109
目黒区保健医療福祉計画 改定素案 平成23年12月

目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

  • Upload
    others

  • View
    3

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

目黒区保健医療福祉計画

改定素案

平成23年12 月

目 黒 区

Page 2: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

目 次

第1章 計画の概要

1 計画改定の背景・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1

2 計画の性格・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1

3 計画の期間・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2

4 目黒区の状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3

5 保健医療福祉施策に係わる法改正等の動き・・・・・・・・・・・・・・14

第2章 計画の基本的な考え方

1 計画の基本理念・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17

2 計画改定のポイント・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18

3 地域包括ケアシステムの構築イメージ・・・・・・・・・・・・・・・・20

4 計画の体系・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21

第3章 地域保健福祉を推進する施策

第1節 地域福祉・地域包括ケアの推進・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23

1 地域包括ケアの推進・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23

2 地域における新たな支え合いの仕組みづくり・・・・・・・・・・・・・31

3 災害時要援護者支援の推進・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・36

4 多様な社会参加・地域交流の促進・・・・・・・・・・・・・・・・・・39

5 福祉のまちづくり・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・45

第2節 地域での自立した生活への支援・・・・・・・・・・・・・・・・・・・49

1 高齢者の自立した生活への支援・・・・・・・・・・・・・・・・・・・49

2 障害者の自立生活への支援・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・55

3 生活困難・要支援者のためのセーフティネットの充実・・・・・・・・・60

4 子育ち・子育てへの支援・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・67

5 サービスの質の向上・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・75

第3節 健康で安心して暮らせるまちづくり・・・・・・・・・・・・・・・・・78

1 健康づくりの推進・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・78

2 こころと身体の健康づくり・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・83

3 安全で快適な生活環境づくり・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・94

4 健康危機管理対策の推進・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・104

資料:アンケート調査結果(抜粋)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 108

Page 3: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

1

第1章 計画の概要

1 計画改定の背景

目黒区では、平成 18 年 2 月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

た地域でその人らしく自立し、健康で充実した生活を送れるように保健医療福祉の施策を総

合的に推進してきました。3 年後の平成 21 年 2 月には計画を改定し、社会状況の変化を踏

まえ新たな課題に対応してきたところです。

計画の改定からさらに 3 年が経過し、この間、保健医療福祉を取り巻くさまざまな制度改

正が行われました。高齢化の急速な進行に対応するため、平成 23 年 6 月に介護保険法が改

正され、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けるための、医療、介護、生活支援な

どのサービスを一体的に提供する「地域包括ケアシステム」の構築が最大の課題とされまし

た。また、平成 23 年 8 月に障害者基本法の改正などが行われた障害者制度は、いまだ改革

の途上にあり、今後の動向を見定めながら、障害をもつ人の多様なニーズに応えた自立支援

と社会参加の促進に向けて一層取り組んでいかなければなりません。

併せて、厳しい経済状況と雇用情勢を反映して生活保護受給者が急増する中、さまざまな

生活上の困難に直面し、社会から孤立しやすい人々への自立支援が喫緊の課題となっていま

す。

平成 23 年 3 月に発生した東日本大震災は、災害時における要援護者支援対策の重要性を

一層浮き彫りにし、この震災に起因する東京電力福島第一原子力発電所事故による放射性物

質拡散への対応を新たに求められることとなりました。

一方で、震災を契機に家族や地域の絆の大切さが再認識され、ボランティア活動への関心

が高まってきました。このような傾向は、地域で孤立する人々を支える住民主体の新たな仕

組みづくりの推進力になることと期待されます。

こうした保健医療福祉を取り巻く社会状況の大きな変化の中で、一層強まってきた安全・

安心に住み続けたいという区民の願いを受け止めて、そのニーズに的確に応えていかなけれ

ばなりません。このため、これまでの保健医療福祉の施策、サービス内容の評価を行い、新

しい課題に対応した計画内容に改定します。

2 計画の性格

この計画は、目黒区基本計画の補助計画として位置づけ、社会福祉法に定める地域

福祉計画及び老人福祉法に定める老人福祉計画の性格を併せ持ち、子ども、高齢者、

障害をもつ人をはじめとするすべての区民を対象とした保健医療福祉を推進するた

めの基本となる計画です。

また、この計画は、次の関連計画と整合を図った計画とします。

「介護保険事業計画」「障害者計画」「子ども総合計画」

「健康めぐろ21」「生涯学習実施推進計画」「住宅マスタープラン」

「第三次目黒区地域福祉活動計画」(目黒区社会福祉協議会)

Page 4: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

2

なお、この計画の具体化は、目黒区実施計画及び各年度の予算によるものとします。

3 計画の期間

平成 24 年度~平成 28 年度

3 年目の平成 26 年度に見直しを行い、平成 27 年度からの新しい計画に改定し

ます。

Page 5: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

3

4 目黒区の状況

(1)総人口

ア 目黒区の総人口(住民基本台帳:平成 23 年 10 月 1 日現在)は、255,305 人で、

区の推計(住民基本台帳)では、今後、転入者の増加などにより、おおむね増加傾向が続

くと予測しており、平成 27 年度の推計値は 261,901 人となっています。

イ 世帯の平均構成人員(住民基本台帳:平成 23 年 10 月 1 日現在)は、1.81 人で

あり、区の推計(住民基本台帳)では、平成 27 年には 1.70 人、平成 32 年には 1.63

人にまで低下すると予測しています。

人口、世帯数の推移と推計(住民基本台帳)

112,369114,104

116,689119,373 119,828

122,267 121,282123,769

127,208131,416

135,134 135,477139,634 139,528

260,810

236,138

241,312

248,105

254,507255,305

261,901

118,098

126,820

135,051141,030

141,629

154,500

160,128

0

50,000

100,000

150,000

200,000

平成7年  12年 17年 22年 23年 27年 32年

(人)

100,000

120,000

140,000

160,000

180,000

200,000

220,000

240,000

260,000

280,000

総人口

世帯数

【資料】住民基本台帳(各年 10 月 1 日現在)

平成 27 年以降は政策企画課推計値(住民基本台帳ベース:長期計画推進に係る基礎指標(推計)

平成 20 年 3 月)

Page 6: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

4

(2)年齢3区分別人口総数の推移・推計

年齢 3 区分別については、年少人口と生産年齢人口は、ほぼ横ばい状態ですが、高齢人

口は、年々増加しており平成 27 年 53,081 人、平成 32 年には 53,167 人になると予

測しています。

年齢3区分別人口総数の推移・推計

24,874 24,109 24,675 25,854 26,164 27,849 27,661

175,430 176,497 179,122 180,050 180,299 180,971 179,982

35,834 40,70644,308

48,603 48,842 53081 53,167

0

50,000

100,000

150,000

200,000

250,000

300,000

平成7年  12年 17年 22年 23年 27年 32年

(人)

高齢人口(65才以上)

生産人口(15歳以上65歳未満)

年少人口(15歳未満)

【資料】住民基本台帳(各年 10 月 1 日現在)

平成 27 年以降は政策企画課推計値(住民基本台帳ベース:長期計画推進に係る基礎指標(推計)

平成 20 年 3 月)

Page 7: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

5

(3)高齢者人口・高齢化率

ア 65 歳以上の高齢者人口は、48,842 人(住民基本台帳:平成 23 年 10 月 1 日現

在)であり、総人口に占める割合は 19.1%となっています。平成 17 年 10 月 1 日

現在では、44,308 人、17.9%でした。

イ 区の推計では、高齢者人口は、平成 27 年には 53,081 人で平成 32 年には 53,167

人になると予測しています。また、高齢化率については、平成 27 年には 20.3%、平

成 32 年には 20.4%になると予測しています。

高齢化率の推移

0

5

10

15

20

25

平成7年  12年 17年 22年 23年 27年 32年

(%)

全国

東京都

目黒区

【資料】目黒区:住民基本台帳(平成 27 年以降は推計値)、国・東京都:国勢調査

Page 8: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

6

(4)地区別の高齢者人口・高齢化率

ア 5地区別に 65 歳以上の高齢者人口を見ると、最も多いのは西部地区の 12,522 人

であり、最も少ない北部地区の 6,597 人との差は 5,925 人になっています。

イ 5地区別に見た高齢化率では、最も高いのは南部地区で 21.02%、最も低いのは北

部地区で 15.69%です。

地区別の高齢者人口・高齢化率(23 年)

42,048

49,92052,456

64,170

46,711

12,522

9,312 9,81910,592

6,597

19.51

21.02

20.19

15.69

18.65

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

70,000

北部 東部 中央 南部 西部

(人)

0

5

10

15

20

25

30

35(%)

人口

高齢者数

高齢化率

【資料】住民基本台帳(平成 23 年 10 月 1 日現在)

Page 9: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

7

(5)地区別の高齢化率の推移

5地区別の高齢化率については、北部地区ではほぼ横ばい状態が続いています。他の 4

地区では同じような推移で増加してきましたが、南部地区、東部地区では、平成 21 年度

以降、ほぼ変化していません。

地区別の高齢者人口・高齢化率の推移

15.1 15.015.1 15.2 15.2

15.015.0

15.3

15.6 15.6 15.7

16.8 16.917.1

17.3 17.4

18.7 18.7 18.718.418.2

17.8

20.220.119.8

19.519.2

18.818.818.518.5

18.117.8

18.518.7

18.919.1

19.6

20.020.4

20.721.1 21.1 21.0

18.118.4

18.6

17.317.5 17.6

17.717.9

19.119.4 19.5

13

14

15

16

17

18

19

20

21

22

平成13年  14年 15年 16年 17年 18年 19年 20年 21年 22年 23年

(%)

北部

東部

中央

南部

西部

【資料】住民基本台帳(各年 10 月 1 日現在)

Page 10: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

8

(6)家族類型別世帯数と構成比

ア 世帯構成については、単独世帯が約半数を占め、次いで夫婦と子世帯、夫婦のみの

世帯となっています。

イ 単独世帯、夫婦のみ世帯、女親と子世帯は、年々増加しており、3 世代同居世帯は

年々減少しています。

夫婦のみ, 25,378

18.4%

3世代同居, 1,368

1.0%

女親と子, 8,198

5.9%

男親と子, 1,257

0.9%

夫婦と子, 28,144

20.4%

その他, 9,545

6.9%

単独, 64,740

46.5%

単独

夫婦のみ

夫婦と子

男親と子

女親と子

3世代同居

その他

家族構成 平成 22 年

総世帯数 138,630

【資料】国勢調査(平成 22 年速報値)

Page 11: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

9

家族類型別世帯数の推移

64,740

25,378

28,144

5,3385,708

5,728

840

32,784

15,616

51,029

6,568

2,067

7,265

1,264

26,453

22,566

59,269

1,368

8,198

1,257

9,545

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

70,000

単独 夫婦のみ 夫婦と子 男親と子 女親と子 3世代同居 その他

(世帯)

昭和60年

平成17年

平成22年

【資料】国勢調査(平成 22 年は速報値)

Page 12: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

10

(7)ひとり暮らし高齢者世帯数等

ひとり暮らし高齢者の世帯数及び世帯割合ともに増加しています。

ひとり暮らし高齢者の世帯数及び世帯割合

(単位:世帯割合は%)

高齢者ひとり暮らし世帯数

65 歳以上 75 歳以上区分

世帯数 世帯割合 世帯数 世帯割合

全世帯数

平成 7 年 7,815 6.79 3,361 2.92 115,180平成 12 年 10,810 9.15 5,450 4.61 118,126平成 17 年 11,526 9.20 6,405 5.10 125,452平成 22 年 12,777 9.26 7,242 5.25 137,845

ひとり暮らし高齢者の世帯数及び世帯割合

7,815

10,810

11,526

12,777

3,361

5,450

6,405

7,242

6.79

9.15 9.20 9.26

5.10

2.92

4.61

5.25

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

平成7年  平成12年 平成17年 平成22年

(世帯)

0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10(%)

65歳以上世帯数

75歳以上世帯数

65歳以上世帯割合

75歳以上世帯割合

【資料】国勢調査(平成 22 年は速報値)

Page 13: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

11

(8)出生数及び合計特殊出生率

合計特殊出生率(一人の女性が生涯に産む平均子ども数)は、0.7%台の低い値で推移し

ていましたが、平成 20 年から増加傾向を示しています。

出生数及び合計特殊出生率推移

2252

20862028

19101882177417561798

163217271669

0.90

0.83

0.800.750.74

0.710.720.74

0.680.73

0.73

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

平成12年 13年 14年 15年 16年 17年 18年 19年 20年 21年 22年

(人)

0.00

0.10

0.20

0.30

0.40

0.50

0.60

0.70

0.80

0.90

1.00(%)

出生数

合計特殊出生率

【資料】目黒区の健康福祉(目黒区健康福祉部・子育て支援部事業概要)

Page 14: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

12

(9)生活保護の現況

生活保護率は、平成 20 年度まで減少していましたが、平成 21 年度から急激に増加し

始めています。

生活保護受給者数および保護率の推移

(各年度平均)

8.4

8.3

8.4

8.9

9.1 9.1

8.9

8.6

8.9

9.5

9.3

1,500

2,000

2,500

3,000

平成12年 13年 14年 15年 16年 17年 18年 19年 20年 21年 22年

(人)

8.0

8.2

8.4

8.6

8.8

9.0

9.2

9.4

9.6

9.8(‰)

受給者数

保護率

【資料】目黒区の健康福祉(目黒区健康福祉部・子育て支援部事業概要)

※停止中の世帯を除く。開始、廃止の件数は年間総数。

※保護率は、被保護人員/人口(東京都の人口(推計)(毎年 10 月 1 日)東京都総務局)×1,000

により算出。

Page 15: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

13

(10)障害をもつ人の状況

身体障害・知的障害・精神障害をもつ人がいずれも増加傾向にあります。

身体障害者手帳交付者数(平成 22 年)

身体障害者手帳

肢体 聴覚 視覚 音声・言語 内部

交付者数 3,127 412 380 75 1,991 5,985

身体障害者手帳・愛の手帳交付及び精神障害者保健福祉手帳受付件数状況推移

平成 15 年 16 年 17 年 18 年 19 年 20 年 21 年 22 年

身体障害者手帳 5,202 5,345 5,395 5,568 5,642 5,685 5,881 5,985

愛の手帳 860 889 911 932 953 961 961 965

精神障害者保健福

祉手帳受付件数246 275 316 296 434 399 415 495

身体障害者手帳・愛の手帳交付及び精神障害者保健福祉手帳受付件数状況推移

5,685

5,985

5,881

5,642

5,568

5,3955,345

5,202

965

296

495

961961953932911889

860

415399

434

316275

246

4,800

5,000

5,200

5,400

5,600

5,800

6,000

6,200

平成15年 16年 17年 18年 19年 20年 21年 22年

0

200

400

600

800

1,000

1,200

身体障害者手帳

愛の手帳

精神障害者保健福祉手帳

【資料】各年 7 月末現在 目黒区の健康福祉(健康福祉部・子育て支援部事業概要)

Page 16: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

14

5 保健医療福祉施策に係わる法改正等の動き

<介護保険・高齢者関係>

主な法改正等の内容

介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律

(平成 23年6月成立)

改正の趣旨

急速な高齢化の進行に伴い、医療ニーズの高い高齢者や重度の要介護者

の増加、単身・高齢者のみ世帯の増加への対応、介護人材の確保等が喫緊

の課題となっている。高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けるた

めには、医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスを切れ目なく提供

する「地域包括ケアシステム」の構築が必要である。このため、所要の改

正を行う。

介護保険法

の一部改正

( 平成24年

4月施行)

○新たなサービスの追加

地域密着型サービスに、「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」及び「複

合型サービス」を追加し、医療ニーズの高い要援護者が安心して在宅生

活を続けられるようにする。

○介護予防・日常生活支援総合事業の創設

区市町村の判断で、介護予防及び配食・安否確認などの日常生活支援の

ための施策を総合的・一体的に行うことができるようにす る。

○地域包括支援センターの機能強化

地域包括支援センターが介護サービス事業者・医療機関・民生委員・ボ

ランティアなどと連携するよう努めることとする。

老人福祉法

の一部改正

(平成 24 年

4月施行)

○後見等に係る体制の整備

市民後見人の養成、登録など、高齢者・障害者の権利擁護を推進するこ

と。

Page 17: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

15

<障害者関係>

主な法改正等の内容

障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの

間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律

(平成 22 年 12 月成立)

平成 22 年

12 月施行

○障害者の範囲の見直し

発達障害が障害者自立支援法の対象となることを明確化した。

平成 24 年

4月施行

○利用者負担の見直し

利用者負担について、応能負担を原則にする。

○相談支援の充実

「自立支援協議会」を法律上位置づける。

○障害児支援の強化

障害児に対する支援を児童福祉法の中で統一的に行うことにより、身近

な地域での支援を充実する。

障害者基本法の一部改正(平成 23 年 8 月施行)

○障害者の定義の見直し、

障害者の範囲を、手帳の所持にかかわらず、心身の機能障害等により継続的に生活に

相当な制限を受ける人、と拡大した。

○地域社会における共生等

あらゆる分野の活動に参加する機会が確保されること、言語その他の意思疎通のため

の手段について選択の機会が確保されるとともに、情報の取得・利用の手段について

選択の機会の拡大が図られることとした。

障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律

(平成 23 年6月成立・平成 24年 10 月施行)

障害者に対する虐待が障害者の尊厳を害するものであり、障害者の自立及び社会参加

にとって障害者に対する虐待防止が極めて重要であることから、障害者に対する虐待の

禁止、国等の責務、虐待を受けた障害者に対する支援のための措置等を定め、障害者虐

待の防止、養護者に対する支援等に関する施策を促進する。

Page 18: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

16

<住宅関係>

主な法改正等の内容

高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)の一部改正

(平成 23年10月施行)

○住宅施策と福祉施策の連携強化

○サービス付き高齢者向け住宅の登録制度の創設

バリアフリー化、状況把握サービス・生活相談サービスの提供、契約解除時の前払金

の不返還等の問題への対応が図られた高齢者向けの賃貸住宅及び有料老人ホームに係

る登録制度を創設し、高齢者の居住の安定確保を図る。

<分権改革関係>

主な法改正等の内容

地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関す

る法律(平成23年8月成立)

都から区に移

譲される事務

○社会福祉法人の定款の認可、報告徴収、検査、業務停止命令等

複数の自治体にまたがらず活動を行う社会福祉法人の設立認可、検査

等の事務について区が行うこととする。

義務付け・枠

付けの見直し

が行われる区

の事務

○障害者自立支援法

区市町村障害福祉計画においては、指定障害福祉サービス又は指定相

談支援の必要な見込み量確保のための方策及び地域生活支援事業の

実施に関する事項について定めるよう努めるものとする。

○介護保険法

区市町村は指定地域密着型サービスに従事する従業者等の基準並び

に設備・運営に関する基準及び指定の申請者の基準を条例で定めるも

のとする。

○老人福祉法

区市町村老人福祉計画においては、当該市町村の区域において確保す

べき老人福祉事業の量の確保のための方策について定めるよう努め

るものとする。

Page 19: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

17

第2章 計画の基本的な考え方

1 計画の基本理念

「個人の尊厳と人間性の尊重」を基盤とした「自立生活の確立」と「健康寿命の延長」を

基本とし、以下の観点に立って施策を推進します。

○「健康」をあらゆる施策の基本としてとらえる。

○お互いの存在と人格を尊重し、人と人とのつながりを大切にする地域社会をつくる。

○だれもが生涯にわたって発達し、生きがいをもって自己実現が図れる機会を保障する。

○人に優しく、自然に優しい、ゆとりのある、平和な環境をつくる。

○だれもが住み慣れた地域で孤立することなく、安全に、安心して生活できる環境をつ

くる。

○自らの力や意思で生活を営めるように、保健・医療・福祉などの必要なサービスが切

れ目なく総合的に提供されるようにする。

○だれもが、どの家族でも、暮らしの中で直面する困難について安心して相談し、必要

な支援を求めることができる身近な仕組みを確立する。

○地域福祉を進める区民、地域活動団体、事業者及び行政の協働により、見守り、支え

合い、助け合える地域社会をつくる。

○支援を必要とする当事者を含めて、区民が施策の推進に参画する機会を充実する。

個人の尊厳と人間性の尊重

健康寿命の延長自立生活の確立

Page 20: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

18

2 計画改定のポイント

社会状況の変化・保健福祉施策の動向を考慮し、以下の6点を改定のポイントとして新し

い計画をとりまとめました。

所在不明の高齢者や孤立死が大きな

社会問題となっており、家族や地域の支

え合いの機能の低下が顕在化していま

す。

一方で東日本大震災を契機にボラン

ティア活動への関心が高まるとともに、

災害時要援護者への地域における支援

が重要課題になっています。

家族や地域の支え合い機能の変化 地域における新たな支え合いの

仕組みづくり

住民同士の相互の信頼関係や協力関

係によって「地域の力」を築き、新たな支

え合いの仕組みづくりを進めます。

★地域における支え合いのコーディネ

ート機能の充実 (P32)

★地域における支え合い活動の充実(P33)

★災害時要援護者支援の推進(P36)

高齢者など支援を必要とする人々が

身近な地域で安心して相談でき、必要な

ときにさまざまなサービスが一体的に

提供される地域包括ケアシステムの構

築に取り組みます。

★地域包括ケア推進体制の整備

(P25)

★在宅療養の推進(P25)

★認知症の人と家族への支援の推進

(P26)

★介護予防の推進(P28)

★権利擁護事業の推進(P29)

社会から孤立しやすい生活困窮者

の急増

厳しい経済雇用情勢を反映して生活

保護の保護率が上昇しています。

社会から孤立しやすい「生活困難・要

支援者」のために、低所得者支援の枠を

超えた自立支援が課題となっています。

「生活困難・要支援者」に対する

セーフティネットの充実

失業や離職などのさまざまな生活上

の困難を抱えて生活に困窮し、社会から

孤立しやすい人々への支援を充実しま

す。

★支援・相談体制の整備(P61)

★自立支援の推進(P62)

★「住まい」の確保(P64)

★社会的居場所の確保(P65)

社会状況の変化・保健福祉施策の動向

施策の方向

地域包括ケアの推進

目黒区の 65 歳以上の高齢者人口の

割合は現在の 19.1%から平成 27 年に

は 20.3%に上昇すると予測されます。

高齢化の進行に伴い、医療ニーズの高

い高齢者や重度の要介護者、認知症高齢

者の増加、単身・高齢者のみ世帯の増加

への対応が喫緊の課題となっています。

高齢化の進行

Page 21: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

19

障害をもつ人の多様化するニーズ

と求められる自立支援

サービス提供主体の多様化と求め

られる人材の確保

サービスの質の向上

障害をもつ人の自立生活・社会生活

への支援

障害者基本法の改正により障害者の

範囲が拡大され、障害の特性に応じた、

きめ細かな相談支援とサービスの提供

が一層求められています。

また、自立のための就労や活動の場を

増やし、安心できる住まいを確保するこ

とが課題となっています。

障害をもつ人の日常生活・社会生活を

サポートする仕組みをつくり、自立支援

のためのサービスの充実と就労支援の

推進に取り組みます。

★相談・サービス提供体制の整備

(P55)

★自立支援サービスの充実(P57)

★就労支援の推進(P58)

★住まいの確保(P58)

介護・福祉サービスの提供主体が多様

化する中で、適正なサービス提供のため

の指導・監査の充実が求められていま

す。

また、重度の要介護者などの増加に伴

い、介護・福祉サービス従事者の専門性

の向上と人材の確保が課題となってい

ます。

良質な介護・福祉サービスが安心して

受けられるよう、事業者への支援などに

よりサービスの質を向上させます。

★事業者指導・監査の充実(P76)

★サービス評価の充実(P76)

★苦情解決制度の充実(P77)

★介護・福祉従事者の専門性の向上

(P77)

東日本大震災等による健康危機の

高まり

東日本大震災に起因した東京電力福

島第一原子力発電所事故による放射性

物質拡散により、食品等への安全・安心

の確保に対する関心がより一層高まっ

ています。

健康危機管理体制の整備・充実

食の安全確保や大震災等などに対す

る健康危機管理体制を強化・充実しま

す。

★食品の安全・安心の確保(P100)

★健康危機管理体制の整備・充実

(P104)

★災害時への対応(P107)

社会状況の変化・保健福祉施策の動向 施策の方向

Page 22: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

20

在宅

療養

の推

認知

症の

人と

家族

への

支援

の推

家族

介護

者へ

の支

援の

推進

地域

にお

ける

高齢

者見

守り

の推

介護

予防

の推

進権

利擁

護事

業の

推進

高齢

者の

居住

に係

る施

策と

の連

地域

包括

支援

ネッ

トワ

ーク

の構

要介

護者

への

支援

(ケ

アマ

ネジ

ャー

後方

支援

家族

介護

者を

含め

た要

介護

者以

外へ

の支

ニー

ズの

把握

ニー

ズの

把握

セン

ター

への

つな

ネッ

トワ

ーク

を活

用し

た支

援ネ

ット

ワー

クの

構築

、ネ

ット

ワー

クを

活用

した

支援

権利

擁護

介護

予防

ケア

マネ

ジメ

ント

包括

的・

継続

的ケ

アマ

ネジ

メン

地域

包括

支援

セン

ター

(地

域包

括ケ

アの

コー

ディ

ネー

ト)

総合

相談

支援

地域

包括

ケア

推進

体制

の整

保健

福祉

の総

合相

談支

介護

保険

認定

申請

の受

高齢

者の

保健

福祉

サー

ビス

の受

地域

連携

コー

ディ

ネー

ター

、認

知症

支援

コー

ディ

ネー

ター

の配

地域

にお

ける

新た

な支

え合

いの

仕組

みづ

くり

社会

福祉

協議

会と

の役

割分

担と

連携

ネ ト ワ ク へ の 参 加

ネ ト ワ ク へ の 参 加

医療

、介

護、

予防

、住

まい

、生

活支

援サ

ービ

スの

一体

的な

提供

地域包括ケアシステムの構築イメージ

Page 23: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

21

4 計画の体系

<基本目標> <施策>

第1節 地域福祉・地域包

括ケアの推進

第2節 地域での自立した

生活への支援

1 地域包括ケアの推進

(1) 地域包括ケア推進体制の整備

(2) 在宅療養の推進

(3) 認知症の人と家族への支援の推進

(4) 家族介護者への支援の推進

(5) 地域における高齢者の見守りの推進

(6) 介護予防の推進

(7) 権利擁護事業の推進

2 地域における新たな支え合いの仕

組みづくり

(1) 地域における支え合いのコーディ

ネート機能の充実

(2) 地域における支え合い活動の充実

3 災害時要援護者支援の推進

(1) 災害時要援護者の避難支援対策

(2) 避難所における支援方策の確立

4 多様な社会参加・地域交流の促進

(1) 高齢者の社会参加の促進・就労への

支援

(2) 障害者の社会参加の促進

(3) ふれあい・交流の場の拡充

5 福祉のまちづくり

(1) ユニバーサルデザイン、バリアフリ

ー化の推進

(2) 心のバリアフリーの推進

1 高齢者の自立した生活への支援

(1) 生活支援サービスの充実

(2) 多様な住まいの確保

(3) 介護サービス基盤の整備

2 障害者の自立生活への支援

(1) 相談・サービス提供体制の整備

(2) 自立支援サービスの充実

(3) 就労支援の推進

(4) 住まいの確保

基本

理念

寿

Page 24: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

22

基本

理念

寿

3 生活困難・要支援者のためのセーフ

ティネットの充実

(1) 支援・相談体制の整備

(2) 自立支援の推進

(3) 住まいの確保

(4) 社会的居場所の確保

4 子育ち・子育てへの支援

(1) 子育て家庭への支援

(2) 地域における子育ちの支援

5 サービスの質の向上

(1) 事業者指導・監査の充実

(2) サービス評価の充実

(3) 苦情解決制度の充実

(4) 介護・福祉従事者の専門性の向上

1 健康づくりの推進

(1) 「健康めぐろ21」の推進

(2) 健康づくりのための生涯にわたるス

ポーツ活動の推進

(3) 心身の健康をつくるみどりの整備

2 こころと身体の健康づくり

(1) 親子の健康づくりの推進

(2) 児童・生徒の健康づくりの推進

(3) 成人期・高齢期の健康づくりの推進

(4) 公害保健対策の充実

(5) こころの健康づくり支援

(6) 難病医療対策の充実

3 安全で快適な生活環境づくり

(1) 地域医療・保健体制の推進

(2) 医薬品等の安全の確保

(3) 快適な生活環境の確保

(4) 食品の安全・安心の確保

(5) 動物の適正飼育の推進

4 健康危機管理対策の推進

(1) 健康危機管理体制の整備・充実

(2) 感染症への対応

(3) 災害時への対応

第3節 健康で安心して暮

らせるまちづくり

Page 25: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

23

第3章 地域保健福祉を推進する施策

第1節 地域福祉・地域包括ケアの推進

1 地域包括ケアの推進

【現 状】

地域包括ケアシステムとは、さまざまな生活課題を持つ人やその家族に対し、フォーマル

(公的な介護・福祉等のサービス)およびインフォーマル(ボランティア・NPOの活動、

地域住民の支え合い)のさまざまな地域資源を統合し、包括的に支援を行う仕組みです。

区では、平成5年 12 月に目黒区地域福祉計画を策定して以来、支援を必要とする区民に

必要なサービスを総合的に提供する仕組みの構築を目指し、各地区に保健福祉サービス事務

所を設置するなどの取り組みを進めてきました。その後、平成 12 年度の介護保険制度の実

施、平成 18 年度の介護保険制度改正による地域包括支援センターの創設などの状況変化を

踏まえ、平成 21 年4月には、保健福祉サービス事務所と地域包括支援センターを統合した

新たな地域包括支援センターを開設しました。現在、高齢者をはじめ支援を必要とするすべ

ての人を支える「地域包括ケアシステムの地域拠点」として、5か所の地域包括支援センタ

ーが運営されています。

また、地域全体で高齢者を支える取組みとして、次の各施策を実施しています。

○医療と介護の連携の推進(主治医と介護支援専門員の連携促進など)

○認知症の人と家族の支援(認知症サポーター(※)の養成、認知症支援ボランティアの育成、

認知症相談と医療の連携の推進など)

○家族介護者への支援(「介護者の会」を北部・南部地区では平成 22 年度、東部・中央・西

部地区では平成 23 年度に立ち上げ、併せて介護者応援ボランティアを養成)

○地域における高齢者見守りの推進(高齢者見守りネットワーク「見守りめぐねっと」を平

成 21 年度から、ボランティアによる高齢者見守り事業を西部地区では平成 21 年度、北

部地区では平成 22 年度、東部・中央地区では平成 23 年度から、それぞれモデル実施)

○介護予防の推進(平成 18 年度から、一般の高齢者を対象に介護予防の普及啓発などを行

う「一次予防事業」、要支援・要介護状態になるおそれの高い高齢者を対象とした「二次予

防事業」を実施)

○権利擁護(※)の推進(成年後見ネットワークによる親族後見人等への支援、後見人受任候補

者の登録制度の実施、社会貢献型後見人<市民後見人>の養成、高齢者虐待の防止など)

※認知症サポーター:「認知症を正しく理解し、認知症の人や家族を支える応援者」として、全国

で養成が進められているもの。1時間半程度の養成講座を受けてサポーターとなる。何か特別

のことをするのではなく、日ごろの生活や仕事の中で温かく見守ることが基本的な役割とされ

ている。

※権利擁護:高齢や障害などのため自分で判断することが不十分な人に代わって、援助者が代理

Page 26: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

24

として、財産管理や契約行為などの権利行使や必要なサービスの獲得を支援し、実現すること

をいう。

【課 題】

平成 24 年度の介護保険制度改正では、今後の急速な高齢化の進行、単身・高齢者のみ世

帯の増加、医療ニーズの高い要介護者の増加などに対応し、高齢者が住み慣れた地域で安心

して暮らし続けることができるように、「医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスを一

体的に提供する地域包括ケアシステム」を構築するものとしています。平成 22 年度に本区

が実施した「高齢者の生活に関する調査」(以下「高齢者調査」という。)では、自分自身が

介護が必要になった場合、高齢者の 64%が「自宅で暮らしたい」としており、これに高齢

者向け住宅、グループホーム、介護付き有料老人ホームでの生活を選択した人を含めると、

78%が地域で生活を続けることを望んでいます。本区においても、このような区民意識と地

域の実情を踏まえ、地域包括ケアの一層の推進を図ることが求められます。

地域包括支援センターについては、地域包括ケアシステムの地域拠点として、地域のネッ

トワークを構築し、さまざまな地域資源の連携をコーディネートしていく機能を強化する必

要があります。

医療と介護の連携については、医療ニーズの高い要介護者が安心して在宅での生活を続け

られるよう、在宅療養の総合的な推進に取り組むことが課題です。

認知症の人と家族への支援では、医療との連携を含めた相談支援体制の充実を図るととも

に、認知症サポーターなどのインフォーマルな地域資源の育成と活用に取り組む必要があり

ます。

家族介護者への支援については、平成 22・23 年度に各地区で立ち上げた「介護者の会」

への支援を中心に、介護者相談や交流・学習機会の充実を図っていく必要があります。

地域における高齢者の見守りに関しては、「高齢者調査」の結果によると、「日常生活の中

で周囲から孤立していると感じることがある」人が 13%おり、また、ボランティアによる

見守り事業を「利用したい」人は6%、「将来利用したい」人は 44%となっています。この

ような状況から、高齢者を孤立させず、地域全体で見守っていくための取組みを進める必要

があり、平成 21 年度以降の高齢者見守りネットワークやボランティアによる高齢者見守り

事業の実施状況などを踏まえて、高齢者見守り施策の総合的な推進に取り組むことが課題で

す。

介護予防の推進では、二次予防事業における対象者の的確な把握と事業参加率の向上によ

り、生活機能低下の早期発見と早期対応を図ることが課題です。また、一次予防事業を含め、

介護予防事業への参加後、日常生活の中で介護予防への取り組みを継続できる仕組みづくり

が必要とされています。

権利擁護の推進については、成年後見制度の周知により利用の促進を図るとともに、今後

の利用者の増に対応するために後見人の担い手を確保していくほか、引き続き高齢者虐待の

防止に取り組む必要があります。

Page 27: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

25

【施 策】

(1)地域包括ケア推進体制の整備

地域包括ケアを推進していくためには、地域包括支援センターが、総合相談支援業務や包

括的・継続的ケアマネジメント業務において、さまざまな地域資源をコーディネートする役

割を十分に果たしていく必要があります。

<計画事業>

①地域包括支援センターの機能強化:《新規・重点》(地域ケア推進課)

地域包括支援センターが、地域包括ケアシステムの中核機関としての役割を的確に果たし

ていけるように、さまざまな地域資源のネットワークを構築し、連携をコーディネートして

いく機能を強化します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

地域包括支援センターの

運営(5か所)

・地域連携コーディネーター

の配置

・認知症支援コーディネータ

ーの配置

継続

(2)在宅療養の推進

地域包括ケア推進の一環として、在宅の要介護者などの医療ニーズに的確に応えていくた

めには、医療のみならず介護や生活支援などを含めた「在宅療養の推進」の視点に立った取

り組みが必要です。

このため、在宅療養に関わる関係者による推進組織として、在宅療養推進協議会(仮称)

を設置し、同協議会において、本区における諸課題を明らかにした上で、在宅療養支援窓口

の設置や後方支援病床の確保のあり方などを検討し、逐次、施策を実施していきます。

これらに併せて、在宅療養に関する普及啓発や研修の事業などを実施していきます。

<計画事業>

①在宅療養施策の総合的推進:《新規・重点》(地域ケア推進課・健康推進課)

医療ニーズの高い要介護者などが安心して在宅での生活を続けられるように、在宅療養の

推進に係る施策を総合的に実施します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

主治医と介護支援専門員

の連携の推進、訪問看護

ステーションへの支援な

・在宅療養推進協議会(仮称)

の設置

・推進施策の総合的な検討と

実施

継続

Page 28: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

26

(3)認知症の人と家族への支援の推進

認知症サポーターの養成やボランティア活動の支援などを継続し、認知症の人と家族を支

える地域の基盤づくりとして普及啓発を推進するとともに、インフォーマルな地域資源の育

成と活用に取り組みます。

認知症の相談支援体制を充実するため、ネットワーク構築や介護支援専門員等への支援な

ど、地域包括支援センターにおける認知症支援において中心的な役割を担う「認知症支援コ

ーディネーター」を各包括支援センターに配置するとともに、目黒区医師会の「認知症連携

パス」などとの連携も図りながら、認知症相談と医療の連携を推進します。

また、高齢者とは異なる固有の問題を抱える若年性認知症について、相談支援体制を整備

していきます。

<計画事業>

①認知症の人と家族への支援の推進:《重点》(地域ケア推進課)

認知症になっても安心して暮らせる地域づくりを進めるために、インフォーマルな地域資

源の育成と活用、医療との連携の推進など、さまざまな地域資源のネットワーク化を進めて

いきます。

計画(平成24年~28年度)現況

(平成23年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

普及啓発、認知症サポー

ターの養成、ボランティ

ア活動の支援、認知症相

談と医療の連携会議

・認知症支援コーディネータ

ーの配置

・ボランティア活動支援の推

・医療との連携の推進

・若年性認知症の相談支援体

制の整備

継続

(4)家族介護者への支援の推進

平成 22・23 年度に各地区で立ち上げた「介護者の会」について、介護者応援ボランティ

アが参加した会の運営方法を軌道に乗せるとともに、介護者が参加しやすい環境の整備や会

のネットワーク化などにより、充実を図っていきます。

また、「介護者の会」とも連携させて、地域包括支援センターや訪問保健相談での介護者相

談を充実させていきます。

Page 29: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

27

<計画事業>

①介護者の交流・学習機会の充実:《重点》(地域ケア推進課)

家族介護者の負担を軽減するため、各地区の「介護者の会」への支援を中心に、介護者同

士の交流の機会、介護について学習する機会を充実させます

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成23年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

「介護者の会」の立ち上

げ・運営支援、認知症家

族会への支援、家族介護

教室

・「介護者の会」のネットワ

ーク化

・介護者応援ボランティアの

養成

継続

②介護者相談の充実:《重点》(地域ケア推進課)

家族介護者が自分だけで問題を抱え込まないように、介護者に対する相談支援体制の充実

を図ります。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

地域包括支援センターな

どによる相談支援、訪問

保健相談事業による介護

者支援

「介護者の会」と連携した介

護者相談の充実

継続

(5)地域における高齢者の見守りの推進

平成 24 年度には、ボランティアによる高齢者見守り事業を南部地区を含む全地区で実施

し、本格実施に移行します。高齢者見守りネットワークでは、地域包括支援センターへの「地

域連携コーディネーター」の配置により、各地区でのネットワークづくりの体制を充実させ

ます。

さらに、平成 24 年度中に、これまでの高齢者見守りネットワーク及びボランティアによ

る高齢者見守り事業などの実施状況を踏まえて、今後の高齢者見守り施策のあり方について

全般的な検討を行います。その検討結果に基づき、平成 25 年度以降、高齢者見守り施策を

総合的に推進していきます。

Page 30: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

28

<計画事業>

①地域における高齢者の見守りの推進:《重点》(地域ケア推進課・高齢福祉課)

高齢者が地域で安全・安心に暮らし続けられるように、地域全体で高齢者を見守る体制を

構築していきます。そのために、地域包括支援センターの取組み体制の整備を図るとともに、

今後の高齢者の見守りのあり方を総合的に検討し、体系的に施策を実施していきます。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

高齢者見守りネットワー

ク、ボランティアによる

高齢者見守り事業(北

部・東部・中央・西部地

区でモデル実施)、ひとり

ぐらし等高齢者登録、電

話訪問などの安否確認事

・地域連携コーディネーター

の配置

・ボランティアによる高齢者

見守り事業を南部地区を

含む全地区で実施

・高齢者見守り施策の総合的

な検討と実施

継続

(6)介護予防の推進

要支援・要介護状態になるおそれの高い高齢者を対象とする二次予防事業については、対

象者の的確な把握、参加勧奨の推進、参加者のニーズに合った教室の開催などにより、事業

成果の向上を図っていきます。

一般の高齢者を対象とする一次予防事業を含め、事業参加後、日常生活の中で継続的に介

護予防に取り組めるよう、健康づくり、スポーツなどの各種施策との連携も図りながら、さ

まざまな地域資源の活用促進や地域におけるネットワークづくりなどを進めていきます。

<計画事業>

①二次予防事業の効果的な実施:《重点・数値》(地域ケア推進課)

生活機能の低下の早期発見と早期対応を図るため、対象者の把握方法の改善、参加勧奨の

推進、参加者のニーズに合った教室の開催などにより、二次予防事業を効果的に実施してい

きます。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

区健診に併せて生活機能

評価を実施して対象者を

把握

自立高齢者に対する基本

チェックリスト実施率約

50%

二次予防事業対象者に対

・基本チェックリスト郵送方

式による対象者把握への移

行。(自立高齢者に対する基

本 チ ェ ッ ク リ ス ト 実 施 率

60%)

・事業参加率向上策の実施。

(二次予防事業対象者に対

継続

Page 31: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

29

する事業参加率約 13% する事業参加率 17%)

②多様な地域資源を活用した介護予防の推進:(継続)(地域ケア推進課)

高齢者が日常生活の中で継続的に介護予防に取り組むことができるように、健康づくり、

スポーツなどの各種施策とも連携し、多様な地域資源を活用した介護予防を推進します。

計画(平成24年~28年度)現況

(平成23年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

一般高齢者を対象とした

普及啓発講座、介護予防

通信の発行、地域活動団

体への支援、体育館ガイ

ドツアーなど

日常生活の中で介護予防に

取り組む高齢者を増やす。

(充実)

継続

(7)権利擁護事業の推進

認知症や知的障害、精神障害などにより判断能力が不十分な方が地域で安心して生活する

ことができるよう、権利擁護事業を充実し、強化を図る必要があります。社会福祉協議会が

地域包括支援センターとの連携のもと福祉サービスの利用援助や日常金銭管理サービスを行

う日常生活自立支援事業や、家庭裁判所から選任された後見人が、財産管理や日常生活の手

続きなどを本人に代わって行い、本人の権利と財産を守る成年後見制度利用支援事業の充実

を図ります。特に、成年後見制度の利用促進のため、社会貢献型後見人(市民後見人)の養

成を行い、後見人の担い手の確保に努めていきます。

高齢者虐待の防止については、高齢者見守りネットワークなど地域の目による早期発見及

び関係機関が連携した的確な対応をさらに推進するとともに、家族介護者を支援する施策の

充実により発生の予防を図っていきます。

<計画事業>

①成年後見制度の充実:《重点・数値》(健康福祉計画課)

認知症や知的障害、精神障害などにより判断能力が不十分な方のために、財産管理、身上

監護を支援する成年後見制度の利用促進を図るため、社会貢献型後見人(市民後見人)の養

成を行い、後見人候補者を確保します。

計画(平成 24 年度~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

社会貢献型後見人候補者

を募集し、養成を行って

いる(登録者数 10 人)

社会貢献型後見人候補者の

登録者を新たに9人増加す

社会貢献型後見人候補者の

登録者を新たに6人増加す

②高齢者虐待防止の推進:《継続》(地域ケア推進課)

高齢者の尊厳ある生活を守るために、高齢者虐待の早期発見と高齢者及び介護者に対する

的確な支援を推進します。

Page 32: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

30

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

普及啓発、関係者地区研

修会、高齢者虐待対応マ

ニュアル、対応力向上職

員研修

高齢者虐待の早期発見と関

係機関の連携による的確な

対応を推進する。

継続

Page 33: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

31

2 地域における新たな支え合いの仕組みづくり

【現 状】

所在不明の高齢者や孤立死が大きな社会問題として取り上げられる昨今、家族や地域の支

え合いの機能の低下が顕在化しています。区が実施した「高齢者調査」では、一人暮らし世

帯が 21%、65 歳以上の夫婦のみの世帯が 34%を占めており、隣近所との交流については

9%の人が「ほとんどつきあいがない」と答えています。人と話す頻度が「1週間に1回以

下」という人が 2%おり、区全体の人数から換算すると、約 1000 人の高齢者が日常的な会

話がほとんどない生活を送っていることになります。

このような中、地域から孤立して必要なサービスを受けていない人や公的サービスでは対

応が難しく、各種制度の谷間にあるなど、現行の仕組みでは対応しきれない生活課題を抱え

ている人への対応が必要となっています。一方で、東日本大震災を契機に家族や地域の絆の

大切さが再認識され、ボランティア活動への関心が高まってきました。このような傾向は住

民を主体とした新たな支え合いの仕組みづくりの推進力となると考えられます。

現在、地域包括支援センターでは、地域で孤立しがちな高齢者やその家族等の個別の相談

を受け、さまざまな地域資源をコーディネートして包括的な支援を行い、地域のネットワー

クづくりにも取り組んでいます。このような取組みの中で民生委員が果たす役割は従来より

増しており、支援が必要な高齢者などを地域包括支援センターにつなげ、センターと連携し

た地域の中での継続的な支援が日常的に行われています。

また、住民による支え合いの取組みとして、地域での見守りの気運を高めるための「高齢

者見守りネットワーク(見守りめぐねっと)」、高齢者を近隣の方がボランティアとして見守

る高齢者見守り事業、ミニデイサービス・ふれあいサロン(※)などによる地域の居場所づくり

など、さまざまな活動が行われています。

区では、地域活動の担い手となる「ふれあいサポーター」や、認知症の人や家族を地域で

見守る応援者となる「認知症サポーター」の養成、介護者同士の支え合いの活動への支援に

取り組み、認知症サポーターが地域で交流の場をつくり活動する事例も出てきています。

住民による福祉活動を支援している社会福祉協議会では、「めぐろボランティア・区民活動

センター」でボランティア活動の相談、登録、活動の紹介・調整、ボランティアの育成を行

うとともに、ボランティア情報検索サイトを立ち上げ情報提供機能を強化しています。また、

住民参加型の会員制福祉サービスに加え、平成 23 年 10 月から高齢者や障害をもつ人の日

常的な困りごと(電球の取り換えなど)に対応するサービスも始めています。

※ミニデイサービス・ふれあいサロン:高齢者や障害をもつ人が、身近な地域で気軽に一緒に楽

しめるように、ボランティアが企画・運営する集まり。

【課 題】

だれもが地域社会で安心して暮らせるための地域のセーフティネットとして、住民同士の

相互の信頼関係や協力関係によって「地域の力」を築き、区民、ボランティア、NPO、専門機

関、行政が協働する新たな支え合いの仕組みが求められています。併せてボランティアなど

Page 34: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

32

支え合いの担い手を確保・育成すること、特に高齢者の生きがいづくりの視点も含め、その

活力や能力を積極的に活用することが必要です。地域で活動する個人や多様な組織が、対等

な関係を築き、地域の課題解決にあたれるよう、情報提供や研修などの環境整備も必要です。

今後、一人暮らしや認知症の高齢者がさらに増えることが見込まれる中で、地域における

新たな支え合いの仕組みづくりを進めていくためには、地域包括支援センターと社会福祉協

議会との間で連携を強化し、役割分担を整理して取り組む必要があります。

また、支え合う地域社会をつくるためには子どもの時からの教育が大切であり、教育委員

会や地域住民組織が連携して、地域で大人と子どもが一緒に活動、交流する機会を拡大する

必要があります。

町会・自治会・住区住民会議等の地域住民組織は、地域において住民の生活を多くの面で

支えている重要な役割を担う団体であり、地域での様々な活動に有機的につながっていくこ

とが期待されています。地域における住民の福祉活動を、地域の住民組織が関わって運営・

実施する仕組みについて、災害時要援護者の避難支援体制の整備など地域における防災のた

めの組織づくりと関連させて、検討する必要があります。

【施 策】

(1)地域における支え合いのコーディネート機能の充実

地域の中でさまざまな生活課題を抱える人々を現実的に支える仕組みをつくっていくため

には、支援が必要な人の具体的なニーズを把握し、地域住民等による活動も含めて地域の福

祉資源をコーディネートしていくことが求められます。

そのために、次のように地域包括支援センターと社会福祉協議会との役割分担を整理し連

携を図っていきます。

個別支援のコーディネートや、介護保険事業者、医療機関、民生委員、ボランティアなど

のフォーマル及びインフォーマルな地域資源を連携させるコーディネートは、地域包括支援

センターが主に担うものとし、その充実を図るために「地域連携コーディネーター」及び「認

知症支援コーディネーター」を各センターに配置します。

社会福祉協議会は、専門性を生かしたコミュニティソーシャルワーク(※)の機能を発揮して、

地域包括支援センターや民生委員の協力を得ながら、地域住民やボランティア、NPO等に

よる支援活動をコーディネートしていくことが期待されます。

具体的には、社会福祉協議会の「めぐろボランティア・区民活動センター」が、活動の担

い手と受け手を結びつけて効果的な支援を行うコーディネート機能を強化するために、調整

というこれまでの役割を越えて、地域に出向いてニーズを発掘してボランティアを募集し、

また住民に働きかけて活動をつくっていくマネジメントを行うことが求められます。

区は、社会福祉協議会によるこのようなコーディネート機能の充実のため、「めぐろボラン

ティア・区民活動センター」の運営を支援し、地域包括支援センターおよび民生委員との密

接な連携を図っていきます。

※コミュニティソーシャルワーク:地域で生活上の課題を抱えている人のニーズを把握し、その

解決に必要なサービスや支援を明らかにして個別援助をマネジメントするとともに、地域住民

Page 35: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

33

や関係機関と連携を図り、地域の福祉力の向上を図る活動。

<計画事業>

①地域包括支援センターの機能強化:《新規・重点》(地域ケア推進課)<再掲>

地域包括支援センターが、地域包括ケアシステムの中核機関としての役割を的確に果たし

ていけるように、さまざまな地域資源のネットワークを構築し、連携をコーディネートして

いく機能を強化します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

地域包括支援センターの

運営(5か所)

・地域連携コーディネーター

の配置

・認知症支援コーディネータ

ーの配置

継続

②めぐろボランティア・区民活動センターへの支援:≪継続≫(健康福祉計画課)

社会福祉協議会が地域住民やボランティア、NPO等による支援活動をコーディネートす

る機能を充実させるため、「めぐろボランティア・区民活動センター」の運営を支援します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

「めぐろボランティア・区

民活動センター」において

ボランティア活動の相談、

登録、活動の紹介・調整、

ボランティアの育成を実施

コーディネート機能の充実

を支援継続

(2)地域における支え合い活動の充実

高齢者が地域で孤立することがないよう、地域住民による高齢者の見守り活動を推進して

いく必要があります。平成 24 年度に予定している高齢者見守り施策のあり方の全般的な検

討の中で、住区住民会議や町会・自治会などの地域団体と連携した見守り施策の推進につい

て検討を行います。

また、社会福祉協議会やNPO等と連携して、閉じこもりがちな高齢者の居場所づくりや

多世代の交流の場づくりを進めるとともに、認知症サポーターなどの人材が主体的に活躍で

きる場の提供や活動づくりに取り組みます。

高齢者や障害をもつ人の日常のちょっとした困りごとを手助けする制度や、ボランティア

等支え合いの担い手の確保、人材の育成、ボランティア・NPO等のネットワークづくりに

ついて、社会福祉協議会への支援により充実を図ります。

<計画事業>

①地域における高齢者の見守りの推進:《重点》(地域ケア推進課・高齢福祉課)

Page 36: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

34

<再掲>

高齢者が地域で安全・安心に暮らし続けられるように、地域全体で高齢者を見守る体制を

構築していきます。そのために、地域包括支援センターの取組み体制の整備を図るとともに、

今後の高齢者の見守りのあり方を総合的に検討し、体系的に施策を実施していきます。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

高齢者見守りネットワー

ク、ボランティアによる

高齢者見守り事業(北

部・東部・中央・西部地

区でモデル実施)

・地域連携コーディネーター

の配置

・ボランティアによる高齢者

見守り事業を南部地区を

含む全地区で実施

・高齢者見守り施策の総合的

な検討と実施

継続

②認知症の人と家族への支援の推進:《重点》(地域ケア推進課)<再掲>

認知症になっても安心して暮らせる地域づくりを進めるために、インフォーマルな地域資

源の育成と活用、医療との連携の推進など、さまざまな地域資源のネットワーク化を進めて

いきます。

計画(平成24年~28年度)現況

(平成23年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

普及啓発、認知症サポー

ターの養成、ボランティ

ア活動の支援

・認知症支援コーディネータ

ーの配置

・ボランティア活動支援の推

継続

③世代間交流事業の推進:《継続》(高齢福祉課・保育課)

老人いこいの家や保育園等で実施している地域交流会などにおいて、高齢者と保育園児や

小学生等、多世代の交流を図る事業を推進します

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

老人いこいの家や保育

園等で、世代間交流イ

ベント等を実施

継続 継続

Page 37: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

35

3 災害時要援護者支援の推進

【現 状】

これまで各地で発生した風水害や地震では、犠牲者の大半が65歳以上の高齢者であり、

平成7年の阪神・淡路大震災及び平成 23 年3月の東日本大震災の教訓からも、災害時に自

力では迅速な避難行動をとることが困難な高齢者や障害者などの災害時要援護者に対する避

難支援対策が重要課題となっています。

区が実施した「高齢者調査」では、優先的に取り組むべき施策として 17%の人が災害時

の避難支援をあげています。平成 22 年度に実施した「目黒区障害者計画のためのアンケー

ト調査」(以下「障害者アンケート」という。)では、29%の人が「災害時に1人で避難でき

ない」、47%の人が「災害時に近所に助けてくれる人がいない」状況にあり、災害時の支援

としては、半数の人が「避難所への誘導」や「障害者に配慮した避難所運営」をあげていま

す。このことから災害時要援護者に対する災害時や非常事態における安全な避難が求められ

ています。また、避難所における対応等については、災害時要援護者の心身の状態に応じた

個別のスペースの用意や二次避難所(福祉避難所)の早急な開設などさまざまな要望が寄せ

られています。

区では地域防災計画に基づき、特別養護老人ホーム、心身障害者センターなどを二次避難

所(福祉避難所)として指定しています。また災害時要援護者への対策として対象者を特定

して名簿を作成し、災害発生時の安否確認等に備えています。さらに地域における共助とし

て、要援護者の避難を支援する体制づくりを進めています。現在、モデル地域を設定し、こ

の取組みに同意した要援護対象者について、地域の住民組織が民生委員とも協力して避難支

援者を決め、要援護者を訪問して配慮事項を聞き取るなど、災害時に備えた取組みを始めた

ところです。併せて地域における防災に係る研修や訓練も実施しています。

【課 題】

災害時に要援護者が安全に避難し、安心して避難生活を送るためには、事前の備えに関す

ることがらの周知や対策、災害時の情報伝達手段、避難所における要援護者への支援、二次

避難所(福祉避難所)における対応などを具体的に検討することが必要です。

また、これまでの地震等の災害で、第一次的に安否確認や避難支援が行われたのは9割以

上が地域の人々の手によるものでした。避難支援に関しては、「自助」「公助」とともに「共

助」が要となり、地域における避難支援体制の整備を住民とともに進めることが必要で、避

難支援体制づくりのモデル地域での実施状況を検証し、実施地域を順次拡大していくことが

肝要です。そのためには、避難所運営を担う単位での対応が求められることから、住区住民

会議、町会・自治会、PTAなどが参加してつくる地域の防災のための組織づくりを働きか

ける必要があります。さらに地域防災力の向上のためには、地域で核となるリーダーの育成

や各組織の連携促進が課題となっています。

Page 38: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

36

【施 策】

(1)災害時要援護者の避難支援対策

要援護者が災害時に安全に避難するためには、地域の住民の協力を得ることが不可欠です。

要援護者をあらかじめ特定し把握した上で、地域の住民の協力により一人ひとりの要援護者

について、誰がどこに避難させるかを決めるなどの災害時要援護者避難支援体制づくりを進

めます。モデル地域における実施状況の検証を踏まえて、実施する地域の拡大を図っていく

ために、住民組織への働きかけや支援を行っていきます。

<計画事業>

①災害時要援護者避難支援体制の整備:《重点》(防災課・健康福祉計画課)

災害時に自力では迅速な避難行動を取ることが困難な高齢者や障害者で避難支援が必要と

なる要援護者をあらかじめ特定し、地域の方の協力により、一人ひとりの要援護者について、

避難支援の体制を整備します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

田道住区をモデル地域

として実施実施地域の拡大 実施地域の拡大

(2)避難所における支援方策の確立

要援護者が避難所において健康で安心な生活を送るためには、施設整備、情報提供・コミ

ュニケーション手段の確保、相談窓口の設置など、さまざまな配慮、対策が必要です。避難

所での対応にも活用できる災害時要援護者防災マニュアルを整備するとともに、人的、物的

な支援の対策を具体的に検討していきます。また二次避難所(福祉避難所)に指定されてい

る施設と避難所運営のために必要な協議を進めます。併せて避難所の開設・運営に係る訓練

を行うなどして、地域における防災力の向上を図ります。

<計画事業>

①避難所における要援護者対策の整備:《重点》(防災課・健康福祉部各課)

災害時に要援護者が安心して避難所で生活できるよう、具体的な対策を検討、整備します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

避難所における配慮事

項など課題について検

討、整備(要援護者の

食糧、大人用オムツ、

粉ミルク)

避難所における災害時要援

護者対応のためのマニュア

ル作成、および必要な資機材

等の整備の推進

継続

Page 39: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

37

②災害時要援護者防災行動マニュアルの作成:《新規》(健康福祉部各課・防災課)

災害時に備えた要援護者別の行動マニュアルを作成します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

防災行動マニュアルの

中に一部掲載

災害時要援護者防災行動マ

ニュアルの検討・作成普及

Page 40: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

38

4 多様な社会参加・地域交流の促進

【現 状】

高齢者の仲間入りをした団塊の世代の多くが職場から地域社会へ戻ってきており、生きが

いを求め、自主的・主体的な福祉活動や学習・趣味活動等に積極的に参加している人々がい

ます。「高齢者調査」の結果によると、「町会・自治会、住区住民会議の活動」や、「趣味やス

ポーツなどのサークル」等の活動に参加している人が 22%います。活動に参加していない

高齢者は 73%となっていますが、そのうち 32%の人は、地域活動への参加意向を持ってお

り、何らかのきっかけをつくることにより、参加を促進できると考えられます。

区では、団塊の世代や元気な高齢者の地域参加を促すなど地域活動の担い手となる「ふれ

あいサポーター」の養成講座等を実施してきました。また高齢者の身近な活動拠点である老

人いこいの家では、地域交流会において、高齢者と小学生、地域住民との世代間交流を実施

しています。

障害をもつ人が、区内の福祉施設や民間作業所などにおいて、その人の適性や能力に応じ

て働くことができるよう福祉的就労の場や日中活動の場を提供し、社会参加と自立を促進し

ています。また、地域活動支援センターでは、創作活動の機会や、社会との交流の機会を提

供することなどにより、障害をもつ人の地域生活を支援しています。

【課 題】

高齢者は単に支えられる存在ではなく、心身ともに若さを保ちながら社会で活躍する人が

今後、増えてくると考えられます。しかし、高齢者の活力や能力が十分に活用されていない

状況があり、高齢者が持つ豊かな知識・技術・経験を充分に地域の中で生かせる機会や場の

提供が求められています。身近なところで、学習や趣味活動、またボランティアなどの地域

活動に参加しやすい環境を整備することが必要です。

また、家に閉じこもりがちな人が外出して、会話をし、きちんと食事をすることが一番の

介護予防にもなるため、ミニデイサービス・ふれあいサロンなどの交流の場を増やすことを

検討し、孤立しがちな人に参加を促していく必要があります。

老人いこいの家は、これまでの老人クラブの活動や地域の高齢者の生きがい活動や健康づ

くりなどの拠点としての機能に加え、地域の人たちが気軽に立ち寄り、集える交流の場、居

場所としての機能を拡充していくことが課題です。

障害をもつ人が社会参加を通して得られるさまざまな人々との交流は生活の豊かさをもた

らします。障害をもつ人が地域の中で積極的に社会参加できるよう、そのニーズや適性等に

応じて活躍できる場の整備が必要です。また、社会参加するための障害特性に配慮したコミ

ュニケーションや移動等に対する支援が求められています。

このような交流の場は、高齢者、障害者など対象を限定することなく、子どもも含めてさ

まざまな人々が集い、その人らしく過ごせる居場所となるように工夫し充実していくことが

大切であり、世代を越えて人々が交流できる場や機会を整備していくことが必要です。

Page 41: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

39

【施 策】

(1)高齢者の社会参加の促進・就労への支援

団塊の世代を含めた元気な高齢者が、地域活動や健康づくりの活動などを通じて、仲間を

作り生きがいを持てるよう、必要な情報を提供して活動への参加を支援します。また、高齢

者が介護保険施設等でボランティア活動を行った場合、「ポイント」が得られる仕組みをつく

り、社会参加を促進します。

併せて、地域活動の担い手となる「ふれあいサポーター」が地域で自主的に活動していく

ために必要な情報提供等を行っていきます。

老人いこいの家については、いこいの家を活動の拠点とする地域の老人クラブの活動に対

し、自主性を尊重しながら健康増進・介護予防、教養の向上などの生きがいづくり、仲間づ

くり、地域交流活動の活性化に向けた支援を行うとともに、利用者の高齢化に伴って増加す

る身体的に支援が必要となる人や初期の認知症の人に対する取り組みを進めます。さらに地

域の人たちが気軽に立ち寄り、集うことができる交流の場、居場所としての機能を拡充しま

す。

また就労機会の充実を図るため、シルバー人材センターやワークサポートめぐろの活用な

どにより、意欲と能力のある高齢者が、これまでの知識や経験を生かして多様に働くことの

できる機会を確保します。

<計画事業>

①高齢者ボランティア活動支援事業:《新規》(健康福祉部関係各課)

元気な高齢者のボランティア活動への参加を促進し、健康増進や介護予防に役立てるため、

高齢者が介護保険施設等でボランティア活動を行った場合、「ポイント」が得られる仕組みを

つくります。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

未実施 検討・実施 継続

②各種講座の開催:《継続》(生涯学習課)

中高年の人が単に趣味を楽しみ技術を身につけるだけでなく、地域活動や仲間づくりのき

っかけとなるような社会教育講座を実施します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

中高年や男性を対象と

した社会教育講座を実

年間1~2講座開催 継続

Page 42: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

40

③老人クラブ活動への支援:《継続》(高齢福祉課)

老人いこいの家を活動の拠点とする地域の老人クラブの活動に対し、自主性を尊重しなが

ら、高齢者の健康増進・介護予防、教養の向上などの生きがいづくり、仲間づくり、地域交

流活動の活性化に向けた支援を行います。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

44 クラブへの支援。老

人クラブ連合会への支

継続 継続

④老人いこいの家の機能の充実:《継続》(高齢福祉課)

老人クラブの活動の拠点として、また、地域の高齢者の生きがい活動や健康づくりなどの

拠点としての役割に加えて、地域の人たちが気軽に立ち寄り、集うことができる交流の場、

居場所としての機能を拡充します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

区内 25 箇所の施設に

おいて、各種講習会、

ふれあい交流会、地域

交流会等を実施

対象者等の拡大 継続

⑤シルバー人材センターへの支援:《継続》(健康福祉計画課)

働く意欲と能力のある、おおむね 60 歳以上の高齢者を対象に就業を提供し、いきがいづ

くりや地域社会への参加を促進している目黒区シルバー人材センターの運営を支援します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

目黒区シルバー人材センタ

ーにおいて、臨時的、短期

的な就業又は軽易な業務に

係る就業機会の開拓及び提

供を実施

継続 継続

⑥就労相談の実施《継続》(産業経済課)

高齢者を対象に就労相談を実施します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

「ハローワーク相談室」と

「キャリア相談コーナー」継続 継続

Page 43: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

41

からなる「ワークサポート

めぐろ」において、就労相

談を実施

(2)障害者の社会参加の促進

視覚や聴覚に障害をもつ人など障害特性に合わせたコミュニケーション手段による情報提

供を充実させるとともに、屋外での移動が困難な障害をもつ人が外出するためのガイドヘル

パー派遣など移動支援事業を推進します。

また、平成 23 年8月にスポーツ基本法が施行され、障害者が自主的かつ積極的にスポー

ツを行うことができるよう、障害の種類及び程度に応じ必要な配慮をしつつ推進することが

明記されました。区では、障害をもつ区民が身近な地域でスポーツ活動を継続して行うこと

ができるよう条件整備を行い、障害者のスポーツの推進を図っていきます。

<計画事業>

①手話通訳者の派遣:《継続》(障害福祉課)

聴覚障害や言語機能障害をもつ人が、健聴者との意思疎通を円滑にするため手話通訳者を

派遣します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

手話通訳者を派遣 登録手話通訳者を増加 継続

②移動支援事業《継続》(障害福祉課)

社会参加のための外出時の移動を支援するため、ガイドヘルパーを派遣します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

ガイドヘルパーを派遣 継続 継続

③障害の特性に配慮したスポーツ事業の実施:《継続》(スポーツ振興課)

障害をもつ区民が区立体育施設でスポーツ活動を行えるよう、スポーツ事業を実施します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

障害をもつ区民を対象

としたスポーツ事業の

実施

区立体育施設において障害を

もつ区民に配慮したスポーツ

事業を実施

継続

Page 44: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

42

④障害者スポーツ指導員(初級)の養成:《継続》(スポーツ振興課)

障害をもつ区民が安心してスポーツ活動に参加できるよう、障害者スポーツ指導員の養成

を行います。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

障害者スポーツ指導員

(初級)養成研修会の

実施

障害者スポーツ指導員(初級)

養成研修会の実施 年1回継続

(3)ふれあい・交流の場の拡充

地域活動、学習活動や文化、スポーツ活動を通じて、子どもから高齢者までの世代間の交

流の機会を充実していきます。

老人いこいの家を、従来の高齢者の生きがいづくり・健康づくり・仲間づくりの場、老人

クラブの活動の拠点としてだけでなく、地域に開かれた地域住民の居場所、交流の場として

の機能を拡充します。

また世代を超えた交流として、老人いこいの家や保育園等で実施している地域交流会にお

いて、高齢者と保育園児や小学生等、他の世代との交流を推進します。

高齢者や障害者などの生きがいづくり、閉じこもりの予防、寝たきりや認知症の予防、社

会的孤立感の解消を目的として、住民が自主的・主体的に運営するミニデイサービスやふれ

あいサロンの活動について、社会福祉協議会と連携し、活動場所の拡大やボランティアの派

遣などの支援に取り組みます。

<計画事業>

①老人いこいの家の機能の充実:《継続》(高齢福祉課)<再掲>

老人クラブの活動の拠点として、また、地域の高齢者の生きがい活動や健康づくりなどの

拠点としての役割に加えて、地域の人たちが気軽に立ち寄り、集うことができる交流の場、

居場所としての機能を拡充します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

区内25箇所の施設に

おいて、各種講習会、

ふれあい交流会、地域

交流会等を実施

対象者等の拡大 継続

Page 45: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

43

②世代間交流事業の推進:《継続》(高齢福祉課・保育課)<再掲>

老人いこいの家や保育園等で実施している地域交流会などにおいて、高齢者と保育園児や

小学生等、多世代の交流を図る事業を推進します

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

老人いこいの家や保育

園等で、世代間交流イ

ベント等を実施

継続 継続

③施設を活用した世代間交流事業の推進:《継続》(健康福祉部各課)

介護施設、福祉施設を活用した交流事業や、生徒・学生の施設見学・体験を実施します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

各福祉施設における地域交

流事業、介護施設への中学

生職場体験、実習生の見学

等の実施

各福祉施設における交流事

業、生徒・学生の施設見学・

体験の実施

継続

Page 46: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

44

5 福祉のまちづくり

【現 状】

区内で生活するすべての人が平等に社会参加でき、安全に暮らせるよう、ユニバーサルデ

ザインの視点に立ち、区立施設や民間建築物等のバリアフリー化を進めています。

また、「目黒区交通バリアフリー推進基本構想」に基づき、だれもが円滑に移動できる街を

実現するため、鉄道駅周辺をはじめとして駅と主要な公共施設や商業施設を結ぶ歩行空間の

バリアフリーネットワーク化を推進しています。

障害をもつ人に対する差別や偏見をなくすため、啓発や広報活動を行うとともに福祉教育

の推進を図るとともに、多くの人々との交流の場を通じて理解や認識が深まるよう、心のバ

リアフリーに向けた取り組みを進めています。

【課 題】

だれもが安全・安心かつ快適で健康に暮らすことができる街の実現を目指して、歩行者優

先を基本とした、道路の段差、歩道へのはみ出し看板や放置自転車などのない円滑な移動空

間を確保していくことが必要です。

鉄道駅舎の改良、バス・鉄道車両の改善、バス路線等の維持・拡大による利便性向上など、

利用しやすい公共交通機関の整備について交通事業者に要請していく必要があります。

住宅や店舗におけるバリアフリー化の促進、だれでもトイレの設置拡大など、安全・安心

で使いやすい施設づくりへの取り組みとともに、だれもが一人ひとりの人権を尊重し、障害

を正しく理解して、お互いに助け合いができるよう心のバリアフリーを推進していくことが

必要です。

【施 策】

(1)ユニバーサルデザイン、バリアフリー化の推進

あらゆる機会をとらえユニバーサルデザインの普及・啓発に努め、すべての人が安全に行

動できるよう、公共施設のバリアフリー化や歩行環境の整備を行うとともに、民間建築物等

や公共交通機関の整備について、民間事業者等関係者への働きかけを行い、福祉のまちづく

りを推進します。

<計画事業>

①区立施設の福祉環境整備:《継続》(関係各課)

「目黒区立施設福祉環境整備要綱」に基づき、だれもが建築物、公園等の区立施設を安全

で快適に利用できるよう整備し、福祉のまちづくりを推進します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

区立施設について要綱

の基準にあった新設、

増改修を実施

継続 継続

Page 47: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

45

②民間建築物等の整備促進:《継続》(建築課・障害福祉課)

病院、銀行、店舗、官公署などの公共的建築物及び共同住宅の整備については、東京都福

祉のまちづくり条例及び目黒区福祉のまちづくり要綱に基づき、指導や働きかけを行い、バ

リアフリー化を推進します。

計画(平成 24 年~28 度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

民間建築物等について

関係条例や要綱の基準

により福祉のまちづく

りを推進

継続 継続

③駅舎等の改善・公共交通車両の改善促進:《継続》(都市計画課・障害福祉課)

だれもが安全に鉄道、バス等の公共交通機関を利用できるように、駅舎・バス等の整備改

善、車両の改善について交通事業者に働きかけていきます。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

駅舎等の改善、公共交

通機関の整備について

交通事業者に働きかけ

等を実施

継続 継続

④交通のバリアフリー化の推進:《継続》(都市計画課・都市整備課)

「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー新法)」に基づい

て改定された交通バリアフリー推進基本構想に基づき、駅周辺地区を中心に重点整備地区に

ついてバリアフリー化を進めます。併せて、重点整備地区以外の地区についても、区独自の

方針を定め、バリアフリー化を推進していきます。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

・バリアフリー新法に

基づき、現行の交通

バリアフリー推進基

本構想を改定

・重点整備地区 3 地区、

重点整備地区以外の

3 地区のバリアフリ

ー化を推進

継続 継続

Page 48: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

46

(2)心のバリアフリーの推進

障害の有無にかかわらず、すべての人の基本的人権が尊重される地域社会の実現をめざし

て、障害をもつ人に対する偏見や差別をなくし、障害に対する正しい理解を進めるため、啓

発や広報活動を充実させ、福祉教育の推進を図ります。また地域や福祉施設のまつり等を通

じて、障害をもつ人と障害をもたない人との交流を促進します。

<計画事業>

①障害の理解促進、意識啓発:《継続》(障害福祉課・関係各課)

障害に対する差別や偏見をなくすため、あらゆる機会を捉え意識啓発を行い、広く区民の

理解を促します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

区報やホームページ等

を活用した意識啓発に

より、障害をもつ人へ

の理解を促進

意識啓発の機会の拡大 継続

②学校における福祉教育の推進:《継続》(教育指導課)

様々な体験を通して、福祉についての理解を深め、社会の一員としての実感や自主的に行

動する態度を養うとともに、思いやりや共に生きる心を育てるために、学校の教育活動にお

いて福祉教育の充実を図ります。また、障害のある児童・生徒との交流教育を推進します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

福祉目的の募金活動、

高齢者施設・障害者施

設でのふれあい活動、

車椅子体験・アイマス

ク体験などを全校で実

特別支援学級設置校で

は、通常の学級との交

流活動を実施。また、

特別支援学級連合運動

会では、通常の学級の

児童の応援などの交流

活動を実施

継続 継続

Page 49: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

47

③地域における交流機会の促進:《継続》(障害福祉課・関係各課)

地域における交流を促進します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

地域行事や施設のまつ

り等を通じて障害をも

つ人ともたない人との

交流を促進

継続 継続

④区立施設従事者に対する障害者理解の促進:《継続》(障害福祉課)

区立施設職員に対し、各種研修を充実させ、資質の向上を図るとともに、障害に対する理

解を促進します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

定期的に研修会を開催 継続 継続

Page 50: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

48

第2節 地域での自立した生活への支援

1 高齢者の自立した生活への支援

【現 状】

区内の 65 歳以上の高齢者は、平成 23 年 10 月現在 48,842 人で、高齢化率は約 19.1%

(うち後期高齢者は約 9.8%)、要支援・要介護認定者は 9,446 人と年々増加しており、世

帯構成においても高齢者で単身又は夫婦のみ世帯の割合が高い傾向にあります。

今後も、高齢化や核家族化の進行によって、介護や支援が必要な高齢者が増加していくと

推測され、介護や生活支援など様々なサービスに対する需要の増加が見込まれます。さらに、

家族や地域の支え合いの機能が低下する中で孤立する高齢者や、高齢者が高齢者を介護する

「老老介護」の世帯が今後、増えていくと考えられます。

このような状況のもと「高齢者調査」では、持家の人が8割と高い比率を示す中で、介護

などの支援が必要になった場合、「自宅で暮らしたい」とした高齢者が 6 割を超え、住み慣

れた地域での居住意向が高くなっています。一方で、特別養護老人ホームなどの介護施設等

への入所や高齢者福祉住宅への入居を望む高齢者の割合も全体の2割を占める状況となって

います。

こうしたことから、高齢者の生活や身体等の状況に応じて、様々な介護サービスを選択で

きるよう在宅サービスを充実するとともに、住まいの確保、介護施設の整備を進めて、高齢

者が可能な限り自立した生活を送れるように支援することが求められています。

【課 題】

高齢者が住み慣れた地域で安全・安心に自立した生活を営むためには、高齢者のニーズや

状態の変化に応じて、医療、介護、予防、生活支援サービス等が一体的に提供されるととも

に、地域における高齢者の見守りが重要な課題となっています。

また、改正「高齢者の居住の安定確保に関する法律」(高齢者住まい法)が平成 23 年 10

月に施行され、高齢者の居住の安定を確保するために、「サービス付き高齢者向け住宅」の登

録制度(※)が創設されました。民間事業者と提携した、新たな高齢者の住宅におけるセーフテ

ィネットの確保が課題となっています。

介護や支援が必要となったときに安全で安心な居住環境で適切なサービスが受けられるこ

とが重要であり、特別養護老人ホームや認知症高齢者グループホームなどの地域密着型サー

ビスの整備を進める必要があります。しかし、都市部では地価が高く、用地確保が困難なこ

と、運営の採算性が低いことなどから、参入する事業者が少ない状況にあり、民間事業者の

参入促進を含めて、介護サービス基盤整備の推進が重要な課題となっています。

※「サービス付き高齢者向け住宅」の登録制度:バリアフリー化、状況把握サービス・生活相談

サービスの提供、契約解除時の前払金の不返還等の問題への対応が図られた高齢者向けの賃貸

住宅及び有料老人ホームに係る登録制度

Page 51: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

49

【施 策】

(1)生活支援サービスの充実

ひとりぐらし等高齢者が家の中で異変があったときに早期に発見・対応できる体制づくり

が必要です。緊急時通報システムの拡充やリズムセンサーなどの異変を発見できる機器の導

入などにより、一人暮らしや高齢者のみの世帯になっても安全・安心な生活が送れるよう施

策の拡充を図ります。

介護を要する状態になっても可能な限り住み慣れた地域で生活を送ることができ、しかも

介護者の介護負担を軽減するための支援や施策の充実を図ります。

<計画事業>

①ひとりぐらし等高齢者登録:《継続》(高齢福祉課)

ひとりぐらし等高齢者の住所、氏名、緊急連絡先等を区へ登録し、安否確認や緊急時の対

応が円滑に行えるようにするとともに必要なサービスの勧奨を行います。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

ひとりぐらし等高齢者登

録者数 6,235 人

(平成 23 年 11 月現在)

介護保険や保健福祉のサー

ビスを受給していない高齢

者の調査を行い、支援の方策

を検討する

実施

②高齢者通報システム:《継続》(高齢福祉課)

高齢者の居宅内での急病や突発的な事故を早期に発見するために、一定時間内に高齢者の

動きがない場合にセンサーが探知する生活リズムセンサーの設置を進めます。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

居宅内での緊急時への対

応は緊急時通報システム

を設置

生活リズムセンサーの設置

の検討・設置継続

(2)多様な住まいの確保

住宅に困窮する高齢者に対し、低廉な家賃で住宅を供給することにより、生活の安定を図

る必要があります。住宅に対する高齢者の多様なニーズに応えるため、区営住宅、高齢者福

祉住宅などの特性を明確にし、それぞれのニーズに合うように住宅を提供していく必要があ

ります。また、民間事業者を活用した公的関与住宅として、サービス付き高齢者向け住宅の

整備促進策について検討していきます。

さらに、民間賃貸住宅に居住する高齢者世帯に対し、住み慣れた地域で安心して住み続け

られるよう家賃助成の実施や、住み替え先を探すのが困難な世帯に対する支援を行います。

Page 52: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

50

<計画事業>

①高齢者向け住宅の供給;《数値》(住宅課・高齢福祉課)

住宅に困窮する高齢者が、自立して地域で生活ができるよう高齢者福祉住宅を提供します。

また、民間事業者によるサービス付き高齢者向け住宅制度等の整備の促進策を検討します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

高齢者福祉住宅

197 戸供給新たに 28 戸供給 新たに 10 戸供給

②高齢者福祉住宅でのライフサポートアドバイザー(LSA)制度導入の促進:

《継続》(高齢福祉課)

高齢者福祉住宅において、安全・安心に生活ができるように、入居者の生活相談、安否確

認、緊急対応などを行う生活援助員を配置します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

37 戸で実施 新規住宅で順次実施 順次実施

③高齢者世帯等居住継続家賃助成:《重点》(住宅課)

民間賃貸住宅に居住する高齢者世帯に対し、住み慣れた地域で安心して住み続けられるよ

う家賃助成を実施します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

高齢者世帯等居住継続家

賃助成を実施継続 継続

④民間賃貸住宅あっせん:《継続》(住宅課)

自ら住宅を探すことが困難な世帯に対して、東京都宅地建物取引業協会目黒区支部の協力

を得て、民間賃貸住宅をあっせんします。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

民間賃貸住宅あっせん 継続 継続

(3)介護サービス基盤の整備

認知症高齢者グループホーム(※)は認知症の高齢者にとって、居宅に近い生活ができ、住み

慣れた地域で安心して暮らせるための基盤整備として欠かせません。認知症をはじめ介護を

必要とする高齢者がそれぞれの生活状況や身体状況に応じて地域で安心して暮らし続けられ

Page 53: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

51

るよう、グループホームや小規模多機能型居宅介護(※)などの地域密着型サービス(※)の施設

を民間事業者の参入を促進し整備を進めます。

また、要介護高齢者や介護家族の状況に応じたショートステイを整備するとともに、さま

ざまなサービスを利用しても在宅生活を継続することが困難となった要介護高齢者が、必要

な介護サービスを的確に受けることができるように、既存の特別養護老人ホーム等の介護サ

ービスの充実、および民間事業者による特別養護老人ホームの整備促進を図っていきます。

さらに、身体機能の低下等により自立した日常生活が困難な高齢者が、低額な料金で入居

できる高齢者向けの居住の場についても整備を促進していきます。

※認知症高齢者グループホーム:介護が必要な認知症高齢者が、家庭的な雰囲気の中でスタッフ

の支援や機能訓練等のサービスを受けながら5~9人で共同生活する住宅。

※小規模多機能型居宅介護:認知症などの高齢者が、利用者の選択によって、「通い」を中心に、

利用者のその時々の状態に応じて、「訪問」や「泊まり」を組み合わせて受ける介護サービス

※地域密着型サービス:地域の実情に合わせて保険者の裁量で整備するサービスで、認知症対応

型通所介護、認知症対応型共同生活介護、小規模多機能型居宅介護、夜間対応型訪問介護など

のサービスがある。原則として、その区市町村の被保険者のみがサービスを利用でき、指定・

監督権限は保険者である区市町村が有する。

<計画事業>

①ショートステイ事業の実施:《継続》(介護保険課・高齢福祉課)

ショートステイを整備し、心身の状況や家族の病気、冠婚葬祭、出張等に対応した利用や

介護家族の負担軽減等を図ります。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

・短期入所生活介護(特

別養護老人ホーム併設

6か所、単独型 1 か所)

定員 95 人

・短期入所療養介護(老

人保健施設併設含)3

か所

継続 継続

②病院ショートステイ事業の実施:《継続》(高齢福祉課)

医学的管理が必要なためショートステイの利用が困難な状態の在宅療養高齢者に、区内病

院のベッドを確保します。(介護保険対象外)

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

区内病院 5か所(5床) 継続 継続

Page 54: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

52

③緊急ショートステイ事業の実施:《重点》(高齢福祉課)

緊急ショートステイを整備し、家族の急病、冠婚葬祭、出張等に対応した利用や介護家族

の負担軽減等を図ります。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

・区内特別養護老人ホー

ム(1床)

・有料老人ホームのベッ

ド借上げ(1床)

継続 継続

④地域密着型サービスの整備促進:《重点・数値》(介護保険課・介護基盤整備課)

認知症などの高齢者が住み慣れた地域で生活していくための地域密着型サービスの整備を

促進します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

・認知症高齢者グループ

ホーム 8ユ ニット

(※)

・小規模多機能型居宅介

護拠点 1か所

・認知症高齢者グループホー

ム 17ユニット整備

・複合型サービス 5か所整

・定期巡回・随時対応型訪問

介護看護 10 か所整備

整備(第6期介護保険事業計

画で定める)

※ユニット:認知症高齢者グループホームにおける生活単位。1ユニットの入居定員は 5 人から

9 人で、ユニットごとに個人的な空間(居室としての個室)と自発的に利用できるリビングの

ような共同空間(食堂、台所)で構成されている。

⑤特別養護老人ホームの整備促進:《重点・数値》(介護保険課・介護基盤整備課)

要介護者の急増に対応した特別養護老人ホームの整備を促進する。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

特別養護老人ホーム

6か所(区内)1か所整備

整備(第6期介護保険事業計

画で定める)

Page 55: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

53

⑥都市型軽費老人ホームの整備促進:《重点・数値》(介護基盤整備課)

地価等が高い都市部において低額な料金で入居できる高齢者向けの居住の場を確保するた

めに都市型軽費老人ホームの整備を促進します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

未整備 1か所整備 ―

⑦区有地、国・都有地、既存施設の活用の検討:《継続》(介護保険課、高齢福祉課、

介護基盤整備課、政策企画課)

介護サービス基盤の整備に当たり、区有地、国・都有地、地域の既存社会資源の活用を検討

し、民間事業者の参入を促進します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

活用の検討 継続 継続

Page 56: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

54

2 障害者の自立生活への支援

【現 状】

身体障害者、知的障害者、精神障害者の三障害一体のサービス供給体制の整備、拡大した

サービスの需要に対応した負担のあり方や国や自治体の役割分担等を整備するため、平成 18

年 4 月から障害者自立支援法が施行されました。

目黒区の障害者施策については、昭和 59 年度の第一次障害者行動計画策定以降、障害を

もつ人を取り巻く環境の変化を踏まえて計画の改定を重ね、地域で生活する障害をもつ人が、

可能な限り多様な選択肢の中から自己選択・自己決定ができ、それを保障する社会の形成を

基本理念に掲げて実現に努め、障害者自立支援法に基づく新体系への移行をサービス提供事

業者に対して奨励し、利用者がニーズに合った支援内容を選択できるよう努めてきました。

そうした中で、国において利用者負担の見直しが検討されて、応益負担制度を取り入れて

いる障害者自立支援法廃止の方針が打ち出され、応能負担の原則、制度の谷間のない支援、

個々のニーズに基づいた地域生活支援等を内容とする新たな障害者総合福祉法(仮称)の制

定に向けた検討が進められています。

近年、障害者手帳をもつ人は増加傾向にあり、障害内容も多様化しています。さらに、平

成 23 年8月に障害者基本法が改正され、障害の範囲の見直しが行なわれて、支援を必要と

する障害者の範囲が拡大されました。区としても国の動向を見据えながら今後も障害者の自

立及び社会参加の支援等に努めていきます。

【課 題】

障害をもつ人が健やかに安心して暮らすためには、それぞれの障害の特性に応じた障害者

施策の推進が必要です。そのためには、保健、医療、福祉の総合的な展開とあわせて、教育、

就労、住宅、交通などの生活関連分野との連携に配慮しながら総合的なサービスを充実させ

ることが必要です。

「障害者アンケート」では、障害者が地域で自立して生活を送るために重要な取り組みと

して、「相談窓口や情報の充実」に最も多くの回答がありました。障害をもつ人の相談相手も

「家族・親類」が多く、専門職は少ない状況から相談を受ける体制が確立されていないこと

が課題となっています。

障害のあるすべての人に対する相談支援体制を充実させるとともに、個々のサービスを受

けやいようケアマネジメント体制を整備していくことが必要です。

障害をもつ人の地域社会における生活を支援することが一層必要であり、成年後見制度の

活用、虐待防止体制の構築などが重要な課題となっています。

【施 策】

(1)相談・サービス提供体制の整備

利用者の希望や必要に応じた適切なサービス利用計画の作成や専門的な相談に対応できる

窓口を整備します。困難事例の検討等を行う相談支援機関のネットワーク化を図るため、地

域自立支援協議会の運営を支援し、協議会の機能の充実を図ります。

Page 57: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

55

また、利用者の権利擁護を図るため、必要に応じた成年後見制度の利用を促進するととも

に、障害をもつ人に対する虐待の通報・相談窓口を整備し、虐待の予防、虐待防止の啓発に

努め、関係機関との連携を図り、障害者の虐待防止体制を整備します。

<計画事業>

①身近な相談支援体制の整備:《新規》(障害福祉課)

サービス利用計画を作成する指定相談事業所等と連携し、障害をもつ人にとって身近な相

談支援提供体制を整備します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

相談支援提供体制の検討 実施 充実

②地域自立支援協議会の充実:《新規》(障害福祉課)

中立・公平な相談事業の実施や地域の関係機関の連携を強化し、社会資源の開発や改善を

促進します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

地域自立支援協議会を開

催。部会を設置し、今後

の方向性等を検討

地域自立支援協議会の機能

の充実継続

③成年後見制度の利用促進:《継続》(障害福祉課)

知的障害、精神障害などにより判断能力が十分でない人が地域で安心して生活を送れるよ

う成年後見制度の利用を促進します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

・社会福祉協議会との連

携による制度の活用

・リーフレット等による

普及・啓発の実施

成年後見制度の利用支援の

充実継続

④虐待防止体制の整備:《新規》(障害福祉課)

障害をもつ人に対する虐待防止の体制を整備します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

虐待防止体制の検討

通報・相談窓口の設置、意識

啓発、ネットワークづくり、

防止マニュアル作成

充実

Page 58: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

56

(2)自立支援サービスの充実

グループホーム等の地域居住の場や日中活動の場、継続的な生活支援体制の整備に取り組

み、施設・病院から地域生活への移行を促進していきます。また、障害をもつ人の地域での

自立生活が可能となるよう、障害者の自立及び社会参加を促進するためのサービスを実施し

ます。

<計画事業>

①日中活動の場の提供:《継続》(障害福祉課)

身体障害や知的障害により一般の事業所に就職することが困難な人のために、区立施設に

おいて、生活介護・就労継続支援 B 型の障害福祉サービス事業を運営し、日中の活動の場を

提供します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

区立通所施設の運営区立施設における日中活動

の場の提供継続

②機能訓練事業・中途デイ事業の実施:《継続》(障害福祉課)

心身障害者センターあいアイ館において、中途で身体に障害をもった人を対象に理学療法

士・作業療法士・言語聴覚士等による機能訓練を行い、心身機能の維持向上を目指します。

また、趣味等の余暇活動を中心としたデイサービス事業を行います。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

・機能訓練事業の実施

・中途デイ事業の実施機能訓練事業の継続 継続

③パーキンソン教室の実施:《継続》(保健予防課・碑文谷保健センター)

パーキンソン病患者を対象に集団による機能回復のためのリハビリ体操や個人相談を実施

します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

月2回実施 継続 継続

Page 59: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

57

④言語訓練教室の実施:《継続》(保健予防課・碑文谷保健センター)

主に脳卒中後遺症者のうち失語症等言語障害をもつ人を対象に、集団による発声練習や言

語相談を実施します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

月2回実施 継続 継続

(3)就労支援の推進

就労意欲のある人が一人ひとりに合った就労形態をとれるよう、訓練事業や就業定着のた

めの支援、離職者への支援、余暇活動への支援など、目黒障害者就労支援センターの機能を

充実させます。

また企業及び関係機関等による連絡会を開催し、地域における障害をもつ人の就労促進を

図ります。

<計画事業>

①就労支援事業の充実:《継続》(障害福祉課)

目黒障害者就労支援センターを中心に、障害をもつ人の一般就労に向けた支援を充実させ

ます。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

スマイルプラザ中央町に

ある目黒障害者就労支援

センターを中心に実施

一般就労移行者を増加 継続

②就労支援事業連絡会の開催:《継続》(障害福祉課)

企業及び関係機関等による連絡会を開催します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

障害者就労支援事業連絡

会を開催継続 継続

(4)住まいの確保

障害をもつ人が住み慣れた地域で安心して生活を継続していけるよう、区営住宅を建設す

る場合は、障害の状態に対応できる住宅を計画的に整備します。また、区営住宅の募集の際

は、優遇抽選など入居し易い条件を整備します。

民間賃貸住宅に居住する障害者世帯に対しては、住み慣れた地域で安心して住み続けられ

るよう家賃助成を実施するとともに、住み替え先を探すのが困難な世帯に対する賃貸住宅の

あっせんを行います。

障害をもつ人が地域社会で安定した生活を営むことができるよう、事業者の参入を促進し

Page 60: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

58

てグループホーム等を整備します。

<計画事業>

①区営住宅の整備等:《数値》(住宅課・障害福祉課)

区営住宅に障害者向け住宅を整備します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

障害者向け住宅

1団地8戸

(うち車いす対応型3

戸)

―新たに1団地7戸

(車いす対応型を含む)

②高齢者世帯等居住継続家賃助成:《重点》(住宅課)

民間賃貸住宅に居住する障害者世帯に対し、住み慣れた地域で安心して住み続けられるよ

う家賃助成を実施します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

高齢者世帯等居住継続家

賃助成を実施継続 継続

③民間賃貸住宅あっせん:《継続》(住宅課)

自ら住宅を探すことが困難な世帯に対して、東京都宅地建物取引業協会目黒区支部の協力

を得て、民間賃貸住宅をあっせんします。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

民間賃貸住宅あっせん 継続 継続

④グループホーム等の整備:《継続》(障害福祉課)

民間活力等を活用して、グループホーム・ケアホームを整備します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

グループホーム

ケアホーム

11か所 定員59人

定員増 定員増

Page 61: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

59

3 生活困難・要支援者のためのセーフティネットの充実

【現 状】

平成 20 年秋のリーマンショック以降の厳しい経済状況と雇用情勢を反映して、失業・離

職を原因とする生活困窮者が急増し、社会保険加入状況の悪化とも相まって生活保護受給に

至る低所得者が増加しています。本区の生活保護率(※)は、平成 20 年度は 8.6‰(パーミル)

まで減少しましたが、リーマンショック後の平成 21 年度から再び増加に転じ、平成 23 年

8月では 10.2‰までに上昇し、稼動年齢層(15 歳から 64 歳)が含まれる「その他世帯」

の割合も 9.4%から 14.4%と大きく増加しています。また、福祉事務所における生活相談は、

リーマンショック以前の約 1.5 倍に増加し、病気、入学、離職・失業による生活費等の緊急

時に使用する応急福祉資金の貸付も約 2 倍に急増しており、そのうち「離職・休職による一

時的生活費」の貸付が約半数を占める状況です。

区では、生活保護受給者の自立助長を推進するため、平成 17 年度から、経済的自立、社

会的自立、日常的自立を目指すための自立支援プログラムを導入し、就労支援、学習支援、

多重債務支援、健康管理支援を実施しており、平成 23 年度からは高齢者支援に取り組んで

います。

平成 21 年 3 月に発生した高齢者施設の火災事故により、都内の高齢生活保護受給者が他

県の法外施設で生活している実態が明らかになりました。都内の民間賃貸住宅では、家賃滞

納、身体機能低下、住宅内の事故、死亡時への不安などから高齢者の入居が拒まれることも

多い現状があります。区では、高齢者等の要支援者に対して、保証人の役割を担うなど、入

居機会の確保と安定した居住継続を支援する制度を実施しています。

生活に困窮する人は、貧困、精神疾患、DV、児童虐待、多重債務、住居・職業の喪失な

どの複雑かつ困難な生活問題を抱え、身近に相談に乗ってくれる人がいないなど、社会的な

絆が希薄な状態にある人が少なくありません。低所得者という枠組みでは対応しきれない「生

活困難・要支援者」が急増しており、住居を喪失してホームレスとなっていく場合も見られ

ます。こうした社会から孤立していく人々は、地域住民の理解が得られにくく、地域社会か

ら排除されがちな状況にあります。

※生活保護率:人口 1,000 人当たりの被保護人員数(‰=パーミル)

【課 題】

家族や地域の支え合い機能が低下する中で、経済的・社会的格差が生み出す困難に対して、

個々の人々の抱える課題に対応した多様な支援が求められています。

「生活困難・要支援者」を、低所得という要因のみで捉えるのではなく、「失業や離職など

のさまざまな生活上の困難な課題を抱えて生活に困窮する人」「社会的に孤立しやすく排除の

対象となる可能性が大きく生活に困窮する人」としてとらえ、既存のセーフティネットの枠

を超えてその充実を図る必要があります。

生活困難・要支援者の生活実態を踏まえた支援策の充実や適切な助言・指導ができるよう

相談・支援体制を整備していく必要があります。

Page 62: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

60

生活保護受給者が急増する中で、経済的な貧困だけでなく自立生活を営むための能力に問

題を抱えている受給者が多いため、就労支援、「貧困の連鎖」を防止するための子どもたちへ

の学習支援など、その自立へ向けた取組みを強化していく必要があります。また、特別区と

東京都が路上生活から早期の社会復帰を促進するため設置している「新型自立支援センター」

の目黒区内設置については、計画どおり平成 26 年 3 月設置に向けて取組みを進めていく必

要があります。

高齢者や障害者はもとより、失業者やひとり親世帯などに対して、住み慣れた地域社会の

中で誰もが安心して暮らせる住まいの確保を図っていく必要があります。特に、低所得高齢

者については、無届施設や法的位置付けのない施設を「住まい」とすることがないよう対応

が求められています。

貧困などに対する地域住民の理解を促し、ソーシャルインクルージョン(※)の理念の浸透を

図るとともに、低所得者の社会的居場所(※)づくりを進める必要があります。特に、社会から

孤立している生活困窮・要支援者に対しては、社会とのつながりを結び直す機会を作ってい

くことが重要です。また、「社会的居場所づくり」を進めるに当たっては、企業、NPO,社

会福祉法人、住民などと行政が適切な役割分担の下で、協働して取り組んでいく必要があり

ます。

※ソーシャルインクルージョン:貧困やホームレス状態に陥った人びと、障害や困難を有する人

びと、制度の谷間にあって社会サービスの行き届かない人びとを排除し孤立させるのではなく、

地域社会への参加と参画を支援し、社会の構成員として包み込むこと

※社会的居場所:社会とのつながりの中で、人びとが自分が受け入れられ、自分であることが尊

重されると感じることのできる場所

【施 策】

(1)支援・相談体制の整備

生活困難・要支援者は、病気、離職・失業、家族問題など、複雑な生活課題を抱え、生活

困難に至っています。これらの生活課題を的確に把握するとともに、適切な支援策を構築し

ます。

憲法で定める生存権保障の最後のセーフティネットである生活保護制度の運用に当たり、

申請権を保障し、保護の漏給・濫給を防止して適正に実施します。

水道、電気、ガス等のライフラインに係る滞納状況などを把握して、関係機関(民生委員、

介護事業者、医療機関等)や近隣等の地域ネットワークを強化し、熱中症などの生命に関わ

る事故を未然に防止するとともに、要支援者の生活問題の解決を図ります。

住民の抱える困難な生活課題に対応し支援していくためには、行政にも幅広い知識や経験

に基づいた更なる専門性が求められています。福祉事務所のソーシャルワーク機能を充実さ

せ、相談体制の充実を図るとともに、職員をサポートするスーパービジョン(※)体制を整備し

ます。

※スーパービジョン:専門職員としての資質の向上及び対象者への処遇の向上を目的として、

Page 63: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

61

実際の事例に即して適切な援助・指導を行うこと

<計画事業>

①自立支援相談員の設置:《新規》(生活福祉課)

住居喪失、不安定就労、薬物依存など困難な生活課題を抱える生活困難・要支援者の自立

を支援するため、福祉事務所のソーシャルワーク機能の充実を図り、丁寧で的確な相談支援

体制を整備する必要があることから、自立支援相談員を新たに設置し、職員をサポートする

スーパービジョン体制を整備します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

未設置 1 名設置

②相談支援体制の整備:《新規・重点》(生活福祉課)

様々な生活課題を抱える生活困難・要支援者の相談は、経済的なものから家族関係に関わ

るものまで多岐にわたっています。これらの生活相談に適切に対応し、実際に即した支援を

行うため、既存の組織を改組して、新たな相談支援体制を整備します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

未整備 新体制の整備 継続

(2)自立支援の推進

生活困難・要支援者は、経済的貧困だけでなく、自立生活を営むことに問題を抱えている

場合が多いことから、自立を助長するための支援を進めます。稼動年齢層に対する就労支援

を推進し、生活保護受給世帯の「貧困の連鎖」を防止するために子どもの健全育成の支援を

充実・強化します。

経済的自立、社会的自立、日常的自立を目指して、社会的孤立の防止、貧困の連鎖防止な

どの新たな課題に対応した自立支援プログラムを構築するとともに、既存の自立支援プログ

ラムについても充実を図ります。実施に当たっては、対象者の抱える背景に寄り添った適切

な支援が行えるように、福祉事務所のソーシャルワーク機能を高めるとともに、団体による

支援を検討します。

Page 64: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

62

<計画事業>

①就労促進相談員の設置:《新規》(生活福祉課)

雇用情勢の悪化により、稼働能力があるにもかかわらず、リストラ、解雇等を要因として

要保護状態となった世帯が増加しています。これらの世帯は、就労の機会が得られれば、保

護からの脱却が可能となるため、就労支援体制の強化策として、専門職員を設置します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

1 名設置 新たに1名設置 継続

②次世代育成支援員の設置:《新規》(生活福祉課)

生活保護世帯で育った子どもが成人後も再び生活保護を受給するといった、いわゆる「貧

困の連鎖」の問題が指摘されています。子どもの健全育成を進めるため、日常生活、教育、

養育等の支援を連携させるソーシャルワーク的機能を担う専門職員を設置します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

未設置 1名設置 継続

③若者の社会的自立支援の実施:《新規》(生活福祉課)

悩みや不安を抱える若者の社会的自立を支えるため、関係機関のネットワーク等による包

括的支援を実施します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

未実施 実施 継続

④新型自立支援センターの設置:《新規》(生活福祉課)

ホームレスの自立支援と、住居喪失不安定就労者や離職者がホームレスになることを防止

するため、東京都と特別区(23 区)が共同で取組む新型自立支援センターを目黒区内に平

成 26 年 3 月から 5 年間設置します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

未設置 1か所設置 継続

⑤ホームレス等緊急一時宿泊事業の実施:《新規》(生活福祉課)

ホームレス等の住宅に困窮する人から生活保護の申請があったときなどに、緊急に宿泊施

設を提供できるようにするため、簡易宿泊所や旅館等を借上げて、緊急一時宿泊所事業を実

Page 65: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

63

施します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

ベッド 4床 新たに個室 1 室 継続

⑥ソーシャルインクルージョンの普及・啓発:《新規》(生活福祉課)

貧困やホームレス状態に陥った人びと、障害や生活上の困難をもつ人びとなどを社会から

排除することなく、地域社会の構成員として包み込むソーシャルインクルージョンの普及・

啓発を図ります。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

未実施イベントの開催、パンフレッ

トの作成等継続

(3)住まいの確保

人間らしい住まいを確保し、安定した居住を継続するための支援を充実するためには、住

宅施策と福祉施策が連携した居住セーフテイネットの整備が必要です。

居所を失った又は失う恐れのある生活困難・要支援者については、生活の基盤としての住居

を安定的に確保する必要があるため、福祉担当所管と住宅担当所管の連携を強化します。

また、劣悪な住環境の宿泊施設などを提供する悪質な「貧困ビジネス」に対しては、適正

化に取り組みます。

低所得高齢者が住み慣れた地域で安心して生活が続けられるよう、都市型ケアハウスの整

備を促進します。

さらに、「新型自立支援センター」については、地域住民、関係機関との連携・協力体制を

構築し、平成 26 年 3 月の設置に向けて取組みを進めます。

<計画事業>

①区営住宅の供給:《新規・数値》(住宅課)

住宅に困窮する区民に対して低廉な家賃で住宅を供給することにより、その生活の安定と

福祉の増進を図ります。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

区営住宅

12 団地 477 戸1団地 65 戸 1団地 33 戸

②居住支援体制の強化:《新規》(生活福祉課)

住居の喪失により、路上生活や無料低額宿泊所への入所を余儀なくされている生活保護受

Page 66: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

64

給者が増加しています。生活保護受給者を含めた生活困難・要支援者に対して、年齢や心身

の状況に応じた住まいを提供するため、住宅ソーシャルワーカーを設置するなど、支援体制

を強化します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

未実施住宅ソーシャルワーカーの

設置継続

③都市型軽費老人ホームの整備促進:《重点・数値》(介護基盤整備課・高齢福祉課)

<再掲>

地価等が高い都市部において低額な料金で入居できる高齢者向けの居住の場を確保するた

めに都市型軽費老人ホームの整備を促進します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

未実施 1か所整備 ―

(4)社会的居場所の確保

生活保護受給者が、社会とのつながりを結び直し、社会の中で生活再建していくために、

シェルターやスプリングボードとなる「社会的な居場所」が必要です。そのためには、経済

的自立、社会的自立、日常的自立に向けた「社会的な居場所づくり」を進めていきます。

生活困難・要支援者が地域から排除されることのない社会を築くために、ソーシャルイン

クルージョンの理念に基づき、地域におけるネットワークづくりを進めます。このようなネ

ットワークを活用した、区内の企業、NPO、社会福祉法人などとの協働による就労支援や、

ボランティア体験、子どもに対する学習支援などの取組みを通して、生活困難・要支援者の

社会的居場所づくりを促進します。

この社会的居場所づくりに当たっては、自立支援プログラムと関連付けるなど、効果的な

方法を検討します。

<計画事業>

①社会的な居場所の確保《新規・重点》(生活福祉課)

近年の厳しい雇用情勢や社会経済状況の中で、就労意欲を喪失したり、家庭に引きこもる

など、社会から孤立する生活保護受給者が増加しています。生活保護受給者を含めた生活困

難・要支援者に対して企業、社会福祉法人、NPOなどとの協働により、就労体験やボラン

ティア体験等の機会を提供し、自立を促進します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

未実施就労体験等参加者

15 名

対象者の拡大

30 名

Page 67: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

65

②ネットワークの構築・サポート体制の整備:《新規》(生活福祉課)

社会的な居場所づくりを進めるに当たって、生活困難・要支援者の就労体験や社会参加を

促進するため、関係機関や関係団体による連携・協力体制を構築し、サポート体制を整備し

ます。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

未実施関係機関・関係団体等連絡会

の設置継続

Page 68: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

66

4 子育ち・子育てへの支援

【現 状】

子どもや子育て家庭を取り巻く環境は、核家族化や親子関係の希薄化などの家族関係の結

びつきの変化により、家庭の養育機能が低下するなどさまざまな問題が現れてきています。

子育てに関する親の不安感や負担感が増加し、子育て相談機関に寄せられる区民からの相談

も増加するとともに、多様化しています。また、現下の厳しい経済状況により、保育園に子

どもを預けて働きたいという世帯が増えたことから、保育需要が増大しています。

区では、平成 22 年 3 月に策定した「目黒区子ども総合計画」に基づき、さまざまな保育

ニーズへの対応や子育て相談機能の充実など、子育て支援策を推進しています。

【課 題】

平成 17 年に制定された「目黒区子ども条例」の趣旨を学校教育や家庭・地域などの場で

多くの区民に広め、子どもの権利尊重の理念を深めていくとともに、目黒区の地域特性を踏

まえ、福祉、教育、健康、まちづくりを含め、次世代育成支援に向けた総合的な施策を展開

していく必要があります。

また多様な生活態様や働き方に合わせた保育サービスの充実と保育所待機児童の解消に向

けた計画的な基盤の整備が必要です。同時に、疾病や介護・看護などを理由とする緊急一時

保育の需要への対応や、障害児保育の充実なども課題です。

子どもの安全・安心な居場所としての児童館機能の充実や乳幼児事業をはじめとする子育

て支援事業の充実、中高生対象事業の拡大の必要があります。

【施 策】

(1)子育て家庭への支援

育児支援、相談、交流、虐待防止など、配慮が必要な家庭を含むすべての子育て家庭への

支援を進めます。

また児童虐待に対応する子ども家庭支援センター事業の充実を図るため、子育て情報の提

供の充実、子育て力向上策の充実、自主グループ等との連携、相談の充実、在宅サービスの

充実等を行います。

併せて保育士、栄養士、看護師などの専門職員が配置されている保育所の特性を活かした

地域の子育て支援を進めます。

Page 69: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

67

<計画事業>

①子育て相談機能の充実:《継続》(子ども政策課)

子育ての悩みを軽減できるように関係機関との連携を図りながら子育て相談を受け、助言

を行います。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

子ども家庭支援センター

における相談件数 572

件(うち 25 件訪問相談)

(平成 22 年度実績)

継続 継続

②産前・産後支援ヘルパー派遣:《継続》(子ども政策課)

出産 1 か月前から産後の一定期間、支援ヘルパーを派遣し、育児・家事のサービスを提供

する。多胎児については、利用時間・期間とも延長します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

利用者数 509 人(産後支

援のみ実施)

(平成 22 年度実績)

継続 継続

③母子福祉資金貸付:《継続》(子ども政策課)

20 歳未満の子どもを扶養している母子家庭の母に、入学や就学、技能習得など自立に必

要な資金を貸付けます。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成23年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

母子福祉資金貸付

131 件

71,547 千円

(平成 22 年度実績)

継続 継続

Page 70: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

68

④子ども医療費助成:《継続》(子育て支援課)

医療機関等で、健康保険の対象となる診療又は投薬を受けた時の自己負担分(就学前は 2 割、

就学後は 3 割)を助成します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

平成 19 年 10 月から対

象を 15 歳まで拡大した

「子ども医療費助成」を

開始。対象者 27,591

人。(平成 23 年 2 月 28

日現在)

継続 継続

⑤私立幼稚園児に対する補助金:《継続》(子育て支援課)

満 3 歳~5 歳児を私立幼稚園に通園させている保護者に入園料補助及び保育料補助として、

所得に応じた補助金を支給します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

対象児 2,816 人

(平成 23 年 5 月 1 日現

在)

継続 継続

⑥延長保育:《重点・数値》(保育課)

保育園に入園している子どもで、保護者の就労時間の関係で、通常保育時間以降に保育に

欠ける子どもを保育します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

全ての区立保育園で午後

7時 15 分までの延長保

育を実施。うち、中目黒

駅前・目黒・八雲保育園

は午後 8 時 15 分まで実

平成 24 年4月より、第二ひ

もんや保育園で実施予定継続

Page 71: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

69

⑦休日保育、年末・年始保育:《継続》(保育課)

保育者の就労等で、日曜日、祝日、年末・年始に保育に欠ける子どもを保育します。

計画(平成24年~28年度)現況

(平成23年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

中目黒駅前・目黒保育園

にて年末保育を実施

・平成 26 年度までに休日保

育を3園で実施

・平成 24 年度より、第二ひ

もんや保育園で年末保育

を実施予定

継続

⑧認可保育所整備(待機児解消):《重点》(保育課)

公立保育所の増築改修・改築等による定員の増を図ります。また、私立保育所の設置に対

して、国・都の補助金制度を活用しながら支援を行い、整備を進めていきます。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

区立 22 園

定員 2,155 人

私立7園

定員 648 人

定員合計 2,803 人

(平成 23 年 4 月 1 日現

在)

24 年度、区立第二ひもんや

保育園改築 17 人増。

私立認可保育所整備支援(新

設)4か所 定員 240 人継続

⑨区立保育園の効果的・効率的運営:《継続》(保育課)

区立保育園を公設民営により運営します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

目黒保育園

中目黒駅前保育園

2か所

24 年度 第二ひもんや保育

園継続

⑩家庭福祉員制度:《継続》(保育課)

就労等で保育に欠ける3歳未満の子どもの保育を、区に登録をしている家庭福祉員がその

自宅で行います。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

家庭福祉員 13 人

受託児童 36 人

家庭福祉員数及び受託児童

数の拡充継続

Page 72: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

70

⑪一時保育事業(緊急一時保育・一時保育):《重点・数値》(保育課)

保護者の疾病やけが等により短期的に保育に欠ける児童を、保育所で保育します。また、

家庭で育児にあたる保護者の負担を軽減するため、休養、通院等のために、保育所等で一時

的に児童を預かります。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

・緊急一時保育

区立保育園 22 園

(各園定員 1 名)

・一時保育

区立保育園 2園

(定員合計 8名)

認証保育所 7園

(定員合計 24 名)

・緊急一時保育

定員合計 32 名

・一時保育

定員合計 48 名継続

⑫病後児保育事業:《継続》(保育課)

保育園等に通っている保育に欠ける乳幼児(一時保育を除く)が「病気の回復期」にあっ

て、集団保育が困難な時期に、専用施設で一時的に預かる保育を行います。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

東部地区 1施設

(定員 4名)

中央地区 1施設

(定員 4名)

西部地区 1施設

(定員 4名)

実施施設を5ヶ所に拡大

1日当たりの定員 20 名継続

(2)地域における子育ちの支援

保育所の待機児童の解消を目指し、認可保育園だけでなく、認証保育所など地域の保育資

源を活かして多様な保育サービスを提供していきます。民間活力の活用を進め、保育園の効

率的な運営と保育サービスの向上に努めます。

また児童館未整備住区に児童館を整備するとともに、整備するまでの間においては、移動

児童館や出張児童館等により、サービス提供を行っていきます。

併せて子どもたちが安全安心に過ごせる居場所として、放課後フリークラブ事業を推進し

ていくとともに、学校施設等を開放します。

子ども条例に基づく「目黒区子どもの権利擁護委員制度」の啓発を図り、いじめや虐待、

さまざまな悩みへの相談、子どもの権利侵害に対応していきます。

Page 73: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

71

<計画事業>

①子育てふれあいひろば事業:《重点》(保育課・子育て支援課)

0~3歳の子育て家庭を中心につどいの広場を提供しながら、保護者同士が子育てに関す

る情報の交換を行ったり、子育て相談や子育てサークル等の支援を行うことにより子育て家

庭の交流を推進します。

計画(平成 24 年~28 年度)現状

(平成 23 年度 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

区立保育園 5園

(菅刈、第二上目黒、目

黒、原町、八雲)

私立保育園 1園

(緑丘)

上目黒児童館

区立保育園 1園拡大

(第二ひもんや保育園)継続

②児童館における中高生の居場所の拡大:《継続》(子育て支援課)

中高生が中心に利用する時間帯、スペースを設けることや児童館運営のボランティアへの

積極的参加を図ります。中央町児童館を活用して、中高生向けの施設整備を検討します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

平成 22 年4月に中央町

児童館を開設し、中高生

スペースの整備及び開設

時間の午後8時までの延

長を実施

継続 継続

③情報誌の発行:《継続》(子育て支援課)

中高生が自分たちの目から見た目黒区の魅力や中高生世代が感じていることなどを掲載し

た情報誌を作成し発信します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

第4号を発行 年1回発行 年1回発行

Page 74: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

72

④乳幼児クラブ・乳幼児のつどい・子育てひろば事業:《継続》(子育て支援課)

一人で子育てに悩む保護者をなくし、保護者同士のつながりを育てることを目的に、育児

相談や講座の実施及び自主的な育児グループの支援などを行います。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

・14 か所の児童館で乳幼

児クラブ、7か所の学

童保育クラブで乳幼児

のつどいを実施

・22 年度から乳児を対象

とした子育て支援活動

を開始

継続 継続

⑤学童保育クラブ:《継続》(子育て支援課)

放課後の保育を必要とする小学校1年生から3年生までの児童を預かり、保育を行います。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

区立 20 か所

(定員 985 人)

民営6か所

(定員 240 人)

25 年4月中根小学校内学童

保育クラブの委託化及び学

童保育クラブの新設

継続

⑥学童保育クラブでの障害をもつ児童の受入:《継続》(子育て支援課)

各学童保育クラブの定員内で、小学1年生から6年生までの障害をもつ児童を受け入れま

す。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

23 年度は 33 人の児童

が学童保育クラブに入所継続 継続

⑦障害をもつ児童への居場所の提供:《継続》(子育て支援課)

児童館において、障害をもつ児童が参加しやすい事業を実施します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

各児童館において障害を

もつ児童の居場所として

「あそびのつどい」を実

継続 継続

Page 75: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

73

⑧放課後フリークラブ:《継続》(教職員・教育活動課)

放課後の校庭を活用して子どもの安全安心な遊び場を提供する「ランドセルひろば」と、

放課後や学校休業日に学校施設等において、地域の人材を活用して子どもに様々な体験の機

会を提供することにより、子どもの自主性、創造性、社会性を養う「子ども教室」の事業を

行います。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

・ランドセルひろば

全区立小学校(22 校)

・子ども教室

7 小学校区

継続 継続

⑨学校開放:《継続》(スポーツ振興課)

学校ひろば、プール開放等を実施し、子どもの居場所を確保します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

・学校ひろば:小学校 22

校、中学校 3 校実施

・プール開放:小学校 9

校、中学校 1 校実施

継続 継続

⑩子どもの権利擁護委員制度:《継続》(子ども政策課)

目黒区子ども条例に基づき、第三者的機関としての子どもの権利擁護委員制度を設置して

います。子ども本人やその関係者から相談を受け、救済の申し立てや子どもの権利侵害につ

いて解決を図ります。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成23年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

・電話相談 231 件

・子どもの権利擁護委員

による面談 16 件

(平成 22 年度実績)

継続 継続

Page 76: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

74

5 サービスの質の向上

【現 状】

平成 22 年度に目黒区が実施した「介護保険事業計画改定の基礎資料のための調査」の中

のサービス提供事業者に対するアンケート結果によると、サービスの質の向上に向けた課題

としては、「人材の確保」が特に多く、「従業員の労働条件の改善」「人材育成・教育の充実」

「サービスの自己評価の取り組み」と続いています。

介護保険事業者に対する指導は、介護保険法に基づく保険者としての主体的な指導を区が

行っているほか、東京都福祉保健財団への一部事務委託も活用しながら実施されています。

実地指導では、介護給付の算定に必要な事項、サービスの質の向上に係る事項について、関

係書類の点検や事業所職員への聴き取りなどを行い、不適切な事例については事業者に対し

て必要な指導・助言を行っています。

障害福祉サービス事業者に対する指導については、現在、東京都が集団指導、実地検査を

実施しています。

サービス評価について、区では、第三者評価の受審費を補助するとともに、事業者が第三

者評価を受審した場合は、その結果の公表の促進に努めています。

区立施設や区の窓口では、苦情解決責任者及び苦情受付担当者を置いて苦情の適切な解決

に努めています。また、第三者による苦情調整の仕組みとして、保健、福祉、法律等の分野

の専門家による保健福祉サービス苦情調整委員制度があります。利用者が直接苦情や不満を

言いにくい場合、委員が対応して利用者の権利と利益を保護するとともに、区、事業者等へ

の調査・勧告等によりサービスの質の向上を促しています。

介護・福祉従事者の専門性を向上させるために、区では研修を実施するとともに、事業者

による人材育成の支援を行っています。介護保険制度の中核をなす介護支援専門員(ケアマ

ネジャー)を対象とした研修については実務経験年数に応じて実施しています。

また区では事業者連絡会を通じて、良質な介護サービスを提供するための必要な情報提供

を行っています。

障害者の施設については、区立施設の職員に対する各種研修を充実させるとともに、民間

作業所職員との交流研修などにより相互の経験交流を行い、資質の向上を図っています。

【課 題】

介護サービスの質の向上や適切な事業所運営の確保のために行う事業者への実地指導につ

いては、より効果的な指導方法を検討していくことが必要です。

指導監査にあたっては、専門性の確保や機動性の確保等、保険者として主体的に取り組む

ための体制整備が必要であり、障害福祉サービス事業者に対する指導についても、区への権

限委譲が予定されていることから、体制の整備が課題です。

苦情解決については、各事業所・施設における苦情相談の制度が日常的に機能するように

利用者への周知状況等の確認・指導を行うとともに、利用者やその家族から寄せられた苦情

について、全ての事業者がその原因となる問題を把握し、改善できるよう方策を検討する必

要があります。

Page 77: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

75

保健福祉サービス苦情調整委員制度における苦情申立件数は平成 17 年度以降減少傾向に

ありますが、一方で苦情の内容は複雑化しており、解決に時間を要する難しいケースが増え

ています。苦情解決制度が適切に運用されるよう、制度への理解と利用促進を図るため効果

的に周知することが必要です。

区民が求める福祉サービスの質を向上させるためには、介護・福祉従事者の質の向上が必

要であり、そのためには介護・福祉従事者のだれもが働きやすい職場でよりよいサービスが

提供できるような方策を検討していく必要があります。

主任介護支援専門員を中心として主体的に行う研修の体系を確立していくとともに、介護

支援専門員自らが質の向上を図れるよう、専門知識の習得だけでなく気づきを促すことを目

的とした研修についても検討する必要があります。

また、介護サービス事業者の人材育成に資するため、事業者の自主運営により組織されて

いる事業者連絡会の支援を更に充実させる必要があります。さらに、自らが自主的に研修を

行うことが困難な小規模事業者等への支援を強化することも必要です。

【施 策】

(1)事業者指導・監査の充実

事業者のサービスの質の向上や良質なサービスを確保していく上で、事業者に対する実地

指導や監査は不可欠です。

指導に当たっては、公平性の確保に努めながら、指導内容の一層の充実を図り、指導の効

果をさらに高めることにより、サービスの質の向上を図っていきます。

(2)サービス評価の充実

サービス評価には、第三者評価、区立特別養護老人ホーム等区立施設を対象とする指定管

理者運営評価委員会による評価があります。

福祉サービスが必要になったときに、利用者が必要なサービスを安心して選択できるよう、

また事業者が提供するサービスの質の向上を図るため、区が実施する福祉サービスについて

は、サービス評価を受け、その結果を適切に公表していきます。

また、区以外のサービス提供事業者に対しても、東京都指定調査機関を活用した第三者評

価の受審の勧奨を行っていきます。

併せて、サービス評価が義務付けられていない福祉サービスを提供する民間事業者に対し

ても、第三者評価制度の普及を図っていきます。

<計画事業>

①サービスの第三者評価制度の推進:《継続》(健康福祉部・子育て支援部各課)

第三者機関による客観性をもったサービス評価を実施し、サービスの質の向上を図ります。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

介護施設・障害福祉施設・

児童福祉施設において実施継続 継続

Page 78: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

76

(3)苦情解決制度の充実

区に寄せられた苦情や国民健康保険団体連合会などによりまとめられた苦情を事業者等へ

情報提供し、サービスの質を向上させるための啓発を行います。

保健福祉サービス苦情調整委員制度については、多様なPR媒体の活用や関係団体等への

説明会の開催などを通して制度の周知に努めるとともに、利用者からの苦情や不満などを今

後の保健福祉サービスの質の向上につなげていくために、事業者等に対して指導や啓発を行

います。

<計画事業>

①保健福祉サービス苦情調整委員制度:《継続》(健康福祉計画課)

保健福祉サービスを受ける区民等の権利及び利益の保護を図るため、苦情、要望を抱える

人が気軽に相談できるよう工夫するとともに、制度のPRを強化します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

苦情調整委員による相談・

苦情申立てを実施制度のPRを強化 継続

(4)介護・福祉従事者の専門性の向上

事業者の人材育成に資するため、事業者の自主運営により組織されている事業者連絡会の

支援を更に充実させる方法を検討します。

介護保険サービスの中核をなす介護支援専門員の質の確保のため、主任介護支援専門員を

中心とした主体的な研修体系の確立を目指します。

また、介護支援専門員自らが質の向上を図れるよう、専門知識の習得だけでなく気づきを

促すことを目的とした研修のあり方を検討していきます。

<計画事業>

①小規模事業所等への支援:《新規》(介護保険課)

自らが自主的に研修を実施することが困難な小規模事業所等への支援を行います。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

未実施 検討・実施 検討・実施

Page 79: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

77

第3節 健康で安心して暮らせるまちづくり

1 健康づくりの推進

【現 状】

目黒区の平均寿命は、男女ともに都内区市町村の上位に位置し、高齢化率(65 歳以上の

人口比率)も、平成 20 年 18.6%、21 年 19.0%、22 年 19.1%と年々上昇しています。

健康づくり調査(平成 21 年 12 月)を見ると、健康とは「毎日の生活が支障なく過ごせる

こと」と 66.6%が回答しており、次いで「心や身体に病気がないこと」57.1%となってい

ます。多くの区民は心身ともに健康で自立した生活ができることを望んでおり、「健康寿命」

を長く保つことが、ますます重要となってきています。

健康づくりの基本である「食」に関する様々な問題を受け、平成 17 年 7 月に「食育基本

法」が施行されました。平成 19 年には「がん対策基本法」が施行され、予防から療養生活

の質の向上にいたるまで総合的ながん対策の取り組みが進められています。また、平成 20

年 4 月から特定健康診査(※)及び特定保健指導(※)が開始されるなど、生活習慣病(※)対策や

健康づくりの推進体制は大幅に変わってきています。

さらに、本年7月、厚生労働省は、地域医療の基本となる医療計画に盛り込むべき疾病と

して指定してきたがん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病の四大疾病に、新たに精神疾患を加

えて「五大疾病」とする方針を決めました。職場でのうつ病や高齢化に伴う認知症の患者数

が年々増加し、国民に広く関わる疾患として重点的な対策が必要と判断したものです。

こうした健康施策に関する法整備や社会情勢の変化、目黒区における新たな健康課題に対

応していくため、国や都の新たな健康推進施策を踏まえ、食育(※)の推進、受動喫煙(※)防止

対策、メタボリックシンドローム(※)対策に主眼をおいて、平成 23 年 3 月に「健康めぐろ

21(※) (平成 23 年~27 年度)」を策定しました。

※健康めぐろ21:21世紀の目黒区を“健康なまちめぐろ”とするために、区民の健康に関する

意識や地域特性等を踏まえ、区民が主役となった健康づくり運動を推進するための行動計画

※特定健康診査:生活習慣の変化などにより、生活習慣病やその予備群が増加しているため、メ

タボリックシンドロームに着目した、生活習慣病予防のための保健指導を必要とする者を抽出

する健康診査のこと。

※特定保健指導:生活習慣病のリスクのある方が、自らの生活習慣の課題に気づき、改善できる

ように専門職(保健師、管理栄養士等)が支援する制度。

※生活習慣病:高血圧症、糖尿病(インスリン非依存性)、脂質異常(家族性を除く)をはじめ、

悪性新生物(がん)、脳血管疾患、心疾患などを総称していう。悪性新生物(がん)、脳血管疾

患、心疾患の 3疾病で日本人の死亡原因の約 6割を占めている。

※食育:国民一人ひとりが、生涯を通じた健全な食生活の実現、食文化の継承、健康の確保等が

図られるよう、自らの職について考える習慣や食に関する様々な知識と食を選択する判断力を

楽しく身に付けるための学習等の取り組み。

※受動喫煙:室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされること。

Page 80: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

78

※メタボリックシンドローム:「内臓脂肪症候群」という。内臓脂肪の蓄積を共通基盤として、高

血圧、脂質異常、高血糖などの代謝機能障害を複数合併する症候群のことで、各々が軽度でも

動脈硬化になりやすい病態。

【課 題】

健康づくりは区民一人ひとりが主体的に取り組むことが基本です。しかし、個人での取り

組みには限界があることから、今後は行政や関係団体が様々な場面でさらに連携・協力し、

総合的に推進していくことが求められています。人生 85 年時代が到来し、高齢者が生きが

いを持って生活できるよう介護予防事業と連携することや、健康づくりの実践の場として、

いつでもスポーツ活動ができる環境をスポーツや公園などを担当する部局と連携して整備す

ることが、今後の課題となっています。

食育を効果的に推進するためには、ライフステージ(対象)に適した施策を展開し、それ

ぞれの世代が健やかで豊かな生活が実現できるよう支援することが必要です。また、平成 22

年 2 月の厚生労働省健康局通知「受動喫煙防止対策について」を受けて、区立施設の全面禁

煙に向けた取り組みを計画的に進めること、区内事業所団体と協力した受動喫煙防止対策の

強化など、区民の健康を守る取り組みが喫緊の課題となっています。さらに、肥満・メタボ

リックシンドローム該当者及び予備軍の減少を目指して、メタボリックシンドロームの概念

やその予防法について正しい知識の普及に努めるほか、特定保健指導の充実など予防を重視

した生活習慣病対策が重要となっています。

【施 策】

(1)「健康めぐろ21」の推進

健康づくりはスポーツと密接な関係があり、スポーツ担当部局においても様々な切り口か

ら健康づくり関連事業を積極的に展開しています。今後は、各部局と連携・調整を図りなが

ら健康づくりの動機付けのための事業を推進していきます。

区民一人ひとりが食に関する正しい知識、健全な食生活を実践できる力を身につけられる

よう、バランスのよい食事方法や不規則な生活習慣が健康に与える影響などの情報発信や栄

養バランスに優れた「日本型食生活」など食文化の継承の取り組みを効果的に進めます。

目黒区立施設の受動喫煙防止対策のための基本指針(ガイドライン)を踏まえ、平成 27

年度までに各施設の状況に応じて、建物内及びその敷地内の禁煙を実施または対応方針を定

め、全面禁煙を基本に取り組んでいきます。

メタボリックシンドロームについての正しい情報提供や特定保健指導を充実させ、予防重

視の生活習慣病対策を一層強化することで、メタボリックシンドローム該当者及び予備軍の

減少を図ります。

Page 81: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

79

<計画事業>

①食育の推進:《重点》(健康推進課)

食に関する様々な取り組みをより効果的に推進するため、ライフステージ(対象)を乳幼

児、小中学生、一般区民(高校生以降)に区分し、それぞれの時期に適した施策の展開を図

ります。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成23年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

生活習慣病予防及び健康

維持のための食生活に、

より広い食育の視点から

食文化や食の安全などを

加えた知識の普及、健康

学習を実施

ライフステージや各種疾病

に応じた食生活や栄養に関

する健康学習の機会の充実

継続

②区立施設の全面禁煙:《重点》(健康推進課)

受動喫煙が区民及び区立施設の利用者の健康に与える影響等を防止するため、平成28年

3月31日までに区施設の建物内及び敷地内を含めたすべての場所において、「禁煙」を基

本とした受動喫煙防止対策を講じます。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

全面禁煙実施または実施に

向けた検討を行う。(保育園、

児童館・学童保育クラブ、幼

稚園、小・中学校、すくすく

のびのび園)

全面禁煙実施

平成 27 年度までに改めて建

物内及びその敷地内の禁煙

を検討し実施する。(総合庁

舎、目黒区民センター、めぐ

ろ区民キャンパス、中目黒ス

クエア、田道ふれあい館、上

記以外の施設)

平成 27 年度までに改めて建

物内及びその敷地内の禁煙

を検討し実施する。(総合庁

舎、目黒区民センター、めぐ

ろ区民キャンパス、中目黒ス

クエア、田道ふれあい館、上

記以外の施設)

平成 27 年度までに実施((路

上喫煙禁止区域外の児童遊

園 45 箇所

平成 27 年度までに実施((路

上喫煙禁止区域外の児童遊

園 45 箇所)

・平成 28 年 3 月末まで

に建物内及び敷地内を

全面禁煙とすることを

目指し、施設ごとに検

討を開始

・小・中学校及び保育園

は、平成 23 年度末ま

でに敷地内全面禁煙実

施を決定

対応方針を検討

(道路、公園、緑道等)

平成 27 年度末までに対応方

針を定め実施

(道路、公園、緑道等)

Page 82: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

80

③メタボリックシンドローム対策:《重点》(健康推進課)

国や都がメタボリックシンドロームに関する取り組みを強化していることを受け、「生活習

慣病の予防」にメタボリックシンドローム対策を新たに加えます。その概念や予防法の情報

提供など予防重視の生活習慣病対策を一層強化し、肥満・メタボリックシンドローム該当者

及び予備軍の減少を目指します。

計画(平成 24 年~28年度)現況

(平成23年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

適正体重を知り、体重コント

ロールを実践する人の割合

を現状より増やす

90%以上

メタボリックシンドローム

の概念を知っている人の割

合を現状より増やす

80%以上

メタボリックシンドロー

ムの知識や予防について

の普及を図り、実践の動

機啓発を実施

メタボリックシンドローム

該当者及び予備群の割合を

現状より減らす

10%以上の減少

(対平成 20 年度比)

※H20 目黒区特定健康審査

メタボ該当:9.0%

予 備 軍:6.3%

(2)健康づくりのためのスポーツ活動の推進

区民が、生涯にわたってスポーツ活動に親しみ、健康で文化的な生活を送ることができる

よう、スポーツ実施率 60%以上を目標とします。また、地域の身近な場所で、健康づくり

につながるスポーツ活動を気軽に行うことができるよう、区立体育施設の整備・充実を図り

ます。

<計画事業>

①区立体育施設におけるスポーツ活動の推進:《数値》(スポーツ振興課)

区民のだれもが、生涯を通じてスポーツ活動に親しみ、健康づくりができるよう、区立体

育施設の事業を充実します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

だれもが参加できる事業

を区立体育館・区民プー

ルなどで開催

運動やスポーツを行った人

の割合(成人週 1 回以上)を

60%(平成 31 年度末)と

する

継続

Page 83: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

81

②区立学校体育施設の活用促進:《継続》(スポーツ振興課)

スポーツ・レクリエーションの場として学校体育施設を区民に提供します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

小学校 22 校・中学校 10

校の校庭・体育館で実施継続 継続

③総合型地域スポーツクラブモデル事業の拡充:《継続》(スポーツ振興課)

地域住民が主体となって運営し、子どもから高齢者まで、地域のだれもが年齢や興味・関

心等に応じ、生涯を通じていろいろなスポーツ活動等に親しめる総合型地域スポーツクラブ

の各地区での設立をめざし推進します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

1 地区でモデル事業を実

施(平成16年度設立 中

央地区)

継続 継続

(3)心身の健康をつくるみどりの整備

公園は、緑の確保のほか、心身の休養や都市防災等の機能を持っています。身近な場所で

みどりとふれあい心身の健康を高められるよう、公園等を整備します。

①公園等の整備:《数値》(みどりと公園課)

公園等の整備により区民一人あたりの公園面積を増やします。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

区民一人あたりの公園面

積1.83㎡(平成23年

4月 1 日現在)

継続区民一人あたり公園面積2.

0㎡確保

Page 84: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

82

2 こころと身体の健康づくり

【現 状】

メタボリックシンドロームに代表される生活習慣病予防対策として平成 20 年 4 月から導

入された特定健康診査及び特定保健指導をはじめ、健康や医療を取り巻く状況の変化ととも

に、区民の健康への関心も高くなってきています。少子高齢化は目黒区も例外ではなく、乳

幼児から高齢者まで保健医療施策のニーズは多岐にわたっており、ライフステージや心身の

状態に応じた施策が期待されています。

また、子どもたちの体力は長期的な低下傾向にあり、肥満や生活習慣の乱れも問題となっ

ています。学校・家庭が連携して子どもたちの健康の保持増進、体力の向上に取り組むこと

が求められています。

女性の社会進出、晩婚化、晩産化や未婚・非婚率が増加しているにもかかわらず、区内の

子どもの人数は、平成 17 年以降、都心回帰、区内再開発や子育て施策の充実等により増加

傾向にあり、合計特殊出生率も平成 17 年の 0.71 から平成 22 年は 0.90 と改善していま

す。しかし、この合計特殊出生率は、依然として全国平均、東京都の平均を下回っており、

核家族化による子育てへの不安感や負担感の増加で児童虐待等の問題も顕在化してきていま

す。

近年の複雑・困難な社会的・経済的状況等を背景に、精神疾患の患者数は増加傾向にありま

すが、早期から適切な治療を継続することで寛解に到り、地域で社会生活を維持することが

相当程度可能となっています。日本の自殺者数は平成10年以降年間3万人を超え、平成 18

年の自殺対策基本法施行以後、国をあげて自殺・うつ病対策を推進していますが、自殺者の

減少にはまだ繋がっていません。

難病は、療養が長期にわたるため、患者及び家族には精神的・経済的あるいは介護面にお

いて大きな負担がかかっています。国や都は、医療費助成や医療機器貸与等のサービスを実

施し、区は難病ホームヘルプサービス、日常生活用具の給付などの支援のほか、療養相談、

パーキンソン教室、講演会等を実施し、情報の提供に努めています。

【課 題】

生涯にわたり健康・安全で活力ある生活を営むことができるように、幼少期から子どもの

抱える心の悩み、体力の向上、食育などの健康教育に取組み、健全で調和のとれた心身を作

ることが課題となっています。

精神疾患を抱える方が地域で安心かつ安定した社会生活を送るためには、地域ケア体制の

整備とともに、住居の確保、働く場の提供など地域生活を支援する体制づくりが不可欠であ

り、当事者と行政、地域とのネットワークの構築が課題です。また、自殺防止・うつ病予防

(産後うつ等を含む)のために、広く区民全体への普及・啓発を継続するとともに、相談支

援体制の整備など行政の各関係相談機関とのネットワークを構築する必要があります。

難病患者の療養生活の安定と難病患者及び家族の生活の質の向上が求められていることか

ら、より一層知識や情報提供に努め、保健・医療・福祉の連携による総合的な相談支援体制

を整備することが必要となっています。

Page 85: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

83

【施 策】

(1)親子の健康づくりの推進

定期に実施する乳幼児健診の受診率向上を目指すとともに、障害や疾病の早期発見・早期

治療に努めます。健診を通じて育児支援や相談指導を充実させ、児童虐待の兆候などを早期

に発見し対応するよう努めます。さらに、乳幼時期からの食習慣や虫歯予防のための啓発に

ついても充実させていくことで、保護者の育児不安を軽減していきます。

また、子どもの予防接種における接種率向上を図るため、健診などの機会を利用し適切な

時期に確実に勧奨していくとともに、予防接種の重要性、副反応について迅速かつ正確な情

報を提供し、予防接種に対する正しい理解の普及を図ります。予防接種法の変更等があった

場合、正しい情報を提供し適切に対応していきます。

<計画事業>

①妊婦健康診査:《数値》(保健予防課)

妊産婦死亡率の低下を図るとともに、妊娠中の母体と胎児の健康を守るために、妊娠の届

出をした妊婦に対して妊婦健康診査の受診票を交付し、医療機関に委託して健康診査を実施

します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成23年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

妊婦健康診査 14 回、妊

婦超音波検査1回(公費

負担一部助成)

受診券 14 回の使用率を高め

る 68%使用率 70%

②乳幼児健康診査:《数値》(保健予防課・碑文谷保健センター)

発育状況や疾病の有無等について確認するため各種健康診査を行います。4か月・6か月・

9か月・1歳6か月・3歳・5歳児健康診査を保健所又は委託医療機関にて行います。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

乳幼児の月齢、年齢に応

じた内容の健診を実施

4か月児健康診査の未受診

者の状況を把握する

未受診者把握率 100%

継続

Page 86: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

84

③育児支援事業:《継続》(保健予防課・碑文谷保健センター)

育児支援対策として妊娠中からは「ハローベビークラス」「パパの育児教室」乳児期は「フ

レッシュママの集い」「育児学級」をとおして交流を深め、情報交換をすることにより育児不

安の軽減を図ります。更に虐待予防や健やかな子育てを支援していくために「母親の会」「子

どもの健康教室」「健康相談」を実施します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

育児環境の変化、情報の

氾濫により育児相談の内

容も多様化し、幅広い支

援が求められていること

から、母親同士の交流、

個別相談、育児技術の助

言指導などさまざまな角

度から育児支援を実施し

ている

継続 継続

④乳幼児歯科健診:《数値》(保健予防課・碑文谷保健センター)

歯科疾患の予防と早期発見を目的として、1歳6か月児・2歳児・3歳児を対象に歯科健

診・保健指導・予防処置を実施します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

むし歯のない子どもの割

1 歳 6 か月児:96.4%

2歳児:94.8%

3歳児:81.3%

(平成 21 年度歯科健診

実績)

むし歯のない子どもの割合

1歳6か月児:96.7%

2歳児:95.0%

3歳児:83.0%

むし歯のない子どもの割合

1 歳6か月児:97%以上

2歳児:96%以上

3歳児:85%以上

Page 87: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

85

⑤乳幼児栄養相談:《継続》(保健予防課・碑文谷保健センター)

食生活の多様化が進む中、親と子どもの健康を確保していくために、妊産婦や乳幼児の健

全な食生活について啓発を行います。また食習慣の乱れによる生活習慣病を予防し、栄養バ

ランスの良い食事や食文化の継承を啓発していくために、講座や健診の実施時に栄養個別相

談や集団指導を行います。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

対象者に対して随時実施 継続 継続

⑥予防接種に関する正しい知識の普及啓発:《重点》(保健予防課・碑文谷保健センタ

ー)

定期予防接種の種類増加が見込まれる中、任意予防接種への助成制度の拡充、日本脳炎の

勧奨再開、不活化ポリオワクチンの導入など子どもの予防接種を取り巻く状況が今後大きく

変わっていくことから、保護者に対し予防接種に関する情報を適時に提供し、正しい知識の

普及を図ります。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

各種健診時予防接種の個

別通知、ホームページ、

区報等で情報を提供

ホームページ、区報等により

迅速な情報提供を行う継続

(2)児童・生徒の健康づくりの推進

教育委員会で策定した「めぐろ学校教育プラン」に示す「21世紀をたくましく生きる人

間性豊かなめぐろの子ども」の育成を目指し、児童・生徒が生涯にわたり健康・安全で活力

ある生活を営むことができるように、健康課題の改善や体力の向上に向けた取組みを行うと

ともに、望ましい食習慣を身につけるため食育の取組みを推進するなど、学校教育全体を通

じて心身の調和のとれた発達を図るための健康教育を推進します。

また、心の悩みなど子どもの抱える様々な課題に対応するため、電話・来室による教育相

談や、児童・生徒一人ひとりにあわせた学習支援体制を充実するなど、学校や家庭・地域が

連携しながら課題解決を図っていきます。

Page 88: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

86

<計画事業>

①生活習慣改善プログラムの実施:《継続》(学校運営課)

区立小学校4年生及び区立中学校1年生を対象とし、その中で申込みをした児童・生徒に

ついてケース会議で面談の要否を判断したうえで、小児生活習慣病の専門医等との面談を通

して、肥満などから起こり得る生活習慣病の危険因子をもつ児童・生徒の早期発見に努め、

生活習慣の改善につなげます。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

区立小学校4年生を対象

に行っていた生活習慣改

善プログラムを、区立中

学校1年生を対象に拡大

実施

継続 継続

②健康教育の推進:《継続》(めぐろ学校サポートセンター)

肥満やぜん息などの健康課題の改善を図るため、学校健康トレーナーを中心に個人の体力

や健康状態に応じた健康課題改善のためのプログラムの作成や健康教室・健康相談を実施し、

学校、保護者との連携を図りながら児童・生徒への指導・助言を行うなど健康教育の充実を

図ります。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

学校健康トレーナーを全

区立小学校に派遣

健康教室・親子健康教

室・講演会を実施

継続 継続

③健康の保持増進・体力向上への取組み:《継続》(教育指導課)

家庭とも連携しながら、児童・生徒が自らの健康課題の改善や健康づくりに、主体的に行

動していくための健康教育を推進します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度)前期

(平成 24 年~26 年)

後期

(平成 27 年~28 年)

小学生用「めぐろ子ども

スポーツ健康手帳」及び

中学生用リーフレット

「健康の保持増進・体力

向上のために」を作成し

区立小・中学校の全児

継続 継続

Page 89: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

87

童・生徒に配布

④「学校における食育指針」に基づいた食育の推進:《継続》(学校運営課)

区立小・中学校の児童・生徒が食事の重要性や楽しさを理解し、食品を選択する能力や心

身の健康の保持増進の上で望ましい食習慣を身に付けられるよう、食育の推進を図ります。

学校給食を活用した食育の一環として、伝統文化に親しみ、継承することの大切さを理解

するように、日本の行事にちなんだ行事食や各地の郷土料理などを特別給食として実施しま

す。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

平成 22 年度に策定した

「学校における食育指

針」に基づき、食に関す

る指導の全体計画・年間

指導計画の策定

継続

26 年度改定継続

⑤教育相談:《重点》(めぐろ学校サポートセンター)

区立小・中学校へのスクールカウンセラー派遣の拡充、電話や来室による教育相談の推進

などによるめぐろ学校サポートセンターを中心とした教育相談体制の充実を図ります。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

区立全小・中学校へスク

ールカウンセラーを派遣

し、また、めぐろ学校サ

ポートセンターにおける

教育相談員による相談及

び関係機関等との連携に

より困難な事例への対応

を進め、教育相談全体の

充実を図る

継続 継続

(3)成人期・高齢期の健康づくりの推進

40 歳以上の目黒区国民健康保険加入者及び後期高齢者(長寿)医療制度加入者に対して

特定健康診査を実施し、脳卒中、心臓病などの生活習慣病の予防と疾患の早期発見・早期治

療につなげます。また、特定健康診査受診者に情報提供を行い健康管理や生活習慣の改善に

関する正しい知識の普及を図ります。特定健康診査の結果により生活習慣の改善が必要な人

に対し、特定保健指導を行い、各自の生活習慣を見直す支援とライフスタイルにあった改善

目標を実践することにより成人期、高齢期の健康づくりについての自覚を高めます。

Page 90: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

88

疾病を早期に発見したり、再発を予防するため、各種がん検診や再発予防学習会などを実

施します。

また、世代に応じた食生活や栄養に関する健康学習の機会を充実させ、生活習慣病予防や

健康維持のため、知識の普及を図ります。

<計画事業>

①積極的な健診の受診:《数値》(健康推進課)

メタボリックシンドローム及び生活習慣病の早期発見・早期治療のため、40 歳以上の国

民健康保険加入者、後期高齢者(長寿)医療制度加入者、生活保護受給者を対象に特定健康

診査を実施し、その結果をもとに特定保健指導を行い、生活習慣改善を図ります。

また、がんの早期発見、早期予防のため、各種がん検診を実施します。

計画(平成 23 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

特定健康診査の受診率

45.7%

(平成 22 年度実績)

受診率 65% 継続

がん検診の受診率

胃がん 2.9%

大腸がん 35.7%

乳がん 17.3%

肺がん 20.0%

子宮がん 28.7%

前立腺がん 34.1%

(平成 22 年度実績)

現況より受診率を上げる平成 27 年度までに 50%以

②8020運動の推進:《数値》(健康推進課)

80 歳になっても 20 本以上自分の歯を保とうという働きかけである「8020運動」を推

進します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

80 歳で 20 本以上自分

の歯を有する人の割合

27.0%

(平成 21 年 12 月健康

づくり調査結果)

現況より上げる平成 27 年度までに 30%以

③脳卒中再発予防教室:《新規》(碑文谷保健センター)

脳卒中の再発を予防するため、疾患についての理解を深め生活の改善を図ることを目的と

して、医師・理学療法士・言語聴覚士・管理栄養士・保健師等による講義や実技をとおして、

Page 91: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

89

健康教育を実施します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

月 1 回実施

(年度途中の 9 月から事

業組替えにて実施)

対象:区内在住の脳卒中

の既往のある方とその家

個別相談を取り入れた再発

予防講習会を月 1 回実施予

継続

(4)公害保健対策の充実

公害による健康被害者を対象とした健康回復事業・予防事業の充実を目指して水泳教室や

転地療養事業等の実施を継続してきました。しかしながら、参加者・申込者が増加している

事業がある一方、年々減少傾向が続いている事業もあることから、区民ニーズの反映に努め

るとともに、効果的・効率的な観点から事業内容の見直しを行い、充実を図ります。

また、大気汚染等の影響による呼吸器疾患の予防を目的として大気環境調査等を実施する

とともに、一般区民を対象に、食物アレルギーや皮膚疾患及び気管支ぜん息等の呼吸器疾患

に関する知識と予防対策の普及に努めることとし、講演会や相談事業の充実を図っていきま

す。

<計画事業>

①公害保健福祉・予防事業の充実:《重点》(健康推進課)

公害による健康被害者の健康回復や保持及び増進、発症の予防を図るため、健康教室、呼

吸器リハビリなどのリハビリテーション事業や呼吸器に関する健康相談等を実施します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

区内在住・在勤者を対象

に、医師等による講演会

等を開催

気管支ぜん息等に関する知

識の普及継続

せき・たん・息切れ等で

悩んでいる区内在住・在

勤者を対象に健康相談を

実施

呼吸器疾患にり患している

成人を対象に健康相談を実

継続

公害認定患者・呼吸器疾

患にり患している区内在

住者を対象に呼吸器リハ

ビリテーション教室を実

呼吸器疾患にり患している

成人を対象に、リハビリテー

ション訓練等の指導を実施

継続

Page 92: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

90

公害認定患者とその家族

を対象に家庭や施設を訪

問して保健指導を実施

家庭訪問等におる保健指導

を実施継続

②大気環境調査およびアスベスト対策:《継続》(環境保全課)

区内一般環境大気の状況を把握・監視し、環境基準との比較等を行うとともに、迅速な環

境情報の提供を行います。また、アスベストの除去工事に対し、飛散防止の指導等を行いま

す。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26年度) 後期(平成 27年~28 年度)

調査項目:二酸化窒素、

浮遊状粒子物質等 8 項目継続 継続

特定粉じん排出等作業実

施届出書の受付、アスベ

スト分析調査費助成

継続 継続

(5)こころの健康づくり支援

自立支援医療制度を活用した継続的な医療を確保しつつ、精神保健相談を通して精神状態

や生活状況を把握してデイケアやホームヘルプサービスの利用、作業所・グループホームへ

の通所・入所など社会資源の利用を援助し、精神障害者の自立と社会参加を促していきます。

景気の長期低迷に加えて大震災などが区民の心の健康をおびやかす状況にある中で、自殺

予防としてできるだけ多くの区民に、うつ病の現状や相談機関、医療機関を周知するようキ

ャンペーン等を通じて普及・啓発を行います。

自殺・うつ病予防および精神障害者支援のために、相談支援体制の整備や、行政の関係相談

機関等のネットワークの構築を検討していきます。

<計画事業>

①精神保健相談:《継続》(保健予防課・碑文谷保健センター)

精神障害(統合失調症やうつ病、認知症など)の早期発見、早期治療及び再発予防の促進

を図るため、患者とその家族及び区民を対象とした訪問や面接・電話相談を実施します。さ

らに地域の精神保健の向上のため、企業や学校等にも働きかけ相談体制の拡大・充実を図り

ます。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

・専門医による相談

(月4回予約制)

・保健師による電話・面

接・訪問相談

(随時)

継続 継続

Page 93: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

91

②精神保健講演会:《継続》(保健予防課・碑文谷保健センター)

こころの健康の保持増進およびその重要性や疾病についての理解を深めるため、広く区民

を対象として、うつ病・統合失調症・認知症などの精神疾患をテーマとした内容で講演会を

実施します。

計画(平成24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

年4回実施 年6回程度実施 継続

③依存症(アルコール等)家族問題相談:《重点》(保健予防課)

近年依存症(アルコール・ギャンブル等)が増加する中、地域に相談ができる機関も少な

く、治療に繋がりにくく、又家族自身も巻き込まれ健康を害する場合も少なくないため、適

切な機関の照会や専門職による個別相談および家族同士の交流を通じて家族の心の安定が保

てるように支援します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成23年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

月 1 回 実施 継続 継続

④うつ病予防対策事業:《重点》(保健予防課・碑文谷保健センター)

自殺の大きな要因のひとつでもあるうつ病の現状と疾病の理解、相談機関・医療機関の周

知などを目的として、講演会等を通じて、広く区民や企業に向けて普及・啓発を行います。

さらに、うつ病を予防し、早期発見・早期治療を可能にするため、電話・面接・訪問等を

随時行います。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

企業向けうつ病講演会

1回継続 継続

保健師による電話・面接

接・訪問相談(随時)継続 継続

(6)難病医療対策の充実

在宅難病患者・家族の療養支援を図るため、保健・医療・福祉等の関係機関の連携を一層

強化し、在宅難病患者に対する保健相談の充実を図るとともに、難病講演会、パーキンソン

教室等を開催し、知識の普及と療養支援を行います。

難病(関節リウマチを含む)患者が在宅において安心して生活を営むことができるように、

保健・医療・福祉の連携を図りながら、難病ホームヘルプサービス、日常生活支援用具の給

付等の充実を図ります。

Page 94: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

92

<計画事業>

①難病保健事業の充実:《継続》(保健予防課・碑文谷保健センター)

在宅難病患者およびその家族にかかる精神的・経済的、介護面の負担軽減を図るため、療

養相談やリハビリ教室を実施します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

医療費助成申請時、パーキ

ンソン教室参加者等に療養

相談を随時実施

継続 継続

患者とその家族を対象に、

パーキンソン教室を月2回

開催

継続 継続

難病患者とその家族を対象

に難病講演会を実施継続 継続

②難病患者への日常生活支援:《継続》(障害福祉課)

在宅難病患者およびその家族にかかる精神的・経済的・介護面の負担軽減を図るため、日

常生活支援サービスを実施します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

日常生活に支障がある方

に、ホームヘルパーを派遣継続 継続

難病患者等に日常生活用具

を貸与継続 継続

Page 95: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

93

3 安全で快適な生活環境づくり

【現 状】

(地域医療・保健体制の推進)

区の健康づくり調査(平成 21 年 12 月)によると、70.0%の人がかかりつけ医師・歯科

医師を決めています。一方、「医療に関する情報で知りたいこと」の第 1 位に「休日・夜間に

診療している医療機関」が挙げられており、誰もが地域で 24 時間安心して医療を受けられ

る環境を望んでいることが伺えます。東京都では、中・長期にわたり療養が必要な人が地域

で安心して療養できるように、平成 22 年 10 月に全国に先駆けて「在宅療養推進会議」を

立ち上げました。

(医薬品等の安全の確保)

医療に対する区民の安心・信頼を確保し、質の高い医療が受けられるよう、相談・苦情対

応、医療機関・患者等への助言等を行っています。医薬品については、生活習慣病の増加に

より長期にわたって多くの医薬品を使用する患者が増えており、重複投薬、薬物相互作用等

によるリスクを軽減するための薬歴管理、服薬指導が重要となっています。

(快適な生活環境の確保)

区民が健康で安全、快適な生活を送るため、生活の拠点となる住宅や周辺地域、さらには

区民が利用する建築物、生活環境に関連する営業施設などの環境を良好に維持する必要があ

ります。ビルや共同住宅などの建築物については、計画段階から協議を行い、衛生的環境確

保の指導を行っています。生活環境に関連する営業施設には定期的な立入検査や重点的な改

善指導を行って衛生水準の維持・向上に努めています。

また、ねずみや衛生害虫の防除においては、講習会等を通じた区民への情報提供、相談、

訪問指導や助言などの支援を行っています。

(食品の安全・安心の確保)

食品等が原因となる健康危害防止と区民の健康保護のため、食品関係施設の監視指導を行

い、国や都と連携して食中毒の防止及び違反不良食品等の排除に努めています。

また、食品関係事業者に対しては自主衛生管理体制確立のため、食品に関する法改正及び

衛生知識向上のため講習会を随時実施しています。区民に対しては正確な食品衛生知識の普

及啓発を図るため、食の安全に関する最新情報を収集するとともに保健講座や食品衛生推進

会議等を開催しリスクコミュニケーションに努めています。

(動物の適正飼育の推進)

少子高齢・核家族化等が進む中、家庭での飼育動物は愛玩の対象から、「家族」あるいは「人

生のパートナー」へと変化してきています。動物愛護に対する人々の関心が高まる一方、犬

の鳴き声やふんの放置、猫の屋外飼育や飼い主のいない猫への無責任な餌やりの苦情などが

急増しており、飼い主のいない猫の不妊・去勢手術費の助成を行っています。また、東日本

大震災を機に、災害時における被災動物への対応について関心が高まっています。

Page 96: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

94

【課 題】

(地域医療・保健体制の推進)

少子高齢化が加速する中で、子どもから高齢者まで、地域で安心して医療を受けられる環

境や、二次救急も含めた休日・夜間の診療体制の整備、在宅療養者への 24 時間対応の体制

整備が求められています。

また、長期療養が必要な場合は、自宅などで安心して療養できるよう医療・介護のほか生

活全般にわたる幅広い支援が求められており、行政が主体となって、区の実情に応じた在宅

療養推進の連携システムを築くことが喫緊の課題となっています。

(医薬品等の安全の確保)

医療に関する相談は、病気や診断・治療、医療機関に関することなど、区の関係課が各々

の役割の中で連携して対応していますが、相談内容が高度化・複雑化していることから、相

談対応能力の向上を図っていくことが必要です。

(快適な生活環境の確保)

健康の視点を加えた質の高い生活環境を、区民自らが築くことができるように、的確な情

報提供を行える仕組みづくりや普及・啓発、支援が必要です。また、生活環境に関連する営

業施設の新たな営業形態により、健康被害が生じることがあります。このため、区民が適切

なサービスの選択をできるような情報提供を行う必要があります。

(食品の安全・安心の確保)

新たな危害要因の発生にも的確に対応するため、科学的根拠と最新の知見に基づく食品監

視指導を効率的かつ計画的に実施するととともに、実施結果を積極的に区民へ公表していく

ことが重要です。また食品関係事業者に対しては、規準等の遵守と食中毒発生防止のための

自主的衛生管理体制確立への支援を進めていく必要があります。

さらに、食肉の生食による食中毒や、食品中の放射性物質などについて正確な情報を提供

するとともに、行政、区民、食品事業者三者による情報の共有化を通じて区民の安全と安心

の確保を図る必要があります。

(動物の適正飼育の推進)

人と動物の調和のとれた共生社会を実現するため、動物の適正飼育について普及啓発を継

続して行う必要があります。また、課題の多くは地域社会に密着しているため、解決には地

域の実情に応じたきめ細かい取り組みと地域活動への支援が必要です。さらに、災害時にお

ける被災動物の保護及び救護などを適切に行うため、関係機関等と連携を図る必要がありま

す。

【施 策】

(1)地域医療・保健体制の推進

東京都では、これまでも地域における疾病別の医療連携に取り組んできていますが、特に

二次保健医療圏を単位とした広域的な医療体制の構築が必要な4疾病(がん、脳卒中、急性

心筋梗塞、糖尿病)については、行政、医療機関、介護事業者等による協議会を設置し、区

もこの協議会に参加して、医療連携の取り組みを進めています。区内の医療機関においても、

限られた医療資源の中で専門病院との連携(病診連携)に取り組んでいますが、今後も地区

Page 97: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

95

医師会と協力し、地域医療・保健体制の構築をさらに進めていきます。

「在宅療養」の対象は、医療、介護のみならず生活全般に及び、医師、歯科医師、看護師、

ケアマネージャーなど様々な専門家が支援に係わることから、これらの職種や関係医療機関

の緊密な連携とネットワークづくり、24 時間の支援体制構築に向けて、地区医師会などの

関係医療機関と協力して推進していきます。

<計画事業>

①在宅療養施策の総合的推進:《新規・重点》(地域ケア推進課・健康推進課)

<再掲>

医療ニーズの高い要介護者などが安心して在宅での生活を続けられるように、在宅療養の

推進に係る施策を総合的に推進します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

主治医と介護支援専門員

の連携の推進、訪問看護

ステーションへの支援な

・在宅療養推進協議会(仮称)

の設置

・推進施策の総合的な検討と

実施

継続

②休日等診療体制の充実:《継続》(健康推進課)

区民が、安心して医療を受けられるよう、一般の診療所等が休診している日曜・祝祭日・

年末年始及び土曜日に、急病患者に対して診療を行います。あわせて、休日等の診療体制情

報を常時提供します。

計画(平成 24 年度~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

休日等における急病患者

に対して、区内 2 か所で

診療を実施。歯科につい

ては輪番制で実施

継続 継続

(2)医薬品等の安全の確保

薬事関係施設に対し、医薬品等の適正管理について立入検査を実施するとともに、安全使

用のための情報が患者等に十分提供されるよう、薬剤師や登録販売者等の適正配置について

監視指導を強化します。また、講習会の開催により、薬事法や毒物及び劇物取締法の趣旨の

徹底を図ります。

区民からの医療に関する相談に応えるため、区の関係課連絡会、都や医療安全関係団体の

研修、他機関との連携・協力を通じて情報収集及び相談機能の強化を図ります。

Page 98: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

96

<計画事業>

①医薬品等の監視指導の実施:《数値》(生活衛生課)

薬局や医薬品販売業に対し、医薬品等の適正管理について立入検査を実施するとともに、

安全使用のための情報が患者や使用者に十分提供されるよう、薬剤師等専門家の適正配置に

ついて監視指導を強化します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成23年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

薬局・医薬品販売業への立

入検査を実施している

毎年度、薬局・医薬品販売業

の 30%以上の施設を対象に

立入検査を実施

継続

②医療安全の普及・啓発:《継続》(生活衛生課)

区民からの医療に関する多様な相談にこたえるため、区の医療安全連絡会、都や医療安全

関係団体の研修、他機関との連携協力等を通じて情報収集及び相談機能の強化を図ります。

また区民が主体的に安全・安心な医療を受けられるよう、区報やホームページ等を通じイン

フォームド・コンセントの考え方や医療安全施策について普及・啓発を行い、医療機関との

信頼関係構築を支援します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

・医療安全連絡会を開催

・区報やホームページに

普及・啓発記事を掲載

・医療安全連絡会の開催等

・区報やホームページを通じ

た普及・啓発

継続

③薬事講習会・毒物劇物講習会の開催:《継続》(生活衛生課)

医薬品や毒物劇物による健康被害を未然に防止するため、薬局・医薬品販売業者や毒物劇

物販売業者に対して講習会を実施し、薬事法や毒物及び劇物取締法の趣旨を周知徹底します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

薬事講習会及び毒物劇物

講習会を開催

薬事講習会及び毒物劇物講

習会を開催継続

(3)快適な生活環境の確保

建築物の衛生問題を未然に防止するため、事前協議制度を通じ、最新の情報・知識による助

言・指導を行い、あわせて竣工後の確認検査を充実し、健康で快適な居住環境確保の普及を

図ります。

飲料水の安全、とりわけ貯水槽水道設備の維持管理の普及とともに、東京都が推進してい

る貯水槽を設けない給水方式の普及を図ります。

Page 99: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

97

レジオネラ症等の感染症予防のため、調査・指導を充実し、自主管理の普及促進を図って

いきます。また、室内空気環境について、相談体制の充実を図ります。

ねずみ・衛生害虫等の対策は、発生しないための環境づくりなど環境的防除を重点的に行

っていくとともに、生態や発生量に応じて化学的防除、物理的防除などを組み合わせた総合

的な防除を推進します。

生活環境に関連した営業施設の監視指導は、衛生水準や社会情勢に基づいて行うとともに、

事業者の自主管理体制を支援し、衛生水準の維持・向上を図っていきます。また、新たな営

業形態から生じる健康問題に対しては、科学的な調査と最新情報に基づく事業者への指導と

区民への情報提供を行っていきます。

<計画事業>

①建築物に関する事前協議の充実《継続》(生活衛生課)

建築物の構造や設備、その管理に起因する衛生上の問題を未然に防止するため、建築物の

設計段階において事前協議を行い、衛生問題が生じにくく、維持管理のしやすい衛生設備の

普及を図ります。また、竣工後に確認検査を行います。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

建築確認申請を要する新

築及び増改築部分の延べ

面積が 500 ㎡以上の建

築物(一戸建を除く)につ

いて、区と建築物の所有

者が設計段階から協議

継続 継続

②居住環境の安全確保:《継続》(生活衛生課)

区民が健康で安全で快適な生活を送るため、生活の拠点となる住宅、区民が利用する施設、

貯水槽設備、井戸水等について衛生知識の普及・衛生指導を行います。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

給水施設の維持管理に必

要な知識、水道事業者と

の連携等による貯水槽を

設けない給水方式への転

換に関する普及啓発を実

設置者及び管理者への自主

管理指導及び衛生知識の普

継続

水質検査受付時などに井

戸水の衛生指導を実施継続 継続

Page 100: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

98

レジオネラ症予防に関し

て維持管理上注意が必要

な施設の管理状況の把握

及び改善指導

継続 継続

・区民、事業者の換気、

ダニ、カビなどの室内

環境の相談に対し、最

新の知見に基づいた情

報を提供

・リーフレット等により

普及・啓発を実施

継続 継続

③ねずみ・衛生害虫等駆除対策の推進:《継続》(生活衛生課)

感染症の予防等、公衆衛生の維持を目的として、蚊などの衛生害虫駆除対策事業を推進し

ます。また、区民から寄せられるねずみ・衛生害虫等の駆除に関する相談に応じ、ねずみ・

衛生害虫等の生態及び環境対策に主眼をおいた駆除方法について知識の普及を図ります。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

雨水ますへの薬剤投入(蚊

などの発生予防)継続 継続

・相談者に対して、ねずみ

等の生態に基づいた正

しい駆除方法を情報提

供し、必要に応じて現地

指導を実施

・駆除対策講習会を実施

継続 継続

④営業施設監視指導体制の充実:《継続》(生活衛生課)

施設の衛生水準や健康への影響を考慮した監視指導、社会情勢に基づく重点的な監視指導、

事業者に分かりやすい評価手法を活用した自主管理体制の支援により衛生水準の維持・向上

を図っていきます。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

衛生水準に応じた監視指

導、指導結果の通知、不

適施設に対する改善指導

衛生水準に加え健康影響を

考慮した監視指導、指導結果

の通知、不適内容に応じた改

善指導

継続

Page 101: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

99

⑤ 自主的な衛生管理体制への支援:《継続》(生活衛生課)

生活環境に関連した営業施設事業者が自主的に効果的な自主管理体制を構築することがで

きるようにするため、関係団体や個々の事業者に対して情報及び技術支援を行います。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

関係団体等への講師派遣

及び技術支援の実施

関係団体等への講師派遣及

び情報提供手法の充実継続

(4)食品の安全・安心の確保

食品監視指導体制の充実を図るため、新たな危害要因の発生にも的確に対応できるよう、

重点的な監視指導及び計画的な収去検査を実施して食品の安全を確保していきます。

また事業者の自主的衛生管理体制を支援するため、講習会等の衛生教育を通じて責務及び

衛生知識の普及啓発を行います。

区民に対する食品衛生についての広報活動等を行い、正確で最新の知識の普及啓発を行い

ます。

<計画事業>

①食品監視指導の充実:《重点》(生活衛生課)

目黒区食品衛生監視指導計画に基づき、食品・食品添加物等取扱い施設の監視指導及び科

学的根拠と最新の情報に基づく表示及び収去検査を実施し、肉の生食等による食中毒の発生

防止を図るとともに違反・不良食品の排除を行うことにより、国、都とも連携して食の安全

を確保します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

平成 23 年度目黒区食

品衛生監視指導計画に基

づき、業態別一斉収去検

査、監視指導、緊急監視

等を実施

毎年度作成する目黒区食品

衛生監視指導計画に基づく

表示、収去検査及び監視指導

並びに緊急監視等を実施

継続

Page 102: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

100

②食品衛生自治指導員活動への支援:《継続》(生活衛生課)

目黒区食品衛生協会所属の食品衛生自治指導員が自主管理活動を行うに当たり、技術的支

援や最新情報の提供を行います。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成23年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

・自治指導員対象の講習

会を実施

・巡回自治指導における

簡易検査に関する技術

的支援

・巡回自治指導員活動に対す

る技術的支援や講習会の

実施

・自主管理の拡充に向けたP

R活動への支援

継続

③食品衛生責任者講習会の実施:《継続》(生活衛生課)

自主的衛生管理体制の中枢を担う食品衛生責任者の資質向上を図るため、食品衛生に関す

る最新の知見、情報を定期的、継続的に提供する食品衛生責任者実務講習会を開催します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

・業態別講習会及びノロ

ウイルス・カンピロバ

クター対策講習会等を

実施

・食品衛生協会実施の責

任者再教育講習会への

講師派遣等

・業態に応じたきめ細かい講

習会の実施

・食品衛生協会実施の責任者

再教育講習会への支援 継続

④食に関する普及・啓発:《継続》(生活衛生課)

区民に対し正確な食品衛生知識の普及を図るため、食の安全に関する最新情報を収集・提

供するとともに、行政、消費者及び食品営業者の情報・意見交換の場として食品衛生推進会

議を設けるなど、リスクコミュニケーションに努めます。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

・食品衛生推進会議を開

・推進会議委員(消費者、

食品関係事業者)を対

象に研修会を実施

食品衛生推進会議および推

進会議委員研修会等の開催継続

Page 103: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

101

・区民の関心の高いテー

マで講演会を実施

・食品関係施設の見学会、

自主研修会等への講師

派遣等

継続 継続

パネル展示会、ホームペ

ージ掲載のほか、食品衛

生月間に相談窓口開設

・パネル展示会および食品衛

生月間の相談窓口開設

・ホームページへの適時適切

な掲載

継続

(5)動物の適正飼育の推進

犬の飼い方セミナーの開催、マナー啓発プレート等の配布など啓発事業を行い、飼い主の

社会的責任やマナーの普及啓発を推進します。また、狂犬病などについて普及啓発を図るた

め、集合注射や注射未実施者への督促などを行い、予防注射接種率の向上を図ります。

飼い主のいない猫対策の一環として、不妊・去勢手術費助成事業を実施するとともに、制度

について広く区民に周知します。

災害時の動物救護を円滑に行うため、飼い主の日頃からの備えについて普及啓発を図ると

ともに、救護マニュアル等の整備を行います。また、関係機関、関係団体、地域等と連携・

協力し、災害時対策等に向けて、情報提供や相談機能を充実します。

<計画事業>

①狂犬病予防注射の接種率向上:《数値》(生活衛生課)

狂犬病予防について普及啓発を図り、狂犬病予防接種の接種率の向上を図ります。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

・予防注射の集合注射を

実施

・未済者に督促状を送付

接種率 73.0% 接種率 75.0%

Page 104: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

102

②動物の適正飼育の普及啓発:《重点》(生活衛生課)

動物の飼育について、さまざまな媒体を活用し、飼い主等を対象に普及啓発を図ります。

また、災害時におけるペット等の救護マニュアルを整備します。

計画(平成24年~28年度)現況

(平成23年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

犬の飼い方セミナー・動

物愛護週間事業の開催、

マナー啓発プレート・チ

ラシ等による啓発

・犬の飼い方セミナー・動物

愛護週間事業の開催、マナ

ー啓発プレート・チラシ等

による啓発

・災害時におけるペット等の

救護マニュアルの策定

・継続

・災害時におけるペット等の

救護マニュアル周知

③飼い主のいない猫の不妊・去勢手術費の助成:《継続》(生活衛生課)

飼い主のいない猫の不妊・去勢手術費を助成することにより、飼い主のいない猫の繁殖を

抑え、人と動物との調和のとれた共生社会を実現します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

飼い主のいない猫の不

妊・去勢手術費助成事業

を実施

継続 継続

Page 105: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

103

4 健康危機管理対策の推進

【現 状】

食中毒、感染症、医薬品、飲料水等の分野で大規模な健康被害が発生した場合、区民の健

康と安全を確保するため、健康危機管理に関する基本指針等を策定しています。平成 21 年

の新型インフルエンザ発生時及び平成 23 年の東日本大震災時においても、初期段階から関

係機関等が連携を密にし、迅速・的確な対応で被害の拡大防止に努めました。

新型インフルエンザに代表される新興感染症の脅威に備えるため、平成19年度に「目黒

区新型インフルエンザ対策行動計画」を策定し、新興感染症対策について取り組みを進めて

きました。こうした中、平成21年4月にメキシコで新型インフルエンザ(A/H1N1)

が発生し、区内でも多くの小・中学校で学校閉鎖や学級閉鎖を余儀なくされ、若年者を中心

に多くの患者が発生しました。現在、国内でも平成 22 年から 23 年にかけて高病原性鳥イ

ンフルエンザウイルスが全国各地で相次いで検出されるなど、新興感染症の発生の蓋然性は

低下していません。再興感染症の代表でもある結核は、毎年区内で 40 人~60 人が発症して

おり、なかでも高齢者や外国人等リスクの高い患者が増加しています。東京都においてはH

IV感染者・エイズ患者が毎年増加し続けており、特に 20 歳代、30 歳代の若い世代の感染

報告が増えていますが、HIV検査を受ける人は減少しています。

健康危機管理発生時に対策の拠点となる区役所の機能低下を最小限にとどめ、区民の生

命・生活及び財産を保護し社会経済活動を維持できるようにするため、業務継続計画を策定

します。

【課 題】

東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所事故による放射線問題は、健康不安、飲料水・

食品等の汚染、空間・土壌放射線量等多岐にわたり適切な判断と対応が求められました。こ

うした経験を教訓に今回の対応を検証し、各部局や関係行政機関の役割分担を再確認すると

ともに、災害時に想定されるあらゆる健康危機の状況・場面を想定したマニュアルの整備が

課題となっています。

高病原性の新型インフルエンザの発生に備え、国等の動向や平成21年に発生した新型イ

ンフルエンザの区で行った総括の検討課題を念頭において、行動計画・マニュアル等の見直

しを行うとともに、関係機関との協議を継続し、体制の整備を推進することが重要です。

また、感染症予防及び発生時の感染拡大防止を徹底するため、平常時から区民等に対する

情報提供や普及啓発を充実させ、感染症発生時には関係機関等とより一層連携を密にして対

応することが必要です。

【施 策】

(1)健康危機管理体制の整備・充実

平成23年の東日本大震災における原発事故等による放射線問題は、健康不安、飲料水、

食品等の安全、空中・土壌の放射線量など多岐にわたる対応が求められたことを踏まえ、庁

内健康危機管理関係所管の役割分担を見直し、健康危機発生時に的確で迅速な情報収集・提

Page 106: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

104

供ができるような体制を再構築します。発生後の対策として、健康被害の拡大防止に向けた

区民への正確な情報提供が速やかに行われるよう、危機管理体制を整備・充実するとともに

警察や医療機関等との連携強化を図ります。

<計画事業>

①新型インフルエンザ対策の整備:《重点》(保健予防課)

新型インフルエンザによる感染拡大を予防し、区民の健康被害を最小限にとどめ、区民生

活を確保するため、新型インフルエンザ対策行動計画、各対応マニュアルに基づいた防疫・

医療体制等を整備します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

行動計画・各対応マニ

ュアル改定準備

・行動計画改定、各対応マニュ

アルの整備

・医療体制の整備、訓練、普及

啓発等実施

医療体制の整備、訓練、普及

啓発等実施

(2)感染症への対応

感染症発生動向調査の活用等により、迅速かつ的確に情報を収集し区民等に提供するとと

もに、正しい知識の普及啓発と相談体制の充実に努めます。

結核の感染リスクの高い人への健康診断を推進し、感染リスクの高い集団等の健康状態の

実態把握に努め、患者の早期発見、二次感染予防を図ります。

感染症発生時に関係機関と連携を密にし、迅速に調査・防疫活動を実施し、感染拡大を予防

します。

予防接種の接種率向上のため、医療機関等との連携強化、接種方法の充実等の対策を講じ

ます。

新型インフルエンザ等の新興感染症の発生に対して、感染の拡大を予防し、区民の健康被

害を最小限にとどめ、区民生活の安全確保のため、国・東京都と連携してさまざまな対策の

整備に努めます。

HIV感染予防の普及啓発を行い、性感染症を含む検査・相談体制を充実します。

Page 107: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

105

<計画事業>

①結核予防対策事業:《数値》(保健予防課)

患者の早期発見、集団感染予防、二次感染予防のため、感染リスクが高い人への健康診断

を推進する。患者に対しては服薬管理(DOTS)を行い、電話等による服薬確認及び療養

相談など継続治療の支援を行います。

その他、予防接種、区内医療機関等における定期健診(結核健診)の受診状況の把握、施

設等に対する正しい知識の普及啓発等を実施します。

計画(平成 24 年~2 年度)現況

(平成23年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

患者管理、接触者健診、

定期健診受診状況の把

握(医療機関等)、予防

接種(BCG)、普及啓

発等

結核り患率 10 以下

(人口 10 万対)継続

②エイズ・性感染症相談・検査:《重点》(保健予防課)

検査数が減少する一方でHIV 感染者、エイズ患者が増加している現状を踏まえ、さまざま

な機会をとらえて正しい知識の普及啓発を行い、早期発見・早期治療に結びつくよう性感染

症を含む相談・検査を実施します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

月1回検査を実施

その他年1回臨時夜間

検査を実施

相談は電話・来所によ

り随時対応

検査体制の充実 継続

③高齢者に対する予防接種:《数値》(保健予防課)

インフルエンザ及び肺炎球菌予防接種について、65 歳以上、および 60~64 歳(肺炎球

菌は 40 歳~64 歳)で心臓、じん臓、呼吸器の機能または、ヒト免疫不全ウィルスによる免

疫の機能に障害を有する区民を対象に、接種費用の一部助成を行います。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

《インフルエンザ》

対象者に個別通知によ

り勧奨の実施

接種率 57% 接種率 60%

Page 108: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

106

《肺炎球菌》

75 歳該当者にのみ個

別通知送付

他は申し込み制

接種率 15%(平成 22

年度現在)

接種率 25% 接種率 30%

④健康診断(検便):《継続》(碑文谷保健センター)

消化器系感染症の集団発生防止のため、患者及び患者関係者に健康診断(検便)を実施し、

また飲食物取扱従事者及び集団給食施設従事者に健康管理検便を実施します。

計画(平成 24 年~28 年度)現況

(平成 23 年度) 前期(平成 24 年~26 年) 後期(平成 27 年~28 年)

健康診断(検便)

患者発生時随時受け

付け

健康管理検便

原 則 第 1 ~ 4 週 の

火、水曜

継続 継続

(3)災害時への対応

健康危機管理対策拠点となる区役所の機能低下を最小限にとどめ、発生時の被害拡大を防

止し、区民の生命・生活を保護するため、健康危機管理時の業務継続計画を策定します。

また、健康危機管理発生時、医療救護活動、健康被害防止対策、各種相談業務などを迅速

かつ適切に行うためには、各関係機関との緊密な連携と協力が不可欠であることから、定期

的に健康危機管理連絡会を開催し情報共有に努めるほか、連絡訓練などで区災害対策本部、

医師会・歯科医師会・薬剤師会、東京都、協力医療機関との連絡体制を一層強化します。

Page 109: 目黒区保健医療福祉計画 改定素案...1 第1章 計画の概要 1 計画改定の背景 目黒区では、平成18年2月に「目黒区保健医療福祉計画」を策定し、だれもが住み慣れ

107