移動実測のための平均放射温度計の開発 Development of mean radiant temperature measuring equipment for moving observation 中大窪 千晶 ( 佐賀大学 ),浅輪貴史 ( 東京工業大学 ),吉野瑳瑛子 ( 東京工業大学 ) email: [email protected] 〇研究背景・目的 〇平均放射温度計の概要 短波長放射用センサーの特徴 MRT 計のセンサー部分の構成 MRT 計センサー 部分回路図 MRT 計センサー部 分基板写真 長波長放射用センサーの特徴 精度の検討 精度の検討 〇街区の放射量の測定 〇街区の平均放射温度の移動測定 〇平均放射温度計の提案 移動実測で平均放射温度を測定する問題点 ・多面体の日射センサーは提案されている が、屋外で短波長放射、長波長放射を測 定するものは、あまり見られない。 ・センサーの反応速度が遅く、自転車で移 動しながら測定出来ないこと ・センサーが大きいものが多く、自転車に 装着して走行することが困難であること 開発要件 1)平均放射温度を算出するため , 自転車に入射する前・後・ 上・下・左・右の6面に入射する日射量 , 長波長放射量 を測定ができること 2)移動実測ができるように応答速度の速いセンサーを用 いること 3)自転車に装着して走行できる重さ , 大きさであること 50mm 50mm 50mm 50mm 72.5mm 自転車前方に設置する5面の MRT 計 自転車後方に設置する後面の MRT 計 短波長放射用 センサー 短波長放射用 センサー 長波長放射用 センサー 長波長放射用 センサー 自転車のタイヤ等の影響避け るため、下部は 20° 傾ける MRT 計 (前方) 自作ロガー MRT 計 (後方) -80° 0.50 0.25 0.00 0.75 1.00 -60° -40° -20° 20° 40° 60° 80° 80° 80° 90° 90° 100 100 80 80 60 60 40 40 20 20 0 70° 70° 60° 60° 50° 50° 40° 40° 30° 30° 20° 20° 10° 10° 60 50 40 30 平均放射温度 [℃ ] 放射量 [W/m 2 ] 600 400 200 0 2015 8/4 8:45 2015 8/4 8:50 2015 8/4 8:55 2015 8/4 9:00 日射量(6 面平均) 長波長放射量(6 面平均) 測定ルート 夏期(2015 月 8 月 4 日 晴天日)に、MRT 計を用いて東京郊外の住宅地における平 均放射温度の移動測定を行った。 同時に気温・湿度の測定を行っている。平均放射温度 の算出については、6 面の日射量、長波長放射の平均値を算出し、日射吸収率 0.7、長 波長放射率 1.0 として算出してる。 朝方でも空間の違いにより平均放射温度が常に変化し、最大 20℃程度の差が現れる。 夏期の測定では最寄り駅からの通勤を想定し、5 ルートを同時に自転車で移動実測を行った。測定は、 朝方( 8:00 〜 9:00)、正午(12:00 〜 13: 30)、夕方(17:00〜18:30)に行っている。 右図のルート 左図のルート 新百合ヶ丘駅 柿生駅 鶴川駅 MRT 計上面 長短波放射計 上面 長短波放射計 下面 MRT 計下面 長波長放射量 [ W/m 2 ] MRT 計を用いて , 左図に示す街区の街路での放射量の測定を行った . 比 較のため、長短波放射計(英弘精機:MR-60)での測定も同時に行ってい る . 長短波放射計が , 応答速度が遅く , 重量もあるため , 自転車を手で押し ながら歩いて測定を行った. 測定は、2015 年 2 月 3 日に行った。 MRT 計と長短波放射計 から得られた長波長放射 の値を比べると、応答即 の差から、多少のずれは あるものの、ほぼ同様の 値となっており、空間の 直をとらえてるいること 側分かる。 日射量(W/m 2 電圧(V) 日射計とセンサーの電圧と比較 &% MRT* (+)90° "#!$,A ,B ,A.1'20- "#!$/ π/4- ,B.1'20- "#!$/ π/2 ・センサー部分は、短波長用センサー、長波長 用センサーが隣接するように配置している。 ・短波長センサーは、一般的なオペアンプを用 いた電流電圧回路を用い、前方センサー部に 取り付けた A/D 変換回路を通して、出来るだ け近い位置で、デジタルデータに変換し、ロ ガーと通信(I2C 方式)を行っている。 ・長波長センサーは、A/D 変換回路が内蔵され ており、直接ロガーとデジタル通信(SMBus 方式)を行っている。 測定方法 Siフォトダイ オード 感度波長帯(nm) 320 〜 730 最大感度波長(nm) 560 短絡電流(μ A) 0.16 上昇時間(μ s) 0.5 測定方法 サーモパイル 感度波長帯(μ m) 5.5 〜 14.0 測温範囲(℃) -70 〜 382.2 温度分解能(℃) 0.02 上昇時間(ms) 20 ・屋外の熱的快適性を考慮した街づくりを進める上で , 不均一 な放射環境を面的に把握することが重要である。 ・放射環境の評価指標である平均放射温度の測定は、グローブ 温度計をはじめ様々な方法が提案されているが、1点で固 定して測定するものである。 ・自転車に入射する短波長放射、 長波長放射を測定することを前 提とし、自転車前方に前・上・下・ 右・左の5方向を向いたセンサー を、自転車後方に後を向いたセ ンサーを固定する。 ・前方のセンサーはかごから 30cmの位置に、後方のセンサー は、後輪上部に設置する。 ・ロガーは自作のものを使用し、 自転車のかごに設置する。 街区スケールの平均放射温度分布を測定で把握するために、 自転車を用いた移動実測のための平均放射温度計の開発を行 うことを目的とする センサーの光学的・電気的特性 センサーの指向特性 センサーの指向特性 センサーの光学的・電気的特性 ・上昇時間が 0.5 μ s と、反応速 度が速い ・感度波長帯が可視域で日射全域 をとらえていない(最大感度波 長はほぼ同じ) ・上昇時間が 20 μ s と、反応速 度が比較的速い ・センサーの視野角が 90° と狭い。 下記の 2 点について検討を行い補正した ・センサーの感度波長帯 ・センサーの視野角の補正 精密全天日射計(英弘精機: MS-802)を用いて日射を 測定し , その値と同条件で 測定した MRT 計から得ら れた電圧の値と比較するこ とで回帰式を作成した . 測定は、2015 年 3 月 1 〜 5 日、2015 年 7 月 27 日 〜 30 日 Si1133 ( 浜松ホトニクス社 ) MLX90614 (melexis 社 )

移動実測のための平均放射温度計の開発 …...2015 8/4 8:45 2015 8/4 8:50 2015 8/4 8:55 2015 8/4 9:00 日射量(6面平均) 長波長放射量(6面平均) 測定ルート

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移動実測のための平均放射温度計の開発Development of mean radiant temperature measuring equipment for moving observation

中大窪 千晶 ( 佐賀大学 ),浅輪貴史 ( 東京工業大学 ),吉野瑳瑛子 ( 東京工業大学 ) email: [email protected]

〇研究背景・目的

〇平均放射温度計の概要

短波長放射用センサーの特徴MRT 計のセンサー部分の構成

MRT 計センサー部分回路図

MRT 計センサー部分基板写真

長波長放射用センサーの特徴 精度の検討

精度の検討

〇街区の放射量の測定 〇街区の平均放射温度の移動測定

〇平均放射温度計の提案移動実測で平均放射温度を測定する問題点・多面体の日射センサーは提案されている

が、屋外で短波長放射、長波長放射を測定するものは、あまり見られない。

・センサーの反応速度が遅く、自転車で移動しながら測定出来ないこと

・センサーが大きいものが多く、自転車に装着して走行することが困難であること

開発要件1)平均放射温度を算出するため , 自転車に入射する前・後・

上・下・左・右の6面に入射する日射量 , 長波長放射量を測定ができること

2)移動実測ができるように応答速度の速いセンサーを用いること

3)自転車に装着して走行できる重さ , 大きさであること

50mm

50m

m 50m

m

50mm72.5mm

自転車前方に設置する5面の MRT 計 自転車後方に設置する後面の MRT 計

短波長放射用センサー 短波長放射用

センサー長波長放射用センサー

長波長放射用センサー

自転車のタイヤ等の影響避けるため、下部は 20° 傾ける

MRT 計(前方)

自作ロガー

MRT 計(後方)

-80°

0.50

0.25

0.00

0.75

1.00

-60° -40° -20° 20°0° 40° 60° 80°

80°80°

90°90°100 10080 8060 6040 4020 200

70°70°

60°60°50°50°

40°40°30°30°

20°20° 10°10° 0°

60

50

40

30

平均

放射

温度

[℃]

放射

量[W

/m2]

600

400

200

02015 8/4

8:452015 8/4

8:502015 8/4

8:552015 8/4

9:00

日射量(6 面平均)

長波長放射量(6 面平均)

測定ルート

夏期(2015 月 8 月 4 日 晴天日)に、MRT 計を用いて東京郊外の住宅地における平均放射温度の移動測定を行った。 同時に気温・湿度の測定を行っている。平均放射温度の算出については、6 面の日射量、長波長放射の平均値を算出し、日射吸収率 0.7、長波長放射率 1.0 として算出してる。 朝方でも空間の違いにより平均放射温度が常に変化し、最大 20℃程度の差が現れる。

夏期の測定では最寄り駅からの通勤を想定し、5ルートを同時に自転車で移動実測を行った。測定は、朝方( 8:00 〜 9:00)、正午(12:00 〜 13:30)、夕方(17:00 〜 18:30)に行っている。

右図のルート

左図のルート

新百合ヶ丘駅

柿生駅

鶴川駅

MRT 計上面

長短波放射計上面

長短波放射計下面

MRT 計下面

長波

長放

射量

[ W/m

2 ]

 MRT 計を用いて , 左図に示す街区の街路での放射量の測定を行った . 比較のため、長短波放射計(英弘精機:MR-60)での測定も同時に行っている . 長短波放射計が , 応答速度が遅く , 重量もあるため , 自転車を手で押しながら歩いて測定を行った. 測定は、2015 年 2 月 3 日に行った。

MRT 計と長短波放射計から得られた長波長放射の値を比べると、応答即の差から、多少のずれはあるものの、ほぼ同様の値となっており、空間の直をとらえてるいること側分かる。

日射

量(

W/m

2 )

電圧(V)

日射計とセンサーの電圧と比較

MRT

90°

:  π

A

B

A    π/4  

B    π/2  

・センサー部分は、短波長用センサー、長波長用センサーが隣接するように配置している。

・短波長センサーは、一般的なオペアンプを用いた電流電圧回路を用い、前方センサー部に取り付けた A/D 変換回路を通して、出来るだけ近い位置で、デジタルデータに変換し、ロガーと通信(I2C 方式)を行っている。

・長波長センサーは、A/D 変換回路が内蔵されており、直接ロガーとデジタル通信(SMBus方式)を行っている。

測定方法 Siフォトダイオード

感度波長帯(nm) 320 〜 730最大感度波長(nm) 560短絡電流(μ A) 0.16上昇時間(μ s) 0.5

測定方法 サーモパイル感度波長帯(μ m) 5.5 〜 14.0測温範囲(℃) -70 〜 382.2温度分解能(℃) 0.02上昇時間(ms) 20

・屋外の熱的快適性を考慮した街づくりを進める上で , 不均一な放射環境を面的に把握することが重要である。

・放射環境の評価指標である平均放射温度の測定は、グローブ温度計をはじめ様々な方法が提案されているが、1点で固定して測定するものである。

・自転車に入射する短波長放射、長波長放射を測定することを前提とし、自転車前方に前・上・下・右・左の5方向を向いたセンサーを、自転車後方に後を向いたセンサーを固定する。

・前方のセンサーはかごから30cm の位置に、後方のセンサーは、後輪上部に設置する。

・ロガーは自作のものを使用し、自転車のかごに設置する。

街区スケールの平均放射温度分布を測定で把握するために、自転車を用いた移動実測のための平均放射温度計の開発を行うことを目的とする

センサーの光学的・電気的特性

センサーの指向特性

センサーの指向特性

センサーの光学的・電気的特性

・上昇時間が 0.5 μ s と、反応速度が速い

・感度波長帯が可視域で日射全域をとらえていない(最大感度波長はほぼ同じ)

・上昇時間が 20 μ s と、反応速度が比較的速い

・センサーの視野角が 90° と狭い。

下記の 2 点について検討を行い補正した ・センサーの感度波長帯 ・センサーの視野角の補正

精密全天日射計(英弘精機:MS-802)を用いて日射を測定し , その値と同条件で測定した MRT 計から得られた電圧の値と比較することで回帰式を作成した .測定は、2015 年 3 月 1 〜5 日、2015 年 7 月 27 日〜 30 日

Si1133( 浜松ホトニクス社 )

MLX90614(melexis 社 )