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Career Step
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コミュニケーション能力を鍛えよう〜対立を恐れず伝える力を鍛えよう〜
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8コミュニケーション能力とは
コミュニケーション能力は社会で働くうえでとても重要な力です。
上表のように、企業が新卒を選考するうえで最も重視する項目にも挙げられています。
では、コミュニケーション能力とはいったいどのような能力なのでしょうか?一言でいえば、「相手の伝えたい内容を正確に把握し、自分の伝えたい内容を相手に正確に伝えることができる」能力のことです。「なあんだ、そんな簡単なことか!」と思うかもしれません。しかし、これを社会で働くうえで必要な能力として定義づけると、「価値観や世代、性別、国籍、宗教、民族の垣根を超え、さらに、個人的な相性の有無も関係なく、スムーズに行うことができる能力」となります。ものすごく難度の高い能力ですよね。 コミュニケーション能力に関して言えば、高いほど良いのですが、どのくらいあればOKという
(出典)日本経団連「新卒採用(2014年4月入社対象)に関するアンケート調査結果」
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ものでもありません。ただ一つだけいえるのは、皆さんの現時点のコミュニケーション能力はほとんどの人が社会で働くうえで必要とされるレベルには達していないだろうということです。なぜそのように断言できるのか?皆さんはこれまでの人生経験の中で価値観や世代、性別、国籍、宗教、民族の異なる人とのコミュニケーションの経験が少ないと思われるからです。これは皆さんの能力が高いとか低いという問題ではありません。生まれ育った環境がそのような
状況になっているということです。つまり、これからの学生生活の中で、前述の経験を増やさな
いといけないのですが、同年代の学生同士で話をしていても、コミュニケーション能力は向上し
ません。留学生や大学の教員、アルバイト先の上司やインターシップ先の企業の方などさまざま
な人たちと話をする機会を増やす必要があるということです。
自己主張する癖をつけよう では、このように価値観や世代、生まれ育った環境の異なる人たちとの会話を増やすだけでコ
ミュニケーション能力は向上するのでしょうか?答えはNOです。ただ会話するだけではなく、自分の主張を相手にわかってもらう、あるいは、相手の考えを理解しようとするコミュニケーション能力を持つ必要があります。そのためには、ただ相手の話を聞くだけでなく、自分の考え
を相手にしっかり伝えるという姿勢を持つ必要があります。「こんなことを言っては相手が怒るの
では?」、「ここでこんなことを言うと失礼にあたるのでは・・」ということを気にするあまりに自
分のことを言わない人が多いのですが、それではコミュニケーション能力を伸ばすことはできま
せん。相手を思いやることは素晴らしいことですが、誤解や対立を恐れず、自分の主張を伝えるという癖をつけていかないと、いつまでたってもコミュニケーション能力は向上しません。まずは、自己主張する習慣をつけましょう。
対立を恐れない 自分の意見を主張するということは、当然異なる意見の人との対立が生じます。意見がかみ合
わない状況は双方にとってストレスのたまる状況であり、できれば避けたいというのが本音かも
しれません。日本人はこうした対立を極力避けるために、あいまいな表現でどちらともいえるよ
うな話し方をすることが多かったのですが、これからグローバル化が進むとこのようなあいまい
な表現は許されなくなってきます。対立することを恐れずに、自己主張する習慣づけをぜひ行ってください。対立が生じ、その対立を乗り越えることのできるコミュニケーション能力を養うこと
が、これから社会で働くうえでとても重要になっています。コミュニケーション能力は、そのよう
な経験を多く積むことが必須であり、経験を通して養うことのできる能力といえるでしょう。
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うまく伝えるコツを身につける 違う立場・異なる価値観を持つ人たちに、自分の考えをわかってもらうにはどうすれば良いので
しょうか?
a論理的に話す b相対的・客観的に伝える c適切な語彙を選ぶの3点を意識して話すことが重要です。
a論理的に話す 「論理的に話す」というと非常に難しいように聞こえますが、押さえておくべき点はシンプルで
す。具体的には理由を話すこと、「なぜそうなるのか?」「なぜそのように考えるのか?」を説明す
ることです。「自分はこう考える。なぜなら・・・だから」という話し方の癖をつけるだけでも論理
的な話し方は身についてきます。
b相対的・客観的に伝える これは、自分と世代や価値観、考え方が異なる人と話す際に最も工夫しないといけない部分で
しょう。最も大事な視点は、主観を客観化することです。aとも関係しますが、自分がなぜその
ような考え方をするのかを相対的かつ客観的に伝える工夫をすることです。たとえば、カレーが
好きだとした場合に、自分がカレーを好きな理由を3つ以上挙げてみましょう。
①ごはんと一緒に食べられるものが好き
②辛口が好み
③安くて手軽に食べられるものが好き
ということがカレーを好きな理由だとすると、
「自分の好きな食べ物の基準として①〜③の3つの基準があり、カレーはその3つを満たしている
食べ物だから・・」と説明することができます。
c適切な語彙を選ぶ 体の調子が悪くて病院に行ったことを想定してみましょう。いつから、体のどの部分が、どの
ように調子が悪いのかを正確に医師に伝えることができないと適切な治療を受けることができま
せん。調子が悪いと一言で言っても、「痛むのか」、「むかむかするのか」、「冷たく感じるのか」、「熱っ
ぽく感じるのか」、「動かないのか」など、いろいろな状況が想定されます。どういう状況なのかを
正確に伝えられる言葉を選ぶ必要があります。
外国人留学生の友人を作ろう 日本は単一民族国家で、しかも島国で人口密度の高い状態で歴史を重ねてきたことにより、お互いをいたわり、尊重する習慣が生まれ、その姿勢から、自己主張せずにあいまいにして物事を丸く収めることが美徳とされていました。他人を思いやり敬う姿勢は、日本人の資質としてはすばらしいことであるのは今後も変わりませんが、グローバルな舞台で活躍するためには、一方で、自己主張する習慣づけを今から身につける必要があります。そうは言ってもなかなか日本人同士ではうまくいきません。外国人留学生と話をしてみるとわかりますが、日本以外の国や地域では自己主張することが当たり前です。外国人留学生の友達を作っていろいろな話をしてみることから始めてみましょう。
Column コラム
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対立を乗り越えた経験をシートに書きだしてみよう これまでに、あるいはこれからの学生生活の中で、もし誤解から対立し、それを工夫して乗り
越えるような経験をしたようであれば、その経験をコミュニケーションギャップクリアシートに
書きだしてみましょう。何枚か書いているうちに自分の強み(対立を乗り越えるために取った行動)
が少しずつ自覚できるようになってきます。
❹ この経験を通して学んだこと、身についたこと、今後気を付けていきたいと思ったことを具体的な行動レベルで書きましょう。
❸ その結果どうなったのかを具体的に書きましょう。
❷ 工夫の内容、なぜそのように考えたのかを細かく書きましょう。
❶ 実際に自分が遭遇した事例を具体的に書きましょう。
15各ワークシートは、就職支援室HPからダウンロードしてご利用ください。
http://ghp.adm.kanazawa-u.ac.jp/archives/1382.html
コミュニケーションギャップクリアシート
Career Step
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キャリア支援イベントに参加しよう 就職支援室では、各種キャリア支援イベントを開催しています。その中で、コミュニケーショ
ン力の重要性を学ぶキャリア支援イベント「ビジネスゲーム」を実施しています。3〜6人くらいの
グループでツールを使って課題に取り組むという内容です。グループ内のコミュニケーションが
うまく行えないと課題を解決することができず、ゲームを通して組織で働くうえでのコミュニケー
ションの重要性を学ぶことができるとともに、グループで何かを行う際に必要となるコミュニケー
ション能力を鍛えることができます。開催については、アカンサスポータルで随時案内しますので、
興味のある方はぜひ参加してみましょう。
コミュニケーション 理 解自分の意見
相手の意見
対立