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NEWS FUKUOKA 2020.2 6 特集 て、県内生産年齢人口(15歳~64歳)は2000年 をピークに減少し、生産性人口比率は更に低下す る見通しです。(図1) 2)中小企業の生産性 OECD加盟35か国中、わが国の労働生産性は 第21位、生産性上昇率は第22位と低く(図2–1)、 国内中小企業の生産性は、大企業に比べ低いの が現状です。(図2–2) 福岡県中小企業生産性向上 支援センターについて <第1回>センター事業の紹介 福岡県事業 福岡県中小企業生産性向上支援センター センター長 安松 智 県内雇用の80%を担 う中小企業が抱える人手 不足の生産性課題に対応 するため、昨年9月に支 援推進拠点として「福岡 県中小企業生産性向上支 援センター」を開設しま した。 以下、このセンター事 業について紹介します。 1)県内生産人口比率の低下 わが国の急激な少子高齢化の中、昨年度の県 の統計によりますと本県の総人口は、まだ増加 基調にあるものの、長期的にみるとやがてピーク アウトし、減少局面に転化する見通しです。そし 1.はじめに 2. 県内中小企業を取り巻く環境と課題 図2-1OECD加盟諸国の労働生産性比較 ヵヰ ヱヰヰ ヱヵヰ (購買力平価換算)(3222 WUドル) 資料:日本生産性本部「日本の生産性の動向4239版」 ヴくヰ ヲくヰ ヰくヰ ヲくヰ ヴくヰ ヶくヰ (%) 日本 日本 43位 42位 労働生産性(4238年) 労働生産性平均上昇率(4228ー4238年) 図1福岡県総人口、年齢別人口の推移 資料:総務省「国勢調査」,「人口推計」(1994年以前),福岡県「福岡県の人口と世 帯年報」(1996年以降),国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計 人口(平成30年3月推計)」を再編加工 2 322 422 522 622 722 822 3;42 3;52 3;62 3;72 3;82 3;92 3;:2 3;;2 4222 4232 4242 4252 4262 生産年齢人口 年少人口 老年人口 4267 社人研による 推計値(2018年)

福岡県事業 特集 福岡県中小企業生産性向上€¦ · 2)中小企業の生産性 oecd加盟35か国中、わが国の労働生産性は 第21位、生産性上昇率は第22位と低く(図2–1)、

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NEWS FUKUOKA 2020.26

②特集

て、県内生産年齢人口(15歳~64歳)は2000年をピークに減少し、生産性人口比率は更に低下する見通しです。(図1)

2)中小企業の生産性 OECD加盟35か国中、わが国の労働生産性は第21位、生産性上昇率は第22位と低く(図2–1)、国内中小企業の生産性は、大企業に比べ低いのが現状です。(図2–2)

福岡県中小企業生産性向上支援センターについて<第1回>センター事業の紹介

福岡県事業

� 福岡県中小企業生産性向上支援センターセンター長 安松 智

 県内雇用の80%を担う中小企業が抱える人手不足の生産性課題に対応するため、昨年9月に支援推進拠点として「福岡県中小企業生産性向上支援センター」を開設しました。 以下、このセンター事業について紹介します。

1)県内生産人口比率の低下 わが国の急激な少子高齢化の中、昨年度の県の統計によりますと本県の総人口は、まだ増加基調にあるものの、長期的にみるとやがてピークアウトし、減少局面に転化する見通しです。そし

1.はじめに

2.県内中小企業を取り巻く環境と課題

図2-1��OECD加盟諸国の労働生産性比較図2-1 OECD加盟諸国の労働生産性比較

(購買力平価換算)( ドル)資料:日本生産性本部「日本の生産性の動向 版」

労働生産性( 年)

▲ ▲

労働生産性平均上昇率( ー 年)

(%)

日本 日本位 2位

図2-1 OECD加盟諸国の労働生産性比較

(購買力平価換算)( ドル)資料:日本生産性本部「日本の生産性の動向 版」

労働生産性( 年)

▲ ▲

労働生産性平均上昇率( ー 年)

(%)

日本 日本位 2位

図1��福岡県総人口、年齢別人口の推移

資料:総務省「国勢調査」,「人口推計」(1994年以前),福岡県「福岡県の人口と世帯年報」(1996年以降),国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(平成30年3月推計)」を再編加工

図1福岡県総人口、年齢別人口の推移

資料:総務省「国勢調査」 「人口推計」 年以前 福岡県「福岡県の人口と世帯年報」 年以降

人口(万人)

生産年齢人口

年少人口

老年人口

社人研による推計値(2018年)

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NEWS FUKUOKA 2020.2 7

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特  集

3)県内中小企業の課題 県内中小企業へのアンケートによりますと、主な課題のひとつに人手不足があります。(図3)

 今後進展する人手不足に呼応し、生産性向上を軸にした収益力強化、魅力ある企業づくりを通じた中小企業の変革が重要です。

1)生産性とは 生産性とは投入量(input)に対する産出量

(output)との比で、労働生産性、設備生産性、材料生産性などがあります。

2)生産性向上がもたらす効果 投入量(コスト)を低減すると生産性が向上し、経営収支を改善することができます。また、生産がよりスリムになることで安全・環境・品質の向上、リードタイムの短縮、スペース活用などの効果を得る事ができます。 生産の余力が生まれると、生産の拡大による売上げ拡大、新技術導入、新商品開発、事業拡大など、将来に向けた戦略的経営に向かうことができます。 また、現場に改善文化を醸成し、企業の潜在競

3.生産性向上について

争力を高めることができます。 更に顧客、従業員、仕入先、地域など企業を支えて下さる方々の笑顔につなげることができます。

 そこで、昨年9月17日、県吉塚合同庁舎1Fに当センターを開設しました。 生産性に課題をお持ちの中小企業に寄り添い、生産性アドバイザーが現地現物、専門家の目で企業と伴走し、改善提案、設備導入、効果確認、定着まで一貫して支援します。

〈支援対象〉 中小企業基本法第2条第1項に規定する中小企業者又は中小企業等協同組合法第3条に規定する中小企業等協同組合のうち、県内に本社又は主たる事業所を有し、生産又はサービスの省力化及び合理化に対する高い意欲を有するものが対象です。(第一次産業を除く)

〈支援費用〉 無料です。(但し材料など経費は企業負担)

〈支援期間・回数〉 回数を決めず、生産性向上の取り組みが定着するまで支援します。

4.生産性向上支援の概要

図2-2 企業規模別の時間当たり労働生産性の水準

資料:経済産業省「企業活動基本調査」、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」再編加工

(注) 年度における労働時間 時間当たりの付加価値を示している。

付加価値額=営業利益+ 給与総額+福利厚生費 +動産・不動産賃借料+租税公課+減価償却費

大企業 中小企業

製造業 情報通信業 卸売業、

小売業学術研究、

専門・技術

サービス業

宿泊業・

飲食

サービス業

生活関連

サービス業、

娯楽業

サービス業(他に分類

されないもの)

円 人時

図2-2��企業規模別の時間当たり労働生産性の水準

資料:経済産業省「企業活動基本調査」、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」再編加工(注)1. 2015年度における労働時間1時間当たりの付加価値を示している。  2. 付加価値額=営業利益+(給与総額+福利厚生費)+動産・不動産賃借料+租税公課+減価償却費

図3 中小企業が行政に対して望む支援策(福岡県)

その他海外への販路開拓支援

特産品開発支援観光資源の発掘・発信等の支援技術開発・技術力の向上の支援

事業承継の支援新分野・新事業への進出支援

支援施策の情報発信事業計画策定の支援

地域における相談・支援体制の整備付加価値の高い製品・サービスの開拓支援

国内での販路開拓支援設備導入の支援

人材育成・確保に関する支援資金繰り支援

出所:福岡県商工政策課アンケート調査(平成 年 月~ 月)より作成

図3��中小企業が行政に対して望む支援策(福岡県)

センター全景

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関と連携して活動を推進します。〈診断スタッフ5名〉

 中小企業診断士4名と技術士1名です。 企業を訪問し、困りごとを聞かせて頂いたのち、収益・財務状況と課題とをひも付けし、課題のありか(領域)を明確にしたうえで診断レポートにまとめ、生産性アドバイザーにつなぎます。〈生産性アドバイザー9名〉

 県内企業から出向・転籍し集結しました。 ロボット、自動車、電機、食品製造、デジタル技術、サービス業で開発・設計・生産技術・生産の実務と企業支援を経験してきた専門家集団です。 企業訪問を通じ、現地現物で、現状把握と分析を通じ、解決策の検討、成果の確認、定着まで企業に寄り添い、サポートします。

3)資金面での支援制度 生産性向上のための設備投資、治具・器具の導入を支援します。 下記補助金制度、融資制度共に、生産性アドバイザーによる支援を受けていることが必須です。●福岡県中小企業生産性向上設備導入支援補助金

・補助率1/2以内。・補助限度額・採択予定件数(年度毎に変更)〈参考:令和元年度〉

自動化・IoT装置 1,000万円 1件程度治具・器具 150万円 10件程度

●福岡県中小企業融資制度「経営革新資金」 (生産性向上型) 融資利率1.10% 保証料率0.05%~1.42% 金融機関にて審査の上、融資の決定をします。

1)支援の流れ(図4)

Step1 企業から支援相談を受けましたら、当センター支援について説明し、困りごとを伺います。

Step2 ご利用を決断されましたら「支援申込書」を提出頂きます。

Step3 診断スタッフが現場を訪問し、収益・財務状況を伺い、結果を「診断レポート」にまとめます。

Step4 「診断レポート」に基づき、最適な生産性アドバイザーを選任し派遣します。以降このアドバイザーが一貫して担当、支援します。 数回の訪問を通じて現状を把握したのち、企業と共に「生産性向上支援計画書」を策定します。

Step5 アドバイザーのサポートの下、企業が主体的に生産性向上に向けて改善・変革に取り組んで頂きます。成果が確認できましたら「成果報告書」にまとめ、支援は一旦終了します。

Step6 支援終了後も企業には自主的に生産性向上の取組みを継続して頂き、成果の維持、向上状況を支援終了後の翌年度から5年間報告頂きます。

2)センタースタッフの紹介(図5)〈正・副センター長〉

 以下のスタッフを統括するとともに、関係機

5.支援の進め方

企業様 センター

ご相談

・成果報告書作成・継続的取組み

申込書作成

課題確認

生産性向上の取り組み

事業説明ヒヤリング

内容確認

企業診断スタッフ

生産性アドバイザー

随時確認

提出

派遣

診断報告

支援計画作成

支援完了

継続的な支援

生産性向上の成果と定着

報告

派遣

図4 支援の流れ図4��支援の流れ 〈センター長〉 〈副センター長〉

〈診断スタッフ〉安松 智 野田幸之輔

道津 敬文 狹間 流 久野 靖治 萩尾 重則 末松 正典

〈センター長〉 〈副センター長〉 〈診断スタッフ〉

〈生産性アドバイザー〉

田形 昌宏 堤 恒弘 橋本 太 福留 和浩 山下 厚 有竹 岩夫 谷口 清隆大山 昇 中村 治

安松 智 野田 幸之輔 道津 敬文 末松 正典萩尾 重則狹間 流 久野 靖治

図5 センタースタッフ紹介

〈センター長〉 〈副センター長〉 〈診断スタッフ〉

〈生産性アドバイザー〉

田形 昌宏 堤 恒弘 橋本 太 福留 和浩 山下 厚 有竹 岩夫 谷口 清隆大山 昇 中村 治

安松 智 野田 幸之輔 道津 敬文 末松 正典萩尾 重則狹間 流 久野 靖治

図5 センタースタッフ紹介

〈センター長〉 〈副センター長〉 〈診断スタッフ〉

〈生産性アドバイザー〉

田形 昌宏 堤 恒弘 橋本 太 福留 和浩 山下 厚 有竹 岩夫 谷口 清隆大山 昇 中村 治

安松 智 野田 幸之輔 道津 敬文 末松 正典萩尾 重則狹間 流 久野 靖治

図5 センタースタッフ紹介

〈センター長〉 〈副センター長〉 〈診断スタッフ〉

〈生産性アドバイザー〉

田形 昌宏 堤 恒弘 橋本 太 福留 和浩 山下 厚 有竹 岩夫 谷口 清隆大山 昇 中村 治

安松 智 野田 幸之輔 道津 敬文 末松 正典萩尾 重則狹間 流 久野 靖治

図5 センタースタッフ紹介

〈センター長〉 〈副センター長〉 〈診断スタッフ〉

〈生産性アドバイザー〉

田形 昌宏 堤 恒弘 橋本 太 福留 和浩 山下 厚 有竹 岩夫 谷口 清隆大山 昇 中村 治

安松 智 野田 幸之輔 道津 敬文 末松 正典萩尾 重則狹間 流 久野 靖治

図5 センタースタッフ紹介

〈センター長〉 〈副センター長〉 〈診断スタッフ〉

〈生産性アドバイザー〉

田形 昌宏 堤 恒弘 橋本 太 福留 和浩 山下 厚 有竹 岩夫 谷口 清隆大山 昇 中村 治

安松 智 野田 幸之輔 道津 敬文 末松 正典萩尾 重則狹間 流 久野 靖治

図5 センタースタッフ紹介

〈センター長〉 〈副センター長〉 〈診断スタッフ〉

〈生産性アドバイザー〉

田形 昌宏 堤 恒弘 橋本 太 福留 和浩 山下 厚 有竹 岩夫 谷口 清隆大山 昇 中村 治

安松 智 野田 幸之輔 道津 敬文 末松 正典萩尾 重則狹間 流 久野 靖治

図5 センタースタッフ紹介有竹 岩夫 大山 昇 谷口 清隆 中村 治

〈生産性アドバイザー〉

田形 昌宏 堤 恒弘 橋本 太 福留 和浩 山下 厚

〈センター長〉 〈副センター長〉 〈診断スタッフ〉

〈生産性アドバイザー〉

田形 昌宏 堤 恒弘 橋本 太 福留 和浩 山下 厚 有竹 岩夫 谷口 清隆大山 昇 中村 治

安松 智 野田 幸之輔 道津 敬文 末松 正典萩尾 重則狹間 流 久野 靖治

図5 センタースタッフ紹介

〈センター長〉 〈副センター長〉 〈診断スタッフ〉

〈生産性アドバイザー〉

田形 昌宏 堤 恒弘 橋本 太 福留 和浩 山下 厚 有竹 岩夫 谷口 清隆大山 昇 中村 治

安松 智 野田 幸之輔 道津 敬文 末松 正典萩尾 重則狹間 流 久野 靖治

図5 センタースタッフ紹介

〈センター長〉 〈副センター長〉 〈診断スタッフ〉

〈生産性アドバイザー〉

田形 昌宏 堤 恒弘 橋本 太 福留 和浩 山下 厚 有竹 岩夫 谷口 清隆大山 昇 中村 治

安松 智 野田 幸之輔 道津 敬文 末松 正典萩尾 重則狹間 流 久野 靖治

図5 センタースタッフ紹介

〈センター長〉 〈副センター長〉 〈診断スタッフ〉

〈生産性アドバイザー〉

田形 昌宏 堤 恒弘 橋本 太 福留 和浩 山下 厚 有竹 岩夫 谷口 清隆大山 昇 中村 治

安松 智 野田 幸之輔 道津 敬文 末松 正典萩尾 重則狹間 流 久野 靖治

図5 センタースタッフ紹介

〈センター長〉 〈副センター長〉 〈診断スタッフ〉

〈生産性アドバイザー〉

田形 昌宏 堤 恒弘 橋本 太 福留 和浩 山下 厚 有竹 岩夫 谷口 清隆大山 昇 中村 治

安松 智 野田 幸之輔 道津 敬文 末松 正典萩尾 重則狹間 流 久野 靖治

図5 センタースタッフ紹介

〈センター長〉 〈副センター長〉 〈診断スタッフ〉

〈生産性アドバイザー〉

田形 昌宏 堤 恒弘 橋本 太 福留 和浩 山下 厚 有竹 岩夫 谷口 清隆大山 昇 中村 治

安松 智 野田 幸之輔 道津 敬文 末松 正典萩尾 重則狹間 流 久野 靖治

図5 センタースタッフ紹介

〈センター長〉 〈副センター長〉 〈診断スタッフ〉

〈生産性アドバイザー〉

田形 昌宏 堤 恒弘 橋本 太 福留 和浩 山下 厚 有竹 岩夫 谷口 清隆大山 昇 中村 治

安松 智 野田 幸之輔 道津 敬文 末松 正典萩尾 重則狹間 流 久野 靖治

図5 センタースタッフ紹介

〈センター長〉 〈副センター長〉 〈診断スタッフ〉

〈生産性アドバイザー〉

田形 昌宏 堤 恒弘 橋本 太 福留 和浩 山下 厚 有竹 岩夫 谷口 清隆大山 昇 中村 治

安松 智 野田 幸之輔 道津 敬文 末松 正典萩尾 重則狹間 流 久野 靖治

図5 センタースタッフ紹介

〈センター長〉 〈副センター長〉 〈診断スタッフ〉

〈生産性アドバイザー〉

田形 昌宏 堤 恒弘 橋本 太 福留 和浩 山下 厚 有竹 岩夫 谷口 清隆大山 昇 中村 治

安松 智 野田 幸之輔 道津 敬文 末松 正典萩尾 重則狹間 流 久野 靖治

図5 センタースタッフ紹介

図5��センタースタッフ一覧

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1)企業の実態に合わせた支援 企業が生み出している商品やサービス、事業環境、収益・財務状況はさまざまです。 申し込み時の状況に合わせ、寄り添い、現実と目指す姿をしっかり捉え、企業の主体性を大切にし、粘り強く取り組みます。 その際センタースタッフは企業の皆様、商品やサービス、顧客に対し敬意をもって進めます。

2)5つの課題領域に応じた支援 生産性の確実な向上と継続のためには、足元固めとチャレンジのバランスが大切と考え、下記5つの領域から企業に応じた課題を見つけ、対策を進めていきます。①現場の足元改善 まず5Sです。これは目的ではなく、現場のムダや正常/異常が分かるようにする手段です。 その結果見えてきた、やりにくい作業、守りにくいルール、材料・作業・設備・物流などのムダを見つけ、改善につなげます。②QC活動 改善は一人ではできません。作業者と管理者が共に当事者意識を持ち、問題を見つけ「なぜなぜ」を繰り返し、対策を進めることが重要です。 全員参加とチームワーク、現地現物で身近な問題を主体的に改善するQC活動は、生産性向上を推進、継続させる土台になります。③工程改革や治具の活用 生産現場の人と物(製品)と情報の流れを俯瞰し、定量的にとらえ、シンプル・スムーズ・フレキシブルに変えることで、より効率的な生産を実現できます。 つまり作業手順、工程、物流、情報管理、レイアウト、生産計画などの見直しや治具の活用が有効です。

6.企業の実情と課題に応じた支援の形④自働化・IoT活用 作業時間の画期的短縮や省人化には、ロボットや画像処理など動作部とセンサーを組み合わせたシステム導入が有効です。 また、原理原則に基づいた加工解析やIoT技術活用などにより、確かな良品条件の実現、リアルタイムな生産管理など、更なる生産性向上につなげることができます。⑤事務改革 ムダは現場だけでなく技術者による製品開発、生産準備、オフィスでの各種情報加工、受発注作業など事務プロセスにも見つけることができます。 作業ソフトやネットワーク技術などの情報技術を活用することで、データの共有や作業プロセスの自働化など、ダブりやムダを低減させることができます。 もちろん①②③と同様、まず作業実態の詳細な把握と分析を行なうことが重要です。 以上の観点で、どの領域を優先して取り組むのか企業とともにしっかり考え、進めていきます。

 センター開設前からパンフレット、メディア、ホームページ、また、中小企業支援各機関の協力を頂き、県内中小企業への声掛け、周知活動を行なっています。 そしてセンター開設3ヶ月余り、60の企業(12月末時点)から申し込みを頂いています。

〈現在の支援企業の地域・業種分布〉 県内4地域、ほぼ偏りなく申込み頂き、支援しています。(図6) 業種別では、製造業が51社、建設業が2社、サービス業が7社です。製造業では食料品、次いで生産用機械器具、繊維・プラスチック・電気機械器具となっています。

7.現在の活動状況

図6��支援企業の業種・地域分布�� �������������

食品 生産機械 プラスチック 電気機械 繊維 飲料 金属 印刷 化学 窯業土石 輸送機械 家具 ゴム 鉄鋼 はん用機械 電子部品 その他製造 建設 サービス業

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〈課題の分布〉(複数課題もカウント) 支援を行なっている企業の課題を領域別に示します。(図7)

 地道な改善(①②)と思い切った変革(③④⑤)を順に、或いは並行して進めています。 また、特に小規模な企業は「納期遅れを何とかしたい」「属人的なノウハウをチーム内で共有したい」など、単一課題の支援を要望しているので、それに沿って支援しています。

〈具体的な支援内容の紹介〉 表1に示しますように、足元改善から工程改革、設備導入などさまざまです。 生産性を高め、余力が生まれたのちに、売上げ

の拡大、新商品開発へのシフトなど事業の発展を考える企業もあります。

〈外部機関との協力・連携〉 課題解決に高度な専門技術が有効な場合は、福岡県工業技術センター、(公財)北九州産業学術推進機構や(公財)福岡県産業・科学技術振興財団など公的研究機関と連携し、実現に結びつけます。

 活動を始めたばかりです。不足や不明、提案など皆さんの声を是非お聞かせください。 企業のお役に立ち、笑顔になって頂けるよう、本支援事業を日々改善していきます。 以下のTEL、FAX、HPにご連絡下さい。

8.最後に

福岡県中小企業生産性向上支援センター〒812-0046 福岡市博多区吉塚本町13-50

福岡県吉塚合同庁舎1階HP:https://www.f-seisanseikojo.jpE-mail:[email protected]:092-292-8890FAX:092-292-8688

※ お急ぎであれば出向いて相談をお受けします。お気軽に声をお掛けください。

図7��支援企業の課題領域図7 支援企業の課題領域

①5

現場改善

作業改善

③工程

物流改革

④自働化

IoT

⑤事務

改革

課題数

企業 課題 取組み 目指す姿

A社(プラスチック)

量産部品受注予定だが人手不足で対応難

成形部品の搬送、検査、箱詰めの一貫無人化(サイクルタイムと画像処理の検証トライ中)

無人化が成功したのち、夜間無人稼働し生産能力を高め、更に受注を増やす

B社(輸送用機械器具)

(当初)多品種少量ラインのロボットによる省人化

作業分析のち、まず作業改善と段取り短縮に着手することに

作業改善の結果を踏まえたうえで、効果的な自働化を検討

C社(食料品)

商品廃棄ロス多い省人化し開発作業にシフト

成形容器の素材と形状を見直し廃棄ロス低減それにより選別作業などの大幅低減

選別作業低減後、コンパクトなレイアウトで更に作業効率を向上

D社(物流サービス)

離れ小島の一人作業多い構内物流にムダが多い

タグとリーダーを活用し、荷の情報管理動作分析により、作業負担軽減と効率化

従来の構えで荷扱い能力を高めたのち更なる構内情報管理(IoT)に

E社(化学)

現有人員のままで生産能力を高め、失注を減らす

ネックとなっている乳化製品のボトル注入器を増設。並行して注入量調整作業を廃止

増産が見通せた段階で、新たな受注獲得に注力

表1��支援企業の課題と支援内容の例