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Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 定置用蓄電池の普及拡大及びアグリゲーションサービスへの活用に関する調査 報告書 2017年2月28日 経済産業省資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部 政策課 御中

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定置用蓄電池の普及拡大及びアグリゲーションサービスへの活用に関する調査

報告書

2017年2月28日

経済産業省資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部 政策課 御中

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サマリー

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1. 家庭用・業務/産業用蓄電池の目標価格設定 -目標価格の設定根拠(家庭)-

2019年度に余剰買取制度を終了した家庭需要家が、蓄電池導入により経済的メリットが出る目標価格を想定。

売電価格の低下傾向、買電価格の上昇傾向、小容量蓄電池の販売数増加、充放電効率の向上を考慮し、2020年度の価格目標を9万円/kWhと設定注。

注 表中の数値は、PVのみと買取期間終了後に蓄電池導入した際の15年間の収益がバランスする時の蓄電池価格(万円/kWh)。濃赤:10万円/kWh以上、淡赤:9万円/kWh程度、黄色:8万円/kWh程度

買電価格29円/kWh

蓄電容量(kWh)

1 2 3 4 5 6 7

売電価格(円/k

Wh

0 12.1 10.4 9.6 9.1 8.7 8.4 8.0

3 11.0 9.3 8.5 8.1 7.7 7.4 7.1

5 10.2 8.5 7.8 7.4 7.1 6.8 6.5

8 9.0 7.4 6.8 6.3 6.1 5.8 5.5

11 7.9 6.3 5.7 5.3 5.1 4.8 4.6

買電価格32円/kWh

蓄電容量(kWh)

1 2 3 4 5 6 7

売電価格(円/k

Wh

0 13.1 11.3 10.5 10.0 9.6 9.2 8.8

3 12.0 10.2 9.5 8.9 8.6 8.2 7.9

5 11.2 9.5 8.7 8.3 7.9 7.6 7.3

8 10.0 8.4 7.7 7.2 6.9 6.6 6.3

11 8.9 7.2 6.6 6.2 5.9 5.6 5.4

買電価格29円/kWh

蓄電容量(kWh)

1 2 3 4 5 6 7

売電価格(円/k

Wh

0 12.7 10.9 10.1 9.6 9.2 8.8 8.5

3 11.5 9.8 9.1 8.6 8.2 7.9 7.5

5 10.8 9.1 8.3 7.9 7.5 7.2 6.9

8 9.6 7.9 7.3 6.8 6.5 6.2 5.9

11 8.4 6.8 6.2 5.8 5.5 5.3 5.0

買電価格32円/kWh

蓄電容量(kWh)

1 2 3 4 5 6 7

売電価格(円/k

Wh

0 13.8 11.9 11.1 10.5 10.1 9.7 9.3

3 12.6 10.8 10.0 9.5 9.1 8.7 8.4

5 11.8 10.0 9.3 8.8 8.4 8.1 7.7

8 10.6 8.9 8.2 7.8 7.4 7.1 6.8

11 9.5 7.8 7.2 6.7 6.4 6.1 5.9

充放電効率:85%

充放電効率:90%

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0

5

10

15

20

25

2015年度 2020年度

蓄電システムコスト注

1万円

/kW

h

その他

流通コスト

筐体

PCS

電池部分

1. 家庭用・業務/産業用蓄電池の目標価格設定 -企業アンケート結果(家庭)-

蓄電池目標価格設定に向けて、蓄電池メーカーへのアンケート調査を実施。目標達成に向けた取り組みを聴取。

需要家の経済的メリットとして既設PVの自家消費による電気料金削減を想定し、2020年度目標価格をkWh単位で設定(9万円/kWh) 。

目標価格9万円/kWhに向けて電池部分、PCS、筐体、流通コストそれぞれでコスト6割程度の削減が必要。

コスト低減に向けて、具体的には、販売戦略や設計変更・標準化などが挙げられている。

22.1万円/kWh

9.0万円/kWh

4.2万円/kWh(60.2%)※

1.2万円/kWh(56.2%)※

1.8万円/kWh(57.5%)※

4.8万円/kWh(58.7%)※

販売戦略

• FIT後を見据えたPVとのセット販売促進

• 販売一本から、リースやVPPスキーム等への変更

設計変更・標準化

• 放熱特性の改善や部品点数削減

• 小型化設計(PCS/電池部分 別筐体設計含む)

設計変更・標準化

• 標準部品の採用率向上

• 他社標準品の採用、他社との共同開発によるコスト削減

• PV用と共通設計 設計変更・標準化

• 大型化による容量当たりのセル加工費の低減

• 蓄電池組み立て工数の削減およびセル生産自動化の推進

調達コスト削減

• 車載向けセル販売拡大による調達費用削減

流通コスト

筐体

PCS

電池部分

※カッコ内は価格の低減率

注1 家庭用蓄電システムコストは設置費用および利益その他を除いた費用を指している。また、ここではアンケート調査結果での平均値を記載している。注2 「その他」には製造・検査費用や認証費用等が含まれている。

7.0万円/kWh

2.1万円/kWh

3.1万円/kWh

8.2万円/kWh

2.8万円/kWh

0.9万円/kWh

1.3万円/kWh

3.4万円/kWh

0.6万円/kWh

1.6万円/kWh

注2

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1. 家庭用・業務/産業用蓄電池の目標価格設定 -目標価格の設定根拠(業務・産業)-

業務・産業用蓄電池に対しても、業務・産業用需要家が蓄電池導入により経済メリットが出る目標価格を想定注1。

契約電力削減が主であるためkW単位の目標設定とし、15万円/kWを2020年度の価格目標を15万円/kWと設定。

産業用蓄電池の目標価格算定の前提条件

充放電効率を70%、80%、90%で推計

一般電気事業者の高圧用電力注1の平均値注2から推計

投資回収年を6年(耐用年数)、10年(平均寿命)と間で推計

年間の収益

値差 収入注4

注1 昼夜間値差による電力料金削減も需要家のコスト削減に寄与するが、影響がピークカットに比べて小さいこと等からピークカットのみを対象とした

注2 季節別時間帯別電力、6kV相当のもの注3 10社の単純平均注4 収入は充放電ロスを考慮

ピークカット 1,818円/kW/月

15,270〜19,632円/年

需要家メリット9

11

12

13.7

15

10

12

14.0

16

17

12

13.7

16

18

20

0

5

10

15

20

6年 7年 8年 9年 10年

需要

家の

メリット

が出

る蓄

電池

価格

万円

/kW

70% 80% 90%

充放電効率

15万円/kW

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30

40

2015年度 2020年度業務・産業用蓄電システムコスト注

1万円

/kW

その他

流通コスト

筐体

PCS

電池部分

1. 家庭用・業務/産業用蓄電池の目標価格設定 -企業アンケート結果(業務/産業)-

家庭用と同様に業務・産業用でも企業アンケートを実施し、目標価格達成に向けた取り組みを整理。

需要家の経済的メリットとしてピークカットによる契約電力削減を想定し、2020年度目標価格をkW単位で設定(15万円/kW) 。

目標価格15万円/kWに向けて、電池部分、PCS、筐体、流通コストそれぞれでコスト5~7割程度の削減が必要。

コスト低減に向けて、具体的には、設計変更・標準化、量産効果などが挙げられている。

35.5万円/kW注4

15.0万円/kW

1.0万円/kW(68.1%)※ 2.5万円/kW

(47.0%)※

4.9万円/kW(61.6%)※

8.8万円/kW(56.8%)※

流通コスト

筐体

PCS

電池部分

※カッコ内は価格の低減率

注1:業務・産業用蓄電システムは特高、高圧の工場や学校、宿泊施設、および低圧の商業施設で使用される大型の需要家向け蓄電システムとし、配電所や発電施設に併設される系統用蓄電システムは除く。また、システムコストには消費税および設置・工事費用を含まない。 注2:「その他」には製造・検査費用や開発費用等が含まれている。 注3:「筐体」は電池盤(収納箱)、ラック、コンテナおよび筐体内の空冷システムを含む。 注4:達成できると回答をした企業の平均。2015年度の製品価格については6社中4社が回答している。

1.5万円/kW

7.9万円/kW

5.4万円/kW

15.6万円/kW

0.5万円/kW

2.8万円/kW

3.1万円/kW

6.7万円/kW

1.9万円/kW

5.1万円/kW

注2

販売戦略

• 新電力、アグリゲータなどの直販ルート開拓と商流圧縮

• 販売ルートの一元化

設計変更・標準化

• グループ会社連携による製造体制の共通化

• ユニット化設計の最適化、調達量拡大による部材費低減および生産性向上により、筐体調達費の更なる低減

• エネルギー密度向上による小型化、軽量化

設計変更・標準化

• 部品数削減による製作工数削減

• インバータ部材の全面見直し、制御基板の統合化による部品コスト低減

• 仕様標準化、部品共有

量産効果

• PCSメーカーとのパートナーシップ確立し、調達費の低減

設計変更・標準化

• 蓄電池の耐久性向上設計の妥当性検証および大容量化

• 低コスト部材の適用、部品点数削減による調達費削減

注3

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2. 蓄電池の最適容量の分析 -前提条件と試算内容-

設定した蓄電池の目標価格を達成した場合、蓄電池の容量がどの程度であれば最適かを分析。

2019年の買取制度終了後のPVに対して蓄電池を導入する際の最適容量を分析。 【蓄電池追加導入】

将来的に、PVと蓄電池を導入する際に、どの程度の価格になればメリットが出るのかを分析。 【PV+蓄電池新規導入】

電力需要 家庭需要* 4,936 kWh/年

PV

出力 1~5 kW

発電量** 1,150 kWh/kW/年

設備利用率 13.1 %

蓄電池

充放電効率 85 %

放電深度*** 90 %

出力 2 kW

蓄電容量 1~15 kWh

寿命 15 年

価格想定

買電価格 26~32 円/kWh

売電価格 0~11 円/kWh

PV価格 25~15 万円/kW

蓄電池価格 9~7 万円/kWh

各種前提条件

* 建築学会のデータを元に、EDMCの2016年度のデータと合致するよう想定。** 東京における2014年度の全天日射量をもとに設定。*** SoCの上限・下限5%ずつ(0-5%、95-100%)は使用できないと想定。

試算内容

蓄電池

追加導入による

最適容量

• PVの買取制度終了で蓄電池を追加導入する際に、メリットが出る蓄電容量を推計

• 2019年頃を想定

• 電気料金および蓄電池イニシャルコストで比較

PV+蓄電池の

新規導入におけ

る最適容量

および価格

• PVと蓄電池を新規に導入する際に、メリットが出る蓄電容量、およびそのときの価格を推計

• 2025年頃を想定

• 電気料金およびPVと蓄電池のイニシャルコストで比較

VS +

VS

PVなし

PVあり PV+蓄電池

PV+蓄電池

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合計:

77

合計:

76

合計:

77

0

50

100

150

なし PVのみ 1kWh 2kWh 3kWh 4kWh 5kWh 6kWh 7kWh

総費

用(

電気

料金

+蓄

電池

費用

)千

円/年

年間電気代

蓄電池費用

2. 蓄電池の最適容量の分析 -蓄電池追加導入-

蓄電池追加導入の場合に、蓄電容量を感度分析すると、電気料金と蓄電池費用の合計が最も小さくなる蓄電容量がある。

PVの容量や蓄電池の価格、売電/買電価格に依存するが、PV5kW、蓄電池9万円/kWhだと以下のような売電/買電価格の範囲で、最適容量が最大7kWh程度となる。

PV+蓄電池

注 PV:5kWの場合を想定。売電価格:5円/kWh、買電価格:32円/kWhの場合。蓄電池イニシャルコスト9万円/kWh、ランニングコストゼロ(割引率0%)と想定

売電価格 円/kWh

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9

買電価格

円/kW

h

26 3kWh 2kWh 1kWh

27 4kWh 3kWh 2kWh 1kWh

28 5kWh 3kWh 2kWh 2kWh 1kWh

29 6kWh 5kWh 3kWh 2kWh 2kWh 1kWh

30 6kWh 6kWh 5kWh 3kWh 2kWh 1kWh 1kWh

31 7kWh 6kWh 6kWh 4kWh 3kWh 2kWh 1kWh 1kWh

32 7kWh 7kWh 6kWh 6kWh 4kWh 3kWh 2kWh 1kWh 1kWh

PVのみが収益最大

蓄電池の容量と総費用(電気料金+蓄電池費用)の関係注 蓄電池の最適容量と買電・売電価格の関係

PV

のみ設備なし

左図

※ 表中の数字は収益最大の蓄電容量を示す。

最小

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83

83

19 33

合計:

158 合計:

154

合計:

151

0

50

100

150

200

なし PVのみ 1kWh 2kWh 3kWh 4kWh 5kWh 6kWh 7kWh 8kWh

総費

用(

電気

料金

+P

V費

用+

Ba費

用)

円/年

年間電気代 PV費用 Ba費用

売電価格 円/kWh

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11

買電価格

円/kW

h

26

27

28 1kWh

29 3kWh 2kWh 1kWh

30 6kWh 5kWh 3kWh 2kWh 1kWh

31 7kWh 7kWh 7kWh 6kWh 5kWh 3kWh 2kWh 1kWh

32 8kWh 7kWh 7kWh 7kWh 7kWh 7kWh 6kWh 5kWh 3kWh 2kWh

2. 蓄電池の最適容量の分析 -PV+蓄電池新規導入-

同様にPV+蓄電池新規導入でも感度分析すると、電気料金とPV費用と蓄電池費用の合計が最も小さくなる蓄電容量がある。

PVの容量や蓄電池の価格、売電/買電価格に依存するが、PV5kW、蓄電池7万円/kWhだと以下のような売電/買電価格の範囲で、最適容量が最大8kWh程度となる。

PV+蓄電池

PVのみが収益最大

蓄電池の容量と総費用(電気料金+蓄電池費用)の関係注 蓄電池の最適容量と買電・売電価格の関係

PV

のみ設備なし

左図

※ 表中の数字は収益最大の蓄電容量を示す。

注 PV:5kWの場合を想定。売電価格:5円/kWh、買電価格:32円/kWhの場合。PV25万円/kW、蓄電池7万円/kWh と想定

最小

設備導入なしが収益最大

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0

埋蔵蓄電量 -国内の埋蔵蓄電量-

家庭用/業務・産業用蓄電池の使用用途を聴取し、稼働されていない埋蔵蓄電量※を推計。

夜間では埋蔵蓄電量が一定程度存在し、下げ代不足(急激な需要減)が発生した際には最大で370MWの充電が可能。

系統側の蓄電ニーズに対して、充電については日中でのポテンシャルは無い。放電については、電力需要の大きい夕方での貢献として停電対策用の蓄電池89MW分存在。

充電

放電

• 電力需要の大きい夕方での埋蔵蓄電量は全体の約2割弱(約89MW)

家庭用

業務・産業用

考え方の前提条件

埋蔵蓄電量は、現在の電気料金メニューにおいて経済性を損なうことなく使用が可能な蓄電池の能力(充電、放電それぞれにおける蓄電容量kWh)と仮定

家庭用、業務・産業用蓄電池の用途として5つのユースケースを想定

① 瞬低対策

② 停電対策

③ ピークカットによる契約基本電力削減

④ 昼夜間値差活用による電気料金削減

⑤ 太陽光併設による余剰発電電力活用

現在の使用用途は、需要家アンケートおよび企業アンケートから把握

将来の使用用途について、家庭用は設置予定者の想定している用途を参照、業務・産業用は現在の使用割合と同じ

国内における蓄電池の導入量は家庭用495MWh/

165MW 、業務・産業用319MWh/ 215MW

将来の導入量は家庭用109MWh /36MW、業務・産業用27MWh/ 14MW注1

試算結果

埋蔵

蓄電

量[M

W]

埋蔵

蓄電

量[M

W]

将来

家庭用

業務・産業用

将来

注1 既存市場調査レポートから、2020年までの導入目標50MWを、MWhベースで家庭用:業務・産業用が4:1で導入されると仮定

• 既に日中に放電している蓄電池が多いため、余剰電力が発生する日中での埋蔵蓄電量は無い

• 下げ代不足発生時には最大370MW充電が可能

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※ 埋蔵蓄電量は、日本国内の既に導入されている蓄電池のうち、現在の電気料金メニューにおいて経済性を損なうことなく使用が可能な蓄電池の能力(充電、放電それぞれにおける蓄電容量kWh)。

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3. 3E+Sへの寄与 -余剰電力発生量の想定-

2030年断面における余剰発生量に対して、蓄電池およびVPPが貢献した場合の寄与を分析。

「広域系統長期方針」電力広域的運営推進機関(OCCTO)で想定した、2030年断面での余剰発生量は全国で5.5億kWh/年注。

OCCTOの試算においては、連系線の空容量や他エリアの調整力の活用の最大化を前提にして感度分析をしている点が特徴。

出所)広域系統長期方針(案)、OCCTO、2017年

注 OCCTOの想定では、再エネの地域配分をシナリオ①電源偏在、シナリオ②電源偏在緩和 としているが、ここでは①を採用した

余剰電力発生量(2030年度) OCCTO想定(シナリオ①電源偏在注)試算の考え方

目的

• 電力広域的運営推進機関(OCCTO)が広域連系のあり方を検討するべく、「広域系統長期方針」の策定に向けて検討したもの

• 2030年断面において、将来のエネルギーミックスにもとづく電源導入や電力市場の活性化等を前提に、連系線を活用した広域的な運用の効果等を分析するもの

前提条件

• 長期エネルギー需給見通しの電源構成等を参考にシナリオ設定

• 1時間ごとの電力量によりシミュレーションを実施(1時間以内の変動、起動停止の制約、時間ごとの連続性等は未考慮)

• 連系線の空容量や他エリアの調整力を最大限活用できる場合も想定

※ 系統連系制約ありの場合

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3. 3E+Sへの寄与 -試算方法と結果-

3E+Sへの寄与に関する試算の考え方と結果。

OCCTO想定の余剰量を蓄電池で賄った場合を想定。余剰発生により出力抑制をする場合と比較をして、寄与度を分析。

余剰発生量を蓄電池で賄うと電力コスト増に繋がるが、仮に住宅用蓄電池をVPP等で活用すれば、出力抑制をするよりコストが小さくなる場合もある。

試算の考え方

想定した蓄電池のスペック850万kW /

850万~2550万kWh

(1~3時間率)

電源構成への寄与

石油火力削減注2▲5.5 [億kWh]

(0.01%)

PV拡大注2、注3 +5.5 [億kWh]

(0.7%)

3E+Sへの寄与

自給率増加注3+0.05 [%]

(0.3%)

CO2削減注3 ▲38 [万-CO2トン]

(0.2%)

電力コスト増650~1,670 [億円]

(-)

試算結果

注1 OCCTO想定によると余剰発生時間は年間で400時間/年であり、1日当たりの余剰発生時間は平均で1時間程度であることから、最低1時間率を想定(東北電力南相馬変電所向けの蓄電池も1時間率である点も参照)。3時間率は家庭の最適容量等から引用。

注2 余剰発生により出力抑制した場合と比較。注3 下段のパーセンテージは、長期需給見通しで示されるエネルギーミックスおよび3E+Sに向け

た2013→2030の変化量の内、蓄電池の効果(=蓄電池の寄与)を示す。

余剰発生量を出力抑制する場合と比べて、以下のような電源構成・3E+Sへの寄与があるが、コストは増加

• OCCTOの想定(北海道、東北、九州で850万kW、5.5億kWhの余剰発生)に対し余剰発生量を全量出力抑制した場合と、全量蓄電池で賄った場合を比較

• 出力抑制回避で充電した電力はピーク時間帯に放電することを想定し、石油火力が代替されるとした

• 蓄電池は1~3時間率注1とし、蓄電池のコストは6万円/kWhと想定

• 石油火力等の固定費、燃料費は発電コスト検証WGの結果を参照

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4. 残存性能評価に関する調査 -現状のプレーヤの意見整理-

運用中の蓄電池の性能を評価する残存性能評価について、関連プレイヤーの意見をヒアリング等に基づき整理したが、必要性は認識しているものの具体的なアクションに結びついていないのが現状。

残存性能評価の実装に向けて、各プレイヤーとも他プレイヤーとの連携が必要との意見が出されている。

このため各プレイヤーの協力体制の構築が必要と想定される。

METI

アグリゲーター システムメーカー

電池メーカー残存性能評価企業

残存性能評価については将来的に必要だが、現時点で実施体制は整っていない。

ユースケース毎の残存性能評価のあり方(評価すべき項目、評価頻度、精度等)については、現時点で未検討。

評価に追加コストが伴うのは避けたい。

電力システム信頼性の維持や、消費者保護の観点から、残存性能評価は必要。

VPP事業者の事業性に関わる部分については競争領域という認識の一方、最低限VPP事業者に担保させるべき残存性能評価のあり方について検討が必要。

各社において手法は開発しているものの、VPPリソースの実機に対して残存性能評価を実装した経験はない。

蓄電システム毎にモニタリングしているデータ項目やその精度が異なり、同一評価手法を用いても結果の信頼度に差が出てしまうため、標準化等の取組が必要。

蓄電システムの残存性能評価に関する標準化を行う場合、アグリゲーターからのニーズの提示が不可欠。

システムメーカは電池内部の劣化は関与できないため、電池メーカの所掌とシステムメーカの所掌を区別して検討を行う必要がある。

一定条件下での稼働における電池の劣化予測について知見・ノウハウを有している。

電池内部の詳細情報は、競争力の源泉であり、情報公開には慎重な姿勢。

VPPに必要な残存性能評価のあり方、実施体制を検討

残存性能評価実施の必要性をアグリゲーターに対して提示

残存性能評価の実施に向けて必要な標準化の取組を推進

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4. 残存性能評価に関する調査 -取り組みの整理(案)-

残存性能評価の実装に際しては、関連プレイヤーに裁量をゆだねる競争領域と、最低限統一的指標(標準・ガイドライン等)を設けるべき協調領域の区別が必要と考える。

アグリゲーターによる残存性能評価の実施方法および主体については、各社のユースケースやビジネス形態に関わる領域であり、競争領域とみなすことが妥当と想定される。

一方、残存性能評価の一定水準以上の信頼性確保ならびにアグリゲーションビジネスのサービスレベルの担保のため、①蓄電システムから提供されるモニタリングデータの標準化、および②VPPに必要な残存性能評価に関する共通的なあり方・要件、の2点が協調領域として想定される。

残存性能評価のあり方・要件提示

小売・送配電電力市場

残存性能評価企業

アグリゲーター

図 残存性能評価に関する競争領域・協調領域

需要家

システムインテグレータ

正確な調整力 情報提供

評価委託モニタリングデータの標準化 蓄電池設置

サービスレベル維持に最低限必要な残存性能評価のあり方・要件をガイドライン等で提示

残存性能評価に用いるモニタリングデータの標準化を検討

残存性能評価の実施方法・主体については、アグリゲータの

裁量に委ねることが妥当

協調領域②

協調領域①

競争領域

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5. 諸外国の蓄電池に関する市場と施策 -市場の特徴と施策の概要-

施策があるエリアとないエリアで分類すると、施策がないエリアでは電力価格の高騰と再エネ価格の低減ならびにFIT制度の終了による自家消費ニーズが高まっている。

施策ありのエリアでは導入補助や電力市場取引によるインセンティブが中心。

米国・加州 米国・ハワイ ドイツ オーストラリア

市場の特徴

蓄電池の調達義務に加え、導入補助や市場取引制度等の施策によって特に家庭用蓄電池の導入が進んでいる

元々電気料金が高かったことに加え、余剰電力買い取り制度が廃止された影響で自家消費のニーズが向上

導入補助(現在は2割程度)および低金利融資により蓄電池導入を後押し

系統電力価格の高騰およびFIT

価格の下落、FIT制度の廃止の影響で、自家消費のニーズが向上。

施策

規制・制度• AB2514(調達義務)• DRAM(市場取引制度)

× × ×

税制・金融 × × • KfW270(低金利融資) ×

財政支援• SGIP(導入補助)

ו KfW275(導入補助)• KfW153(住宅補助)

×

上記の施策を推進する理由

• PVの大量導入に当たって調整力を確保するため

• 家庭用蓄電池を系統への調整力に使うため

• PV自家消費を促進するToU

の導入を検討中• PVの普及拡大に伴う系統へ

の悪影響を緩和するため

• PVの大量導入に伴う系統への悪影響を緩和するため(自家消費促進)

日本への示唆

• 長周期の家庭用蓄電池を普及させるため、補助金設計をkWhベースに変更

• DRとして家庭用蓄電池を利用するための市場取引(DRAM)の開始

• ToUの導入により、PV+Btの事業性が向上し、家庭での自家消費が促進

• 系統への売電量の制限による自家消費の促進

• 自家消費促進のために必要な最適蓄電池コストの分析

• 蓄電池に対する直接的な施策がなくても、電力価格、FIT

制度の状況等によって市場の魅力度は大きく変わる

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5. 諸外国の蓄電池に関する市場と施策 -DRAMおよびDR市場-

米国カリフォルニア州では、各種制度を通じて蓄電池の市場での取り扱い量を増加させる方向性。

DRAMは米国カリフォルニア州の制度で、電力会社に対してピーク予備力としての分散リソース(DER)使用を推進。

DERはScheduling Coordinator(SC)を通じてエネルギー市場に参加可能。SCはアグリゲータが市場に参加しやすいようにプラットフォームを構築・提供し、CAISOとの制御指令や金銭のやり取りを仲介。

出所)ヒアリング調査より三菱総合研究所作成

電力会社(SCE、PG&E、SDG&E)

DERP

(Aggregator、Customer)

Scheduling

Coordinator

CAISO

• 一定の期間、蓄電池の能力を電力会社に譲渡(容量市場に近い契約)

DRAM

• 予備力確保の手段として活用

• 容量に対するインセンティブおよび実際使用した場合にはエネルギー分のインセンティブを支払う

• 契約した期間に蓄電池が使用できない場合、インセンティブの支払いがなくなる(ペナルティは無)

• CAISOからの指令に伴い、予備力を確保

• 非常時・ピーク時に予備力を提供(コンプライアンス)

• 非常時・ピーク時に対応するため、電力会社に対して予備力の確保を要求

電力会社はDERPかつSCとしても機能

• プラットフォームで調整したアグリーゲートされたリソースを市場に提供

• 発生したすべてのインバランス料金をCAISOに支払うため経営基盤が重要

• DERP等はCAISOと直接取引は出来ず、必ずSCを通してDR能力を提供

• インバランス料金はSCとやり取り

• アグリゲーションのためのプラットフォームを提供

• ISOからの要求信号もSCを通して発信

• 市場取引を実施し、要求信号を発信

• 全ての金銭のやり取りをSCと実施

エネルギー市場

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本編

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目次

I. 蓄電池のアグリゲーションビジネスへの活用について

II. 余剰買取期間終了後の定置用蓄電池導入見通し分析

III. 蓄電池の残存性能評価手法の整理

IV. 政策の具体的検討について

V. 海外調査

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Ⅰ.蓄電池のアグリゲーションビジネスへの活用について

1. 3E+Sへの寄与度の分析

2. 蓄電池のポテンシャル調査

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3E+Sへの寄与:余剰電力発生量の想定

2030年断面における余剰発生量に対して、蓄電池およびVPPが貢献した場合の寄与を分析。

「広域系統長期方針」電力広域的運営推進機関(OCCTO)で想定した、2030年断面での余剰発生量は全国で5.5億kWh/年注。

OCCTOの試算においては、連系線の空容量や他エリアの調整力の活用の最大化を前提にして感度分析をしている点が特徴。

出所)広域系統長期方針(案)、OCCTO、2017年

注 OCCTOの想定では、再エネの地域配分をシナリオ①電源偏在、シナリオ②電源偏在緩和 としているが、ここでは①を採用した

余剰電力発生量(2030年度) OCCTO想定(シナリオ①電源偏在注)試算の考え方

目的

• 電力広域的運営推進機関(OCCTO)が広域連系のあり方を検討するべく、「広域系統長期方針」の策定に向けて検討したもの

• 2030年断面において、将来のエネルギーミックスにもとづく電源導入や電力市場の活性化等を前提に、連系線を活用した広域的な運用の効果等を分析するもの

前提条件

• 長期エネルギー需給見通しの電源構成等を参考にシナリオ設定

• 1時間ごとの電力量によりシミュレーションを実施(1時間以内の変動、起動停止の制約、時間ごとの連続性等は未考慮)

• 連系線の空容量や他エリアの調整力を最大限活用できる場合も想定

※ 系統連系制約ありの場合

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3E+Sへの寄与:試算方法と結果

3E+Sへの寄与に関する試算の考え方と結果。

OCCTO想定の余剰量を蓄電池で賄った場合を想定。余剰発生により出力抑制をする場合と比較をして、寄与度を分析。

余剰発生量を蓄電池で賄うと電力コスト増に繋がるが、仮に住宅用蓄電池をVPP等で活用すれば、出力抑制をするよりコストが小さくなる場合もある。

試算の考え方

想定した蓄電池のスペック850万kW /

850万~2550万kWh

(1~3時間率)

電源構成への寄与

石油火力削減注2▲5.5 [億kWh]

(0.01%)

PV拡大注2、注3 +5.5 [億kWh]

(0.7%)

3E+Sへの寄与

自給率増加注3+0.05 [%]

(0.3%)

CO2削減注3 ▲38 [万-CO2トン]

(0.2%)

電力コスト増650~1,670 [億円]

(-)

試算結果

注1 OCCTO想定によると余剰発生時間は年間で400時間/年であり、1日当たりの余剰発生時間は平均で1時間程度であることから、最低1時間率を想定(東北電力南相馬変電所向けの蓄電池も1時間率である点も参照)。3時間率は家庭の最適容量等から引用。

注2 余剰発生により出力抑制した場合と比較。注3 下段のパーセンテージは、長期需給見通しで示されるエネルギーミックスおよび3E+Sに向け

た2013→2030の変化量の内、蓄電池の効果(=蓄電池の寄与)を示す。

余剰発生量を出力抑制する場合と比べて、以下のような電源構成・3E+Sへの寄与があるが、コストは増加

• OCCTOの想定(北海道、東北、九州で850万kW、5.5億kWhの余剰発生)に対し余剰発生量を全量出力抑制した場合と、全量蓄電池で賄った場合を比較

• 出力抑制回避で充電した電力はピーク時間帯に放電することを想定し、石油火力が代替されるとした

• 蓄電池は1~3時間率注1とし、蓄電池のコストは6万円/kWhと想定

• 石油火力等の固定費、燃料費は発電コスト検証WGの結果を参照

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Ⅰ.蓄電池のアグリゲーションビジネスへの活用について

1. 3E+Sへの寄与度の分析

2. 蓄電池のポテンシャル調査

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2.蓄電池のポテンシャル調査:推計方法

日本国内で既に導入されている蓄電池の使用用途および国内導入量から、そのポテンシャル(埋蔵蓄電池)を推計。

埋蔵蓄電量は、日本国内の既に導入されている蓄電池のうち、現在の電気料金メニューにおいて経済性を損なうことなく使用が可能な蓄電池の能力(充電、放電それぞれにおける蓄電容量kWh)を指す。※

• 蓄電池の使用用途を把握するために、アンケート調査を実施

【家庭用蓄電池】

需要家アンケート調査

• 実施時期:2017/2/2〜2/8

• 対象:蓄電池既設者、設置予定者等計600名

【業務・産業用蓄電池】

企業アンケート調査

• 実施時期:2016/7/29〜8/12

• 対象:蓄電池製造メーカ 11社

• 2015年度までに導入された蓄電池量をアンケート調査および調査レポートから推計

参照

• 企業アンケート調査

• 富士経済「富士経済 エネルギー・大型二次電池・材料の将来展望 2015」

• 使用用途ごとにユースケースを想定し、時間帯別の充電・放電での埋蔵蓄電量を推計

※充放電によるロスについては対象外

埋蔵蓄電量推計国内導入量推計需要家アンケート調査

アンケート調査から、既設蓄電池の使用方法を把握し、それぞれのアプリケーションについて埋蔵蓄電量を推計

各種調査報告書より国内の蓄電池導入量を推計

使用用途および国内導入量から、充電・放電それぞれにおける国内埋蔵蓄電量を推計

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需要家アンケート調査:調査概要

「生活者市場予測システム」のアンケートパネルmifを活用し、家庭用蓄電池の利用に関する需要家アンケート調査を実施。

mifに登録している生活者30,000名のうち、Web上でアンケートを実施。家庭用蓄電池の既設者、設置予定者、設置に関心がない需要家から回収

調査主体 三菱総合研究所

調査時期 2017年2月3日〜8日

調査対象者 mifに登録する生活者30,000名

調査方法 アンケートパネル

性別 男性、女性

年齢 20歳〜69歳

居住地 全国

回収サンプル数

600A. 自宅に家庭用蓄電池を設置している需要家(38名)B. 現在は家庭用蓄電池を設置していないが、将来での設置を予定している/設置に関心がある需要家(368名)C. 家庭用蓄電池については聞いたことがあるが、設置を予定していない需要家(200名)

既存調査属性

• ライフコース(本人・配偶者)• 所得(世帯・個人)• 資産・負債(世帯・個人)• 分野別ライフスタイル• 分野別生活時間• 分野別消費行動など

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≪参考≫生活者市場予測システム mif

当社で実施しているmifというアンケートパネルを活用しアンケートを実施。

定量データ国内最大規模のアンケートパネル

定性データ国内初の

常設型MROCパネル

「背景」を探る

「仮説」を検証

国内最大規模のアンケートパネルmif

20~69歳の生活者30,000人 2,000問

2011年6月より年1回の定点調査(Web調査)

インターネットで自由にアクセス

使いやすいWeb集計システム

いつでも追加調査が安価に可能

50~80歳代までのシニア15,000人対象のmifプラチナ

2012年6月より年1回の定点調査(Web調査)

MRIのMROCサービスの特徴

Webブラウザから発言内容を簡単に検索閲覧→生活者の本音情報にアクセス

国内最新鋭のMROCプラットフォーム

女性200名総発言数

8万件

シニア300名総発言数

8万件

ご要望に応じ

専用MROCパネル

(特許出願中)

国内初の常設MROCパネル2大成長市場をカバー

(注) (注)

MROC:MarketingResearch Online Communitiesアンケートパネル

生活者30,000人を対象とした、2,000問からなる国内最大級のアンケートパネル。ブラウザで簡単にクロス集計、グラフ化が可能。新規商品のターゲット層、特定商品のユーザ層など、生活者について知りたい情報を詳細に分析が可能。

女性200人、シニア300人を対象とした国内初の常設型MROCパネル。

ブラウザから発言の閲覧がいつでも可能。生活者の定性情報が簡単に分析が可能。

株式会社三菱総合研究所 事業予測情報センター

TEL 03-6705-6086 / FAX 03-5157-2159 https://mif.mri.co.jp/

注:2013年7月現在

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需要家アンケート調査:設問(1/2)

今回調査における質問票は以下により構成。

回答者はウェブ上の画面で示された各問に対し、選択肢方式にて回答(回答方法は質問により、択一または複数回答と異なっている) 。

アンケート調査 質問票概要

質問No.

質問内容 回答選択肢

Q.1 回答者の自宅に何を設置しているか太陽光発電システム/エコキュート(自然冷媒ヒートポンプ給湯機)/エネファーム(燃料電池)/家庭用蓄電池(リチウムイオン電池)/家庭用蓄電池(鉛蓄電池)/電気自動車・プラグインハイブリッドカー/現在はいずれも設置していない

Q.2 家庭用蓄電池を今後設置することを検討しているか現在は家庭用蓄電池を設置していないが、将来での設置を予定している、もしくは設置に関心がある/家庭用蓄電池については聞いたことがあるが、家庭用蓄電池を現在設置しておらず、将来にも設置を予定していない/これまで、家庭用蓄電池について聞いたことがない

Q.3 設置されている蓄電池の設置時期はいつか2016年度に設置/2015年度に設置/2014年度に設置/2013年度に設置/2012年度に設置/2011年以前に設置

Q.4 蓄電池の設置予定時期はいつか今年度(2016年度)設置予定/来年度(2017年度)設置予定/2018年度に設置予定/2019年度に設置予定/2020年度に設置予定/2021年度以降に設置予定/特に設置時期について予定はない

Q.5 蓄電池を設置しない理由はなにか

リースを含め、導入費用が高いため(安くなれば購入する)/設置するスペースがないため/借家(賃貸住宅)に住んでおり、蓄電池を設置することが出来ないため/既に電気自動車やプラグインハイブリッドカーなどを導入しており、蓄電池は必要ないため/どの程度費用対効果があるかわからないため/技術的安全性について懸念しているため/蓄電池の設置を検討したが、電力契約等の理由から不可能だったため/蓄電池を導入する必要がないと考えているため

Q.6太陽光発電(PV)システムおよびエネファーム、エコキュートの設置時期について

2016年度に設置/2015年度に設置/2014年度に設置/2013年度に設置/2012年度に設置/2011年以前に設置

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需要家アンケート調査:設問(2/2)

アンケート調査 質問票概要

質問No.

質問内容 回答選択肢

Q.7 現在契約している電気料金メニューはなにか

休日の電力のみが割安になる電気料金メニュー/21時から翌朝9時までの夜間電力が割安/22時から翌朝7時までの夜間電力が割安/22時から翌朝8時までの夜間電力が割安/23時から翌朝7時までの夜間電力が割安/23時から翌朝8時までの夜間電力が割安/23時から翌朝9時までの夜間電力が割安/その他、通常の電気料金メニュー(従量電灯B、従量電灯C)

Q.8設置している蓄電池の出力、容量、メーカ名、普段の使用設定は何か

【自由回答】

Q.9 蓄電池設置時に性能低下に関する説明を受けたか性能低下に関する説明を受けた/性能低下に関する説明を受けてはいないが、性能低下について聞いたことはある/性能低下に関する説明を受けておらず、性能低下についてこれまで聞いたことはない

Q.10 設置している蓄電池に性能保証が付いているか性能保証を付けている/機械保証はつけているが、性能保証はつけていない/機械保証や性能保証等の保証を付けていない

Q.11蓄電池の主な使用用途/(設置予定者は)想定している主な使用用途

瞬低、停電対策、非常時利用/太陽光発電の電力をなるべく使用するため/夜間電力を利用して電気料金を削減するため/契約電力を削減により、電気料金を削減するため(ピークカット)/どのように使用しているのかわからない/どのように使用するか決めていない

Q.12現在、使用モードで設定している蓄電池の残量の割合はいくつか

【自由回答】

Q.13設置している(今後設置する)蓄電池を、他者(企業)が使用することについてどう思うか

他者(企業)に対して、蓄電池の制御をすべて任せても良い/条件付きで他者(企業)が蓄電池を使用しても良い/他者(企業)には使用させたくない

Q.14(Q.13で「条件付きで良い」と答えた回答者)どのような条件であれば使用しても良いか。

自分の使用用途は妨げられないのであれば良い/他者(企業)が蓄電池を使用する時間に応じて、使用料金が支払われるのであれば良い/他者(企業)が蓄電池を使用する容量に応じて、使用料金が支払われるのであれば良い/他者(企業)が蓄電池を使用して獲得した収益に応じて、使用料金が支払われるのであれば良い/蓄電池が劣化した場合に、保証されるのであれば良い/信用できる企業であれば良い

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需要家アンケート調査:回答者属性

mifに登録している蓄電池設置者326名の内、今回のアンケートへの参加者は32名(9.8%) 。

蓄電池設置検討者および、設置検討をしていない回答者数は、本アンケート調査設計にて設定。

需要家アンケート回答者 属性(N=600)

28 6

368

200

0 50 100 150 200 250 300 350 400

家庭用蓄電池を既に導入している

家庭用蓄電池の導入を検討している

家庭用蓄電池の情報は知っているが、導入を検討していない

回答者数

リチウムイオン電池

鉛蓄電池

※内2名はリチウムイオン電池と鉛蓄電池を両方所有していると回答

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需要家アンケート調査:蓄電池の設置時期

蓄電池既設者は2014年以降に設置しているケースが大半。

蓄電池設置予定者は約7割がまだ設置時期までは検討していない。

蓄電池の設置時期(N=32) 蓄電池の設置予定時期(N=368)

7(1.9%)29(7.9%)

21(5.7%)

12(3.3%)

13(3.5%)

23(6.3%)

263

(71.5%)

今年度(2016年度)設置予定 来年度(2017年度)設置予定

2018年度に設置予定 2019年度に設置予定

2020年度に設置予定 2021年度以降に設置予定

特に設置時期について予定はない

6

9

8

3

1

1

2

1

2

1

0 2 4 6 8 10

2016年度に設置

2015年度に設置

2014年度に設置

2013年度に設置

2012年度に設置

2011年以前に設置

回答者数

リチウムイオン電池

鉛蓄電池

未定が大半

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需要家アンケート調査:電気料金メニュー

蓄電池既設者では夜間に電力が割安になる電気料金メニューの利用者が多く、特に夜23時から翌朝7時までの電力が割安になる電気料金メニューを利用。

設置予定者については、従量電灯を利用している回答者が大半。

19

30

27

16

51

8

7

177

1

5

1

1

2

23

0 50 100 150 200

一般電気事業者

新電力

1

4

3

5

11

1

3

1

1

1

1

0 5 10 15

休日の電力のみが割安になる電気料金メニュー

21時から翌朝9時までの夜間電力が割安

22時から翌朝7時までの夜間電力が割安

22時から翌朝8時までの夜間電力が割安

23時から翌朝7時までの夜間電力が割安

23時から翌朝8時までの夜間電力が割安

23時から翌朝9時までの夜間電力が割安

その他、通常の電気料金メニュー(従量電灯B、従量

電灯C)

回答者が利用している電気料金メニュー(左:既設者 N=32、右:設置予定者 N=368)

回答者数 回答者数

利用者が多い

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需要家アンケート調査:使用用途

蓄電池既設者は半数近くが夜間の割安な電力を利用した電気料金削減のために蓄電池を使用。

設置予定者は、使用用途未定の回答が全体の約2割。夜間の割安な電力を利用した電気料金削減と、太陽光発電の自家消費量増加に蓄電池の使用を検討している人数は同程度。

蓄電池の使用用途(N=32) 予定している蓄電池の使用用途(N=368)

19%

31%

47%

3%

瞬低、停電対策、非常時利用

太陽光発電の電力をなるべく使用するため

夜間電力を利用して電気料金を削減するため

契約電力を削減により、電気料金を削減するため(ピークカット)

どのように使用しているのかわからない/どのように使用するか決めていない

19%

23%

24%

14%

20%

瞬低、停電対策、非常時利用

太陽光発電の電力をなるべく使用するため

夜間電力を利用して電気料金を削減するため

契約電力を削減により、電気料金を削減するため(ピークカット)

どのように使用しているのかわからない/どのように使用するか決めていない

エネマネが多い

各用途の割合は同程度

設定残容量は平均

43%

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需要家アンケート調査:性能低下

蓄電池の使用に伴う充放電量減少や充放電効率劣化といった性能低下に関する説明を受けている既設者は全体の6割弱。

性能低下に関する説明を受けた場合には性能保証を付けている。全体の3割については機械保証・性能保証を付けていない。

性能低下に関する認知度(N=32) 性能保証の付与状況(N=32)

60%

31%

9%

性能低下に関する説明を受けた

性能低下に関する説明を受けてはいないが、性能低下について聞いたことはある

性能低下に関する説明を受けておらず、性能低下についてこれまで聞いたことはない

53%

16%

31%

性能保証を付けている

機械保証はつけているが、性能保証はつけていない

機械保証や性能保証等の保証を付けていない

性能低下の説明なし

保証なし

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需要家アンケート調査:他者の利用

設置する蓄電池が他者に利用されても良いと考えている回答者は8割以上存在。約15%の回答者では蓄電池の制御を全面的に任せても良いと回答。

既設者の約6割は、設置している蓄電池が他者に利用されても良いと考えている。

蓄電池の他者使用に対する意見(N=400) 設置済み蓄電池の他者使用に対する意見(N=32)

15%

68%

17%

他者(企業)に対して、蓄電池の制御をすべて任せても良い

条件付きで他者(企業)が蓄電池を使用しても良い

他者(企業)には使用させたくない

9%

53%

38%

他者(企業)に対して、蓄電池の制御をすべて任せても良い

条件付きで他者(企業)が蓄電池を使用しても良い

他者(企業)には使用させたくない

保証なし半数以上は他者利

用可

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需要家アンケート調査:他者の利用:条件

自分の蓄電池を条件付きで他者に使用されても良いと答えた回答者270名(67.5%)は、大半が自身の蓄電池利用状況を邪魔しないことを重視。

他者(企業)の信用性についての重要性は劣後。

180

105

120

68

109

84

0 50 100 150 200

自分の使用用途は妨げられないのであれば良い

他者(企業)が蓄電池を使用する時間に応じて、

使用料金が支払われるのであれば良い

他者(企業)が蓄電池を使用する容量に応じて、

使用料金が支払われるのであれば良い

他者(企業)が蓄電池を使用して獲得した収益に応じて、

使用料金が支払われるのであれば良い

蓄電池が劣化した場合に、保証されるのであれば良い

信用できる企業であれば良い

需要家アンケート回答者 属性(N=270、複数回答可)

回答者数

自身の利用を妨げないことが重要

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53

60

8

31

34

3

57

0 20 40 60 80

リースを含め、導入費用が高いため(安くなれば購入する)

どの程度費用対効果があるかわからないため

技術的安全性について懸念しているため

借家(賃貸住宅)に住んでおり、蓄電池を設置することが出来ないため

設置するスペースがないため

蓄電池の設置を検討したが、電力契約等の理由から不可能だったため

蓄電池を導入する必要がないと考えているため

回答者数

需要家アンケート調査:蓄電池非設置の理由

蓄電池の設置を予定していない需要家の内、半数以上は蓄電池価格低下により今後導入する可能性が存在。

全く蓄電池設置に関心がない回答者は全体の約3割程度。

蓄電池を設置しない理由(N=200、複数回答可)

物理的に設置でき

ない

安全性の問題

経済性の問題

関心なし

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埋蔵蓄電量推計:既設蓄電池の使用用途

既設されている蓄電池は、家庭では昼夜間値差活用による電気料金削減、業務・産業ではピークカットによる基本契約電力削減が主な使用用途。

家庭

業務・産業

• 既設の家庭用蓄電池は、約半数が電力価格の昼夜間値差を利用した電気料金削減のために使用されている

• 太陽光発電との併設による余剰電力の自家消費活用は約3割、非常用(瞬低、停電)で使用されている蓄電池は約2割と推計

• 家庭用蓄電池の時間率は3時間を想定

• 約4割がピークカットによる基本契約電力削減に使用されている。ピークカットは充放電時間をタイマーで制御することにより実施

• 瞬低対策および停電対策に使用されている既設蓄電池は全体の約4割とみられる

• 業務・産業用蓄電池の時間率は2時間を想定

※用途不明の蓄電池については、各使用用途の回答と同じ割合で使用されていると仮定。

※各用途の割合はエネルギーベース[kWh]

※各用途の割合はエネルギーベース[kWh]

11%

32%

42%

3%1%

12%瞬低対策

停電対策

基本契約電力削減

昼夜間値差活用によるエネマネ

再エネ併用での自家消費量増加

用途不明

19%3%

47%

31% 瞬低対策・停電対策

基本契約電力削減

昼夜間値差活用によるエネマネ

再エネ併用での自家消費量増加

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埋蔵蓄電量推計:既設蓄電池の使用用途と充放電パターン

使用用途ごとに蓄電池の充放電パターンを想定。

家庭 業務・産業注1

19%瞬低・停電対策

基本契約電力削減(ピークカット)

昼夜間値差活用

太陽光自家消費

基本的にSOC100%を維持。

最低限残すSOCは40%

※需要家アンケート調査結果より、主な用途として停電対策を上げた回答者が設定している残容量の平均が42.5%)

3%

家庭で基本契約電力削減に使用されている蓄電池は少数

ピークが発生しない中間期は、昼夜間値差活用による電気料金削減の場合と同じ

47%

23時〜翌7時の電力が割安となる電気料金メニューを使用している家庭が多い

夜間に電力を充電し、昼間の電力が割高な時間帯に放電

31%

FIT後、売電価格減少により、太陽光発電による余剰電力を充電し、夕方に放電

さらに、夜に割安の系統電力を充電し、早朝に放電

48%

瞬低対策12%

停電対策36%

基本的にSOC100%を維持

最低限残すSOCは、瞬低対策で10%(約10分間分)、停電対策で50%(1時間分)

47%

ピークが発生する夏期(7、8月)・冬期(12月)の昼間に放電し、夜間に充電

ピークが発生しない中間期は、昼夜間値差活用による電気料金削減の場合と同じ

4%

22時〜翌8時の電力が割安となる電気料金メニューを使用(東京電力「高圧季節別時間帯別電力」)

夜間に電力を充電し、昼間の電力が割高な時間帯に放電

1%

業務・産業では経済性から、太陽光の余剰電力を蓄電池に充電するケースは少数

消費電力量が多く余剰電力は発生することがないため、昼夜間値差活用による電気料金削減と同じ

注1 用途不明の蓄電池については、各使用用途の回答と同じ割合で使用されていると仮定注2 需要家アンケートおよび企業アンケートで集計した蓄電池の使用用途割合。各用途の割合はエネルギーベース[kWh]

使用者割合注2 概要 使用者割合注2 概要

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埋蔵蓄電量推計:既設蓄電池の使用用途 ユースケース①

-100%

0%

100%

0:0

0

2:0

0

4:0

0

6:0

0

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0

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:00

18

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:00

22

:00

-100%

0%

100%

0:0

0

2:0

0

4:0

0

6:0

0

8:0

0

10

:00

12

:00

14

:00

16

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18

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:00

22

:00

0%

20%

40%

60%

80%

100%

0:0

0

2:0

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6:0

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0

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0

12:0

0

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0

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0

18:0

0

20:0

0

22:0

0

瞬低対策、停電対策 基本契約電力削減

• 業務・産業用では、瞬低対策および停電対策に使用されている蓄電池は、それぞれSOC10%と50%まで許容可能

• 家庭用では停電対策としてSOC40%まで許容可能

ピークに合わせて放電

夜間に充電

SO

C[%

]電

力[k

W]

割安な電力を充電

基本的には100%の充電状態を維持。最低限50%放電できる状態まで許容。

(瞬低対策では10%、家庭用では40%)

-100%

0%

100%

0:0

0

2:0

0

4:0

0

6:0

0

8:0

0

10

:00

12

:00

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:00

16

:00

18

:00

20

:00

22

:00

充電

埋蔵

• 夏期・冬期では日中にピークカットを実施し(12〜14時に放電、22〜翌朝4時に充電)、中間期では昼夜間値差活用を実施

-100%

0%

100%

0:0

0

2:0

0

4:0

0

6:0

0

8:0

0

10

:00

12

:00

14

:00

16

:00

18

:00

20

:00

22

:00

放電

充電

放電

夏期・冬期

0%

20%

40%

60%

80%

100%

0:0

0

2:0

0

4:0

0

6:0

0

8:0

0

10:0

0

12:0

0

14:0

0

16:0

0

18:0

0

20:0

0

22:0

0

埋蔵

充電

電力が割高なので充電はしない

電力

[kW

]

SO

C[%

]電

力[k

W]

電力

[kW

]

電力が割高なので充電はしない

SO

C

の状態

充放電パターン

埋蔵蓄電量の想定

直前2時間は充電のみ実施

埋蔵 埋蔵

許容値までは放電可能

埋蔵

昼間割高電力 昼間割高電力

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埋蔵蓄電量推計:既設蓄電池の使用用途 ユースケース②

-100%

0%

100%

0:0

0

2:0

0

4:0

0

6:0

0

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0

10

:00

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:00

16

:00

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:00

20

:00

22

:00

埋蔵

-100%

0%

100%

0:0

0

2:0

0

4:0

0

6:0

0

8:0

0

10

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16

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22

:00

0%

20%

40%

60%

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100%

0:0

0

2:0

0

4:0

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6:0

0

8:0

0

10:0

0

12:0

0

14:0

0

16:0

0

18:0

0

20:0

0

22:0

0

昼夜間値差活用によるエネマネ 太陽光発電の余剰電力活用

• 割安な電力が使用可能な夜間に充電し、日中に充電した電力を使用

-100%

0%

100%

0:0

0

2:0

0

4:0

0

6:0

0

8:0

0

10

:00

12

:00

14

:00

16

:00

18

:00

20

:00

22

:00

• 日中に太陽光の余剰電力を充電し、夕方に放電• さらに、夜に割安の系統電力を充電し、早朝に放電

-100%

0%

100%

0:0

0

2:0

0

4:0

0

6:0

0

8:0

0

10

:00

12

:00

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:00

18

:00

20

:00

22

:00

0%

20%

40%

60%

80%

100%

0:0

0

2:0

0

4:0

0

6:0

0

8:0

0

10:0

0

12:0

0

14:0

0

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18:0

0

20:0

0

22:0

0

SO

C[%

]電

力[k

W]

電力

[kW

]

SO

C[%

]電

力[k

W]

電力

[kW

]

(業務・産業)日中に放電

(家庭)朝方・夕方に放電

放電

充電

充電

埋蔵放電

余剰電力を充電(9:00-15:00)

放電(15:00-22:00)

夜間電力も活用

放電

充電

埋蔵

埋蔵充電

放電

充電

充電

放電

放電

SO

C

の状態

充放電パターン

埋蔵蓄電量の想定

割安な電力を充電

電力が割高なので充電はしない

昼間割高電力 昼間割高電力

直後の放電量に合わせて

充電

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埋蔵蓄電量推計:充放電の埋蔵量

充電

放電

0%

20%

40%

60%

80%

100%

0:0

0

2:0

0

4:0

0

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0

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10:0

0

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0

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0

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0

0%

20%

40%

60%

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100%

0:0

0

2:0

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0

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0

12:0

0

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0

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0

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0

0%

20%

40%

60%

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100%

0:0

0

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0

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0

20:0

0

22:0

0

家庭用蓄電池 業務・産業用蓄電池

※夏期・冬期のピークカットと中間期での昼夜間値差活用で埋蔵蓄電量は同じ

昼間割高電力

昼間割高電力

充電する時間帯として確保

充電する時間帯として確保

停電対策用の蓄電池を利用

瞬低・停電対策用の蓄電池

を利用

昼間割高電力

充電する時間帯として確保

昼間割高電力

充電する時間帯として確保

埋蔵

蓄電

量割

合[%

]埋

蔵蓄

電量

割合

[%]

埋蔵

蓄電

量割

合[%

]埋

蔵蓄

電量

割合

[%]

0%

20%

40%

60%

80%

100%

0:0

0

2:0

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0

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0

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埋蔵蓄電量推計:国内の埋蔵蓄電量

家庭用/業務・産業蓄電池の使用用途を聴取し、稼働されていない埋蔵蓄電量※を推計。

夜間では埋蔵蓄電量が一定程度存在し、下げ代不足(急激な需要減)が発生した際には最大で370MWの充電が可能。

系統側の蓄電ニーズに対して、充電については日中でのポテンシャルは無い。放電については、電力需要の大きい夕方での貢献として停電対策用の蓄電池89MW分存在。

0

250

5000:0

0

2:0

0

4:0

0

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0

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0

20:0

0

22:0

0

充電

放電

• 電力需要の大きい夕方での埋蔵蓄電量は全体の約2割弱(約89MW)

家庭用

業務・産業用

考え方の前提条件

埋蔵蓄電量は、現在の電気料金メニューにおいて経済性を損なうことなく使用が可能な蓄電池の能力(充電、放電それぞれにおける蓄電容量kWh)と仮定

家庭用、業務・産業用蓄電池の用途として5つのユースケースを想定

① 瞬低対策

② 停電対策

③ ピークカットによる契約基本電力削減

④ 昼夜間値差活用による電気料金削減

⑤ 太陽光併設による余剰発電電力活用

現在の使用用途は、需要家アンケートおよび企業アンケートから把握

将来の使用用途について、家庭用は設置予定者の想定している用途を参照、業務・産業用は現在の使用割合と同じ

国内における蓄電池の導入量は家庭用495MWh/

165MW 、業務・産業用319MWh/ 215MW

将来の導入量は家庭用109MWh /36MW、業務・産業用27MWh/ 14MW注1

試算結果

埋蔵

蓄電

量[M

W]

埋蔵

蓄電

量[M

W]

将来

家庭用

業務・産業用

将来

注1 既存市場調査レポート等から、2020年までの導入目標50MWを、MWhベースで家庭用:業務・産業用が4:1で導入されると仮定

• 既に日中に放電している蓄電池が多いため、余剰電力が発生する日中での埋蔵蓄電量は無い

• 下げ代不足発生時には最大370MW充電が可能

0

250

500

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0

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0

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0

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0

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0

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0

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0

18:0

0

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0

22:0

0

※ 埋蔵蓄電量は、日本国内の既に導入されている蓄電池のうち、現在の電気料金メニューにおいて経済性を損なうことなく使用が可能な蓄電池の能力(充電、放電それぞれにおける蓄電容量kWh)。

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Ⅱ.余剰買取期間終了後の定置用蓄電池導入見通し分析

1. 需要家設置の最適容量

2. メーカー等へのヒアリング

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1.需要家設置の最適容量:試算の前提

2019年の買取制度終了後のPVに対して蓄電池を導入する際に、蓄電池の容量がどの程度であれば最適かを分析。

将来的に、PVと蓄電池を導入する際に、どの程度の価格になればメリットが出るのかを分析。

電力需要 家庭需要* 4,936 kWh/年

PV

出力 1~5 kW

発電量** 1,150 kWh/kW/年

設備利用率 13.1 %

蓄電池

充放電効率 85 %

放電深度*** 90 %

出力 2 kW

蓄電容量 1~15 kWh

寿命 15 年

価格想定

買電価格 26~32 円/kWh

売電価格 0~11 円/kWh

PV価格 25~15 万円/kW

蓄電池価格 9~7 万円/kWh

各種前提条件

* 建築学会のデータを元に、EDMCの2016年度のデータと合致するよう想定。** 東京における2014年度の全天日射量をもとに設定。*** SoCの上限・下限5%ずつ(0-5%、95-100%)は使用できないと想定。

試算内容

蓄電池

追加導入による

最適容量

• PVの買取制度終了で蓄電池を追加導入する際に、メリットが出る蓄電容量を推計

• 2019年頃を想定

• 電気料金および蓄電池イニシャルコストで比較

PV+蓄電池の

導入における

最適容量

および価格

• PVと蓄電池を新規に導入する際に、メリットが出る蓄電容量、およびそのときの価格を推計

• 2025年頃を想定

• 電気料金およびPVと蓄電池のイニシャルコストで比較

VS +

VS

PVなし

PVあり PV+蓄電池

PV+蓄電池

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需要

4,936 kWh

需要

4,936 kWh

需要

4,936 kWh

系統買電

4,936 kWh

系統買電

3,011 kWh

系統買電

1,412 kWh

自家消費

1,925 kWh

自家消費

3,524 kWh

系統売電

3,825 kWh

系統売電

1,942 kWh

0

2,500

5,000

7,500

10,000

なし PVのみ 5kW PV+Ba 5kW、7kWh

電力

量kW

h/年

1.需要家設置の最適容量: PV、蓄電池導入による効果

PVを導入することによってPV発電量の一部を自家消費し、一部を系統に売電することで収益を得る。

蓄電池を導入しPV発電量の一部を充放電することで、自家消費の割合を増やし収益性を向上させる。

なしPVのみ

(PV:5kW)PV+蓄電池

(PV:5kW、蓄電池:7kWh)

33%

67%

36%

64%

71%

29%

61%

39%

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0

1

2

3

4

電力

kW

需要

充電量

PV発電

放電量

1.需要家設置の最適容量: PVと蓄電池の運用イメージ

PVは天候に応じて発電されると想定。

蓄電池は家庭の需要との差分を充電すると想定し、蓄電池の放電はPVの発電が終了し、需要が上回った時間から開始。

0

5

10

10月1日 10月2日 10月3日 10月4日 10月5日 10月6日 10月7日

蓄電

量kW

h

蓄電量

(PV:5kW、蓄電池:7kWhの場合)

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2,518

2,878 3,087

2,896

3,524

4,094

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15

自家

消費

合計

kW

h/年

蓄電池設備容量 kWh

1.需要家設置の最適容量:蓄電池設備容量による自家消費の増加

蓄電池の設備容量を増加させることで、自家消費を増加させることができるが、一定以上になるとその伸び率は低下。

電力需要とPV発電量の小さい方が上限となり、PV5kWの発電量に対しては7割弱程度で収斂する傾向。

PV:1kW

PV:2kW

PV:3kW

PV:4kW

PV:5kW50%

39%

29%

67%

PV発電量(5kW)

5,750 kWh/年

電力需要4,936 kWh/年

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1.需要家設置の最適容量:蓄電池稼働率の推移

蓄電池を1日1サイクル(年間最大放電量:365kWh/年)と想定したときに、蓄電池の稼働率(=放電量/最大放電量)を整理。

PV発電量に対して電力需要が大きいときは設備容量に応じて稼働率は低下するが、PV発電量が大きくなると余剰電力を蓄電池で賄えなくなるため、設備容量の増加による稼働率低下は鈍化する。

PV:1kW

PV:2kW

PV:3kW

PV:4kW

PV:5kW

PV発電量>電力需要である時間が増加し、蓄電容量があればその分稼働率も確保できる

十分蓄電容量があるため、充電する時間が減少

73%

60%

33%

87%

82%

52%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15

蓄電

池稼

働率

%

蓄電池設備容量 kWh

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1.需要家設置の最適容量:蓄電池許容額

先述のとおり、1kWhのときが最も蓄電池の稼働率がよいことから投資効率が高い。

寿命の間に投資回収可能な蓄電池価格を許容額とすると、売電・買電価格によって異なるが以下のとおり。

• 寿命10年:3.5~8.5万円/kWh

• 寿命15年:5.2~12.8万円/kWh

蓄電池許容額(1kWh) 寿命 10年 蓄電池許容額(1kWh) 寿命 15年

買電価格 買電価格

注 PV:5kWの場合を想定

34,732

53,512

69,162 50,692

69,472

85,122

0

50,000

100,000

150,000

0 2 4 6 8 10 12

蓄電

池許

容額

円/k

Wh

売電価格 円/kWh

26円

29円

32円

52,098

80,268

103,743 76,038

104,208

127,683

0

50,000

100,000

150,000

0 2 4 6 8 10 12

蓄電

池許

容額

円/k

Wh

売電価格 円/kWh

26円

29円

32円

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0

4

8

12

16

20

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月11月12月

電力

量kW

h/日

7-23時の買電 23-7時の買電 売電

0

4

8

12

16

20

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月11月12月

電力

量kW

h/日

7-23時の買電 23-7時の買電 売電

1.需要家設置の最適容量:月別の1日あたり買電量

蓄電池を考慮せず、PVと需要のみを考えたときに、月別で1日あたりどの程度の買電量、売電量になっているか分析。

夜間電力が設定されている7-23時とそれ以外で分けて考察(以下はPV5kWの場合を記載)。

季節間での変動が大きく、合計買電量は中間期で8kWh/日未満、夏期・冬期で10kWh/日前後。平均で10.2kWh/日。

7-23時だけで見れば、中間期で4kWh/日程度、夏期・冬期で8kWh/日前後。平均で6.8kWh/日。

PV:5kWの場合 ≪参考≫PV:3kWの場合

7-23時平均:6.8kWh

合計平均:10.2kWh

7-23時平均:7.2kWh

合計平均:10.7kWh

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1.需要家設置の最適容量:充電時間と放電時間(1/2)

蓄電池の容量を4kWhと7kWhとし、それぞれのときの充放電のタイミングを、1時間毎、月毎に、平均、頻度、最大値で整理。

充電 (PV:5kW、蓄電池:4kWh) 充電 (PV:5kW、蓄電池:7kWh)

充電量はピークが夏期・中間期で9-10時、冬期で11-12時

頻度は概ね4時間程度で、12-15時には充電終了している

最大値は、中間期と夏期でまれに2kWの最大値となっている

充電量はピークが夏期・中間期で10-11時、冬期で12-13時

頻度は概ね5-6時間程度で、冬期は15時くらいまで充電している

最大値は、中間期と夏期ではほぼピークで2kWの最大値となっている

平均値

0:00 1:00 2:00 3:00 4:00 5:00 6:00 7:00 8:00 9:00 10:00 11:00 12:00 13:00 14:00 15:00 16:00 17:00 18:00 19:00 20:00 21:00 22:00 23:00

1 1月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.3 0.8 1.3 1.4 1.2 0.6 0.4 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

2 2月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 0.7 1.2 1.6 1.6 0.9 0.4 0.3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

3 3月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.5 1.1 1.3 1.5 0.9 0.9 0.6 0.5 0.3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

4 4月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.2 0.9 1.5 1.7 1.3 0.8 0.7 0.4 0.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

5 5月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 0.4 1.1 1.6 1.7 0.8 0.8 1.0 0.6 0.6 0.4 0.3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

6 6月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.2 0.4 0.8 1.1 1.3 1.1 0.9 0.7 0.4 0.4 0.3 0.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

7 7月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.2 0.7 1.2 1.5 1.3 0.6 0.5 0.5 0.4 0.6 0.3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

8 8月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.2 0.7 1.2 1.4 1.1 0.8 0.7 0.4 0.3 0.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

9 9月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 0.5 1.0 1.5 1.5 0.8 0.8 0.4 0.3 0.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

10 10月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.3 0.8 1.3 1.5 1.0 0.7 0.5 0.4 0.3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

11 11月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.2 0.6 1.0 1.2 1.2 0.7 0.4 0.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

12 12月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.4 0.9 1.1 1.1 1.2 0.7 0.3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

頻度(回数)

0:00 1:00 2:00 3:00 4:00 5:00 6:00 7:00 8:00 9:00 10:00 11:00 12:00 13:00 14:00 15:00 16:00 17:00 18:00 19:00 20:00 21:00 22:00 23:00

1 1月 0 0 0 0 0 0 0 0 0 23 28 27 27 28 26 10 3 0 0 0 0 0 0 0

2 2月 0 0 0 0 0 0 0 0 5 22 24 24 24 17 7 2 1 0 0 0 0 0 0 0

3 3月 0 0 0 0 0 0 0 1 20 27 31 30 25 11 6 4 1 0 0 0 0 0 0 0

4 4月 0 0 0 0 0 0 0 14 25 29 29 29 10 7 5 3 0 0 0 0 0 0 0 0

5 5月 0 0 0 0 0 0 6 23 28 29 30 29 11 6 6 4 4 2 0 0 0 0 0 0

6 6月 0 0 0 0 0 0 4 16 25 30 29 27 19 10 9 7 9 5 0 0 0 0 0 0

7 7月 0 0 0 0 0 0 0 18 27 30 29 29 15 9 10 6 3 4 0 0 0 0 0 0

8 8月 0 0 0 0 0 0 0 15 22 24 28 29 16 16 14 9 4 0 0 0 0 0 0 0

9 9月 0 0 0 0 0 0 0 4 23 28 28 29 25 14 10 6 5 1 0 0 0 0 0 0

10 10月 0 0 0 0 0 0 0 1 20 28 27 27 28 16 10 6 2 0 0 0 0 0 0 0

11 11月 0 0 0 0 0 0 0 0 9 23 25 27 25 24 14 5 0 0 0 0 0 0 0 0

12 12月 0 0 0 0 0 0 0 0 0 26 27 29 29 27 23 12 1 0 0 0 0 0 0 0

最大値

0:00 1:00 2:00 3:00 4:00 5:00 6:00 7:00 8:00 9:00 10:00 11:00 12:00 13:00 14:00 15:00 16:00 17:00 18:00 19:00 20:00 21:00 22:00 23:00

1 1月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.7 1.3 1.6 2.0 1.7 1.3 0.7 0.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

2 2月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.3 1.0 1.7 2.0 2.0 1.9 0.7 0.4 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

3 3月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.9 1.7 2.0 2.0 2.0 1.8 1.1 0.7 0.3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

4 4月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.4 1.4 2.0 2.0 2.0 1.6 1.9 0.6 0.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

5 5月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 0.8 1.7 2.0 2.0 2.0 2.0 1.8 0.9 0.8 0.7 0.4 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

6 6月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.2 0.8 1.7 2.0 2.0 2.0 1.9 1.9 0.9 0.6 0.8 0.4 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

7 7月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.5 1.3 2.0 2.0 2.0 1.3 1.2 0.9 0.7 1.5 0.5 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

8 8月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.5 1.2 1.9 2.0 2.0 2.0 1.5 0.9 0.8 0.5 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

9 9月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.2 1.0 1.8 2.0 2.0 2.0 1.5 1.0 0.9 0.4 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

10 10月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.6 1.5 2.0 2.0 2.0 1.5 1.4 1.0 0.5 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

11 11月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.4 1.1 1.6 2.0 2.0 1.6 0.8 0.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

12 12月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.8 1.3 1.7 1.8 1.6 1.1 0.6 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

平均値

0:00 1:00 2:00 3:00 4:00 5:00 6:00 7:00 8:00 9:00 10:00 11:00 12:00 13:00 14:00 15:00 16:00 17:00 18:00 19:00 20:00 21:00 22:00 23:00

1 1月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.3 0.8 1.3 0.9 0.5 0.2 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

2 2月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 0.7 1.2 1.3 0.6 0.6 0.2 0.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

3 3月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.5 1.1 1.1 0.7 0.5 0.5 0.3 0.4 0.3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

4 4月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.2 0.9 1.4 0.8 0.6 0.6 0.3 0.3 0.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

5 5月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 0.4 1.1 1.4 0.7 0.7 0.6 0.7 0.5 0.2 0.3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

6 6月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.2 0.4 0.8 0.9 0.9 0.5 0.6 0.5 0.4 0.2 0.2 0.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

7 7月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.2 0.7 1.2 0.8 0.5 0.5 0.4 0.4 0.4 0.1 0.3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

8 8月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.2 0.7 1.2 0.8 0.8 0.4 0.5 0.4 0.2 0.3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

9 9月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 0.5 1.0 1.3 0.6 0.4 0.5 0.4 0.3 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

10 10月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.3 0.8 1.3 0.7 0.5 0.5 0.4 0.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

11 11月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.2 0.6 1.0 0.9 0.5 0.3 0.3 0.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

12 12月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.4 0.9 1.1 0.7 0.3 0.1 0.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

頻度(回数)

0:00 1:00 2:00 3:00 4:00 5:00 6:00 7:00 8:00 9:00 10:00 11:00 12:00 13:00 14:00 15:00 16:00 17:00 18:00 19:00 20:00 21:00 22:00 23:00

1 1月 0 0 0 0 0 0 0 0 0 23 28 27 27 10 3 1 0 0 0 0 0 0 0 0

2 2月 0 0 0 0 0 0 0 0 5 22 24 24 11 3 4 1 0 0 0 0 0 0 0 0

3 3月 0 0 0 0 0 0 0 1 20 27 31 18 12 6 5 2 1 0 0 0 0 0 0 0

4 4月 0 0 0 0 0 0 0 14 25 29 28 7 4 4 3 3 0 0 0 0 0 0 0 0

5 5月 0 0 0 0 0 0 6 23 28 29 16 8 6 3 3 3 2 0 0 0 0 0 0 0

6 6月 0 0 0 0 0 0 4 16 25 30 22 18 9 7 7 5 6 3 0 0 0 0 0 0

7 7月 0 0 0 0 0 0 0 18 27 30 28 13 6 7 8 4 2 3 0 0 0 0 0 0

8 8月 0 0 0 0 0 0 0 15 22 24 28 14 12 9 9 7 2 0 0 0 0 0 0 0

9 9月 0 0 0 0 0 0 0 4 23 28 28 19 10 6 7 5 2 0 0 0 0 0 0 0

10 10月 0 0 0 0 0 0 0 1 20 28 27 24 12 7 6 4 0 0 0 0 0 0 0 0

11 11月 0 0 0 0 0 0 0 0 9 23 25 27 15 10 8 3 0 0 0 0 0 0 0 0

12 12月 0 0 0 0 0 0 0 0 0 26 27 29 29 10 2 1 0 0 0 0 0 0 0 0

最大値

0:00 1:00 2:00 3:00 4:00 5:00 6:00 7:00 8:00 9:00 10:00 11:00 12:00 13:00 14:00 15:00 16:00 17:00 18:00 19:00 20:00 21:00 22:00 23:00

1 1月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.7 1.3 1.6 1.6 1.1 0.4 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

2 2月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.3 1.0 1.7 1.8 1.2 1.0 0.2 0.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

3 3月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.9 1.7 2.0 2.0 1.1 1.0 0.7 0.5 0.3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

4 4月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.4 1.4 2.0 1.8 1.4 1.2 0.7 0.4 0.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

5 5月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 0.8 1.7 2.0 1.6 1.7 1.5 1.1 0.9 0.4 0.5 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

6 6月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.2 0.8 1.7 1.8 1.6 1.2 1.2 0.9 0.9 0.5 0.5 0.3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

7 7月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.5 1.3 1.9 2.0 1.8 1.0 0.7 0.7 0.5 0.3 0.5 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

8 8月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.5 1.2 1.9 1.9 1.6 1.1 1.0 0.9 0.8 0.5 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

9 9月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.2 1.0 1.8 2.0 1.7 0.8 0.9 1.0 0.9 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

10 10月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.6 1.5 1.9 1.4 1.1 1.4 1.4 0.4 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

11 11月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.4 1.1 1.6 1.7 1.0 0.9 0.6 0.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

12 12月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.8 1.3 1.7 1.3 0.5 0.2 0.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

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1.需要家設置の最適容量:充電時間と放電時間(2/2)

蓄電池の容量を4kWhと7kWhとし、それぞれのときの充放電のタイミングを、1時間毎、月毎に、平均、頻度、最大値で整理。

放電 (PV:5kW、蓄電池:4kWh) 放電 (PV:5kW、蓄電池:7kWh)

放電量は季節に限らずピークが19時前後、冬期が若干早い

頻度は冬期は4時間、夏期は5-6時間

最大値は、夏期以外はほとんど1kW前後

放電量は季節に限らず18時前後からあまり変動無し、冬期が若干早い

頻度は冬期は6時間、夏期は9-10時間で、朝方まで放電

最大値は、夏期以外はほとんど1kW前後

平均値

0:00 1:00 2:00 3:00 4:00 5:00 6:00 7:00 8:00 9:00 10:00 11:00 12:00 13:00 14:00 15:00 16:00 17:00 18:00 19:00 20:00 21:00 22:00 23:00

1 1月 0.3 0.3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 0.2 0.6 0.8 0.8 0.9 0.9 0.7 0.4

2 2月 0.3 0.2 0.2 0.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 0.0 0.0 0.0 0.1 0.2 0.3 0.8 0.8 0.8 0.9 0.8 0.6

3 3月 0.4 0.3 0.2 0.2 0.2 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 0.0 0.1 0.1 0.1 0.2 0.3 0.7 0.8 0.9 0.8 0.7 0.5

4 4月 0.4 0.3 0.3 0.3 0.3 0.2 0.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 0.0 0.0 0.0 0.1 0.2 0.5 0.7 0.7 0.7 0.7 0.5

5 5月 0.5 0.3 0.3 0.3 0.3 0.2 0.1 0.0 0.0 0.1 0.0 0.0 0.0 0.1 0.0 0.0 0.0 0.3 0.3 0.7 0.7 0.7 0.6 0.6

6 6月 0.5 0.4 0.4 0.3 0.2 0.2 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 0.1 0.3 0.2 0.2 0.3 0.6 0.7 0.7 0.7 0.7

7 7月 0.5 0.4 0.4 0.3 0.3 0.4 0.1 0.0 0.0 0.0 0.1 0.1 0.7 0.0 0.0 0.8 0.4 0.4 0.3 0.7 0.9 1.1 1.1 0.7

8 8月 0.4 0.4 0.3 0.2 0.3 0.2 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.3 0.5 0.5 0.4 0.3 0.2 0.4 0.5 0.8 0.8 0.9 0.8 0.6

9 9月 0.4 0.3 0.3 0.2 0.2 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.2 1.2 0.6 0.2 0.2 0.7 0.8 0.8 0.8 0.7 0.7

10 10月 0.4 0.3 0.2 0.2 0.2 0.2 0.3 0.0 0.0 0.0 0.1 0.0 0.0 0.1 0.0 0.0 0.2 0.4 0.7 0.7 0.6 0.6 0.5 0.5

11 11月 0.4 0.3 0.2 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 0.0 0.1 0.2 0.2 0.6 0.7 0.7 0.7 0.7 0.6 0.5

12 12月 0.3 0.2 0.3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 0.0 0.2 0.1 0.2 0.1 0.2 0.7 0.9 0.8 0.8 0.8 0.6 0.4

頻度(回数)

0:00 1:00 2:00 3:00 4:00 5:00 6:00 7:00 8:00 9:00 10:00 11:00 12:00 13:00 14:00 15:00 16:00 17:00 18:00 19:00 20:00 21:00 22:00 23:00

1 1月 11 5 2 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 0 0 2 10 26 26 26 26 25 25 21

2 2月 17 6 2 1 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 2 3 23 24 22 22 22 22 20

3 3月 24 20 17 6 3 2 0 0 0 0 0 1 0 2 1 3 7 18 29 27 26 25 25 24

4 4月 26 25 23 18 11 7 1 0 0 0 1 0 1 0 1 0 4 8 28 28 27 27 26 26

5 5月 28 26 24 24 20 18 6 0 0 1 0 0 0 1 0 0 1 5 30 31 30 29 29 29

6 6月 23 22 20 20 14 8 2 0 0 0 1 0 1 1 1 4 4 5 25 28 27 27 25 24

7 7月 11 8 7 6 5 2 2 0 0 0 2 2 2 1 0 3 8 8 27 27 26 23 20 18

8 8月 14 13 11 9 4 4 1 0 0 1 0 1 2 1 1 3 8 14 28 29 24 21 20 18

9 9月 16 13 11 6 3 1 0 0 0 0 0 0 0 1 1 3 5 17 29 29 27 25 23 20

10 10月 22 21 18 12 6 4 2 1 0 0 1 0 0 1 1 4 7 28 28 28 25 24 23 22

11 11月 15 10 7 4 0 0 0 0 0 0 0 0 2 1 2 7 18 25 23 20 18 17 16 16

12 12月 10 5 1 0 0 0 0 0 0 0 1 0 1 3 3 4 22 25 24 24 24 24 22 17

最大値

0:00 1:00 2:00 3:00 4:00 5:00 6:00 7:00 8:00 9:00 10:00 11:00 12:00 13:00 14:00 15:00 16:00 17:00 18:00 19:00 20:00 21:00 22:00 23:00

1 1月 0.6 0.3 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 0.4 0.8 1.2 1.1 1.1 1.2 1.1 0.8

2 2月 0.6 0.3 0.4 0.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 0.0 0.0 0.0 0.2 0.4 0.6 1.3 1.4 1.2 1.1 1.2 1.0

3 3月 0.7 0.4 0.3 0.3 0.3 0.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 0.0 0.2 0.1 0.1 0.3 0.7 1.0 1.1 1.3 1.0 0.9 0.7

4 4月 0.6 0.5 0.5 0.4 0.4 0.4 0.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 0.0 0.0 0.0 0.2 0.7 1.2 1.0 1.1 1.0 1.1 0.7

5 5月 0.6 0.5 0.4 0.4 0.4 0.5 0.2 0.0 0.0 0.1 0.0 0.0 0.0 0.1 0.0 0.0 0.0 0.9 0.8 0.8 1.3 1.1 0.9 1.3

6 6月 0.8 0.5 0.5 0.4 0.4 0.3 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 0.1 0.8 0.3 0.4 0.6 0.9 1.2 1.1 1.3 2.0

7 7月 1.1 0.6 0.5 0.4 0.4 0.4 0.2 0.0 0.0 0.0 0.1 0.1 0.8 0.0 0.0 1.4 1.3 1.4 1.9 2.0 2.0 2.0 2.0 1.9

8 8月 0.5 0.5 0.5 0.3 0.4 0.3 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.3 0.7 0.5 0.4 0.6 0.6 0.8 1.1 1.7 2.0 2.0 1.9 0.9

9 9月 0.6 0.4 0.4 0.3 0.3 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.2 1.2 0.9 0.3 0.6 1.0 2.0 1.7 1.2 1.6 1.2

10 10月 0.6 0.6 0.4 0.4 0.4 0.3 0.3 0.0 0.0 0.0 0.1 0.0 0.0 0.1 0.0 0.1 0.5 0.6 1.0 1.1 0.9 0.7 0.7 0.7

11 11月 0.6 0.4 0.3 0.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 0.0 0.1 0.7 0.6 1.3 1.2 1.1 0.9 1.0 0.8 0.7

12 12月 0.7 0.4 0.3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 0.0 0.2 0.2 0.3 0.2 0.4 1.0 1.4 1.2 1.1 1.1 0.9 0.8

平均値

0:00 1:00 2:00 3:00 4:00 5:00 6:00 7:00 8:00 9:00 10:00 11:00 12:00 13:00 14:00 15:00 16:00 17:00 18:00 19:00 20:00 21:00 22:00 23:00

1 1月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 0.2 0.6 0.8 0.8 0.6 0.4 0.2 0.0

2 2月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 0.0 0.0 0.0 0.1 0.2 0.3 0.8 0.8 0.7 0.5 0.0 0.0

3 3月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 0.0 0.1 0.1 0.1 0.2 0.3 0.7 0.8 0.8 0.6 0.2 0.1

4 4月 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 0.0 0.0 0.0 0.1 0.2 0.5 0.7 0.7 0.7 0.4 0.2

5 5月 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 0.0 0.0 0.0 0.1 0.0 0.0 0.0 0.3 0.3 0.7 0.7 0.7 0.6 0.3

6 6月 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 0.1 0.3 0.2 0.2 0.3 0.6 0.7 0.7 0.6 0.3

7 7月 0.6 0.4 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 0.1 0.7 0.0 0.0 0.8 0.4 0.4 0.3 0.7 0.8 1.0 0.4 0.3

8 8月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.3 0.5 0.5 0.4 0.3 0.2 0.4 0.5 0.8 0.8 0.6 0.4 0.3

9 9月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.2 1.2 0.6 0.2 0.2 0.7 0.8 0.7 0.6 0.3 0.0

10 10月 0.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 0.0 0.0 0.1 0.0 0.0 0.2 0.4 0.7 0.7 0.6 0.4 0.2 0.3

11 11月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 0.0 0.1 0.2 0.2 0.6 0.7 0.6 0.6 0.4 0.2 0.0

12 12月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 0.0 0.2 0.1 0.2 0.1 0.2 0.7 0.9 0.8 0.5 0.3 0.0 0.0

頻度(回数)

0:00 1:00 2:00 3:00 4:00 5:00 6:00 7:00 8:00 9:00 10:00 11:00 12:00 13:00 14:00 15:00 16:00 17:00 18:00 19:00 20:00 21:00 22:00 23:00

1 1月 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 0 0 2 10 26 26 26 25 9 2 0

2 2月 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 2 3 23 24 22 22 15 2 0

3 3月 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 2 1 3 7 18 29 27 26 24 7 1

4 4月 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 1 0 1 0 4 8 28 28 27 25 19 9

5 5月 2 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 1 0 0 1 5 30 31 30 29 26 19

6 6月 4 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 1 1 1 4 4 5 25 28 27 26 23 15

7 7月 1 1 1 0 0 0 0 0 0 0 2 2 2 1 0 3 8 8 26 26 25 19 14 5

8 8月 1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 1 2 1 1 3 8 14 28 29 22 20 14 2

9 9月 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 3 5 17 29 28 26 22 12 2

10 10月 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 1 1 4 7 28 28 28 25 22 10 1

11 11月 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2 1 2 7 18 25 23 21 18 13 3 0

12 12月 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 1 3 3 4 22 25 24 24 21 9 1 0

最大値

0:00 1:00 2:00 3:00 4:00 5:00 6:00 7:00 8:00 9:00 10:00 11:00 12:00 13:00 14:00 15:00 16:00 17:00 18:00 19:00 20:00 21:00 22:00 23:00

1 1月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 0.4 0.8 1.2 1.1 1.0 0.8 0.3 0.0

2 2月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 0.0 0.0 0.0 0.2 0.4 0.6 1.3 1.4 1.0 0.9 0.1 0.0

3 3月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 0.0 0.2 0.1 0.1 0.3 0.7 1.0 1.1 1.3 0.9 0.6 0.1

4 4月 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 0.0 0.0 0.0 0.2 0.7 1.2 1.0 0.9 0.9 0.7 0.6

5 5月 0.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 0.0 0.0 0.0 0.1 0.0 0.0 0.0 0.9 0.8 0.8 1.3 0.8 0.7 0.6

6 6月 0.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 0.1 0.8 0.3 0.4 0.6 0.9 1.2 0.9 0.8 0.6

7 7月 0.6 0.4 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 0.1 0.8 0.0 0.0 1.4 1.3 1.4 1.4 2.0 1.8 1.9 0.7 0.6

8 8月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.3 0.7 0.5 0.4 0.6 0.6 0.8 1.1 1.4 2.0 1.1 0.6 0.5

9 9月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.2 1.2 0.9 0.3 0.6 0.9 2.0 1.1 0.9 0.6 0.0

10 10月 0.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 0.0 0.0 0.1 0.0 0.1 0.5 0.6 1.0 1.1 0.9 0.7 0.6 0.3

11 11月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 0.0 0.1 0.7 0.6 1.3 1.2 0.9 0.8 0.7 0.4 0.0

12 12月 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 0.0 0.2 0.2 0.3 0.2 0.4 1.0 1.4 1.2 0.8 0.7 0.0 0.0

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1.需要家設置の最適容量: kW容量の最適化

蓄電池のkW出力の最適値について、PVの発電出力や需要を差し引いた残余発電出力の頻度から分析。

発電出力は特に昼間において3kWを超える日数が多くあり、12時断面だと105日(=約3割)。

他方、残余発電出力だと3kWを超える日数は12時断面でも35日(=約1割)であり、3kW程度あればほとんどのPV余剰を充電可能。

PV発電出力 残余発電出力(PV発電出力-需要)

注 365日に満たない日数は0kW。PV出力および残余発電出力ともに最大値は4kW未満。

123

31

85

105

83

46

1

0

50

100

150

200

250

300

350

400

0:0

0

1:0

0

2:0

0

3:0

0

4:0

0

5:0

0

6:0

0

7:0

0

8:0

0

9:0

0

10:0

0

11:0

0

12:0

0

13:0

0

14:0

0

15:0

0

16:0

0

17:0

0

18:0

0

19:0

0

20:0

0

21:0

0

22:0

0

23:0

0

日数

0kW以上1kW未満 1kW以上2kW未満 2kW以上3kW未満 3kW以上

113

2 20

35 29

3

0

50

100

150

200

250

300

350

400

0:0

0

1:0

0

2:0

0

3:0

0

4:0

0

5:0

0

6:0

0

7:0

0

8:0

0

9:0

0

10:0

0

11:0

0

12:0

0

13:0

0

14:0

0

15:0

0

16:0

0

17:0

0

18:0

0

19:0

0

20:0

0

21:0

0

22:0

0

23:0

0

日数

0kW以上1kW未満 1kW以上2kW未満 2kW以上3kW未満 3kW以上

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1.需要家設置の最適容量:収益の最大化

電気料金および蓄電池価格を織り込んだ総費用での比較をすると、ある前提ではPV5kW、蓄電池3kWhで最小となる。

なしPV

のみ PV+蓄電池

1kWh 3kWh 7kWh 15kWh

注 PV:5kWの場合を想定。売電価格:5円/kWh、買電価格:32円/kWhの場合蓄電池イニシャルコスト9万円/kWh、ランニングコストゼロ(割引率0%) と想定

77,214

57,702

35,478

20,631

18,000 42,000

90,000

合計:77,214 合計:75,702 合計:77,478

合計:110,631

0

50,000

100,000

150,000

総費

用(

電気

料金

+蓄

電池

費用

)円

/年

年間電気代

蓄電池費用

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1.需要家設置の最適容量:売電価格と買電価格による検討

売電価格と買電価格によって感度分析をすると、最適な蓄電容量は以下のとおり。

売電価格 円/kWh

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11

買電価格

円/kW

h

263kWh

1,425円2kWh752円

1kWh290円

274kWh

2,199円3kWh

1,293円2kWh662円

1kWh243円

285kWh

3,278円3kWh

2,040円2kWh

1,175円2kWh571円

1kWh196円

296kWh

4,592円5kWh

3,068円3kWh

1,908円2kWh

1,085円2kWh480円

1kWh149円

306kWh

5,992円6kWh

4,344円5kWh

2,858円3kWh

1,776円2kWh994円

1kWh415円

1kWh102円

317kWh

7,552円6kWh

5,744円6kWh

4,096円4kWh

2,655円3kWh

1,644円2kWh903円

1kWh368円

1kWh55円

327kWh

9,150円7kWh

7,267円6kWh

5,495円6kWh

3,847円4kWh

2,484円3kWh

1,512円2kWh812円

1kWh321円

1kWh8円

注 PV:5kW、蓄電池価格:9万円/kWhの場合を想定

上段:収益最大の蓄電容量下段:年間収益[円/年]

PVのみが収益最大

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≪参考≫売電価格と買電価格による検討

売電価格、買電価格のすべての想定に対して、4kWhの蓄電池を入れたときの収支バランスは以下のとおり。

蓄電池を導入する価値を経済的観点以外で考慮して、6,000円/年(500円/月)程度であれば許容できるとすれば範囲は拡大。

売電価格 円/kWh

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11

買電価格

円/kW

h

26 1,229 円 87 円 -1,055 円 -2,197 円 -3,338 円 -4,480 円 -5,622 円 -6,764 円 -7,905 円 -9,047 円 -10,189 円 -11,331 円

27 2,199 円 1,057 円 -85 円 -1,226 円 -2,368 円 -3,510 円 -4,652 円 -5,793 円 -6,935 円 -8,077 円 -9,219 円 -10,360 円

28 3,169 円 2,028 円 886 円 -256 円 -1,398 円 -2,540 円 -3,681 円 -4,823 円 -5,965 円 -7,107 円 -8,248 円 -9,390 円

29 4,140 円 2,998 円 1,856 円 714 円 -427 円 -1,569 円 -2,711 円 -3,853 円 -4,994 円 -6,136 円 -7,278 円 -8,420 円

30 5,110 円 3,968 円 2,826 円 1,685 円 543 円 -599 円 -1,741 円 -2,882 円 -4,024 円 -5,166 円 -6,308 円 -7,449 円

31 6,080 円 4,939 円 3,797 円 2,655 円 1,513 円 371 円 -770 円 -1,912 円 -3,054 円 -4,196 円 -5,337 円 -6,479 円

32 7,051 円 5,909 円 4,767 円 3,625 円 2,484 円 1,342 円 200 円 -942 円 -2,083 円 -3,225 円 -4,367 円 -5,509 円

注 PV:5kW、蓄電池価格:9万円/kWhの場合を想定

年間収益[円/年]

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≪参考≫PVの出力の違いによる傾向

PVの出力が小さくなると蓄電池の最適容量は減少する。

売電価格が3円/kWh程度であれば、1~3kWh程度の蓄電容量が最適となる。

PV出力別の蓄電池最適容量(買電価格28円/kWh) PV出力別の蓄電池最適容量(買電価格30円/kWh)

0

1

2

3

4

5

6

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11

蓄電

池容

量kW

h

売電価格 円/kWh

3kW 4kW 5kW

0

1

2

3

4

5

6

7

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11

蓄電

池容

量kW

h

売電価格 円/kWh

3kW 4kW 5kW

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≪参考≫蓄電池価格の低減による見通し

蓄電池の価格が下がると蓄電池導入による経済性が成立する範囲が拡大する。

蓄電池の価格が5万円/kWh程度まで下がると売電価格が5円/kWh前後でも8kWhが蓄電池最適容量となる。

売電価格 円/kWh

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

11

買電

価格

円/k

Wh

26 3 2 1

27 4 3 2 1

28 5 3 2 2 1

29 6 5 3 2 2 1

30 6 6 5 3 2 2 1

31 7 6 6 4 3 2 1 1

32 7 7 6 6 5 3 2 1 1

注 PV:5kWの場合を想定

蓄電池最適容量(蓄電池価格:9万円/kWh) 蓄電池最適容量(蓄電池価格:7万円/kWh) 蓄電池最適容量(蓄電池価格:5万円/kWh)

売電価格 円/kWh

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

11

買電

価格

円/k

Wh

26 7 7 7 6 4 3 2 1

27 7 7 7 6 6 4 2 1

28 7 7 7 7 6 6 4 2 1

29 8 7 7 7 7 6 5 3 2 1

30 8 8 7 7 7 7 6 5 3 2 1

31 8 8 8 7 7 7 7 6 5 3 2 1

32 8 8 8 7 7 7 7 7 6 5 3 2

売電価格 円/kWh

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

11

買電

価格

円/k

Wh

26 8 8 8 8 8 7 7 7 6 5 2 1

27 8 8 8 8 8 8 7 7 7 6 4 2

28 9 8 8 8 8 8 8 7 7 7 6 4

29 9 9 8 8 8 8 8 8 7 7 7 6

30 9 9 9 8 8 8 8 8 8 7 7 7

31 9 9 9 9 8 8 8 8 8 7 7 7

32 9 9 9 9 8 8 8 8 8 8 7 7

PVのみが収益最大

9 8 7 6 5 4 3 2 1 0

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51,872

35,478

20,631

83,333

18,667 32,667

70,000

合計:

157,952 合計:

153,872

合計:

151,478

合計:

173,964

0

50,000

100,000

150,000

200,000

総費

用(

電気

料金

+P

V費

用+

Ba費

用)

円/年

年間電気代

PV費用

Ba費用

1.需要家設置の最適容量: FIT卒業(PV+蓄電池)

電気料金およびPV、蓄電池価格を織り込んだ総費用での比較をすると、ある前提ではPV5kW、蓄電池7kWhで最小となる。

なしPV

のみ PV+蓄電池

1kWh 4kWh 7kWh 15kWh

注 PV:5kWの場合を想定。売電価格:5円/kWh、買電価格:32円/kWhの場合PV25万円/kW、蓄電池7万円/kWh と想定

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1.需要家設置の最適容量: PV+蓄電池の導入

さらに、PV+蓄電池が設備導入無しを上回る場合の想定は以下のとおり。

売電価格が5円/kWh前後の場合は、30円/kWh以上の買取価格で、PV5kW、蓄電池7kWhを導入することで3,000~7,000

円/年 程度の収益が得られる見通し。

売電価格 円/kWh

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11

買電価格

円/kW

h

26

27

281kWh

1,454円

293kWh709円

2kWh3,831円

1kWh7,157円

306kWh

1,482円5kWh

3,734円3kWh

6,408円2kWh

9,490円1kWh

12,860円

317kWh

1,008円7kWh

2,950円7kWh

4,892円6kWh

6,983円5kWh

9,274円3kWh

12,026円2kWh

15,149円1kWh

18,563円

328kWh825円

7kWh2,591円

7kWh4,532円

7kWh6,474円

7kWh8,416円

7kWh10,357円

6kWh12,485円

5kWh14,814円

3kWh17,644円

2kWh20,808円

注 PV:5kW、25万円/kWh、蓄電池価格:7万円/kWhの場合を想定

上段:収益最大の蓄電容量下段:年間収益[円/年]

PVのみが収益最大

設備導入無しが収益最大

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売電価格 円/kWh

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11

買電価格

円/kW

h

26 7kWh 7kWh 7kWh 6kWh 4kWh 3kWh 2kWh 1kWh

27 7kWh 7kWh 7kWh 6kWh 6kWh 4kWh 2kWh 1kWh

28 7kWh 7kWh 7kWh 7kWh 6kWh 6kWh 4kWh 2kWh 1kWh

29 8kWh 7kWh 7kWh 7kWh 7kWh 6kWh 5kWh 3kWh 2kWh 1kWh

30 8kWh 8kWh 7kWh 7kWh 7kWh 7kWh 6kWh 5kWh 3kWh 2kWh 1kWh

31 8kWh 8kWh 8kWh 7kWh 7kWh 7kWh 7kWh 6kWh 5kWh 3kWh 2kWh 1kWh

32 8kWh 8kWh 8kWh 7kWh 7kWh 7kWh 7kWh 7kWh 6kWh 5kWh 3kWh 2kWh

≪参考≫PV価格の低減による見通し

PVの価格が20万円/kW程度まで下がると、売電価格が3円/kWhまで下がらないと設備なしが最適にならない。

PV:20万円/kW PV:25万円/kW 収益最大の蓄電容量

それぞれの線よりも左側の領域の場合は、「設備導入なし」が最も収益が大きい

注 PV:5kW、蓄電池価格:7万円/kWhの場合を想定

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Ⅱ.余剰買取期間終了後の定置用蓄電池導入見通し分析

1. 需要家設置の最適容量

2. メーカー等へのヒアリング

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0

2

4

6

8

10

12

14

0 1 2 3 4 5 6 7

蓄電

池容

量kW

h

出力 kW

NEC

東芝

Panasonic

EliiyPower

OMRON

ニチコン

SHARP

京セラ

Tesla

2.メーカー等へのヒアリング:現状の蓄電池ラインナップ

各社から販売されている製品の容量と出力(蓄電池側)の関係を整理した。

出力3kW以下、容量4~8kWhの製品が主流(①)であるものの、出力は3kW以下のままで容量を増大させた製品群(②)やPVとの併用を想定し、出力、容量共に増大させた製品群(③)が存在する。

各社の蓄電池のラインナップ

② ③

出所)ヒアリングおよび各社HPより三菱総研作成(2017年1月現在)

日本メーカー平均

7.3 kWh

日本メーカー平均

2.6 kW

蓄電池セルメーカー

PCS

メーカー

PVパネルメーカー

その他日本メーカー平均

3時間率

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≪参考≫蓄電池の連系と出力の定義

太陽光、蓄電池、PCSを住宅に連系した際に、大きく3種類の出力が存在。

PV側のDC/DCコンバーター、蓄電池側のDC/DCコンバーター、その上位で系統に直接繋がるAC/DCコンバーターの出力の3種類がある。

そのうち、PCS内部の蓄電池側のDC/DCコンバーターの出力を、蓄電池側の出力と表現している。

蓄電池(Ba)

負荷(需要)

太陽光発電(PV)

系統

パワーコンディショナー(PCS)

分電盤

出所:オムロンウェブサイト、Panasonicウェブサイト等より三菱総研作成

DC/DC

コンバータ

DC/DC

コンバータ

AC/DC

コンバータ

自立運転時出力注

○○kW

Ba側出力○○kW

PV側出力○○kW

連系出力○○kW

注 加えて、停電時の自立運転等で直接負荷につながる場合の出力も存在するケースがある)

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2.メーカー等へのヒアリング:電力需要の想定とPV発電量の想定

ヒアリングを踏まえ、電力需要はEDMC、PV発電量はNEDO全国日射関連データマップに基づく数値を採用して先述の最適容量を推計した。

電力需要 PV発電量

出所)EDMC/エネルギー・経済統計要覧(日本エネルギー経済研究所計量分析ユニット編2016年度)より三菱総研作成

電力需要の統計として、EDMC、電気事業連合会の2つが存在

EDMC :4,936kWh/年/世帯

電事連:300kWh/月/世帯

ヒアリングによると、太陽光発電を導入している家庭に限るとより多くなる傾向

MRIでは建築学会の実データに基づき4,785kWh/年/世帯を用いていたが、

上記を鑑み 4,936kWh/年/世帯を採用

出所)住宅用エネルギーソリューションシステム 総合カタログ 2016-11(SHARP)

NEDO全国日射関連データマップに基づき想定しているケースが多い

MRIの推計においても、NEDOデータマップを参考にし、1,150kWh/kW/年(設備稼働率 13.1%)を採用

2014年度

4,936 kWh/年/世帯

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

1970 1980 1990 2000 2010

世帯

あた

り年

間電

力消

費量

kW

h/年

/世帯

年度

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Ⅲ.蓄電池の残存性能評価手法の整理

1. 残存性能評価手法の整理

2. 望ましい残存性能評価手法のあり方の検討

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蓄電池劣化によるアグリゲーションビジネスへの影響整理:検討の必要性

蓄電池は利用を重ねるにつれて、実効容量や最大出入力等の性能や、その安全性に劣化が生じる。

蓄電池性能の劣化に関する評価方法の欠如は、蓄電池ビジネスの事業性を損なったり、電力システムの信頼性に影響を与え

る可能性がある。

電力政策の一環として位置付けられている蓄電池ビジネスを促進し、社会インフラである電力システムの信頼度を維持するため

に、蓄電池の残存性能評価のあり方について検討する必要がある。

アグリゲータ卸電力市場

送配電事業者新電力等

電力システムの信頼性に影響 事業性に影響

要求

例:2kWを3時間

応答

例:1.5kWを2時間

応答例:2kWを3時間

例:2kWを3時間

制御指令

サービス提供例:3kWh, 出力1.5kW

サービス提供例:6kWh, 出力2kW

初期(経年劣化前)

運用中(経年劣化後)

電力システムの信頼度維持と、蓄電池ビジネス促進のために、蓄電池の残存性能評価のあり方に関する検討が求められる

図 蓄電池の残存性能評価の必要性

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蓄電池劣化によるアグリゲーションビジネスへの影響整理:残存性能評価の検討対象

VPP等のアグリゲーションビジネスには各種蓄電池が用いられることが想定されるが、特にリチウムイオン電池において残存性能評価に関する検討を行う必要性が高いと考えられる。

このため、本検討では、リチウムイオン電池の残存性能評価を対象とした調査・整理を行う。

想定用途 メーカー 電池の劣化への対応

リチウムイオン

電池

家庭用

産業・業務用

多数の企業が製造

電池種別(電極材料や電解液の組合せ)によって、劣化条件が異なる

メーカー各社によって劣化への対応策が異なる

劣化に伴う安全性の低下が懸念される

NaS電池 産業・業務用 単一企業

(日本ガイシ)

メーカーにおいて、劣化への対応策(モニタリング、定期点検等)が実施されている

電池種別が限られるため、劣化状況の推定が行いやすい

レドックスフロー

電池 産業・業務用

単一企業

(住友電工)

電池の構造上、劣化状態の把握が容易(電解液の濃度計測で可能)

水溶性電池のため、劣化による安全性への影響が比較的小さい

鉛蓄電池 産業・業務用 多数の企業が

製造

劣化機構が単純で、計測が容易であり、稼働実績も多い

電池寿命が短く、安価であるため、交換頻度が高く、劣化が問題となる場合が少ない

アグリゲーターによる活用がさほど想定されていない

残存性能評価による電池劣化の状態把握が特に重要と考えられる

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蓄電池劣化によるアグリゲーションビジネスへの影響整理:リチウムイオン電池の性能低下(1/2)

蓄電池は、電極やそのコイル構造の変化、電解液や活物質の劣化、正負極組合せの変化等で、劣化する。

蓄電池の劣化を要因、現象、結果に整理すると以下のようになる。

電極の変化電極コイル構造の

変化電解液の変化 活物質の変化

正負極組合せの変化

内部抵抗(Ω)の増加(過電圧の増加)

電池容量(Ah)の低下

最大出入力電流(A)の低下 充放電効率(%Wh)の低下 放電電力量(Wh)の低下

過電圧によって、充電上限電圧/放電下限電圧

に早期に達するため

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蓄電池劣化によるアグリゲーションビジネスへの影響整理:リチウムイオン電池の性能低下(2/2)

蓄電池の劣化は、①内部抵抗の上昇、②蓄電容量(Ah)の低下に分けられる。

①セルの内部抵抗が上昇すると、放電の際に過電圧(V)(内部抵抗(Ω)×電流値(A))が大きくなり、

充電上限電圧・放電下限電圧に達する際の電流値(A)(最大出入力電流)が低下する。

放電曲線が引き下がるため、充放電効率(放電電力量Wh/充電電力量Wh)が下がる。

放電電力量(Wh)が減少する。

充電上限電圧の到達も早くなるため、蓄電容量も減少する。

②蓄電容量の低下

放電電力量(Wh)が減少する。

過電圧(内部抵抗×電流値)

容量(Ah)

電圧(V) OCV曲線(電流0)

放電曲線電力量(Wh)

容量(Ah)

電圧(V)OCV曲線(電流0)

放電曲線

電力量(Wh)

内部抵抗の上昇 蓄電容量の低下

⇒最大出入力電流の低下、充放電効率の低下

※放電電力量(Wh)/充電電力量(Wh)

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蓄電池劣化によるアグリゲーションビジネスへの影響整理:想定されるトラブル(1/2)

アグリゲーターへのヒアリング等に基づいて、蓄電池の劣化により、アグリゲーションビジネスにおいて以下のようなトラブルが想定される。

表 VPPへの蓄電池利用に伴って想定されるトラブル例性能の低下

放電容量の低下 指令の要求容量未達によるペナルティ

充放電効率の低下蓄電池利用に必要な電力コストの上昇(サービス提供に必要な放電電力量に対す

る充電電力量の増加)

出力の低下 高出力が必要とされる用途に対する出力不足

応答性の低下

各蓄電池の制御指令に対する応答時間の違いによるシステム全体での応答不良

短時間での応答時間が必要とされる用途に対する応答不良によるサービス要求水準の未達 など

安全性の低下 劣化に伴う蓄電池の故障可能性の増加

需要家とのトラブルマルチユースによる蓄電池の劣化の加速

上記に伴う需要家からのクレーム など

表 蓄電池の劣化によりアグリゲーションビジネスに想定されるトラブル

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蓄電池劣化によるアグリゲーションビジネスへの影響整理:想定されるトラブル(2/2)

たとえば、蓄電池容量の減少時の運用によって、容量減少の影響をアグリゲータが大きく受ける可能性がある。

需要家利用容量

アグリゲーター運用可能容量

需要家利用容量

アグリゲーター運用可能容量

図 実効容量の低下による蓄電池運用の考え方

需要家利用容量は変更せず

劣化状態に関わらず需要家利用容量を変更しない場合

需要家利用容量

アグリゲーター運用可能容量

需要家利用容量

アグリゲーター運用可能容量

劣化に伴い需要家の利用容量も変更

需要家は劣化の影響を受けない反面、アグリゲータが運用可能な実効容量が大きく減少する可能性

劣化の影響を需要家とアグリゲータに分散させることが可能 本運用のためには蓄電池容量の把握が必須

劣化状態に応じて需要家の利用容量を変更

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蓄電池の残存性能評価手法の整理:既存の残存性能評価手法

既存の非破壊の残存性能評価手法には、専用の計測装置により測定を行う手法と、充放電データのみを用いて電池状態の推定を行う手法が存在する。

専用の計測装置による測定法

交流インピーダンス法 蓄電池セルに対して、交流インピーダンス法による電

池内部のインピーダンス測定を行い、等価回路を構築し、蓄電池セルの内部状態を推定

早稲田大学、同志社大学等

交流内部抵抗法 周波数の交流信号を1kHzに固定して測定されたイン

ピーダンス値から、蓄電池セルの残存容量を推定 ー

直接充放電測定法 運用を停止し、専用の出力装置や計測装置を用い

て充放電量を測定 各電池メーカ等

充放電データに基づく推定法

放電曲線微分法 放電曲線を電圧で微分することで、各活物質の容量

変化を抽出 評価には、一定電流での長時間放電を要する

電中研等

充電曲線解析法 充電曲線より、各活物質の容量・内部抵抗を推定 評価に要する時間が比較的短時間であり、BMSで測

定可能 東芝

充放電履歴に基づく推定法

電池の置かれた環境条件と、充放電等の使用履歴等の時系列データに基づいて劣化状態を推定

EVでは、走行データ(充放電データ)からの劣化状態推定に関する検討が進む

電中研、日産自動車等

手法の特徴・概要 主な技術開発主体

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蓄電池の残存性能評価手法の整理:開発中の残存性能評価手法

より低コストかつ簡便な測定法を志向し、様々な新規残存性能評価手法の技術開発が実施されている。

昨年度まで実施されたNEDO「安全・低コスト大規模蓄電システム技術開発」(2011〜2015年度)においては、早稲田大学、同志社大学にて、新たな蓄電池の診断技術の研究開発が実施されている。

また、大和製罐や三菱電機では、BMSからの電流・電圧データに基づき、蓄電池の劣化状態を計測する新たな手法の開発に取り組んでいる。

NEDO「安全・低コスト大規模蓄電システム技術開発」

矩形波インピーダンス法

矩形波電流に対する電圧応答をフーリエ変換にて解析することで、電池内部のインピーダンスを推定する手法(矩形波インピーダンス法)を用い、蓄電池の内部状態解析を実施

市販電池における運用についても検討

早稲田大学(逢坂先生)

過渡現象を利用した電池のモデリング

稼働状態の蓄電池の充放電開始時の電圧、電流の波形(過渡波形)を解析し、蓄電池の内部インピーダンスを算出、内部の状態推定を行う手法について検討

同志社大学(稲葉先生)

企業における研究開発事例

過渡的差電圧法

満充電状態からの放電開始時の降下電圧(差電圧)と電池容量・充放電効率の間に線形相関性があることに着目し、セル・モジュール単位の劣化状態について診断

通常運用時のBMSからのデータより診断可能

大和製罐

蓄電池性能オンライン診断技術

蓄電池運用時の電流・電圧データを独自のアルゴリズムで処理し、性能(蓄電容量、内部抵抗)の劣化度をリアルタイムに推定

蓄電池残量を1%以下の誤差で推定可能

三菱電機

手法の特徴・概要 主な技術開発主体

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蓄電池の残存性能評価手法の整理:残存性能評価手法の比較(暫定)

残存性能評価手法の比較より、アグリゲーションビジネスへの適用の観点からは、 実装された蓄電池を低コストで評価可能なBMSデータを用いた評価手法が有用と想定される。

一方、評価項目や各種電池への適用性、実運用中の評価の可否に関しては、各手法のメリット/デメリットがあるため、現状で望ましい手法を特定することは難しい。

手法名・開発主体 必要データ

評価項目各種電池への

適用性

実運用中の評価

評価単位実効

容量内部抵抗

その他

蓄電池性能オンライン診断技術(三菱電機)

BMSデータ(電流・電圧)

○△

(出力・応答性のみ)- △(※) 可 セル〜

充電曲線解析法(東芝)

○ ○ • 劣化予測 ○ 不可セル〜(電極)

過渡的差電圧法(大和製罐)

○△

(充放電効率のみ)- ○ 可 セル〜

放電微分曲線解析法 ○ - - ○ 不可 セル〜

充放電履歴に基づく推定法BMSデータ+環境条件

○ - - ○ 可 モジュール〜

交流インピーダンス法 専用機器データ ○ ○ - ○ 不可 セル〜

交流内部抵抗法 専用機器データ ○ - - ○ 不可 単電池〜

直接充放電測定法 専用機器データ ○ - - ○ 不可 システム〜

※出力に対する電圧変化が緩やかな電池 (リン酸鉄系、SCiB等)を除く

:優れている項目

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蓄電池の残存性能評価手法の整理:交流インピーダンス法

蓄電池セルやシステムに対して様々な周波数の交流電流を印加し、その応答電流の解析から、電池内部のインピーダンス特性を求め、電池内部の劣化状態を推定する手法である。

電極や電解質の変化による電池内部の劣化を比較的詳細に評価することが可能であり、特に電池の内部抵抗上昇の要因解析に有用である。また、電池容量に対しても、インピーダンス測定結果と一定の相関があることが示されている。

一方、インピーダンス測定には交流電流を印加するための「周波数応答アナライザ」および「ポテンショガルバノスタット」といった専用機器が必要である。また、測定結果の解析においては、電池内部を正確に表現する「等価回路」の構築が必須であり、特に蓄電システムへの適用に際しては、複雑な等価回路の検討が必要である。

出所:東陽テクニカホームページ

項目 特徴

データ・情報の取得方法

交流電流の印加に対する応答電流

専用機器が必要

評価可能な電池性能

内部抵抗 実効電池容量※

評価精度 -

評価可能な電池材料

各種電池材料の評価が可能だが、適切な等価回路の構築が必要

性能評価単位

計測単位に準じる(セル単位での計測時はセル単位での評価が可能)

評価に要する時間

交流電流の印加時間(〜1時間)

専用機器を用いて、様々な周波数の交流電流を印加し、その応答電流を測定

応答電流の解析から、各周波数におけるインピーダンスを算出

周波数別のインピーダンスをCole-Coleプロット図で展開し、電池の等価回路を構築(下記)

Cole-Coleプロット図の変化より、電池内部の劣化状態を診断

表 交流インピーダンス法の特徴

ポテンショガルバノスタット

周波数応答アナライザ

交流信号応答

(電圧・電流)

交流電流の印加

応答電流の計測

解析

蓄電池セル or システム

図 交流インピーダンス法の評価方法の概要

※インピーダンス測定結果と実効電池容量との相関に関する報告もあり

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蓄電池の残存性能評価手法の整理:交流内部抵抗法

交流インピーダンス法におけるCole-Coleプロット図上で、縦軸(インピーダンス虚数成分)がほぼ0になる1kHzの周波数におけるインピーダンス(≒横軸(インピーダンス実数成分))の値を測定し、蓄電池容量との相関から、容量を推定する手法。

交流インピーダンス法と比較して、1kHzの周波数でのインピーダンス測定のみであるため、測定方法が簡便で、測定時間が短いことが利点である。ただし、交流インピーダンス法と同様、専用機器が必要となる。

評価対象は電池容量のみであり、電極の劣化等による内部抵抗は評価できない。また、インピーダンス値と容量の線形相関によって容量値の推定を行うが、相関関係の誤差が大きく、精度の高い推定は困難である。

出所:NTT DoCoMo テクニカルジャーナル

項目 特徴

データ・情報の取得方法

交流電流の印加に対する応答電流

専用機器が必要

評価可能な電池性能

実効電池容量

評価精度 -

評価可能な電池材料

各種電池材料の評価が可能だが、相関関係の確認が必要

性能評価単位

単電池のみ

評価に要する時間

交流電流の印加時間(〜数分)

交流インピーダンス法のCole-Coleプロット図において、インピーダンス虚数成分がほぼ0となる1kHzの周波数でのインピーダンス値を測定

測定されたインピーダンス値と電池容量(容量の維持率)の間の線形相関に基づき、電池容量の残存率を推定

表 交流内部抵抗法の特徴図 交流内部抵抗法の評価方法の概要

0ZRe(Ω)

-ZIm(Ω)

1kHz

一般的なCole-Coleプロット図

インピーダンス値(≒横軸値)を計測

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蓄電池の残存性能評価手法の整理:直接充放電測定法

充放電を行い、直接電池容量を測定する手法。内部抵抗については、一定時間のパルス電流を流して、電圧変化を計測し、内部抵抗を算出する手法。

電池劣化状況把握の精度が高い。

解析用の放電曲線の取得のために、低Cレート(通常は1/8Cレート程度)での満放電が必要であり、データ取得に満放電時間(1/8Cレートであれば8時間)が必要であり、またこの間は通常の蓄電池運用が困難である。

容量を直接測定するための専用機器や、温度等のノイズの観点から安定的な測定環境が必要。

参考:http://www.gitc.pref.nagano.lg.jp/pdf/joho/JuhodenTestExample.pdf

項目 手法の特徴

データ・情報の取得方法

専用機器による放電データ

評価可能な電池性能

実効電池容量 内部抵抗

評価精度 -

評価可能な電池材料

各種電池材料

性能評価単位 電池システム単位

評価に要する時間

定電流での放電に要する時間

表 直接充放電測定法の特徴

テスター等に蓄電池を接続 電圧・電流・容量データの出力

図 直接充放電測定法の概要

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蓄電池の残存性能評価手法の整理:放電微分曲線解析法

定電流での満放電時の放電曲線(電圧・放電量の曲線)の微分曲線(dV/dQ曲線 等)の形状から、電池内部の劣化状態を推定する手法。

一般的なBMSの取得データ(電圧・電流・時間・温度)の解析から、セル単位での実効電池容量の分析、ならびに電池の劣化診断が可能である。一方、内部抵抗の分析は難しい。

また、解析用の放電曲線の取得のために、低Cレート(通常は1/8Cレート程度)での満放電が必要であり、データ取得に満放電時間(1/8Cレートであれば8時間)が必要であり、またこの間は通常の蓄電池運用が不能となる。

参考:JARI「LiMn2O4を含む混合正極リチウムイオン電池の保存劣化機構」

項目 手法の特徴

データ・情報の取得方法

放電データ(電圧・電流・時間)

評価可能な電池性能

実効電池容量

評価精度 -

評価可能な電池材料

各種電池材料

性能評価単位 セル単位

評価に要する時間

定電流での放電に要する時間

表 放電微分曲線解析法の特徴

低Cレート(1/8Cレート等)での定電流での放電曲線(電圧・放電量曲線)を取得

放電曲線より微分曲線(dV/dQ

曲線 )を作成 微分曲線のピークの変化から、電

池の劣化を把握

図 放電微分曲線解析法の概要

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蓄電池の残存性能評価手法の整理:充電曲線解析法

充電曲線データ(電圧・電流・時間等)から、電池内部の状態を示す各種パラメータを推定し、容量や内部抵抗等の電池の劣化進行を表す電池状態値を算出する手法。

一般的なBMSの取得データ(電圧・電流・時間・温度)の解析から、セル単位での電池内部状況を推定し、電池の劣化を診断できる。ただし、内部状況に関する精度は高くない。

参考:東芝 「内部状態の推定により電池の健全性を可視化する充電曲線解析法」

項目 手法の特徴

データ・情報の取得方法

充電データ(電圧・電流・時間)

評価可能な電池性能

実効電池容量 内部抵抗

評価精度 ー

評価可能な電池材料

リチウムイオン電池各種電極材料

性能評価単位 セル単位

評価に要する時間

0(運用しながらの評価が可能)

充電曲線データ測定

回帰計算・パラメータ値推定

電池状態の算出

内部状態を示すパラメータ値: 活物質(C) 初期充電量 q

内部抵抗 イオン・電子・電化移動:R

活物質内部:p

フィッティング式:電池電圧(V)=負極電圧(t, I, C, q, p)ー

正極電圧(t, I, C, q, p)+過電圧(I×R)

表 充電曲線解析法の特徴図 充電曲線解析法の概要

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蓄電池の残存性能評価手法の整理:充放電履歴に基づく推定法

蓄電池の環境条件と、充電・放電等の使用条件に関する網羅的なデータを蓄積し、電池の劣化状態の推定に用いる手法。

電池使用履歴に関する個人情報データの収集が伴う。

使用履歴に基づく電池の劣化は、電池種別や電極材料に依存する場合があるため、電池・電極種別での汎用性等において課題がある。用途を超えた汎用性についても、検討する必要がある。

項目 手法の特徴

データ・情報の取得方法

充放電履歴(電圧・電流等)

環境条件データ(温度等)

評価可能な電池性能

実効電池容量

評価精度 ー

評価可能な電池材料

リチウムイオン電池各種電極材料

性能評価単位 モジュール単位

評価に要する時間

0(運用しながらの評価が可能)

充放電試験・データの蓄積

長期間の電池劣化データを体系的に取得

電池評価シミュレーション・モデル

電池の時間連動出力低下を再現

任意の劣化条件

温度・充電率・放電レート・経過時間等

残存電池性能予測

入力

出力

実効容量内部抵抗

参考:http://www.google.com/patents/WO2014155726A1?cl=ja

表 充放電履歴に基づく推定法の特徴図 充放電履歴に基づく推定法の概要

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(参考)充放電履歴に基づく推定法の例

電中研では、EVの走行時データ(電池の電流・電圧・時間・残量、温度、走行距離、走行速度等)を基に、電池容量を推定する手法を開発している。

放電容量と満充電時の抵抗値の相関データを蓄積し、推定に用いている。

図 実走行データを活用したEV電池の容量低下推定手法

参考:電中研「実走行データを活用したEV搭載電池の容量低下推定手法の提案」

電池の利用に関するデータを取得

電流・電圧・時間・残量・温度・距離(EV)・速度(EV)等

容量・電圧曲線

※電流値変化依存の電圧変化分を含む

定電流での放電曲線

※電流値変化依存の電圧変化を排除

放電容量(Ah) 電池容量(Ah)

補正 しきい値を設定

図 容量変化に対する電圧データ 図 定電流での放電曲線と放電容量の推定

※日常的に、放電容量と満充電時の抵抗値との相関を求めておき、容量

低下を評価する

図 満充電時の抵抗値と放電容量の推定

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蓄電池の残存性能評価手法の整理:過渡的差電圧法

充電上限電圧と放電開始後一定時間経過後の放電電圧との差分(差電圧)を計測し、差電圧と電池容量および充放電効率との相関に基づき、充電容量、充放電効率を算出する手法。

BMSでの取得データを利用することが可能であり、運用中に評価が可能である。一方、差電圧の測定には、満充電状態から概ね20秒程度の定電流もしくは定電圧での放電が必要となるため、満充電を伴わない運用を行う電池の評価は難しい。

また、相関式がシンプルであることから、演算や通信にかかるデータが少ないが、電池種ごとに事前に差電圧と電池容量および充放電効率との相関式を実測で定める必要があり、本測定に数ヶ月の時間を要する。

参考:大和製罐 「IoT時代に向けたリアルタイムなバッテリー劣化診断・寿命判定手法」(セミナー資料)

項目 手法の特徴

データ・情報の取得方法

充放電データ(電圧・電流・時間)

評価可能な電池性能

電池容量 充放電効率

評価精度 ー

評価可能な電池材料

リチウムイオン電池各種電極材料

性能評価単位 セル単位(BMSの計測単

位に準ずる)

評価に要する時間

0(運用しながらの評価が可能)

満充電状態からの放電開始時の降下電圧(差電圧)を測定

予め測定しておいた差電圧と劣化パラメータとの関係式から劣化状態を推定

表 過渡的差電圧法の特徴図 過渡的差電圧法の概要

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蓄電池の残存性能評価手法の整理:蓄電池性能オンライン診断技術

既存のSOC推定法である電流積算法とOCV推定法を用いたフィードバックSOC推定により正確なSOC値を推定する手法。両手法の合成により、各手法の欠点を補い、正確なSOC推定が可能となる。

また、フィードバックSOC推定におけるSOC値と、電流積算法およびOCV推定法におけるSOC値との差異を解析することにより、電池の内部抵抗や最大充放電容量の補正も行うことが可能である。

参考:竹上,和田,小笠原,「リチウムイオン電池の充電率/容量推定」,第2回計測自動制御学会制御部門マルチシンポジウム(2015)

項目 手法の特徴

データ・情報の取得方法

充放電データ(電圧・電流・時間)

評価可能な電池性能

実効電池容量 内部抵抗値

評価精度 ー

評価可能な電池材料

各種電極材料に適用可だが、一部電力材料は評価困難

性能評価単位 セル単位(BMSの計測単

位に準ずる)

評価に要する時間

0(運用しながらの評価が可能)

表 蓄電池オンライン診断技術の特徴図 蓄電池オンライン診断技術の概要

<OCV推定法>

<電流積算法>

電圧値からOCVを推定し、電池固有のOCV-SOC曲線からSOC推定を行う方式

V0

電圧(V)

OCV0

過電圧(≒内部抵抗)

OCV-SOC曲線

実測電圧

SOCSOC0

充放電時の電流値の積算より電池内部の電力量を計算し、電池全体の充放電量との比率からSOCを推定する手法

内部抵抗や電圧測定時の誤差による短期的なSOC誤差が生じるが、長期的には正確な

SOC値に近い値となる

SOC値の比較解析 過電圧(≒内部抵抗値)の補正

SOC値の比較解析 最大充放電量の補正 電流積算時の誤差の補正

SOC値の推定

OCV推定法のSOC推定値を短期誤差を無効化するフィルタを通して

誤差をフィードバック補正することで、正確なSOC値を推定

<フィードバックSOC推定>

電流積算法

積算電流値

最大充放電量

SOC

電流積算時の誤差の影響を受ける(誤差が蓄積される)

最大充放電量の誤差の影響を受ける

OCV推定法

推定SOC値

フィードバック補正

フィルタ

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Ⅲ.蓄電池の残存性能評価手法の整理

1. 残存性能評価手法の整理

2. 望ましい残存性能評価手法のあり方の検討

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望ましい残存性能評価のあり方に関する検討:アグリゲータ側からの性能評価に対するニーズ

アグリゲーションビジネスにおける残存性能評価に対するアグリゲータのニーズ把握のため、VPP実証の主要アグリゲータ(蓄電池利用アグリゲータ)に対するヒアリングを実施。

各社とも残存性能評価に対して一定の必要性を認識している一方、今後のアグリゲーションビジネスにおける望ましい性能評価のあり方については、ユースケースやビジネスモデルによるところが大きく、今後VPP実証において検討を行うべき事項であるとの意見が出された。

また、検討に際し、先行してガイドライン等を整備することも有効との意見も出されている。

残存性能評価の

必要性

現在は蓄電池の導入が開始された段階であり、具体的に蓄電地の性能低下・劣化が問題とはなっていないが、将来的に顕在化しうる課題と考えられる

系統運用者から見た蓄電池の信頼性を確保するために必要と考えられる

現在、蓄電池の劣化は契約書上免責事項としているケースが多いが、実際に劣化が生じた場合には消費者の理解が得られず、トラブル化する可能性もある。このため、蓄電池の劣化診断は、消費者保護の観点からも必要となる可能性が高い

残存性能評価の

手法

残存性能評価に求められる要件や評価体制については、アグリゲーションビジネスのユースケースやビジネス形態によって変化しうると考えられる(次頁以降の参考資料を参照)

劣化診断は重要であるが、劣化診断技術に必要な機器等の設置によって、蓄電池の追加コストとなることは好ましくない

蓄電池性能の把握は、日々の蓄電池の運用実績から一定は可能と想定されるため、性能評価をどこまで義務化すべきか、ビジネスモデルも含めて検討が必要

残存性能評価の留意点

蓄電池の性能低下・劣化に関しては、今後のVPP実証で検討を進めていくものと考えられるが、先行して国で契約の雛形やガイドライン等があればトラブル時のスムーズな対応が可能となるのではないか

表 アグリゲータへのヒアリング結果

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≪参考≫ユースケース別に蓄電池に求められる性能

蓄電池のユースケースによって、アグリゲーションビジネスにおいて蓄電池に求められる性能も変化する。

ゲートクローズ後の対応が求められるユースケース(インバランス以降)は、出力やレスポンスタイム等の性能が必要。

残存性能評価によって評価すべき項目・精度についても、ユースケースの考慮が必要。

ユースケースごとに求められる蓄電池性能と、ユースケースごとの各社検討状況を以下に示す。

ユースケース出力抑制回避

エネマネ・ピークシフト

予備力提供 供給力提供インバランス回避

調整力提供(LFC)

調整力提供(ガバナフリー)

反応速度数時間~

前日1時間~

前日数時間程度 1時間~

15~30分程度

10分程度 10秒程度

求められる蓄電池性能

• 実効容量• 充放電効率

• 実効容量• 充放電効率

• 実効容量• 充放電効率

• 実効容量• 充放電効率

• 実効容量• 充放電効率

• 出力

• 実効容量• 充放電効率

• 出力• レスポンスタイム

• 実効容量• 充放電効率

• 出力• レスポンスタイム

蓄電池規模

家庭用

業務用小型(低圧)

業務用大型産業用

用途が高度化すると出力やレスポンスタイムの性能が求められる

実効放電容量や充放電効率の把握が必要

表 ユースケース毎に求められる蓄電池の性能

優先的に検討各社により検討予定の有無が

異なる当面予定なし

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≪参考≫アグリゲーションビジネス類型と劣化診断主体

蓄電池の契約・管理形態によって、蓄電池の劣化状態を管理する主体は変化しうると考えられる。

ただし、いずれの契約形態においても劣化状態の把握は、市場取引にあたって重要と考えられる。

卸電力市場送配電事業者

新電力等

供給可能量情報提供

供給可能量情報要求

アグリゲータサブアグリゲーター劣化診断結果

劣化診断

劣化診断管理者

モデルB-1: サブアグリゲータによる劣化診断(所有蓄電池)

応答可能量情報提供

応答可能量情報要求

アグリゲータ

劣化診断管理者

モデルA-1: アグリゲータによる劣化診断(所有蓄電池)

劣化診断結果

劣化診断

アグリゲータ(リース会社)

劣化診断管理者

モデルA-2: アグリゲータによる劣化診断(リース蓄電池)

劣化診断結果

劣化診断

リース蓄電池

アグリゲータリース会社劣化診断結果

劣化診断

劣化診断管理者

モデルB-2: サブアグリゲータによる劣化診断(リース蓄電池)

応答可能量情報提供

応答可能量情報要求

リース蓄電池

所有蓄電池

所有蓄電池

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望ましい残存性能評価のあり方に関する検討:標準化に向けて必要な要件

アグリゲータへのヒアリングの意見では、望ましい残存性能評価のあり方は今後のVPP実証で検討すべき事項であるとの意見であり、現時点で「残存性能評価手法」の標準化に向けて必要な要件を定めることは難しいと想定される。

一方、残存性能評価手法の開発を実施している企業へのヒアリングでは、残存性能評価の信頼性向上のため、BMSデータの標準化の必要性が指摘されている。

BMSデータを用いた残存性能評価手法において、蓄電システムによってBMSに上がってくるデータ項目・頻度・精度が異なることにより、同一手法を用いても性能評価の結果が異なりうる可能性がある。

セル

セル

モジュール

モジュール

センサー

BMS

システムコントローラ

パック(電池部分)

【標準化の検討項目】-取得データ項目-サンプリング取得頻度-蓄積頻度-センサー精度 等

残存性能評価主体が評価に用いるデータ

図 蓄電地のシステム構成と標準化の検討項目

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望ましい残存性能評価のあり方に関する検討:残存性能評価の関連プレイヤーの意見整理

残存性能評価の関連プレイヤーの意見をヒアリング等に基づき整理。

残存性能評価の実装に向けて、各プレイヤーとも他プレイヤーとの連携が必要との意見が出されている。このため各プレイヤーの協力体制の構築が必要と想定される。

METI

アグリゲーター システムメーカー

電池メーカー残存性能評価企業

残存性能評価については将来的に必要だが、現時点で実施体制は整っていない

ユースケース毎の残存性能評価のあり方(評価すべき項目、評価頻度、精度等)については、現時点で未検討

評価に追加コストが伴うのは避けたい

電力システム信頼性の維持や、消費者保護の観点から、残存性能評価は必要

VPP事業者の事業性に関わる部分については競争領域という認識の一方、最低限VPP事業者に担保させるべき残存性能評価のあり方について検討が必要

各社において手法は開発しているものの、VPPリソースの実機に対して残存性能評価を実装した経験はない

蓄電システム毎にモニタリングしているデータ項目やその精度が異なり、同一評価手法を用いても結果の信頼度に差が出てしまうため、標準化等の取組が必要

蓄電システムの残存性能評価に関する標準化を行う場合、アグリゲーターからのニーズの提示が不可欠

システムメーカは電池内部の劣化は関与できないため、電池メーカの所掌とシステムメーカの所掌を区別して検討を行う必要がある

一定条件下での稼働における電池の劣化予測について知見・ノウハウを有している

電池内部の詳細情報は、競争力の源泉であり、情報公開には慎重な姿勢

VPPに必要な残存性能評価のあり方、実施体制を検討

残存性能評価実施の必要性をアグリゲーターに対して提示

残存性能評価の実施に向けて必要な標準化の取組を推進

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望ましい残存性能評価のあり方に関する検討:蓄電池の残存性能評価に関するプレイヤー・役割

アグリゲーションビジネスにおける蓄電池の残存性能評価のあり方の検討に際して、プレイヤーとその役割を整理。

アグリゲーターは残存性能評価を実施することで、需要家に対しては電池状況に関する適切な情報提供を行い、小売・送配電電力事業者に対しては正確な調整力を提供することが可能となる。

また、残存性能評価を実施するため、アグリゲーターからの要請のもと、システムメーカーは必要データの提供を行う。

残存性能評価の実施主体は、アグリゲーター(または委託残存性能評価企業)の場合と(下図左)、システムメーカーの場合(下図右)が想定される。

図 残存性能評価に関して想定されるプレイヤー・役割

データ提供

アグリゲーターが残存性能評価を行う、またはアグリゲーターが残存性能評価を委託する場合 システムメーカーが残存性能評価を行う場合

小売・送配電電力市場

残存性能評価企業

需要家(蓄電システム設置)

蓄電システムメーカー

電池メーカー

評価委託

小売・送配電電力市場

需要家(蓄電システム設置)

電池メーカー

アグリゲーター

評価結果提供

正確な調整力の提供

蓄電池の設置蓄電池の

設置

蓄電池の性能に関する情報提供 正確な調整力の提供

蓄電池の性能に関する情報提供

アグリゲーター(=残存性能評価企業)

蓄電システムメーカー=残存性能評価企業

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残存性能評価のあり方・要件提示

望ましい残存性能評価のあり方に関する検討:取り組みの整理

残存性能評価の実装に際しては、関連プレイヤーに裁量をゆだねる競争領域と、最低限統一的指標(標準・ガイドライン等)を設けるべき協調領域の区別が必要である。

アグリゲーターによる残存性能評価の実施方法および主体については、各社のユースケースやビジネス形態に関わる領域であり、競争領域とみなすことが妥当と想定される。

一方、残存性能評価の一定水準以上の信頼性確保ならびにアグリゲーションビジネスのサービスレベルの担保のため、①蓄電システムから提供されるモニタリングデータの標準化、および②VPPに必要な残存性能評価に関する共通的なあり方・要件、の2点が協調領域として想定される。

小売・送配電電力市場

残存性能評価企業

アグリゲーター

図 残存性能評価に関する競争領域・協調領域

需要家

システムインテグレータ

正確な調整力 情報提供

評価委託モニタリングデータの標準化 蓄電池設置

サービスレベル維持に最低限必要な残存性能評価のあり方・要件をガイドライン等で提示

残存性能評価に用いるモニタリングデータの標準化を検討

残存性能評価の実施方法・主体については、アグリゲータの

裁量に委ねることが妥当

協調領域②

協調領域①

競争領域

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Ⅳ.政策の具体的検討について

1. 目標価格設定に向けた検討

2. アンケート調査の実施

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1.目標価格設定に向けた検討:目的・背景

蓄電池の導入拡大を進めるためには、価格低減が不可欠。そこで価格目標を設定し、官民挙げて取り組むことで、エネルギーミックス達成含めたエネルギー政策への貢献が可能であると期待。

2019年に余剰買取を終了した家庭用太陽光発電が53万世帯程度注見込め、家庭用蓄電池の市場が拡大することが推察されること等を鑑み、2020年度にユーザ価格の目標を設定するための分析を実施。

注 余剰買取制度の終了世帯は、2019年:53万軒、2020年:20万軒、2021年:27万軒、2022年:21万軒、FIT制度の終了世帯は、2022年:13万軒、2023年:31万軒、2024年:22万軒

蓄電池目標価格のイメージ

蓄電池価格

H27(2015)

H28(2016)

H29(2017)

H30(2018)

H31(2019)

H32(2020)

H42(2030)

補助額7万円/kWh

需要家負担14万円/kWh

目標価格

余剰買取期間終了のPVが発生

エネルギーミックス目標年

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1.目標価格設定に向けた検討:試算の考え方-ケース分類-

2019年度断面で余剰買取制度を卒業したPVを保有している世帯を想定し、Case1(PVのみ)とCase2(蓄電池導入)の収益が同じになるような蓄電池価格を推計。

PV買取期間(10年) 買取終了後15年 PV買取期間(10年) 買取終了後15年

Case1 PVのみ導入 Case2 買取期間終了後に蓄電池導入

買取価格48円/kWh 買取価格0~5円/kWh 買取価格48円/kWh 買取価格0~5円/kWh

PV導入費用

売電収入

買電費用の削減

10年後の収益 追加費用

売電収入

買電費用の削減

25年後の収益

PV導入費用

売電収入

買電費用の削減

10年後の収益

追加費用

25年後の収益

この収益が同程度となるように蓄電池の追加費用を推計

売電収入

買電費用の削減

▲PCSのみ入替え ▲蓄電池・ハイブリッドPCS導入

PCS価格運転管理・保守点検費PV廃棄費用

蓄電池価格ハイブリッドPCS価格運転管理・保守点検費PV廃棄費用

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1.目標価格設定に向けた検討:試算の考え方-前提条件-

試算の前提条件は、以下のとおり設定。

2009年 2019年

PV設備容量 3.5kW -

PVシステム価格 約35万円/kW注1 -

PV廃棄費用 システム価格の5%注2 -

売電比率 62%注3 同左

設備稼働率 12.6%注4 同左

売電価格 48円/kWh 0〜 11円/kWh

買電価格 25.91円/kWh注5 28.91、31.91円/kWh注5

PVメンテ費 5千円/年注6 同左

蓄電池メンテ費 - ゼロ注7

蓄電池寿命 - 15年注8

充放電効率 - 85、90%注9

ハイブリッドPCS容量 - 2kW注10

ハイブリッドPCS価格 - 3万円/kW注11

社会的割引率 0%(考慮せず)

注1 太陽光発電の設備容量は3.5kW、システム価格は185万円(約53万円/kW)。国の補助金および減税で43万円、グリーン電力価値、自治体補助で20万円控除。そのためユーザー負担額としては、122

万円(約35万円/kW) 注2 補助金適用前。廃棄は買取期間+蓄電池寿命の年数後に係る費用として計上。 注3 平均の家庭需要は381kWh/月注4 某実績データに基づいて設定。当時の設定は12%であるがここではこの実績値を採用。注5 買電価格は東京電力従量電灯Bの40Aの価格を想定。表記は2段階目。2019年では、各段階での価格が+3円/kWh、+6円/kWhとなる場合を想定。注6 4年に1回、1回あたり2万円。年間平均値で想定。 注7 蓄電池のイニシャルコストに内包されていると想定。 注8 2019年では、蓄電池の寿命が10年超となることを牽引することを考慮し設定。注9 資源エネルギー庁「蓄電池技術の現状と取組について」(2009)、建築コスト管理システム研究所「NAS電池について」(2010)、各メーカーHPより設定。注10 PV用出力はPVの出力に合致し、蓄電池の出力は2kWであると想定。費用はPVの出力に合わせて発生するものの、PCS込の蓄電池コストの場合は蓄電池出力分のみ計上。注11 現在価格を考えて3万円/kWと想定。PVシステム価格はPV用PCS費用が含まれているので、初期導入時はPV用PCS価格を2万円/kWとして差分を計上済み。

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1.目標価格設定に向けた検討:価格目標の設定根拠

2019年度に余剰買取を終了した家庭需要家が、蓄電池導入により経済的メリットが出る目標価格を想定。

蓄電池を導入せずにPVのみで自家消費、余剰売電する場合と比較し、蓄電池の導入費用含めて経済性が見込める蓄電池の価格を推計。

売電価格の低下傾向注1、買電価格の上昇傾向注1、小容量蓄電池の販売数増加注2、充放電効率の向上を考慮し、2020年度の価格目標を9万円/kWhと設定した注3。

注1 次頁参照 注2 シャープ クラウド蓄電池システム(蓄電容量4.2kWh)、NEC 小型蓄電システム(蓄電容量3.9kWh)、東芝 エネグーン(蓄電容量4.4kWh)等注3 表中の数値は、Case1とCase2の収益がバランスする時の蓄電池価格(万円/kWh)。濃赤:10万円/kWh以上、淡赤:9万円/kWh程度、黄色:8万円/kWh程度

買電価格29円/kWh

蓄電容量(kWh)

1 2 3 4 5 6 7

売電価格(円/k

Wh

0 12.1 10.4 9.6 9.1 8.7 8.4 8.0

3 11.0 9.3 8.5 8.1 7.7 7.4 7.1

5 10.2 8.5 7.8 7.4 7.1 6.8 6.5

8 9.0 7.4 6.8 6.3 6.1 5.8 5.5

11 7.9 6.3 5.7 5.3 5.1 4.8 4.6

買電価格32円/kWh

蓄電容量(kWh)

1 2 3 4 5 6 7

売電価格(円/k

Wh

0 13.1 11.3 10.5 10.0 9.6 9.2 8.8

3 12.0 10.2 9.5 8.9 8.6 8.2 7.9

5 11.2 9.5 8.7 8.3 7.9 7.6 7.3

8 10.0 8.4 7.7 7.2 6.9 6.6 6.3

11 8.9 7.2 6.6 6.2 5.9 5.6 5.4

買電価格29円/kWh

蓄電容量(kWh)

1 2 3 4 5 6 7

売電価格(円/k

Wh

0 12.7 10.9 10.1 9.6 9.2 8.8 8.5

3 11.5 9.8 9.1 8.6 8.2 7.9 7.5

5 10.8 9.1 8.3 7.9 7.5 7.2 6.9

8 9.6 7.9 7.3 6.8 6.5 6.2 5.9

11 8.4 6.8 6.2 5.8 5.5 5.3 5.0

買電価格32円/kWh

蓄電容量(kWh)

1 2 3 4 5 6 7

売電価格(円/k

Wh

0 13.8 11.9 11.1 10.5 10.1 9.7 9.3

3 12.6 10.8 10.0 9.5 9.1 8.7 8.4

5 11.8 10.0 9.3 8.8 8.4 8.1 7.7

8 10.6 8.9 8.2 7.8 7.4 7.1 6.8

11 9.5 7.8 7.2 6.7 6.4 6.1 5.9

充放電効率:85%

充放電効率:90%

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≪参考≫前提条件設定における参考情報

Ⅱ.余剰買取期間終了後の定置用蓄電池導入見通し分析売電価格:低下傾向

JEPXスポット価格は、低下傾向を示す。(右図:2015年度 JEPX 1日前市場価格の推移) ごみ焼却発電の売電価格は、電力需要が少ない夜間

において、非常に安価に取引がなされている。 ドイツでは、政策的に電力自家消費が優遇されており、

再生可能エネルギーの買取価格の引き下げ、買取制度の廃止が決定している。

0

2

4

6

8

10

12

14

16

4/1 9/30 3/31

円/kWh

出所:JEPX HP http://www.jepx.org/market/index.html

環境省HP 廃棄物処理技術情報 https://www.env.go.jp/recycle/waste_tech/ippan/stats.html

買電価格:上昇傾向

一般電気事業者の電気料金は、電灯料金(家庭向け電気料金)の平均単価は、震災以降原発停止に伴う燃料費の増加等により、2010〜2015年度で約19%上昇した。

再生可能エネルギーの普及拡大に伴い、再生可能エネルギー発電促進賦課金に関しても、今後上昇が続く見通し。

出所:エネルギー白書2016

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0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

13

14

15

16

≪参考≫蓄電容量分析(1/3)

PV発電量を十分に充電できる蓄電容量について分析。

1日あたりの充電量は、最大値15.8kWh /日、平均値6.4kWh /日、中央値6.2kWh /日。

年間総充電量の10%

kWh/日 1日あたりの充電量

0 365

注1 PV設備容量:3.5kW、関東地区における戸建住宅の実績データ 注2 なお、放電量については勘案していない。

結果

考え方

8,760時間の実績データ注を用い、時間毎に(PV発電量-電力需要)を算出

同日中(PV発電量>電力需要)となる値を充電量とみなし、1日あたり充電量を積算注2

1時間あたりの最大充電量は、kW容量が2kWであるとし、2kWhとして算出

蓄電容量が十分にある場合、右の全量が充電可能

充電量合計値 2,340 kWh/年

平均値 6.4 kWh/日

中央値 6.2 kWh/日

最大値 15.8 kWh/日

90パーセンタイル値 13.0 kWh/日

80パーセンタイル値 11.0 kWh/日

年間総充電量(2,340kWh)のうち、ある割合だけ充電不可となる蓄電容量は以下のとおり。

蓄電容量10%(238kWh) 10.0 kWh

20%(475kWh) 8.0 kWh

50%(1,189kWh) 4.2 kWh

10.0

平均値:6.4kWh

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0123456789

10111213141516

≪参考≫蓄電容量分析(2/3)

蓄電容量を増加させることによる費用と便益から最適な蓄電容量を推計。

9万円/kWh程度であれば、蓄電容量は最大で4kWh程度が最適。

蓄電容量を10kWhから11kWhに増加させる場合に充電可能となる電力量

kWh/日 1日あたりの充電量

0 365 日

便益

充電可能となる電力量×(買電価格-売電価格)×充放電効率

・充電可能となる電力量:左図より算出(kWh/年)

・売電価格:3/5/8円/kWh

・買電価格:28.91/31.91円/kWh

・充放電効率:85/90%

費用

1年あたりの蓄電池費用=6,000円/kWh・年

・蓄電池価格:9万円/kWh

・寿命:15年

買電価格

28.91円/kWh 31.91円/kWh

売電価格 売電価格

3円/kWh 5円/kWh 8円/kWh 3円/kWh 5円/kWh 8円/kWh

充放電

効率

85% 2 1 0 4 3 1

90% 3 2 0 4 3 2

(kWh)

※ 例えば、蓄電容量を3kWhから4kWhに増加させた時の便益が費用を上まわり、 4kWhから5kWhとしたときは便益より費用が大きかった場合は、4kWhが最適な蓄電容量となる。

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≪参考≫蓄電容量分析(3/3)

蓄電容量分析において、蓄電池設備容量の感度分析を実施。

PV設備容量が3.5kWのとき、蓄電池設備容量が2kW以上であれば大きな影響はない。

0123456789

101112131415161718

十分大きい

3 kW

2 kW

1 kW

kWh/日 1日あたりの充電量

0 365

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

4.0

kWh/時 1時間あたりの充電量

0 8760

時間2382

3kWh/時以上:2時間2kWh/時以上:179時間1kWh/時以上:1129時間

蓄電池設備容量

十分大きい 3kW 2kW 1kW

合計値(kWh/年)

2,377 2,377 2,340 1,722

平均値(kWh/時)

6.5 6.5 6.4 4.7

中央値(kWh/時)

6.2 6.2 6.2 5.4

最大値(kWh/時)

17.2 17.2 15.8 9.4

蓄電池設備容量別充電量

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1.目標価格設定に向けた検討:業務・産業用蓄電池の目標価格設定

業務・産業用蓄電池においても、需要家のメリットの観点から目標価格を設定。

蓄電池を設置することによる経済的メリットは、ピークカットによる契約電力削減を想定注1。

契約電力削減が主であるためkW単位の目標設定とし、15万円/kWを2020年度に向けて目指すことを想定。

産業用蓄電池の目標価格算定の前提条件

充放電効率を70%、80%、90%で推計

一般電気事業者の高圧用電力注1の平均値注2から推計

投資回収年を6年(耐用年数)、10年(平均寿命)と間で推計

年間の収益

値差 収入注4

注1 昼夜間値差による電力料金削減も需要家のコスト削減に寄与するが、影響がピークカットに比べて小さいこと等からピークカットのみ対象

注2 季節別時間帯別電力、6kV相当のもの注3 10社の単純平均注4 収入は充放電ロスを考慮

ピークカット 1,818円/kW/月

15,270〜19,632円/年

需要家メリット9

11

12

13.7

15

10

12

14.0

16

17

12

13.7

16

18

20

0

5

10

15

20

6年 7年 8年 9年 10年

需要

家の

メリット

が出

る蓄

電池

価格

万円

/kW

70% 80% 90%

充放電効率

15万円/kW

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Ⅳ.政策の具体的検討について

1. 目標価格設定に向けた検討

2. アンケート調査の実施

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2.アンケート調査の実施(家庭用):概要

2016年4月に公表されたエネルギー革新戦略に記載のとおり、定置用蓄電システムの目標価格を設定し、その目標価格達成に向けたロードマップ作成が背景。

家庭用の目標価格については、2020年度に9万円/kWh(設置費用含まず)と設定。

日本の蓄電池製造メーカに対して価格内訳や目標価格達成に向けた今後の取り組み内容、必要となる販売量について聞き、国としての支援策を検討するためにアンケート調査を実施。

【アンケート調査内容】

【アンケート調査期間】

【アンケート調査対象】

2016年7月

アンケート対象は家庭用蓄電システムを製造しているメーカ11社

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0

5

10

15

20

25

2015年度 2020年度

蓄電システムコスト注

1万円

/kW

h

その他

流通コスト

筐体

PCS

電池部分

2.アンケート調査の実施(家庭用):調査結果(2020年までのシステムコスト低減)

目標達成に向けた価格内訳と具体的取り組みは以下のとおり。

需要家の経済的メリットとして既設PVの自家消費による電気料金削減を想定し、2020年度目標価格をkWh単位で設定(9万円/kWh) 。

目標価格9万円/kWhに向けて電池部分、PCS、筐体、流通コストそれぞれでコスト6割程度の削減が必要。

コスト低減に向けて、具体的には、販売戦略や設計変更・標準化などが挙げられている。

22.1万円/kWh

9.0万円/kWh

4.2万円/kWh(60.2%)※

1.2万円/kWh(56.2%)※

1.8万円/kWh(57.5%)※

4.8万円/kWh(58.7%)※

販売戦略

• FIT後を見据えたPVとのセット販売促進

• 販売一本から、リースやVPPスキーム等への変更

設計変更・標準化

• 放熱特性の改善や部品点数削減

• 小型化設計(PCS/電池部分 別筐体設計含む)

設計変更・標準化

• 標準部品の採用率向上

• 他社標準品の採用、他社との共同開発によるコスト削減

• PV用と共通設計 設計変更・標準化

• 大型化による容量当たりのセル加工費の低減

• 蓄電池組み立て工数の削減およびセル生産自動化の推進

調達コスト削減

• 車載向けセル販売拡大による調達費用削減

流通コスト

筐体

PCS

電池部分

※カッコ内は価格の低減率

注1:家庭用蓄電システムコストは設置費用および利益その他を除いた費用を指している。また、ここではアンケート調査結果での平均値を記載している。注2:「その他」には製造・検査費用や認証費用等が含まれている。

7.0万円/kWh

2.1万円/kWh

3.1万円/kWh

8.2万円/kWh

2.8万円/kWh

0.9万円/kWh

1.3万円/kWh

3.4万円/kWh

0.6万円/kWh

1.6万円/kWh

注2

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0

5

10

15

20

25

30

35

2013年度 2015年度

蓄電システムコスト注

1万円

/kW

h

その他

流通コスト

筐体

PCS

電池部分

2.アンケート調査の実施(家庭用):調査結果(2013-2015年度でのシステムコスト低減状況)

2013年度から2015年度までの価格内訳と具体的取り組みは以下のとおり。

2013年度の平均30.8万円/kWhから2015年度の平均22.1万円/kWhまで28%のコスト削減を達成している。

特に流通コストの削減率が高く(40.4%)、家庭用蓄電システムの認知が広がることでコスト安につながったと考える。

30.8万円/kWh

22.1万円/kWh

4.7万円/kWh(40.4%)※

1.0万円/kWh(33.0%)※ 0.8万円/kWh

(20.1%)※

1.8万円/kWh(17.6%)※

販売戦略

• 商流見直しによるコスト圧縮

• PV用PCS商流活用による、販売ルート構築にかかる販促費用削減

技術革新• 安価な材質の採用を含

む、部材の見直し・削減

設計変更・標準化

• 部品点数、組立工数削減による製造コストの削減

設計変更・標準化

• 多機種に対する主要部分の共用化

• 特殊部品から標準品への設計変更

調達コスト削減

• 調達先見直しによるコスト削減

調達コスト削減

• 他社製品を含めた車載向けセル販売拡大による部材調達費用の削減

流通コスト

筐体PCS

電池部分

※カッコ内は価格の低減率

注1:家庭用蓄電システムコストは設置費用および利益その他を除いた費用を指している。また、ここではアンケート調査結果での平均値を記載している。注2:「その他」には製造・検査費用や認証費用等が含まれている

11.7万円/kWh

3.2万円/kWh

3.9万円/kWh

10.0万円/kWh

7.0万円/kWh

2.1万円/kWh

3.1万円/kWh

8.2万円/kWh

1.6万円/kWh

2.1万円/kWh

注2

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2.アンケート調査の実施(業務・産業用):概要

2016年4月に公表されたエネルギー革新戦略に記載のとおり、定置用蓄電システムの目標価格を設定し、その目標価格達成に向けたロードマップ作成が背景。

業務・産業用の目標価格については、2020年度に15万円/kW(消費税および設置費用含まず)と設定。

日本の蓄電池・PCS製造メーカに対して価格内訳や目標価格達成に向けた今後の取り組み内容、必要となる販売量について聞き、国としての支援策を検討するためにアンケート調査を実施。

【アンケート調査内容】

【アンケート調査期間】

【アンケート調査対象】

2016年7月29日(金)〜8月12日(金)

アンケート対象は業務・産業用蓄電システム本体、電池部分、PCSのいずれかを製造しているメーカ11社

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0

10

20

30

40

2015年度 2020年度

蓄電システムコスト注

1万円

/kW

その他

流通コスト

筐体

PCS

電池部分

2.アンケート調査の実施(業務・産業用):調査結果(2020年までのシステムコスト低減①)

目標達成に向けた価格内訳と具体的取り組みは以下のとおり(達成可能とした企業6社の平均)。

需要家の経済的メリットとしてピークカットによる契約電力削減を想定し、2020年度目標価格をkW単位で設定(15万円/kW) 。

目標価格15万円/kWに向けて、電池部分、PCS、筐体、流通コストそれぞれでコスト5~7割程度の削減が必要。

コスト低減に向けて、具体的には、設計変更・標準化、量産効果などが挙げられている。

35.5万円/kW注4

15.0万円/kW

1.0万円/kW(68.1%)※ 2.5万円/kW

(47.0%)※

4.9万円/kW(61.6%)※

8.8万円/kW(56.8%)※

流通コスト

筐体

PCS

電池部分

※カッコ内は価格の低減率

注1:業務・産業用蓄電システムは特高、高圧の工場や学校、宿泊施設、および低圧の商業施設で使用される大型の需要家向け蓄電システムとし、配電所や発電施設に併設される系統用蓄電システムは除く。また、システムコストには消費税および設置・工事費用を含まない。 注2:「その他」には製造・検査費用や開発費用等が含まれている。 注3:「筐体」は電池盤(収納箱)、ラック、コンテナおよび筐体内の空冷システムを含む。 注4:達成できると回答をした企業の平均。2015年度の製品価格については6社中4社が回答している。

1.5万円/kW

7.9万円/kW

5.4万円/kW

15.6万円/kW

0.5万円/kW

2.8万円/kW

3.1万円/kW

6.7万円/kW

1.9万円/kW

5.1万円/kW

注2

販売戦略

• 新電力、アグリゲータなどの直販ルート開拓と商流圧縮

• 販売ルートの一元化

設計変更・標準化

• グループ会社連携による製造体制の共通化

• ユニット化設計の最適化、調達量拡大による部材費低減および生産性向上により、筐体調達費の更なる低減

• エネルギー密度向上による小型化、軽量化

設計変更・標準化

• 部品数削減による製作工数削減

• インバータ部材の全面見直し、制御基板の統合化による部品コスト低減

• 仕様標準化、部品共有

量産効果

• PCSメーカーとのパートナーシップ確立し、調達費の低減

設計変更・標準化

• 蓄電池の耐久性向上設計の妥当性検証および大容量化

• 低コスト部材の適用、部品点数削減による調達費削減

注3

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0

10

20

30

40

50

60

2015年度 2020年度

蓄電システムコスト注

1万円

/kW

その他

流通コスト

筐体

PCS

電池部分

2.アンケート調査の実施(業務・産業用):調査結果(2020年までのシステムコスト低減②)

目標達成に向けた価格内訳と具体的取り組みは以下のとおり(全回答企業の平均)。

全回答企業の現状コストは平均59.0万円/kWで、目標価格達成可能とした企業の平均35.5万円/kWよりも高額。

目標価格(15万円/kW)が達成できると答えた企業は、特に流通コストおよびPCSコストが平均よりも低い。

59.0万円/kW

15.0万円/kW

10.2万円/kW(95.4%)※

4.6万円/kW(61.6%)※

12.9万円/kW(80.9%)※

14.4万円/kW(68.1%)※

販売戦略

• 新電力、アグリゲータなどの直販ルート開拓と商流圧縮

• 販売ルートの一元化

設計変更・標準化

• グループ会社連携による製造体制の共通化

• ユニット化設計の最適化、調達量拡大による部材費低減および生産性向上により、筐体調達費の更なる低減

• エネルギー密度向上による小型化、軽量化

設計変更・標準化

• 部品数削減による製作工数削減

• インバータ部材の全面見直し、制御基板の統合化による部品コスト低減

• 仕様標準化、部品共有

量産効果

• PCSメーカーとのパートナーシップ確立し、調達費の低減

設計変更・標準化

• 蓄電池の耐久性向上設計の妥当性検証および大容量化

• 低コスト部材の適用、部品点数削減による調達費削減

流通コスト

筐体

PCS

電池部分

※カッコ内は価格の低減率

3.8万円/kW

7.4万円/kW

16.0万円/kW

21.4万円/kW

0.5万円/kW2.8万円/kW

3.1万円/kW

6.7万円/kW

1.9万円/kW

10.7万円/kW

注2

注3

注1:業務・産業用蓄電システムは特高、高圧の工場や学校、宿泊施設、および低圧の商業施設で使用される大型の需要家向け蓄電システムとし、配電所や発電施設に併設される系統用蓄電システムは除く。また、システムコストには消費税および設置・工事費用を含まない。 注2:「その他」には製造・検査費用や開発費用等が含まれている。 注3:「筐体」は電池盤(収納箱)、ラック、コンテナおよび筐体内の空冷システムを含む。

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Ⅴ.海外調査

1. 各国の蓄電池導入施策の調査

2. アグリゲータ育成に向けた課題や蓄電池製造産業の国際競争力

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1.各国の蓄電池導入施策の調査:概要(1/2)

世界で蓄電池の市場が顕著に見られるのは、日本以外では北米・ハワイ、南米、欧州、豪州など。

蓄電池向けの政策があるのは日本、ドイツ、カリフォルニア州程度でそれ以外は経済的メリットにより市場が創設されている。

≪米・カリフォルニア≫ 蓄電池の調達義務や導入補助など、蓄電

池関連の政策が充実している 上記の政策に伴い、特に家庭用蓄電池の

導入が進んでいる 家庭用蓄電池を系統の調整力に使用する

ための政策が新たに制定・実行されている

≪米・ハワイ≫ 元々電気料金が高かったことに加え、余

剰電力買い取り制度が廃止された影響で自家消費のニーズが向上

PV+蓄電池システムの市場が拡大しつつある(米・SolarCity、米・Sunvergeなど)

≪ドイツ≫ FITの影響で系統コストの上昇、PV発電コ

ストの下落から自家消費ニーズが高まる 2013年からPV併設蓄電池の導入補助を

スタート(2割強) Sonnen(米)、Tesla(米)なども市場

参入

≪オーストラリア≫ 電力料金の高騰とFIT制度導入、PVコ

スト減少により、PV普及率は19%超。 FIT価格の下落・廃止により、自家消費

のニーズが高まる。 Tesra(米)、LG Chem(韓)等が市

場参入

注 桃色は導入施策がある国・地域

≪PJMエリア≫ 周波数調整市場に迅速性や正確性へ

の対価スキームを導入 系統用蓄電池の導入が拡大したが、市

場規模が小さいため伸びは鈍化傾向 米・AESがメインプレイヤー

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1.各国の蓄電池導入施策の調査:概要(2/2)

施策があるエリアとないエリアで分類すると、施策がないエリアでは電力価格の高騰と再エネ価格の低減ならびにFIT制度の終了による自家消費ニーズが高まっている。

施策ありのエリアでは導入補助や電力市場取引によるインセンティブが中心。

米国・加州 米国・ハワイ ドイツ オーストラリア

市場の特徴

蓄電池の調達義務に加え、導入補助や市場取引制度等の施策によって特に家庭用蓄電池の導入が進んでいる

元々電気料金が高かったことに加え、余剰電力買い取り制度が廃止された影響で自家消費のニーズが向上

導入補助(現在は2割程度)および低金利融資により蓄電池導入を後押し

系統電力価格の高騰およびFIT

価格の下落、FIT制度の廃止の影響で、自家消費のニーズが向上。

施策

規制・制度• AB2514(調達義務)• DRAM(市場取引制度)

× × ×

税制・金融 × × • KfW270(低金利融資) ×

財政支援• SGIP(導入補助)

ו KfW275(導入補助)• KfW153(住宅補助)

×

上記の施策を推進する理由

• PVの大量導入に当たって調整力を確保するため

• 家庭用蓄電池を系統への調整力に使うため

• PV自家消費を促進するToU

の導入を検討中• PVの普及拡大に伴う系統へ

の悪影響を緩和するため

• PVの大量導入に伴う系統への悪影響を緩和するため(自家消費促進)

日本への示唆

• 長周期の家庭用蓄電池を普及させるため、補助金設計をkWhベースに変更

• DRとして家庭用蓄電池を利用するための市場取引(DRAM)の開始

• ToUの導入により、PV+Btの事業性が向上し、家庭での自家消費が促進

• 系統への売電量の制限による自家消費の促進

• 自家消費促進のために必要な最適蓄電池コストの分析

• 蓄電池に対する直接的な施策がなくても、電力価格、FIT

制度の状況等によって市場の魅力度は大きく変わる

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米国(CA州):蓄電池に係る政策動向の全体像

送配電用蓄電池より需要家用蓄電池の導入拡大が想定より進んだことで、需要家用蓄電池に系統への調整力の機能を持つことが要求され始めている。特に以下の2つの機能が政策によって後押しされている。

系統利益の最大化(送配電網投資抑制)

ピーク電源代替(DRリソースとしての蓄電池)

余剰電力買取制度が継続されたことで当面PVは今までどおり系統への売電が中心になるが、2019年までに自家発自家消費を促進するようなレートを導入予定で、蓄電池+PVシステムが注目されつつある。

上記のようなユースの拡大が想定される中、kWhベースでの補助政策や比較的長時間容量の要件が具備されるなど、蓄電池のkW価値⇒kWh価値への転換が起こっている。

カリフォルニア州エネルギー貯蔵法(AB2514)

• 送配電用蓄電池の代わりに、需要家用蓄電池の目標値が増加• 需要家用蓄電池の要求仕様に系統への調整力(送配電網投資抑制、ピー

ク電源代替等)の要件が具備

Net metering 2.0

(PVの余剰電力買取制度)

DRAM

(分散型電源の市場取引制度)

SGIP

(分散型電源導入補助制度)

需要家用蓄電池を中心とした政策

蓄電池の調達義務

• 補助金設計の変更kWベース⇒kWhベース• ピーク需要時の放電の義務付け

系統利益の最大化(送配電網投資抑制)

ピーク電源代替(DRリソースとしての蓄電池)

PVの自家発自家消費

促進される蓄電池のユース蓄電池の導入に関連する主な内容

• ピーク予備力を確保するために分散型電源アグリゲーションによる市場取引制度を開始

• 2019年までにPV非設置者を含めてToUを義務付ける予定

蓄電池の導入に係る政策・制度

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米国(CA州):SGIP (Self-Generation Incentive Program)の改正

蓄電池の導入補助であるSGIPは、2016年6月、従来のkWベースで補助額を供与する設計からkWhベースで補助額を決定する設計に変更した。

kWベースでの補助により時間率の短い蓄電池の導入が増えてしまい、自家消費促進等の目的からkWhベースでの補助に変更。

これまでは申請順で補助対象を決めていたが、現在はPVシステム設置者や低所得層の優先度を高く設定。

全体の予算の内、75%が蓄電システムを対象。補助額はカリフォルニア州内での蓄電システム導入量に徐々に減少。

蓄電システムのピーク時活用を促すためにオペレーション要件(年間の放電時間)を設定。

【3時間容量(1kW/3kWh)の蓄電池でインセンティブが$0.50/Whの場合】

0〜2時間容量分:100%×$0.50/Wh×2kWh=$1,000

2〜3時間容量分:50%×$0.50/Wh×1kWh=$250

合計:$1,000+$250=$1,250

Step 1 Step 2 Step 3 Step 4 Step 5

$0.50/Wh $0.45/Wh $0.40/Wh $0.35/Wh $0.30/Wh

蓄電システムの補助額と補助要件改正後のkWhベースのインセンティブ

出所)CPUC「DECISION REVISING THE SELF-GENERATION INCENTIVE PROGRAM PURSUANT TO SENATE BILL 861, ASSEMBLY BILL 1478, AND IMPLEMENTING

OTHER CHANGES」(2016)

※改正前の補助はkWベースで1.31/W

【SGIPで補助を受けるためのオペレーション要件】

• 商用蓄電池:年間260時間の放電

• 家庭用蓄電池:年間104時間の放電

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米国(CA州):エネルギー貯蔵法(AB2514)の改正

AB2514は電力各社の需要量に応じて、蓄電池の調達義務量を設定。

加州内で需要家用蓄電池が多く導入されているため、CPUCは2016年1月に、送配電用蓄電池の目標値を減らし、需要家ドメインの目標値を増やすことができるようルールを改正。

この改正に伴い送配電用蓄電池導入量が当初の想定より減るため、電力各社の2016年調達分の家庭用蓄電池の要求仕様では、家庭用蓄電池にもRA(ピーク電源代替)や送配電網投資抑制等の系統向け機能が要求される。

SDG&E PG&E SCE

2014

〜特に指定無し

• 既存のCPUCのプログラム(SGIP

等)による調達特に指定無し

2016

• RA(ピーク電源代替)

• RA(ピーク電源代替)

• 送配電網投資遅延

• 出力抑制回避

• RA(ピーク電源代替)

• 送配電網投資遅延

• マイクログリッド• コミュニティスト

レージ

電力各社の需要家向け蓄電池に対する要求仕様SCEの2016年調達目標と導入予定量

SCEの家庭用蓄電池の最終目標値である85MWだけ送配電用蓄電池の目標値を代替することが可能

出所)CPUC Workshop on the Market Price Benchmark and PCIA mechanism for Energy Storage SCE, PG&E SDG&E資料より

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米国(CA州):新たな市場取引(DRAM)(1/2)

カリフォルニアでは分散リソースを系統に活用するため、CAISO(カリフォルニア独立系統運用者)の電力市場においてDRAM(Demand Response Auction Mechanism)と呼ばれる取引を新たに開始した。

DRAMは蓄電池システム、サーモスタット、家庭のEV充電器等の分散リソースによる統合的なデマンドマネジメントを通してCAISOに対してRA(Resource Adequacy:ピーク予備力)を供給することを目的としている。

• 2015年10月に2016年分のピーク予備力について最初の入札が行われた

• 入札単位は100kW以上にアグリゲーションされた分散リソースに限定

• 最初の取引では、PG&EとSCEは10MW以上、SDG&Eは2MW以上のリソースをDRAMから調達する義務が課せられた

• ピーク予備力は比較的長時間の供給力が求められるため、落札するには継続時間4[時間/日]、且つ3

日連続で利用可能、等の魅力的な条件が必要と考えられる

出所)CAISO「Regional Resource Adequacy」(2015)

CAISOのRAで取引されるピーク予備力DRAMにおける最初の入札

現在は電力会社がガス火力事業者との相対契約で確保しているが、DRAMでは市場取引による分散リソースから調達することを想定

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米国(CA州):新たな市場取引(DRAM)(2/2)

CAISOのエネルギー市場における取引価格だけでは、分散型リソースが入札するメリットが低いことが課題。CPUCは分散型リソースのエネルギー市場参加を促すためのインセンティブとして、DRAMを開始。

分散型リソースはエネルギー市場での取引とDRAMでの契約の両方から便益を獲得。SGIPも併用可能なため、家庭用蓄電池は他発電リソースに対して有利。

電力会社(SCE、PG&E、SDG&E)

DERP

(Aggregator、Customer)

Scheduling

Coordinator

CAISO

• 一定の期間、蓄電池の能力を電力会社に譲渡(容量市場に近い契約)

DRAM

• 予備力確保の手段として活用

• 容量に対するインセンティブおよび実際使用した場合にはエネルギー分のインセンティブを支払う

• 契約した期間に蓄電池が使用できない場合、インセンティブの支払いがなくなる(ペナルティは無)

• CAISOからの指令に伴い、予備力を確保

• 非常時・ピーク時に予備力を提供(コンプライアンス)

• 非常時・ピーク時に対応するため、電力会社に対して予備力の確保を要求

電力会社はDERPかつSCとしても機能

• プラットフォームで調整したアグリーゲートされたリソースを市場に提供

• 発生したすべてのインバランス料金をCAISOに支払うため経営基盤が重要

• DERP等はCAISOと直接取引は出来ず、必ずSCを通してDR能力を提供

• インバランス料金はSCとやり取り

• アグリゲーションのためのプラットフォームを提供

• ISOからの要求信号もSCを通して発信

• 市場取引を実施し、要求信号を発信

• 全ての金銭のやり取りをSCと実施

エネルギー市場

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≪参考≫DRAMの入札結果

これまでに2回の入札が実施されており、いずれの入札でも各電力会社は当初調達義務量を超えたピーク予備力を調達。

DR機器として、化石燃料を使用した機器は対象外となっており、CHP/コジェネレーションも対象外。EVや定置用蓄電池は対象に含まれている。

入札には機器性能等は影響せず、入札価格のみを考慮。落札価格は非公開のため、蓄電池の経済性確保に十分かは不明(CPUC、Olivine、SCE、SDG&Eに確認済み)。ただし、SGIPとの併用が可能なため、蓄電池は他機器と比較して有利であるとの認識がされている。

出所)CPUC提供資料およびヒアリング調査より三菱総合研究所作成

2016 DRAM Results

義務量[MW]最終調達量

[MW]

家庭用機器の

割合

予算上限

[USD]

登録機器数

[Unit]参加企業数

SCE 10 20.32 41% 4M ≈ 14,000 9

PG&E 10 17.17 >20% 4M ≈ 10,000 6

SDG&E 2 3 66% 1M3,752

(out of 7K)5

2017 DRAM Results

義務量[MW]最終調達量

[MW]

家庭用機器の

割合

予算上限

[USD]

登録機器数

[Unit]参加企業数

SCE 10 56.2 20.7% 6M -- 7

PG&E 10 56.4 >20% 6M ≈ 20,000 5

SDG&E 2 16 68% 1.5M ≈ 7,000 5

• 入札にはStemやSunvergeが参加

• EVや定置用蓄電池のアグリゲーションも落札

• 落札した9社の内、8社はOlivineのプラットフォームを使用

• 前回入札に参加した企業も再度参加

• ただし、前回落札した企業は参加していない

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米国(CA州): DERP

加州では各種分散電源をアグリゲートするために、DERP(Distributed Energy Resource Provider)の取り組みを開始する予定。現状での報酬体系等は決まっていないが、アグリゲータの位置づけに近い。

また、DERPとISOを仲介する役割として、スケジューリングコーディネータ(SC)が存在する。リソースアグリゲータ(RA)に役割が似ており、Olivine等の企業100社以上がCAISOに登録済み。

出所)CAISO

Olivineの提供サービスDERP/スケジューリングコーディネータの概要

出所)Olivine

• OlivineはISOとのやり取りおよび決済等のプラットフォームを提供・管理

• リソース登録や分散型電源運用も実施

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米国(CA州): Scheduling Coordinator(SC)の要件

出所)CAISO, Business Practice Manual for Scheduling Coordinator Certification & Termination and Convergence Bidding Entity Registration & Terminationより三菱総合研究所作成

分類 SC認定要件 概要

経営基盤CAISOとの財務セキュリティを確立し、最低参加要件(FERC Order 741)を満たす

• 100万ドルの有形純資産を有する、または1,000万ドルの総資産を有する

• もしくは「適切」な資格を持つ他団体からの保証書または信用状の形での信用サポートを受けている

運営体制

連絡先の提出 • CAISOとやり取りを行う組織の連絡先を最低2つ用意している

アプリケーションへのアクセス獲得 • アクセス管理ツールを通して、CAISO市場の各アプリケーションに参加するためのデジタル証明書を獲得している

決済品質メータシステムへのアクセス確立 • オペレーションメータの分析と報告を行うシステムを活用し、決済品質メータのデータをCAISOに提出できること

証書の提出 • 倒産等による事業継続が困難な場合に備え、管理しているリソースの振替ができる証明書を用意している

事業実施能力

ネットワークインターフェイスの確立• CAISOが規定しているネットワーク接続セキュリティ要件を満たしている

• インターネットもしくはECNを選択(ECNはAT&Tの私設ネットワーク)

トレーニングへの参加 • 四半期ごとに開催されているCAISOのSC認証ワークショップへ参加したことがある

市場取引テスト• CAISOのSC認証ワークショップで実施される、複数タイプの入札およびスケジューリングに対応できるかを証明する

試験に合格している

電子振込テスト• Federal Reserve Wire Network(米連邦準備銀行の決済送金システム)やACT(小口決済システ

ム)の活用による電子決済機能を使用できる。CAISOとの金銭のやり取りがつつがなく可能かを確認済みである

SC緊急時対応計画の提出(第3者のリソースを取り扱うSCのみ対象)

• SCの主要施設が電力供給できない場合の代替入札およびスケジューリング機能を提供する方法を記載した書類を用意している

グリッド連携テスト(第3者のリソースを取り扱うSCのみ対象)

• 24時間のリアルタイム対応能力およびタイムリーにディスパッチ命令に正しく対応するために必要となるCAISO市場の十分な理解があることを証明する試験に合格している

自動ディスパッチシステムへのアクセス確立 • アンシラリーサービスに活用可能な発電施設やDR機器を取り扱うSCは自動ディスパッチシステムを使用できること

停電管理システムへのアクセス確立 • 発電施設やDR機器を取り扱うSCは停電管理システムを使用できること

情報管理取引用ID

• 取引を行うリソースについて、使用時間帯やアンシラリーサービスへの対応可否等について、CAISOが提示するテンプレートに記載できること

地域市場の電力緩和要件対応 • CAISOがリソースを適切な供給先へ提供できるよう、管理している組織および関連情報を提出できること

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≪参考≫Scheduling Coordinator(SC)とDERP

Scheduling Coordinator(SC)はCAISOとDERPの間に立ち、リソース・金銭・制御指令のAggregation/Disaggregation

を実施。

CAISOではSCの登録企業が100社以上存在するが、電力会社を含めそのほとんどが自社リソースの集約および市場参加のみを実施。

他ISOでもSCと同様の役割を持つ組織が設定されており、ERCOT(テキサス州)ではQualified Scheduling Entity (QSE)、PJMではMemberの名称で機能。

出所)ヒアリング調査および公開資料より三菱総合研究所作成

Scheduling

Coordinator

CAISO

顧客 アグリゲータ DRアグリゲータ

顧客 顧客 顧客 アグリゲータ

DRアグリゲータは複数タイプの機器をアグリゲートしている

リソース・金銭・制御指令をやり取り

リソース・金銭・制御指令をやり取り

• SCおよびDERPの市場参加要件を設定

• プラットフォームを構築し、市場参加のためのリソースアグリゲーションを実施

• DERPの登録要件を設定

• リソースを直接制御するケースが存在

• 如何に信頼性のあるアグリゲートされたリソースをISOおよび電力会社に対して提供できるかがSCの競争要因

• SCとしてはエージェント機能とプラットフォームが重要

エージェント機能はISOや電力会社とのやり取りを実施するために必要な知識や体制

プラットフォームはリソースをまとめて市場に投入する機能

• CAISOには100社以上がSCとして登録しているが、9割以上が自身が保有するリソースのみを対象とし、第3者に対してサービス提供をしていない

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米国(CA州):ネットメータリング制度の変遷

Net metering 2.0(NEM2.0)は、PV設置者が電気料金をほとんど負担せずPV非設置者による系統運用費用の負担が増していたことが問題提起され、検討された制度。

現在、PV所有者に対して昼間の小売料金が安く夕方の料金を高く設定したTOUの適用を「義務付け」ているが、2019年からはPV非設置者を含む、すべての世帯に対してTOUが義務付けされる予定。

PVメーカでは、PV導入を推進するために接続費用を企業側で負担することを検討。

NEM 1.0

(1996年〜)NEM 2.0

(2016年〜)

売電単価 小売電気料金

接続費用 0$ 75~150$

時間帯別電気料金

PV設置者に義務付けPV非設置者を含む全世帯に義務付け

(2019年〜)

加州のネットメータリング制度の主な変更点 Net metering 2.0で検討中のTOU

• 10am-2pmのレートを下げることで、売電ニーズを下げる

• 4pm-8pmのレートを上げることで、自家消費ニーズを上げる

⇒昼間の余剰電力を蓄電して夕方に消費するユースが考えられる

出所)CPUC “Order instituting rulemaking to assess peak electricity usage patterns and

consider appropriate time periods for future time-of-use rates and energy resource contract

payments”(2015)

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米国(CA州):米国における蓄電システム価格

米国では、家庭用蓄電システム価格が平均約15万円/kWh。

Tesla製の蓄電システムが流通することにより、さらに米国全体での平均価格は下がる見込み。

米国では流通コストよりも海外製蓄電池の輸送コストが全体に占める割合が大きい。

Solarcityが提供している家庭用蓄電システムは約13万円/kWh。

出所)GTM Research

Behind-the-Meterの蓄電システム価格動向(Q1 2016)

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≪補足≫米国(CA州)における市場動向

加州における電気料金は年々上昇傾向にあり、2014年時点で家庭用は約16円/kWh注。

蓄電システム価格は年平均9%で下がっていくと予想されている。

10.00

12.00

14.00

16.00

18.00

2000

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

2010

2011

2012

2013

2014

電力料金

[セント

/kW

h]

家庭用 商業用

加州における電力料金の推移

• 2014年時点での家庭用電力は、約16セント/kWh

注 1$=100円として換算出所)IEAより三菱総合研究所作成

出所)GTM Research

米国における蓄電システムの価格推計

• 設置費は含まず

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≪補足≫米国における蓄電池ニーズの変化

これまで米国における主な蓄電池ビジネスは、系統用蓄電池によるPJM等の周波数調整市場であったが、蓄電池の数が多くなるに伴い入札価格の競争が激しくなり魅力的なビジネスでは無くなってきており、短時間容量の系統用蓄電池は導入台数は伸び悩んでいる。

一方で、SGIP等の魅力的な市場を用意しているカリフォルニアにおいて特に家庭用蓄電池が今後増えていくことが予想されている。また、周波数調整市場に代わる新たな蓄電池ビジネスとして「ピーク予備力」と「送配電網投資遅延」が期待されており、これに伴い、蓄電池の時間容量は長くなっていくと考えられている。

出所)Greentechmedia「Slideshow: GTM Research on the Dawn of the Energy Storage Industry」(2015)

米国の蓄電池導入容量および時間容量の予想 米国の設置場所別蓄電池導入量予想

2015年:0.5時間容量2020年:3時間容量

今後有望な蓄電池のユース・Deferral(送配電網投資遅延)・Capacity(ピーク予備力)

家庭用蓄電池の導入拡大

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米国(ハワイ州):PVの導入状況

ハワイではFITやネットメータリング(余剰電力買取)の効果によってPVの導入量が急激に増加。1GW程度に達している。

PVの導入拡大に伴い、夕方に急激な需要の立ち上がりが現れ始めて系統に悪影響を与えており、PV導入促進策や料金設計等の政策の見直しが図られている。

ハワイの配電系統における需要プロファイル

出所)NREL「Distributed Generation Interconnection Collaborative 」(2014)出所)Hawaii State Energy Office「Hawaii Energy Facts & Figures May 2016」

【2015年末時点の導入実績】・累積PV導入量:1GW程度・屋上PVの数:70,000軒程度(全需要家の17%)

ハワイのPV導入量推移

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米国(ハワイ州):脱FIT&余剰電力買取制度(1/2)

ハワイでは持続可能なPVの普及を目指し、FITと余剰買取制度は受付を終了し、2015年10月以降にPVを設置する需要家については、「ハワイにおける屋上PVマーケットの持続的な成長をサポートするエネルギープログラムの改革」のもと、新たに策定された2つのオプションから1つを選択することになった。

特に、Customer Self-Supplyプログラムでは蓄電池とPVを併せたシステムが推奨されている(補助金は無し)。

このプログラムと併せて、HPUC(ハワイ州公共事業委員会)はHECO(ハワイ電力)に対して需要家の昼間の需要を促進するようなTOUを検討するようオーダーを出しており、スマートデバイスの活用も期待されている。

出所)HPUC「PUC Reforms Energy Programs to Support Future Sustainable Growth in Hawaii Rooftop Solar Market」(2015)

オプション1:Customer Self-Supply(自家発自家消費)

• PVで発電した電気を構内で消費する自家発自己消費を想定(仮に系統に売電しても対価は0)

• PVの発電量で足りない分は系統から供給(平均26¢/kWh)• ミニマム料金(25¢/kWh)はHECOに支払う• 導入容量のリミットは無い• 基本的なシステムとして、PVと蓄電池を併せたシステムが想定さ

れている

オプション2:Customer Grid-Supply(余剰電力の売電)

• 構内で発生した余剰電力を予め決められた価格(オアフ島で15.07¢/kWh)で売電

• 系統からの電気料金は小売料金で買電(平均26¢/kWh)• (売電収入)-(電気料金)>0だとしても、ミニマム料金

(25$/kWh)以上はHECOに支払う• 導入容量のリミット有り(オアフ島で25MW)

昼間の太陽光による発電を有効に活用するため、昼の電気料金を安くするようなTOUも検討中⇒蓄電池を含む、スマートホームやスマートビジネス等の技術への投資が拡大することが期待されている

「ハワイにおける屋上PVマーケットの持続的な成長をサポートするエネルギープログラムの改革」の内容

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米国(ハワイ州):脱FIT&余剰電力買取制度(2/2)

2015年10月のPV関連政策の変更以降、ほとんどの需要家がCustomer Grid-Supply(余剰電力の売電)を選択しており、Customer Self-Supply(自家発自家消費)はあまり選択されていない状況。

一方、 Customer Grid-Supplyはオアフ島を始めとして早ければ8月にリミットに達することが予想されており、Customer Self-

Supplyビジネスに期待が集まっている。

2015年10月〜2016年6月の申し込み状況• Customer Grid-Supply:444

• Customer Self-Supply:4

【Customer Self-Supply が少ない理由(ニュース等より)】• 蓄電池+PVシステムのため初期コストが高い• TOUがまだ適用されていないため、ピークシフトによる

メリットが無い(安く売電した方が良い)• HECOの技術仕様要求が厳しく、Customer Self-

Supply向け製品の認証取得が遅れている• HECOとの間で技術的な問題も発生しているようであ

る(詳細は不明)

Customer Self-Supplyをターゲットとしたビジネス2つのオプションの選択状況

一方、Customer Grid-Supplyは申込上限があり、多くの島でPVの導入量が上限に近付きつつあるため、Customer Self-Supplyビジネスに注目が集まっている

製品の概要 事業者および蓄電池メーカ

PV+蓄電池+温度調整器 太陽光の発電+熱を家庭

内の消費に最大限利用

• SolarCity(蓄電池メーカ:米・Tesla Motors)

PV+蓄電池 蓄電した太陽光の電力を

TOUのピーク時間帯に放電する制御を行うことで、電気料金を最大限削減

• Sunverge(蓄電池メーカ:韓・Kakom)

• Gexpr(蓄電池メーカ:韓・LG)

• Sunrun(蓄電池メーカ:米・Tesla Motors)

Customer Self-Supplyをターゲットとしてハワイ市場に参入している・参入予定のビジネスの事例を以下に示す

出所)各社のホームページやニュース等より

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米国(ハワイ州):FIT・ネットメータリング制度の変遷(1/2)

ハワイ州ではこれまでPV促進策として以下の2つの政策が施行されてきた。

FIT:商業目的のPV発電事業者を対象にした買取制度。

ネットメータリング:構内にPVを設置する需要家を対象にした買取制度。

特にネットメータリングがキードライバーとなってPVの導入量が急激に増加しており、2015年時点での導入量は合計1GW程度に達している。

出所)Hawaii State Energy Office「Hawaii Energy Facts & Figures May 2016」

【2015年末時点の導入実績】・累積PV導入量:1GW程度・屋上PVの数:70,000軒程度(全需要家の17%)

ハワイのPV導入量推移ハワイのPV促進策

ネットメータリング FIT

売電単価小売電気料金(2014

年で34¢/kWh程度)

〜20kW:21.8¢/kWh

20〜500kW:18.9¢/kWh

500kW〜5MW:19.7¢/kWh

適用対象構内にPVを設置する需要家向け

商業目的のPV発電事業者向け

申込上限 無し有り(オアフ島で60MW、その他の島で10MWまで)

実施期間 2001年〜2015年 2009年〜2014年

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米国(ハワイ州):FIT・ネットメータリング制度の変遷(2/2)

PVの導入拡大に伴い、PV所有者と非所有者間の系統運用費用負担の不平等さや昼間の需給バランスの問題により、ネットメータリング制度の継続について電力会社からの反対があり、制度改正の議論が行われた。

議論の結果、2015年10月に概ね電力会社の意見を反映する形でネットメータリング制度は終了し、PVの系統への売電によるメリットを抑え、自家発自家消費を推進する新しいプログラムに移行している。

ハワイの配電系統における需要プロファイル

出所)NREL「Distributed Generation Interconnection Collaborative 」(2014)

【電力会社の主張】• 電気料金で回収される系統運用費用の多くをPV非所

有者が負担しており、不平等が生じているため、売電単価を安くするべき(加州と同じ)

• 昼間の発電量が負荷を上回ったり、夕方に急激な系統側ピークが現れたりすることで、系統安定化の問題を引き起こし得る。昼間のPVの系統への売電量を減らすため、自家発自家消費を促すTOUを導入したい

⇒電力会社の主張がそのまま反映される形で2015年にネットメータリング制度が終了し、新しいプログラムが開始

※米国のrooftop PV支援団体であるTASCはネットメータリング終了の決定を受けて、「詳細な費用対効果の検証をせずに電力会社の推測だけでHPUC(ハワイ州公共事業委員会)はネットメータリングを終了した」として批判している

ネットメータリング終了の決定に伴う電力会社の主張

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ドイツ:制度概要(1/4)

ドイツの蓄電池関連の政策。

大型蓄電池に対しては、SINTEGが活用され、実証事業が進められている。

小型蓄電池に対しては、KfW275が活用され、導入が進められている。

名称 制度形態 目的蓄電池

累計適用台数制度の変遷 補助・運用体制

SINTEG 実証事業に対する補助• 大型蓄電池等を用い

た系統安定化ー 2016年制度開始

BMWiが資金提供、運営

KfW275

導入補助

(PVと蓄電池の導入に対する補助)

• PVのピークカット(家庭用小型蓄電池)

• 自家消費推進

20千台KfW153の条件を参考に策定され2013年に制度開始

BMWiが資金提供

KfWが運用

KfW153

導入補助

(新築住宅補助の一部として、PVと蓄電池の導入に対する補助)

• 省エネ・高効率住宅の普及

1千台 ーKfBMWiが資金提供

KfWが運用

KfW270 低金利融資 • 再エネ機器等の普及 ー ー KfWが独自に運用

KfW274 低金利融資 • 再エネ機器等の普及 ー2016年にKfW270に統合(KfW274は廃止)

KfWが独自に運用

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ドイツ:制度概要(2/4)

ドイツの蓄電池関連の制度(KfW275/153)の概要は以下のとおり。

KfW275

≪概要≫

太陽光発電および蓄電システムの導入に対する補助

(融資およびその一部費用を償却助成金として返済ボーナス)

≪導入対象・条件≫

個人、民間企業等(連邦政府・州、機器メーカーは除く)

PV(30kW未満)およびその併設の蓄電システム

系統に流す電力量はPV出力の50%以下に、常時制限を義務化

モニタリングプログラムへの参加

≪補助率≫

蓄電池の導入コストに対して、下記助成率が適用される

期間 助成率

2013年〜2015年末 30%

2016年1月3日〜6月30日 25%

2016年7月1日〜12月31日 22%

2017年1月3日〜6月30日 19%

2017年7月1日〜12月31日 16%

2018年1月3日〜6月30日 13%

2018年7月1日〜12月31日 10%

KfW153

≪概要≫

高効率住宅の購入・建設費用に対する助成制度

≪導入対象・条件≫

新築建設費用または住宅購入費用

太陽光発電、断熱材、蓄電池等の設置・導入に係る費用を含む

≪補助率≫

融資額は最大で10万ユーロ/戸

住宅の効率性に応じて、助成率が決定

効率基準 助成率 最大助成額

KfW高効率ハウス40 Plus 融資額の15% 15,000€/戸

KfW高効率ハウス40 融資額の10% 10,000€/戸

KfW高効率ハウス55 融資額の5% 5,000€/戸

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ドイツ:制度概要(3/4)

ドイツの蓄電池関連の制度(KfW270)の概要は以下のとおり。

KfW270

≪概要≫

設備導入に対する低金利融資

※2016年11月にKfW274が閉鎖し、270に統合

≪導入対象≫

民間企業等

PVおよびPV併設の蓄電池、エネルギーマネジメント機器

風力発電

コージェネレーションシステム

≪条件≫

予算額は5000万ユーロ(60億円)

以下のいずれかを提供

5年間で最大1年分の返済不要金利(1/5)

10年間で最大2年分の返済不要金利(2/10)

20年間で最大3年間の返済不要金利(3/20)

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ドイツ:制度概要(4/4)

ドイツの蓄電池関連の制度(SINTEG)の概要は以下のとおり。

効率的な系統運用を目指した実証事業に対して、連邦政府は4年間で100億円の資金を提供を実施。

SINTEG ーSmart Energy Showcases - Digital Agenda for the Energy Transitionー

≪概要≫

スマートグリッドに関する実証事業に対する支援

≪目的≫

再エネ比率が高まる中、安全で効率的な系統運用を目指す

系統拡張の必要性を低減する

≪期間・予算≫

BMWiは4年間(2016年〜2020年)で

最大8,000万€(≒104億円)の資金を提供

≪5地域におけるショーケース≫

異なる側面を持つ5つのショーケースを支援

① C/sells:PVに焦点を当て、需給を最適化

② Designnetz:工業地帯等の大規模需要に対して、 分散型電源を

活用するソリューションの提供

③ Enera:市場データの分析を通じた系統安定化ソリューションの提供

④ NEW 4.0:主に風力発電による余剰電力の効率的管理

⑤ WindNODE:電力、熱、モビリティと風力発電の需給の最適化出所)Germany Trade & Invest

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ドイツ:KfW275 (1/2)

アーヘン工科大学によって蓄電池市場分析が行われ、分析結果を基にして助成率が決定された。

実際の助成金額の算出過程は下記のとおり。

主なパラメータ 蓄電池市場価格 PV市場価格 電力価格の推移 各種税金

工事費 蓄電池サイクル数 需要パターン 発電パターン 等

アーヘン工科大学による分析

アウトプット 需要家のメリット

(助成率別)

分析結果と下記観点より、30%と決定(2013)

買取価格が高い中、自家消費を促進できる 設置者に過度な儲けが出ず、悪用されない 市場の競争力を阻害しない

政府による助成率の決定

助成額の算出過程(2017年2月時点)

助成申請時の入力項目(PVおよび蓄電池を新規導入する場合)① 総投資額(€)

PV導入コストおよび蓄電池導入コスト(工事費含む、付加価値税除く)

② PV設備容量(kW)③ 申請予定日

算出過程1)総投資額からPVの市場価格を引いた価格を蓄電池の価格とみなす

①-②×1600€/kW=【蓄電池のコスト】

2)ピークカットのために必要な、PV設備容量あたりの蓄電池のコストの上限を2000€/kWと設定助成率は申請予定日(③)に基づき決定(p3左下の表)

2-1)蓄電池コスト÷②<2,000€/kWの場合【蓄電池コスト】×【助成率】=【助成額】

2-2)蓄電池コスト÷②>2,000€/kWの場合2,000€/kW×②×【助成率】=【助成額】

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ドイツ:KfW275 (2/2)

【制度策定のきっかけ】

2012年頃にPVが急増し、系統へ悪影響を及ぼすことが懸念され、系統安定化に対する政府への要望が強まった。

南北系統の拡張が不十分なため、風力発電量が大きい北側から、需要が大きい南側へ十分に供給できない。

系統の拡張は、環境影響評価や施工等によって見通しが不透明なため、過渡的に蓄電池への補助を実施することとした。

【制度の変遷】

PV発電量のピークカットを目的とし、 2013年にPVおよび蓄電池に対する導入補助制度として開始。

制度制定時、FIT価格が高い状況下で蓄電池の導入を促すために、助成率を30%と制定。

2013年〜2015年で19,000台が導入され、制度として十分な役割を果たし終了する予定だったが、産業界等からの反発を受け、制度継続が決定。

2016年以降は、蓄電池コスト低下、競争力促進を勘案し、年々助成率が低減される仕組みに変更。

同時に蓄電池に求める品質を厳格化(例:メーカーに対する7年間の無償補償の義務付け→10年間に変更)。

【今後の見通し】

2019年以降について、政府の見通しはなく、直前に政府内で決定がなされる予定。

ただし、ドイツ連邦議会選挙(2017年9月)の結果によって、今後の方針は大きく左右される。

現時点では、系統拡張が整備されるまでの過渡的な補助だと認識しており、優先的に推進していく方針はない。

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ドイツ:FIT制度の変遷(1/3)

ドイツでは再エネの買取制度を1991年から開始。2000年、2012年に大幅な改定を行い、現在に至る。

1991年〜 電力買取法

≪概要≫

電気事業者(TSO,ISO)が再エネ発電事業者が発電する電力を一定の価格で買取ることを義務付け

PVの買取価格はドイツ全国の小売平均販売単価(0.09€/kWh)の90%と設定された

≪課題≫

買取価格が再エネ発電設備の投資費用を踏まえた水準でなかったため、発電単価の高いPV等は導入量が伸び悩んだ

1998年からの小売自由化により小売電気料金が下がり、買取価格も低減し、さらに投資回収が困難になった

2000年〜 再生可能エネルギー法(EEG)

≪概要≫

2010年までに発電電力量に占める再エネ割合を12.5%、2020年までに20%とすることを目標に再エネ電力を全量買取ることを規定

電力買取法の問題点を踏まえて、固定価格で買取ることを保証するいわゆる総括原価方式

≪課題≫

PVの買取価格を大幅に引き上げたことから爆発的な導入が進み、需要家負担額が急増

2010年、2012年にそれぞれEEGを改正、買取価格を引き下げ

2012年〜 EEG法の改正

≪概要≫

2020年までに発電電力量に占める再エネ割合を35%以上等にするよう変更

買取価格を引き下げ、FIP制度の選択。買取対象となる導入量の上限を52GWに設定

2012年以降に運開する設備は2014年以降、部分買取とし、発電量の90%を全量買取の対象とする。ただし、10kW以下設備は引き続き全量買取対象

2012年以降に運開する100kW以下のPVは出力制御用の遠隔操作装置の設置義務、2013年からは出力抑制の対象注となった

注 30kW以下の設備の設置者については、インバーターの定格出力を発電設備容量の70%に制限すれば、遠隔走査装置の設置ならびに出力抑制の対象から除外。

2014年〜 EEG法の改正

≪概要≫

2025年までに発電電力量に占める再エネ割合を40〜45%にするよう変更。2035年には55〜60%

電源ごとに新規設置容量の上限を設定

これまでは自家消費電力は再エネ賦課金の対象外であったが、10kW以下設備は自家消費が10MWhまでは自家消費に対する賦課金を免除となった

既設の再エネ設備の買取価格引き下げ等も与党では検討されたが、成立せず

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ドイツ:FIT制度の変遷(2/3)

PVは2009年から導入量が急増。特に2012年の買取価格変更前に大量の駆け込み需要があった。

水力 風力 バイオマス 太陽光 地熱

再生

可能

エネ

ルギ

ー発

電量

(TW

h)

電力供給法(1991.1~)• 電力会社に対し、再エネの発電電力を売電

価格の一定比率で買い取ることを義務付け

再生可能エネルギー改正法(2009.1~)• 再エネ比率目標を引き上げ(2020年

30%)• 買取価格の変更(PVのみ減額)

←発電コストの状況の分析結果を反映

再生可能エネルギー法(2000.4~)• 電力会社に対し、再エネ発電電力のエネ種

別に固定価格で買い取ることを義務付け←風力発電の急増、北部集中←売電価格の一定比率での買取に反発

再生可能エネルギー法改正法(2004.8~)• エネ種別の買取価格の変更• 買取対象とする太陽光の設備容量上限の

撤廃←PVが電力買取義務対象枠に到達

再生可能エネルギー改正法(2012.1~)• 再エネ比率目標を引き上げ(2020年

35%)• 買取価格を引き下げ、FIP制度の選択。買

取対象となる導入量の上限を52GWに設定←PV急増による賦課金上昇

再生可能エネルギー改正法(2014.8~)• 再エネ比率目標を引き上げ(2025年

40~45%)• 買取価格を全体的に引き下げ

←賦課金の急激な上昇

再エネ比率:30

出所)Entwicklung der erneuerbaren Energien in Deutschland im Jahr 2015

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ドイツ:FIT制度の変遷(3/3)

2009年からのPVの大量導入に伴い、賦課金が急騰している。

2009年の再生可能エネルギー法改正以降、直近1年間の新規導入容量に応じ、買取価格の低減率を調整する仕組みが導入された。導入前には、発電コストの状況報告と支援レベルについての提言※がなされた。

(円/kWh) (円/kWh)

1ユーロ=140円換算

PV買取価格と賦課金の推移2014年8月改正法における

PV買取価格低減率

年間新規容量

適用月低減率

~1.0GW +0.5%

1.0~1.5GW ±0%

1.5~2.4GW -0.25%

2.4~2.6GW -0.5%

2.6~3.5GW -1.0%

3.5~4.5GW -1.4%

4.5~5.5GW -1.8%

5.5~6.5GW -2.2%

6.5~7.5GW -2.5%

7.5GW~ -2.8%

※:ドイツ連邦環境省による再生可能エネルギー法進捗報告書(Renewable Energy Sources Act (EEG) Progress Report 2007)

出所)海外における再生可能エネルギー政策等動向調査、資源エネルギー庁

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ドイツ:電気料金の推移

家庭用電力料金は、再生可能エネルギー賦課金(EEG割増)は増加している。一方、電力の調達価格が減少傾向にあるため、2013年以降横ばい傾向。

(ユーロセント/kWh)

注 年間消費電力量3500kWhの世帯を想定

ドイツの家庭用電力価格の推移と内訳

-調達・販売費

-送電費

-付加価値税

-土地利用料

-EEG割増

-電力税

出所)ドイツ・エネルギー・水道事業連盟(BDEW)

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ドイツ:市場動向 (1/5)

小規模蓄電池の設置動向。(1/3)

近年の経済性が高まり、蓄電池の導入数は増加傾向。PV-蓄電池システムは、現状では累計35,000ユニットほど導入されている。

そのうち6割程度が補助金を活用。

ドイツにおけるPV-蓄電池システムの導入状況

システム

出所)Germany Trade & Invest

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ドイツ:市場動向 (2/5)

小規模蓄電池の設置動向。(2/3)

アーヘン工科大学は、KfW275制度利用者から得たエンドユーザー負担額等の情報を基に分析を実施。

リチウムイオン蓄電システムの平均小売価格(工事費除、税含)は、平均実効容量 6kWhにおいて、25万円/kWh(税抜 20万円/kWh)、工事費は10〜13万円/台程度※。

KfW275制度活用者全員(制度申請時にモニタリングプログラムへの

参加を義務化)

※ 1ユーロ=130円換算 工事費はヒアリング調査より

母集団

PV

エンドユーザー負担額 設置日 定格出力等

蓄電システム エンドユーザー負担額 設置日 種類

(リチウム/鉛、AC/DC、一相/三相 ) 定格容量および実効容量

利用者属性 設置場所 世帯人数 年間電力消費量 現在の電力価格

収集可能な情報

異常値排除 50kWh ≦【定格容量】は除外 等

矛盾チェック 【定格容量】≦【実効容量】

は除外 等

データクリーニング

システム価格/実効容量(ユーロ/kW

h

リチウム

中央値平均値±標準偏差

蓄電池システム価格の推移

蓄電システム全体(パワーエレクトロニクス、センサ等含)の小売価格 システム価格には、工事費を除き、19%の付加価値税を含む 分母は、定格容量ではなく実効容量 バーは、各母集団の68.3%が含まれる範囲を表す

注記

リチウムイオン蓄電システムのシステム価格は、18%/年で低減 平均システム価格(2015H2)は、Li:25万円/kWh、Pb:17万円/kWh

平均実効容量 (2015H2)は、Li:5.73kWh、Pb:5.74kWh

中長期的には、EVの発展に伴う相乗効果(セルの卸価格低減)により、更なる価格低減が期待されており、2015年時点でも、13~15万円/kWhの安価なリチウムイオン蓄電システムが一部販売されている

傾向

出所)Wissenschaftliches Mess-und Evaluierungsprogramm Solarstromspeicher(2016)

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ドイツ:市場動向 (3/5)

小規模蓄電池の設置動向。(3/3)

すでに多くのメーカーが蓄電池を販売している。Sonnen、Senec、SMAの3社がマーケットリーダー。

電力会社も蓄電池による自家消費増加を脅威と捉えており、自社での蓄電池販売も始めている。Vattenfall社担当者によると「(蓄電池の普及による自家消費増加は)電気事業者にとって怖い。だから我々は電気に加えて蓄電池も売る」とのこと。

大手電気事業者の低圧用蓄電池の販売状況(2016年5月時点)

※ 130円換算

※1)Vattenfall社へのヒアリングを基に海電調記載

※2)Solarwattが自社で販売するシステムは7,000€〜。

※3)個社見積もり

会社 商品容量

(kWh)価格 備考

E.ON E.ON Aura 4.4~11 N.A※2 • Solarwattの電池• 10年間の商品保証• エネマネ機器と組合せ

て販売

RWE RWE

Storage flex

3.9~11.

7

€8,39

9~17,

999

• ソニーの電池• 10年間の製品保証• 1万サイクル

EnBW MercedesBenz

energy storage

2.5~ N.A※3 • メルセデスベンツの電池

Vattenfall※1

N.A N.A N.A • 需要家との契約により、事業者側で蓄電池をコントロール可能(実証実験)

KfW補助金で導入されたPV-蓄電池システムの市場シェア

出所)Germany Trade & Invest出所)各種資料より三菱総研作成

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ドイツ:市場動向 (4/5)

大型蓄電池の設置動向。

商用利用に向け、大型蓄電池の設置が進んでいる。

プライマリー制御のために設置された大型蓄電池

出所)Germany Trade & Invest

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ドイツ:市場動向 (5/5)

太陽光発電の市場。

欧州委員会(EC)共同研究センター(JRC)によると、25kW未満の屋根設置型太陽光発電システムのコストは、2013〜2014年にかけて▲14%となり、1,400[ユーロ/kW](18.2万円/kW)。

O&M費用や耐用年数、システム性能の低下を仮定すると、2013年時点でドイツでは家庭用電気料金を下回る水準となっている見込み。さらに2014年には欧州の79.5%において、家庭用電気料金以下となっていると報告。

PVについては、2010〜2012年の3年間で年間7[GW]レベルの市場規模を確保してきた。しかし、政策変更に伴い2013年には3.3GWに縮小、2014年には2GW程度。

出所)Germany Trade & Invest

FITを卒業するPV

MW

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≪参考≫ドイツでのストレージパリティ

ドイツではエネルギー貯蔵のコストが0.15〜0.20[ユーロ/kWh]に達したとき、PVの発電コストが0.10〜0.15[ユーロ/kWh]となり、グリッド価格と同程度となるとの見込み。

≪エネルギー貯蔵コスト≫

0.15〜0.20[ユーロ/kWh]

≒19.5〜26[円/kWh]

≪PV発電コスト≫

0.10〜0.15[ユーロ/kWh]

≒13〜19.5[円/kWh]

≪系統コスト≫

0.30〜0.35[ユーロ/kWh]

≒39〜42[円/kWh]

※ 130円換算

出所)INDUSTRY OVERVIEW The Photovoltaic Market in Germany, GTAI,2014

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オーストラリア:補助制度

現在、国、州単位で蓄電池に対する補助制度は存在しない。

ただし、アデレード市(南オーストラリア州)、オーストラリア首都特別地域(ACT)では、将来的に再エネ比率を高める目的で補助制度を実施中。

ADELAIDE SUSTAINABLE CITY Incentives Scheme Next Generation Renewables(ACT)

≪概要≫

太陽光発電および蓄電システムの新規導入に対する補助

≪目的≫

アデレード市が目指すカーボンニュートラルシティに向けた取組の一環

≪補助対象≫

新規(2015年7月以降)に太陽光発電および蓄電システムを導

入する家庭、企業

≪補助額≫

PV:初期費用の20%(最大1,000AUD)

蓄電池:1サイクルあたりの放電量(kWh/サイクル)

×サイクル寿命(サイクル)

×0.15AUD/kWh

(最大で初期費用の50%または5000AUDの内安価な金額)

≪概要≫

蓄電システムを販売する企業に対する補助制度

2016年には、試験的にメーカー3社に補助

≪目的≫

2020年までに再エネ比率90%を達成

2016年から4年間で5000件以上の家庭と企業に計36MWの蓄

電池を導入

2016年には200世帯に蓄電池システムを導入

≪補助対象≫

家庭、企業用に蓄電システムを販売する企業

2016年はActewAGL Retail、ITP Renewables、

SolarHubの3社

≪補助額≫

20万AUD/社

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オーストラリア:電力事情

オーストラリアは、1990年代からエネルギー政策を段階的に進め、1998年に「全国電力市場」が完成し、電力全面自由化がなされた。

小売電力料金は、卸電力調達費用および送配電線使用料の高騰を背景に、上昇し続けている。

家庭用電力料金の推移

出所)AEMC Possible Future Retail Electricity Price Movement

豪州の電力価格は、2007年より急激に上昇

送配電線使用料の高騰

• ピーク需要の増加

• 電力供給信頼度基準の強化

• 老朽設備更新に係る投資

卸電力調達費用の高騰

• 再生可能エネルギー目標制度の導入等

出所)AEMC 2015 Residential Electricity Price Trends

家庭用電力料金の設定 豪州の電力価格は、各州各特別地域で異なる

自由化以前から当該地域で事業を行う小売事業者に「standing

offer」と称する公表料金の設定が義務付けられる

これとは別に、法で定められた条件を満たせば、自由に電力料金を設定することができる(market offer)

ニューサウスウェールズ州の電力料金の推移と見通し

実績

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オーストラリア: PV事情(1/2)

FIT制度が導入された2009年以降、PVの普及が爆発的に進み続けている。PVの普及に伴い、システムおよびパネルのコストは下落している。2015年のシステム価格は、2008年と比較し、80%以上下落した。

2015時点のPV普及率は19%(全国平均値)。地域別に見ると50%を超える地域も存在している。

PV導入量の推移

出所)APVI National Survey Report of PV Power Applications in AUSTRALIA 2015

地域別PV普及率

PVコストの推移

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オーストラリア: PV事情(2/2)

FIT制度は、州、特別地域毎に決められている。各州ではFIT価格の下落、FIT制度の廃止が進んでいる。

出所)APVI National Survey Report of PV Power Applications in AUSTRALIA 2015より作成

州・特別地域 ‘08 ‘09 ‘1 0 ‘11 ‘12 ‘13 ‘14 ‘15 ’16

設備容量kW

価格cAUD

/kWh

制度終了年

ビクトリア州~5

~5

~100

60

25

小売価格

‘24

‘16

‘16

南オーストラリア州~10

~10

~10

44

16

6.8

’28

‘16

無期限

オーストラリア首都特別地域

(ACT)

~10

~30

~30

50.5

小売価格7.5

接続後20年’20

無期限

ノーザンテリトリー ~30 小売価格 無期限

クイーンズランド州~10

~5

44

6.35

’28

無期限

ニューサウスウェールズ州

~10

~10

~10

60

20

約5

’16

’16

無期限

西オーストラリア州

~5

~5

~5

~5

40

20

9.5

7.135

導入後10年導入後10年

無期限無期限

‘05~

導入補助制度開始

企業への補助開始

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Ⅴ.海外調査

1. 各国の蓄電池導入施策の調査

2. アグリゲータ育成に向けた課題や蓄電池製造産業の国際競争力

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【米国】SolarCity

Ⅴ.海外調査 企業概要

本社所在地 3055 Clearview Way, San Mateo, CA 94402

売上 3,990 百万$ 従業員数 13,058人 設立年 2006年

事業概要 米国No.1の太陽光発電サービス企業。現在テスラ・モーターズから買収を提案されている。

ホームページ http://www.solarcity.com/

蓄電池に係る動向

Teslaのビジネスパートナーで、SolarCityのPVパネルとTeslaの蓄電池(Power wall)から構成されるPV+蓄電池のシステムをリース・販売しており、システムの設置やモニタリング・修繕などのサービスも行う TeslaのPower wallは3.3kW/7kWhで、蓄電池単体では$3,000(5万円/kWh程度)だが、システム価格(蓄電池+インバータ+

設置工事費用)では$7,500(=11.3万円/kWh程度)と見積もられている

2016年2月にはハワイ州のCustomer Self-Supplyプログラム適用者などのPVの自家発自家消費をターゲットとした新たな製品として「Smart Energy Home」を発表

「Smart Energy Home」はゲートウェイを使って、太陽光による発電や熱の自家消費を最大化できるように、インバータ、蓄電池、温水器、温度調整器(サーモスタット)等を自動で最適に制御できる

フルユニット(PVパネル+蓄電池+スマートサーモスタット+インバータ+温水器+ゲートウェイ)のリース価格は0.26$/kW/h(6.5万円/月)、販売価格は4,500$/kW(160万円/台)注

One Energyは2kW/5.5kWhの蓄電池システム(蓄電池+インバータ)で8,700円/月

(注)TeslaのPower wallのサイズ(3.3kW/7kWh)を基準に計算した場合

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【米国】Sunverge Energy, Inc.

Ⅴ.海外調査 企業概要

本社所在地 950 Minna Street, San Francisco, CA 94103

売上 4.1百万$ 従業員数 50人 設立年 2009年

事業概要太陽光発電や蓄電池、電気自動車(EV)などの分散するエネルギー関連設備(分散エネルギーリソー

ス)を「群制御」する米国のソフトウエアサービス会社。

ホームページ http://www.sunverge.com/

蓄電池に係る動向

一般家庭や企業などにPV+蓄電池のシステム「Solar Integration System(SIS)」を提供。蓄電池セルは韓・Kakom、太陽光パネルは米・Sunpowerの製品が中心で、SunvergeはPVと蓄電池をコントロールするシステムを提供

SISはネットワークを介して家庭内のリソースだけでなく電力会社とも通信を行うことが可能で、Sunvergeはこのシステムを用いて、電力会社と協力して電力系統と分散型電源の電力融通に関する検討・実証を行っている

SISの蓄電池システム(蓄電池+インバータ+制御システム)は5kW/11.6kWhで$11,270(=10.1万円/kWh) SISの制御アルゴリズムによってPVによる自家発自家消費を最大化でき、また適切な時間に蓄電・放電を行うよう自動制御

することでToUによる収益を最大化できる Sunvergeの独自の試算によると、ハワイ州でCustomer Self-Supplyが適用された家庭でSISを導入すれば月々80%の

電気料金を削減でき、7年でSISのシステムコストをペイできる

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【米国】Gexpro

Ⅴ.海外調査 企業概要

本社所在地 2 Corporate Dr., 10th Fl., Suite 150, Shelton CT, United States 06484

売上 750百万$ 従業員数 1100人 設立年 2006年

事業概要電気機器に関する小売販売やソリューション提供を行っている会社で仏・Rexel社(電気機器に関する小売

販売・サービス会社)の子会社。米国が本拠で世界各国に150の拠点を持つ

ホームページ https://www.gexpro.com/

蓄電池に係る動向

Gexproの提供する蓄電池システム「Power IQ」は2015年から販売が開始されており、蓄電池の容量は30kWhもしくは45kWhで、商業・産業需要家をターゲットにしたピークカット用のシステム

蓄電池システムにはGeli(米・ソフトウェア企業)の制御システム、Ideal Power(米・インバータメーカ)のインバータ、韓・LGの蓄電池を使用 LGの蓄電池は3.6kW/6.4kWhの蓄電池単体で$5,660/kWh(=9.2万円/kWh)程度

Power IQはPVの自家発自家消費を行う需要家もターゲットにしており、今年の6月にHECOからCustomer Self-Supplyプログラム向けの製品としての認証を取得した

これに伴い家庭向けのPV+蓄電池のシステムの提供も開始している

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【米国】Sunrun Inc.

Ⅴ.海外調査 企業概要

本社所在地 595 Market Street, 29th floor, San Francisco, CA 94105

売上 305百万$ 従業員数 3,000+人 設立年 2007年

事業概要米国をベースとした、居住用太陽光発電プロバイダーで、居住用太陽光発電システムの提供業者としては第

4位の規模である。

ホームページ https://www.sunrun.com/

蓄電池に係る動向

Sunrunはハワイ州のCustomer Self-Supplyプログラム向けにPV+蓄電池のシステム「BrightBox」を開発し、2016年5月に第一号機をハワイ州の家庭に設置した

BrightBoxはSunrunのPVパネルとスマートインバータ、TeslaのPower wall(3.3kW/7kWh)から構成される。シンプルな設計で家庭内の他の機器(温水器など)と接続しないため、リードタイムが短く迅速な設置が可能なことが利点

製品の販売以外にリース契約も行っており、購入・リース開始から20年間Sunrunが製品の状態をモニタリングして、適宜メンテナンスや修理を行うサービス付き

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【ドイツ】Sonnenbatterie GmbH

Ⅴ.海外調査 企業概要

本社所在地 10800 Burbank Blvd., Suite C Los Angeles, CA 91601 USA

売上 N/A 従業員数 50 人弱 設立年 2010 年

事業概要 ドイツではアルゴイ地方、Wildpoldsriedを拠点とする蓄電池メーカー。

ホームページ https://www.sonnen-batterie.com/

蓄電池に係る動向

2012年より家庭用リチウムイオン蓄電池SonnenBatterie ecoを販売。欧米で1.2万個の販売実績がある。3kW-8kW、4kWh-16kWhで寿命10年(10,000サイクル)

2016年7月からは事業用や産業用などの法人向けの定置用蓄電池の販売を開始する旨発表。法人向けの販売に当たっては、米Ideal Power社の高効率パワーコンディショナー(PCS)を統合したSonnenBatterie Proは、2016年末頃をめどに販売予定

Ideal Power社製の30kW PCS、蓄電池モジュール、スマート・エネルギー管理ソフトウェアなどが含まれる。蓄電池のサイクル寿命は10,000サイクル

蓄電池システムはモジュール構成となっており、出力18kW/容量24kWhから同90kW/240kWhまで カナダに本社があるEnbala Power NetworkはSonnenとの提携を表明 分散エネルギーの制御プラットフォーム開発を検討中

出所)同社ウェブサイト

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【ドイツ】MVV Energy AG

Ⅴ.海外調査 企業概要

本社所在地 Kommunikation und Marke Luisenring 49 68159 Mannheim

売上 3,422 百万€ 従業員数 5,308 人 設立年 1873年

事業概要ドイツの大手エネルギー事業者。マンハイム市の地域エネルギー事業者で、発電から小売まですべてをまかなう

シュタットベルケ。

ホームページ https://www.mvv-energie.de/

蓄電池に係る動向

サービスプロバイダやITベンダーと共同で分散型エネルギーシステムを提供するBEEGYを設立(MVVはBEEGYの34.8%の筆頭株主)

PV、マイクロCHP、蓄電池、ヒートポンプなどの機器とともに、それらを管理・制御するゲートウェイを販売する、需要家との長期契約も結ぶ

蓄電池を活用して、太陽光発電による電力を自家消費し、場合によっては電力市場で取引するなど収益を最大化するようコントロール

2015年5月より本格販売を開始、導入前より50%の電気代削減を謳っている 前身はドイツ政府が2009-12年にかけて

スマートグリッドプロジェクトE-Energyの中のMOMAプロジェクト

出所)同社ウェブサイト

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【オーストラリア】AGL Energy Ltd

Ⅴ.海外調査 企業概要

本社所在地 Level 22,101 Miller Street,North Sydney, 2060 Australia

売上 10,678 百万豪$ 従業員数 3,537 人 設立年 1837年

事業概要主として再生可能エネルギーを扱う、総合エネルギー企業。電力小売だけでなく、火力、水力、風力、バイオ

マス等を含む多様な発電に関するポートフォリオを有する。

ホームページ http://www.agl.com.au/

蓄電池に係る動向

2016年2月、AGLはエネルギー貯蔵システムのマネジメント強化を目的に、米国に拠点を置く、エネルギー貯蔵企業であるSunverge社に20,00万米ドルの出資を行った

2015年5月、インバーター、制御システム、太陽光パネルとの接続機器を含めた7.2kWhのシステムを1万4千豪$(約112万円)で発売すると発表した。本蓄電池では、3~4kWの太陽光パネルとの併用を想定している

蓄電池には、台湾AU Optronics製のリチウムイオン蓄電池を採用した現状では価格が高いと見ており、本格普及は価格低下が期待できる2020年からと見込んでいるその他にも蓄電容量11.6kWh、19.4kWhの蓄電池のラインナップを有する需要家はAGLと太陽光・蓄電池併設に関して長期のサービス契約を結ぶAGLは蓄電池管理システムや蓄電池監視システムを導入して、需要家のシステムをモニタリングして適宜運用を行う

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【オーストラリア】ITP Renewables

Ⅴ.海外調査 企業概要

本社所在地 Southern Cross House 6/9 McKay St, Turner, Canberra ACT 2612 Australia

売上 N/A 従業員数 N/A 設立年 2003年

事業概要

1981年に英国で設立された世界有数の再生可能エネルギー関連コンサルティングファームであるIT Power

Groupの一員である。ITP Renewables Australiaではエンジニアリングデザイン・プロジェクトマネジメント、

研究開発、政府の優遇措置プログラムの監理・レビュー、政策分析等を実施している。

ホームページ http://www.itpau.com.au/

蓄電池に係る動向

2015年、オーストラリア首都特別地域(ACT)政府が実施するNext Generation Energy Storage Pilotの実証に参加する3社に選ばれ(20万AUD補助)、200世帯への蓄電池導入を目指す

現在、オーストラリア再生可能エネルギー機関(ARENA)の資金(45万AUD)を得て、蓄電池の性能評価試験を実施評価対象は、Li-ion蓄電池6種類(LG Chem、テスラ等)、従来型鉛蓄電池1種類、先進型鉛蓄電池1種の計8種。3

年間の試験で、エネルギー効率、費用対効果、経年劣化等を評価する現在の商品ラインナップは、下記の4つである。太陽光発電に対する補助制度STC(スモールシステム:2,432AUD)および

蓄電池に対する補助制度Next Generation(スモールシステム:3,240AUD)があり、非常に手厚い補助となっているスモールシステム(実質11,990AUD):太陽光発電3.1kW(Jinko),蓄電池6.4kWh(LG Chem RESU),インバータ(Redback)ミディアムシステム(実質12,990AUD):太陽光発電5.2kW(Jinko),蓄電池6.4kWh(LG Chem RESU),インバータ(Redback)ラージシステム(実質16,390AUD):太陽光発電5.2kW(Jinko),蓄電池9.6kWh(LG Chem RESU),インバータ(Redback)レトロフィット(オープン価格):蓄電池6.4kWh(LG Chem RESU),インバータ(Redback)

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【オーストラリア】SolarHub

Ⅴ.海外調査 企業概要

本社所在地 3/6 Pelle St Mitchell ACT 2911

売上 N/A 従業員数 N/A 設立年 N/A

事業概要キャンベラを拠点とした、太陽光発電システム、蓄電池の卸業者。これまで5,000件を超える太陽光発電シ

ステムを導入・提供している。

ホームページ http://www.solarhub.net.au/

蓄電池に係る動向

2015年、オーストラリア首都特別地域(ACT)政府が実施するNext Generation Energy Storage Pilotの実証に参加する3社に選ばれた

20万AUDが補助され、200世帯への蓄電池導入を目指す蓄電池は、テスラ Power Wall、LG Chem RESUを提供しているNext Generationにおける補助額は、テスラ:2,970AUD、LG Chem2,790AUD

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【オーストラリア】Solar Juice Pty Ltd

Ⅴ.海外調査 企業概要

本社所在地 Unit 1, 10-12 Forsyth Close Wetherill Park, NSW 2164

売上 N/A 従業員数 16人 設立年 2009年

事業概要太陽光発電パネル、インバーター、蓄電池システム等の卸売業者。オーストラリアの全ての州をカバーしている。

2015年5月、香港に本社を置く、Solar Power, Inc.に買収され、完全子会社となった。

ホームページ http://solarjuice.com.au/

蓄電池に係る動向

オーストラリア全域をカバーする、太陽光パネル、インバーター、蓄電池の卸売業者である蓄電池は、LG Chem社のRESU 6.4 EX(6.4kWh)を販売しているRESU6.4EXは、LG Chem社からSolar Juiceに対して、6,898豪$(約55万円)で卸され、小売価格は約1,000米

$/kWh(約10万6千円/kWh)以上であると報じられた(REneweconomy)

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【オーストラリア】Redflow

Ⅴ.海外調査 企業概要

本社所在地 27 Counihan Road, Seventeen Mile Rocks, Brisbane QLD, 4073, Australia

売上 265,436AUD 従業員数 100人 設立年 2010年

事業概要 亜鉛臭素電池モジュール (ZBM)に基づく、エネルギー貯蔵システムの製造・販売

ホームページ http://redflow.com/

蓄電池に係る動向

オーストラリアの家庭向けに、亜鉛-臭素フロー蓄電池(ZCell)を提供しているZcell(10kWh/3kW)は導入に17,500〜19,500AUD(140〜156万円)であるとされているZCellは蓄電容量が低下しない、メンテナンスフリー、過酷な環境でも使用可能等のメリットがある一方、有害である点、大きく重い(240kg)等のデメリットが指摘されている

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【ニュージーランド】Genesis Energy Ltd

Ⅴ.海外調査 企業概要

本社所在地 660 Great South Road,Greenlane,1051 New Zealand

売上 2,098 百万NZ$ 従業員数 931人 設立年 1999年

事業概要ニュージーランドにおいて、発電、エネルギー小売業、エネルギートレーディング、資源開発を行う総合エネル

ギー会社。ニュージーランド国内の63万件の顧客に電気、天然ガス、LPGを提供。

ホームページ https://www.genesisenergy.co.nz/home

蓄電池に係る動向

2015年10月、米Enphase Energy, Inc.と提携し、家庭用蓄電システム(Enphase Home Energy Solution)の実証試験を開始すると発表

2016年第2四半期から蓄電池システムの提供を始める予定であるEnphaseのシステムは、エリーパワー株式会社のリン酸鉄リチウムイオン蓄電池を用いており、インバーター等に簡便に接続可また、スマートフォン等のデバイスにデータを出力することも可能Enphase Home Energy SolutionのうちAC Batteryの導入費用は、購入量にもよるが、卸売価格約1,150豪$/kWh

(約9万2千円/kWh)であると報じられた(Bussiness Wire)ニュージーランドの北島の北部は、水力発電等の電源が豊富な南島より遠いため、送電線の託送料が高くなる傾向にあるそのため、消費者にとってPVおよび蓄電池を設置する方が経済的メリットが出ていると考えられる

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【オーストラリア】積水ハウス株式会社

Ⅴ.海外調査 企業概要

本社所在地(豪州現地法人)

68 Waterloo Road Ground Level Macquarie Park, NSW 2113 Australia

売上1兆2281億円

(単体)従業員数

1万3625人

(単体)設立年 1960年

事業概要オーストラリアの4州(ブリジストン、シドニー、メルボルン、アデレード)において、マンション・宅地開発および戸

建住宅建設事業を展開。オーストラリアの環境・文化に適応したコミュニティの開発を目指す。

ホームページhttp://www.sekisuihouse.co.jp/

http://www.sekisuihouse.com.au/

蓄電池に係る動向

豪州クイーンズランド州リプリーバレーにて、スマートコミュニティ開発を検討中平成26年度エネルギー需給緩和型インフラ・システム普及等促進事業(グローバル市場におけるスマートコミュニティ等の

事業可能性調査:豪州 リプリーバレーにおけるスマートコミュニティ開発調査)平成26年度では、下記3パターンについて基本仕様、電力小売事業者および系統運用者との合意形成、事業主体、試験計

画等について検討がなされた①ルーフトップ・ソーラーパネル+レドックスフロー蓄電池システム+コジェネ・システムからの夜間電力供給②コジェネ・システム単独③ソーラーパネル+水素製造・貯蔵システム

①の場合、15年目で蓄電池を売却する場合、IRR15%という試算結果となった

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【オーストラリア】Panasonic株式会社

Ⅴ.海外調査 企業概要

本社所在地(豪州・NZ現地法人)

1 Innovation Road, Macquarie Park, NSW 211318 Sir Woolf Fisher Drive, East Tamaki, Auckland 2013

売上7兆5537億円

(連結)従業員数

24万9520人

(連結)設立年 1935年

事業概要

社内カンパニー制を採用しており、アプライアンス社、エコソリューションズ社、AVCネットワークス社、オートモー

ティブ&インダストリアルシステムズ社の4カンパニーで構成されている。2015年度における海外売上比率が

52%となり、国内売上だけを超えた。

ホームページhttp://panasonic.jp/

http://www.panasonic.com/au/

蓄電池に係る動向

2015年6月、PV普及率が高く、電力需給の不安定さや料金の高騰等の課題を抱えるオーストラリアとニュージーランドにおいて、住宅用蓄電池システムの実証実験プロジェクトを行うと発表した

Panasonicは、オーストラリアの電力小売会社であるActewAGL社、Ergon社、SnowyHydro社傘下のRED Energy社の3社とパートナーシップを結び、実証試験を始める

実証実験は、ACT地区、ニューサウスウェールズ、クイーンズランドの各州で実施エリアを選び、太陽光発電システムの既設住宅にパナソニックの住宅用蓄電池システムを設置する

Panasonicの住宅用リチウムイオン蓄電池システム(容量8kWh)は、遠隔ネットワーク機能内蔵、既設PVシステムへの後付設置が可能である等の特徴がある

蓄電池を設置することで、PV発電電力の自家消費率が30〜60%向上する

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(様式2)

頁 図表番号101962637475767977788081929696112113114117117120121122123123124124127128132136137138139140141142143144146146

充電曲線解析法の概要

充放電履歴に基づく推定法の概要

過渡的差電圧法の概要

蓄電池オンライン診断技術の概要

Olivineの提供サービス

Net metering 2.0で検討中のTOU

Behind-the-Meterの蓄電システム価格動向(Q1 2016)

米国における蓄電システムの価格推計

米国の設置場所別蓄電池導入量予想

米国の蓄電池導入容量及び時間容量の予想

ハワイのPV導入量推移

ハワイの配電系統における需要プロファイル

ハワイのPV導入量推移

ハワイの配電系統における需要プロファイル

二次利用未承諾リスト

分電盤

交流インピーダンス法の評価方法の概要

交流内部抵抗法の評価方法の概要

直接充放電測定法の概要

JEPスポット価格

ドイツでのストレージパリティ

家庭用電力料金の推移

家庭用電力料金の設定

電灯料金の平均単価

報告書の題名 定置用蓄電池の普及拡大及びアグリゲーションサービスへの活用に関する調査

委託事業名 平成28年度新エネルギー等導入促進基礎調査

受注事業者名 株式会社三菱総合研究所

タイトル

PV買取価格と賦課金の推移

余剰電力発生量(2030年度)OCCTO想定(シナリオ①電源偏在)

プライマリー制御のために設置された大型蓄電池

放電微分曲線解析法の概要

余剰電力発生量(2030年度)OCCTO想定(シナリオ①電源偏在)

改正後のkWhベースのインセンティブ

SINTEG

FITを卒業するPV

KfW補助金で導入されたPV-蓄電池システムの市場シェア

蓄電池システム価格の推移

ドイツにおけるPV-蓄電池システムの導入状況

ドイツの家庭用電力価格の推移と内訳

FIT制度の変遷(2/3)

PV発電量

蓄電池目標価格のイメージ

SCEの2016年調達目標と導入予定量

CAISOのRAで取引されるピーク予備力

DERP/スケジューリングコーディネータの概要

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(様式2)

147147147154155

Sonnenbatterie GmbH

地域別PV普及率

PV導入量の推移

PVコストの推移

MVV Energy AG