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-1- 3年倫理学習プリント(6) 第1編 青年期の課題と人間の自覚 第2章 人間としての自覚 第4節 仏教(教科書p.50~57) 《この節の概観》 1.古代のインドでは、苦しいこの世界に生まれ変わりを繰り返す輪廻から解放され る、解脱を求める思想が深められていった。 2.解脱は学問や苦行などで可能となると考えられた。 3.それに対し、紀元前5世紀に生まれた仏教の開祖ゴータマ=シッダッタは、苦行 を否定し、執着を捨てることで解脱できるとしてその実践方法を説いた。 4.ゴータマの教えは弟子たちに受け継がれ、その後、教団の分裂などを経ながらも、 主に東・東南アジアに広がっていった。 (1)《重要!》バラモン教 ※《重要》cf.資料集p.54~55、61 《POINT》 ①カースト制度の概要について理解する。 ②梵我一如などのウパニシャッド哲学の特徴を理解する。 ①アーリア人の侵入 :紀元前15世紀頃、北方で遊牧生活をしていたアーリア人が、中央アジアからインド亜 大陸に侵入、先住民族を征服し、ガンジス川中流域に定住し、農耕社会を築いた。 ②バラモン教 :【1 】の民族宗教。 a)古代インドで成立。 b)【2 】(四姓制度) :アーリア人社会を秩序づけていた職能の分化に基づく厳格な階層身分制度。 《作業1》資料集p.54「スコープ」を読んで下の文章を完成せよ。 ※カースト制度の起源 :( )制は、アーリア人が皮膚の色〔ヴァルナ〕の違いによって先 住民を差別したことが原型で4ヴァルナが生まれた。 [アーリア人が北インドを征服したことを契機に形成されていった身分秩序] -2- このヴァルナと、( )〔 出自 〕と 呼 ば れ る 世 襲 の 職 業 と 結 び つ いた集団とが組み合わさり、現在まで続く身分階層制度が形成されていった。 家系・血族を意味するポルトガル語のカスタに由来し、( )制度 と呼ばれる。 [ジャーティ:同職の集団、他の集団との結婚を制限。] 現在のインドの憲法では、カーストによる差別を禁止しているが、現実に は、社会生活は依然としてカーストの掟に縛られている。 インド社会ではケガレの思想や、業(カルマ)・輪廻の思想が信じられ ており、カーストの土台となった。歴代の支配者は社会を安定させるため にこれを利用し、カーストに基づく職業も最低の生活は保障されるので、 農村部を中心に現在も存続し続ける。 ※バラモン教と密接に関係することから、仏教やジャイナ教など、バラモン教を 否定して生まれた宗教は、ヴァルナ制も否定している。 〔四つの【3 】〕・・・これが基盤。『マヌ法典』に記述されている。 (ア)【4 】(祭祀を司る司祭階級、カースト制度の最高位置) (イ)【5 】(王侯・武士の階級) (ウ)【6 】(農民・商人・手工業者などの庶民階級) (エ)【7 】(カースト制度における最下層の奴隷階級) ※上記以外にアヴァルナ(パリア・不可触賤民)がカースト制との枠外に置かれる。 ※現在、インド憲法でカーストに基づく差別は廃止され、近代化・都市化による生 活様式の変化により、特定のジャーティと関係しない職業(IT関連など)も増 えているが、結婚の際に考慮されるなど一部では根強く残っている。 c) 自然神崇拝の【8 【9 カースト最上位のバラモンが独占。 やがて神々を祀ることより、祭祀そのものが目的となり、祭祀が宇宙の一 切とどのような関係にあるかという関心から哲学的思索に向かった。 3年倫理学習プリント(6) 仏教

3年倫理学習プリント(6) 仏教 3年倫理学習プリント(6) · 3年倫理学習プリント(6)第1編 青年期の課題と人間の自覚 第2章 人間としての自覚

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3年倫理学習プリント(6) 第1編 青年期の課題と人間の自覚

第2章 人間としての自覚

第4節 仏教(教科書p.50~57)

《この節の概観》

1.古代のインドでは、苦しいこの世界に生まれ変わりを繰り返す輪廻から解放され

る、解脱を求める思想が深められていった。

2.解脱は学問や苦行などで可能となると考えられた。

3.それに対し、紀元前5世紀に生まれた仏教の開祖ゴータマ=シッダッタは、苦行

を否定し、執着を捨てることで解脱できるとしてその実践方法を説いた。

4.ゴータマの教えは弟子たちに受け継がれ、その後、教団の分裂などを経ながらも、

主に東・東南アジアに広がっていった。

(1)《重要!》バラモン教 ※《重要》cf.資料集p.54~55、61

《POINT》

①カースト制度の概要について理解する。

②梵我一如などのウパニシャッド哲学の特徴を理解する。

①アーリア人の侵入

:紀元前15世紀頃、北方で遊牧生活をしていたアーリア人が、中央アジアからインド亜

大陸に侵入、先住民族を征服し、ガンジス川中流域に定住し、農耕社会を築いた。

②バラモン教

:【1 】の民族宗教。

a)古代インドで成立。

b)【2 】(四姓制度)

:アーリア人社会を秩序づけていた職能の分化に基づく厳格な階層身分制度。

《作業1》資料集p.54「スコープ」を読んで下の文章を完成せよ。

※カースト制度の起源

:( )制は、アーリア人が皮膚の色〔ヴァルナ〕の違いによって先

住民を差別したことが原型で4ヴァルナが生まれた。

[アーリア人が北インドを征服したことを契機に形成されていった身分秩序]

- 2 -

このヴァルナと、( )〔出自〕と呼ばれる世襲の職業と結びつ

いた集団とが組み合わさり、現在まで続く身分階層制度が形成されていった。

家系・血族を意味するポルトガル語のカスタに由来し、( )制度

と呼ばれる。

[ジャーティ:同職の集団、他の集団との結婚を制限。]

現在のインドの憲法では、カーストによる差別を禁止しているが、現実に

は、社会生活は依然としてカーストの掟に縛られている。

インド社会ではケガレの思想や、業(カルマ)・輪廻の思想が信じられ

ており、カーストの土台となった。歴代の支配者は社会を安定させるため

にこれを利用し、カーストに基づく職業も最低の生活は保障されるので、

農村部を中心に現在も存続し続ける。

※バラモン教と密接に関係することから、仏教やジャイナ教など、バラモン教を

否定して生まれた宗教は、ヴァルナ制も否定している。

〔四つの【3 】〕・・・これが基盤。『マヌ法典』に記述されている。

(ア)【4 】(祭祀を司る司祭階級、カースト制度の最高位置)

(イ)【5 】(王侯・武士の階級)

(ウ)【6 】(農民・商人・手工業者などの庶民階級)

(エ)【7 】(カースト制度における最下層の奴隷階級)

※上記以外にアヴァルナ(パリア・不可触賤民)がカースト制との枠外に置かれる。

※現在、インド憲法でカーストに基づく差別は廃止され、近代化・都市化による生

活様式の変化により、特定のジャーティと関係しない職業(IT関連など)も増

えているが、結婚の際に考慮されるなど一部では根強く残っている。

c) 自然神崇拝の【8 】

【9 】

→ カースト最上位のバラモンが独占。

→ やがて神々を祀ることより、祭祀そのものが目的となり、祭祀が宇宙の一

切とどのような関係にあるかという関心から哲学的思索に向かった。

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d)聖典『【10 】』

:「知識」の意味。祭祀に関する語句や文章を集録したもの。

『【11 】』(賛歌のヴェーダ・インド最古の文献)

『ヤジュル=ヴェーダ』(祭祀のヴェーダ) 四つの

本集

『サーマ=ヴェーダ』(歌詠のヴェーダ)

『アタルヴァ=ヴェーダ』(呪詞のヴェーダ)

+ 付属書として、

『ブラーフマナ』(祭儀書)

『アーランヤカ』(森林書)

『ウパニシャッド』(奥義書)

→ 「自己の本質(アートマン)とは何か」という本来的な問題意識への

強い関心が中心となっている。

e)【12 】はこれから発展した。

※仏教や六師外道の隆盛から変化を迫られたバラモン教は、民間宗教と同化しな

がらヒンドゥー教となっていった。宇宙の創造を司るブラフマー神、宇宙の維

持を司るヴィシュヌ神、宇宙の破壊と再生を司るシヴァ神に対する信仰を基礎

とする。ヒンドゥー教の神や祭祀は密教などに影響を与え、日本の仏教にもそ

の影響を見ることができる。インドには約9.7億人の信者がいる。

③【13 】〔前6世紀~〕

:秘教を述べた一群の文献の名称。選民思想的な傾向あり。

a)紀元前7世紀頃、政治的・経済的発展を背景に村落共同体から都市国家が誕生。

→ クシャトリヤやヴァイシャ階級が台頭。

→ 一部のバラモン達はヴェーダ聖典の奥義を求め、宇宙の始まりや真実の自己

の探求を行った。

b)ウパニシャッドとは、「奥義書」と訳され、「近くに坐す」という意味。

→ バラモン教聖典『ヴェーダ』文献の最後を形成する哲学部門。

c)【14 】

:全生命が、前世の【15 】(カルマ=行い)により、永遠に苦に

満ちた生死を繰り返すこと。輪廻から抜け出すことを【16 】

(悟り)と呼ぶ。

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※輪廻

:今の人生が終わっても、死後に別の生物としてこの世に生まれ変わるという

こと。生と死とが円環状につながる死生観。

→ 死後に生まれ変わる世界は、現世での行い(業)の善悪により決まる。

つまり現世で為した業が潜在的な力となって死後の世界を決定する。

→ ただし、良いものに生まれ変わったところで、人生の根本的な苦しみ

の解決にはならない。真の心の平安は、輪廻そのものから解き放たれた

(解脱)時に訪れる。

《バラモン教・ジャイナ教・仏教・ヒンドゥー教に共通している!その方法

は異なる。》

d)【17 】

(ア)【18 】(梵、宇宙の魂・根本原理)と【19 】(我、自

己の魂)は、実は一体のものであるということ。【20 】(厳しい禁欲と瞑

想による精神統一による修行)で、梵我一如の境地に達し、解脱が得られる。

(イ)そのための実践として、出家し、断食などの苦行や感覚の制御、精神集中など

がすすめられた。

(2)《確認》ジャイナ教 ※cf.資料集p.54~55

《POINT》

①ジャイナ教が成立した時代背景について理解する。

②ジャイナ教の開祖ヴァルダマーナの思想について、その概要を理解する。

※ジャイナ教と仏教の成立

〔時代背景〕

・紀元前6世紀頃になると、ガンジス川流域に商工業が発達して、都市が成立。

→ クシャトリヤの政治力やヴァイシャの経済力が高まり、農村を基盤とするバラ

モン教の権威が弱まる。

→ 紀元前5世紀頃に、「【21 】」と呼ばれる修行者たちが、『ヴェーダ』か

ら離れて自由な思想を展開した。ジャイナ教の開祖ヴァルダマーナや仏教の開祖

ブッダも沙門の一人。

〈発展事項〉

・紀元前6世紀頃のインドに現れた、バラモン教の伝統に囚われず自由にものを考える

思想家たちを自由思想家と呼ぶ。彼らはバラモン教の祭祀中心主義を批判して、合理

的な思想を説いた。その一人が仏教の開祖ブッダである。

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・自由思想家の中で、仏教側の立場から、仏教以外の有力な6人の思想家を「【22

】(6人の異端の思想家という意)」と呼ばれる。

→ 懐疑論者のサンジャヤ、唯物論者のアジタ、運命論者のゴーサーラ、道徳否定

論者のプーラナ、七要素説のパクダ、ジャイナ教開祖のヴァルダマーナ(ニガン

タ=ナータプッタ、尊称マハーヴィーラ)の6人。

①【23 】(マハーヴィーラ「偉大な勇者」)〔前549頃~前477年頃〕

a)【24 】を通じて真理を体得することと、霊魂の不滅を説くことを特徴。

b)ヴァルナ制を否定し、主に都市の商人に広がる。

c)戒律を徹底的に遵守し、万物に霊魂があると考えるため、特に【25 】(ア

ヒンサー)という戒律を重視している。

(ア)アヒンサーを守る最も良い方法は断食で、最も理想的な死は断食死とされる。

(イ)アヒンサーは「言葉」にも当てはめることができ、人を傷つける言葉はアヒン

サーに反する。

(3)《最重要!!》仏教 ※《重要》cf.資料集p.52~54、56~58、61

《POINT》

①ブッダが悟った真理(縁起の法、四法印)について、その内容を理解する。

②ブッダが説いた四諦、慈悲について理解する。

①【26 】(釈迦、仏陀)〔前463頃~前383年頃〕

a)生涯

0歳 ・釈迦族の王子として生まれる。父シュッドダナ、母マー

ヤー。生後7日目に母を失う。

※4月8日:花祭り。

16歳 ・ヤシューダラと結婚。一子ラーフラをもうける。

・【27 】の体験(老人・病人・死人・出家者との

出会い)。

29歳 ・宮廷での生活に満足せず、求道のため出家し難行・苦行に励むも、悟り

を得られず。

35歳 ・苦行を捨て、菩提樹の下で瞑想し、【28 】(目覚めた者)となる。

・鹿野苑にて、最初の説法【29 】を行う。以後各地で説法、多

くの人々を教化。

80歳 ・クシナガラで病に倒れ、弟子たちに見守られ死去(入滅)。

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《まとめ》「ゴータマ=シッダッタの生涯」

①誕生

:生まれてすぐ7歩歩き、右手で天を、左手で大地を指して

「天上天下唯我独尊」と言ったとされる。4月8日の降誕会てんじょうてんげゆいがどくそん ごうたんえ

(花まつり)は誕生日のお祭り。

②四門出遊

:居城の東門から出る時に老人に会い、南門から出る時に病人に会い、西門を出

る時に死者に会い、生きているからこそ老いも病も死も生じ、苦しみが生まれ

るのだと考えた。北門から出る時に一人の出家者に会い、世俗の苦しみから離

れた清らかな姿を見て、出家の意志を持ったという。

③出家

:29歳で出家し、苦行を続ける。断食をやめた際、最初に食べたのはスジャー

タという女性からもらった乳粥。

④ 成道じょうどう

:ブッダガヤの菩提樹の下で悟りを開く。12月8日の成道会じょうどうえ

は、悟りを開いた日のお祭り。

⑤初転法輪

:サールナートの鹿野苑で初めての説法を行う。ろくやおん

⑥入滅

:クシナガラで激しい腹痛の末、北を

枕にして入滅した。後に遺骨を納め

た仏塔(ストゥーパ)が各地に作ら

れた。

《作業2》資料集p.54の地図上に、仏教の四大聖地である、ルンビニー(誕生の地)、

ブッダガヤ(悟りを開いた(成道)の地)、サールナート(初転法輪の地)、

クシナガラ(永眠(入滅)の地)をそれぞれチェックしよう。

b)ゴータマ=シッダッタの言葉

(ア)「たとえ貨幣の雨を降らすとも、欲望の満足されることはない。『快楽の味は

短くて苦痛である』と知るのが賢者である。」

(イ)「戦場において100万人に勝つよりも、唯一つの自己に克つ者こそ、実に最上

の勝利者である。」

(ウ)「腹を減らして、食物を節し、少欲であって、貪ることなかれ。彼は貪り食う

欲望に厭きて、無欲であり、安らぎに帰している。」

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(エ)「交わりをしたならば愛情が生ずる。愛情に従ってこの苦しみが起こる。愛情

から 禍 の生ずることを観察して、犀の角のようにただ独り歩め。林の中で、縛わざわい さい

られていない鹿が食べ物を求めて欲するところに赴くように、聡明な人は独立自

由をめざして、犀の角のようにただ独り歩め。」

・・・苦の原因となる煩悩を去り、真理を目指して精進することを説いている。

(オ)ゴータマ=シッダッタのカースト批判

「生まれによって卑しい人となるのではない。生まれによってバラモンとなるの

ではない。行為によって卑しい人ともなり、行為によってバラモンともなる。」

c)【30 】(ダルマ)

:仏教において真理・法則・教えなどを意味する言葉。仏陀の悟った絶対・普遍の

真理であり、これに従って正しく生きるとき、誰もが煩悩から解放され解脱でき

るとされる。

d)【31 】

:仏教が説く存在の法則。縁起とは「縁りて起こる」という意味。万物は相互依

存しており、永遠不変的なものではないという真理。(=諸行無常+諸法無我)

e)【32 】

:仏陀の悟った普遍的真理をあらわす4つの命題。

(ア)【33 】

:人生の一切は苦しみであるという真理。

〔Ⅰ〕四苦:生・老・病・死

〔Ⅱ〕八苦:四苦+ 【34 】(愛する者と離別する苦しみ)

【35 】(憎い者と出会う苦しみ)

【36 】(求めるものが得られない苦しみ)

【37 】(五蘊から構成される心身の苦しみ)ご う ん

※五蘊とは心身を構成する五つの要素。色(肉体:色・形を持つすべての物質的存在)例①)リンゴ

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受(感覚:認識対象に触れて感受すること、心の働き)例②)「何かあるな」

想(想像:感受したものをイメージすること、心の働き)例③)「リンゴだ」

行(意志:イメージで心が動機づけられること、心の働き)例④)「美味しそう、食べたい」

識(判断・認識:色・受・想・行の四つを統一して事物を識別すること、心の働き)

例⑤)美味しそうなリンゴなので食べたいと思った

解脱すればこうした心身の働きを離れられ、執着は発生せず、苦しみも生まれなくなる。

※ブッダによれば、「私」という存在は、こうした絶えず変化する要素が集まって生み出されたかりそめの存在にすぎないと考えた。

(イ)【38 】

:万物は絶えず変化消滅し常ではないという真理。しかも万物は独立した存

在ではなくすべて依存し合い相互に因となり果となり存在する(縁起説)。

(ウ)【39 】

:すべてのものは移り変わるから、万物に永遠不変の実体はないという真理。

→ 実体としての不滅の自己はない!

※「諸行無常」+「諸法無我」=「縁起の法」

(エ)【40 】

:悟りの境地。無知を離れ、苦を滅した(煩悩が吹き消された)自由で安ら

かな精神状態。仏陀の求めた解脱に生死は関係ない!

※涅槃:ニルヴァーナ(炎の消滅)という語の音訳。

f)【41 】

:仏陀の最初の説法である初転法輪で説かれた教え。具体的な実践過程。

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(ア)【42 】(現実)

:人生は苦しみである。しかし、仏陀は、苦しい人生をただ嘆き悲しんだり、

一時の気晴らしで紛らわすのではなく、苦を克服する方法を追求した。

(イ)【43 】(原因)

:苦の原因は煩悩による。つまり無明(無知)が我執を生み、我執が煩悩(真

理をわきまえず物事に執着する心)を生み、煩悩が苦を生む。

※無明:この世を貫く真理を知らないこと。

※煩悩の三毒 ⇒ 『西遊記』に登場する妖怪に置き換えると、貪は猪八戒、瞋は孫悟空、癡は沙悟浄のこと。

①貪とん

:欲してはならないものを欲する、貪りのこと。

②瞋じん

:自分の心に違うものを恨み怒ること。

③癡ち

:心が真理を見ることができず、愚か、無知であること。

(ウ)【44 】(目的)

:煩悩を滅ぼせば涅槃が得られる。つまり無明を滅ぼせば我執が滅び、我執が

滅ぼせば煩悩が滅び、煩悩が滅びれば苦が滅びて、涅槃が得られる。

(エ)【45 】(方法)

:苦を克服するための修行法は【46 】である。

〔Ⅰ〕八正道

正 見(正しい見解:現実の実相を正しく認識すること。)しょうけん

正思(正しい思惟:正しい思考を働かせること。)しょうし

正語(正しい言葉:正しい言葉を用い嘘や悪口を言わないこと。)しょうご

正 業(正しい行為:道徳的に正しい行動を行うこと。)しょうごう

正 命(正しい生活:実生活の上に正見を正しく表すこと。)しょうみょう

正 精 進(正しい努力:勇気を持って正しく努力すること。)しょうしょうじん

正 念(正しい想念:正見を常に心に留め自覚を失わないこと。)しょうねん

正 定(正しい瞑想:瞑想で心を正しく集中・統一すること。)しょうじょう

≒ 六波羅蜜「禅定」

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〔Ⅱ〕【47 】

:享楽と禁欲のいずれにも片寄らぬこと。八正道の「正しい」とは、中道

の意味。

→ 中道とは、苦行という真理にそわない人為的なやり方、快楽に溺

れるという真理から目をそらす生き方を否定し、人生の真理を正し

く認識するための正しい道のこと。

〔Ⅲ〕【48 】:涅槃に達するために在家信者が守るべき5つの戒律。

不殺生─生き物を殺してはならないという戒め。ふせっしょう

不偸盗─他人の財産を盗んではならないという戒め。ふちゅうとう

不邪淫─淫らなことをしてはならないという戒め。ふじゃいん

不妄語─嘘をついてはならないという戒め。ふ も う ご

不飲酒─酒を飲んではならないという戒め。ふおんじゅ

※当然、出家修行者にも適用。またこの他にも出家修行者は男性は250、女性はその倍近くの戒律を守らなければならない。

g)【49 】

:仏教における普遍的愛。

→ 生きとし生けるもの(一切衆生)への、いつくしみ(慈)とあわれみ(悲)。

(ア)慈(マイトリー)

:慈しみであり、他者に楽しみを与えること。

(イ)悲(カルナー)

:憐れみであり、他者の苦しみを取り除くこと。

※無常・無我の法を知り、我執を断ち煩悩を解脱するとき、利己心を超えた利他行

としての慈悲の実践が現れる。

《まとめ「ゴータマ=シッダッタの思想」》①四法印とは何だろうか?

→ この世は苦しみに満ち、永遠不変なものなどないことを理解し、執着を捨てれば、解脱できるということ。

②縁起説と四諦とは、どのような考え方だろうか?→ この世は因果・相互依存の関係で成り立っており、煩悩という原因を絶つ八正道の実践によって苦という結果が消滅する。

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③苦しみから救われる方法とはどのようなものだろうか?→ 極端な方法を捨て、八正道を実践して欲望や執着から離れ、真理を獲得する。

(4)仏教の発展 ※《重要》cf.資料集p.59~61

《POINT》

①上座部仏教と大乗仏教の特徴について理解する。

①《確認》仏教の発展

《作業3》教科書p.55、資料集p.59を読んで下の文章を完成せよ。

a)バラモン教の影響↓

b)( )仏教 紀元前6世紀頃・ブッダの教え〔中道・四諦・八正道・縁起の法〕

c)( )仏教 紀元前3世紀頃・20ほどの部派に分裂。・出家者中心。・個人の悟り( )を目標。

(ア)( ):戒律を柔軟に捉える進歩派。

批 分裂判

(イ)( ):戒律を厳格に守ろうとする保守派。→ 東南アジアへ

d)( )仏教(ア)紀元前後 大乗仏教

・出家信者 ・在家信者 ・他人をも救い、ともに悟りを目指す・( )の修行

(イ)2~3世紀 ナーガールジュナ(竜樹)・( ) ・空即是色 ・無自性

(ウ)4世紀頃 ヴァスバンドゥ(世親)・( )〔すべて心の動きがつくったもの〕

→ 中国・朝鮮・日本へ

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《まとめ》「上座部仏教と大乗仏教」

ブッダの入滅

第一結集

原始仏教 ・・・ブッダの教えを統一

第二結集

戒律をめぐり対立・・・根本分裂

上座部(保守派) 大衆部(改革派)

厳格な長老グループで、 さらに20部派に分裂 時代に応じて変化すべ戒律を遵守。 きと主張、実践を重視。

上座部仏教(小乗仏教) 大乗仏教

①タイ、ラオス、ミャンマー、カンボ ①中国、朝鮮、日本で発展。ジア、スリランカなどで発展。

②経典は共通。 ②宗派によって経典が異なる。③修行は出家がメイン。 ③修行は出家、在家ともに可。

②《重要!》【50 】(小乗仏教)〔前3世紀頃成立〕

※上座は「長老」の意味。小乗仏教という表現は、後に大乗仏教側から呼ばれた蔑称。

a)【51 】を重視

(ア)個人的悟りの完成を目的とし、激しい戒律や僧院での修行を重視。

(イ)他の衆生のことを省みず、自分の利益だけを求めること。

b)【52 】

:修行を完成した出家者。修行者の目指す理想像。

c)【53 】

:スリランカから東南アジア方面に伝播したのでこう呼ばれる。

③《重要!》【54 】〔紀元前後頃成立〕a)成立の経緯

:仏陀はあくまでも自力を主張し、教えは説くが最後は自分自身の努力次第であるという立場をとった。しかし、大乗仏教では、どんなに努力しても悟ることのできない、貪欲で見栄っ張りな弱い人間を助けてくれる存在が求められるようになり、阿弥陀仏などの人間を助けてくれる仏が登場した。

3年倫理学習プリント(6) 仏教

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b)慈悲の重視

:一切衆生の救済を目指す。

→ 【55 】(他の人々の救済に努めること)を重視。

c)【56 】

:慈悲深く一切衆生の救済を目指す求道者。修行者の目指す理想像。

(ア)大乗仏教では、出家・在家の別なく、仏陀になろうと誓い、自分の悟り(自利)

を求めるだけでなく、他者の救済(利他)に努める者は、誰でも菩薩となる。

(イ)菩薩は、解脱(悟りを開くこと)を急がず、あえてこの世に留まり、慈悲の精

神により、苦しむ人々を助ける。

(ウ)【57 】

:一切の衆生はことごとく仏性を有すること。すなわち、生きとし生けるもの

はすべて仏性をもっているので成仏できる。

※仏性

:仏(仏陀)となる可能性のこと。

(エ)【58 】

:大乗仏教の求道者である菩薩の実践すべき徳目。「完成」の意味。

→ 菩薩の修行内容のこと。

〔Ⅰ〕布施(慈悲心を持って他人に財物を与えること)

〔Ⅱ〕持戒(戒律を守ること)

〔Ⅲ〕忍辱(堪え忍び、怒りを捨て慈悲心を持つこと、苦難に耐える)にんにく

〔Ⅳ〕精進(絶えず努力を続け、修行に専念すること)

〔Ⅴ〕禅定(散乱する心を集中させ、安定させること)≒ 八正道「正定」

〔Ⅵ〕智慧(真理を知ること、般若ともいう)ちえ はんにゃ

d)【59 】

:法を知るに至る知。分析的知を超えた知。

※大乗仏教が広まるにつれ、その新しい思想をあらわす、文学的な情緒溢れる多く

の経典(大乗経典)が作られた。その最初期の経典、『【60 】』は、大乗

仏教の根本思想である「空」について説いている。

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e)【61 】の思想

※抽象的な内容なので、以下の文章をよく読んで理解しよう!

竜樹(【62 】)〔150頃~250年頃〕が確立。

:大乗仏教の基礎的理論を固めた。

※空

:すべてのものは固定的な実体を持たず、相互に依存しているとした諸法無我、

縁起の法を徹底。竜樹は言語に注目し、私たちが普段誤った形で、つまり「あ

る」と思って見ているのは、言語の働きによるものとした。

例)上下・前後・男女というように、私たちが使う言葉は対になっている。

(「上」は「下」なくしては、それ自体として存在してはいない。)

→ その本来の状態を「空」と呼んだ。

(ア)「【63 】」

〔Ⅰ〕縁起の法が哲学的に追求されたもの。無や虚無とは全く異なる。人空法空

がその根本といえる。

〔Ⅱ〕 人空とは、アートマンの存在を空とすること。

・・・自己の魂は、絶対的な存在ではない!!

法空とは、諸法が縁起においてのみ認められ、自性はありえないこと。

・・・万物すべてのものは互いに依存し合いながら存在する!!

竜樹は「縁起 → 【64 】 → 空」という理論をもって空を語る。

※色即是空、空即是色

:『般若経』の要点を示す『般若心経』は、「色即是空、空即是色」という

言葉で知られる。この世界に存在する全てのものは、縁起の法によって

生成し消滅するものだから、固定した不変の実体を持たない(無自性)、

「空」なるものである。すなわち、この世界の事物である「色」は、「空」

というあり方で存在しており(色即是空)、「空」の法が事物(「色」)と

してあらわれている(空即是色)。

※無自性

:ナーガールジュナが縁起論をさらに深めて展開した理論。すべての存在

が固定的、実体的な本性(自性)を持たず、他のものに条件付けられて

成立しているということ。この理論によって、煩悩も苦も存在の基盤を

失い、世俗の大衆も仏になる可能性が開かれた。

(イ)竜樹の後で空の思想を継承した学派が【65 】。

→ 中道の立場を重んじ、有と無の両端を排した。

3年倫理学習プリント(6) 仏教

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※中 観派(インド大乗仏教の二大学派の一つ)ちゅうがん

・紀元前100年頃以降 『般若経』

↓影響

・2~3世紀 ナーガールジュナ(竜樹)『中 論』ちゅうろん

提婆〔170年頃~270年頃〕(竜樹の弟子)『百 論』だ い ば ひゃくろん

↓理論化

・6世紀 中観派の形成

↓伝播

・7世紀 三論宗(中国・東アジアの大乗仏教宗派の一つ、日本ではさんろん

奈良時代の南都六宗の一つ)

f)【66 】

:兄の【67 】(アサンガ)〔310年頃~390年頃〕と

弟の【68 】(ヴァスバンドゥ)〔320年頃~400年

頃〕が確立。

〔無着〕 〔世親〕

(ア)ヨガの精神統一(ヨーガ、瑜伽行)を通して根源的な実在である心を観想。ゆがぎょう

(イ)世界のすべての事物は唯一の実在である心の現れに他ならないとする。

:私たちが「ある」ように見える世界は、心(意識)が作り出したと論じた。

→ すべてのものは、心が生み出した幻想・表象にすぎない。

※唯識学派(瑜伽行派、瑜伽行唯識学派)

(インド大乗仏教の二大学派の一つ)

・5世紀 無著・世親『唯識三十頌』などむじゃく せ し ん ゆいしきさんじゅうじゅ

↓漢訳

・7世紀 玄 奘〔602~664年〕『成唯識論』げんしょう じょうゆいしきろん

・7世紀 法相宗(中国・東アジアの大乗仏教宗派の一つ、日本では奈良ほっそう

時代の南都六宗の一つ)

g)大乗仏教の経典(大乗経典)の一例

(ア)『般若経』・・・密教系に影響

:最も早く成立した最初の大乗仏教経典群の一つ。

「空」の思想が説かれている経典。

(イ)『法華経』・・・天台宗・日蓮宗に影響

:久遠実成の仏が説かれる経典。くおんじつじょう

(ウ)『涅槃経』

:ブッダの入滅とその意味が説かれた経典。永遠の真理である法身仏が説か

れる。

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(エ)『華厳経』・・・華厳宗に影響け ご ん き ょ う

:宇宙のあらゆる存在が相互に関係し合うこと(一即一切)を解き明かした。

(オ)『無量寿経』・・・浄土教系に影響む り ょ う じ ゅ き ょ う

:阿弥陀仏とその極楽浄土を描いた。

h)【69 】

:中央アジアを経て中国・朝鮮・日本に伝播したのでこう呼ばれる。

《作業4》教科書p.57の地図上で、「上座部仏教」と「大乗仏教」の伝播経路をそれぞれ

チェックしよう。

《まとめ》「インド思想の比較」

バラモン教・ヒンドゥー教 ジャイナ教 仏教

共 通 点 この世は苦に満ちており、輪廻からの解脱が究極の救いであると考える

アートマン 認める 認める 認めない

存在の根拠 存在の根拠、霊魂 諸行無常・諸法無我

苦行を行う 厳格な戒律の下で苦行を 苦行は行わない、中道

解脱の方法 梵我一如 行う。特にアヒンサー(不 八正道により真理に至る

殺生)を重視

肯定 否定 否定

ヴァルナ制 特にヴァイシャ層に広ま 特にクシャトリヤ層に広

る まる

●3年倫理学習プリント(6)解答

【1 古代アーリア人】 【2 カースト制度】 【3 ヴァルナ】 【4 バラモン】

【5 クシャトリヤ】 【6 ヴァイシャ】 【7 シュードラ】 【8 多神教】

【9 祭祀主義】 【10 ヴェーダ】 【11 リグ=ヴェーダ】 【12 ヒンドゥー教】

【13 ウパニシャッド哲学】 【14 輪廻転生】 【15 業】 【16 解脱】

【17 梵我一如】 【18 ブラフマン】 【19 アートマン】 【20 苦行】

【21 沙門】 【22 六師外道】 【23 ヴァルダマーナ】 【24 苦行】ろ く し げ ど う

【25 不殺生】 【26 ゴータマ=シッダッタ(ガウタマ=シッダールタ)】

【27 四門出遊】 【28 仏陀】 【29 初転法輪】 【30 法】 【31 縁起の法】しもんしゅつゆう

【32 四法印】 【33 一切皆苦】 【34 愛別離苦】 【35 怨憎会苦】

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【36 求不得苦】 【37 五蘊盛苦】 【38 諸行無常】 【39 諸法無我】ぐ ふ と く く ごうんじょうく

【40 涅槃寂静】 【41 四諦】 【42 苦諦】 【43 集諦】 【44 滅諦】

【45 道諦】 【46 八正道】 【47 中道】 【48 五戒】 【49 慈悲】

【50 上座部仏教】 【51 自利行】 【52 阿羅漢】 【53 南伝仏教】

【54 大乗仏教】 【55 利他行】 【56 菩薩】 【57 一切衆生悉有仏性】いっさいしゅじょうしつうぶっしょう

【58 六波羅蜜】 【59 般若】 【60 般若経】 【61 空】ろくはらみつ

【62 ナーガールジュナ】 【63 色即是空】 【64 無自性】 【65 中 観派】むじしょう ちゅうがん

【66 唯識思想】 【67 無著(無着)】 【68 世親】 【69 北伝仏教】むじゃく せ し ん

●【センター演習】

(1)「古代インドの思想」 17本試験問.古代インドで展開された思想についての記述として最も適当なものを、次の①~④のうちから一つ選べ。① ウパニシャッド哲学は、真の自己とされるアートマンは観念的なものにすぎないため、アートマンを完全に捨てて、絶対的なブラフマンと一体化するべきであると説いた。

② バラモン教は、聖典ヴェーダを絶対的なものとして重視していたため、ヴェーダの権威を否定して自由な思考を展開する立場を六師外道と呼んで批判した。

③ ウパニシャッド哲学では、人間を含むあらゆる生きものが行った行為、すなわち業(カルマ)の善悪に応じて、死後、種々の境遇に生まれ変わると考えられた。

④ バラモン教では、唯一なる神の祀り方が人々の幸福を左右するという考えに基づいまつ

て、祭祀を司るバラモンが政治的指導者として社会階層の最上位に位置づけられた。

(2)「ウパニシャッド哲学」 06本試験問.古代インドのウパニシャッドで追求された、輪廻を脱した境地の説明として最も適当なものを、次の①~④のうちから一つ選べ。① アートマンの中に変化しない要素はないことを認識し、執着を捨てて永遠性を獲得した境地。

② アートマンと宇宙的原理が同一であることを直感し、それによって永遠性を獲得した境地。

③ アートマンが存在の拠り所としている身体を不滅にすることによって、永遠性を獲得した境地。

④ アートマンを創造した神の行為を認識し、神の慈愛による救済を通して、永遠性を獲得した境地。

(3)「ジャイナ教」 06本試験問.ゴータマ・ブッダとほぼ同時代に生きたジャイナ教の開祖ヴァルダマーナ(マハーヴィーラ)の教説として最も適当なものを、次の①~④のうちから一つ選べ。① 人間の思惟の形成は、世界の一部しか理解できない限定的なものであり、真理に到達するためには人間の思惟を否定しなければならない、と説いた。

② 運命によって人間の幸不幸は決まっており、人智の及ぶところではないので、いかに努力しても幸福になれるとは限らない、と説いた。

③ 人間の行為の善悪の究極的な基準は存在せず、悪行を行う人を非難する根拠もなく、善行も賞賛の対象にはならない、と説いた。

④ 解脱を目指して徹底した苦行主義に立つとともに、生き物に対する慈悲の行為として不殺生を実践しなければならない、と説いた。

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(4)「ブッダの説いた教え①」 13本試験問.ブッダの教えの説明として最も適当なものを、次の①~④のうちから一つ選べ。① 煩悩に苦しむ他者を救済することができて、はじめて自らが煩悩から解放されることになる。そのため、他者への慈悲心に基づいて、布施、持戒、忍辱、精進、利他、智慧の六波羅蜜を実践すべきである。

② 煩悩に苦しむ衆生の有り様は、大河に流され必死に漂流物にしがみついている姿に譬えられる。この漂流物とは、絶えず変転する物質世界のなかで永続する自己を意味たと

しており、その理解によって人は煩悩から解放される。③ 道諦は苦の滅却に至る筋道についての真理であり、具体的には八正道として示されている。この解脱に至る修行過程は、出家した修行者でさえ耐え難いほどの苦行であるので、煩悩から解放される者は極めて少数である。

④ もろもろの煩悩は苦しみや悲しみを引き起こすが、その根本原因は、無常や無我に関する無知にある。それゆえ、この世を貫く理法を正しく悟ることによって、煩悩から解放されることになる。

(5)「ブッダの説いた教え②」 01本試験問.釈尊(ゴータマ・ブッダ)の説いた教えに関する記述として最も適当なものを、次の①~④のうちから一つ選べ。① 自己の存在は、他の存在に紛れこんで見失われがちなものであるから、自己が唯一無二で代替不可能なものであることに目覚めよと説いた。

② 自己の存在は、他の存在と競合し合っているものであるから、最終的にはその競合に打ち勝つこと以外に安定は得られないと説いた。

③ 自己の存在は、他の存在とともに、ある根源者によって司られているものであるから、その根源者と一体化するところに安楽があると説いた。

④ 自己の存在は、他の存在同様、それ自体として独立に存在するものではないから、自己への執着を捨て去るところに苦からの解放があると説いた。

(6)「仏陀の解脱観」 07本試験問.ゴーダマ=シッダールタの解脱観の記述として最も適当なものを、次の①~④のうちから一つ選べ。① 人は、苦の原因を認識し執着から離れることによって解脱できる。② 人は、自分の中に永遠的要素を見出すことによって解脱できる。③ 人は、身体的な苦行を積み重ねることによって解脱できる。④ 人は、不可知なるものの存在を認めることによって解脱できる。

(7)「苦の原因」 12本試験問.苦についてのブッダの思想の説明として最も適当なものを、次の①~④のうちから一つ選べ。① 苦の原因は、自分が何であるかを知らないという点にある。だから、苦をなくすためには、世界の事物を存在させる原因や条件を超越したものが自分の本質であると正しく認識しなければならない。

② 苦の原因は、自分でないものを誤って自分と思い込むところにある。だから、苦をなくすためには、存在するともしないとも言えない不可知なものこそが真の自分であると正しく認識しなければならない。

③ 苦の原因は、自分でないものを誤って自分と思い込むところにある。だから、苦をなくすためには、他の事物の存在を可能にする根源的な精神こそが真の自分であると正しく認識しなければならない。

④ 苦の原因は、自分が何であるかを知らないという点にある。だから、苦をなくすためには、自分と呼ばれるものは恒常不変の実体ではなく、変化してやまないものであると正しく認識しなければならない。

3年倫理学習プリント(6) 仏教

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(8)「四諦(四聖諦)①」 15本試験問.ブッダが初めて教えを説いた際に語ったとされている四諦についての説明として最も適当なものを、次の①~④のうちから一つ選べ。① 苦諦とは、人間は誰しも、苦しみを嫌い楽を求める心をもっているという真理を指す。また、集諦とは、そうした思いが積み重なって煩悩が増大するという真理を指す。

② 苦諦とは、人間の生の有り様は苦しみであるという真理を指す。また、集諦とは、そうした現実のゆえに、心の集中が妨げられ悟りが得られないという真理を指す。

③ 滅諦とは、煩悩の滅した安らぎの境地があるという真理を指す。また、道諦とは、そうした境地に至るための、極端に陥ることのない正しい修行法があるという真理を指す。

④ 滅諦とは、あらゆる存在はいつか必ず滅ぶという真理を指す。また、道諦とは、そうした道理を心に留めて、禁欲的な苦行を実践すべきであるという真理を指す。

(9)「四諦(四聖諦)②」 03本試験問.ゴーダマ=シッダールタが説いた四諦のそれぞれについての説明として最も適当なものを、次の①~④のうちから一つ選べ。① 「苦諦」とは、苦を引き起こす原因として、無知、欲望、執着といったもろもろの心の煩悩があるという真理である。

② 「集諦」とは、理想の境地に至るためには、八正道の正しい修行法に集中すべきであるという真理である。

③ 「滅諦」とは、煩悩を完全に滅することで、もはや苦が起きることのない平安の境地に達するという真理である。

④ 「道諦」とは、あらゆる事物が存在し変化していくには、必ず依拠すべき道理があるという真理である。

(10)「仏陀の思想」 08本試験問.ゴーダマ=シッダールタが説いたとされる次の文章では、現世での境遇と業の関係についても述べられている。その趣旨に合致する記述として最も適当なものを、下の①~④のうちから一つ選べ。

ヴェーダ読誦者の家に生まれ、ヴェーダの文句に親しむバラモンたちも、しばしばどくじゅしゃ

悪い行為を行っているのが見られる。そうすれば、現世においては非難せられ、来世においては悪いところに生まれまた非難されるのを防ぐことはできない。生まれによって賎しい人となるのではない。生まれによってバラモンとなるのでもない。行為によって賎しい人ともなり、行為によってバラモンともなる。 (『スッタニパータ』)

① 現世での境遇は現世での生まれのみによって決定され、現世での行為は来世での境遇に影響を与える。

② 現世での境遇は現世での行為により影響を受けるが、現世での行為は来世での境遇に影響を与えない。

③ 現世での境遇は現世での生まれによって決定されることはなく、現世での行為により影響されることもない。

④ 現世での境遇は現世での生まれのみによっては決定されず、現世での行為は現世と来世での境遇に影響する。

※『スッタニパータ』:ブッダの言葉を収録した最古の仏教聖典。弟子たちがブッダの言葉を簡潔にまとめたもので、ブッダの没後の間もない時期に成立したと推定される。単純明快な形で、人の歩むべき正しい道が説かれている。

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(11)「八正道」 14本試験問.ブッダが示した修行方法である八正道についての説明として最も適当なものを、次の①~④のうちから一つ選べ。① 「正語」とは、ブッダの語った言葉を正しく記憶することである。② 「正見」とは、清らかで正しい生活を送ることである。③ 「正精進」とは、肉食を避け正しく食事を取ることである。④ 「正定」とは、正しい瞑想を行い精神を統一することである。

(12)「仏教の発展」 02本試験問.インドの仏教教団は上座部と大衆部に分裂した。その中で、上座部仏教に関する記述として最も適当なものを、次の①~④のうちから一つ選べ。① ブッダを理想化した大乗経典を用いて俗人への布教を重視し、中央アジアを経て、中国、朝鮮、さらに日本に伝播した。

② ブッダが制定したとされる戒律を忠実に守り、スリランカでは国家の保護を受け、さらに東南アジアに伝わった。

③ アーリア人上層階層出身者の部派であったため、保守的で、外国人への布教を好まず、インド国内にのみ伝播した。

④ 中観や唯識の大乗仏教教理を完成し、チベットに伝播して国家の保護を受け、さらにモンゴルに伝わった。

(13)「大乗仏教の思想」 15追試験問.次のア~ウは、大乗仏教において説かれた様々な思想についての説明である。その正誤の組合せとして正しいものを、下の①~⑧のうちから一つ選べ。ア ヴァルダマーナによって唱えられた空の思想では、縁起の教義が徹底され、あらゆる事物は、固定的な不変の実体をもたないと説かれた。

イ アサンガやヴァスバンドゥによって確立された唯識思想では、すべての事物は、心によって生み出された表象にほかならないと説かれた。

ウ 『涅槃経』などにおいて強調された仏性思想では、六波羅蜜の修行を実践して功徳を積むことで、自らが仏となる可能性を獲得すべきと説かれた。

① ア 正 イ 正 ウ 正 ② ア 正 イ 正 ウ 誤③ ア 正 イ 誤 ウ 正 ④ ア 正 イ 誤 ウ 誤⑤ ア 誤 イ 正 ウ 正 ⑥ ア 誤 イ 正 ウ 誤⑦ ア 誤 イ 誤 ウ 正 ⑧ ア 誤 イ 誤 ウ 誤

(14)「慈悲」 04本試験問.「慈悲」に関する次の文章中の a ~ c に入る語句の組合せとして最も適当なものを、以下の①~④のうちから一つ選べ。

「慈悲」とは、衆生に a を与える「慈」、衆生の b を取り除く「悲」から成る、生けるものすべてに向かった普遍的な心の在り方を表している。 c を目的とすると言われる上座部仏教に対して、大乗仏教では利他の心としてこの慈悲が強調される。そして、菩薩はこの慈悲の姿の理想であり、衆生の救済に努めるとされる。

① a 楽 b 苦 c 自他の解脱 ② a 楽 b 苦 c 自己の悟り③ a 福 b 厄 c 自他の解脱 ④ a 福 b 厄 c 自己の悟り

3年倫理学習プリント(6) 仏教

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●【センター演習】解答

(1)③ ウパニシャッド哲学で説かれている輪廻転生の内容。①について、「アートマンを完全に捨てて、絶対的なブラフマンと一体化するべ

き」が誤り。梵(ブラフマン)と我(アートマン)の一体化である梵我一如が説かれている。②について、六師外道とは、バラモン教を批判した仏教以外の自由思想家のこと

である。④について、バラモン教は、「唯一なる神」ではなく、多神教の立場である。

(2)② 宇宙的原理ブラフマンとこの本質であるアートマンが同一であると直観した境地を梵我一如という。①について、アートマンに変化しない要素はないとか執着を捨てるというのは、

仏教の考え方である。③について、アートマンは身体を存在の拠り所とはしていない。むしろ精神を不

滅なものとすることをめざす。④について、神の慈悲による救済というのは、キリスト教的な考え方である。

(3)④ ヴァルダマーナは、苦行と不殺生によって解脱することができるとした。①②③について、ヴァルダマーナはこのようなことを説いてはいない。

(4)④ 煩悩の原因は、無常や無我に関する無知(無明)である。それゆえ、この世の理法を知ることで、煩悩から解放されると説いた。①について、六波羅蜜の実践を説いたのは、ブッダではなく、大乗仏教である。

また、六波羅蜜の内容としても間違っている。「利他」を「禅定」にすれば正しい記述となる。②について、「大河に流され必死に漂流物にしがみついている」ことを永続する

自己と捉えるという考えはブッダの教えではない。ブッダは「諸法無我」として、自我を含めた実体を否定している。③について、前半の説明は正しいが、八正道を苦行と捉えているのが誤り。

(5)④ ブッダは、自己の存在は、それ自体として独立に存在しないとする縁起の法や諸法無我の考えに立っている。①について、自己の存在は「唯一無二」ではないので誤り。②について、自己の存在は、競争関係にあるのではなく、依存的関係(縁起)に

あるので誤り。③について、自己の存在は、「ある根源者によって司られているもの」ではない

ので誤り。

(6)① 苦の原因は煩悩にあることを認識し、この煩悩への執着から離れることによって解脱できると仏陀は考えた。②について、ウパニシャッド哲学における梵我一如の思想について述べたものと

考えられる。③について、仏陀の説く中道は、苦行にも快楽にも、とらわれない修行法であり、

八正道で示される。④について、仏陀は不可知なものに救いを求めるのではなく、この世の実相をあ

りのままに見つめようとする。

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(7)④ 苦の原因は煩悩であり、実体のない自分への執着である。「恒常不変の実体はない」とは諸法無我のことであり、「変化してやまない」とは諸行無常のことである。①について、前半は正しいが、後半の「世界の事物を存在させる原因や条件を超

越したものが自分の本質である」としている点が誤り。②について、後半の「存在するともしないとも言えない不可知なものこそが真の

自分である」としている点が誤り。③について、後半の「他の事物の存在を可能にする根源的な精神こそが真の自分

である」としている点が誤り。

(8)③ 滅諦と道諦の説明として正しい。①について、苦諦の説明「人間は誰しも、苦しみを嫌い楽を求める心をもってい

る」が誤り。苦諦とは人生は苦しみであるという真理のことである。②について、集諦の説明「そうした現実のゆえに、心の集中が妨げられ悟りが得

られない」が誤り。集諦とは苦の原因は煩悩であるという真理のことである。④について、滅諦と道諦の説明が誤り。「あらゆる存在はいつか必ず滅ぶ」とい

うのは四法印の中の諸行無常の考え。「禁欲的な苦行を実践する」のはジャイナ教の教えである。

(9)③ 滅諦とは煩悩を滅ぼした涅槃が理想的境地であるという真理。①について、苦諦とは人生の真相が苦であるという真理。②について、集諦とはあらゆる苦の原因は煩悩であるという真理。④について、道諦とは苦を滅するための修行法が八正道であるという真理。

(10)④ 『スッタニパータ』は仏陀の言葉を集めたと考えられる最古のパーリ語仏教経典の一つである。仏陀の死後まもなく編纂されたと思われる。後に見られる難解な教義はなく、人間として正しく生きる道が、対話を通じて具体的に語られている。①について、現世の境遇が現世の生まれのみによって決定されることはない。②について、現世での行為が来世での境遇に影響を与える。③について、現世での境遇は現世での行為によって影響される。

(11)④ 正定とは正しい瞑想のことであり、六波羅蜜の「禅定」とほぼ同じ意味。①について、正語は、正しい言葉を用いて、嘘や悪口を言わないことをいい、正

しく記憶することではない。②について、正見は、正しい見解なので、「清らかで正しい生活」ではない。③について、正精進は、正しい努力なので、「正しく食事を取る」ことではない。

(12)② 上座部仏教はアショーカ王時代にスリランカに伝わり、正統上座部として現在にいたり東南アジアに伝わった(南伝仏教)。①について、大乗仏教は経典を新たにつくり(大乗経典)、中国を通じて日本に

伝来した(北伝仏教)。③について、上座部というのは、上層階層出身者という意味ではない。④は、チベット仏教(ラマ教)の説明である。

(13)⑥ アは誤り。「空」の思想を説いたのは、ヴァルダマーナではなく、ナーガールジュナ(竜樹)である。ヴァルダマーナは、ジャイナ教の開祖。イは正しい。唯識思想を説いたのは、アサンガ(無着)やヴァスバンドゥ(世親)

である。ウは誤り。『涅槃経』は、宇宙にあまねく存在している絶対的で永遠の真理であ

る法身仏を説いた経典である。六波羅蜜以下の説明文は正しい。なお、六波羅蜜は菩薩の実践すべき徳目のことである。

3年倫理学習プリント(6) 仏教

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(14)② 「慈」とは、慈しみやよろこびのことであり、人々に楽しみを与えることである。「悲」とは悲しみのことであり、苦を取り除くことである。上座部仏教の特徴は、自己の悟りにある。

●【論述問題】

(1)バラモン教と仏教の教えについて100字以内で簡潔に比較せよ。

(2)ブッダの根本思想について90字以内で説明せよ。

(3)仏教の説く「慈悲」と、キリスト教の説く「アガペー」の意味を130字以内で説明し比較せよ。

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(4)大乗仏教と南伝(小乗)仏教の特色について200字以内で比較せよ。

●【論述問題】解答例

(1)バラモン教が、バラモンを最高位とするカースト制度によって身分階級明確化しているのに対して、仏教では、慈悲行と八正道の実践によって一切の衆生は救われると説き、カースト制度を否定して平等主義を強調した。 (99字)

(2)人生は苦であり、すべては無常・無我であるという真理を認識するところに苦しみから解放される悟りがある。そのためには快楽と苦行の中道である八正道を実践しなければならない。 (83字)

(3)「慈」とは楽しみを与えること。「悲」とは苦しみを取り除くことを意味する。「アガペー」は、恵まれていないものへの愛、敵をも愛する博愛を意味するのに対し、「慈悲」は、それをさらに広げ「生きとし生けるものすべてを愛する」という徹底的な愛を意味する。 (121字)

(4)大乗仏教ではあらゆる人間の救済をめざし、空の思想を根本とし、慈悲の心、利他行を中心として説かれているが、南伝仏教では個人主義、戒律主義、出家主義を基本としている点に大きな相違がある。また、大乗仏教では万人の救済を願い慈悲を実践する菩薩を理想として、他者を救うことが自己への悟りにつながるとするが、南伝仏教では、世俗を離れてひたすら修行と研究にいそしむことにより自己の悟りを得ようとする。

(193字)

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