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1/59 DOC2615725 Rev.1 発行:20218磁気共鳴断層撮影装置 テキストブック - Imaging Option - この資料は、製造元から提供される取扱説明書の操作方法・注意事項等を簡潔に記載したものであるた め、装置の操作にあたっては、製造元から提供される取扱説明書を参照してください。 安全使用に関しての注意等は省略されている場合があります。安全使用のための注意、患者さんの安全 確保のために、守っていただきたい事項などにつきましては、取扱説明書、添付文書に従ってください。 MR29.1以降のMRシステム SIGNA Premier 3.0T SIGNA Architect 3.0T Discovery MR750 / MR750w 3.0T SIGNA Pioneer 3.0T SIGNA Artist 1.5T Optima MR450w 1.5T SIGNA Voyager 1.5T SIGNA Explorer 1.5T SIGNA Creator 1.5T 一部オプション機能が含まれます。オプションは機種によって異なります。

磁気共鳴断層撮影装置テキストブック - Imaging Option

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発行:2021年8月

磁気共鳴断層撮影装置 テキストブック

- Imaging Option 編 -

この資料は、製造元から提供される取扱説明書の操作方法・注意事項等を簡潔に記載したものであるため、装置の操作にあたっては、製造元から提供される取扱説明書を参照してください。安全使用に関しての注意等は省略されている場合があります。安全使用のための注意、患者さんの安全確保のために、守っていただきたい事項などにつきましては、取扱説明書、添付文書に従ってください。

MR29.1以降のMRシステムSIGNA Premier 3.0T

SIGNA Architect 3.0T

Discovery MR750 / MR750w 3.0T

SIGNA Pioneer 3.0T

SIGNA Artist 1.5T

Optima MR450w 1.5T

SIGNA Voyager 1.5T

SIGNA Explorer 1.5T

SIGNA Creator 1.5T

* 一部オプション機能が含まれます。オプションは機種によって異なります。

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Chapter1 アーチファクトの抑制

Chapter2 空間分解能の向上

Imaging Optionとは?

磁気共鳴断層撮影装置 テキストブック

- Imaging Option 編 -

1. Cardiac Compensation(CCOMP) CC

2. Electric Cardiac Gating(ECG) EG

3. Flow Compensation FC

4. Navigator NAV

5. Peripheral Gating 脈波同期 PG

6. Respiratory Compensation 呼吸補正 RC

7. Respiratory Triggering 呼吸同期 RTr

8. Motion Compensation 心筋動き補正 MoCo

1. Square Pixel SqP

2. Zero Filling Interpolation (ZIP) Z512

Z1024

(アノテーション上の略称)

(アノテーション上の略称)

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1. Blood Suppression BSP

2. Classic CL

3. Extended Dynamic Range ED

4. Inversion Recovery Preparation(IR Prep) IR

5. Magnetization Transfer MT

6. Spectral Spatial RF(SSRF) SSRF

7. Tailored RF TRF

8. T2 Preparation (T2 Prep)* T2P

Chapter3 コントラストの強化や変化

磁気共鳴断層撮影装置 テキストブック

- Imaging Option 編 -

* オプション機能です。

(アノテーション上の略称)

Chapter4 パルスシーケンスの拡張機能

1. ASSET ACC

2. ARC ACC

3. Acoustic Reduction (ART) ART

4. Flex* Flx

5. Fluoro Trigger FTr

6. Full Echo Train FT

7. IDEAL* IDL

8. i/Drive (Real Time) RT

9. Multi Phase MP

10. Multi Station MS

11. Sequential SQ

12. Smart Prep SP

(アノテーション上の略称)

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Imaging Optionとは?

イメージングオプション Imaging Option は、使用目的に応じて画像を改善するために使用します。

MRは、Pulse sequence の選択、Pulse sequence の設定条件、およびイメージングオプションの組み合わせによっていろいろな画像を撮像できます。

本マニュアルでは、用途に応じたイメージングオプションの特徴や使い方と、併用することにより取得できる画像について説明します。(一部、イメージングオプション以外のパラメータも含まれます。)

【Imaging Option Window】

下図は、Imaging Option を設定する “イメージングオプション画面” です。シーケンス毎に選択できるオプションのみが表示されます。(他のオプションとの組み合わせにより、選択できないイメージングオプションもあります。)

設定画面の “イメージングオプション Imaging Option” をクリックすると、使用しているシーケンスに対応したイメージングオプションが表示されます。

図)イメージングオプション画面

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Chapter1. アーチファクトの抑制- 1. Cardiac Compensation(CCOMP)-

使用できるシーケンス・ 2DGRE、SPGR、FGRE、FSPGR

【目的 】

Cardiac Compensation(以下CCOMP)は、心電図波形を使って位相エンコーディングデータを並べ替えて(Sorting)、心臓の拍動によるアーチファクトを抑制します。

腹部の息止め撮像時に使用します。

CCOMP使用時には、心電図かPGを装着します。

【メリット】 ・心拍によるアーチファクトの補正

【デメリット】 ・血管信号が高くなる・ 1aqあたりの最大撮像可能枚数が少なくなる・ NEXは1or2のみ

アノテーションには“CC” と表示されます。

【特徴 】

原理はRCと同じで、波形のタイミングによってkスペース内のデータを並び替えます

図) CCOMPのON, OFF

図)電極貼り付け方法

白(RA)

黒(LA)

緑(RL)

赤(LL)

ケーブルは下から出したほうが体動の影響を受けにくい。

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【目的 】

Electric Cardiac Gating(以下ECG)はパルスシーケンスを繰り返すたびに、心周期の同一ポイントでデータの収集ができます。

ECGを用いることにより、心臓の拍動によるモーションアーチファクト、血流由来のアーチファクトを低減することができます。

図)電極貼り付け方法

白(RA)

黒(LA)

緑(RL)

赤(LL)

ケーブルは下から出したほうが体動の影響を受けにくい。

【電極の貼り方】

ECGの波形は、Cardiac Gatingにのみ使用するものです。患者さんのモニタリングには絶対に使用しないでください。患者さんの状態が反映されない場合があるため、緊急治療に誤りが生じることがあります。

*電極を貼る前には必ず、酒精綿で、拭いてください。

*電極の貼り方は、図を参照し、骨の上に小さくまとめて貼り、テープで固定します。

*古い電極は、ジェルが乾いて波形が取れない場合がありますので新しい電極をお使いください。

*やけど防止のため電極と皮膚の間にタオル等を挟んでください。

* 場合によっては剃毛を必要とします。

Chapter1. アーチファクトの抑制- 2. Electric Cardiac Gating (ECG)-

【メリット】 ・心臓の動きによるアーチファクトの軽減(T1w、T2w、Cine、Gated2DTOF、Black Blood、fGRE、CinePC、Delayed、

Enhancementなど)

【デメリット】 ・ Scan Timeが延長する場合があります。・ 同期がかからない場合は撮像がStopする場合があります。

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【 “カーディアック”タブの設定 】

コンソール画面下にある“Gating Control” ボタンを押します。

① カーディアックゲーティングの選択標準ゲーティング(ECG):従来からの心電図

② トリガーリードの選択VCG Ⅰ+Ⅱ:ベクトル心電図の場合はこちらを選択します。心電図でRが反転している場合は反転を選択。

PG:脈波センサー使用時に選択します。

自動:標準ゲーティングが選択されているときに、VCGの電位が一番高いものを自動的に選択します。

③トリガタイプゲーティング画面②で選択したGateが反映されます。

⑥ 心拍数

5秒おきにアップデートされます。

“心拍数を指定” を選択した場合、心拍数を手入力できます。不整脈の場合は手入力をした方がいい場合があります。

④ RR間隔数T1強調画像を撮像する場合 RRは”1”

T2強調画像を撮像する場合 RRは”4”以上

⑤トリガーウィンドR-R間隔数に対するデータを取らない割合をパーセンテージで表します。大きい値の方がアーチファクトに強くなります。

VCG Ⅰ+Ⅱ

VCGⅠ+Ⅱ

VCGⅠ

VCGⅡ

① ②

③④⑤

図)ゲーティング画面の設定

図)“カーディアック”タブの設定

Chapter1. アーチファクトの抑制- 2. Electric Cardiac Gating (ECG)-

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1R-R TR1000

4R-R TR4000

・ RRを増やすとEff. TRが長くなるのでT2強調のコントラストが強くなります。

・T2強調では、心拍数が多いときに枚数を増やすためRRを増やします。

図)心拍の違い

図) RR間隔数の違い

BPM60

BPM90

8Slice

15Slice

呼吸間隔数 RR について

【 “カーディアック”タブの設定② 】

Chapter1. アーチファクトの抑制- 2. Electric Cardiac Gating (ECG)-

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⑦ トリガ遅延

データを取り始める時間 (msec)

⑧ シーケンス間遅延

データ収集の時間間隔

SAT

SAT

Min

Recommend

図) SAT使用時のトリガ遅延の原理

図)シーケンス間遅延の原理

Min

Even Space

不整脈の患者さんに有効

クロストークの影響が少なくなります

データ収集直前にSATをかけるためSATの効果が高くなります

トリガー遅延をできるだけ短く設定したい時に(2D

TOFを使用した下肢非造影検査など)有効

トリガー遅延

シーケンス間遅延

【 “カーディアック”タブの設定③ 】

Chapter1. アーチファクトの抑制- 2. Electric Cardiac Gating (ECG)-

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⑨ セグメントあたりのView数Fast GRE, Fast SPGR, Fiestaの場合に使用できます。

FSEでいうところのEcho Train Length(ETL)に相当し、1心拍毎のk-spaceの充填数を決めます。値を増やすと撮像時間が短縮しますが、ボケやブレが大きくなります。

⑩ 再構成するフェーズ数

RR間で、ここに入力した値の心位相の異なる画像が再構成されます。基準値では“20”が設定されています。“Auto”を選択すると、システムが自動的にAvailable Imaging Time内で設定可能な最大数で分割します。

図)“カーディアック”タブの設定

【 “カーディアック”タブの設定④】

R R R

心電波形

MR信号

k-Space

【 View per segment 解説】

時相1 時相2

(例) 左の図の場合

・セグメントあたりのView数(View per segment) =4

・再構成するフェーズ数(時相数)=2

Chapter1. アーチファクトの抑制- 2. Electric Cardiac Gating (ECG)-

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【目的 】

血流やCSF、腸管など撮像中に動くものは 静止部位と異なった位相情報を持ちます。異なった位相情報が動きのアーチファクトとして画像に表れます。FCは、動く部位の位相を静止部位と同じようにそろえて、フローアーチファクトを補正するImaging Optionです。

【使用できるシーケンスは?】FSE, Fast IR, SE :ただしT1wには使用しないことをお勧めします。造影後は使用可能です。SPGR, GRE :TE= In フェーズ, Out of フェーズとは併用不可です。

【適用部位の例】脊髄領域、関節領域、体幹部、MRA等

傾斜磁場に沿って「移動しているプロトン」は「静止しているプロトン」とは異なった速度で歳差運動をします。「移動しているプロトン」は「静止しているプロトン」に比べて位相のズレが生じ、アーチファクトが出現します。

血液の流れ

傾斜磁場

低い 高い

遅い歳差運動 速い歳差運動

図) Flow Compensationの原理①

【メリット】 ・血流、CSF、腸管などのアーチファクトを軽減します。・ スライス方向または周波数方向のフロー抑制にもっとも効果があります。

【デメリット】 ・ FCのグラディエントはエコー信号を得る前に印加されるため、TEが延長します。・MinTEが長くなることによって、T1w のコントラストが変化することがあります。・ TEの延長により、設定可能なスライス枚数が減少することがあります。・造影後のT1強調画像に使用した場合、微小血管が増強されて見えます。

Chapter1. アーチファクトの抑制- 3. Flow Compensation -

アノテーションには “FC” と表示されます。“FCf” は周波数方向に、

“FCs”はスライス方向に補正しています。

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FC:On FC:Off

図) Flow CompensationのON, OFF

1

-2

1

移動

移動

移動

傾きθの傾斜磁場

傾き2θの傾斜磁場

移動しているプロトン

は、移動している間に1:-2:1の傾斜磁場を受けます。ずれた位相を面積で考えると、

A

B

C

A

B

C

が1個分

が6個分

が5個分

FCは、1、-2、1

で強さと極性の異なった傾斜磁場をかけます。

図) Flow Compensationの原理②

1 × +(-6 × )+5 × =0(位相ずれなし)

Chapter1. アーチファクトの抑制- 3. Flow Compensation -

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【目的 】

ペンシルビーム型のトラッカーを使って横隔膜の動きをモニターしながら、特定の範囲を満たすタイ

ミングでデータを収集します。心電図同期と呼吸ゲートを併用して3D Coronary MRA および

Delayed Enhancementの画像をスキャンする時に有効です。ナビゲータトラッカーを右側横隔膜

に配置し、呼吸の終末呼気時に収集を同期させ、呼吸によるゴーストアーチファクトを低減します。

図)Navigator の設定例

【特徴 】

Navigatorのモードは、『 Navigator Gating 』と『 Navigator Triggering 』 の2種類あります。

モード 特徴 対応シーケンス

Navigator Gating アクセプタンスウィンドウにトリガーが入っているときにのみデータを収集する。(左下図)

3D Fast SPGR, 3D Fast GRE, 3D

LAVA, 3D LAVA-Flex, 3D Fiesta

Navigator Triggering アクセプタンスウィンドウにトリガーが入った時点からデータを収集する。(右下図)

2D DWI EPI, 2D FRFSE-XL, FSE-

XL, FSE-IR, SSFSE, SSFSE-IR, 3D

FRFSE/3D MRCP, 3D CUBE, 3D

Inhance Inflow IR

図)Navigatorのタイミング(左:Gating / 右:Triggering)

Chapter1. アーチファクトの抑制- 4. Navigator -

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【設定方法】

① Navigatorのトラッカー設定用の画像をFIESTA(あるいはi/Drive)で取得します。

Go

Coronal像から横隔膜の位置のSagittal像を設定をします。

横隔膜の画像をSaveImageして、トラッカー用の画像を取得します。

図)Navigator設定スライスの描出例

*トラッカーの大きさは、基本的にデフォルト値のまま使用します。

*トラッカーの中心位置は、呼気の場合、肝臓の上縁から10mm程度下に設定します。吸気の場合、肝臓の上縁から10mm程度上に設定します。

② GRxのトラッカーボタンをクリックし、選択した画像上で左クリックしてトラッカーの十字

カーソルを表示します。その後、撮像断面の設定を行います。

図)息を吐いて止めた画像でのトラッカー設定例

Go Go

* FIESTAに使用する場合はオプションとなります。

Chapter1. アーチファクトの抑制- 4. Navigator -

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図)“ナビゲーター”タブの設定②(Triggeringモード)

Gating モード

Triggering モード

⑦呼吸間隔 #Resp intervals:実行TRを呼吸間隔の整数倍で設定

⑧自動トリガ時間 Auto Trigger Time:トリガーがかからなくなった時に、強制的に撮像を続行するまでの時間

⑨RRの測定を実行 Run RR Measurement

:Navigatorを使ってRR数を測定

⑩RRの最大測定時間 Max RR

Measurement Time:Run RR Measurementで測定する時間

①承認ウィンドウ acceptance window:データ収集を行う範囲

②プリスキャン時間 Navigator Prescan Time:呼気の肝臓上端の位置を測定し、表示する波形の大きさを調整する時間

③ナビゲーターの最大間隔 Max Navigator

Interval:Navigatorパルスの間隔(LAVAのみ)短くすると動きの検出能は向上。撮影時間が延長

④スラブトラッキング Slab Tracking:スラブ間の動きを追従。冠動脈は必須。横隔膜の移動距離から心臓の動きを推測してトラッキング

⑤ナビゲータープリスキャン後のポーズPause After Navigator Prescan:プレスキャン後に一旦停止

⑥ナビゲーターの信号強化Navigator Signal Enhancement:Navigatorの信号を安定させる

図)“ナビゲーター”タブの設定①(Gating モード)

【 “ナビゲーター”タブの設定④ 】

Chapter1. アーチファクトの抑制- 4. Navigator -

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スキャン中は、ナビゲーターウィンドウが表示されます。

横隔膜の高さを示しているため、ベローズから得られる波形と異なり上側が呼気、下側が吸気になります。

撮像中にNavigator windowを変更したい場合は、閾値を変更すると中心線(赤)の高さが変わります。許容範囲を変更すると中心からの幅(黄色)が変わります。

図)スキャン中のナビゲーターウィンドウの表示

【 ナビゲーターウィンドウ 】

Prep Scan

Auto Prescan

Manual Prescan

Navigator

図)スキャン中のナビゲーターウィンドウ再出力方法

スキャン中にナビゲータウィンドウを閉じても、再度表示することができます。

Scanボタンの右にある下向きの矢頭を押すと出てくるNavigatorをクリックします。

Chapter1. アーチファクトの抑制- 4. Navigator -

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【目的 】

Peripheral Gating(以下PG)は励起を繰り返すたびに、血流脈動の同一ポイントで同じデータが収集できます。PGを用いることにより、CSFの拍動によるモーションアーチファクト、血流由来によるアーチファクトを低減することができます。

図) PG取り付け方法

【PGのつけ方】

【メリット】 ・心臓の動きによるアーチファクトの軽減(T1w、T2w、Cine、Gated2DTOF、Black Blood、fgret、CinePC、

Delayed、Enhancementなど)・ ECGよりも簡便に利用できます。

【デメリット】 ・撮像時間が延長します。・同期がかからない場合は撮像がStopする場合があります。・ECGに比較するとアーチファクトが多くなります。

*PGを強く締め付けすぎると患者さんが指先に痛みや痺れを感じる場合があります。 軽く指を挟んでいただく程度で血流を感知することができます。

*センサ部分を検査中、低温で乾燥した状態に保って下さい。爪先、骨以外の部分にセンサを取り付けて信号が正しく読み取れるようにしてください。

*センサおよびケーブルは撮像領域に入れないでください。検査中はセンサをなるべく静止させておくように患者さんに指示してください。RFまたはグラディエントパルスの影響を最小限にするためにセンサはアイソセンタから離してください。

PGの波形は、Peripheral Gatingにのみ使用するものです。患者さんのモニタリングには絶対に使用しないでください。患者さんの状態が反映されない場合があるため、緊急治療に誤りが生じることがあります。

Chapter1. アーチファクトの抑制- 5. Peripheral Gating 脈波同期 -

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【設定方法】

① 患者さんの指にPGを取り付けます。

②ゲーティングコントロール画面を開きます

③ 波形表示の選択

波形表示は 「心電図」を選択します

④ トリガリードの選択

トリガリードは 「PG」を選択します

【注意】PGは血流脈動を検出するフォトパルスセンサを使用しています。フォトパルス波形は心臓の電気的活動ではなく、血流を表していることに注意してください。

図) PGのゲーティング設定

【注意点】波形表示の「PG表示」を選択しても同期撮像にはなりません。必ず「心電図」を選択して下さい。

Chapter1. アーチファクトの抑制- 5. Peripheral Gating 脈波同期 -

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発行:2021年8月

【 Gatingの方法にはECGとPGの2種類がありますが、どちらを選択した方が良いのでしょうか? 】

下肢(総腸骨動脈)のMRAにおいてECGとPGの2種類のGatingを使用したときのピーク流速を見積もった結果を示します。ECGを使用した場合、R波から約200ms程度のDelayをおいてピーク流速のフェーズが観察されましたが、PGを使用すると脈波のTriggerの時点もしくはその前がピーク流速のフェーズになっていることがわかります。これはピーク流速のTimingが心臓から観察部位までの距離に比例するためです。ECGの場合にはTriggerとしているのが心臓のR波であるため、心臓と総腸骨動脈の間にある程度の距離があるためピーク流速にDelayが生じます。これに対してPGの場合には指から感知される脈波が既に心臓から距離のある場所で収集されており、しかもその距離は心臓から総腸骨動脈までの距離とほぼ同等かむしろそれよりも長いために、上記のような脈波のTrigger付近に血流のピーク流速が一致してしまう現象が見られます。

・・・ Electric Cardiac GatingとPeripheral GatingのTrigger Delay【PGのチェックポイント】

2D Fast PC w/ ECG 2D Fast PC w/ PG

図) ECGとPGのTrigger Delay

Chapter1. アーチファクトの抑制- 5. Peripheral Gating 脈波同期 -

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発行:2021年8月

【RC使用時の注意点】

・呼吸波形は、RCおよびRTrにのみ使用するものです。患者さんのモニタリングには使用しないでください。

・使用できるNEXは1NEX or 2NEXのみです。2NEX使用時にはNPWが自動的に2となります。

・撮像中、患者さんにはできるだけ一定の呼吸パターンを続けるように指示してください。また、メッセージ欄に「Resp OK」が表示されるか見てください。「Resp OK」が表示されない状態でもスキャンは実行されますが、RCの効果は得られません。

女性など胸式呼吸の患者さんには胸骨の下部肋骨に巻きます。

使用できるシーケンス・ SE、GRE、SPGR、Cine

図)ベローズの巻き方例

【目的 】

Respiratory Compensation(以下RC)は、ベローズを巻き、呼吸波形を使って位相エンコーディングデータを並べ替えて(Sorting)、体壁運動によるゴーストを抑制します。

ベローズの推奨位置を下図に示します。図のように体壁運動の大きいところに巻きつけることをお勧めします。

【メリット】 ・呼吸によるアーチファクトの補正

【デメリット】 ・ 3NEX以上が使用できない。・ ASSETは併用できません

アノテーションには“RC” と表示されます。

Chapter1. アーチファクトの抑制- 6. Respiratory Compensation 呼吸補正 -

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発行:2021年8月

D=(FOV / Np)×F

D :ゴーストの出る距離

Np :位相Matrix数

F :呼吸数

ゴーストの出る距離

ゴーストの出る距離は下式により表され、呼吸数が多いほどゴーストは離れます。

RCの臨床応用

a:T1強調画像 RC OFF b:T1強調画像 RC ON

図) RCのON. OFF

NEXの違い

1NEX 2NEX

呼吸は安定させた方がデータ収集は良くなります。

図) RCと加算回数の違い

加算回数(NEX)1よりも2の方がアーチファクトが少ないことがわかります。

【原理 】

Chapter1. アーチファクトの抑制- 6. Respiratory Compensation 呼吸補正 -

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発行:2021年8月

【目的 】呼吸周期のうち、安定している呼気のタイミングでデータを収集することで、呼吸によるアーチファクトを軽減させます。ベローズを巻いて呼吸波形を取得します。(巻き方はRCの項目を参照)

【メリット】 ・呼吸によるアーチファクトの補正

【デメリット】 ・撮像時間が長い

Trigger Point と Trigger Window を設定することで、RTr使用時のデータ収集タイミング(Data

Acquisition Window)が下図のように決まります。

【RTrはなぜT2強調画像に使われるの?】実効TRが患者さんの呼吸周期に依存してしまうため、(最低でも3000msec程度)T2Wのみで使用可能です。

呼吸数が入るとEffective TRが計算されます。

RTr併用時は比較的呼吸が安定しているタイミングのみでデータを収集するので、患者さんの呼吸が不安定になるとアーチファクトの抑制効果が小さくなります。

使用できるシーケンス2D FSE、PROPELLER(DW PROPELLERを除く)、3D CUBE、3D Fast GRE/SPGRと3D Fast TOF

GRE/SPGR、3DFIESTA

【注意点】Trigger Point と Trigger Window を小さく設定すると、1 Resp Interval 内で収集できるデータ数は増加しますが、体壁運動によるアーチファクトが発生しやすくなりますのでご注意ください。

アノテーションには“RTr” と表示されます。

図) Respiratory Triggeringの設定パラメータ

Resp. Interval

Trigger

Point

Data Acquisition

Window

Trigger

Window

Trigger

Window

Trigger

Point

Chapter1. アーチファクトの抑制- 7. Respiratory Triggering 呼吸同期 -

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発行:2021年8月

【 “レスピラトリ”タブの設定】

①パルスシーケンス、Imaging Option等の設定後、“レスピラトリ”タブを開きます。

②各パラメータを設定します。

呼吸数:自動で入力されます。変動した場合は、“呼吸回数の更新”を押してください(③)。

=Eff. TR と撮像枚数が決まります。

呼吸間隔:=Eff. TRとして必要な呼吸間隔数

トリガーポイント/ウインドウ=データ収集時間の設定

シーケンス間遅延 Inter-Seq. Delay

= “Minimum” or “Even Space”

データ収集時間の調節

【 RTrの各パラメータの説明】

16

④呼吸間隔(RR Interval):呼吸の間隔数。ここでTR(Eff. TR)が決まり、撮像枚数が確定します。

⑤トリガーポイント: データ収集を開始する時間

⑥トリガーウィンドウ :データ収集をしない時間

・・・共に呼吸間隔を100%とした場合の%で表示します。

⑦シーケンス間遅延:Min

できるだけ最短でデータ収集を行います。Even Space

呼吸間隔を撮像枚数で均等な間隔に割った時間でデータ収集を行います。

図)“レスピラトリ(Respiratory)”タブの設定パラメータ①

図)“レスピラトリ(Respiratory)”タブの設定パラメータ②

④⑤

⑥⑦

Chapter1. アーチファクトの抑制- 7. Respiratory Triggering 呼吸同期 -

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発行:2021年8月

【各パラメータの原理】

呼吸のアーチファクトの影響

:数値を上げると影響は少なくなります

できるだけ最短でデータ収集を行います。不規則な呼吸に強くなります。

呼吸間隔は撮像スライス数に合わせて設定します。(実行TRが4000

以下にならないように注意)

呼吸は一定に。

撮像スライス数が最大スライス数より1, 2枚少なめに設定することで不規則な呼吸に強くなります。

Trigger Point/Windowは大きめに設定。・Trigger Point :20

・Trigger Window:40

図)呼吸間隔の設定

Trigger Point

Data Acquisition Window

Resp. Interval

Trigger Window

呼吸間隔

Trigger Point / Window

撮像可能枚数

:数値を上げると撮像可能枚数は減少します

図) Trigger Point / Windowの設定

Inter-Seq. Delay

Min

呼吸間隔を枚数で均等な間隔に割った時間でデータ収集を行います。クロストークの影響が少なくなります。(スライス間のRFパルスによる干渉)

Even Space

図) Inter-Seq. Delayの設定

Chapter1. アーチファクトの抑制- 7. Respiratory Triggering 呼吸同期 -

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【目的 】Moco Time Course は、心筋パフュージョン撮像で使用するイメージングオプションです。呼吸や心筋の残留運動によって、発生するフレーム間の幾何学的位置の変化に対して、非剛体性アルゴリズムに基づいて動き補正をします。

Chapter1. アーチファクトの抑制- 8. Motion Compensation 心筋動き補正 -

アノテーションには“Moco” と表示されます。

図)MoCoのON. OFF

a:FGRE MoCo ON b:FGRE MoCo OFF

【特徴 】・ 患者の呼吸パターンが大きく変動しない場合に有効です。

・ 使用できるシーケンス

・ 下記 Imaging Option の設定が必要になります。

・ T1 MAPでは、Mocoが自動的に選択され、オフにすることが出来ません。動き補正のない・フィルターがかけられていない画像も得たい場合は、スキャンパラメーター内の ”Save Original” をオンにすると、オン・オフ両方の画像を得ることが出来ます。

2D GRE : Fast SPGR, Fast GRE

FIESTA

ARC or ASSET

Cardiac Gating

Extended Dynamic Range

Multi-Phase

SR Prepared

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発行:2021年8月

図) Square Pixel On Offの違い

20cm(256個) 20cm(256個)

位相方向 周波数方向

位相方向 周波数方向

Square Pixel=ON

15cm

( x192個)

スクエアピクセルを使用すると分解能は向上しますが、収集FOV・ピクセルサイズ共に小さくなりますので、SNRが低下します。

位相方向のマトリクス数は変化しませんから、撮像時間は変化しません。

被写体がSquare Pixel使用時のFOVに十分収まっていない場合は、折り返し現象が発生しますのでご注意してください。

20cm

( x192個)

Chapter2. 空間分解能の向上- 1. Square Pixel -

【目的 】

スクエアピクセルは、正方形のピクセルを使用するイメージングオプションです。撮像時間を延長することなく、分解能を向上することができます。

マトリクス数が周波数方向・位相方向で同じ大きさではない時に、マトリクスサイズを正方形にして分解能を上げることができます。撮像条件(撮像時間)を変えずに、高分解能の画像が得られます。例えば、FOV:20cmでMatrix:256(周波数方向)×192(位相方向)で見てみると、下図のようになります。

【メリット】 ・ 撮像時間の延長なしで分解能向上。

【デメリット】 ・ 長方形FOVでは、折り返しが発生する場合があります。・ ピクセルの大きさが小さくなるため、SNRが下がります。・ フェーズ FOVは併用できません。

Square Pixel=OFF

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【目的 】

データ補間法のひとつであり、面内補間を行うことにより、撮像時間を増やすことなく、面内の解像度を上げることが可能です。

図) In Plane ZIP について

In Plane ZIP

25

6

256

512

51

2

256 以上のデータを「0(ゼロ)」で埋めて512

マトリクスで計算を行います。

25

6

256

51

2

512

【 In Plane ZIP(面内ZIP)の原理】下図のようにイメージマトリクスを増やし、見かけ上の分解能を向上させます。

図) In Plane ZIP の原理

データ = 0

k-space

MR画像

Chapter2. 空間分解能の向上- 2. Zero Fill Interpolation Processing (ZIP)-

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図) In Plane ZIP 512の画像比較

ZIP512なし ZIP512あり

【ご参考まで】Fourier変換を行う前のデータにZero充填を施し、高精度なRe-Sampleを行う手法でありFourier補間とも呼ばれます。

ZIP512の場合、アノテーションには“Z512”と表示されます。

【 In Plane ZIP の特徴】

【メリット】 ・ 256以下のマトリクスで収集した画像データを再構成することにより、撮像時間を延長することなく見かけ上の空間分解能を向上します。

【デメリット】 ・ データ量の増大(再構成時間の延長)・ 高周波成分を補間することによりトランケーションアーチファクトが発生する場合があります。

“ZIP512” は512×512、“ZIP1024”は1024×1024の k-space にデータを充填して、再構成を行います。NPWファクターの上限値は2まででお願いします。

Chapter2. 空間分解能の向上- 2. Zero Fill Interpolation Processing (ZIP)-

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Non Selective pulse

RF

ECG

Slice Selective pulse

TI

Double IR

Non Selective pulse

RF

ECG

Slice Selective pulse

TI

Triple IR

図) Double IR, Triple IRのシーケンスチャート

Chapter3. コントラストの強化や変化- 1. Blood Suppression -

【目的 】

Blood Suppressionは、血液の信号を抑制するPreparationパルスをかけて、血流が黒い画像を作ります。FSE、FSE-IRにGateをかけたシーケンスに使用可能です。FSE+BSPはDouble-IR、FSE-

IR+BSPは脂肪も抑制され(STIR法)Triple-IRと呼びます。

【 シーケンスチャート 】

【特徴 】

IRを複数使用しているのでSNRは厳しくなる撮像シーケンスです。息止めが必要になるような部位では1枚ずつ撮像することをお勧めします。

【メリット】 ・血流の信号を抑制することができます。

【デメリット】 ・脈波同期、もしくは心電図同期の為に撮影時間が長くなります。・動きに弱くなります。

図) BSBを使用した撮像例(心筋)

アノテーションには、“BSP”と表示されます。

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Classic ONの方が脂肪の信号強度が低下しています。

図) Classicを使用した撮像例(頚椎領域)

FSE w/ ClassicFSE

注意:脂肪抑制FatSAT(CHESS)のFat ClassicとImaging OptionのClassicは別の機能です。

Chapter3. コントラストの強化や変化- 2. Classic -

【目的 】

スピンエコーシーケンスの脂肪信号を若干軽減することができます。

【メリット】 ・脂肪信号を若干軽減します

【デメリット】 ・ Classic OFFと比べると若干SNRが下がります

アノテーションには、“CL”と表示されます。

図) Classicを併用したパルスシーケンス

90°

RF

Gz(slice)

180° 180°

Gy(フェーズ)

Echo

Gx(frequency)

【原理 】

Classicでは、90度パルスのスライス選択Gradientの極性を反転させます。これにより励起する脂肪信号が逆方向になるため、スピンエコー上の脂肪信号が小さくなります。

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図) 16ビットと32ビットの違い

真の信号

16bitの場合

真の信号

32bitの場合

Chapter3. コントラストの強化や変化- 3. Extended Dynamic Range -

【目的 】

通常16ビットで行っているデータサンプリングを32ビットで行うことにより、SNRを改善します。

【原理 】

下図に、16ビットと32ビットで信号を受信したときの真の信号とデジタル信号の差を表します。この差が、小さい程量子化ノイズが少ないのでSNRが向上します。この場合、32bitで信号を受信した時のほうが、真の信号とデジタル信号との差が少なく、SNRが向上します。

【メリット】 ・量子化ノイズの低減によるSNRの向上。

【デメリット】 ・ データ量の増加(データ収集に2倍のメモリを必要とします)。

図) EDRを使用した撮像例(頚椎T2強調画像)

アノテーションには、“ED”と表示されます。

もともとのアナログ信号のSNRが悪い場合は、そのノイズの方がデジタル化によるノイズの影響よりも大きくなるために、EDRを使用しても効果は望めません。

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Chapter3. コントラストの強化や変化- 4. Inversion Recovery Preparation(IR Prep) -

【目的 】

IR Prepは、RFパルスの前に180度パルスを印加します。主にSTIR像を得るのに使用します。

* IR Prepオプションは2D FSE、2D FSPGR、3D SPGR系シーケンスにおいて使用可能です。

【特徴 】

最初の180度パルス印加後、待ち時間(プリパレーション時間)が続き、このプリパレーション時間(Prep Time: TI)に、必要なコントラストを得ることができます。RF励起パルスは、このTI後に印加されます。プリパレーション時間に、IR(インバージョンリカバリ)シーケンスの180度反転パルスを印加したと同様に縦磁化(T1)が変化します。その結果、T1強調コントラストを更に強調することが出来ます。

最初の180度プリパレーションパルス印加からプロトンが回復するにつれてT1緩和量は変化します。

アノテーションには、“IR”と表示されます。

TIの設定

1.5T:150-200ms

3.0T:230-250ms

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図)Magnetization Transferの原理

結合水

自由水(血流)MTパルス

結合水

自由水(血流)

Chapter3. コントラストの強化や変化- 5. Magnetization Transfer -

【目的 】

マグネタイゼイショントランスファー(Magnetization Transfer)は、たんぱく質(白質、灰白質、骨格筋)の信号を落とし、3DTOF-MRAなどで血液と実質のコントラストを高めます。中心周波数から約1200Hzずれた広帯域パルスを印加します。

頭部TOF-MRAにおいてMTを使用すると脂肪信号が目立ちますが、脂肪抑制 (FatSAT)を併用する事により脂肪信号を軽減できます。このときの FatSATパルスは、撮像時間が大きく延長されないような工夫がなされています。

【特徴 】

【メリット】 ・抹消血流の描出能向上します。

【デメリット】 ・ TRの延長します。・脂肪信号が目立つようになります。・流入部の信号が若干落ちます。

図)MTを使用した撮像例(頭部MRA)

MT なし MT あり アノテーションには、“MT”と表示されます。

【原理 】

MTパルスは結合水を飽和させて結合水の信号が落ちますが、自由水は水の交換が起こらないため、飽和しません。結合水の信号が落ちることでコントラストがつきます。

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Chapter3. コントラストの強化や変化- 6. Spectral Spatial RF (SSRF)-

【目的 】

バイノミナルパルス(Binominal pulse)によって水を選択的に励起します。DWI-EPI, LAVA系シーケンス, MERGE, Spiral*系シーケンスなどに併用可能です。なお、DWI-EPIは初期値(デフォルト)でONの設定になっています。

【メリット】 ・ CHESS法に比べて、磁場不均一に強い手法です。

【デメリット】 ・使用シーケンスが限られます。

図) SSRFを使用した撮像例(膝関節)3D MERGE w/ SSRF (VR処理)3D MERGE w/ SSRF

アノテーションには、“SSRF”と表示されます。

図) Binominal pulseの原理

(a+b)nの係数を並べたもの

パスカルの三角形1

1 1

1 2 1

1 3 3 1

1 4 6 4 1

1 5 10 10 5 1

6 15 20 15 6 1

45° 45°

22.5° 45° 22.5°

11.25° 33.75° 33.75° 11.25°

90°

・1

分割してRFパルスを印加する方法 SSRFパルスの模式図

F W

Mx

MzMy

W

F

1-1パルス(45°パルスを2回照射)

45°倒す out of フェーズまで待つ 横磁化には水成分のみが倒される

パルスを増やすと脂肪抑制効果が上がるが、TEが延長する。

【 バイノミナルパルスの原理】

Chemical Shift法の応用で一度に90度倒すのではなく、水と脂肪の位相差を利用していくつかに分割して倒すことで脂肪抑制効果を高める方法です。Binominal pulse自体に周波数選択性があり、Pre pulseを付加することなく脂肪信号を抑制(水選択励起)することができます。

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90°

RF

180° 180° 180° 180° 180°

1st Echo

Stimulated Echo

<Stimulated Echoってなに?>180度パルスを2回(RFパルスが3発)打たれると、残留縦磁化によりスティミュレイティッドエコー(Stimulated Echo)というごみエコーが出てきます。 これが、ブラー(ボケ)の原因の一つになります。

図) FSEのRFパルスとEcho

【目的】

Tailored RFはFSE系シーケンスでエコー振幅を安定させるために使用し、Stimulated Echoの信号を減らします。画像のぶれ(Blurring Artifact)が軽減されます。また、SAR が低減され、1TRあたりのスライス枚数が増加します。

【メリット】 ・ ブラー(画像のボケ)の軽減。・ スライス枚数の増加。・ SARの低下。

【デメリット】 ・ コントラストが若干低下。・ SNRが若干低下。

図) TRFを使用した撮像例(頚椎T2強調画像)

アノテーションには、“TRF”と表示されます。

FSE系シーケンス(FSE、FRFSE、Fast IRなど)を選択時に設定可能です。

Chapter3. コントラストの強化や変化- 7. Tailored RF -

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【原理 】

TRFをOnにすると、先頭2つのRefocus Pulseのフリップアングルを調整し、残りのRefocus Pulseを一定に保ちます。3つ目以後のRefocus Pulseのフリップアングルを浅くすることにより、SARおよびRFパルス振幅が低減され、その結果、1TRあたりのスライス数の増加します。約160°のRefocus Pulseから発生した誘発エコーが発生しますが、1次エコーの振幅は低減されるために、エコートレインの先頭部分における総エコー振幅は少なくなります。

Refocus Pulseのフリップアングルを180°から160°に下げると、信号強度が下がります。そこから発生するごみエコーの強度も低下します。はじめの信号は強いので画像に与える信号の低下も小さく、ごみエコーを減らせます。

図) FSEにおける各Echoの信号強度の模式図

信号強度

Stimulated Echo

1st Echo

時間(ETL)

TRF ON

TRF OFF1st Echo

Stimulated Echo

1st Echo

Stimulated Echo

Chapter3. コントラストの強化や変化- 7. Tailored RF -

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Chapter3. コントラストの強化や変化- 8. T2 Preparation(T2 Prep) * -

【目的 】

T2 Prepは、Spiralシーケンスにおいて、非スライス選択的に90度/180度パルスを使用し、心筋コントラストを抑制するために使用します。

【メリット】 ・心筋の信号を抑制し、血流のコントラストを向上します。

【デメリット】 ・若干SNRが下がります。

心筋の信号を抑制し血流(冠動脈)のコントラストを上昇させている例です。

図) T2 Prepを使用した1.5T撮像例(冠動脈)

非造影 冠動脈 3D Heart, 4スラブ

RCA LAD

(画像提供:聖路加国際病院)

図) T2 Prepパルスシーケンス

Echo

TRPrep Time(TI) TR

180°

α° α° α° α°

TR

RF

TE TE TE

90°

【 シーケンスチャート 】

* オプション機能です。

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図) ASSETの原理概念図

0.84 0.35

コイル

1

コイル1で得られるフェーズFOV画像

0.40 0.84

コイル

2

コイル2で得られるフェーズFOV画像

Aの信号値が105だったとすると、これは元々のAの信号と、折り返ったBの信号の合計と考えられる。感度マップからA

の位置の感度0.84、Bの位置の感度0.35とすると

105=0.84A+0.35B 96=0.48A+0.80B

同様にBの信号値が96だったとすると元々のBの信号と折り返ったAの信号の合計。感度マップからAの位置の感度0.48、Bの位置の感度0.80とすると

105 = 0.84A + 0.35B

96 = 0.48A + 0.80B

連立方程式↓

A=100、B=60

各ボクセル毎に計算を行い折り返し画像を元に戻す

A B A B A B

Chapter4. パルスシーケンスの拡張機能- 1. ASSET -

ASSET:Array Spatial Sensitivity Encoding Technique

【目的 】

内蔵Bodyコイルとサーフェィスコイルで同一部位を撮像し、キャリブレーション処理を行うことによって、撮像時間を短縮します。

【 ASSET の原理】(i)位相エンコードステップを間引くため、撮像時間は短縮します。(ii)位相エンコードを間引いて撮像し、折り返しを含む画像を作成します。(iii)キャリブレーションデータを元に、折り返ってしまう部分を展開・復元します。

【メリット】 ・ 撮像時間の短縮・ 空間分解能、スライス枚数の増加・ ETL減少による効果(位相エンコードステップを減少)→J-Couplingの影響による脂肪組織の高信号化の抑制、EPI系の歪み軽減

【デメリット】 ・ SNRの低下・ Calibration Scanが別途必要・ 撮像方法によってはASSET特有のアーチファクトが出現することがあります。

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SNRSENSE系 =SNRFull

g √R

サーフェスコイルとBodyコイルで各々のキャリブレーションスキャンを行っています。

Ax T1w LAVAInRx 00:19

【 ASEETの特徴】

ASSETのSNR は、ASSETの係数とコイルのgファクターで成立します。ASSET係数を増やすと、撮像時間は短縮しますが、SNRが低下します。(例えば、 ASSETの係数を“2”と設定した場合、ASSET

を入れていない時に比べ約30%のSNR低下となります)

ASSETを使用する場合、キャリブレーションスキャンが必要になります。コイルコンフィグを変更した場合、都度キャリブレーションスキャンが必要になります。

ASSET使用することで、撮像時間が短縮し、DWIの歪みが軽減します。

DWI-EPI w/ ASSET

DWI-EPI w/o ASSET

図) ASSETを使用した撮像例

Chapter4. パルスシーケンスの拡張機能- 1. ASSET -

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図) ARCの原理

① k-spaceの中央部分において、1エンコードずつ隣のデータとの関係を求めます。

② k-spaceから離れた間引いた領域に関して①で求めた関係を用いてデータを充填します。スライス方向に間引いた場合は、同様の処理を行ってデータを充填していきます。

ARC:Auto calibration Reconstruction for Cartesian imaging

【目的 】

k-space上でデータの処理を行うパラレルイメージング技術(k-space Driven)です。

【 ARC の原理】(i) k-spaceを間引いて撮像を行い時間短縮を行っているのはASSETと同じです。

→間引き方は均一ではなく、画像はキャリブレーションデータ(感度マップ)を使用した展開は行っていません。

(ii) k-spaceの中央部分は間引きをせず、そのデータを元に周辺の間引いたデータを逆算する。→キャリブレーションデータ(Calibration)は必要ありません。

(iii)コイル毎の画像を別に作成し、最後に合成します。

【メリット】 ・ アーチファクトが低減します。-折り返しは通常通りFOVの端に出ます。- フェーズFOVの使用も問題ありません。- キャリブレーションが必要ないため、動きや呼吸による補間ミスがありません。

・ 検査時間の短縮(*一部の撮像シーケンス)

【デメリット】 ・ 適用シーケンス、コイルの制限*があります

Chapter4. パルスシーケンスの拡張機能- 2. ARC -

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LAVA (ASSET使用時) LAVA-XV(ARC使用時)

図)パラレルイメージング使用時の折り返し

【 ARCの特徴】

FOVの折り返しが、ASSETとは異なり、外側に発生します。

ASSET

(LAVA)ARC

(LAVA-XV)

図) ASSETとARCの違い(肝臓領域)

※ 呼吸性のアーチファクトが出ないという意味ではありません。息止めは必要です。

※※ PUREによる感度補正を使用する場合は従来のCalibrationが必要です。

「ARCはセルフキャリブレーション」という言い方をする場合もありますが、実際にはキャリブレーションが本撮像と別には存在しません。そのため呼吸深度のズレによるアーチファクトは発生しません。

Chapter4. パルスシーケンスの拡張機能- 2. ARC -

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【目的】

静音化を目的としたパルスシーケンスで、 RFコイルに流れる交流電流の切り替えを緩やかにすることで、騒音を低減する技術です。静音化レベルは“中:軽減”・“高:大きく軽減” の2つから選択できます。特に小児患者さんの検査に対しては有用です。

Chapter4. パルスシーケンスの拡張機能- 3. Acoustic Reduction(ART) -

通常撮像(音圧 97dB)

ART使用時の撮像(音圧 84dB)

図) ARTを使用した際の画像の比較

【 “ART”タブの設定】

イメージングオプションで “ART” を選択し、“ARTタブ”から静音化レベルを設定します。

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【IDEALの原理】

Chapter4. パルスシーケンスの拡張機能- 4. Flex* -

Flex:

Iterative Dixon water-fat separation with Echo Asymmetry and Least-squares

【目的 】Flexとは、2-point Dixon法を応用した水脂肪分離手法です。形状の起伏や金属による局所磁場不均一を、フィールドマップ(GE独自)によって解決します。

【特徴 】

・ 1度の撮像で水画像、脂肪画像、In phase画像、Out of phase画像の4つのコントラストが得ら

れます。

・ 従来のCHESS法等では、脂肪抑制のかかりにくかった領域(頚部・胸部・四肢など)で均一な

脂肪抑制画像(水画像)を提供します。

・ 3Point Dixon法を応用したIDEALよりも短時間でブラーリングの少ない撮像が可能です。

・ CUBEと併用することで、整形領域の撮像時間を短縮できます。

図) Flexの概略図

FSE –failure of fat sat

2:04

FSE Flex

2:21

IDEAL

3:17

図)臨床画像と撮像時間

* オプション機能です。

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図) Fluoro Triggerの撮像手順

②④

① 目的の血管が出ている位置を探します。

② “Sat”ボタンを押して、造影剤の流入を見やすくします。

③ 画像確認後、造影剤を入れます。

④ 造影剤が到達した時点で“Go3D”ボタンを押して撮像を開始します。

Chapter4. パルスシーケンスの拡張機能- 5. Fluoro Trigger -

【目的 】

Fluoro Triggerは、造影MRA時にリアルタイムで画像(造影剤の流入)を確認しながら造影剤が到達したところを目で見て、撮像を開始させることができる機能です。

【設定方法】

リアルタイム(i-Drive)を使用して造影剤の流入を確認しながら撮像を行います。

【注意点】リアルタイムでの血管位置決めは慎重に!早すぎる撮像開始(Go3d)に注意!

【メリット】 ・ 造影剤のテスト撮像が不要です。・ 目視で確認しながら撮像が行えるので安心です。

【デメリット】 ・ リアルタイムで描出した血管の位置が良くないと造影剤の流入が見えない可能性があります。・ Smart Prepと比べると、オペレータによる個人差があります。

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TE1

TE2

90°

180°

Full Echo Train : OFF

Echo Trainを分割

Full Echo Train : ON

Echo Trainを全て使用

【目的 】

TE1とTE2で、どちらも全てのエコー信号からそれぞれ異なるコントラストの画像を作成します。FSE

系シーケンス(FSE, FSE-XL, FRFSE-XL)で2エコーを選択した場合に使用できます。

【 Full Echo Train の原理】

図) Full Echo Trainの原理と設定例

Full Echo Train OFF Full Echo Train ON

TEのMinとMaxの値が異なります。TE1とTE2でエコートレインを分割し、エコー信号を収集して、異なるコントラストの画像を作成します。

TEのMinとMaxの値が同じです。TE1とTE2で、どちらも全てのエコー信号からそれぞれ異なるコントラストの画像を作成します。

Chapter4. パルスシーケンスの拡張機能- 6. Full Echo Train -

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① Imaging Options画面で“Full Echo Train”を選択します。

② “詳細”タブで エコー数(# of Echoes)で“2”を選択します。

図) Full Echo Trainの詳細設定

Full Echo Train :ON Full Echo Train :OFF

図) Full Echo TrainのON/OFFの比較

【設定方法】

Full Echo Trainは比較的近い2つのTEの画像を得たい時に使用します。(例えばTE60とTE90のような場合です)

アノテーションには、“FT”と表示されます。

【特徴 】FTを使用すると、設定したETL数のEchoでそれぞれのTEのイメージを構成します。そのため、ETL

が多くなるほどプロトン強調を目的としたようなShortTEのイメージにBlurring Artifactが目立ちます。FTをオフにした場合、ETLを半分に分割します。前半のETLでTE1の画像を作成し、後半でTE2の画像を作成します。そのためFT使用時に比べてTEの選択範囲が狭くなります。

Chapter4. パルスシーケンスの拡張機能- 6. Full Echo Train -

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φ2 = π/2

φ3 =7π/6

φ1 = -π/6

Fat

Water

Field Mapの作成(局所磁場不均一の

計算)

Field Mapによって磁場不均一の影響を排除

水画像

脂肪画像

Out of フェーズ画像

In フェーズ画像

合成画像

FatSat IDEAL

図) ChemSAT(FatSat)/IDEALの比較

【IDEALの原理】

Chapter4. パルスシーケンスの拡張機能- 7. IDEAL* -

IDEAL:

Iterative Dixon water-fat separation with Echo Asymmetry and Least-squares

【目的 】3Point Dixon法と磁場不均一フィールドマップを利用した脂肪抑制が撮像できます。従来の

CHESS法脂肪抑制に比較し、均一な脂肪抑制画像を得られます。一度の撮像で4つのコントラストを同時に取得可能です。

* オプション機能です。

図) IDEALのアルゴリズム概略図

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【特徴】・ 水画像、脂肪画像は必ず作成、InPhase及びOut Of Phase画像は事前に選択が必要です。・ 使用可能シーケンス:2DFSE, 2DFRFSE, 3DFSPGR, 3DFGRE

・ IDEALの1NEXは通常シーケンスの3NEX相当になります。・ エコースペースが延長します(~5ms)。

IDEAL & FLEXを使用した各部位の画像を下図に示します。( FLEXは2point DIXON法を応用した水/脂肪分離技術です。次ページ参照)

図) IDEAL & FLEXの応用例

アノテーションには、Imaging Option の項目に“IDL”と表示されます。

* オプション機能です。

Chapter4. パルスシーケンスの拡張機能- 7. IDEAL* -

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図) Real Timeの操作画面

Reviewタブ

現在までに表示された画像を呼び出す画面

Acquireタブ

リアルタイムにて様々なオブリークを表示する画面

Chapter4. パルスシーケンスの拡張機能- 8. i/Drive(Real Time)-

【目的 】

リアルタイムにて画像を表示させながら、様々な断面を表示することが可能です。また、画像保存も行えるため複雑な部位のロカライズも可能となります。

【操作画面】

“Acquire”タブと“Review”タブを使用して撮像を行います。

【特徴 】

以下の用途に使用できます。- 複雑な断面のロカライズ- 患者の呼吸、動態、造影剤のボーラスなどを経時的にモニタリングする- Fluoro Triggerにおける造影剤到達時間の把握- 動態機能検査

使用できるシーケンス・ 2D FGRE、2D FSPGR

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図)ムーブメントカーソール

1 :パンカーソル

2:ローテートカーソール

3:チルトカーソール

4:トランスレートカーソール

スキャンロケーションとスキャン面を変えずに、ビューワ内の画像のセンタ位置を変更します。

スキャンロケーションとスキャン面を変えずに、ビューワ内の画像を回転します。

カーソルの矢印方向に画像を傾斜させます。X 方向、Y 方向、または両方向に傾斜します。

スキャン面を変えずに、スキャンロケーションをmm単位で移動します。 mm単位の移動量は調整できます。

回転、移動させて表示した画像は画面右側の にてシステムディスクに保存することができます。

【 Real Time: Acquire操作画面】

マウスカーソールをムーブメントカーソールに移動させるとアクティブになり、画像の回転、移動が可能となります。

Chapter4. パルスシーケンスの拡張機能- 8. i/Drive(Real Time)-

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対応シーケンス・SE系・FSE系・FGRE系・FSPGR系・Fast TOF-SPGR/GRE

・EPI系・LAVA系・Vibrant系

【目的 】

Multi Phaseは、同一スライスを同一条件の元に、経時的に複数回自動撮像する機能です。

【 “マルチフェーズ”タブの設定】

マルチフェーズの設定は、“マルチフェーズタブ”から行います。

・ “スライス/ロケーション”× “スライス数”≦ “最大枚数”となるように設定してください。シーケンスによって枚数は異なります。

・複数のフェーズが単一ロケーションで収集された画像の場合、表示された時にシフトされているように見えることがあります。これが最も顕著になるのは、これらの画像をページングループ(動画)モードで表示した時です。

・ Delay After Acquisition(収集後の遅延時間)の許容範囲は、0s~300sです。

・遅延時間は Delay After Acquisitionの他に、【#of

Locs Before Pause】を使っても設定できます。この場合は、Multi-フェーズウィンドウの最小時間(0s)を選択してください。

Chapter4. パルスシーケンスの拡張機能- 9. Multi Phase -

図)マルチフェーズウィンドウ

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⑧ ⑨ ⑩

図)マルチフェーズウィンドウの設定例

図)Multi フェーズウィンドウの設定例(Auto Voice)

②収集順序 Phase Acq. Order:シーケンシャル【Sequential】、インターリーブド【Interleaved】、ラピッドフレーム【Rapid Frame】のどのモードでデータ収集するか設定します。

① Phase Per Location:1ロケーション当たりの収集スライス枚数

③データ収集後の間隔(sec) Delay after Acq.:スキャンは、指定した遅延時間後に自動的に再開します。

⑥オートサブトラクション Auto Subtraction:自動でサブトラクションされます。同じスライスローケーションでサブトラします。Collaps画像やProjection画像の数も同じにしてください。

【Dyna Planの設定】

⑧可変遅延 Variable Delays:造影ダイナミック撮像時などに、各フェーズの前後に任意の遅延時間を設定することが可能です。* Dynamic PlanはAuto Voiceと併用可能です。

④全フェーズに適用:③に入力した遅延時間を全てのフェーズに設定します。

⑤マスクフェーズ Mask Phase:Mask画像の設定が可能になります。

⑨間隔(Sec)Delay Time:各フェーズの遅延時間を任意に設定できます。

⑩オートボイス Auto Voice:各フェーズにAuto Voiceの設定ができます。最初のメッセージと最後のメッセージは常にOnになります。

* 詳細設定は次ページ。

⑦シリーズ分割保存:各フェーズの画像をそれぞれ別のシリーズ「として保存します

【 “マルチフェーズ”タブの設定②】

Chapter4. パルスシーケンスの拡張機能- 9. Multi Phase -

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図)Multi Phaseの撮像時間1:45が全体の撮像時間です。0:15が、各フェーズの撮像時間になります。

図) AutoView time window

【MPの撮像時間(Scan Time)】

撮像時間ウインドウには撮像時間の他に、各遅延時間、現在のフェーズ数、Total time(全てのフェーズと遅延時間の合計)が表示されます。

Dynamic Planの検査中でもマニュアルスタートへ切り替えが可能です。マニュアルスタートを選択した場合、遅延時間が終了前でもScanをスタートすることができます。また、遅延時間終了後、Scanは自動ではスタートしません。手動でScanを行ってください。

① GRxの “Auto Voice”アイコンをクリックし、Auto Voice

Screenを起動します。

② “オートボイス Auto Voice”のチェックボックスにチェックを入れます。

③ 使用言語を選択します。

④ メッセージを選択します。・ Inspiration :息を吸って止めてください・ Expiration :息を吸って吐いて止めてください・ Suspension :息を止めてください

⑤ 遅延時間の事前設定自動音声の再生終了後に遅延時間を設定する場合に入力します。

② ③

図) Auto Voiceの設定

【 Auto Voiceの設定】

患者さんへの息止めの指示を自動音声で行うことが可能になります。またオートボイス機能はDyna Planとの併用も可能です(図4-8参照)。オートボイスは全てのScanでご利用できます。

Chapter4. パルスシーケンスの拡張機能- 9. Multi Phase -

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図) Auto Voiceの各種設定

【注意点】検査している間は言語編集およびサイトメッセージの編集・変更はできません。

【 Auto Voiceの各種設定】

オートボイスの設定を変更する場合は、 “システムプリファレンス”から行います。

① サービスツールの を選択、“システムプリファレンス” をクリックします。

② “オートボイスボタン”をクリックし、オートボイス設定を開きます。

③サイトメッセージは音声の録音が可能です。

④ GEメッセージの編集はできません。

⑤デフォルトの言語を変更する場合は言語編集より変更できます。

⑥最小化するとボリュームコントロール画面のみの表示に変わります。

Chapter4. パルスシーケンスの拡張機能- 9. Multi Phase -

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図)Multi Stationの詳細設定タブ

Chapter4. パルスシーケンスの拡張機能- 10. Multi Station -

【目的 】

テーブルを自動に移動させながら広範囲の造影MRAスキャンを行うことを目的としています。

造影剤ボーラスを追跡するSmart Prep* を使って最初のステーションを開始できます。ボーラスが検知されると、ステーション1 の3D ボリュームが収集されます。最初のステーションが終了するとテーブルが自動的に移動し、ステーション2 のボリュームが収集されます。全てのステーションまで、システムがテーブルを自動的に移動させてデータ収集を繰り返します。

* Fluoro Trigger を使ってスキャンを開始させることもできます。

【注意点】・ 点滴チューブ等の長さは余裕を持たせ、またクレードルに挾まれないよう取り回しには十分気をつけて下さい。

・ テーブルが長い距離を移動することを被験者に予め説明して下さい。

・ スキャンを開始前に、造影剤やインジェクターの準備を終了しておいて下さい。

・ ガントリー脇で、スキャンに立ち会われる方が居ることが望ましいです。

【設定方法】

k-space のデータ充填方法、静脈撮像の有無など設定が可能です。(詳細は次ページ参照)

図)Multi Station撮像例・・・造影MRA

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【MSの詳細設定】

CV 4. Image acq. delay (msec)

Scanボタンを押してから実際にデータ収集が始まるまでの間の時間を設定します。Smart Prepや Fluoro Triggerの時に有用です。

CV 6.Turbo Mode (0=off, 1=Faster, 2=Fastest)

RF持続時間を短縮することにより、TRの短縮を行います。

CV 11. Reverse Elliptical Centric (0=off, 1=on)

Elliptic Centricの埋め方と逆の充填方法です。

CV 12.Elliptical Centric (0=off, 1=std, 2=delay)

位相エンコード、スライス選択エンコードの両者をk空間の中心から埋めていく方法です。スキャン時間の前半でコントラストが決定します(Centricよりもコントラストを支配する時間は短時間です)。

“2” を選択した場合、k-spaceの中心より若干外側から中心に向かって収集を始め、その後また外側へ向かって充填していきます。“1” を選択した場合に比較すると、k-spaceの中心を充填するタイミングが若干後ろにずれます。

CV 13. Centric (0=off, 1=on)

k-spaceの中心から埋めていく方法です。スキャン時間の前半でコントラストが決定します。Elliptic Centric

よりもコントラストを支配する時間は長いため、大きなFOVで腹部造影MRAを行う場合に有用です。

CV 14. Reverse Centric (0=off, 1=on)

Centricの埋め方と逆の充填方法です。スキャン時間の最後のタイミングが画像のコントラストを決定します。

CV 17.Mask Acquisition (0=off, 1=on)

各ステーションにおいて造影前のMask像を追加スキャンする際にOnに設定します。

CV 18.Venous Acquisition (0=off, 1=on)

各ステーションにおいて静脈相を追加スキャンする際にOnに設定します。

CV 19.Real-time SAT(0=NON-axial, 1=Axial, 2=In-plane, 3=IRP)

Fluoro Trigger を使用するときのSATの設定を選択します。

CV 23. Slice Resolution (70% - 100%)

Kz方向にFractionalなサンプリングを行います。再構成にHalf Fourier法が用いられています。70%~100%の範囲で設定が可能です。小さな値を設定すると撮像時間が短縮します。

図)Multi Stationの詳細設定タブ

Chapter4. パルスシーケンスの拡張機能- 10. Multi Station -

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図) Sqの設定例

したがって、「撮像時間」=“TR” × “位相マトリクス” דNEX” × “スライス数” となります。

Chapter4. パルスシーケンスの拡張機能- 11. Sequential -

【目的 】

一度に一画像を順番通りに収集するデーター収集モードです。励起パルス(位相スッテプ数×NEX × TR)がすべて1つのロケーションに対して印加されてから、別のロケーションで同じプロセスが繰り返されます。

以下のような場合に、Sequential を使用することがあります。- 2D収集でスライス間のクロストークをなくしたい場合- 腹部または胸部の息止め撮像- 簡単なロカライザスキャン

【特徴 】

2D Sequentialでは、ひとつのスライスから全てのデータを収集してから、次のスライスに移ります。合計スライス数は、収集回数と等しくなります。

図) SQを使用した撮像例(下腹部ロカライザー)

アノテーションには、“SQ”と表示されます。

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図) Smart Prepの概略図

a b c

d

e f

time

SI a. Base Lineデータ

… 信号をモニターしています。

b. Begin Contrast Injection

… 造影剤を入れます。

c. 感知した時間+ Scan Time

d. 造影剤感知

e. Acquisition Delay Time

… 息止め指示を行います。

f. 撮像開始

Chapter4. パルスシーケンスの拡張機能- 12. Smart Prep -

【目的 】

Smart Prepは、造影MRA時に造影剤の流入タイミングを測って撮像を開始させる機能です。トラッカーを設定することにより、造影剤を自動感知し、自動的に本撮像を開始させます。

【原理 】

Base Lineデータ領域(a)で造影剤注入前の信号強度を測定します。造影剤が注入され、信号強度が上昇し始めます(b)。Base Lineデータより信号強度が約15%上昇すると、自動的に撮像を開始します。息止め撮像が必要な場合は、Acquisition Delay Timeの間に息止め指示を行い(e)、本撮像に移行します。

【設定方法】

“トラッカー”を置く場所

図4-2. トラッカーの設定例

【注意点】トラッカーは血管からはみ出ないように設定してください。トラッカーの設定は慎重にお願いします。

【メリット】 ・ トラッカーの位置を決めれば、MR装置が撮像タイミングを自動的に決定します。・ オペレータによるばらつきが少なくなります。

【デメリット】 ・ 患者さんが動いた場合やトラッカー位置によってはSmart Prepが上手くかからない場合があります。

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【製造販売業者の名称と連絡先、発行部署】

製造販売業者 : GEヘルスケア・ジャパン株式会社

住所 : 東京都日野市旭が丘4-7-127

保守サービス連絡先 : GEヘルスケア・ジャパン株式会社

電話 : 0120 – 055 – 919

発行部署 : イメージング本部 MR営業推進部

SIGNATM Artistは販売名「オプティマMR450w」の

類型 シグナArtist (SIGNATM Artist)です。

医療機器認証番号 223ACBZX00032000

Optima MR450w

販売名 オプティマMR450w

医療機器認証番号 223ACBZX00032000

SIGNA Voyager

販売名 シグナ Voyager

医療機器認証番号 228ACBZX00009000

SIGNA Explorerは薬事認証書上の販売名「磁気共鳴断層撮影装置Optima MR360/Brivo MR355」

類型 SIGNA Explorerのことです。

医療機器認証番号 222ACBZX00009000

SIGNA Creatorは薬事認証書上の販売名「磁気共鳴断層撮影装置

Optima MR360/Brivo MR355

類型SIGNA Creatorのことです。

医療機器認証番号222ACBZX00009000

SIGNATM Premierは販売名「ディスカバリーMR750w」の

類型 シグナPremier (SIGNATM Premier)です。

医療機器認証番号 223ACBZX00061000

SIGNATM Architectは販売名「ディスカバリーMR750w」の

類型 シグナArchitect (SIGNATM Architect)です。

医療機器認証番号 223ACBZX00061000

Discovery MR750

販売名 ディスカバリーMR750

医療機器認証番号 221ACBZX00095000

Discovery MR750w

販売名 ディスカバリーMR750w

医療機器認証番号 223ACBZX00061000

SIGNA Pioneer

販売名 シグナ Pioneer

医療機器認証番号 227ACBZX00011000