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1 第1回 奈良県高齢者福祉計画及び奈良県介護保険事業支援計画策定委員会 議 事 録 29 2 00 4 15 11 1 3 1 30 4 7 1 6 7

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第1回 奈良県高齢者福祉計画及び奈良県介護保険事業支援計画策定委員会

議 事 録

日 時:平成 29 年8月3日(木) 午後 2:00~4:15 場 所:奈良県文化会館 地下1階 多目的室 出席者:委員 11 名、関係課、事務局 1.開会 事務局 ただいまから、奈良県高齢者福祉計画及び奈良県介護保険事業支援計画の第 1回策定委員会を開催させていただきます。本日はお忙しいところありがとうございます。私は長寿社会課の森田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。本委員会は、本県の「審議会等の会議の公開に関する指針」により、会議を公開することとなっておりますので、ご協力をお願いいたします。 本委員会の議事録については、県のホームページに掲載させていただきます。また、ご発言いただく際は、マイクを回させていただきますので、マイクを使用していただきますようお願いいたします。 それでは、議事に先立ちまして、土井健康福祉部長からご挨拶申し上げます。

2.健康福祉部長挨拶 土井健康福祉部長 こんにちは。健康福祉部長の土井でございます。いつもお世話になっております。また、皆さまには、このたび奈良県高齢者福祉計画及び奈良県介護保険事業支援計画の策定委員にご就任いただき、本当にありがとうございます。また、本日は大変暑い中、またお忙しい中、ご出席を賜りまして、誠にありがとうございます。併せて心から感謝を申し上げます。さて、ご存知いただいているかと思いますけれども、この計画につきましては、老人福祉法ならびに介護保険法に基づく法定計画でございます。中でも介護保険事業支援計画につきましては、3年を 1期とする計画でございまして、今回は平成 30年 4月からスタートする第 7 期の計画の策定に向けまして、皆さまにご審議を賜りたいと考えてございます。 本日もお手元にたくさんの資料を準備させていただいておりますが、まずは第 1回の会議でございますので、現行の第 6期計画の進捗状況、あるいは昨年実施いたしました県民調査の結果等をおさえていただきまして第 7期計画策定に向けての課題、あるいは方向性等につきましてそれぞれのお立場からご意見を賜りたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。本日は限られた時間ではございますが、よろしくお願いいたします。

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3.議事 事務局 (配付資料の確認:省略) (委員の紹介、出欠状況の報告:省略) (事務局の紹介:省略) (1)委員長選出、委員長代理の指名 事務局 それでは、次第に従いまして、議事に入らせていただきます。 まず、議事(1)「委員長の選出、委員長代理の指名」でございます。資料2「本委員会の規則」をご覧いただきたいと思います。委員会規則第4条第1項では、「委員会に委員長を置き、委員の互選によってこれを定める」と規定されております。委員の皆さまのご推薦による方法で委員長の選出を行いたいと存じますが、委員の皆さま方いかがでしょうか。 秋吉委員 奈良県立医科大学教授今村委員にご就任願ってはいかがでしょうか。今村委員は、国の医療計画の見直しに関する検討会や社会保障審議会専門委員として関わられており、国の動向も含め、医療や介護分野に非常に精通した方でございます。また、これまでの奈良県介護保険事業支援計画の策定に関しましても学識経験者として長く携わっていらっしゃいます。従いまして委員長に適任かと思います。よろしくお願いいたします。 事務局 ただいま、秋吉委員より今村委員のご推薦をいただきましたが、委員の皆さま方いかがでしょうか。 各委員 異議なし。 事務局 ありがとうございます。委員の皆さまのご賛同をいただきました。今村委員、委員長をお引き受けいただけますでしょうか。

今村委員 引き受けさせていただきます。 事務局 ありがとうございます。今村委員より委員長就任のご承諾をいただきました。それでは、今村委員長には委員長席にお移りいただきまして、進行をお願いしたいと思います。では、新たに就任いただきま

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した今村委員長から、一言、ご挨拶をいただきたいと存じます。 今村委員長 奈良県立医大の今村でございます。大変重責だと感じております。皆さまのご期待に応えられるように頑張りたいと思います。私は、今ご紹介にありましたように、国の介護保険の検討会や医療計画の検討会、医療構想の検討会に入っておりまして、それぞれの計画で矛盾がございます。その矛盾を各都道府県で解決するようにというような、なかなかなご無体なご要望が国から降りてきているという状況でございます。この難しい調整をどうするかということを今年度中にやらなければ 2025 年に向けての奈良県の未来が曇ってくるという状況です。ぜひ皆さまの力をお借りしまして良い計画ができるように努力したいと思いますのでご協力をよろしくお願いいたします。 今村委員長 では、次第に沿って議事を進めさせていただきます。続いては「委員長代理の指名」でございます。再度、資料2「本委員会の規則」をご覧ください。委員会規則第 4 条第 3 項では、「委員長に事故あるとき又は委員長が欠けたときは、あらかじめ委員長の指名する委員がその職務を代理する」と規定されております。この規定に基づき、「委員長代理」をあらかじめ指名させていただきますが、原委員にお願いしたいと考えております。原委員は県医師会で7年間、介護保険分野に関して関わって来られまして、今後、医療分野と看護分野の連携が非常に重要となってくる中で、保健、医療、福祉に関して幅広い知識、経験を有する方でございます。原委員、お引き受けいただけますでしょうか。 原委員 お引き受けいたします。 (2)第 7期計画の策定に向けた課題と方向性について ①第 6期計画の概要について ②第 6期計画の進捗状況等について ③「介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施を確保するための基本的な指針(案)」(国の基本指針(案))のポイントについて ④第 7期計画の施策体系(案)について ⑤県民調査結果等から見る第 7期計画に向けた課題等(案)について ⑥介護費等の地域差分析について 今村委員長 では、次第に沿って議事を進めさせていただきます。議事(2)「第 7期計画の策定に向けた課題と方向性について」事務局から説明願います。 事務局 (資料3~資料8についての説明:省略)

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今村委員長 ご説明ありがとうございました。まず議論の進め方としまして、今ご説明いただきました資料につきましての質疑をまずしていただいて、その後で委員の皆さま方から意見を言っていただくという二段階の形で議論を進めていきたいと思います。 まずは今のご説明に関してご質問等がありましたらお聞きしたいと思います。 今村委員長 皮切りに私から質問させていただきます。 今回は介護保険の事業計画ではありますが、結局医療のサイドから見たときに、どれだけ医療サイドからこちらへ流れてくるのかというのが、一番難しい点なのではないかと思っています。その中で「介護医療院」といったような新しい中間施設についても議論がまとまっていない状況ですので、今まだ国でも整理のついていない部分を今後の議論としてどのように反映させていく予定なのか教えていただきたい。 事務局 委員長がおっしゃるようにまだ決まっていない部分が多いのですが、まず、地域医療構想と保健医療計画の今の動きを市町村の介護部門の方にしっかり理解していただくとともに、在宅医療、在宅介護が増えるという見通しであるということをしっかり伝えていきたいと思います。 市町村におかれましては、介護保険のサービス見込みを積む作業が9月頃から始められると聞いておりますので、夏中には今の動きを伝えていきたいと思っています。また、県の医療側も保健医療計画を策定する中で具体的なものが見えてきますので、随時速やかに市町村にその情報を伝えていきたいと思います。 「介護療養型医療施設(介護療養病床)」や「介護医療院」に関しましては、関係病院へのヒアリング等により転換の意向調査をしなければなりませんが、今、お聞きしているところによりますと、介護報酬、医療報酬はどうなるかということをかなり気にされているのが現状です。そのあたりの目処が見え次第その情報も入手しまして、市町村にお伝えしていきたいと考えています。 今村委員長 ありがとうございます。なかなかまだ見えない部分もありますが、できるだけ早く情報を伝えていただいて、計画を市町村に作っていただくための支援をお願いしないといけない状況です。 他にはいかがでしょうか。 原委員 地域医療構想の中では、いわゆる急性期病床が整理され、慢性期医療の中で国が言う病床での医療の必要がないような人は在宅に移ることになります。具体的な数字は忘れましたが、相当数の高齢者が在宅に移ります。これについて、医師会の立場から言えば、在宅医療がどれだけカバーできるのかという議論がいつもされています。医療の会議でも発言したと思いますが、医療構想が進んでいったときに高齢者福祉計画や介護保険事業計画に皺寄せが行く、需要がものすごく増えてくる、そういったことも含めて計画は作られているのでしょうか。それとは別個に作られているような気がするのですが。

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事務局 先ほどの委員長の質問にも関連しますが、地域医療構想の影響をどれだけ市町村介護保険事業計画の中で見込むかというのは重要なポイントであります。地域医療構想の数値は 2025 年が目標です。7 期の期間にどれだけ影響するかという点に関しましても、県の内部でも介護グループと医療グループが情報共有しながら、その情報をしっかりと市町村に伝えていき、反映できる分は反映していきたいと考えています。 原委員 例えば、高齢者が在宅に移っていって、その在宅医療を地域の医師会が担っていくわけですが、そういうところもこれからは大変だという話をしているわけです。在宅に移るということは、高齢者を介護するスタッフが大幅に不足してくるのではないかと思っています。福祉の関係、在宅・入所を含めた施設の関係、例えば介護福祉士の学校が減り、志願者も減り、処遇もそれほど改善されていないという状況で、こういった計画が進んでいくと、結局高齢者は家へ帰っても、有料の老人ホーム等に入れられて放っておかれるのではないか、という危機感を持っています。 今村委員長 そのあたりのことを推計していますか、というご質問だと捉えてお答えください。 事務局 介護ニーズの計画をする際に、それをサポートする人材の供給面というのは議論すべきものと思っています。今、介護人材の推計の数字をご説明させてもらいます。データは古いですが 2013 年の県が調査した介護職員数は 19,900 人でした。そのときの推計は、2025 年に向けての人材の需給バランスは

4,500人ほど足らなくなるだろうというものでありました。2013年時点の推計ですので、今回の計画に当たってこのあたりの集計も見直していかなくてはならない、それに対してどういう対応をしていくかについても検討していかなくてはならないと思っています。 原委員 地域医療構想の会議にずっと出ておりましたが、あの中で高齢者の福祉・介護だとか、そういうことはぜんぜん考慮されていないなと思いながら、会議には出て、そういった感想を持ち意見を言っていました。こちらの会議に来ると、また全然違い、こんな風になっていきますよといった数字が出てきますけれど、本当にそんな風に行くものなのかと少し現実的でないこともあるのではないかと思ったりもします。もう少し突っ込んでいかないと、実際一番困るのは高齢者なのではないかという気がします。 渡邊委員 原委員のおっしゃったことについては、一住民として、実際に自分が年を取ってきた今、色々なことを考えたときに、病院のベッドに社会的入院している人がたくさんいるので、それをやめて介護の方のベッド(ケア)にということにしていったと思います。今、介護のベッド(ケア)と病院のベッドを合わせたようなものが出てきたという話がありますが、これから年を取っていく一人の高齢者として考えると、よくわからないことがあります。病院の方は長くいるようなベッドは無くすから自宅に帰るとな

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ると、在宅の高齢者を診てくれる介護のスタッフももちろんですが、医療のスタッフについても、常時介護なり診察なりをしてもらう訳にはいかないですので、例えば、最期のときになったときには、お医者さんが来てくださるようなシステムを作ってから、方向を変えていくということがどうしてできていないのかが疑問です。医療側もやっているから介護側もやっていきましょうと、原委員のお話を聞いているとそういう風に思いました。国は国として考えているので両方セットにして動いていくのではないかなと思っていたので、今驚いているところです。 今村委員長 国は考えているとおっしゃいましたが、考えていません。考えていないというのは怠けて考えていないのではなく、医療サイドを中心に考えていくのと、介護サイドを中心に考えていくのでは視点が違うので、完全にすれ違っているということです。医療だけでみたら、医療の必要が低い方を医療の入院をさせるのはおかしい、それは筋が通っていて、それを介護の方で受け取ってもらいましょう、と言うことになるのですが、それを介護の方が受け入れられるのかといったら、医療の方から本当に出てきてから考えます、といった状況です。なぜ介護の方がこんなことを言っているかというと、要介護者は 1.5倍に増えている中、施設の数をそんなに増やせないことを考えると、要介護者が施設に入りきれなくてあふれてくるという状況で、それだけでも手一杯だからです。医療のことは医療で解決して欲しいというのが介護サイド全体の今の状況です。 医療の方が先行してとりあえず出て行ってもらうというような計画を作ろうとしていて、今入っている方の 3割くらいが出て行かないと計算が合わないことになります。そこには要介護度の高い方も出てくるのですが、それが今の介護保険事業計画の中には入っていないというのが現状です。国の医療計画では早く治る、入院期間が短くなるという計画になっていますが、高齢者の場合は簡単にはいかないことも考えられるので、もし出てこられたらどうするのかというのが全体の議論として欠けています。 もう1つの問題は、介護保険事業計画というのは市町村単位でサービス量を見込み、県の計画というのはそれを足し合わせて作るものですから、市町村が計画を作る段階で医療からどれだけ移行するのかということを考えて、計画を作ってもらわないといけないということです。ですので、先ほどからも話があるように、市町村にはできるだけ今の情報を提供していくということになります。ただ、合計すれば必ずあふれてくるはずだということになります。各市町村で本当にこの難しい状況を理解して計画を作ってもらえるのでしょうか。こちからもっともっと強く注意喚起をしていかないと計画上も今の問題点が隠れてしまうのではないか、という危惧があります。そういう問題点があり、その点に関して先ほど原委員は、本当に計画上に数字が出てきているのか、とおっしゃっていると思います。 数字としてはまだ出てきていません。ただ、介護医療院を1つとっても、介護保険の方でみるのか、医療保険の方でみるのか、実はまだ決まっていなくて、介護療養病床は介護保険の方にありますが、介護療養病床以外に医療療養病床がありますが、これも介護保険にもって来ようとしているように見えます。それにより、介護保険料は上がる可能性があり、そういったことを今は、市町村は全くご存じないのでそれをきちんと情報提供して、その上で介護医療院に入所している方の介護サービスのこと、また、病院から出て施設には入れなかった方が在宅になるわけですので、その方に対して在宅サービスが提供できるのかということを計画の中に書かなければならない。なかなか厄介な状況で、国が各都道府県で調整するように言ってきていて、今年度中に医療計画も介護計画も都道府県で作るように言われています。

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森本委員 アンケートの結果を拝見しましたが、県民の大部分が在宅でできるだけ最期を迎えたいと考えていることが明らかになったと思います。私は、施設に入りたい人は入っていただいていいし、在宅が良いと思っている人はそうさせてあげたいと思います。そのためには、原委員がおっしゃいました、在宅医療を担ってくれる先生も不足していますし、訪問看護ステーションも統計では増えていますが 24 時間体制をとっている訪問看護ステーションが実質増えているかというとそうではありません。リハビリ専門にしているステーションもありますので、ステーションの質の問題でもあります。 地域包括ケアシステムの「植木鉢」のところで示されている、国民の覚悟というか行動がないですので、それをもう少し県民や地域で育てていかないといけないと思います。また、基本的には在宅で過ごしていただきたいと思うし、在宅で過せるような施策や地域づくりをしていかないといけないのではないかと思います。私が現場で常に思うのが、理念はすごく立派なことで間違ったことは言っていないと思いますが、それを動かす人が育っていないと思います。地域のリーダー的な役割を担う人材育成をしていかないといけないと思います。地域の力を掘り出していくようなキーパーソンを発掘していかないといけないし、地域づくりやまちづくりをしようと思ったら人材を育てていかないといけないと思っています。 地域ケア会議では民生委員なども参加されていますが、ファシリテーションスキルをどんどん磨いていかないといけないので、来年度東京工業大学の中野先生をお呼びして公開で講演をお願いする予定です。皆さんの意見をまとめるスキルについて、人材育成の中での教育を進めていかないといけないのではないかと思います。 原委員 要支援の人は介護保険から離れて、地域支援事業ということになってきました。そうすると、市町村の実力というか、財政的なことや人材スタッフであったり、熱意などそういったものによって地域差ができるであろうと考えられます。また、私は認知症についてずっと取り組んできていますが、「オレンジプラン」、「新オレンジプラン」でも、もっとやりなさいと言われておりますが、私の地域ではそれほど進んでいません。例えば、認知症の「初期集中支援チーム」も形式的にはできても実際に機能しているかというとしていないです。そういう状況にあって、国が言う計画というのはそれぞれバサッと作られるが、実践するのはみんながそれぞれ頑張ってという感じになっています。先ほども言ったとおり、それぞれの地域によってスタートもバラバラであり、機能しているかどうかについても地域差があります。こういった計画を考えるときには、どれから実現していけるかを考える必要があると思います。 稲﨑委員 プレ老人なので支える側であり、しかも支えられる側になるので非常に計画に対して関心があります。あまりに若かったらまだまだ先のことになりますが、私共は、ひょっとしたらすぐ、診られるかもしれないという立場です。こういう計画を立てていくときに一番見なければいけないのは地域格差だと思います。都市部と中・南和ではずいぶん違う気がします。ですので、例えば今日の資料8では、在宅医療の状況にずいぶん地域差があります。なぜこんなに差があるというと在宅医療の診療報酬が高いと思いますが、逆に言えばそこは在宅医療を頑張っているということです。また、在宅医療というのは訪問診療=在宅介護に直結すると思います。介護と医療というのははっきり線引きできないことです。年を取

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るということは、医療も必要になるし介護も必要になります。在宅になるということは医療も受けたいし、介護も受けたいということです。 逆に言えば奈良県は郡部が多いわけですから、小さい自治体の単位でできることはどんどんやっていかないと、人口の多い地域では何でも動かすのが大変ですが、小さい地域ではアイデアと頑張りと地域の住民の自覚があればできます。地域ケア会議を活発にやってもらいたいと思います。介護の質を考えてプロの介護福祉士の資格をより多くの人が持ってないといけないと思います。また、元気なお年寄りも多いですから、その人が介護に携われるように、もっとヘルパー研修をきちんと受けてもらって最低2 級ぐらいのレベルの資格を取っていただいたらよいと思います。自宅で高齢者が高齢者を支える老々介護ではなくて、地域の高齢者が高齢者を支えあうという形を、小さい自治体なら頑張れるように県が指導していただきたいと思います。できる所からどんどんやって、良い結果が得られる所があれば、そのシステムを広げていかれてはどうでしょうか。良い事例となるような地域を集中的に県が指導してモデル地域になっていただいて、それを県全体に広めていって、少なくとも南和地域や中和地域などの地域内で広めっていったらよいと思います。県全体で同じようなサービスを同じように広げていくことは不可能だと思います。その辺を視野に入れていただきたいと思います。 今村委員長 質問と意見を分けるのは難しいので、これからは基本的に意見をどんどんおっしゃっていただいて、それに対して県の方で今お考えがあれば回答していただくようにしたいと思います。今の質問に対してご回答をお願いします。 事務局 地域格差の問題でご質問いただいたと思います。地域格差をどう埋めるということにつきましては、県が地域差分析をして市町村が横を見て自分達がどういうポジションにあるかということを気づいていただいて、自らの取り組みを考えていただくということも行っています。今ご提案いただいたように、進んでうまくやっている市町村の情報をしっかり他の市町村に提示して、それを参考に自分の地域にあったようにカスタマイズしてやっていただく、その地域に根付いてやっていただく、そのヒントを県として情報提供することも重要な県の役割と思っています。 秋吉委員 老人福祉施設協議会から参りました、秋吉でございます。ただ今の説明の中で第 6期の進捗状況をご説明いただきまして、その中で、計画では数字を見込んで、何年間かのうちに例えば 3施設を作っていくという計画で、何パーセントできたかということをトータルで見せていただいています。割とそこに重点がいくように感じます。課題を挙げていただいていますが、その数字の面で言いますと 3つの介護保険施設については、「奈良県は非常に余っており、全国の中で1番、2番目ぐらいに施設、ハードはたくさんあって入所している方も非常に多い、これ以上は作らなくてよい」というような情報を聞いております。この 3施設だけではなく、有料老人ホームですとかサービス付き高齢者住宅の数なども全県ベースで把握をして、特養や老健施設が本当にどれだけ必要なのかについて、もう少し見込みが必要なのではないかなと感じております。有料老人ホームなども奈良市内にたくさんできておりますし、有料老人ホームに何千万円もかけて入る方は本当に限られています。特養の待機者について、奈良市はそうで

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もないが、橿原市はそんな多くなくすぐ入れる状態ということです。こういうことが、地域の皆さんに周知できているのかなと疑問に思うところでございます。 サービスに関しましてパーセンテージは出ていますが、達成率を重視するのではなく、「本当に必要なサービスをもう少し作っていくとか、もうこのサービスはここで打ち切ってもよいのでは」というような観点も持って実際に必要性のあるサービスを考えていただかないといけないと思います。 今村委員長 今特養が空いているということですが、その辺のことで何か事務局からありますか。 事務局 数字上の話で大変恐縮ですが、昨年度の 4 月 1 日現在で特養の稼働率は約 95%です。また、どの施設がどれだけ必要かというお話がありましたが、特養の待機者の数を把握しております。他の施設に入っている方、在宅にいらっしゃる方、全員、特養に入りたい方について調査させてもらったところ、3,200人ほどでした。複数申し込みは名寄せしています。在宅で 1 年以上待っていらっしゃる方はそのうち

900人ぐらいでした。私共が調査した結果が以上でございます。今回の計画で施設の必要数をどれだけ織り込むかというのは難しい話でありますが、市町村の見込みも聞きながら、待機者数のことや、全国の中での県の位置、例えば高齢者あるいは介護認定者を分母にしたときの施設床数の地域差なども分析した中で、必要なサービスを計算していかないといけないと事務局では思っております。以上です。 池本委員 介護保険料の課題について触れておきたいと思います。資料4のP.9の中で、介護保険料の推移ということで、全国比較なり、県内の市町村の比較なりがされています。介護保険が始まった当初については 2千数百円ということで、安い金額で始まって逆に高騰する医療費の部分を、いかに介護保険を使っていくかというのが、国の狙いだったと思います。ただ、国の試算なり見込み違いという中で、介護保険料だけが上がっていった、また医療費も抑えることができなかったというような状況になってきていると感じています。その中で、県内の市町村の介護保険料の関係ですが、確かにそれぞれの地域で施設ないし人口、高齢化率の問題ということで、かなり介護保険料に差が出ているというのが実態です。今まで聞いている中では、特に南の方では、介護の施設なり事業所が少ないといった理由で、山間から平地に降りてきて施設利用するときに、どうしても住民票を移してしまいます。するとそこの地域の保険料が自然と上がってくる。本来住んでいる居住地域で受け入れられないサービスを、町に持ってくることによって、そこで受けることによって住民票を移してしまうのでそこの地域の保険料が上がってしまう、ということが少なからずとも発生していると思います。特にこの表を見ていても大淀町が高くなっているのは、そういう影響を受けているのではないかと個人的にみては思わなくもないです。そういった意味でいけば、平成 30 年 4 月から国保の一元化ということで、都道府県単位の1本化事業が始まってくる。その流れの中で介護も今後同じようなことが考えられないかどうか、それぞれの市町村の少ない財源で維持するというよりも、大きくパイを持つ方がより安定して財源運営ができるのではないかと思いました。国の制度も含めて大きな話になると思うので、奈良県だけの簡単な見解は出ないと思いますが、これから検討していくにあたっての何かのきっかけ、それを平均化するのにどうしていくかに繋がったらと思いますのでよろしくお願いします。

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事務局 介護保険制度の広域化という議論でございますが、一方、介護保険制度において市町村が保険者となっている理由として、地域、地域に応じたきめ細かいサービスの提供ができるということがございます。確かに広域化の要望は一部の市町村から来ておりますが、おっしゃいましたように国全体の話でありますので、今奈良県としてもそういう方向性の検討はしていないのが正直なところです。 今村委員長 参考までに医療費の削減、介護保険の削減は、成功はしています。例えば医療費ならば今から 20 年前は、今頃 80兆円ほどになっていると言われていましたが、現実には 40兆円ほどです。全体としての削減計画は成功しています。5 年ぐらい前に立てた削減計画はかなりご無体な目標であったためクリアできてないので、抑えることに失敗したという結果が全面的に出ています。医療負担も患者さんの側も努力していることだと思いますが、さらに努力をという状況に対してどこまで踏み込むかという話になります。 事務局 住所移転による介護費の負担ということについてですが、介護保険制度の中で住所地特例というものがありまして、その施設に入られましてから住民票を移された場合は、元の住所の市町村の負担という制度です。ただ、元気なうちに移られてそこからというのは住所特例の対象になっていません。そういう制度もあるということを紹介させていただきます。 渡邊委員 先ほど稲﨑委員がおっしゃったことと関連しますが、私も 72 歳ですがまだ仕事もしていますし、周辺にいる私と同じような立場でまだ元気な高齢者はいっぱいいます。何かしたいと思っている人がいっぱいいます。ただ、じゃあ何ができるのかと言われると、何をしましょう、となってしまいます。 私は 17 年前に奈良県に移住してきました。退職してからこっちに来たので納税という点では大変申し訳ないことだと思っています。とても憧れて移住してきましたが、住んでみると、私の家の前は県の自転道になっており、酷い瓦礫などがいっぱいたくさんあり、ひどくがっかりしました。町内の方にせめて年1回ぐらい清掃活動をみんなでやってみないかと提案しまして、今、年に 1回やっています。私が若いぐらいのものですからみんな年を取ってきており、やりにくい部分があります。でもまだまだ皆さん若くてやりたい思いをいっぱい持っているので、何らかの形で元気なお年寄りがみんな頑張ってその辺のゴミを拾うと、奈良県中がきれいになるのではないかと勝手に夢想します。そういう元気な人達に何かを担ってもらうということを具体的に考えて、町内会でも提案してもなかなかうまくいかないので、そういうところに行政に介入していただきたいと思います。もちろん、財政が大変な状況で若い人達に付けを回すような状況はできれば少なくしたいし、高齢者は皆さんそういうことを考えていると思います。是非そういうところに具体的なやり方をこのような委員会で提案できればと思っています。 今村委員長 ありがとうございます。非常に重要な意見だと私は思います。 総労働力が日本は不足してきて、今 65 歳が 200 万人いて、20 歳が 100 万人ということは毎年 100

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万人ずつ就労人口が減っていきまして、20 年でおそらく 2,000 万人ぐらい就労人口が減ることになります。すると国全体を支える人がいなくなるので、全員に働いていただかないといけなくなり、それこそ安倍首相の言う「一億総活躍社会」というのに繋がっていくと思います。全員で働かなければこの国は維持できなくなると思います。高齢者の方々の社会参加を進めることにより、それが要介護者を減らすことにもなる。理にかなった施策だと思います。それは計画でもありましたが、社会参加という面から是非取り上げて欲しいと私は思います。 事務局 先ほど課題で申しましたように、いかに高齢者の社会参加の機会を作っていくかが、重要なポイントであります。県では起業するときの助成金制度など、そういう制度も実施しています。何かやりたい人と何かを求めている人とがマッチングできていないということもあります。県とか市町村では人材バンクのようなマッチング制度があります。それの活用状況がまだまだでございますので、こういうマッチングする場もあるということをしっかり知ってもらうのも重要かなとご意見を聞いて思いましたので、その辺もまた努力していきたいと思います。 稲﨑委員 社会参加の件ですが、善意だけに頼るのも古いのではないかと思います。というのは、ボランティアという形になると本当に意識が高い人しか出て来ないという状況になります。もっと皆が働かないとやっていけない社会であり、高齢者問題は絶対に皆が関わる問題ですから、介護に関わると、自分も関わる問題だと理解してもらえますし、介護という問題が皆で共有できると思います。でも、実際自分の家族などがならない限りはやっぱり見えないところがあるので、参加の機会をつくって行動力として入ってもらいたいと思います。ただし、それをボランティアに頼るのはこの現代には合わないのではないかと思います。ボランティアでは求められる介護の質がとても低いものか、ちょっとした話し相手とか、そういうものしかならないのではないかと思います。ある程度のレベル、例えばヘルパー2 級とか最低限のレベルを持ってもらって、仕事をしてもらうには、逆にインセンティブがいると思います。例えば地域通貨でも、奈良県だけで通用する福祉通貨などを貯めて、自分が必要なときは使えるなどです。本当のお金とかでなくて良いと思います。何か自分が働いたものが形になればもっと働きたくなるし、自分の仕事が評価されることはインセンティブに繋がると思います。オレンジプランのときの認知症サポーターはボランティアですが、オレンジ色の腕輪をものすごくお金をかけて配られたと思いますが、腕輪をしている人は見たことがありません。あの方々はいまどこにいったのかという感じです。キャンペーンに使われるボールペンなどそんなお金があるのであれば、もっと活きた形にストックしていただきたい、使い道をもう少し考えていただきたいです。 今村委員長 ありがとうございます。今の意見について回答をお願いします。 事務局 介護のボランティアなどは多様な担い手の中で、価格設定が自由にできるような制度になっております。それを市町村と話し合いながらどのような方向がよいのかと考えていくのも1つかと思いました。

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今ボランティアの貯金のような話がありましたが、ボランティア貯金を実施している市町村も新聞で見たことがありますが、奈良県では実施している市町村はありません。また市町村に対して情報として伝えていきたいと思います。 原委員 この地域医療構想のことだとか高齢者福祉計画、介護保険のことも含めて団塊の世代が増えて 2025年にはパンクすると言われています。その後どうするのかと言われています。2025 年に向けてこのような計画を作っていくのですが、それ以降は高齢者がどんどん減っていく時期に入っていくと思います。そのとき日本はどうしたらよいかを考えることが大事だと思います。私はもちろんこの高齢者福祉計画が大事だと思いますし、今日はそのために皆さん集まって議論されていますから必要なことではあるのですが、今日本の施策で一番問題となっているのは、高齢者が増えているということではなく、少子化だと思います。若い人が結婚してそして子どもをつくっていくことがどんどん鈍っていって、高齢者人口ばかりが増えていくというか、昔多かった世代が残っているという状態です。なぜそうなるのかと考えてみると、国の施策で正規雇用から非正規雇用になり、そのため若い人の収入が不確かで生活の安定がしなくなり、結婚ができない、結婚しても子どもをつくるお金がない、という話をよく聞きます。そういった国の政策が一番問題だと思っています。一方では大きな自動車会社とか、銀行だとかそういうところが自己資本を膨らましていって内部留保を増やすが、実際は労働者の給料が増えていくわけではない、そういうようなことは日本の国が先細りしていく一番の理由ですよね。介護の職員も今はインドネシアとか外国から来ていますが、私も以前施設長をしていたときに実感しましたが、景気がよくなると外国人介護人材は高給な他の職種に移って減少し、そして景気が悪くなると増加します。私の個人的な印象かもしれませんが、最近は介護スタッフの年齢が上がってきていると思います。さっきもお話したように介護福祉の学校が次第に減少しています。また資格取得のための研修時間が長くなるので、みんな敬遠して受験しなくなり、実際、介護福祉士数の増加率も下がっています。そういったことも全部含めて考えてみると、やはり若い人がいないことが問題だと考えます。国がずっと正常状態を保って長く発展していくために、多様な世代が順番に世代交代していくような必要があるし、若い人が結婚して、子どもをつくり、生活に生きがいを見出せるような国の政策が本当は一番必要だと思います。働き方の自由を確保するために正規雇用を増やしたり、一定の能力を持った人は超過勤務を払わないで働けるようなシステムにしたり、やはりどちらかというと企業とかそういった方向にばかり国の目がいっていて、医療も福祉も介護もしわ寄せがきている、というのが私の意見です。 今村委員長 ありがとうございます。先生のご意見すべてを反映することはできないですけど、少なくとも介護や医療のインフラの問題についてはこの計画の中でも是非触れていただきたいと思いますし、それは支える人材確保に直結する問題なので、是非お願いしたいと思います。社会の仕組みは一長一短があるので、すべて長所があれば短所もあります。介護保険とか医療というのは短所を引き受ける部分になります。その短所の部分を引き受けるために長所のどの辺を犠牲にしてもらうかということになります。できれば長所が伸びて、短所がカバーできるような部分が出ればよいと思います。先ほど稲﨑委員がおっしゃった高齢者の方が有償で働けるような環境というのはおそらく win-win の関係に持っていけるものだと思っています。原先生がおっしゃったことは、非常に大きいことで難しいですが、指摘としては是非

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考えていただければ思っております。 高比委員 私は西の京病院をやっておりますが、病院協会として参加しています。病院協会の中で今、原先生が言われたように、地域医療構想で話されていることは医療がほとんどです。病床機能をどのように決めていくかとか、あるいはベッド数をどれだけ削減するかとかです。まだ奈良は 8~10%ですが、30%削減するように言われている県もあります。それが緊急の課題で、しかも急性期の「7 対 1」が増えすぎています。高度急性期、急性期、回復期、慢性期の区分、とくに急性期病床の定義、中味が問題とされています。 今後は地域医療構想のことも介護の方にも勉強していただきたいと思います。「地域包括ケア病棟」という急性期から介護まで非常に密接に関係できる、「サブアキュート」、「ポストキュート」を担う病床であり、しかも在宅と関連を持った病床とされています。当病院では地域包括ケア病棟を比較的早くから取り入れており、これが地域包括ケアシステムの病院の入口になると私は思っております。きっと県もそのように考えておられると思います。 西の京病院のことを言いますと、今、稲﨑委員が言われたように医療と介護は一体のもので、平成 7年時点では介護という言葉はありませんでしたが、その時、中間施設として、老健施設を整備しました。老健施設としては、整備はほとんど最初だと思います。できたときは県の人にも市の人にも「病院とは別のものだから、入口は別にするように、道からは離すように、病院の間にスペースを作るように」などと言われ、非常に苦労しました。私はそこから 20 年間、一人の人を一生涯診ていけるように、高度急性期病床から一般病床、療養病床、包括ケア病床、介護施設、訪問看護、訪問リハビリ、訪問介護というように、だいたい皆揃えてやっています。やってみると非常に人手が必要となります。だいたい今、750人ぐらいいます。一元的にやると急性期から慢性期の在宅まで回せますが、おのおの、急性期なら急性期の話をして、一般は一般の話をして、在宅は在宅の話をしてというように、それぞれの人たちが寄ってバラバラに会議してもなかなかまとまらないと思います。一部の医者の意識も問題と思います。約 5~6 年前、10 年前は確実でしたが、介護のことも診てもらいたいというと一部の医者は、「介護をやるために医者になったわけではない」と一蹴していました。ところが自分の親が実際に介護を受けてから、介護は介護で大変だということがようやくわかってきました。親密な関係になって、自院の中では回せていますが、それを地域で回すとなると、原先生が言われたように、両者が噛み合うような対応をしないといけません。 医療というものは非日常であり、何かあったときにどうにかしてくれるのが病医院です。ところが介護というものは日常であり、医療の方が大変かと言われると、何にもなければ日常生活が普通に過ごせます。ところが要介護や認知症になってくると日常生活そのものが大変になってきます。だからどっちが切実なのかは、病気の種類にもよりますが、両方とも切実だと思います。医療と介護の壁というのは、他の職種は大分取り払われているにもかかわらず、そのことについて病院の一部の先生は理解されていません。その方をできるだけ巻き込んでいくべきだと思います。 キーワードは「連携と効率」。連携も大事ですが、効率も考えないと実際人手とかお金がかかりすぎてできません。「連携と効率」が 21世紀のキーワードと思っています。当院は老健や老人ホームなど介護施設も持っていますが、なぜうちの施設に入ったかというと、「何かあったときにすぐ病院が診てくれるから」とおっしゃる方が多いです。誰もが思うことで、やはり医療と介護は一体だと思います。在宅

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を希望する人もいますが、在宅で医師や看護師、リハビリが全部出かけていくとなると、人手・費用もかかるし、すぐ帰ってこないといけません。その人が独居老人だったら独りで置いておけないわけです。だから施設も必ず必要です。ところが施設は、先ほど話にもあったように、高齢者が減少してきたときに潰れていきますので、不用意に作れないという話もあります。だから色んな見方がありまして、高齢になっても非常に元気で、自らで何かしようとするのは、基本的にはとても大事なことだと思います。ただそれを何かがあったときにどうするかというのは、病院あるいは医師会がきちんとしますと言ってくれたら非常に楽になります。そういうシステムが組めるかどうか。例えば入院が必要なときにちゃんと入院させてもらえるか、ということはどういう形でいくか。日常は日常でどうしていくか。地域の特性もあると思います。 地域で何か一つ試みをやったらどうかということについては、金沢などで病院と施設が一緒になったホスピタウンのようなものを作っています。それをモデルケースとして、実際にやってみないと、理論ばかりではなかなかこれは実現しないと思います。私も原先生と同じで、経済的なことその他色んなことを含めても、高齢化よりも少子化の方がはるかに厳しい問題だと思います。医療介護施設を持っていても、人が集まらなくなっている所もあります。どれだけ施設を作っても集まらなければできません。非常に様々な要因があるので、今日色々話を聞かせてもらって大変参考になったので、病院協会にも伝えていきたいと思いますのでよろしくお願いします。 今村委員長 時間が過ぎてしまって申し訳ありません。今ご指摘の内容は医療と介護の連携のお話だと思いますが、今地域包括ケア病棟をどうするかということが、介護保険の方では議論されないということにも問題があると思います。医療計画の方で考えるべきことではありますが、医療計画の方でそれを決めたらこちらの介護計画の方にも再掲してはどうかと思います。地域包括ケア病床がどれだけ作ろうとされているのかは医療計画での議論です。また、在宅支援診療所も医療計画だと思います。それが医療計画でどう記載されているかは介護計画にとっても注視しなければならないことです。介護計画では議論できないというのはわかりますが、医療計画に載っているものを再掲することならできるはずです。また、医療計画の方では、訪問看護ステーションの数も計画できないという話になりますが、介護保険事業支援計画に載せたら、これを医療計画の方に載せることとして、きちんと医療と介護が両方載っているということを是非してほしいと思います。その中で初めてここに矛盾があると、計画上は見えてくるのではないかと思います。先生方の思いを計画に入れる際、そういった点も考えていただきたいと思います。 松中委員 この会議においても歯科の文言があまりにも少ないとの印象です。医療費、介護費の推計に我々歯科の分野は入っていないのではないかと思っています。いかがでしょうか。また、これから作成される計画の中に我々が関与していける部分が 1%か、2%はあると思うので、できれば何か少し我々も参加させていただきたいと思います。以上でございます。 今村委員長 医療計画の方で口腔ケアの項目が今回入るはずです。国からの通知には入っていたので、介護ケアの方も口腔ケアをすればするほど介護者は減っていくはずなので、入っていくと思います。そういう意味

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では、歯科の中での口腔ケアをこの計画の中でも項目として是非挙げてもらいたいところであります。 高比委員 当院にも歯科がありまして、最初はこれだけたくさん入院とか入所があるので、歯科も必要かと思って作ったのですが、今村先生がおっしゃったように、口腔ケアによって医療費は削減しております。これは歯科の病院での口腔ケアは本当に必要だと実際にデータが出ておりますのでよろしくお願いします。 今村委員長 医療計画の方では載っていないですが、介護計画の方で直接影響のある話なので是非載せてもらえればと思います。 では次の議題に移らせていただきたいと思います。

(3)計画策定のスケジュールについて 今村委員長 計画策定のスケジュールについて事務局から説明をお願いします。 事務局 (資料9についての説明:省略) 今村委員長 ありがとうございました。 委員の皆さんからいただいた意見を事務局の方で整理していただいて、計画の原案を作っていくそのスケジュール案が今、説明いただいた内容になりますが、何かご質問、ご意見はございますか。 随時、事務局の方に意見は言っていただくということで、是非良い計画の原案を作っていただきたいと思います。 議事は全て終了しましたが、全体通して何かご意見はございますか。 各委員 意見なし。 4.開会 今村委員長 これをもちまして本日の議事は終了いたしました。ありがとうございました。

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事務局 長時間にわたりまして貴重なご意見を賜り、誠にありがとうございました。 策定スケジュールにおいてご説明させていただいたとおり、次回の開催につきましては、現在 10/19(木)もしくは 10/26(木)で調整をさせていただいているところでございます。追ってお知らせをさせていただきますので、よろしくお願い致します。 以上をもちまして、本日の委員会を終了いたします。本日はありがとうございました。 了