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当院における大腸ESDの現状
新潟労災病院 消化器内科
前川 智、野村 亮介、村瀬 貴之、安 泰善、麻植ホルム 正之
悪性新生物の死亡率が1位!
日本人における死亡原因の推移
部位別がん年齢調整死亡率の推移女性(1958〜2005年)
国立がんセンターホームページより
部位別がん年齢調整死亡率の推移男性(1958〜2005年)
大腸がんは男で4位、女性では1位です!
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1974-77 1978-81 1982-85 1986-89 1990-93 1994-97
stageⅣ
stageⅢ
stageⅡ
stageⅠ
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年代別TNM病期分類別の症例分布
大腸疾患NOW 2004より抜粋
結腸 直腸
T0 or T1(SM≦1000μm)に対する治療
・Polypectomy・EMR
外科的アプローチ
・開腹腸管切除・腹腔鏡下腸管切除・経肛門的腫瘍切除術・TEM・MITAS
ESD
内視鏡的アプローチ
侵襲度
低い 高い
なぜ胃ESDが行われるようになったのか?
腫瘍の組織多様性(分化度、脈管侵襲etc・・・)
胃・・・低分化腺癌の混在深達度診断の重要性病変範囲が不明瞭
胃癌の再発は根治性が低い場合も!
分割切除後のリンパ節再発
分割切除後のリンパ節再発
2.5年後
理想とされる早期大腸癌に対するアルゴリズム
大腸癌治療ガイドライン 2005年度版
スネアEMRの技術的限界
内視鏡診断の精度
SM浸潤距離測定法
LST-UNI
(n=1) sm
sm sm
sm sm
LST-MIX
(n=27)
LST-NG
(n=30)
sm
結節内 結節外 結節内外
多中心性厚み・陥凹
85.2% 7.4% 7.4%
80.0% 20.0%
SM浸潤例58例におけるSM浸潤形式
T Uraoka . et al. Gut, Nov 2006, 55: 1592-1597 一部改変
* LST-NG(特にPD type)では多中心性にSMに
* LST-MIXの14.8%に結節外SM浸潤を認め、いずれも内視鏡所見から浸潤部を予測することは困難!
→このような病変は特に一括切除が必要!
大腸腫瘍の大半は腺腫であり、その病理学的特性を考慮すると内視鏡的粘膜切除術(EMR)による分割切除
で対応が可能であるが、しばしば遺残再発が問題となる。一方、大腸腫瘍に対する内視鏡的粘膜下層剥離術
(ESD)の進歩は著しく、病変の局在、腫瘍径によらず高い一括切除率が得られ、詳細な病理学的検索が行える点で非常に有益な治療と思われる。当科では、静岡県立静岡がんセンターなどの有名病
院で研修し、保険適応になった2012年4月より本格的に大腸ESDを開始した。
緒言
大腸ESDの適応
1)内視鏡的切除の適応であるが、スネアによる一括切除が困難な病変
・LST-NG,特にpseudodepressed type(PD type)
・広範囲にⅤi型pit patternを呈する病変、SM浸潤癌
・癌が疑われる隆起性病変(Ⅰs、Ⅰsp)
腫瘍特性からみた適応
2)粘膜下層に線維化を伴う粘膜内病変
→生検や病変の蠕動によるprolapsに起因
3)慢性炎症(潰瘍性大腸炎など)を背景とした局在腫瘍
4)内視鏡的切除後の潰瘍瘢痕を伴う局所遺残再発早期癌
技術的要因からみた適応
田中信治ら胃と腸42;1049-52、2007
使用内視鏡および高周波
内視鏡 :S状結腸までの病変→GIF-Q260J
(Olympus Medical Systems社製)
下行結腸以深の病変→ PCF-Q260AZI(Olympus Medical Systems社
製)
高周波 :ICC200 (ERBE社製)※次年度VAIO300D購入予定
使用デバイス
dualナイフ(1.5mm)
ITナイフ nano
SBナイフJr
大腸ESD症例(静止画)
<病変を十分に観察> <粘膜切開> <粘膜下層剥離(前半)>
<粘膜下層剥離(後半)> <病変を一括切除> <切除標本>
dualナイフを用いた大腸ESD(動画)
ITナイフ-nanoを用いた大腸ESD(動画)
SBナイフJrを用いた大腸ESD(動画)
SBナイフJrを用いた大腸EMR(動画)
教訓的症例(1)
教訓的症例(2)
大腸ESD結果①(2012年4月~2013年2月)
・症例数 例
・病変形態
例LST-G
例
・病変部位(C/A/T/D/S/R)
2/3/7/2/17/10
LST-NG
隆起型
陥凹型
例
例
41
26
9
3
1
SMT様隆起 例2
・平均切除径 33.0±12.4mm
・平均術時間 83.9±56.8分
・一括切除率 90.2% (37/41)
・微小穿孔 7.3% (3/41)
大腸ESD結果②
・平均病変径 23.7±13.0mm
・側方断端陰性率 82.9% (34/41)
・後出血 0% (0/41)
大腸ESD結果③(病理組織結果)
・adenocarcinoma
・carcinoid tumor
・adenoma
(M癌 10例、SM浅層癌 2例、SM深層癌 2 例)
14例
25例
2例
地域への大腸ESDのアピール
・開業医の先生対象の講演会、市民公開講座
・紹介患者さんに関しては、丁寧な返事
・病院ホームページの充実
・地元テレビ・新聞などを利用したアピール
第37回合同研修会(2012.3.8)
市民公開講座(2012.3.17)
地元新聞社で大腸ESD掲載(2012.6.6)
静岡がんセンター山口裕一郎先生をお招きしての大腸ESDライブ
(2012.11.9)
静岡がんセンター山口裕一郎先生による院内講演会(2012.11.9)
当科のCFについて
70歳以上の高齢者を中心に、希望に応じ、2泊3日の入院CFを行っています。また、前処置不良の患者には欠食2日コースという3泊4日の入院CFも行っています。
→該当患者がいれば、是非当科にご紹介ください。
開業医の先生方へのお願い
・大腸ESDの適応となる病変があるときは、生検を
行わずに是非当科にご紹介ください。・EMRでの一括切除が難しい病変、SM浸潤が疑われる病変に関しては、とりあえず当科にご紹介ください。
まとめ
当院における大腸ESDの取り組みについて報告した。今後も上越地域における大腸ESDの啓
蒙活動を行うことで症例を集積し、安全で有益性の高い大腸ESDを施行していきたいと思う。
ご清聴ありがとうございました。