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2013.03.02 サイエンスカフェ水戸

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吉良貴之(きら・たかゆき)

法哲学 専攻、常磐大学研究員

年齢的にはアラサー (-_-;)

2011年4月(震災直後!)に水戸に来ました。

この3月末に別の大学に異動します。

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サンデル先生

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「法と科学」をめぐるさまざまな問題を

テーマに、全国各地で開催しています。

今回は記念すべき(?)10回目。

震災後、いろいろ関心が高まっている

「科学」の社会的問題について、

一般参加者と気軽に意見交換するものです。

話してる途中でもどんどん割りこむのがカフェ

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【はじめ】

震災直後で仕事が決まるのが遅れてヒヤヒヤ。

水戸駅周辺は被害が大きく、心を痛める。

当時は、家賃も相当安くなっていた。

【1年後】

家賃の値上がりで、人の戻りを実感する……。

基本、住みやすい町です。

あんこうもっと食べればよかった。

納豆無理です、ごめんなさい。

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5歩道橋が割れている。通行は禁止。

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6液状化の様子。歩道の復旧は後回し…。

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� 学生の間でも、震災に対する意識には温度差。

� 東側(水戸駅側)から来ている学生はわりと深刻感。

� 西側(赤塚駅側)だとそれほどでも……?

例)「液状化」の具体的イメージ

→ 水戸市内でさえ、受け止め方にだいぶ違い?

例)水戸駅~商店街と、その西側など?

問)参加者みなさんが感じた温度差は?

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� 「高嶺格のクールジャパン」展 (~ 2013年2月17日)

� 「原子力」「放射線」への反応をめぐるアート

� 水戸で売られている野菜や魚への微妙な反応

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「我慢しなさい 」

「これって安全ですか?」

「差し止め 判決」

「規制値 は下回っています」

「核 家族」

ざわざわ…

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福島や茨城での対応は比較的早かった。

� 規制値超えの農産物の出荷停止

一方、千葉の対応の遅れは批判される。

→ どこに違いがあったのか?

� 原子力関係施設が身近にあることへの意識

� 巨大な「農業県」であることの難しさ

などなど……。

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� 「緊急避難」的対応への戸惑い

→ 「違法かもしれないから動けない」

例)交通ルール、がれき撤去、個人情報……

→ 現実には、緊急時のやむをえない行為で

法的責任が問われることは少ないが……

→ しかし、その 判断の重荷 はつらい?

法律ってやっぱ「怖い」ですか?

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� 緊急時よりもむしろ、復興時のほうが、

法的問題としては難題が多い?

【例】

�水戸の街にまだまだ残っている廃墟

�今後の都市計画

�震災や原発事故をめぐる「責任」 刑事も?

�放射線の影響の不確実性と「予防」

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2012年6月成立(議員立法)

「プログラム法」との批判が

根強いが……。

どこまで実効化できるか?

12(日経2012.6.22)

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安倍首相「…専門家から成る有識者会議が開催をされて、健康影響が観察できるレベルでないことから、科学的には特段の健康管理は必要ないとの結論が出ているというふうに承知をしておりますが、しかし一方、福島県の近隣県の住民の中に放射性物質の汚染に対する大きな健康不安を持つ方がいるということは認識をしております。」

根本復興相「実は、支援対象地域や一定の基準……を定めると人々を引き裂いてしまうことにもなりかねないといった議論があった……。

さらに、留意すべき点として、例えば風評被害がようやく落ち着きつつある中で、放射性物質に関する誤った情報で新たな影響が出ないよう配慮してほしいと、こういった意見もあります。このため、今後、科学的、専門的な知見も含め、内外の有識者等の御意見をお聞きし、その結果も踏まえて復興庁が関係省を取りまとめの上、基本方針を作成していきたいと思います。」

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震災の爪痕、原発、放射線……との「付き合い方」

(1) 個人:「人それぞれ」「生き方」の問題

(2) コミュニティ:「違う生き方」への対応

(3) 社会: 集合的に決めなければならないこと

→ それぞれどう分ける?

「法」は主に (3) にかかわる。

� 反対する人々にどうやって納得してもらうか

� 地道な「参加」が最も有効か?

� 「参加」が「ガス抜き」にならないためには……?

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【放射線の健康被害をめぐって】

� 閾値なし(LNT)モデルの「科学的」妥当性はどれほどのものか?

� LNTモデルを採用した場合も、低線量被曝においては他のリスクとの比較が必要。

� 「安全」かどうかは科学では決めにくいが、「~と比べて危険」という評価は(比較的)可能。

� リスクの複合性: 経済的リスクはどう評価する? 例)火力発電とエネルギー問題

� 科学の仕事はそれにとどまる? もっと責任をとるべき?

【法哲学的問題】

� リスク受容を人それぞれの「生き方」の問題にできる場合と、社会全体での意思決定にかかわる(全員が従わなければならない)場合とはまた別。

� 前者は福島の(基準値より低い)野菜を食べるかどうかなど、後者は原発稼働の可否、がれきの受け入れなど。

� 異なる考え方をもつさまざまな人々の間で、社会的意思決定はどうすれば受け入れられるか?

� 「決定過程への参加意識」があると、反対の決定でも受け入れられやすい傾向。

� (1) 国政: デモ、原発をめぐる国民投票、パブリックコメント、討論型世論調査

� (2) 地方: がれき受け入れ、除染などをめぐる草の根民主主義。 (水戸ではどうか?)

� → 一方、こういった参加がそのまま「ガス抜き」になる危険も。(自民党の大勝?)

【法的対応をめぐって】

� 誰が「責任」をとるのか? イタリア・ラクイラ地震裁判との比較。

� 「素人」裁判官がどこまで判断できる? 科学者との協力はどうすればいい?

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東海の産廃施設、反対請求を棄却 水戸地裁判決

東海村須和間の産業廃棄物焼却施設建設に反対する住民ら430人が県を相手取り、設置許可の取り消しを求めた裁

判の判決が1日、水戸地裁であり、脇博人裁判長は住民側の請求を棄却した。

脇裁判長は判決で、「施設は法令の定める許可基準の各要件を満たしている」とした。判決を受けて原告側弁護団は「住民軽視の不当判決」として、控訴する方針を明らかにした。(2013.3.2 産経新聞)

※ 水戸市民は法的にはけっこうアクティブ。

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