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代表世話人 社会保険横浜中央病院・日本大学 海津嘉蔵 世話人 東京慈恵会医科大学 宇都宮 一 典 埼玉医科大学 片山茂裕 順天堂大学 富 野 康日己 旭川医科大学 羽田勝計 岡山大学 槇野博史 第 24 回当番世話人 埼玉医科大学 片山茂裕 野 口 雄 一(事務局) E! mail : [email protected] 後援 一般社団法人日本糖尿病学会、社団法人日本腎臓学会 【認定単位について】 一般社団法人日本糖尿病学会 糖尿病専門医(認定単位:3 単位) 第 24 回日本糖尿病性腎症研究会 プログラム・抄録集 日時:平成 24 年 12 月 1 日(土)・2 日(日) 会場:全社協・灘尾ホール (〒100! 8980 東京都千代田区霞が関 3! 3! 2 新霞が関ビル) 会費:3,000円(医師)・1,000円(コメディカル)

第24回日本糖尿病性腎症研究会 プログラム・抄録集Diagnosis and Treatment of Diabetic Nephropathy 座長:片山茂裕 演者:Andrzej S. Krolewski シンポジウム

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代表世話人 社会保険横浜中央病院・日本大学 海 津 嘉 蔵世話人 東京慈恵会医科大学 宇都宮 一 典

埼玉医科大学 片 山 茂 裕順天堂大学 富 野 康日己旭川医科大学 羽 田 勝 計岡山大学 槇 野 博 史

第 24回当番世話人埼玉医科大学 片 山 茂 裕

野 口 雄 一(事務局)E�mail : [email protected]

後援 一般社団法人日本糖尿病学会、社団法人日本腎臓学会

【認定単位について】一般社団法人日本糖尿病学会 糖尿病専門医(認定単位:3単位)

第24回日本糖尿病性腎症研究会プログラム・抄録集

日時:平成 24年 12月 1日(土)・2日(日)会場:全社協・灘尾ホール

(〒100�8980 東京都千代田区霞が関 3�3�2 新霞が関ビル)会費:3,000 円(医師)・1,000 円(コメディカル)

1

本研究会は 1989 年(平成元年)に発足し、糖尿病を専門とする医師と腎臓病を専門とする医師が一堂に会して、糖尿病性腎症に関する基礎的・臨床的研究を発表し、密な discussion をするユニークな会として歴史を重ねてきました。このような歴史の中、第 24 回日本糖尿病性腎症研究会を当番世話人として開催させていただけることを大変光栄に存じます。ご承知のように、糖尿病性腎症は 1998 年に透析導入の原因疾患の第一位となり、増加の一途でした。しかしながら、糖尿病性腎症を原因とする透析導入患者の割合は、2008 年度にはじめて減少し、2010 年度に再度減少しました。2011 年度にまた少し増えましたが、横ばい状態にようやくなったと考えられ、減少に転じる日も近いと期待されます。さて、このような状況の下、本年の診療報酬の改定で、「糖尿病透析予防指導管理料」の算定が認められたことは特筆に値します。いくつかの要件もあり、どのような指導をしたら実効性があるのかなど、まだまだ試行錯誤の途上かもしれません。そこで、本研究会の 2日目午前中に、糖尿病性腎症の病期別に焦点を絞った薬物療法や食事療法や運動療法の教育講演を企画しました。また、ランチョンセミナーでも「糖尿病透析予防指導に向けて」という題で本指導料の導入にご尽力いただいた関西電力病院 病院長 清野 裕先生にイントロダクションの中でその経緯をご紹介いただく予定です。引き続き、本研究会の代表世話人の社会保険横浜中央病院 腎臓・人工透析内科 海津嘉蔵先生に「糖尿病透析予防管理に向けて―8年半にわたる臨床の実際と効果、そして、問題点―」と題する基調講演をいただきます。さらに、引き続いてワークショップで実際に「糖尿病透析予防指導」に取り組んでおられる 4つの施設からご発表いただき、現状と問題点を明らかにしたいと考えております。ところで、日本腎臓学会がCKD診療ガイド 2012 を本年 6月に発表いたしました。そこで、1日目午後に「新しい慢性腎臓病(CKD)の重症度分類をいかに糖尿病性腎症の臨床に生かすか?」と題するシンポジウムを企画し、糖尿病専門医と腎臓専門医がどのように理解しどのように臨床に生かしていくかの議論を深めたいと考えております。また、Mark Cooper 教授による「New Targets in Diabetic Nephropathy」、AndrzejS. Krolewski 教授による「A Fast or Slow Decline in eGFR : Clinical Implication for Di-agnosis and Treatment of Diabetic Nephropathy」と題する 2題の特別講演をご用意いたしました。糖尿病性腎症に関する診断と治療に関する最新の話題をお届けできるものと確信しております。例年通り、一般演題として 33 題の応募をいただき、ご発表いただきます。活発なご討論をいただき、実り多い研究会となることを祈念しております。最後に、本研究会の開催に当たりましてご協力・ご尽力をいただきました関係各位に厚く御礼申し上げます。

平成 24 年 12 月吉日

第 24 回日本糖尿病性腎症研究会当番世話人 片山 茂裕埼玉医科大学病院 病院長

埼玉医科大学 内分泌・糖尿病内科 教授

ご挨拶

2

1.参加登録(1)受付場所・時間

場所:全社協・灘尾ホール LB階ホワイエ時間:12 月 1 日(土)9 : 00~17 : 00

12 月 2 日(日)8 : 00~13 : 00(2)参加費

総合受付にて参加費 3,000 円(医師)、1,000 円(コメディカル)をお支払の上、参加証(ネームカード)をお受け取りください。参加証は領収書兼用になっております。参加証には所属・氏名を必ずご記入の上、はっきりわかる部位に着用してください。参加証のない方の入場は固くお断りいたします。

2.一般社団法人日本糖尿病学会 糖尿病専門医の単位取得本学術大会に参加することにより一般社団法人日本糖尿病学会糖尿病専門医更新のための単位 3単位が取得できます。登録につきましては、後日、一般社団法人日本糖尿病学会にご自身で申請をお願いいたします。

3.意見交換会12 月 1 日(土)18 : 45 より霞が関ビル 35 階 校友会館「富士の間」にて行います。

4.呼び出し会場内での呼び出しは、原則として行いません。参加者へのご連絡は会員連絡板をご利用ください。

5.クローク場所:全社協・灘尾ホール LB階ホワイエ時間:12 月 1 日(土)9 : 00~18 : 45

(意見交換会へご参加の方は必ず荷物をお引取りになってからご参加ください。)12 月 2 日(日)8 : 00~15 : 30

貴重品はお預かりできませんのでご了承ください。

6.一般演題発表時間口演 8分、質疑応答 4分です。司会者の指示に従って指定された時間内での発表をお願いいたします。終了 1分前と終了時に卓上ランプでお知らせします。

参加者へのご案内

3

第2会場 第1会場

受付 PCデータ受付

クローク

世話人会

新霞が関ビル

LB階LB階

3階3階

幹事会

会場案内図

4

第1会場 第2会場8:00

9:00

10:00

11:00

12:00

13:00

14:00

15:00

16:00

17:00

18:00

19:00

12月1日(土)

イブニングセミナー座長:松尾清一演者:山岸昌一

共催:アステラス製薬株式会社/日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社

特別講演A Fast or Slow Decline in eGFR:Clinical Implication for Diagnosis and Treatment of Diabetic Nephropathy

座長:片山茂裕      演者:Andrzej S. Krolewski

シンポジウム新しい慢性腎臓病(CKD)の重症度分類をいかに糖尿病性腎症の臨床に生かすか?

座長:羽田勝計    松尾清一 演者:今井圓裕    和田隆志    守屋達美    馬場園哲也

スポンサードセミナー座長:富野康日己 演者:Mark Cooper

共催:日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社/日本イーライリリー株式会社

ランチョンセミナー1座長:羽田勝計演者:古家大祐

共催:MSD株式会社

一般演題病態・成因2

演題番号 O-11~O-15座長:荒木信一   田中伸枝

一般演題病態・成因1

演題番号 O-1~O-5座長:渡辺 毅   滝山由美

3階ホール会議室幹事会

3階ホール控室世話人会

ランチョンセミナー2座長:槇野博史演者:南学正臣

共催:第一三共株式会社

一般演題病理・組織

演題番号 O-6~O-10座長:土井俊夫   鈴木芳樹

9:55~10:00 開会挨拶

霞が関ビル35階校友会館「富士の間」

意見交換会

17:30~18:30

18:45~20:15

16:20~17:20

14:20~16:20

13:20~14:20

12:10~13:10

11:00~12:00

10:00~11:00

9:00~9:50

8:00~9:00

12:10~13:10

10:00~11:00

日 程 表

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第1会場 第2会場8:00

9:00

10:00

11:00

12:00

13:00

14:00

15:00

16:00

17:00

18:00

19:00

12月2日(日)

ワークショップ糖尿病透析予防指導をどのように行っているか?

座長:富野康日己   宇都宮一典演者:柴崎千絵里   須田幸子    加藤則子    牧野以佐子

ランチョンセミナー3座長:宇都宮一典演者:野出孝一 

共催:塩野義製薬株式会社/アストラゼネカ株式会社

一般演題 診断・治療3演題番号 O-26~O-28座長:赤井裕輝

一般演題診断・治療2

演題番号 O-21~O-25座長:松本紘一   前田士郎

一般演題診断・治療1

演題番号 O-16~O-20座長:御手洗哲也   小川 晋 

モーニングセミナー1座長:伊藤貞嘉演者:片山茂裕

共催:ノバルティス ファーマ株式会社

一般演題診断・治療4

演題番号 O-29~O-33座長:梅田文夫    井口登與志

ランチョンセミナー4 座長:清野 裕イントロ:清野 裕 演者:海津嘉蔵共催:テルモ株式会社

教育講演9:00~9:30腎機能低下を伴った糖尿病患者での抗糖尿病薬の使い方座長:成田一衛、演者:鈴木大輔9:30~10:00合併症を考えた糖尿病の血圧管理座長:四方賢一、演者:宇津 貴10:00~10:30高血圧治療における食塩制限の意義と減塩指導の実際座長:中尾俊之、演者:河野雄平10:30~11:00糖尿病性腎症病期別の栄養指導座長:猪股茂樹、演者:横山宏樹11:00~11:30糖尿病性腎症など慢性腎臓機能障害者における長期的運動療法の有用性座長:木村健二郎、演者:金澤雅之

モーニングセミナー2座長:四方賢一演者:猪股茂樹

共催:ファイザー株式会社

厚生労働省科学研究レギュラトリーサイエンス「糖尿病性腎症の治療薬に関する臨床的評価方法確立に

関する研究」成果報告会

14:10~14:15 閉会挨拶

12:50~14:10

11:40~12:40

14:20~15:20

11:00~11:36

10:00~11:00

9:00~10:00

8:10~9:00

13:00~14:00

11:40~12:40

8:10~9:00

7

第 24回日本糖尿病性腎症研究会プログラム

12 月 1 日(土)

【3階ホール控室】

8 : 00~9 : 00 世話人会

【3階ホール会議室】

9 : 00~9 : 50 幹事会

【第 1会場】

9 : 55~10 : 00 開会挨拶

10 : 00~11 : 00 一般演題(病態・成因 1)

座長:渡辺 毅(福島県立医科大学腎臓高血圧・糖尿病内分泌代謝内科)滝山由美(旭川医科大学内科学講座病態代謝内科学分野)

O-1.糖尿病性腎症におけるMetallothionein の役割について岡山大学大学院医歯薬学総合研究科腎・免疫・内分泌代謝内科学

○橘 洋美、小川大輔、堀口千景、中司敦子、江口 潤、寺見直人、和田 淳、四方賢一、槇野博史

O-2.1 型糖尿病モデルにおける内因性血管新生制御因子Vasohibin�1(VASH1)欠損による腎症増悪機序についての検討岡山大学 腎・免疫・内分泌代謝内科学1)、岡山大学 CKD・CVD地域連携・心腎血管病態解析学2)、東北大学 加齢医学研究所3)

○雛元紀和1)、前島洋平2)、斎藤大輔1)、山崎浩子1)、綿谷博雪1)、氏家はる代1)、田邊克幸1)、杉山 斉1)、佐藤靖史3)、四方賢一1)、槇野博史1)

8

O-3.Sphingosine1�phosphate 刺激に伴う腎尿細管細胞でのRho�Rho kinase 系を介した αSMA発現、E�Cadherin 局在への影響東京慈恵会医科大学 糖尿病・代謝・内分泌内科1)、東京慈恵会医科大学 神経病理学教室2)

○石澤 将1)、藤ヶ崎純子2)、金澤 康1)、的場圭一郎1)、川浪大治1)、横田太持1)、宇都宮一典1)

O-4.内因性抗線維化分子AcSDKPは EndMTを抑制し糖尿病性腎症・腎線維化に対して有効な治療戦略となる金沢医科大学 糖尿病・内分泌内科学

○永井貴子、金崎めぐみ、金崎啓造、古家大祐

O-5.高脂肪食負荷肥満マウスの腎尿細管病変進展におけるオートファジーの役割滋賀医科大学 内科学講座 糖尿病・腎臓・神経内科1)、金沢医科大学 糖尿病・内分泌内科学2)、旭川医科大学 内科学講座 病態代謝内科学分野3)

○山原康佑1)、久米真司1)、古家大祐2)、荒木信一1)、一色啓二1)、荒木久澄1)、金崎雅美1)、田中 敬1)、羽田勝計3)、宇津 貴1)、前川 聡1)

11 : 00~12 : 00 一般演題(病態・成因 2)

座長:荒木信一(滋賀医科大学糖尿病・腎臓・神経内科)田中伸枝(東京女子医科大学糖尿病センター内科)

O-11.AGEs�DNA aptamer の体内動態と糖尿病性腎症抑制への期待久留米大学医学部内科学講座腎臓内科部門1)、同糖尿病性血管合併症病態・治療学講座2)、同医学部自然科学教室化学3)、金沢医科大学統合医学研究所・先端医療研究領域・糖化制御研究分野4)、慶応義塾大学医学部化学教室5)

○深水 圭1)、山岸昌一2)、甲斐田裕介1)、松井孝憲2)、東元祐一郎3)、竹内正義4)、井上浩義5)、奥田誠也1)

O-12.妊娠・母乳期の母親の高脂肪食摂取は成長した仔マウスのインスリン抵抗性と慢性腎臓病を性差を伴って惹起する九州大学大学院医学研究院病態制御内科学1)、九州大学先端融合医療レドックナビ研究拠点2)

○横溝 久1)、井口登與志1,2)、園田紀之1,2)、髙柳涼一1)

9

O-13.肥満は 2型糖尿病患者における血中レプチン値と腎機能の関連に対する修飾因子である東京女子医科大学 糖尿病センター内科

○花井 豪、馬場園哲也、竹村俊輔、吉田宣子、萩原愛子、高木通乃、吉田直史、入村 泉、東谷紀和子、田中伸枝、内潟安子

O-14.糖尿病患者での経口リン負荷に対する FGF23 分泌低下―血清Pi 上昇による動脈硬化促進機序の存在―大阪市立大学大学院医学研究科代謝内分泌病態内科学講座

○与田紘一郎、今西康雄、与田真貴、山田真介、森 克仁、絵本正憲、稲葉雅章

O-15.尿中 IV 型コラーゲンとアルブミン尿発症の関連島根大学医学部内科学講座内科学第一1)、東京女子医科大学 糖尿病センター 内科2)

○守田美和1,2)、花井 豪2)、内潟安子2)

12 : 10~13 : 10 ランチョンセミナー1(共催:MSD株式会社)

糖尿病腎症の治療に新たな光が座長:羽田勝計(旭川医科大学 内科学講座 病態代謝内科学分野)演者:古家大祐(金沢医科大学 糖尿病・内分泌内科学)

13 : 20~14 : 20 スポンサードセミナー(共催:日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社�

日本イーライリリー株式会社)

New Targets in Diabetic Nephropathy座長:富野康日己(順天堂大学医学部腎臓内科学講座)演者:Mark Cooper(Baker IDI Heart & Diabetes Institute, Australia)

10

14 : 20~16 : 20 シンポジウム新しい慢性腎臓病(CKD)の重症度分類をいかに糖尿病性腎症の臨床に生かすか?

座長:羽田勝計(旭川医科大学内科学講座 病態代謝内科学分野)松尾清一(名古屋大学大学院医学系研究科腎臓内科学)

SY1.新しいCKD重症度分類の考え方中山寺いまいクリニック

○今井圓裕

SY2.糖尿病性腎症におけるリスクに基づく層別化金沢大学附属病院 腎臓内科

○和田隆志

SY3.2 型糖尿病正常~微量アルブミン尿(NA~MA)期の腎組織・機能連関―腎生検所見と iohexol 法によるGFR(iGFR)から北里大学医学部内分泌代謝内科学

○守屋達美

SY4.顕性腎症期以降の腎症病期に関する考察東京女子医科大学糖尿病センター内科

○馬場園哲也

16 : 20~17 : 20 特別講演

A Fast or Slow Decline in eGFR : Clinical Implication for Diagnosis and Treatment ofDiabetic Nephropathy座長:片山茂裕(埼玉医科大学 内分泌・糖尿病内科)演者:Andrzej S. Krolewski(Joslin Diabetes Center & Harvard Medical School, Bos-

ton, MA, USA)

11

17 : 30~18 : 30 イブニングセミナー(共催:アステラス製薬株式会社�

日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社)

AGEを標的としたリスク管理―合併症防止への新しい可能性―座長:松尾清一(名古屋大学大学院医学系研究科腎臓内科学)演者:山岸昌一(久留米大学医学部糖尿病性血管合併症病態・治療学講座)

18 : 45~20 : 15 意見交換会(校友会館「富士の間」)※灘尾ホール向かいの霞が関ビル35階

12

【第 2会場】

10 : 00~11 : 00 一般演題(病理・組織)

座長:土井俊夫(徳島大学腎臓内科)鈴木芳樹(新潟大学保健管理センター)

O-6.ヒト糖尿病性腎症(DN)におけるNephroblastoma overexpressed(NOV)発現とConnective tissue growth factor(CTGF)発現の関連についての検討東海大学医学部付属病院 腎内分泌代謝内科

○佐藤弘樹、梅園朋也、萩原若菜、近藤真澄、宮武 範、栗山有祐、田中栄太郎、木村守次、豊田雅夫、鈴木大輔、深川雅史

O-7.顕性期糖尿病性腎症における顕微鏡的血尿と腎生検所見との関連東京医科大学腎臓内科

○櫻井 進、岡田知也、権藤麻子、和田憲和、長岡由女、松本 博、中尾俊之

O-8.腎生検で診断された糖尿病性腎症の 10年腎予後の検討虎の門病院

○三瀬広記、星野純一、乳原善文、藤井丈士、大橋健一、高市憲明

O-9.高齢糖尿病性腎症例の臨床病理学的特徴金沢大学附属病院 腎臓内科1)、金沢医療センター 腎・高血圧・膠原病内科2)

○清水美保1,2)、遠山直志1)、古市賢吾1)、吉村光弘2)、木田 寛2)、和田隆志1)

O-10.2 型糖尿病の正常~微量アルブミン尿期の腎組織および機能の経過―serial bi-opsy による検討北里大学医学部内分泌代謝内科学

○山岸貴洋、守屋達美、鈴木陽彦、千田将馬、小川惇郎、林 哲範、七里眞義

12 : 10~13 : 10 ランチョンセミナー2(共催:第一三共株式会社)糖尿病性腎症を中心としたARBの治療戦略

糖尿病性腎症治療の up to date座長:槇野博史(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 腎・免疫・内分泌代謝内科学)演者:南学正臣(東京大学大学院医学系研究科 腎臓内科学・内分泌病態学)

13

12 月 2 日(日)

【第 1会場】

8 : 10~9 : 00 モーニングセミナー1(共催:ノバルティスファーマ株式会社)

高血圧治療における直接的レニン阻害薬(DRI)の使い方:ALTITUDE試験の結果を踏まえて座長:伊藤貞嘉(東北大学内科病態学講座腎・高血圧・内分泌学分野)演者:片山茂裕(埼玉医科大学内分泌・糖尿病内科)

9 : 00~10 : 00 一般演題(診断・治療 1)

座長:御手洗哲也(埼玉医科大学総合医療センター腎・高血圧内科)小川 晋(東北大学高等教育開発推進センター)

O-16.2 型糖尿病患者における尿中 L�FABPの腎・心血管予後の予測因子としての有用性滋賀医科大学 糖尿病・腎臓・神経内科1)、旭川医科大学 内科学講座 病態代謝内科学分野2)、金沢医科大学 糖尿病・内分泌内科学3)、聖マリアンナ医科大学 腎臓・高血圧内科4)

○荒木信一1)、羽田勝計2)、古家大祐3)、菅谷 健4)、柏木厚典1)、宇津 貴1)、前川 聡1)

O-17.2 型糖尿病患者尿中 Insulin�like Growth Factor Binding Protein�related Protein1(IGFBP�rP1)値と腎機能との関連旭川医科大学 内科学講座 病態代謝内科学分野

○滝山由美、新井美成、永島優樹、辻 賢、坂上英充、石関哉生、本庄 潤、藤田征弘、安孫子亜津子、羽田勝計

O-18.糖尿病患者の推算糸球体ろ過率(eGFR)の高値に関する検討大阪市立大学代謝内分泌病態内科学・腎臓病態内科学

○津田昌宏、森 克仁、大野良晃、一居 充、越智章展、仲谷慎也、小林郁江、山田真介、石村栄治、稲葉雅章

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O-19.糖尿病患者におけるアルブミン尿寛解後の腎予後に関する検討東京女子医科大学糖尿病センター

○田中伸枝、馬場園哲也、髙木通乃、吉田直史、入村 泉、花井 豪、内潟安子

O-20.糖尿病腎症第 2期における eGFR測定の血圧管理上の意義 ―国立病院機構EBMのための大規模研究HBP�DN班第三報―国立病院機構千葉東病院 内科1)、国立病院機構名古屋医療センター 糖尿病内分泌科2)、国立病院機構三重中央医療センター 内分泌・代謝科3)、国立病院機構大阪医療センター 糖尿病内科4)、国立病院機構岡山医療センター 糖尿病・代謝内科5)、国立病院機構京都医療センター 糖尿病センター6)、国立病院機構埼玉病院 内科7)、国立病院機構嬉野医療センター 内科8)、国立病院機構九州医療センター 代謝内分泌内科9)、横浜創英大学 看護学部 看護学科10)

○西村元伸1)、加藤泰久2)、田中剛史3)、東堂龍平4)、利根淳仁5)、山田和範6)、大谷すみれ7)、河部庸次郎8)、吉住秀之9)、星山佳治10)

10 : 00~11 : 00 一般演題(診断・治療 2)

座長:松本紘一(日本大学総合科学研究所)前田士郎(理化学研究所ゲノム医科学研究センター内分泌代謝疾患研究チーム)

O-21.2 型糖尿病モデルラットの腎症に対する米タンパク質摂取の有効性新潟大学 超域学術院1)、新潟県立大学 人間生活学部2)、新潟大学 医歯学総合病院 第二内科3)、新潟大学 大学院医歯学総合研究科 機能分子医学講座4)、新潟大学 大学院自然科学研究科5)

○久保田真敏1)、渡邊令子2)、細島康宏3)、飯野則昭3)、斎藤亮彦4)、藤村 忍1,5)、門脇基二1,5)

15

O-22.腎糸球体ポドサイトの炎症性障害に対するシロスタゾール�プロブコールの相加的保護作用千葉大学大学院 医学研究院 細胞治療内科学1)、千葉大学医学部附属病院糖尿病代謝内分泌内科2)

○賀 鵬1)、河村治清1,2)、藤本昌紀1,2)、小林一貴1,2)、石川崇広1,2)、大西俊一郎1,2)、石橋亮一1,2)、岡部恵見子1,2)、久野響子1)、竹本 稔1,2)、横手幸太郎1,2)

O-23.2 型糖尿病モデルを用いたN,L―型 Ca拮抗薬の腎保護効果の検討埼玉医科大学総合医療センター 腎・高血圧内科1)、石川記念会2)、埼玉医科大学 神経内科3)

○朝倉受康1)、長谷川元1)、高柳佳織2)、島津智一3)、岡崎晋平1)、清水泰輔1)、岩下山連1)、田山陽資1)、松田昭彦1)、叶澤孝一1)、御手洗哲也1)

O-24.アリスキレン投与による腎症進展抑制機序の検討 ―自然発症 2型糖尿病モデルマウスを用いて―順天堂大学腎臓内科

○古川雅子、合田朋仁、萩原晋二、山口早織、表 敬介、苑田祐二、石坂匡則、谷本光生、堀越 哲、船曳和彦、富野康日己

O-25.メタボローム解析による新規糖尿病性腎症バイオマーカーの探索名古屋大学大学院医学系研究科 腎臓内科1)、慶應義塾大学先端生命科学研究所2)、中部労災病院 糖尿病内分泌内科3)、藤田保健衛生大学医学部 腎内科学4)

○丸山彰一1)、佐藤和一1)、平山明由2)、中島英太郎3)、秋山真一1)、坪井直毅1,2)、曽我朋義2)、湯澤由紀夫4)、松尾清一1)

11 : 00~11 : 36 一般演題(診断・治療 3)

座長:赤井裕輝(東北労災病院糖尿病代謝センター)

O-26.糖尿病における動脈硬化性腎動脈狭窄が長期の心腎血管イベントに及ぼす影響東北大学高等教育開発推進センター1)、東北大学大学院医学系研究科 腎・高血圧・内分泌学分野2)、美里町立南郷病院3)

○小川 晋1,2)、奈古一宏2)、岡村将史2,3)、千田美穂2)、坂本拓矢2)、伊藤貞嘉2)

16

O-27.喫煙は 1型糖尿病女性患者において尿蛋白出現のリスクとなる(横断研究)自治医科大学 内分泌代謝科

○岡田健太、石橋 俊

O-28.地域医療における糖尿病性腎症進展予防の試み(第 2報)弘前大学大学院医学研究科 地域医療学講座1)、弘前大学医学部附属病院 腎臓内科2)、弘前大学大学院医学研究科 内分泌代謝学講座3)

○中村典雄1,2)、藤田 雄2)、村上礼一2)、島田美智子2)、成田育代2)、柳町 幸3)、松井 淳3)、福田眞作1)、奥村 謙2)

11 : 40~12 : 40 ランチョンセミナー3(共催:塩野義製薬株式会社�

アストラゼネカ株式会社)

体内時計と心血管疾患―メカニズムから薬物療法を考える―座長:宇都宮一典(東京慈恵会医科大学 糖尿病・代謝・内分泌内科)演者:野出孝一(佐賀大学医学部循環器内科)

12 : 50~14 : 10 ワークショップ糖尿病透析予防指導をどのように行っているか?

座長:富野康日己(順天堂大学医学部腎臓内科)宇都宮一典(東京慈恵会医科大学 糖尿病・代謝・内分泌内科)

WS1.糖尿病透析予防指導の実際―当院での指導体制の構築と使用実態―東京女子医科大学病院栄養管理部1)、東京女子医科大学糖尿病センター内科2)、東京女子医科大学看護部3)

○柴崎千絵里1)、三浦順之助2)、土田由紀子3)、立松栄次1)、馬場園哲也2)、内潟安子2)

WS2.当院の糖尿病透析予防の取り組み埼玉医科大学病院 栄養部1)、埼玉医科大学病院 内分泌糖尿病内科2)、埼玉医科大学病院 看護部3)

○須田幸子1)、波田祐生子1)、堀口さやか1)、木内恵子3)、中泉直子3)、栗原 進2)、粟田卓也2)、片山茂裕2)

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WS3.糖尿病透析予防指導管理料 2012 年 4月~8月の実績 186 名の報告加藤内科クリニック

○加藤則子、加藤光敏、金村幸枝、森川よし子、荒川栄美、斎藤杏子

WS4.糖尿病性腎症におけるチーム医療社会保険横浜中央病院 チーム医療部

○牧野以佐子、當間嗣利、平木由美子、斎野容子、浜岡美幸、海津嘉蔵

14 : 10~14 : 15 閉会挨拶

14 : 20~15 : 20 厚生労働省科学研究レギュラトリーサイエンス「糖尿病性腎症の治療薬に関する臨床的評価方法確立に関する研究」成果報告会

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【第 2会場】

8 : 10~9 : 00 モーニングセミナー2(共催:ファイザー株式会社)

糖尿病性腎症 remission をめざして―spironolactone の有用性―座長:四方賢一(岡山大学病院 新医療研究開発センター)演者:猪股茂樹(秋田県成人病医療センター研究室)

教育講演:「糖尿病透析予防管理」に向けた腎症病期別の治療と指導

9 : 00~9 : 30 教育講演1

腎機能低下を伴った糖尿病患者での抗糖尿病薬の使い方座長:成田一衛(新潟大学大学院医歯学総合研究科 内部環境医学講座(第二内科))演者:鈴木大輔(東海大学医学部腎内分泌代謝内科)

9 : 30~10 : 00 教育講演2

合併症を考えた糖尿病の血圧管理座長:四方賢一(岡山大学病院 新医療研究開発センター)演者:宇津 貴(滋賀医科大学 糖尿病・腎臓・神経内科)

10 : 00~10 : 30 教育講演3

高血圧治療における食塩制限の意義と減塩指導の実際座長:中尾俊之(東京医科大学腎臓内科)演者:河野雄平(国立循環器病研究センター 高血圧・腎臓科)

10 : 30~11 : 00 教育講演4

糖尿病性腎症病期別の栄養指導座長:猪股茂樹(秋田県成人病医療センター研究室 代謝科)演者:横山宏樹(横山内科)

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11 : 00~11 : 30 教育講演5

糖尿病性腎症など慢性腎臓機能障害者における長期的運動療法の有用性座長:木村健二郎(聖マリアンナ医科大学腎臓・高血圧内科)演者:金澤雅之(仙台社会保険病院 高血圧・糖尿病内科)

11 : 40~12 : 40 ランチョンセミナー4(共催:テルモ株式会社)糖尿病透析予防指導に向けて

座長:清野 裕(関西電力病院)

イントロダクション:糖尿病透析予防指導管理料導入の経緯と意義関西電力病院

○清野 裕

基調講演:糖尿病透析予防管理に向けて―8年半にわたる臨床の実際と効果、そして、問題点―

社会保険横浜中央病院 腎臓・人工透析内科○海津嘉蔵

13 : 00~14 : 00 一般演題(診断・治療 4)

座長:梅田文夫(医療法人森和会 行橋中央病院)井口登與志(九州大学先端融合医療レドックスナビ研究拠点)

O-29.糖尿病性腎症(DN)93 人の治療成績椎貝クリニック1)、国分寺南口クリニック2)

○椎貝達夫1)、平沢 博1)、坂東梨恵1)、熊本初美1)、椎貝冨士子1)、篠原芳江1)、池田直子1)、丸田利奈1)、栗山廉二郎2)

O-30.糖尿病性腎症による透析患者の栄養評価―非糖尿病例との比較―東京医科大学腎臓内科1)、東京家政学院大学2)

○金澤良枝1,2)、中尾俊之1)

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O-31.糖尿病性腎不全患者の血糖コントロールに対する超速効型・速効型インスリン製剤の持続血糖モニター(CGM)による有効性の比較大阪市立大学大学院医学研究科代謝内分泌病態内科学1)、大阪市立大学大学院医学研究科老年血管病態学2)、大阪市立大学大学院医学研究科腎臓病態内科学3)

○森 克仁1)、絵本正憲1)、浦田博美1)、山崎祐子1)、元山宏華1)、森岡与明1)、福本真也1)、庄司哲雄2)、石村栄治3)、稲葉雅章1)

O-32.DPP�4 阻害薬による尿中Na排泄と血圧への影響(第 2報)埼玉医科大学総合医療センター 腎高血圧内科

○叶澤孝一、岩下山連、三谷知之、清水泰輔、田山陽資、朝倉受康、長谷川元、御手洗哲也

O-33.糖尿病例における腎症進行・心血管死・総死亡への脂質異常症の影響のメタ解析金沢大学附属病院 腎臓内科

○遠山直志、北島信治、北川清樹、岩田恭宜、清水美保、古市賢吾、和田隆志

抄 録

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スポンサードセミナーSS.New Targets in Diabetic Nephropathy

Baker IDI Heart & Diabetes Institute, Melbourne, Australia○Mark E Cooper

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特別講演SL.A Fast or Slow Decline in eGFR : Clinical Implication for Diagnosis

and Treatment of Diabetic Nephropathy

Joslin Diabetes Center & Harvard Medical School, Boston, MA, USA○Andrzej S. Krolewski

Despite improvements in treatment of hyperglycemic and almost universal antihyperten-sive and reno�protective treatment, almost half of patients with Type 1 diabetes(T1D)andproteinuria are at risk of progression to end stage renal disease(ESRD).Thus, new strate-gies are needed to reduce risk of ESRD in patients with T1D.In a long�term prospective study(8�20 years of follow�up)of 423 patients with T1D andproteinuria, we examined trajectories of eGFR to determine the patterns of changes in re-nal function that lead to ESRD. In most of the cases we found that linear regression linesbest represented the patterns of eGFR changes during follow�up. Overall, one third of ourcohort had stable renal function and will not develop ESRD during lifetime. One third of thecohort had slow or moderate renal function decline and these patients will most likely de-velop ESRD within 10�30 years of follow�up. The last one third of the cohort had fast orvery fast renal function decline which resulted in progression to ESRD within 2�10 years.The classification of patients according to the above three groups had implications for pa-tient care. First, doctors would like to have a diagnostic test to stratify patients according torisk of ESRD so they can implement appropriate treatment. Second, different treatmentsmay be required for patients who have slow or moderate progression to ESRD compared tothose who are at risk of rapid progression. Due to high mortality, the latter group might besubjected to aggressive or experimental treatments as it is practiced in treatment of pa-tients with cancer.To develop a diagnostic test to predict time to onset of ESRD in T1D and proteinuria, wemeasured a large series of biomarkers in baseline serum and urine to find out which onesmight predict rate of eGFR decline and time to onset of ESRD during 5�10 years of follow�up. Out of 85 biomarkers and clinical characteristics we found 5 strong predictors of pro-gression to ESRD : HbA1c, serum TNFR2, urinary levels of albumin, kidney injury protein 1(KIM�1)and monocyte chemotactic protein 1(MCP�1).Measuring any of these three pre-dictors at one visit was sufficient to predict with a precision rate of eGFR loss and time toESRD in our cohort of patients with T1D and proteinuria. We hypothesize that the samemay be true in patients with Type 2 diabetes.

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シンポジウムSY1.新しいCKD重症度分類の考え方

中山寺いまいクリニック○今井圓裕

KDIGOの CKD重症度分類は、GFRと尿アルブミンによる 2次元のマトリックスで構成されている。GFRに関しては、GFR45 で従来のステージ 3を分割し、G3a と G3b することがKDIGOで決まっておりこれを導入した。わが国では尿アルブミンを測定できるのは糖尿病患者に限られており、その他の疾患では保険診療で測定することはできないため、糖尿病以外の疾患では尿蛋白を測定し、これに代えることとした。日本の重症度分類においては従来通り微量アルブミン尿を使用することとした。また、macroalbuminuria に相当するアルブミン尿を顕性アルブミン尿と命名した。尿蛋白で重症度を判定する場合に、微量アルブミン尿、顕性アルブミン尿に対応する蛋白尿をそれぞれ軽度蛋白尿(0.15�0.49g�gCr)、高度蛋白尿(0.5g�gCr 以上)と新たに命名した。わが国独自の重症度基準に対して、今後、臨床研究による評価が行われることを期待される。

SY2.糖尿病性腎症におけるリスクに基づく層別化

金沢大学附属病院 腎臓内科○和田隆志

本邦において、病態やリスクを反映する糖尿病性腎症の再評価が求められている。このためには、病態とともにリスクを評価した本邦のデータが必要不可欠である。実際、平成21 年より多施設共同の事前登録前向き試験が開始され、典型例、腎機能とアルブミン尿・蛋白尿が乖離する例を含む糖尿病性腎症の病態の解明、腎予後、心血管イベントおよび生命予後の評価とリスク因子の解析を進めてきた。メタ解析、長期観察を行った腎生検施行症例の予後解析も施行している。これらの結果をふまえて、本邦の糖尿病性腎症のリスクに基づく層別化を考えてみたい。一方、平成 24 年 6 月に新しいCKD重症度分類が示された。糖尿病という原疾患が記載されているとともに、予後評価を含めた重症度分類となっている。今後、理想とする糖尿病性腎症病期分類、病態やリスクと関連する病理所見の理解や治療への視点も議論が必要と考える。

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SY3.2型糖尿病正常~微量アルブミン尿(NA~MA)期の腎組織・機能連関―腎生検所見と iohexol 法によるGFR(iGFR)から

北里大学医学部内分泌代謝内科学○守屋達美

新CKD重症度分類の中にはすべての糖尿病患者を含むことが可能となった.しかし,MAないしはGFRの低下を来す糖尿病患者のすべてが糖尿病性腎症(腎症)ではないこと,腎症とそれ以外の腎疾患の経過・予後が大きく異なることは再認識すべきである.1)NA期でも腎組織所見が存在する.しかし,同程度のUAEでも 2型糖尿病の腎組織は多様性を示す.腎組織変化とUAEは相関しない.2)eGFRは,iGFRを過小評価する.また,一定期間の iGFRの変化量と eGFRの変化量とには相関を認めない.3)NA~MA期の腎生検例の iGFRを定期的に検討すると,毎年のGFR値は測定 1年後のGFR変化と有意の負の相関を認めた.糸球体過剰濾過は,GFR低下のリスクとなる可能性がある.腎症の正確な診断の重要性と,糖尿病患者の大多数を占めるNA期の詳細な検討および

綿密な経過観察の大切さを強調したい.

SY4.顕性腎症期以降の腎症病期に関する考察

東京女子医科大学糖尿病センター内科○馬場園哲也

現行の糖尿病性腎症病期分類では,顕性腎症期(第 3期)が GFRと尿蛋白量により前期および後期に細分され,腎不全期(第 4期)は高窒素血症と定義されている.ただし,顕性腎症後期と腎不全期の境界となる腎機能あるいは高窒素血症の定義が明記されていないこと,高窒素血症がありながら尿蛋白量が少ない場合の病期が不明であること,さらには最近日本腎臓学会から提唱された,CKDの重症度分類(CKD診療ガイド 2012)との整合性が,今後の腎症病期分類改訂上で課題となる.主に腎予後からみた,顕性腎症期以降の腎症病期に関して,当科におけるコホート研究

から考察したい.

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教育講演KL1.腎機能低下を伴った糖尿病患者での抗糖尿病薬の使い方

東海大学医学部腎内分泌代謝内科○鈴木大輔

近年まで腎機能の低下した糖尿病患者、特に重度腎機能低下例に使用できる抗糖尿病薬は、αグルコシダーゼ阻害薬と一部のインスリン分泌促進薬、およびインスリン製剤のみであった。最近、新たな作用機序をもつDPP�4 阻害薬や GLP�1 受容体作動薬が発売され、透析患者を含む腎機能低下患者にも使用可能となり、腎機能低下患者の血糖コントロールの方法が大きく変わりつつある。さらに、持効型インスリン製剤の出現により腎機能低下患者のインスリン治療も、より厳格でより安全に出来るようになった。本講演では、既存の抗糖尿病薬の腎機能低下例における使用法と限界について概説するとともに、透析患者を含む重度腎機能低下患者におけるDPP�4 阻害薬や GLP�1 受容体作動薬、さらには持効型インスリン製剤の使用法と効果について、自験例を中心に解説したい。

KL2.合併症を考えた糖尿病の血圧管理

滋賀医科大学 糖尿病・腎臓・神経内科○宇津 貴

糖尿病性腎症抑制のためにはRAS阻害薬を第一選択とした厳格な血圧管理が求められているが、降圧目標達成は困難であることが多い。我々は、ARB常用量で血圧管理が不十分であった患者に対し、ARB増量と利尿薬あるいはCa拮抗薬の併用を比較した。その結果、併用薬群でARB高用量群に比し降圧・尿アルブミン減少は大となった。また、2型糖尿病患者では仮面高血圧が高頻度に認められるとともに、仮面高血圧の一因に過剰な食塩摂取があることが明らかとした。糖尿病患者は、腎症進展とともに血圧の食塩感受性が亢進し血圧日内リズム異常を生じている可能性が高い。家庭あるいは 24 時間血圧を指標に、減塩・RAS抑制薬を基礎に積極的な併用薬使用が有用であると考えられる。一方、最近、減塩や厳格な降圧による心血管リスク増大が危惧されている。本講演では、減塩の意義とともに腎症病期・臓器障害の面から降圧目標について考えてみたい。

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KL3.高血圧治療における食塩制限の意義と減塩指導の実際

国立循環器病研究センター 高血圧・腎臓科○河野雄平

食塩と高血圧の関係は明らかで、また、食塩の過剰摂取は血圧とは独立して心血管系に悪影響を及ぼす。しかし、日本人の食塩摂取量はまだ多く、高血圧患者の多くも 6 g�日未満を遵守できていない。食塩制限が血圧を低下させることも明らかで、高血圧者では 1 g�日あたり 1�0.5 mmHgほど低下する。血圧の食塩感受性は個人差が大きいが、腎障害や肥満、メタボリックシンドロームなどで高く、それらを伴う場合には減塩が特に重要である。減塩は実行と継続が難しいことが大きな問題で、実効性のある方法の普及が望まれる。減塩指導の実際においては、医師の立場からは、食塩の害や減塩の効果についての教育、減塩の原則的および具体的な指導、尿のNa測定による食塩摂取量の評価、が要点となろう。栄養士の立場からは、日常の塩分摂取状況の把握と分析、食品の塩分の量についての情報提供、問題点に対する具体的な解決方法の提案、がポイントとなる。

KL4.糖尿病性腎症病期別の栄養指導

横山内科○横山宏樹

糖尿病性腎症病期別の栄養指導に関しては、カロリー摂取量や蛋白質摂取量の制限など各論に関しては、腎症進展防止の観点からは、エビデンスとして結論的な統一見解は得られていない。ここでは、今までの糖尿病性腎症における栄養指導のエビデンスを解説する。さらに、糖尿病性腎症の病期の進展を、eGFRを含めて解説を行う。また、栄養指導の上からも、24 時間蓄尿の有用性に関して、述べる。

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KL5.糖尿病性腎症など慢性腎臓機能障害者における長期的運動療法の有用性

仙台社会保険病院 高血圧・糖尿病内科○金澤雅之

腎臓機能障害者の体力は低下していることが多く、それは死亡リスクの上昇やQOLの低下を招く。一方、腎臓機能障害者に於いても運動療法により体力は増強し、生存率やQOLが改善する可能性が指摘されている。しかし、多くはほとんど運動を行っていない。糖尿病性腎症動物モデルに長期的運動を行わせたところ、体力の増強、タンパク尿の減少、腎組織病変の進行抑制を認めた。保存期腎不全患者が有酸素運動や筋力トレーニングを行うことによる体力増強、GFR増加、酸化ストレス減少、慢性炎症改善効果などが報告されている。血液透析患者では運動療法により自覚症状やQOLの改善、体力や体組成の改善、生命予後指数の改善を認めた。以上より、腎臓機能障害者が長期的に運動を行っても腎機能や腎病変は必ずしも増悪せず、むしろ多くのメリットがあると考える。運動指導では、種類、強度、頻度を適切に設定し、安全かつ効果的に実施することが重要である。

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ワークショップWS1.糖尿病透析予防指導の実際―当院での指導体制の構築と使用実態―

東京女子医科大学病院栄養管理部1)、東京女子医科大学糖尿病センター内科2)、東京女子医科大学看護部3)

○柴崎千絵里1)、三浦順之助2)、土田由紀子3)、立松栄次1)、馬場園哲也2)、内潟安子2)

医師の診察、栄養・看護指導への同日の患者動線、指導時間・内容、指導記録の電子カルテ管理等の検討に時間を要し、当院の糖尿病透析予防指導(以下予防指導)は 2012 年 9 月より運用を開始した。医師の腎症病期、食事指導内容の指示書を元に、看護師、管理栄養士が指導した内容を同電子カルテ画面で記載し、三者の記録が一度に確認できるようにした。導入前は、対象患者の指導は看護師による療養相談(予約なし、無料)と管理栄養士による集団・個人栄養食事指導指導(以下栄養指導)(80 点・130 点)が別々に行われてきた。導入後は、医師の外来診療前後に看護師による予防指導枠を新たに設定し、管理栄養士による指導は、毎月約 250 件ある予約枠内に行うこととした。導入前から栄養指導継続中の予防指導の対象患者は看護指導を同日に入れ、ともに予防指導に添った指導を行っている。今までの問題点を挙げ、今後の展望、指導内容について検討したい。

WS2.当院の糖尿病透析予防の取り組み

埼玉医科大学病院 栄養部1)、埼玉医科大学病院 内分泌糖尿病内科2)、埼玉医科大学病院 看護部3)

○須田幸子1)、波田祐生子1)、堀口さやか1)、木内恵子3)、中泉直子3)、栗原 進2)、粟田卓也2)、片山茂裕2)

当院は病床数 805 床の急性期病院である。管理栄養士による年間栄養指導件数(H23 年度)は、個人指導 4520 件、集団 424 件。疾患は糖尿病が最も多く 41.6%、次に腎臓病 28.9%となっている。糖尿病については、主診療科の糖尿病内科と連携がとれており、医師、看護師、管理栄養士等による糖尿病教室の開催を筆頭に、糖尿病治療に対し積極的に取り組んでいる。H24 年 4 月からは外来診療ブースにて栄養指導を開始。よりスムーズな栄養指導が実現できるようになった。診療報酬改定により糖尿病透析予防指導管理料が新設され、チームとしての指導管理がより評価されるようになった。当院でもこの 7月から算定を開始。7~8月の対象患者数は 13名(男性 9名・女性 4名、開始時データ:年齢 58.3±11.3 歳、HbA1c(NGSP)8.0±2.0%、BMI27.8±5.5kg�m2、腎症 2期 4名、3A期 4名、3B期 5名)。その経過について報告する。

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WS3.糖尿病透析予防指導管理料 2012 年 4月~8月の実績 186 名の報告

加藤内科クリニック○加藤則子、加藤光敏、金村幸枝、森川よし子、荒川栄美、斎藤杏子

【目的】本年 4月に始まった糖尿病透析予防指導管理の現状を報告する。【方法】指導を受けた患者の血糖・血圧・血清クレアチニンまたは eGFRの改善または維持した人数と割合の報告書式を作成。【結果】186 人が登録され、男性 61%、全体の平均年齢 68.4 歳、HbA1c7.5%(NGSP)、血清Cr0.90mg�dL、eGFR63.4、SBP126�DBP65mmHg。評価は「改善」「維持」「悪化」で表現、推移を比較できない場合は「維持」。血圧は SBP�DBPが目標値(130�80)達成を改善とした。HbA1c 値は 71%が改善または維持。血清Crまたは eGFRは 54%が改善または維持。血圧は 98%が改善または維持であった。【結論と考察】指導に効果が期待されるが、評価基準が数値のみの改善なのか不明確であること、項目に尿蛋白・尿アルブミン定量がないこと、糖尿病網膜症を有するが薬物治療のないHbA1c6.9%未満の患者には管理が該当しないことは改善を期待する。

WS4.糖尿病性腎症におけるチーム医療

社会保険横浜中央病院 チーム医療部○牧野以佐子、當間嗣利、平木由美子、斎野容子、浜岡美幸、海津嘉蔵

当院では、2004 年 8 月より CKD患者治療を充分に、安全に実施することを目的としたチーム医療を実践する外来である腎機能改善外来を開設している。CKDの治療は困難とされているが、目標達成型厳格治療により症状の進行を抑えられることがわかった。そのためには、多くの薬剤を使用し用量も漸増する。患者の確実な内服が求められ、それは危険であってはならない。薬剤師は、腎機能改善外来受診毎に、薬の説明、服薬チェック、副作用出現時の対処方法などを説明している。2011 年 7 月までの初回受診時の薬剤使用量と最終受診時のものとの比較を行い、服薬状況、検査値などを調査した。患者に不安を与えないように、安全に、確実に薬物治療を進めていくには、薬剤師の注意深い服薬指導が必要となる。具体的な指導として、残薬チェックを行うことが、服薬率を上げていくために大きな要因となっていた。また、個々の患者の状態にあわせた指導方法が必要であると感じた。

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ランチョンセミナーLS1.糖尿病腎症の治療に新たな光が

金沢医科大学 糖尿病・内分泌内科学○古家大祐

糖尿病患者に対する血糖・血圧・脂質異常の治療手段およびそれら目標値に関する多数のランドマーク研究成果が報告された。つまり、生活習慣の修正を基盤とした厳格な血糖管理・レニンーアンジオテンシン系阻害薬による血圧管理・脂質異常に対する管理によって、糖尿病腎症(腎症)の発症・進展が抑制されるのみならず、その結果として心血管疾患の発症・進展も改善されるエビデンスが集積されてきた。本講演では、レニンーアンジオテンシン系阻害薬の腎症に対する有用性と注意点を紹介したい。

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LS2.糖尿病性腎症治療の up to date

東京大学大学院医学系研究科 腎臓内科学・内分泌病態学○南学正臣

糖尿病性腎症に対する治療は、医学的にも医療経済上も急務となっている。このためには、十分な血糖コントロールに加え、レニン・アンジオテンシン阻害薬を中心とした適切な血圧管理が必須である。一方、低たんぱく食については、臨床症状や電解質異常の改善に効果があることには疑いの余地がないが、糖尿病性腎症の腎機能低下を抑制するというエビデンスは乏しい。病期によって明確な臨床的エビデンスが確立している場合とそうでない場合があるが、多くの臨床研究がレニン・アンジオテンシン阻害薬による腎保護効果を示している。レニン・アンジオテンシン阻害薬の有効性には、血圧降下作用以外にも多くの機序が関与している。レニン・アンジオテンシン阻害薬は糸球体内高血圧を改善するのみならず、酸化ストレスを軽減する。更に、近年の複数の臨床研究により BOLD-MRI を使って糖尿病腎における低酸素が明らかにされているが、レニン・アンジオテンシン阻害薬は尿細管周囲毛細血管の血流を改善することにより腎臓の低酸素を改善する。このように、レニン・アンジオテンシン阻害薬には、種々の機序による全身血圧に非依存性の腎保護効果が期待できる。将来的な治療の選択肢としては、線維化を改善する薬剤として抗TGFβ抗体・抗CTGF抗体が検討されている他、酸化ストレスや低酸素に対する適応応答反応を誘導する転写調節因子を刺激する薬剤の臨床試験が始まっており、今後の展開が期待される。

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LS3.体内時計と心血管疾患―メカニズムから薬物療法を考える―

佐賀大学医学部循環器内科○野出孝一

循環器病は、血圧や心拍数の日内変動や異型狭心症や心筋梗塞、脳卒中の好発時刻があるなど、その病態の発症に体内リズムがある。交感神経活性の日内変動も含めて、その日内リズムの調節には、時計遺伝子の活性が関与している。時計遺伝子には中枢時計と末梢時計があり、中枢時計は視交叉上核に存在し、光刺激によりその活性が調節され、睡眠、覚醒、情動を制御している。末梢時計は全身の臓器、細胞に分布し、光以外の刺激によりその活性が制御され、血圧、心拍数、ホルモン代謝等の日内変動を規定している。中枢時計遺伝子は全身末梢時計遺伝子を統括しており、ネットワークと階層構造を形成している。体内リズムの制御機構を理解することにより、生活習慣病に対する新たな薬物療法の可

能性も考えられる。今後、時計遺伝子と生活習慣病との連関や臨床での時計遺伝子の活性測定や診断法が期待される。

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LS4.基調講演:糖尿病透析予防管理に向けて―8年半にわたる臨床の実際と効果、そして、問題点―

社会保険横浜中央病院 腎臓・人工透析内科○海津嘉蔵

近年、糖尿病及び腎・高血圧領域に対し多くの治療薬が登場した。しかし、糖尿病性腎症は透析導入の原疾患の第一位であり、その傾向は続いている。原因の 1つに治療不足がある。腎症の治療は、実際には治療目標に到達できていないのが現状であろう。我々は平成16 年 8 月より本症に対し多数治療目標達成型厳格治療を実施する事を目指し、チーム医療を行ってきた。当時、CKDという概念もなく、チーム医療という理念に基づいた治療が行われていない時期であった。チーム医療による「腎機能改善外来」を創設した。その結果、1�sCre の傾きを有意に抑制しえた。多変量解析によって、それに寄与する因子としては糖尿病と外来治療期間である事が判明した。従来、難治性と考えられていた本症は厳格な治療によってかなりの症例で治療可能である事が明らかとなった。平成 24 年 4 月より糖尿病透析予防指導管理料加算が認められた。今回、我々の 8年間の取組みを御紹介したい。

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イブニングセミナーES.AGEを標的としたリスク管理―合併症防止への新しい可能性―

久留米大学医学部糖尿病性血管合併症病態・治療学講座○山岸昌一

糖尿病では、心血管合併症や骨粗鬆症、アルツハイマー病、癌など加齢に伴ってリスクが上がってくる疾病が、10-15 年前倒して出現してくる。つまり、老化のプロセス自体が、糖尿病で加速していることが予想される、最近、この分子基盤に糖化反応の亢進、終末糖化産物(AGE)化反応が関わっていることが明らかとなってきた。AGEは、細胞表面受容体であるRAGEによって認識され、臓器障害を引き起こすだけでなく、コラーゲンなどの生体内蛋白を悪玉架橋させ、各種疾患の病態に関わる。さらに、食事に由来するAGEの過剰摂取が老化のプロセスを押し進めることも実験動物の系で明らかにされてきている。本講演では、AGEを標的としたリスク管理について解説する。

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モーニングセミナーMS1.高血圧治療における直接的レニン阻害薬(DRI)の使い方:ALTI-

TUDE試験の結果を踏まえて

埼玉医科大学内分泌・糖尿病内科○片山茂裕

2009 年末からわが国でも直接的レニン阻害薬であるアリスキレンが臨床応用され、注目を集めている。アリスキレンの臨床薬理学的な特徴として、生物学的利用率が 3�5%と極めて低いが、血中半減期が約 40 時間と極めて長いことが挙げられる。AVOIDや ALOFT試験では、尿中アルブミン排泄量やBNP濃度を指標として、糖尿病腎症や心不全患者におけるアリスキレンの有用性が示された。その後、腎症あるいは心血管疾患の既往歴を有する 2型糖尿病患者 8561 人(アジア人 31.7%)で心血管死や末期腎不全をエンドポイントとしたALTITUDE試験が行われた。残念ながら、ACEI あるいはARBとアリスキレンの併用がベネフィットをもたらすことは証明できず、2011 年末に本試験は中断された。この結果を受けて、ヨーロッパ・米国では糖尿病患者での本薬とACEI またはARBとの併用は禁忌とされた。我が国でも、糖尿病患者での本薬の併用は禁忌とされたが、ACEI 又はARB投与を含む他の降圧治療を行ってもなお血圧のコントロールが著しく不良の患者では医師の裁量で本薬の併用の余地が残された。なお、中等度以上の腎機能障害患者(GFR<60mL�min)では本薬の併用はヨーロッパでは禁忌とされ、米国と我が国では併用を避けることとされている。引き続き、本薬は本態性高血圧症患者では降圧薬として用いることはでき、また我が国では糖尿病患者でも治療抵抗性高血圧の治療薬としてACEI またはARBとの併用の余地が残された唯一の国といえ、我が国での臨床研究が求められているといえる。

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MS2.糖尿病性腎症 remission をめざして―spironolactone の有用性―

秋田県成人病医療センター研究室○猪股茂樹

1)糸球体高血圧:ACEI、ARB、pioglytazone、Type T�N CCBで対処し糸球体諸細胞のstretch stress を緩和する。2)aldosterone による podocyte 障害、蛋白尿:circulating�localaldosterone�mineralocorticoid receptor�NAD(P)H oxidase pathway による oxidativestress は podocyte の actin filament network を破壊し detatchment�apoptosis を惹起し蛋白尿をきたす。これには spironolactone が有効。3)尿細管間質障害:ADMA過剰によるperitubular capillary endothelial cells 収縮は hypoxia、線維化を助長するが、ARB, statinは DDAHを活性化しこれに対抗。症例①第 2期腎症:61 歳男性・肥満・高血圧・HbA1c(JDS)7%台。insulin�ACEI�ARB�statin�CCBを継続したが albuminuria 不変。spironolac-tone を追加したところ一挙に 8�10mg�gCr へ。②第 3期腎症 B : 61 歳男性・肥満・高血圧・HbA1c8%台。持続性蛋白尿。insulin�ACEI�CCB�statin でも不変。pioglytazone と spi-ronolactone 追加で蛋白尿消失。

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一般演題O-1.糖尿病性腎症におけるMetallothionein の役割について

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科腎・免疫・内分泌代謝内科学○橘 洋美、小川大輔、堀口千景、中司敦子、江口 潤、寺見直人、和田 淳、四方賢一、槇野博史

Metallothionein(MT)はシステイン由来のチオール基に富む蛋白質であり、糖尿病性腎症の近位尿細管細胞において発現が増強することが報告されている。しかし、糖尿病性腎症の進展過程におけるMTの役割については不明な点が多い。そこで、野性型 129�SVマウス(MT+�+)とMTノックアウトマウス(MT���)を、コントロール群とストレプトゾトシン投与による糖尿病群の 4群に分け、酸化ストレスや炎症、線維化について検討した。MT���糖尿病群ではMT+�+糖尿病群と比較して、尿細管細胞での活性酸素産生やミトコンドリア破壊の増加、間質におけるマクロファージ浸潤や線維化の増悪を認めた。また、マウス培養近位尿細管上皮細胞を用いて siRNAによりMTを抑制したところ、MCP1、TGFβ、osteopontin などの炎症性サイトカインやNADPH oxidase の発現の亢進を認めた。以上より、MTは高血糖による酸化ストレスから腎臓を保護する上で重要な役割を果たしていることが示唆された。

O-2.1型糖尿病モデルにおける内因性血管新生制御因子Vasohibin�1(VASH1)欠損による腎症増悪機序についての検討

岡山大学 腎・免疫・内分泌代謝内科学1)、岡山大学 CKD・CVD地域連携・心腎血管病態解析学2)、東北大学 加齢医学研究所3)

○雛元紀和1)、前島洋平2)、斎藤大輔1)、山崎浩子1)、綿谷博雪1)、氏家はる代1)、田邊克幸1)、杉山 斉1)、佐藤靖史3)、四方賢一1)、槇野博史1)

血管新生制御因子VASH1 の過剰発現によりマウス 1型糖尿病モデルにて腎症進展が抑制される。今回、糖尿病性腎症における内因性VASH1 の腎保護作用を以下の検討にて評価した。雄性VASH1+��マウスに STZを投与し 16 週後に屠殺した。VASH1+��糖尿病群にて、野生型糖尿病群に比して尿中Alb�Cr 比・腎重量増加、糸球体肥大、糸球体Nephrin・ZO�1 発現異常、糸球体 p�p65+細胞数増加、GBM肥厚・Slit 膜密度低下、TGF�β・VEGF�A・Ang�2 増加、Ang�1 低下、p�IkB 増加、Total IkB 低下、MCP�1 増加�Arginase1 減少(mRNA)が観察された。培養マウス podocyte(高糖濃度条件下)にてVASH1 siRNA投与によりNephrin 発現が減弱した。以上の結果より、糖尿病性腎症における内因性VASH1 の腎保護作用の可能性が示唆された。

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O-3.Sphingosine1�phosphate 刺激に伴う腎尿細管細胞でのRho�Rhokinase 系を介した αSMA発現、E�Cadherin 局在への影響

東京慈恵会医科大学 糖尿病・代謝・内分泌内科1)、東京慈恵会医科大学 神経病理学教室2)

○石澤 将1)、藤ヶ崎純子2)、金澤 康1)、的場圭一郎1)、川浪大治1)、横田太持1)、宇都宮一典1)

糖尿病性腎症(DN)ラットの糸球体では、G蛋白共役受容体に結合する生理活性物質である Sphingosine1�phosphate(S1P)が上昇、S1P2 受容体(S1P2R)発現が亢進するとの報告がある。S1P の S1P2R を介したRho kinase(ROCK)の活性化が確認されており、これらの活性化がDNの進展に関与する可能性がある。今回、腎尿細管上皮細胞(NRK)における S1P 刺激下でのROCKの活性化、αSMA発現、E�Cadherin(E�Cad)局在の変化を生化学、組織学的に検討した。S1P 刺激下でROCK活性は上昇、ROCK阻害剤添加によりROCK活性が抑制された。また、S1P 刺激によって生じる αSMA発現の増加、αSMA陽性細胞増加、細胞接着面におけるE�Cad の細胞質内への拡散はROCK阻害剤で抑制された。S1P によりこれらの活性化を介して誘導される尿細管の変化がDN進展に関連する可能性がある。

O-4.内因性抗線維化分子AcSDKPは EndMTを抑制し糖尿病性腎症・腎線維化に対して有効な治療戦略となる

金沢医科大学 糖尿病・内分泌内科学○永井貴子、金崎めぐみ、金崎啓造、古家大祐

内皮間葉細胞分化(EndMT)は,腎線維芽細胞の供給源として注目されている。ACE阻害薬は,内因性抗線維化ぺプチドN�acetyl�seryl�aspartyl�lysyl�proline(AcSDKP)血清濃度を上昇させる。今回我々はAcSDKPが EndMTを阻害し糖尿病性腎症・腎線維化の進行を抑制する可能性を見出した。TGF�β2 単独あるいはTGF�β2,IL�1β,TNF�αの 3者同時刺激は,培養内皮細胞(HUVEC,HMVEC)の紡錘状形態変化,内皮細胞マーカー発現減少,間葉系細胞マーカー発現増加を惹起し、EndMTを誘導すると同時にアポトーシスを呈する細胞を増加させた。AcSDKPの共孵置はEndMT・アポトーシスを共に抑制した。STZ誘導 1型糖尿病CD1 マウスにおける糸球体硬化・腎線維化は,ACE阻害薬+AcSDKP追加投与により,ACE阻害薬単独投与に比し有意な改善を認めた。AcSDKPによる腎線維化抑制効果はEndMT抑制と関連した。これらの結果は、AcSDKPが有益な抗糖尿病性腎症治療分子である可能性を示唆した。

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O-5.高脂肪食負荷肥満マウスの腎尿細管病変進展におけるオートファジーの役割

滋賀医科大学 内科学講座 糖尿病・腎臓・神経内科1)、金沢医科大学 糖尿病・内分泌内科学2)、旭川医科大学 内科学講座 病態代謝内科学分野3)

○山原康佑1)、久米真司1)、古家大祐2)、荒木信一1)、一色啓二1)、荒木久澄1)、金崎雅美1)、田中 敬1)、羽田勝計3)、宇津 貴1)、前川 聡1)

糖尿病性腎症の予後悪化因子である肥満が尿蛋白に伴う尿細管病変の進展に及ぼす影響をオートファジーに着目し検討した。対照マウスならびに脂肪含量 60%の高脂肪食を 4週間摂取した肥満マウスに腹腔内アルブミン負荷を用い尿細管病変を誘導したところ、肥満マウスの尿細管病変は有意に増悪した。対照マウスの近位尿細管細胞において、負荷アルブミンの増加に伴いオートファジーは活性化したが、それは肥満マウスで抑制されていた。近位尿細管特異的オートファジー欠損マウスに、腹腔内アルブミン負荷で尿細管間質病変を誘導したところ、肥満マウス同様に尿細管病変が増悪した。近位尿細管細胞では、尿蛋白の増加に伴い腎保護的にオートファジーが誘導されるが、肥満に伴いその誘導が低下することが、糖尿病性腎症の尿細管病変発症・進展に関与することが示唆された。

O-6.ヒト糖尿病性腎症(DN)におけるNephroblastoma overexpressed(NOV)発現とConnective tissue growth factor(CTGF)発現の関連についての検討

東海大学医学部付属病院 腎内分泌代謝内科○佐藤弘樹、梅園朋也、萩原若菜、近藤真澄、宮武 範、栗山有祐、田中栄太郎、木村守次、豊田雅夫、鈴木大輔、深川雅史

【背景】NOVは CTGFの negative regulator として細胞外基質の産生を抑制することが知られている。昨年の本研究会において、我々はDN組織を用いたNOVの発現について検討し、糸球体内におけるNOVの発現は組織障害の進行群において低下していることを報告した。今回はNOVと CTGFとの関連について検討をおこなったので報告する。【目的】DN組織を用いてNOV及び CTGFの発現について検討した。対象と方法:当院で腎生検及び腎摘出にて得られたDN組織を対象とし、in situ hybridization(ISH)法にてNOV及び CTGF mRNAの発現を観察し、組織障害度との関連について検討した。【結果】各組織障害度とNOVの発現とは負の相関、CTGFとは正の相関を認めた。また、糸球体内でのNOVと CTGFの発現は、負の相関を示した。さらに、各組織障害度とNOV�CTGF比で検討をおこなったところ、負の相関が認められた。【結論】ヒトDNにおいてNOVと CTGFの発現バランスが組織障害に関連している可能性が示唆された。

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O-7.顕性期糖尿病性腎症における顕微鏡的血尿と腎生検所見との関連

東京医科大学腎臓内科○岡田知也、権藤麻子、和田憲和、長岡由女、松本 博、中尾俊之

【目的】顕性期糖尿病性腎症(DN)の顕微鏡的血尿の頻度、経過と腎生検所見との関連について検討した。【方法】対象は顕性蛋白尿を有し、腎生検を施行しDNと診断された患者 84 名(58±10 歳、Cr1.23±0.49mg�dl、尿蛋白量 3.6±2.2g�日)。既報(日腎誌 1999 ; 41 : 475)に基づき組織評価をおこない、生検時から 6ヵ月ごと 5年間の血尿(尿沈渣赤血球 5個以上)の有無を調査した。【結果】生検時に血尿を 36 名に認めた。生検後血尿を 1回以上認めた患者は 62 名中 35 名(生検時血尿あり 25 名�なし 10 名)、生検後血尿を認めない患者は 27 名(生検時血尿あり4名�なし 23 名)だった。生検時に血尿を認めた患者は認めない患者に比し有意に尿蛋白量が多く(4.1±2.1g�日,3.3±2.3g�日,p=0.04)、びまん性病変スコアが高い傾向を認めた(2.14±0.58,2.37±0.45,p=0.07)。他の組織所見スコアに有意差を認めなかった。【結論】顕性期DNの経過中に血尿を認めるが、組織所見との関連性は弱い。

O-8.腎生検で診断された糖尿病性腎症の 10年腎予後の検討

虎の門病院○三瀬広記、星野純一、乳原善文、藤井丈士、大橋健一、高市憲明

(背景)2010 年 Tervaert らによって糖尿病性腎症(DN)の病理分類が提唱された。(目的)1985~2002 年までに当院で腎生検を施行され、Tervaert の分類基準によりDNと診断された 250 人のうち、10 年以上 follow up され除外基準を満たさなかった 150 人に関して 10 年腎予後と腎病理所見、各種臨床パラメーターを検討。(結果)model 1 では Cox 回帰分析によるHazard Ratio(HR)は、glomerular class IIA と比較して class I、IIB、III、IVでそれぞれ 0.23(95%信頼区間(CI):0.03�1.79)、2.60(1.21�5.58)、5.11(2.30�11.36)、2.69(1.23�5.89)であった。同様に interstitial fibrosis and tubularatrophy(IFTA)の score においては score 1 と比較してHRは score 0、2、3 でそれぞれ0.22(95% CI : 0.03�1.74)、4.25(1.99�9.10)、5.79(2.51�13.37)であった。(結論)糸球体、尿細管間質、血管病変の進展はより高いHRに関連していた。これらの結果よりTervaert の病理分類は有用と考えられた。

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O-9.高齢糖尿病性腎症例の臨床病理学的特徴

金沢大学附属病院 腎臓内科1)、金沢医療センター 腎・高血圧・膠原病内科2)

○清水美保1,2)、遠山直志1)、古市賢吾1)、吉村光弘2)、木田 寛2)、和田隆志1)

【目的】高齢糖尿病性腎症例の臨床病理学的特徴と予後を明らかにする.【方法】2型糖尿病を有し,腎生検により糖尿病性腎症と組織診断された 260 例を対象として,高年齢者(腎生検時 65 歳以上)の臨床病理学的特徴と予後を検討した.【結果】年齢の内訳は,高年齢者 72 例(平均年齢 70.8 歳),若年齢者 188 例(平均年齢 53.4歳)であった.アルブミン尿陽性症例の割合は,高年齢者 88.9%,若年齢者 81.4%であり,差を認めなかった.一方,正常・微量・顕性アルブミン尿のいずれにおいても,腎機能低下例(推算GFR値 60ml�分�1.73m2未満)は,腎機能保持例(推算GFR値 60ml�分�1.73m2

以上)よりも高年齢であった.腎病理は,高年齢者において,動脈硬化が高度であった.予後解析では,高年齢者の腎予後が不良であった.心血管疾患発症には差を認めなかった.【結語】高齢糖尿病性腎症例は,腎機能低下と動脈硬化が高度であり,腎予後が不良であった.

O-10.2型糖尿病の正常~微量アルブミン尿期の腎組織および機能の経過―serial biopsy による検討

北里大学医学部内分泌代謝内科学○山岸貴洋、守屋達美、鈴木陽彦、千田将馬、小川惇郎、林 哲範、七里眞義

【目的】正常から微量アルブミン尿(NAからMA)期の 2型糖尿病患者に数年の間隔で経皮的反復腎生検を施行し,腎組織・機能の経時的変化とその関連を明らかにする.【方法】2型糖尿病のNAからMA期で経皮的腎生検を行った 32 例のうち,6.1±2.4 年の後に再生検をした 10 例を対象とした.腎機能および腎生検光学顕微鏡標本と電子顕微鏡標本の組織形態計測の変化を 2回の生検間で比較検討した.【結果】2回の生検間に腎機能および組織の変化は認めず,糖尿病網膜症の頻度も不変であった.しかし,メサンギウム拡大率の変化量と末梢係蹄開大度の変化量には有意の負の相関を認め,GFRの変化量と末梢係蹄開大度の変化量との間にも有意の負の相関を認めた.【結論】NAからMA期の今回の期間の経過観察では,臨床指標および組織の変化は著明ではない.しかし,メサンギウム拡大とともに末梢係蹄が縮小し,それに伴いGFRが減少することが示唆された.

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O-11.AGEs�DNA aptamer の体内動態と糖尿病性腎症抑制への期待

久留米大学医学部内科学講座腎臓内科部門1)、同糖尿病性血管合併症病態・治療学講座2)、同医学部自然科学教室化学3)、金沢医科大学統合医学研究所・先端医療研究領域・糖化制御研究分野4)、慶応義塾大学医学部化学教室5)

○深水 圭1)、山岸昌一2)、甲斐田裕介1)、松井孝憲2)、東元祐一郎3)、竹内正義4)、井上浩義5)、奥田誠也1)

AGEs は糖尿病性腎症(DN)の発症進展に中心的な役割を担っている。我々はAGEs と特異的に結合する aptamer を作製し、DNに対する効果について 2型糖尿病(DM)mouse を用いて検討した。AGEs aptamer を[32P]�ATPラベルし、C57BL�6Jmouse の腹腔内に浸透圧ポンプにて投与し、その体内動態を検討した。8週齢の 2型 DM mouse に AGEs aptamer を 8 週間投与し、AGEs レベル、腎機能、UAE、腎組織変化、尿 8�OHdG、遺伝子発現について検討した。さらに、mesangial cells における aptamer の有用性を検討した。[32P]�ATP�AGEs aptamer は投与 1時間後から血液、特に腎臓や肝臓などに分布した。AGEs aptamer は DM由来血清AGEs 濃度上昇を改善しなかったが、メサンギウム領域のAGEs 集積や、腎機能障害、UAE、腎重量を有意に改善した。DM由来メサンギウム基質の増加、糸球体肥大、MCP�1、CTGF、Type IV collage、RAGE発現は aptamer 投与により改善し、尿 8�OHdGレベルの低下を伴っていた。mesangial cells に AGEs を添加するとMCP�1、CTGF、RAGEが過剰発現し、それらは aptamer により有意に抑制された。以上より、AGEs aptamer は新たなDN治療薬として有用である可能性がある。

O-12.妊娠・母乳期の母親の高脂肪食摂取は成長した仔マウスのインスリン抵抗性と慢性腎臓病を性差を伴って惹起する

九州大学大学院医学研究院病態制御内科学1)、九州大学先端融合医療レドックナビ研究拠点2)

○横溝 久1)、井口登與志1,2)、園田紀之1,2)、髙柳涼一1)

【目的】妊娠・母乳期における母親の高脂肪食摂取が成長した仔マウスの耐糖能や腎機能に及ぼす影響について検討した。【方法】C57BL�6J マウスに対して交配と同時にコントロール食(CD)または高脂肪食(HFD)を母乳期まで投与した。4週齢で離乳した子供は全てCDに統一し、6週齢から 20 週齢までCDまたはHFDを継続投与した。6週齢、20 週齢の児に対し耐糖能評価及び腎評価を行った。【結果】腹腔内ブドウ糖負荷試験、インスリン負荷試験の結果、母親がHFD摂取の場合に耐糖能悪化とインスリン抵抗性増加を認めた。また尿アルブミンは母親の高脂肪食群で 6週齢ではオスのみで有意な増加を認めたが、20 週齢になるとオス、メス共に有意な増加を認めた。【結語】妊娠・母乳期の高脂肪食摂取により、成長した子供の耐糖能悪化及びインスリン抵抗性の増加、尿アルブミン増加を引き起こし、さらに慢性腎臓病には性差を伴うことが示唆された。

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O-13.肥満は 2型糖尿病患者における血中レプチン値と腎機能の関連に対する修飾因子である

東京女子医科大学 糖尿病センター内科○花井 豪、馬場園哲也、竹村俊輔、吉田宣子、萩原愛子、高木通乃、吉田直史、入村 泉、東谷紀和子、田中伸枝、内潟安子

【背景・目的】近年、肥満が血中レプチン値と心血管イベントの関連を修飾することが報告された。そこで我々は、糖尿病患者におけるレプチンと腎機能低下の関連を、肥満が修飾するという仮説をたてた。【方法】2型糖尿病患者 410 名(男性 250 名、平均年齢 58±13 歳)を対象とし、観察開始時の血中レプチン値によりに男女別に 3群に分類した。BMI�25 kg�m2を肥満と定義し、年間 eGFR変化率をアウトカムとした。【結果】平均観察期間は 4.7±1.4 年であった。eGFR変化率に対して、肥満の有無とレプチン値(低・中・高)の間に有意な交互作用を認めた(P interaction=0.003)。非肥満群では、レプチン中値群に対するレプチン低値群の eGFR低下は有意に急峻であった(p=0.023,ANCOVA)。一方肥満群では、レプチン高値群の eGFR低下が、レプチン中値群に対し有意に急峻であった(p=0.044)。【結論】2型糖尿病患者において、肥満は腎機能低下とレプチンの関連を修飾する可能性が示唆された。

O-14.糖尿病患者での経口リン負荷に対する FGF23 分泌低下―血清Pi 上昇による動脈硬化促進機序の存在―

大阪市立大学大学院医学研究科代謝内分泌病態内科学講座○与田紘一郎、今西康雄、与田真貴、山田真介、森 克仁、絵本正憲、稲葉雅章

[目的]経口無機リン(Pi)負荷試験で糖尿病(DM)患者および非糖尿病(non�DM)患者におけるFGF�23 分泌能を検討する。[方法]DM患者(n=10)、non�DM患者(n=10)(eGFR≧60)に、Pi 1 回 1g を 1 日 2回(8時・18 時)、2日間連続で経口負荷した。負荷 1日目の朝 8時の投与 0,2,4時間後および負荷 3日目朝 8時における Pi 調節ホルモンを測定した。[結果]負荷 1日目では、FGF�23 は non�DM群で Pi 負荷 2,4時間後で有意に上昇し、DM群では上昇しなかった。iPTHも non�DM群で 4時間後に上昇したもののDM群ではしなかった。負荷 3日目では、血清FGF�23,iPTHともに、non�DM群でのみ有意に上昇した。負荷 2時間後から 4時間後の血清 Pi の上昇は、FGF�23,iPTHの早期の上昇と負の相関を示し、non�DM群で有意に抑制された一方、DM群では有意な上昇を認めた。[結論]血清 Pi 上昇は動脈硬化リスクのため、DM患者におけるFGF23 分泌低下は、動脈硬化進行に関与することが示唆された。

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O-15.尿中 IV 型コラーゲンとアルブミン尿発症の関連

島根大学医学部内科学講座内科学第一1)、東京女子医科大学 糖尿病センター 内科2)

○守田美和1,2)、花井 豪2)、内潟安子2)

【目的】1型糖尿病患者において、尿中 IV型コラーゲン(T4C)がアルブミン尿発症の予測因子となるか検討する。【対象と方法】30 歳未満発症かつ 40 歳未満の正常アルブミン尿1型糖尿病患者 225 名を対象に前向きに観察した。平均年齢 25.5±5.4 歳、男性 32.9%。エンドポイントは 2回連続で尿中アルブミン(ACR)≧30mg�gCr とし、COX比例ハザード解析にて検討した。【結果】平均観察期間は 8.3±3.5 年。T4Cは ACR、年齢、性別、糖尿病罹病期間、網膜症、BMI、収縮期血圧、HbA1c、eGFR、T�Chol と独立してアルブミン尿発症の予測因子となった(Hazard Ratio=19.23、p=0.022)。次に、T4Cを中央値(2.4μg�gCr)で 2群間に分け検討したところ、T4C高値はACRを含む他のパラメータと独立してアルブミン尿発症の予測因子となった(Hazard Ratio=13.5、p=0.017)。【結語】T4Cがアルブミン尿発症の予測因子となる事が示唆された。

O-16.2型糖尿病患者における尿中 L�FABPの腎・心血管予後の予測因子としての有用性

滋賀医科大学 糖尿病・腎臓・神経内科1)、旭川医科大学 内科学講座 病態代謝内科学分野2)、金沢医科大学 糖尿病・内分泌内科学3)、聖マリアンナ医科大学 腎臓・高血圧内科4)

○荒木信一1)、羽田勝計2)、古家大祐3)、菅谷 健4)、柏木厚典1)、宇津 貴1)、前川 聡1)

1996�2000 年に滋賀医科大学経過観察研究に登録され、血清クレアチニン値 1.0mg�dl 以下で顕性蛋白尿を認めない 2型糖尿病患者 618 症例を対象に、尿中 L�FABP値を測定し 2011年末まで経過観察をおこなった。平均 12 年間の観察期間で 103 症例が腎・心複合イベント(透析療法導入・心筋梗塞・狭心症・脳卒中・閉塞性動脈硬化症)を発症した。イベント累積発症率は、尿中 L�FABP値の増加に従い上昇し、3分位高値群で補正相対リスクが 1.93(95% CI : 1.13�3.29)であった。第二評価項目(心血管イベント、50%eGFR低下、CKDステージ 4期への進行、平均年間 eGFR低下率)も、尿中 L�FABP3 分位高値群で発症リスクの増加と平均年間 eGFR低下率の増大が認められた。正常アルブミン尿期においても尿中 L�FABP3 分位高値群で腎・心複合イベント発症のリスクが高値であった。尿中 L�FABP値は、2型糖尿病患者の腎機能低下、心血管イベント発症の予測因子として有用である可能性が示唆される。

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O-17.2型糖尿病患者尿中 Insulin�like Growth Factor Binding Protein�re-lated Protein 1(IGFBP�rP1)値と腎機能との関連

旭川医科大学 内科学講座 病態代謝内科学分野○滝山由美、新井美成、永島優樹、辻 賢、坂上英充、石関哉生、本庄 潤、藤田征弘、安孫子亜津子、羽田勝計

【目的】糖尿病性腎症において、尿細管間質障害は腎機能予後に大いに関与する。我々は、IGFBP�rP1 について、epithelial mesenchymal transition を介した腎症進展における役割を明らかにしている。今回、2型糖尿病患者尿中 IGFBP�rP1 値と腎機能との関連性について検討した。【方法】旭川医科大学病院糖尿病内科外来通院 2型糖尿病患者 32 名の尿検体を用い、IGFBP�rP1 値を ELIZA法にて測定した。【結果】1.尿中 IGFBP�rP1 値と尿中アルブミン�クレアチニン比、β2�microglobulin、NAGとの間に有意な正の相関が認められた。2.尿中 IGFBP�rP1 値を、正常アルブミン尿群、微量アルブミン尿群、顕性アルブミン尿群で比較したところ、腎症進行とともに増加が認められた。3.尿中 IGFBP�rP1 と、eGFR、HbA1c、年齢、性別等とでは相関が認められなかった。【結語】2型糖尿病患者において、IGFBP�rP1 の新規糖尿病性腎症マーカーとしての可能性が示唆された。

O-18.糖尿病患者の推算糸球体ろ過率(eGFR)の高値に関する検討

大阪市立大学代謝内分泌病態内科学・腎臓病態内科学○津田昌宏、森 克仁、大野良晃、一居 充、越智章展、仲谷慎也、小林郁江、山田真介、石村栄治、稲葉雅章

糖尿病性腎症では eGFRが過大評価される症例が存在するが、糖尿病患者において eGFRが高値を示す要因に関する報告はない。今回、イヌリンクリアランス(Cin)を測定し、糖尿病患者において eGFR値と解離する影響因子につき検討した。対象は糖尿病患者 34 例(年齢 63.6±9.9 歳、男性 17 例)及び慢性糸球体腎炎 20 例(年齢 46.5±14.7 歳、男性 12 例)。Cin と eGFRとは強い正相関を示したが、糖尿病患者で eGFRが Cin と比較して有意に高値であった(p=0.0018)。Cin と eGFRの比率(eGFR�Cin)を求め、糖尿病性腎症において eGFRが Cin と解離する要因を検討した。eGFR�Cin はグリコアルブミン(GA)(r=0.505、p=0.0051)、ヘモグロビンA1c(HbA1C)(r=0.471、p=0.0003)と有意な正相関を認めた。年齢、性別、BMI で補正しても、GA、HbA1 のいずれもが eGFR�Cin と有意な正相関を認めた。本研究により、糖尿病腎症では血糖コントロールが eGFRが高値に影響する可能が示唆された。

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O-19.糖尿病患者におけるアルブミン尿寛解後の腎予後に関する検討

東京女子医科大学糖尿病センター○田中伸枝、馬場園哲也、髙木通乃、吉田直史、入村 泉、花井 豪、内潟安子

【目的】糖尿病患者におけるアルブミン尿寛解後の腎予後を明らかにする.【方法】2003 年から 2005 年にアルブミン尿を認めた糖尿病患者 1237 名のうち,2010 年までにアルブミン尿病期が寛解した 310 名(微量から正常 230 名,顕性から微量 80 名,平均年齢 58±13 歳,男性 52.6%)を対象とした.エンドポイントは寛解後のアルブミン尿病期の再進行とした.【結果】5年後における正常から微量アルブミン尿への再進行率は 28.7%,微量アルブミン尿から顕性アルブミン尿への再進行率は 35.0%であった.微量アルブミン尿への再進行に関連する因子は,尿中アルブミン(HR per log ; 5.92),総コレステロール(HR 0.99),中性脂肪(HR per log10 ; 4.11)であり,微量から顕性アルブミン尿への再進行には推算糸球体濾過量(HR ; 0.97)が独立した関連因子であった.【結論】一旦アルブミン尿が寛解した一部の糖尿病患者において,再度アルブミン尿病期が進行することが確認された.

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O-20.糖尿病腎症第 2期における eGFR測定の血圧管理上の意義 ―国立病院機構EBMのための大規模研究HBP�DN班第三報―

国立病院機構千葉東病院 内科1)、国立病院機構名古屋医療センター 糖尿病内分泌科2)、国立病院機構三重中央医療センター 内分泌・代謝科3)、国立病院機構大阪医療センター 糖尿病内科4)、国立病院機構岡山医療センター 糖尿病・代謝内科5)、国立病院機構京都医療センター 糖尿病センター6)、国立病院機構埼玉病院 内科7)、国立病院機構嬉野医療センター 内科8)、国立病院機構九州医療センター 代謝内分泌内科9)、横浜創英大学 看護学部 看護学科10)

○西村元伸1)、加藤泰久2)、田中剛史3)、東堂龍平4)、利根淳仁5)、山田和範6)、大谷すみれ7)、河部庸次郎8)、吉住秀之9)、星山佳治10)

【目的】HBP�DN研究は糖尿病腎症第 2期の家庭血圧(HBP)目標値を確立する前向き研究である。今回、eGFRの血圧変動に対する影響を検討。【方法】HBP�DN観察開始時データを解析。HBPは起床時、就寝時に 7日間測定。全測定値の標準偏差(SD)を血圧変動の指標とした。観察開始時の虚血性心疾患(CHD)、脳血管障害(CVD)、網膜症の既往に対する eGFRの影響も解析。【結果】登録患者を eGFR60ml�min�1.73m2を境に low GFR群(L群)(n=75)、と preserved GFR群(P群)(n=193)に分類。(1)HBPは有意差なし。使用降圧剤数は L群多かった(p<0.0001)。(2)収縮期血圧の SDは L群で高値(p<0.05)。重回帰分析で、血圧と eGFR低値が SDの説明因子。(3)eGFR低値は、CHD、網膜症の独立した危険因子。【結語】L群は降圧に抵抗性で、血圧変動も大きい。合併症も進展しており過降圧によるトラブルの危険もある。第 2期の中でも、eGFR低下例は、安全かつ有効な降圧の為、家庭血圧測定を、より必要とする。

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O-21.2型糖尿病モデルラットの腎症に対する米タンパク質摂取の有効性

新潟大学 超域学術院1)、新潟県立大学 人間生活学部2)、新潟大学 医歯学総合病院 第二内科3)、新潟大学 大学院医歯学総合研究科 機能分子医学講座4)、新潟大学 大学院自然科学研究科5)

○久保田真敏1)、渡邊令子2)、細島康宏3)、飯野則昭3)、斎藤亮彦4)、藤村 忍1,5)、門脇基二1,5)

【背景】糖尿病性腎症の食事療法において、摂取タンパク質の種類(動物性・植物性)による効果の違いには不明な点が多い。【目的】日本人の主要な植物性タンパク質源である米タンパク質(RP)と動物性タンパク質カゼインの摂取が、2型糖尿病モデルラットの腎症に与える影響を比較した。【方法】7週齢のGoto�Kakizaki 雄ラットに対して、RPあるいはカゼインをタンパク質源とした 30%高スクロース飼料を 15 週間給与し、腎症および糖尿病関連パラメータを比較した。【結果】飼育期間を通して血糖値および血漿インスリン濃度は 2群間で差はなかった。尿中アルブミン排泄量は飼育期間を通してRP群で減少傾向あるいは有意な減少が見られた。さらにRP群で腎臓内MCP�1 発現が低下し、糸球体メサンギウム領域の拡大が抑制された。【結論】カゼインに比較しRPの摂取は糖尿病性腎症の進行を遅延させる可能性がある。

O-22.腎糸球体ポドサイトの炎症性障害に対するシロスタゾール�プロブコールの相加的保護作用

千葉大学大学院 医学研究院 細胞治療内科学1)、千葉大学医学部附属病院糖尿病代謝内分泌内科2)

○賀 鵬1)、河村治清1,2)、藤本昌紀1,2)、小林一貴1,2)、石川崇広1,2)、大西俊一郎1,2)、石橋亮一1,2)、岡部恵見子1,2)、久野響子1)、竹本 稔1,2)、横手幸太郎1,2)

目的:シロスタゾール(CSZ)、プロブコール(PBC)のポドサイトの炎症性障害に対する保護メカニズムを解明する。方法:マウスおよび培養ポドサイトにリポポリサッカライド(LPS)により急性炎症を惹起し、誘導されるアルブミン尿、炎症性因子に対するCSZ、PBCの効果、およびシグナル分子の変化を免疫染色、リアルタイム PCRおよびウェスタンブロットにより検討した。結果:in vivo の検討では、LPSにより生じるアルブミン尿およびMCP1 の発現が、CSZ�PBCにより抑制された。培養ポドサイトでも同様にMCP1 の発現がCSZ、PBCにより抑制され、CSZは ERK、PBCは酸化ストレスの抑制を介して作用することが明らかになった。考察:CSZ、PBCが急性炎症に対してポドサイト保護効果を持つことが示された。慢性炎症が関与する糖尿病性腎症に対する効果も期待され、今後検討を行っていく。

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O-23.2型糖尿病モデルを用いたN,L―型 Ca拮抗薬の腎保護効果の検討

埼玉医科大学総合医療センター 腎・高血圧内科1)、石川記念会2)、埼玉医科大学 神経内科3)

○朝倉受康1)、長谷川元1)、高柳佳織2)、島津智一3)、岡崎晋平1)、清水泰輔1)、岩下山連1)、田山陽資1)、松田昭彦1)、叶澤孝一1)、御手洗哲也1)

近年 N,L�型Ca拮抗薬(NLCCB)の抗蛋白尿効果が大規模臨床試験で示され、糸球体高血圧改善作用の存在が指摘されている。本研究では 2型糖尿病ラットに対するNLCCBの腎保護作用を抗糸球体高血圧作用の観点から検討することを目的とした。【方法】28 週齢のOLETFラット(F)、Fに cilnidipine(30 mg�kg)を 6週間経口投与した群(CL)と対照群として LETOラット(L)から 34 週齡で腎を摘出し、組織学的解析を行った。【結果】血圧は Lが有意に低くF、CLに有意差はなかった。腎重量、UAEは Fで増加しCLで改善した。糸球体容積、デスミン発現は共にFで増加しCLで抑制された。【結論】cilni-dipine 投与は全身血圧とは独立して糸球体肥大の抑制、糸球体上皮細胞障害の改善を示し、腎保護効果の一部には糸球体高血圧改善が関与していることが示唆された。

O-24.アリスキレン投与による腎症進展抑制機序の検討―自然発症 2型糖尿病モデルマウスを用いて―

順天堂大学腎臓内科○古川雅子、合田朋仁、萩原晋二、山口早織、表 敬介、苑田祐二、石坂匡則、谷本光生、堀越 哲、船曳和彦、富野康日己

目的:KK�Ayマウスにアリスキレンを投与し、MMPs�TIMPs のアンバランスや炎症・線維化に関与するサイトカインなどの異常発現を是正することにより、蛋白尿の減少をきたすとの仮説を明らかにする。方法:KK�Ayマウスを未治療群とアリスキレン投与群に分け8・12 週齢の表現型を測定した。8・12 週齢の腎組織におけるMMPs�TIMPs・Fi-bronectin・Type 4 collagen・MCP�1・Pro renin receptor の発現とMAPKと NF�κBの活性を確認した。結果:アリスキレン投与群では、未治療群と比較して血圧・尿中アルブミンの有意な低下を認めるとともに、MMPs�TIMPs・Fibronectin・Type 4 collagen・MCP�1・Pro renin receptor の mRNAあるいは蛋白発現が有意に抑制された。また、MAPKとNF�κBの活性も抑制された。結語:アリスキレンは、MMPs�TIMPs や炎症・線維化に関与するサイトカインなどの発現を調節することにより、腎保護効果を認める可能性があることが示された。

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O-25.メタボローム解析による新規糖尿病性腎症バイオマーカーの探索

名古屋大学大学院医学系研究科 腎臓内科1)、慶應義塾大学先端生命科学研究所2)、中部労災病院 糖尿病内分泌内科3)、藤田保健衛生大学医学部 腎内科学4)

○丸山彰一1)、佐藤和一1)、平山明由2)、中島英太郎3)、秋山真一1)、坪井直毅1,2)、曽我朋義2)、湯澤由紀夫4)、松尾清一1)

糖尿病性腎症の診断には微量アルブミン尿が用いられるが、その精度は必ずしも十分ではない。本研究は、感度と特異度に優れた新規糖尿病性腎症診断バイオマーカーを探索することを目的とした。我々は、キャピラリー電気泳動時間飛行型質量分析(CE�TOFMS)を用い、78 例の糖尿病性腎症患者(第 1期 20 例、第 2期 32 例、第 3期以上 26 例)の血清代謝物を解析した。289 の代謝物を用いて PLS判別分析を行い、19 の代謝物を同定した。このうち 5個の代謝物を採用した重回帰分析では、糖尿病性腎症診断におけるROC曲線のAUCは 0.927 と高値であった。また 4種類の既知の代謝物(aspartic acid,SDMA,azelaicacid,galactaric acid)のみを採用した場合も 0.844 という高いAUCが得られた。血清メタボローム解析と多変量解析により糖尿病性腎症患者を高い精度で選別することが可能であった。メタボローム解析は糖尿病性腎症の診断アプローチとして有用である。

O-26.糖尿病における動脈硬化性腎動脈狭窄が長期の心腎血管イベントに及ぼす影響

東北大学高等教育開発推進センター1)、東北大学大学院医学系研究科 腎・高血圧・内分泌学分野2)、美里町立南郷病院3)

○小川 晋1,2)、奈古一宏2)、岡村将史2,3)、千田美穂2)、坂本拓矢2)、伊藤貞嘉2)

目的:糖尿病における動脈硬化性腎動脈狭窄(ARAS)が心腎血管イベント(CVRE)発症に及ぼす影響を明らかにする。対象:2003 年にMRAを施行しARASの評価ができた糖尿病 200 例で 7年間追跡可能であった 162 名。方法:ARASの有無、eGFR、age、血糖、血圧、脂質、肥満、喫煙、IMT、PWV、adiponectine、IL�6、MCP�1、VEGF、angiopoietin(Agp)�2、IP�10、ANP、BNP、eGFR変化が 7年間の CVREに及ぼす影響を検討した。結果:CVRE(+)群(n�40)では(�)群(n=122)に比較して age、血圧、IMT、PWV、ANP、BNP、MCP�1、IP�10、AGP�2、ARAS(+)率が高値、HbA1c、eGFR、HDL�Cが低値、ARAS、eGFR変化、Agp�2、BNP、喫煙がCVREの危険因子、IMTがARASの危険因子、ARAS、AGP�2 が eGFR変化の危険因子であった。CVRE発症率はARAS(�)(n=126)で 20.6%、(+)(n=36)で 77.1%であった。結論:糖尿病におけるARASは全身動脈硬化を反映し、CVREの危険因子であり、虚血がARASや CVREに関連する可能性がある。

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O-27.喫煙は 1型糖尿病女性患者において尿蛋白出現のリスクとなる(横断研究)

自治医科大学 内分泌代謝科○岡田健太、石橋 俊

【目的】1型糖尿病(T1D)患者における喫煙状況、尿蛋白の程度および性差の関連性をみる目的で断面的観察研究を行った【方法】当院 1年以上通院中のT1D患者 259 名(女性 169名、年齢 50.7 歳)を対象。喫煙習慣は質問票を用い、現在の喫煙者を同定。性別、年齢、BMI、血圧、糖・脂質パラメーターおよび細小血管障害を調査し、糖尿病性腎症は尿中微量アルブミン(ACR)別に層別化し解析【結果】当科T1D患者の喫煙率は 27.0%。喫煙率は男性で 52.2%と女性(13.6%)より顕著。全体で正常アルブミン尿 61.8%(n=160)、微量ACR尿 21.6%(n=56)、顕性蛋白尿 16.6%(n=29)で、顕性蛋白尿の割合は男性で 24.4%、女性で 12.4%。ロジスティック解析にて現時喫煙は女性T1D患者でのみ顕性蛋白尿の出現リスクと関連(オッズ比 4.13、95%信頼区間=1.45�11.73、P<0.01)【結論】当院における横断研究から、喫煙は女性T1D患者において尿蛋白出現のリスクとなる可能性が示唆された

O-28.地域医療における糖尿病性腎症進展予防の試み(第 2報)

弘前大学大学院医学研究科 地域医療学講座1)、弘前大学医学部附属病院 腎臓内科2)、弘前大学大学院医学研究科 内分泌代謝学講座3)

○中村典雄1,2)、藤田 雄2)、村上礼一2)、島田美智子2)、成田育代2)、柳町 幸3)、松井 淳3)、福田眞作1)、奥村 謙2)

【はじめに】2011 年 5 月より我々は、地域における糖尿病性腎症の現状把握、進展予防のために早期腎症の観察研究を開始した。3年間の観察予定であるが、今回、現時点での状況を紹介する。【方法】20 歳以上の 2型糖尿病でアルブミン尿(UAE)が 30~300mg�gCrの患者を登録して 6カ月毎に経過観察した。なお腎症進展予防を期待し登録時に事務局より現在の標準治療に関するコメントを提供した。【結果とまとめ】最終エントリー数は 317例となった。6ヶ月まで経過観察できたのは 279 例(88.0%)であり、寛解例(UAE<30mg�gCr)が 51 例(18.3%)、進展例(UAE≧300mg�gCr)が 29 例(10.4%)であった。現時点で 12 ヶ月まで経過観察できた 71 例では、寛解例が 24 例(33.8%)、進展例が 9例(12.7%)であった。現時点での結果より早期腎症からの寛解、進展の条件について検討してみたい。

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O-29.糖尿病性腎症(DN)93 人の治療成績

椎貝クリニック1)、国分寺南口クリニック2)

○椎貝達夫1)、平沢 博1)、坂東梨恵1)、熊本初美1)、椎貝冨士子1)、篠原芳江1)、池田直子1)、丸田利奈1)、栗山廉二郎2)

【目的】DN(DM合併CKD)は増加しており、それへの有効な対策は急務である。DNの治療成績を述べる。【方法】2010 年 10 月以降に当院を受診した 93 人(男�女:83%�17%、年齢 66.2±11.2 歳)を対象とした。1.血圧調節、2.食事療法、3.薬物療法、4.集学療法は既法のとおりである。CKD Stage4 が 29 人(31.2%)、CKD Stage5 が 49 人(52.7%)だった。【結果】家庭血圧収縮期<125mmHg 23 人(32.8%)、拡張期<75mmHg 61 人(87.1%)だった。治療後の eGFR減少率は≧100% 18 人(19.4%)、80~99% 40 人(43%)、50~79%30 人(32.3%)、<50% 5 人(5.3%)だった。尿蛋白の減少は 59 人(63.4%)でみられ、うち 39 人(41.9%)が 50%以上の減少を示した。治療中 14 人(15%)が透析導入となった。【結論】当院の保存療法は、尿蛋白減少率が高く、eGFR保持効果も高かった。更に治療法の細部を検討し、成績を改善したい。

O-30.糖尿病性腎症による透析患者の栄養評価―非糖尿病例との比較―

東京医科大学腎臓内科1)、東京家政学院大学2)

○金澤良枝1,2)、中尾俊之1)

[目的]Protein�energy wasting(PEW)の国際診断基準により糖尿病性腎症血液透析患者(DN)の栄養評価を行い、非糖尿病血液透析患者(N�DN)と比較した。[方法]対象はDN 91 例、年齢 67.5±9.8 歳、透析歴 64.0±47.6 ヶ月。PEW判定基準として、①血清アルブミン濃度3.8mg�dl 未満、② BMI18.5kg�m2未満、③上腕筋面積(AMA)健常者の 10%以上低値、④非意図的食事摂取たんぱく質 0.8g.kg�day 未満、エネルギー量 25kcal�kg�day 未満に基づき、この 4項目のうち 3項目が該当するものを PEWと判定し、N�DN 119 例と比較した。[結果]DNの血清アルブミン濃度(g�dl)は、3.6±0.3、3、BMI(kg�m2)は 22.1±3.6、AMA(cm2)男性 42.8±12.3、女性 38.6±8.2、食事摂取たんぱく質(g�kg�day)1.06±0.30、エネルギー量(kcal�kg�day)28±6 であった。PEWと判定された者の頻度は、DN16.5%(15 例)、N�DN13.4%(16 例)で両群間に有意差を認めなかった。[結論]DNの PEW頻度はN�DNと有意差を認めなかった。

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O-31.糖尿病性腎不全患者の血糖コントロールに対する超速効型・速効型インスリン製剤の持続血糖モニター(CGM)による有効性の比較

大阪市立大学大学院医学研究科代謝内分泌病態内科学1)、大阪市立大学大学院医学研究科老年血管病態学2)、大阪市立大学大学院医学研究科腎臓病態内科学3)

○森 克仁1)、絵本正憲1)、浦田博美1)、山崎祐子1)、元山宏華1)、森岡与明1)、福本真也1)、庄司哲雄2)、石村栄治3)、稲葉雅章1)

【目的】糖尿病性腎不全患者(DM�CRF)の血糖コントロールにおける超速効型(Q)・速効型インスリン製剤(R)の有効性について持続血糖モニター(CGM)を用いて比較検討した。【方法】対象は 18 名の保存期DM�CRFで、CGMを装着後、第一日目R3回、第二日目は同単位のQ3回で血糖コントロールを行った。【結果】食事開始時点での血糖値を基準とし、食後の血糖変化量をチェックし、5分ごとに血糖変化量の 18 名の平均値を算出した。このデータをもとに、横軸に時間、縦軸に血糖変化量をとり、グラフを作成し、血糖値曲線化面積(AUC)(mg�dl・min)を求めた。(朝食・昼食・夕食)後のAUCはそれぞれR群で(8616・4278・6801)に対し、Q群では(5094・6707・2504)であった。【総括】DM�CRFにおいて、Qは Rに比較し、朝食・夕食後の血糖上昇を有意に抑制し、Qの有効性が示唆された。

O-32.DPP�4 阻害薬による尿中Na排泄と血圧への影響(第 2報)

埼玉医科大学総合医療センター 腎高血圧内科○叶澤孝一、岩下山連、三谷知之、清水泰輔、田山陽資、朝倉受康、長谷川元、御手洗哲也

【背景】糖尿病(DM)では食塩感受性高血圧をきたし易い。一方、GLP�1 受容体は腎近位尿細管に存在し、Na利尿に働く。【目的】DPP�4 阻害薬(DPP�4I)によるNa利尿や降圧効果を、食塩摂取量および血圧測定の条件が一定である入院患者の短期効果で検討する。【方法】対象はCr 2.0mg�dl 未満の塩分 6g未満の食事を摂取中の 2型 DM入院患者。DPP�4I 投与前後各 1週間以内の 24 時間尿中NaCl 排出量、投与前後各 3日間の早朝血圧の平均値を比較した。【結果】降圧薬、利尿薬の変更がなかった 36 例において、尿中NaCl 排出量は 4.4±0.4g�日から 5.8±0.4g�日に上昇(p<0.01)、早朝血圧は収縮期が 122±3mmHgから 117±3mmHg(p<0.01),拡張期が 71±2mmHgから 67±2mmHg(p<0.05)へと低下した。これらの変化は利尿薬を併用していない群に比し、利尿薬を併用していた群で顕著であった。【結論】2型 DM患者に対するDPP�4I の投与により、尿中Na排泄が増加し血圧が下がる可能性がある。

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O-33.糖尿病例における腎症進行・心血管死・総死亡への脂質異常症の影響のメタ解析

金沢大学附属病院 腎臓内科○遠山直志、北島信治、北川清樹、岩田恭宜、清水美保、古市賢吾、和田隆志

【目的】糖尿病例における腎症進行・心血管死・総死亡への脂質異常症の治療の影響について,メタ解析を行った.【方法】検索対象のデータベースとしてMEDLINE,CINAHLを用い,主なキーワードとして糖尿病・アルブミン尿・脂質異常症・心血管障害・総死亡を挙げた.糖尿病例を対象とし,年齢又は多変量調整後の相対危険(RR)を報告している前向きコホート研究を選択した.相対危険の統合にはランダム効果モデルを用いた.【結果】LDLコレステロール高値が与える影響について,17 のコホート研究が選択された.LDLが 1 mmol�l(38 mg�dl)高値である症例において,アルブミン尿の発症のリスク比は1.15 であった.心血管死のリスク比は 1.35,総死亡のリスク比は 1.12 であった.【結語】糖尿病例において脂質異常症は,腎症進行,心血管死,総死亡に対するリスク因子となる可能性がある.

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第 24 回日本糖尿病性腎症研究会を開催するにあたりまして、多くの企業にご支援をいただきました。ありがとうございます。心より深謝申し上げます。

第 24 回日本糖尿病性腎症研究会当番世話人 片山 茂裕

謝 辞

【協賛企業一覧】

アステラス製薬株式会社

アストラゼネカ株式会社

株式会社エスアールエル

MSD株式会社

小野薬品工業株式会社

キッセイ薬品工業株式会社

グラクソ・スミスクライン株式会社

興和創薬株式会社

塩野義製薬株式会社

第一三共株式会社

田辺三菱製薬株式会社

帝人ファーマ株式会社

テルモ株式会社

日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社

日本イーライリリー株式会社

日本ベクトン・ディッキンソン株式会社

ノバルティス ファーマ株式会社

ノボ ノルディスク ファーマ株式会社

ファイザー株式会社

(五十音順 2012 年 11 月 15 日現在)