を知らなかった。自分たちの生活そのものがツアーになる。

経済つながっていかない。市民自体が地域を知ることがエコツーに繋がる。

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小林

なぜ、地域住民から1000円とられているのか?

満園

月額性にしている。屋久島のひとにも意識を

山に用がないときは入っていけないという風習 それがあるから今の屋久島がある。

地域住民の位置づけ

地域住民が一環境客の扱いはおかしい 地域住民の役割を明らかに 協力金を払うという形ではなく

屋久島の生活環境を守る

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九州大学

里巡り、山岳部、海との関係

7集落が里地巡りをしている 環境協会が入っていない 矛盾

山がいけなかった時の受け皿になっている。里巡りはほとんどボランティア

栗山

どうすれば里巡りのツアーを増やせるか

リピーターを増やす

里巡り 北山

お金目的ではない にぎわいでやっている

それに伴う収益を得ている

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小林

屋久島が何たるかを知るかのツアーとして必要

ガイドたちが地域に対する誇りを取り戻す 誰かが言ってくれないとわからない。

広げるには連携しかない。

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・現状の屋久島モデル

・協力金という名称が誤解を招く。しかし、情報開示が重要、広報、来るときのアナウンス

・なぜ入島税は駄目なのか?

200円くらいしかとれない。島の人の協力を得られない。平等性からして理解を得られない。目的税となってしまう。島民を除いての仕組みは出来ないか、

課題解決型で取られているんではなく、入島協力金ではダメなのか。

・協力金がどう使われているのか、、情報開示を徹底して行うべきではないか

・屋久島がなぜ、エコツーリズムの島と呼ばれているのか、さらにエコツーリズムの島というのを発信すべき、ただ文章でなく、自然を守るというメリットだけでない。

今までは雰囲気だけでエコツーリズムといわれていたが、具体的には?

・人と里や山や海などの繋がり自体がエコツーリズムである。そういったストーリーが必要

・払う人は良いが、集める人が一番表に立っている。その人たちがこのシステムを理解していないといけない。

・資金の使い道 安心安全に使用している。広報も徹底して行っている。

・強制徴収することもできたが、どれだけ人を配置するのか、責務が発生してしまうため任意にしたのでは

・責務ではないと、払うお金をどう使うか自由になってしまうことで、不信感が生まれる。使ったお金を公開するシステムが必要

・協力する側が協力したくなるような仕組みが重要

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現状の屋久島モデル

・行政側としては、利用者が管理し、負担していくしていくのが良いのではないか、、行政のお金も結局は税金

・登山道整備い協力金を取るかどうか、知名度が低いところでも取れるか

募金の中で工夫していく。登山道がいくつか限定されているってということが重要

・募金、協力金 協力金は払うことが前提 募金は払う必要がない

・全体の連携が必要 お金というトピックに全員が関わっていけるといった仕組みが欲しい

協力することが当たり前のことになっているのが一つのステータスになっていけないか

・島の人たちがそういう意識をもっているのか 職員の意識は?

・今は職員の意識は一つになっている

・島全体がエコの島ということを全面にもう一度押し出す必要があるのでは

・保全する地域と利用する地域と再び協議しなければいけない。

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屋久島モデルを発信していくには

-現状の良いところ-

ガイドの人たちが早い段階で表に立っていてくれた。

討論の歴史があって、迷いながらも進んできた。

エコツーリヅムの島としての代表モデルとなれる

-改善するべきところ-

情報発信の工夫が足りない。

島全体で屋久島である。つまり、島全体が協力した仕組みが必要である。

協力金がゴールではない。その資金を具体的にどのように使うかを議論する必要がある。

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Word

富士山

環境保全と登山者の安全 まだ強制は難しい。 使途がまだよくわからない。徴収率 6割強

新しいトイレ、細かいところまで決まっていない。使っている公表はしている

富士山は苦戦 率より、金額

政策 呼びかけやゲートの設置 木札

登る前に払うのが抵抗がある 面倒くさい いろんなとこに払わなければいけない

5合目で出来なかったら6合目でとろう

富士山は強制徴収はなじまない、富士山は昔から人となりで成り立っていた。

目的、使途の周知強化

富士山学校 受け入れ態勢

個人の登山者が増えている

ガイドツアーが不人気

外国人 日本人で違いはあるか

登山者の抑制 世界遺産時 利用者管理 協力金をとっても変わらないよね そのうち目的がわからなくなってきた。

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協力金の効果 環境経済学によるアプローチ

批判 訪問者が減る。 ほんとに払ってくれるのか データで証明

トラベルコスト法 旅費が安ければ訪問者がきてくれる。協力金は旅費が増えるということ 旅費 訪問率

屋久島では訪問者が減らないし、協力してくれる

なぜか?

屋久島でのアンケート 他の国立公園でも適用できるか そうではない 離島では減らない 都市近郊では減る

どこから何人きているのか 各地域ごとに

導入後と導入前で予測、、5.6%しか減らない

協力金が増えても訪問者は変わらない 4.2%

登山者の減少効果は弱い

任意でも払うのか

協力金を払う理由

し尿処理 協力金が みんなが問題を理解している

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• 登山者の抑制を目的としていない

• し尿処理対策と使途を限定

• 富士山では不明

• バスチケットと一体化

• ゲートの設置 仮設小屋での呼びかけ

まとめ

• 訪問者の数を抑制 収入効果

• 地域によって異なる効果

• データに基づいた協力金制度 行政と研究者の連携 導入前後データを収集、協力金の効果を分析

• 協力金に期待しすぎてはいけない

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現状

屋久島は協力金制度が成功した大きな屋久島。島民は協力金を免除する

365万人の中で317万人が協力して頂いている。平成6年屋久島の山岳部、 避難小屋のトイレの信用処理、募金箱、ごめんごめん募金 平成20年度登山口で収集されたのは200万

現地では、人を配置しているのが問題。 範囲を広げる 使用運搬だけでなく 45パーセント上がる 登山口だけでは赤字、ふるさと納税などでまかなう。 ポリタンク

にょうとう税 税ではなく協力金 環境保全協力金 屋久島山岳部 屋久島の山中に入るすべての人→協力してくださったら割引。平成29年 6500万の協力金 トロッコ道に板を引き歩きやすくする

なぜ良いか。バスのチケットなどに添加している。

改善点としては

人件費を削減し、貰ったお金をすべて パスポート 屋久島全体が世界遺産だという認識し、協力して頂く。

個人的には協力金だけで賄うのはあり得ない。行政に予算を 世界遺産税 足りない分は、感動した人が協力してくれるといった形

300円~500円 9万人 レクの森 色んなゲートで統一されず、各所でお金を取られる。 レクの森 屋久島の山岳

人件費や維持費