48
無断複製・頒布を禁じます 1 司法書士・2017 出題予想論点ローラー大作戦!・民法 2017 出題予想論点 ローラー大作戦! 第1回(民法①) 講義教材

2017 出題予想論点 - LEC東京リーガルマインド無断複製・頒布を禁じます 2 司法書士・2017出題予想論点ローラー大作戦!・民法 1.講座の目標

  • Upload
    others

  • View
    1

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: 2017 出題予想論点 - LEC東京リーガルマインド無断複製・頒布を禁じます 2 司法書士・2017出題予想論点ローラー大作戦!・民法 1.講座の目標

無断複製・頒布を禁じます

1 司法書士・2017 出題予想論点ローラー大作戦!・民法

2017

出題予想論点

ローラー大作戦!

第1回(民法①)

講義教材

Page 2: 2017 出題予想論点 - LEC東京リーガルマインド無断複製・頒布を禁じます 2 司法書士・2017出題予想論点ローラー大作戦!・民法 1.講座の目標

無断複製・頒布を禁じます

2 司法書士・2017 出題予想論点ローラー大作戦!・民法

1.講座の目標

出題可能性 大

(Aランク) (Bランク)

出題可能性 小

(Cランク)

講義+演習

2.講義のすすめ方

(1)科目ごと,範囲ごとの傾向分析

(2)科目ごと,範囲ごとの出題予想

(3)出題予想範囲についての演習

(4)講義レジュメを使って、その論点の解説+派生論点の確認

<テキストの構成>

過去問知識 未出知識 未出知識(難解)

→ 正答率40%以上の問題を取るための,図表+択一肢集

(2016年目標 択一ターゲット攻略講座から抜粋・加入しています)

3.使用教材

・出題予想論点 ローラー大作戦 講義教材

・出題予想論点 ローラー大作戦 問題冊子

4.復習の方法

開講 5月上旬 本試験

← 講座の受講 → ← Bランクの学習 →

+ Aランクの徹底的な学習

① 講義中に解いた問題で,間違えた肢をマーク 普段使用しているインプット

図表の確認 テキストを読む

↓ ↓

② スキマ時間を使って,残りの択一肢を解く 過去問 を解く

↓ 答練問題

③ 間違えた肢をマーク+ 図表の確認

Page 3: 2017 出題予想論点 - LEC東京リーガルマインド無断複製・頒布を禁じます 2 司法書士・2017出題予想論点ローラー大作戦!・民法 1.講座の目標

無断複製・頒布を禁じます

3 司法書士・2017 出題予想論点ローラー大作戦!・民法

平成22年

4 民法 総則 不在者・失踪宣告 知識 74.3%

5 民法 総則 代理 知識 92.2%

6 民法 総則 意思表示と観念の通知 知識 69.3%

平成23年

4 民法 総則 未成年者の取引(肢ウエ民 125) 知識 92.2%

5 民法 総則 民 95 条・民 96 条 知識 60.7%

6 民法 総則 無権代理 知識 72.1%

平成24年

4 民法 総則 意思表示 知識 66.4%

5 民法 総則 条件・期限 知識 89.9%

6 民法 総則 消滅時効 知識 86.2%

平成25年

4 民法 総則 後見,保佐又は補助 知識 89.8%

5 民法 総則 無効と取消し(アエオ追認) 知識 77.5%

6 民法 総則 仮差押えによる時効の中断 推論 64.2%

平成26年

4 民法 総則 錯誤 推論 59.1%

5 民法 総則 代理 知識 84.2%

6 民法 総則 消滅時効(時効の中断) 知識 68.1%

平成27年

4 民法 総則 未成年者 知識 89.4%

5 民法 総則 虚偽表示 知識 91.2%

6 民法 総則 取得時効 知識 79.1%

平成28年

4 民法 総則 不在者財産管理人 知識 26.5%

5 民法 総則 無権代理 知識 93.2%

6 民法 総則 時効(アイ消滅時効ウエオ中断) 知識 26.8%

13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28

自然人 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎

意思表示 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎

代理 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎

時効 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎

Page 4: 2017 出題予想論点 - LEC東京リーガルマインド無断複製・頒布を禁じます 2 司法書士・2017出題予想論点ローラー大作戦!・民法 1.講座の目標

無断複製・頒布を禁じます

4 司法書士・2017 出題予想論点ローラー大作戦!・民法

民法総則出題マップ

14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28

第 1 章 自然人

行為能力 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ B

不在者及び失踪宣告 ◎ ◎ ◎ ◎ B

権利能力なき社団 ◎ C

第2章 意思表示

1 総説 ◎ ◎ B

2 心裡留保 C

3 虚偽表示 ◎ ◎ ◎ ○ ◎ B+

4 錯誤 ◎ ◎ ◎

◎ A

5 詐欺・強迫 ◎ B+

第3章 代理

代理と使者 ◎ B

代理の要件 ○ ◎ 〇 B

代理行為の瑕疵 ○ B+

復代理 ◎ ◎ B

自己契約・双方代理 B

代理権の消滅事由 B

無権代理 ◎ ◎ ◎ ○ ◎ 〇 ◎ B

表見代理 ◎ ○

第 4 章 無効及び取消 ◎ ○ ◎ B

第 5 章 条件及び期限 ◎ ◎ ◎ ◎ A

第 6 章 時効

第 1 節 総説 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ○ B

第 2節 取得時効 ◎ ◎ B

第 3節 消滅時効 ◎ ◎ ◎ ◎ ○ B+

Page 5: 2017 出題予想論点 - LEC東京リーガルマインド無断複製・頒布を禁じます 2 司法書士・2017出題予想論点ローラー大作戦!・民法 1.講座の目標

無断複製・頒布を禁じます

5 司法書士・2017 出題予想論点ローラー大作戦!・民法

意思表示(特に錯誤)

14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28

意思表示

1 総説 ◎ ◎

2 心裡留保

3 虚偽表示 ◎ ◎ ◎ 〇 ◎

4 錯誤 ◎ ◎ ◎

5 詐欺・強迫 ◎

<分析>

意思表示の分野は二年連続出題がないことはない

そして,錯誤は2年あけて出題するのが近年の傾向。そして、今2年空いている。

Page 6: 2017 出題予想論点 - LEC東京リーガルマインド無断複製・頒布を禁じます 2 司法書士・2017出題予想論点ローラー大作戦!・民法 1.講座の目標

無断複製・頒布を禁じます

6 司法書士・2017 出題予想論点ローラー大作戦!・民法

【錯誤の要件と効果】

1 Aは,A所有の宝石をBに売り渡す契約を締結したが,重大な過失により錯誤に陥っていた場合において,Aが錯誤に陥っていることをBが知っていたときは,Aは売買契約の無効を主張することができる。

〔オリジナル〕

2 AがBとの間で売買契約を締結した場合において,Aに要素の錯誤があるとき,Aは,自己の意思表示に要素の錯誤があること,及び意思表示が重大な過失に基づくものでないことを立証しなければ,Bに対して当該売買契約につき,錯誤による無効を主張することはできない。

〔オリジナル〕

×

3 手形の裏書人が,額面 1,000 万円の手形を額面 100 万円の手形と誤信し,100 万円の手形債務を負担する意思で裏書をした場合には,その裏書人は,裏書人に額面どおりの手形債務負担の意思がないことを知って手形を取得した悪意の取得者に対し,その手形金のうち 100 万円を超える部分に限り,錯誤を理由に手形金の償還義務の履行を拒むことができる。〔17-4-イ〕

4 Aは,Bが資産家であると誤信し,Bと婚姻をした場合において,実際にBは資産家ではないということが分かったときでも,その婚姻について,錯誤による無効を主張することはできない。〔17-4-ア〕

5 特定物売買において,目的物に契約当初から瑕疵があるのに,買主がそれを知らずに瑕疵のない物と信じて契約を締結した場合について,買主は錯誤と瑕疵担保責任のどちらでも主張することができる。

〔オリジナル〕

×

【錯誤無効は誰が主張できるか】

1 甲乙間の売買契約において,甲の錯誤が要素の錯誤である場合に,甲が錯誤無効を主張する意思がない場合,乙から無効を主張することはできない。〔3-21-ウ(6-5-イ)〕

2 甲乙間の売買契約において,甲の錯誤が要素の錯誤である場合に,甲の錯誤が重大な過失に基づくものである場合,甲は売買契約の無効を主張できないが,乙は無効の主張ができる。〔3-21-ア(17-4-ウ)〕

×

3 Aは,自己所有の土地をBに売り渡す契約を締結したが,重大な過失により錯誤に陥っていた場合において,Aが錯誤に陥っていることをBが当該契約の当時知らなかったときは,Bは,売買契約の無効を主張することができる。〔オリジナル〕

×

4 高名な画家によるとされた絵画がAからBへ,BからCへと順次売却されたが,その後に,これが偽物と判明した場合において,無資力であるBがその意思表示の要素に関し錯誤のあることを認めているときは,Cは,Bに対する売買代金返還請求権を保全するため,Bにはその意思表示の無効を主張する意思がなくても,Bの意思表示の無効を主張して,BのAに対する売買代金返還請求権を代位行使することができる。〔12-7-ウ〕

Page 7: 2017 出題予想論点 - LEC東京リーガルマインド無断複製・頒布を禁じます 2 司法書士・2017出題予想論点ローラー大作戦!・民法 1.講座の目標

無断複製・頒布を禁じます

7 司法書士・2017 出題予想論点ローラー大作戦!・民法

【錯誤の要件と効果】(注 1.2)

原則

表意者の意思表示に要素の錯誤がある場合,意思表示は無効となる。

→錯誤無効を主張する者は,自己の意思表示に要素の錯誤があることについて立

証責任を負う(大判昭 3.4.18)。

例外

表意者に重大な過失がある場合,表意者は無効を主張できない。

→重過失の存在については,相手方が,表意者に重大な過失があったことについ

て立証責任を負う(大判大 7.12.3)

再例外

表意者に重過失がある場合には錯誤無効の主張をすることは許されないが,相手

方が表意者に錯誤のあることを承知しているときは,そのような相手方を保護す

る必要はないから,民法 95 条ただし書は適用すべきでない(大判大 10.6.7)。

(注 1)民法 742 条により,婚姻を無効とする場合を限定し,民法 95 条の適用を排除している

ため,錯誤により無効となることもない(基コンメ・親族P52)。

(注 2)錯誤無効と瑕疵担保責任の関係

競合説 買主はどちらの規定の適用も自由に主張しうる

瑕疵担保責任優先説

(通説) 錯誤の規定は排除され,瑕疵担保責任の規定のみが適用される

錯誤優先説

(最判昭 33.6.14) 瑕疵担保責任の規定は排除され,錯誤の規定のみが適用される

【錯誤無効は誰が主張できるか】

表意者に重過失がない場合 表意者に重過失がある場合

表意者 無効を主張できる 無効を主張できない

相手方

第三者

原則:無効を主張できない

(最判昭 40.9.10)

例外:要素の錯誤があったことを表意

者自ら認めており,かつ,表意

者に対する債権を保全する必要

がある場合,第三者は債権者代

位権を行使する前提として無効

を主張できる

(最判昭 45.3.26)

無効を主張できない

(最判昭 40.6.4)

Page 8: 2017 出題予想論点 - LEC東京リーガルマインド無断複製・頒布を禁じます 2 司法書士・2017出題予想論点ローラー大作戦!・民法 1.講座の目標

無断複製・頒布を禁じます

8 司法書士・2017 出題予想論点ローラー大作戦!・民法

【錯誤の類型と動機の錯誤】

1 Aは,Bから彫刻甲を著名な彫刻家Cの真作であると信じて購入したが,実際には,甲は,Cの真作ではなかった場合,Aは,甲がCの真作であるという錯誤に陥っているが,Aは,甲を買う意思でその旨の意思表示をしているので,意思と表示に不一致はなく,動機の錯誤が問題となる。〔23-5-ウ〕

2 動機の表示は黙示的にされたのでは不十分であり,明示的にされ,意思表示の内容となった場合に初めて法律行為の要素となり得る。

〔23-5-エ〕

×

3 AがBから融資を受ける際に,連帯保証人を立てることを要求されたので,Cに連帯保証人になることを依頼したところ,CがAの言動から他にも連帯保証人がいると誤信して,Bとの間で保証契約を締結したが,実際には他に連帯保証人はいなかった場合において,他に連帯保証人がいることが保証契約の内容となっていないときであっても,Cは,錯誤による無効を主張することができる。〔オリジナル〕

×

4 家屋の賃貸人が自ら使用する必要があるとの事由で申し立てた家屋明渡しの調停が成立した場合において,その後にその事由がなかったことが明らかになったとしても,その事由の存否が調停の合意の内容となっていないときは,その調停について,錯誤による無効を主張することはできない。〔17-4-エ〕

5 AがBに対して財産分与として土地を譲渡した場合,Aが自己に譲渡所得税が課されることを知らず,当該財産分与に伴って自己に課税されないことを当然の前提とし,かつ,その旨を黙示的に表示していたときであっても,Aは,当該財産分与について錯誤無効の主張をすることはできない。〔オリジナル〕

×

【推論対策(動機の錯誤)】

動機の錯誤が民法第 95 条の「錯誤」に含まれるかについて,動機が相手方に

表示され,意思表示の内容となった場合には,動機の錯誤も民法 95 条の錯誤

に含まれるとする見解がある。〔オリジナル〕

1 この見解は,実際に問題になるのは動機の錯誤がほとんどであることを考慮すべきであると批判される。

2 この見解は,動機の錯誤による意思表示は,当該意思表示が民法第 95条における要素の錯誤か否か,また,重大な過失があるか否かにより調節した上で,錯誤無効とするかを判断すれば足りると主張する。

×

3 この見解は,動機の表示は黙示で足りるため,法律行為の内容について柔軟に判断することができると主張する。

Page 9: 2017 出題予想論点 - LEC東京リーガルマインド無断複製・頒布を禁じます 2 司法書士・2017出題予想論点ローラー大作戦!・民法 1.講座の目標

無断複製・頒布を禁じます

9 司法書士・2017 出題予想論点ローラー大作戦!・民法

【錯誤の類型と動機の錯誤】

意思の欠缺 内容の錯誤:例)10 ドルと 10 ポンドは同価値であると誤解し,10 ドルのつもりで 10 ポンドと表示した場合

表示上の錯誤:例)100 万円と言うつもりで 100 万ドルと言った場合

動機の錯誤:例)鉄道敷設予定地であると誤解し,そうでない土地を高価で買った

<動機の錯誤の処理(判例)>

原則 動機の錯誤は,95 条の錯誤にあたらず,無効主張することはできない。

例外 動機が明示的又は黙示的に表示されれば,動機も意思表示の内容となり,その場合

には 95 条が適用され,無効主張することができる(最判昭 29.11.26)。(注)

(注)具体例

ex.1 自分以外にも連帯保証人がいるものと誤信して,連帯保証人になることを同意した場合,

他にも連帯保証人がいると誤信したことは単なる動機の錯誤にすぎないため,他に連帯保証

人がいることが保証契約の内容となっていないときは,錯誤無効を主張することはできない

(最判昭 32.12.19)

ex.2 家屋の賃貸人が自ら使用する必要があるとの事由で申し立てた家屋明渡しの調停が成立

した場合,後にその事由の不存在が明らかとなっても,その事由の存否が調停の合意の内

容となっていないときは,その調停について錯誤による無効を主張することはできない(最

判昭 28.5.7)

ex.3 協議離婚に伴う財産分与契約において,分与者が自己に譲渡所得税が課されることを知ら

ず,そのような理解を当然の前提とし,かつその旨を黙示的に表示していた場合,当該財

産分与につき錯誤無効の主張をすることができる(最判平元.9.14)

【推論対策(動機の錯誤)】

動機表示説 (最判昭 29.11.26)

一元的構成説 (動機表示不要説)

錯誤とは 「効果意思」と「表示行為」の不一致を表意者が知らないこと

「真意」と「表示行為」の不一致を表意者が知らないこと(注)

結論 動機の錯誤は,95 条の錯誤にあたらない。

動機の錯誤も,95 条の錯誤にあたる。

理由

①動機の錯誤と他の錯誤との区別は必ずしも明白ではないから,客観的基準を立てる必要がある。

②動機が表示されることを要求することで,取引の安全を図ることができる。

①動機の錯誤と他の錯誤との区別は不明確である。

②錯誤の多くは動機の錯誤であり,表意者保護の観点から無効主張を認める必要がある。

③動機はその性質上表示することとは相容れないし,他の錯誤の場合に表示を要求せず動機の錯誤の場合にだけ表示を要求することにも一貫性がない。

批判 無効主張できる場面が狭まり,表意者保護に欠ける。

無効主張できる場面が広がり,相手方保護に欠ける。

反論 動機が明示的又は黙示的に表示されて意思表示の内容となった場合には,95 条の錯誤として無効を主張し得る。

「要素」の錯誤か否か,「重過失」があるか否かにより調整されるので,必ずしも無効主張できるわけではない。

(注) 「真意」= 錯誤がなかったならば有したであろう意思

Page 10: 2017 出題予想論点 - LEC東京リーガルマインド無断複製・頒布を禁じます 2 司法書士・2017出題予想論点ローラー大作戦!・民法 1.講座の目標

無断複製・頒布を禁じます

10 司法書士・2017 出題予想論点ローラー大作戦!・民法

<MEMO>

Page 11: 2017 出題予想論点 - LEC東京リーガルマインド無断複製・頒布を禁じます 2 司法書士・2017出題予想論点ローラー大作戦!・民法 1.講座の目標

無断複製・頒布を禁じます

11 司法書士・2017 出題予想論点ローラー大作戦!・民法

代理(有権代理)

15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28

代理一般 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎

無権代理・表見代理 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎

<詳細>

代理一般

代理と使者 ◎

代理の要件 肢

代理行為の瑕疵 肢

復代理 ◎

無権代理・表見代理

無権代理 ◎ ◎ ◎ 肢 ◎

表見代理 ◎ 肢

<分析>ほぼ毎年出題される。代理一般が2年間空いている(最長で3年)

出題されるときは、「代理行為の瑕疵」がほぼ毎年出題される。

Page 12: 2017 出題予想論点 - LEC東京リーガルマインド無断複製・頒布を禁じます 2 司法書士・2017出題予想論点ローラー大作戦!・民法 1.講座の目標

無断複製・頒布を禁じます

12 司法書士・2017 出題予想論点ローラー大作戦!・民法

【代理権の範囲①】

1 代理行為の範囲を定めずにした代理権授与行為は,要件を欠くため無効である。〔オリジナル〕

×

【代理権の範囲②】

AはBから代理権を付与されたが,特にその権限の内容や範囲は決められ

ていない。この場合,Aは以下の行為をすることができるか。〔オリジナル〕

1 期限の到来した債務の弁済

できる

2 田畑を宅地に変更すること

できない

3 預金を株式にすること

できない

【代理権の消滅事由】

1 委任による代理人が保佐開始の審判を受けた場合,当該代理人の代理権は消滅する。〔オリジナル〕

×

2 Aが,Bに対して,甲土地を購入するための代理権を付与した後,Bが死亡した場合,Bの相続人Cは,相続の放棄をしなくても,代理人の地位を承継しない。〔オリジナル〕

【代理人の権限濫用】

1 Aの代理人Bが自己の利益を図るために権限内の行為をした場合において,相手方CがBの意図を知ることができたときは,Aは,Cに対しBの行為について無効の主張をすることができる。

〔9-2-エ(6-4-ア,12-3-3,18-4-ア,22-5-ア,26-5-ウ)〕

2 代理人が自己又は第三者の利益を図るために代理権を濫用した場合,相手方が代理人の意図を知っていたときであっても,それが客観的に代理権の範囲内にあれば,代理人がした意思表示は本人に帰属する。

〔オリジナル〕

×

Page 13: 2017 出題予想論点 - LEC東京リーガルマインド無断複製・頒布を禁じます 2 司法書士・2017出題予想論点ローラー大作戦!・民法 1.講座の目標

無断複製・頒布を禁じます

13 司法書士・2017 出題予想論点ローラー大作戦!・民法

【代理権の範囲】

103 条

権限の定めのない代理人は,次に掲げる行為のみをする権限を有する。

① 保存行為

② 代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内において,その

利用又は改良を目的とする行為

趣旨 代理権があることは明らかだが,その範囲が不明な場合や,特に範囲を決

めていない場合にこれを補充する規定が本条である。

権限の定めがな

い場合(103)

①保存行為

ex.家屋の修繕,消滅時効の中断,未登記不動産の登記,期限の到来し

た債務の弁済,腐敗しやすい物の処分(売却して金銭に代えるなど),

期限の到来した通常の債権の取立て

②目的物又は権利の性質を変えない範囲内での利用行為

ex.現金を銀行預金にすること,金銭を利息付で貸し付けること

cf.預金を株式にすること,銀行預金を無利息で貸し付けることは利用

行為に当たらない

③目的物又は権利の性質を変えない範囲内での改良行為

ex.家屋に造作を施すこと,無利息消費貸借を利息付に改めること

cf.田地を宅地にすることは改良行為に当たらない

【代理権の消滅事由】 ○=消滅原因に当たる ×=当たらない

法 定 代 理(111) 任 意 代 理(111・653・651)

本 人 代 理 人 本 人 代 理 人

死亡 ○ ○ ○(注) ○

後 見 開 始 の

審判 × ○ × ○

破 産 手 続 開

始の決定 × ○ ○ ○

解約告知 × × ○ ○

(注) 本人が死亡すると,本人たる地位を相続人が承継するのではなく,代理権は消滅する。

しかし,以下の場合,本人が死亡しても代理権は消滅しない。

① 授権行為で別段の定めをした場合

② 登記申請の代理権の場合(不 17①)

③ 商行為の委任による代理権の場合(商 506)

④ 訴訟代理権の場合(民訴 58)

【代理人の権限濫用】

論点の見抜き方 <キーワード>・ 自己の利益を図る目的で・・・

・ 費消する目的で・・・・・ ・ 代理権を濫用して・・・・・・

処理 →民法 93 条 類推適用

原則 代理権濫用の意図があっても,本人に法律効果を帰属させる意思(代理意思)がある以上代理行為として有効であり,本人に効果が帰属する(大判大 6.7.21)

例外

代理人が自己又は第三者の利益を図るため権限内の行為をしたときは,相手方が代理人の代理権濫用の意図を知り又は知ることができた場合に限り,93 条但書の類推により,本人は代理行為の無効を主張できる(最判昭42.4.20)

Page 14: 2017 出題予想論点 - LEC東京リーガルマインド無断複製・頒布を禁じます 2 司法書士・2017出題予想論点ローラー大作戦!・民法 1.講座の目標

無断複製・頒布を禁じます

14 司法書士・2017 出題予想論点ローラー大作戦!・民法

【自己契約・双方代理】

1 Aが有する乙土地をBに売却した場合,ABともにCを同一の代理人として,登記申請をすることができる。〔オリジナル〕

〇 (最判昭 43.3.8) 売買契約から生じた義務を履行するに過ぎない

2 売主の代理人として売買契約を締結する権限を与えられていた者が,その売買契約の買主となる場合,その者は,あらかじめ売主の許諾を得ていたときは,売主の代理人として当該売買契約を締結することができる。〔オリジナル〕

3 Aからその所有する甲建物の売却について代理権を与えられているCが,買主Bの代理人も兼ねてAB間の売買契約を締結した場合,その契約は無効であり,Aはこれを追認することができない。〔オリジナル〕

×

4 賃貸借契約当事者間においてする,「将来紛争が発生した場合の和解のために,賃借人の代理人の選任を賃貸人に委ねる」という契約は,有効である。〔オリジナル〕

×

5 金銭消費貸借の貸主Aは,借主Bを代理して自己の債権につき消滅時効完成後に弁済することができる。〔オリジナル〕

×

【顕名と代理行為の効果帰属先】

1 代理人が本人のためにすることを示さないで意思表示をなした場合であっても,相手方がその本人のためにすることを知っていたときには,その意思表示は直接本人に対して効力を生ずる。

〔5-4-4(18-4-ウ,22-5-イ,26-5-ア)〕

2 Aが,Bに対して,Cから甲建物を購入するための代理権を付与した後,BがCとの間で甲建物を購入する旨の契約を締結したが,BがAのためにすることを示さなかった場合において,BがAのためにする意思をもって当該契約を締結したことをCが知ることができたときは,Bがした意思表示は,Aに対して効力を生ずる。〔オリジナル〕

3 Aの代理人であるBは,Cに対し物品甲を売却した(なお,この売却行為は,商行為には当たらないものとする。)。この事例に関して,Bは,Aのためにする意思をもってCに対し物品甲を売却したが,その際,売買契約書の売主署名欄にAの氏名のみを記載し,自己の氏名を記載しなかった。この場合において,契約書にAの氏名だけを記載することをAがBに許諾しており,Cも契約書に署名したBではなくAと契約する意思を有していたときは,Bがした意思表示は,Aに対して効力を生ずる。〔22-5-エ(26-5-イ)〕

Page 15: 2017 出題予想論点 - LEC東京リーガルマインド無断複製・頒布を禁じます 2 司法書士・2017出題予想論点ローラー大作戦!・民法 1.講座の目標

無断複製・頒布を禁じます

15 司法書士・2017 出題予想論点ローラー大作戦!・民法

【自己契約・双方代理】

意義 自己契約 当事者の一方が他方の代理人になること(自己契約)

双方代理 同一人が当事者双方の代理人になること(双方代理)

原則

禁止(108 本文) (注 1)

→108 条違反の行為は無権代理であり,本人の追認によって有効となる

(大判大 12.5.2)。

例外 (1)債務の履行(108 但書)(注 2)

(2)本人の承諾を得た場合(108 但書,大判大 11.6.6 等)

(注 1) 形式的には自己契約・双方代理ではなくても,実質的に 108 条の趣旨に反する行

為は禁止されうる。

例えば,借家人が家屋の賃貸借契約を結ぶ際に,借家人と家主との間で紛争が生

じた場合には,家主に借家人の代理人を選任することをあらかじめ委任する旨の契

約を結んでいた場合,108 条の趣旨に照らして,このような委任契約は無効である

(大判昭 7.6.6)。

(注 2) 弁済期の到来した代金債務の支払がこれにあたるが,弁済期到来前の債務,争い

のある債務,時効にかかった債務の弁済のように本人の利益を害するおそれのある

ものは 108 条ただし書には含まれない(通説)。本人に不利益を及ぼしうるものだか

らである。

【顕名と代理行為の効果帰属先】 A=本人 B=代理人 C=相手方

本人 A

代理人B 相手方C

名義(注 1) 条文 結論

「A代理人B」 99 条1項(顕名あり) AC間に効果帰属

「B」

(注 2)

100 条本文 (注 3) BC間に効果帰属

100 条ただし書

(相手方が代理意思を知り,又は知るこ

とができた場合)

AC間に効果帰属

「A」 条文の不存在 AC間に効果帰属と考えるべき

(注 1) 代理意思がある場合を前提とする。

(注 2) 代理意思がない場合は他人物売買になる。

(注 3) 100 条本文の趣旨は,代理人による錯誤無効(本人に法律効果を帰属させる効果意

思と代理人自身に法律効果が帰属するかのような表示行為との不一致)の主張を禁

ずる点にある。

Page 16: 2017 出題予想論点 - LEC東京リーガルマインド無断複製・頒布を禁じます 2 司法書士・2017出題予想論点ローラー大作戦!・民法 1.講座の目標

無断複製・頒布を禁じます

16 司法書士・2017 出題予想論点ローラー大作戦!・民法

【代理行為の瑕疵】

1 Bの代理人Aは,CからC所有のマンションを購入する旨の契約を締結した。この場合,契約当時Aが当該マンションに瑕疵があることを知っていたときは,Bは,Cに対して瑕疵担保責任を追及することができない。〔18-4-イ〕

2 Aが,Bに対して,Cから甲建物を購入するための代理権を付与した後,BがAの代理人としてCとの間で甲建物を購入する旨の契約を締結した場合において,当該売買契約を締結した当時,甲建物に瑕疵が存在し,Bはその瑕疵の存在を知っていたが,Aはその瑕疵の存在を過失なく知らなかったときは,Aは,Cに対して瑕疵担保責任を追及することができる。〔オリジナル〕

×

3 Aが代理人Bに特定の動産を買い受けることを委託し,BがAの指図に従って相手方Cからその動産を買い受けた場合において,Cが無権利者であることをAが知っていたとしても,Bがその事実を知らず,かつ,そのことに過失がなかったときは,その動産について即時取得は成立しない。〔16-5-イ(9-2-イ,5-4-1)〕

4 AとCの取引で,Aの代理人Bが,Cの代理人Dに代理権のないことを知らないことに過失があったとしても,Aは,Dに対して無権代理人の責任を追及することができる。〔9-2-ウ(3-1-4)〕

×

5 AがEに対しガン予防の薬品の購入を委任し,EがBから甲薬品はガンの予防に抜群の効果があるとの虚偽の説明を受け,これを信じてAの代理人として甲薬品を購入した場合,Aは,甲薬品がガンの予防に効果がないことを知っていたとしても,Bとの間の売買契約を取り消すことができる。〔13-1-エ〕

【代理人と相手方の通謀虚偽表示】

1 Aの代理人Bの代理行為が相手方Cとの通謀虚偽表示に基づくものであった場合において,Aがそのことを知らなかったときは,Cは,Aに対しその行為について無効の主張をすることができない。

〔9-2-オ〕

×

2 Aは,Bから土地売却の代理権を与えられている。AがCと通謀してBの土地を売却したように装ってBを欺罔した場合,Bは善意無過失であれば,Cに対して土地の売却代金を請求することができる。

〔オリジナル〕

Page 17: 2017 出題予想論点 - LEC東京リーガルマインド無断複製・頒布を禁じます 2 司法書士・2017出題予想論点ローラー大作戦!・民法 1.講座の目標

無断複製・頒布を禁じます

17 司法書士・2017 出題予想論点ローラー大作戦!・民法

【代理行為の瑕疵】

論点

① 意思の不存在(心裡留保・虚偽表示・錯誤)による無効の主張

② 詐欺・強迫による取消し

③ 善意・無過失を要件とする規定(即時取得,瑕疵担保責任など),等の成

否は誰を基準に考えるか?

原則 代理人基準(101Ⅰ)(注 1)

例外

① 本人が悪意・有過失

② 特定の法律行為を委託された代理人が(注 2)

③ 本人の指図に従い代理行為をした場合

→ 本人基準(101Ⅱ)

趣旨

代理人は自己の意思表示をなす者であるから,意思表示の瑕疵の有無などは代

理人を基準とすべきことを規定している(Ⅰ)。もっとも,本人が代理人の意

思決定に影響を与えた場合には,公平の観点より代理人の知・不知に影響を及

ぼすものとしている(Ⅱ)。

(注 1) 法人の法律行為の場合

法人の法律行為に瑕疵があるか否かは,第一次的にはその代表機関である自然人につ

いて決すべきであるが,当該法律行為が代理人によってされた場合は,その瑕疵の有

無は代理人について決すべきである(最判昭 47.11.21)。

(注 2) 「特定の法律行為の委託」とは

ex.1「ガン予防の薬品の購入を委託」 → ×

ex.2「ガン予防の○○薬品の購入を委託」 → ○

【代理人と相手方の通謀虚偽表示】

(論点)代理人と相手方が通謀虚偽表示をした場合の処理

原 則 無 効(101)

例外事例

代理人が本人を欺く目的を

持って相手方と通謀虚偽表

示をした場合

93 条類推適用(大判昭 14.12.6)

原則 有効

例外 本人が相手方の真意を知り又は知りえる場合は無効

Page 18: 2017 出題予想論点 - LEC東京リーガルマインド無断複製・頒布を禁じます 2 司法書士・2017出題予想論点ローラー大作戦!・民法 1.講座の目標

無断複製・頒布を禁じます

18 司法書士・2017 出題予想論点ローラー大作戦!・民法

【詐欺による代理行為の効果】

1 Aの代理人であるBは,Cに対し物品甲を売却した。Bの意思表示がCの詐欺によるものであったときは,Bは,その意思表示を取り消すことができるが,Aは,Bによる意思表示を取り消すことができない。〔22-5-ウ〕

×

2 Aは,Bの代理人として,Cとの間で金銭消費貸借契約及びB所有の甲土地に抵当権を設定する旨の契約を締結した。本契約がAのCに対する詐欺に基づくものである場合,Bがこれを過失なく知らなくても,Cは,本契約を取り消すことができる。〔12-3-4〕

3 Aの代理人Bが相手方Cとの間で売買契約を締結した場合,Cの意思表示がAの詐欺によるものであったときでも,Bがその事実を知らなかった場合には,Cは,その意思表示を取り消すことができない。

〔9-2-ア〕

×

【代理と能力】

1 未成年者を代理人に選任した場合に,その者が代理人としてなした法律行為は本人がこれを取り消すことができる。

〔5-4-2(54-13-3,57-2-2,12-3-1,13-1-オ)〕

×

2 BがAのためにする意思をもって,Aの代理人であることを示して,Cに対し物品甲を売却した場合であっても,Bが未成年者であるときは,Bがした意思表示は,Aに対して効力を生じない。〔22-5-オ〕

×

3 Aは,Bの任意代理人であるが,Bから受任した事務をCを利用して履行しようとしている。AがCを復代理人として選任する場合には,Cは,意思能力を有することは必要であるが,行為能力者であることは要しない。〔14-4-1〕

4 他人の任意代理人として代理行為をするためには,成年被後見人は,成年後見人の同意を得ることが必要であるが,被保佐人は,保佐人の同意を得ることを要しない。〔9-1-3(59-3-2)〕

×

Page 19: 2017 出題予想論点 - LEC東京リーガルマインド無断複製・頒布を禁じます 2 司法書士・2017出題予想論点ローラー大作戦!・民法 1.講座の目標

無断複製・頒布を禁じます

19 司法書士・2017 出題予想論点ローラー大作戦!・民法

【詐欺による代理行為の効果】

【代理と能力】

102 条 代理人は,行為能力者であることを要しない。(注)

意味

意思能力者であればよく行為能力者である必要はないが,代理人が制限行為能

力者であったとしても,行為能力の制限を理由にその代理行為を取り消すこと

はできないということを意味する

趣旨

①代理行為の効果は本人に帰属するから,代理人に不利益が及ばないこと,②

本人も代理人が制限行為能力者であることを承知の上で代理権を授与した以

上,後に代理行為を取り消すことを排除する必要があること

(注)代理人には行為能力は要求されないが,意思能力は必要とされる。

本 人

代理人 相手方 詐欺

∴ 本人が取消権を取得する

本 人

代理人 相手方 詐欺

∴ 本人が善意であっても相手方は取

り消すことができる(101Ⅰ,大判昭

7.3.5)

cf.

①詐欺

本 人

代理人 相手方 ②契約

∴ 代理人が善意であっても相手方は取

り消すことができる(通説)。

①詐欺

Page 20: 2017 出題予想論点 - LEC東京リーガルマインド無断複製・頒布を禁じます 2 司法書士・2017出題予想論点ローラー大作戦!・民法 1.講座の目標

無断複製・頒布を禁じます

20 司法書士・2017 出題予想論点ローラー大作戦!・民法

【復任権の有無】

1 委任による代理人はやむを得ない事由があるときは,本人の許諾を得なくても,復代理人を選任することができる。

〔4-2-ア(54-13-2,68-8-1)〕

2 任意代理人には,原則として復任権は認められていない。しかし,本人の許諾を得た場合や,やむを得ない事由がある場合に復任権が認められている〔オリジナル〕。

3 法定代理人は復代理人を選任することができない。〔オリジナル〕

×

【原代理人の責任】

1 Aは,Bの任意代理人であるが,Bから受任した事務をCを利用して履行しようとしている。AがBの指名によりCを復代理人として選任した場合には,Aは,Cが不適任であることを知っていたときでも,その選任について責任を負うことはない。〔14-4-3〕

×

2 法定代理人は,復代理人を選任したときは,やむを得ない事由によりその選任をした場合を除き,その選任及び監督につき過失がなかった場合であっても,復代理人の行為について本人に対して責任を負う。

〔61-8-4(5-4-3)〕

3 復代理人が本人の許諾を得て選任された者である場合には,本人の同意がなければ,代理人は,復代理人を解任することはできない。

〔19-5-エ〕

×

4 未成年者Aの親権者である法定代理人Bが,やむを得ない事由によって,Cを復代理人として選任した場合,Bは,その選任及び監督について,Aに対してその責任を負う。〔オリジナル〕

【復代理人と本人の関係】

1 復代理人が委任事務の処理に当たって金銭等を受領した場合,復代理人は,委任事務の処理に当たって,本人に対して受領物を引き渡す義務を負うほか,代理人に対しても受領物を引き渡す義務を負うが,復代理人が代理人に受領物を引き渡したときは,本人に対する受領物引渡義務は,消滅する。〔19-5-ウ〕

2 本人と代理人との間の委任契約によって代理権が授与されている場合において,代理人が本人に対して報酬を請求することができるときでも,復代理人は,直接本人に対して報酬を請求することはできない。

〔オリジナル〕

×

Page 21: 2017 出題予想論点 - LEC東京リーガルマインド無断複製・頒布を禁じます 2 司法書士・2017出題予想論点ローラー大作戦!・民法 1.講座の目標

無断複製・頒布を禁じます

21 司法書士・2017 出題予想論点ローラー大作戦!・民法

【復任権の有無】

任意代理人の復任権(104) 法定代理人の復任権(106)

原則 復任権なし 復任権あり

例外 ① 本人の許諾を得た場合

② やむを得ない事由があるとき (注)

(注)参考

遺言執行者は,①やむを得ない事由があるとき,又は②遺言者が遺言で反対の意思を表

示したときに限り復任権を有する(1015・1016)。

【原代理人の責任】

任意代理人の責任(105) 法定代理人の責任(106)

原則 不適当な者を選任し又は行動の監督を怠

った場合に責任を負う

選任・監督についての過失の有無を問わず,

全責任を負う

例外

本人の指名に従って選任したとき

その者の不適任又は不誠実なことを知っ

て本人への通知又は解任を怠った場合に

だけ責任を負う

やむを得ない事由によって選任したとき

選任・監督について責任を負う

【復代理人と本人の関係】

107 条2項 復代理人は,本人及び第三者に対して,代理人と同一の権利義務を有する

趣旨

本来,本人と復代理人との間には選任行為はないから,本人と復代理人との間

には何ら実質的・内部的な法律関係は生じないはずである。しかし,本人は,

復代理人の対外的な代理行為によって,原代理人の代理行為によるのと同様の

利害を受けるものである。そこで,本人,復代理人の便宜,簡明な法的処理を

考えて,本人・復代理人間にも本人・原代理人間と同様の内部関係を生じさせ

ることにしたのである。

具体例

代理人が本人と委任関係(643 条以下)にあるときは,復代理人も本人に対し

て受任者たる地位に立ち,受任者としての権利義務(善管注意義務:644 条,

受領金銭などの引渡義務:646 条,費用償還請求権:650 条,報酬請求権:648

条など)を有することになる。

(最判昭 51.4.9)

復代理人が代理行為の相手方から金銭等を受領した場合には,復代理人は,代理人に対して

引渡義務(646)を負うほか,本人に対しても引渡義務(107Ⅱ)を負うことになるが,この

場合において復代理人が代理人に受領物を引き渡したときは,代理人に対する引渡義務は消

滅し,本人に対する引渡義務も消滅する。

本 人 代理人 復代理人

委任契約+代理権授与 委任契約+代理権授与 売 却

A B C D

引渡債権(646Ⅱ) 引渡債権(646Ⅱ)

Page 22: 2017 出題予想論点 - LEC東京リーガルマインド無断複製・頒布を禁じます 2 司法書士・2017出題予想論点ローラー大作戦!・民法 1.講座の目標

無断複製・頒布を禁じます

22 司法書士・2017 出題予想論点ローラー大作戦!・民法

【復代理人選任の効果】

1 Aは,Bの任意代理人であるが,Bから受任した事務をCを利用して履行しようとしている。Aがやむを得ない事情によりBの許諾を得ることなくCを復代理人として選任した場合には,Cの復代理人としての権限は,保存行為又は代理の目的たる権利の性質を変更しない範囲における利用若しくは改良行為に限られる。〔14-4-4〕

×

2 委任による代理人は,復代理人を選任したときは,自ら代理行為をすることができない。〔61-8-2(4-2-ウ,19-5-イ)〕

×

3 復代理人は,代理行為をするに当たっては,本人のためにすることを示すほか,自己を選任した代理人の名を示すことを要する。

〔61-8-5(4-2-イ,19-5-ア)〕

×

4 Aは,Bの任意代理人であるが,Bから受任した事務をCを利用して履行しようとしている。Aから復代理人として適法に選任されたCの法律行為の効果がBに帰属するためには,CがAのためにすることを示して当該法律行為をすることが必要である。〔14-4-5〕

×

5 復代理人が本人の指名に従って選任された場合,復代理人の代理権は,代理人の代理権が消滅しても消滅しない。

〔19-5-オ(4-2-オ,54-13-5)〕

×

6 Aが,委任契約に基づきBに対し,自己所有の甲不動産の売却に関する代理権を付与した後,BがCを復代理人に選任する場合,Bは,Aの名でCを復代理人として選任しなければならない。〔オリジナル〕

×

7 Aが,委任契約に基づきBに対し,自己所有の甲不動産の売却に関する代理権を付与した後,Bが適法にCを復代理人に選任した場合,Bが後見開始の審判を受けたときであっても,Cは,Aを代理することができる。〔オリジナル〕

×

Page 23: 2017 出題予想論点 - LEC東京リーガルマインド無断複製・頒布を禁じます 2 司法書士・2017出題予想論点ローラー大作戦!・民法 1.講座の目標

無断複製・頒布を禁じます

23 司法書士・2017 出題予想論点ローラー大作戦!・民法

【復代理人選任の効果】

本 人

原代理人 □ 復代理人を選任することによって原代理権を失わない(大判明 44.4.28)

□ 復代理人を解任する権限を有する

復代理人 ① 独立性

復代理人は原代理人の代理人ではなく本人の代理人である(107)

→ 本人の名を示して代理行為をなし,その効果は直接本人に帰属する(99Ⅰ)

② 原代理人に対する従属性

復代理人の代理権(復代理権)は原代理人の代理権(原代理権)に基づいている

→ ① 復代理権の範囲は原代理権の範囲を超えられない

② 原代理権の消滅に伴って原則として復代理権は消滅する

Page 24: 2017 出題予想論点 - LEC東京リーガルマインド無断複製・頒布を禁じます 2 司法書士・2017出題予想論点ローラー大作戦!・民法 1.講座の目標

無断複製・頒布を禁じます

24 司法書士・2017 出題予想論点ローラー大作戦!・民法

【代理と使者】

Aは,Bを利用して,Cと売買契約を締結し,甲動産を取得しようとして

いる。

1 BがAの代理人である場合,Aは,Bに対し,売買代金額に関する決定権限を付与することができる。〔16-5-エ〕

2 BがAの使者である場合,Aは,Bに対し,売買代金額に関する決定権限を付与することができる。〔16-5-エ〕

×

3 BがAの代理人である場合,甲動産の購入に際し,Bには意思能力がある必要はないが,Aには行為能力がある必要がある。〔16-5-ウ〕

×

4 BがAの使者である場合,Cが甲動産の所有権を有しない場合において,Aは,Cが甲動産の所有者であるものと誤信し,かつ,誤信したことにつき無過失であったが,Bは,Cが甲動産の所有者でないことにつき悪意であったときは,Aは,甲動産を即時取得することができない。〔16-5-イ〕

×

5 BがAの代理人である場合,Bが,Cに対し,売買の目的物を誤ってCの所有する乙動産と表示してしまい,その表示内容による売買契約が締結された場合において,誤った表示をしたことにつきAに重過失があるときは,Aは,乙動産の代金支払を免れることができない。

〔16-5-ア〕

×

6 BがAの使者である場合,Bが,Cに対し,売買の目的物を誤ってCの所有する乙動産と表示してしまい,その表示内容による売買契約が締結された場合において,誤った表示をしたことにつきAに重過失があるときは,Aは,乙動産の代金支払を免れることができない。

〔16-5-ア〕

7 BがAの代理人である場合,Aの許諾がない場合には,Bは,やむを得ない事由がない限り,その任務を他の者にゆだねることができない。

〔16-5-オ〕

8 BがAの使者である場合,Aの許諾がない場合には,Bは,やむを得ない事由がない限り,その任務を他の者にゆだねることができない。

〔16-5-オ〕

×

Page 25: 2017 出題予想論点 - LEC東京リーガルマインド無断複製・頒布を禁じます 2 司法書士・2017出題予想論点ローラー大作戦!・民法 1.講座の目標

無断複製・頒布を禁じます

25 司法書士・2017 出題予想論点ローラー大作戦!・民法

【代理と使者】

A A

代理人B 相手方 使者B 相手方

代理 使者

意思決定 代理人が決定する

(注 1) 本人が決定する

行為者

意思能力 必要 不要

行為能力 不要(102)

(注 2) 不要

本人

意思能力 不要 必要

行為能力 不要 必要

行為の瑕疵は誰を基準に

判断するのか

代理人について判断

(101Ⅰ) 本人について判断

Bが婚姻の意思表示をす

ることができるか 不可 可

復任 制限あり

(104~106) 原則として許される

無権限のBが行った場合

の責任

無権代理人の責任

(117) 原則としてなし

(注 1)意思決定は代理人が行うため,売買代金額の決定について,代理人の意思にゆだねる

ことができる。一方,使者である場合,使者は自ら意思決定を行わないため,売買代金額の

決定について,使者の意思にゆだねることができない。

(注 2)意思能力者であればよく行為能力者である必要はないが,代理人が制限行為能力者で

あったとしても,行為能力の制限を理由にその代理行為を取り消すことはできないというこ

とを意味する。

Page 26: 2017 出題予想論点 - LEC東京リーガルマインド無断複製・頒布を禁じます 2 司法書士・2017出題予想論点ローラー大作戦!・民法 1.講座の目標

無断複製・頒布を禁じます

26 司法書士・2017 出題予想論点ローラー大作戦!・民法

<MEMO>

Page 27: 2017 出題予想論点 - LEC東京リーガルマインド無断複製・頒布を禁じます 2 司法書士・2017出題予想論点ローラー大作戦!・民法 1.講座の目標

無断複製・頒布を禁じます

27 司法書士・2017 出題予想論点ローラー大作戦!・民法

条件・期限

14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28

条件及び期限 ◎ ◎ ◎ ◎

<詳細>

条件 ◎

◎ ◎

期限

<根本の分析>・近年の出題間隔が「2年」2回 「3年」1回 ・今 4年空いている

Page 28: 2017 出題予想論点 - LEC東京リーガルマインド無断複製・頒布を禁じます 2 司法書士・2017出題予想論点ローラー大作戦!・民法 1.講座の目標

無断複製・頒布を禁じます

28 司法書士・2017 出題予想論点ローラー大作戦!・民法

【条件の成就・不成就の効果】

1 停止条件付法律行為について条件が成就した場合,初めから効力を有していたものとみなされる。〔2-16-1(17-6-ア)〕

×

2 解除条件付法律行為がされた場合において,その条件が成就したときには,その法律行為は,その法律行為の時にさかのぼって効力を失う。

〔59-4-1(17-6-ア,21-4-オ)〕

×

【条件の成否未定の間における相手方の利益の侵害の禁止】

1 Yは,Xとの間で,Xが半年後に実施される資格試験に合格したら,Y所有の甲時計をXに贈与する旨を約した。その後,Yは,故意に甲時計を壊した。Xは,これを知り,当該資格試験に合格した後,Yに対し,不法行為に基づく甲時計の価額相当分の損害賠償を請求した。この場合,XのYに対する請求は認められる。〔24-5-オ〕

【条件成就の妨害(130)】

1 Yは,Xとの間で,Yが交際中のAと結婚したら,Y所有の甲自動車をXに贈与する旨を約した。その後,Yは,Aから結婚の申込みを受けたが,仕事の都合から回答を保留し,これがきっかけとなって,結局,YとAとの関係が破綻し,YがAと結婚する見込みはなくなった。この場合,XのYに対する甲自動車の引渡し請求は認められる。

〔24-5-ウ〕

×

2 条件の成就によって利益を受ける当事者が信義則に反するような方法で条件を成就させた場合には,条件の成就によって不利益を受ける当事者は,条件が成就していないものとみなすことができる。

〔21-4-ウ〕

3 Yは,Xとの間で,X所有の甲カメラが壊れたら,Y所有の乙カメラをXに贈与する旨を約した。その後,Xは,Xの妻であるAに甲カメラを壊すように依頼し,Aが故意に甲カメラを壊した。この場合,XのYに対する,乙カメラの引渡し請求は認められる。〔24-5-イ〕

×

4 農地法所定の許可を条件とする農地の売買契約が締結された場合において,売主が故意にその許可がされることを妨げたときには,買主は,その条件が成就したものとみなして,売主にその農地の引渡しを請求することができる。〔59-4-5〕

×

Page 29: 2017 出題予想論点 - LEC東京リーガルマインド無断複製・頒布を禁じます 2 司法書士・2017出題予想論点ローラー大作戦!・民法 1.講座の目標

無断複製・頒布を禁じます

29 司法書士・2017 出題予想論点ローラー大作戦!・民法

【条件の成就・不成就の効果】

停 止 条 件 解 除 条 件

成 就

原則条件成就の時から法律行為の

効力が発生する(127Ⅰ) 原則

条件成就の時から法律行為は効

力を失う(127Ⅱ)

例外

当事者が効力の発生を条件成

就以前にさかのぼらせる意思

を表示したときはその意思に

従う(127Ⅲ)

例外

当事者が効力の消滅を条件成就

以前にさかのぼらせる意思を表

示したときはその意思に従う

(127Ⅲ)

不成就 法律行為の効力は発生しない 既発生の効力が存続する

【条件の成否未定の間における相手方の利益の侵害の禁止】

128 条 条件付法律行為の各当事者は,条件の成否が未定である間は,条件が成就した

場合にその法律行為から生ずべき相手方の利益を害することができない。

効果

当事者又は第三者が,条件成就により利益を得る相手方に対し,条件成就によ

る履行を不可能にした場合,相手方に損害賠償請求権が発生する(709)。

この損害賠償請求権も条件付きで成立する,つまり,条件が成就したときには

じめて請求できるとするのが通説である。したがって,条件成就前においては

損害賠償を請求することはできない。

【条件成就の妨害(130)】(注)

要 件 ① 条件成就によって不利益を受ける当事者がその成就を妨害すること

② 故意に妨害すること

効 果

1 当然に条件が成就するのではなく,条件が成就したとみなすことのできる権利

(形成権)を取得する。

2 128 条に規定する損害賠償請求権と本条の権利とは選択的に行使できる。

該当

事例1

不動産の買主が仲介を依頼した宅地建物取引業者を排除して直接取引をした場合

には,当該業者は条件が成就したものとみなして報酬を請求することができる(最

判昭 45.10.22)。

該当

事例2

山林売却を委任し,成功を停止条件とする報酬を約した者が受任者を介せず他人に

山林を売却することは条件の成就を妨害する場合に該当し,報酬を請求することが

できる(最判昭 39.1.23)。

非該当

事例

農地の売主が農地法の許可(法定条件)の申請に協力しない場合,買主は条件(許

可)が成就したものとみなして当該農地の所有権を取得することができない(最判

昭 36.5.26)。

(注)比較判例 当事者の故意による成就(最判平6.5.31)

条件の成就によって利益を受ける当事者が故意に成就させた場合,相手方は,130 条の類推

適用により,条件が成就していないものとみなすことができる

Page 30: 2017 出題予想論点 - LEC東京リーガルマインド無断複製・頒布を禁じます 2 司法書士・2017出題予想論点ローラー大作戦!・民法 1.講座の目標

無断複製・頒布を禁じます

30 司法書士・2017 出題予想論点ローラー大作戦!・民法

【既成条件・不法条件・不能条件・純粋随意条件】

1 法律行為の当時,停止条件の不成就が既に確定していた場合に,当事者がそれを知らなかったときは,無条件の法律行為となる。

〔2-16-5(54-22-4,17-6-オ)〕

×

2 条件が法律行為の当時,既に成就している場合において,その条件が解除条件であるときは無効である。〔54-22-5(17-6-オ)〕

3 不法行為をしないことを停止条件とする法律行為は,無効である。 〔2-16-4(54-22-1,17-6-イ)〕

4 不能な事実を条件とする法律行為は無効である。 〔59-4-2(54-22-2,17-6-エ)〕

×

5 贈与契約に贈与者が欲するときは,贈与した物を返還するものとする旨の条件を付したとしても,その贈与契約は有効である。

〔59-4-4(54-22-3,17-6-ウ)〕

6 条件が成就しないことが,法律行為の時に既に確定していた場合において,その条件が解除条件であるときは,その法律行為は無効である。

〔オリジナル〕

×

7 不法な行為をしないことを条件とする法律行為は,無効である。 〔オリジナル〕

【条件と期限の判断基準】

1 債務者が出世した時に借金を返済するといういわゆる出世払の約定は,債務に停止条件を付したものである。〔21-4-ア〕

×

2 Xは,Aに対する貸金債権を有していたところ,その弁済をAが結婚するまで猶予するため,Aとの間で,その弁済期をAが結婚する時と定めた。その後,Aは結婚しないまま,死亡した。この場合,Xの,Aの唯一の相続人であるYに対する当該貸金債権の弁済請求は認められる。〔24-5-ア〕

【期限の利益の放棄及び喪失】

1 弁済期の定めがある利息付金銭消費貸借契約において,借主が期限の利益を放棄するには,元本に弁済期までの利息を加えた金額を提供しなければならない。〔元-13-4(21-4-エ)〕

2 Xは,Yに対し,利息を年1割,元本及び利息の弁済期を契約時から1年後として,金銭を貸し付けた。Xは,Yに対し,契約時から半年を経過した日に,同日から弁済期までの半年分の利息の支払請求権を放棄して,当該貸金債権の元本と契約時から同日の前日までの半年分の利息の支払を請求した。当該XのYに対する請求は認められる。

〔24-5-エ〕

×

3 債務者が,抵当権の目的物である不動産を損傷したときは,抵当権者は,被担保債権の弁済期の到来前であっても,抵当権を実行することができる。〔9-12-ア(13-12-エ)〕

4 金銭債務の債務者が担保を提供する義務を負う場合において,担保を提供しないときは,当該債務者は,期限の利益を主張することができない。〔オリジナル〕

Page 31: 2017 出題予想論点 - LEC東京リーガルマインド無断複製・頒布を禁じます 2 司法書士・2017出題予想論点ローラー大作戦!・民法 1.講座の目標

無断複製・頒布を禁じます

31 司法書士・2017 出題予想論点ローラー大作戦!・民法

【既成条件・不法条件・不能条件・純粋随意条件】

場 合 分 け 効 力

既成条件

既に成就している場合 停止条件である場合 無条件(131Ⅰ)

解除条件である場合 無効(131Ⅰ)

不成就が確定している

場合

停止条件である場合 無効(131Ⅱ)

解除条件である場合 無条件(131Ⅱ)

不法条件 不法な行為をすることを条件とする場合 無効(132)

不法な行為をしないことを条件とする場合 無効(132)

不能条件 停止条件である場合 無効(133Ⅰ)

解除条件である場合 無条件(133Ⅱ)

純粋随意条件

停止条件単に債務者の意思のみにかかるとき 無効(134)

単に債権者の意思のみにかかる場合 有効(大判大 7.2.14)

解除条件単に債務者の意思のみにかかるとき 有効(最判昭 35.5.19)

単に債権者の意思のみにかかる場合 有効

【条件と期限の判断基準】

条件と期限の

判断基準

将来の事実の発生が確実か否か

→ 確実なら「期限」,不確実なら「条件」

特殊例

消費貸借における出世払い特約 「100 万借ります。出世したら返します」

→ 不確定期限であるというのが判例の主流(大判大 4.3.24 等)。

→ 成功の時まで弁済が猶予され,成功又は成功しないことが確定した時に

弁済期が到来

【期限の利益の放棄及び喪失】

期限の利益の放棄(136Ⅱ) 期限の利益の喪失(137)

意 義 期限が到来したものとみなす旨

の当事者の意思表示

一定の事由がある場合に債務者が期限の利益を

主張できなくなること

要 件 相手方の利益を害さないこと

(注 1)

次のいずれかの事由が生じること

①債務者が破産手続開始の決定を受けたとき(注

2)

②債務者が担保を滅失,損傷又は減少したとき

③債務者が担保供与義務を履行しないとき

(注 1)期限の利益の放棄ができるか

債務者が弁済期前に貸金を返還する場合に,提供日までの利息を支払う ×

債務者が弁済期前に貸金を返還する場合に,弁済期までの利息を支払う 〇

債権者が半年分の利息支払請求権を放棄して,当事者間で定めた弁済期よりも半年前

に債務者から弁済を受けようとしている ×

(注 2)破産法 103 条3項により期限付債権は破産手続開始の時に弁済期が到来したものと

みなされるので,民法 137 条1号は適用の余地がない。

Page 32: 2017 出題予想論点 - LEC東京リーガルマインド無断複製・頒布を禁じます 2 司法書士・2017出題予想論点ローラー大作戦!・民法 1.講座の目標

無断複製・頒布を禁じます

32 司法書士・2017 出題予想論点ローラー大作戦!・民法

平成23年

7 民法 物権 詐欺取消の効果(取 消 前 ・後 の第 三 者 と遡 及 効 ) 推論 69.7%

8 民法 物権 動産物権変動(肢エ債権譲渡特例法) 知識 62.4%

9 民法 物権 占有訴権(占有回収の訴え) 知識 84.8%

10 民法 物権 相隣関係(隣地通行権なし) 知識 79.9%

12 民法 用益物権 地役権(肢イ民 177,肢エオ時効取得) 知識 63.5%

平成24年

7 民法 物権 不動産物権変動 知識 91.6%

8 民法 物権 物権的請求権 知識 84.3%

9 民法 物権 共有 知識 58.1%

10 民法 用益物権 地上権・地役権 知識 93.1%

平成25年

7 民法 物権 相続と民 177 条 知識 78.1%

8 民法 物権 即時取得 知識 74.1%

9 民法 物権 共有全般 知識 21.0%

10 民法 用益物権 地上権と賃借権 知識 77.4%

平成26年

7 民法 物権 物権的請求権 知識 54.3%

8 民法 物権 取得時効と登記 知識 73.5%

9 民法 物権 囲繞地通行権 知識 89.6%

10 民法 用益物権 用益物権 知識 83.8%

平成27年

7 民法 物権 不動産の物権変動 知識 93.5%

8 民法 物権 動産の物権変動 知識 76.3%

9 民法 物権 占有権 知識 63.7%

10 民法 物権 共有 知識 96.2%

11 民法 用益物権 地役権 知識 94.1%

平成28年

7 民法 物権 不動産の物権変動 知識 92.2%

8 民法 物権 即時取得 知識 81.0%

9 民法 物権 動産の占有権 知識 88.4%

10 民法 用益物権 地上権 知識 85.2%

Page 33: 2017 出題予想論点 - LEC東京リーガルマインド無断複製・頒布を禁じます 2 司法書士・2017出題予想論点ローラー大作戦!・民法 1.講座の目標

無断複製・頒布を禁じます

33 司法書士・2017 出題予想論点ローラー大作戦!・民法

15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28

物権総則

一物一権主義 ◎ B+

物権的請求権 ◎◎ ◎ ◎ B

公示の原則と公信の原則 ◎ B

不動産物権変動 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ A

登記請求権 ◎ B

動産物権変動 ○ ◎ ◎ B

明認方法 ◎ B

物権の消滅 ◎ ◎ B+

占有権 ◎ ◎ ◎ ○ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎◎ B

所有権

相隣関係 ◎ ◎ ◎ ◎ A

添付 ◎ B

共有 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ A

用益物権

地役権 ◎ ◎ ◎ ◎◎

◎ A

地上権 ◎

◎ ◎ B

他の用益物権 B

177条(不動産物権変動)

※平成 28 年 22 問「相続と登記」→相続法の分野での出題

15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28

・不動産物権変動 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ※

・177 条の第三者 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎

・他 ◎

<不動産物権変動の詳細>

・解除・取消し ◎ ◎ ◎

・相続と登記 ◎ ◎ ※

・時効と登記 ◎ ◎

<根本の分析>

・177条は毎年出題される。

・出題は「不動産物権変動」「177 条の第三者」の2つで、昨年が「177 条の第三者」

Page 34: 2017 出題予想論点 - LEC東京リーガルマインド無断複製・頒布を禁じます 2 司法書士・2017出題予想論点ローラー大作戦!・民法 1.講座の目標

無断複製・頒布を禁じます

34 司法書士・2017 出題予想論点ローラー大作戦!・民法

【相続と物権変動】

1 A・B及びCが共同相続した不動産につき,AがB及びCに無断で単独名義の所有権移転登記を経由した上で,これを第三者Dに譲渡して,その旨の所有権移転登記を経由した場合,BがDに対して請求することができるのは,Bの持分についてのみの登記手続である。

〔10-9-エ〕

2 甲土地の所有者Aが死亡し,その共同相続人であるB及びCは,遺産分割協議により甲土地をBが単独で相続することとしたが,登記名義はAのままであった。その後,遺産分割協議の存在を知らないCの債権者Dは,Cに代位して甲土地について相続を原因とする所有権の移転の登記をした上で,Cの持分(法定相続分)について差押えの登記をした。この場合,Bは,Dに対し,Cの法定相続分に相当する甲土地の持分の取得を対抗することができる。〔17-8-オ〕

×

3 甲不動産を所有していたAが死亡し,B及びCがその共同相続人である。Bが相続を放棄したが,その後Bの債権者Dが,Bに代位して甲不動産につきB・C共同相続の登記をした上,Bの持分につき差押えの登記をした場合には,Cは,Dに対して自己が単独の所有者であることを主張することができない。

〔4-14-イ(6-18-ア,17-8-エ,25-7-ア)〕

×

4 Aは,遺言により相続分を3分の1と指定されていたが,相続財産である甲不動産について,その法定相続分である2分の1の割合による相続登記がされた。この場合において,Aからその持分を取得したCは,登記を信頼していたとしても,3分の1の持分を取得するにとどまる。〔16-11-オ〕

5 甲土地を所有するAが死亡し,その子であるB及びCのために相続の開始があった場合において,Aは,甲土地について,Bの持分を4分の3,Cの持分を4分の1として相続させる旨の遺言をしたが,Cが,甲土地について,自己の持分を2分の1とする相続を原因とする所有権の移転の登記をしたところ,Cの債権者であるDが当該登記に係るCの持分を差し押さえた。この場合において,Dは,Bに対し,甲土地の2分の1の持分を差し押さえた旨を主張することができる。

〔25-7-オ〕

×

6 Aがその所有する不動産をBに贈与した後死亡し,遺留分の権利を有するAの相続人Cが,遺留分減殺請求をした場合には,Cの遺留分減殺の登記がなされないうちに,Bが,その不動産をDに譲渡して所有権移転の登記をしたときであっても,Cは,Dに対し,遺留分減殺による所有権の取得を対抗することができる。〔6-18-ウ〕

×

7 Aがその所有する不動産をBに遺贈する旨の遺言をして死亡した場合において,Aを単独で相続したCが,その不動産につき相続登記をしてDに売り渡して所有権移転登記をしたときは,Bは,Dに対し,遺贈による所有権の取得を対抗することができない。

〔6-18-イ(53-9-5)〕

8 Aがその所有する土地をXに売り渡したが,その旨の登記を経ないまま死亡したところ,その後Aの相続人がこれをYに売り渡し,その旨の登記を経た。この場合,Xは,Yに対して土地の所有権を主張することができる。〔7-16-ウ(4-14-エ,13-6-5)〕

×

Page 35: 2017 出題予想論点 - LEC東京リーガルマインド無断複製・頒布を禁じます 2 司法書士・2017出題予想論点ローラー大作戦!・民法 1.講座の目標

無断複製・頒布を禁じます

35 司法書士・2017 出題予想論点ローラー大作戦!・民法

【相続と物権変動】

無権利者と理論構成する場合 対抗関係と理論構成する場合

共同相続

遺産分割前の第三者

相続放棄

相続分の指定

相続させる趣旨の遺言

遺産分割後の第三者

遺留分減殺後の第三者

相続介在型二重譲渡

共同相続

共同相続人の一人が単独所有権取得の登記をした上で第三者に譲渡し所有権

移転の登記をした場合,他の相続人は自己の持分を登記なくして対抗すること

ができる(最判昭 38.2.22)

遺産分割

遺産分割により相続分と異なる権利を取得した相続人は,その旨の登記なくし

て,分割後に当該不動産につき権利を取得した第三者に対し自己の権利の取得

を対抗することができない(最判昭 46.1.26)

相続放棄

相続放棄をした相続人の債権者が相続財産たる未登記の不動産について当該

相続人も共同相続したものとして代位による所有権保存登記をした上で持分

に対する仮差押登記をした場合,他の相続人は登記なくして自己の権利を対抗

することができる(最判昭 42.1.20)

相続分の

指定

遺言により法定相続分を下回る相続分を指定された共同相続人の一人が遺産

を構成する不動産につき法定相続分に応じた共同相続登記がなされたことを

利用し,その登記にかかる自己の共有持分権を第三者に譲渡して持分移転登記

をした場合,当該持分のうち指定相続分を超える部分について他の共同相続人

は登記なくしてその第三者に対抗することができる(最判平 5.7.19)

相続させる

趣旨の遺言

特定の遺産を特定の相続人に「相続させる」趣旨の遺言によって不動産を取得

した者は,登記なくしてその権利を第三者に対抗することができる(最判平

14.6.10)

遺留分減殺

被相続人から不動産の贈与を受け所有権移転登記をした者に対して相続人が

遺留分の減殺を請求したが,遺留分減殺の登記がなされないうちに受贈者がそ

の不動産を第三者に譲渡して所有権移転登記をした場合,相続人は当該第三者

に対して登記なくして対抗することができない(最判昭 35.7.19)

相続介在型

二重譲渡

被相続人から贈与を受けた者は,相続開始後に相続人から当該不動産を譲り受

けて登記を経た第三者に対し,登記なくして対抗することができない(最判昭

33.10.14)

Page 36: 2017 出題予想論点 - LEC東京リーガルマインド無断複製・頒布を禁じます 2 司法書士・2017出題予想論点ローラー大作戦!・民法 1.講座の目標

無断複製・頒布を禁じます

36 司法書士・2017 出題予想論点ローラー大作戦!・民法

【取消し前の第三者と取消し後の第三者】

1 A所有の土地がAからB,BからCに順次売買され,所有権移転登記がされた後,AB間の売買契約が強迫を理由に取り消されたときには,Aは,Bに対し,AからBへの所有権移転登記の抹消を請求できるほか,Cに対し,BからCへの移転登記の抹消を請求することができる。

〔6-16-5〕

2 未成年者Aは,法定代理人の同意を得ないで,土地をCに売却して所有権の移転登記をし,Cは更にその土地をDに売却して所有権移転登記をした。その後,AがAC間の土地の売買契約を未成年者であることを理由として取り消した場合であっても,DはAに土地の所有権を対抗することができる。〔8-9-ウ〕

×

3 未成年者Aは,法定代理人の同意を得ないで,その土地をCに売却して所有権の移転登記をし,Cは更にその土地をDに売却した。Cが土地をDに転売する前に,AがAC間の土地の売買契約を未成年者であることを理由として取り消した場合であっても,AC間の所有権移転登記が抹消されていないときは,AはDに土地の所有権を対抗することができない。〔8-9-エ〕

4 Aはその所有の土地をBに売却し,所有権移転登記後に,Bの詐欺を理由として売却の意思表示を取り消したにもかかわらず,Bがその土地をCに転売し,その所有権移転登記をした場合でも,Aは土地の所有権をCに主張することができる。

〔4-15-ア(55-5-1,57-19-5,10-14-ア,17-8-ア,18-6-イ)〕

×

【解除前の第三者と解除後の第三者】

1 Aが,その所有する土地をBに売却して所有権移転登記を経由し,更に,BがCに対し,この土地を転売した。Cが,この土地上に建物を建てた後,A・B間の売買契約が解除され,AからBへの所有権移転登記が抹消された場合,AからCに対する土地の返還請求が認められる。〔11-16-イ〕

2 甲土地が,AからB,BからCへと順次譲渡され,それぞれその旨の所有権の移転の登記がされた。その後,Aは,Bの債務不履行を理由にAB間の売買契約を解除した。この場合,Aは,Cに対し,甲土地の所有権の自己への復帰を対抗することができる。〔17-8-イ〕

×

3 Xがその所有する土地をAに売り渡し,その旨の登記を経た後に,XA間でその売買契約を合意により解除したが,登記を抹消しないでいたところ,Aがその土地をYに売り渡し,その旨の登記を経た。この場合,Xは,Yに対して土地の所有権を主張することができる。

〔7-16-オ(54-4-1,57-19-2,63-14-オ,22-7-ウ)〕

×

4 Aが自己の所有する甲土地をBに売却した後,当該売買契約が解除されたにもかかわらず,Bが甲土地をCに転売した場合,解除がBの債務不履行を理由としてAが一方的にしたものであっても,AB間の合意によるものであっても,Cへの所有権移転の登記がされていれば,Aは,甲土地の所有権をCに対抗することはできない。〔オリジナル〕

Page 37: 2017 出題予想論点 - LEC東京リーガルマインド無断複製・頒布を禁じます 2 司法書士・2017出題予想論点ローラー大作戦!・民法 1.講座の目標

無断複製・頒布を禁じます

37 司法書士・2017 出題予想論点ローラー大作戦!・民法

【取消し前の第三者と取消し後の第三者】

取消し前の第三者との関係 取消し後の第三者との関係

制限行為

能力

制限行為能力者は登記なくして取消しの効果

を第三者に対抗することができる 対抗関係(177)

詐 欺

被欺罔者は登記なくして取消しの効果を

第三者に対抗することができる 対抗関係(177)

(大判昭 17.9.30) 例

外 善意の第三者には対抗できない(96Ⅲ)

強 迫 被強迫者は登記なくして取消しの効果を第三

者に対抗することができる 対抗関係(177)

【解除前の第三者と解除後の第三者】

解除前の第三者との関係 解除後の第三者との関係

原則 解除者は登記なくして第三者に対抗す

ることができる 対抗関係(177)

(最判昭 35.11.29)(注) 例外

545 条1項ただし書の場合,第三者に

は対抗できない

(注)合意解除の場合も,法定解除の場合と同様に取り扱われる(最判昭 58.7.5)。

<解除前の第三者と詐欺取消前の第三者が保護される要件の比較>

解除前の第三者 詐欺取消前の第三者

①解除原因・詐欺の事実につき善意

であることが必要か

不 要

(悪意であっても保護さ

れる)

必 要

(悪意では保護されない)

②登記を具備することは必要か 必 要 不 要

(争いあり)

Page 38: 2017 出題予想論点 - LEC東京リーガルマインド無断複製・頒布を禁じます 2 司法書士・2017出題予想論点ローラー大作戦!・民法 1.講座の目標

無断複製・頒布を禁じます

38 司法書士・2017 出題予想論点ローラー大作戦!・民法

【時効完成前の第三者と完成後の第三者】 1 A所有の土地の所有権をBが時効取得した場合,Bの取得時効が完成

した後,CがAから土地の贈与を受けたが登記をしていないときは,Bは,登記をしていなくても,Cに対し,時効により所有権を取得したことを対抗することができる。〔6-9-ア(59-9-4)〕

×

2 A所有の土地の所有権をBが時効取得した場合,Bの取得時効が完成した後,CがAから土地を買い受けて登記をしたときは,Cの登記がされた後,引き続きBが時効取得に必要な期間占有を続けたとしても,Bは,Cに対し,時効により所有権を取得したことを対抗することができない。〔6-9-オ(59-9-5,26-8-ウ)〕

×

3 A所有の甲土地の所有権についてBの取得時効が完成し,Bが当該取得時効を援用している場合に関して,当該取得時効が完成した後にCがAから甲土地を買い受け,その旨の所有権の移転の登記がされた場合には,Bは,Cに対し,甲土地の占有を開始した時点より後の時点を時効期間の起算点として選択し,時効完成の時期を遅らせることにより,甲土地の所有権を取得したことを主張することはできない。

〔26-8-ア〕

4 A所有の土地の所有権をBが時効取得した場合,Bの取得時効が完成した後,登記をしない間に,Aの債権者Cが,Aから土地に抵当権の設定を受けて登記をしたときは,Cは,Bに対し,抵当権を取得したことを対抗することができる。〔6-9-ウ〕

5 A所有の甲土地の所有権についてBの取得時効が完成し,Bが当該取得時効を援用している場合に関して,CがAから甲土地を買い受けた後に当該取得時効が完成し,その後に甲土地についてAからCへの所有権の移転の登記がされた場合には,Bは,Cに対し,時効により甲土地の所有権を取得したことを主張することはできない。〔26-8-オ〕

×

6 A所有の甲土地の所有権についてBの取得時効が完成し,Bが当該取得時効を援用している場合に関して,当該取得時効が完成した後にCがAから甲土地を買い受け,その旨の所有権の移転の登記がされた場合には,Bが多年にわたり甲土地を占有している事実をCが甲土地の買受け時に認識しており,Bの登記の欠缺を主張することが信義に反すると認められる事情があっても,Bは,Cに対し,時効により甲土地の所有権を取得したことを主張することはできない。〔26-8-エ〕

×

【権利の消滅した場合に登記が必要か】 1 存続期間の満了による不動産質権の消滅は,その登記を抹消しなけれ

ば第三者に対抗できない。〔54-5-3(53-9-1)〕 ×

2 抵当権者が抵当不動産を取得した場合の混同による抵当権の消滅は,その所有権取得の登記をし,かつ,その抵当権の登記を抹消しなければ第三者に対抗できない。〔54-5-5〕

×

3 抵当権の放棄による抵当権の消滅は,その登記を抹消しなければ第三者に対抗できない。〔54-5-4〕

4 Aは,Bに対する貸金債権を担保するために,B所有の土地に抵当権を設定し,その旨の登記をした。その後,当該貸金債務は全額弁済されたが,抵当権設定登記が抹消されないうちに,Aは,たまたまBに対して債権を有していたCとの間で当該抵当権のみを譲渡する契約を締結し,その旨の登記をした。この場合,抵当権設定登記が抹消されていない以上,Bは,Cに対し,抵当権の消滅を対抗することができない。〔14-6-エ〕

×

5 抵当権の被担保債権の一部が弁済によって消滅した場合,その旨の変更登記をしなくとも,当該抵当権によって担保される範囲は当然に減少する。〔オリジナル〕

Page 39: 2017 出題予想論点 - LEC東京リーガルマインド無断複製・頒布を禁じます 2 司法書士・2017出題予想論点ローラー大作戦!・民法 1.講座の目標

無断複製・頒布を禁じます

39 司法書士・2017 出題予想論点ローラー大作戦!・民法

【時効完成前の第三者(注 1)と完成後の第三者】

時 効 完 成 前 の 第 三 者 と の 関 係 時 効 完 成 後 の 第 三 者 と の 関 係

時効取得者は登記なくして第三者に対抗する

ことができる(最判昭 41.11.22)

例1 甲の乙の土地に対する取得時効完成前

に,乙が丙に抵当権の設定をし登記も済

ませた場合,甲は時効完成後丙に抵当権

登記の抹消を請求しうる

例2 不動産の二重譲渡があった場合,第一

買主は第二買主に対し占有取得時を起算

点として登記なくして取得時効を主張し

うる(最判昭 46.11.5)

時効取得者は登記なくして第三者に対抗する

ことができない(最判昭 33.8.28)(注 2)

時効完成後の第三者が登記をした後に改めて

取得時効に必要な期間の占有が継続して時効

が完成した場合,時効取得者は登記なくして

当該第三者に対抗することができる(最判昭

36.7.20)

※ 新たな時効の起算点は,第三者が登記を

した時点である。

取得時効を援用する者が任意にその起算点を選択し,時効完成の時期を早めたり遅らせたり

することはできない(最判昭 35.7.27)

(注 1)不動産の時効取得者と時効完成時の不動産所有者は,物権変動の当事者の関係と同視

できるので,時効取得者は,時効完成時の原所有者に対して不動産所有権の取得を登記

なくして対抗することができる(大判大 7.3.2)。

(注 2)甲が時効取得した不動産について,その取得時効完成後に乙が当該不動産の譲渡を受

けて所有権移転登記を了した場合において,乙が,当該不動産の譲渡を受けた時に,甲

が多年にわたり当該不動産を占有している事実を認識しており,甲の登記の欠缺を主張

することが信義に反するものと認められる事情が存在するときは,乙は背信的悪意者に

当たる(最判平 18.1.17)。

【権利の消滅した場合に登記が必要か】

権利が消滅した場合,抹消登記がなければ対抗できないのか。

原 則 例 外

登記の要否

○ 抹消登記がなければ,消滅を対抗できない

× 抹消登記なくても,消滅を対抗できる。

具体例

① 買戻権の合意による消滅 ② 解除条件の成就 ③ 消滅時効による物権の消滅 ④ 抵当権の放棄による抵当権の消滅

① 被担保債権の弁済による抵当権の消滅(大判昭 8.8.18)(注)

② 権利の消滅が登記記録上明らかである場合

(1)存続期間の満了によって不動産質権が消滅した場合

(2)登記上混同が生じたことが明瞭である場合(大判大 11.12.28)

③ 客体たる物の滅失による物権の消滅

(注)同様に,被担保債権の一部が消滅した場合,その旨の変更登記をしなくても,抵当権に

よって担保される範囲は当然に減少する(大判大 9.1.29)。

Page 40: 2017 出題予想論点 - LEC東京リーガルマインド無断複製・頒布を禁じます 2 司法書士・2017出題予想論点ローラー大作戦!・民法 1.講座の目標

無断複製・頒布を禁じます

40 司法書士・2017 出題予想論点ローラー大作戦!・民法

<MEMO>

Page 41: 2017 出題予想論点 - LEC東京リーガルマインド無断複製・頒布を禁じます 2 司法書士・2017出題予想論点ローラー大作戦!・民法 1.講座の目標

無断複製・頒布を禁じます

41 司法書士・2017 出題予想論点ローラー大作戦!・民法

所有権(相隣関係・共有)

15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28

所有権 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎

<詳細>

所有権

相隣関係 ◎ ◎ ◎ ◎

添付 ◎

共有 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎

<根本の分析>全く出題がないのが 14 年・16 年・20 年。そして2年連続未出題はない

<制度趣旨>

相隣関係とは,隣接する土地所有者間の土地利用を調整するものとして民法が規定したもの

である。

人が土地を所有する場合に,他人の土地と隣接しあっているのが通常である。そして,自分

の土地を何らかの形で利用しようとすると,その隣接する土地にも影響が生じることは避けが

たい。その際,互いの所有権を主張しあって,利用又は影響の排除を無制限に認めるならば,

円満な社会生活はできなくなってしまう。そこで,社会共同生活の円満という見地から,不動

産の利用を相互に調節するため,所有権の制限を認めたのが相隣関係である。

相隣関係 隣地使用に関するもの 隣地使用請求権(209)[平5-16-オ]

公道に至るための他の土地の通行権

(210~213)

水に関するもの 排水権(214~220)[平23-10-アイウ]

流水利用権(221・222)

境界に関するもの 境界標設置権(223・224)[平23-10-エ]

囲障設置権(225~228)

境界線上の工作物に関する規定

(229~231)[昭58-10-4]

竹木切除・切取りに関するもの(233)[昭59-8-3/平5-16-イ/平23-10-オ]

境界付近の工作物に関する

もの

距離を保つべき義務[昭57-13-5]

(234・236・237~239)

観望を制限すべき義務(235・236)

掘削に関する注意義務(238)

Page 42: 2017 出題予想論点 - LEC東京リーガルマインド無断複製・頒布を禁じます 2 司法書士・2017出題予想論点ローラー大作戦!・民法 1.講座の目標

無断複製・頒布を禁じます

42 司法書士・2017 出題予想論点ローラー大作戦!・民法

【相隣関係概観】

1 互いに隣接する甲土地と乙土地があり甲土地が乙土地より高地にある場合,甲土地から乙土地に水が自然に流れてくるときに,乙土地の所有者は,水の流れをせき止めることはできない。〔23-10-ア〕

2 互いに隣接する甲土地と乙土地があり甲土地が乙土地より高地にある場合,甲土地から乙土地に流れこむ水の流れが天災によって乙土地内で閉塞してしまったときに,甲土地の所有者Aは,乙地に立ち入り,自己の費用で,水流の障害を除去するために必要な工事をすることができる。〔23-10-イ〕

3 互いに隣接する甲土地と乙土地がある場合,甲土地の所有者が家屋を建てるときに,雨水が乙土地に直接注ぐ構造の屋根を設けることができる。〔23-10-ウ〕

×

4 互いに隣接する甲土地と乙土地があり,甲土地の所有者が甲土地と乙土地との境界に境界標を設けたいと考えた場合,境界標を設ける必要性はないと考えているかもしれない乙土地の所有者と共同の費用でこれを設けることを求めることはできない。〔23-10-エ〕

×

5 Aが所有する甲土地とBが所有する乙土地の境界線上に設置された境界標の保存のために要した費用は,AとBが甲土地と乙土地の広狭に応じて分担する。〔オリジナル〕

×

6 Aが所有する甲土地とBが所有する乙土地の境界線上に設置された境界標は,AとBの共有に属するものと推定される。〔オリジナル〕

7 互いに隣接する甲土地と乙土地があり,甲土地に植えられている樹木の根が乙土地との境界線を越えて伸びている場合に,乙土地の所有者は,その根を切り取ることができる。〔23-10-オ〕

8 土地の所有者は,隣地の竹木の枝が境界線を越えて,自己が所有する土地に侵入している場合,自らこれを切り取ることができる。

〔オリジナル〕

×

Page 43: 2017 出題予想論点 - LEC東京リーガルマインド無断複製・頒布を禁じます 2 司法書士・2017出題予想論点ローラー大作戦!・民法 1.講座の目標

無断複製・頒布を禁じます

43 司法書士・2017 出題予想論点ローラー大作戦!・民法

【相隣関係概観】

第214条(自然水流に対する妨害の禁止)

土地の所有者は,隣地から水が自然に流れて来るのを妨げてはならない。

・隣地の利用価値を確保する趣旨である。

・なお,これは消極的に自然水の流れを妨げてはならない,ということであり,積極的に流れ

を維持する義務を負わせるものではない。

第215条(水流の障害の除去)

水流が天災その他避けることのできない事変により低地において閉塞したときは,高地の所

有者は,自己の費用で,水流の障害を除去するため必要な工事をすることができる。

・自然水が,低地所有者の帰責性のない事由によって低地で通じなくなった場合には,低地所

有者が自ら工事をする義務を負うものではないが,高地所有者による低地での必要最小限の

工事を低地所有者が受忍すべきことを定めた規定である。

第218条(雨水を隣地に注ぐ工作物の設置の禁止)

土地の所有者は,直接に雨水を隣地に注ぐ構造の屋根その他の工作物を設けてはならない。

隣地の利用を妨げるような工作物は設置できないとしたものである。

第223条(境界標の設置)

土地の所有者は,隣地の所有者と共同の費用で,境界標を設けることができる。

第224条(境界標の設置及び保存の費用)

境界標の設置及び保存の費用は,相隣者が等しい割合で負担する。ただし,測量の費用は,

その土地の広狭に応じて分担する。

・土地の境界を明確に表示しておくことは,土地所有権の侵害を未然に防ぐこととなるので,

隣地所有者と協議して設置することができる。

・隣地所有者との協議が整わない場合は,設置に協力するよう,訴えを提起することができる。

第229条(境界標等の共有の推定)

境界線上に設けた境界標,囲障,障壁,溝及び堀は,相隣者の共有に属するものと推定する。

・境界標等の物は,相隣者の共通の利益のために存するものであるし,そもそも境界線上の物

は,その設置後,長きにわたると所有関係がはっきりしなくなり、紛争が生じやすい。そこ

で,反証がない限り相隣者の共有に属するものと推定しているのである。

第233条(竹木の枝の切除及び根の切取り)

Ⅰ 隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは,その竹木の所有者に,その枝を切除させること

ができる。

Ⅱ 隣地の竹木の根が境界線を越えるときは,その根を切り取ることができる。

枝 が 境 界 線 を 超 え る 場 合 根 が 境 界 線 を 超 え る 場 合

竹木の所有者に切除させることができる 自ら切り取ることができる

Page 44: 2017 出題予想論点 - LEC東京リーガルマインド無断複製・頒布を禁じます 2 司法書士・2017出題予想論点ローラー大作戦!・民法 1.講座の目標

無断複製・頒布を禁じます

44 司法書士・2017 出題予想論点ローラー大作戦!・民法

【隣地通行権】

1 袋地の所有権の取得者は,その登記を経由していなくても,囲繞地の所有者及びその利用権者に対して,囲繞地通行権を主張することができる。〔5-16-エ〕

2 Aが,その所有する甲土地及び乙土地のうち甲土地をBに譲渡した際に,これにより,Aの所有する乙土地が公道に通じない土地になることを認識していた場合,Aは,公道に至るために甲土地を通行することはできない。〔21-11-エ〕

×

3 A所有の甲土地が既存の通路により公道に通ずる土地である場合は,甲土地の用途に応じた利用にとって不十分であったとしても,Aは,隣接するB所有の乙土地の隣地通行権を行使することはできない。

〔オリジナル〕

×

4 A所有の甲土地が袋地で,B所有の乙土地が公道に通ずる土地であるため,Aが乙土地についての隣地通行権を有する場合,Aは,乙土地につき通路開設のために生じた損害に対する償金について,1年ごとにBに対して支払うことができる。〔オリジナル〕

×

5 隣地通行権を行使する者は,通路開設のために生じた損害に対するものを除き,その通行する他の土地の損害に対して支払う償金を,1年ごとに支払うことができる。〔オリジナル〕

6 A所有の甲土地が袋地で,隣接するB所有の乙土地が公道に通じる土地である場合,A所有の甲土地を建物所有の目的で賃借し,自己名義で地上建物の所有権保存の登記をしているCは,乙土地の隣地通行権を行使することはできない。〔オリジナル〕

×

7 袋地である甲土地の所有者Aが乙土地について隣地通行権を有していた場合において,後にAが甲土地に接続し公道に通じる丙土地を取得したため丙土地を経由して公道に至ることが可能となったときは,乙土地の隣地通行権は消滅する。〔オリジナル〕

8 袋地である甲土地の所有者Aが乙土地について隣地通行権を有している場合,Aは,自己にとって必要な限度であるか,又は他の土地にとって損害が最も少ない方法で隣地通行権を行使しなければならない。

〔オリジナル〕

×

9 A及びBの共有地である公道に通じる甲土地が,共有物分割によって,A所有の袋地である乙土地及びB所有の公道に通じる土地である丙土地となった場合,Aは,丙土地について隣地通行権を行使することができるのみであり,丙土地以外の他の隣接地を通行する方が便利であったとしても,当該他の隣接地について,当然に隣地通行権を行使することはできない。〔オリジナル〕

10 公道に通じる甲土地の所有者であるAが,甲土地を乙土地と丙土地に分筆し,Bに対して乙土地を譲渡したことにより,乙土地が袋地となった場合において,Bが丙土地について隣地通行権を行使するときは,Bは,Aに対して償金を支払うことを要しない。〔オリジナル〕

Page 45: 2017 出題予想論点 - LEC東京リーガルマインド無断複製・頒布を禁じます 2 司法書士・2017出題予想論点ローラー大作戦!・民法 1.講座の目標

無断複製・頒布を禁じます

45 司法書士・2017 出題予想論点ローラー大作戦!・民法

【隣地通行権】

原 則 土地の分割によって

袋地が生じた場合の特則

通行の

場所・方法

210条1項

他の土地に囲まれて公道に通じない土

地の所有者は,公道に至るため,その

土地を囲んでいる他の土地を通行する

ことができる(注1)(注2)。

211条1項

前条の場合には,通行の場所及び方法

は,同条の規定による通行権を有する

者のために必要であり,かつ,他の土

地のために損害が最も少ないものを選

ばなければならない。

213条1項

分割によって公道に通じない土地が生

じたときは,その土地の所有者は,公

道に至るため,他の分割者の所有地の

みを通行することができる(注3)。

損害に対す

る償金支払

212条

210条の規定による通行権を有する者

は,その通行する他の土地の損害に対

して償金を支払わなければならない。

ただし、通路の開設のために生じた損

害に対するものを除き、一年ごとにそ

の償金を支払うことができる。

213条1項

この場合においては,償金を支払うこ

とを要しない。

(注1) 「公道に通じない」の意味

公道に一応は通じることはできるが,その経路・幅員が社会通念に照らすとその土地の用

途に応じた利用に不適当である場合を含む。

ex. 自動車による通行を前提とする210条通行権の成否及びその具体的内容は,他の土地に

ついて自動車による通行を認める必要性,周辺の土地の状況,自動車による通行を前提と

する210条通行権が認められることにより他の土地の所有者が被る不利益等の諸般の事情

を総合考慮して判断すべきである(最判平18.3.16・百選Ⅰ70事件)

(注2) 袋地の所有者が公道に通じる他の土地を取得した場合,隣地通行権は消滅する。

(注3) 土地の一部譲渡(213Ⅱ)の具体例

1 同一人が所有する数筆の土地の一部が譲渡された場合(最判昭44.11.13)

2 同一人が所有する数筆の土地の一部が担保権の実行として競売された場合(最判平

5.12.17)

3 土地所有者が1筆の土地を分筆して,その全部を同時に数人に譲渡して袋地を生じた

場合(最判昭37.10.30)

<隣地通行権が認められる者>

袋地の所有権を取得した者(所有権取得登記を得ていない) ○(最判昭47.4.14)

袋地の地上権者(地上権の登記を得ていない) ○(267・210)

賃借人(対抗要件を具備している者) ○(最判昭36.3.24)

Page 46: 2017 出題予想論点 - LEC東京リーガルマインド無断複製・頒布を禁じます 2 司法書士・2017出題予想論点ローラー大作戦!・民法 1.講座の目標

無断複製・頒布を禁じます

46 司法書士・2017 出題予想論点ローラー大作戦!・民法

【残余地の譲渡が無償通行権に及ぼす影響】

1 Aが所有する甲土地を二つに分筆してその一つをBに譲渡したところ,Bの取得した土地が公道に通じない土地となった場合,BはAが所有する残余地について通行権を有するが,AがCに対して残余地を売却した場合,当該通行権は消滅する。〔21-11-イ〕

×

2 一筆の土地が分割により公道に面するA土地と袋地であるB土地に分かれた場合において、A土地が第三者に譲渡されたときは、B土地の所有者は、A土地以外の囲繞地についても袋地を囲んでいる他の土地の通行権を主張することができる。〔元-8-5〕

×

【隣地使用権(209)】

1 土地の所有者は,境界の付近において建物を築造するために必要な範囲内で,隣地の使用を請求することができる。〔オリジナル〕

2 甲土地の所有者であるAが,隣地であるB所有の乙土地との境界又はその近くで障壁を修繕するときは,Aは,Bに対して修繕するために必要な範囲内で乙土地の使用を請求することができる。〔オリジナル〕

【建物築造の制限(234)】

1 甲土地の所有者であるAは,甲土地の隣地である乙土地の所有者であるBが,乙土地上に,甲土地との境界線から50センチメートル未満の距離に建物を建築しようとしているときは,建築着手の時から既に1年を経過していても,建物が未完成であれば,Bに対して,その建築の中止を請求することができる。〔オリジナル〕

×

2 Bが,甲土地と乙土地の境界線から20センチメートルのところに建物を建築した場合において,Aに損害が生じたときは,Aは,建物が完成した後でも,Bに対して損害の賠償を請求することができる。

〔オリジナル〕

Page 47: 2017 出題予想論点 - LEC東京リーガルマインド無断複製・頒布を禁じます 2 司法書士・2017出題予想論点ローラー大作戦!・民法 1.講座の目標

無断複製・頒布を禁じます

47 司法書士・2017 出題予想論点ローラー大作戦!・民法

【残余地の譲渡が無償通行権に及ぼす影響】

無償通行権存続説(最判平2.11.20) 無償通行権消滅説

結論

① 残余地が譲渡されても袋地所有者

は無償通行権を失わない。

② 袋地所有者は残余地以外の隣地を

通行する権利(210)を有しない。

① 残余地の譲渡に伴って袋地所有者

は無償通行権を失う。

② 袋地所有者は残余地も含めた隣地

のいずれかについて通行権(210)を

取得する。

実質的

根拠

① 残余地の譲渡に関与していない袋

地所有者から一方的に無償通行権を

奪うべきではない。

② 反対説によると,それまでの無償通

行権が有償通行権に変わるとすれば,

隣接地所有者には思わぬ利益を与え,

公道に通じない土地の所有者には不

足の損害を及ぼしかねない

① 無償通行権の存続を認めると残余

地の譲受人が不測の損害を被り,取引

の安全を害する。

② 当時の分割や譲渡にかかわりのない

者が無償通行を受任しなければならな

いのは妥当でない

【隣地使用権(209)】

隣地の使用を請求すること 隣人の住家への立入

要 件

境界又はその付近において,障壁若

しくは建物を築造し,若しくはこれ

を修繕するために,必要な範囲内で

あること

① 同左

② 隣人の承諾があること

損害に対する

償 金 支 払 必要 必要

【建物築造の制限(234)】

制 限 の 内 容 境界線から50cm以上の距離をおくことを要する

違反がある場合

原則 建築の中止又は変更を請求することができる

例外 建築着手の時から1年を経過し又は建築が完成するまでに上記の

請求をしなかったときは,損害賠償のみ請求することができる

Page 48: 2017 出題予想論点 - LEC東京リーガルマインド無断複製・頒布を禁じます 2 司法書士・2017出題予想論点ローラー大作戦!・民法 1.講座の目標

著作権者 株式会社東京リーガルマインド

(C)2017 TOKYO LEGAL MIND K.K., Printed in Japan

無断複製・無断転載等を禁じます。