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不正競争防止法の概要 経済産業省 知的財産政策室

不正競争防止法の概要 - BIGLOBEip-mind/newIP_mind-040-002/... · 著作権法(服飾品、 応用美術)※ 民法判例法 共同体意匠規則 工業意匠著作権法

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不正競争防止法の概要

経済産業省 知的財産政策室

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目目 次次

1. 知的財産を巡る世界の動き

2. 知的財産法制度の国際比較

3. 不正競争防止法の国際比較

4. 不正競争防止法の紛争事例

5. 不正競争防止法の体系

6. 平成17年度改正不正競争防止法について

7. 税関における水際措置

8. 営業秘密管理指針の改訂

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1.知的財産保護を巡る世界の動き1.知的財産保護を巡る世界の動き

経済スパイ法(1996)デジタルミレニアム著作権法(1999)サイバースクワッティング禁止(1999)船体デザイン著作権(1999)特許早期審査制度導入(1999)知財エンフォースメント調整委員会(NIPLECC)設置(2000)NIPLECC権限強化(2004)模倣品・海賊版対策新戦略(STOP!)(2004)アメリカ競争力評議会「イノベート・アメリカ」(2004)

【EU】地理的表示保護規則(1992)技術的制限手段指令(2001)共同体意匠規則(2002)新税関規則(2003)エンフォースメント指令(2004)第三国における知財エンフォースメント戦略(2004)

【ドイツ】不正競争防止法改正(2004)工業意匠著作権法改正(2004)

【イギリス】職務発明に関する特許法改正(2004)商標法改正(2004)知的財産犯罪戦略(2004)

【フランス】特許侵害品所持・輸入の全面禁止(ロンゲ法改正)(1999)

【オーストラリア】デザイン法全面改正(2003)

【韓国】韓国版ITC設置(2001)不競法による著名表示保護制度導入(2001)データベース権創設(2003)営業秘密侵害罪強化(2004)デッドコピー規制導入(2004)デザイン保護法制定(2004)地域ブランド保護のための商標法改正(2004)

【中国】WTO/TRIPS加盟(2001)専利法改正(2001)商標法改正(2001)周知商標保護(2003)新海関条例(2004)知財侵害事犯訴追基準引き下げ(2004)

【タイ】知的財産・国際貿易裁判所設置(1997)営業秘密法制定(2002)

【インドネシア】営業秘密法制定(2001)

欧州・豪州欧州・豪州 アメリカアメリカアジアアジア

-1-

グローバルな競争環境の激化や知識経済化の中で、各国とも知的財産保護に力を入れ始めているが、近年では、営業秘密の刑事的保護の強化、模倣品・海賊版対策が世界の中心的な課題となっている。

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上記諸法共同体税関規則ロンゲ法

上記諸法共同体税関規則

関税法模造防止消費者保護法

海関法関税法不公正貿易調査及び産業被害救済法

関税定率法水際措置

刑法典労働法典民法判例法

不正競争防止法経済スパイ法州法(common law)

反不正当競争法刑法

不正競争防止及び営業秘密保護法

不正競争防止法営業秘密

著作権法※著作権法著作権法著作権法著作権法著作権法コンテンツ

商標法※民法判例法共同体商標規則

マーク法不正競争防止法共同体商標規則

商標法模造防止消費者保護法州法(common law)

商標法反不正当競争法

商標法不正競争防止及び営業秘密保護法

商標法不正競争防止法景品等表示法

商品・サービス表示

意匠法※著作権法(服飾品、応用美術)※民法判例法共同体意匠規則

工業意匠著作権法不正競争防止法著作権法(応用美術)共同体意匠規則

特許法著作権法(船体意匠)州法(common law)

専利法デザイン保護法不正競争防止及び営業秘密保護法

意匠法不正競争防止法

デザイン

特許法※実用新案法※

特許法実用新案法

特許法専利法特許法実用新案法

特許法実用新案法

発 明

フランスドイツ米 国中 国韓 国日 本

(注)本表では、半導体回路配置及び育成者権を含まない。※ フランスでは、特許法、商標法、著作権法等に当たる法律がひとつの「知的財産法典」にまとめられている。

2.知的財産法制度の国際比較2.知的財産法制度の国際比較

各国措置各国措置

-2-

工業所有権の保護に関するパリ条約、原産地表示に関するマドリッド協定、特許協力条約(PCT条約)、知的財産権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPs協定)、文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約、万国著作権条約、WIPO著作権条約、WIPO実演・レコード条約 等

国際約束国際約束

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○××××迷惑広告・迷惑メール

××○××不当廉売・抱合わせ販売

○×○××地位濫用

×△×○○国旗、紋章等の冒用

××○×外国公務員贈賄贈収賄・リベート

×○×××パブリシティ

○○○○○虚偽表示・広告

○○○×○信用毀損・営業妨害

×△△○○サイバースクワッティング

××××○技術的制限手段

○○○○○営業秘密

○△×○○商品形態模倣

○○○○○商品・サービス表示

○○○××一般条項

ドイツ不正競争防止法

米 国不正競争

リステイトメント

中 国反不正当競争法

韓 国不正競争防止及び営業秘密保護法

日 本不正競争防止法

3.不正競争防止法の国際比較3.不正競争防止法の国際比較

各国比較各国比較

○:具体的規定がある。 △:具体的規定はないが、判例・解釈で認められる。 ×:具体的規定がない。

-3-

第1条 (2) 工業所有権の保護は、発明特許、実用新案、意匠又はプロトタイプ、商標又はサービスマーク、商号、原産地又は原産地名称及び不正競争の防止に関するものとする。第10条の2 (1) 各同盟国は、同盟国の国民を不正競争から有効に保護する。

(2) 工業上又は商業上の公正な慣習に反するすべての競争行為は、不正競争行為を構成する。(3) 特に、次の行為、主張及び表示は、禁止される。① いかなる方法によるかを問わず、競争者の営業所、産品又は工業上若しくは商業上の活動との混同を生じさせるようなすべての行為② 競争者の営業所、産品又は工業上若しくは商業上の活動に関する信用を害するような取引上の虚偽の主張③ 産品の品質、製造方法、特徴、用途又は数量について公衆を誤らせるような取引上の表示及び主張

工業所有権の保護に関するパリ条約工業所有権の保護に関するパリ条約

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◆iMac事件(1号)

4.不正競争防止法の紛争事例4.不正競争防止法の紛争事例

◆ミルク紅茶事件(1号)

(大阪地判平9.1.30)

(東京地決平11.9.20)

◆男性用かつら顧客名簿事件(4号)勤めていた男性用かつらの販売会社を退職する際、顧客名簿を無断でコピーし、これをもとに独立開業後顧客の獲得を行った業者に対し、不正に入手した顧客名簿のコピーの廃棄及び損害賠償を命じた。(大阪地判平8.4.16)

◆フッ素樹脂ライニング容器事件(7号、8号)フッ素樹脂シートライニングに係る技術情報を退職者から入手し、タンクを製造していた業者に対して、製造販売の停止及び損害賠償を命じた。(大阪地判平10.12.22)

◆動くかに看板事件(1号)有名かに料理屋の名物「動くかに看板」と類似したかに看板を使用した同業者に対し、看板の使用禁止及び損害賠償が認められた。(大阪地判昭62.5.27)

◆マクセルコーポレーション事件(12号)原告の著名な商品等表示である「maxell」と類似する「

maxellgrp.com」というドメイン名を使用し、ウェブサイトを開設して、その経営する飲食店(風俗業)の宣伝を行っていた会社に対し、使用許諾料相当額の損害賠償が命じられた。(大阪地判平16.7.15)

◆本みりんタイプ調味料事件(13号)酒税法上「みりん」とは認められない液体調味料を、あたかも「本みりん」であるかのような商品表示を行い販売した業者に対し、損害賠償が命じられた。(京都地判平2.4.25)

◆国産洋服英国地名表示事件(13号)国産の紳士服生地に「イングランド」などの英文字等を押捺、英国製であるかのような商品表示を行い販売した業者に対し、罰金が命じられた。(東京高判昭49.7.29)

◆サンゴ化石粉体事件(14号)競業者の米国内取引先に権利侵害に関する告知をした特許権者に対し、非侵害が明らかであるとして、虚偽事実の告知・流布の差止めと損害賠償請求が命じられた。(東京地判平15.10.16)

-4-

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民事的救済的措置として、以下の措置を規定。

○差止請求権(3条)

○損害賠償請求権(4条)

○損害額の推定等(5条等)

○書類提出命令(7条)

○営業秘密の民事訴訟上の保護(10条等)

(非公開審理、秘密保持命令)

○信用回復の措置(14条)

措置の内容措置の内容刑事的措置刑事的措置 民事的措置民事的措置

①周知な商品等表示の

混同惹起

②著名な商品等表示の

冒用

③商品形態の模倣

⑤技術的制限手段を解

除する製品等の販売

刑事的措置あり

⑧信用毀損行為

⑦虚偽の原産地、品質

等の表示

⑩外国公務員贈賄

⑨外国国旗、紋章等の

不正使用

不正競争行為の定義不正競争行為の定義

⑥ドメインネームの不

正取得

不正競争のうち、一定の行為を行った者に対して、以下の処罰を規定。○罰則(21条)(①、②、④、⑦、⑨、⑩、秘密保持命令違反:5年以下の懲役刑又は500万円以下の罰金(併科可) ③:3年以下の懲役刑又は300 万円以下の罰金(併科可))

○法人処罰(22条)(①、②、⑦、⑨、⑩:3億円以下の罰金 ③:1億円以下の罰金 ④の一部及び秘密保持命令違反:1億5千万円以下の罰金)

○国外での行為に対する処罰(21条4号5号6号)(④の一部と秘密保持命令違反及び⑩のみ)

④営業秘密の侵害

刑事的措置のみ

5.不正競争防止法の体系5.不正競争防止法の体系

-5-

事業者間の公正な競争及びこれに関する国際約束の的確な実施を確保するため、不正競争の防止及び不正競争に係る損害賠償に関する措置等を講じ、もって国民経済の健全な発展に寄与する。(昭和9年制定、平成5年全面改正)

目的目的

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営業秘密の侵害行為や模倣品・海賊版によるブランド価値等の侵害行為に対する措置を拡充し、適正な競争環境を維持するとともに、知的財産に係る裁判外紛争解決手続における弁理士の役割の整備等を行うために、不正競争防止法等を改正。

営業秘密の侵害行為や模倣品・海賊版によるブランド価値等の侵害行為に対する措置を拡充し、適正な競争環境を維持するとともに、知的財産に係る裁判外紛争解決手続における弁理士の役割の整備等を行うために、不正競争防止法等を改正。

模 倣 品 ・ 海 賊 版 対 策営 業 秘 密 の 保 護 強 化

営業秘密の国外使用・開示処罰の導入①日本国内で管理されている営業秘密について、日本国外で使用又は開示した者を処罰の対象とする。②営業秘密が関係する民事訴訟における裁判所の秘密保持命令に日本国外で違反した者を処罰の対象とする。

退職者の処罰の導入元役員・元従業員による媒体取得・複製を伴わない営業秘密の不正使用・開示について、在職中に申し込みや請託があるようなケースを処罰の対象とする。

法人処罰の導入営業秘密にアクセスする権限がない者が行った営業秘密侵害罪の犯人の属する法人について、法人処罰(1億5,000万円以下の罰金)を導入する。

著名表示の冒用行為への刑事罰の導入他人の著名なブランド名などを勝手に自己の商品・サービスに付して販売等する行為を刑事罰の対象とする。

商品形態模倣行為への刑事罰の導入他人の商品の形態と実質的に同一の形態のコピー商品を販売等する行為を刑事罰の対象とする。

水際措置の導入(関税定率法)上記の著名表示冒用物品、商品形態模倣物品及び他人の周知な表示を冒用し、需要者に混同を生じさせる物品を税関での水際差止措置の対象に加える。なお、税関が水際において迅速・適正に侵害の該否を判断できるよう、経済産業大臣への意見照会制度を導入する。

罰則の見直し不正競争防止法違反の罪について、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金から、原則として、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金に引き上げるとともに、懲役刑と罰金刑の併科規定を導入する。

グローバルな競争が激化する中で、企業が中期的にその競争力を維持していくためには、企業がそれぞれに持つ強みを維持・強化し、供給・開発・販売力等において他社の追随を許さないことが鍵となり、我が国の知的財産保護を強化することが不可欠。

6.平成17年改正不正競争防止法について6.平成17年改正不正競争防止法について(成立 平成17年6月22日 公布 平成17年6月29日 施行 平成17年11月1日)

-6-

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事前の登録を要件に不競法侵害物品の輸入を税関で差し止める。

税関

関税定率法改正によって、不正競争防止法中、模倣品対策の規定である2条1項1号、2号及び3号該当行為組成物品を税関における水際差止制度の対象とする。

周知表示混同商品(1号)

著名表示冒用商品(2号)

商品形態模倣商品(3号)

ニセモノ コピー商品

模倣品発見被侵害者から経産大臣への意見書申請

被侵害者から税関長への輸入差止申立

輸入差止申立受理

経産大臣から被侵害者への意見書交付

疑義貨物発見

税関による認定手続開始

貨物点検、意見証拠提出

税関長から当事者への氏名、住所等の通知

税関長から経産大臣への意見照会

経産大臣による意見書の作成

経産大臣から税関長への回答

税関長による侵害認定輸入許可・不許可

輸入差止申立受理の公表

輸入差止手続の流れ(イメージ)

申立者による担保の提供(場合による)

7.税関における水際措置7.税関における水際措置

-7-

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企業として守るべき情報や人材を選別して活用できるツールにする。

(平成15年1月30日 経済産業省)

1.概説(1)「参考となるべき指針」の背景及び意義(2)不正競争防止法上の営業秘密の保護

2.営業秘密の要件(1)秘密管理性(2)有用性(3)非公知性

3.営業秘密の管理(1)基本的考え方(2)具体的管理方法① 個別的管理方法・物的・技術的管理・人的・法的管理② 組織的管理方法③ 管理状況の監査④ 管理策の見直し⑤ 情報管理に関する各種マネジメント規格及び要求事項

企業の競争力の源泉たる情報や人材を選別、防衛する実戦的なツールとして活用できるよう、今次法改正を踏まえた改訂を行う。

1.「ミニマムの管理水準」の明確化

2.退職者との秘密保持契約の内容と締結手続

3.法人における営業秘密コンプライアンスの内容

4.国外犯処罰の導入に伴う営業秘密管理の方法

企業が営業秘密の管理強化を行う上で参考になるよう、①営業秘密が法律上の保護を受けるために必要な「ミニマムの管理水準」と②紛争の未然防止のための「望ましい管理水準」を提示。自社の営業秘密の管理強化のみならず、他社から開示された秘密の取り扱いについても留意点を示す。

営業秘密管理指針

8.営業秘密管理指針の改訂8.営業秘密管理指針の改訂

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不正競争防止法の概要 (平成5年5月19日法律第47号)

平成17年10月

経済産業省 知的財産政策室

1.不正競争防止法の沿革

昭和 9(1934)年 「工業所有権の保護に関するパリ条約ヘーグ改正条約」(1925年)批准

に当たり、条約上の義務を満たすべく制定1。

昭和13(1938)年 パリ条約のロンドン改正条約への対応のため部分改正。

昭和25(1950)年 GHQの日本政府に対する覚書2による指示を受け、国際的信用の確保等を

目指して部分改正。

昭和28(1953)年 マドリッド協定3への対応のため部分改正。

昭和40(1965)年 パリ条約及びロンドン条約のリスボン改正への対応のため部分改正。

昭和50(1975)年 パリ条約のストックホルム改正への対応のため部分改正。

平成 2(1990)年 GATT・TRIPs協定に先駆けて営業秘密の保護を図るため部分改正。

平成 5(1993)年 全面改正(ひらがな化、法目的の明記(第1条)、不正競争行為の類型

拡充(著名表示冒用行為:第2条第1項第2号、商品形態模倣行為:第2

条第1項第3号)、損害額推定規定の新設等)

平成 6(1994)年 TRIPs協定4への対応のため部分改正。

平成 8(1996)年 商標法条約への対応のため部分改正。

平成10(1998)年 OECD外国公務員贈賄防止条約5の成立にともない、本条約を国内的に実

1 工業所有権の保護に関するパリ条約(抄)(1883 年 3 月署名、1884 年 7 月発効)

第 1条

(2) 工業所有権の保護は、発明特許、実用新案、意匠又はプロトタイプ、商標又はサ

ービスマーク、商号、原産地又は原産地名称及び不正競争の防止に関するものとす

る。

第 10 条の 2

(1) 各同盟国は、同盟国の国民を不正競争から有効に保護する。 (2) 工業上又は商業上の公正な慣習に反するすべての競争行為は、不正競争行為を構成

する。 (3) 特に、次の行為、主張及び表示は、禁止される。

① いかなる方法によるかを問わず、競争者の営業所、産品又は工業上若しくは商

業上の活動との混同を生じさせるようなすべての行為 ② 競争者の営業所、産品又は工業上若しくは商業上の活動に関する信用を害する

ような取引上の虚偽の主張 ③ 産品の品質、製造方法、特徴、用途又は数量について公衆を誤らせるような取

引上の表示及び主張 2「日本における商標・商号及び商品のマークに関する覚書」(昭和 24 年 9 月 9日付) 3「虚偽の又は誤認を生じさせる原産地表示の防止に関するマドリッド協定」(Madrid

Agreement for the Repression of False or Deceptive Indications of Source on Goods) 4「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定」(Agreement on Trade-related Aspects of

Intellectual Property Rights)(1994 年 4 月署名、1995 年 1 月発効) 5「国際商取引における外国公務員に対する贈賄の防止に関する条約」(OECD Convention on

Combating Bribery of Foreign Public Officials in International Business

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施するため部分改正(外国公務員贈賄罪)。

平成11(1999)年 デジタルコンテンツ保護の観点から、技術的制限手段に係る不正行為

を規制するため部分改正。

平成13(2001)年 ドメイン名を不正に取得等する行為を規制するため、及び外国公務員

贈賄防止条約をより効果的に実施するため部分改正。

平成15(2003)年 平成14年7月に決定された「知的財産戦略大綱」において指摘された

事項を実施するため部分改正(営業秘密の刑事的保護の導入、民事的救

済措置の強化、ネットワーク化への対応、平成16年1月1日施行済み)。

平成16(2004)年 外国公務員贈賄罪の国民の国外犯を導入するため部分改正(平成17年1

月1日施行済)。また、営業秘密の民事訴訟上の保護を導入するため6に

「裁判所法等の一部を改正する法律」により一部改正(平成17年4月1

日施行)。

平成17(2005)年 著名表示冒用行為及び商品形態模倣行為に対する刑事罰導入並びに営

業秘密侵害罪の国外犯、退職者処罰及び法人処罰の導入のため部分改

正。

2.不正競争防止法の目的

第1条 この法律は、事業者間の公正な競争及びこれに関する国際約束の的確な実施を確

保するため、不正競争の防止及び不正競争に係る損害賠償に関する措置等を講じ、もっ

て国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

(1) 法の具体的措置

① 不正競争の防止に関する措置

不正競争に対する差止請求権(第 3条)

特定の不正競争に対する罰則(第 14 条及び第 15 条)

② 不正競争に係る損害賠償に関する措置等

不正競争に対する損害賠償(第 4条)

損害額の推定等(第 5条)

文書提出命令(第 6条)

秘密保持命令(第 6条の 4)

当事者尋問の公開停止(第 6条の 7)

営業上の信用回復措置(第 7条) 等

(2) 法の直接目的

① 事業者間の公正な競争を確保

事業者の営業上の利益 (→私益)

公正な競争秩序 (→公益)

② 国際条約の的確な実施を確保

パリ条約

マドリッド協定

TRIPs 協定

Transactions)(1997 年 12 月署名、1999 年 2 月発効) 6 同様の改正は、特許法、実用新案法(平成 5年実用新案法を含む。)、意匠法、商標法及

び著作権法にも導入された。

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OECD 外国公務員贈賄防止条約

(3) 法の最終目的

3.我が国法体系上の位置づけ

(1) 不法行為法(民法)との関係:不法行為法の特別法

我が国の不法行為法は、損害賠償請求に関する規定のみで、差止請求は原則的に認

められていない。一方、諸外国では、不法行為法において差し止めが認められること

が多い。

そこで、我が国では、競業者間で行われる不法行為については、事後的な損害賠償

請求のみでは不十分であることから、不正競争防止法により、損害賠償請求権に加え

て、特に差止請求権を付与した点に意義がある。

また、不法行為法によれば、特定人に対する加害が必要であるが、専ら図利を目的

としていて同業者の被害が希薄な場合は、これが認められない。

そこで、不正競争防止法では、著名表示の冒用や虚偽表示、技術的制限手段を妨げ

る装置の販売など、必ずしも競業者間の行為でなくても、一定の行為基準に反して利

益を得る行為を捕捉した点に意義がある。

(参考)民法第709条

「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者7は、これ

によって生じた損害を賠償する責任を負う。」

(2) 知的財産法との関係:知的財産法の一環

不正競争防止法は、「工業所有権の保護に関するパリ条約」を実施するために制定

されたことから、特許法、商標法と同様の知的財産法に属すると理解されている。

不正競争行為のうち、混同惹起行為の規制は商標法とともに営業上の信用に化体さ

れた財産を保護し、営業秘密の保護は特許法等とともに人の創作活動を保護するもの

であり、他の知的財産法と共通性がある。

なお、産業財産権法等が客体に権利を付与するという方法(権利創設)により知的

財産の保護を図るものであるのに対し、不正競争防止法は「不正競争行為」を規制す

る方法(行為規制)により知的財産の保護を図るものである。

(3) 独占禁止法との関係:競争秩序の確保の一翼

不正競争防止法は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独占禁止法)

等とともに競争秩序の確保を図る法律である。

独占禁止法及びその特例法である不当景品類及び不当表示防止法は、私的独占、不

当の取引制限等の自由競争を制限する行為を禁止するとともに、公正な競争を阻害す

る行為を不公正な取引方法として禁止して「公正かつ自由な競争」を促進し、もって

「一般消費者の利益を確保する」ことが特徴である。

7 平成 16 年の民法改正により、他人の「法律上保護される利益を侵害した者」も損害賠

償の責任を負うことが明記された。不法行為法による保護対象を権利侵害から利益侵害

へ拡張した判例としては、大学湯事件(大判大 14.11.28)がある。

国民経済の健全な発展に寄与すること

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これに対して不正競争防止法は、不正競争の防止を通じて「事業者間の公正な競争

を確保する」ことが特徴である。

このため、独占禁止法及び景品表示法は、公正取引委員会による排除命令等の行政

規制が中心であり、消費者を含め私益の侵害を受けた者にも差止請求の原告適格を与

えている。

これに対して不正競争防止法は、公益に対する侵害の程度が高いものについて刑事

罰の対象とするとともに、私益の侵害に止まるものについては事業者間の差止請求、

損害賠償請求等の民事的請求に任せており、消費者には原告適格がない。

(4) 刑法との関係:処罰の間隙を保護

不正競争防止法は「国際商取引における外国公務員に対する贈賄の防止に関する条

約」(OECD外国公務員贈賄防止条約)を実施する法律でもある。

我が国の刑法の贈収賄罪が、我が国公務員の職務の公正とこれに対する国民の信頼

を保護法益とするものであるのに対し、条約によって義務づけられている外国公務員

に対する贈賄行為の処罰は、「国際商取引における公正な競争」を確保するという一

定の行政目的に基づくものであって、刑法の贈賄罪とは保護法益を異にする。

また、平成15年改正により、営業秘密に係る不正競争行為に対する刑事罰が導入さ

れた。

従前は、営業秘密が有体物(財物)に化体されている場合は、その不正取得等が刑

法上の窃盗罪や横領罪等の対象となる一方で、営業秘密が有体物(財物)に化体され

ていない場合は、直接的には刑事的保護が図られていなかった。このことから、「処

罰の間隙」について罰則を設けるため、営業秘密という情報自体について、財産的価

値のあるものとして不正競争防止法の刑事的保護の対象とされた。

(5) 民事訴訟法との関係:訴訟手続の特例

不正競争防止法には、不法行為法と異なり差止請求権が与えられている。また、他

の知的財産権法と同様に、損害額の推定、具体的態様の明示義務、書類提出命令等の

民事訴訟手続の特例を定めている。

更に、平成16年改正により、営業秘密の民事訴訟上の保護を図るため、証拠調べ等

における秘密保持命令、当事者尋問の公開停止(非公開審理)及び訴訟記録等の閲覧

の制限が導入された。

4.実務上の使われ方

営業秘密の民事的保護を導入した平成2年以降、不正競争防止法を活用した民事訴訟事

件は増加しており、平成3年の66件から、平成13年には136件となっている。

このように不正競争防止法の活用が増えたのは、平成2年改正により営業秘密の民事的

保護、平成5年改正により著名表示保護及び商品形態模倣が導入されるなど、不正競争防

止法の守備範囲が拡大されたことに加え、次のとおり、産業財産権法と連携させること

により、企業の知財戦略として、不正競争防止法を柔軟に活用できることが認識される

ようになったことが挙げられる。

(1) 敗訴リスクの低減

不正競争防止法で勝訴しても産業財産権法では非侵害となるケースがあり、その逆

もある。産業財産権のみでは、被告に権利無効を抗弁されるおそれがある。したがっ

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て、請求原因として産業財産権法と不正競争防止法の両方を提起しておけば、敗訴リ

スクを低減させることができる。

(2) 費用の節約・期間の短縮

不正競争防止法は登録を要しないので、侵害後直ちに訴訟を提起できる。請求原因

は口頭弁論終結までに追加できるから、侵害が起きたものについてのみ産業財産権の

登録をすれば間に合う。したがって、不正競争防止法により、審査登録費用や製品開

発期間を短縮できる。

(3) 訴訟上の攻撃方法の多様化

産業財産権は権利範囲が狭いが、絶対的な効力を持つ。不正競争防止法は産業財産

権とならないものも含めて幅広く捕捉できるが、効力は相対的でしかない。したがっ

て、不正競争防止法により、侵害の態様によって多様な攻撃方法を選択できる。

5.各行為類型の概要

(1) 不正競争の類型

① 混同惹起行為(第2条第1項第1号)

他人の商品・営業の表示(商品等表示8)として需要者の間に広く認識されている

8 不正競争防止法でいう「商品等表示」とは、「人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、

商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するもの」(第 2条第 1項第 1号)

をいい、文字やマークに限られないし、視覚によるものにも限られない。

また、本規定は、パリ条約第 10 条の 2第 3項第 1号で「いかなる方法によるかを問わ

132

29

3640

66

216

25

108

114

165

0

100

200

300

400

500

600

700

H3 H15

知的財産民事事件の推移

不競法

著作権

商標

意匠

特許・実用

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- 14 -

もの(周知9)を使用し、又は使用した商品を譲渡等し、その他人の商品・営業と混

同を生じさせる行為をいう。「混同を生じさせる」とは、実際に混同が生じる必要

はなく、混同のおそれが生じれば足りると解されている。

必要となる周知性は、絶対的な知名度である必要はなく、請求により異なる相対

的なものである。したがって、地理的範囲又は顧客層が異なれば、それぞれ別個に

成立し得る10。

この周知性は、民事訴訟上は、不正競争時ではなく最終口頭弁論の終結時までに

取得されている必要があり、逆に、その時までに周知性が失われてしまえば保護さ

れないことになる。

一般に知的財産法の効力の場所的範囲は、日本国内に限定されると解釈されてい

るが、不正競争防止法は知的創作を保護しているのではなく、不正競争行為を規制

しているので、日本国内から外国への輸出に対しても適用される11。

譲渡等には製造行為が含まれていないが、商品等表示の「使用」に含めて解され

ている。また、予防請求の対象とすることができる。

不正の目的をもって本号の行為を行った者に対しては刑事的措置が設けられてい

る。

また、平成17年の関税定率法改正により、本号の行為を組成する物品が輸入禁制

品に追加された。

(参考)関税定率法(明治四十三年法律第五十四号)

(輸入禁制品)

第二十一条 次に掲げる貨物は、輸入してはならない。

十 不正競争防止法(平成五年法律第四十七号)第二条第一項第一号から第三号まで(定義)に掲

げる行為(これらの号に掲げる不正競争の区分に応じて同法第十九条第一項第一号から第五号まで

(適用除外等)に定める行為を除く。)を組成する物品

ず・・・混同を生じさせるようなすべての行為」と、混同招来行為を包括的に禁止すること

を加盟国に義務づけている部分に対応している規定であるから、混同防止に主眼があるも

のであり、いわゆる「商標的な使用」であるか否かにつき厳格に解するべきではない。

この点に関し、商品の形態を「商品等表示」として認めたものに、ナイロール眼鏡枠事

件(東京地判昭 48.3.9)、ルービックキューブ事件(東京地判昭 57.10.18)、ディスプレ

イ上の影像とその遷移を「商品等表示」として認めたものに、インベーダーゲーム事件(東

京地判昭 57.9.27)がある。ただし、機能的形態を含めるべきかについては争いがある。 9 判例では、次のものが「周知」と認められた。VOGUE、BERETTA、マイクロダイエット、

MICRODIET、ファイアーエムブレム、エムブレム(=TVゲーム)、(Levi’s ジーンズの弓

形刺繍)、501、(Levi’s の赤いタブ)、(ジーンズの飾り札)。

なお、パリ条約第 10 条の 2第 3項第 1号では周知性を不要としていることから、この

要件を廃止すべきであり、少なくとも厳格に解するべきではないとの意見がある。

実務上は、原告の商品等表示が周知であることの事実は、要件としてよりも、被告の商

品等表示が原告のものと類似であることの事実と共に、混同立証の要素として用いられて

いる。 10 顧客層の地理的な重なりを肯定した例として神奈川県横浜市と横須賀市(東京地判昭

51.3.31)、横浜市と大船市(横浜地判昭 58.12.9)。地理的な重なりを否定した例として神

奈川県横浜市と静岡県富士市(横浜地判昭 58.12.9)(いずれも勝烈庵事件)。 11 GHQ からの指示により、昭和 25 年改正で導入された。海外において混同を生じさせたと

して差し止めが認められた事件として、中部機械商事件(名古屋地判昭 51.4.27)、アソニ・

バンバルク事件(大阪地判昭 59.6.28)、ガス点火器事件(大阪地判平 12.8.29)がある。

平成 5年改正により、日本国内において周知である必要はなくなった。

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(事例)

○ iMac事件(東京地決平11.9.20)

原告商品 被告商品

○ かに料理屋の名物「動くかに看板」と類似したかに看板を使用した同業者に対

し、看板の使用禁止及び損害賠償が認められた事件(動くかに看板事件、大阪

地判昭62.5.27)

○ 商品等表示が風俗営業に用いられた事件(広義の混同)

・ヨドバシポルノ事件(東京高判昭57.10.28)

・ポルノランドディズニー事件(東京地判昭59.1.18)

・ラブホテルシャネル事件(神戸地判昭62.3.25)

・スナックシャネル事件(最判平10.9.10)

② 著名表示冒用行為(第2条第1項第2号)

他人の商品・営業の表示として著名なもの12を、自己の商品・営業の表示として使

用する行為をいう。

類型的には、著名な商品等表示の持つ、①顧客誘引力や良質感にただ乗りする行

為(free ride)、②出所表示機能や良質感を希釈化する行為(dilution)、③良質

感を汚染する行為(pollution)が該当するとされるが、条文上はこれらに限られる

ものではない。

本号の保護の特徴は、登録を要さずして非類似の商品・サービスの類似の商品等

表示に対して保護を及ぼすことができる点にある13。

平成5年改正で導入された。現在までに25件程度の民事判例がある。

同改正以前は1号の中に含まれて理解されていた(広義の混同)。

平成17年改正により、他人の著名な商品等表示に係る信用若しくは名声を利用し

て不正の利益を図る目的で、又は当該信用若しくは名声を害する目的で本号の行為

を行った者に対する刑事的措置が導入された。

また、平成17年の関税定率法改正により、本号の行為を組成する物品が輸入禁制

品に追加された。

(事例)

12 判例では、次のものが「著名」と認められた。マクセル、maxell、Budweiser、PETER RABBIT、

ピーターラビット、JACCS、青山学院、Aoyama Gakuin、虎屋、虎屋黒川、菊正宗、セイロ

ガン糖衣A、ELLE、プルデンシャル、セイコー、SEIKO。

このように「著名」は「周知」よりも広い範囲での知名度を要していると考えられる。

ドイツには、全国民の 8割以上によって認識されている必要があるとする説がある。 13 すなわち、商標権の場合は、登録により、類似の商品・サービスの類似の商標にも効力

が及ぶが、非類似の商品・サービスの商標には効力が及ばない。

また、防護標章は、登録により、非類似の商品・サービスであって混同を生じさせるお

それがあるものに効力が及ぶが、同一の商標にしか効力が及ばず、類似の商標には効力が

及ばない。

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○ 三菱の名称及び三菱標章(スリーダイヤのマーク)が企業グループである三菱

グループ及びこれに属する企業を示すものとして著名であるとして、建設会社

や投資ファンドへの使用を差し止めた事件(三菱ホーム事件、東京地判平

14.7.18)(三菱クオンタムファンド事件、東京地判平14.4.25)

○ アリナビッグ事件(大阪地判平11.9.16)

原告商品 被告商品

③ 形態模倣行為(第2条第1項第3号、同条第4項、同条第5項)

他人の商品の形態を模倣した商品を譲渡等する行為をいう。

商品の形態とは、「需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識

することができる商品の外部及び内部の形状並びにその形状に結合した模様、色彩、

光沢及び質感」をいい、「外観」「外部の形状」に限られない1415。ただし、当該商

品の機能上不可欠な形態は含まれない。

模倣とは、「他人の商品の形態に依拠して、これと実質的に同一の形態の商品を

作り出すこと」をいう16。

模倣品を譲り受けた時にそれが模倣品であることを重大な過失なく知らなかった

者による譲渡等及び日本国内での発売から3年を経過した商品を模倣した商品(第19

条第1項第5号)並びにその商品の機能を確保するために不可欠な形態を模倣した商

品の譲渡等を除く。

本号は、日本国内から外国への輸出に対しても適用される。また、譲渡等には製

造行為が含まれていないが、予防請求の対象とすることができる。

本号の請求主体の範囲には争いがある17。

平成5年改正で導入された。現在までに50件程度の民事判例があり、うち商品形態

14 判例で、需要者において観察、確認できる内部構造も含まれるとされていた(小型ショ

ルダーバッグ事件(東京高判平 13.9.26)など)。平成 17 年改正はこれらの判例で確立し

た考え方を明文化したものである。 15 意匠法では、物品の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に権利が成立する(意匠

法第 2条第 1項)。したがって、図面化できない光沢や質感、包装した状態の商品ように

物品の形状等に当たらないものは意匠権の要素とならない。 16 判例で、既に存在する他人の商品の形態をまねてこれと同一または実質的に同一の形態

の商品を作り出すこと」とされていた(ドラゴンソードキーホルダー事件(東京高判平

10.2.26))。平成 17 年改正はこれらの判例で確立した考え方を明文化したものである。 17 具体的には、真正品を扱う流通業者や輸入総代理店を請求権者に加えるべきかで問題と

なる。形態模倣の対象となる商品を自ら開発・商品化して市場に置いた者に限られるとす

る見解(キャディバッグ事件、東京地判平 11.1.28)と、自己の利益を守るために模倣に

よる不正競争を阻止して先行者の商品形態の独占を維持することが必要であり、商品形態

の独占について強い利害関係を有する者についても含まれるとする見解(ヌーブラ事件、

大阪地判平 16.9.13)があるが、後者が適切である。

なお、先行者の商品形態を模倣した者について、本号の請求主体性を否定した事例があ

る(エルメスバーキン事件、東京地判平 13.8.31)。

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の模倣が認容されたものは20件程度である。

平成17年改正で、上記民事的保護に関して、模倣等の定義規定や保護の終期の起

算点に関する規定が整備されるとともに、不正の利益を得る目的で本号の行為を行

った者に対する刑事的措置が導入された。

また、平成17年の関税定率法改正により、本号の行為を組成する物品が輸入禁制

品に追加された。

(事例)

○ ヒット商品となっていたキーホルダー型液晶ゲーム機のデザインを模倣した

商品を輸入・販売した業者に対し、商品の輸入・販売の差止め、商品の廃棄及

び損害賠償が認められた事件(たまごっち事件、東京高判10.7.16)

原告商品 被告商品

④ 営業秘密関係(第2条第1項第4号ないし第9号、第6項)

窃取等の不正の手段によって営業秘密を取得し、自ら使用し、若しくは第三者に

開示する行為等をいう。TRIPs 協定18に備えて、平成 2 年改正で導入された。 営業秘密として保護を受けるには、①秘密管理性、②有用性、③非公知性が必要

である(第 2 条第 6 項)。 ① 秘密管理性とは、鍵、パスワード等によりアクセスできる者を制限すること

や、秘密情報である旨の表示(「マル秘」印)をすることにより、不正行為

者の身分に応じて、客観的に秘密として管理されていると認められる状態に

ある必要がある。営業秘密の保護は、その秘密管理を単位に認められる。 ② 有用性とは、当該情報自身が客観的に事業活動に利用されていたり、利用さ

れていたりすることによって、経費の節約、経営効率の改善等に役立つもの

であることをいう。現実に利用されていなくてもよい。設計図、製造ノウハ

ウ、顧客名簿、販売マニュアル等がこれに当たる。失敗した実験データであ

っても、これによって研究費等の節約に役立つのであれば、有用といえる。

一方、有害物質の垂れ流しや詐欺のように法人の違法行為に関する情報は、

18 TRIPs 協定第 39 条(抄)

1 1967 年のパリ条約第 10 条の 2 に規定する不正競争からの有効な保護を確保するた

めに、加盟国は、開示されていない情報を2の規定に従って保護し、及び政府又は政

府機関に提出されるデータを3の規定に従って保護する。 2 自然人又は法人は、合法的に自己の管理する情報が次の(a)から(c)までの規定に該当

する場合には、公正な商慣習に反する方法により自己の承諾を得ないで他の者が当該

情報を開示し、取得し、又は使用することを防止することができるものとする。 (a) 当該情報が一体として又はその構成要素の正確な配列及び組立てとして、当該

情報に類する情報を通常扱う集団に属する者に一般的に知られておらず又は容

易に知ることができないという意味において秘密であること。 (b) 秘密であることにより商業的価値があること。 (c) 当該情報を合法的に管理する者により、当該情報を秘密として保持するための、

状況に応じた合理的な措置がとられていること。

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正当な事業活動に関する情報ではないから、有用性は認められない。 ③ 非公知性とは、保有者の管理下以外では、一般的に入手できない状態にある

ことをいう。保有者以外の第三者が偶然に同じ情報を開発していて保有して

いた場合であっても、当該第三者も情報を秘密として管理されていれば非公

知と言える。特許権化される情報であっても、出願前であればこれに当たる。

一方、学術誌や学会で公表したものは、特許法の新規性の要件と異なり、不

正競争防止法では非公知性が失われることになる。

本規定には消滅時効が設けられている。侵害者による営業秘密の使用行為が継

続していても、侵害行為及び侵害者を知ったときから3年で消滅時効となり、侵害

行為の開始の時から10年経過したときも同様となる。

平成15年改正で刑事的措置が導入され、平成17年改正により刑事的保護が強化

された19。

(類型)

不正競争防止法では、第2条第1項第4号~第9号において、営業秘密に係る行為

を列挙して、それらを「不正競争」と定義している。

これらの「不正競争」は、最初に営業秘密を保有者から不正に取得した場合と、

最初に営業秘密を保有者から正当に取得した場合に分類することができる。

① 第 4 号 保有者から、営業秘密を窃取等の不正の手段により、取得しようとする行

為(以下、「不正取得行為」という。)及び取得後に使用し、又は開示する

行為である。

例えば、従業者が会社の保管する大口受注報告書等の機密文書を窃取し、

産業スパイに開示する行為(東京地裁昭40.6.26)がこれにあたる。

② 第 5 号 第4号の不正取得行為の介在について悪意・重過失の転得者の取得行為及

び、その後の使用し、又は開示行為である。

例えば、会社の機密文書を窃取した従業者から、産業スパイが当該機密文

書を受け取る行為等がこれに当たる。

③ 第 6 号 第三者が不正取得行為の介在について善意・無重過失で営業秘密を取得し

19 民事的保護と刑事的保護との間で対象が異なる。刑事的保護の場合は、善意の二次的取

得者は処罰されない。また、取引先、退職者のような正当取得者は、媒体の横領等がある

場合、また、在職中の申込み又は請託により退職後に使用開示する場合など、一定の行為

に限って処罰の対象とされている。

02

4

68

10

12

14

7 8 9 10 11 12 13

営業秘密に係る民事訴訟件数の増加

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ても、その後悪意・重過失に転じ、その営業秘密を使用・開示する行為であ

る。

例えば、営業秘密を取得した後に、産業スパイ事件が大々的に報道されて

不正取得行為が介在していた事実を知りながら、営業秘密を使用し、又は開

示する行為がこれに当たる。(ただし、適用除外規定の適用があり得る)。

④ 第 7 号 営業秘密の保有者が従業者、下請企業、ライセンシー等に対して営業秘密

を示した場合に、その従業者等が、不正の競業その他の不正の利益を得る目

的又は営業秘密の保有者に損害を加える目的で、その営業秘密を使用し、又

は開示する行為である。

「競業の目的」とは、競争関係にある事業を行う目的をいい、例えば、通

信販売業を営む企業の取締役が、在職中に同業の会社を設立した上、元の企

業の従業者に顧客名簿を持ち出させて、当該名簿を使用して通信販売業を行

った行為(大阪高判昭58.3.3)等がこれに当たる。

⑤ 第 8 号 営業秘密を取得する際に、第7号に規定する不正開示行為若しくは守秘義

務違反による開示行為によるものであること、若しくはそのような不正開示

行為が介在したことについて悪意・重過失で営業秘密を取得する行為、その

取得した営業秘密を使用し、又は開示する行為である。

例えば、ロボットメーカーの従業者が、在職中に同種の営業を営む企業の

設立に参画し、退職時に元の企業から無断で持ち出したロボット製造技術に

関するノウハウ等を開示した一連の行為が不法行為責任を負うとされた事

例(東京地判昭62.3.10)は、第7号に該当する事例と考えられるが、新会

社側も当該従業者がそのノウハウに関して機密保持義務を負っていること

を知りながら、機密漏洩行為をさせて使用しているため、こうした行為は本

号の「不正競争」に当たる。

⑥ 第 9 号 第三者が、営業秘密を取得した後に、その取得が不正開示行為によるもの

であったこと、若しくは不正開示行為が介在したことについて悪意・重過失

で、その営業秘密を使用・開示する行為である。

例えば、営業秘密を取得した後に、保有者から警告を受けて不正開示行為

が介在していた事実を知りながら、営業秘密を使用し、又は開示する行為が

これに当たる(ただし、第6号と同様に、適用除外規定の適用があり得る)。

(事例)

○ 勤めていた男性用かつらの販売会社を退職する際、当社の顧客名簿を無断でコ

ピーし、これをもとに独立開業後顧客の獲得を行った業者に対し、不正に入手

した顧客名簿のコピーの廃棄及び損害賠償を命じた事件(男性用かつら顧客名

簿事件、大阪地判平8.4.16)

○ フッ素樹脂シートライニングに係る技術情報を退職者から入手し、タンクを製

造していた業者に対して、製造販売の停止及び損害賠償を命じた事件(フッ素

樹脂ライニング事件、大阪地判平10.12.22)

○ 商品の仕入れ価格に関し、売買契約の当事者としての地位に基づき、売買契約

締結行為を通じて原始的に取得したものであり、原告が保有し管理していた情

報の開示を受けたものでないとして、「営業秘密を示された」場合に当たらな

いとした事件(ダイコク事件、東京地判平14.2.5)

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⑤ 技術的制限手段(第2条第1項第10号、第11号、第5項、第6項)

技術的制限手段により制限されている影像・音・プログラムの視聴・実行・記録

を可能にする(迂回する)機器又はプログラムを譲渡等する行為をいう20。例えば、

コピーガードキャンセラーや衛星放送の無許諾受信デコーダーを販売する行為が想

定される。

本号の請求主体の範囲は、技術的制限手段を用いた機器を販売等する競業者(例

えば、製造業者)だけでなく、技術的制限手段により保護されている影像・音・プ

ログラムを提供する者(例えば、放送局、著作権者)も含まれると解される。

平成11年改正で導入された。本号には刑事的措置はない。

⑥ ドメイン名の不正取得等(第2条第1項第12号、同条第9項)

図利加害目的で、他人の商品・役務の表示と同一・類似のドメイン名を使用する

権利を取得・保有またはそのドメイン名を使用する行為をいう。例えば、他人の氏

名、商標、商号等と同一・類似の文字列について、先にドメイン名を申請して登録

を受け、その他人に対して高額での買い取りを持ちかけて困らせる行為(サイバー

スクワッティング)や、他人と同一・類似の文字列のホームページへのアクセスを

求めるメールを不特定多数に送付する行為(フィッシング)が想定される。ドメイ

ン名は周知であったり著名であったりする必要がない。

平成13年改正で導入された21。本号には刑事的措置はない。

(事例)

○ 原告の商品等表示である「maxell」と類似する「maxellgrp.com」というドメ

イン名を使用し、ウェブサイトを開設して、その経営する飲食店(風俗業)の

宣伝を行っていた会社に対し、使用許諾料相当額の損害賠償が命じられた事件

(マクセルコーポレーション事件、大阪地判16.7.15)

⑦ 誤認惹起行為(第2条第1項第13号)

商品、役務やその広告等に、その原産地、内容等について誤認させるような表示

をする行為をいう。不正の目的をもって当該行為を行った者やその目的にかかわら

ず虚偽の表示を行った者に対しては刑事的措置がある。

(事例)

○ 酒税法上「みりん」とは認められない液体調味料を、あたかも「本みりん」で

あるかのような商品表示を行い販売した業者に対し、損害賠償が命じられた事

件(本みりんタイプ調味料事件、京都地判平2.4.25)

⑧ 信用毀損行為(第2条第1項第14号)

20 著作権法では「技術的保護手段」といい、著作権侵害の罪に加えて、技術的保護手段を

回避する機器等の販売等に対して刑事罰がある。不正競争防止法との違いは、著作権法上

の権利を保護する手段のみを対象としており、営業上の利益を保護する手段(アクセスコ

ントロール)を含まない点にある。 21 なお、ドメインネームの運営に係る国際的な紛争については、民間非営利法人である

ICANN が 1998 年に「統一ドメイン名紛争処理方針(UDRP)」を定めており、WIPO 等の機関

が仲裁機関として紛争処理に当たっている。 我が国においては、「jp」ドメインを管理する社団法人日本ネットワークインフォメー

ションセンターが、UDRP に準拠して「JP ドメイン名紛争処理方針(JP-DRP)」を定めてお

り、日弁連と日本弁理士会が共同で設置した日本知的財産仲裁センターで裁判外の紛争処

理が行われている。

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競争関係にある他人の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為をい

う。本号には刑事的措置はない。

(事例)

○ 競業者の米国内取引先に権利侵害に関する告知をした特許権者に対し、非侵害

が明らかであるとして、虚偽事実の告知・流布の差止めと損害賠償請求が命じ

られた事件(サンゴ化石粉体事件、東京地判平15.10.16)

○ 自社が競業する他社の浄水器の交換窓口であるかのような虚偽の事実を顧客

に流布し、自社製品の販売を行った業者に対し、損害賠償が命じられた事件(浄

水器事件、東京高判平7.7.19)

⑨ 代理人等の商標冒用行為(第2条第1項第15号)

パリ条約の同盟国等において商標権を有する者の代理人が、正当な理由なく、そ

の商標を使用等する行為をいう。

(2) 外国の国旗等の商業上の使用禁止等(第16条、第17条)

外国国旗、国の紋章、国際機関の標章等を商標等として、外国政府等の許可を受け

ずに使用することを禁止する。刑事的措置のみ。

(事例)

○ 国産の紳士服生地に「イングランド」などの英文字等を押捺、英国製であるか

のような商品表示を行い販売した業者に対し、罰金が命じられた事件(国産洋

服英国地名表示事件、東京高判昭49.7.29)

(3) 外国公務員等に対する贈賄の禁止(第18条)

国際的な商取引に関して、「営業上の不正の利益を得るため」22に、その職務行為に

ついての作為・不作為をさせ、あるいはその地位を利用して他の外国公務員等につい

ての作為・不作為をさせることを目的として、金銭その他の利益を供与し、又はその

申し込みや約束をすることを禁止する。平成10年改正で導入された。刑事的措置のみ。 6.適用除外等(第19条)

(1) 適用除外規定(第19条第1項)

① 商品及び営業の普通名称23・慣用表示の普通に用いられる方法での使用(第19条第1

22 OECD 外国公務員贈賄防止条約では、国際商取引において「商取引又は他の不当な利益

を取得し又は維持するために」行う行為(条約第 1条 1)を処罰対象とすることが求めら

れているが、手続の円滑化のみを目的とした「少額の円滑化のための支払い(small

facilitation payments)」はこれに該当せず、犯罪化の対象とされていない(条約の注釈

9による)。また、「当該外国公務員の国の判例法や成文の法令において認められ、又は要

求されていた利益については、犯罪とならない」とされている。不正競争防止法第 11 条

第 1項における「営業上の不正な利益を得るため」は、この趣旨を含むものである。 23 商標法では、普通名称だけでなく、産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、数量、

形状、価格、生産方法、使用方法又は生産・使用時期のような記述的表示についても適用

が除外されている(第 26 条第 1 項第 2 号及び第 3 号)が、不正競争防止法では除外され

ない。したがって、産地を示す地理的表示であっても適用されないわけではなく、商品等

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項第1号)

② 自己の氏名の不正の目的でない使用(第19条第1項第2号)

③ 周知性・著名性獲得以前からの不正の目的でない先使用(第19条第1項第3号、第4

号)

④ 日本国内で最初に販売された日から3年を経過した商品の形態模倣行為及び模倣

商品の善意取得者保護(第19条第1項第5号) ⑤ 営業秘密の善意取得者保護(第19条第1項第6号) ⑥ 試験又は研究のために用いられる装置等の譲渡等(第19条第1項第7号)

(2) 混同防止表示付加請求(第19条第2項)

不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者とその

侵害者との利益調整規定。自己の商品又は営業との混同を防ぐのに適当な表示を付す

よう請求できることとされている。 7.民事的救済手段

(1) 差止請求(第3条)

不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者24は、そ

の営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対して、その侵害の停止

又は予防を請求すること及び侵害の行為を組成した物の廃棄等を請求することができ

る25。複数の侵害者がいるときに、特定の者にのみ請求することも可能である。 本条にいう「営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者」に該当し

ない者が訴訟を提起した時には、訴えの棄却判決ではなく、請求棄却判決となると解

されている。

(2) 損害賠償請求(第4条)

故意又は過失により不正競争を行って他人の営業上の利益を侵害した者に対しては、

民法第709条によらず、本条により損害賠償を請求することができる。賠償を請求でき

る損害は、不正競争行為によって直接的に被った損害だけでなく、逸失利益を含む。

逸失利益の立証には、第5条で推定規定が置かれている。

(3) 損害立証容易化のための民事訴訟上の特例

① 損害の額の推定(第5条)

表示となっているか否かにより判断される。 24 本条の「営業上の利益を侵害されるおそれのある者」には、商品化事業の使用許諾者及

び許諾を受けた使用権者であって、不正競争行為により、再使用権者に対する管理統制、

商品の出所識別機能、品質保証機能及び顧客吸引力を害されるおそれのある者が含まれる

としている(NFL事件、最判昭 59.5.29)。

また、「営業上の利益」の主体としては、民間営利企業に限られるものではなく、収支

相償を目的とする場合には、社団法人や公益法人、病院にも認められている。 25 本条の差し止めには、登録された商標の使用の差し止めも含まれ、常に商標法の効力が

不正競争防止法に優越するわけではない。例えば、登録商標の出願前から周知性のある標

章を使用していた者が原告となり、登録商標権者を相手としてされた不正競争防止法に基

づく登録商標の使用差し止めの請求が認められた事例がある(越之立山事件、名古屋高判

平 9.3.19)。

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被侵害者の受けた損害の額は、譲渡数量に単位数量当たりの利益を乗じて得た

額とする。

② 具体的態様の明示義務(第6条)

被侵害者の主張を否認するときは、相手方は、自己の行為の具体的態様を明ら

かにしなければならない。

③ 書類提出命令(第7条)

裁判所は、当事者の申し立てにより侵害行為について立証するため又は損害の

計算をするため必要な書類の提出を命ずることができる。

④ 損害計算のための鑑定(第8条)

当事者は、損害の計算をするため必要な事項について鑑定人に対して説明しな

ければならない。

⑤ 相当な損害額の認定(第9条)

損害額を立証するために必要な事実を立証することが極めて困難であるときは、

裁判所は相当な額を認定することができる。

(4) 民事訴訟上の営業秘密の保護

① 秘密保持命令(第10条)

裁判所は、営業秘密が記載された書面が当事者に開示された場合において、他

人に開示してはならないことを命令することができる。

② 訴訟記録の閲覧制限(第12条)

裁判所書記官は、秘密保持命令が発せられた訴訟記録の閲覧を制限しなければ

ならない。

③当事者尋問の公開停止(第13条)

裁判所は、営業秘密に該当する尋問が行われる場合において、裁判官の全員一

致により、当事者への尋問を公開しないで行うことができる。 (5) 信用回復措置請求(第14条)

故意又は過失により不正競争を行って他人の営業上の信用を害した者に対しては,

信用回復措置を請求することができる。

8.刑事罰(第21条、第22条)

(1) 刑事罰の対象となる不正競争行為(第21条第1項、第2項) (類型)

① 第1項第1号

不正の目的をもって行う混同惹起行為、誤認惹起行為(第2条第1項第1号及び第

13号)26

② 第1項第2号

26 最近の事件としては、韓国ドラマ「冬のソナタ」に登場した「ポラリス・ネックレス」

のニセモノを販売したとして、愛知県警が不正競争防止法違反(混同惹起行為)の疑い

で、韓国籍の主婦を逮捕した事件がある(平成16年9月)。

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他人の著名な商品等表示に係る信用・名声を利用して不正の利益を得る目的又

は当該信用・名声を害する目的で当該著名商品等表示を冒用する行為(民事:第2

条第1項第2号)/平成17年改正で導入

③ 第1項第3号

商品又は役務の品質、内容等について誤認させるような虚偽の表示をする行為

(民事:第2条第1項第13号)27

④ 第1項第4号

営業秘密を不正に取得し、不正の競争の目的で、使用又は開示する行為(民事:

第2条第1項第4号の一部、共犯者は第5号の一部)28

⑤ 第1項第5号

営業秘密の使用又は開示を目的として、詐欺等行為又は管理侵害行為によって、

保有者が管理している営業秘密記録媒体等を取得し又は複製を作成する行為(民

事:第2条第1項第4号の一部、共犯者は第5号の一部)

⑥ 第1項第6号

営業秘密を保有者から示された者が、不正の競争の目的で、詐欺等行為若しく

は管理侵害行為により、又は横領等任務に背く行為によって、保有者が管理して

いる営業秘密記録媒体等を領得し、又は複製を作成し、その営業秘密を使用又は

開示する行為(民事:第2条第1項第7号の一部、共犯者は第8号の一部)

⑦ 第1項第7号

営業秘密を保有者から示された現職の役員又は従業者が、不正の競争の目的で29、その営業秘密の管理に係る任務に背き、営業秘密を使用又は開示する行為(民

事:第2条第1項第7号の一部、共犯者は第8号の一部)

⑧ 第1項第8号

営業秘密を保有者から示された役員・従業員であった者が、不正の競争の目的

で、在職中に、営業秘密の管理に係る任務に背いて営業秘密の開示の申込みをす

るか、営業秘密の使用・開示について請託を受けて、退職後、その営業秘密を使

用又は開示する行為(民事:第2条第1項第7号の一部、共犯者は第8号の一部)/

平成17年改正で導入

⑨ 第1項第9号

27 最近の判決としては、マレーシア産カモ肉を「国産フランスカモ肉」として、表示を

偽装して販売していた肉加工販売会社の社長に不正競争防止法違反(虚偽表示)で懲役2

年、執行猶予3年、妻に懲役1年6月、執行猶予3年、会社に罰金160万円を言い渡した(仙

台地裁、平成17年1月)。 28 営業秘密の不正開示の罪は対向犯ではなく、開示の相手方となった者が共犯者(共同

正犯、教唆犯又は幇助犯)として処罰されることがある。 29 営業秘密侵害罪には、すべて「不正の競争の目的」が必要である。このことにより報

道目的、内部告発目的のような正当行為と恐喝目的、愉快犯のような個人的な犯罪行為

が構成要件に該当しないことになる(処罰阻却事由ではない)。 不正競争防止法における「不正」の比較をすると、次のとおりとなる。

図 利 加 害

競業関係に関

わる相対的な

利益

競業関係に関

わらない絶対

的な利益

競業関係に関

わる相対的な

加害

競業関係に関

わらない絶対

的な加害

不正の目的 ○ ○ ○ ○

不正の利益を得る目的 ○ ○ × ×

不正の競争の目的 ○ ○ ○ ×

他人に損害を加える目的 × × ○ ○

不正の競業の目的 ○ × × ×

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不正の競争の目的で、④、⑥~⑧にあたる開示によって営業秘密を取得して、

その営業秘密を使用又は開示する行為(民事:第2条第1項第5号、第8号)/平成

17年改正で導入

⑩ 第1項第10号

裁判所の秘密保持命令に違反する行為

⑪ 第1項第11号

外国の国旗等の商業上の使用等(禁止規定:第16条、第17条)

外国公務員贈賄罪(禁止規定:第18条)

⑫ 第2項

不正の利益を得る目的で他人の商品の形態を模倣した商品を譲渡等する行為

(民事:第2条第1項第3号/平成17年改正で導入) (2) 罰則:

刑事罰の対象行為①~⑪:5年以下の懲役又は500万円以下の罰金、又はこれらの

併科/平成17年改正で上限を引き上げると共に併科可

能とした ⑫:3年以下の懲役又は300万円以下の罰金、又はこれらの

併科/平成17年改正で導入30

(3) 場所的適用範囲:国外での行為に対する処罰(営業秘密侵害罪の一部、秘密保持命

令違反、外国公務員贈賄) 外国公務員贈賄罪については、日本国民に限っては日本国外での行為も処罰の対象

である。平成16年改正で導入された。 営業秘密侵害罪のうち、刑事罰の対象行為④と⑥~⑨については、詐欺等行為若し

くは管理侵害行為があったとき又は保有者から示された時に日本国内において管理さ

れていた営業秘密に関して日本国外で不正使用・開示行為を行った者も処罰の対象と

なる。また、日本国外で秘密保持命令違反(⑩)を行った者も処罰の対象となる。こ

れらは平成17年改正で導入。 これら以外の違反行為は、刑法第1条及び第8条の規定31により、日本国内で罪を犯し

た者に適用される。 (4) 親告罪:営業秘密侵害罪

刑事訴訟を提起することにより、訴訟上営業秘密が公開されるおそれがあることか

ら、これを望まない被害者を保護するために、営業秘密侵害罪については親告罪32とさ

れている。 (5) 法人両罰

30 長期 5 年未満の懲役に当たる罪の公訴時効期間は、刑事訴訟法第 250 条第 5 号により、

3 年間となっている。 31 刑法(抄) 第 1 条 この法律は、日本国内において罪を犯したすべての者に適用する。 2 日本国外にある日本船舶又は日本航空機内において罪を犯した者についても、前項

と同様とする。 第 8 条 この編の規定は、他の法令の罪についても、適用する。ただし、その法令に特

別の規定があるときは、この限りでない。 32 被害者からの告訴を待って公訴を提起する罪。親告罪となっている罪の告訴は、犯人を

知った日から 6 か月を経過したときは、これをすることができない(刑事訴訟法第 235条第 1 項)。

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法人の代表者、又は、法人若しくは個人の使用人、代理人、その他の従業者が第21

条の以下の規定に違反する行為をした場合には、行為者自身を罰するだけでなく、法

人及び個人も処罰される。

法人の対する罰金は以下のとおり。

刑事罰の対象行為①~③、⑪、⑫:3億円以下の罰金/②は平成17年改正で導入

④、⑤、⑨、⑩:1億5千万円以下の罰金/平成17年改正で、④、

⑤、⑨を導入、⑩を引き上げ

⑬:1億円以下の罰金/平成17年改正で導入

個人に対する罰金の上限は、犯罪の行為者に対する罰金の上限と同じ。

9.参考となるべき指針

経済産業省では、不正競争防止法の解釈及び利用に当たり、参考となるべき指針を公

表して利用者の便宜を図っている。

「営業秘密管理指針」(平成15年1月)→改訂

「外国公務員贈賄防止指針」(平成16年5月)

どちらも http://www.meti.go.jp/policy/competition/index.html

以上

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図1:営業秘密侵害民事類型(第2条第1項④~⑨)

図2:営業秘密侵害刑事類型(第21条第1項④~⑨)

?

詐欺等行為・管理侵害行為により取得

使用④

開示④

?

詐欺等行為・管理侵害行為により取得

使用④

開示④

?

詐欺等行為・管理侵害行為により、記録媒体を取得・複製⑤

??

詐欺等行為・管理侵害行為により、記録媒体を取得・複製⑤

?

?

在職中に正当に取得

管理の任務に背いて使用⑦

管理の任務に背いて開示⑦

従業者?

在職中に正当に取得

管理の任務に背いて使用⑦

管理の任務に背いて開示⑦

従業者

?

在職中に正当に取得

管理の任務に背いて使用⑧

管理の任務に背いて開示⑧

従業者

退職者

退職

在職中に不正使用・開示の約束

?

④⑥⑦⑧による開示を通じ取得

使用⑨

開示⑨?

④⑥⑦⑧による開示を通じ取得

使用⑨

開示⑨

詐欺等行為=詐欺、暴行、脅迫 管理侵害行為=媒体の窃取、施設への侵入、不正アクセス行為等

?

不正に取得④

使用④

開示④

悪意or重過失で取得⑤

使用⑤

善意and無重過失で取得

開示⑤

悪意or重過失で使用⑥

悪意or重過失で開示⑥

?

正当に取得

図利加害目的で不正使用⑦

図利加害目的で不正開示⑦

悪意or重過失で取得⑧

使用⑧

善意and無重過失で取得

開示⑧

悪意or重過失で使用⑨

悪意or重過失で開示⑨

※○囲いの数字は、不正競争防止法第2条第1項の各号の「不正競争」に該当することを意味する。悪意or重過失=当該行為があったことを知っている、あるいは重大な過失により知らないこと。善意and無重過失=当該行為があったことを、重大な過失によらずに知らないこと。

○不正取得の類型

○正当取得の類型

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○不正競争防止法

平成五年五月十九日

号 不正競争防止法をここに公布する。

不正競争防止法

不正競争防止法(

昭和九年法律第十四号)

の全部を改正する。

(

目的)

第一条

この法律は、事業者間の公正な競争及びこれに関する国際

約束の的確な実施を確保するため、不正競争の防止及び不正競争

に係る損害賠償に関する措置等を講じ、もって国民経済の健全な

発展に寄与することを目的とする。

(

定義)

第二条

この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをい

う。

他人の商品等表示(

人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、

商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するも

のをいう。以下同じ。)

として需要者の間に広く認識されている

ものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品

等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡

しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を

通じて提供して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為

自己の商品等表示として他人の著名な商品等表示と同一若

しくは類似のものを使用し、又はその商品等表示を使用した商

品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、

輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為

他人の商品の形態(

当該商品の機能を確保するために不可欠

な形態を除く。)

を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若し

くは貸渡しのために展示し、輸出し、又は輸入する行為

窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段により営業秘密を取得

する行為(

以下「不正取得行為」という。)

又は不正取得行為に

より取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為(

秘密を

保持しつつ特定の者に示すことを含む。以下同じ。)

その営業秘密について不正取得行為が介在したことを知っ

て、若しくは重大な過失により知らないで営業秘密を取得し、

又はその取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為

その取得した後にその営業秘密について不正取得行為が介

在したことを知って、又は重大な過失により知らないでその取

得した営業秘密を使用し、又は開示する行為

営業秘密を保有する事業者(

以下「保有者」という。)

からそ

の営業秘密を示された場合において、不正の競業その他の不正

の利益を得る目的で、又はその保有者に損害を加える目的で、

その営業秘密を使用し、又は開示する行為

その営業秘密について不正開示行為(

前号に規定する場合に

おいて同号に規定する目的でその営業秘密を開示する行為又

は秘密を守る法律上の義務に違反してその営業秘密を開示す

る行為をいう。以下同じ。)

であること若しくはその営業秘密に

ついて不正開示行為が介在したことを知って、若しくは重大な

過失により知らないで営業秘密を取得し、又はその取得した営

業秘密を使用し、若しくは開示する行為

九 その取得した後にその営業秘密について不正開示行為が

あったこと若しくはその営業秘密について不正開示行為が介

在したことを知って、又は重大な過失により知らないでその取

得した営業秘密を使用し、又は開示する行為

営業上用いられている技術的制限手段(

他人が特定の者以外

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の者に影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は

影像、音若しくはプログラムの記録をさせないために用いてい

るものを除く。)

により制限されている影像若しくは音の視聴若

しくはプログラムの実行又は影像、音若しくはプログラムの記

録を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とす

る機能のみを有する装置(

当該装置を組み込んだ機器を含む。)

若しくは当該機能のみを有するプログラム(

当該プログラムが

他のプログラムと組み合わされたものを含む。)

を記録した記録

媒体若しくは記憶した機器を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは

引渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入し、又は当該機

能のみを有するプログラムを電気通信回線を通じて提供する

行為

十一

他人が特定の者以外の者に影像若しくは音の視聴若しく

はプログラムの実行又は影像、音若しくはプログラムの記録を

させないために営業上用いている技術的制限手段により制限

されている影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行

又は影像、音若しくはプログラムの記録を当該技術的制限手段

の効果を妨げることにより可能とする機能のみを有する装置

(

当該装置を組み込んだ機器を含む。)

若しくは当該機能のみを

有するプログラム(

当該プログラムが他のプログラムと組み合

わされたものを含む。)

を記録した記録媒体若しくは記憶した機

器を当該特定の者以外の者に譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは

引渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入し、又は当該機

能のみを有するプログラムを電気通信回線を通じて提供する

行為

十二

不正の利益を得る目的で、又は他人に損害を加える目的で、

他人の特定商品等表示(

人の業務に係る氏名、商号、商標、標章

その他の商品又は役務を表示するものをいう。)

と同一若しくは

類似のドメイン名を使用する権利を取得し、若しくは保有し、

又はそのドメイン名を使用する行為

十三

商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用い

る書類若しくは通信にその商品の原産地、品質、内容、製造方

法、用途若しくは数量若しくはその役務の質、内容、用途若し

くは数量について誤認させるような表示をし、又はその表示を

した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展

示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、

若しくはその表示をして役務を提供する行為

十四

競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実

を告知し、又は流布する行為

十五

パリ条約(

商標法(

昭和三十四年法律第百二十七号)

第四条

第一項第二号に規定するパリ条約をいう。)

の同盟国、世界貿易

機関の加盟国又は商標法条約の締約国において商標に関する

権利(

商標権に相当する権利に限る。以下この号において単に

「権利」という。)

を有する者の代理人若しくは代表者又はその

行為の日前一年以内に代理人若しくは代表者であった者が、正

当な理由がないのに、その権利を有する者の承諾を得ないでそ

の権利に係る商標と同一若しくは類似の商標をその権利に係

る商品若しくは役務と同一若しくは類似の商品若しくは役務

に使用し、又は当該商標を使用したその権利に係る商品と同一

若しくは類似の商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡し

のために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通

じて提供し、若しくは当該商標を使用してその権利に係る役務

と同一若しくは類似の役務を提供する行為

2 この法律において「商標」とは、商標法第二条第一項に規定す

る商標をいう。

この法律において「標章」とは、商標法第二条第一項に規定す

る標章をいう。

この法律において「商品の形態」とは、需要者が通常の用法に

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従った使用に際して知覚によって認識することができる商品の

外部及び内部の形状並びにその形状に結合した模様、色彩、光沢

及び質感をいう。

この法律において「模倣する」とは、他人の商品の形態に依拠

して、これと実質的に同一の形態の商品を作り出すことをいう。

6 この法律において「営業秘密」とは、秘密として管理されてい

る生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業

上の情報であって、公然と知られていないものをいう。

この法律において「技術的制限手段」とは、電磁的方法(

電子的

方法、磁気的方法その他の人の知覚によって認識することができ

ない方法をいう。)により影像若しくは音の視聴若しくはプログラ

ムの実行又は影像、音若しくはプログラムの記録を制限する手段

であって、視聴等機器(

影像若しくは音の視聴若しくはプログラム

の実行又は影像、音若しくはプログラムの記録のために用いられ

る機器をいう。以下同じ。)

が特定の反応をする信号を影像、音若

しくはプログラムとともに記録媒体に記録し、若しくは送信する

方式又は視聴等機器が特定の変換を必要とするよう影像、音若し

くはプログラムを変換して記録媒体に記録し、若しくは送信する

方式によるものをいう。

この法律において「プログラム」とは、電子計算機に対する指

令であって、一の結果を得ることができるように組み合わされた

ものをいう。

この法律において「ドメイン名」とは、インターネットにおい

て、個々の電子計算機を識別するために割り当てられる番号、記

号又は文字の組合せに対応する文字、番号、記号その他の符号又

はこれらの結合をいう。

10

この法律にいう「物」には、プログラムを含むものとする。

(

平六法一一六・平八法六八・平一一法三三・平一三法八一・

平一五法四六・一部改正、平成十七法七五・一部改正)

(

差止請求権)

第三条

不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害され

るおそれがある者は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害す

るおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求するこ

とができる。

不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるお

それがある者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行

為を組成した物(

侵害の行為により生じた物を含む。第五条第一項

において同じ。)

の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の

侵害の停止又は予防に必要な行為を請求することができる。

(

平一五法四六・一部改正)

(

損害賠償)

第四条

故意又は過失により不正競争を行って他人の営業上の利

益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責めに任

ずる。ただし、第十五条の規定により同条に規定する権利が消滅

した後にその営業秘密を使用する行為によって生じた損害につ

いては、この限りでない。

(

損害の額の推定等)

第五条

第二条第一項第一号から第九号まで又は第十五号に掲げ

る不正競争(

同項第四号から第九号までに掲げるものにあっては、

技術上の秘密(

秘密として管理されている生産方法その他の事業

活動に有用な技術上の情報であって公然と知られていないもの

をいう。)に関するものに限る。)

によって営業上の利益を侵害さ

れた者(以下この項において「被侵害者」という。)

が故意又は過

失により自己の営業上の利益を侵害した者に対しその侵害によ

り自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がそ

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- 31 -

の侵害の行為を組成した物を譲渡したときは、その譲渡した物の

数量(

以下この項において「譲渡数量」という。)

に、被侵害者が

その侵害の行為がなければ販売することができた物の単位数量

当たりの利益の額を乗じて得た額を、被侵害者の当該物に係る販

売その他の行為を行う能力に応じた額を超えない限度において、

被侵害者が受けた損害の額とすることができる。ただし、譲渡数

量の全部又は一部に相当する数量を被侵害者が販売することが

できないとする事情があるときは、当該事情に相当する数量に応

じた額を控除するものとする。

不正競争によって営業上の利益を侵害された者が故意又は過

失により自己の営業上の利益を侵害した者に対しその侵害によ

り自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がそ

の侵害の行為により利益を受けているときは、その利益の額は、

その営業上の利益を侵害された者が受けた損害の額と推定する。

第二条第一項第一号から第九号まで、第十二号又は第十五号に

掲げる不正競争によって営業上の利益を侵害された者は、故意又

は過失により自己の営業上の利益を侵害した者に対し、次の各号

に掲げる不正競争の区分に応じて当該各号に定める行為に対し

受けるべき金銭の額に相当する額の金銭を、自己が受けた損害の

額としてその賠償を請求することができる。

第二条第一項第一号又は第二号に掲げる不正競争 当該侵

害に係る商品等表示の使用

第二条第一項第三号に掲げる不正競争

当該侵害に係る商

品の形態の使用

第二条第一項第四号から第九号までに掲げる不正競争

該侵害に係る営業秘密の使用

第二条第一項第十二号に掲げる不正競争

当該侵害に係る

ドメイン名の使用

第二条第一項第十五号に掲げる不正競争

当該侵害に係る

商標の使用

前項の規定は、同項に規定する金額を超える損害の賠償の請求

を妨げない。この場合において、その営業上の利益を侵害した者

に故意又は重大な過失がなかったときは、裁判所は、損害の賠償

の額を定めるについて、これを参酌することができる。

(

平一一法三三・平一三法八一・平一五法四六・一部改正)

(

具体的態様の明示義務)

第六条

不正競争による営業上の利益の侵害に係る訴訟において、

不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそ

れがあると主張する者が侵害の行為を組成したものとして主張

する物又は方法の具体的態様を否認するときは、相手方は、自己

の行為の具体的態様を明らかにしなければならない。ただし、相

手方において明らかにすることができない相当の理由があると

きは、この限りでない。

(

平一五法四六・追加)

(

書類の提出等)

第七条

裁判所は、不正競争による営業上の利益の侵害に係る訴訟

においては、当事者の申立てにより、当事者に対し、当該侵害行

為について立証するため、又は当該侵害の行為による損害の計算

をするため必要な書類の提出を命ずることができる。ただし、そ

の書類の所持者においてその提出を拒むことについて正当な理

由があるときは、この限りでない。

2 裁判所は、前項ただし書に規定する正当な理由があるかどうか

の判断をするため必要があると認めるときは、書類の所持者にそ

の提示をさせることができる。この場合においては、何人も、そ

の提示された書類の開示を求めることができない。

裁判所は、前項の場合において、第一項ただし書に規定する正

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- 32 -

当な理由があるかどうかについて前項後段の書類を開示してそ

の意見を聴くことが必要であると認めるときは、当事者等(当事

者(法人である場合にあっては、その代表者)又は当事者の代理

人(訴訟代理人及び補佐人を除く。)、使用人その他の従業者をい

う。以下同じ。)、訴訟代理人又は補佐人に対し、当該書類を開示

することができる。

前三項の規定は、不正競争による営業上の利益の侵害に係る訴

訟における当該侵害行為について立証するため必要な検証の目

的の提示について準用する。

(

平一五法四六・一部改正、平一六法一二〇・一部改正)

(

損害計算のための鑑定)

第八条

不正競争による営業上の利益の侵害に係る訴訟において、

当事者の申立てにより、裁判所が当該侵害の行為による損害の計

算をするため必要な事項について鑑定を命じたときは、当事者は、

鑑定人に対し、当該鑑定をするため必要な事項について説明しな

ければならない。

(

平一五法四六・追加)

(

相当な損害額の認定)

第九条

不正競争による営業上の利益の侵害に係る訴訟において、

損害が生じたことが認められる場合において、損害額を立証する

ために必要な事実を立証することが当該事実の性質上極めて困

難であるときは、裁判所は、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結

果に基づき、相当な損害額を認定することができる。

(

平一五法四六・追加)

(秘密保持命令)

第十条

裁判所は、不正競争による営業上の利益の侵害に係る訴訟

において、その当事者が保有する営業秘密について、次に掲げる

事由のいずれにも該当することにつき疎明があった場合には、当

事者の申立てにより、決定で、当事者等、訴訟代理人又は補佐人

に対し、当該営業秘密を当該訴訟の追行の目的以外の目的で使用

し、又は当該営業秘密に係るこの項の規定による命令を受けた者

以外の者に開示してはならない旨を命ずることができる。ただし、

その申立ての時までに当事者等、訴訟代理人又は補佐人が第一号

に規定する準備書面の閲読又は同号に規定する証拠の取調べ若

しくは開示以外の方法により当該営業秘密を取得し、又は保有し

ていた場合は、この限りでない。

既に提出され若しくは提出されるべき準備書面に当事者の

保有する営業秘密が記載され、又は既に取り調べられ若しくは

取り調べられるべき証拠(第七条第三項の規定により開示され

た書類又は第十三条第四項の規定により開示された書面を含

む。)の内容に当事者の保有する営業秘密が含まれること。

前号の営業秘密が当該訴訟の追行の目的以外の目的で使用

され、又は当該営業秘密が開示されることにより、当該営業秘

密に基づく当事者の事業活動に支障を生ずるおそれがあり、こ

れを防止するため当該営業秘密の使用又は開示を制限する必

要があること。

前項の規定による命令(以下「秘密保持命令」という。)の申

立ては、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。

秘密保持命令を受けるべき者

秘密保持命令の対象となるべき営業秘密を特定するに足り

る事実

三 前項各号に掲げる事由に該当する事実

秘密保持命令が発せられた場合には、その決定書を秘密保持命

令を受けた者に送達しなければならない。

秘密保持命令は、秘密保持命令を受けた者に対する決定書の送

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- 33 -

達がされた時から、効力を生ずる。

秘密保持命令の申立てを却下した裁判に対しては、即時抗告を

することができる。

(

平一六法一二〇・追加)

(秘密保持命令の取消し)

第十一条

秘密保持命令の申立てをした者又は秘密保持命令を受

けた者は、訴訟記録の存する裁判所(訴訟記録の存する裁判所が

ない場合にあっては、秘密保持命令を発した裁判所)に対し、前

条第一項に規定する要件を欠くこと又はこれを欠くに至ったこ

とを理由として、秘密保持命令の取消しの申立てをすることがで

きる。

秘密保持命令の取消しの申立てについての裁判があった場合

には、その決定書をその申立てをした者及び相手方に送達しなけ

ればならない。

秘密保持命令の取消しの申立てについての裁判に対しては、即

時抗告をすることができる。

秘密保持命令を取り消す裁判は、確定しなければその効力を生

じない。

裁判所は、秘密保持命令を取り消す裁判をした場合において、

秘密保持命令の取消しの申立てをした者又は相手方以外に当該

秘密保持命令が発せられた訴訟において当該営業秘密に係る秘

密保持命令を受けている者があるときは、その者に対し、直ちに、

秘密保持命令を取り消す裁判をした旨を通知しなければならな

い。

(

平一六法一二〇・追加)

(訴訟記録の閲覧等の請求の通知等)

第十二条

秘密保持命令が発せられた訴訟(すべての秘密保持命令

が取り消された訴訟を除く。)に係る訴訟記録につき、民事訴訟

法(平成八年法律第百九号)第九十二条第一項の決定があった場

合において、当事者から同項に規定する秘密記載部分の閲覧等の

請求があり、かつ、その請求の手続を行った者が当該訴訟におい

て秘密保持命令を受けていない者であるときは、裁判所書記官は、

同項の申立てをした当事者(その請求をした者を除く。第三項に

おいて同じ。)に対し、その請求後直ちに、その請求があった旨

を通知しなければならない。

前項の場合において、裁判所書記官は、同項の請求があった日

から二週間を経過する日までの間(その請求の手続を行った者に

対する秘密保持命令の申立てがその日までにされた場合にあっ

ては、その申立てについての裁判が確定するまでの間)、その請

求の手続を行った者に同項の秘密記載部分の閲覧等をさせては

ならない。

前二項の規定は、第一項の請求をした者に同項の秘密記載部分

の閲覧等をさせることについて民事訴訟法第九十二条第一項の

申立てをした当事者のすべての同意があるときは、適用しない。

(

平一六法一二〇・追加)

(当事者尋問等の公開停止)

第十三条

不正競争による営業上の利益の侵害に係る訴訟におけ

る当事者等が、その侵害の有無についての判断の基礎となる事項

であって当事者の保有する営業秘密に該当するものについて、当

事者本人若しくは法定代理人又は証人として尋問を受ける場合

においては、裁判所は、裁判官の全員一致により、その当事者等

が公開の法廷で当該事項について陳述をすることにより当該営

業秘密に基づく当事者の事業活動に著しい支障を生ずることが

明らかであることから当該事項について十分な陳述をすること

ができず、かつ、当該陳述を欠くことにより他の証拠のみによっ

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- 34 -

ては当該事項を判断の基礎とすべき不正競争による営業上の利

益の侵害の有無についての適正な裁判をすることができないと

認めるときは、決定で、当該事項の尋問を公開しないで行うこと

ができる。

裁判所は、前項の決定をするに当たっては、あらかじめ、当事

者等の意見を聴かなければならない。

裁判所は、前項の場合において、必要があると認めるときは、

当事者等にその陳述すべき事項の要領を記載した書面の提示を

させることができる。この場合においては、何人も、その提示さ

れた書面の開示を求めることができない。

裁判所は、前項後段の書面を開示してその意見を聴くことが必

要であると認めるときは、当事者等、訴訟代理人又は補佐人に対

し、当該書面を開示することができる。

裁判所は、第一項の規定により当該事項の尋問を公開しないで

行うときは、公衆を退廷させる前に、その旨を理由とともに言い

渡さなければならない。当該事項の尋問が終了したときは、再び

公衆を入廷させなければならない。

(

平一六法一二〇・追加)

(

信用回復の措置)

第十四条

故意又は過失により不正競争を行って他人の営業上の

信用を害した者に対しては、裁判所は、その営業上の信用を害さ

れた者の請求により、損害の賠償に代え、又は損害の賠償ととも

に、その者の営業上の信用を回復するのに必要な措置を命ずるこ

とができる。

(

消滅時効)

第十五条

第二条第一項第四号から第九号までに掲げる不正競争

のうち、営業秘密を使用する行為に対する第三条第一項の規定に

よる侵害の停止又は予防を請求する権利は、その行為を行う者が

その行為を継続する場合において、その行為により営業上の利益

を侵害され、又は侵害されるおそれがある保有者がその事実及び

その行為を行う者を知った時から三年間行わないときは、時効に

よって消滅する。その行為の開始の時から十年を経過したときも、

同様とする。

(

外国の国旗等の商業上の使用禁止)

第十六条

何人も、外国の国旗若しくは国の紋章その他の記章で

あって経済産業省令で定めるもの(

以下「外国国旗等」という。)

と同一若しくは類似のもの(

以下「外国国旗等類似記章」という。)

を商標として使用し、又は外国国旗等類似記章を商標として使用

した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示

し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若

しくは外国国旗等類似記章を商標として使用して役務を提供し

てはならない。ただし、その外国国旗等の使用の許可(

許可に類す

る行政処分を含む。以下同じ。)

を行う権限を有する外国の官庁の

許可を受けたときは、この限りでない。

前項に規定するもののほか、何人も、商品の原産地を誤認させ

るような方法で、同項の経済産業省令で定める外国の国の紋章(

下「外国紋章」という。)

を使用し、又は外国紋章を使用した商品

を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出

し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくは外

国紋章を使用して役務を提供してはならない。ただし、その外国

紋章の使用の許可を行う権限を有する外国の官庁の許可を受け

たときは、この限りでない。

何人も、外国の政府若しくは地方公共団体の監督用若しくは証

明用の印章若しくは記号であって経済産業省令で定めるもの(

下「外国政府等記号」という。)

と同一若しくは類似のもの(

以下

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- 35 -

「外国政府等類似記号」という。)

をその外国政府等記号が用いら

れている商品若しくは役務と同一若しくは類似の商品若しくは

役務の商標として使用し、又は外国政府等類似記号を当該商標と

して使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのた

めに展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提

供し、若しくは外国政府等類似記号を当該商標として使用して役

務を提供してはならない。ただし、その外国政府等記号の使用の

許可を行う権限を有する外国の官庁の許可を受けたときは、この

限りでない。

(

平一一法一六〇・平一五法四六・一部改正)

(

国際機関の標章の商業上の使用禁止)

第十七条

何人も、その国際機関(政府間の国際機関及びこれに準ず

るものとして経済産業省令で定める国際機関をいう。以下この条

において同じ。)

と関係があると誤認させるような方法で、国際機

関を表示する標章であって経済産業省令で定めるものと同一若

しくは類似のもの(

以下「国際機関類似標章」という。)

を商標と

して使用し、又は国際機関類似標章を商標として使用した商品を

譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、

輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくは国際機

関類似標章を商標として使用して役務を提供してはならない。た

だし、この国際機関の許可を受けたときは、この限りでない。

(

平一〇法一一一・平一一法一六〇・平一五法四六・一部改

正)

(

外国公務員等に対する不正の利益の供与等の禁止)

第十八条

何人も、外国公務員等に対し、国際的な商取引に関して

営業上の不正の利益を得るために、その外国公務員等に、その職

務に関する行為をさせ若しくはさせないこと、又はその地位を利

用して他の外国公務員等にその職務に関する行為をさせ若しく

はさせないようにあっせんをさせることを目的として、金銭その

他の利益を供与し、又はその申込み若しくは約束をしてはならな

い。

前項において「外国公務員等」とは、次に掲げる者をいう。

外国の政府又は地方公共団体の公務に従事する者

公共の利益に関する特定の事務を行うために外国の特別の

法令により設立されたものの事務に従事する者

一又は二以上の外国の政府又は地方公共団体により、発行済

株式のうち議決権のある株式の総数若しくは出資の金額の総

額の百分の五十を超える当該株式の数若しくは出資の金額を

直接に所有され、又は役員(

取締役、監査役、理事、監事及び清

算人並びにこれら以外の者で事業の経営に従事しているもの

をいう。)

の過半数を任命され若しくは指名されている事業者で

あって、その事業の遂行に当たり、外国の政府又は地方公共団

体から特に権益を付与されているものの事務に従事する者そ

の他これに準ずる者として政令で定める者

国際機関(

政府又は政府間の国際機関によって構成される国

際機関をいう。次号において同じ。)

の公務に従事する者

外国の政府若しくは地方公共団体又は国際機関の権限に属

する事務であって、これらの機関から委任されたものに従事す

る者 (

平一〇法一一一・追加、平一三法八一・旧第十条の二繰下・

一部改正)

(

適用除外等)

第十九条 第三条から第十五条まで、第二十一条(

第一項第十一号に

係る部分を除く。)

及び第二十二条の規定は、次の各号に掲げる不

正競争の区分に応じて当該各号に定める行為については、適用し

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- 36 -

ない。

第二条第一項第一号、第二号、第十三号及び第十五号に掲げ

る不正競争

商品若しくは営業の普通名称(

ぶどうを原料又は

材料とする物の原産地の名称であって、普通名称となったもの

を除く。)

若しくは同一若しくは類似の商品若しくは営業につい

て慣用されている商品等表示(

以下「普通名称等」と総称する。)

を普通に用いられる方法で使用し、若しくは表示をし、又は普

通名称等を普通に用いられる方法で使用し、若しくは表示をし

た商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示

し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する

行為(

同項第十三号及び第十五号に掲げる不正競争の場合に

あっては、普通名称等を普通に用いられる方法で表示をし、又

は使用して役務を提供する行為を含む。)

第二条第一項第一号、第二号及び第十五号に掲げる不正競争

自己の氏名を不正の目的(

不正の利益を得る目的、他人に損害を

加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)

でなく使用

し、又は自己の氏名を不正の目的でなく使用した商品を譲渡し、

引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入

し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為(同号に掲げる

不正競争の場合にあっては、自己の氏名を不正の目的でなく使

用して役務を提供する行為を含む。)

第二条第一項第一号に掲げる不正競争

他人の商品等表示

が需要者の間に広く認識される前からその商品等表示と同一

若しくは類似の商品等表示を使用する者又はその商品等表示

に係る業務を承継した者がその商品等表示を不正の目的でな

く使用し、又はその商品等表示を不正の目的でなく使用した商

品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、

輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為

第二条第一項第二号に掲げる不正競争

他人の商品等表示

が著名になる前からその商品等表示と同一若しくは類似の商

品等表示を使用する者又はその商品等表示に係る業務を承継

した者がその商品等表示を不正の目的でなく使用し、又はその

商品等表示を不正の目的でなく使用した商品を譲渡し、引き渡

し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若

しくは電気通信回線を通じて提供する行為

第二条第一項第三号に掲げる不正競争

次のいずれかに掲

げる行為

日本国内において最初に販売された日から起算して三年

を経過した商品について、その商品の形態を模倣した商品を

譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸

出し、又は輸入する行為。

他人の商品の形態を模倣した商品を譲り受けた者(

その譲

り受けた時にその商品が他人の商品の形態を模倣した商品

であることを知らず、かつ、知らないことにつき重大な過失

がない者に限る。)

がその商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若し

くは貸渡しのために展示し、輸出し、又は輸入する行為

第二条第一項第四号から第九号までに掲げる不正競争

引によって営業秘密を取得した者(

その取得した時にその営業

秘密について不正開示行為であること又はその営業秘密につ

いて不正取得行為若しくは不正開示行為が介在したことを知

らず、かつ、知らないことにつき重大な過失がない者に限る。)

がその取引によって取得した権原の範囲内においてその営業

秘密を使用し、又は開示する行為

七 第二条第一項第十号及び第十一号に掲げる不正競争

技術

的制限手段の試験又は研究のために用いられる第二条第一項

第十号及び第十一号に規定する装置若しくはこれらの号に規

定するプログラムを記録した記録媒体若しくは記憶した機器

を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸

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- 37 -

出し、若しくは輸入し、又は当該プログラムを電気通信回線を

通じて提供する行為

前項第二号又は第三号に掲げる行為によって営業上の利益を

侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、次の各号に掲げる

行為の区分に応じて当該各号に定める者に対し、自己の商品又は

営業との混同を防ぐのに適当な表示を付すべきことを請求する

ことができる。

前項第二号に掲げる行為

自己の氏名を使用する者(

自己の

氏名を使用した商品を自ら譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引

渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通

じて提供する者を含む。)

前項第三号に掲げる行為

他人の商品等表示と同一又は類

似の商品等表示を使用する者及びその商品等表示に係る業務

を承継した者(

その商品等表示を使用した商品を自ら譲渡し、引

き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、

又は電気通信回線を通じて提供する者を含む。)

(

平一一法三三・一部改正、平一三法八一・旧第十一条繰下・

一部改正、平一五法四六・一部改正、平成十七法七五・一

部改正)

(

経過措置)

第二十条

この法律の規定に基づき政令又は経済産業省令を制定

し、又は改廃する場合においては、その政令又は経済産業省令で、

その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内にお

いて、所要の経過措置(

罰則に関する経過措置を含む。)

を定める

ことができる。

(

平一一法一六〇・一部改正、平一三法八一・旧第十二条繰

下・一部改正)

(

罰則)

第二十一条

次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役

若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

不正の目的をもって第二条第一項第一号又は第十三号に掲

げる不正競争を行った者

他人の著名な商品等表示に係る信用若しくは名声を利用し

て不正の利益を得る目的で、又は当該信用若しくは名声を害す

る目的で第二条第一項第二号に掲げる不正競争を行った者

商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる

書類若しくは通信にその商品の原産地、品質、内容、製造方法、

用途若しくは数量又はその役務の質、内容、用途若しくは数量

について誤認させるような虚偽の表示をした者(

第一号に掲げ

る者を除く。)

詐欺等行為(

人を欺き、人に暴行を加え、又は人を脅迫する行

為をいう。以下同じ。)

により、又は管理侵害行為(

営業秘密が

記載され、又は記録された書面又は記録媒体(

以下「営業秘密記

録媒体等」という。)

の窃取、営業秘密が管理されている施設へ

の侵入、不正アクセス行為(

不正アクセス行為の禁止等に関する

法律(

平成十一年法律第百二十八号)

第三条に規定する不正アク

セス行為をいう。)

その他の保有者の管理を害する行為をいう。

以下同じ。)

により取得した営業秘密を、不正の競争の目的で、

使用し、又は開示した者

前号の使用又は開示の用に供する目的で、詐欺等行為又は管

理侵害行為により、営業秘密を次のいずれかに掲げる方法で取

得した者

イ 保有者の管理に係る営業秘密記録媒体等を取得すること。

ロ 保有者の管理に係る営業秘密記録媒体等の記載又は記録

について、その複製を作成すること。

営業秘密を保有者から示された者であって、不正の競争の目

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的で、詐欺等行為若しくは管理侵害行為により、又は横領その

他の営業秘密記録媒体等の管理に係る任務に背く行為により、

次のいずれかに掲げる方法で営業秘密が記載され、又は記録さ

れた書面又は記録媒体を領得し、又は作成して、その営業秘密

を使用し、又は開示した者

保有者の管理に係る営業秘密記録媒体等を領得すること。

ロ 保有者の管理に係る営業秘密記録媒体等の記載又は記録

について、その複製を作成すること。

営業秘密を保有者から示されたその役員(

理事、取締役、執行

役、業務を執行する社員、監事若しくは監査役又はこれらに準

ずる者をいう。次号において同じ。)

又は従業者であって、不正

の競争の目的で、その営業秘密の管理に係る任務に背き、その

営業秘密を使用し、又は開示した者(

前号に掲げる者を除く。)

営業秘密を保有者から示されたその役員又は従業者であっ

た者であって、不正の競争の目的で、その在職中に、その営業

秘密の管理に係る任務に背いてその営業秘密の開示の申込み

をし、又はその営業秘密の使用若しくは開示について請託を受

けて、その営業秘密をその職を退いた後に使用し、又は開示し

た者(第六号に掲げる者を除く。)

不正の競争の目的で、第四号又は第六号から前号までの罪に

当たる開示によって営業秘密を取得して、その営業秘密を使用

し、又は開示した者

秘密保持命令に違反した者

十一

第十六条、第十七条又は第十八条第一項の規定に違反した

不正の利益を得る目的で第二条第一項第三号に掲げる不正競

争を行った者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に

処し、又はこれを併科する。

前項第三号から第十号までの罪は、告訴がなければ公訴を提起

することができない。

第一項第四号又は第六号から第九号までの罪は、詐欺等行為若

しくは管理侵害行為があった時又は保有者から示された時に日

本国内において管理されていた営業秘密について、日本国外にお

いてこれらの罪を犯した者にも適用する。

第一項第十号の罪は、日本国外において同号の罪を犯したもの

にも適用する。

第一項第十一号(第十八条第一項に係る部分に限る。)の罪は、

刑法(明治四十年法律第四十五号)第三条の例に従う。

第一項及び第二項の規定は、刑法その他の罰則の適用を妨げな

い。

(

平一〇法一一一・平一一法三三・一部改正、平一三法八一・

旧第十三条繰下・一部改正、平一五法四六・一部改正、平

一六法五一・一部改正、平成一六法一二〇・一部改正、平

成一七法七五・一部改正)

第二十二条

法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人そ

の他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、次の各号に掲げ

る規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人

に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して本条の罰金

刑を科する。

前条第一項第一号から第三号まで又は第十一号

三億円以

下の罰金刑

前条第一項第四号、第五号、第九号又は第十号

一億五千万

円以下の罰金刑

三 前条第二項

一億円以下の罰金刑

前項の場合において、当該行為者に対してした前条第一項第四

号、第五号、第九号及び第十号の罪に係る同条第三項の告訴は、

その法人又は人に対しても効力を生じ、その法人又は人に対して

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した告訴は、当該行為者に対しても効力を生ずるものとする。

(

平一〇法一一一・一部改正、平一三法八一・旧第十四条繰

下、平一五法四六・一部改正、平成一六法一二〇・一部改

正)

抄 (

施行期日)

第一条

この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内

において政令で定める日から施行する。

(

平成六年政令第四四号で平成六年五月一日から施行)

(

経過措置)

第二条

改正後の不正競争防止法(以下「新法」という。)

の規定は、

特別の定めがある場合を除いては、この法律の施行前に生じた事

項にも適用する。ただし、改正前の不正競争防止法(

以下「旧法」

という。)

によって生じた効力を妨げない。

第三条

新法第三条、第四条本文及び第五条の規定は、この法律の

施行前に開始した次に掲げる行為を継続する行為については、適

用しない。

新法第二条第一項第二号に掲げる行為に該当するもの(

同項

第一号に掲げる行為に該当するものを除く。)

新法第二条第一項第十三号に掲げる行為のうち、役務若しく

はその広告苦しくは取引に用いる書類若しくは通信にその役

務の質、内容、用途若しくは数量について誤認させるような表

示をし、又はその表示をして役務を提供する行為に該当するも

の (

平一三法八一・一部改正)

第四条

新法第三条から第五条まで、第十四条及び第十五条の規定

は、平成三年六月十五日前に行われた新法第二条第一項第四号に

規定する不正取得行為又は同項第八号に規定する不正開示行為

に係る同項第四号から第六号まで、第八号又は第九号に掲げる不

正競争であって同日以後に行われるもの(

次の各号に掲げる行為

に該当するものを除く。)

及び同日前に開始した同項第七号に規定

する営業秘密を使用する行為を継続する行為については、適用し

ない。

新法第二条第一項第四号から第六号まで、第八号及び第九号

に規定する営業秘密を開示する行為

新法第二条第一項第五号及び第八号に規定する営業秘密を

取得する行為並びにこれらの行為により取得した営業秘密を

使用する行為

第五条

新法第七条の規定は、この法律の施行後に提起された訴え

について適用し、この法律の施行前に提起された訴えについては、

なお従前の例による。

第六条

新法第十四条の規定は、この法律の施行前に開始した新法

第二条第一項第二号又は第十三号に掲げる行為に該当するもの

(

同項第一号に掲げる行為に該当するものを除く。)

を継続する行

為については、適用しない。

(

平一三法八一・一部改正)

第七条

この法律の施行の際現に旧法第四条第一項から第三項ま

で又は第四条ノ二に規定する許可を受けている者は、それぞれ、

新法第十六条第一項ただし書、第二項ただし書若しくは第三項た

だし書又は第十七条ただし書に規定する許可を受けた者とみな

す。

第八条

新法第十六条の規定は、この法律の施行の際現に旧法第四

条第四項に規定する許可を受けている者については、適用しない。

第九条

新法第十七条の規定は、この法律の施行前に開始した同条

に規定する国際機関類似標章(

旧法第四条ノ二に規定する政府間

国際機関ノ紋章、旗章其ノ他ノ徽章、略称又ハ名称ニシテ主務大

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臣ノ指定スルモノト同一又ハ類似ノモノを除く。以下「民間国際

機関類似標章」という。)

を商標として使用し、又は民間国際機関

類似標章を商標として使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若

しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通

信回線を通じて提供し、若しくは民間国際機関類似標章を商標と

して使用して役務を提供する行為に該当するものを継続する行

為については、適用しない。

(平一五法四六・一部改正)

第十条

新法第二十一条(

第一項第十一号に係る部分を除く。)

及び

第二十二条の規定は、この法律の施行前に開始した附則第三条第

二号に掲げる行為に該当するものを継続する行為については、適

用しない。

(

平一三法八一・平一五法四六・一部改正)

第十一条

この法律の施行前にした行為に関する旧法第三条に規

定する外国人が行う同条に規定する請求については、なお従前の

例による。

(

商標法の一部を改正する法律の一部改正)

第十二条

(

略) (

罰則の適用に関する経過措置)

第十三条

この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用につ

いては、なお従前の例による。

(

政令への委任)

第十四条

附則第二条から第十一条まで及び前条に定めるものの

ほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

則 (

平成六年一二月一四日法律第一一六号)

抄 (

施行期日)

第一条

この法律は、平成七年七月一日から施行する。ただし、次

の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

第一条中特許法第三十条第三項の改正規定、第五条の規定(

標法第十条第三項、第十三条第一項、第四十四条第二項及び第

六十三条の二の改正規定を除く。)

及び第九条の規定

平成七年

七月一日又は世界貿易機関を設立するマラケシュ協定が日本

国について効力を生ずる日(

以下「発効日」という。)

のいずれ

か遅い日

(

効力を生ずる日=平成七年一月一日)

(

罰則の適用に関する経過措置)

第十三条

この法律の各改正規定の施行前にした行為及びこの附

則の規定によりなお従前の例によることとされる事項に係るこ

の法律の各改正規定の施行後にした行為に対する罰則の適用に

ついては、それぞれなお従前の例による。

(

政令への委任)

第十四条

附則第二条から前条までに定めるもののほか、この法律

の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

則 (

平成八年六月一二日法律第六八号)

抄 (

施行期日)

第一条

この法律は、平成九年四月一日から施行する。ただし、次

の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

第一条中商標法第四条第一項第二号及び第五号の改正規定、

同法第九条第一項の改正規定、同法第九条の二の前に見出しを

付す改正規定、同法第九条の二の次に一条を加える改正規定、

同法第十三条第一項の改正規定並びに同法第五十三条の二の

改正規定並びに第六条の規定

商標法条約が日本国について

効力を生ずる日

(効力を生ずる日=平成九年四月一日)

(

政令への委任)

第二十一条

附則第二条から前条までに定めるもののほか、この法

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律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

則 (

平成一〇年九月二八日法律第一一一号)

この法律は、国際商取引における外国公務員に対する贈賄の防止

に関する条約が日本国について効力を生ずる日から施行する。

(

効力を生ずる日=平成一一年二月一五日)

附 則

(平成一一年四月二三日法律第三三号)

この法律は、平成十一年十月一日から施行する。

(平成一一年一二月二二日法律第一六〇号)

(施行期日)

第一条

この法律(第二条及び第三条を除く。)は、平成十三年一

月六日から施行する。

(平成一三年六月二九日法律第八一号)

(施行期日)

第一条

この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲

内において政令で定める日から施行する。

(罰則の適用に関する経過措置)

第二条

この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用につい

ては、なお従前の例による。

(政令への委任)

第三条

前条に定めるもののほか、この法律の施行に関して必要

な経過措置は、政令で定める。

(平成一五年五月二三日法律第四六号)

(施行期日)

第一条

この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲

内において政令で定める日から施行する。

(経過措置)

第二条

この法律による改正後の不正競争防止法第九条の規定は、

この法律の施行前に、第二審である高等裁判所又は地方裁判所に

おける口頭弁論が終結した事件及び簡易裁判所の判決又は地方

裁判所が第一審としてした判決に対して上告をする権利を留保

して控訴をしない旨の合意をした事件については、適用しない。

(政令への委任)

第三条

前条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経

過措置は、政令で定める。

則 (

平成一六年五月二六日法律第五一号)

この法律は、平成十七年一月一日から施行する。

則 (

平成一六年六月一八日法律一二〇号)

抄 (

施行期日)

第一条

この法律は、平成十七年四月一日から施行する。

(

経過措置の原則)

第二条

この法律による改正後の裁判所法、民事訴訟法、民事訴訟

費用等に関する法律、特許法、実用新案法、意匠法、商標法、不

正競争防止法及び著作権法の規定(罰則を除く。)は、この附則

に特別の定めがある場合を除き、この法律の施行前に生じた事項

にも適用する。ただし、この法律による改正前のこれらの法律の

規定により生じた効力を妨げない。

則 (

平成一七年六月二二日法律七五号)

(施行期日)

第一条

この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲

内において政令で定める日から施行する。ただし、附則第三条、

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第十三条及び第十四条の規定は、犯罪の国際化及び組織化並び

に情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する

法律(平成十七年法律第

号)の施行の日又はこの法律の

施行の日のいずれか遅い日から施行する。

(経過措置)

第二条

第一条の規定による改正後の不正競争防止法第二条第一

項第三号の規定は、この法律の施行後にした同号に掲げる行為

について適用し、この法律の施行前にした第一条の規定による

改正前の不正競争防止法第二条第一項第三号に掲げる行為につ

いては、なお従前の例による。

第三条

組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律

(平成十一年法律第百三十六号。以下「組織的犯罪処罰法」と

いう。)第九条第一項から第三項まで、第十条及び第十一条の規

定は、この法律の施行前に財産上の不正な利益を得る目的で犯

した第一条の規定による改正前の不正競争防止法第十四条第一

項第一号から第六号の二まで若しくは第七号(同法第十一条第

一項に係る部分を除く。)、第二条の規定による改正前の特許法

第二百条の二第一項、第三条の規定による改正前の実用新案法

第六十条の二第一項、第四条の規定による改正前の意匠法第七

十三条の二第一項、第五条の規定による改正前の商標法第八十

一条の二第一項、第六条の規定による改正前の著作権法第百二

十二条の二又は附則第六条の規定による改正前の特許法等の一

部を改正する法律(平成五年法律第二十六号)附則第四条第一

項の規定によりなおその効力を有するものとされた同法第三条

の規定による改正前の実用新案法(附則第六条において「平成

五年旧実用新案法」という。)第六十条の二第一項に掲げる罪の

犯罪行為(日本国外でした行為であって、当該行為が日本国内

において行われたとしたならばこれらの罪に当たり、かつ、当

該行為地の法令により罪に当たるものを含む。)により生じ、若

しくは当該犯罪行為により得た財産又は当該犯罪行為の報酬と

して得た財産に関してこの法律の施行後にした行為に対しても、

適用する。この場合において、これらの財産は、組織的犯罪処

罰法第二条第二項第一号の犯罪収益とみなす。

第四条

犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処

するための刑法等の一部を改正する法律の施行の日がこの法律

の施行の日後である場合におけるこの法律の施行の日から犯罪

の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための

刑法等の一部を改正する法律の施行の日の前日までの間の組織

的犯罪処罰法第二条第二項第三号の規定の適用については、同

号中「第十一条第一項」とあるのは「第十八条第一項」と、「第

十四条第一項第七号」とあるのは「第二十一条第一項第十一号」

とする。

(政令への委任)

第五条

前三条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要

な経過措置は、政令で定める。

(平成五年旧実用新案法の一部改正)

第六条

平成五年旧実用新案法の一部を次のように改正する。

第六十条の二第一項中「三年」を「五年」に、「又は三百万円」

を「若しくは五百万円」に、「処する」を「処し、又はこれを併

科する」に改め、同条に次の一項を加える。

第一項の罪は、日本国外において同項の罪を犯した者にも

適用する。

第六十一条第一項第三号を同項第四号とし、同項第二号を同

項第三号とし、同項第一号中「又は前条第一項」を削り、同号

を同項第二号とし、同項に第一号として次の一号を加える。

前条第一項

一億五千万円以下の罰金刑

(不正競争防止法の一部を改正する法律の一部改正)

第七条

不正競争防止法の一部を改正する法律(平成十五年法律

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第四十六号)の一部を次のように改正する。

附則第二条中「第六条の三」を「第九条」に改める。

(裁判所法等の一部を改正する法律の一部改正)

第八条

裁判所法等の一部を改正する法律(平成十六年法律第百

二十号)の一部を次のように改正する。

附則第三条第四号中「第六条の四から第六条の六まで」を「第

十条から第十二条まで」に改める。

(民事訴訟費用等に関する法律の一部改正)

第九条

民事訴訟費用等に関する法律(昭和四十六年法律第四十

号)の一部を次のように改正する。

別表第一の一七の項ホ中「第六条の四第一項若しくは第六条

の五第一項」を「第十条第一項若しくは第十一条第一項」に改

める。

(商標法の一部を改正する法律の一部改正)

第十条

商標法の一部を改正する法律(平成三年法律第六十五号)

の一部を次のように改正する。

附則第十一条を次のように改める。

第十一条

削除

(商標法等の一部を改正する法律の一部改正)

第十一条

商標法等の一部を改正する法律(平成八年法律第六十

八号)の一部を次のように改正する。

附則第五条第三項中「、第十条第一項及び第十一条第一項」

を「及び第十条第一項」に改める。

(民事訴訟法の一部改正)

第十二条

民事訴訟法(平成八年法律第百九号)の一部を次のよ

うに改正する。

第九十二条第一項第二号中「第二条第四項」を「第二条第六

項」に改める。

(組織的犯罪処罰法の一部改正)

第十三条

組織的犯罪処罰法の一部を次のように改正する。

第二条第二項第三号ロを次のように改める。

不正競争防止法(平成五年法律第四十七号)第二十一

条第一項第十一号(外国公務員等に対する不正の利益の

供与等)の罪(同法第十八条第一項の違反行為に係るも

のに限る。)

別表第二第十九号を次のように改める。

十九

削除

(犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処する

ための刑法等の一部を改正する法律の一部改正)

第十四条

犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対

処するための刑法等の一部を改正する法律の一部を次のように

改正する。

附則第四条中「、別表第一第四号」を「又は別表第一第四号」

に改め、「又は別表第二第十九号」を削る。