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ISSN1346-7840 港湾空港技術研究所 資料 TECHNICAL NOTE OF THE PORT AND AIRPORT RESEARCH INSTITUTE March 2006 No. 1115 防衝工の信頼性設計法における部分係数の提案 米山 治男 高橋 宏直 後藤 文子 港湾空港技術研究所 独立行政法人 Independent Administrative Institution, Port and Airport Research Institute, Japan

港湾空港技術研究所 資料No. 1115 March 2006 防衝工の信頼性設計法における部分係数の提案 米山 治男 高橋 宏直 後藤 文子 独立行政法人港湾空港技術研究所

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ISSN1346-7840

港湾空港技術研究所資料

TECHNICAL NOTE

OF

THE PORT AND AIRPORT RESEARCH INSTITUTE

March 2006No. 1115

防衝工の信頼性設計法における部分係数の提案

米山 治男

高橋 宏直

後藤 文子

港湾空港技術研究所独立行政法人

Independent Administrative Institution,Port and Airport Research Institute, Japan

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目 次

要 旨 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 3

1.はじめに ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 4

2.信頼性設計法 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 4

2.1 信頼性設計法および性能照査 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 4

2.2 破壊確率および信頼性指標 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 5

2.3 信頼性指標の算定法 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 7

2.4 部分係数の算定式 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 10

3.防衝工設計法 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 10

3.1 防衝工設計法の動向 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 10

3.2 防衝工の性能照査の考え方 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 12

4.部分係数 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥13 4.1 検討の手順 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥13

4.2 船種の選定 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥13

4.3 パラメータの確率分布の設定 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥15

4.4 防衝工の規格値の設定 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥20

4.5 目標信頼性指標の算定 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥22

4.6 部分係数の算定 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥23

5.結論 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥25

6.おわりに ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥26

謝辞 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥26

参考文献 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥26

記号表 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥27

付録A 船種別の満載時の排水量(排水トン数)の回帰式および標準偏差 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥29

付録B 船種別の接岸速度の回帰式および標準偏差 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥31

付録C 船種別の仮想質量係数の回帰式および標準偏差 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥33

付録D 船種別の偏心係数の回帰式および標準偏差 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥35

付録E 船種別の防衝工の規格値の算定結果 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥37

付録F 船種別の部分係数の算定結果 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥40

付録G 船種別の部分係数の標準値 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥43

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Proposition of Partial Factors on Reliability-Based Design Method for Fenders

Haruo YONEYAMA* Hironao TAKAHASHI** Ayako GOTO***

Synopsis

In this study, we investigated the partial factors of the performance checking equation of fenders for each kind of ships in order to introduce the Level-1 reliability-based design method. To achieve the purpose, we considered the probability distributions of some parameters for the fender design: the mass of a ship (the displacement tonnage of a ship when fully loaded), the berthing velocity of a ship, the virtual mass factor and the eccentricity factor. And then we calculated the partial factors of the performance checking equation of fenders by applying the reliability analysis based on First-Order Reliability Method (FORM). As a result of this study, we proposed that the standard values of the partial factors are 1.01 to 1.41 for the mass of a ship, 1.90 to 2.07 for the berthing velocity of a ship, 1.00 to 1.03 for the virtual mass factor and 1.00 to 1.02 for the eccentricity factor.

Key Words: fender, reliability-based design method, partial factor, performance checking equation,

failure probability, reliability index

* Head, Offshore Structures Division, Geotechnical and Structural Engineering Department ** Head, Port Planning Division, Port and Harbor Department, National Institute for Land and Infrastructure Management *** Researcher, Port Planning Division, Port and Harbor Department, National Institute for Land and Infrastructure

Management 3-1-1 Nagase, Yokosuka, 239-0826 Japan Phone:+81-46-844-5060 Fax:+81-46-844-0255 e-mail:[email protected]

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防衝工の信頼性設計法における部分係数の提案

米山 治男* 高橋 宏直** 後藤 文子***

要 旨

本研究では,現行の防衝工の設計法にレベル1信頼性設計法を導入するために,船種に対応した防

衝工の性能照査式の部分係数について検討し,それらの標準値を提案することを目的とした.このと

き,防衝工の設計に関する各パラメータ(船舶の質量(満載時の排水量),船舶の接岸速度,仮想質

量係数,偏心係数)の確率分布を考慮して,1次信頼性理論(FORM: First-Order Reliability Method)

による信頼性解析を適用して防衝工の性能照査式の部分係数を算定した.部分係数の標準値は,船舶

の質量(満載時の排水量)に対しては 1.01~1.41,船舶の接岸速度に対しては 1.90~2.07,仮想質量

係数に対しては 1.00~1.03,また偏心係数に対しては 1.00~1.02 となった.

キーワード:防衝工,信頼性設計法,部分係数,性能照査式,破壊確率,信頼性指標

* 地盤・構造部海洋構造研究室長 ** 国土交通省国土技術政策総合研究所 港湾研究部港湾計画研究室長 *** 国土交通省国土技術政策総合研究所 港湾研究部港湾計画研究室研究員 〒239-0826 横須賀市長瀬3-1-1 独立行政法人港湾空港技術研究所 電話:046-844-5060 Fax:046-844-0255 e-mail:[email protected]

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1.はじめに

近年,土木・建築分野における構造物の設計体系が,

設計手法を規定する仕様規定型の現行基準から,設計さ

れる構造物の要求性能を規定する性能規定型の新基準へ

と大きく移行してきている.性能規定型の新基準では,

構造物の設計において照査すべき限界状態を明確にした

限界状態設計法の考え方を基本に,構造物の性能照査法

に確率統計理論に基づいて構造物の安全性評価を行う信

頼性設計法が取り入れられてきている.信頼性設計法の

中で最も簡易的な手法であるレベル1信頼性設計法(部分

係数法)は,今後の標準的な構造物の設計法として採用

すべき方向性が示されている(国土交通省,2002).この

ような背景の中で,「港湾の施設の技術上の基準・同解

説」(運輸省港湾局監修,1999)(以下,現行技術基準と

記す)の次期技術基準への改訂が進められており,信頼

性設計法が全面的に導入されることが考えられている

(長尾,2002).

これまで行われてきた防衝工の信頼性設計法に関する

検討としては,上田ら(2000),Ueda et al.(2002a,2002b),

平野(2002),長尾ら(2003),米山ら(2004)などの事

例がある.上田ら(2000),Ueda et al.(2002a,2002b)お

よび平野(2002)は,確率統計的手法を用いて船舶の接

岸エネルギーおよび防衝工の吸収エネルギーの算定式の

各パラメータの確率分布を推定し,モンテカルロシミュ

レーションにより防衝工の破壊確率を算定して,接岸エ

ネルギーに対する部分係数である異常接岸係数(Factor

for Abnormal Impact)を求めている.また,長尾ら(2003)

は,平野(2002)が推定した船舶の接岸エネルギーおよ

び防衝工の吸収エネルギーの算定式の各パラメータの確

率分布を用い,1次信頼性理論(FORM: First-Order

Reliability Method)を適用して,船舶の接岸エネルギーの

算定式を構成する各パラメータに対して部分係数を提案

している.一方,米山ら(2004)は,温度補正係数およ

び速度補正係数を用いた防衝工設計法が導入されつつあ

るという国際的動向(PIANC,2002;国際航路協会

(PIANC),2005)に基づいて,これらの補正係数を考慮

した防衝工の安全性評価を信頼性解析により行い,レベ

ル1信頼性設計法における部分係数を算定している.

本研究では,現行の防衝工の設計法にレベル1信頼性

設計法を導入するために,船種に対応した防衝工の性能

照査式(船舶の接岸エネルギーと防衝工の吸収エネルギ

ーの比較式)の部分係数について検討し,それらの標準

値を提案することを目的とする.このとき,防衝工の設

計に関する各パラメータ(船舶の質量(満載時の排水量),

船舶の接岸速度,仮想質量係数,偏心係数)の確率分布

を考慮して,1次信頼性理論(FORM)による信頼性解析

を適用して防衝工の性能照査式の部分係数を算定する.

本研究で採用した防衝工設計法における部分係数の算

定方法は,長尾ら(2003)が提案しているものである.

一方,高橋ら(2006)は,最新の船舶の諸元データ(Lloyd’s

Marine Intelligence Unite,2004;日本海運集会所,2004)

に基づいて,新たな船種の区分に対する船舶の排水量(排

水トン数)の回帰式を提示している.本研究は,基本的

に,高橋ら(2006)が提示している船種の区分および船

舶の排水量の回帰式を用いて,長尾ら(2003)が提案し

ている部分係数の算定方法に従って検討したものである.

2.信頼性設計法

2.1 信頼性設計法および性能照査

(1) 信頼性設計法の設計レベル

防衝工の信頼性設計法における部分係数を算定するた

めに,信頼性理論に基づいた信頼性設計法を適用してい

る.信頼性設計法には,レベル1,レベル2およびレベル3

の3つのレベルがあるが,これら3つのレベルの信頼性設

計法の特徴は以下のようになる(星谷ら,1986;トフ−ク

リステンセンら,1986).

a)レベル3信頼性設計法

構造物の破壊確率を算定する最も厳密な方法であり,

性能関数を構成する確率変数の確率密度関数が完全にわ

かっている場合に採用することができる.一般的には設

計された構造物の性能照査に用いられる.

b)レベル2信頼性設計法

構造物の信頼性指標を反復収束計算により算定する近

似的な方法であり,性能関数を構成する確率変数の確率

密度関数が不明な場合でも,それらの2次までのモーメン

ト(平均値,標準偏差)がわかっていれば採用すること

ができる.レベル3信頼性設計法よりも汎用性が高く,一

般的には設計された構造物の性能照査に用いられる.

c)レベル1信頼性設計法

抵抗係数および荷重係数のような部分係数を用いた性

能照査式により,構造物の設計や性能照査を行う準確率

論的な方法である.一般的に荷重強度係数設計法(星谷

ら,1986;Haldar et al.,2000)あるいは部分係数法を意

味し,限界状態設計法においてよく用いられる.レベル2

信頼性設計法はレベル1信頼性設計法と関連しており,前

者による信頼性指標の算定方法を応用することにより,

後者で用いられる部分係数を設定するのが合理的とされ

ている.

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表-1 信頼性設計法の性能照査式および基準パラメータ レベル 性能照査式 基準パラメータ レベル3 Pf ≤ PfT 破壊確率 レベル2 β ≥ βT 信頼性指標

レベル1 Rd ≥ Sd

⇔ γ RRk ≥ γ SSk 設計用値 部分係数

表-1は, 3つのレベルの信頼性設計法の性能照査式お

よび基準パラメータを示したものである(吉岡ら,2005).

最も高位に属するレベル3信頼性設計法は,構造物の破壊

確率 Pf が目標破壊確率 PfT を下回ることを確認して,構

造物の安全性を評価する方法である.また,レベル2信頼

性設計法は,構造物の信頼性指標 βが目標信頼指標 βT を

上回ることを確認して,構造物の安全性を評価する方法

である.破壊確率と信頼性指標の関係は,後に示すよう

に,破壊確率が小さいほど信頼性指標が大きくなるとい

う逆の関係にある.一方,レベル1信頼性設計法は最も平

易な方法であり,構造物の抵抗力の設計用値 Rd が荷重の

設計用値 Sd を上回ることを確認して,構造物の設計や性

能照査を行う方法である.この設計用値に関する関係式

Rd ≥ Sdは,構造物の抵抗力の特性値 Rkおよび部分係数

γ R ,荷重の特性値 Sk および部分係数 γ S を用いて,

γ RRk ≥ γ SSkとして表される.

(2) 性能関数

構造物の性能関数とは,構造物の破壊の発生を検討す

る上で導入された破壊確率を計算するための基準となる

関数のことである.最も基本的な性能関数として,次式

がある.

Z = R − S (1)

ここに,

Z:性能関数

R:抵抗力

S:荷重

である.

性能関数 Zが負のとき構造物が破壊されると定義され

ることから,性能関数の確率密度関数を Z ≤ 0について積

分することにより,構造物の破壊確率が求められる.ま

た,Z = 0とした式は,構造物が破壊するかしないかの限

界状態を表す限界状態方程式となる.一般的に,性能関

数を構成する抵抗力および荷重の確率変数は相関をもた

ない(すなわち独立)と仮定される.

(3) 性能照査式

レベル1信頼性設計法における構造物の安全性の性能

照査式は,一般的には,次式として表される(星谷ら,

1986;白石ら,1987;Haldar et al.,2000).この式におい

て,記号 γ はその添え字に関する部分係数であり,添字 kおよび d はそれぞれ特性値および設計用値を示す.

Rd = γ RRk ≥ γ g γ SiSiki=1

n

∑ = γ g Sidi=1

n

∑ (2)

ここに,

Rd :構造物の抵抗力の設計用値

Rk:構造物の抵抗力の特性値

γ R:抵抗力に対する部分係数 γ g:構造物係数

γ Si:荷重 Siに対する部分係数

Sik: i番目の荷重の特性値

Sid: i番目の荷重の設計用値

n:荷重の数

である.

例えば,性能関数を Z = R − Sとすると,構造物の安全

性の性能照査式は,次式のように表される.

Rd ≥ Sd ⇔ γ RRk ≥ γ SSk (3)

ここに,

Rd :構造物の抵抗力の設計用値

Sd :荷重の設計用値

Rk:構造物の抵抗力の特性値

Sk:荷重の特性値

γ R:抵抗力に対する部分係数

γ S:荷重に対する部分係数

である.

ここでは,構造物の重要度や限界状態に達した場合の

社会的影響度などを考えた全体的な部分係数である構造

物係数の値は1.0としている.

2.2 破壊確率および信頼性指標

(1) 破壊確率

一般的な性能関数を n個の確率変数 Xi( i = 1,2, ,n )

で次式のように表す.

Z = g(X1, X2 , , Xn ) ≤ 0 (4)

ここに,

g(X1, X2 , , Xn ): n個の確率変数で構成される性能関数

である.

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このとき,破壊確率は,確率変数の同時確率密度関数

を用いて次式のようになる.

Pf =

Z≤0∫∫ fX1 ,X2 , ,Xn (x1, x2 , , xn )∫ dx1dx2 dxn (5)

ここに, Pf :破壊確率

fX1 ,X2 , ,Xn (x1, x2 , , xn ):確率変数 n個の同時確率密度

関数

である.

同時確率密度関数において,各々の確率変数が互いに

独立であるとすれば,式(5)は次式となる.

Pf =

Z≤0∫∫ fX1 (x1 )∫ fX2 (x2) fXn (xn )dx1dx2 dxn (6)

ここに, fXi (xi ):確率変数 Xi( i = 1,2, ,n )の確率密度関数

である.

ここで,性能関数が先に示した Z = R − Sであると仮定

する.抵抗力 Rおよび荷重 Sの確率密度関数を用いると,

抵抗力と荷重は互いに独立であるとして,破壊確率は次

式のようになる.

Pf = P(R − S ≤ 0) = fR ,SZ≤0∫∫ (r,s)drds

= fRZ≤0∫∫ (r) fS (s)drds (7)

ここに,

r:抵抗力の変数

s:荷重の変数 fR ,S (r,s):抵抗力および荷重の同時確率密度関数

fR (r):抵抗力の確率密度関数

fS (s):荷重の確率密度関数

である.

図-1は,荷重および抵抗力の確率密度関数と破壊確率

の関係を表している.荷重の確率密度関数と抵抗力の確

率密度関数がオーバーラップしている部分が構造物の破

壊領域となり,この部分を基に構造物の破壊確率が算定

される.

荷重 S抵抗力 R

荷重 S

抵抗力 R

確率密度関数 p

構造物の破壊領域

図-1 確率密度関数と破壊確率の関係

また,性能関数の確率密度関数 fZ (z)を用いて,上式は

次式のように変形できる.

Pf = fZ−∞

0∫ (z)dz (8)

ここに,

z:性能関数の変数

fZ (z):性能関数の確率密度関数

である.

一般的に上式は解析的に計算できないため,性能関数

の確率密度関数の数値積分やモンテカルロシミュレーシ

ョン(星谷ら,1986)によって数値的に破壊確率を計算

する必要がある.

(2) 信頼性指標

信頼性指標とは,構造物の安全性・信頼性を評価する

ための尺度であり,性能関数の平均値および標準偏差を

用いて簡便に構造物の安全性・信頼性を評価しようとい

うものである.厳密に言えば,構造物の破壊確率を算定

することによって構造物の安全性・信頼性を評価するの

が最も良いと考えられるが,確率変数が簡単な確率密度

関数で表せない場合が一般的であることから,現実的に

は破壊確率を計算することは容易ではない.これに対し,

性能関数の平均値および標準偏差から算定できる信頼性

指標を用いれば,構造物の破壊確率を算定する場合と比

較して,より簡単に構造物の安全性・信頼性を評価する

ことが可能になる.

性能関数の平均値および標準偏差をそれぞれ µZおよ

びσ Zとすると,信頼性指標は次式で表される.

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β =µZ

σ Z (9)

ここに,

µZ:性能関数の平均値

σ Z:性能関数の標準偏差

β:信頼性指標

である.

(3) 破壊確率と信頼性指標の関係

図-2は,性能関数の確率密度関数と破壊確率および信

頼性指標の関係を示したものである.性能関数の確率密

度関数の Z ≤ 0の部分を積分したものが,構造物の破壊確

率となる.また,信頼性指標は,性能関数の確率密度関

数の平均値が Z = 0の位置からどの程度(標準偏差の何倍

まで)離れているかを示す尺度であり,安全性の余裕を

表す.この図から,構造物の破壊確率と信頼性指標とは,

性能関数の確率分布によって一意的に関係づけられるこ

とがわかる.

βσ Z

Pf = P(Z ≤ 0)

Z ≤ 0 Z > 0

0

p

破壊領域

安全領域

µZ Z

図-2 性能関数の確率密度関数と破壊確率

および信頼性指標の関係

ここで,性能関数が Z = R − Sで表され,抵抗力 Rおよ

び荷重 Sが互いに独立で共に正規分布に従う場合を考え

る.この場合には,性能関数も正規分布に従うことから,

破壊確率は次式により簡単に求めることができる.

Pf = Φ −β( )= Φ −µZ

σ Z

⎝ ⎜

⎠ ⎟ = Φ −

µR − µS

σ R2 +σ S

2

⎝ ⎜ ⎜

⎠ ⎟ ⎟ (10)

ここに,

Φ( ⋅ ):標準正規確率分布関数

µR:抵抗力 Rの平均値

σ R:抵抗力 Rの標準偏差

µS:荷重 Sの平均値

σ S:荷重 Sの標準偏差

である.

すなわち,性能関数が線形関数で各々の確率変数が正

規分布に従う場合には,構造物の破壊確率と信頼性指標

の間には次式のような正確な対応関係がある(トフ−クリ

ステンセンら,1986;長,1993).

Pf = Φ(−β) ⇔ β = −Φ−1 (Pf ) (11)

この場合には,破壊確率と信頼性指標は標準正規確率

分布関数によって関係づけられているので,構造物の信

頼性指標から破壊確率を算定することは(またその逆も)

容易である.一方で,構造物の破壊確率と信頼性指標と

の間には,各々の確率変数がどのような確率分布であっ

ても,次式の近似的な関係が成り立つことが分かってい

る(長,1993).

Pf ≈ Φ(−β) ⇔ β ≈ −Φ−1 (Pf ) (12)

ただし,信頼性指標の値が大きくなるような構造物の

破壊確率が非常に小さい場合には,上の左側の関係式

Pf ≈ Φ(−β)は成立するとは限らない.しかしながら,こ

のような場合でも上の右側の関係式 β ≈ −Φ−1 (Pf )は成立

すると言われている(長,1993).

2.3 信頼性指標の算定法

(1) 1次信頼性理論(FORM)

1次信頼性理論(FORM: First-Order Reliability Method)

による信頼性解析として,レベル2信頼性設計法による信

頼性指標の算定法について説明する.レベル2信頼性設計

法には,大きく分けて1次近似2次モーメント法(FOSM法:

First-Order Second-Moment method),改良1次近似2次モー

メント法(AFOSM法: Advanced First-Order Second-Moment

method ), 1 次 ガ ウ ス 近 似 法 ( First-Order Gaussian

Approximation method)の3種類の手法がある.本研究では,

最も正確な手法である1次ガウス近似法(トフ−クリステ

ンセンら,1986;星谷ら,1986;伊藤ら,1988;長,1993;

Haldar et al.,2000)を採用する.1次ガウス近似法は,改

良1次近似2次モーメント法の一種であり,非正規確率変

数を正規確率変数で正規化近似することにより,性能関

数を構成する確率変数が非正規確率変数を含んでいる場

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合も対象とすることができる.

信頼性指標は,確率論的には,性能関数の平均値およ

び標準偏差から定義される.一方,幾何学的には,性能

関数を構成する確率変数を標準正規化することにより性

能関数を標準化空間に写像変換すると,信頼性指標は,

標準化空間における原点と性能関数で表される破壊曲面

との最短距離になる.このとき,信頼性指標を決定する

破壊曲面上の点が設計点である.標準化空間における性

能関数,信頼性指標および設計点の関係を示すと,図-3

のようになる.

1次ガウス近似法による信頼性指標の算定においては,

性能関数の定義式,確率変数の確率密度関数および確率

分布関数が既知であることが前提となる.ここでは,最

も一般的な性能関数が非線形関数で各々の確率変数が非

正規分布に従う場合を考える.この場合,信頼性指標は

反復法による収束計算によって求められる.

β

破壊領域

安全領域

g( ′ X ) = 0

′ X 2

′ X 1

g( ′ X ) = ( ′ X ii=1

2

∑ − ′ x i*) ∂g

∂ ′ X i

⎝ ⎜ ⎜

⎠ ⎟ ⎟

′ X i = ′ x i*

限界状態方程式

テーラー展開1次近似

信頼性指標

設計点

′ x *

図-3 標準化空間における性能関数,信頼性指標

および設計点の関係

(2) 信頼性指標の算定手順

1次ガウス近似法では,以下の手順で信頼性指標を算定

する(伊藤ら,1988;Haldar et al.,2000).

1)設計点の初期値の仮定

設計点の初期値を確率変数の平均値等の値として仮定

する.

2)設計点における非正規確率変数の正規化

確率変数のうち正規確率変数以外のものは,設計点に

おける確率密度関数の値および確率分布関数の値が各々

等しくなるような正規確率変数で正規化近似する.

性 能 関 数 を Z = g(X1, X2 , , Xn ) , 設 計 点 を

x* = (x1* , x2

* , , xn* ),正規化近似後の正規確率分布(以下,

近似正規分布と記す)の平均値および標準偏差を µXiN およ

びσ XiN とする.図-4を参照して,設計点において,元の確

率分布関数の値と正規確率分布関数の値および元の確率

密度関数の値と正規確率密度関数の値が等しいとすると,

式(13)および式(14)のように表すことができる(星谷ら,

1986;長,1993).

PXi (xi* ) = Φ

xi* − µXi

N

σ XiN

⎝ ⎜ ⎜

⎠ ⎟ ⎟ (i = 1,2, ,n) (13)

pXi (xi* ) =

1σ Xi

xi* − µXi

N

σ XiN

⎝ ⎜ ⎜

⎠ ⎟ ⎟ (i = 1,2, ,n) (14)

ここに,

Xi:確率変数( i = 1,2, ,n )

x*:確率変数空間上の設計点

xi*:確率変数 Xiに対する設計点

p, P φ, Φ

Φ( ′ x i)Φ( ′ x i

*)

φ( ′ x i*) φ( ′ x i)

′ x i* ′ x ix ix i

*

PN (xi )

p N (xi )

PXi(xi)

pXi(xi)

PXi(xi

*)

pXi(xi

* )

図-4 設計点における非正規確率変数の正規化

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PXi ( ⋅ ):確率変数 Xiの元の確率分布関数

pXi ( ⋅ ):確率変数 Xiの元の確率密度関数

Φ( ⋅ ):標準正規確率分布関数

φ ( ⋅ ):標準正規確率密度関数

µXiN :確率変数 Xiの元の確率分布に対応する近似

正規分布の平均値 σ Xi

N :確率変数 Xiの元の確率分布に対応する近似

正規分布の標準偏差

である. これらの式を,µXi

N およびσ XiN について解くと次式のよ

うになる.

µXi

N = xi* − Φ−1 (PXi (xi

* )) ⋅σ XiN (i = 1,2, ,n) (15)

σ XiN =

φ (Φ−1 (PXi (xi* )))

pXi (xi* )

(i = 1,2, ,n) (16)

この変換により,設計点の近傍において,元の(非正

規)確率分布は近似的に正規確率分布(近似正規確率分

布)とみなされる.一般的には,設計点は,各々の確率

変数が従う確率密度関数の裾野の部分に位置することか

ら,このような近似方法は正規裾野近似とも呼ばれてい

る(長,1993).

3)確率変数の標準正規化

性能関数を構成する確率変数を標準正規化することに

より,性能関数を標準正規確率変数で構成される標準化

空間上に写像変換する.

確率変数の標準正規化は,次式として表される.

′ X i =Xi − µXi

N

σ XiN

(i = 1,2, ,n) (17)

ここに,

′ X i:標準化空間上の標準化変数( i = 1,2, ,n )

Xi:確率変数空間上の確率変数( i = 1,2, ,n )

である.

よって,性能関数は次式となる.

Z = g(X1, X2 , , Xn )

= g(µX1N + ′ X 1σ X1

N ,µX2N + ′ X 2σ X2

N , ,µXnN + ′ X nσ Xn

N ) (18)

4)設計点における性能関数の線形化

構造物の破壊が最も生じやすい性能関数上の設計点ま

わりで,性能関数をテーラー展開することにより線形化

近似する.

性能関数を設計点においてテーラー展開したとき,2次

以上の高次項を切り捨てた1次近似とすると,次式となる.

Z = g(X1 , X2 , , Xn ) ≈ ( ′ X i

i=1

n

∑ − ′ x i* ) ∂g∂ ′ X i

⎝ ⎜

⎠ ⎟

′ X i= ′ x i*

(19)

ここに,

′ x * :標準化空間上の設計点,

ただし, ′ x * = ( ′ x 1* , ′ x 2* , , ′ x n* )である.

′ x i* :標準化空間上の標準化変数 ′ X iに対する設計点

である.

図-3を参照すると,この式は破壊曲面の設計点におけ

る接平面を表すことがわかる.すなわち,性能関数は,

標準正規確率変数から構成される線形1次式として近似

される.このとき,性能関数の平均値および標準偏差は,

µZ = − ′ x i*∂g∂ ′ X i

⎝ ⎜

⎠ ⎟

′ X i= ′ x i*i=1

n

∑ (20)

σ Z =∂g∂ ′ X i

⎝ ⎜

⎠ ⎟

′ X i= ′ x i*

2

i=1

n

∑ (21)

となる.

5)信頼性指標および新たな設計点の算定

未知数とする信頼性指標および原点と設計点を結ぶ単

位ベクトルの方向余弦によって設計点を定義し,性能関

数に代入して信頼性指標について解くことにより,信頼

性指標を算定する.得られた信頼性指標から新たな設計

点を算定する.

標準化空間において,信頼性指標は,性能関数で表さ

れる破壊曲面までの原点からの最短距離,すなわち設計

点と原点の距離になる.従って,標準化空間における設

計点は,信頼性指標 βおよび原点と設計点を結ぶ単位ベ

クトルの方向余弦α i*を用いて,

′ x i* = −α i*β (i = 1,2, ,n) (22)

と表すことができる.

ここに,

α i*:標準化空間における i番目の軸に対する原点と

設計点を結ぶ単位ベクトルの方向余弦

β:信頼性指標

である.

この原点と設計点を結ぶ単位ベクトルの方向余弦α i*を

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一般に感度係数と呼んでいる.

一方,信頼性指標は,性能関数の平均値および標準偏

差を用いると次式のようになる.

β =µZ

σ Z=

− ′ x i*∂g∂ ′ X i

⎝ ⎜

⎠ ⎟

′ X i= ′ x i*i=1

n

∂g∂ ′ X i

⎝ ⎜

⎠ ⎟

′ X i= ′ x i*

2

i=1

n

∑ (23)

従って,上式の関係および原点と設計点を結ぶ単位ベ

クトルの長さが1であることから,感度係数は,

α i* =

∂g∂ ′ X i

⎝ ⎜

⎠ ⎟

′ X i= ′ x i*

∂g∂ ′ X i

⎝ ⎜

⎠ ⎟

′ X i= ′ x i*

2

i=1

n

∑ (24)

となる.よって,元の確率変数空間における設計点は,

xi

* = µXiN +σ Xi

N ⋅ ′ x i* = µXiN −α i

*βσ XiN (i = 1,2, ,n) (25)

として表される.

この設計点を限界状態方程式 Z = g(x1* , x2

* , , xn* ) = 0

へ代入し,未知数である信頼性指標 βについて解き,信

頼性指標を算定する.また,得られた信頼性指標から新

たな設計点を求める.

6)反復法による収束計算

新たに算定された設計点を用いて,信頼性指標の値が

収束するまで,2)~5)の手順を繰り返し実行する.収束計

算の後,最終的に信頼性指標および設計点が求められる.

なお,より一般的には,相関をもつ確率変数を相関を

もたない確率変数へ変数変換する必要がある.

2.4 部分係数の算定式

(1) 概要

一般的には,1次ガウス近似法による信頼性指標の算定

法の逆問題として,部分係数を算定することができる(星

谷ら,1986).部分係数は,信頼性設計法の一つである部

分係数法により,目標とする安全性を有する構造物を性

能照査式に従って簡便に設計するために用いるものであ

る.構造物の設計においては,性能照査式が式(3)のよう

に荷重と構造物の抵抗力によって表現されるとすると,

構造物の建設地点における荷重の確率統計的特性は既知

であるから,この荷重に対して目標信頼性指標を満足す

るような抵抗力を有する構造物を設計することになる.

このことから,荷重の確率分布を既知として,目標信頼

性指標を満足するような構造物の抵抗力の確率分布を求

めることで,部分係数を算定することができる.例えば,

抵抗力の確率統計的特性のうち平均値を未知数として,

目標信頼性指標に対応する性能関数上の設計点を反復収

束計算により算定し,その設計点の値と確率変数の特性

値との比から部分安全係数を求める方法がある(トフ−ク

リステンセンら,1986;星谷ら,1986;伊藤ら,1988).

(2) 部分係数の算定式

部分係数は,目標信頼性指標に対応する性能関数上の

設計点の値と確率変数の特性値との比によって,一般に

次式のように定義される(トフ−クリステンセンら,

1986;伊藤ら,1988).

γ Xi =xi

*

˜ x i=

µXiN −σ Xi

N ⋅α i* βT

˜ x i (i = 1,2, ,n) (26)

ここに, γ Xi :確率変数 Xi( i = 1,2, ,n )に対する部分係数

˜ x i :確率変数 Xiの特性値

xi*:元の確率変数空間における確率変数 Xiに対する

設計点 µXi

N およびσ XiN :確率変数 Xiに対する近似正規分布の

平均値および標準偏差

α i*:確率変数 Xiに対する感度係数

βT :目標信頼性指標

である.

3.防衝工設計法

3.1 防衝工設計法の動向

(1) 従来の設計手法

従来の防衝工の設計手法では,船舶の接岸エネルギー

の算定式を用いて,接岸エネルギーの計算値が防衝工の

吸収エネルギーの推定値よりも小さいことを確認し,防

衝工を選定する.防衝工の各メーカーが発行しているカ

タログには,防衝工の性能に関して,規定の試験方法に

より求められた吸収エネルギーや反力などの特性が記載

されている.防衝工の吸収エネルギーの推定値は,カタ

ログに記載されている吸収エネルギーの性能値に防衝工

の製造上の誤差(性能公差)を考慮して求められる.船

舶の接岸エネルギーは,船舶の質量,船舶の接岸速度,

仮想質量係数,偏心係数,柔軟性係数,バースの形状係

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数を用いて,次式により算出することができる.

E f =12

MVb2CmCeCsCc (27)

ここに, E f :船舶の設計接岸エネルギー(kNm)

M :船舶の質量(t)

Vb:船舶の接岸速度(m/s)

Cm:仮想質量係数

Ce :偏心係数

Cs:柔軟性係数

Cc :バースの形状係数

である.

なお,柔軟性係数Csおよびバースの形状係数Cc は,1.0

とすることが一般的である.

(2) 防衝工の種類

防衝設備として用いる防衝工は,ゴム防舷材,空気式

防舷材が一般的である.防舷材の反力特性は,定反力型

と反力漸増型に分けられ,ゴム防舷材および空気式防舷

材はそれぞれ定反力型および反力漸増型の特性を有して

いる.また,防舷材の素材について見ると,我が国では,

通常,天然ゴムを素材とするゴム防舷材が使用されてい

る.一方,海外では,これに加えて合成ゴムを素材とす

るゴム防舷材についても製造され,一般的に使用されて

いる.

(3) 防衝工の性能の変化

防衝工として一般的に用いられるゴム防舷材には,使

用環境条件によって以下のような性能の変化があること

が知られている(運輸省港湾局監修,1999).

(a)動的荷重時の圧縮特性の変化

(b)繰り返し荷重時の圧縮特性の変化

(c)傾斜荷重時の圧縮特性の変化

(d)温度変化時の圧縮特性の変化

(e)経年変化後の圧縮特性の変化

(f)クリープ後の圧縮特性の変化

船舶係留用の防衝工に関しては,温度の影響あるいは

船舶の接岸速度の影響については,一般的には考慮され

てきていない.これは,我が国で使用されている天然ゴ

ムの防舷材は,通常の温度の条件あるいは接岸速度の条

件では性能特性の変動幅が比較的小さいため,特にこれ

らの影響を考慮する必要がないからである.一方,海外

で使用されている合成ゴムの防舷材は,温度変化の影響

および船舶の接岸速度の影響を大きく受けるため,これ

らの温度依存性および速度依存性の影響を考慮する必要

があると指摘されている.

(4) PIANC(国際航路協会)による新しい防衝工設計法

の提案

PIANC(国際航路協会)は,船舶の係留施設における

接岸用防衝工の設計法および防衝工の性能試験に関する

国際標準を作成した(PIANC,2002;国際航路協会

(PIANC),2005).このガイドラインの中には,防衝工

について,統一的な性能試験法,性能の表示法,船舶の

接岸速度および温度などの使用環境条件に対する性能の

変化を考慮した設計法などが提案されている.

防衝工の性能試験で得られた性能特性については,防

衝工のメーカーのカタログに記載されることになる.防

衝工の性能特性の温度依存性および速度依存性は,それ

ぞれ温度補正係数(Temperature Factor)および速度補正係

数(Velocity Factor)として示される.防衝工を設計する

場合には,これらの補正係数を考慮して吸収エネルギー

を算定する.

防衝工の設計法については,限界状態設計法に基づく

荷重係数設計法が導入されている.この設計法では,荷

重係数として異常接岸係数(Factor for Abnormal Impact)

を用いて,船舶の接岸エネルギー算定式による計算値に

この係数を乗じた値を設計接岸エネルギーとする.異常

接岸(Abnormal Impact)とは,通常の接岸(Normal Impact)

に対する概念であり,限界状態設計法の考え方に基づい

て終局限界状態として船舶の極限状態の接岸を考えたも

のである.異常接岸係数の数値としては,船舶の種類に

もよるが,1.25~2.0が提案されている.なお,船舶の接

岸エネルギーの算定式およびそのパラメータについては

従来の方法と同様である.また,防衝工の吸収エネルギ

ーは,カタログから防衝工の性能特性を読み取り,性能

公差,温度補正係数および速度補正係数を考慮して算定

する.最終的に,設計接岸エネルギーが防衝工の吸収エ

ネルギーの算定値よりも小さいことを確認し,防衝工を

選定する.

PIANCの提案による防衝工の設計法では,次式を用い

ることになる.

ES = φEcatRT RV ≥ γ f E f (28)

ここに,

ES :防衝工の吸収エネルギー(kNm)

Ecat:防衝工の吸収エネルギーの規格値(kNm)

φ :防衝工の製造上の誤差(性能公差)(通常φ =0.9)

RT :温度補正係数

RV :速度補正係数

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E f :船舶の接岸エネルギーの設計値(kNm)

γ f :異常接岸係数

である.

式(28)は性能照査式を表し,異常接岸係数を考慮した船

舶の設計接岸エネルギーが防衝工の吸収エネルギーの算

定値よりも小さいことにより,防衝工の性能を照査する.

3.2 防衝工の性能照査の考え方

レベル1信頼性設計法による防衝工の性能照査の考え

方について説明する.防衝工の信頼性設計法における性

能関数は,PIANCの提案による防衝工の吸収エネルギー

の算定式と船舶の接岸エネルギーの算定式を組み合わせ

て,次式のように表される.

Z = φEcatRT RV −12

MVb2CmCe (29)

ここに,

Z:性能関数

Ecat:防衝工の吸収エネルギーの規格値(kNm)

φ :防衝工の製造上の誤差(性能公差)(通常φ =0.9)

RT :温度補正係数

RV :速度補正係数

M :船舶の質量(t)

Vb:船舶の接岸速度(m/s)

Cm:仮想質量係数

Ce :偏心係数

である.

ここでは,柔軟性係数Csおよびバースの形状係数Cc は,

1.0としている.

レベル1信頼性設計法における防衝工の性能照査式は,

次式として表される.この式において,添字 d は設計用

値を示している.

φEcatRT RV ≥12

M dVbd2 CmdCed (30)

ここに,

M d:船舶の質量の設計用値(t)

Vbd:船舶の接岸速度の設計用値(m/s)

Cmd :仮想質量係数の設計用値

Ced :偏心係数の設計用値

である.

船舶の接岸エネルギーを算定するための各パラメータ

の設計用値は,部分係数および特性値を用いて以下のよ

うに定義される.これらの式において,記号 γ はその添え

字に関する部分係数であり,添字 kおよび d はそれぞれ特

性値および設計用値を示す.

M d = DTd = γ DT DTk (31)

Vbd = γVbVbk (32)

Cmd = γCmCmk (33)

Ced = γCeCek (34)

ここに,

DT :船舶の満載時の排水量(排水トン数)(t)

DTd :船舶の満載時の排水量の設計用値(t)

DTk:船舶の満載時の排水量の特性値(t)

Vbk:船舶の接岸速度の特性値(m/s)

Cmk:仮想質量係数の特性値

Cek:偏心係数の特性値

γ DT :船舶の満載時の排水量に対する部分係数

γVb :船舶の接岸速度に対する部分係数

γCm:仮想質量係数に対する部分係数

γCe:偏心係数に対する部分係数

である.

防衝工の性能照査式では,防衝工の吸収エネルギーを

構成する各パラメータ(防衝工の性能公差φ ,速度補正係

数 RT ,温度補正係数 RV )を確定値としている.これらの

パラメータについては,多数の一般的な防衝工を対象と

した特性に関する統計データが十分蓄積されていないた

め,その確率分布を推定することができず,部分係数を

用いないこととした.また,防衝工の吸収エネルギーの

規格値 Ecat,温度補正係数 RT ,速度補正係数 RV は,メー

カーによる性能試験および評価によって求められ,カタ

ログに記載された数値を用いる必要があるが,現状では,

温度補正係数 RT および速度補正係数 RV のデータは提示

されていない.そこで,現在のところ,式(30)を用いた防

衝工の性能照査においては,防衝工の性能公差φ を下限値

の0.9,速度補正係数 RT および温度補正係数 RV を1.0とし

てよいものとする.これらのことを考慮して,式(30)を改

めて書き直すと,次式のようになる.

Ecat ≥12

M dVbd2 CmdCed 0.9 (35)

本研究では,レベル1信頼性設計法における防衝工の性

能照査式として,式(35)を採用している.

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4.部分係数

4.1 検討の手順

本研究では,以下の検討手順により,防衝工の性能照

査式の部分係数を算定する.ここでは,検討内容につい

て項目ごとに簡略に述べる.

1)船種の選定

高橋ら(2006)が提示している船種の区分に基づいて,

船種を選定する.

2)パラメータの確率分布の設定

防衝工の性能照査式における各パラメータ(船舶の質

量(満載時の排水量),船舶の接岸速度,仮想質量係数,

偏心係数)の確率的変動特性を,船種ごとの載荷重量ト

ン数(DWT)または総トン数(GT)に対する適切な確率

分布を有する回帰式として設定する.

3)防衝工の規格値の設定

防衝工の性能関数を対象とした1次信頼性理論

(FORM)による信頼性解析において,防衝工の規格値を

初期値からパラメトリックに変化させることにより,目

標破壊確率0.01を満足する防衝工の規格値および感度係

数の値を船種・船型ごとに算定する.信頼性解析では,

1次信頼性理論(FORM)によって対象構造物の信頼性指

標および破壊確率を求めることができる信頼性解析プロ

グラムを用いている.

4)目標信頼性指標の算定

船種・船型ごとに感度係数の値を固定して,目標信頼

性指標の値を初期値からパラメトリックに変化させてレ

ベル1信頼性設計法による防衝工の試設計を実施し,防

衝工の設計値が設定した防衝工の規格値と最も近くなる

場合を目標信頼性指標の最適値とする.

5)部分係数の算定

最終的に,各パラメータの確率分布および目標信頼性

指標の最適値を用いて,船種・船型ごとに防衝工の性能

照査式の部分係数の値を算定する.

4.2 船種の選定

対象とする船種およびトン数(載荷重量トン数(DWT)

または総トン数(GT))は,高橋ら(2006)が提示してい

る船種の区分に基づいて,表-2のように10種類の船種を

設定する.10種類の船種は,貨物船,コンテナ船,タン

カー,ロールオン・ロールオフ(RORO)船,自動車専用

(PCC)船,LPG船,LNG船,旅客船,中短距離フェリー

(航海距離300km未満),長距離フェリー(航海距離300km

以上)である.以下の論文中では,ロールオン・ロール

オフ船をRORO船,自動車専用船をPCC船と略記する.

また,表-3(1)~(10)に船種別の船型および主要諸元の

一覧を示す.総トン数(GT)は,国際総トン数を基本と

しているが,国内総トン数を用いている場合にはその旨

を表の下に記している.これらの表で示している主要諸

元は,全長,垂線間長,型幅,満載喫水であり,現存す

る船舶の諸元データを用いた統計解析により,主にそれ

ぞれの段階的なトン数における全体のカバー率75%値と

して設定されたものである.ここで,船舶全体のカバー

率とは船舶の信頼度を意味しており,ある値以下の諸元

を有する船舶数の船舶総数に対する割合を確率統計的に

求めたものである.例えば,船舶全体のカバー率75%と

は,船舶総数に対して75%の船舶がそのカバー率に対応

する値以下の諸元を有していることになる.表-2および

表-3(1)~(10)から,船種10種類に対して船種別の船型数

を考慮した全体の検討ケースは,合計79ケースとなる.

表-2 対象とする船種およびトン数の範囲

船種 トン数の設定 単位

貨物船 1,000~150,000 DWT コンテナ船 10,000~100,000 DWT タンカー 1,000~300,000 DWT RORO船 3,000~60,000 GT PCC船 3,000~60,000 GT LPG船 3,000~60,000 GT LNG船 20,000~100,000 GT 旅客船 3,000~100,000 GT 中短距離フェリー 400~13,000 GT 長距離フェリー 6,000~20,000 GT

表-3(1) 貨物船の船型および主要諸元 載荷重量 トン数

DWT (トン)

全長

Loa (m)

垂線 間長

Lpp (m)

型幅

B (m)

満載

喫水d (m)

1,000 2,000 3,000 5,000 10,000 12,000 18,000 30,000 40,000 55,000 70,000 90,000 120,000 150,000

67 82 92

107 132 139 156 182 198 217 233 251 274 292

61 75 85 99

123 130 147 171 187 206 222 239 261 279

10.7 13.1 14.7 17.0 20.7 21.8 24.4 28.3 30.7 32.3 32.3 38.7 42.0 44.7

3.8 4.8 5.5 6.4 8.1 8.6 9.8

10.5 11.5 12.8 13.8 15.0 16.5 17.7

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表-3(2) コンテナ船の船型および主要諸元 載荷重量 トン数

DWT (トン)

全長

Loa (m)

垂線 間長

Lpp (m)

型幅

B (m)

満載

喫水d (m)

10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 100,000

139 177 203 241 274 294 350

129 165 191 226 258 279 335

22.0 27.1 30.6 32.3 32.3 35.9 42.8

7.9 9.9

11.2 12.1 12.7 13.4 14.7

表-3(3) タンカーの船型および主要諸元 載荷重量 トン数

DWT (トン)

全長

Loa (m)

垂線 間長

Lpp (m)

型幅

B (m)

満載

喫水d (m)

1,000 2,000 3,000 5,000 10,000 15,000 20,000 30,000 50,000 70,000 90,000 100,000 150,000 300,000

63 77 86

100 139 154 166 184 209 228 243 250 277 334

57 72 82 97

131 146 157 175 199 217 232 238 265 321

11.0 13.2 14.7 16.7 20.6 23.4 25.6 29.1 34.3 38.1 41.3 42.7 48.6 59.4

4.0 4.9 5.5 6.4 7.6 8.6 9.3

10.4 12.0 12.9 14.2 14.8 17.2 22.4

表-3(4) RORO船の船型および主要諸元 総トン数

GT (トン)

全長

Loa (m)

垂線 間長

Lpp (m)

型幅

B (m)

満載

喫水d (m)

3,000 5,000 10,000 20,000 40,000 60,000

120 140 172 189 194 208

110 130 162 174 174 189

18.9 21.4 25.3 28.0 32.3 32.3

5.8 6.5 7.7 8.7 9.7 9.7

(3,000,5,000,10,000GT:国内総トン数)

表-3(5) PCC船の船型および主要諸元 総トン数

GT (トン)

全長

Loa (m)

垂線 間長

Lpp (m)

型幅

B (m)

満載

喫水d (m)

3,000 5,000 12,000 20,000 30,000 40,000 60,000

112 130 135 158 179 185 203

103 119 123 150 175 175 194

18.2 20.6 21.8 24.4 26.7 31.9 32.3

5.5 6.2 6.8 7.9 8.8 9.3 10.4

(3,000,5,000GT:国内総トン数)

表-3(6) LPG船の船型および主要諸元 総トン数

GT (トン)

全長

Loa (m)

垂線 間長

Lpp (m)

型幅

B (m)

満載

喫水d (m)

3,000 5,000 10,000 20,000 30,000 40,000 60,000

98 116 144 179 204 223 240

92 109 136 170 193 212 228

16.1 18.6 22.7 27.7 31.1 33.8 36.0

6.3 7.3 8.9 10.8 12.1 13.1 14.0

表-3(7) LNG船の船型および主要諸元 総トン数

GT (トン)

全長

Loa (m)

垂線 間長

Lpp (m)

型幅

B (m)

満載

喫水d (m)

20,000 30,000 50,000 80,000 100,000

174 199 235 274 294

164 188 223 260 281

27.8 31.4 36.7 42.4 45.4

8.4 9.2 10.4 11.5 12.1

表-3(8) 旅客船の船型および主要諸元 総トン数

GT (トン)

全長

Loa (m)

垂線 間長

Lpp (m)

型幅

B (m)

満載

喫水d (m)

3,000 5,000 10,000 20,000 30,000 50,000 70,000 100,000

97 115 146 186 214 255 286 324

88 104 131 165 189 224 250 281

16.5 18.6 21.8 25.7 28.2 32.3 32.3 32.3

4.3 5.0 6.4 7.8 7.8 7.8 8.1 8.1

表-3(9) 中短距離フェリーの船型および主要諸元 総トン数

GT (トン)

全長

Loa (m)

垂線 間長

Lpp (m)

型幅

B (m)

満載

喫水d (m)

400 700

1,000 3,000 7,000

10,000 13,000

56 70 80 124 141 166 194

47 60 71 116 130 155 179

11.6 13.2 14.4 18.6 22.7 24.6 26.2

2.8 3.2 3.5 4.6 5.7 6.2 6.7

(全て国内総トン数)

表-3(10) 長距離フェリーの船型および主要諸元

総トン数

GT (トン)

全長

Loa (m)

垂線 間長

Lpp (m)

型幅

B (m)

満載

喫水d (m)

6,000 10,000 15,000 20,000

147 172 197 197

135 159 183 183

22.0 25.1 28.2 28.2

6.3 6.3 6.9 6.9

(全て国内総トン数)

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-15-

4.3 パラメータの確率分布の設定

(1) 概要

防衝工の性能関数における船舶の接岸エネルギーに関

するパラメータ(船舶の質量(満載時の排水量),船舶の

接岸速度,仮想質量係数,偏心係数)は,船舶の載荷重

量トン数(DWT)あるいは総トン数(GT)に対する回帰

式として設定できる.船舶の満載時の排水量(排水トン

数),仮想質量係数,偏心係数の回帰式は,最新の船舶の

諸元データ(Lloyd’s Marine Intelligence Unite,2004;日本

海運集会所,2004)に基づいた統計解析により算定し,

線形回帰式とした.また,船舶の接岸速度については,

上田ら(2000),Ueda et al.(2002a,2002b)および平野(2002)

が提案している指数関数による非線形回帰式を適用した.

各パラメータ(船舶の満載時の排水量(排水トン数),

船舶の接岸速度,仮想質量係数,偏心係数)は,互いに

独立な確率変数を用いて,式(36)~式(39)のように表現す

ることができる.これらの式中の DWT (orGT )とは,船

種によって,載荷重量トン数(DWT)あるいは総トン数

(GT)のいずれかを使用することを意味する.また,こ

れらの式中の Pは,各パラメータの回帰式周りの確率分

布を表している.

①船舶の満載時の排水量(排水トン数)

DT = aDT ⋅ DWT (orGT ) + PDT (36)

②船舶の接岸速度

Vb = PVb ⋅ DWT (orGT )−0.338 (37)

③仮想質量係数

Cm = aCm ⋅ DWT (orGT ) + PCm (38)

④偏心係数

Ce = aCe ⋅ DWT (orGT ) + PCe (39)

ここに,

DT :船舶の満載時の排水量(排水トン数)(t)

Vb:船舶の接岸速度(m/s)

Cm:仮想質量係数

Ce :偏心係数

DWT :船舶の載荷重量トン数(t)

GT :船舶の総トン数(t)

aDT :船舶の満載時の排水量の回帰式の傾き

aCm :仮想質量係数の回帰式の傾き

aCe:偏心係数の回帰式の傾き

PDT :船舶の満載時の排水量の回帰式周りの確率分布

PVb :船舶の接岸速度の回帰式周りの確率分布

PCm:仮想質量係数の回帰式周りの確率分布

PCe:偏心係数の回帰式周りの確率分布

である.

ここで,各パラメータの従う確率分布は,表-4に示す

ように,船舶の満載時の排水量(排水トン数),仮想質量

係数および偏心係数については正規分布,船舶の接岸速

度については対数正規分布となる.また,各パラメータ

の従う確率分布および回帰式の具体的な数値は,表-5(1)

~(4)のようになる.これらの回帰式は,表-2で示したト

ン数の範囲内において適用することができる.

表-4 パラメータの従う確率分布

パラメータ 確率分布

船舶の満載時の排水量 PDT 正規分布

船舶の接岸速度 PVb 対数正規分布

仮想質量係数 PCm 正規分布

偏心係数 PCe 正規分布

表-5(1) 回帰式および確率分布の値

(船舶の満載時の排水量(排水トン数))

船種 単位 傾き aDT

平均値 µ

標準偏差 σ

貨物船 DWT 1.139 0.0 0.052DWTコンテナ船 DWT 1.344 0.0 0.060DWTタンカー DWT 1.138 0.0 0.145DWTRORO船 GT 0.880 0.0 0.211GT PCC船 GT 0.652 0.0 0.147GTLPG船 GT 1.114 0.0 0.425GTLNG船 GT 1.015 0.0 0.154GT旅客船 GT 0.522 0.0 0.076GT中短距離フェリー GT 1.052 0.0 0.337GT長距離フェリー GT 1.150 0.0 0.135GT

表-5(2) 回帰式および確率分布の値(船舶の接岸速度)

船種 単位 平均値 µ

標準偏差 σ

貨物船 DWT 2.040 0.714 コンテナ船 DWT 1.929 0.675 タンカー DWT 2.041 0.714 RORO船 GT 2.226 0.779 PCC船 GT 2.463 0.862 LPG船 GT 2.055 0.719 LNG船 GT 2.121 0.743 旅客船 GT 2.656 0.930 中短距離フェリー GT 2.095 0.733 長距離フェリー GT 2.034 0.712

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表-5(3) 回帰式および確率分布の値(仮想質量係数)

船種 単位 傾き aCm

平均値 µ

標準偏差

σ

貨物船 DWT -3.403×10-7 1.776 0.105 コンテナ船 DWT 7.648×10-7 1.850 0.085 タンカー DWT 2.276×10-7 1.635 0.066 RORO船 GT 1.327×10-7 1.706 0.145 PCC船 GT 2.014×10-6 1.706 0.099 LPG船 GT -3.657×10-6 1.869 0.129 LNG船 GT -1.667×10-6 1.736 0.055 旅客船 GT -7.436×10-7 1.692 0.079 中短距離フェリー GT 4.168×10-7 1.745 0.101 長距離フェリー GT -4.995×10-6 1.839 0.088

表-5(4) 回帰式および確率分布の値(偏心係数)

船種 単位 傾き aCe

平均値 µ

標準偏差

σ

貨物船 DWT 1.840×10-7 0.616 0.023 コンテナ船 DWT -1.737×10-7 0.580 0.017 タンカー DWT -2.577×10-9 0.631 0.012 RORO船 GT 2.265×10-7 0.570 0.037 PCC船 GT -6.356×10-8 0.546 0.026 LPG船 GT 6.040×10-7 0.592 0.021 LNG船 GT 2.029×10-8 0.591 0.015 旅客船 GT 2.520×10-7 0.537 0.023 中短距離フェリー GT -1.513×10-6 0.531 0.019 長距離フェリー GT -1.876×10-7 0.512 0.014

以下では,表-4および表-5(1)~(4)で示した各パラメ

ータ(船舶の満載時の排水量(排水トン数),船舶の接岸

速度,仮想質量係数,偏心係数)の船舶の載荷重量トン

数(DWT)あるいは総トン数(GT)に対する回帰式の算

定方法について説明する.

(2) 船舶の満載時の排水量(排水トン数)

表-6は,高橋ら(2006)が提示している載荷重量トン

数(DWT)または総トン数(GT)と船舶の満載時の排水

量(排水トン数(DT))の回帰式を示している.

表-6 載荷重量トン数(DWT)または総トン数(GT)

と船舶の満載時の排水量の回帰式(高橋ら,2006) 船種 回帰式 標準偏差

貨物船 DT = 1.139DWT 2,234 コンテナ船 DT = 1.344DWT 2,668 タンカー DT = 1.138DWT 8,743 RORO船 DT = 0.880GT 4,863 PCC船 DT = 0.652GT 3,565 LPG船 DT = 1.114GT 10,199LNG船 DT = 1.015GT 8,641 旅客船 DT = 0.522GT 2,745 中短距離フェリー DT = 1.052GT 1,688 長距離フェリー DT = 1.150GT 1,716

しかしながら,これらの回帰式を用いると,船舶の排

水量の標準偏差を船種ごとに一定値としている関係で,

載荷重量トン数(DWT)または総トン数(GT)が小さい

場合に船舶の排水量の変動係数が非常に大きくなる.こ

のため,この場合の船舶の排水量に対する部分係数を計

算すると非常に大きな数値になる.例えば,貨物船の場

合,載荷重量トン数(DWT)が1,000tの場合は,船舶の排

水量の変動係数が1.96( = σ µ =2,234/(1.139×1,000))と

なる.ここで, µは平均値,σ は標準偏差である.

そこで,本研究では,段階的なトン数(載荷重量トン

数(DWT)または総トン数(GT))における船舶の排水

量の変動係数を求め,これらの重み付け加重平均を船種

ごとの一定値の変動係数として採用することとした.例

えば,貨物船の場合については,船舶の排水量の変動係

数は0.045となる.この変動係数から逆算して,段階的な

トン数(載荷重量トン数(DWT)または総トン数(GT))

における船舶の排水量の標準偏差を設定する.すなわち,

現状では船種ごとに一定値となっている標準偏差が,載

荷重量トン数(DWT)または総トン数(GT))に対して

変化することになる.

表-7に,本研究で採用した載荷重量トン数(DWT)ま

たは総トン数(GT)と船舶の満載時の排水量(排水トン

数(DT))の回帰式を示す.また,図-5は,貨物船の場合

の船舶の満載時の排水量(排水トン数)の回帰式および

標準偏差のグラフを示す.なお,全ての船種の満載時の

排水量(排水トン数)の回帰式および標準偏差のグラフ

は付録Aに掲載する.

表-7 載荷重量トン数(DWT)または総トン数(GT)

と船舶の満載時の排水量の回帰式(本研究) 船種 回帰式 標準偏差

貨物船 DT = 1.139DWT 0.052DWTコンテナ船 DT = 1.344DWT 0.060DWTタンカー DT = 1.138DWT 0.145DWTRORO船 DT = 0.880GT 0.211GT PCC船 DT = 0.652GT 0.147GT LPG船 DT = 1.114GT 0.425GT LNG船 DT = 1.015GT 0.154GT 旅客船 DT = 0.522GT 0.076GT 中短距離フェリー DT = 1.052GT 0.337GT 長距離フェリー DT = 1.150GT 0.135GT

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貨物船

0

20,000

40,000

60,000

80,000

100,000

120,000

140,000

160,000

180,000

200,000

0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000 140,000 160,000

載荷重量トン数(DWT)

排水

量(排

水ト

ン数

)(t)

平均値

平均値+標準偏差

図-5 船舶の満載時の排水量(排水トン数)の

回帰式および標準偏差(貨物船)

(3) 船舶の接岸速度

船舶の接岸速度については,対象船舶の船型,載荷状

態,係留施設の構造,気象・海象状況,タグボートの有

無等の様々な要因が影響する.このため,その確率分布

は既往の実測資料に基づいた統計解析により算定する必

要がある.本研究では,船舶の接岸速度については,守

屋ら(1991)の横浜港における調査結果を利用して,上

田ら(2000),Ueda et al.(2002a,2002b)および平野(2002)

が提案している回帰式を適用している.

図-6は,船舶の載荷重量トン数と接岸速度の関係を示

したものである(上田ら,2000).この図から,船舶の載

荷重量トン数が大きくなるほど,その接岸速度が小さく

なる傾向が理解できる.

図-6 船舶の載荷重量トン数と接岸速度の関係

(上田ら,2000)

この船舶の載荷重量トン数(DWT)と接岸速度の関係

は,次式のような回帰式で表される.

Vb = PVb ⋅ DWT −0.338 (40)

この式において,接岸速度の確率分布 PVb は,平均値

2.040,標準偏差0.714(すなわち, PVb (µ,σ ) = PVb (2.040,

0.714))の対数正規分布に従う.ここで,µは平均値,σは標準偏差である.上田ら(2000),Ueda et al.(2002a,

2002b)および平野(2002)において提案されている船舶

の接岸速度の回帰式は,貨物船,コンテナ船および自動

車運搬船に関する統計データ(守屋ら,1991)を基に算

定したものである.本研究では,船種ごとの船舶の接岸

速度に関する十分な統計データがないことから,この船

舶の接岸速度の回帰式を貨物船の接岸速度の回帰式と仮

定して用いた.貨物船以外の船種については,表-6ある

いは表-7に示した載荷重量トン数(DWT)または総トン

数(GT)と船舶の満載時の排水量(排水トン数(DT))

の平均的な関係を利用して,貨物船の接岸速度の回帰式

を変換して用いることとした.

表-6または表-7によると,貨物船の載荷重量トン数

(DWT)と満載時の排水量(排水トン数(DT))の平均

的な関係は,次式となる.

DT = 1.139DWT (41)

この関係を用いて,船舶の接岸速度は,船舶の満載時

の排水量(排水トン数(DT))に大きく依存していると仮

定し,式(40)を排水トン数(DT)の関数に書き直すと,

次式のようになる.

Vb = PVb ⋅DT

1.139⎛ ⎝ ⎜

⎞ ⎠ ⎟

−0.338

(42)

例えば,コンテナ船の場合,表-6または表-7によると,

コンテナ船の載荷重量トン数(DWT)と満載時の排水量

(排水トン数(DT))の平均的な関係は次式となるから,

DT = 1.344DWT (43)

式(42)は,次式のように変換される.

Vb = PVb ⋅1.344DWT

1.139⎛ ⎝ ⎜

⎞ ⎠ ⎟

−0.338

= 0.946PVb ⋅ DWT −0.338 (44)

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したがって,コンテナ船の接岸速度の確率分布 PVb とし

て,0.946 PVb を PVb に改めて置き換えると,貨物船の接岸

速度の確率分布の平均値および標準偏差をそれぞれ0.946

倍することにより,コンテナ船の接岸速度の確率分布 PVb

は PVb (µ,σ ) = PVb (1.929, 0.675)となる.よって,式(44)は,

最終的に次式のようになり,式(40)(あるいは式(37))と

同じ式で表される.

Vb = PVb ⋅ DWT −0.338 (45)

他の船種についても同様な手順に従って,式(37)の船舶

の接岸速度の回帰式が導き出される.

表-8に,載荷重量トン数(DWT)または総トン数(GT)

と船舶の接岸速度の回帰式を示す.また,図-7は,貨物

船の場合の船舶の接岸速度の回帰式および標準偏差のグ

ラフを示す.なお,全ての船種の接岸速度の回帰式およ

び標準偏差のグラフは付録Bに掲載する.

表-8 載荷重量トン数(DWT)または総トン数(GT)

と船舶の接岸速度の回帰式 船種 回帰式 標準偏差

貨物船 Vb = 2.040DWT −0.338 0.714 コンテナ船 Vb = 1.929DWT −0.338 0.675 タンカー Vb = 2.041DWT −0.338 0.714 RORO船 Vb = 2.226GT −0.338 0.779 PCC船 Vb = 2.463GT −0.338 0.862 LPG船 Vb = 2.055GT −0.338 0.719 LNG船 Vb = 2.121GT −0.338 0.743 旅客船 Vb = 2.656GT −0.338 0.930 中短距離フェリー Vb = 2.095GT −0.338 0.733 長距離フェリー Vb = 2.034GT −0.338 0.712

貨物船

0.00

0.05

0.10

0.15

0.20

0.25

0.30

0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000 140,000 160,000

載荷重量トン数(DWT)

接岸

速度

(m

/s)

平均値

平均値+標準偏差

図-7 船舶の接岸速度の回帰式および標準偏差(貨物船)

(4) 仮想質量係数

仮想質量係数の回帰式は,現行技術基準の仮想質量係

数の算定式を用いて,統計解析により算定した.

現行技術基準によると,仮想質量係数は,次式によっ

て算定することができる.

Cm = 1+π

2Cb⋅

dB

(46)

この式において,Cbはブロック係数であり,次式で定

義される.

Cb =∇

LppBd (47)

ここに,

π :円周率

Cb:ブロック係数

∇:船舶の排水体積(m3) Lpp :垂線間長(m)

B:型幅(m)

d :満載喫水(m)

である.

船舶の排水体積 ∇は,船舶の満載時の排水量(排水ト

ン数) DT (t)と海水の単位体積質量 ρ(=1.03)(t/m3)

から, ∇ = DT ρ で計算することができる.

仮想質量係数の回帰式は,最新の船舶の諸元データ

(Lloyd’s Marine Intelligence Unite,2004;日本海運集会所,

2004)を用いて,個々の船舶の垂線間長 Lpp ,型幅 B,満

載喫水 d ,排水体積 ∇から,個々の船舶に対する仮想質

量係数を計算し,統計解析により線形回帰式として求め

ている.

表-9に,載荷重量トン数(DWT)または総トン数(GT)

と仮想質量係数の回帰式を示す.また,図-8は,貨物船

の場合の仮想質量係数の回帰式および標準偏差のグラフ

を示す.なお,全ての船種の仮想質量係数の回帰式およ

び標準偏差のグラフは付録Cに掲載する.

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表-9 載荷重量トン数(DWT)または総トン数(GT)

と仮想質量係数の回帰式

船種 回帰式 標準

偏差

貨物船 Cm = −3.403×10−7 DWT +1.776 0.105コンテナ船 Cm = 7.648×10−7 DWT +1.850 0.085タンカー Cm = 2.276×10−7 DWT +1.635 0.066RORO船 Cm = 1.327×10−7GT +1.706 0.145PCC船 Cm = 2.014 ×10−6GT +1.706 0.099LPG船 Cm = −3.657×10−6GT +1.869 0.129LNG船 Cm = −1.667×10−6GT +1.736 0.055旅客船 Cm = −7.436×10−7GT +1.692 0.079中短距離フェリー Cm = 4.168×10−7GT +1.745 0.101長距離フェリー Cm = −4.995×10−6GT +1.839 0.088

貨物船

1.5

1.6

1.7

1.8

1.9

2.0

2.1

2.2

2.3

2.4

2.5

0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000 140,000 160,000

載荷重量トン数(DWT)

仮想

質量

係数

平均値

平均値+標準偏差

図-8 仮想質量係数の回帰式および標準偏差(貨物船)

(5) 偏心係数

偏心係数の回帰式は,仮想質量係数の場合と同様に,

現行技術基準の偏心係数の算定式を用いて,統計解析に

より算定した.

現行技術基準によると,偏心係数は,次式によって算

定することができる.

Ce =1

1+lr

⎛ ⎝ ⎜

⎞ ⎠ ⎟

2 (48)

ここに,

l:船舶の接触点から係留施設の法線に平行に測った

当該船舶の重心までの距離(m)

r:船舶の重心を通る鉛直軸回りの回転半径(m)

である.

上式において,船舶の重心を通る鉛直軸回りの回転半

径 rは, r Lpp と船舶のブロック係数Cbとの関数関係か

ら,次式を用いて近似的に計算できる.

r = 0.19Cb + 0.11( )Lpp (49)

係留施設に平行に測った接触点から船舶の重心までの

距離 lは,式(50)または式(51)を用いて算定することがで

きる(運輸省港湾局監修,1992).ここで,lとして,k >0.5

のときは L1を, k <0.5のときは L2を用い, k =0.5のとき

は L1と L2のうち,偏心係数Ce が大きくなる方の値を採

用する.

L1 = 0.5α + e 1− k( ){ }Lpp cosθ (50)

L2 = 0.5α − ek{ }Lpp cosθ (51)

ここに,

L1:船舶が1つの防衝工に接触するときの係留施設に平行

に測った接触点から船舶の重心までの距離(m)

L2:船舶がもう1つの防衝工に接触するときの係留施設に

平行に測った接触点から船舶の重心までの距離(m)

θ :接岸角度(°)(通常,0~10 °程度)

e:船の長軸方向に測った防衝工間隔と垂線間長との比

( e ≤ α /5~α /6であれば,防衝工は十分密に取り付

けられている.)

α :防衝工との接触点高さにおける船舶の側面の平行舷

(パラレルサイド)の長さと垂線間長との比(一般

に1/3~1/2)

k:2つの防衝工の間において船舶と係船岸が最も近づく

点を表すパラメータ(0< k <1であるが,一般的には

k =0.5程度)

である.

偏心係数の回帰式は,最新の船舶の諸元データ(Lloyd’s

Marine Intelligence Unite,2004;日本海運集会所,2004)を用いて,個々の船舶の垂線間長 Lpp ,型幅 B,満載喫水

d ,排水体積 ∇から,個々の船舶の偏心係数を計算し,

統計解析により線形回帰式として求めている.なお,本

研究では,接岸角度θ =5°,パラメータ k =0.5およびパラ

メータα =0.5とし,パラメータ eについては,平均的な値

として e = α /5.5とした.接岸角度については,θ =0°あ

るいはθ =10°とした場合も検討してみたが,結果に大き

な影響はないことを確認している.また,パラメータα は,

船種やブロック係数等によって異なると考えられるが,

ここでは全ての船種について一定値とした.

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-20-

表-10に,載荷重量トン数(DWT)または総トン数(GT)

と偏心係数の回帰式を示す.また,図-9は,貨物船の場

合の偏心係数の回帰式および標準偏差のグラフを示す.

なお,全ての船種の偏心係数の回帰式および標準偏差の

グラフは付録Dに掲載する.

表-10 載荷重量トン数(DWT)または総トン数(GT)

と偏心係数の回帰式

船種 回帰式 標準 偏差

貨物船 Ce = 1.840×10−7 DWT + 0.616 0.023コンテナ船 Ce = −1.737×10−7 DWT + 0.580 0.017タンカー Ce = −2.577×10−9 DWT + 0.631 0.012RORO船 Ce = 2.265×10−7GT + 0.570 0.037PCC船 Ce = −6.356×10−8GT + 0.546 0.026LPG船 Ce = 6.040×10−7GT + 0.592 0.021LNG船 Ce = 2.029×10−8GT + 0.591 0.015旅客船 Ce = 2.520×10−7GT + 0.537 0.023中短距離フェリー Ce = −1.513×10−6GT + 0.531 0.019長距離フェリー Ce = −1.876×10−7GT + 0.512 0.014

貨物船

0.40

0.45

0.50

0.55

0.60

0.65

0.70

0.75

0.80

0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000 140,000 160,000

載荷重量トン数(DWT)

偏心

係数

平均値

平均値+標準偏差

図-9 偏心係数の回帰式および標準偏差(貨物船)

4.4 防衝工の規格値の設定

(1) 目標破壊確率

防衝工の性能関数を対象とした1次信頼性理論

(FORM)による信頼性解析を適用して,目標破壊確率を

満足する防衝工の規格値を船種・船型ごとに算定する.

信頼性解析では,1次信頼性理論(FORM)によって対象

構造物の信頼性指標を求めることができる信頼性解析プ

ログラムを用いた.なお,信頼性解析においては,信頼

性指標が算出されると同時に破壊確率および感度係数も

算出される.本研究では,船舶の接岸エネルギーが防衝

工の吸収エネルギーを上回る危険性の標準的な限界値,

すなわち防衝工の目標破壊確率を0.01とした.この破壊確

率は,接岸する船舶100隻に1回の割合で防衝工の破壊が

発生することを意味している.しかしながら,大型港湾

におけるコンテナ船等は年間数百回も接岸する場合があ

り,また危険物を取り扱うバースではその施設の重要性

は高いことから,より正確には,対象船舶の年間の接岸

回数や対象施設の重要性を考慮して破壊確率を設定する

必要がある.

長尾ら(2003)は,信頼性設計法の適用においては,

目標となる安全性水準を現行設計法の平均的な安全性水

準とする必要があるが,そのためには,防衝工を設計す

る際に用いる船舶の接岸エネルギーおよび防衝工の吸収

エネルギーの算定式の各パラメータの信頼度に関するデ

ータを収集する必要があるとしている.そして,このよ

うなデータを収集することは実際には困難であることか

ら,各パラメータに対して適当な信頼度を複数設定して,

これらの信頼度の組み合わせが等しい確率で用いられて

いると仮定することで,目標となる安全性水準を設定し

ている.しかしながら,この方法では,目標信頼性指標

(すなわち目標破壊確率)が船種・船型によって異なる

値となるため,船種・船型に関わらず一定した目標安全

性水準を設定する方が設計上は合理的であると考えられ

る.そこで,本研究では,防衝工の信頼性設計における

目標安全性水準として,船種・船型に関わらず,一定値

の目標破壊確率0.01を採用した.

この防衝工の目標破壊確率は,船舶の接岸エネルギー

に関するパラメータ(船舶の質量(満載時の排水量),船

舶の接岸速度,仮想質量係数,偏心係数)の信頼度を全

て95%として,船種・船型ごとに設計した防衝工に対し,

1次信頼性理論(FORM)による信頼性解析を用いて算定

した防衝工の破壊確率を基準に設定したものである.図

-10は,船舶の接岸エネルギーに関する各パラメータの信

頼度を95%として設計した防衝工の破壊確率を船種別に

示したものである.防衝工の破壊確率の算定結果から,

各船種において船型ごとの破壊確率はおおむね一定値と

なったため,この図には,船種ごとの防衝工の破壊確率

の平均値を示している.図-10を見ると,防衝工の破壊確

率の最小値はRORO船およびLPG船の場合の0.010であり,

防衝工の破壊確率の最大値はコンテナ船の場合の0.028で

あることがわかる.すなわち,防衝工の破壊確率は船種

ごとに異なっており,0.010~0.028の範囲にある.このこ

とから,船種・船型に関わらず一定した目標安全性水準

を設定する方針により,防衝工の破壊確率の最小値であ

る0.01を目標破壊確率とした.

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-21-

0.025

0.028

0.021

0.010

0.013

0.010

0.020

0.017

0.011

0.020

0.000

0.005

0.010

0.015

0.020

0.025

0.030

貨物

コンテ

ナ船

タン

カー

RORO船

PCC船

LPG

LNG

旅客

中短

距離

フェリー

長距

離フェリー

破壊

確率

図-10 船種別の防衝工の破壊確率

(接岸エネルギーの各パラメータの信頼度:95%)

97.597.7

97.1

95.0

95.7

94.9

96.996.5

95.3

96.9

92.0

93.0

94.0

95.0

96.0

97.0

98.0

99.0

100.0

貨物

コンテ

ナ船

タン

カー

RORO船

PCC船

LPG

LNG

旅客

中短

距離

フェリー

長距

離フェリー

信頼

度(%

図-11 船種別の接岸エネルギーの各パラメータ

の信頼度(防衝工の破壊確率:0.01)

一方,設計した防衝工の破壊確率が0.01となるような船

舶の接岸エネルギーに関するパラメータ(船舶の質量(満

載時の排水量),船舶の接岸速度,仮想質量係数,偏心係

数)の信頼度について,各パラメータの信頼度が全て同

じ値であると仮定して検討を行った.このとき,1次信

頼性理論(FORM)による信頼性解析を用いて,各パラメ

ータの信頼度を0.1ずつパラメトリックに変化させて防衝

工の試設計を行い,防衝工の破壊確率0.01を満足する場合

の各パラメータの信頼度を船種・船型ごとに算定した.

図-11は,設計した防衝工の破壊確率が0.01になる場合の

船舶の接岸エネルギーに関する各パラメータの信頼度を

船種別に示したものである.各パラメータの信頼度の算

定結果から,各船種において船型ごとの信頼度はおおむ

ね一定値となったことから,この図には,船種ごとの各

パラメータの信頼度の平均値を示している.図-11を見る

と,各パラメータの信頼度の最小値はLPG船の場合の

94.9%であり,各パラメータの信頼度の最大値はコンテナ

船の場合の97.7%であることがわかる.各パラメータの信

頼度についても,防衝工の破壊確率の場合と同様に船種

ごとに異なっており,94.9%~97.7%の範囲にある.した

がって,設計した防衝工の破壊確率が0.01となるような船

舶の接岸エネルギーに関する各パラメータの信頼度は,

おおむね95%~98%程度であると言える.

(2) 防衝工の規格値

防衝工の規格値の設定では,防衝工の性能関数を対象

とした1次信頼性理論(FORM)による信頼性解析におい

て,防衝工の規格値を適当な初期値から0.1ずつ増加させ

ることにより,目標破壊確率0.01を満足する防衝工の規格

値および感度係数の値を船種・船型ごとに算定する.図

-12は,貨物船の場合について,この防衝工の規格値の算

定方法を7種類の船型に対して示したものである.

表-11は,貨物船の場合について防衝工の規格値および

感度係数の値の算定結果を示す.当然のことながら,船

型の大きな大型船舶になるほど,防衝工の規格値は大き

くなっている.また,感度係数の絶対値の大きいパラメ

ータほど船舶の接岸エネルギーの設計値への影響が大き

いが,表-11から,船舶の接岸速度が最も支配的なパラメ

ータであることがわかる.なお,全ての船種についての

防衝工の規格値および感度係数の値の算定結果は付録E

に掲載する.

貨物船

0.000

0.005

0.010

0.015

0.020

0.025

0.030

0 100 200 300 400 500 600 700

防衝工の規格値(kNm)

破壊

確率

1,000DWT

5,000DWT

10,000DWT

30,000DWT

70,000DWT

120,000DWT

150,000DWT

118.2 199.2

249.6 357.0

471.8 564.5

608.5

図-12 防衝工の規格値の算定方法(貨物船)

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表-11 防衝工の規格値の算定結果(貨物船)

DT Vb Cm Ce1 1,000 0.01 2.33 118.2 -0.066 -0.993 -0.085 -0.0532 2,000 0.01 2.33 148.0 -0.066 -0.993 -0.085 -0.0533 3,000 0.01 2.33 168.8 -0.066 -0.993 -0.085 -0.0534 5,000 0.01 2.33 199.2 -0.066 -0.993 -0.085 -0.0535 10,000 0.01 2.33 249.6 -0.066 -0.993 -0.086 -0.0536 12,000 0.01 2.33 264.8 -0.066 -0.993 -0.086 -0.0537 18,000 0.01 2.33 302.2 -0.066 -0.993 -0.086 -0.0538 30,000 0.01 2.33 357.0 -0.066 -0.993 -0.086 -0.0539 40,000 0.01 2.33 392.3 -0.066 -0.993 -0.086 -0.05310 55,000 0.01 2.33 435.6 -0.066 -0.993 -0.086 -0.05211 70,000 0.01 2.33 471.8 -0.066 -0.993 -0.086 -0.05212 90,000 0.01 2.33 512.8 -0.066 -0.993 -0.087 -0.05213 120,000 0.01 2.33 564.5 -0.066 -0.993 -0.087 -0.05114 150,000 0.01 2.33 608.5 -0.066 -0.993 -0.088 -0.051

破壊確率Pf

信頼性指標β

ケース載荷重量トン

DWT防衝工規格値

Ecat(kNm)感度係数 α

4.5 目標信頼性指標の算定

目標信頼性指標の算定では,防衝工の規格値を設定し

た際に算定された感度係数の値を固定して,目標信頼性

指標の値を初期値からパラメトリックに変化させてレベ

ル1信頼性設計法による防衝工の試設計を船種・船型ご

とに実施する.すなわち,目標信頼性指標の値を初期値

2.000から0.001ずつ増加させ,目標信頼性指標が4.000にな

るまで,各目標信頼性指標の値を用いてレベル1信頼性

設計法による防衝工の試設計を行う.これらの防衝工の

試設計の結果から,防衝工の設計値が設定した防衝工の

規格値と最も近くなる場合を目標信頼性指標の最適値と

する.

レベル1信頼性設計法による防衝工の試設計では,式

(35)に示した防衝工の性能照査式を用いる.船舶の接岸エ

ネルギーに関するパラメータ(船舶の質量(満載時の排

水量),船舶の接岸速度,仮想質量係数,偏心係数)の部

分係数の計算式は,式(26)のように設計点の値と確率変数

の特性値との比ではなく,簡易的な次式を用いることと

した(長尾ら,2003).

γ X = 1− βTαXVX( )µX

Xk (52)

ここに,

X:パラメータ(確率変数)

γ X:パラメータ Xに対する部分係数

βT :目標信頼性指標

αX:パラメータ Xに対する感度係数

VX :パラメータ Xの変動係数

µX :パラメータ Xの平均値

Xk:パラメータ Xの特性値

である.

また,各パラメータの設計用値は,式(31)~式(34)のよ

うに部分係数および特性値を用いて定義される.

ここで用いる特性値は,現行設計法で用いられてきた

値を設定する必要があるが,現行設計法における各パラ

メータの信頼度に関する情報が不十分であることから,

ここでは,特性値として平均値を採用した.したがって,

部分係数の計算式は,式(53)のように簡単な式となる.

γ X = 1− βTαXVX (53)

本研究で提示している部分係数は,平均値を特性値と

した場合のものであるから,各パラメータの信頼度に対

する特性値を用いて防衝工の信頼性設計を行う場合は,

部分係数を µX Xk 倍する必要がある.

さて,信頼性指標と破壊確率の関係は,式(11)あるいは

式(12)のように標準正規確率分布関数で一意的に決定で

きる.したがって,防衝工の目標破壊確率0.01に対応する

目標信頼性指標の値は,約2.33となるはずである.ただし,

本研究では,部分係数を計算する際の感度係数の値を船

種・船型ごとに一定値に固定し,式(52)に示した簡易的な

部分係数の計算式を用いていることから,防衝工の規格

値と一致するような防衝工の設計値が計算される目標信

頼性指標の最適値は,2.33よりも大きくなる.これは,式

(52)の部分係数の計算式において,非正規確率変数を正規

化したときの確率分布の平均値および標準偏差を用いて

いないことに原因がある.しかしながら,あるパラメー

タの確率分布が正規分布に従わない場合に,その非正規

確率変数を正規化したときの確率分布の平均値および標

準偏差を算定することは,実務上容易ではない.そこで,

本研究では,式(52)のような簡易的な部分係数の計算式を

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-23-

採用することとした.

図-13は,貨物船の場合について,目標信頼性指標の最

適値の算定方法を7種類の船型に対して示したものであ

る.貨物船の場合については,船型の大きさに関わらず,

目標信頼性指標の最適値は3.06の一定値になることがわ

かる.なお,全ての船種についての目標信頼性指標の最

適値の算定結果は,部分係数の算定結果とともに付録F

に載せている.船種別の目標信頼性指標の最適値の算定

結果によると,他の船種についても,船型の大きさに関

わらず,目標信頼性指標の最適値はおおむね一定値にな

っている.全ての船種に対して見ても,目標信頼性指標

の最適値は2.79~3.07の範囲にあり,おおむね同じような

値となった.

貨物船

-250

-200

-150

-100

-50

0

50

100

150

200

250

2 2.2 2.4 2.6 2.8 3 3.2 3.4 3.6 3.8 4

目標信頼性指標

防衝

工の

規格

値と

設計

値の

差(k

Nm

1,000DWT

5,000DWT

10,000DWT

30,000DWT

70,000DWT

120,000DWT

150,000DWT

3.06

図-13 目標信頼性指標の最適値の算定方法(貨物船)

4.6 部分係数の算定

船舶の接岸エネルギーに関するパラメータ(船舶の質

量(満載時の排水量),船舶の接岸速度,仮想質量係数,

偏心係数)の部分係数は,式(53)に示した部分係数の算定

式を用いて船種・船型ごとに算定する.このとき,各パ

ラメータの確率分布,防衝工の規格値を設定した際の感

度係数の値および目標信頼性指標の最適値を用いて,船

種・船型ごとに部分係数を計算する.

表-12は,貨物船の場合について目標信頼性指標の最適

値に対する部分係数の算定結果を示す.貨物船の場合に

ついては,船型の大きさに関わらず,各パラメータに対

する部分係数は一定値になることがわかる.これは,感

度係数の値が船型の大きさに関わらずほぼ一定値である

ことと,仮想質量係数および偏心係数の変動係数も船型

の大きさに関わらずほぼ一定値であることが理由である.

船舶の質量(満載時の排水量),船舶の接岸速度,仮想質

量係数および偏心係数に対する部分係数は,それぞれ1.01,

2.06,1.02および1.01である.なお,全ての船種について

の目標信頼性指標の最適値に対する部分係数の算定結果

は付録Fに掲載する.船種別の部分係数の算定結果によ

ると,他の船種についても,船型の大きさに関わらず,

各パラメータに対する部分係数はおおむね一定値になっ

ている.

表-12 部分係数の算定結果(貨物船)

DT Vb Cm Ce1 1,000 3.06 1.01 2.06 1.02 1.01 118.22 2,000 3.06 1.01 2.06 1.02 1.01 148.03 3,000 3.06 1.01 2.06 1.02 1.01 168.84 5,000 3.06 1.01 2.06 1.02 1.01 199.25 10,000 3.06 1.01 2.06 1.02 1.01 249.66 12,000 3.06 1.01 2.06 1.02 1.01 264.87 18,000 3.06 1.01 2.06 1.02 1.01 302.28 30,000 3.06 1.01 2.06 1.02 1.01 357.09 40,000 3.06 1.01 2.06 1.02 1.01 392.310 55,000 3.06 1.01 2.06 1.02 1.01 435.711 70,000 3.06 1.01 2.06 1.02 1.01 471.812 90,000 3.06 1.01 2.06 1.02 1.01 512.813 120,000 3.06 1.01 2.06 1.02 1.01 564.514 150,000 3.06 1.01 2.06 1.02 1.01 608.6

ケース載荷重量トン

DWT部分係数 γ 防衝工設計値

Ecat(kNm)目標信頼性指標

βT

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-24-

表-13は,船種別の目標信頼性指標の最適値に対する部

分係数の算定結果を示す.また,図-14は,船種別の部分

係数の値および目標信頼性指標の最適値をグラフとして

示したものである.ここでは,各船種において,船型ご

との部分係数の値および目標信頼性指標の最適値はそれ

ぞれほぼ一定値となったことから,船種ごとに部分係数

の値および目標信頼性指標の最適値を平均している.

表-13および図-14によると,船種ごとに多少の相違は

あるが,部分係数はパラメータ(船舶の質量(満載時の

排水量),船舶の接岸速度,仮想質量係数,偏心係数)ご

とにおおむね一定値となった.また,LPG船あるいは中短

距離フェリーの場合のように目標信頼性指標の最適値が

小さいときには,船舶の接岸速度に対する部分係数は小

さくなり,船舶の質量(満載時の排水量)に対する部分

係数は大きくなることがわかった.船舶の質量(満載時

の排水量)に対する部分係数は1.01~1.41,船舶の接岸速

度に対する部分係数は1.90~2.07,仮想質量係数に対する

部分係数は1.00~1.03,また偏心係数に対する部分係数は

1.00~1.02の範囲にある.すなわち,船舶の接岸速度に対

する部分係数は2.0程度,船舶の質量(満載時の排水量)

に対する部分係数は1.0~1.4程度,仮想質量係数および偏

心係数に対する部分係数は1.0程度となった.

図-15は,本研究で算定した部分係数の値を用いて,レ

ベル1信頼性設計法により船種・船型ごとに防衝工の設計

値を計算した結果を示したものである.この図を見ると,

旅客船に対する防衝工の設計値は比較的小さい傾向にあ

り,LPG船に対する防衝工の設計値は比較的大きい傾向に

あることがわかる.全ての船種に対する防衝工の設計値

については,船種ごとに多少の相違はあるものの,おお

むね同等な値となっている.

本研究では,表-13および図-14に示した船種別の目標

信頼性指標の最適値に対する部分係数の値を防衝工のレ

ベル1信頼性設計法における部分係数の標準値として提

案する.なお,全ての船種についての部分係数の標準値

の詳細については付録Gに掲載する.

表-13 船種別の部分係数の算定結果

DT Vb Cm Ce 貨物船 3.06 1.01 2.06 1.02 1.01 コンテナ船 3.07 1.01 2.07 1.01 1.00 タンカー 3.01 1.07 2.04 1.01 1.00 RORO船 2.88 1.20 1.95 1.03 1.02 PCC船 2.91 1.18 1.97 1.01 1.01 LPG船 2.80 1.41 1.90 1.02 1.00 LNG船 2.99 1.09 2.02 1.00 1.00 旅客船 2.99 1.09 2.02 1.01 1.01 中短距離フェリー 2.84 1.32 1.93 1.01 1.01 長距離フェリー 3.02 1.06 2.04 1.01 1.00

船種目標信頼性指標

βT部分係数 γ

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

貨物

コンテ

ナ船

タン

カー

RORO船

PCC船

LPG

LNG船

旅客

中短

距離

フェリー

長距

離フェリー

目標信頼性指標

部分係数(排水量)

部分係数(接岸速度)

部分係数(仮想質量係数)

部分係数(偏心係数)

図-14 船種別の部分係数の値および目標信頼性指標の最適値

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0.0

100.0

200.0

300.0

400.0

500.0

600.0

700.0

0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000 140,000 160,000

載荷重量トン数(DWT)または総トン数(GT)

防衝

工の

設計

値(kN

m)

貨物船

コンテナ船

タンカー

RORO船

PCC船

LPG船

LNG船

旅客船

中短距離フェリー

長距離フェリー

図-15 船種・船型別の防衝工の設計値

5.結論

本研究では,防衝工のレベル1信頼性設計法において,

船種に対応した防衝工の性能照査式の部分係数の標準値

を提案した.

本研究の成果を以下のとおり取りまとめる.

(1) 部分係数の検討は,貨物船,コンテナ船,タンカー,

ロールオン・ロールオフ(RORO)船,自動車専用(PCC)

船,LPG船,LNG船,旅客船,中短距離フェリー(航海

距離300km未満)および長距離フェリー(航海距離300km

以上)の10種類の船種について,船種・船型ごとに合計

79ケースを実施した.

(2) 防衝工の性能関数における船舶の接岸エネルギーに

関するパラメータ(船舶の質量(満載時の排水量),船舶

の接岸速度,仮想質量係数,偏心係数)は,船舶の載荷

重量トン数(DWT)あるいは総トン数(GT)に対する回

帰式として設定した.船舶の質量(満載時の排水量),仮

想質量係数,偏心係数の回帰式は線形回帰式とし,船舶

の接岸速度の回帰式は指数関数による非線形回帰式とし

た.

(3) 防衝工の目標破壊確率は,船種・船型に関わらず,0.01

の一定値とした.この目標破壊確率は,船舶の接岸エネ

ルギーに関する各パラメータの信頼度を全て95%として,

船種・船型ごとに設計した防衝工に対し,1次信頼性理

論(FORM)による信頼性解析を用いて算定した防衝工の

破壊確率の最小値を基準に設定したものである.

(4) 防衝工の規格値の設定では,防衝工の性能関数を対象

とした1次信頼性理論(FORM)による信頼性解析を適用

して,防衝工の目標破壊確率0.01を満足する防衝工の規格

値および感度係数の値を船種・船型ごとに算定した.そ

の算定結果によると,大型船舶になるほど,防衝工の規

格値は大きくなることがわかった.また,感度係数の絶

対値の大きさから,船舶の接岸速度が船舶の接岸エネル

ギーの設計値に対する最も支配的なパラメータであるこ

とがわかった.

(5) 目標信頼性指標の算定では,船種・船型ごとに感度係

数の値を固定して,目標信頼性指標の値を初期値からパ

ラメトリックに変化させてレベル1信頼性設計法による

防衝工の試設計を実施し,防衝工の設計値が設定した防

衝工の規格値と最も近くなる場合を目標信頼性指標の最

適値とした.その算定結果から,各船種については,船

型の大きさに関わらず目標信頼性指標の最適値はおおむ

ね一定値となり,全ての船種に対する目標信頼性指標の

最適値は2.79~3.07のおおむね同じような値となった.

(6) 船舶の接岸エネルギーに関するパラメータ(船舶の質

量(満載時の排水量),船舶の接岸速度,仮想質量係数,

偏心係数)の部分係数は,各パラメータの確率分布およ

び目標信頼性指標の最適値を用いて船種・船型ごとに算

定した.その算定結果によると,各船種については,船

型の大きさに関わらず各パラメータに対する部分係数の

値はおおむね一定値になり,船種ごとの部分係数の平均

値を各パラメータに対する部分係数の標準値とした.船

舶の質量(満載時の排水量)に対する部分係数は1.01~

1.41,船舶の接岸速度に対する部分係数は1.90~2.07,仮

想質量係数に対する部分係数は1.00~1.03,また偏心係数

に対する部分係数は1.00~1.02である.

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6.おわりに

本研究は,現行の防衝工の設計法にレベル1信頼性設

計法を導入するために,船種に対応した防衝工の性能照

査式の部分係数について検討し,それらの標準値を提案

したものである.本研究では,最新の船舶の諸元データ

を用いて,新たに規定された船種ごとに防衝工のレベル

1信頼性設計法における部分係数を提案しているが,防

衝工の性能特性(製造上の誤差(公差),温度特性,速度

特性)などは確率分布を有するパラメータとして考慮し

ていないため,今後さらに検討する必要がある.

(2005年11月16日受付)

謝辞

本研究を進めるに当たって,鳥取大学の上田茂教授か

らは,防衝工の性能照査式における各パラメータ(船舶

の質量(満載時の排水量),船舶の接岸速度,仮想質量係

数,偏心係数)の回帰式や防衝工設計法における目標信

頼性指標の設定方法等について御指導して頂いた.また,

国土交通省国土技術政策総合研究所港湾研究部港湾施設

研究室の長尾毅室長,小澤敬二主任研究官および川名太

研究官には,防衝工の信頼性設計法における部分係数の

算定方針についての情報提供および御助言を頂いている.

以上の方々に,ここに記して深甚なる謝意を表する次第

である.

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記号表

aDT :船舶の質量(排水トン数)の回帰式の傾き

aCm :仮想質量係数の回帰式の傾き

aCe:偏心係数の回帰式の傾き

B:型幅(m)

Cb:ブロック係数

Cc :バースの形状係数

Ce :偏心係数

Ced :偏心係数の設計用値

Cek:偏心係数の特性値

Cm:仮想質量係数

Cmd :仮想質量係数の設計用値

Cmk:仮想質量係数の特性値

Cs:柔軟性係数

DT :船舶の満載時の排水量(排水トン数)(t)

DTd :船舶の満載時の排水量の設計用値(t)

DTk:船舶の満載時の排水量の特性値(t)

DWT :船舶の載荷重量トン数(t)

d :満載喫水(m),または設計用値を示す添え字

Ecat:防衝工の吸収エネルギーの規格値(kNm)

ES :防衝工の吸収エネルギー(kNm) E f :船舶の設計接岸エネルギー,または船舶の接岸エネ

ルギーの設計値(kNm)

e:船の長軸方向に測った防衝工間隔と垂線間長との比

( e ≤ α /5~α /6)

fR (r):抵抗力の確率密度関数

fS (s):荷重の確率密度関数 fXi (xi ):確率変数 Xi( i = 1,2, ,n )の確率密度関数

fZ (z):性能関数の確率密度関数 fR ,S (r,s):抵抗力および荷重の同時確率密度関数

fX1 ,X2 , ,Xn (x1, x2 , , xn ):確率変数 n個の同時確率密度

関数

GT :船舶の総トン数(t)

g(X1, X2 , , Xn ): n個の確率変数で構成される性能関数

k:2つの防衝工の間において船舶と係船岸が最も近づく

点を表すパラメータ(0< k <1,一般的には k =0.5程度),

または特性値を示す添え字 Lpp :垂線間長(m)

L1:船舶が1つの防衝工に接触するときの係留施設に平行

に測った接触点から船舶の重心までの距離(m)

L2:船舶がもう1つの防衝工に接触するときの係留施設に

平行に測った接触点から船舶の重心までの距離(m)

l:船舶の接触点から係留施設の法線に平行に測った

当該船舶の重心までの距離(m)

M :船舶の質量(t)

M d:船舶の質量の設計用値(t)

n:荷重の数

PCe:偏心係数の回帰式周りの確率分布

PCm:仮想質量係数の回帰式周りの確率分布

PDT :船舶の満載時の排水量の回帰式周りの確率分布 Pf :破壊確率

PfT :目標破壊確率

PVb :船舶の接岸速度の回帰式周りの確率分布 PXi ( ⋅ ):確率変数 Xiの元の確率分布関数

pXi ( ⋅ ):確率変数 Xiの元の確率密度関数

R:抵抗力

Rd :構造物の抵抗力の設計用値

Rk:構造物の抵抗力の特性値

RT :温度補正係数

RV :速度補正係数

r:船舶の重心を通る鉛直軸回りの回転半径(m),

または抵抗力の変数

S:荷重

Sd :荷重の設計用値

Sik: i番目の荷重の特性値

Sid: i番目の荷重の設計用値

Sk:荷重の特性値

s:荷重の変数

Vb:船舶の接岸速度(m/s)

Vbd:船舶の接岸速度の設計用値(m/s)

Vbk:船舶の接岸速度の特性値(m/s)

VX :パラメータ Xの変動係数

X:パラメータ(確率変数)

Xi:確率変数空間上の確率変数( i = 1,2, ,n )

′ X i:標準化空間上の標準化変数( i = 1,2, ,n )

Xk:パラメータ Xの特性値

xi*:(元の確率変数空間における)確率変数 Xiに対する

設計点

′ x i* :標準化空間上の標準化変数 ′ X iに対する設計点 ˜ x i :確率変数 Xiの特性値

x*:確率変数空間上の設計点

′ x * :標準化空間上の設計点,

ただし, ′ x * = ( ′ x 1* , ′ x 2* , , ′ x n* )である.

Z:性能関数

z:性能関数の変数

α :防衝工との接触点高さにおける船舶の側面の平行舷

(パラレルサイド)の長さと垂線間長との比(一般

に1/3~1/2)

α i*:標準化空間における i番目の軸に対する原点と

設計点を結ぶ単位ベクトルの方向余弦,すなわち

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確率変数 Xiに対する感度係数

αX:パラメータ Xに対する感度係数

β:信頼性指標

βT :目標信頼性指標 βT

′: γ の計算に用いる目標信頼性指標 γ :部分係数

γCe:偏心係数に対する部分係数

γCm:仮想質量係数に対する部分係数

γ DT :船舶の満載時の排水量に対する部分係数 γ f :異常接岸係数

γ g:構造物係数

γ R:抵抗力に対する部分係数

γ S:荷重に対する部分係数

γ Si:荷重 Siに対する部分係数

γVb :船舶の接岸速度に対する部分係数

γ X:パラメータ Xに対する部分係数 γ Xi :確率変数 Xi( i = 1,2, ,n )に対する部分係数

θ :接岸角度(°)(通常,0~10 °程度)

µ:平均値

µR:抵抗力 Rの平均値

µS:荷重 Sの平均値

µX :パラメータ Xの平均値

µZ:性能関数の平均値 µXi

N :確率変数 Xiの元の確率分布に対応する近似

正規分布の平均値

π :円周率

ρ:海水の単位体積質量(=1.03)(t/m3)

σ :標準偏差

σ R:抵抗力 Rの標準偏差

σ S:荷重 Sの標準偏差

σ Z:性能関数の標準偏差 σ Xi

N :確率変数 Xiの元の確率分布に対応する近似

正規分布の標準偏差 Φ( ⋅ ):標準正規確率分布関数

φ :防衝工の製造上の誤差(性能公差)(通常φ =0.9) φ ( ⋅ ):標準正規確率密度関数

∇:船舶の排水体積(m3)

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付録A 船種別の満載時の排水量(排水トン数)の回帰式および標準偏差

本文中,4.3 パラメータの確率分布の設定において説明した船種別の満載時の排水量(排水トン数)の回帰式および標準

偏差のグラフを以下に示す.

貨物船

0

20,000

40,000

60,000

80,000

100,000

120,000

140,000

160,000

180,000

200,000

0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000 140,000 160,000

載荷重量トン数(DWT)

排水

量(排

水トン

数)(

t)

平均値

平均値+標準偏差

図-A.1 満載時の排水量(排水トン数)の

回帰式および標準偏差(貨物船)

コンテナ船

0

20,000

40,000

60,000

80,000

100,000

120,000

140,000

160,000

0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000

載荷重量トン数(DWT)

排水

量(排

水ト

ン数

)(t)

平均値

平均値+標準偏差

図-A.2 満載時の排水量(排水トン数)の

回帰式および標準偏差(コンテナ船)

タンカー

0

50,000

100,000

150,000

200,000

250,000

300,000

350,000

400,000

450,000

0 50,000 100,000 150,000 200,000 250,000 300,000 350,000

載荷重量トン数(DWT)

排水

量(排

水ト

ン数

)(t)

平均値

平均値+標準偏差

図-A.3 満載時の排水量(排水トン数)の

回帰式および標準偏差(タンカー)

RORO船

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

70,000

0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 70,000

総トン数(GT)

排水

量(排

水ト

ン数

)(t)

平均値

平均値+標準偏差

図-A.4 満載時の排水量(排水トン数)の

回帰式および標準偏差(RORO船)

PCC船

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 70,000

総トン数(GT)

排水

量(排

水ト

ン数

)(t)

平均値

平均値+標準偏差

図-A.5 満載時の排水量(排水トン数)の

回帰式および標準偏差(PCC船)

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LPG船

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

70,000

80,000

90,000

100,000

0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 70,000

総トン数(GT)

排水

量(排

水ト

ン数

)(t)

平均値

平均値+標準偏差

図-A.6 満載時の排水量(排水トン数)の

回帰式および標準偏差(LPG船)

LNG船

0

20,000

40,000

60,000

80,000

100,000

120,000

140,000

0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000

総トン数(GT)

排水

量(排

水ト

ン数

)(t)

平均値

平均値+標準偏差

図-A.7 満載時の排水量(排水トン数)の

回帰式および標準偏差(LNG船)

旅客船

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

70,000

0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000

総トン数(GT)

排水

量(排

水ト

ン数

)(t)

平均値

平均値+標準偏差

図-A.8 満載時の排水量(排水トン数)の

回帰式および標準偏差(旅客船)

中短距離フェリー

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

16,000

18,000

20,000

0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 14,000

総トン数(GT)

排水

量(排

水ト

ン数

)(t)

平均値

平均値+標準偏差

図-A.9 満載時の排水量(排水トン数)の

回帰式および標準偏差(中短距離フェリー)

長距離フェリー

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000

総トン数(GT)

排水

量(排

水ト

ン数

)(t)

平均値

平均値+標準偏差

図-A.10 満載時の排水量(排水トン数)の

回帰式および標準偏差(長距離フェリー)

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付録B 船種別の接岸速度の回帰式および標準偏差

本文中,4.3 パラメータの確率分布の設定において説明した船種別の接岸速度の回帰式および標準偏差のグラフを以下に

示す.

貨物船

0.00

0.05

0.10

0.15

0.20

0.25

0.30

0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000 140,000 160,000

載荷重量トン数(DWT)

接岸

速度

(m/s

平均値

平均値+標準偏差

図-B.1 接岸速度の回帰式および標準偏差

(貨物船)

コンテナ船

0.00

0.05

0.10

0.15

0.20

0.25

0.30

0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000

載荷重量トン数(DWT)

接岸

速度

(m/s

平均値

平均値+標準偏差

図-B.2 接岸速度の回帰式および標準偏差

(コンテナ船)

タンカー

0.00

0.05

0.10

0.15

0.20

0.25

0.30

0 50,000 100,000 150,000 200,000 250,000 300,000 350,000

載荷重量トン数(DWT)

接岸

速度

(m/s

平均値

平均値+標準偏差

図-B.3 接岸速度の回帰式および標準偏差

(タンカー)

RORO船

0.00

0.05

0.10

0.15

0.20

0.25

0.30

0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 70,000

総トン数(GT)

接岸

速度

(m/s

平均値

平均値+標準偏差

図-B.4 接岸速度の回帰式および標準偏差

(RORO船)

PCC船

0.00

0.05

0.10

0.15

0.20

0.25

0.30

0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 70,000

総トン数(GT)

接岸

速度

(m/s

平均値

平均値+標準偏差

図-B.5 接岸速度の回帰式および標準偏差

(PCC船)

Page 33: 港湾空港技術研究所 資料No. 1115 March 2006 防衝工の信頼性設計法における部分係数の提案 米山 治男 高橋 宏直 後藤 文子 独立行政法人港湾空港技術研究所

-32-

LPG船

0.00

0.05

0.10

0.15

0.20

0.25

0.30

0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 70,000

総トン数(GT)

接岸

速度

(m/s

平均値

平均値+標準偏差

図-B.6 接岸速度の回帰式および標準偏差

(LPG船)

LNG船

0.00

0.05

0.10

0.15

0.20

0.25

0.30

0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000

総トン数(GT)

接岸

速度

(m/s

平均値

平均値+標準偏差

図-B.7 接岸速度の回帰式および標準偏差

(LNG船)

旅客船

0.00

0.05

0.10

0.15

0.20

0.25

0.30

0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000

総トン数(GT)

接岸

速度

(m/s

平均値

平均値+標準偏差

図-B.8 接岸速度の回帰式および標準偏差

(旅客船)

中短距離フェリー

0.00

0.05

0.10

0.15

0.20

0.25

0.30

0.35

0.40

0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 14,000

総トン数(GT)

接岸

速度

(m/s

平均値

平均値+標準偏差

図-B.9 接岸速度の回帰式および標準偏差

(中短距離フェリー)

長距離フェリー

0.00

0.05

0.10

0.15

0.20

0.25

0.30

0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000

総トン数(GT)

接岸

速度

(m/s

平均値

平均値+標準偏差

図-B.10 接岸速度の回帰式および標準偏差

(長距離フェリー)

Page 34: 港湾空港技術研究所 資料No. 1115 March 2006 防衝工の信頼性設計法における部分係数の提案 米山 治男 高橋 宏直 後藤 文子 独立行政法人港湾空港技術研究所

-33-

付録C 船種別の仮想質量係数の回帰式および標準偏差

本文中,4.3 パラメータの確率分布の設定において説明した船種別の仮想質量係数の回帰式および標準偏差のグラフを以

下に示す.

貨物船

1.5

1.6

1.7

1.8

1.9

2.0

2.1

2.2

2.3

2.4

2.5

0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000 140,000 160,000

載荷重量トン数(DWT)

仮想

質量

係数

平均値

平均値+標準偏差

図-C.1 仮想質量係数の回帰式および標準偏差

(貨物船)

コンテナ船

1.5

1.6

1.7

1.8

1.9

2.0

2.1

2.2

2.3

2.4

2.5

0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000

載荷重量トン数(DWT)

仮想

質量

係数

平均値

平均値+標準偏差

図-C.2 仮想質量係数の回帰式および標準偏差

(コンテナ船)

タンカー

1.5

1.6

1.7

1.8

1.9

2.0

2.1

2.2

2.3

2.4

2.5

0 50,000 100,000 150,000 200,000 250,000 300,000 350,000

載荷重量トン数(DWT)

仮想

質量

係数

平均値

平均値+標準偏差

図-C.3 仮想質量係数の回帰式および標準偏差

(タンカー)

RORO船

1.5

1.6

1.7

1.8

1.9

2.0

2.1

2.2

2.3

2.4

2.5

0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 70,000

総トン数(GT)

仮想

質量

係数

平均値

平均値+標準偏差

図-C.4 仮想質量係数の回帰式および標準偏差

(RORO船)

PCC船

1.5

1.6

1.7

1.8

1.9

2.0

2.1

2.2

2.3

2.4

2.5

0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 70,000

総トン数(GT)

仮想

質量

係数

平均値

平均値+標準偏差

図-C.5 仮想質量係数の回帰式および標準偏差

(PCC船)

Page 35: 港湾空港技術研究所 資料No. 1115 March 2006 防衝工の信頼性設計法における部分係数の提案 米山 治男 高橋 宏直 後藤 文子 独立行政法人港湾空港技術研究所

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LPG船

1.5

1.6

1.7

1.8

1.9

2.0

2.1

2.2

2.3

2.4

2.5

0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 70,000

総トン数(GT)

仮想

質量

係数

平均値

平均値+標準偏差

図-C.6 仮想質量係数の回帰式および標準偏差

(LPG船)

LNG船

1.5

1.6

1.7

1.8

1.9

2.0

2.1

2.2

2.3

2.4

2.5

0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000

総トン数(GT)

仮想

質量

係数

平均値

平均値+標準偏差

図-C.7 仮想質量係数の回帰式および標準偏差

(LNG船)

旅客船

1.5

1.6

1.7

1.8

1.9

2.0

2.1

2.2

2.3

2.4

2.5

0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000

総トン数(GT)

仮想

質量

係数

平均値

平均値+標準偏差

図-C.8 仮想質量係数の回帰式および標準偏差

(旅客船)

中短距離フェリー

1.5

1.6

1.7

1.8

1.9

2.0

2.1

2.2

2.3

2.4

2.5

0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 14,000

総トン数(GT)

仮想

質量

係数

平均値

平均値+標準偏差

図-C.9 仮想質量係数の回帰式および標準偏差

(中短距離フェリー)

長距離フェリー

1.5

1.6

1.7

1.8

1.9

2.0

2.1

2.2

2.3

2.4

2.5

0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000

総トン数(GT)

仮想

質量

係数

平均値

平均値+標準偏差

図-C.10 仮想質量係数の回帰式および標準偏差

(長距離フェリー)

Page 36: 港湾空港技術研究所 資料No. 1115 March 2006 防衝工の信頼性設計法における部分係数の提案 米山 治男 高橋 宏直 後藤 文子 独立行政法人港湾空港技術研究所

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付録D 船種別の偏心係数の回帰式および標準偏差

本文中,4.3 パラメータの確率分布の設定において説明した船種別の偏心係数の回帰式および標準偏差のグラフを以下に

示す.

貨物船

0.40

0.45

0.50

0.55

0.60

0.65

0.70

0.75

0.80

0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000 140,000 160,000

載荷重量トン数(DWT)

偏心

係数

平均値

平均値+標準偏差

図-D.1 偏心係数の回帰式および標準偏差

(貨物船)

コンテナ船

0.40

0.45

0.50

0.55

0.60

0.65

0.70

0.75

0.80

0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000

載荷重量トン数(DWT)

偏心

係数

平均値

平均値+標準偏差

図-D.2 偏心係数の回帰式および標準偏差

(コンテナ船)

タンカー

0.40

0.45

0.50

0.55

0.60

0.65

0.70

0.75

0.80

0 50,000 100,000 150,000 200,000 250,000 300,000 350,000

載荷重量トン数(DWT)

偏心

係数

平均値

平均値+標準偏差

図-D.3 偏心係数の回帰式および標準偏差

(タンカー)

RORO船

0.40

0.45

0.50

0.55

0.60

0.65

0.70

0.75

0.80

0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 70,000

総トン数(GT)

偏心

係数

平均値

平均値+標準偏差

図-D.4 偏心係数の回帰式および標準偏差

(RORO船)

PCC船

0.40

0.45

0.50

0.55

0.60

0.65

0.70

0.75

0.80

0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 70,000

総トン数(GT)

偏心

係数

平均値

平均値+標準偏差

図-D.5 偏心係数の回帰式および標準偏差

(PCC船)

Page 37: 港湾空港技術研究所 資料No. 1115 March 2006 防衝工の信頼性設計法における部分係数の提案 米山 治男 高橋 宏直 後藤 文子 独立行政法人港湾空港技術研究所

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LPG船

0.40

0.45

0.50

0.55

0.60

0.65

0.70

0.75

0.80

0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 70,000

総トン数(GT)

偏心

係数

平均値

平均値+標準偏差

図-D.6 偏心係数の回帰式および標準偏差

(LPG船)

LNG船

0.40

0.45

0.50

0.55

0.60

0.65

0.70

0.75

0.80

0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000

総トン数(GT)

偏心

係数

平均値

平均値+標準偏差

図-D.7 偏心係数の回帰式および標準偏差

(LNG船)

旅客船

0.40

0.45

0.50

0.55

0.60

0.65

0.70

0.75

0.80

0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000

総トン数(GT)

偏心

係数

平均値

平均値+標準偏差

図-D.8 偏心係数の回帰式および標準偏差

(旅客船)

中短距離フェリー

0.40

0.45

0.50

0.55

0.60

0.65

0.70

0.75

0.80

0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 14,000

総トン数(GT)

偏心

係数

平均値

平均値+標準偏差

図-D.9 偏心係数の回帰式および標準偏差

(中短距離フェリー)

長距離フェリー

0.40

0.45

0.50

0.55

0.60

0.65

0.70

0.75

0.80

0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000

総トン数(GT)

偏心

係数

平均値

平均値+標準偏差

図-D.10 偏心係数の回帰式および標準偏差

(長距離フェリー)

Page 38: 港湾空港技術研究所 資料No. 1115 March 2006 防衝工の信頼性設計法における部分係数の提案 米山 治男 高橋 宏直 後藤 文子 独立行政法人港湾空港技術研究所

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付録E 船種別の防衝工の規格値の算定結果

本文中,4.4 防衝工の規格値の設定において説明した船種別の防衝工の規格値の算定結果を以下に示す.

表-E.1 防衝工の規格値の算定結果(貨物船)

DT Vb Cm Ce1 1,000 0.01 2.33 118.2 -0.066 -0.993 -0.085 -0.0532 2,000 0.01 2.33 148.0 -0.066 -0.993 -0.085 -0.0533 3,000 0.01 2.33 168.8 -0.066 -0.993 -0.085 -0.0534 5,000 0.01 2.33 199.2 -0.066 -0.993 -0.085 -0.0535 10,000 0.01 2.33 249.6 -0.066 -0.993 -0.086 -0.0536 12,000 0.01 2.33 264.8 -0.066 -0.993 -0.086 -0.0537 18,000 0.01 2.33 302.2 -0.066 -0.993 -0.086 -0.0538 30,000 0.01 2.33 357.0 -0.066 -0.993 -0.086 -0.0539 40,000 0.01 2.33 392.3 -0.066 -0.993 -0.086 -0.05310 55,000 0.01 2.33 435.6 -0.066 -0.993 -0.086 -0.05211 70,000 0.01 2.33 471.8 -0.066 -0.993 -0.086 -0.05212 90,000 0.01 2.33 512.8 -0.066 -0.993 -0.087 -0.05213 120,000 0.01 2.33 564.5 -0.066 -0.993 -0.087 -0.05114 150,000 0.01 2.33 608.5 -0.066 -0.993 -0.088 -0.051

破壊確率Pf

信頼性指標β

ケース載荷重量トン

DWT防衝工規格値

Ecat(kNm)感度係数 α

表-E.2 防衝工の規格値の算定結果(コンテナ船)

DT Vb Cm Ce1 10,000 0.01 2.33 257.6 -0.065 -0.995 -0.066 -0.0442 20,000 0.01 2.33 322.9 -0.065 -0.995 -0.066 -0.0443 30,000 0.01 2.33 368.6 -0.065 -0.995 -0.066 -0.0444 40,000 0.01 2.33 405.0 -0.065 -0.995 -0.065 -0.0445 50,000 0.01 2.33 435.9 -0.065 -0.995 -0.065 -0.0446 60,000 0.01 2.33 462.8 -0.065 -0.995 -0.065 -0.0457 100,000 0.01 2.33 548.2 -0.065 -0.995 -0.064 -0.045

破壊確率Pf

信頼性指標β

ケース載荷重量トン

DWT防衝工規格値

Ecat(kNm)感度係数 α

表-E.3 防衝工の規格値の算定結果(タンカー)

DT Vb Cm Ce1 1,000 0.01 2.33 113.6 -0.175 -0.983 -0.058 -0.0282 2,000 0.01 2.33 142.2 -0.175 -0.983 -0.058 -0.0283 3,000 0.01 2.33 162.2 -0.175 -0.983 -0.058 -0.0284 5,000 0.01 2.33 191.5 -0.175 -0.983 -0.058 -0.0285 10,000 0.01 2.33 239.9 -0.175 -0.983 -0.058 -0.0286 15,000 0.01 2.33 273.7 -0.175 -0.983 -0.058 -0.0287 20,000 0.01 2.33 300.7 -0.175 -0.983 -0.058 -0.0288 30,000 0.01 2.33 343.4 -0.175 -0.983 -0.058 -0.0289 50,000 0.01 2.33 406.3 -0.175 -0.983 -0.057 -0.02810 70,000 0.01 2.33 454.3 -0.175 -0.983 -0.057 -0.02811 90,000 0.01 2.33 494.2 -0.175 -0.983 -0.057 -0.02812 100,000 0.01 2.33 512.0 -0.175 -0.983 -0.057 -0.02813 150,000 0.01 2.33 587.8 -0.175 -0.983 -0.057 -0.02814 300,000 0.01 2.33 750.3 -0.175 -0.983 -0.056 -0.028

防衝工規格値Ecat(kNm)

感度係数 αケース

載荷重量トンDWT

破壊確率Pf

信頼性指標β

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-38-

表-E.4 防衝工の規格値の算定結果(RORO船)

DT Vb Cm Ce1 3,000 0.01 2.33 151.1 -0.288 -0.946 -0.115 -0.0892 5,000 0.01 2.33 178.4 -0.288 -0.946 -0.115 -0.0893 10,000 0.01 2.33 223.9 -0.288 -0.946 -0.115 -0.0894 20,000 0.01 2.33 281.6 -0.288 -0.947 -0.115 -0.0885 40,000 0.01 2.33 355.8 -0.288 -0.947 -0.115 -0.0886 60,000 0.01 2.33 409.5 -0.288 -0.947 -0.115 -0.087

感度係数 α防衝工規格値Ecat(kNm)

ケース 総トン

GT破壊確率

Pf信頼性指標

β

表-E.5 防衝工の規格値の算定結果(PCC船)

DT Vb Cm Ce1 3,000 0.01 2.33 129.1 -0.276 -0.955 -0.080 -0.0662 5,000 0.01 2.33 152.7 -0.276 -0.955 -0.080 -0.0663 12,000 0.01 2.33 204.3 -0.276 -0.955 -0.080 -0.0664 20,000 0.01 2.33 243.1 -0.276 -0.956 -0.079 -0.0665 30,000 0.01 2.33 280.1 -0.276 -0.956 -0.078 -0.0666 40,000 0.01 2.33 310.4 -0.276 -0.956 -0.077 -0.0667 60,000 0.01 2.33 361.1 -0.276 -0.956 -0.075 -0.066

破壊確率Pf

ケース 総トン

GT防衝工規格値

Ecat(kNm)感度係数 α信頼性指標

β

表-E.6 防衝工の規格値の算定結果(LPG船)

DT Vb Cm Ce1 3,000 0.01 2.33 200.5 -0.384 -0.917 -0.092 -0.0472 5,000 0.01 2.33 236.1 -0.384 -0.917 -0.093 -0.0473 10,000 0.01 2.33 294.2 -0.384 -0.917 -0.094 -0.0474 20,000 0.01 2.33 364.7 -0.384 -0.917 -0.095 -0.0465 30,000 0.01 2.33 411.6 -0.384 -0.917 -0.097 -0.0466 40,000 0.01 2.33 446.9 -0.384 -0.917 -0.099 -0.0467 60,000 0.01 2.33 498.0 -0.384 -0.917 -0.104 -0.045

ケース 総トン

GT破壊確率

Pf信頼性指標

β防衝工規格値

Ecat(kNm)感度係数 α

表-E.7 防衝工の規格値の算定結果(LNG船)

DT Vb Cm Ce1 20,000 0.01 2.33 284.6 -0.204 -0.977 -0.046 -0.0362 30,000 0.01 2.33 321.5 -0.204 -0.977 -0.047 -0.0363 50,000 0.01 2.33 372.2 -0.204 -0.977 -0.048 -0.0364 80,000 0.01 2.33 420.7 -0.204 -0.977 -0.049 -0.0365 100,000 0.01 2.33 443.2 -0.204 -0.977 -0.050 -0.036

感度係数 α信頼性指標β

防衝工規格値Ecat(kNm)

ケース 総トン

GT破壊確率

Pf

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表-E.8 防衝工の規格値の算定結果(旅客船)

DT Vb Cm Ce1 3,000 0.01 2.33 112.0 -0.197 -0.976 -0.066 -0.0612 5,000 0.01 2.33 132.2 -0.197 -0.976 -0.066 -0.0613 10,000 0.01 2.33 165.5 -0.197 -0.976 -0.066 -0.0614 20,000 0.01 2.33 207.2 -0.197 -0.976 -0.067 -0.0605 30,000 0.01 2.33 236.4 -0.197 -0.976 -0.067 -0.0606 50,000 0.01 2.33 279.1 -0.197 -0.976 -0.068 -0.0607 70,000 0.01 2.33 311.2 -0.197 -0.976 -0.068 -0.0598 100,000 0.01 2.33 349.3 -0.197 -0.976 -0.069 -0.058

感度係数 αケース

総トン GT

破壊確率Pf

信頼性指標β

防衝工規格値Ecat(kNm)

表-E.9 防衝工の規格値の算定結果(中短距離フェリー)

DT Vb Cm Ce1 400 0.01 2.33 82.3 -0.349 -0.933 -0.078 -0.0492 700 0.01 2.33 98.6 -0.349 -0.933 -0.078 -0.0493 1,000 0.01 2.33 110.6 -0.349 -0.933 -0.078 -0.0494 3,000 0.01 2.33 157.0 -0.349 -0.933 -0.078 -0.0495 7,000 0.01 2.33 204.5 -0.348 -0.933 -0.078 -0.0506 10,000 0.01 2.33 227.7 -0.348 -0.933 -0.078 -0.0507 13,000 0.01 2.33 245.9 -0.349 -0.933 -0.078 -0.051

破壊確率Pf

ケース 総トン

GT防衝工規格値

Ecat(kNm)感度係数 α信頼性指標

β

表-E.10 防衝工の規格値の算定結果(長距離フェリー)

DT Vb Cm Ce1 6,000 0.01 2.33 182.0 -0.162 -0.984 -0.070 -0.0382 10,000 0.01 2.33 212.2 -0.162 -0.983 -0.071 -0.0383 15,000 0.01 2.33 238.2 -0.162 -0.983 -0.072 -0.0394 20,000 0.01 2.33 257.3 -0.162 -0.983 -0.073 -0.039

破壊確率Pf

信頼性指標β

ケース 総トン

GT防衝工規格値

Ecat(kNm)感度係数 α

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付録F 船種別の部分係数の算定結果

本文中,4.6 部分係数の算定において説明した船種別の目標信頼性指標の最適値に対する部分係数の算定結果を以下に示

す.

表-F.1 部分係数の算定結果(貨物船)

DT Vb Cm Ce1 1,000 3.06 1.01 2.06 1.02 1.01 118.22 2,000 3.06 1.01 2.06 1.02 1.01 148.03 3,000 3.06 1.01 2.06 1.02 1.01 168.84 5,000 3.06 1.01 2.06 1.02 1.01 199.25 10,000 3.06 1.01 2.06 1.02 1.01 249.66 12,000 3.06 1.01 2.06 1.02 1.01 264.87 18,000 3.06 1.01 2.06 1.02 1.01 302.28 30,000 3.06 1.01 2.06 1.02 1.01 357.09 40,000 3.06 1.01 2.06 1.02 1.01 392.310 55,000 3.06 1.01 2.06 1.02 1.01 435.711 70,000 3.06 1.01 2.06 1.02 1.01 471.812 90,000 3.06 1.01 2.06 1.02 1.01 512.813 120,000 3.06 1.01 2.06 1.02 1.01 564.514 150,000 3.06 1.01 2.06 1.02 1.01 608.6

ケース載荷重量トン

DWT部分係数 γ 防衝工設計値

Ecat(kNm)目標信頼性指標

βT

表-F.2 部分係数の算定結果(コンテナ船)

DT Vb Cm Ce1 10,000 3.06 1.01 2.07 1.01 1.00 257.62 20,000 3.07 1.01 2.07 1.01 1.00 322.93 30,000 3.07 1.01 2.07 1.01 1.00 368.64 40,000 3.07 1.01 2.07 1.01 1.00 405.05 50,000 3.07 1.01 2.07 1.01 1.00 435.86 60,000 3.07 1.01 2.07 1.01 1.00 462.87 100,000 3.07 1.01 2.07 1.01 1.00 548.3

ケース載荷重量トン

DWT目標信頼性指標

βT部分係数 γ 防衝工設計値

Ecat(kNm)

表-F.3 部分係数の算定結果(タンカー)

DT Vb Cm Ce1 1,000 3.01 1.07 2.04 1.01 1.00 113.62 2,000 3.01 1.07 2.04 1.01 1.00 142.23 3,000 3.01 1.07 2.04 1.01 1.00 162.24 5,000 3.01 1.07 2.04 1.01 1.00 191.55 10,000 3.01 1.07 2.04 1.01 1.00 239.96 15,000 3.01 1.07 2.04 1.01 1.00 273.77 20,000 3.01 1.07 2.04 1.01 1.00 300.78 30,000 3.01 1.07 2.04 1.01 1.00 343.49 50,000 3.01 1.07 2.04 1.01 1.00 406.210 70,000 3.01 1.07 2.04 1.01 1.00 454.211 90,000 3.01 1.07 2.04 1.01 1.00 494.312 100,000 3.01 1.07 2.04 1.01 1.00 511.913 150,000 3.01 1.07 2.04 1.01 1.00 587.814 300,000 3.01 1.07 2.04 1.01 1.00 750.3

防衝工設計値Ecat(kNm)

目標信頼性指標βT

部分係数 γケース

載荷重量トンDWT

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表-F.4 部分係数の算定結果(RORO船)

DT Vb Cm Ce1 3,000 2.88 1.20 1.95 1.03 1.02 151.12 5,000 2.88 1.20 1.95 1.03 1.02 178.43 10,000 2.88 1.20 1.95 1.03 1.02 223.94 20,000 2.88 1.20 1.95 1.03 1.02 281.65 40,000 2.88 1.20 1.95 1.03 1.02 355.86 60,000 2.88 1.20 1.95 1.03 1.02 409.5

ケース 総トン

GT目標信頼性指標

βT部分係数 γ 防衝工設計値

Ecat(kNm)

表-F.5 部分係数の算定結果(PCC船)

DT Vb Cm Ce1 3,000 2.91 1.18 1.97 1.01 1.01 129.12 5,000 2.91 1.18 1.97 1.01 1.01 152.73 12,000 2.91 1.18 1.97 1.01 1.01 204.34 20,000 2.91 1.18 1.97 1.01 1.01 243.15 30,000 2.91 1.18 1.97 1.01 1.01 280.16 40,000 2.91 1.18 1.97 1.01 1.01 310.47 60,000 2.91 1.18 1.97 1.01 1.01 361.2

ケース 総トン

GT防衝工設計値

Ecat(kNm)目標信頼性指標

βT部分係数 γ

表-F.6 部分係数の算定結果(LPG船)

DT Vb Cm Ce1 3,000 2.80 1.41 1.90 1.02 1.00 200.52 5,000 2.80 1.41 1.90 1.02 1.00 236.13 10,000 2.80 1.41 1.90 1.02 1.00 294.24 20,000 2.80 1.41 1.90 1.02 1.00 364.75 30,000 2.80 1.41 1.90 1.02 1.00 411.56 40,000 2.80 1.41 1.90 1.02 1.00 447.07 60,000 2.79 1.41 1.90 1.02 1.00 498.0

ケース 総トン

GT目標信頼性指標

βT部分係数 γ 防衝工設計値

Ecat(kNm)

表-F.7 部分係数の算定結果(LNG船)

DT Vb Cm Ce1 20,000 2.99 1.09 2.02 1.00 1.00 284.62 30,000 2.99 1.09 2.02 1.00 1.00 321.53 50,000 2.99 1.09 2.02 1.00 1.00 372.24 80,000 2.99 1.09 2.02 1.01 1.00 420.75 100,000 2.99 1.09 2.02 1.01 1.00 443.2

防衝工設計値Ecat(kNm)

ケース 総トン

GT目標信頼性指標

βT部分係数 γ

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表-F.8 部分係数の算定結果(旅客船)

DT Vb Cm Ce1 3,000 2.99 1.09 2.02 1.01 1.01 112.02 5,000 2.99 1.09 2.02 1.01 1.01 132.23 10,000 2.99 1.09 2.02 1.01 1.01 165.54 20,000 2.99 1.09 2.02 1.01 1.01 207.25 30,000 2.99 1.09 2.02 1.01 1.01 236.46 50,000 2.99 1.09 2.02 1.01 1.01 279.17 70,000 2.99 1.09 2.02 1.01 1.01 311.28 100,000 2.99 1.09 2.02 1.01 1.01 349.2

ケース 総トン

GT目標信頼性指標

βT部分係数 γ 防衝工設計値

Ecat(kNm)

表-F.9 部分係数の算定結果(中短距離フェリー)

DT Vb Cm Ce1 400 2.84 1.32 1.93 1.01 1.00 82.32 700 2.84 1.32 1.93 1.01 1.00 98.63 1,000 2.84 1.32 1.93 1.01 1.01 110.64 3,000 2.84 1.32 1.93 1.01 1.01 157.05 7,000 2.84 1.32 1.93 1.01 1.01 204.56 10,000 2.84 1.32 1.93 1.01 1.01 227.77 13,000 2.84 1.32 1.93 1.01 1.01 245.9

ケース 総トン

GT目標信頼性指標

βT部分係数 γ 防衝工設計値

Ecat(kNm)

表-F.10 部分係数の算定結果(長距離フェリー)

DT Vb Cm Ce1 6,000 3.02 1.06 2.04 1.01 1.00 182.02 10,000 3.02 1.06 2.04 1.01 1.00 212.23 15,000 3.02 1.06 2.04 1.01 1.00 238.24 20,000 3.02 1.06 2.04 1.01 1.00 257.3

ケース 総トン

GT目標信頼性指標

βT部分係数 γ 防舷材設計値

Ecat(kNm)

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付録G 船種別の部分係数の標準値

本文中,4.6 部分係数の算定において説明した船種別の部分係数の標準値の詳細について以下に示す.

表-G.1 部分係数の標準値(詳細)

目標信頼性指標βT 2.33 目標破壊確率 PfT 0.01

船 種 部分係数 γ

感度係数 α

変動係数 V

平均値と 特性値の比

µ/Xk

γ の計算に用いる目標信頼性指標

βT’ 排水量 DT 1.01 -0.066 0.045

接岸速度Vb 2.06 -0.993 0.350

仮想質量係数Cm 1.02 -0.086 0.060 貨物船

偏心係数Ce 1.01 -0.052 0.036

3.06

排水量 DT 1.01 -0.065 0.045

接岸速度Vb 2.07 -0.995 0.350

仮想質量係数Cm 1.01 -0.065 0.045 コンテナ船

偏心係数Ce 1.00 -0.044 0.030

3.07

排水量 DT 1.07 -0.175 0.127

接岸速度Vb 2.04 -0.983 0.350

仮想質量係数Cm 1.01 -0.057 0.040 タンカー

偏心係数Ce 1.00 -0.028 0.020

3.01

排水量 DT 1.20 -0.288 0.240

接岸速度Vb 1.95 -0.947 0.350

仮想質量係数Cm 1.03 -0.115 0.085

ロールオン・ ロールオフ (RORO)船

偏心係数Ce 1.02 -0.088 0.064

2.88

排水量 DT 1.18 -0.276 0.225

接岸速度Vb 1.97 -0.956 0.350

仮想質量係数Cm 1.01 -0.078 0.056

自動車専用 (PCC)船

偏心係数Ce 1.01 -0.066 0.047

2.91

排水量 DT 1.41 -0.384 0.382

接岸速度Vb 1.90 -0.917 0.350

仮想質量係数Cm 1.02 -0.096 0.073 LPG 船

偏心係数Ce 1.00 -0.046 0.034

2.80

排水量 DT 1.09 -0.204 0.152

接岸速度Vb 2.02 -0.977 0.350

仮想質量係数Cm 1.00 -0.048 0.034 LNG 船

偏心係数Ce 1.00 -0.036 0.025

2.99

排水量 DT 1.09 -0.197 0.146

接岸速度Vb 2.02 -0.976 0.350

仮想質量係数Cm 1.01 -0.067 0.047 旅客船

偏心係数Ce 1.01 -0.060 0.042

2.99

排水量 DT 1.32 -0.349 0.320

接岸速度Vb 1.93 -0.933 0.350

仮想質量係数Cm 1.01 -0.078 0.058

中短距離 フェリー (航海距離 300km 未満) 偏心係数Ce 1.01 -0.050 0.036

2.84

排水量 DT 1.06 -0.162 0.117

接岸速度Vb 2.04 -0.983 0.350

仮想質量係数Cm 1.01 -0.071 0.050

長距離 フェリー (航海距離 300km 以上) 偏心係数Ce 1.00 -0.038 0.027

1.000

3.02

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No. 1115港湾空港技術研究所資料

2006.3

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