平成 21 年度長寿命化第 0030-1-203 号合併 水俣港港湾長寿命化計画策定(岸壁-10m)地質調査委託他合併 | 11

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3.地形・地質概要

3.1.地形概要

右図に示すとおり、本調査地である水俣市は、熊本県

の最南端で、熊本市から約 70km の距離に位置する。北～

北東にかけて葦北郡津奈木町、芦北町、球磨郡球磨村、

南～南東にかけては鹿児島県出水市、大口市と接し、西

は八代海（不知火海）に面している。面積は 162.87km2で、

東西に約 22km、南北に約 14km である。水俣市の主要交通

機関は、国道 3 号・肥薩オレンジ鉄道と、近年開通した

九州新幹線で、市北部に新水俣駅が開業している。また、

南九州自動車道が葦北郡芦北町まで開通しており、熊本

市内からの交通アクセスも良くなっている。 以下の図 3.1-2 に水俣市中心部の俯瞰図を示す。

図 3.1-2 水俣市の俯瞰図

市街地北部を流れる水俣川は、源流から河口までが水俣市内にあるという珍しい川である。市

役所の直上流で、湯出川と合流し、八代海へと注いでいる。市街地中心部は、標高 5m 未満の沖

積低地にあり、低地内には基盤によって構成される小丘陵が点在する。 今回ボーリング調査を実施した水俣港は、県の最南端に位置する港湾である。昭和 51 年から、

水俣湾の水銀汚泥の処理を目的とした公害防止事業が着手され、平成 2 年に埋立てが完了してい

る。平成 12 年 5 月には、「特定地域振興重要港湾」に選定された。熊本県では、水俣病の教訓を

活かしながら、この水俣湾埋立地を地球環境問題の提唱地として、「環境」と「健康」をテーマに、

多くの人が集い憩える緑豊かな公園「エコパーク水俣」として整備が進められている。

図 3.1-1 熊本県市町村別地図

不知火海

(八代海)

緑鼻地区

明神地区

恋路島

国道 3 号

水俣川

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以下は、公園内に設置されている水俣湾埋立地に関する標示板である。

写真 3.1-1 水俣湾埋立地に関する標示板

写真 3.1-2 公害防止事業で処理された面積及び汚泥量

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3.2. 地質概要

図-3.2.1 に調査地域の地質図を示す。水俣市一帯の基盤は、新生代新第三紀中新世の安山岩類

によって覆われており、これらが山地や丘陵地を形成している。沖積低地は、水俣川沿い形成さ

れた低平な谷底平野と、河口部に形成された扇状平野のみである。また、水俣川の上流の谷沿い

には、新生代古第三紀～中生代白亜紀にかけての四万十層群の分布がみられる。

地質層準的には、四万十帯を比較的新しい時代の安山岩類が覆い、河川の下刻作用によって削

られたものが、低い所に堆積し平地を形成している状況である。

本調査地一帯に分布する火山岩類は、霧島火山の北西側(背弧側)に、東西 120km、南北 50km

のやや北に膨らんだ肥薩火山区に分類される。肥薩火山区の地形的特徴は、山体上部を構成する

安山岩溶岩の平坦面であり、円錐形の島弧火山とは異なる様相である。肥薩火山岩類は、熊本県

では宮崎、鹿児島県境の人吉市南部から、球磨川南側の球磨村、芦北町、津奈木町及び水俣市の

山地を構成している。岩質は、玄武岩・輝石安山岩・角閃石安山岩・デイサイト及び流紋岩から

なり、このうち輝石安山岩の体積が最も多い。

今回の調査ボーリングで確認された基盤岩は、新第三紀中新世の肥薩洪水安山岩と判定した。

肥薩洪水安山岩は、肥薩火山区の西北西-東南東に連なる広大な平坦面を形作って分布する。肥薩

洪水安山岩の分布する主な山体は、水俣市の中尾山、矢城山、石飛、大関山、芦北町の尾奈古、

大野鏡山、球磨村の国見山、一里山、宮尾山および人吉市南部で、宮崎県との県境山地である。

溶岩の基底部は、黒色ガラス質で斜長石斑晶が目立ち、柱状節理や自破砕溶岩を形成する場合が

あるが、全体的に灰色の斑状岩で斜長石と輝石の斑晶が目立ち、柱状節理が発達している。横瀬

ほか(1998)は、水俣市長崎の本溶岩から 2.15Ma の K-Ar 年代を、また永尾ほか(1999)は薄原に分

布する本溶岩の K-Ar 年代 2.18Ma を報告している。また、宮地(1996)は、鹿目滝西方 1km の本

溶岩から 1.16Ma のフィッション・トラック年代を得ている。

調査地目前に浮かぶ恋路島は、この肥薩洪水安山岩によって形作られている。以下に親水護岸

部から撮影した恋路島の露頭写真を示す。

写真 3.2-1 恋路島 写真 3.2-2 岩盤露頭写真

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図 3.2-1 調査地の地質図

調査地

恋路島

水俣市街地