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リードするCHUBU ヤマザキマザックはシンガポール工場を 拡張、小型CNC旋盤の量産を本格化 ×(第2部) 2014年 平成26年 4月23日 水曜日

第2部) 工作機械リードするCHUBU 設備投資意欲 …...工作機械リードするCHUBU 設備投資意欲復活 プに踏み切り部品の大型化に対応オークマは門型MCのサイズアッ

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Page 1: 第2部) 工作機械リードするCHUBU 設備投資意欲 …...工作機械リードするCHUBU 設備投資意欲復活 プに踏み切り部品の大型化に対応オークマは門型MCのサイズアッ

工作機械リードするCHUBU

設備投資意欲復活オークマは門型MCのサイズアッ

プに踏み切り部品の大型化に対応

 工作機械業界は回復基調に乗っている。設

備投資意欲が復活している国内市況がけん引

し、東海・北陸地方の工作機械メーカーの受

注高は好調だ。消費増税の反動減の影響も限

定的なものとなりそうだ。こうした中、大手

メーカーは各社が相次いで新製品を投入し、

市場に攻勢をかけようとしている。

ジェイテクトは看板製品を約

年ぶりに

フルモデルチェンジしたCNC汎用円筒

研削盤「GE4i」シリーズを投入

自動車けん引受注好調

政府助成追い風新

製品相次ぎ投入攻勢

ヤマザキマザックはシンガポール工場を拡張、小型CNC旋盤の量産を本格化

消費増税の影響限定的

 中部経済産業局がまと

めた2月の管内工作機械

メーカー主要8社

オー

クマ、アマダマシンツー

ル、ジェイテクト、コマ

ツNTC、富士機械製

造、豊和工業、三菱電機

名古屋製作所、ヤマザキ

マザック

の受注総額

は、315億9700万

前年同月比0・5%

だった。海外受注の

落ち込みで7カ月ぶりに

前年を下回ったが、国内

受注は好調の目安である

100億円台を9カ月連

続で維持している。

 海外受注は210億3

000万円

同9・6%

となり、5カ月ぶり

にマイナス。国別では、

受注高がトップの米国と

2位の中国がともに大き

く落ち込んだのが要因

だ。米国は比較対象の

年2月に大型スポット受

注があったことの反動減

によるものだが、中国は

「明確な理由が見あたら

ない」

同局製造産業

。中国市況の不調が

一時的なものか否かは注

意が必要なようだ。

 一方で、国内受注は1

05億6700万円

・7%増

で7カ月連

続のプラス。一般機械向

けが6カ月連続、自動車

向けが7カ月連続で上昇

した。自動車業界の投資

意欲が特に高く、受注を

けん引した。自動車向け

については「この1年ぐ

らいトレンドとして右肩

上がりの基調にある」

という。

 生産財である工作機械

に対する消費増税の影響

は限定されそうだ。一般

商品に比べ納期が長い工

作機械は2月受注の時点

で、増税前の購入はほと

んど間に合わないため、

消費増税の駆け込み需要

は収束している。それに

もかかわらず、受注水準

が高止まりしている。今

後、中小のモノづくり事

業者向けの設備投資を支

援する政府の「ものづく

り補助金」の助成が実施

段階に移っていけば、さ

らなる上積みも期待され

る。

 こうした国内市場の盛

り上がりを背景に、大手

工作機械メーカーは新型

の機械を打ち出し、旺盛

な需要の取り込みに躍起

になっている。

 ジェイテクトは看板製

品を約

年ぶりにフルモ

デルチェンジしたコンピ

ューター数値制御

CN

汎用円筒研削盤「G

E4i」シリーズを3月

に発売した。同社のベス

トセラー機の「GE4」

に大幅な改良を加えた。

ベッドの形状やリブの配

置を工夫して熱容量のバ

ランスを均等化したほ

か、クーラント

潤滑

経路を最適化した

り、砥石台の放熱特性を

いし

高めたりして熱変位に対

する耐性を高めた。

 CNC装置は操作を容

易にし、従来機で約

かかっていたデータ入力

を約5分に短縮。工作物

剛性を自動判別して研削

条件を自動決定する。こ

れにより、経験の浅い作

業者でも熟練者並みの高

精度加工を実現するとい

う。一方で、オプション

で手動ハンドルを付けら

れるようにし、手動にこ

だわる熟練技能者でも扱

えるようにしている。

 好調な自動車産業の攻

略を狙い、機能を特化し

た機械の生産拡大を図る

のはヤマザキマザック。

3月に拡張を終えてオー

プンしたシンガポール工

場で小型CNC旋盤「ク

イックターンプリモスの

量産を本格化した。

 2輪車・自動車の部品

加工を想定して、低回転

域トルクを重視した主軸

を搭載。省スペース性も

高め、所要床面積を従来

よりも約

%削減した

り、機械本体の高さを1

435

に抑えたりし

て、工場内での良好な見

通しを確保している。

 シンガポール工場は4

回目の拡張で、生産能力

は月

台から130台に

向上した。製品供給能力

を高めたこの工場では、

東南アジアや日本をはじ

め、各地に製品を供給

し、今後も成長が見込め

る自動車業界の取り込み

を狙う。

 オークマは門型マシニ

ングセンター

MC

サイズアップに踏み切っ

た。大型部品加工を行う

生産現場で、工程短縮や

部品点数削減のために扱

う構成部品が大型化して

いる流れに対応した。

 新たに製品化した5面

加工門型MC「MCR―

C」は最大門幅4650

×長手1万2000

で、最大積載ワーク

加工対象物

高さは4

000

にまで対応す

る。同社が市販した機械

としては最大サイズだ。

最新の解析技術で構造を

最適化し、高い加工能力

と高精度を両立した。大

型部品の加工が必要な航

空機、エネルギー関連機

器、工作機械、建設機

械、造船、鉄道など幅広

い業界を対象に積極的に

売り込んでいく。

 そして、3次元データ

から金属粉末を積層形成

する「アディティブマニ

ュファクチャリング

」と既存の切削加工

を融合させた新たな形態

の工作機械の提案を始め

たのがDMG森精機。い

わば3DプリンターとM

Cのハイブリッドマシン

だ。これで航空機部品や

医療機器部品など複雑形

状ワークの製造、修理の

需要を掘り起こす。

 5軸MCにレーザーデ

ポジション溶接のAM機

能を組み合わせて開発し

た。

年内の市場投入を

目指す。独自の粉体ノズ

ルを使い、従来の金属粉

末積層法と比べ最大

の積層スピードを実現し

た。

 ミーリング加工とレー

ザー加工が完全自動で切

り替わり、金属粉末をレ

ーザーで固めて積層しつ

つ、切削加工を繰り返す

仕組みだ。

 提携先である独DMG

 MORI SEIKI

グループの独ザウワーの

持つレーザー技術が中核

となっており、独DMG

の独フロンテン工場

イエルン州

で量産が検

討されている。

 国内での設備投資意欲

が盛り上がる中、モノづ

くり企業の工作機械の新

製品への注目度は高まっ

ている。膨らむ期待にど

れだけ応えられるか。工

作機械メーカーの開発力

が試される。

( )    (第2部) 2014年 平成26年 4月23日 水曜日