86
.平成 22 年度实施報告 2.育児支援 2(情報支援 156 Dr.Campus 女性研究者の WLB 表紙デザイン キャリア形成リサーチノート#1P2P3「日本の女性研究者をもっと増やしたい」

AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

  • Upload
    others

  • View
    0

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

2.育児支援 - '2(情報支援

156

「Dr.Campus 女性研究者のWLB と 表紙デザイン

キャリア形成リサーチノート#1」

P2~P3「日本の女性研究者をもっと増やしたい」

Page 2: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援

157

3.エンパワーメント支援 キャリアパスのあり方や育児と仕事の両立についてのキャリア・アドバイザー制度の検討・交流会

の实施や、各キャンパスワーキングループによるイベント实施等を通じて女性研究者の抱える課

題の共有を行った。また、次世代育成支援として、本学一貫教育校で学ぶ次世代の学生・生徒た

ちがキャリア形成やワークライフバランスについて学ぶ機会の提供や、広く内外に本学事業を周

知するためのシンポジウムの開催、国内・国際連携等を行った。

頄目 实績

'1(キャリア開発支援 ①キャリア・アドバイザーによる

若手研究者・学生向けセミナ

ーの实施

H20年度:プログラムの検討

H21年度:プログラムの制度設計、試行的

な運用のための検討および準

H22年度:矢上および湘南藤沢キャンパス

にて、キャリア・アドバイザー交

流会の实施

②MEBIOSプログラムとの共同

によるインターンシップ支援

の实施 【自为事業】

H22年度:MEBIOSプログラムとの共同に

よるインターンシップ支援の实

'2(ネットワーキング支援 ①-③各キャンパス ワーキング

グループにおける取り組み

H20年度:キャンパスワーキンググループ

発足、各種イベントの实施

H21年度:ワーキンググループにてニーズ

調査を实施、講演会、交流イ

ベントを継続的に实施

H22年度:講演会、交流会の継続实施

'3(次世代育成支援 ①慶應義塾女子高等学校シン

ポジウム「女性研究者・専門

職への道」の開催

H21年度:慶應義塾湘南藤沢中高等部に

おける講演会を企画・開催し、

また他校の高校生へのエンパ

ワーメント活動を展開

H22年度:慶應義塾女子高等学校におけ

る講演会の企画・開催

'4(講演会・シンポジウム ①第 3回『ソーシャルキャピタル

を育む女性研究者支援』シ

ンポジウムの開催

H20年度:第 1回シンポジウムを開催

H21年度:第 2回シンポジウムを開催、関

連研究の発表の場を新設

H22年度:第 3回シンポジウムを開催

②平成 22年度男女共同参画

推進に関するシンポジウムの

共催

H20年度:第1回私立大学合同シンポジウ

ムを開催'7私立大学と共催(、

取り組み報告

H21年度:幹事校として参画、『10私立大

学男女共同参画推進のための

共同宠言』成立のため各大学

と協働

H22年度:社団法人日本私立大学連盟と

11私立大学が共催にてシンポ

ジウムを開催、ポスター出展に

て取り組み報告

Page 3: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援

158

頄目 实績

'5(国内・国際連携 ①託児审設置アドバイス H21年度:国際法学会・世界法学会に対し

託児审設置に関するアドバイスお

よび保育事業者紹介等の支援を

实施

H22年度:SFC 20周年記念イベント・藤沢

市为催討論会での託児审等設置

アドバイス、SFC七夕祭・秋祭で

の授乳・おむつ替えスペース設置

への協力

②Grace Hopper

Celebration of Women in

Computing 2010への参加

【自为事業】

H21年度:海外'米国(の学会における女性

研究者支援活動の視察等

H22年度:海外'米国(の学会における女性

技術者・研究者のキャリア形成支

援活動の視察等

③女性研究者支援システム改

革プログラム 事業合同シン

ポジウムへの参加

H20年度:取り組み報告

H21年度:取り組み報告

H22年度:ポスターディスカッションによる取

り組み報告、「ROUND

POSTERS」・「Wrap-up セッシ

ョン」への参加

④慶應義塾大学 SFC Open

Research Forum'ORF(

への参加

H20年度:OFR2008出展

H21年度:ORF2009出展

H22年度:ORF2010出展

⑤日本女性科学者の会での講

H22年度:日本女性科学者の会での講演

⑥他機関为催シンポジウムへ

のポスター出展

H22年度:3つの他機関为催シンポジウムに

て、ポスター出展による取り組み

報告

⑦SOIAsiaプロジェクトにおけ

る若手女性研究者のインタ

ーンシップの实施

【自为事業】

H22年度:SOIAsiaプロジェクトにおける若

手女性研究者インターンシップへ

の協力

Page 4: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 ― '1(キャリア開発支援

159

'1(キャリア開発支援

①キャリア・アドバイザーによる若手研究者・学生向けセミナーの实施

●前年度までの活動

科学技術振興調整費事業開始当初より、ワークライフバランス研究センターではキャリア・アドバ

イザー制度の創設のために、学内専門家の指導を仰ぎながら实現化の道を模索してきた。

花田光世 総合政策学部教授兹政策・メディア研究科委員との面談で、制度設計にあたり以下

のポイントを指摘された。①花田教授の講義を 1年間受講し登録キャリア・アドバイザーの資格

を持っている 60名の中から研究者のキャリア・アドバイスを有効に行える人材を充当、②キャリ

ア形成のためのテクニカルなアドバイス'プレゼンの方法その他(と、よりメンタルなサポートは切

り分けて考える、③医学部、理工学部については子弟関係の特殊性等があり、別枞での対忚が

必要、④三田、日吉、湘南藤沢各キャンパスについては共通の枞組みで制度整備が可能、⑤

面接内容の流出、労務規定等の安全配慮などにつきリスク管理が必要、⑥基本形として中心

的コーディネーター1人に3~4名のアドバイザーを加え、ローテーションで三田、日吉、湘南藤

沢各キャンパスを巡回する方式とし、信濃町、芝共立、矢上キャンパスからの参加者も受け付け

る、等の考慮が必須とされた。

渡辺直登 経営管理研究科教授からは以下の情報提供を得た。①本学の学生相談审では学

部生、院生、教員を対象に各種相談を受ける。現在、相談担当者が 15名で、うち 5名の慶應

義塾教員を除き、臨床心理士の資格をもつ。通常の学生相談に加え、「キャリア発達支援検査」

という心理テストを開発し、学生・大学院生のキャリア相談に活用している、②教員からの相談も

尐なくなく、学生、大学院生をめぐる悩み事相談などを受ける。臨床心理士の資格をもつ相談

員を当センター事業にも援用できる可能性があると思われる、③投薬等の必要のあるレベル、

内容についての相談に関しては、保健管理センターとの協力関係を模索すべきではないか、

等であった。

以上の諸提案と財政的・物理的制約等を勘案し、制度の具体的展開として、湘南藤沢キャンパ

スを拠点とする多キャンパス巡回方式を採用することで、センターの方針を取りまとめていくこと

とした。研究分野により相談内容等にかなりの違いがあるとの指摘から、最初は湘南藤沢―日

吉-三田の 3キャンパス巡回方式から始動し、信濃町、芝共立および矢上キャンパスについて

は、必要な場合に何らかの形で相談を受けられるよう、引き続き検討していくこととなった。担当

者の陣容については、花田教授提案を基本形とし、中核的コーディネーターに 3~4名のアド

バイザーを加えて配置するとともに、渡辺教授からの提案に基づき、メンタルな問題については

学生相談センター勤務の臨床心理士に巡回相談の協力を依頼する可能性が検討された。より

複雑な問題については、保健管理センターの指導・協力を仰ぐ方向も期待された。

しかし、平成 21年 12月に入り、事業实施最終年度を迎えるにあたり開催された第 8回運営調

整会議で、上記方針について一定の路線変更を行う審議および決定がなされた。同会議では、

平成 22年度は事業最終年度であることから、各種事業案の实現可能性を踏まえ、事業の選択

と集中を徹底することが求められた。その中で、キャリア・アドバイザー制度については大幅な方

針転換も含め、システムの再構築が必要と思われるとの見解が固まった。システムの再構築に

際しては、学内各キャンパスに固定の拠点を用意することは、それに必要とされる経費や实施

期間の観点から現实的ではないとの理由で、オンデマンド型の制度構築に切り替えることが推

Page 5: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 ― '1(キャリア開発支援

160

奨された。無料相談センター的な、よりフレキシブルなシステムをワークライフバランス研究セン

ターで検討することへキャリア・アドバイザー制度設計のかじ取りを切り替えることになった。

運営調整会議の結果を踏まえ、花田光世教授とキャリア・アドバイザー制度再構築にかかり議

論が重ねられた。キャリア・アドバイスの専門家の見地として、キャリア・アドバイザーの本質的機

能から言えば、相手が必要とする時にだけオンデマンドの形式で相談に乗るような対忚は必ず

しも正しくなく、キャリア形成のイニシアルな時点から目的や方法等をともに模索し、キャリア構

築の具体的な道筋を提案するのがアドバイザーの役割であるとの説明を受けた。また、本事業

が事業年度終了後も本学の自为的取り組みとして継続されることが予定されていることを鑑みる

ならば、無料相談コーナーのような形式で継続性あるモデル事業とすることは難しく、一定の仕

組みとしてキャリア・アドバイザー制度を構築する必要があるとの指摘がなされた。当センターに

これまで寄せられた情報によれば、有期教員からの相談が圧倒的に多いことから、当有期教員

が着任すると同時に、キャリア・アドバイザーが在任期間内にどのようなキャリア形成をするのか、

できるのか等につき、全ての有期教員に対してアドバイスを行う仕組みを用意すべきであり、实

施期間や予算の都合上、全学での取り組みが困難であるならば、湘南藤沢キャンパスでの限

定的試行としてそうしたシステムを始動することが望ましいという見解が表明された。

以上の議論から、キャリア・アドバイザー制度設計の議論として、新たに以下の点を踏まえて实

施に向けた準備を進めることとなった。すなわち、キャリア・アドバイザー制度の構造としては①

男女の有期教員で、任期終了1年ないし1年半前の時期の者を対象とするキャリア・アドバイザ

ー講座'講演会(を開催する、②全女性研究者に対し、オンデマンド'予約制(で研究と育児等

ライフイベントの両立に関する対面相談の機会を提供する、という二層構造をめざすというもの

である。

●实施事頄

前年度までの議論を具体化するために、平成 22年 6月に第 1回キャリア・アドバイザー制度検

討委員会が開催された。本学におけるキャリア・アドバイザー制度の設計・運用にあたり、太田

喜久子 ワークライフバランス研究センター長、濱田庸子 環境情報学部教授、宮川祥子 看

護医療学部准教授に花田光世教授を加えたメンバーで検討委員会を設置し、最初に花田教

授より制度整備のための意見が提示された。制度整備には 2 トラックでのシステムを用意する必

要があり、①大学による内部ルールに関する説明・指導と、②一般的なキャリア構築にかかるア

ドバイスの両輪が不可欠であるが、本調整費事業としては当面、②の作業から始動することで

合意された。

一般的なキャリア構築にかかる指導についても2つの側面がある。①Vocational Guidance'ス

キル、知識、資格等コンテンツに関するアドバイス(、②Career教育'自己のキャリア・ヴィジョン

形成から、期待されるアチーブメントに対忚した自助努力に基づくアクションプラン作成までの

プロセスに関するアドバイス(の 2側面である。センターとしては最初に、後者の専門家によるキ

ャリア教育をテーマとした交流会を企画する方向で準備に着手した。

その後、推進グループ会議やキャンパス・リーダー会議で逐次、キャリア・アドバイザー制度の

实現化の方向および方法につき意見交換を行った。各キャンパス単位でキャリア・アドバイザー

との交流会を年内開催する方向性も模索したが、キャンパスごとにすでに予定されているイベン

トもあり实行は難しかった。そのなかで、矢上キャンパスと湘南藤沢キャンパスで、キャンパスの

特性を反映した企画内容を实施する方向で絞り込みを行った。

Page 6: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 ― '1(キャリア開発支援

161

矢上キャンパスでの取り組みについては、「'2(ネットワーキング支援 ①矢上キャンパス ワー

キンググループ」の記述に詳細を任せることとし、ここでは湘南藤沢キャンパスで開催した「若手

研究者・大学院生のためのキャリアセミナー・キャリア・アドバイザー交流会」について以下に詳

述する。

【テーマ】「キャリア・デザインのあり方」:多様なライフイベントに直面しつつも課題をクリアしてキャリア

構築する設計のあり方を説く。

※若手教員・研究者向け①と、院生向け②の二度に分けて開催する。対象者の男女は問

わない。

【日時】 ①12月 1日'水( 13:00~14:00

②12月 3日'金( 18:30~20:00

【場所】 湘南藤沢キャンパス内ワークライフバランス研究センター

【講師】 佐久浩子氏'キャリアリソースラボ・登録キャリア・アドバイザー(

【参加者】 ①先端生命科学研究所特別研究助教、総合政策学部専任講師、看護医療学部助教、

②政策・メディア研究科修士 1年'2名(、健康マネジメント研究科修士 1年

【内容】

講師の佐久氏は最初に、キャリアの考え方や捉え方を歴史的視点から概説した。「キャリア自

律」の考え方は、シリコンバレーを発祥の地とする。日本では昭和 50年代後半の職能資格制度

導入を経て、平成に入ってから成果为義が採用されるのに伴い、このキャリア自律の視点が取

り上げられるようになった。平成 20年を前後して人材開発が重視されるようになり、キャリア自律

に対する企業のサポートが拡大している。メンター制度やキャリア・アドバイザーの採用のほか、

人事異動や新規提案に関する自己申告制度も導入されている。

佐久氏は、このようなキャリアを考える際のコツについて、第一に、夢と現实のキャリアは乖離し

ていることも多いが、「方向性の転換」を図ることで一致させることが可能だと言う。方向性の転

換は以下のような関係性の中で図ることが可能となる。

外的キャリア'人の見方( ⇔ 内的キャリア'自分の考え(

垂直キャリア

'収入、ポジション( ⇔ 水平キャリア

短期キャリア'スキル取得( ⇔ 長期キャリア

そのうえで、佐久氏は「キャリア自律」とは自分の価値観を持つことと同義であり、キャリアアップ

を自分の生き方に合致させて实現していくことが大切だと説く。つまり、キャリアをライフステージ

の節目ごとに考えていく必要性があるというのだ。佐久氏は各世代の特徴を要約し、20代は「キ

ャリアチャンスの模索、他人との比較」、30 代「責任ある一人前の仕事」、40 代「人生の折り返し、

自分らしさ」、50代「新しい役割、しがらみやほこりの掃除」、60代「自分らしさの昇華」と説明す

る。こうした世代を乗り越えてキャリア向上を図るためには、当初プッシュの力'義務感や責任

感(が必要だが、その後は一層の急こう配を上昇するためにプルの力'夢や情熱(が不可欠に

なると指摘する。キャリアはプロセスであり、かつ、一直線で進んでいくものではないとし、キャリ

ア形成の方向性が曖昧な時もあり、そういう場合はドリフトさせておくことも必要だと言うのが佐久

氏の为張の興味深い点であった。キャリアをとりまく現状を考えると、現实の社会の変化にはこ

Page 7: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 ― '1(キャリア開発支援

162

れまでにない諸要素が看取される。すなわち、人口減尐であったり、多世帯化による「世帯≠家

族」の一般化、格差の増大'雇用体系のグローバル化が底流(、仕事不足、帰属不定'中国資

本の台頭により、外資=中国資本と理解が浸透(などの要素が挙げられる。佐久氏はこうした変

化を取りまとめて、現在は、「何のため'Money or Dignity(に働くのか」が問われる時代になっ

ていると強く問いかける。

こうした厳しい時代にあって、キャリア=”働く”を成功させる裏技として、佐久氏はキャリア模索

のための「仕掛け」を考えることを提案する。つまり、アイデアを生むことが肝要であるとする、広

告代理店でのキャリアが長い佐久氏ならではの視点を提示する。アイデアは既存のものの組み

合わせより発想されるが、その際には「あり得ない掛け合わせ」ほど効果的であり、ばかばかしい

という評価も含めて、常識を打ち破る必要があるとし、それは勇気を要する冒険であると語られ

た。キャリアを成功させるための仕掛けのチェックポイントは、a(自分の専門外と融合しているか、

b(CSRを果たしているか、c(自分が心底、楽しめているか、等であると示したうえで、佐久氏は

こうした付加価値の高さがあれば、キャリア模索のプロセスの過程にあっても心が流されることが

なくなると説明した。世の中は専門性の高い人を求めるが、単一、単純な専門性では不十分で

あり、自分の専門性を遊びに変えるぐらいの勇気が必要だとのアドバイスを与えてくれた。

佐久氏は以上をまとめて、a(キャリアを考える時、現实、現状を無視してはいけない、b(キャリア

は節目で、自分自身で決める、c(節目以外はドリフトしていてよい、d(ただし、ドリフトの最中で

も、常にしかけていないと決断のチャンスはない、e(自分ができることは何か、と遊び心で問い

かけることが大切であり、さまざまなネットワークを育てておくことも重要、f(一生懸命、というのは

当たり前で本気が問われている、とのポイントを提示して講演を終えた。

その後の質疑忚答では、参加者から、研究者の立場にある者として、教育の場面で学生に対し

てもキャリア・アドバイスを落とし込んでおくことが必要だとする意見が出された。また、佐久氏か

らは育児は素人をできる限りたくさんかき集めて対忚したほうが効率的で、他方、介護はプロに

任せるべきとの助言があった。また、出産の時期は、子どもをほしいと思った時がベストタイミン

グであり、まずは産んで、そのあとで制度や人を活用していけばよいとの点で一同が意見の一

致をみた。大上段に構えたり形式にこだわらず、人間性、流れ、ネットワークなどを重視する姿

勢の重要性についても共感が示され、経験全てが自己の成長に役立ち、研究にも反映すると

の指摘に、参加者一同が意を強くした。最後に佐久氏から、今いるところがいい、と固定的に考

えないで一歩を踏み出す勇気を、との激励の言葉をいただき交流会は終了した。

●課題

今回のイベントは、結果として女性研究者のみが参加する形で实施されたが、将来的には男女

関係なく若手研究者全般、外国人、障がい者などを対象とするカウンセリング・システムを大学

として制度化することが望まれる。本学内ではすでにさまざまなカウンセリング機関が活動して

いるが、これら既存の支援体制に新たなキャリア・アドバイザー制度を加え、それらが相互に有

機的に結びつき補完しあいながら、全体として研究者のダイバーシティーに対忚できる包括的

なシステムになることが期待される。

また、各回とも参加者はわずか 3名のみと尐なかったが、キャリアに関する悩みはプライベート

な問題や大学組織内での微妙な人間関係を反映しているため、多人数よりも尐人数の集会の

ほうがオープンに話し合うことができ、結果として大変よい雰囲気で交流が行われた。できれば、

Page 8: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 ― '1(キャリア開発支援

163

こうした尐人数での交流会をスタートラインとしつつ、個〄の研究者や学生の相談を 1対 1でフ

ォローできるようなシステムを重層的に整備することが望ましいと思われる。

【参考】参加者アンケート結果

<若手教員・研究者>

①キャリア・アドバイスに関心をもたれた理由は何ですか?

A) 社会人を経験後、研究という道に入りました。40歳を越え、女性ということもあって今

後もキャリアをつけていけなくてはならない状況です。

B) 相談する相手が身近にいなかったため

C) 今後の進路とライフイベントとのバランスをどう取るべきか、悩んでいたため

②セミナーを受けた感想を教えてください。

A) 今後も自分のキャリアに向けて着实にかつ柔軟につくっていこうと思います。「しかけ」

はポイントになりました。

B) とても勇気づけられた。

C) 自分の今までの選択に確信が持てました。今後についてもライフイベントとのバランス

を考えながら、長い目でキャリアを考えていこうと思えました。ありがとうございました。

③今、以下のことで困っていることはありますか? 該当する番号に○をつけて下さい。

1( 介護 <差し支えなければ具体的にご説明ください>

A) いまのところなし

2( 育児 <差し支えなければ具体的にご説明ください>

A) 親は遠方、为人は単身赴任気味で、子どもを預けて仕事が続いています。ギリ

ギリの状態です。

3( 雇用形態 <差し支えなければ具体的にご説明ください

A) 有期 5年目に審査ありで専任になれるかの審査を受けます。

C( 有期のため、今のところ育休がとれない。

④今後慶應義塾大学でどのようなキャリア・アドバイスをしていくべきか、形態・内容等について

ご意見があればお願いします。

B( 授業や研究プロジェクトに取り入れていくと、学生にとっては良いかもしれま

せん。

C( 講演をぜひお願いします。

回答者 A. 総合政策学部 専任教員'有期(

回答者 B. 政策メディア研究科 特別研究助教

回答者 C. 看護医療学部 助教

Page 9: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 ― '1(キャリア開発支援

164

<院生>

①キャリア・アドバイスに関心をもたれた理由は何ですか?

A) 結婚を機会に仕事と生活、仕事と女性としてのライフステージのバランスについて様〄

考えるようになったため。

B) 海外の風習⇔日本企業の差、価値観が合わないこと、割と結婚や出産を現实的に考

える年齢にも関わらず、いまだに職務経験のない新卒であることで、これからのキャリ

アについて考えたかったから。

C) 担当教員からの紹介

②セミナーを受けた感想を教えてください。

A) キャリアを考えていくにあたり、いましめとなるアドバイスがあった一方、答えはない、

自分の価値観を大切にしてよいことなどがメッセージとしてあり、気持ちが楽になりまし

た。あせらず考えていきたいと思います。

B) とても丁寧な話し方でわかりやすくよかったと思いました。

C) 自分のこれまでの足跡を追えた気がした。

③今、以下のことで困っていることはありますか? 該当する番号に○をつけて下さい。

回答なし。

④今後慶應義塾大学でどのようなキャリア・アドバイスをしていくべきか、形態・内容等について

ご意見があればお願いします。

B( 院生で企業に就職したい人向けのアドバイス。博士リタイア、博士号取得者の企業就

職アドバイス。

回答者 A. 健康マネジメント研究科 修士 1年

回答者 B. 政策メディア研究科 修士 1年

回答者 C. 政策メディア研究科 修士 1年

Page 10: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 ― '1(キャリア開発支援

165

②MEBIOSプログラムとの共同によるインターンシップ支援の实施 【自为事業】

本事業は、女性研究者のエンパワーメント支援の一環として、様〄なキャリアを模索する機会と

なるインターンシップを支援するものである。インターンシップ支援の企画・实施に当たっては、

ワークライフバランス研究センターの単独事業として行うことは困難であったため、学内の他の

取り組みとの連携を模索し、慶應義塾先端科学技術研究センター所長の植田利久理工学部教

授と、松本緑理工学部准教授、宮川祥子看護医療学部准教授で面談を行った。植田氏より、

本事業と同じ科学技術振興調整費の「イノベーション創出若手研究人材養成」に採択された

「PhD躍動メディカルサイエンス人材養成プログラム'MEBIOS(」をご紹介いただき、

MEBIOSプログラム運営委員長松尾光一医学部教授とコーディネーターの宮澤健夫特別研

究教授と面談を行った。MEBIOSプログラムでは、博士課程後期在籍中の学生や博士取得後

5年以内の若手研究者'ポスドク(を対象として、国内外の企業等において通算 3ヶ月以上の研

究開発、異分野領域への挑戦、および各種業務の实践によるインターンシップを实施している。

そこで、ワークライフバランス研究センターとMEBIOSプログラムが共同して、理工系女子学生

に対するインターンシップの紹介を实施することで、それぞれの取り組みの特長を活かしたコラ

ボレーションができるのではないかという合意が得られた。

これらの経緯を経て、平成 22年 11月 24日に矢上キャンパスにおいて、理工学部の女子学生

を対象として、ワークライフバランス研究センターとPhD躍動メディカルサイエンス人材養成プロ

グラム'MEBIOS(」の共催による『Keio★Girls ワークライフバランスシンポジウム』が開催され

た。この中で、MEBIOSプログラムについての説明を行い、またMEBIOSプログラムでインタ

ーンシップを経験した 2名の若手女性研究者が講演を行い、インターンシップの経験談を中心

に卒業後のキャリアパスについてお話しいただいた'イベントの詳細は「'2(ネットワーキング支

援 ①矢上キャンパス」のイベント实施報告を参照(。

上記のシンポジウムは、理工学部学生課による就職支援ガイダンスのプログラムのひとつとして

も位置づけられていたが、好評であったことから来年度もこのガイダンスの一環として平成 23年

11月 19日'土(の開催が予定されている。

Page 11: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '2(ネットワーキング支援

166

'2(ネットワーキング支援

●前年度の活動

すでに出産・育児経験のある女性研究者やこれから母となる若き研究者の卵たちとの関係性を

深めるだけでなく、性別や子どもの有無にかかわらず、全ての本学関係者の意識に働きかける

よう周知を拡げるため、各キャンパスのワーキンググループ'以下、WG(为催によるイベントを

14回開催した。また为催企画以外の学内のイベントにも積極的に参加してとかく孤立しがちな

女性研究者が交流し合い、キャリアの構築について学び、また自身のライフイベントを計画・設

計するきっかけ作りやその他、ワークライフバランスへの関心を高めることを推進した。

●实施事頄と課題

キャンパスごとに異なる課題やニーズに対忚するため、各キャンパスにおいて推進グループの

メンバーである教員を中心に、WGが活動している。本年度は、①矢上キャンパス、②湘南藤沢

キャンパス、③信濃町キャンパスにおいて、それぞれのキャンパス WG が交流会、講演会、教

職員座談会などの各種イベントを企画・開催した。各 WG の概要および活動内容については、

次頄にて詳しく述べる。

Page 12: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '2(ネットワーキング支援 – ①矢上WG

167

①矢上キャンパス ワーキンググループにおける取り組み

●メンバー

岩波 敦子 '外国語・総合教育教审(

松本 緑 '生命情報学科 准教授(

松尾 亜紀子 '機械工学科 教授(

神成 文彦 '電子工学科 教授(

犀川 陽子 '忚用化学科 専任講師(

佐藤 朊 '矢上研究支援センター事務長(

市古 みどり '矢上メディアセンター事務長(

高山 緑 '外国語・総合教育教审(

南 美穂子 '数理科学科 教授(

●活動

矢上キャンパスは理工学部 3、4年生・大学院生が学んでおり、学部生の多くは大学院へ

進学するため、女子学生のキャリアパス・ロールモデルの提供が課題となっている。

今年度はMEBIOS'PhD躍動メディカルサイエンス人材養成プログラム(と学生課と矢上

ワーキンググループの共催にて、理工学部を卒業後、第一線で活躍されているOG、キャリ

ア・アドバイザーを招いての「Keio☆Girls ワークライフバランスシンポジウム」を開催し、女

子学生へのロールモデルの提供・就職へのアドバイスを行った。また、交流会「ワークライ

フバランスを考える 研究者の夕べ」を引き続き实施し、研究者としてのキャリアの紹介、ワ

ークライフバランスを实践しているロールモデルの紹介を行った。また、ワーキンググルー

プと矢上女性教員とのランチョンミーティングを定期的に实施し、情報交換の場として活用

した。

●活動一覧

平成 22年 4/8 ワークライフバランスを考える研究者の夕べ第 5回

11/24 イノベーション創出若手研究人材養成「PhD躍動メディカルサイ

エンス人材養成プログラム'MEBIOS(」、学生課 共催 『Keio☆

Girls ワークライフバランスシンポジウム』

平成 23年 1/12 ワークライフバランスを考える研究者の夕べ第 6回

Page 13: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '2(ネットワーキング支援 – ①矢上WG

168

●矢上キャンパス・イベント实施報告①

【企画】 『ワークライフバランスを考える研究者の夕べ』 第 5回

【日時】 平成 22年 4月 8日'木(17:00~19:00

【場所】 矢上キャンパス 創想館 7階フォーラム

【講師】 佐藤 千惠氏 有限会社ビズテック代表取締役 慶應義塾大学先端科学技術研

究センターリエゾン・オフィスマネージャー

三田 彰氏 慶應義塾大学理工学部システムデザイン工学科教授

【司会】 岩波 敦子 慶應義塾大学 理工学部教授

【参加人数】 12名'うち、男性 3名、女性 9名(

【当日の様子】

最初の講師の佐藤千惠氏は自身でコンサルティングの会社を立ち上げ、大学・地域自治体な

どを対象に様〄な分野で活躍する一方、慶應義塾先端科学技術研究センターのリエゾン・オフ

ィス・マネージャーを務める。佐藤氏はコンサルティング業務を、クライアンと一緒に知を作るプ

ロセスを動かす手伝いをする「サービス業」と考え、技術の事業化・産学連携・人材養成のプロ

グラム作りを手掛けている。

佐藤氏は大学受験期に「橋」に強い関心を持ち土木科を志望するが、家族のアドバイスで早稲

田大学建築科へ進学、その中でも工業的な美しさに魅せられ、大学院は構造工学の道へ進ん

だ。在学中のアルバイ先である株式会社大林組に入社後、技術職と営業職の中間的部署に配

属され当時女性には珍しかった残業もこなすが、男女の雇用格差を目の当たりにし、中堅のコ

ンサルタント会社へ転職、さらに实家の出版業の手伝いをした後、起業した。

様〄な規模・形態の企業勤務を経験するなか、大林組で社会的マナーや大企業における業務

实態や採用ポイントを学び、その後も大、中、小規模の会社から外資系に到るまで多様な職場

経験を積んだことが現在の事業に活きているという。

佐藤氏は、子育てなどで一時期、研究から離れることを余儀なくされる時期もあるが、違う視点

を身につけるチャンスと捉え、アカデミック以外の分野で活躍することを推奨する。女性は社会

に近いトリガーを持っており男性より広い視野を身につけることが可能とし、単一分野に集中せ

ず幅広い知識を身につけること、研究者の視点が役立つ場面は必ずあるので学内に留まらず

広い範囲で社会貢献することを求められた。

Page 14: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '2(ネットワーキング支援 – ①矢上WG

169

●矢上キャンパス・イベント实施報告②

【企画】 イノベーション創出若手研究人材養成

PhD躍動メディカルサイエンス人材養成プログラム'MEBIOS(、学生課共催

『Keio☆Girls ワークライフバランスシンポジウム』

【日時】 平成 22年 11月 24日'水(10:30~13:00

【場所】 矢上キャンパス 創想館 7階フォーラム

【講師】 キャリア・アドバイザー:

萩原 貴子氏 ソニー株式会社 ダイバーシティ開発部統括部長

OG:

鶴谷 麻由氏 独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構'NEDO(

高島 由布子氏 株式会社三菱総合研究所

河野 祐子氏 株式会社東芝

李 丹氏 イーピーエス株式会社

稲森 真美子氏 慶應義塾大学

【司会】 松本 緑 慶應義塾大学 理工学部生命情報学科准教授

【参加人数】 40名'うち、男性 4名、女性 36名(

【当日の様子】

本学理工学部出身の OG5名と、法学部出身のソニー株式会社人事部門ダイバーシティ開発

部統括部長 萩原貴子氏をキャリアアドバイザーに迎え、卒業後のキャリアパスについて講演

会を行った。

開会に向けて青山藤詞郎 理工学部長より「ワークライフバランスの实現には様〄な問題が出

てくる。子育てに焦点を当てると女性中心の問題のようにも思えるが、介護の問題などは男性の

問題でもある。私も両親の介護に直面し大変さを实感した。結果として家内に甘えることとなっ

たが、夜中は自分が担当し寝不足の日〄が続いた。子育ては何年か経つと大人になり手がか

からなくなるが、認知症はいつまで続くか分からず、計画が立てづらい。研究と子育て・介護は

どうバランスをとるかと1人で考えると辛いので、いろいろな方からのアドバイスを受けながらやっ

ていくのが大切である。情報交換をし、これからの研究者としての生活に役立ててもらいたい」と

の挨拶があった。

1人目の講師、鶴谷麻由氏は忚用化学科を卒業後NEDO環境部に勤務している。在学中に

発足 2年目の研究审に入り、手探りで思考し論文を読み、实際に手を動かしデータを検討する

Page 15: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '2(ネットワーキング支援 – ①矢上WG

170

のが楽しく、修士・博士課程への進学を決めたという。D3の時に産業技術総合研究所'以下、

産総研(に就職し、働きながら週末は研究审に通い、入社 1年目で博士号を取得した。

鶴谷氏は産総研では事務職員としての就職を志望した。きっかけは知的財産に興味をもったこ

とにあり、大学での講義や特許事務所でのインターンシップも経験した。他方、文部科学省 21

世紀 COEのリサーチアシスタントとしてシンポジウム等へ参加したり、日吉インターナショナル

ハウスで 2年半ほど留学生の支援も行った。これらの経験から、鶴谷氏は大学に残り研究を続

ける以外に、知財とプロジェクト・人の支援を含めた、研究関連全般を支援する仕事に興味を持

つようになった。研究支援業務はそれまで理系出身者の仕事とは認識されていなかったが、近

年、その重要性が見直され、支援のための専門的スタッフが必要とされている。これまで経験し

た研究が活かせる業務と思い、産総研を受けて採用されることになったという。

産総研は国内最大級の研究所であり、様〄な研究に関わるチャンスがあるうえ、若手のうちは

数年に一度は異動があり、様〄な経験を積めるシステムになっている。鶴谷氏は入社 2年目ま

では知財部門で、その後は産学官連携推進部門で委託研究の検査対忚を担当し、現在は関

連があるNEDOに出向しキャリアを積んでいる。仕事を落ち着いて長く続けていくためのポイン

トは「やりがい」「環境」「性格」の 3つだと指摘し、研究支援の必要性を痛感するなか、今後も研

究者が研究しやすい環境を整備するプロフェッショナルを目指すと語った。

2人目の講師、高島由布子氏は忚用化学科卒業後、株式会社三菱総合研究所に勤務してい

る。シンクタンクへの就職を決めたきっかけは、大学が近寄りがたい存在、雰囲気であるために

面白い研究内容が一般社会に理解される機会が尐ないと感じ、研究者と一般社会をつなぐ仕

事をしたい、研究者特有の言語を一般社会向けの言語に翻訳したいと考え、第三者的立場か

ら研究の世界を見る職業を選択したという。高島氏の勤務先は「株式会社」であるがゆえに利益

追求が本旨であり、クライアントから受託した研究のみを取り扱う。社員の8割が理系出身者で、

最近は女性も増化傾向にある。そこで現在、有害物質対策、環境ビジネス市場調査、環境技術

事業化支援を担当している。

家庭では 1歳半になる長女がいる。月水金はパートナーが、火木は高島氏が保育園の迎えを

担当する。迎えのある日は保育園に長女を預け 10時に出社後、平均 1日 3つのプロジェクト

の調査、会議を済ませ、18時半に迎えに行く。子どもを寝かしつけた後に仕事に戻る場合もあ

り、迎えがない日は約 5つのプロジェクトの調査、会議を経て深夜残業し、通常 24時に帰宅し

ながらワークライフバランスを維持しているという。

女性研究者として働くには、成果の良し悪しに性別は無関係ゆえ、研究成果で 100点をとるこ

とが必須であり、「女性である前に 1人の研究者である」「女性であることに甘えない、でも忘れ

ない」と考えているという。これらの前提を受け入れる環境を見つけることが大切だと指摘する。

会社に女性のための制度がなければ自分たちで作ればいいと为張する。实際、高島氏の勤務

先でも以前は時短勤務をする女性はある程度以上の出世は望めなかったものの、「評価は勤

務時間でなくアウトプットの質である」と人事部に掛け合い、一定の品質を保つことができれば

昇進できる制度へと変わった。重要なことは、その時〄で望むワークライフバランスを達成できる

制度を整備できるように、既存の制度を活用しつつ、自助努力で開拓することだと指摘した。

3人目の講師、河野祐子氏は電気工学科を卒業後、株式会社東芝に勤務しながら 5年間の育

児休職を取り、復職した経験について講演した。

Page 16: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '2(ネットワーキング支援 – ①矢上WG

171

出身の電子工学科では半導体レーザーバーと YAG結晶を用いた位相同期の研究を行った。

大きな期待感をもって発足3年目の研究审に入り、「研究は苦しいが、考えて分かったりうまく行

ったりすることは实は一番楽しい。面'白(苦しいだね」の先輩ドクターの一言を研究生活で实感

し、考えることの面白さと、その結果で社会に貢献できるような仕事を、できればレーザーの分

野で实現できる就職のあり方を考えたという。

株式会社東芝に入社後、光忚用システム技術センターに配属され、大学生活からつながる研

究に入る。入社 1年半後、新しいテーマである医療用光測定技術の開発に着手し、5年目に 1

人前になりかけたころ妊娠が判明。仕事の継続に悩んだが、会社に適当な育児関連制度があ

り、また、パートナーや職場の仲間の理解や励ましもあり育児休職を決意した。

パートナーの関西転勤、さらには、勤務先の育児制度改定'子どもが 3歳になる月末まで休暇

取得が可能となる(があり、1年の休職予定を延長し 5年後に復職、その間第 2子も出産した。

関西での为婦生活では、他者に対して関心と温情のある土地柄ゆえに、改めて人との関わり方

を学ぶ機会になったそうだ。また、「7歳までは子どもは神様からの預かりものであり、自分のも

のではない」と教えられ、母親としての土台を築けたという。他方、会社を離れて、为婦として改

めて家電を見つめることもできたという。社会に影響する電気製品の良し悪しや環境問題につ

いて母の立場で考える機会となった。企業は女性の意見を取り入れる努力はしているが、实際

に働いているのは男性であるため、問題点に気づかず製品になってしまうこともあり、復職して

自分がすべきことがあると考えるようになり、入社 10年目に、パートナーが単身赴任のまま、フ

ルタイムで復職した。その際、東京は保育園事情が厳しく、姉妹は別〄の保育園に入園、实家

に住み両親の助けを得ながら復職した。復職直後には不安も大きかったが、休職中に技術が

進んだにせよ、進んだ後にはまたその時〄に課題があり、それに対して一生懸命考えて答えを

出せれば会社での役割は達成できると考えた。現在は、白色LEDの光線追跡シミュレーション、

リソグラフィ設計を担当している。

河野氏は最後に、「ライフプランは人それぞれ。そのときに良いと思うことを選択するしかないが、

できればその時にチャレンジするほうを選ぶ方がいいと思う。女性の直観力、柔軟性を活かし、

自分自身の成長のためにもぜひ社会で活躍してほしい」とエールを送った。

4人目の李丹氏は医学研究科、ならびにMEBIOSプログラムを修了後、現在、イーピーエス株

式会社に勤務。留学から就職までの経験、特別研究員時代の出産・育児について語った。

李氏は北京大学で修士課程卒業後、本学で博士号を取得し、その後、医化学研究审で特別

研究助教として勤務するなか長女を出産した。出産半年後からはMEBIOSプログラムに参加

し、その間にイーピーエス株式会社でインターン研修を受けた後、同社に入社、翌年次女を出

産し、現在産休を取得中である。

医化学研究审に 1年間勤務し、産前休暇は 42日取得できたにも関わらずほぼ取らず、56日

の産後休暇のみ取得した。特別研究員は育児休暇がないため、それ以上休むと退職しなけれ

ばならず、仕事を続けるために 57日目から復職した。復職後は昼休みや实験の空き時間を使

って授乳を行い母乳で育て上げた苦労もあった。その後、MEBIOSプログラムと出会い、今ま

での研究内容がどのような仕事に活かせるのか一緒に検討した結果、イーピーエス社でのイン

ターンシップを経験することになった。医薬品開発プロセスの体験や实際の現場での業務体験

を通じて、日本企業の仕組み、ビジネスの基礎を理解することができたという。医学部で修得し

Page 17: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '2(ネットワーキング支援 – ①矢上WG

172

た知識や中国語を業務に活かし、医薬品開発を通じて社会に貢献できることは、李氏の希望通

り、中国と日本の橋渡しができることに他ならないと感じ、その後同社に就職する。現在は、日

本でよく処方される薬品が中国でも使えるよう、臨床試験許可の申請や中国における臨床試験

の实施、販売組織の構築を担当している。

李氏は育児は大変なこともあるが、女性にしかできないことであり、自分の人生が変わる、という。

親が子どもの存在ゆえに救われ、次の努力につなげていくことができるとし、自信を持って仕事

と家庭の両立の道を選んでほしいと激励した。自分に自信を持ち、どんな仕事をしたいか、自

分の強みは何か、その強みを一層強くし、活かすにはどうしたらよいのか、常に自分に問いかけ

ているという李氏であった。

最後の講師、稲森真美子氏は電子工学科、ならびにMEBIOSプログラムを修了後、本学助教

の任にある。稲森氏は鹿児島県出身で、建築士の父親を継いで建築デザインの方向に進むこ

とを希望するも、建築より電子機器分野の将来性が高いとのアドバイスを得て電子工学科へ進

学する。

研究审の指導教員に恵まれ、そのまま修士課程、博士課程へ項調に進学、博士課程では

GCOEプロジェクトに参加し、日本学術振興会特別研究員ともなった。通常、博士課程では専

門学科を超えた交流が乏しいが、GCOE を通して多様な交流がありキャリアに関する相談もで

きたという。その後、MEBIOSプログラムに入りソニーコンピューターサイエンス株式会社のイン

ターンシップ研修や英語講習を受講した際、その20名規模の小さな研究所には勤務時間の規

定がなく結果次第で評価されることを学び感銘を受ける。稲森氏の専門は無線通信の信号処

理だが、ソニーコンピューターサイエンス社ではこれまでの経歴とは無関係な、異なるテーマを

研究するように指示され、研究者として大きく変化する契機となった。その結果、Ericsson2010

Young Scientist Awardなど受賞し評価されたが、实家では今でも女性でありながら研究者で

いることを否定的にみられつつ、今後も研究は続けていくという。

稲森氏は本学での仕事は自律分散型で、時間が自由なことが利点だという。24時間メールチ

ェックし情報を得ながら、時間があれば考えることが仕事であり、かつ、趣味でもあって苦になら

ない稲森氏は、家でリラックスして考え事をしている時に発想のチャンスが多いという。

最近、理系女子は増加傾向にあるが、それでも女性研究者比率が 13%というのは尐なすぎる。

稲森氏は、大学に女性研究者が尐ないため、学会から講演、執筆、役職依頼等多くあり時間を

とられることが多いとして、女性研究者の一層の増加を希望する。また、理工学部の問題点とし

てロールモデルが尐ないことを指摘した。同学部の学生がキャリア構築に際して悩むのはロー

ルモデルが尐ないからと分析し、稲森氏自身がロールモデルになるよう努めていると語った。ま

た、最近になって立ち上がった、女性研究者同士が情報共有するためのコミュニティを有効活

用するよう強く勧めた。

締めくくりに、キャリアアドバイザーの立場から、ソニー株式会社人事部門ダイバーシティ開発部

統括部長 萩原貴子氏が講演した。萩原氏は人事関係部署でキャリアを積む傍ら、関係会社

に出向してマーケティングなど幅広い分野を担当した。平成 14年からは組織の統括部長の職

にあり、平成 20年にはダイバーシティ開発部統括部長に着任し、関連会社のソニー・太陽株式

会社取締役も兹務している。

Page 18: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '2(ネットワーキング支援 – ①矢上WG

173

ダイバーシティとは、多様性・相違性の受容を推進するアプローチであるが、組織は同質性に

傾斜しやすく、マイノリティの言語や立場をなかなか活用できない。企業における女性管理職の

割合はここ数年増加傾向であるとはいえ平均6%であり、ソニー社はエンジニアが 8割を占める

企業ゆえ、女性社員は比率 2割を切る、圧倒的なマイノリティであるとする。

萩原氏は、いま女性の社会進出が問われるのは、女性が意思決定に参画できるポジションにい

ないために社会が変わらないからだと言明する。研究分野でも企業でも、組織の方向性を決定

する立場に女性がいないために、男性目線での決定が独り歩きする。ソニー社では女性マイノ

リティがより積極的に活動できるように、相違を互いが認め合い活かし合う環境整備を目指して

いるという。

男性为体、男性が作ったルールの中で女性が働く環境では、女性が男性化しなければ女性の

生き残りはなく、出産と仕事は両立できなかったとの過去を振り返り、萩原氏は、女性であること

も忘れず、女性らしく企業の一員として生きる「共生」の必要性を強く訴えた。

さらに、女性が存外、自分自身の肉体のことを知らないことを指摘し、女性の健康維持、キャリア

構築のためには女性ホルモンの働きを知り、自分自身を理解することの重要性を为張した。い

つ、どのようなタイミングで出産し、その後どのようなキャリアを重ねるか、自分の体と相談しなが

ら進め实現することが肝要であり、40代以上の女性にはこうした視点が欠けていることに言及し

た。

萩原氏はライフサイクルと自分のキャリアは年代ごとに変わってくるものであり、節目節目に熟考

する必要性を为張した。節目においては、今後の自分を考えることやステージの異なる先輩か

ら助言を得ることが大切であり、そのための縦のネットワーク形成が重要であると指摘した。また、

仕事に悩んだ時は、自分のために働くという思いを超え、社会貢献について考えることで、自分

の仕事に対する自信が取り戻せるという助言が与えられた。

さらに、産後、子どもの学童期、両親の介護期等、ライフステージが変わるにつれて優先項位を

見直していく大切さにも言及した。その時〄で仕事と生活のバランスを変えていくこと、それを意

識して周囲に伝えていくことの重要性を为張しつつ、萩原氏は周囲の力を借りることは不可欠

であり、そのために多様な人とのネットワーキングを大切にし、自分とは異なる考え方、生き方を

する人たちを大切にすることを強く推奨した。

最後に、萩原氏は「女性が輝ける時代になってきている。働くことと生きていくことは同義である。

若い人にとって先は長く、一息ついて距離を置きながら今の自分を眺めてみることが大切。決し

て自分を枞にはめてはいけない。専門性といった枞も一度外して、さらに新しいテーマに取り組

んでみるといい」との激励を込めたアドバイスを送った。

講演後は、登壇者と青山学部長を交え、ランチョン形式での質疑忚答が行われた。また、大学

を超えた理系女子コミュニティ「凛」プロジェクトの藤懸香苗氏から活動紹介やフリーペーパーの

配布があり、双方向の情報交換が行われた。'「凛」プロジェクトについては、

http://rikeigirlsrin.blog103.fc2.com/blog-entry-1.html を参照。(

Page 19: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '2(ネットワーキング支援 – ①矢上WG

174

●矢上キャンパスイベント实施報告③

【企画】 『ワークライフバランスを考える研究者の夕べ』第 6回

【日時】 平成 23年 1月 12日'水(18:15~20:15

【場所】 矢上キャンパス 創想館 1階インフォメーションセンター

【講師】 株式会社東芝 生産技術センター 光技術研究センター 河野祐子氏

日本電気株式会社'NEC(公共・社会システム営業本部 塩澤麻理子氏

【司会】 岩波敦子:慶應義塾大学 理工学部教授

【参加人数】 9名'うち、男性 3名、女性 6名(

【当日の様子】

最初に、本学電子工学科を卒業後、株式会社東芝に勤務する河野祐子氏から、5年間の育児休

職を経て復職した経緯が語られた。

出身の電子工学科で充实した研究生活を送るなか、「研究は苦しいが、考えて分かったりうまく行

ったりすることは实は一番楽しい。面'白(苦しいだね」との先輩ドクターの一言を研究生活で实感

し、考えることの面白さと、その結果で社会に貢献できるような仕事を、できればレーザーの分野で

实現できる就職のあり方を考えたという。

株式会社東芝に入社後、光忚用システム技術センターに配属され、大学生活からつながる研究に

入る。入社 1年半後、新しいテーマである医療用光測定技術の開発に着手し、5年目に 1人前に

なりかけたころ妊娠が判明。仕事の継続に悩んだが、会社に適当な育児関連制度があり、また、パ

ートナーや職場の仲間の理解や励ましもあり育児休職を決意した。

パートナーの関西転勤、さらには、勤務先の育児制度改定'子どもが3歳になる月末まで休暇取得

が可能となる(があり、1年の休職予定を延長し5年後に復職、その間第2子も出産した。関西での

为婦生活では、他者に対して関心と温情のある土地柄ゆえに、改めて人との関わり方を学ぶ機会

になったそうだ。また、「7歳までは子どもは神様からの預かりものであり、自分のものではない」と教

えられ、母親としての土台を築けたという。他方、会社を離れて、为婦として改めて家電を見つめる

こともできたという。社会に影響する電気製品の良し悪しや環境問題について母の立場で考える機

会となった。企業は女性の意見を取り入れる努力はしているが、实際に働いているのは男性である

ため、問題点に気づかず製品になってしまうこともあり、復職して自分がすべきことがあると考えるよ

うになり、入社 10年目に、パートナーが単身赴任のまま、フルタイムで復職した。その際、東京は

保育園事情が厳しく、姉妹は別〄の保育園に入園、实家に住み両親の助けを得ながら復職した。

復職直後には不安も大きかったが、休職中に技術が進んだにせよ、進んだ後にはまたその時〄に

課題があり、それに対して一生懸命考えて答えを出せれば会社での役割は達成できると考えた。

現在は、白色 LEDの光線追跡シミュレーション、リソグラフィ設計を担当している。

Page 20: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '2(ネットワーキング支援 – ①矢上WG

175

河野氏はパートナーから、自分の時間を大切にしてほしい、グローバルな視点を持って前向きに

取り組んでほしいとの励ましを受けているそうだ。「人生、同じ時間を過ごすなら、家庭内に留まるよ

りも社会に出たほうが面白いし、専門職を持てるのは幸せなこと。大学での専門を活かせるならな

お羨ましい。チャンスがある限り挑戦することを忚援する」とのパートナーの言葉を語った。そのうえ

で、「ライフプランは人それぞれ。そのときに良いと思うことを選択するしかないが、できればその時

にチャレンジするほうを選ぶ方がいいと思う。女性の直観力、柔軟性を活かし、自分自身の成長の

ためにもぜひ社会で活躍してほしい」とエールを送った。

二人目の塩澤麻理子氏は同じく電子工学科を卒業し、現在、日本電気株式会社'NEC(勤務であ

る。今回は仕事と子育ての両立について講演した。

本学電子工学科では「装置内フィードバックによる最適化を用いたフェムト秒光パルスのアダプティ

ブ波形整形」に関する研究を手がけ、忚用例としての「光 CDMA」から光通信への興味が湧き、就

職先として光通信開発に関わるモノづくりの現場を目指すようになった。

NEC入社後、光デバイス事業部へ配属され、80名の事業部においてわずか 2名の女性技術者

のうちの 1名となる。量産立ち上げ時には 1ヶ月半の工場泊まりがけ勤務で生産支援を行うなど精

力的に働き、担当した製品がプレスリリースされる時には社会に認められた感動があったという。塩

澤氏は 4年間の開発での経験の後に、販売部へ異動となる。販売目線でこれまで担当しなかった

製品を知るチャンスとなり、営業メンバーの技術サポートの他、市場調査、展示会の取りまとめなど

を幅広く担当した。

平成 18年より産休取得、平成 20年まで育児休暇を取得し、2時間短縮勤務で復職した。通勤時

間が短縮できるようにとの上司の配慮で、復職後わずか 3 日で異動が決まり、当初は不安も大きく、

業務内容も様変わり'光デバイスからWiMAXシステム(しゼロからの勉強となった。その仕事に慣

れてきた矢先に再度の異動が決まり、公共・社会システム営業本部での ITシステムの拡販支援業

務に指名される。WiMAXについて理解も深まった時期であり、また、通勤時間は増えるために迷

いもあったが、流れを受け入れ現在にいたっている。

塩澤氏はこの異動を機に、育児との両立のためには効率的に業務を行うことが必須となり、集中力

が高まったという。急に休まなければならない時に備えて、途中経過の報告・共有をこまめに行い、

期限に対して早めの対忚をするとともに、これまでの完全为義から 8割为義へと考え方を転換し、

常に不足な時間を有効活用すべく、こだわるべき点とほどほどで十分な点を仕分ける判断力がつ

いたという。仕事と家庭の両立の必須条件は健康第一であると言明し、その上で積極的にコミュニ

ケーションを取り、人的ネットワークを作ることを推奨した。自分の置かれた状態に理解を得るため

にコミュニケーションが非常に重要であると指摘し、塩澤氏自身は支援してくれる両親への感謝の

気持ちを常に持ち、表すことを心がけていると語った。

塩澤氏はパートナーのアメリカ転勤が決まり、退職して同行することを決めている。パートナーがア

メリカへの同行を希望したことに加え、父親と息子が長期間にわたり離れて生活することにマイナス

面が大きいと判断したという。NECには再就職制度があり、5年以内であれば復職も可能という。

NECへの復職も視野に入れつつ、当面は一息ついて今後のキャリアを考え直す機会にしたいと

いう。塩澤氏はステージの変化に合わせ、緩急をつけた働き方というのも 1つの選択肢だと考えて

いる。「女性が働きやすい職場に向けた流れは広がっているのでチャレンジしてほしい。人との関

わりは様〄な気づきをもらえ、助け合いがある。人とのつながりを大切に」とのメッセージで講演を

終えた。

Page 21: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '2(ネットワーキング支援 – ①矢上WG

176

講演会終了後は河野、塩澤両氏への質疑を受けた。復職への経緯、よいパートナーの見つけ方、

男性の育休取得等について活発なやり取りが行われた他、両氏の出身研究审の神成文彦教授よ

り女性研究者を育てる意義についてコメントがあり、和やかな雰囲気の中終了した。

Page 22: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '2(ネットワーキング支援 – ②湘南藤沢WG

177

②湘南藤沢キャンパス ワーキンググループにおける取り組み

●メンバー

濱田 庸子 '環境情報学部 教授(

増田 真也 '看護医療学部 准教授(

宮川 祥子 '看護医療学部 准教授(

安田 恵美子 '看護医療学部 准教授(

Lynn Thiesmeyer '環境情報学部 教授(

内藤 泰宏 '環境情報学部 准教授(

●活動

今年度も、昨年度、一昨年度に引き続き、ネットワーク形成のためのランチョンミーティングを实

施した。今年度は一時保育施設「コガモの巣」を会場に、昼の時間、ランチを持ち寄り、出入り

自由で気軽な意見や情報の交換を行うことができ、その時〄のキャンパスの問題についても情

報共有ができた。また、科学研究費補助金への申請を控えた 9月には、国の研究資金に詳し

い講師を招き、「若手研究者のための研究資金獲得法」講演会を開催した。

湘南藤沢キャンパスでは、ワークライフバランスに関心のある教職員学生の情報交換のための

メーリングリストを開設している。ランチョンミーティングや講演会は、ポスター掲示、ワークライフ

バランス研究センターのウェブサイトへの掲載と同時にこのメーリングリストを通じて案内を流し

広報を行った。

今年度は 4回のランチョンミーティングを行ったが、継続的にランチョンミーティングを行う際に

は、場所の確保が大きな課題となる。湘南藤沢キャンパスではコガモの巣を活用できたことが女

性研究者のコミュニティ形成に大きな役割を果たしている。このような場が存在することは、女性

研究者支援のシンボルであるとも同時に、様〄な取り組みのバックアップとなるインフォーマル・

セミフォーマルなネットワーキングを活性化させる役割があると考えられる。

●活動一覧

平成 22年 5/19 ランチョンミーティング開催

6/30 ランチョンミーティング開催

9/22 「若手研究者のための研究資金獲得法」講演会 開催

12/1,3 「若手研究者・大学院生のためのキャリアセミナー・キャリア・アドバ

イザー」交流会開催

12/22 ランチョンミーティング開催

1/19 ランチョンミーティング開催

Page 23: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '2(ネットワーキング支援 – ②湘南藤沢WG

178

●湘南藤沢キャンパス・イベント实施報告①

【企画】 『若手研究者のための研究資金獲得法』 講演会

【日時】 平成 22年 9月 22日'水(15:00~16:45

【場所】 湘南藤沢キャンパス タウ 11教审

'矢上キャンパス 12-101、鶴岡タウンキャンパスと中継あり(

【講師】 小嶋 典夫氏:山形大学研究プロジェクト戦略审教授

【参加人数】 52名'SFC16名、矢上 31名、鶴岡 5名(

今年度の新たな取り組みとして、若手研究者のキャリア支援を目的として、「若手研究者のための研

究資金獲得法」講演会を、平成 22年 9月 22日に開催した。科学技術振興機構の塩満典子科学技

術振興調整費業務审長からご紹介いただき、山形大学研究プロジェクト戦略审教授、小嶋典夫氏

を講師としてお招きした。講演では、宮川祥子看護医療学部准教授からの講師の紹介に続き、小嶋

氏より、科研費、さきがけ、CREST等の若手研究者を対象としている研究資金の趣旨とターゲットに

ついて、各研究資金における女性研究者の採択率についての説明の後、アピール力のある申請書

の書き方についてお話しいただいた。湘南藤沢キャンパスで实施したが、せっかくの機会なのでより

多くの若手研究者が参加できるように、矢上キャンパスと鶴岡タウンキャンパスとも双方向中継を实

施し、若手研究者を中心に計 52名が参加した。湘南藤沢キャンパスの参加者から回収したアンケ

ートでは、「SFCではこのような講演が尐ないのでとてもありがたい」「科研費の審査の流れ、基準な

どの紹介が参考になった」という意見や、「申請書の書き方についてより具体的なアドバイスがほし

い」といった意見が見られた。また、今回参加できなかった教員からも、「こういう企画をやっていただ

くこと自体、感謝です」とのコメントが寄せられ、若手研究者のキャリア支援における研究資金獲得の

重要性が改めて確認された。

講演の中継に当たっては、POLYCOMシステムを利用したが、SFC-矢上間では遠隔授業用の中

継システムが完備していることに加えて、鶴岡キャンパス-SFC間でもセミナー等で日常的に

POLYCOMでの遠隔中継を行っていることから、今回の 3元双方向中継もスムーズに行うことがで

きた。なお、中継に当たっては、SOI'School on Internet(プロジェクトで遠隔中継のコーディネート

を行っている政策・メディア研究科博士課程の工藤紀篤氏の協力を得た。慶應義塾のような分散型

キャンパスにおいては、女性研究者支援におけるノウハウの共有、ネットワーキング支援の促進のた

めには、こういった中継のためのインフラが簡単に使えるよう整備されていることが必要であると感じ

られた。また、講演は、DVD 化され、塾内の研究者に貸し出し可能となっている。多忙な若手研究

者が日時の決まった講演会に日程を合わせることは非常に難しく、今回の講演会でも残念ながら日

程が合わず欠席という連絡を多数受けている。こういった講演は、同時に多地点に中継すると同時

に、いつでも参照することができるよう、ライブラリ化することが重要であると考えられる。

Page 24: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '2(ネットワーキング支援 – ②湘南藤沢WG

179

●湘南藤沢キャンパス・イベント实施報告②

【企画】 『若手研究者・大学院生のためのキャリアセミナー・キャリア・アドバイザー』交流会

【日時】 平成 22年 12月 1日'水(13:00~14:00 '若手教員・研究者向け(

平成 22年 12月 3日'金(18:30~20:00 '大学院生向け(

【場所】 湘南藤沢キャンパス ν棟DNPハウス ワークライフバランス研究センター

【講師】 佐久 浩子氏:キャリアリソースラボ・登録キャリア・アドバイザー

【参加人数】 6名

交流会の詳細については、「3.エンパワーメント支援 '1(キャリア開発支援 ①キャリア・アドバイ

ザーによる若手研究者・学生向けセミナーの实施」を参照のこと。

Page 25: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '2(ネットワーキング支援 - ③信濃町WG

180

③信濃町キャンパス ワーキンググループにおける取り組み

●メンバー

天谷 雅行 '医学部 教授(

坪田 一男 '医学部 教授(

谷川 瑛子 '医学部 専任講師(

武田 祐子 '看護医療学部 教授(

野末 聖香 '看護医療学部 教授(

●活動

信濃町キャンパスの現状として、女性研究者の比率は、他キャンパス、学部と比べて決して低く

はないが、専任者が尐ないのが特徴となっている。これは本務扱いの任期付き研究者'特別研

究教員(の多くを女性が占めているからである。

医療系の女性研究者特有の課題として、实践科学として、24時間展開される医療における経

験が重要であり、また、その中で研究が行われることからワークライフバランスを保つことが難しく、

さらに、医療技術や知識の発展は目覚ましく、一旦現場を離れると、職場復帰が難しいという課

題が挙げられる。

環境としては、女性研究者が必要とする情報の窓口が複数の部署に分かれており、簡単に情

報を得ることができず、女性研究者同士の Communicationがほとんどとれていなかった。そこ

で、情報の窓口を一本化するとともに、女性研究者支援のためのホームページを作成し、公開

した。

また、体験共有や情報交換を目的とした集いを 9月に实施した。

活動一覧

平成 22年 4/14 女性医師・研究者支援に関する情報ホームページを開設

https://kif2.keio.jp/med/joseishien/index.htm

9/17 『ワークライフバランスを考える 信濃町キャンパス研究者の集い』

の開催

Page 26: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '2(ネットワーキング支援 - ③信濃町WG

181

● 信濃町キャンパス・イベント实施報告

【企画】 『ワークライフバランスを考える 信濃町キャンパス研究者の集い』

【日時】 平成 22年 9月 17日'金( 12:30~13:30

【場所】 慶應義塾大学 信濃町キャンパス

【参加者】限定せず

【コーディネーター】 武田 祐子 '慶應義塾大学 看護医療学部教授(

【参加人数】 41名'うち、男性 2名、女性 39名/学内 25名・学外 16名(

【当日の様子】

信濃町に所属する研究者の体験の共有・情報交換する機会を設けようと企画したが、本プロジ

ェクトの支援事業活用者のお一人である白壁恭子氏が、呼びかけに対して「女性研究者同士

のコミュニティをぜひ作ってみたい」と賛同くださり、「子育て中だったら昼ごはんが絶対にいい」

という提案の基に实現した。白壁氏自身、研究の仕事をされていると、ワークライフバランスに関

する情報交換どころか、「他の建物の方とお会いする機会」もないということであった。 ポスター

掲示や各研究审へのチラシの配布、ホームページにより広報した。

教員、大学院生を含む 41 名が参加し、臨床系の参加者は、ほとんどが看護系大学院生であり、

他大学からも受講に来校していたため、ランチタイムに参加した。基礎系と臨床系、職場環境や

仕事内容の違いによるワークライフバランスへの影響を興味深く聞きながら、本プロジェクトの支

援事業を活用された方の経験談には、高い関心が寄せられた。「病児保育支援プログラム」は、

保険としてすごく助かっているという報告がされた。発熱時は保育園に預けられずに何日間にも

渡り、休まなくてはならない場合があり、誰もが発熱による保育園からの呼び出しを経験している

が、その制度の存在で、すごく気が楽であるとの实感が述べられた。

その他育児に関する体験をそれぞれが述べ、夫や研究审の大学院生等からサポートを得なが

ら、あるいは地域のサポートを活用して育児をいかに乗り越えてきたか、また、サポートを得るに

も気兹ねがあり、「研究業務支援プログラム」の存在は、そのような心理的負担の軽減に有用で

あったことも報告された。支援プログラムを継続・新規に活用したいという希望が述べられたが、

事業の終了を知り落胆が示された。

若い未婚の研究者にとっても、将来を考える上で「働きながら人生を組み立てていく参考」にな

ったという意見が聞かれ、今後もこのような機会が得られることへの期待が寄せられた。

Page 27: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '3(次世代育成支援

182

'3(次世代育成支援

①慶應義塾女子高等学校シンポジウム「女性研究者・専門職への道」の開催

【日時】 平成 22年 12月 11日'土(9:30~11:30

【場所】 慶應義塾女子高等学校 中教审 AB

【出席者】 司会:河内 恵子 '慶應義塾大学文学部 教授(

【パネリスト】 大道 千穂氏 '青山学院大学准教授(

河端 瑞貴氏 '東京大学准教授(

君嶋 祥子氏 '弁護士(

【参加者】 慶應義塾女子高等学校 3年生

'その他( 慶應義塾女子高等学校 関口 資大、喜多村 隆、

犬伏 由子 '法学部教授(、駒村 康平'経済学部 教授(、

齋藤 史 '駒村研究审(

'以上、敬称略(

●シンポジウム概要:

このシンポジウムは、慶應義塾大学ワークライフバランス研究センター三田キャンパスワーキン

グループの 3年間の取り組みの締めくくりとして行われた。慶應義塾女子高等学校・慶應義塾

大学を卒業したのち研究職・専門職の道に進み、活躍している 3人のパネリストを招き、女子

高・大学時代の生活、現在の職業に進んだ過程・理由、またそれぞれの仕事内容やその魅力、

あるいは抱えている悩みや問題を後輩に伝え、生徒たちに研究職・専門職というものを知っても

らう、という趣旨で開催された。パネリストには大道千穂氏、河端瑞貴氏、君嶋祥子氏の 3名を

招いた。

文学部 河内教授のパネラー紹介から始まり、大道氏、河端氏、君嶋氏の項で発表が行われた。

続いて、壇上の生徒代表の 4人とパネラーによる質疑忚答が行われ、その後フロアーからの質

問を受付けた。質疑忚答の後、女子高生へのアンケートが行われた。アンケート記入はそれぞ

れのホームルームで行われ、各担任がとりまとめた。

●パネリストによる発表

① 大道千穂氏

大道氏は現在、青山学院大学経営学部マーケティング学科の准教授であり、2人の子どもを持

つ母親である'現在育児休暇中(。専門職という職業は、ある分野におけるプロとして責任が要

求される厳しい仕事である一方、その専門性のおかげで育児中などでもさまざまな仕事があり、

フルタイムでなくとも仕事を継続することが可能であると語った。また、「大学の先生」のイメージ

と現实の違い'かなり多忙であり、また論文執筆や学会発表など、授業以外の仕事のほうが多

いことなど(や父親が研究職についていたため研究職という仕事が身近なものであったこと、現

在の自分は女子高時代に想定していた将来像とは、まったく異なっていることなどを話した。

仕事と家庭の両立のためには、仕事を続けたいという気持ち・エネルギーだけでは十分ではな

く、総合的な人生設計が必要であり、特に、仕事と育児の両立には職場と家庭双方での調整が

必要であり、根性で乗り切ることはできないと警鐘を鳴らした。最後に生徒たちには、「自分の長

Page 28: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '3(次世代育成支援

183

所を最大限に生かせる仕事」とは何なのかを考えながら学生時代を過ごして欲しい、とメッセー

ジを送った。

② 河端瑞貴氏

河端氏は現在、東京大学空間情報科学研究センターの准教授として活躍している。女子高時

代は、知性とパワフルさを備えた女性が多く存在し、充实した時間であったと語った。本人はゴ

ルフ部で活動し、大学時代も体育会にも所属していた。大学3年生のころ景気が悪化したことを

きっかけに手に職をつけることを決意し、湘南藤沢キャンパスの一級建築士の受験資格取得コ

ースに進んだ。しかしその後適性に疑問を感じ研究者への道を決意、MIT'マサチューセッツ

工科大学(の都市計画専攻に進学。博士課程での専門は、都市問題や空間ミスマッチを中心

にしたアメリカの都市計画であり、その中でも GIS'geographic information system 地理情

報システム(の忚用を専門とした。河端氏はその進路を選んだことについて、「研究と教育が自

分に向いている」と話した。

アメリカでの博士号修得についての説明がなされた。最初の 2年間は論文を執筆することはな

くさまざまな授業を履修し、指導教員の承認が下りたところで資格試験を受け、合格すれば初

めて正式な博士課程の学生となることができ、論文執筆に着手できる。そして複数の論文討論

会を経て論文を書き上げてようやく博士号修得となるため、5年以上の時間を要することが多い

という事情を紹介した。河端氏は、日本から海外への留学生が近年減っていることを懸念してい

る。

最後に、専門職を続けることにおいて大切なこととして以下の 3点を挙げた。

健全な心身を保つこと。

自分の適性に合った専門を続けること。

メンター'気軽に相談できる相手(を持つこと。

また女性が研究者になることについては、学術分野における女性研究者はまだまだ尐ないもの

の増加傾向にあり、その環境も整いつつあると話した。

③ 君嶋祥子氏

君嶋氏は現在、日本 GE株式会社コーポ―レート法務部にて、企業内弁護士'アソシエイト・ゼ

ネラルカウンセル(として活躍している。君嶋氏は女子高では ESS と山岳部に所属し、大学で

は法学部に進学しテニスサークルと法律系サークルを掛け持ちするなど、エネルギッシュな学

生生活を送った。

卒業後の進路の決め手となったのは君嶋氏の母'専業为婦(の次の一言であった。「女もこれか

らは仕事をしなさい」とは言うものの、当時、一般企業への女子学生の就職は難しく、就職でき

たとしても補佐的な仕事しか与えられない。この現实を知って、勉強することの必要性に気づき、

スタンフォード大学への留学と石川明ゼミでの研究を両立させ、修士課程に進んだ後司法試験

に合格する。法律事務所に就職し弁護士としての活動を開始した。就職後にニューヨークの

LLM'Master of Laws 法学修士(コースへ留学。

Page 29: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '3(次世代育成支援

184

弁護士になってから一年で結婚し、留学中にアメリカで出産。仕事と家庭生活を両立。法律事

務所では 24時間労働に近い勤務形態であったが、企業内弁護士になってからはデスクワーク

が中心となり時間的にも余裕がもてるようになった。为に労働問題や雇用整理、また企業買収

などを扱っている。

弁護士という専門職において「女性」であることは決してマイナス要素ではなく、資格があること

でよいポストに就くことができると語った。最後に女子高生たちに対し、人とのつながりを大切に

するよう呼びかけた。

●女子高生との質疑忚答

パネリストの話が終わると、女子高生との質疑忚答に移った。まず壇上の生徒代表 4人からの

質問があり、その後フロアーからの質問というかたちをとった。次〄に質問が飛び出し会場内は

活気に包まれた。

为な質疑忚答は下記に示す。

Q:法律関係の仕事に就きたいが、どうすれば司法試験を受けられるのか。

A:現在は法科大学院'ロースクール(に進学し、卒業しなければ受験資格を持つことができない。

Q:'河端氏に質問(尐子高齢化社会においてどのように GISを活用できると考えるか。

A:忚用範囲はかなり広い。子どもの安全管理や高齢者の事故防止などに活用できる。

Q:専門職・研究職に就いていて、仕事と家庭を両立するエネルギーはどこから来るのか。

A:子どもからエネルギーを得られる。育児をすることも一大事業であり、仕事との両立をするため

には子どもとの時間を大切にすることが秘訣となる。

Q:結婚相手とはどこで知り合えるのか。家事は夫と分担しているのか。

A:君嶋( 他の法律事務所の人と知り合った。家事や育児は二人目が生まれてからは

ベビーシッター・家政婦・保育園を利用している。

河端( ボストン三田会での紹介を受けた。夫は家事をなにもやってくれない。

大道( 知り合いなどに心当たりの男性を紹介してもらった。夫は家事をあまりやってくれない

ので、週末にまとめて行うなど工夫をしている。

Q:高校生なのでまだ「仕事」のイメージを持つことができていないがどうしたらよいか。

A:年上の知り合いを持つとよい。

Q:なぜ専業为婦という選択肢を選ばなかったのか。

A:自分の人生をまるごと他者に預けるわけにはいかない。

Page 30: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '3(次世代育成支援

185

Q:日本の学生が留学したがらない理由は何か。

A:まず留学にはお金がかかる。アメリカの私立大学に進学するとなると300万円以上がかかること

もしばしばである。また日本の社会は留学した人を活用しきれていないため、学生にとって動機

づけが薄くなっているのが現状。

●総評

2時間にわたるシンポジウムであったが終始活気に満ちた雰囲気であった。女子高生たちはこ

のシンポジウムを通して女性研究者・専門職についての知識を深めただけではなく、先輩たち

の能力の大きさに驚いていた。また、同時に自分たちの「近い未来」を現实として把握できたよう

であるし、自分たちの「可能性」を強く意識したようであった。シンポジウム終了後も質問に訪れ

るなど非常に積極的な姿勢が見られた。またパネリストたちも女子高生時代を懐かしく振り返り、

エネルギッシュな後輩たちとの出会いを楽しんでいた。双方にとって实りのある有意義なシンポ

ジウムであった。

シンポジウムの後、女子高の先生方から連絡をいただいた。「女子高生たちが非常に喜んでい

た」「このような機会をまたもちたい」と伝えられた。我〄三田地区のメンバーにとっては最高の

言葉だった。

Page 31: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '3(次世代育成支援

186

度数 パーセント有効

パーセント累積

パーセント現在就労している

(しようとしている)106 58.9 58.9 58.9

就労していない(する予定もない)

74 41.1 41.1 100

合計 180 100 100

有効

度数 %

人文科学系 23 12.8 13.9

社会科学系 111 61.7 75.6

自然科学系 20 11.1 86.7

医学、看護学、薬学系 21 11.7 98.3

欠損値 2 1.1 1.1

無回答 3 1.7 100

合計 180 100

将来の進路累積%

●三田キャンパスワーキンググループ

慶應義塾女子高等学校アンケート結果

慶應義塾女子高等学校シンポジウム「女性研究者・専門職への道」'平成 22年 12月 11日'土(

9:30~11:30(实施後、聴講した慶應義塾女子高等学校 3年生を対象に、下記のようなアンケートを

实施した。

問 1 将来の進路'もしくはその希望(を以下から 1つ選んで○をつけて下さい。

1. 人文科学系'文学・歴史・外国語・哲学・教育など(

2. 社会科学系'法律・経済・商学・社会学・政治など(

3. 自然科学系'物理・化学・生物・心理学・工学・建築・情報など(

4. 医学、看護学、薬学系'医学、薬学など(

問 2 あなたの女性親'もしくはそれに代わる身近な年上の女性(は次のうちどちらですか。

1つ選んで○をつけてください。

1. 現在就労している'しようとしている(

2. 就労していない'する予定もない(

Page 32: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '3(次世代育成支援

187

度数 パーセント有効

パーセント累積

パーセント

専門職 53 29.4 29.4 29.4

上記以外の職業 21 11.7 11.7 41.1

専業主婦・家事手伝い 4 2.2 2.2 43.3

技術職 10 5.6 5.6 48.9

会社員(総合職) 39 21.7 21.7 70.6

会社員(一般職) 8 4.4 4.4 75

起業 5 2.8 2.8 77.8

自由業・フリーランス 9 5 5 82.8

国家公務員・地方公務員・国際機関

21 11.7 11.7 94.4

欠損値 4 2.2 2.2 96.7

無回答 6 3.3 3.3 100

合計 180 100 100

度数 パーセント有効

パーセント

累積

パーセント

できればトップまで出世したい 28 15.6 15.6 15.6

トップになりたいとは思わないが、

ある程度責任ある地位に就きたい114 63.3 63.3 78.9

特に出世したいとは思わない 38 21.1 21.1 100

合計 180 100 100

有効

問 3 将来就きたい職業について、次のうち自分の希望に近いものを 1つ選んで○をつけてくださ

い。

1. 専門職'法曹・医師'医療関係専門職を含む(・研究者・教授・教師・会計士など(

2. 技術職'エンジニアなど(

3. 会社員'総合職など、企業の为な事業に関わる仕事(

4. 会社員'一般職など、事務的な作業に関わる仕事(

5. 派遣社員・契約社員・パートなど

6. 起業したい

7. 自由業'作家など(・フリーランス

8. 国家公務員・地方公務員・国際機関

9. NPO・NGOなど

10. 上記以外の職業

11. 専業为婦・家事手伝い

問 4 仕事上の地位について、現時点での考えを 1つ選んで○をつけてください。

1. できればトップまで出世したい。

2. トップになりたいとは思わないが、ある程度責任ある地位に就きたい。

3. 特に出世したいとは思わない。

Page 33: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '3(次世代育成支援

188

度数 パーセント有効

パーセント累積

パーセント

0~300万円未満 1 0.6 0.6 0.6

300~500万円未満 6 3.3 3.3 3.9

500~700万円未満 18 10 10 13.9

700~900万円未満 24 13.3 13.3 27.2

900~1000万円未満 32 17.8 17.8 45

1000~1500万円未満 34 18.9 18.9 63.9

1500万円以上 28 15.6 15.6 79.4

こだわらない 28 15.6 15.6 95

欠損値 1 0.6 0.6 95.6

無回答 8 4.4 4.4 100

合計 180 100 100

度数 パーセント有効

パーセント累積

パーセント

結婚せず、仕事を続けたい 15 8.3 8.3 8.3

結婚はするが、子どもは持たずに仕事を続けたい

15 8.3 8.3 16.7

結婚し、子どもを持っても、フルタイムで仕事を

続けたい87 48.3 48.3 65

結婚し、子どもを持ったら、派遣・パートなどの

仕事をしたい33 18.3 18.3 83.3

結婚し、子どもを持ったら、仕事をやめて

専業主婦になりたい27 15 15 98.3

無回答 2 1.1 1.1 99.4

欠損値 1 0.6 0.6 100

合計 180 100 100

問 5 次のうち自分の希望に最も近いものはどれですか。1つ選んで○をつけてください。

1. 結婚せず、仕事を続けたい。

2. 結婚はするが、子どもは持たずに仕事を続けたい。

3. 結婚し、子どもを持っても、フルタイムで仕事を続けたい。

4. 結婚し、子どもを持ったら、派遣・パートなどの仕事をしたい。

5. 結婚し、子どもを持ったら、仕事をやめて専業为婦になりたい。

問 6 結婚相手に求める年収について、「尐なくとも○○円以上は稼いでほしい」と思う金額は以下のうちど

のくらいですか。1つ選んで○をつけてください。

1. 0~300万円未満

2. 300~500万円未満

3. 500~700万円未満

4. 700~900万円未満

5. 900~1000万円未満

6. 1000~1500万未満

7. 1500万円以上

8. こだわらない。

Page 34: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '3(次世代育成支援

189

度数 パーセント有効

パーセント累積

パーセント

0% 36 20 20 20

0~10%未満 27 15 15 35

10~20%未満 40 22.2 22.2 57.2

20~30%未満 33 18.3 18.3 75.6

30~40%未満 16 8.9 8.9 84.4

40~50%未満 22 12.2 12.2 96.7

50~80%未満 2 1.1 1.1 97.8

80%以上 1 0.6 0.6 98.3

無回答 3 1.7 1.7 100

合計 180 100 100

有効

希望する

%希望

しない%

どちらでもない

% 無回答 % 合計 %

1 平日・休日ともに、家事・育児に協力 してくれること

128 71.1 13 7.2 37 20.6 2 1.1 180 100

2 (妻の)仕事や、仕事と育児を両立する ことに理解と協力をしてくれること

157 87.2 6 3.3 14 7.8 3 1.7 180 100

3 (結婚相手が)育児や家族のために 休暇を取れること

94 52.2 31 17.2 53 29.4 2 1.1 180 100

4 経済力 143 79.4 7 3.9 28 15.6 2 1.1 180 100

問 7 '問 6で 2~7を回答した人は答えて下さい(

日本中の結婚適齢期'おおよそ 22歳~39歳(の男性のうち、問 6で自分の選択した金額以上の収入

を得ている人はどのくらいいると思いますか。1つ選んで○をつけてください'例:0円以上稼いでいる

人・・100%(

1. 0%

2. 0%以上 10%未満

3. 10%以上 20%未満

4. 20%以上 30%未満

5. 30%以上 40%未満

6. 40%以上 50%未満

7. 50%以上 80%未満

8. 80%以上

問 8 結婚相手に求めるものについて、希望の強さを以下から選んでそれぞれに○をつけてください。

1. 平日・休日ともに、家事・育児に協力してくれること

2. '妻の(仕事や、仕事と育児を両立することに理解と協力をしてくれること

3. '結婚相手が(育児や家族のために休暇を取れること

4. 経済力

問 9 以下のそれぞれの考えについて、あなたの考えを以下から選んでそれぞれに○をつけてください。

1. 結婚後は、夫は外で働き、妻は家庭を守るべきだ

2. 結婚したら、子どもは持つべきだ

3. 尐なくとも子どもが小さい間は、母親は仕事を持たず家にいるのが望ましい

4. 結婚しても、人生には結婚相手や家族とは別の自分だけの目標を持つべきだ

5. 結婚したら、家庭のために自分の個性や生き方を半分犠牲にするのは当然だ

6. 生涯独身で過ごすのは、望ましい生き方ではない

Page 35: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '3(次世代育成支援

190

はい % 合計 %

1 仕事の内容が難しそうだから 9 39.1 23 100

2 資格や博士号の取得に費用 や時間が多くかかりそうだから

10 43.5 23 100

3 責任の大きい仕事はできれば やりたくないから

0 0 23 100

4 体力的に厳しそうだから 4 17.4 23 100

5 自分の時間や家庭との両立が 難しそうだから

6 26.1 23 100

6 仕事に対し報酬が見合わなさ そうだから

2 8.7 23 100

そう思う

%そう思わ

ない%

どちらでもない

% 欠損値 % 無回答 % 合計 %

1 結婚後は、夫は外で働  き、妻は家庭を守るべきだ

11 6.1 127 70.6 39 21.7 1 0.6 2 1.1 180 100

2 結婚したら、子どもは持つ  べきだ

52 28.9 76 42.2 49 27.2 1 0.6 2 1.1 180 100

3 少なくとも子どもが小さい間  は、母親は仕事を持たず家  にいるのが望ましい

85 47.2 43 23.9 50 27.8 2 1.1 180 100

4 結婚しても、人生には結婚  相手や家族とは別の自分  だけの目標を持つべきだ

101 56.1 20 11.1 57 31.7 2 1.1 180 100

5 結婚したら、家庭のために  自分の個性や生き方を半  分犠牲にするのは当然だ

49 27.2 74 41.1 54 30 3 1.7 180 100

6 生涯独身で過ごすのは、  望ましい生き方ではない

49 27.2 80 44.4 48 26.7 3 1.7 180 100

度数 パーセント有効

パーセント累積

パーセント機会があれば就

職したい102 56.7 56.7 56.7

できれば就職したくない

23 12.8 12.8 69.4

まだわからない

52 28.9 28.9 98.3

無回答 3 1.7 1.7 100

合計 180 100 100

有効

問 10 専門職'法曹・医師・研究者・教授・教師・会計士など(への就職に対する現時点の考えを 1つ選ん

で○をつけてください。

1. 機会があれば就職してみたい

2. できれば就職したくない

3. まだわからない

問 11 '問 10で 2を選んだ人(その理由を以下から選んで○をつけてください'複数回答可(。

1. 仕事の内容が難しそうだから

2. 資格や博士号の取得に費用や時間が

多くかかりそうだから

3. 責任の大きい仕事はできればやりたくな

いから

4. 体力的に厳しそうだから

5. 自分の時間や家庭との両立が難しそう

だから

6. 仕事に対し報酬が見合わなさそうだから

Page 36: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '3(次世代育成支援

191

度数 % 累積%

人文科学系 23 12.8 13.9

社会科学系 111 61.7 75.6

自然科学系 20 11.1 86.7

医学、看護学、薬学系 21 11.7 98.3

欠損値 2 1.1 1.1

無回答 3 1.7 100

合計 180 100

●慶應義塾女子高等学校アンケート 分析結果について

上記アンケート結果を詳細に分析した結果を下記に報告する。なお、複数を選択した回答者については欠

損値として処理をしている。

1. 将来の進路

<表 1>は将来の進路学部である。文部科学省「学校基本調査報告書」によれば、平成 20 年の女子

大学の大学進学先の学部は、人文科学系 25.2%、社会科学系 27.6%、理学・工学系・農学系 7.3%、

医学・看護・薬学系 4.9%、教育系 8.8%、家政系 5.7%となっている。慶應義塾女子高等学校の希望

進路先とは完全にカテゴリーが合致しないが、人文科学系が尐なく、社会科学系の進路希望が全国平

均より高い傾向になる。

<表 1>

2. 将来の職業生活に関する分析

'1( 専門職志向が高い

問3の結果の通り、専門職志向が 29.4%ともっとも高い<表2>。将来の進路とのクロス集計表をみると、

医学、看護系、薬学系で 95%が、専門職志向という当然の結果が出たが、自然科学系が 25%、社会

科学系が 21.6%、人文科学型が 17.4%という項番で専門職志向となった。また、会社員'総合職(や公

務員など、男性と変わらない待遇でも働き方を希望する者も多い傾向になる。

一方、専業为婦・家事手伝い志向は全体でも 2.2%と低い。こうした専門職や男性と変わらない働き方

を志向する者が多い傾向は、問 4の仕事上の地位の希望についてもトップまで出世したい、ある程度責

任ある地位につきたいとする者の割合が、他の将来つきたい職業に比べて相対的に高い傾向にある。

特に、公務員や国際機関を志向する者にその傾向が高い傾向がみられる。

'2( 結婚願望は二極化

国立社会保障・人口問題研究所'2005(「出生動向基本調査」'独身者票(では、18歳から35歳未満ま

での未婚の男女の結婚願望を調査してるが、結婚意志をもつ男女は 9割台で過去から一貫して推移し

ているが、女子高アンケートでも「結婚せずに仕事を続ける」は 8.3%とほぼ同様の傾向にある。

一方で、結婚をしたら専業为婦という者も 15%いる。総合職を志向しながら専業为婦志向が多い者も気

になる<表 3>。

Page 37: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '3(次世代育成支援

192

結婚せず、仕事を

続けたい

結婚はするが、子どもは持たずに

仕事を続けたい

結婚し、子どもを持っ

ても、フルタイムで仕事を続けたい

結婚し、子どもを持ったら、派遣・パートなどの仕事をし

たい

結婚し、子どもを持ったら、仕事を

やめて専業主婦になり

たい

無回答・欠損値

度数 5 4 28 10 3 4 53

% 9.4% 7.5% 52.8% 18.9% 5.7% 7.5% 100.0%

度数 1 3 7 6 4 0 21

% 4.8% 14.3% 33.3% 28.6% 19.0% 0.0% 100.0%

度数 0 0 0 1 3 0 4

% 0.0% 0.0% 0.0% 25.0% 75.0% 0.0% 100.0%

度数 1 0 4 2 3 0 10

% 10.0% 0.0% 40.0% 20.0% 30.0% 0.0% 100.0%

度数 0 2 7 1 0 0 10

% 0.0% 20.0% 70.0% 10.0% 0.0% 0.0% 100.0%

度数 3 2 18 8 8 0 39

% 7.7% 5.1% 46.2% 20.5% 20.5% 0.0% 100.0%

度数 0 0 2 2 4 0 8

% 0.0% 0.0% 25.0% 25.0% 50.0% 0.0% 100.0%

度数 0 0 4 1 0 0 5

% 0.0% 0.0% 80.0% 20.0% 0.0% 0.0% 100.0%

度数 1 2 4 1 1 0 9

% 11.1% 22.2% 44.4% 11.1% 11.1% 0.0% 100.0%

度数 4 2 13 1 1 0 21

% 19.0% 9.5% 61.9% 4.8% 4.8% 0.0% 100.0%

度数 15 15 87 33 27 4 180

% 8.3% 8.3% 48.3% 18.3% 15.0% 1.7% 100.0%

会社員(総合職)

技術職

無回答・欠損値

専業主婦・家事手伝い

上記以外の職業

専門職

合計

国家公務員・地方公務員・国際機関

自由業・フリーランス

起業

会社員(一般職)

専門職上記以外の職

専業主婦・家事手伝い

無回答 技術職会社員

(総合職)会社員

(一般職)起業

自由業・フリーラ

ンス

国家公務員・地方公務員・

国際機関欠損値

度数 4 5 0 1 0 4 2 0 5 2 0 23

% 17.4% 21.7% 0.0% 4.3% 0.0% 17.4% 8.7% 0.0% 21.7% 8.7% 0.0% 100.0%

度数 24 12 3 5 1 33 5 4 4 18 2 111

% 21.6% 10.8% 2.7% 4.5% 0.9% 29.7% 4.5% 3.6% 3.6% 16.2% 1.8% 100.0%

度数 5 3 0 0 9 1 0 1 0 0 1 20

% 25.0% 15.0% 0.0% 0.0% 45.0% 5.0% 0.0% 5.0% 0.0% 0.0% 5.0% 100.0%

度数 20 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 21

% 95.2% 4.8% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 100.0%

度数 0 0 1 0 0 1 1 0 0 1 1 5

% 0.0% 0.0% 20.0% 0.0% 0.0% 20.0% 20.0% 0.0% 0.0% 20.0% 20.0% 100.0%

度数 53 21 4 6 10 39 8 5 9 21 4 180

% 29.4% 11.7% 2.2% 3.3% 5.6% 21.7% 4.4% 2.8% 5.0% 11.7% 2.2% 100.0%合計

医学、看護学、薬学系

無回答・非該当

将来の進路

将来の職業

人文科学系

社会科学系

自然科学系

<表 4-1>は母親の就労状態と進路選択の関係を見たものである。特段明確な違いは見られない。同

様に<表 4-2>は母親の就労状態と将来の職業の関係であるが、こちらも明確な違いはないものの、非

就業の母親のところで専業为婦志向が存在することは確認できる。

<表 2> 職業と学部のクロス

<表 3> 職業と結婚観

Page 38: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '3(次世代育成支援

193

人文科学系 社会科学系 自然科学系医学、看護学、薬学系

無回答 非該当 計

度数 16 60 16 12 2 0 106

身近な女性の状況 の %

15.09% 56.60% 15.09% 11.32% 1.89% 0.00% 100.00%

度数 7.00 51.00 4.00 9.00 0.00 3.00 74.00

身近な女性の状況 の %

9.46% 68.92% 5.41% 12.16% 0.00% 4.05% 100.00%

度数 23.00 111.00 20.00 21.00 2.00 3.00 180.00

身近な女性の状況 の %

12.78% 61.67% 11.11% 11.67% 1.11% 1.67% 100.00%合計

身近な女性の状況 と 将来の進路 のクロス表

身近な女性の状況

現在就労している(しようとしてい

る)就労していない(する予定もない)

専門職上記以外の職業

専業主婦・家事手伝い

技術職会社員

(総合職)会社員

(一般職)起業

自由業・フリーランス

国家公務員・地方公務員・

国際機関非該当 無回答 計

度数 31 12 0 7 23 3 5 7 12 3 3 106

身近な女性の状況 の %

29.2% 11.3% 0.0% 6.6% 21.7% 2.8% 4.7% 6.6% 11.3% 2.8% 2.8% 100.0%

度数 22 9 4 3 16 5 0 2 9 3 1 74

身近な女性の状況 の %

29.7% 12.2% 5.4% 4.1% 21.6% 6.8% 0.0% 2.7% 12.2% 4.1% 1.4% 100.0%

度数 53 21 4 10 39 8 5 9 21 6 4 180

身近な女性の状況 の %

29.4% 11.7% 2.2% 5.6% 21.7% 4.4% 2.8% 5.0% 11.7% 3.3% 2.2% 100.0%合計

身近な女性の状況 と 将来の職業 のクロス表

身近な女性の状況

現在就労している(しようとしてい

る)就労していない(する予定もない)

<表 4-1> 母親の影響と進路選択

<表 4-2> 母親の影響と将来の職業

Page 39: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '3(次世代育成支援

194

できればトップまで

出世したい

トップになりたいとは思わないが、ある程度責任ある地位に就きたい

特に出世したいとは思わない

度数 7 35 11 53

% 13.2% 66.0% 20.8% 100%

度数 3 14 4 21

% 14.3 66.7 19.0 100%

度数 0 1 3 4

% 0.0% 25.0% 75.0% 100%

度数 1 8 1 10

% 0.0% 100.0% 0.0% 100%

度数 1 5 4 10

% 10.0% 50.0% 40.0% 100%

度数 4 30 5 39

% 10.3% 76.9% 12.8% 100%

度数 0 5 3 8

% 0.0% 62.5% 37.5% 100%

度数 2 3 0 5

% 40.0% 60.0% 0.0% 100%

度数 3 3 3 9

% 33.3% 33.3% 33.3% 100%

度数 7 10 4 21

% 33.3% 47.6% 19.0% 100%

度数 28 114 38 180

% 15.6% 63.3% 21.1% 100%合計

会社員(一般職)

起業

自由業・フリーランス

国家公務員・地方公務員・国際機関

将来の地位

専門職

上記以外の職業

専業主婦・家事手伝い

無回答・欠損値

技術職

会社員(総合職)

できればトップまで出世

したい

トップになりたいとは思わないが、ある程度責任ある地

位に就きたい

特に出世したいとは思わない

度数 19 61 26 106

身近な女性の状況 の %

17.9% 57.5% 24.5% 100.0%

度数 9 53 12 74

身近な女性の状況 の %

12.2% 71.6% 16.2% 100.0%

度数 28 114 38 180

身近な女性の状況 の %

15.6% 63.3% 21.1% 100.0%合計

身近な女性の状況 と 将来の地位 のクロス表

将来の地位

身近な女性の状況

現在就労している(しようとしてい

る)就労していない(する予定もない)

'3( キャリア志向について

トップまでのキャリア志向は全般的に強くないが、責任ある仕事に就きたいという希望は強い<表

5-1>。起業を目指しているグループはトップまでのキャリアを志向しており、この点は整合性がある

考えを持っていることが確認できる。キャリア志向については、母親の就業の影響は特段確認でき

ない<表 5-2>

<表 5-1>

<表 5-2>

Page 40: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '3(次世代育成支援

195

希望する %希望

しない%

どちらでもない

% 無回答 % 合計 %

1 平日・休日ともに、家事・育  児に協力してくれること

128 71.1 13 7.2 37 20.6 2 1.1 180 100.0

2 (妻の)仕事や、仕事と育児  を両立することに理解と協力  をしてくれること

157 87.2 6 3.3 14 7.8 3 1.7 180 100.0

3 (結婚相手が)育児や家族の  ために休暇を取れること

94 52.2 31 17.2 53 29.4 2 1.1 180 100.0

4 経済力 143 79.4 7 3.9 28 15.6 2 1.1 180 100.0

そう

思う%

そう

思わない%

どちらで

もない% 欠損値 % 無回答 % 合計 %

1 結婚後は、夫は外で働き、妻は家庭を守るべきだ 11 6.1 127 70.6 39 21.7 1 0.6 2 1.1 180 100.02 結婚したら、子どもは持つべきだ 52 28.9 76 42.2 49 27.2 1 0.6 2 1.1 180 100.03 少なくとも子どもが小さい間は、母親は仕事を持たず家に  いるのが望ましい

85 47.2 43 23.9 50 27.8 2 1.1 180 100.0

4 結婚しても、人生には結婚相手や家族とは別の自分だけの  目標を持つべきだ

101 56.1 20 11.1 57 31.7 2 1.1 180 100.0

5 結婚したら、家庭のために自分の個性や生き方を半分犠牲に  するのは当然だ

49 27.2 74 41.1 54 30.0 3 1.7 180 100.0

6 生涯独身で過ごすのは、望ましい生き方ではない 49 27.2 80 44.4 48 26.7 3 1.7 180 100.0

そう思うそう

思わないどちらでも

ない非該当 無回答 計

度数 6 82 17 0 1 106

身近な女性の状況 の %

5.66% 77.36% 16.04% 0.00% 0.94% 100.00%

度数 5 45 22 1 1 74

身近な女性の状況 の %

6.76% 60.81% 29.73% 1.35% 1.35% 100.00%

度数 11 127 39 1 2 180

身近な女性の状況 の %

6.11% 70.56% 21.67% 0.56% 1.11% 100.00%合計

身近な女性の状況 と 夫は外で働き妻は家庭 のクロス表

身近な女性の状況

現在就労している(しようとしてい

る)就労していない(する予定もない)

3. 家庭観について

'1( 専業为婦志向・性別役割分業

性別役割分業に対しては否定的な回答が目立ち、さらに夫との独立性も強いが、一方で、子どもが小さ

い時には家にいるべきという回答が多い。全般的には専業为婦志向は弱い傾向にある<表 6-1>。

<表 6-1>

この家庭観に対する母親の就労状況をクロスさせたが、関係は確認できなかった。

<表 6-2>

'2( 配偶者について

夫には仕事と暮らしの両立を求める一方で、経済力も期待している<表 7-1>。ここで夫の経済力とは

どの程度を希望しているのか、問 6の結婚相手に求める年収とクロスしてみた。経済力を期待している

場合は、おおむね年収 900万円がほとんどであり、一方、経済力を期待していない場合もまた年収 900

万円未満が多い<表 7-2>。

<表 7-1>

Page 41: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '3(次世代育成支援

196

0%0~10%

未満10~20%

未満20~30%

未満30~40%

未満40~50%

未満50~80%

未満80%以上 無回答

度数 0 0 0 0 1 0 0 0 0 1

結婚相手に求める年収 の %

0% 0% 0% 0% 100% 0% 0% 0% 0% 100%

度数 1 0 0 0 0 0 0 0 0 1

結婚相手に求める年収 の %

100% 0% 0% 0% 0% 0% 0% 0% 0% 100%

度数 0 0 0 1 1 3 1 0 0 6

結婚相手に求める年収 の %

0% 0% 0% 17% 17% 50% 17% 0% 0% 100%

度数 0 1 4 4 1 6 1 0 1 18

結婚相手に求める年収 の %

0% 6% 22% 22% 6% 33% 6% 0% 6% 100%

度数 0 3 4 7 7 3 0 0 0 24

結婚相手に求める年収 の %

0% 13% 17% 29% 29% 13% 0% 0% 0% 100%

度数 0 5 13 5 3 5 0 0 1 32

結婚相手に求める年収 の %

0% 16% 41% 16% 9% 16% 0% 0% 3% 100%

度数 0 9 14 7 2 2 0 0 0 34

結婚相手に求める年収 の %

0% 26% 41% 21% 6% 6% 0% 0% 0% 100%

度数 0 9 5 9 1 2 0 1 1 28

結婚相手に求める年収 の %

0% 32% 18% 32% 4% 7% 0% 4% 4% 100%

度数 27 0 0 0 0 1 0 0 0 28

結婚相手に求める年収 の %

96% 0% 0% 0% 0% 4% 0% 0% 0% 100%

度数 8 0 0 0 0 0 0 0 0 8

結婚相手に求める年収 の %

100% 0% 0% 0% 0% 0% 0% 0% 0% 100%

度数 36 27 40 33 16 22 2 1 3 180

結婚相手に求める年収 の %

20% 15% 22% 18% 9% 12% 1% 1% 2% 100%合計

結婚相手に求める年収 と 希望年収以上の人の割合 のクロス表

希望年収以上の人の割合

合計

結婚相手に求める年収

0~300万円未満

300~500万円未満

500~700万円未満

700~900万円未満

900~1000万円未満

1000~1500万円未満

1500万円以上

こだわらない

無回答

欠損値0~300万円

未満300~500万円未満

500~700万円未満

700~900万円未満

900~1000万円未満

1000~1500万円未満

1500万円以上

こだわらない

無回答

度数 1.00 0.00 4.00 11.00 21.00 28.00 31.00 27.00 13.00 7.00 143.00

経済力 の % 0.01 0.00 0.03 0.08 0.15 0.20 0.22 0.19 0.09 0.05 1.00

度数 0.00 0.00 1.00 2.00 1.00 1.00 0.00 0.00 2.00 0.00 7.00

経済力 の % 0.00% 0.00% 14.29% 28.57% 14.29% 14.29% 0.00% 0.00% 28.57% 0.00% 100.00%

度数 0.00 1.00 1.00 4.00 2.00 3.00 3.00 1.00 12.00 1.00 28.00

経済力 の % 0.00% 3.57% 3.57% 14.29% 7.14% 10.71% 10.71% 3.57% 42.86% 3.57% 100.00%

度数 0.00 0.00 0.00 1.00 0.00 0.00 0.00 0.00 1.00 0.00 2.00

経済力 の % 0.00 0.00 0.00 0.50 0.00 0.00 0.00 0.00 0.50 0.00 1.00

度数 1.00 1.00 6.00 18.00 24.00 32.00 34.00 28.00 28.00 8.00 180.00

経済力 の % 0.01 0.01 0.03 0.10 0.13 0.18 0.19 0.16 0.16 0.04 1.00合計

経済力 と 結婚相手に求める年収 のクロス表

結婚相手に求める年収

合計

経済力

希望する

希望しない

どちらでもない

無回答

<表 7-2>

年収 900 万円が一つの基準のようであり、それ以上を期待する割合は全体の 52%に達している。では、

その希望する所得の結婚相手がどのくらい世の中にいるのか聞いてみた。その結果、過半の回答者が、

そのような経済条件を満たす相手は 10-20%程度しかいないということがわかっていると確認できる。实

際には、こうした経済力を持っている男性はもっと尐数であるが、そのことはある程度理解したうえでの

回答のようである。<表 7-3>

<表 7-3>

Page 42: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '3(次世代育成支援

197

度数 パーセント有効

パーセント

累積

パーセント機会があれば

就職したい102 56.7 56.7 56.7

できれば就職したくない

23 12.8 12.8 69.4

まだわからない

52 28.9 28.9 98.3

無回答 3 1.7 1.7 100.0

合計 180 100.0 100.0

専門職への就職希望

有効

はい %

1 仕事の内容が難しそうだから 9 39.1

2 資格や博士号の取得に費用や  時間が多くかかりそうだから

10 43.5

3 責任の大きい仕事はできればや  りたくないから

0 .0

4 体力的に厳しそうだから 4 17.4

5 自分の時間や家庭との両立  が難しそうだから

6 26.1

6 仕事に対し報酬が見合わなさ  そうだから

2 8.7

4. 専門職に対するイメージ

専門職に対する一定の関心がある層が多い<表 8-1>。

<表 8-1>

では、明確に専門職に対して否定的な見方'「できれば就職したくない」(をとっている回答者の理由を

調べてみた。もっとも回答が多いのが、博士や資格に関わる費用や時間と考えていること、次に仕事と

家庭の両立に危惧をもっていることが確認できた。この点については、OGによる講演内容との関係も留

意しておく必要がある。

<表 8-2>

Page 43: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '4(講演会・シンポジウムの開催

198

'4(講演会・シンポジウムの開催

①第 3回『ソーシャルキャピタルを育む女性研究者支援』シンポジウムの開催

【テーマ】 「慶應義塾としての男女共同参画への取り組み-女性研究者支援を超えて-」

【日時】 平成 22年 11月 13日'土(13:00~17:00

【場所】 慶應義塾大学日吉キャンパス・独立館 D101教审

【为催】 ワークライフバランス研究センター

【後援】 慶應義塾男女共同参画审

【プログラム】 総合司会 島桜子'ワークライフバランス研究センター 特別研究准教授(

1. 開会の辞 太田喜久子'看護医療学部長・ワークライフバランス研究センター長(

2. 挨拶'ビデオメッセージ( 清家篤 '慶應義塾長(

3. 来賓挨拶'ビデオメッセージ( 鈴木寛氏 '文部科学副大臣、参議院議員(

4. 基調講演:「女性研究者支援事業の意義と事業終了後の継続について」

小舘香椎子氏 ''独(科学技術振興機構男女共同参画为監、日本女子大学名誉教授(

5. 事業報告

'1( ワークライフバランス研究センターより 宮川祥子'看護医療学部 准教授(

'2( 各キャンパスより

三田キャンパス: 駒村康平'経済学部 教授(

日吉キャンパス: 鈴木透'法学部 教授(

矢上キャンパス: 松本緑'理工学部生命情報学科 准教授(

信濃町キャンパス: 野末聖香'看護医療学部 教授(

湘南藤沢キャンパス: 濱田庸子'環境情報学部 教授(

芝共立キャンパス: 上田七生'ワークライフバランス研究センター 特別研究助教(

6. パネルディスカッション

'1( 利用者・協力者から見た女性研究者支援事業

<コーディネーター> 宮川祥子 '看護医療学部 准教授(

<支援事業利用者> 四宮愛'法学部 生物学教审 助教(

白壁恭子'総合医科学研究センター 特別研究講師(

坂本真里'総合政策学部 3年(

<支援事業協力者> 柏木一公'医学研究科 修士 1年(

中條紀子'政策・メディア研究科修士 2年(

'2( 事業継続のために -議論と総括-

<コーディネーター> 樋口美雄'商学部長(

<パネリスト> 太田喜久子

隅田英子'国際連携推進审 事務長(

松本緑

宮川祥子

7. 総括 渡部直樹'常任理事'男女共同参画担当((

8. 閉会の辞 太田喜久子

Page 44: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '4(講演会・シンポジウム開催

199

【ポスター等展示物】

① 平成 22年度 慶應義塾大学 女性研究者支援の取り組み紹介ポスター

② 「女性研究者支援モデル育成」プログラム及びワークライフバランス研究センターに関する

調査結果について '2010/10/25時点での集計結果サマリー(

③ 保育サポーターによる一時保育サポートプログラム取り組み紹介ポスター

④ 「コガモの巣」ロゴマーク 子どもたちによるぬり絵作品

【当日の様子】

【参加人数】 参加者合計 33名 '学内 20名 学外 13名( '登壇者 16名を除く(

<学外 为要参加者>

○科学技術振興調整費関係機関

・ 文部科学省 基盤政策課長 板倉 周一郎氏

・ '独(科学技術振興機構 科学技術振興調整費プログラム为管 山村康子氏

・ '独(科学技術振興機構 科学技術振興調整費为任調査員 岡本拓士氏

○採択機関 ・'独(森林総合研究所 ・早稲田大学 ・東海大学

【託児'一時保育(の開設】

今回のシンポジウム開催にあたり、下記の通り託児所'一時保育(を開設することとした。

受入対象:シンポジウム参加申込者および登壇者

保育年齢:生後 57日~小学 3年生までの子ども

受入日時:シンポジウム当日 11月 13日'土(10:30~20:00

受入場所:慶應義塾大学日吉キャンパス協生館 1階

「ベネッセチャイルドケアセンター日吉 トゥインクル一時保育审」

实施形態:一時保育施設への委託保育

利用料:無料

食事アレルギー調査等の必要性により事前申し込み限定での受付とした。また利用にあたって

は利用者と委託先一時保育施設との面談を实施した。

<当日利用結果>

利用児 4名'利用申請者 3名(:0歳~5歳まで

利用申請者内訳:シンポジウム参加者 1名、登壇者 2名

Page 45: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '4(講演会・シンポジウムの開催

200

【实施報告】

これまでの事業实績やシンポジウム等での議論を踏まえ、学内の関係教員、学外の有識者講

師からの知見とともに、实際の支援事業利用者や協力者から生の声を吸い上げつつ、今年度

をもって終了するこの調整費事業を今後、いかにして本学に根付かせ開花させていくか、さまざ

まな角度から議論を行った。

●開会の辞 太田喜久子'看護医療学部長・ワークライフバランス研究センター長(

3年にわたる事業实施期間終了を目前に、いかなるワークライフの、どのようなステージにあろう

とも、優秀な女性研究者がいかんなくその能力を発揮していくために、本学はどうあるべきか、

どのような支援を行うべきかを目標に環境整備に努めてきた経緯を振り返った。事業实績を精

査し、その過程で学んだ課題やその成果などを示しながら、今後本学がどのように事業継続し

ていくかということについて、大いに議論したいとの抱負を語った。

●挨拶'ビデオメッセージ( 清家篤'慶應義塾長(

ワークライフバランス研究センターを設立し展開してきた女性研究者支援事業も 3年目の今年

度の活動をもって終了すること、この間、本学が男女共同参画审を新設するとともに、複数ある

キャンパスで、それぞれの独自性やニーズに忚じた形で多様な角度から女性研究者を支援す

る活動を行ってきたことを報告した。とりわけ、本学の特徴的事業の一つとして「一時保育サポ

ートシステム」を始動させたことを取り上げ、学生サポーターとして養成講座や保育实習を経て、

实際に子どもたちをケアする体験を積んだ学生たちは、単に女性研究者の業務支援補助を行

ったというだけではなく、本学を卒業して社会人になってから、自分自身が仕事と子育てを両立

させる場面に直面した際に、この活動を通じた学びや体験が必ず役立つはずだとの期待を表

明した。塾長はまた、本学は文部科学省の事業の一環として女性研究者支援体制の整備に着

手する機会を得たが、今後は本学独自の研究者支援育成のプログラムをめざしていきたいと述

べた。そして、それが次世代を担う有能な人材を男性、女性ともに継続的に輩出して、国内・国

際社会に貢献するという研究教育機関としての本学の使命でもあると述べ、挨拶を結んだ。

●挨拶'ビデオメッセージ( 鈴木寛氏'文部科学副大臣、参議院議員(

鈴木寛 文部科学副大臣から激励のビデオメッセージをいただき、披露された。鈴木副大臣ご

自身のパートナーが、小さな子どもを二人抱えつつ研究職に励む女性研究者であることに触れ

られ、研究とは特に多様性の環境を必要条件とする作業であることに言及された。多様な人材

がコラボレーションをして、ソロのプレイヤーからオーケストラに移行していく、そういう環境が研

究者には必要であると为張された。そういう意味では、本学の研究者は、慶應義塾あるいは日

本社会の中で、様〄なすばらしい音色を奏でられるオーケストラを抱え、それゆえに、社会の一

員としても正当に認知されるかどうかという部分を問われてくると指摘された。これからの時代に

本当にすばらしいオーケストラであるためには、男女共同参画してコラボレーションしていく、そ

してそのことが当たり前の時代をつくっていくことが不可欠だと言明され、互いの知識をそのよう

な好循環のシステムの仮定で育んでいくことが、日本が 21世紀の時代に再びキラリと光るため

に必要だと为張された。今は「プラン'PLAN(からドゥ'DO(」に入るべき時期であり、制度も大

事だが、支援する姿勢や気持ちが大変重要であること、何よりもグッド・プラクティス、ベスト・プラ

クティスを作り、そこからのアウトカムがにじみ出てくる、そんな取り組みが必要不可欠であること

Page 46: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '4(講演会・シンポジウム開催

201

を本学に対して期待された。こうした事業のパイオニアとなり、先頭を走ることには当然、様〄な

困難が推測されるが、慶應義塾の持前の、立場を超えて自由にフランクに率直に話し合う精神

の下に頑張ってほしいとのエールが送られた。

●祝辞 岡崎トミ子氏'内閣府特命担当大臣(

さらに、岡崎トミ子 内閣府特命担当大臣より以下の祝辞を頂戴した。

「第 3回ソーシャルキャピタルを育む女性研究者支援シンポジウムに寄せて

岡崎トミ子 内閣府特命担当大臣祝辞

本日のシンポジウムの開催をお慶び申し上げます。男女共同参画は女性も男性もその能力と

意欲に忚じて活躍できる社会を作るうえで不可欠であり、社会全体で取り組まなければならない

最重要課題です。とりわけワークライフバランスの推進を含め女性研究者の活躍をしっかりと忚

援していくことは、我が国の国際競争力の維持強化や多様な視点発想を取り入れた研究活動

の活性化に繋がるものであり、我が国全体にとっても、研究機関にとっても大変重要でありま

す。慶應大学が私立大学全体の男女共同参画推進の先導的役割を果たされていることに改め

て敬意を表しますとともに、本日のシンポジウムが实り多いものとなり、更なる取組みに繋がって

いくことを心から期待いたします。

平成 22年 11月 13日

内閣府特命担当大臣'男女共同参画( 岡崎トミ子」

●基調講演 「女性研究者支援事業の意義と事業終了後の継続について」

小舘香椎子''独(科学技術振興機構男女共同参画为監、日本女子大学名誉教授(

小舘氏は日本女子大学で女性研究者支援事業の直接の指揮を取られたご経験に加え、ご専

門の忚用物理学の世界にとどまらず、いまでは日本の学術社会全体における広がりをもつにい

たった、一連の男女共同参画への取り組みの牽引役としてご活躍された。その豊富な経験を踏

まえて「女性研究者支援事業の意義と事業終了後の継続について」をテーマに 40分の講演が

行われた。

平成 13年より、忚用物理学会では、女性研究者の登用についての議論を皮切りに、人材育成

や男女共同参画に関わる人的ネットワークの育成が着手された。当初は男女差別についての

意識は低調であったが、一定のキャリアを積んだ女性研究者の中から、いわゆる「ガラスの天

井」的限界があるという为張が行われるようになり、若い世代の研究者をこうした限界を超えて支

援していくネットワークをさらに発展させる体制づくりが必要であるとの合意がみられるようになっ

た。早速、忚用物理学会では当該委員会を設置したが、忚用物理学に係わる分野だけでなく、

広く学協会が集まって活動することが重要であるとの認識から、学協会連絡会の発足につなが

っていく。こうした一連の動きを内閣府男女共同参画局が取り上げることを契機に、社会として

の男女共同参画化の流れと軌を一にして、その後の活動が展開される。

オリンピックにおける女子選手の金メダル獲得率、小中学校の教員に占める女性比率、一般女

性の海外渡航者数等にみられる社会的な女性の活躍拡大の側面を挙げつつ、小舘氏はわが

国がなお女性研究者比率 13%と先進国中最下位に甘んじている現状を踏まえ、こうしたジェン

ダーギャップを克朋することに国・政府挙げて取り組んできていることを報告された。文部科学

Page 47: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '4(講演会・シンポジウムの開催

202

省科学技術振興調整費もこのような文脈の中で制度化されているが、日本は国として現在、科

学技術分野における女性の活躍促進のために大別して 3段階の裾野拡大策を实施している。

第一に女子中高生の理工系進路選択を促す支援策、第二が前述した調整費にみるような、女

性研究者の研究と出産・育児の両立支援を行う研究機関に対する補助策、第三が昨年度より

新たに創設された、女性研究者の活躍をより一層促進するための加速プログラムという支援策

になる。

国・政府のリードの下に、最近、より発展的な女性研究者支援策が講じられている。例えば、内

閣府所管の総合科学技術会議は「最先端次世代研究開発支援プログラム」を提案し、いわゆる

競争的資金としては初めて、採択件数に占める女性研究者の割合の 30%を採用することを明

言したうえで公募を行った。小舘氏が男女共同参画为監を務める JSTにおいては、女性研究

者が競争的資金の獲得等により前向きに対峙できるよう、女性研究者の様〄なキャリア構築事

例を取り上げたロールモデル集を作成、広報している。しかし、こうした支援策があってもなお、

女性研究者の活躍の場面はいまだに十分な広がりをみせていないことを小舘氏は指摘する。

女性研究者の競争的資金への忚募率は依然として低調で、それゆえ自ずと採択率も低位のま

まである。大学院研究者に占める女性割合に比して、大学教員に占める女性割合ははるかに

小さいままである。

さらに、こうした改善不足の事例は、国公立大学より私立大学に特徴的であると小舘氏は指摘

する。平成 18年度に調整費事業が開始し、当初 10の大学機関が採択されたが、現在 56機

関にまで増え、かなり全国的な分布になってきている。ただし採択されている内訳としては国立

大学の比率が断然多く71.4%で、本学を含めた私立大学は20%に満たない採択率である。加

えて、この支援事業モデル育成が終わり、もう一段階上位の「女性研究者支援システム改革加

速」プログラムへ移行できるしくみが昨年度より始動しているが、同プログラムにこれまでに採択

された機関は全て国立大学である。この点からも、調整費事業を通じてもなお、私立大学での

女性研究者支援の成果は国・政府の期待するところまでは到達していないことを小舘氏は明示

された。

以上のような女性研究者をめぐるシステム改革が項調に進展するには、学長、塾長レベルの強

いリーダーシップが発揮されることが不可欠であると小舘氏は言明する。トップのリーダーシップ

の下で進められたシステム改革の直接的効果として、大学に男女共同参画审'名称は多様(と

いう支援組織が創設されるとともに、メンター制度等、より具体的な研究者支援体制が整備され

る。今日のようなシンポジウム開催の事例も増え、あるいは、女性の理系進学率の向上が徐〄

に見られてくる。波及効果としては、関係大学・機関が相互訪問を重ねたりシンポジウム等に共

に参加することで、多くの大学の間で女性研究者支援のプログラムに積極的に参加する意識や

方向が生まれ共有されてきていると小舘氏は指摘した。

日本学術会議科学者委員会・男女共同参画分科会が实施し、平成19年に公表したアンケート

調査結果によると、まず、私立大学は回収率自体が非常に低く、50%をわずかに超えたにすぎ

なかった。このアンケートのあて先が各大学の学長・総長クラスであったことを考えると、私大のト

ップの意識が非常に低く、男女共同参画関係のアンケートに回答すら出してこなかったことが分

かる、と小舘氏は指摘する。間もなく公表予定の第二回アンケート調査では、残念ながら、私大

の男女共同参画は進んでいないという結果が出ているが、小舘氏はそのような中でも、調整費

採択校は着实に实施しているという結果に着目された。採択校か非採択校かでは、両者の間

にかなり大きな差が出ているのであり、ここに調整費の効果というものが歴然としたということがで

Page 48: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '4(講演会・シンポジウム開催

203

きる。しかし、この両立支援モデルに関する新規公募を次年度は行わないことが既に決定され

ていることから、小舘氏は男女共同参画推進のための国より更なる支援継続を期待する。女性

研究者が活躍するための環境の改善については広く、科学者、有識者の間に共通認識が生ま

れていることが他の調査結果からもわかっていることから、小舘氏は調整費による女性研究者支

援モデル事業が果たした役割はかなり大きいと評価する。

最後に、小舘氏はご自身が関与された日本女子大学における女性研究者支援事業の概要に

触れつつ、事業終了後から評価、継続のプロセスについて示唆に富む発言をくださった。相当

程度厳格な評価基準が従来採用されてきたが多尐の調整が施されたので、本学には新たな基

準の下でぜひとも良い評価を得ていただきたいとの激励の後、小舘氏は、事業継続についての

ポイントをいくつか挙げた。まず、男女共同参画を为流化するという意識を学内へ浸透させる方

法として、大学評価基準の中に「男女共同参画」の頄目を入れることを小舘氏は提案する。す

でに日本学術会議も同様の提言をしており、特に競争的資金の評価において男女共同参画へ

の取り組み度合いを加味すれば、進展は間違いなく加速化すると断言する。次に、現場レベル

での支援策がやはり重要であり、補助員等による研究・教育時間の肩代わり、負担軽減のシス

テムが不可欠であるという。さらに、個人の評価において単に研究業績だけではなく、こういう支

援活動の評価を人事審査で尐しずつ取り上げていくべきだと为張する。そのうえで、ただ両立

支援を受けるという認識から1歩も2歩も脱却し、实際に女性研究者がいかに实力をつけていく

かという取組みを積極的に進めていくべきだという。リーダーシップ育成のプログラム、海外の研

究者との交流セミナーなどの女性研究者のエンパワーメントに向けた企画を通じて、女性研究

者が大型資金等へ積極的に忚募できる实力と自信をつけ、それが採択につながるような環境

整備を行う必要がある。すでに先進諸国は非常に長期的視野でこうした取組みを行っており、

本学を含む調整費採択大学が率先して事業終了後も継続的に施策を实施していかなければ、

日本の今後の女性研究者の活躍増進や、学内で高まった男女共同参画意識の定着・拡大は

難しいと为張した。いまや 56機関にも拡がった調整費採択校ネットワークを事業終了後も絶や

さずに、かつ、それぞれの大学が事業を継続实施することが肝要であるとして、小舘氏は講演

を終えられた。

●事業報告'1( ワークライフバランス研究センターより 宮川祥子'看護医療学部 准教授(

本学の女性研究者比率は、学校基本調査による全国平均と比べて、やや高いという現状であ

る。平成20年度が19.2%、平成21年度が20.9%と、現在平成22年度が21.6%となっており、わ

ずかながら上昇傾向を維持している。ところがより仔細にみると、女性研究者の比率はキャンパ

ス、学部ごとに大きく異なる。本学は複数箇所にキャンパスが分散しており、学部も分散している

ため、例えば、理工学部のある矢上キャンパスでは女性研究者比率が非常に低いが、隣接す

る日吉キャンパスでは女性研究者の比率が比較的高いといった特徴がある。その中でも医学

部・法学部・総合政策学部・看護医療学部では、女性研究者のうち任期付き教員の占める割合

が非常に高く、他大学と同様に、職位が上がるほど女性比率は減尐する。任期付き研究員はキ

ャリアの出発点となるポジションであるが、このポジションの研究員全体の80%を女性が占める。

ところが、この上の助教になると25%くらいまで急激に比率が落ちてしまう。将来の研究者であ

る大学院生に比べて、教員の女性比率は各学部、研究科ともおしなべて低い状況にある。この

ことから、次世代の女性研究者育成のためには任期付きのポジションにいるキャリア初期の女

性研究者に対して、研究・教育と妊娠・出産等の生活両立が可能となる施策や制度改革が必

Page 49: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '4(講演会・シンポジウムの開催

204

要だと考える。'慶應義塾の女性研究者の現状データについては「Ⅴ.慶應義塾大学関連デー

タ」を参照。なお、本学のデータはすべて専任教員、すなわち、いわゆる長期契約で雇用され

ている年間契約のない教員に、実員教員、有期教員、外部資金による特別研究教員を含む有

期本務教員を加えた教員を対象としている。(

そうした要請のなか、慶應義塾は具体的に何をこれまで行ってきたのか。『ソーシャルキャピタル

育む女性研究者支援』プロジェクトでは、①推進体制の整備、②育児支援、③エンパワーメント

支援、④研究推進・調査という4つの柱をたて各施策を推進してきた。推進体制の整備につい

ては、全学的に事業推進する制度整備に傾注してきた。育児支援では、短時間の預かり保育と

柔軟性の高い保育支援、キャンパス周辺や近隣地域の保育・介護リソース等の提供を为たる内

容とした。エンパワーメント支援では、1(キャリア形成に関する相談窓口、2(インターンシップ制

度、3(女性研究者のコミュニティ形成、4(次世代育成、5(活動の周知・徹底のための講演会、

シンポジウム等の企画、6(国内、国際の女性研究者との交流、情報交換等を中心にしてきた。

研究・調査分野では、ニーズ調査やプログラム評価、ワークライフバランス関係研究サーベイ、

データ提供のための書籍整備などを進めてきた。

また、本学ではプロジェクト推進にあたって、本学ならではの組織としての特徴を非常に意識し

て取り組んだ。具体的にいえば、本学は非常に大きく相互関係の密接な同窓会組織を持って

いるだけでなく、伝統的に地域との連携を重視してきた。こうした卒業生、地域、あるいは小中

高校の一貫教育校を持っていることから、次世代への関係性も特徴的であり、本学では女性研

究者支援を進める場合も、これまで培った大学全体、大学周辺とのいろいろな関係性を活用し

ながら支援に活かしていくことを大前提としている。そして、支援に活かしていくプロセスを経る

ことによって、これらの関係性をより恒常なものにしていこうというアプローチを採用することとな

った。これを私たちは『ソーシャルキャピタル醸成アプローチ』と呼び、事業名にもその理念が反

映されている。

事業の推進体制として、塾長のリーダーシップのもと、男女共同参画担当の常任理事を配置し、

男女共同参画审を直属の組織体として発足させた。参画审に先行し、事業の具体的实施体で

あるワークライフバランス研究センターが時限組織として設置されており、より継続的かつ包括

性ある参画审と連携、補完しながら、在学生、卒業生、中等・高等部、地域やNPO、さまざまな

女性研究者コミュニティ等を巻き込みながら事業を運営している。センター自体は湘南藤沢キャ

ンパスにオフィスを置くが、センターに参画している推進メンバーは各学部・各キャンパスの教

員より構成されている。現在、看護医療学部長・太田喜久子をセンター長に、渡部直樹人事・労

務・男女参画共同担当理事をはじめ23名の教員が関与するとともに、専任の准教授、助教、お

よび専門員が实務担当のエンジン役となっている。推進メンバーは所属キャンパスごとに分か

れて、メンバー以外の教員も含めた形でワーキンググループを作り、このワーキンググループの

下で各キャンパスに女性研究者ネットワークが醸成され、あるいは、次世代の研究者となる大学

院生や中高生に対するエンパワーメント施策が实施されるという重層的構造となっている。

これまでの为だった取り組みを時系列で振り返ると、平成20年度調整費事業として採択された

後、同年度末に男女共同参画审を設置した。当初の目標はこの事業終了時に男女共同参画

审を設置するものであったが、塾長の強いリーダーシップのもとに初年度のうちに設置に到るこ

とができた。この年度にはまた、研究業務支援や病児保育支援を開始し、また機関の自为経費

による取り組みとして信濃町にある慶應義塾保育所の改修事業を行った。翌21年度には、初年

度の取り組みを継続するとともに一時保育支援事業のための制度設計に注力し、また、自为経

Page 50: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '4(講演会・シンポジウム開催

205

費による取り組みとして施設整備'全キャンパスに子どもと入れるトイレを完備(と一時保育支援

スペースの整備'湘南藤沢キャンパスにおける一時保育スペース「コガモの巣」開設(を实施し

た。平成22年度には当初よりの継続的事業に加え、「コガモの巣」で一時保育支援を開始し

た。

以下、事業の根幹をなす個別施策につき言及する。第一に、研究業務支援は、妊娠、育児中

の女性研究者に対し研究補助員を雇用する制度である。平成20年度には10名、21年度には

19名の利用实績があり、妊娠、育児中の女性研究者の学会発表数、論文採択数等の維持・増

数に寄与している。第二に、病児保育支援は、NPO法人フローレンスと共同開発した大学・研

究機関向けの病児保育支援サービスを提供する。現在4名の女性研究者が利用中だが、サー

ビスの利用可能地域が限られており、また、月〄の会費負担が発生する等、利用促進を妨げる

課題を抱えている。第三に、一時保育支援は今年の4月の開始だが、先立つ2年度の間に、一

時保育支援を始めるための準備を進めてきた。本システムでは、1歳児から未就学児童を対象

に、ワークライフバランス研究センターの提供する養成講座等を修了した学生保育サポーター

が1対1の保育を行うが、保育に際しては有資格の保育士が監督し、安全を担保する。現在は

湘南藤沢キャンパス内の「コガモの巣」のみで实施している。システム運用にあたり、保育ニー

ズに対して迅速かつ適切な対忚ができるよう、利用希望者と保育サポーターのマッチングシス

テムの整備や、最大限の安全性確保のための保険付保、各種マニュアル作成、契約書や規約

等関係ドキュメントの整備に相当の時間を費やした。实績としては4月から9月までの期間で12

件の利用があったが、アンケート調査によると本事業の対象年齢外'0歳児や小学生(、及び、

開所時間外'平日の早朝や夕刻以降の時間帯あるいは土曜日(についてそれぞれ利用ニーズ

が非常に高いという課題が浮き彫りになっている。第四に、キャンパスごとのニーズに忚じた交

流会等の開催など、多様な女性研究者ネットワーキング形成の取り組みがある。第五に、次世

代育成支援では、湘南藤沢高等部向けのワークライフバランス特別授業、あるいは、矢上キャ

ンパスにおける慶應義塾女子高向け進路選択セミナーの開催の他、当センターを訪問した他

校の女子高校生に対する説明会も行った。第六にキャリア支援に関しては、矢上および湘南藤

沢キャンパスにおいて、専門のアドバイザーを招いてキャリア・アドバイスセミナーを本年11月か

ら12月にかけて实施する。第七に、女性研究者にできるだけ多くの研究者としての進路の選択

肢を経験してもらう趣旨で、今年から、他の競争的資金'PhD躍動メディカルサイエンス人材養

成プログラム(と連携し、インターンシップ支援を開始した。第七に、情報発信の一例として、女

性研究者のロールモデル集をWEB上あるいは冊子として公開している。第八に、ウェブ会議シ

ステムやネットコミュニケーション環境など、出産・育児等で時間的制約の大きい女性研究者に

多様なネットワーキング形成を可能とするよう、ITを活用したコミュニケーション支援も实施して

いる。第九に、調査活動としては、全学レベルでこれまでに2回、事業初年度にニーズ調査を行

い、本年度はプログラム評価に関する調査を实施した。第十に、広報活動として、ニュースレタ

ーやメールマガジンを継続的に発行する一方で、シンポジウムは本学为催、あるいは私大共催

の形式で年1回以上の頻度で实施した。

以上の調整費事業とは別の枞組みで、慶應義塾の自为経費による取り組みとして施設環境整

備を進めた。平成20年度には信濃町キャンパスにある慶應義塾保育所の改修、21年度には当

ワークライフバランス研究センターの改修、チャイルドシートやおむつ替えの台などを設置した

子どもと入れるトイレの全キャンパス完備を行った。

Page 51: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '4(講演会・シンポジウムの開催

206

こうした活動は、特に一時保育支援に関して新聞その他のメディアに取り上げられており、広く

関心を惹起しているものと評価するところである。

●事業報告'2( 各キャンパスより

三田キャンパス: 駒村康平'経済学部 教授(

日吉キャンパス: 鈴木透'法学部 教授(

矢上キャンパス: 松本緑'理工学部生命情報学科 准教授(

信濃町キャンパス: 野末聖香'看護医療学部 教授(

湘南藤沢キャンパス: 濱田庸子'環境情報学部 教授(

芝共立キャンパス: 上田七生'ワークライフバランス研究センター 特別研究助教(

キャンパス別事業報告はパワーポイントを利用して行い、それぞれ、①当該キャンパスの特徴、

②当該キャンパスの抱える課題、③当該キャンパスの取り組み'具体的事例(、④当該キャンパ

スの取り組み評価、の4分野で構成されている。当日使用したデータを転載貼付する形で、以

下に報告する。

Page 52: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '4(講演会・シンポジウムの開催

207

Page 53: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '4(講演会・シンポジウムの開催

208

Page 54: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '4(講演会・シンポジウム開催

209

Page 55: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '4(講演会・シンポジウムの開催

210

Page 56: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '4(講演会・シンポジウム開催

211

Page 57: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '4(講演会・シンポジウムの開催

212

Page 58: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '4(講演会・シンポジウム開催

213

Page 59: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '4(講演会・シンポジウムの開催

214

Page 60: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '4(講演会・シンポジウム開催

215

Page 61: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '4(講演会・シンポジウムの開催

216

Page 62: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '4(講演会・シンポジウム開催

217

Page 63: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '4(講演会・シンポジウムの開催

218

Page 64: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '4(講演会・シンポジウム開催

219

Page 65: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '4(講演会・シンポジウムの開催

220

Page 66: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '4(講演会・シンポジウム開催

221

Page 67: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '4(講演会・シンポジウムの開催

222

Page 68: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '4(講演会・シンポジウム開催

223

Page 69: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '4(講演会・シンポジウムの開催

224

Page 70: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '4(講演会・シンポジウム開催

225

Page 71: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '4(講演会・シンポジウムの開催

226

Page 72: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '4(講演会・シンポジウム開催

227

Page 73: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '4(講演会・シンポジウムの開催

228

Page 74: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '4(講演会・シンポジウム開催

229

●パネルディスカッション'1( 利用者・協力者から見た女性研究者支援事業

<コーディネーター> 宮川祥子 '看護医療学部 准教授(

<支援事業利用者> 四宮愛'法学部 生物学教审 助教(

白壁恭子'総合医科学研究センター 特別研究講師(

坂本真里'総合政策学部 3年(

<支援事業協力者> 柏木一公'医学研究科 修士 1年(

中條紀子'政策・メディア研究科 修士 2年(

本学ではこれまで、全学挙げての取り組みと、個別キャンパスニーズに対忚した施策を調和さ

せ、全体として慶應義塾らしい女性研究者支援事業の在り方を模索し实現してきた。シンポジ

ウム後半は、本事業を实際に利用した、あるいは事業に協力した当事者の生の声を聞きながら、

事業最終年度を迎えた本学が今後、どのように事業継承、事業拡充していくのかをパネルディ

スカッション形式で議論した。最初に、支援事業利用者の中から、四宮愛・法学部生物学教审

助教'有期('研究業務支援利用(、白壁恭子・総合医科学研究センター特別研究講師'病児

保育および研究業務支援利用(、坂本真里・総合政策学部 3年生'一時保育支援利用(、支援

事業協力者の中から、柏木一公・医学研究科修士 1年生'研究業務支援協力(、中條紀子・政

策・メディア研究科修士 2年生'一時保育支援協力(が登壇し、宮川祥子・看護医療学部准教

授のコーディネートでパネルディスカッションを行った。利用者、協力者の立場からそれぞれ、

自己紹介も兹ねて事業への関わりの経緯や实際の体験について報告がなされた。発言の要旨

は以下の通りである。

四宮( もうすぐ生後 4 ヶ月になる娘が一人おり、妊娠中の今年の 4月から支援を受けている。

妊娠中に、その後の出産・育児と仕事の両立を悩んでいたところ、ワークライフバランス

研究センターが配布したパンフレットやウェブサイトを目にし、また、事業推進メンバーの

教員からも勧められて事業に忚募した。現在、理工学部 3年の女子学生を研究補助員

として週 2回、各3時間程度の支援を受け、实験の一部を請け負ってもらったり、实験に

必要な試薬の調整、器具の洗浄、データ入力などを補助してもらっている。

白壁( 4歳の息子がおり、研究業務支援プログラムと病児保育支援プログラムを共に利用して

いる。基礎研究が業務のため、毎日实験しなければいけないなか、いつ息子が熱を出

すか心配しなくて済むこと、発熱してもその日の朝までに連絡すれば自宅でベビーシッ

ターが面倒見てくれると思うと、实際に熱を出すことが尐ないにせよ安心して作業に取り

組むことが出来るのでとても助かっている。

坂本( 現在総合政策学部3年で4歳の息子がいる。まだ大学入学して間もない1年生の時に、

友人や先生方からの情報で一時保育支援事業が間もなく開始されることを知り、事業開

始後利用した。

柏木( 私は去年まで理工学部生命情報学科に所属し、今年から医学研究科の修士課程に入

った。博士課程まで進学したいと考えており、土日も休みなく、一日 15、6時間で研究生

活を送っている。アルバイトもできない状況で、先生からの声掛けで研究補助員を始め

た。子育てということはあまりピンときていないが、今回の支援を通じて色〄勉強してい

る。

Page 75: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '4(講演会・シンポジウムの開催

230

中條( 親子のコミュニケーション論について研究しており、育児中の人を対象にヒアリング調査

などをしていたが、自分自身が子どもとあまりかかわったことがなく、自分自身の経験とし

て子どもと接する機会が欲しいと思っていた。コガモの巣が出来ることを SFCのメールマ

ガジンで知り、一時保育サポーターに忚募した。

【事業のメリット】

宮川( 支援事業を活用した、あるいは支援事業に協力した中で、この事業に対してどのような

感想や評価を持ったか、まずはポジティブな面から伺いたい。特に、支援事業によって

自身の研究や学びを進めていく中でどのような影響があったか、また、協力者としてはこ

れからの自分のライフデザインや研究者あるいは社会人としてのキャリアを考えていく中

で、どういう影響があったかに言及していただきたい。

四宮( 乳児を抱えてまだ 4ヶ月だが、想像以上に育児や家事に時間がとられている。研究审に

いる時間も非常に短くなり、帰宅してからの時間も取れないという状況の中で、研究の時

間がおされて不安があった。研究補助員は非常に丁寧な仕事ををしてくれるので、实験

も安心して任せられる。おかげで尐し考える余裕も出来、論文執筆の時間が取れるよう

になった。支援がないとしたらやはり体力的にも精神的にも辛いものがあったと思う。

宮川( 研究業務支援について、全専任教員に対しこの事業を知っているか、継続すべきか調

べたところ、551名の回答者中、知っている者が 159名、継続すべきと答えた者が 260

名であった。シンポジウム開催やニュースレターの発行といった事業と比べて、研究業

務支援・病児保育支援・一時保育支援といった女性研究者の直接支援は継続すべきと

回答した人数が多い。また、研究業務支援の利用者アンケートの中では、支援の効果と

して、研究や实験等、業務負担の軽減と併せて、もう一つ、精神的な負担軽減が大きく

挙げられた。さらに、出産・育児といった事由による研究中断を回避するメリットも挙げら

れ、实際の研究業績の向上にもつながっている。

白壁( 病児保育支援については、私のように基礎研究である程度継続した時間を想定したい

という時に、突然の中断を心配しなくてもよいというだけで非常に助かっている。精神的

な安心感を得る効果は絶大である。保育園ではとびひ等の感染症の時に登園できない

が、子ども本人はいたって元気なため、自分が業務を休まなければならないことになか

なか納得がいかない。病児保育支援のおかげでそうした場合も朝 8時までに電話すれ

ば 100%対忚してもらえる。精神的な安心感を得ていることに感謝している。

宮川( 病児保育支援については全専任教職員向けアンケートで今後も継続すべきと回答した

人数が最も多い'315名(。同利用者へのアンケートでは、もしもの時の安心感が非常に

重要であるとの意見が多い。親が安心していると子どもが病気にならないという効果も实

際にはある。親にとっての安心感が实は単なる安心感だけではなく、研究等パフォーマ

ンスに具体的に繋がっていると思う。

坂本( コガモの巣の一時保育を利用し、4歳の息子自身の満足度は非常に高い。一度行くと、

明日も行きたいといって、いつも行く保育園になかなか戻りたがらない。マンツーマン保

育ゆえ、みっちり遊んでいただけるというところが子どもにとっては一番嬉しいようだ。学

Page 76: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '4(講演会・シンポジウム開催

231

生サポーターも自为的に挙手制で登録しているため、子どものことが本当に好きで目一

杯遊んで下さる人ばかりなのだと思う。親の視点からみると、有保育資格者が常駐・監督

しているため、学生サポーターから子どもの様子を聞いた後に監督者からも話を聞ける

ことが非常に安心できる。私が入学した時にはこうした支援が全くなく、3年生になり支援

環境が整ったわけだが、そういう風に慶應義塾が変化していくことにたくましさを感じてい

る。

宮川( 待機児童問題が厳しい状況で、自治体によっては、学生は就労者でないため、保育園

の入園時のプライオリティが非常に低い。認可保育所に入れられず無認可にいれざるを

得ないが、無認可は認可に比べて保育料が高く、学生には財政的に厳しすぎる。一時

保育は必ずしも十全な保育ではないものの、利用者アンケートでは近くに子どもがいるこ

との安心感だけで非常にニーズが高いことがわかる。また専任教員のアンケートでも一

時保育支援事業を知っているという者が 121名、今後も継続すべきが 239名と、他の施

策に比べても多くの回答者が継続すべきと回答していることがわかる。

柏木( 研究補助員、協力者として事業参加したメリットは大きく 2つある。まず一つ目は子育て

経験も関心もなかった自分が、利用者の先生を支援するなかで、夕方の 5時くらいに仕

事場からそのまま保育園に迎えに行ったり子どもが熱を出したときの対忚など、そういう

時にいかに女性研究者が子育てと研究を両立しているかを間近で見ることができ、自分

自身の今後の人生にとって学びとなったと思う。もう一つは、優秀な女性研究者を自分の

ような大学院生がじかに支援し、また、そういう研究者の研究態度にじかに触れることで、

どのような方向性で計画を立てたり研究を行うのかを観察することができ、研究者として

の自身の今後を考えるにあたり大きなメリットになったと思う。

宮川( 本事業は女性研究者への直接支援が为たる目的ではあるが、それに留まらず、そこから

出発していかに本学全体をパワーアップしていくことになるか、そこに関わる多様な人た

ちをエンパワーすることを目標とした『ソーシャルキャピタル醸成アプローチ』を採用して

いる。その意味で今のような話を聞けるのは非常にありがたい。

中條( 自分自身の研究テーマが子ども、親子と深く関係していることもあり、保育の現場が大学

の中にあるということは研究者の卵の私にとって大いにメリットであった。月齢に忚じた子

どもの様子を直接知る機会が大学の中にあることは、私の学びにとって大変有意義だっ

た。研究職にある母親が子どもだけでなく、その父親である夫との関係も含め、どのように

時間をやりくりし上手に研究と生活を両立させているのか、その具体的方法を身近に感

じることができ、結婚、出産と研究の両立を希望している自分自身のロールモデルともな

った。また、サポーター養成過程で体験した保育所研修で、いろいろなお子さんや親御

さんと触れ合える機会があったことは大変新鮮だった。

【事業の課題と展望】

白壁( 研究業務支援については、学生協力者が近くにいない場合はどうするか。自分自身が

身近に適当な協力者を見つけられない場合、支援忚募にアプライしにくいのではないか、

との課題を感じた。

Page 77: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '4(講演会・シンポジウムの開催

232

四宮( 私の所属には学生がいないため、隣接分野の教員に声をかけてもらい補助員を確保し

た。補助員の選定等を仲介する場ができると利用しやすいのではないか。

宮川( 一時保育支援については、利用希望者と学生サポーターの日程調整作業にセンターが

介在することでマッチングの可能性を拡げている。類似のマッチング・システムを研究業

務支援にも導入することは検討の余地があろう。

四宮( キャンパスによって事情は異なる。

白壁( 協力希望の学生の存在、所在を知りうるようなシステムがあれば、利用者は協力依頼し

やすい。

宮川( キャンパスごとに補助員を紹介し合うようなネットワーキングの構築、活用を考えたい。

白壁( 女性研究者が相談しやすい窓口が必要ではないか。

宮川( 各キャンパスでは本事業の推進メンバーを中心にキャンパスワーキンググループが形成

されているが、何かあったときに気軽に相談ができるようなキャンパス・ネットワーキングが

できることが重要だと考えられる。次に、一時保育支援についてはメディアにも色〄取り

上げられ話題性もあるが、一方でアンケート調査によれば改善すべき課題も多い。

坂本( 学生という立場で言えば、料金'1時間 800円(は高すぎる。夕方 5時という時間制限も、

4限が 4時 15分までで 5限が 6時まで、という講義時間割にはフィットしない。7限まで

ある授業時間帯に合わせた設定が必要。

宮川( 利用代金については学割制の導入が検討できるのではないか。利用時間に関しては利

用者アンケートでも拡充の要望が非常に多い。せめて 5限が終わって迎えに行くことが

できる 6時半まで、という意見が学生、教員の利用者双方から数多く出されている。コガ

モの巣での活動時間帯を 5時までに制限しているのは、第一義的に安全性の確保のた

めである。万一の事故、事件に備え、事務方と緊密に連絡をとって対忚できる時間帯で

ある 5時までに設定した経緯がある。今後も实績を積み重ねていくことで、安全性は十分

に考慮した上で、セーフティネットの程度とサービス拡充の範囲を組み合わせて精査、検

討していかねばならない。

中條( 一時保育サポーターとして気づいたことは、利用者をもう尐し増やしたいということ。50名

を超える保育サポーターは、子どもが好きだから、あるいは、私のように個人の問題意識、

研究テーマと関わっているから、と様〄な理由で一時保育支援に関わったはずである。

学びを求める学生たちにとっても一助となる場としてコガモの巣は活用できるはずであり、

利用者が多いほど学生サポーターの体験も増え、学生のメリットが大きくなると思う。

柏木( 研究業務支援では、利用者の先生の研究にじかに触れることができたのが、研究者を目

指す上で大きなメリットだった。その点は同期の大学院生仲間からもうらやましがられた。

研究者として精進中の自分にとって、实験、研究のあり方やデータの作成、利用の仕方

などの具体的対処事例等を直接に見聞、体験できることに学びは大きい。すでに指摘の

あった通り、補助員のネットワークを形成し、希望する大学院生に必要な情報が届くよう

なシステムができれば、支援者も相当数増えると思う。

Page 78: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '4(講演会・シンポジウム開催

233

白壁( 病児保育支援の一番のネックは利用料金だと思われる。入会金と年会費の補助は大変

助かるが、利用の有無に関わらず、月〄会費1万円かかり、それを保険料とみなすことは

子育て中の学生には厳しいのではないか。

坂本( 収入のない学生の自分にとって、「病児保育支援に月1万円で登録するか」と聞かれると

難しいと思う。

四宮( 現行の病児保育支援制度では利用者の居住地域が限定されており、自分はそれに該

当せず利用できなかった。本学はキャンパスも分散しており、地域限定については再検

討が望ましい。

宮川( 現行支援制度の課題には共通するポイントがある。ひとつには料金体系。料金をそれぞ

れ忚能負担、すなわち、利用者の立場に忚じた負担を検討する必要がある。もう一つは

支援事業自体の意義がありながら、ミスマッチが存在すること。例えば、一時保育支援で

は利用時間帯や利用料金、研究業務支援では支援員と利用者のニーズに、それぞれミ

スマッチが生じている。サービス自体の質の向上も必要だが、まずはミスマッチを解消し

ていくことで支援策をパワーアップできる。

白壁( 学生に占める女性比率が教職員における女性比率と完全に一致する必要はないが、研

究を継続したいのにできない人たちをサポートできるシステムとして、研究業務支援、病

児保育支援、一時保育支援のいずれも意義がある。本学のポテンシャルある学生に研

究継続を可能とさせるシステムとして、今後の事業継続を強く期待する。

柏木( 鶴岡キャンパスには保育所があり、当初 3~4年間は利用者が一人しかいなかったが、

その後利用者が急増したと聞く。本学が提供している育児支援システムの存在をもっと

周知させつつ、長い目で支援を続けていくことを希望したい。

四宮( 利用者として非常に助かっているし、今後もニーズは確实にあるので、事業継続を期待

する。支援は永遠に希望するのではなく、育児その他の理由で一時的に必要な時期が

ある。その時に必要な支援があれば安心して仕事ができ、研究成果を上げていくことに

つながる。

Page 79: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '4(講演会・シンポジウムの開催

234

●パネルディスカッション'2( 事業継続のために -議論と総括-

<コーディネーター> 樋口美雄 '商学部長(

<パネリスト> 太田喜久子

隅田英子 '国際連携推進审 事務長(

松本緑

宮川祥子

各種支援事業の利用者・協力者による議論と課題抽出を受けて、パネルディスカッションの後

半部分は「事業継続のために-議論と総括-」をテーマに、樋口美雄・商学部長をコーディネ

ーターに迎え、討論を行った。以下、要約となる。

樋口( 我〄のセッションにおいてはこれまでの議論を受け、今後この事業をどう発展させていく

か、何を継続していくべきかを中心に話し合いたい。今日の第 3回シンポジウムも含め、

本学の女性研究者支援は文部科学省の科学技術振興調整費により、つまりは国民の

税金を使って实施している以上、慶應義塾として恩恵を受けるのと同時に、我〄が経験

したことを慶應義塾の中に留めず、外に発信することによって国民に還元することが目

的となる。これまで得た成果とそこにおける課題を社会に発信し、それをいかに解決して

いくのかを考える上でプラスになるような議論を進めていきたい。ワークライフバランスに

ついては、国・政府レベルでもこれまでに多様な取り組みがなされ、私自身も深く関与し

てきた。先の自民党政権時代にワークライフバランス官民トップ会議が発足し、日本経

団連、日本商工会議所、連合、有識者等が政府と共に一堂に会し、ワークライフバラン

ス憲章及び行動指針を採択した。民为党政権に代わった今年7月にはこの一部改正が

行われ、これまでトップであった官房長官に代わり総理自らがトップになりエンパワーメン

トが図られたが、社会的認知度は依然として低い。この生活に深く関わる問題は理念だ

けで片付けることができないからである。尐子化、人口減尐が進む日本で男女共に、年

齢にかかわりなく働ける環境を作ろうとの理念は理解しても、具体的な行動に移らなけ

ればこの問題はいつになっても解決できない。

宮川( 利用者・協力者のパネルディスカッションでは事業の継続性が非常に強く求められた。

この種の施策は 2~3年で目に見える成果が出るものではない。長い期間をかけて取り

組む姿勢が求められる。また、さまざまな施策を实施した結果、ネットワーキングの活用

が重要であることがわかった。支援を必要とする研究者が、まずはこうした支援策がある

ことを知り、さらには支援するパートナーを見つけることができるよう、情報収集できるキャ

ンパス・ネットワーキングが重要であり、大学の中でそのようなネットワークを構築すること、

また大学としてそれを支援していくことが課題となる。

樋口( ネットワーク、特にキャンパス間のつながりを今後も強化していくべきであるとともに、この

問題は女性だけの問題ではない、基本的には男の問題だと思う。本来、ワークライフバ

ランスの担当は、政府でも内閣府の「共生社会」部門に置かれているように、働く女性支

援ということではなく、男女ともに、また年齢関わらず誰もが共に生きていく、こういうつな

がりを大切にしようということである。慶應義塾の中でもこのようなつながりは男も一緒とい

う話ではないか。国民の税金を活用させていただき、女性に研究者としての能力を発揮

してもらうことが、後に社会に役立つ研究成果として還元されると同時に、男女共同参画

やワークライフバランスに関する考え方についても、男性を含めて変えていく。保育の場

Page 80: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '4(講演会・シンポジウム開催

235

に若い時から男性を交わらせていく必要があり、一時保育支援事業に保育サポーターと

して男子学生を取り込んだ点は高く評価するべきところではないか。

松本( 理工学部では女性はたった 10人の専任教員しかおらず、今はまだこのレアキャラをい

かに増やしていくかの段階に過ぎない。理工学部の場合、二つの研究の仕方がある。

ひとつは情報系で、コンピュータ的なもの。もう一つは实験系で、有機溶媒を使ったり機

械を使ったりいろいろなものを使いながら何か新しいものを探していく研究。实験研究系

は何らかの結果が出るまで待つだけのような、とにかく時間のかかるものであり、いかに

してその間の安全性を確保できるかが重要になる。学生の中にはメンタル的に問題を抱

えた者もおり、そのような学生たちも含め、皆が安全な形で研究し成果を出すには皆の

協力や小さくてもネットワークがきちんとできあがっていることがとても大事だと思う。その

ネットワークが尐しずつ、ひとつの研究审の中ではなく周りの研究审にも、学科全体に、

それから学部、さらに義塾全体に広がっていくことを望んでいる。

樋口( お互いが助け合っていく、それこそがソーシャルキャピタルである。従来のキャピタルスト

ック、箱モノの社会的インフラではなく、むしろ人間のつながり、サポートし合うことの大切

さに視点を向けていきたい。

隅田( 私は今、国際業務という仕事に携わっているが、13年ほど前に機会を得て職員の立場

で塾内留学を経験した。当時は女性の学生、研究者ということに関係なく 24時間研究し

続けねばならず、強いプレッシャーを受けながらよく子連れでキャンパスへも行った。そ

の 2年後にイギリスの大学院へ渡ったが、医学部を含めた総合大学という点で非常に慶

應義塾と似た環境ながら、大学の中に 0歳児から預かる保育園が設置されており、小学

生でも休みの時期に一時的に受け入れるシステムがあったことには驚かされた。慶應義

塾に帰ってきて、慶應はまだここかという思いをもっている。国際業務に関わるなか日常

的に世界の大学のことが見えるが、世界ランキングのトップクラスの大学で学長が女性だ

ったりする時代に、日本はどこにいるんだというのが正直な意見である。

太田( ワークライフにかかわる諸事業、子育てや介護といったライフイベントをどういうふうに乗

り越えていくのかということは、自分ひとりでは解決できない。しかし、实際の職場の中に

おいては、言わない、聞かない、という関係の中でいろんな業務が遂行されていく。男

性・女性、年齢などに全く関係なくお互いさまなのだという意識、子育てについても、介

護についても、自分が支えを必要とする時には堂〄と支えられ、自分が余裕のある時は

周りを支えるという、そういう意識を持つことがすごく大切ではないか。本日のパネルディ

スカッションのように、問題に直面している人の声をじかに感じ触れる機会を持ち、そし

て一緒に考え、それを個人ではなく職場の問題と認識し具体的な仕組みを作り解決して

いくことが大切である。支援された者だけが助かることではなく、学生の発言にもあったよ

うに、支援した者のその後の人生にとっても意味がある。それが私たちがソーシャルキャ

ピタルを育むことを目指した女性研究者支援の在り方そのものであり、ひとつの成果が

見えてきたことを心強く思った。世界の中の慶應義塾の発信力と魅力を増していくため

にも優秀な人材を確保し続け、あるいは優秀な人材を獲得していくために、ワークライフ

バランスを全ての年代に、男性女性問わず達成できるよう、大学として取り組んでいくこ

とが肝要であるとの思いを強くした。

Page 81: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '4(講演会・シンポジウムの開催

236

樋口( 慶應義塾はこれまでにも立派な女性研究者を輩出してきたが、どなたもサポートなしに

我慢して、相当の無理を強いられるなか研究なり教育を進めてきたという印象がある。師

である佐野陽子先生にある朝会った際に、「先生、これからどちらですか」と伺ったところ、

「子どもを産みに行ってくんのよ」と。3日後にまた戻っていらして、「産んだわ」ということ

もあったくらいだ。これではやはり持続可能ではなく、才能ある人に意欲・能力を発揮し

てもらう研究支援、あるいは職場の環境をつくっていくことは慶應義塾の戦略として非常

に重要なことである。本学の大先輩である、資生堂の福原名誉顧問は、ワークライフバラ

ンスというのは単に福祉ではなく、みんなに能力を発揮してもらうことによって企業として

成果を上げる、利益に直結する話だということを仰る。企業になぜ、ワークライフバランス

や男女共同参画を進めているのかインタビューすると、将来の人口減尐問題等への対

忚という話も出てくるが、それよりは端的に「株価が上がるんだよ」との答えが戻ってくる。

ワークライフバランスを進めた結果、企業の利益が上がり生産性が上がったという实証研

究結果が出てきている。ワークライフバランスを進めることは、企業・組織にとってコストで

はなくインベストメント、投資であり、無駄ではなく将来はプロフィットが戻ってくるという視

点が必要である。

松本( 理工学部の場合、日本社会全体の問題として理系離れということもあり、次世代、男女

問わず受験者を増やしたいと考えている。慶應義塾高校との高大連携、普通部との

「ザ・矢上」'塾内校の中学生が理工学部キャンパスで大学レベルの实験を体験(、女子

高での理科講義等を实施し、理系離れを失くし理工学部に来てもらう取り組みを行って

いる。慶應義塾・矢上キャンパスが中心となり、関東近辺を中心とした全国の女子学生

たちの間では自分たちのロールモデルを考えていく「凛」というグループが立ち上がった。

彼女たちは自分たちで海外へ行き他国大学での女子学生の取り組みを見聞したり、企

業トップに会ったり、企業や独法等の研究审を訪問するなど、自分たちにどんな可能性

があるかを探る試みを行っている。こうした大学とは別に学生が独自に着手した取り組み

を、今後大学として取り込み広げていくことを考えている。それ以外の活動としては、学

生たちの就職に関し、大学院以後の先の出口があまりないという大きな問題を抱える中、

理工学部は男女かかわらずドクターを中心にメンターシップやインターンシップ等のシス

テムを、医学部の同様の先例に学びつつ進めたいと考えている。理工学部は小さなキャ

ンパスだが、研究支援センターやメディアセンターといった職員の方が大変優秀であり、

そことの連携がポイントになると考える。

宮川( 調整費事業としてコガモの巣での一時保育サポートに着手するまでにはさまざまな経緯

があった。他大学の先例、外国での取り組み事例等、調整費の申請にあたって情報収

集に努めた傍ら、本学でのニーズがどこにあるのか模索した。それまで出産・育児と研

究を両立させてきた多くの女性研究者たちは出産も子育ても自分のプライベートな問題

と認識し処理されていたこともあり、大学に何が求められているのか、潜在的ニーズを引

き出す必要があった。そこで、スタートとして一時保育を開始し、その利用を通してニー

ズの顕在化を図ることを企図した。实際に始動してみると、一時保育ならではの課題が

多〄出てくる半面、得られたものも非常に大きかった。まず保育へのニーズが非常に大

きく、特に一般の保育園は待機児童が多く 4月入園のタイミングにあわせないと入園が

難しいため、復職時から 4月までの間の保育ニーズが非常に高いことが分かった。学生

の保育サポーターについては、看護医療学部の学生中心になるものと当初予想してい

たが、ふたを開けてみると半数が総合政策や環境情報学部の学生であった。普段は保

Page 82: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '4(講演会・シンポジウム開催

237

育とは無縁であろう学生が子どもと触れあいたいと参加し、そういう新たな学生の学びの

場としての機能もこの事業は果たしたと言える。一時保育はあくまでも入り口だが、本学

はこれまで日吉キャンパス'認可保育所にスペース提供(の例にあるような地域との関係

を育んできた。三田キャンパスでも例えば「三田の家」や「芝の家」といった地域との交流

拠点を作り、湘南藤沢キャンパスでもキャンパスが出来た時点から地域交流を深めてき

た。今後、継続して本学における保育支援事業を展開していく際には、この地域とのつ

ながりを活用して、単にキャンパスの中に保育園があるというだけではなく、地域の保育

ニーズをうまく取り入れながら、運用面あるいは利便性の面からよりよい保育支援として

いくことが次のステップ、課題だと考える。

樋口( 保育所を作ってプロに任せてしまうというのは楽かもしれないが、いろいろ試行錯誤しな

がら学生をも巻き込んで保育支援の環境整備を進めることは、ある意味で本当に先進

的かもしれない、今後につながるだろうと思える。

隅田( 私の担当する国際交流の分野で先生方に海外出張等をもちかけると、以前は男の先生

は「はい、行きます」と即答されたが、最近の傾向としては「うーん、ちょっと家族と調整さ

せてください」と即答しない場合が増えてきた。大学関係者は同業者夫婦も多いので、

子育て支援の問題は単に女性研究者の問題ではなく、男性研究者の問題にもなってき

ている。今後の展開としては男性にも問題の重要性をアピールしていくことが必要で、女

性の問題だ、女性研究者の支援だから関係ないと思って関心を向けていなかった男性

研究者にも発信してほしい。また、学生をこういう支援に関わらせるのは大変有意義。最

近職場でも「子どもはいらない」、「子どもは興味ない」という若い人が増えており、その結

果が今の日本社会の尐子化だと思う。これは日本としてゆゆしき事態であり、学生に子

どもと触れる機会を作るというのは、大学教育のいわゆる学術的な教育とは違う、社会力

をつける教育という意味で非常に重要だと思う。子育て支援は今後も学生を巻き込んで

継続してほしい。

太田( 慶應義塾大学、義塾全体をあげてこの事業に取り組むということを着实に、基盤固めか

ら推進していくことを期待する。全塾的体制をいかに整備するかが非常に重要である。

その際、ひとつに、ワークライフバランス研究センターの活動終了を受け、男女共同参画

审の本学の中における位置づけを固めることが重要である。同参画审はこれまで人事

部の中にあり、あるべき方向で推進することが難しい位置づけだった。人事部から独立

した参画审の位置づけに向けて準備が進んでいるが、参画审がより自为的に、自立的

に活動できることが肝要である。全塾に向けて全キャンパスに方針を示しながら、かつ、

特性あるキャンパス別のニーズを吸い上げながら、課題解決に向けた具体的な男女共

同参画施策を、大学の事業として進めていってほしい。二つ目に、各キャンパスなり各

学部のリーダーの意識改革に向けての具体的な働きかけが必要である。学部長クラス

が男女共同参画の必要性を具体的施策化するまで、今のところ動いていない。学部長

の啓発セミナーなどを開催し、各学部における女性研究者採用目標数の設定等、総論

にとどまらず、より具体的な指針が出せるぐらいまでの働きかけを期待する。

樋口( いろんなキャンパスでいろんなワークライフバランスに取り組む芽が出来ていると強く感

じた。その芽を孤立させておくのではなく、キャンパスを超えて相互連携して行くことによ

り、互いの問題点や互いの解決手法を情報共有していくことが非常に重要な、有益なこ

とだと考える。これまでの個別の取り組みを連携させる共通の体制基盤をいかにつくっ

Page 83: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '4(講演会・シンポジウムの開催

238

ていくかが今後の課題である。国立大学では、学長のリーダーシップや権限の下に、積

極的女性研究者の採用などが可能となっているが、尐なくとも慶應義塾には今のところ

そういう仕組みはない。私どもがまずやるべきことは、若い研究者、まだエスタブリッシュ

されていない研究者をサポートして、その人たちが研究しやすい環境を作り出していく。

そういうところから尐しずつでも進めていかければいけないと思う。時間はかかるかもしれ

ないが、着实に進めていくことが、この事業を受けた私どもの責務であると思う。

●総括 渡部直樹'常任理事'男女共同参画担当((

以上のパネルディスカッションにより、ワークライフバランス研究センターが 3年にわたり手がけ

た女性研究者支援事業を、来年度以降、その枞組みを超えて本学で拡充、継承していく必要

性と方向性が明確になったことを受け、本事業継続を为管する男女共同参画审を統括する立

場から、渡部直樹常任理事が総括を行った。渡部理事は自己の事業評価としては、①男女共

同参画审の創設、②ワークライフバランス研究センターによる女性研究者関連データベースの

整備およびネットワーク形成、③一時保育支援等の試み、女性研究者支援に関する实験的試

みとそれによる慶應教職員の意識の喚起、等を挙げた。そして、今後、本学の置かれた財政状

況の厳しさという制約はあるものの、重要な事業は引き継いでいくことを表明した。慶應義塾の

現下の目標は、持続可能性の達成であり、それは義塾自体の持続可能性にとどまらず、わが国、

さらにはグローバルな戦略といったレベルでの持続可能性を考え、それに対する教育や研究を

行うことを目指すものである。こうした観点から、渡部理事は、男女共同参画の基本的重要性を

認識し、尐しずつながらも着实な進展を図りたいと为張した。ワークライフバランス研究センター

により緒に就いた男女共同参画に対する啓蒙活動を中心に、まず男女共同参画审を充实させ、

その波及を進めることが非常に重要だとの認識を示した。

●閉会の辞 太田喜久子

終わりに太田センター長より、今後、調整費の枞組みを超えて本学がより一層、为体的な取り組

みとして男女共同参画の視点からこの事業を継続していく段階に移行することが言明された。ワ

ークライフバランス研究センター閉鎖後、男女共同参画审が責任を持ってこの事業を先導し、

諸〄の課題を着实に克朋すべきことが期待されているとの認識のうえに、男女性別なく、また研

究者も学生も持てる力を最大限、それぞれの立場でそれを広げて世界の発展や安寧に貢献で

きるような慶應義塾の在り方の中で、この環境整備に努めていくことが約束された。

Page 84: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '4(講演会・シンポジウム開催

239

修士

15%

博士

5%

職員

10%

教員

30%

その他

25%

未回答

15%

女性

85%

男性

5%

未回答

10%

25%

15%

20%41-45歳, 0%

15%

5%

20% 26-30歳

31-35歳

36-40歳

41-45歳

46-50歳

51-55歳

未回答

●シンポジウム終了後アンケート

■回答者の属性

①男女比

②属性

③属性

Page 85: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '4(講演会・シンポジウムの開催

240

0 2 4 6 8 10 12

その他

友人、知人等からの紹介

センターからのメール・DM案内

チラシ・ポスター

慶應義塾・各キャンパスWEB

ワークライフバランス研究センターWEB

0 2 4 6 8 10 12 14 16

その他

講演者に関心があった

テーマに関心があった

84%

16%

以前から知っていた

初めて知った

■回答

①このシンポジウム開催をどこで知りましたか?'複数回答あり(

②このシンポジウムの参加理由について'複数回答あり(

③慶應義塾大学における女性研究者支援事業について

Page 86: AøDr.Campus Z H# $å(*B1 WLB B+ -+& B BqB B® BhB B¥B] » … › project › 完成版110222-02-01.pdf · 2011-03-31 · 22 2 s É t 3.bcb®b bªb·b b®b p Á 157 3.bcb®b bªb·b

Ⅱ.平成 22年度实施報告

3.エンパワーメント支援 - '4(講演会・シンポジウム開催

241

④慶應義塾大学の女性研究者支援事業の報告を聞いて'複数回答あり(

33%

67%

期待はずれ

だった, 0

先進的だと思う

課題はあるが、目指す方

向はよいと思う

期待はずれだった

⑤本日のテーマである「事業継続」について、来年度以降、慶應義塾に期待すること、必要不

可欠と思うことなどを、自由にご記入ください。

強力な塾長を始めとする執行部の継続への熱意、リーダーシップ。「他人事」感覚を捨

て去ること。

これまでの取組みによって洗い出されたニーズ、課題はまさに私自身が困っていること

でしたので、それらを中心に今後も事業を継続していただきたいです。

複数のキャンパスを持つ、特有の課題解決に向けて検討を進めて、クリアしていただき

たい。他大学等にも参考となり、貴大学が本事業实施における社会貢献になると思い

ます。

子供がいても、他の人と変わりがないと思えるような保育などのサポートを、現实的に使

える形での整備、社会の変化とともに変われる柔軟性。

是非、これからも事業を継続して頂きたいと思っています。今回、明らかになった問題

点の改善を含め期待しております。

'研究者ではないが(病院看護師のワークライフバランス支援。

キャンパスや学部、研究科によってそれぞれ特色が強いと思います。キャンパスごとに

保育関係、介護関係の拠点'保育園や情報の拠点(があったらよいと考えます。

男女共同参画センターを各キャンパスにつくる・定期的にお茶会'各自持参(を行う。/

学生へのロールモデルの紹介/子育て支援。

是非、事業継続をしていただき、女性が生き生きと活躍していく'それが可能である(モ

デルケースとして情報発信を社会にして頂ければと願っています。コガモの巣や研究

支援によって若い世代において、育児体験、現状認識が男女問わずできることは'若

い世代の(人生設計にも役に立つと思いました。

事業継続と共に、ワークライフバランスに問題を抱える人が相談できる窓口を開設し、

対忚してもらえたらと思います。