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MRの生産性に関する考察 継続的なMR生産性アップのために何が必要か武藤 MarkeTech Consulting 代表 Some Considerations on MR’s Productivity Takeshi Muto President, MarkeTech Consulting

MRの生産性に関する考察(武藤 猛) [互換モード]...MRの生産性に関する考察 ―継続的なMR生産性アップのために何が必要か― 武藤猛 MarkeTech

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MRの生産性に関する考察―継続的なMR生産性アップのために何が必要か―

武藤 猛MarkeTech Consulting 代表

Some Considerations on MR’s Productivity

Takeshi MutoPresident, MarkeTech Consulting

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要旨:

MR活動の3つの要素であるターゲティング精度、ディテーリングの質、およびディテーリング回数について、売上高やMR生産性との関係を明らかにし、今後MR活動の効率や効果を改善するための方法を考察する。

キーワード:医薬品マーケティング、SFE、MR生産性、ターゲティング精度、ディテーリングの質、ディテーリング回数

2

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3Copyright 2012 © by MarkeTech Consulting. All Rights Reserved.

1.MR生産性の重要性とSFEの考え方

2.SFEの3要素に関する考察[1]ターゲティング精度[2]ディテーリングの質[3]ディテーリング回数

3.MRの生産性アップに関する考察

4.まとめと今後の課題

MRの生産性に関する考察 内容

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4Copyright 2012 © by MarkeTech Consulting. All Rights Reserved.

1.MR生産性の重要性とSFEの考え方[1]MR生産性アップの重要性

優れた医薬品の提供

効率的・効果的MR活動

高いMR生産性

営業キャッシュフローの創出

新製品開発の資金確保

新製品開発

医師・患者の高い満足度

高いMR生産性が継続的な営業キャッシュフォローを生み出す

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5Copyright 2012 © by MarkeTech Consulting. All Rights Reserved.

1.MR生産性の重要性とSFEの考え方[2]医療用医薬品売上高対MR数

MR生産性(百万円/人)最大値=296.1最小値=20.4(比率:14.5)

[出典]医薬ランキング2011(Monthlyミクス増刊号、2011.9.25) を参考にして作成した。

全63社(内資:49社、外資:14社)

傾き=MR生産性(百万円/人)

医療用医薬品売上高対MR数(内資および外資系製薬企業)(2011年4月)

y = 156.2x

R2 = 0.814

(決定係数)

0

100,000

200,000

300,000

400,000

500,000

600,000

700,000

0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500

MR数(11年4月1日現在;人)

売上

高(百

万円

 ◆ :内資系製薬企業 ● :外資系製薬企業

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1.MR生産性の重要性とSFEの考え方[3]MR生産性対MR数から見えてくる「MR生産性の谷」

[出典]医薬ランキング2011(Monthlyミクス増刊号、2011.9.25) を参考にして作成した。

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7Copyright 2012 © by MarkeTech Consulting. All Rights Reserved.

1.MR生産性の重要性とSFEの考え方[4]企業規模別MR生産性の特徴

[出典]医薬ランキング2011(Monthlyミクス増刊号、2011.9.25) を参考にして作成した。した。企業には、内資系および外資系がともに含まれる。

企業規模別MR生産性の特徴(2011年)

区分 MR人数 企業数MR生産性の

平均値(百万円/人)

大型製品(100億円以上)

の平均数MR生産性を決める主な要因

小規模製薬企業 490人未満 27 130.0 0.22特定領域に特化する企業戦略(例えば特定診療科用製品への特化、ジェネリック医薬品への特化)がMR生産性を高めている

中規模製薬企業 491人~999人 16 98.4 1.25企業規模の割にはカバーする製品領域が広く、一方大型製品(売上高100億円以上の製品)の数も少ないので、MR生産性が最も低くなっている

大規模製薬企業 1000人以上 20 163.3 5.35 MR人数と大型製品(売上高100億円以上の製品)の数がMR生産性を高めている

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1.MR生産性の重要性とSFEの考え方[5]MR生産性アップに対するアプローチ

①成果(例:売上、顧客満足度向上)と原因(例:営業活動)との間の因果関係(つまり営業生産性ドライバー)にフォーカスする

②実証的であること(実データの活用)

③体系的であること(統計解析など確立された方法論に基づく)

④実践的であること(営業現場ですぐに適用できる)

⑤IT活用と親和性があること(既存のITを活用できる)

SFE(Sales Force Effectiveness)とは

SFEとは、収益力・競争力向上を目的とした、データに基づいたMR生産性アップ法である

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1.MR生産性の重要性とSFEの考え方[6]売上アップの公式

【注意事項】①最適化の順序:ターゲティング精度>ディテーリングの質>ディテーリング回数

(この薬剤を処方するのに最適な医師に、質の高いディテーリングを、医師のニーズに応じた最適回数実行すれば、処方=売上高は後からついてくる)

②上記の順序を守れば、3要素の最適化は、それぞれ独立に考えてよい(その理由は、これら3要素が医師に働きかける時期、場面、内容がすべて異なるからである)

③最適化の際には、売上高と3要素との各関係は1次式または2次式を想定する

売上高(S)は、次の3要素でほとんど決まってしまう:

T:ターゲティング精度(製品に最適な顧客を選んでいるか)Q:ディテーリングの質(医師が満足するディテーリングをしているか)D:ディテーリング回数(医師のニーズに合った頻度で訪問しているか)

)()()(),,( 321 DfQfTfDQTfS売上アップの公式:

[注]売上高アップの公式は、薬効領域、疾患領域、および製薬企業レベルのすべてのレベルで、実データにより検証済みである。

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医師数累積比率対ARB処方数累積比率

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

医師数累積比率

処方

数累

積比

率(降

順)

N=1000

処方数上位70%が35%の医師に

集中

上位集中度は、ARB各薬剤でほぼ同じ

2.SFEの3要素に関する考察[1]ターゲティング精度①:ターゲティングの意義

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2.SFEの3要素に関する考察[1]ターゲティング精度②:顧客バリューマトリックスの導入

ターゲティングとは、販売ポテンシャルが高く自社製品に有利な顧客セグメントに営業資源を集中投入することである;その際、量的基準(患者数)×質的基準(処方意欲)

からなる顧客バリューマトリックスが効果的なターゲティングの基本となる

重要顧客セグメントに対する営業戦略例

【留意事項】①すべての顧客を割り振る②潜在顧客を含める③量的基準、質的基準ともに

顧客数がほぼ同数になるように区分値を調整する

【効用】①HPに患者数の60%~

70%が集中する②質的基準により、競合

を退け、自社独自の戦略で顧客の信頼を獲得可能となる

60%~70%の患者が集中するHPが、最も重要な顧客セグメントである

SEG31競合製品では対応困難な症例を中心に、徐々に信頼関係を構築していく

SEG32顧客の使用薬剤パターンを分析し、自社製品が効果的に使える症例からアプローチを強めていく

SEG33 自社ファン顧客とのパートナーシップを維持・強化する

患者数が多いということは、重症患者や合併症など高度な治療ニーズが集中していることをも

意味している

量的基準 

 質的基準LP(少)

MP(中)

HP(多)

自社シェア 小 SEG11 SEG21 SEG31

自社シェア 中 SEG12 SEG22 SEG32

自社シェア 大 SEG13 SEG23 SEG33

販売ポテンシャル(対象疾患領域の患者数)

意欲

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ブロプレス

ディオバン

タケプロン

リュープリンミカルディス

オルメテック

アクトスエポジン

パリエットクラビット

レミケードハルナール

ベシケアアドエア

クレストール

ベネット

y = 13788x + 211.11

R² = 0.1406

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

1600

0.0% 2.0% 4.0% 6.0%

製品

売上

高(2008

年、

億円

提供情報の質の高さを評価する医師の比率

製品別提供情報の質評価vs売上高(2008年度)

2.SFEの3要素に関する考察[2]ディテーリングの質①:売上高との関係

[出典]情報提供の質の評価は、「医師が求めるMR -時代は知力+洞察力+会話力」特集、Monthly ミクス(2010年1月)、各製品の売上データは、医薬ランキング2009年版(Monthlyミクス増刊号、2009年9月)による。

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MR活動の質の測定

顧客の視点から

社内の視点から

医師満足度調査によるMR評価

上司同行訪問時の観察

MRアンケート調査(営業力診断)

実践項目チェックシート活用

営業日報分析(テキストマイニング)

ディテーリングの質を高める第一歩は「測定すること」である;なぜなら、「測定できないものは管理できない」(P.F.ドラッカー)からである

最も望ましい測定方法

営業日報の「医師の声」

を分析

同行訪問の他、MRの

自己管理用として活用

営業力とインパクト力

を算出

同行訪問直後上司がアドバイス

2.SFEの3要素に関する考察[2]ディテーリングの質②:MR活動の質の測定

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2.SFEの3要素に関する考察[2]ディテーリングの質③:営業力・インパクト力の測定

MR行動要因(アンケート)

営業力1

営業力2

営業力n

・・・

営業力

営業力1(偏差値)

営業力2(偏差値)

営業力n(偏差値)

・・・

偏差値化

営業力とは、MRの主要行動パターンである;回答の

分布を調べ類似したものをグルーピングして求める

(因子分析による)

[注]質問事項は、製薬企業での診断実績を踏まえ、「優秀なMRであれば実践している可能性の高い行動パターン」 の候補をほぼ網羅している。このため、「営業力」には、各社の組織文化特性を反映した「優秀MR像」が抽出される。

平均値50 標準偏差10の正規分布と仮定

インパクト力

インパクト力とは、MR別達成売上高を

最も良く説明するMRの総合力である(重回帰分析による)

営業力を総合

ドクター

処方獲得のためのMRの総合力

達成売上高に貢献している営業力は?

Q01

Q02

Q03

Q04

Q05

Q06

Q07

Q08

Q09

Q10

Q11

Q12

Q13

Q14

Q15

Q16

Q17

Q18

Q19

Q20

Q21

Q22

Q23

Q24

Q25

Q26

Q27

Q28

Q29

Q30

Q31

Q32

Q33

Q34

Q35

Q36

Q37

Q38

Q39

Q40

Q41

Q42

Q43

Q44

Q45

当社の方向や目標について、上司から十分説明が行われ、私はそれを理解している。

当社では、私にとって必要な知識・スキルを学ぶ機会が用意され、参加可能な環境にある。

当社のIT(営業支援システムなど)は、私のMR活動の効率化に役立っている。

当社の表彰制度は、私のやる気につながっている。

毎月の継続教育により、私自身の知識・スキルが向上している。

私は、キーマン(病院長や教授など)と上司とのコンタクトの機会作りを、積極的に行なっている。

当社のMRのキャリアパス(職務のステップアップ)は、私の将来の目標として、やる気につながっている。

上記のアクションプランを作成するにあたっては、上司と十分相談をしている。

私は、常日頃、ドクターに関する公的・私的な情報を出来るだけ多く集めるよう、心掛けている。

ドクターとのアポイントを取ることは、特に苦にならない。

私は、その日の活動実績を、遅くとも翌日中には報告している。

私は当社に満足している。

私が訪問するドクターは、市場データを参考に定めた高ポテンシャルドクターが、80%以上である。

当社の業績評価制度は公平である。

私は当社の給与体系に満足している。

本社から提供される業績分析や競合分析情報は、私のMR活動に大変役立っている。

成功や失敗の事例分析、競合分析が営業所内で行われ、その教訓が共有化されている。

当社では頑張ったMRが評価され、尊敬されている。

営業所会議は責任を追及する場でなく、対策を検討する場として、役立っている。

当社には、営業部門内で優れた事例を有効活用できる仕組みがあり、私も活用している。

MR活動上の課題や悩みに関して、私の上司にいつでも相談でき、アドバイスをもらえる。

私は、自分自身の成長のために、アクションプランの中で高めの目標を設定している。

上司の同行訪問が適宜実施され、私のスキル向上や活動進捗に、大変役立っている。

私には、「どうせならあなたの紹介する薬を使いたい」というドクターがいる。

私は、ドクター以外の、薬剤師、看護師など、医療関係者の信頼も得るために、努力している。

私にとって、活動の成果として処方を獲得することは、MR活動の醍醐味である。

マーケティング部など本社関係部門の協力は、私のMR活動において、大変役立っている。

私は、当社の研修体制に満足している。

私は、毎日の活動が成功したか失敗したかによらず、その原因を反省し、次に活かしている。

私は、営業所の売上目標達成のために、積極的に協力している。

私の担当ドクターへの訪問回数は、重要度に応じてメリハリをつけている。

支店のスタッフの支援は、私のMR活動において、大変役立っている。

私は、重要施設・ドクターの攻略が成功するまで、様々な工夫をして、決してあきらめない。

私は、ドクターに、製品のメリットだけではなく、その製品のデメリットも説明している。

ドクターとの面談中、私が話すよりも、私がドクターの話に耳を傾けるようにしている。

ドクターとの面談の円滑化のため、営業所内で、成功する話法が共有化され、私も活用している。

私は、担当する重要施設に対して、毎期、アクションプランを作成している。

私は、週間行動計画に基づき、その週の面談・訪問ストーリーと成果をイメージして行動している。

営業所では、目標達成に向け毎月計画的に業績を管理し、必要な場合は対応策を立て、実行している。

私は、製品パンフレットや販促資材の効果的プレゼンのために、自分独自の工夫をしている。

私は、訪問前に、できる限りの情報を入手・準備し、面談のストーリーをイメージして行動している。

私は、どうすれば患者さんに役立つか、具体的イメージを持って、毎回担当先を訪問している。

私は、当社の製品を、自信を持ってドクターに紹介できる。

私は、最低月1回、アクションプランを再確認し、遅れがあれば対応策を考え、実行している。

私は、ターゲットドクターの担当される患者数について、疾患別の概数を把握している。

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2.SFEの3要素に関する考察[2]ディテーリングの質③:営業力の測定例

F01_ディテーリング準備

F02_チーム営業

F03_綿密な活動計画

F04_ドクター情報収集

F05_上司の同行訪問

F06_本社からの情報提供

インパクト力

営業力因子 ほとんどの営業力因子がインパクト力アップに

貢献している

処方獲得のためのMRの総合力

ドクター

インパクト力を高めるのに貢献

インパクト力には影響していない

ンパクト力に貢献していない

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ディテーリングの質向上は今後の製薬企業にとって極めて重要である;教育研修も有効であるが、最終的にはMRの自発的な学びを

支援することが最も効果的である

MR活動の質を高めるために

MR基礎(導入)教育基礎教育

継続教育

自発的学び

社会人マナー教育

配属先でのOJT

MR継続教育

スキル教育

上司の同行訪問

幅広い人間力涵養

マネジメント能力向上

経験からの学び

2.SFEの3要素に関する考察[2]ディテーリングの質④:MR活動の質を高めるために

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0

100

200

300

400

500

600

700

800

0 1 2 3 4 5 6 7

売上

高S

ディテーリング回数 D

[注]売上高はMR別の施設平均月売上高、ディテール回数は月平均値である

相関係数=0.479

N=48

売上レスポンス分析①線形回帰モデル

(主に生産性を算出)

売上高-ディテーリング回数散布図(例)

売上レスポンス分析により、MR生産性、飽和売上高、限界ディテーリング回数など、MR生産性アップの重要な指標を算出する

元の施設別データは、非常にバラツキが大きいので、MR別平均値などを用いて、バラツキを抑制する

売上レスポンス分析②2次曲線回帰モデル

(主に限界DTL回数を算出)

2.SFEの3要素に関する考察[3]ディテーリング回数①:売上レスポンス分析の流れ

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3.MRの生産性アップに関する考察[1]マクロレベルでの「売上アップの公式」の検証①

■分析データ:・ある疾患領域に関する医師アンケート・2011年10月実施・N=900・調査対象薬剤数:13(共同販売を含む)・製薬企業数:11・調査内容:

-薬剤別患者数-MR活動に関する質的評価-MRの訪問回数

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3.MRの生産性アップに関する考察[1]マクロレベルでの「売上アップの公式」の検証②

■顧客バリューマトリックス

量的基準 

質的基準(X薬)LP

(35人以下)MP

(36~84人)HP

(85人以上)

シェア小(13%以下) SEG11 SEG21 SEG31

シェア中(13~28%) SEG12 SEG21 SEG31

シェア大(28%以上) SEG13 SEG21 SEG31

販売ポテンシャル(月当たり患者数)

■医師数比率

量的基準 

質的基準(X薬)LP

(35人以下)MP

(36~84人)HP

(85人以上)

シェア小(13%以下) 11% 10% 11% 32%

シェア中(13~28%) 9% 11% 13% 34%

シェア大(28%以上) 14% 11% 8% 33%

35% 33% 32% 100%

販売ポテンシャル(月当たり患者数)

方意

■患者数比率

量的基準 

質的基準(X薬)LP

(35人以下)MP

(36~84人)HP

(85人以上)

シェア小(13%以下) 3% 7% 22% 32%

シェア中(13~28%) 3% 8% 29% 40%

シェア大(28%以上) 3% 7% 16% 27%

9% 23% 68% 100%

販売ポテンシャル(月当たり患者数)

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3.MRの生産性アップに関する考察[1]マクロレベルでの「売上アップの公式」の検証③

①売上高(処方患者数)=f1(ターゲティング精度)・f2(ディテーリングの質)・f3(ディテーリング回数)

②ディテーリング生産性=g1(ターゲティング精度)・g2(ディテーリングの質)・g3(ディテーリング回数)

y = 33.005x - 10014R² = 0.5336

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

40,000

0 200 400 600 800 1,000 1,200

処方患者数

ディテーリング回数

ディテーリング回数対処方患者数

N=11

y = 88954x - 28511R² = 0.0368

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

40,000

0.38 0.40 0.42 0.44 0.46 0.48

処方患者数

ターゲティング精度(HPセグメントへの集中度)

ターゲティング精度対処方患者数

N=11

y = 11789x - 28573R² = 0.1076

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

40,000

2.50 3.00 3.50 4.00

処方患者数

MRの総合評価

MRの総合評価対処方患者数

N=11

y = 0.021x + 2.5549R² = 0.2027

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

30.0

35.0

40.0

0 200 400 600 800 1,000 1,200

ディテーリング生産性

ディテーリング回数

ディテーリング回数対ディテーリング生産性

N=11

y = 198.36x - 70.232R² = 0.1721

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

30.0

35.0

40.0

0.38 0.40 0.42 0.44 0.46 0.48

ディテーリング生産性

ターゲティング精度(HPセグメントへの集中度)

ターゲティング精度対ディテーリング生産性

N=11

y = 4.9907x - 1.1055R² = 0.0181

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

30.0

35.0

40.0

2.50 3.00 3.50 4.00

ディテーリング生産性

MRの総合評価

MRの総合評価対ディテーリング生産性

N=11

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薬剤採用ディテー

リングの質

製品特徴

理由:効果の良さ

理由:医局・医師仲間

特徴:作用機序

特徴:臓器保護作用

E2

E4

E5

E7

0.72

0.50

0.70

0.66

0.55

0.96

■適合度指標:GFI=0.939

E1

ディテーリングの量

面談回数E80.23

0.58

理由:安全性E3 0.70

特徴:効果の良さE60.46

3.MRの生産性アップに関する考察[2]ミクロレベルでの「売上アップの公式」の検証

[注] 降圧剤に関する医師アンケート(N=500)を用いて分析した

ミクロな売上高の決定要因(対象薬剤:降圧剤)

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3.MRの生産性アップに関する考察[3]ターゲティング戦略の可視化①

■疾患領域Pのエリアバリューマトリックス(AVM)

量的基準 

 質的基準LP(少)

MP(中)

HP(多)

自社シェア 小 SEG11 SEG21 SEG31

自社シェア 中 SEG12 SEG22 SEG32

自社シェア 大 SEG13 SEG23 SEG33

エリアの販売ポテンシャル(疾患領域Pの売上高=患者数)

SEG31エリア内医師の薬剤使用パターンを分析し、競合製品では対応困難な症例を中心に、徐々に信頼関係を構築していく(弱者の戦略)

SEG32エリア内医師の使用薬剤パターンを分析し、自社製品が効果的に使える症例を持つ医師からアプローチを強めていく(強者または弱者の戦略の使い分け)

SEG33 エリアに多い、自社ファン顧客とのパートナーシップを維持・強化する(強者の戦略)

代表的なエリア戦略

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3.MRの生産性アップに関する考察[3]ターゲティング戦略の可視化②

量的基準 

 質的基準LP(少)

MP(中)

HP(多)

自社シェア 小 SEG11 SEG21 SEG31

自社シェア 中 SEG12 SEG22 SEG32

自社シェア 大 SEG13 SEG23 SEG33

エリアの販売ポテンシャル(疾患領域Pの売上高=患者数)

これらのエリアは、販売ポテンシャルが高いのにシェアが低いので、ターゲット施設を絞込み、ディテーリングを行う

必要がある

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3.MRの生産性アップに関する考察[4]ディテーリング回数の最適配分①

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3.MRの生産性アップに関する考察[4]ディテーリング回数の最適配分②

製品名ディテーリング回数

(単位:1000回)売上高

(単位:億円)ディテーリング

回数(回)売上高(千円)

ディテーリング生産性(千円/DTL)

A 45 180 45,000 18,000,000 400.0B 152 215 152,000 21,500,000 141.4C 220 375 220,000 37,500,000 170.5D 245 385 245,000 38,500,000 157.1E 290 291 290,000 29,100,000 100.3F 292 580 292,000 58,000,000 198.6G 318 92 318,000 9,200,000 28.9H 398 196 398,000 19,600,000 49.2

合計 1,960 2,314 1,960,000 231,400,000 118.1

最適化前売上高

①ディテーリング回数(現状)

②ディテーリング回数(最適化後)ディテーリング生産性

(千円/DTL)ディテール回数

(最小限)ディテール回数

(最適化後)売上高

400.0 45,000 210,000 84,000,000141.4 100,000 100,000 14,144,737170.5 200,000 200,000 34,090,909157.1 200,000 200,000 31,428,571100.3 250,000 250,000 25,086,207198.6 250,000 250,000 49,657,53428.9 350,000 350,000 10,125,78649.2 400,000 400,000 19,698,492

118.1 0 0

1,795,000 1,960,000 268,232,237

最適化後売上高DTL回数は同じ

EXCELのソルバー機能利用

売上高が16%アップ(DTL回数は同じ)

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重要セグメントの徹底カバー

売上 =ターゲ

ティング ××

マーケティング戦略(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)

重要セグメントカバーのための訪問計画の実施

ディテーリング回数

本社マーケティング

部門

重要セグメント重要セグメントカバー率

業績指標(KPI)→

営業部門

医師のニーズに応じた情報提供

ディテーリングの質

顧客満足度訪問計画実施率

コントロール変数にしてはならない

2番目に重要なコントロール変数

最も重要なコントロール変数

4.まとめと今後の課題[1]「売上アップの公式」に基づくMR生産性アップ

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短期間でPDCAサイクルを回すことが、継続的なMR生産性アップにつながる

営業戦略立案

(所長+MR)

活動計画(所長+MR)

MR活動

成果のレビュー

(所長+MR)

●年間目標設定●ターゲット施設・医師●重要施設攻略計画●エリア分析●顧客分析(ポテンシャル=患者数)●必要支援分析(本社・支店からの支援)

●最適DTL回数設定●週間訪問計画●訪問準備(学術情報、症例情報)

●ターゲットの妥当性?●DTL回数の適切性?●訪問実績?●メッセージの適切性?●顧客満足度?●攻略計画進捗状況?●販売実績?

●アポイント獲得●コミュニケーション力●メッセージの質●気配り・人間力●上司のコーチング●最適DTL回数維持●顧客・競合情報収集

Plan(計画)

Do(実行)

Check&Action(評価・対策)

(サイエンス) (サイエンス)(アート)

4.まとめと今後の課題[2]継続的なMR生産性アップに何が必要か

年・半期・四半期・月・週単位

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4.まとめと今後の課題[2]今後の課題

■医薬品市場の構造変化に伴う新たな課題:-オンコロジー領域、スペシャリティ領域における効果的なターゲティング方法-MRの機能の変化(特に専門MRのディテーリングの質評価)-リアルMRとインターネットによる情報提供の生産性評価