25
1.感性とその検討方 法について

1.感性とその検討方 法について感性の分析方法例-因子分析 • 各項目を規定する因子を抽出 –①感性評価する少数の基準が明瞭化

  • Upload
    others

  • View
    3

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: 1.感性とその検討方 法について感性の分析方法例-因子分析 • 各項目を規定する因子を抽出 –①感性評価する少数の基準が明瞭化

1.感性とその検討方法について

Page 2: 1.感性とその検討方 法について感性の分析方法例-因子分析 • 各項目を規定する因子を抽出 –①感性評価する少数の基準が明瞭化

人間の感性とは?

• 定義–対象(人,モノなど)に対する価値判断

• 例–美しさ,おもしろさ,好み,興味,似合うなど

• 特徴–主観性,あいまい性,状況依存性

• 関連用語–印象,イメージ,センス,フィーリング,直感

Page 3: 1.感性とその検討方 法について感性の分析方法例-因子分析 • 各項目を規定する因子を抽出 –①感性評価する少数の基準が明瞭化

感性研究の「対象」

• 多くの人が感性を感じる対象

–メディア(ケータイ,パソコンなど)• デザインの美しさ →「受動的感性」

• 体験のおもしろさ →「能動的感性」

–芸術・文学・音楽・映画

–被服・ヘアスタイル など

• 受動的感性の場合

–デザイン(主に形と色と動き)が重要

Page 4: 1.感性とその検討方 法について感性の分析方法例-因子分析 • 各項目を規定する因子を抽出 –①感性評価する少数の基準が明瞭化

感性研究の盛んな背景

• 産業パラダイムの転換

–大量生産→個の時代

–個人にとって価値あるもの

消費社会 情報化社会

人の価値観 物質的豊かさ

大量生産・消費

精神的豊かさ

美,遊び,健康

情報通信 一方向型 双方向型

人々の欲求 消費・所有 創造・表現

Page 5: 1.感性とその検討方 法について感性の分析方法例-因子分析 • 各項目を規定する因子を抽出 –①感性評価する少数の基準が明瞭化

感性の測定方法例-SD法

• 全体として感性評価が困難

–例:服飾デザインの感性評価(長町,1989)–異なる形容詞対に細かく分けて測定

–的外れ,相関の高い形容詞対は排除

暖かい

非常に かなり どちらでもない かなり 非常に

涼しい

明るい 暗い

曲線的 直線的

派手な 地味な

191項目,74種類の服飾

Page 6: 1.感性とその検討方 法について感性の分析方法例-因子分析 • 各項目を規定する因子を抽出 –①感性評価する少数の基準が明瞭化

感性の分析方法例-因子分析

• 各項目を規定する因子を抽出–①感性評価する少数の基準が明瞭化

–②項目と因子の関連の強さが数値化

1. 派手な-地味な2. 暖かい-涼しい3. 明るい-暗い4. 曲線的-直線的

191. 今風な-古風な

①活動性

②気軽さ

③豪華さ

⑨ハイセンス

Page 7: 1.感性とその検討方 法について感性の分析方法例-因子分析 • 各項目を規定する因子を抽出 –①感性評価する少数の基準が明瞭化

2.化粧・ファッションの感性

Page 8: 1.感性とその検討方 法について感性の分析方法例-因子分析 • 各項目を規定する因子を抽出 –①感性評価する少数の基準が明瞭化

化粧・ファッションのカラー

• 化粧

–ファンデーションカラー,リップカラー,

–マスカラ,チークカラー,ヘアカラー

• 被服

–ジャケット,ブラウス,スカートのカラー

–スーツ,ネクタイ,帽子のカラー

• アクセサリー

–ピアス,ペンダント,指輪のカラー

Page 9: 1.感性とその検討方 法について感性の分析方法例-因子分析 • 各項目を規定する因子を抽出 –①感性評価する少数の基準が明瞭化

3.ネイルカラーの感性研究

~平成16年度卒業論文~

化粧・ファッションのカラーの研究例

Page 10: 1.感性とその検討方 法について感性の分析方法例-因子分析 • 各項目を規定する因子を抽出 –①感性評価する少数の基準が明瞭化

化粧とネイルアート

• 化粧のはたらき:「隠す」と「見せる」–印象操作による対人魅力の向上

–癒し・リラクセーション・健康への効果

• 近年ネイルメイクが普及–ネイルメイク専門雑誌,ネイルサロンなど

• 他の化粧と異なる点–ファッション感覚が強い

–比較的カラーの種類が多い

–→ネイルカラーの感性評価について研究

Page 11: 1.感性とその検討方 法について感性の分析方法例-因子分析 • 各項目を規定する因子を抽出 –①感性評価する少数の基準が明瞭化

ネイルカラーの選択基準

• 高い基準:個人の心理や環境の要因

• 低い基準:肌の色,手の形などの身体的特徴

はい どちらでもない いいえ

服装 51.3% 39.1% 9.6%

気分 82.6% 13.0% 4.3%

好きな色 87.0% 11.3% 1.7%

季節 45.2% 27.8% 27.0%

肌の色 18.3% 33.9% 47.8%

手の形 13.0% 32.2% 54.8%

Page 12: 1.感性とその検討方 法について感性の分析方法例-因子分析 • 各項目を規定する因子を抽出 –①感性評価する少数の基準が明瞭化

ネイルカラーの種類ベージュ ブラック ディープピンク

ピンク サーモンピンク ホワイト

Page 13: 1.感性とその検討方 法について感性の分析方法例-因子分析 • 各項目を規定する因子を抽出 –①感性評価する少数の基準が明瞭化

ネイルカラーの感性の測定

• ピンクとブラックでSD法ー21形容詞対

女っぽい

あてはまる どちらともいえない あてはまる

男っぽい

活発な おとなしい

陽気な 陰気な

明るい 暗い

癒される 癒されない

個性的な ありふれた

派手な 地味な

Page 14: 1.感性とその検討方 法について感性の分析方法例-因子分析 • 各項目を規定する因子を抽出 –①感性評価する少数の基準が明瞭化

ネイルカラーの感性の分析

• 因子分析→3つの因子が抽出

–「優雅さ」:大人っぽく見せる

–「目立ち」:自分を引き立たせる

–「愛らしさ」:かわいらしく見せる

• 6つのネイルカラーの好みの順位は?

–カラー選択は個人の心理的要因が大きい

– AHP(Analytic Hierarchy Process)で測定

–=階層構造に基づく分析

Page 15: 1.感性とその検討方 法について感性の分析方法例-因子分析 • 各項目を規定する因子を抽出 –①感性評価する少数の基準が明瞭化

AHPの設定例1

意思決定

評価基準

代替案

新車の選定

値段

A車

燃費 車格 乗り心地

B車 C車

Page 16: 1.感性とその検討方 法について感性の分析方法例-因子分析 • 各項目を規定する因子を抽出 –①感性評価する少数の基準が明瞭化

AHPの設定例2

携帯電話の選定

ドコモ Vodafone au TUKA

価格 デザイン 周囲の人機能

Page 17: 1.感性とその検討方 法について感性の分析方法例-因子分析 • 各項目を規定する因子を抽出 –①感性評価する少数の基準が明瞭化

ネイルカラー感性のAHPモデル

意思決定

評価基準

代替案

ネイルカラーの選定

優雅さ 目立ち 愛らしさ

Page 18: 1.感性とその検討方 法について感性の分析方法例-因子分析 • 各項目を規定する因子を抽出 –①感性評価する少数の基準が明瞭化

AHPの測定と分析の方法

• 測定

–①評価基準の順位づけ

• 優雅さ,目立ち,愛らしさのすべての対で評定

–②各基準で6色の順位づけ

• 優雅さにおいて,6色のすべての対で評定

• 目立ちにおいて,・・・

• 分析

–③総合評価

• ①,②のデータをもとに6色の順位づけ

Page 19: 1.感性とその検討方 法について感性の分析方法例-因子分析 • 各項目を規定する因子を抽出 –①感性評価する少数の基準が明瞭化

AHPの分析結果

• 3つの評価基準の順位

• 6つのカラーの順位優雅さ 愛らしさ 目立ち

1 2 3

優雅さ 目立ち 愛らしさ 総合評価

サーモンピンク 2 3 2 1

ベージュ 1 6 3 2

ピンク 4 4 1 3

ディープピンク 5 2 4 4

ホワイト 3 5 5 5

ブラック 6 1 6 6

Page 20: 1.感性とその検討方 法について感性の分析方法例-因子分析 • 各項目を規定する因子を抽出 –①感性評価する少数の基準が明瞭化

ネイルカラー研究のまとめ

• ネイルの主な効果-大人っぽく見せる

• サーモンピンクは3つの基準で高い効果

• 上位3位=サーモンピンク,ベージュ,ピンク

– 意識せず,肌の色に合うカラーを重視

• 好きな色=似合う被服の色(辻,1995)– ネイルカラーでも同じことがいえるか?

Page 21: 1.感性とその検討方 法について感性の分析方法例-因子分析 • 各項目を規定する因子を抽出 –①感性評価する少数の基準が明瞭化

4.AHPによる飲食店Webサイトのデザイン評価

Page 22: 1.感性とその検討方 法について感性の分析方法例-因子分析 • 各項目を規定する因子を抽出 –①感性評価する少数の基準が明瞭化

どの店に行きたいか

画像の美しさ

画像の食欲促進度

配色の好感度

配色の適切さ

文章の量の適切さ

文章の親しみやすさ

矗矗家 賛飲家 らいさん

配色 文章画像

AHPの階層図

Page 23: 1.感性とその検討方 法について感性の分析方法例-因子分析 • 各項目を規定する因子を抽出 –①感性評価する少数の基準が明瞭化

第一階層の評価の割合

43%

41%

17%

配色

画像

文章

評価基準のウェイト

Page 24: 1.感性とその検討方 法について感性の分析方法例-因子分析 • 各項目を規定する因子を抽出 –①感性評価する少数の基準が明瞭化

終目的「どの店に行きたいか」の割合

37%

22%

41% 矗矗家

賛飲家

らいさん

総合評価のウェイト

飲食店A,B,Cのうちどの店に行きたいか?

Page 25: 1.感性とその検討方 法について感性の分析方法例-因子分析 • 各項目を規定する因子を抽出 –①感性評価する少数の基準が明瞭化

5.まとめ• 生活ー対象に対して心と行動が機能

–適切な生活:「知」が必要

–快適感の高い生活:「感」が必要

• 両アプローチの必要性

–①感性の心理学:感性が喚起する原理,行動への動機づけの原理

–②感性工学:感性に訴える製品をデザイン

• 個人差をいかに考えるか?