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中学校理科における中学校理科における中学校理科における中学校理科における批判的思考力の育成に関する研究批判的思考力の育成に関する研究
科学文化教育学専攻
自然システム教育学専修
山中 真悟山中 真悟
1
研究の概要研究の概要研究の概要研究の概要
前期アクシ リサ チにおい 考案した高等学校
目的
前期アクションリサーチにおいて考案した高等学校物理における批判的思考力育成のための指導法が、中学校理科においても有効であるか検証する中学校理科においても有効であるか検証する。
方法
授業実践:中学校3年生81名 理科「水素エネルギー」検証方法:質問紙,ワークシート検証方法 質問紙,ワ クシ ト
結果
中学校理科において、考案した「因果関係マップを用いた活動」を取り入れた指導を行うことにより、理科における批判的思考力 うち 慎重に吟味しよ理科における批判的思考力のうち、慎重に吟味しようとする態度が向上した。
2
研究の背景①研究の背景①批判的思考力批判的思考力
批判的思考(Critical Thinking)念1930年代~ アメリカにおいて主張され始めた概念
教育界においても関心が高まる(例えばEnnis1987)
Ennis(1987)による批判的思考の定義
何を信じ、何を行うかの決定に焦点を当てた、
合理的で省察的な思考。合理的で省察的な思考。
よりよく問題を
ちょっとまてよ。本当にこれでよい
よりよく問題を解決したい。
本当にこれでよいのだろうか?
3
研究の背景①研究の背景①批判的思考力批判的思考力
批判的思考念1930年代~ アメリカにおいて主張され始めた概念
教育界においても関心が高まる(例えばEnnis1987)
我が国においても関心が高まる我が国においても関心が高まる
柴田(2006)情報化社会の教育で、最も重視すべき目標のひとつ
4
研究の背景①研究の背景①批判的思考力批判的思考力
理科教育においても関心が高まる
しかし・・・しかし・・・
・批判的思考力育成のための指導法を開発し、その効果を検証している研究があまりみられない
・教育実習等での経験→批判的思考力が十分でない5
研究の背景②研究の背景②前期 ク前期 ク前期アクションリサーチについて前期アクションリサーチについて
批判的思考を行うためには
①自分の思考過程を論理的に整理する。
②自分の思考過程を意識的に吟味する②自分の思考過程を意識的に吟味する。
理科においては理科においては
→観察・実験などの因果関係を予想する場面
実験や現象の因果関係を図式化し(①) それを実験や現象の因果関係を図式化し(①),それを吟味する活動を行うことで(②),批判的思考力が高まるのではないか。
6
研究の背景②研究の背景②前期アクションリサーチについて前期アクションリサーチについて前期アクションリサーチについて前期アクションリサーチについて
授業では 2因果関係マップ ②推論過程を授業では… 2.因果関係マップを吟味
②推論過程を意識的に吟味
原因B´
原因A 原因B 原因C3因果関係マップ
予想結果
3.因果関係マップを修正
原因B´予想結果
原因A 原因B 原因C
1.因果関係マップを作成
予想結果
(原因D)
予想結果
①因果関係を図式化8
研究の背景②研究の背景②前期アクションリサーチについて前期アクションリサーチについて
廣岡ら(2001)
前期アクションリサーチについて前期アクションリサーチについて
廣岡ら( )クリティカルシンキング志向性尺度
・合理的な思考・探究心
改良
・慎重さ
調査・分析
理科における批判的思考態度の質問項目
9
高校生の尺度思考態度の質問項目
(全26項目)
研究の背景②研究の背景②前期 ク前期 ク前期アクションリサーチについて前期アクションリサーチについて
考案した指導法
結果
理科における批判的思考態度のうち、
結果
合理的に思考しようとする態度が向上した。
考案した指導法は、批判的思考力の育成に有効 あ たと える有効であったといえる。
10
研究の背景~研究の目的研究の背景~研究の目的しかし・・・
前期アクションリサーチでは、考案した指導法の高等学校物理における有効性を検証したのみ
他校種での理科教育における他校種での理科教育における有効性を検討する必要がある
目的
中学校理科学習において、因果関係マップを用いた指導法が批判的思考力の育成に有効で用いた指導法が批判的思考力の育成に有効で
あるか検証する。 11
※※本研究における批判的思考の規定本研究における批判的思考の規定※※本研究における批判的思考の規定本研究における批判的思考の規定
批判的思考
Ennis(1987)何を信じ 何を行うかの決定に焦点を当てた何を信じ、何を行うかの決定に焦点を当てた、合理的で省察的な思考。
批判的思考力批判的思考力
上記のような思考を行う力。
批判的思考態度
青柳ら(2010)青柳ら(2010)批判的思考の認知的側面を獲得し,活用しようとする傾向とする傾向
13
事前調査①インタビュー事前調査①インタビュー事前調査①インタビュー事前調査①インタビュー
附属学校指導教員へのインタビュ附属学校指導教員へのインタビュー
批判的思考力が十分でない実態
↓↓
批判的思考力を育成する
必要性がある。
14
事前事前調査②質問紙調査調査②質問紙調査事前事前調査②質問紙調査調査②質問紙調査
理科における批判的思考態度の質問項目
(全26項目)
・一つ二つの立場だけでなく 出来るだけ多くの立場から考える・一つ二つの立場だけでなく,出来るだけ多くの立場から考える。・判断を下す際には,先入観にとらわれないようにする。・自分の知らない自然現象に興味を持つ。自分 知らな 自然現象 興味を持 。・教科書の記述だからといって,うのみにしない。・---------------------
施15
・---------------------・---------------------
これらを用いて調査を実施
事前調査②因子分析事前調査②因子分析事前調査②因子分析事前調査②因子分析
時期:2010年11月時期:2010年11月対象:中学校3年生122名(うち有効回答数119名)
方法 件法方法:5件法(1.あてはまらない 2.あまりあてはまらない 3.どちらでもない
す あ まる あ まる)4.すこしあてはまる 5.あてはまる)
↓
得られた回答をもとに因子分析
(主因子法 バリマックス回転 3因子 負荷量.35以上)
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事前調査②因子分析事前調査②因子分析事前調査②因子分析事前調査②因子分析因子1(9項目)・実験の条件から実験結果を論理的に説明する。・根拠に基づいた判断をする。
つ二つの立場だけでなく 出来るだけ多くの・一つ二つの立場だけでなく、出来るだけ多くの立場から考える。 etc
合理的な思考中学生の尺度
合理的な思考
慎重さ
因子2(3項目)・教科書の記述だからといって、うのみにしない。先生の言 たことも 少しも疑わずに信じたりしない
17
・先生の言ったことも、少しも疑わずに信じたりしない。・普通の人が気にもかけないようなことに疑問を持つ。
事前調査②信頼性分析事前調査②信頼性分析事前調査②信頼性分析事前調査②信頼性分析因子3(4項目)・自分の知らない自然現象に興味を持つ。・自分の知らない科学技術に興味を持つ。新しいものにチャレンジするのが好きである・新しいものにチャレンジするのが好きである。
・わからないことがあると質問したくなる。
探究心中学生の尺度
探究心信頼性分析
因子 Cronbach α合理的な思考 .811
慎重さ .714
探究心 .649 本研究の尺度
18
探究心として使用
授業実践①実践の流れ授業実践①実践の流れ授業実践①実践の流れ授業実践①実践の流れ
時期:H22年11月22日(月)~ 質問紙調査(事前)時期:H22年11月22日(月)~12月10日(金)
対象:
質問紙調査(事前)
対象:
附属福山中・高等学校3年生
(B組40名 C組41名)
第1時 実践1
(B組40名,C組41名)
単元:
理科1分野「科学と人間生活」に第2時 実践2
理科1分野「科学と人間生活」に
おける「水素エネルギー」に
関する特別授業関する特別授業質問紙調査(事後)
19
※※授業設定の背景授業設定の背景
現在の社会
必要な ネルギ の多くを化石燃料から得ている必要なエネルギーの多くを化石燃料から得ている
しかし・・・
・将来予想される化石燃料の枯渇
化石燃料使用によるCO の発生(地球温暖化)・化石燃料使用によるCO2の発生(地球温暖化)
・化石燃料は輸入に依存
→今、水素のエネルギーが注目されている今、水素 ギ 目
20
※※水素エネルギーについて水素エネルギーについて※※水素エネルギーについて水素エネルギーについて
燃料電池
2H + O → 2H O + 電気エネルギー2H2 + O2 → 2H2O + 電気エネルギー
水素の燃焼反応水素の燃焼反応
2H2 + O2 → 2H2O + 熱エネルギー
21
授業実践②第1時授業実践②第1時授業実践②第1時授業実践②第1時
課題:課題:
今、水素エネルギーが注目されているのは
なぜだろうか?なぜだろうか?
原因 原因原因原因 原因原因
水素エネルギ が水素エネルギーが注目されている
22
授業実践②第1時授業実践②第1時授業実践②第1時授業実践②第1時
第1時のポイント第1時のポイント
・水素エネルギーのメリット
・化石燃料のデメリット
燃料水素は水を電気分解すれば容易
化石燃料はCO2発生
水素は反応して
に得られる
水素エネルギーが
化石燃料はいずれ枯渇
反応しても水しか出さない
23
水素エネルギ が注目されている
出さない
第1時の批判的思考のポイント人口増加
CO2発生量が
人口増加消費拡大
電気分解にエネルギーを必要とするので、意味が
な は CO が発生しても植物が
急増している
燃料
ないのでは? CO2が発生しても植物が吸収してくれるのでは?
水素は水を電気分解すれば容易
化石燃料はCO2発生
水素は反応して
に得られる
水素エネルギーが
化石燃料はいずれ枯渇
反応しても水しか出さない
24
水素エネルギ が注目されている
出さない
授業実践②第1時の活動の流れ授業実践②第1時の活動の流れ
1.課題に対して因果関係マップを作成
2.演示実験「燃料電池」
3.因果関係マップを修正3.因果関係マップを修正
因果関係マップ修正の視点
①各原 誤りはな か①各原因に誤りはないか?②各原因は結果に影響するか?③見落としている原因はないか?
4.水素をいかに製造するのかが
問題になることを確認問題になることを確認25
授業実践③第2時授業実践③第2時授業実践③第2時授業実践③第2時
課題:課題:
水素の製造に関する問題をどのように
解決すればよいだろうか?解決すればよいだろうか?
原因 原因原因原因 原因原因
水素の製造に関する水素の製造に関する問題の解決
26
授業実践③第2時の活動の流れ授業実践③第2時の活動の流れ授業実践③第2時の活動の流れ授業実践③第2時の活動の流れ
1 課題に対して因果関係マップを作成1.課題に対して因果関係マップを作成
2.因果関係マップを修正
因果関係マップ修正の視点
①各方法は問題を解決できるか?①各方法は問題を解決できるか?②見落としている方法はないか?③その解決方法に別の問題はないか?
27
授業実践授業実践③③第2時第2時授業実践授業実践③③第2時第2時
第2時のポイント第2時のポイント
・各製造方法のメリット・デメリット
化石燃料と
水を電気分解して
水を作用させて製造気
製造
水素の製造に関する
酸と金属を反応させて製造
28
水素の製造に関する問題の解決
第2時の批判的思考のポイントダムの建設等による
化石燃料を消費して
ダムの建設等による環境破壊が問題に
なるのでは? 化石燃料を消費してしまっては意味がないのでは?
自然エネルギーによる発電で
なるのでは?
化石燃料と
ないのでは?による発電で電力を得る
水を電気分解して
水を作用させて製造気
製造
水素の製造に関する
酸と金属を反応させて製造
29
水素の製造に関する問題の解決水素は爆発しやすい
ので注意が必要
効果の検証①質問紙の分析効果の検証①質問紙の分析効果の検証①質問紙の分析効果の検証①質問紙の分析各因子の得点=含まれる項目の得点の平均
因子 平均値 標準偏差 値
各因子の得点の平均値の変化を検定n=79
因子 平均値 標準偏差 t値合理的な思考
事前 3.55 .59 .47事後 3 56 63思考 事後 3.56 .63
慎重さ事前 2.76 .88 2.74*事後 2.96 .88後
探究心事前 3.87 1.02 .29事後 3.85 1.08
*:p<.05
「慎重さ」が有意に上昇した。
31
効果の検証②ワークシートの分析効果の検証②ワークシートの分析効果 検証② ク 分析効果 検証② ク 分析生徒生徒AA 第2時第2時
慎重に吟味批判的に吟味
第1時 第2時
33
慎重に吟味している様子
批判的に吟味できていない
まとめまとめ目的
中学校理科学習において、因果関係マップを用いた
指導法が批判的思考力の育成に有効であるか検証する
目的
指導法が批判的思考力の育成に有効であるか検証する。
授業実践①質問紙に 授業実践①質問紙による分析
②ワークシートによる分析
理科における批判的思考力のうち、慎重に
結果
科 批 考 う 、慎吟味しようとする態度が向上した。
考案した指導法は、中学校理科学習において批判的思考力 育成 有効 あ たと える批判的思考力の育成に有効であったといえる。
36