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文化庁文化審議会国語分科会日本語教育省委員会 日時:2013710日(水)10:0012:00 於:金融庁 特定⾮営利活動法⼈ 多⽂化共⽣リソスセンタ東海における取組み 多⽂化共⽣リソ スセンタ 東海における取組み -中間⽀援の⽴場から⾒た⽇本語教育- 特定⾮営利活動法⼈ 多⽂化共⽣リソ スセンタ 東海 多⽂化共⽣リソスセンタ東海 代表理事 ⼟井 佳彦

特定⾮営利活動法⼈ 多⽂化共⽣リソ多⽂化共⽣リソ スセンタ …blog.canpan.info/mrc-t/img/bunkacho_main_20130710.pdf宗教 278 237 41 14.7 報道 3 1 2 66.7

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文化庁文化審議会国語分科会日本語教育省委員会日時:2013年7月10日(水)10:00~12:00於:金融庁

特定⾮営利活動法⼈多⽂化共⽣リソースセンター東海における取組み多⽂化共⽣リソ スセンタ 東海における取組み-中間⽀援の⽴場から⾒た⽇本語教育-

特定⾮営利活動法⼈多⽂化共⽣リソ スセンタ 東海多⽂化共⽣リソースセンター東海代表理事 ⼟井 佳彦

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1.自己紹介

【日本語教育】【 本語教育】

・’02 大学で日本語教員養成課程修了

・’02-’05 大学、専門学校で日本語教育に従事。同時に地域の日本語教室にボランティアとして参加

・’06 日本語教師検定合格、日本語教育能力検定合格

・’06-’08 (財)海外技術者研修協会中部研修センター 日本語講師

・’08-’11 名古屋大学「とよた日本語学習支援システム」(豊田市委託)システム・コーディネーター

・’11-’12 (社)日本語教育学会 地域日本語教育人材育成プロジェクト(JIP)プロジェクト・メンバー

・’13- (公社)日本語教育学会 社会貢献検討委員会 検討委員

【その他】

・’06- (特活)保見ヶ丘国際交流センター 理事06- (特活)保見ヶ丘国際交流センタ 理事

・’08- 多文化共生リソースセンター東海 代表

・’09- (財)自治体国際化協会「多文化共生マネージャー」認定(特活)多文化共生リソースセンター東海 代表理事(特活)多文化共生マネージャー全国協議会 理事(特活)多文化共生マネ ジャ 全国協議会 理事

・’10- (財)自治体国際化協会 多文化共生アドバイザー

・’11 東北地方太平洋沖地震多言語支援センター センター長

・’12- (特活) 日本ボリビア人協会 理事

2

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2.団体紹介

・’08.10 東海地域における「多文化共生」に特化した中間支援組織として設立東海地域 おける 多文化共 」 特化した中間支援組織 し 設

・’09.10 特定非営利活動法人(愛知県認証)

・所在地 〒460-0004 愛知県名古屋市中区新栄町2-3 YWCAビル6階

・連絡先 Tel. 052-228-8235 Fax. 052-228-8236 E-mail. [email protected]・URL http://blog canpan info/mrc t/・URL http://blog.canpan.info/mrc-t/・facebook http://www.facebook.com/tabunka.tokai・営業日 月~金曜日 10:00~17:00・ビジョン 日本人も外国人も、この地域に暮らすみんなが楽しく安心して暮らせる社会(=多文化共生社会)を実現する

・ミッション 多文化共生社会の実現に必要な①仕組みづくり、②意識づくり、③環境づくりに取り組む

・主な事業内容 ①調査研究、②各種研修・講座の企画運営、③NPO/NGOの組織運営支援、④情報発信、等

・構成員 代表理事1名、理事6名、監事1名、常勤職員2名(代表理事、事務局長)、非常勤職員1名

・日本語教育関連事業’08 0件’09 1件…自治体職員研修 1件’10 6件…自治体職員研修 1件

日本語ボランティア研修 4件日本語教室新規立ち上げ 1件

’11 6件…日本語ボランティア研修 6件’12 23件…自治体職員研修 3件

日本語ボランティア研修 13件日本語教室新規立ち上げ 3件その他 4件

件 自治体職員 修 件’13 22件…自治体職員研修 5件日本語ボランティア研修 10件その他 7件(※7.1現在、予定含む) 3

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3.愛知県の外国人状況

1)国籍別在留外国人の推移(2006-2012)

順位 国名・地域名2006年末

(※1)2012年末

(※2)全体に占める割合(%)

増減(人)

増加率(%)

1 ブラジル 75,316 48,475 24.7 △ 26,841 △ 35.6)国籍別在留外国人 推移( )

2012年末現在、165ヶ国195,970人(総人口比 2.6%)

・2008年をピークに減少が続いている

・特に、「ブラジル」「韓国・朝鮮」が減少

・一方 「中国」「フィリピン」が増加

2 中国 35,510 46,787 23.9 11,277 131.8

3 韓国・朝鮮 41,984 36,454 18.6 △ 5,530 △ 13.2

4 フィリピン 21,429 25,968 13.3 4,539 121.2

5 ペルー 7,933 6,983 3.6 △ 950 △ 12.0・ 方、「中国」「フィリピン」が増加

・特に、「ネパール」「ベトナム」が増加→“ネオ・ニューカマー”?

6 その他(※3) 106 6,304 3.2 6,198 5947.2

7 ベトナム 3,327 5,236 2.7 1,909 157.4

8 インドネシア 2,603 2,615 1.3 12 100.5

9 ネパール 1,121 2,356 1.2 1,235 210.2, , ,

10 米国 2,316 2,249 1.1 △ 67 △ 2.9

11 タイ 1,439 1,951 1.0 512 135.6

12 ボリビア 1,020 889 0.5 △ 131 △ 12.8

13 パキスタン 831 647 0 3 △ 184 △ 22 1

“ネオ・ニューカマー”に対して

・新たな言語・文化対応が必要

・日本語教室への参加はほとんど見られない

と 接点がなく 状況がわからな13 パキスタン 831 647 0.3 △ 184 △ 22.1

14 台湾 438 0.2 438 -

15 スリランカ 881 412 0.2 △ 469 △ 53.2

16 トルコ 653 391 0.2 △ 262 △ 40.1

17 インド 887 380 0 2 △ 507 △ 57 2

・コミュニティとの接点がなく、状況がわからない

17 インド 887 380 0.2 △ 507 △ 57.2

18 アルゼンチン 503 291 0.1 △ 212 △ 42.1

19 英国 789 260 0.1 △ 529 △ 67.0

20 マレーシア 428 226 0.1 △ 202 △ 47.2

その他 9 438 6 658 3 4 △ 2 780 △ 29 5

4

その他 9,438 6,658 3.4 △ 2,780 △ 29.5

合計 208,514 195,970 △ 6.0

※1.法務省「登録外国人統計」より。-①※2.法務省「在留外国人統計」より。-①※3.2006年の「その他」は「無国籍」。2012年には「無国籍」のカテゴリーなし。

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3.愛知県の外国人状況

2)在留資格別在留外国人の推移(2006-2012)長期滞在 可能性

)在留資格別在留外国人 推移( )

・「投資・経営」「家族滞在」「永住者の配偶者等」が増加

・「身分・地位による資格」が75.5%

・名古屋入管内における難民申請者数の激増2006年 4件 → 2011年 225件 (56.3倍)

・長期滞在の可能性UP・家族形成の可能性UP・労働力ではなく、人間としての受入れ

・仮放免許可者、一時庇護者の受入れ年 件 年 件 ( 倍)※出入国管理統計「地方入国管理局別 難民認定の受理及び処理人員」より。-②

2006年末(※1)

2012年末(※2)

増減(人)

増減率(%)

教授 629 551 △ 78 △ 12.4

2006年末(※1)

2012年末(※2)

増減(人)

増減率(%)

文化活動 122 101 △ 21 △ 17.2

芸術 27 25 △ 2 △ 7.4

宗教 278 237 △ 41 △ 14.7

報道 3 1 △ 2 △ 66.7

投資・経営 211 470 259 122.7

法律・会計業務 1 0 △ 1 △ 100 0

短期滞在 5,011 -

留学 6,753 8,582 678 8.6

就学 1,151

研修 7,158 193 △ 6,965 △ 97.3

家族滞在 5 850 8 808 2 958 50 6法律・会計業務 1 0 △ 1 △ 100.0

医療 8 21 13 162.5

研究 79 51 △ 28 △ 35.4

教育 292 307 15 5.1

技術 1,951 2,632 681 34.9

家族滞在 5,850 8,808 2,958 50.6

特定活動 8,525 1,184 △ 7,341 △ 86.1

永住者 48,842 73,807 24,965 51.1

特別永住者 36,686 31,419 △ 5,267 △ 14.4

日本人の配偶者等 25,535 14,458 △ 11,077 △ 43.4

人文知識・国際業務 3,117 3,886 769 24.7

企業内転勤 1,093 1,314 221 20.2

興行 1,902 53 △ 1,849 △ 97.2

技能 1,995 3,134 1,139 57.1

技能実習1号イ 258

永住者の配偶者等 1,379 2,941 1,562 113.3

定住者 46,373 25,295 △ 21,078 △ 45.5

未取得者 2,023 -

一時庇護 1 -

その他 1 519

5

技能実習1号イ - 258

技能実習1号ロ - 6,476

技能実習2号イ - 331

技能実習2号ロ - 9,435

その他 1,519 -

総数 208,514 195,970 △ 12,544 △ 6.0

※1.法務省「登録外国人統計」より。-①※2.法務省「在留外国人統計」より。-①

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3.愛知県の外国人状況

3)年齢・性別在留外国人の推移(2006-2012))年齢 性別在留外国人 推移( )

・10代前半と40代以上が増加

・特に40代女性は約3,200人増

・40代未満は約19,000人減、40代以上は約6,000人増

・高齢化率(65歳以上)は1 37%UP(4 37%→5 74%)

・夜の仕事から昼の仕事へ

・ニート・フリーターへのジョブトレーニング

・親元を離れられない若者たち

無年金者 無保険者 無業者の自殺願望の高まり・高齢化率(65歳以上)は1.37%UP(4.37%→5.74%) ・無年金者・無保険者・無業者の自殺願望の高まり

2006年末(法務省「登録外国人統計」より。-①) 千人

20 18 16 14 12 10 8 6 4 2 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20

80歳以上

20 18 16 14 12 10 8 6 4 2 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20

80歳以上

2012年末(法務省「在留外国人統計」より。-①) 千人

55 ~ 59歳60 ~ 64歳65 ~ 69歳70 ~ 74歳75 ~ 79歳

歳以

55 ~ 59歳60 ~ 64歳65 ~ 69歳70 ~ 74歳75 ~ 79歳

歳以

30 ~ 34歳35 ~ 39歳40 ~ 44歳45 ~ 49歳50 ~ 54歳

30 ~ 34歳35 ~ 39歳40 ~ 44歳45 ~ 49歳50 ~ 54歳

5 ~ 9歳10 ~ 14歳15 ~ 19歳20 ~ 24歳25 ~ 29歳

5 ~ 9歳10 ~ 14歳15 ~ 19歳20 ~ 24歳25 ~ 29歳

6

201816141210864202468101214161820

0 ~ 4歳歳

男性 女性

201816141210864202468101214161820

0 ~ 4歳歳

男性 女性

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3.愛知県の外国人状況

4)市町村別在留外国人状況(2012) 外国人比率市町村数

外国人数市町村数

(表1) (表2)

)市町村別在留外国人状況( )

・1政令市、37市、14町、2村 計54自治体

・外国人比率 最大5.92%~最小0.41%

・外国人人口 最大64,355人~最小5人

・外国人集住都市会議会員都市 3市

外国 率(%)

市町村数

5.1- 1

4.6-5.0 3

4.1-4.5 0

外国人数(人)

市町村数

20,001- 1

18,001-20,000 0

16,001-18,000 0・外国人集住都市会議会員都市 3市

(2001-2013 退会都市 3市)

・多文化共生推進プラン策定済 8市町

3.6-4.0 2

3.1-3.5 4

2.6-3.0 7

2.1-2.5 8

14,001-16,000 1

12,001-14,000 1

10,001-12,000 0

8,001-10,000 1

1.6-2.0 10

1.1-1.5 12

0.6-1.0 6

0-0.5 1

6,001-8,000 1

4,001-6,000 5

2,001-4,000 9

1,001-2,000 14

・地域間の“温度差”への対応

・散在地域における事業モデルの模索

・広域連携による施策の展開

0-1,000 20

※平成24年2月31日現在外国人住民数 愛知県地域振興部国際課多文化共生推進室調べ。-③

(表3)

タイプ 市町村数

単独計画 4

国際化計画 4

総合計画 16

(表3)

7

総合計画 16

なし 30

※平成22年3月総務省自治行政局国際室調査より(平成22年4月1日現在)

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4.愛知県の日本語教育事情

1)地域日本語教室)地域日本語教室・34市7町に129教室・県域における外国人カバー率97.8%

8※(公財)愛知県国際交流協会「外国人のための日本語教室一覧」(H23年度調査より。-④)

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4.愛知県の日本語教育事情

2)今後の取組み予定)今後 取組み予定

①平成25年度 愛知県「あいち地域日本語教育指針」(仮)策定

・目的 県内の日本語教育の一層の向上を図るため、(公社)日本語教育学会などの専門機関や国際交流協会、日本語教室、外国人県民などの関係者と連携して、外国人のニーズや実態を把握した上で、地域の日本語教育の方向性を検討し、指針を策定する。定

・概要 a.検討会議の開催

b.実態把握調査の実施県内市町村、国際交流協会、日本語教室、日本語教育機関、日本語教師養成機関、企業、その他 200件以上外国人県民 200件以上

c.指針の策定

d.指針の普及に向けた説明会の開催

②平成25 26年度 特定非営利活動法人多文化共生リソ スセンタ 東海「地域日本語教育基盤整備支援事業」②平成25,26年度 特定非営利活動法人多文化共生リソースセンター東海「地域日本語教育基盤整備支援事業」

・目的 地域日本語教室の持続発展性を高める

・概要 a.地域日本語教育実態調査(平成25年度)県内在住外国人のうち、現在日本語教室に通っていない100人へのアンケート・インタビュー県内100教室の代表者および経験の浅いボランティアへのアンケート・インタビュー県内100教室の代表者および経験の浅いボランティアへのアンケ ト インタビュ県内外の特徴的な日本語教育を行なっている団体へのインタビュー

b.実態調査にもとづいた組織力アップ研修(平成26年度)(予定)広報、会計、ボランティア・マネジメント、学習管理、日本語レベルチェック等

c.地域日本語教育ポータルサイト開設(平成26年度)実態 査結 報告 的 象者 本 教室 事例紹介 教 参考論 役 等実態調査結果報告、目的別・対象者別日本語教室の事例紹介、教材・参考論文、お役立ちリンク等

9

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5.日本語教育の推進に当たっての主な論点について

以下 「日本語教育の推進」という観点から述べる

論点1 日本語教育に関する政策のビジ ンに いて

以下、「日本語教育の推進」という観点から述べる。

ただし、多文化共生社会の形成においては、情報の多言語化や多様な文化的・社会的背景の尊重や配慮が不可欠であり、ここで述べることはそれらを否定・軽視するものではない。また、ここに挙げた事例等を含め、外国人が日本社会で暮らす上で直面する課題等については、単に日本語力・社会知識の習得だけでは必ずしも解決に至らないことを前提とする

論点1 日本語教育に関する政策のビジョンについて

・「目的も内容も方法も経緯等も異なる日本語教育を横断的に対象とすることとなる。それは可能なのかどうか」(p.8)

→ はじめからすべてのニーズに応えることは難しい。オランダのように必須(共通)項目と選択項目を挙げ、その後徐々に展開していく徐々に展開していく。

・「他の外国人施策の分野と切り離して日本語教育について単独で議論するだけでは十分とは言えず、どのように考えればよいか」 (p.8)

→ 日本語はツールの一つ。どのような日本語力があれば、他の外国人施策に見られる課題の解決や問題の改善につながるかをCan-do で示す(すでに「標準的カリキュラム案」でされていること)。つながるかをCan do で示す(すでに「標準的カリキュラム案」でされていること)。

当然、日本語力だけでは解決・改善できないこともある。

・「日本語教育を推進していく上で幅広く国民の理解を得るためにどのような説得力ある論拠を示すべきなのか」 (p.8)

→ 不要と考える国民は少ないのではないか?(参考資料1,2参照)→ 日本語教育を推進しなかった場合にかかるコスト(通訳・翻訳費等)や社会的影響(職場・隣人との意思疎通、

世論形成はできている。現場は 国が方針を示すのを待っている

→ 日本語教育を推進しなかった場合にかかるコスト(通訳 翻訳費等)や社会的影響(職場 隣人との意思疎通、社会参加)とのバランスからも検討。

10

現場は、国が方針を示すのを待っている。

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5.日本語教育の推進に当たっての主な論点について

論点1 日本語教育に関する政策のビジョンについて論点1 日本語教育に関する政策のビジョンについて

<問22>日本に住んでいる外国人が日本語能力を身に付けるために,どのような取組が必要か

平成22年度「国語に関する世論調査」より。-⑤

11

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5.日本語教育の推進に当たっての主な論点について

論点1 日本語教育に関する政策のビジョンについて論点1 日本語教育に関する政策のビジョンについて

<問12>今後、 日本人住民と外国人住民がともに暮らしやすい社会にしていくために、 県や市町村など行政は、どのような取組に力を入れるべきだと思いますか。 (回答はいくつでも)

12平成23年度愛知県「県政モニターアンケート」より。-⑦

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5.日本語教育の推進に当たっての主な論点について

論点2 日本語教育の効果的・効率的な推進体制について論点2 日本語教育の効果的 効率的な推進体制について

・「各種コンテンツの所在情報を集めて、横断的に検索・利用できるシステムを整備し・・・」(p.9)

→ 利用者からのアクセスに依拠する“受身的”なシステムでは不十分。積極的な“発信”が必要。研修等で紹介しても認知度・利用者は、ほぼゼロ。教員養成やボラ テ ア研修等で IT (情報サイト l i 便利 )等の紹介はほとんど行われていないのでは教員養成やボランティア研修等で、ITツール(情報サイト、e-learning、便利ツール)等の紹介はほとんど行われていないのでは?

※当団体が研修時に紹介する主なITツール(財)自治体国際化協会「多文化共生ポータルサイト」 http://www.clair.or.jp/tabunka/portal/index.html内閣府「定住外国人施策ポータルサイト」 http://www8.cao.go.jp/teiju-portal/jpn/index.html名古屋大学「とよた日本語学習支援システム」ウェブサイト http://www.toyota-j.com/語 援 」 p // y j /(公社)国際日本語普及協会「ちまたの日本語」 http://www.ajalt.org/rwj/(独法)国際交流基金「NIHONGO eな」 http://nihongo-e-na.com/jpn/日本語読解学習支援システム「リーディングチュウ太」 http://language.tiu.ac.jp/ひらひらのひらがなめがね http://www.hiragana.jp/愛知県「やさしい日本語」アプリ(App Store, Google Play)g

・「日本語教育を全体として効果的・効率的に推進していく必要がある」(p.9)

→ 効果を測るには、明確な目的とそれに応じた評価指標が必要。→ 効率を測るには、基準となる時間やコストの明示が必要。

Multimediaを通じた積極的なPRと現場との定期的な Interactionが有効

13

現場との定期的な Interactionが有効。

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5.日本語教育の推進に当たっての主な論点について

論点3 日本語教育の標準や日本語能力の判定基準について論点3 日本語教育の標準や日本語能力の判定基準について

・「対象者、目的、分野などが異なる日本語教育の標準や日本語能力の判定基準を総合化し、統一的な標準や基準を作るとすれば、それは可能なのかどうか」(p.11)

→ 標準・基準は、だれかが作るしかないが、だれが作ったかが重要。強制力がはたらかず認証価値も低いため ある現場で作 たものは その現場を越えて共有されない強制力がはたらかず認証価値も低いため、ある現場で作ったものは、その現場を越えて共有されない。細かな事情は現場で考えるが、大枠はトップダウンで示してもらったほうが現場は動きやすい。“参考”程度では“参考”にしない。

・「結果にばらつきが生じないようなシステム・・・」(p.11)

→ どのような判定も、ある側面を一時的に測ったに過ぎないため、ばらつきの発生はやむを得ない。定 、 、ばらつきを最小限におさえようとすれば、コミュニケーション能力ではなく“言語知識”を測るように、測定部分を限定せざるを得ない。(事例)日本語がペラペラでも仮名が読めないため、N5にも合格(受験?)できない日系ブラジル人

・「欧州評議会の『言語のためのヨーロッパ共通参照枠(CEFR)』の実践の成果や課題を踏まえて検討するのが適当」(p.11)

→ “複言語・複文化主義”ではないので あくまで物差しの一つとして参考に→ 複言語 複文化主義 ではないので、あくまで物差しの つとして参考に。ちなみに、日本語ボランティアの多くはCEFRを知らないし、養成講座等で教える人もいない。

初めから強固なものには◯か✕かという反応。方向性+ver 1 0を示し 展開を図りたい

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方向性+ver.1.0を示し、展開を図りたい。

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5.日本語教育の推進に当たっての主な論点について

論点4 カリキュラム案等の活用について論点4 カリキュラム案等の活用について

・「カリキュラム案等の効果を検証し、改善につなげ、再び提供するというPDCAサイクルを構築していく方策について検討する必要がある」(p.11)

部の現場が「カリキ ラム案 を“仕方なく”使う場合には 自主的な継続 発展は期待しにくい→ 一部の現場が「カリキュラム案」を“仕方なく”使う場合には、自主的な継続・発展は期待しにくい。→ 過去の文化庁委託事業において試行・試作された「カリキュラム案」や「教材」のオーソライズが必要だが、現場では不可能。→ 愛知県内において、「カリキュラム案」を活用している教室は、ほぼない。

(理由) 教室立ち上げ時、ボランティア養成受講時には「なかった」または「教わらなかった」(未だに存在すら知らない)活動を始めてから知っても、教材・活動形式等の大きな変更は難しい具体的にどう活用すればよいかわからない(わかるための研修 勉強会を行う時間がない)具体的にどう活用すればよいかわからない(わかるための研修・勉強会を行う時間がない)「カリキュラム案」の活用方法等について具体的に教えられる人、積極的に普及に努める人がいない

単年度事業 → ◯複数年度のモデル事業

日本語コ ディネ タ によるフォロ が必要

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日本語コーディネーターによるフォローが必要

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5.日本語教育の推進に当たっての主な論点について

論点5 日本語教育の資格について論点5 日本語教育の資格について

・「既に広く定着している『日本語教育能力検定試験』などがある中で、新たな資格を作るのがよいのか」(p.13)・「汎用性のある統一的な資格を作ることは可能なのかどうか」(p.13)

→ 「日本語教育能力検定試験」は、基礎的な資格。外国人児童生徒への日本語教育や就労支援、ビジネス日本語等、専門分野の細分化とそれに応じた資格 認定が必要分野の細分化とそれに応じた資格・認定が必要。(例)医師免許(国家資格)→外科医、内科医、小児科医(学会認定)、AT限定普通免許(基礎)→二種、大型、けん引(特殊)

・「地域の日本語教育においてボランティアが大きな役割を担っている現状に照らして問題はないのかどうか」(p.13)

→ ボランティアが担っている(結果的に担わされている?)役割は、“質の保証”ではなく、“機会の提供”果 役 、 質 、 機→ 「ボランティア」の捉え方(主体性、待遇、責任等)は人それぞれ且つ非常に曖昧で、数的・質的な地域差も大きい。→ 最優先すべきは、ボランティアへの配慮ではなく、学習者および地域社会のニーズ

・「国が新たに資格を作るとすれば・・・(中略)・・・民業圧迫とならないのかどうか」(p.13)

→ 専門分野については既存の資格がないため 「民業圧迫」にはならない 民間で専門資格を作れるようなら検討もアリ→ 専門分野については既存の資格がないため、「民業圧迫」にはならない。民間で専門資格を作れるようなら検討もアリ。作るのは民間でも、認証は国のほうが価値が高い。

日本語教師なら、どんな日本語教育でも?→ “◯◯に長けた日本語教師”の育成が急務

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→ ◯◯に長けた日本語教師 の育成が急務

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5.日本語教育の推進に当たっての主な論点について

論点6 日本語教員の養成・研修について論点6 日本語教員の養成 研修について

・「大学や日本語学校におけるこの分野の日本語教員の養成・研修については・・・(中略)・・・現行の枠組みを変更すべき特段の事情はない」(p.15)

→ 日本語ボランティアの養成講座・研修会を大学教員が行う場合が多いことから、学校現場と地域のちがいに十分配慮し、実情に応じた内容 方法をとる とが必要(「現行の枠組み は 学校現場を想定)実情に応じた内容・方法をとることが必要(「現行の枠組み」は、学校現場を想定)。

→ 地域日本語教育人財の育成においては、(公社)日本語教育学会「多文化共生社会における日本語教育研究会」(SIG)カタログ作成チーム作成中の『地域日本語ボランティア講座ガイドブック』等の完成が待たれる。

→ いずれ、「生活者としての外国人」を対象とした日本語教育を“職業”として行うことを想定し、教員養成課程においても地域日本語教育に関する知識・経験の充実を期待。

ざ(事例)日系人就労準備研修(厚生労働省)で、『みんなの日本語』を使わざるを得なかった理由

地域日本語ボランティア研修において、企画者の専門性や情報・人脈の不足、予算の制限、ボランティアのWantsと実際のNeedsの乖離等を理由に、趣旨と内容が合致していないなど混乱事例が存在しており、実際 乖離等 、趣 内 致 な な 混 事例 存在 り、専門家・有識者による適切なガイドが求められている。

多文化共生社会における日本語教育研究会カタログ作成チーム(2012)「地域日本語ボランティア講座開催のためのガイドブック―作成経緯と読者モニターからの反応―」2012年日本語教育国際研究大会ポスター発表(於:名古屋大学)より。

「現行の枠組み」を越えた際に生じる社会的影響にも目を向ける必要がある

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社会的影響にも目を向ける必要がある。

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5.日本語教育の推進に当たっての主な論点について

論点6 日本語教員の養成・研修について論点6 日本語教員の養成 研修について

効率のよい言語学習(言語教育の専門性)

本来有償であるべき!

教え 伝

養成講座が目

言語形式や言語使用場面とその練習方法

自己表現による内容重視の日本語教育の方法を扱うえ

る・学ぶ活動

伝え合う活動養成講座が目指す 日本語教室の活動方法

目指す

その練習方法を扱う講座

方法を扱う講座

協働や共生を目的としながら、従来の日本語教

動(一方向)

(双方向)

日本語教室の

交流活動のできるボランティアを育成する講座従来の日本語教

育の方法を扱う講座

の活動目的

を育成する講座

交流活動を推進するコー

ディネータを育成する講座

中河和子他(2008)「日本語ボランティア養成講座の今・その多様性と類型化の試み-全国予備調査から-」『日本語教育』139号 p123 一部改編

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協働・共生・地域(持続可能な市民活動)

有償のコーディネータ

誰でも無理なく

参加できるべき!

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5.日本語教育の推進に当たっての主な論点について

論点7 日本語教育のボランティアについて論点7 日本語教育のボランティアについて

・共働き世帯や母子・父子家庭の増加、就職活動とアルバイト(親からの仕送り減)で忙しい学生・定年/早期退職者の“居場所”化している日本語教室(ボランティアの声 「日本語教育はボケ防止!」「孤立化対策!」)→ 次世代の担い手の数と質の確保が急務

地域日本語教育の専門性とは (日本語指導力 デ ネ ト力 組織運営力 等)・地域日本語教育の専門性とは?(日本語指導力、コーディネート力、組織運営力、等)→ 人財育成を推し進めるためにも、人財流出を防ぐためにも、専門性には相応の対価を。

・海外での日本語教育をプロ中心に、国内の日本語教育をアマチュア中心にしている国はニッポンだけ?→ 海外に多数のプロを送り出し、コーディネーターを配置し、事務所を構えられるのに、国内でできない理由は?

✕ボランティアかプロか → ◯アマチュアかプロか自国の言語と文化を責任をもって伝えられる国に某市での日本語ボランティア養成講座

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自国の言語と文化を責任をもって伝えられる国に。某市での日本語ボランティア養成講座※受講者の平均年齢60歳以上

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5.日本語教育の推進に当たっての主な論点について

論点8 日本語教育に関する調査研究の体制について論点8 日本語教育に関する調査研究の体制について

・「政策的に必要と考えられる調査研究を中長期的に実施していく必要がある」(p.17)

→ 外国人が/外国人と◯◯しようと思った際に、必要となる日本語および知識(例)短期的な支援 ・・・履歴書の書き方、面接の受け方、運転免許や製造業における技術資格取得、等

中長期的な支援 サ ビ 業(飲食業での日本語 美容師免許および介護 看護等国家資格取得 起業 投資 経営 等中長期的な支援 ・・・サービス業(飲食業での日本語、美容師免許および介護・看護等国家資格取得、起業、投資・経営、等

その他

・『子育て中のおかあさん,おとうさんのための生活日本語会話』(公財)大阪YWCA(公財)大阪YWCA

・『学校に入るための日本語』(公財)神戸YWCA

・『ムスリム対象の授業教案20』(株)愛和学園

(特活)日本ボリビア人協会 SIL札幌日本語学校 (特活)多文化共生教育

現場のニーズに応える“◯◯に必要な日本語”等のリストアップ

※いずれも平成24年度文化庁 地域日本語教育実践プログラム(A)学習教材-⑦(特活)日本ボリビア人協会 SIL札幌日本語学校 (特活)多文化共生教育

ネットワークかながわ

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◯◯に必要な日本語 等のリストアップ

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5.日本語教育の推進に当たっての主な論点について

論点9 総合的な視点からの検討について論点9 総合的な視点からの検討について

・教育 [p.22]→ (仮説1)日本語力が低い外国人ほど、教育機関関係者とのコミュニケーションが困難で、子育てに不安や問題を抱えている

・雇用・労働 [p 23]・雇用・労働 [p.23]→ (仮説2)日本語力が低い外国人ほど、就職・再就職・転職が困難で、失業状態および要保護状態に陥りやすい

・医療・保健・福祉 [p.234]→ (仮説3)日本語力が低い外国人ほど、医療・保健・福祉サービスへのアクセスが困難になっている語 、

・防災・災害時対応 [p.25]→ (仮説4)日本語力が低い外国人ほど、防災訓練等への参加率や防災知識が低く、避難行動や避難後の生活に苦慮する

日本語力・社会知識等を身に付けることが他分野の問題改善にもつながっていること

21

他分野の問題改善にもつながっていること。

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5.日本語教育の推進に当たっての主な論点について

論点9 総合的な視点からの検討について論点9 総合的な視点からの検討について

・教育

・日本語教育からは 園とのやりとりに必要な書き言葉のシラバス(例:連絡帳で必要となる言語形式 談話形式日本語教育からは,園とのやりとりに必要な書き言葉のシラバス(例:連絡帳で必要となる言語形式,談話形式,ストラテジー等)とその教育を提供することができる。

・園に対しても,外国人の保護者に問題なく通じるような「平易な日本語」の使用を提案するといった支援ができる。

子どもが小さいときほど 園や学校と保護者の間でのやりとりが重要で 連絡帳で伝えるべき事柄も多い・子どもが小さいときほど,園や学校と保護者の間でのやりとりが重要で,連絡帳で伝えるべき事柄も多い。このような子育て環境の特性から見ても,外国人の母親への支援は急務である。

・子育て場面におけるコミュニケーションの問題を根本的に解決するためには,日常会話と文字(ひらがな・カタカナ)を習得した上で子育てを開始できることが望ましい。習得 育 を開始 。

・仕事や子育てが始まってしまうと日本語学習に対する動機付けが低くなり(富谷・内海2008),文字の習得にもより困難が伴うようになる(富谷・山田2009)。来日直後に,読み書きを含む日本語学習を開始することが,きわめて重要である。

富谷玲子・内海由美子・仁科浩美(2012)「子育て場面で外国人保護者が直面する書き言葉の課題-保育園・幼稚園児の保護者を対象とした調査から-」 神奈川大学言語研究 より。-⑧

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5.日本語教育の推進に当たっての主な論点について

論点9 総合的な視点からの検討について論点9 総合的な視点からの検討について

・雇用・労働

(全国)国籍別被保護世帯数(愛知県)国籍別完全失業率

2006年(※1)

2011年(※2)

増加率

総数(国籍) 29,336 43,479 148.2%

労働力人口

完全失業者

完全失業率

総数(国籍) 109,445 8,938 8.2%

韓国 朝鮮 26 760 2 653 9 9%

(全国)国籍別被保護世帯数(愛知県)国籍別完全失業率

韓国・朝鮮 22,356 28,796 128.8%

フィリピン 2,399 4,902 204.3%

中国 2,847 4,443 156.1%

ブラジル 241 1,532 635.7%

ベトナム 445 651 146 3%

韓国・朝鮮 26,760 2,653 9.9%

中国 28,306 1,831 6.5%

フィリピン 11,421 1,078 9.4%

タイ 994 40 4.0%

インドネシア 1,292 57 4.4%

※1.平成23年被保護者全国一斉調査(厚生労働省)より。-⑩※2 平成18年被保護者全国 斉調査(厚生労働省)より ⑩

ベトナム 445 651 146.3%

アメリカ 84 115 136.9%

カンボジア 45 65 144.4%

その他 919 2,975 323.7%

ベトナム 2,851 61 2.1%

イギリス 518 13 2.5%

アメリカ 1,689 81 4.8%

ブラジル 23,855 2,124 8.9%

ペ ※2.平成18年被保護者全国一斉調査(厚生労働省)より。-⑩ペルー 3,052 373 12.2%

その他(※1) 8,707 627 7.2%

平成22年国勢調査産業等基本集計(総務省統計局)より。-⑨

※1.無国籍及び国名「不詳」を含む。

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5.日本語教育の推進に当たっての主な論点について

論点9 総合的な視点からの検討について論点9 総合的な視点からの検討について

図3 国籍別乳児死亡率の比較(1993-1997 年及び 1998-2002 年の比較)

・医療・保健・福祉

李節子(2003)

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李節子(2003)「在日外国人の母子保健統計指標に関する研究 ―国籍(出身地)別 乳児死亡、死産、妊産婦死亡45年間(1958年~2002年)の分析」 より。-⑪

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5.日本語教育の推進に当たっての主な論点について

論点9 総合的な視点からの検討について2011年7月5日 河北新報

論点9 総合的な視点からの検討について

2011年6月28日 河北新報

・防災・災害時対応

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5.日本語教育の推進に当たっての主な論点について

論点10 外国人の児童生徒等に対する日本語教育について論点10 外国人の児童生徒等に対する日本語教育について

・公立学校(義務教育年齢)以外の教育機関及び、学外における日本語教育等の必要性についても要検討

→ 外国人学校、特別支援学校、幼稚園・保育園、院内学級、少年院、児童養護施設、中途退学・学卒者、非正規滞在者

2013年7月2日 TBS NEWS23

いかなる理由があっても“社会的ネグレクト”を許さない社会

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社会的ネグレクト を許さない社会。2013年3月18日 中日新聞

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5.日本語教育の推進に当たっての主な論点について

論点11 国外における日本語教育について論点11 国外における日本語教育について

・「国外における日本語教育の一層の充実が必要である」(p.20)

→ 来日前教育としての日本語教育および日本の法制度・習慣に関する説明が必要→ 海外在留邦人の長期滞在化・永住化による子弟の母語・母文化継承も重要

諸外国との関係に影響大→ 諸外国との関係に影響大

2(1)来日前の日系定住外国人に求める日本語能力

平成25年2月28日内閣府「『日系定住外国人に関する特別世論調査』の概要」より -⑫内閣府「『日系定住外国人に関する特別世論調査』の概要」より。 ⑫

来日/出国・帰国の繰り返しを念頭に置いた受入れ・送り出し時の教育体制整備が必要

27

受入れ 送り出し時の教育体制整備が必要

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5.日本語教育の推進に当たっての主な論点について

論点11 国外における日本語教育について論点11 国外における日本語教育について

・海外の日本人長期滞在・永住者 約120万人→ ’01~’11 で70.8%増

・韓国における日本語学習者減・東南アジアにおける日本語学習者増東南アジアにおける日本語学習者増

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(独法)国際交流基金「海外での日本語学習者数 速報値発表 」(2013年7月8日PRESS RELEASE)より。-⑬

外務省領事局政策課「海外在留邦人数調査統計 平成24年速報版 」(平成23年10月1日現在)より。-⑭

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【出典】

①(p.4,5,6) ・法務省「在留外国人統計(旧登録外国人統計)統計表」http://www.moj.go.jp/housei/toukei/toukei_ichiran_touroku.html

②(p.5) ・出入国管理統計 2011年「地方入国管理局別 難民認定の受理及び処理人員」h // j /SG1/ /GL08020103 d ? GL08020103 &li ID 000001089429http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/GL08020103.do?_toGL08020103_&listID=000001089429

③(p.7) ・愛知県内の市町村における外国人住民数の状況(平成24年末現在)http://www.pref.aichi.jp/0000059106.html

④(p.8) ・ (公財)愛知県国際交流協会「外国人のための日本語教室一覧」(H23年度調査)http://www2.aia.pref.aichi.jp/resource/j/class/classtop.htmlhttp://www2.aia.pref.aichi.jp/resource/j/class/classtop.html

⑤(p.11) ・平成22年度「国語に関する世論調査」http://www.bunka.go.jp/ima/press_release/pdf/h22_yoronchosa.pdf

⑥(p.12) ・平成23年度愛知県「県政モニター・アンケート(5)」テーマ:国際化http://www.pref.aichi.jp/cmsfiles/contents/0000044/45000/houkokusyo23-5.pdf

⑦(p.20) ・平成24年度文化庁「『生活者としての外国人』のための日本語教育事業」地域日本語教育実践プログラム(A)http://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/kyouiku/seikatsusya/h24/nihongo_program_a.html

⑧(p.22) ・富谷玲子・内海由美子・仁科浩美(2012)「子育て場面で外国人保護者が直面する書き言葉の課題-保育園・幼稚園児の保護者を対象とした調査から-」http://klibredb.lib.kanagawa-u.ac.jp/dspace/handle/10487/10253

⑨( 23) 総務省統計局「平成22年国勢調査産業等基本集計⑨(p.23) ・総務省統計局「平成22年国勢調査産業等基本集計」http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?bid=000001038689&cycode=0

⑩(p.23) ・厚生労働省「被保護者全国一斉調査」http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/GL02100104.do?gaid=GL02100102&tocd=00450312

⑪(p.24) ・李節子(2003)「在日外国人の母子保健統計指標に関する研究 ―国籍(出身地)別 乳児死亡、死産、妊産婦死亡45年間(1958年~2002年)の分析」⑪(p.24) 李節子(2003) 在日外国人の母子保健統計指標に関する研究 国籍(出身地)別 乳児死亡、死産、妊産婦死亡45年間(1958年 2002年)の分析」http://square.umin.ac.jp/boshiken/repo15/no2.pdf

⑫(p.25) ・内閣府「「日系定住外国人に関する特別世論調査」の概要(平成25年2月28日)http://www8.cao.go.jp/survey/tokubetu/h24/h24-nikkei.pdf

⑬(p.27) ・ (独法)国際交流基金「海外での日本語学習者数 速報値発表 」(2013年7月8日PRESS RELEASE)http://www jpf go jp/j/about/press/dl/0927 pdf

29

http://www.jpf.go.jp/j/about/press/dl/0927.pdf

⑭(p.28) ・外務省領事局政策課「海外在留邦人数調査統計平成24年速報版」(平成23年10月1日現在)http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/tokei/hojin/12/pdfs/WebBrowse.pdf