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特許をとろう 河合 圭悟 2015/09/17 PFIセミナー

特許をとろう (15/09/17 pfiセミナー )

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特許をとろう

河合 圭悟

2015/09/17

PFIセミナー

河合 圭悟

・ Preferred Networksに、最近入社

・ セールスエンジニア

・ PFNのもつ圧倒的な機械学習の技術をマーケットに適用していきたい。

最近特許を出してみて、新たな発見が多かった

うさぎはかわいいですよ。

自己紹介

Chainer-gogh ウサギ x 水墨画

特許とは

最近の特許事情

出願時の流れ

海外への出願

コンテンツ

基本的な内容のおさらいが多いです。

特許とは

特許権は、知的財産権の中の一部

特許とは

知的財産権

産業財産権

著作権

特許権

実用新案権

意匠権

商標権

著作人格権

著作財産権

工業製品に対して利用や所有を保護する権利

アイディアや発明デザイン、マーク、商品名

創作者により創作的に表現されたものを保護する権利

プログラムやデータベースホームページや素材集など

たとえば

出展 知られざる特殊特許の世界

特許権自然法則を利用した、新規かつ産業上有用な発明に対して最大20年間与えられる独占権。e.g. 長寿命、小型軽量化したLiイオン電池

意匠権美感・新規性・創作性のある物品の形状・模様・色彩に関するデザインを最大15年間保護e.g. 電話機をスマートな形にしたような形状や模様、色彩に関するデザイン

実用新案権物品の形状・構造・組合せに関する考案に対して最大6年間与えられる独占権e.g. 収容したままでも受信感度が低下しないアンテナ構造に関する考案

商標権商品・サービスに使用するマーク(文字・図形・記号など)を登録して保護(10年ごとに更新可能)e.g. ロゴマーク

ソフトウェアだと

・アイディア・アルゴリズム

・プログラムコード・ドキュメント

・トレードマーク etc

創作

特許権

著作権商標権

アイディアを保護するなら特許権を取得しないと!

どういうものが特許なのか

・自然法則を利用していること

・技術的思想に基づく制作であること芸術とか自然物の発見はNO

・新規性があること公知になってない

・進歩性があること容易に思いつかないもの

火は空気によって燃える

自然法則

空気を遮断して火を消してみよう

七輪の窓

窓の開き具合で火加減を調節

発明!

アイディア

ソフトウェア特許

コンピュータ・プログラム言語は特許にならない。「自然法則を利用していないもの(人為的な取決めに当たるもの)」とされている

コンピュータ・ソフトウェア関連発明であっても、以下のいずれかの場合なら、自然法則を利用しているとして、特許が可能とされている(このタイプの特許を「ソフトウェア特許」と呼ぶ)。

a. ハードウェア資源に対する制御、または制御に伴う処理b. 対象の物理的性質または技術的性質に基づく情報処理c. ハードウェア資源を用いて処理すること

でも...

ビジネスモデル特許

・ビジネス方法そのものは特許ではない!→ コンピュータやネットワークと結合させた

ビジネス方法を実現する「プログラムや装置、システム、方法」が特許

つまり、

でもこれはとても画期的。

“儲けを生み出す具体的な仕組み”を IT(情報技術)を用いて実現した、方法やシステムに関する特許

エンジニア以外も特許がとれる!

共同発明

共同発明時の特許法上の取扱

・ 特許を受ける権利は、原始的には共同発明者全員に帰属し、共有となる(29条①柱書)。・ 特許を受ける権利の持分は持分の定めがない限り平等と推定される。(民法250条)。尚、持分の定めがあるときは、願書又は届出書に記載される(施規27条)。

・ 特許権が共有となり、特許発明の実施は、共有者全員がが原則として自由実施である(73条②)。ただし、別段の定めがある場合はこの限りではない。尚、共有者の一人がした利用発明は、他の共有者の同意なく実施できる。共有特許発明の実施が持分に比例することなく自由実施が可能である(73条②)。

・ 特許権が共有となるが、この場合各共有者は、他の共有者の同意を得なければその持分を譲渡し、又はその持分を目的として質権を設定することができない(73条①)。これは民法の特別規定である。

・ 特許権が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その特許権について専用実施権を設定し、又は他人に通常実施権を許諾することができない(73条③)。

#他色々規定はあるが、割愛。

複数の出願人が共同で特許を出すことができる

どれくらいの確率で特許取れるのか

特許庁 年次報告書2014

だいたい7割くらいで特許取れます。

(最近通りやすくなっているようにみえるが、

それでも3割くらいは取れません。侮らないこと..)

【発明の名称】 揚げ出し卵豆腐およびその製造方法

【請求項1】卵豆腐を油で揚げてなる揚げ出し卵豆腐。

おもしろ特許

シンプル!

【発明の名称】 オートカフェ

【請求項1】

来店したお客が自動食器貸し機に硬貨を投入し、

食器を借り受けその器に飲食物供給装置より飲食

物を入れテーブルに運んで飲食するようにした

自動飲食店

おもしろ特許

こんなのでも取れるんか。。自販機と変わらんような

【発明の名称】 漫才人形

【出願人】 松下電器産業株式会社

【審査状況】 拒絶査定。。

【請求項1】音声格納手段と、前記音声格納手段からの音声データを拡声する音声

発声手段と、動作生成制御手段と、前記動作生成制御手段からの指令により動作生

成をする動作生成手段とを備えた複数の人形と、前記複数の人形の前記音声格納手

段と前記動作生成手段を制御する全体制御手段とを備えたことを特徴とする漫才人

形。

おもしろ特許

漫才人形

特許を出す意味

自らが実施

ライセンスする

競合に対する防御

・他社に使わせて実施料を得る。・クロスライセンスで他社特許を使う・権利を譲渡

・技術の独占的な実施・独自技術のアピール

・自分たちの技術を、侵害するサービスを提供できないようにする

基本特許と利用特許

自らが実施するなら、基本特許だけ取っててもダメ。利用特許も取らないと。

”他人”の発明

基本特許

ダメな例

結局自分が製品化できない。。

”他人”の発明

基本特許

自分の利用するところだけでも利用特許を取らないといけない!

ではとにかく特許?

・ NO。ノウハウとしておくかの選択が重要!・ 「公にする」という選択肢もある。

・公にするという選択肢独占するほどじゃないが使えなくなるのは困るもので自分の実施だけなら、公にしてしまうだけで良い。

(日付を入れて管理保存。公証人役場に保管してもらうなど)

・製品を販売や公開しても技術が外部に漏れることはない

「ノウハウ」として維持した方が良い

# 半導体チップやハードウェア、システムなど可視性のあるものは、特許を取った方がよい

アイディアや発想を話す必要がある際は、その前に

・特許出願をしておく

・秘密保持契約を結ぶ

・守秘義務がある人のみに話す

などの配慮が必要。

他人にアイディアを話すときに

最近の特許事情

注目技術のトレンド

特許庁が注目している分野の最近のトレンドを紹介します。

「ビッグデータ分析」関連の特許

関連技術

特許庁 年次報告書2014

「ビッグデータ分析」関連の特許

米国籍出願人48.8%、日本国籍出願人31.5%。日米合わ

せると全体の80%を超える。

近年は、情報通信機器ベンダーだけではなく、ビッグデータを保有する企業からの特許出願が増加

特許庁 年次報告書2014

「ロボット」関連の特許

特許庁 年次報告書2014

関連技術

「ロボット」関連の特許

特許庁 年次報告書2014

・ 日本国籍出願人が最も多く、全体の32.7%を占める。

・ 産業用ロボットが中心 (グラフなし)

「自動運転」関連の特許

関連技術

特許庁 年次報告書2014

「自動運転」関連の特許

日本国籍による出願が59.5%と最も多く、次いで欧州、韓国、

米国、中国

特許庁 年次報告書2014

人工知能まわりのトレンド

「人工知能」を中心に最近のトレンドを紹介します。

*このあと統計データが出てきますが、人工知能の分類:IPC :G06N 条件を集計したものです。

人工知能関連の出願件数

USAからの特許件数が多い 2012年まででは件数横ばい (2012以降は多いかも)

特許庁 H26 特許出願技術動向調査報告書より

PCTによる国際出願件数

PCTという仕組みを使う人が増加 国際的に権利を取りに行く傾向

特許庁 H26 特許出願技術動向調査報告書より

国際出願の傾向

特許庁 H26 特許出願技術動向調査報告書より

国際出願の傾向

日本やEUからUSへの出願が多い

日本やEUからUSへの出願が多い

EU内の特許のうちUSからの比率が高い

USからはEU,JPへの出願多い

中国は国内中心

特許庁 H26 特許出願技術動向調査報告書より

応用分野

c.f. 2008,2009年は商取引とか経営・管理とか

主な応用分野

・製造

・通信

・交通

・健康、医療

特許庁 H26 特許出願技術動向調査報告書より

基盤技術と応用技術のマトリックス

機械学習は、“認識”への応用 ニューラルネット は“認識”や“機器・設備の操作”への応用

特許庁 H26 特許出願技術動向調査報告書より

応用産業と基盤技術の組み合わせ

製造や工業:NN、ML

経営、商取引:知識表現

製造や工業:NN、ML

特許庁 H26 特許出願技術動向調査報告書より

出願件数ランキング

US企業が多い ニューラルネットで中国の大学もいくつか。

特許庁 H26 特許出願技術動向調査報告書より

出願時の流れ

出願までの流れ

1. アイディアを発明しましょう

2. 特許サーチしましょう

先行特許、類似の特許があるかも

3. できればプロトタイプ作ってみましょう

4. 説明のための資料を作る

5. 弁理士に必死で説明しましょう

ここ、むちゃくちゃ大事!

6. 明細書書いてもらいましょう

7. ドラフトを推敲しましょう

8. 出願じゃ~!

これで無事終わりですか?

いえ、違います。まだ先は長いです。(ただ流れはゆっくりになります。先願主義のため)

拒絶ってつらい。。

・(多くの場合)「拒絶」されます

特許庁と、よ~く戦って説得してください。

・拒絶理由通知には2種類ある。最初の拒絶通知(結構内容をいじれる)と最後の拒絶通知(小変更のみ)がある。( 1つのポイントに対して別の視点ではまた最初に戻ったりする)

・最悪、拒絶“査定”を食らう。 →裁判できるけどお金掛かる

・補正しているうちに、つじつまが合わなくならないように。。

・海外への出願の必要性も考えてください

出願の流れ 概略図

公開まで18か月あります

→それまでは自慢できません

→そこから拒絶査定、裁判とかやってると、10年とかもありうる。

審査請求は、混んでいます2013年で平均11ヶ月程度。(数年前は30ヶ月)

審査を早くやってくれる制度があります

早期審査

対象者・既に実施または2 年以内に実施予定の発明に係る出願・外国にも出願している出願・中小・ベンチャー企業・大学、公的研究機関からの出願・環境関連技術に関する出願 など

一次審査通知までの期間が、申請から平均 約2か月(@2013)

→ 一次審査通知までの期間が大幅に短縮

審査を早くやってくれる制度があります

スーパー早期審査

対象者・早期審査対象者 かつ「実施関連出願」かつ「外国関連出願」に該当する、より重要性の高い出願

通常の早期審査よりも更に早期に審査を行う。・申請から一次審査までを1 か月以内で行う・再着審査についても、意見書・補正書の提出から

1 か月以内に行う

→ 申請から権利化までの期間を短縮

国内優先権制度

とりあえず出願してから後から肉付けできる便利な制度

基本的な発明 A を出願 → 改良発明 A’ を出願したい

このとき

A’をAとまとめて出願しなおす(1年以内)

→ 包括されるAの部分は、Aの出願日が優先される。

コアな部分が書ければ、肉付けは後から行って

出願しなおすことができる。

海外への出願

海外への出願

国際出願しないと・競合を排除できない・海外で権利行使できない

・いくらくらいかかるのか?

100万円! [/国]*ざっくり。国によっても異なるし、EUはEPOにまとめて出せる(国ごとに代理人費用が発生。翻訳もかかる。特許料も。

あたりまえですが、、

・時間もかかる

もちろん各国ごとに審査します。拒絶対応とかも国数分やらないといけない。

海外への出願

・ 競合のマーケットのある国

・ 自分(&組込まれるハードウェア)のマーケットのある国

・ ライセンスできそうな企業のいる国

権利取得(国内移行)国の判断のポイント

・産業に依存する・トレンド的にはUS、EUなど (前述)

国際出願の割合のトレンド

特許庁 年次報告書2014

・ 日本からのグローバル出願は増えている・ しかしまだまだUS, EUに比べて少ない

海外への出願

パリ優先ルート(直接出願)

出願の方法は2つあります。

PCT出願

各国に“直接”出願するルート。「外国人でも内国民と同じ権利を受けられる」というパリ条約をもとに、最初の出願国と同じ出願日として扱ってくれる。(優先権制度)

138の加盟国に“一括”で、出願したことになるルート。ただ権利を行使するには、各国で審査のうえ移行が必要。

PCT:特許協力条約

PCT出願と直接出願どっちが多いの?

特許庁 年次報告書2014

近年 PCT出願 を使うことが多いようです

海外への出願

ヨーロッパは、加盟国による特許庁(EPO:欧州特許庁)がある。

→ 加盟国全体の審査を一括でやってくれる。(登録は別)

出願日ってどうなるの?

“国内”出願をした日を主張できます :-)

【パリ条約の優先権制度は有効に使うべし】

日本の出願から12か月以内であれば、加盟国への出願時に日本と同日に扱ってくれる。

→ 海外出願の検討に1年の猶予があるということ

まとめ

• 特許を出そう

事業のためにはやはり重要なこと

ソフトウェアやビジネス関連の特許もある

• 工数とお金は掛かる

アイディアをどれだけ弁理士に伝えられるかが大事

• 海外出願も考えよう

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