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第12回CO2フリー水素WG 事務局提出資料 平成30年3月29日 資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部 新エネルギーシステム課 水素・燃料電池戦略室 資料1

第12回CO2フリー水素WG...第12回CO2フリー水素WG 事務局提出資料 平成30年3月29日 資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部 新エネルギーシステム課

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第12回CO2フリー水素WG

事務局提出資料

平成30年3月29日

資源エネルギー庁

省エネルギー・新エネルギー部

新エネルギーシステム課

水素・燃料電池戦略室

資料1

1

パリティ条件の検討について

• 水素が既存の化石燃料に代替するためのパリティ条件試算では、LPガス代替が最も可能性があるとしているが、LPガスが使われているエリアでは配送が課題。配送のコストも今後は検討に加えていただきたい。

• 種々のパリティ条件が試算されているが、例えばフォークリフトの例ではガソリンには税金が入っている一方、水素に対する課税については考慮されていない。パリティを考えるときの前提条件についても整理が必要ではないか。

• パリティ条件の試算は非常にわかりやすい基準であり、今後の議論の土台となり得る。これをベースに今後様々な議論をしていきたい。水素基本戦略では将来の目指すべき姿として定量的な目標が示されたので、それを前提として試算をするとどのような結果になるのかについても検討してもらいたい。

水素のCO2削減コストについて

• 米国ではこれまでソーシャルコストオブカーボンと言う概念に基づき、CO2の削減コストとして3,000円/t-CO2を下回る政策は正当化されてきた。同様の考え方に基づいて、どの程度のCO2削減コストなら許容されるかということを検討する上では、今回の情報は非常に有効である。

• FITが導入された当初のCO2削減コストは約7万円/t-CO2との試算もある。水素の場合でも同様のコストが許容されるかは議論が必要だが、こうした過去の事例も踏まえつつ、どのように制度を設計するか検討すべき。

第11回WGでの委員からの主なご意見

2

CO2フリー水素の定義に係る論点 CO2フリー水素定義づけの意義

副生水素の取り扱い

CO2排出量のカウント対象とする境界範囲

非化石価値取引市場について 水素の環境価値の顕在化

高度化法における水素の取り扱い

省エネ法の電力供給業におけるベンチマーク制度について 見直しの概要

水素の位置づけ

本日の議題

3

CO2フリー水素定義づけの意義

現状、燃料利用によるCO2排出係数の考え方は”燃料の利用時”だけにフォーカスした算定方法となっており、例えば天然ガスの採掘・輸送に係るCO2排出量については考慮されていない。

水素発電について同様に考えた場合、水素発電は燃料となる水素の製造源によらず燃焼時にCO2を排出しないため、ゼロエミッションという扱いになるが、例えば再エネ由来の水素と化石燃料由来の水素を同じ扱いとすることは、必ずしも水素の環境価値を正確に捉えているとは言えない。

こうした水素の特性に鑑みると、製造段階でのCO2排出量にも着目し、より環境性が高いと認められる水素をCO2フリー水素と定義づけ、普及促進を図ることが重要。

発電種別ごとのCO2排出係数の比較

0.82

0.66

0.40

0 0 0

0

0.2

0.4

0.6

0.8

石炭火力 石油火力 LNG火力 原子力 水力等再エネ 水素水素

0?

水素のCO2排出係数の検討を行うに当たっては、下記のうちどこまでのパスを考慮するかの検討が必要。

その上で、CO2フリー水素を定義し、普及促進を図ることが重要。

原料採掘・生産

原料輸送・貯蔵

水素製造

水素輸送・貯蔵

水素利用

[出典]「日本のエネルギー2015」を元に資源エネルギー庁作成

CO2排出係数[Kg-CO2/kWh]

様々な水素のCO2排出量(LCA)※

1.08

0.31

1.07

1.07

0.45

0.45

0.25

0.63

0.25

0.63

0.25

0.63

0.25

0.63

0.25

0.63

0.30

0.30

0.30

0.16

0.30

0.16

0.30

0.16

0.30

0.16

0.30

0.16

1.38

0.60

1.62

1.86

0.55

0.79

1.00

1.24

0.55

0.79

0.55

0.79

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6 1.8 2

都市ガス改質

下水汚泥利用

天然ガス改質(圧縮水素輸送)

天然ガス改質(液体水素輸送)

塩電解(圧縮水素輸送)

塩電解(液体水素輸送)

天然ガス改質(CCS実施、圧縮水素輸送)

天然ガス改質(CCS実施、液体水素輸送)

国内風力発電(圧縮水素輸送)

国内風力発電(液体水素輸送)

国内太陽光発電(圧縮水素輸送)

国内太陽光発電(液体水素輸送)

オンサイト

オフサイト

水素1Nm3あたりの温室効果ガス排出量 [kg-CO2e/Nm3-H2]

製造

輸送・貯蔵

充填

1.11

0.91

0.74

0.12

0.21

1.11

0.91

0.74

0.12

0.21

0.55

1.66

1.46

1.29

0.67

0.76

0.79

1.90

1.70

1.53

0.91

1.00

0.00 0.50 1.00 1.50 2.00 2.50 3.00

配分なし

代替燃料(石炭)

代替燃料(A重油)

代替燃料(都市ガス)

配分(質量基準)

配分(経済価値基準)

配分なし

代替燃料(石炭)

代替燃料(A重油)

代替燃料(都市ガス)

配分(質量基準)

配分(経済価値基準)

塩電解(圧縮水素輸送)

塩電解(液体水素輸送)

水素1Nm3あたりの温室効果ガス排出量 [kg-CO2e/Nm3-H2]

配分なし

追加分

副生水素のCO2排出量の考え方

【参考】様々な水素のCO2排出量/副生水素の取り扱い

水素のCO2排出量については、原料となるエネルギー源に大きく左右される。この際、原料の採掘・生産から輸送・貯蔵、水素製造、水素の輸送・貯蔵に至るまでのプロセスのうち、どこを境界とするかは慎重な検討が必要。

また、副生水素のCO2排出量をどのように主産物と分配し評価するかについては大きな論点であり、今後の検討が必要。

[出典]みずほ情報総研(株)作成 4※前提条件として、塩電解パスにおける水素製造時、国内風力発電・太陽光発電パスにおける発電時の

GHG排出はゼロと仮定。また、オフサイト方式における水素の出荷用圧縮・液化プロセスは「輸送・貯蔵」に含む(全て系統電力利用を想定)

水素1Nm3あたりの温室効果ガス排出量[kg-CO2e/Nm3-H2]

水素1Nm3あたりの温室効果ガス排出量[kg-CO2e/Nm3-H2]

5

CO2排出量のカウント対象とする境界範囲

既述の通り、水素は利用時にはCO2を排出しないため、水素のCO2排出量をカウントしようとした場合には、製造や輸送といったパスのうち、どこまでを範囲に含めるかが論点となる。

CertifHyの議論においては輸送以降のパスについては対象外とされており、またLNG等従来エネルギーの排出係数の考え方には輸送面は含まれていないことを踏まえると、水素については製造段階のみ、あるいは原料採掘から製造段階までを対象とすることが適当ではないか。

水素製造~利用のパス

採掘・生産

輸送・貯蔵

水素製造

輸送・貯蔵

利用

採掘・生産

輸送・貯蔵

利用

原料

水素

天然ガス

CeritifHyの議論及びLNG排出係数の考え方に基づき境界範囲から除外。

LNG発電排出係数:0.40kg-CO2/kWh

水素燃焼時:0kg-CO2/Nm3

原料採掘~水素製造までを境界範囲に含めるケース

水素製造のみを境界範囲とするケース

LNG製造~利用のパス

6

CO2フリー水素の定義に係る論点 CO2フリー水素定義づけの意義

副生水素の取り扱い

CO2排出量のカウント対象とする境界範囲

非化石価値取引市場について 非化石価値取引市場の創設

非化石証書取引によるCO2フリー水素の普及拡大

高度化法における水素の位置づけ

省エネ法の電力供給業におけるベンチマーク制度について 見直しの概要

水素の位置づけ

本日の議題

7

非化石価値取引市場の創設

電力システム改革貫徹のための政策小委員会中間取りまとめ(平成29年2月)において、非化石価値の顕在化や固定価格買取り制度による国民負担の軽減等に資するとして、非化石価値取引市場の創設について明記された。

遅くとも2018年5月上旬にはFIT電源を対象に非化石価値の取引を開始することとされており、FIT電源由来以外の非化石証書については、2019年度に発電された電気相当の非化石証書を市場取引対象とすることを目指すとされている。

非化石価値取引市場創設効果イメージ

[出典] 電力・ガス基本政策小委員会 第15回制度検討作業部会(平成29年11月28日)

8

非化石証書取引によるCO2フリー水素の普及拡大

水素基本戦略に記載の通り、水素発電についてはその環境価値を顕在化することが重要。高度化法における非化石電源としての位置づけに係る検討が進み、下記の整理に基づいて水素の環境価値が取引が可能となれば、CO2フリー水素の普及拡大の一助となることが期待される。

このため、高度化法における水素の位置付けを整理した上で、水素の環境価値が取引可能となるよう検討を進めていく必要がある。

[出典] 電力・ガス基本政策小委員会 第15回制度検討作業部会(平成29年11月28日)

9

【参考】FIT非化石証書の入札価格および取引スキーム

先行して取引が開始されるFIT電源を対象として非化石証書については、FIT賦課金の金額や、FITの調達価格と回避可能費用の差額等を考慮し、入札最低価格を1.3円/kWh、入札最高価格を4円/kWhとすることが検討されている。

FIT電源に係る非化石証書は、FIT法上の費用負担調整機関である低炭素投資促進機構(GIO)が、FIT電気の買取量(kWh)に相当する非化石証書を日本卸電力取引所(JEPX)を通じて、小売電気事業者に売却する。

FIT非化石証書のオークションイメージ

入札量(kWh)

価格(円/kWh)

3 7 1110 14

1.3円/kWh

4円/kWh

最高価格

最低価格

[出典] 電力・ガス基本政策小委員会 第15回制度検討作業部会(平成29年11月28日)を基に作成

FIT非化石証書取引スキームイメージ

10

高度化法における水素の位置づけ

現状、高度化法においては、原油・石油ガス・可燃性天然ガス・石炭に由来する水素については化石燃料と定義しているところ。

一方で、再エネから製造された水素や産業プロセスで生産される副生水素の取り扱いについては必ずしも明確にはされておらず、また化石燃料改質+CCSで製造された水素についてもどのように取り扱われるかについては明記されていない。

高度化法上の非化石価値として水素の環境価値を訴求することを検討する場合には、こうした点も含め、まずは論点を整理することが重要ではないか。

高度化法における水素に係る記載

エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律施行令(第三条)

法第二条第二項の政令で定めるものは、揮発油、灯油、軽油、重油、石油アスファルト、石油コークス、可燃性天然ガス製品、コークス、コールタール、コークス炉ガス及び水素(原油、石油ガス、可燃性天然ガス又は石炭に由来するものに限る。)とする。

エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律(第二条第二項)

この法律において「非化石エネルギー源」とは、電気、熱、又は燃料製品のエネルギー源として利用することができるもののうち、化石燃料(原油、石油ガス、可燃性天然ガス及び石炭並びにこれらから製造される燃料(その製造に伴い副次的に得られるものであって燃料の用に供されるものを含む。)であって政令で定めるものをいう。第五項において同じ。)以外のものをいう。

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CO2フリー水素の定義に係る論点 CO2フリー水素定義づけの意義

副生水素の取り扱い

CO2排出量のカウント対象とする境界範囲

非化石価値取引市場について 水素の環境価値の顕在化

高度化法における水素の取り扱い

省エネ法の電力供給業におけるベンチマーク制度について 省エネ法における電力供給業のベンチマーク制度

電力供給業のベンチマーク制度と水素の位置づけ

本日の議題

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省エネ法における電力供給業のベンチマーク制度

省エネ法の工場等判断基準においては、全ての新設する発電専用設備に対して、「国内の火力発電専用設備の平均的な受電端発電効率と比較し、年間で著しくこれを下回らないものとすること」を求め、石炭・LNG・石油等を燃料とする火力発電の基準発電効率を規定している。

2016年4月には省エネ法における電力供給業のベンチマーク制度の見直しが行われ、バイオマス燃料等の非化石エネルギーを混焼させる場合には、電気(非化石エネルギー由来の電気も含めた全ての電気)を生産するために必要な化石燃料を減少させる点で評価しうると整理された。

具体的には、発電専用設備に投入するバイオマス燃料のエネルギー量を発電専用設備に投入するエネルギー量から控除して発電効率を算出し、当該発電効率をベンチマーク指標に反映して報告できることとされている。

バイオマス混焼を行う際の発電効率の算出方法

[出典] 平成27年度火力発電に係る判断基準ワーキンググループ 最終取りまとめ(平成28年3月29日)

発電効率

発電専用設備から得られる電力エネルギー量

発電専用設備に投入するエネルギー量

発電専用設備に投入するバイオマス燃料のエネルギー量ー

※いずれも設計上における定格運転時の値

混焼率と「発電効率」の関係

[出典] 平成29年度火力発電に係る判断基準ワーキンググループ 取りまとめ(案)(平成30年2月9日)

13

電力供給業のベンチマーク制度と水素の位置づけ

水素の環境価値を積極的に活用するため、前述のバイオマス混焼の例を参考にしつつ、省エネ法上の水素の取扱いについて検討が進むことが期待される。

2018年2月には、こうした混焼の取組において、混焼率の二極化が見られたり、混焼によってベンチマーク指標が著しく高くなる事例が散見されたことなどから、発電効率に上限値を定めるなどの措置が講じられることとなったところ。

しかしながら、現行の電力供給業におけるベンチマーク制度では水素の位置づけが必ずしも明確でなく、水素の取扱いについては実態を踏まえながら検討を行うこととされたため、引き続き検討状況をフォローしていく。

ベンチマーク指標の加重平均値 各発電方式の発電効率上限値

発電方式 上限値(発電端、HHV)

石炭による火力発電 51%

可燃性天然ガス及び都市ガスによる火力発電

58%

石油その他の燃料による火力発電 49%

[出典] 平成29年度火力発電に係る判断基準ワーキンググループ 取りまとめ(案)(平成30年2月9日)

※今後の技術開発動向を踏まえて見直しを検討