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― 140 ―
【背景】 当院では肝動脈化学塞栓療法 trancecatheter arterial chemoembolization;TACE後に血管造影装置に搭載されている、Low Contrast Imaging;LCIを用いて治療効果判定を行っている。LCI撮影において被写体が中心から体軸方向に離れるとコーン角の影響が大きくなるという報告1)があるが、肝辺縁部にある腫瘍を中心にして撮影した場合、FOV内に肺や体外の空気領域が多く含まれてしまい画質劣化をきたす症例を多く経験した。本研究では、FOVと被写体の位置及びAuto Exporsure Control;AEC等の関係について検討を行った。【実験方法】1. CT値約60に調整した自作ファントムを、FOV内に空気を全く含まない位置に配置し、LCIでAECを用いて撮影を行いこれを基準画像とした。次に透視下でファントムを移動させ、FOV内に含まれる空気の領域を頭尾、左右方向に6 ㎝間隔に増加させていき、計8通りの配置位置(Fig.1)で LCI 撮影を行った。2. 1と同様にファントムを配置し、FOV内に空気を含まない位置でAECを用い撮影を行い、その際用いた条件を固定し撮影を行った。
【評価方法】1. 画像解析 実験1.2. で得られたボリュームデータからAxial とCoronal のMPR画像を作成し、Image J を用いて同一点のSDの測定を行った。次に得られた画像を5枚ずつ複製し、それぞれ基準の画像と並べパワーポイント上に貼り付け、合計45枚の画像をシャッフルしランダムに並べなおし、経験年数4年~38年の技師12人により5段階で視覚的評価を行った。2. 統計解析 Axial と Coronal のそれぞれのMPR画像より得られたSDの平均値を算出し、グラフ化し評価した。次に、5段階に視覚的評価されたスコアを t-検定法により統計解析を行った。(統計ソフトは statcel 3を使用した)
【結果】1. SD値の変化はAxial, Coronal 画像ともに、頭尾方向と比較し左右方向に移動させた時に影響が大き
く、Axial 画像のバラツキが大きい傾向が認められた(Fig.1)。視覚評価は、Axial, Coronal 画像ともに基準画像1に対してファントム配置位置2、4、6以外では有意に粒状性が低下した(Fig.2)。
2. 実験1と比較してSD値は良好となったが、空気とファントムの境界面でのデータの欠損を認めた(グラフ不掲載)。
【考察】1. ファントム辺縁に設定したROIを FOV中心方向にずらした場合、左右方向の移動はSD・粒状性に大きな影響を及ぼした。これは左右方向にずらした場合、管球の回転中に被写体の厚みが大きく変化することが画質に影響を及ぼしたと考える。一方頭尾方向のずれは被写体の厚みを変化させないことから、画質の変化を少なく抑えられたと考える。
2. 線量を固定して撮影した場合、SD値はAEC使用時より良好となったが、被写体の辺縁部のデータの欠損を認めた。これは、空気と被写体の境界に高線量のX線が照射されたことによるハレーションが影響したためと考える。
【まとめ】 ファントム辺縁に設定したROIを FOV中心にずらした場合、粒状性は大きく低下した。本知見を臨床に用いる場合、関心領域が肝臓辺縁にある場合においても、可能な限りFOV内に空気を入れない、とくに左右方向に空気領域が含まれないように設定することが望ましいと考える。
【参考文献】 Tsutomu Gomi. Development of a Cone Angle Weighted Three- dimensional Image Reconstruction Algorithm to Reduce Cone Beam Artifacts. Dentmaxillofacial Radiology, 35, 398-406, 2006.
○竹本 理人、藤井 政明、古牧 伸介、田淵 昭彦川崎医科大学附属川崎病院
FPD搭載血管造影装置コーンビームCTにおける被写体位置が画像に与える影響
23-100
― 141 ―
【目的】 CT透視条件・被写体径による画質への影響、術者被ばく低減システムHandCAREを用いることによるSDへの影響、各CT透視条件における線量率(mGy/sec)について比較・検討した。【使用機器】 CT装置は、SIEMENS SOMATOM Sen-sation Open ICT、ファントムは京都科学社のMHT型ファントム(低コントラスト分解能評価用)と東芝社製Water Calibration用水ファントムSS(19 ㎝φ)、S(25 ㎝φ)、M(33 ㎝φ)、L(40 ㎝φ)の4種類の径を用いた。【方法】 各 CT透視条件における線量率(装置表示)を比較した。低コントラスト分解能用ファントムをCT透視して得られた画像からCNRを算出した。SS・S・M・Lの水ファントムをCT透視して得られた画像のSDを比較した。術者被曝低減システムの有無によるSDと線量率を比較した。また、いずれも連続する10枚の画像の平均値を使用した。CT透視条件は以下の通り。[CT透視条件] 100・120・140kV、12~40mAs(2mAs間隔) 回転速度:0.5rot/sec、スライス厚:4.8 ㎜【結果】 線量率の結果を Fig.1に示した。線量・管電圧の上昇にともない線量率は増加を示した。
CNRの算出結果を Fig.2に示した。線量率が同程度のとき低管電圧ほどCNRが高くなった。
ファントム径 SSとLでの SDの結果を Fig.3、4に示した。径の増加にともないSDは大きくなり、同等の線量率でも高管電圧によるSD低減効果が大きかった。
術者被曝低減システムの有無による線量とSDの関係を Fig.5に、線量率を Fig.6に示した。本システムを使用することで、SDへの影響はなく約27%線量率を低減できた。
【考察】 同程度の線量率でも、高管電圧を使用するとSDを効率よく低減可能で、被写体径が大きいケースでは大きな効果を期待でき、結果的に大きな被写体のCT透視では有用である。小さい被写体でも、線量率が同等になるようなmAs値の利用で低管電圧を使用できるメリットがある。CT透視はハーフ再構成であり、術者被曝低減システムはSDに影響を与えず、更には低線量率化を可能とする。しかし、CT透視レート低下のデメリットが発生するが、CT透視は間欠的に行うことが多いため、その影響は小さいと推測する。【結語】 CT透視条件および被写体径の違いによる画質への影響を確認できた。術者被曝低減システムを使用してもSDに影響はなく線量率も低減可能であった。線量率や被写体を観察して、適宜条件を調整することが重要であることが検証できた。
○北 昌宜、大原 一志、氏平 武樹、山本 泰司島根大学医学部附属病院
CT透視の画質と最適条件についての検討23-101
0
5
10
15
20
12 14 16 18 20 22 24 26 28 30 32 34 36 38 40
mG
y/se
c
mAs
100kV
120kV
140kV
0
5
10
15
20
25
12 22 32
SD
mAs
0
10
20
30
40
12 22 32
SD
mAs
onoff
050
100150200250300350
12 22 32 42 52 62
SD
mAs
100kV120kV140kV
02468
101214
12 16 20 24 28 32 36 40
mG
y/se
c
mAs
onoff
0
0.4
0.8
1.2
1.6
12 16 20 24 28 32 36 40
CNR
mAs
100kV
120kV
140kV
Fig.1 CT透視条件と線量率
Fig.3 径 SSの SD
Fig.5 SD比較
Fig.4 径 Lの SD
Fig.6 線量率比較
Fig.2 CT透視条件とCNR
― 142 ―
【背景】 脳動脈瘤の治療において血管カテーテルによ
るコイリングをする際に、補助的にステントを留置す
ることがある。しかし、留置ステントは透視画像で確
認が困難である。そこで、当院で導入された装置にお
いて、造影コーンビームスキャンを撮影することでス
テントと血管との関係を確認可能となった。但し、造
影剤の濃度によりステントの描出が変化してしまうた
め、造影剤の適切な濃度を決定する必要性がある。
【目的】 本研究では、留置ステントと血管内腔を最適
に描出できる造影剤濃度決定のための検討・考察を
行った。
【使用機器】 透視装置は SEIMENS 社製Artis zee
BA Twin を、ステントは日本ストライカー社製の
ニューロフォームステントを使用した。ファントムは
自作し造影剤はイオパミロン300を使用した。
【方法】 頭部を想定し直径17 ㎝、CT値30前後にし
た円柱型自作ファントムの中心に空洞を作成し模擬血
管とした。その空洞内にステントを留置して、造影剤
を5%~30%まで5%毎に希釈した液体を満たしコー
ンビームスキャンモードで撮影した。撮影した画像を
MIP表示し、脳血管外科医師1名、臨床放射線技師7
名で5段階評価の視覚評価を行なった。評価項目はス
テントの描出、模擬血管とファントムとのコントラス
ト、総合評価の3項目であり、各項目において5%有
意水準におけるKruskal-wallis 検定を行なった。
【結果】 ステントの描出では造影剤濃度が低いほど良
好な傾向となった。Kruskal-wallis 検定の結果、5%
及び10%群が25及び30%群と、また15%が30%と
比較し有意差有りとなった。
模擬血管とファントムとのコントラストでは、造影剤
濃度が高いほど良好な結果となった。Kruskal-wallis
検定の結果20%及び25%及び30%群が5%及び10%
群と、15%が5%群と比較し有意差有りとなった。
総合評価では、15%が25%及び30%群と比較して
有意差があり良好であった(図1)。
【考察】 ステント描出では、5%及び10%群では
25%及び30%群と比較し、有意差が生じ良好であっ
たことより、20%以下の造影剤濃度で行うことが望
ましい。
また、コントラストの評価では、5%及び10%群が
他群と比較して不良であったことから、15%以上の
濃度で造影することが望ましいと考える。
視覚評価における総合評価の結果において、15%
が25%及び30%群と比較して有意差が生じ良好で
あった。また、ステントの描出の結果、模擬血管とファ
ントムとのコントラストの結果を考慮すると15%、
20%が良好であると考える。以上のことより15%が
最適であると考える。
【問題点】 臨床の場においては、血液の流れもあるた
め造影剤が血液と混ざり希釈される可能性がある。こ
の点においても今後追加検討をしていく必要性がある。
【結語】 留置ステントと血管内腔を最適に描出するに
は造影剤濃度15%が良好であった。
ただし、臨床においては観察する目的に応じて適切
な造影剤使用方法も考慮すべきである。
○市川 大樹1)、西田 直樹1)、山口 卓也1)、山内 崇嗣1)、平松 匡文2)、大西 治彦1)、 新井田 紀光3)、徳永 浩司2)、杉生 憲志2)、田原 誠司1)
1)岡山大学病院医療技術部放射線部門2)岡山大学病院脳神経外科3)SIEMENS株式会社
ステント描出目的としたコーンビームスキャン造影剤濃度の検討23-102
図1 視覚評価における総合評価