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平成 17 年度 ラオス 草の根技術協力事業 モニタリング調査団報告書 平成18年3月 独立行政法人 国際協力機構 東京国際センター TIC JR 06-03

平成17年度 ラオス 草の根技術協力事業 モニタリング調査団 …体における草の根技術協力事業の実施方針や事業管理について、jicaラオス事務所と協議、意見交換を行

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平成 17 年度

ラオス

草の根技術協力事業

モニタリング調査団報告書

平成18年3月

独立行政法人 国際協力機構

東京国際センター

TIC

JR

06-03

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序 文

ラオス国は、フランスからの独立やベトナム戦争を端緒とする長年にわたる内戦の影響

で国力が疲弊し、経済的に立ち遅れた状態が現在まで続いています。このような状況下、

国民の国際協力への発意を形にする市民参加協力事業の一環として、独立行政法人国際協

力機構(JICA)は、NGO 等とパートナーを組んで、「草の根技術協力事業」を実施していま

す。現他のニーズに細やかに対応できるスキームとして、ラオス国においては現在東京国

際センター(JICA 東京)所管分として 4 件を実施中であり、1 件が既に事業を終了してい

ます。

JICA 東京はこの度、上記 5 事業のモニタリング・評価調査団をラオスに派遣し、実施中

事業に関しては、事業実施体制や活動内容の妥当性並びに実現可能性についての確認を、

また終了事業に関しては、事業の効果ならびに持続的発展性の確認を行いました。

本報告書は、上記調査の結果、評価すべき点及び課題について取りまとめたものです。

今後のプロジェクトの実施にあたり、本報告書が活用されることを願っております。

ここに、本調査にご協力をいただいた関係各位に深い謝意を表するとともに、引き続き

一層のご支援をお願い申し上げます。

平成 18 年 3 月

独立行政法人 国際協力機構

東 京 国 際 セ ン タ ー

所長 山口 公章

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目 次

● 序文

● 目次

● 地図

● 写真

第1章 調査の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1

1-1 派遣の経緯と目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1

1-2 調査団の構成・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1

1-3 調査日程・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1

1-4 主要面談者・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2

第2章 調査の結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3

2-1 対象プロジェクトの概要及び進捗状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・3

2-2 モニタリング・評価の方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6

2-3 モニタリング・評価の結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7

第3章 調査の総括・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32

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調査国地図

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●写真

在ラオス日本大使館表敬

左側が毛木書記官、その隣が能見書記官

外務省 NGO division 表敬

中央が Ms.Vatsana VONGPHYLA 副局長

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低所得者のための職業訓練による収入向上プログラム

-(特活)国際協力 NGO IV-JAPAN -

グループインタビュー 左端が富永代表、中央の女性 5 名は修

了生。

縫製修了生による縫製指導 縫製コースの指導者コース修了生が、

国立リハビリテーションセンター内

で聾唖者に手話を駆使して簡単な縫

製の指導をしている。

ビエンチャン市教育局表敬 右側が Ms.Ketmany BANDASACK 副局長

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ラオス国障害者のための車椅子普及支援

-(特活)難民を助ける会-

車椅子工房 中央がプロジェクトマネージャーの

岡山氏。

三輪車 健常者程度の腕力のある障害者用。平坦

な舗装道路では威力を発揮する。

車椅子使用者へのインタビュー 理学療法士が使用状況の確認をし

ている。

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カムアン県における持続的農業及び森林管理プロジェクト

-(特活)日本国際ボランティアセンター-

土地森林委譲セミナー Lakkao 村にて

土地森林委譲セミナー グループワークの様子

対象村の水田 真ん中で、幼苗一本植の実験を

行っている。雑然と植えるより

も効率的に収量を上げられると

のこと。

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ラオス・公共図書館支援を通じた図書・読書活動普及事業

-(社)シャンティ国際ボランティア会 (SVA)-

シャンティ移動図書館

サワナケット県公立図書館 自治労の支援で設立された。同規模の図書館を

本事業にてビエンチャンに建設予定

図書館の中の様子 子供たちに対する読み聞かせやゲームなどの

プログラムが用意されている。

1

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ラオスにおける読書推進運動の自主的運営のための拠点構築事業

-(特活)ラオスのこども(ALC)-

移動図書袋 移動の困難な山道でも背負って運搬できる

よう開発された。

ALC が図書支援をしている小学校 校長室で図書箱の管理をしている。

ALC が図書支援をしている小学校 校長室にて。中央奥の女性が校長。

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1

第 1 章 調査の概要 1-1 派遣の経緯と目的

現在実施中の草の根技術協力パートナー型案件 4 件について、事業の進捗状況を確認し、事業実施の妥

当性および効率性の観点から中間評価を行い、今後の事業実施の問題点・課題等について把握する。また、

既に終了した支援型案件 1 件について、事業効果ならびに持続発展性について確認を行う。また、ラオス国全

体における草の根技術協力事業の実施方針や事業管理について、JICA ラオス事務所と協議、意見交換を行

う。

1-2 調査団の構成 (1)計画管理 中野 幸昌 東京国際センター 連携促進グループ 業務チーム (2)協力計画 勝野 優子 国内事業部 市民参加協力室 草の根技術協力チーム 1-3 調査日程

月 日 曜日 場所 訪問先 宿泊地

1 月 23 日 (月) ヴィエンチャン

AM: JICAラオス事務所との打ち合わせ

在ラオス日本大使館表敬

PM: 外務省NGO Division 表敬

SVAとの打ち合わせ

JVCとの打ち合わせ

1 月 24 日 (火) ヴィエンチャン

AM: 職業訓練センターにてトレーナー(元訓練生)インタ

ヴュー

IV-JAPANとの打ち合わせ

ヴィエンチャン市教育局表敬

PM: 元職業訓練生へのインタヴュー

NRCにて聴覚障害者の職業訓練見学

AARとの打ち合わせ

NRCワークショップ見学

NRC所長表敬

ヴィエンチ

ャン

1 月 25 日 (水) ヴィエンチャン AM: AAR車椅子利用者調査同行

PM: カムワン県へ移動

1 月 26 日 (木) カムワン

AM: JVCカムワン事務所との打ち合わせ

カムワン県農業森林局表敬

プロジェクトサイト見学

カムワン

1 月 27 日 (金) サバナケット

AM: サバナケット県へ移動

PM: サバナケット県教育局表敬

サバナケット県情報文化局表敬

サバナケ

ット

1 月 28 日 (土) サバナケット AM: サバナケット県図書館見学

PM: ヴィエンチャンへ移動

ヴィエン

チャン

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2

月 日 曜日 場所 訪問先 宿泊地

1 月 29 日 (日) ヴィエンチャン 報告書作成

1 月 30 日 (月) ヴィエンチャン

AM: ALCとの打ち合わせ

学校図書室見学

国立図書館見学

PM: JICAラオス事務所へ報告

帰途へ

1-4 主要面談者

日本側

<JICA ラオス事務所> 森 千也 所長 池田 修一 次長 堀部 律子 企画調査員 波多野 誠 職員 〈在ラオス日本国大使館〉 毛木 克典 二等書記官 能見 智人 二等書記官 〈(社)シャンティ国際ボランティア会(SVA)〉 八木沢 克昌 ヴィエンチャン事務所長 川村 仁 プロジェクト専門家 米岡 雅子 プロジェクト・マネージャー 〈(特活)日本国際ボランティアセンター(JVC)〉

名村 隆行 プロジェクト・マネージャー Glenn HUNT ネットワーク・コーディネーター

〈(特活)国際協力NGO IV-JAPAN〉 冨永 幸子 代表

〈(特活)難民を助ける会(AAR)〉

岡山 典靖 プロジェクト・マネージャー 〈(特活)ラオスのこども(ALC)〉 赤井 朱子 プロジェクト・マネージャー

ラオス側

〈ラオス外務省〉 Ms.Vatsana VONGPHYLA Deputy Director of NGO Division, Department of International

Organizations

〈ヴィエンチャン市教育局〉 Ms.Ketmany BANDASACK Deputy Director 〈カムワン県農林局〉 Mr.Phoma PHANHTHALANGSY Director of Department of Agriculture and Forestry

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〈サバナケット県教育局〉 Mr.Phengma INTHILATH Director of Provincial Education Service 〈サバナケット県文化情報局〉 Mr.Bounyong XAIPANYA Director of Information and Culture Department

〈国立リハビリテーションセンター〉 Dr.Thongchanh THEPSOMPHOU Director 〈国立図書館〉 Mrs. Kongdeuane NETTAVONG Director

第2章 調査の結果

2-1 対象プロジェクトの概要及び進捗状況

〈パートナー型実施中案件〉

2-1-1「身障者のための車椅子普及支援事業」:(特活)難民を助ける会(AAR)

(実施予定期間)

2004 年 11 月~2007 年 10 月(3 年間)

(概要)実施団体はこれまで 2000 年より、車椅子プロジェクトを展開しており、2000 年 12 月から 2003

年 12 月まで開発パートナー事業(「車椅子製造支援」)として、2004 年 11 月より草の根技術

協力事業として、それぞれ実施している。開発パートナー事業では、車椅子生産システムを確

立することで、生産台数を増やし、障害者の生活改善を図ってきたが、本事業では、良質な車

椅子を永続的に製造・配布し、ラオスの障害者のモビリティー(移動・起動)向上に資するこ

とを目的に、NRC(国立リハビリテーションセンター)、PRC(県リハビリテーションセンター)

と連携し、以下の諸活動を行っている。

NRC 車椅子工房の管理運営能力を向上させる。

それぞれの障害者に適した車椅子を製造する。

車椅子及び三輪車製造に必要な技術を障害者技術者へ移転する。

より適格な福祉サービスが障害者へ提供されるよう、NRC 車椅子工房及び地方リハビリテ

ーションセンター(PRC)の運営を強化する。

資金回収システムを強化する。

障害者の能力・可能性に対する認識を障害者、及び障害者の家族、ラオス社会の中で向上

させる

(対象地域)

ラオス全土

(受益者層)

ラオス国内の障害者

国立リハビリテーションセンター及び地方リハビリテーションセンター職員

(事業費)

第一年次契約金額:9,535 千円(精算金額:9,034 千円)

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第二年次契約金額:17,992 千円

2-1-2「カムアン県における持続的農業および森林管理プロジェクト」:(特活)日本国際ボランティアセンター(J

VC)

(実施予定期間)

2005 年 9 月~2008 年 9 月(3 年間)

(概要)JVC は 1988 年以降、ラオス・カムアン県において独自に農村開発活動を展開しており、2005 年 9

月から草の根技術協力事業として実施している。本事業では、ターゲットグループの村人が、持

続的で安定した生活を営むために、生活を支える森林の権利を確保し、村の森林資源の管理能力

を高めるとともに、農業支援を通じた生活の向上を図ることを目的に、以下の諸活動を行ってい

る。

(村人に対する)森林管理研修、土地森林委譲の実施、経験交流ワークショップ・スタディツアー

(土地森林委譲担当行政官に対する)土地森林委譲実施研修

家庭菜園支援、用水環境の改善、化学肥料や農薬の影響を考えるワークショップ

果樹栽培を中心とする複合農業の普及、稲作試験栽培、篤農家による活動の拡大、経験交流ワ

ークショップ・スタディツアー

(対象地域)カムアン県 6 郡およそ 50 村

(受益者層)

森林保全活動:カムアン県 6 郡の約 50 村の村人(約 15000 人)

複合農業活動:カムアン県 21 村の村人(約 6000 人)

カムアン県及び県内 6 郡の農林局の行政官

(事業費)

第一年次契約金額:14,259 千円

2-1-3「公共図書館支援を通じた図書・読書支援事業」:(社)シャンティ国際ボランティア会(SVA)

(実施予定期間)2005 年 12 月~2008 年 11 月(3 年間)

(概要)ラオスでの公共図書館は発展途上にあり、その数も限られ、蔵書数も充分でない。年間の図書出版数が

数十タイトルと本の少ないラオスにおいては、本が少ないからこそ公共図書館の役割は重要であり、少な

い本を多くの人が利用できるようにすることが求められている。ヴィエンチャンを中心に、子どもから学生

まで読書への要求は日々高まりつつあり、そうした要求に応えるには公共図書館の整備は必要かつ不

可欠である。またラオスには図書館法などのルールが存在しないため、県の公共図書館支援を行うと同

時に、ラオス図書館協会の設立支援とネットワークつくりを支援することで、今後の公共図書館の発展の

基礎を作ることが求められている。実施団体は1992年よりラオスで読書推進運動を展開してきたが、

2005 年 12 月より開始した本事業では、公共図書館が住民に対し適切なサービスを提供できるよ

うになることを目的に、以下の諸活動を実施している。

ヴィエンチャン県公共図書館の整備

現在ある公共図書館への図書の補充支援

障害児者むけの点字および朗読テープコーナーの設置

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タイ語・英語の絵本などのラオス語への翻訳

移動図書館車の運行マニュアルの整備

移動図書館車担当スタッフの研修

ストリートチルドレンや物乞いの子どもなどへの定期的なサービスの実施

公共図書館の手引き・基準の作成

公共図書館員のための研修会の実施

読書推進のためのキャンペーン活動の実施

読書に関するコンテストの実施

ラオス図書館協会の設立支援

ニュースレターの定期的発行

(対象地域)

ヴィエンチャン特別市、サワンナケート県、ルアンパバーン県、シェンクワン県、ヴィエンチャン県、

チャンパサック県

(受益者層)

幼児、小学生、中学高校生、大学生、及び一般市民、また視覚障害児者、ストリートチルドレンな

どのリスクをもった子ども

(事業費)

第一年次契約金額:7,311 千円

2-1-4「読書推進運動の自主的運営のための拠点構築事業」:(特活)ラオスのこども(ALC)

(実施予定期間)2005 年 12 月~2008 年 12 月(3 年間)

(概要)ラオスでは、植民地時代の母国語軽視政策の影響やベトナム戦争による経済の疲弊など様々な要因で、

図書、特に子ども向けの本は非常に少ない。このため、子どもたちが本に親しむ環境がなく、識字と基礎

教育の普及を妨げている。係る状況下、ALC はラオス国立図書館の国家プロジェクト「読書推進運動」に

協力して、1992 年よりを開始し、全国の小学校に移動式図書箱を配付と補充、学校図書室開設支援を

行い、図書活用のための教員研修を実施してきた。この活動は、2002年12月より開発パートナー事業で

実施し、学校での図書活用が促進された。2005 年 12 月からは草の根技術協力事業として、上記プロセ

スを経て育ってきた県教育局や教育指導官など、地方の人材を活用し、読書推進運動の実質的な担い

手としていくこと、彼らの指導のもとに学校が自力で図書を調達する方法を確立し、学校自身で図書室を

育てていくことを目的に、以下の諸活動を実施している。

子ども向けのラオス語図書を出版し、対象地域の学校に配付する

県教育局に読書推進センターを設置し、担当地域の読書推進運動を指導する

読書推進センターの設置された県の学校に対し、図書の交換・有償譲渡を行う

図書を「無償でもらうもの」から「対価を支払って買うもの」へと人々の発想を転換させる

(対象地域)

ヴィエンチャン県、チャンパーサック県、セコン県およびボーケオ県

(受益者層)

配付対象校の児童、教員および地域住民

(事業費)

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第一年次契約金額:5,430 千円

〈支援型終了案件〉

2-1-5「ラオス国女性のための職業訓練プログラム」:(特活)国際協力NGO IV-JAPAN

(実施期間)2004 年 4 月~2005 年 3 月(1 年間)

(概要)ラオスでは、労働人口の 8 割以上が農業従事者である。しかし、生産性の低い農業からは所得の急増は

望めず、経済成長による貧困削減が国家的課題となっている。国民の多くにとって、専門知識や技術を

学ぶ機会がないことが、農業以外の職業に就くことを難しくしており、このような境遇にある低所得者層に

専門知識や技術習得を提供することが求められている。係る状況下、IV-JAPAN は、1996 年以来、ラオ

スの低所得層に対し、短期間の職業訓練を実施してきたが、2004 年 4 月より、草の根技術協力事業とし

て、将来的に訓練生が就業や起業することを目的に、以下の諸活動を実施した。

縫製・理美容・調理の 3 コースにて、訓練生の起業や就職に結びつくための職業訓練を実施する。

トレーニングは初級・中級及びオンザジョブトレーニングに分かれる。オンザジョブトレーニングで

は、中級コース修了者を対象に、就業や起業を念頭においた実践的なトレーニングを実施する。

技術の向上とモチベーションの強化を目的とし、スタディツアーの実施やコンテストへの出場・見

学、ボランティア活動などを実施する。

(対象地域)

ヴィエンチャン特別市

(受益者層)

全国より募集・選考された訓練生 58 名

(事業費)

第一年次契約金額:9,883 千円(精算金額:9,211 千円)

2-2 モニタリング・評価の方法

本調査では、ラオスにおける草の根技術協力事業全般については JICA ラオス事務所を対象に、また個々の

対象事業についてはラオス事務所に加え、各事業を実施中の NGO を対象に、事前に調査項目を送付するとと

もに、現地にてインタビュー調査(個別インタビューおよびグループインタビュー)、サイト視察等を実施し、情報

収集を行った。

現地にて行った調査結果に関しては、今後草の根技術協力事業のよりよい実施のために、本部及び必要に

応じ各国内機関にもフィードバックすることとする。

Page 17: 平成17年度 ラオス 草の根技術協力事業 モニタリング調査団 …体における草の根技術協力事業の実施方針や事業管理について、jicaラオス事務所と協議、意見交換を行

JICA 東京 ラオス草の根調査団

2-3 モニタリング・調査の結果 ラオス事務所 意見交換項目 現状/問題認識 現地意見交換項目 意見交換のポイント 意見交換結果 1 ラオス事務所との草の根技

術協力事業支援に係る意見

交換

ラオスの JICA 事業におけ

る草の根技術協力事業の位

置づけを確認する必要があ

る。

・ 本部/JICA 東京による

平成18年度草の根技術

協力事業の方向性の説

明 ・ ラオス事務所による草

の根技術協力事業に対

する姿勢現状及び問題

点の説明及びその理由

の説明

・ 国別援助実施計画との

整合性 ・ ラオス政府の NGO 支

援方針との整合性 ・ ラオスで活動している

本邦 NGO の現状やニ

ーズ把握

・国別事業実施計画について

は、技協事業でできないもの

で草の根技協では実施できる

ものもあると考えているため、

必ずしも同計画に当てはまら

なくてもよいと考えており、読

書推進やスポーツなどの分野

でもニーズはあると考えてい

る。

・NGO の提案事業は行政では

できない部分もあり、NGO なら

ではの発想を大事にしたいた

め、国内機関や本部による審

査コメントについては、ネガテ

ィブチェックではなく、団体の

長所を伸ばすよう心がけてほ

しい、また技協事業と同じよう

な視点での、制度構築やイン

パクト、サステナビリティに重

きを置くよりも、むしろ NGO ゆ

えの部分や団体の特性を尊

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JICA 東京 ラオス草の根調査団

重してほしいとの要望があっ

た。

2 今後の 3 者(本邦 NGO/ラ

オス事務所/JICA)連携の

あり方に係る意見交換

JICA 内部の市民間協力促

進に係る共通認識を確立す

ること、及び在外事務所の

役割・支援内容を明確化す

ることが必要とされてい

る。

・ 現在の他スキームとの

連携の存在の確認 ・ ラ オ ス で 活 動 す る

NGO の特徴の説明

・ JICA 事務所の、ラオス

における外務省 NGO支援無償、草の根無償

事業の情報集約度

・現在の課題としては、支援型

案件について、特にこれまで

コンタクトの全くなかった団体

のコンサルテーションが難しい

と感じているほか、プロジェク

ト終了時を見越し、制度的な

capacity development が必要

であると考えている。また、事

務所と東京とのギャップを感じ

ることもあり、情報共有を図り

たい。

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JICA 東京 ラオス草の根調査団

在ラオス大使館 意見交換項目 現状/問題認識 現地意見交換項目 意見交換のポイント 意見交換結果 1 ラオスにおける国民参加型

事業に係る意見交換 ・ ラオスで活動する本邦

NGO の草の根技術協

力事業や外務省 NGO支援無償に対する認知

度、理解度、ニーズに

ついて把握する必要が

ある

・ JICA による草の根技術

協力事業の趣旨及び平

成18年度の連携の方向

性の説明 ・ 外務省 NGO 支援無償

等によるラオス事業の

方向性

・ 草の根技術協力事業に

対する理解を得る ・ NGO との意見交換会

などをしているか。

・支援型案件について、国内

機関からのコメントは多いが、

事業提案書は記述が不十分

な状態のまま在外コメントが求

められることが多々あるため、

もう少し内容を記述できる状

態になってからコメントを依頼

すべきではないかとのご指摘

があった。この点については

検討していく。

・パートナー型について、ポジ

ティブ・ネガティブいずれかと

いうのは回答しづらいため、支

援型のように問題のあり・なし

を問われる形とすべきとのご

指摘があった。H18 年度選考

に向けて検討していくこととす

る。

・日本 NGO 支援無償につい

て:年間 2 件程。申請は増えて

きているが、今後特に拡張・縮

小の話はなく、草の根技協の

ように常連で複数回申請してく

るところはない。

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JICA 東京 ラオス草の根調査団

「ラオス国障害者のための車椅子普及支援」(実施団体:(特活)難民を助ける会/事業実施:2004.11~)

1 制度に関する調査

調査項目 現状/問題認識 現地調査項目 調査のポイント 調査結果 1-1 JICA 連携の効

果 実施団体はこれまで 2000 年よ

り、車椅子プロジェクトを展開し

ており、2000 年 12 月から 2003

年 12 月まで開発パートナー事

業として、2004 年 11 月より草の

根事業として、それぞれ実施し

ている。

・ JICA と連携することにより、

生じたメリットは何か

・ JICA と連携することにより、

生じたデメリットは何か ・ JICA に対する要望はある

・ JICA との連携前と比較し、

中央/地方行政との関わり

で、違いは生じたか

・ AAR の事業に対するオーナ

ーシップに変化が生じたか

・ JICA の他スキームとの連

携/組み合わせの可能性

はあるか

・団体はもともと、ラオスで実

績はそれほど大きくなかった

が、開発パートナー事業の実施

により、ラオスでの地歩を築き、

草の根事業とあわせ、ハード、

ソフト両面での支援が可能とな

った。

1-2 主体性(現地

NGO との連

携バランス)

・ NRC(国立リハビリテーシ

ョンセンター)との関係は

良好である。 ・ 実施団体は、草の根事業終

了後、車椅子事業を NRCに引き渡すことを検討し

ている。

・ 実施団体と NRC がそれぞ

れの役割を認識している

か ・ NRC に車椅子事業を独自

に展開する能力は備わっ

ているか。または備わりつ

つあるか。将来的な独自運

営の意識はあるか。

・ AAR の撤退戦略に関し、

AARとNRCは合意してい

るか。 ・ 日本のプロジェクトとし

て認識されているか ・ 自立発展のための NRC の

人材ならびに組織体制。

・C/P である NRC(国立リハビ

リテーションセンター)は団体

の撤退戦略を理解しており、撤

退後も規模を縮小してでも自立

的に活動を維持しようとする強

い意志が感じられる。 ・日本のプロジェクトであるこ

とは、C/P の態度や、C/P 施設

の掲示物などから見ても、強く

認識しているように感じられ

る。 ・自立発展のため、C/P と団体

はこれから事業終了までの 2 年

弱の間、組織体制の構築につい

て意見交換をする予定である。

ファンドレイジングを双方共同

で実施し、一定の成果を収めて

いることも報告されている。 1-3 実施体制と治 特に問題は認識していない。 ・ 状況を確認する。 ・ 同左 特に問題はない。

Page 21: 平成17年度 ラオス 草の根技術協力事業 モニタリング調査団 …体における草の根技術協力事業の実施方針や事業管理について、jicaラオス事務所と協議、意見交換を行

JICA 東京 ラオス草の根調査団

2 プロジェクトに関するモニタリング 調査項目 現状/問題認識 現地調査項目 調査のポイント 調査結果

2-1 プロセス(プロ

ジェクト実施過

程で起こってい

ることを把握す

る)

・プロジェクト開始前、年間数台

程度だった車イスおよび三輪車

イスの生産台数は、毎月平均

40 台程度に達している。

・配布対象者への的確な査定が

必要となっている。

・活動実施状況

・プロジェクト運営体制

・関係者(受益者)のプロジェクト

に対する意識

・ 活動は計画通りに実施され

ているか

・ プロジェクトのマネジメント

体制に問題はないか

・ 軌道修正の必要があるか

・ AAR が最近行った調査結果

の聞き取り(資料の入手)

・活動は概ね計画通りに実施さ

れているが、団体の弱みとして、

医療スタッフがいないことがあ

げられる。しかしながら、昨年

2 月から英国人理学療法士がプ

ロジェクトに加わり、査定技術

向上のため活動している。 ・今後は、車椅子の正しい利用

のため、査定とメンテナンス活

動ならびに C/P 機関への技術移

転により多くの時間を割くこと

が求められる。 2-2 妥当性

Relevance

《現状検証》

車椅子が障害者にとって必要な

ものかどうか。

地域住民の、本事業に対する期

・対象地の問題・受益者のニー

ズを適格に把握しているか。

・同地域での他事業との整合性

・車椅子を必要とする障害者人

口は多く、都市、地方を問わず、

ニーズは高いことが確認されて

いる。 2-3 有効性

Effectiveness

《現状(予測)

検証》

・車椅子の配布対象者が車椅

子の有効性を認識しているかど

うか。

・車椅子の配布対象者の生活

状況が改善しているか

・車椅子使用者の満足度。

・使用者家族の満足度。

・メンテナンスの状況。

・団体の車椅子配布者に対する

モニタリング体制の確認

・プロジェクトの実施により、受

益者または社会への便益がも

たらされているのか。

・配布前の査定がなされなかっ

た、または不十分だったことに

より、車椅子が十分に利用され

ていないケースも見られる。 ・査定はもとより、メンテナン

ス指導、使い方指導を徹底する

ことにより、利用状況は改善さ

れる余地があるように思われ

る。 ・上半身に力のある障害者に対

しては、手漕ぎの三輪車を配布

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JICA 東京 ラオス草の根調査団

しているが、こちらの方の利用

状況は良好であると報告されて

いる。 ・モニタリングは団体のみの力

ではかなり負担が大きい(首都

周辺の利用者だけでも一日 4 人

が限界)。NRC のみならず、PRC(県リハビリテーションセンタ

ー)とも早急に連携し、モニタ

リング態勢を確立する必要があ

る。 2-4 効率性

Efficiency

《現状(予測)検

証》

投入は妥当か。 ・車椅子製作に係るコスト

・製作と査定に係る投入のバラ

ンス

・ニーズに見合った品質を保持

しながら、本当に必要とされる人

に製作、配布されているか。

・事前査定の開始により、ニー

ズに見合った品質を持った車椅

子の提供が行われはじめてい

る。 ・製作コストは、車椅子1台60$、三輪車一台 80$

2-5 インパクト

Impact

《△予測検証》

・受益者以外の障害者のニーズ

を喚起しているか。

・受益者の住む地域に与えるイ

ンパクトはどうか。

・現地住民の暮らしがどのように

変化したか。(良い具体例・悪い

具体例)

・地方への効果が拡大。

・出た効果が、プロジェクトによ

るものなのか。

・負のインパクトはないか。

・車椅子の配布により、行動範

囲が広まっていることが確認で

きた。ただし、路の悪さや高床

式住居の理由により、車椅子の

メリットを享受できないという

課題もある。 ・査定を正しく行わないと、体

に合わない車椅子により、血行

障害を起こす可能性もあるので

注意が必要。 ・地方でも利用者は増加傾向に

ある。 2-6 自立発展性

Sustainability

・実施団体は、草の根事業終

了後、車椅子事業を NRC に引

・撤退後の継続体制をどのよう

に想定しているか。

・ 配布に重きがおかれ、製作

システム構築やメンテナン

・団体は現在、メンテナンスや

査定システムの構築の重要性を

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JICA 東京 ラオス草の根調査団

《予測検証》 き渡すことを検討している。 ・資金回収システム、施設照会

システムの状況

ス、査定システムの構築が

おろそかになっていないか。

・ 事業終了後も、必要な活動

や組織が継続して実施して

いかれるように、どう配慮し

ているか。

・ NRC が自立発展に対し、ど

の程度意識しているか。

・ AAR ラオス人スタッフ(撤退

後、NRC に雇用される方向

で検討中の由)の、撤退後

の活動に対する意識はどう

か。

強く認識している。他方団体内

部に医療関係者がいないことも

あり、査定に係る人材を外部か

らリクルートしなければならな

い状況にある。 ・NRC は AAR の撤退戦略を承

知しており、撤退後は NRC が

本事業を担って行かねばならな

いことを認識している。ただし、

スポンサー集めや政府予算確保

など、資金面での課題は残る。

スポンサーは、現在は AAR と共

同で集めているので集まりがい

いとのことだが、NRC 単独でど

こまで集めることができるか。

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JICA 東京 ラオス草の根調査団

「カムアン県における持続的農業及び森林管理プロジェクト」(実施団体:(特活)日本国際ボランティアセンター/事業実施:2005.9~)

1 制度に関する調査

調査項目 現状/問題認識 現地調査項目 調査のポイント 調査結果 1-1 JICA との連携

の効果 実施団体は 1988 年以降、農村

開発活動を展開しており、2005

年 9 月から草の根事業として実

施している。

・ JICA と連携することにより、

生じたメリットは何か

・ JICA と連携することにより、

生じたデメリットは何か ・ JICA に対する要望はある

・ JICA との連携前と比較し、

中央/地方行政との関わり

で、違いは生じたか

・ JICA の他スキームとの連

携/組み合わせの可能性

はあるか

・JICA 事業であることを行政が

認識したことにより、行政上の

手続きが短期間で行えるように

なったことがメリット。 ・また、JICA 等の視察が増えた

ため、団体スタッフや C/P も、

注目されているという意識を持

って活動に取り組むようになっ

ている。 ・会計システムが団体のものと

異なるので、移し替えに時間を

要し、日本人スタッフが会計に

携わらなければならない時間が

増えている。 ・草の根の実施の手引きを現地

事務所にも置いて欲しいとの要

望があった。 1-2 主体性(現地

活動主体との

連 携 バ ラ ン

ス)

カムアン県農林局は長年にわ

たり JVC と活動を展開してお

り、連絡体制は強固であるも

のと思われる。

・ JVC の活動方針を、農林局

が認識しているか ・ 農林局に主体性はあるか ・ 農林局との役割分担は明

確か

・ 農林局あるいは、郡の農林

事務所がプロジェクトを

どのように認識している

か ・ 日本のプロジェクトとし

て認識されているか ・ 地方行政との連携の実情

はどうか

・県農林局とは密に連携してい

るが、スタッフが少なく、本事

業に振り向けるだけの人材が不

足している模様。このため、県

にはまだ信頼に足る C/P はいな

い。 ・農林局に人材がいないため、

主体性を持つべきとは認識して

いるものの、現状では主体性が

あるとは言いがたい。

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JICA 東京 ラオス草の根調査団

・土地森林委譲は政府の方針に

基づき、県と協働で実施する活

動であるが、計画通り進まず、

団体は行政に対し不信感を抱く

に至っている。 1-3 実施体制と治

安 ・プロジェクトサイトの中に

は特に立ち入り禁止地域はな

い。 ・来年度、プロジェクトマネ

ージャーの交替が予定されて

いる。

・ 実施体制の確認 ・ サイトでの日本人スタッ

フの活動環境、住環境を確

・特に問題はない。

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JICA 東京 ラオス草の根調査団

2 プロジェクトに関するモニタリング

調査項目 現状/問題認識 現地調査項目 調査のポイント 調査結果

2-1 プロセス(プロ

ジェクト実施過

程で起こってい

ることを把握す

る)

・ 2005 年 9 月に事業開始。特

に事業進捗に問題はない。

・活動実施状況

・プロジェクト運営体制

・関係者のプロジェクトに対する

意識

・住民の関わり方や変化

・ 活動は計画通りに実施され

ているか(事業の実施スケ

ジュールに変更はないか)

・ プロジェクトのマネジメント

体制に問題はないか

・ 軌道修正の必要があるか

(スケジュールに無理はな

いか)

・組織改変により、土地森林利

用の普及スタッフが県から郡に

シフトし、県レベルでの C/P(普及スタッフ)が確定していない。

このため県農林局との連携が弱

くなっている。カムアン県内で

ダム建設や植林事業も展開され

ており、スタッフがこれら事業

に流れていることも原因のひと

つ。このため、団体は今後、村

へのアプローチを強化すること

でこの問題を解決したいと考え

ているものの、県レベルでの

C/P を得ることが急務と思料。 ・組織改変の影響で政府の土地

森林委譲計画に遅滞が生じてお

り、村レベルでの土地森林委譲

活動が、今年度に関しては計画

通り進んでおらず、来年度以降

へのしわ寄せが懸念される。 ・土地森林委譲や農業研修など

への住民の参加は積極的であ

る。

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JICA 東京 ラオス草の根調査団

2-2 妥当性

Relevance

《現状検証》

・政府の森林委譲政策に対応す

る形で、適切に森林を管理し、

持続的農業を展開するため、本

事業の妥当性は認められる。

・農林局、住民のプロジェクト理

解度

・各関係者がプロジェクトの重要

性を理解しているか。

・同地域での他事業との整合性

(もしあれば)

・農林局はこれまで長期間にわ

たりJVCと連携してきたことも

あり、プロジェクトの重要性を

理解している。これまでも農林

局ではJVC事業により人材が育

成されていたようだが、その人

材の定着が悪いことも認識して

いる。 ・Lakkao 村で行われた住民に対

する土地森林委譲に関するワー

クショップを見る限り、住民も

積極的に参加しており、住民の

理解度も高いと思われる。 2-3 有効性

Effectiveness

《△予測検証》

・適切な森林管理、持続的農業

の展開のために有効な活動が

盛り込まれている。

・活動実施状況

・プロジェクト運営体制

・現在進行中の活動に対する受

益者の満足度。

・過去の活動から得られている

教訓が本プロジェクトに活かさ

れているか。

・村では幼苗一本植をはじめと

する農業指導を行なっている

が、技術移転も、あくまで住民

の意見を採り入れながらという

プロセスを踏んで行われている

ところ、住民にとって満足度の

高い活動になることが期待され

る。 ・低利用農地における果樹栽培

等、家庭菜園指導においては、

一部作物で思うような成果があ

がらず、試行錯誤の状態になっ

ているものもある。 ・しかしながら試行錯誤の教訓

が今後の同地域あるいは他地域

での活動に活かされることは予

測できる。 2-4 効率性 ・投入に過不足はないか。 ・プロジェクト運営体制 ・投入に見合った効果である ・村での滞在、往復はそれなり

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JICA 東京 ラオス草の根調査団

Efficiency

《現状(予測)検

証》

か。

・業務従事者や受益者に過度の

負担はないか

の負担が予想されるが、投入さ

れた人材は現地調整員の管理の

下、効率的に活動している。 ・過度の資機材投入は認められ

ない。 2-5 インパクト

Impact

《△予測検証》

・住民の生活にどのような影響

を与えているか。

・現地住民の暮らしがどのように

変化したか。またはする兆しが

あるか(良い具体例・悪い具体

例)

・このインパクトが、本プロジェク

トによるものなのか。

・受益者及び周辺地域への波及

効果の兆しはあるか。

・事業開始後4ヶ月での調査な

ので、予測検証となるが、井戸

の設置、土地森林委譲あるいは

農業指導の成功例が受益者に与

えるインパクトは大きいことが

予想される。 ・簡易な井戸により水を確保す

る(水汲みは女性、子どもの仕

事)こと、換金作物栽培(パイ

ナップル、レモンなど)の成功、

委譲された土地の適切な利用に

より、住民の生計が向上するこ

とが期待される。 2-6 自立発展性

Sustainability

《予測検証》

・村人が村落共有林を持続的に

管理・利用しながら、食料確保を

中心とした生活改善ができるよ

うになることを目標としている。

・持続発展のための仕組み

・団体撤退後、自立的に上位目

標(村人が地域在来の資源を活

用して、生活の改善を安定的・

持続的に図ることができるよう

になる)に達することができる

か。

・事業終了後も、必要な活動や

組織が継続して実施していかれ

るように、どう配慮しているか。

・知識普及のためのシステムは

構築される見込があるか。

・維持管理に当たり、受益者に

重い負担はないか。

・負担を徐々に行政が担うなど

の戦略はあるか。

・JVC は 3 年後の撤退を考えて

いるが、その後の活動を担うべ

き県農林局に然るべき体制が整

うかという点が懸念される。 ・知識普及のためのノウハウは

JVC にあるものの、知識普及の

ためのシステムが構築されるか

否かについては、ラオス側の人

材の定着如何と思われる。 ・将来的に行政サービスの一環

として農業指導や土地森林委譲

が行われる場合、人材もさるこ

とながら、予算の点も重要とな

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JICA 東京 ラオス草の根調査団

る。その場合、どの程度上記活

動に予算が振り向けられるのか

については不透明であるといわ

ざるを得ない。

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JICA 東京 ラオス草の根調査団

「ラオス・公共図書館支援を通じた図書・読書活動普及事業」(実施団体:(社)シャンティ国際ボランティア会 (SVA)/事業実施:2005.12~)

1 制度に関する調査

調査項目 現状/問題認識 現地調査項目 調査のポイント 調査結果 1-1 JICA との連携

の効果 1992 年よりラオスで読書推進運

動を実施している。JICA草の根

技協に関しては、カンボジアでも

1 件同様の事業を実施中であ

り、またアフガンでも事業申請中

である。

・ JICA と連携することにより、

生じたメリットは何か

・ JICA と連携することにより、

生じたデメリットは何か ・ JICA に対する要望はある

・ JICA との連携前と比較し、

中央/地方行政との関わり

で、違いは生じたか

・ JICA の他スキームとの連

携/組み合わせの可能性

はあるか

・ JICA と連携していることによ

り、会議を開く際に行政機関

が積極的に参加してくれるな

ど、行政の理解を得やすいと

いうメリットがある。

・ 他方、JICA 事業であることか

ら大きな資金が投入されると

思われ、政府予算が減らされ

る可能性があるところ、粘り

強い説明が必要である。

・ 4 通貨を利用するため、会計

が煩雑である。

・ 図書館建設を、外務省や自

治労のスキームを使うなどの

工夫をしている。

1-2 主体性(現地

NGO との連

携バランス)

C/P である各県情報文化局と

は長年の連携実績がある。ま

た、教育局とは、 ・MOU の締結相手。 ・子どもや図書館、学校に対

するアプローチにおけるオー

ソライズ などの面から、重要な連携先

となっている。

・ SVA と各県情報文化局、教

育局がそれぞれの役割を

認識しているか ・ SVA と各県情報文化局、教

育局それぞれの主体性が

保たれているか ・ モニタリング体制の確認

・ 各県情報文化局が主体的

に活動に参加しているか。

・ 日本の草の根技術協力事

業(プロジェクト)として

認識されているか?

・情報文化局、教育局ともそれ

ぞれの役割を十分認識し、積極

的に事業に関与しており、C/P職員は読書推進のための必要な

知識と能力を身につけている。

ただし、縦割り行政の弊害によ

り、相互の連絡体制は確立され

ておらず、団体にとって大きな

負担となっているばかりでな

く、事業の円滑な進捗の障害と

なっている。

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JICA 東京 ラオス草の根調査団

1-3 実施体制と治

安 特に問題は認識していない。 ・ 状況を確認する。 ・ 同左 特に問題はない。

2 プロジェクトに関するモニタリング

調査項目 現状/問題認識 現地調査項目 調査のポイント 調査結果

2-1 プロセス(プロ

ジェクト実施過

程で起こってい

ることを把握す

る)

・ 事業実施前に比較し、どこ

まで図書館員の知識・能力

が向上する見込があるか?

・ 住民に対するアプローチは

十分か。

・活動実施状況

・プロジェクト運営体制

・関係者のプロジェクトに対する

意識

・受益者(住民を含む)の意識変

化)

・図書館利用状況

・ 活動は計画通りに実施され

る見込みか?

・ プロジェクトのマネジメント

体制に問題はないか?

・ 受益者(特にストリートチル

ドレン)にアプローチできて

いるか

・全図書館が所属し、図書館支

援事業の直接の受け皿機関とな

るべき図書館協会を発足させる

予定だが、現在のところ情報文

化大臣の許可が下りず、全国の

図書館間のネットワーク構築に

支障が出る可能性がある。 ・中央では、教育省と情報文化

省間の連絡がなく、縦割りの弊

害が出る恐れがあるが、現在、

団体が両省が参加するセミナー

を企画しており、改善に向けた

努力をしている。 ・図書の利用状況は、特に子供

の利用が多いように見受けられ

た。 ・ストリートチルドレンを対象

に移動図書館巡回を行っても、

一般の子供が多く集まってしま

い、ストリートチルドレンは気

後れして図書館に近づこうとし

ないため、アプローチ方法につ

いては再考の余地がある。

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JICA 東京 ラオス草の根調査団

2-2 妥当性

Relevance

《現状検証》

・ 母国語書籍が極端に少な

く、読書習慣の定着していな

いラオスにおいて、図書館

サービスの改善は急務とな

っている。

・ 念のため、政府の読書推進

政策を確認。

・ 住民のニーズ

・受益者のニーズを適格に把握

している案件となっていたか。

・同地域での他事業(JICA 事業

に限らない)との整合性。

・政府は、読書推進を重要な課

題と考えており、教育に関する

様々な局面に読書推進を絡ませ

たいと考えている。 ・これまでの団体の活動により、

図書館利用状況が改善している

ことから、住民の潜在的ニーズ

は十分に確認できる。図書箱、

図書袋の要望が地方から多数報

告されている。 ・ラオスのこども(ALC)との棲み

分けと情報共有は確立されてい

る。 2-3 有効性

Effectiveness

《△予測検証》

・ 図書補充、図書館スタッフ

育成、運営システム構築な

どの活動は、図書館の住民

サービスを最適化するた

め、有効である。

・ スタッフ研修概要とその普

及定着度

・ 補充図書の確認

・ 住民へのアプローチの方法

プロジェクトの実施により、受益

者または社会への便益がもたら

される可能性はどこまであるの

か?

・C/P には、図書の管理方法や、

子供への読書推進方法などの研

修が行われており、十分に定着

している。また情報文化局スタ

ッフの異動もほとんどないとこ

ろ、技術の定着も十分に期待で

きる。 ・図書の管理状況は良く、紛失

や破損は常態化していない。 ・雰囲気の良い図書館を作り上

げたことで、住民もアクセスし

やすい環境が整っている。 2-4 効率性

Efficiency

《現状(予測)検

証》

・ 2-3 で述べた活動を実施す

るのに見合った投入が行わ

れているか。

・投入の過不足。 ・プロマネの実施能力。

・スタッフの実施能力。

・図書補充に過度に重きがおか

れていないか。

・ プロマネの経験、現地での

交渉能力から見て、実施能

力に問題はない。 ・ その他業務従事者も、長年

現地に滞在し、図書館事業

に携わった経験を持つ。

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JICA 東京 ラオス草の根調査団

・ 商業出版が成立しない現状

において、 低限の図書補

充は必要不可欠である。読

書推進のための C/P の育成

と図書補充のバランスは良

い。

2-5 インパクト

Impact

《△予測検証》

・ 図書館サービス向上と住民

が図書に触れることによる

「成果」に表れないインパク

トはあるか

・対象住民の意識の変化

・スタッフの意識の変化

・対象外地域への広がり

・出た効果が、プロジェクトによ

るものなのか。

・図書館スタッフである文化情

報局職員が積極的に本プロジェ

クトに携わっていること、学生

対象の読み聞かせ実習が図書館

で行われていることから、今後

の広がりが期待できる。 2-6 自立発展性

Sustainability

《予測検証》

・ 自立発展の観点から、図書

の補充をいつまでも SVA が

担うわけには行かない。

・ CP機関などによる自立運

営のビジョン。

・ 自立運営を担保する法整備

状況

・活動開始後間もないので、法

整備の兆し、C/P 機関によるフ

ァンドレイジングの見込みを確

・撤退戦略の有無の確認。

・ C/P 機関の積極的な関与は

確認できるが、政府の予算は

今後もあまり期待できない。

・ 人材育成により、図書館の自

立運営は期待できる。しかし

図書補充については引き続

き支援が必要。

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JICA 東京 ラオス草の根調査団

「ラオスにおける読書推進運動の自主的運営のための拠点構築事業」(実施団体:(特活)ラオスのこども (ALC)/事業実施:2005.12~)

1 制度に関する調査

調査項目 現状/問題認識 現地調査項目 調査のポイント 調査結果 1-1 JICA との連携

の効果 1992 年よりラオスで読書推進運

動を実施している。2002 年より

JICA 開発パートナー事業を実

施、2005 年 11 月に終了した。

・ JICA と連携することにより、

生じたメリットは何か

・ JICA と連携することにより、

生じたデメリットは何か ・ JICA に対する要望はある

・ JICA との連携前と比較し、

中央/地方行政との関わり

で、違いは生じたか

・ JICA の他スキームとの連

携/組み合わせの可能性

はあるか

・自分たちでは調達できない大きな

予算を使って、自分たちがやりたい

と思っていた事業を実現できるの

がメリット。

・他方、JICA 事業であることから大き

な資金が投入されると思われがち

で、過度な期待をかけられることもあ

る。

・開パト時代、JICA 担当者が頻繁

に交替し、引継がうまくなされてい

ないようだったので、その点は改善

して欲しいとの要望があった。

1-2 主体性(現地

NGO との連

携バランス)

C/P である国立図書館、教育省

ならびに各県教育局とは長年

の連携実績がある。

・ ALC と各 C/P がそれぞれ

の役割を認識しているか ・ ALC と各 C/P それぞれの

主体性が保たれているか ・ モニタリング体制の確認

・ 各 C/P が主体的に活動に

参加しているか。 ・ 日本の草の根技術協力事

業(プロジェクト)として

認識されているか?

・情報文化省(国立図書館)、教育

省、各県教育局ともそれぞれの役割

を十分認識し、積極的に事業に関与

している。ただし、縦割り行政の弊

害により、相互の連絡体制は確立さ

れておらず、団体にとって大きな負

担となっている。

・図書利用状況についてのモニタリ

ングは、ALC と各県教育局が協働で

実施している。

1-3 実施体制と治

安 特に問題は認識していない。 ・ 状況を確認する。 ・ 同左 特に問題はない。

2 プロジェクトに関するモニタリング

調査項目 現状/問題認識 現地調査項目 調査のポイント 調査結果

Page 35: 平成17年度 ラオス 草の根技術協力事業 モニタリング調査団 …体における草の根技術協力事業の実施方針や事業管理について、jicaラオス事務所と協議、意見交換を行

JICA 東京 ラオス草の根調査団

2-1 プロセス(プロ

ジェクト実施過

程で起こってい

ることを把握す

る)

・ 事業実施前に比較し、どこ

まで図書委員会(校長・教

員・児童からなる)および読

書推進センター(教育局に

設置)の機能が向上する見

込があるか?

・ 住民に対するアプローチは

十分か。

・活動実施状況

・プロジェクト運営体制

・関係者のプロジェクトに対する

意識

・受益者(住民を含む)の意識変

化)

・図書利用状況

・ 活動は計画通りに実施され

る見込みか?

・ プロジェクトのマネジメント

体制に問題はないか?

・ 受益者にアプローチできて

いるか

・事業開始後 1 ヶ月余が経過したの

みではあるが、活動は計画通りに実

施される見込である。

・プロマネは開パト時代の経験も活

かし、活動を実施しているところ、

体制的に問題はない。

・開パトを含む、長年の読書推進運

動の実績により、図書を購入すると

いう意識が芽生えつつある。本事業

でその意識が更に拡大することが

期待される。

・訪問した学校(生徒数 191 人)で

は図書箱が活用されていたが、年間

延べ約 1700 冊の貸し出し実績があ

る。その場で読んだ実績を含めれ

ば、図書利用状況は活発といえる。

2-2 妥当性

Relevance

《現状検証》

・ 母国語書籍が極端に少な

く、読書習慣の定着していな

いラオスにおいて、読書推

進運動は急務となってい

る。

・ 念のため、政府の読書推進

政策を確認。

・ 住民のニーズ

・受益者のニーズを適格に把握

している案件となっていたか。

・同地域での他事業(JICA 事業

に限らない)との整合性。

・ラオスの読書推進運動を国立図書

館が担っており、SVA と ALC が実

施部隊となっている。

・これまでの団体の活動により、図

書利用状況が改善していることか

ら、住民の潜在的ニーズは十分に確

認できる。図書箱、図書袋の要望が

地方から多数報告されている。

・シャンティ国際ボランティア会

(SVA)との棲み分けと情報共有は確

立されている。

2-3 有効性

Effectiveness

《△予測検証》

・ 図書補充、図書委員会の機

能向上、読書推進のための

システム構築などの活動

は、読書推進運動を担う人

・ 出版状況の確認

・ 補充図書の確認

・ 住民へのアプローチの方法

・ 読書推進セミナーの内容

プロジェクトの実施により、受益

者または社会への便益がもたら

される可能性はどこまであるの

か?

・本事業にて行なわれるラオス語図

書の出版にあたっては、ALC、ラオ

ス人作家などで構成される出版委

員会が慎重に検討した上で、出版図

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JICA 東京 ラオス草の根調査団

材の育成に有効である。

書を決定し、印刷は基本的にはラオ

ス国内の印刷会社で行われている。

今後配布予定の図書を事務所にて

確認した。

・図書の補充は無条件に行われるも

のではなく、図書の利用実績に応じ

て行われている。

・教育局職員や各学校の担当教師を

対象に読書推進セミナーを開催す

る予定。また、ビエンチャンでのセ

ミナーに地方で読書推進に積極的

な教員を招へいすることにより、他

の教員を刺激する効果も期待でき

る。

2-4 効率性

Efficiency

《現状(予測)検

証》

・ 2-3 で述べた活動を実施す

るのに見合った投入が行わ

れているか。

・投入の過不足。 ・プロマネの実施能力。

・スタッフの実施能力。

・図書補充に過度に重きがおか

れていないか。

・人材投入に問題は見られないが、

効率性の観点から見ると、C/P 機関

同士の連携が急務。

・図書補充は図書の利用実績に応じ

て行なうなど、ばらまきのないよう

に注意が払われているところ、投入

は妥当である。

2-5 インパクト

Impact

《△予測検証》

・ 読書推進システム構築と住

民が図書に触れることによ

る「成果」に表れないインパ

クトはあるか

・対象住民の意識の変化

・図書委員会スタッフの意識の

変化

・対象外地域への広がり

・出た効果が、プロジェクトによ

るものなのか。

・図書に触れるようになったこと

で、文字の読めなかった児童が文字

を解するようになったという事例

が報告されている。

・図書袋、図書箱のニーズが地方か

ら多数あがるようになっており、効

果の広がりが確認できる。

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JICA 東京 ラオス草の根調査団

2-6 自立発展性

Sustainability

《予測検証》

・ 自立発展の観点から、図書

の補充をいつまでも ALC が

担うわけには行かない。

・ CP機関などによる自立運

営のビジョン。

・活動開始後間もないので、

C/P 機関の自主性、C/P 機関に

よるファンドレイジングの見込み

を確認

・撤退戦略の有無の確認。

・団体自体は 10 年から 15 年とい

う長期的視点で、読書推進事業を行

なう考えである。

・本事業で、ラオス側が図書を有償

で調達する仕組みの端緒を築くこ

とが自立発展に向けては必須とな

るが、読書フェアでの図書の売り上

げから見ても、その兆しはうかがえ

る。

・C/P 機関職員、読書推進担当教員

などの、本事業に対する積極性は認

められるものの、出版を含めた図書

の調達を担うには、財政基盤が整っ

ていない。

「低所得者のための職業訓練による収入向上プログラム」(実施団体:(特活)国際協力 NGO IV-JAPAN/事業実施:2004.4~2005.3)

1 制度に関する調査

調査項目 現状/問題認識 現地調査項目 調査のポイント 調査結果 1-1 JICA との連携

の効果 実施団体は1994年よりラオスに

て職業訓練プロジェクトを行って

おり、2000 年には外務省草の根

無償資金協力により、ビエンチ

ャンに「女性のための職業訓練

センター」を建設した。2004 年度

に草の根支援型事業を実施、終

了した。現在、同パートナー型に

事業申請をし、審査中である。

・ JICA と連携することにより、

生じたメリットは何か

・ JICA と連携することにより、

生じたデメリットは何か ・ JICA に対する要望はある

・ JICA との連携前と比較し、

中央/地方行政との関わり

で、違いは生じたか

・ 団体の事業に対するオーナ

ーシップに変化が生じたか

・ JICA の他スキームとの連

携/組み合わせの可能性

はあるか

・JICA 事業の実施により、C/Pの都教育局との連携が強化され

た。現在も、同局は団体に対し強

い信頼を置いていることが確認

された。

1-2 主体性(現地

C/P との連携

バランス)

C/P であるビエンチャン都教

育局は、団体と連携し、情報

共有を図るとともに、訓練セ

・ 団体と現地 C/P がそれぞ

れの役割を認識している

・ 都教育局は今後、より主体

性を高めていくという意

識があるか。

・団体と C/P の役割分担は双方の

意思疎通により明確化している。

C/P は訓練の質を確認しつつ、訓

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JICA 東京 ラオス草の根調査団

ンターの提供、訓練生の全国

への募集、修了証書の発行な

どで協力している。

・ 団体及び都教育局それぞ

れの主体性が保たれてい

るか ・ 団体と都教育局の間のモ

ニタリング体制の確認

・ 団体からの報告に対する

都教育局の対応振りはど

うか。 ・ 日本のプロジェクトとし

て認識されているか

練修了生に対し修了証を発行し

ている。C/P が今後主体性を高め

ていくことはラオス政府の財政

基盤の脆弱性のため、C/P の意識

とは裏腹にそれほど期待できな

いが、本案件の成果や課題を的確

に把握しており、日本のプロジェ

クトであることもよく認識して

いる。 1-3 実施体制と治

安 終了案件のため、特に必要はな

いが、パートナー型審査の関連

もあり、念のため。

・ 状況の確認。 ・ 同左 問題なし。

2 プロジェクトに関するモニタリング

調査項目 現状/問題認識 現地調査項目 調査のポイント 調査結果

2-1 プロセス(プロ

ジェクト実施過

程で起こってい

ることを把握す

る)

・ 訓練生 58 名に対し、縫製、

理美容、調理の 3 コースに

分かれ、初・中級コースと実

地訓練を実施した。

・ ラオス人講師の育成を目的

に、TOT を開催した。

・活動実施状況

・プロジェクト運営体制

・関係者のプロジェクトに対する

意識

・訓練生と団体、都教育局の関

・受益者(訓練卒業生)の関わり

方や変化(事業を実施すること

による関係者・受益者の意識変

化)

・ 活動は計画通りに実施され

たか?

・ プロジェクトのマネジメント

体制に問題はなかったか?

・ また、58 名以外への技術移

転の可能性(自立発展性)

はどこまであるか?

・活動実施状況、実施体制に特段

問題なく事業は終了した。 ・職業訓練の重要性は関係者全て

が十分理解しており、積極的にプ

ロジェクトに関与する姿勢が感

じられた。 ・訓練修了生の一部はトレーナー

コースも修了し、今では新しい受

講者にトレーニングをする立場

として活躍している者もいる。た

だし、団体撤退後、トレーナーの

給与が現状を維持できるかは疑

問が残るところ、緩やかなハンド

オーバーが求められる。

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JICA 東京 ラオス草の根調査団

2-2 妥当性

Relevance

《現状検証》

・ ラオスにおける職業訓練

(労働)政策は要確認。

・ 設定された 3 つのコースは

妥当か。その後ニーズに変

化はあるか。

・ 国家もしくは都教育局にお

ける職業訓練(労働)政策・

施策を可能であれば確認。

・受益者のニーズを適格に把握

している案件となっていたか。

・同地域での他事業(JICA 事業

に限らない)との整合性。

・職業訓練に対するニーズは強く

感じられる。手に職がないために

低学歴の青少年の職に就けない

ことが社会問題となっている中、

数ヶ月の訓練により知識と技術

を身につけ、自活の道を開ける本

案件はニーズを的確に把握し、そ

れに応えるものであったと評価

できる。 ・政府は職業訓練を重要な課題の

ひとつと位置づけているものの、

予算が少なく、行政の力だけでは

不十分である。 ・他ドナーによる類似事業は特に

ないが、青年同盟など、国内組織

による職業訓練施設は存在する

とのこと。 2-3 有効性

Effectiveness

《△予測検証》

・ 58 名の訓練生(直接受益

者)への技術移転が訓練生

の生計向上に有効に作用し

たか。

・ ラオス人講師の育成はその

後の事業にとって、有効に

作用する見込があるか。

・ 訓練概要とその普及定着度

・ 訓練修了生の進路

・ 講師として育成された訓練

修了生の数とその質

・プロジェクトの実施により、受

益者への便益がどの程度もたら

されたか?

・訓練の満足度。

・訓練修了生が今度は講師とな

り、訓練を行なう可能性があるこ

とについての意識の有無。

・低学歴の青少年が技術と知識を

身につけ、自活の道を開くことが

出来ていることが確認できた。 ・グループミーティングや、修了

生の営業する店舗を訪問して聞

き取りをした限りでは、修了生の

満足度も高い。研修時に習得した

料理が、自らの働く食堂のメニュ

ーに反映されないなど、訓練の内

容が全て仕事に活かされている

わけではないが、訓練自体が起業

や就職に何らかのヒントを与え

ている模様。 ・トレーナー資格を取った訓練修

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JICA 東京 ラオス草の根調査団

了生は現在七名。低学歴の修了生

に、トレーナーとしての資質をつ

けさせること、また、その資質を

身につけたとして、C/P が低学歴

の修了生にトレーナー資格証書

を発行することに難色を示して

いることが課題となっている。 2-4 効率性

Efficiency

《現状(予測)検

証》

・ 58 名の訓練生(直接受益

者)への職業訓練は技術移

転の視点から考慮すると効

率的といえる。

・投入を再確認する。 ・現場で投入を再確認すること

により、費用対効果などを検証

する。

・冷蔵庫やオーブン等、資機材は

適切に使用されていることが確

認された。

2-5 インパクト

Impact

《△予測検証》

・ 58 名への技術移転の成果

が他の経済的自立を求める

青年たちや地域社会に対

し、どこまで波及するか?

・直接的には 58 名の受益者が

どこまで収入の機会をえること

が可能となっているか(雇用機

会の確認)。

・他の機関や地域社会がどの程

度本プロジェクトを理解している

か。

・ニーズの拡大は確認されてい

るか。

・出た効果が、プロジェクトによ

るものなのか。

・同業他者の収入が減少するな

ど、負のインパクトが生じていな

いか。

・58 名のうち、就業機会を得た

ものは 39 名。縫製コースは縫製

工場の労働条件が劣悪のため、就

職したがらない傾向がある上、起

業には更なる能力向上が必要の

ため、就職率はそれほどよくない

(13 人中就職したのはトレーナー

3名を含めても4名のみ)。ただし、

他の 2 コース(調理、理美容)は、

起業が比較的簡単であることか

ら、就職率は高い。ただし、ホテ

ルなどへの就職には、技術はあっ

ても、英語の知識が必要とのこ

と。 ・同業他者との競合の問題は発生

していない。 ・団体の実施する職業訓練プログ

ラムへの受講希望者は増加傾向

にあり、ニーズの拡大が確認され

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JICA 東京 ラオス草の根調査団

る。 2-6 自立発展性

Sustainability

《予測検証》

・ 事業実施前に比較し、どこ

まで職業訓練システムの質

が向上したか。

・ 育成されたラオス人講師に

よる職業訓練が実施可能と

なる兆しがあるか。

・ 予算的な観点からの自立発

展性はどうか。

・現地側だけでも実施可能なシ

ステムが構築されているか。

・C/P の職業訓練事業予算の配

分の変化は実施前後でどう変

化したか。

・ 活動は計画通りに実施され

たか?

・ プロジェクトのマネジメント

体制に問題はなかったか?

・ 自立発展性にどの程度配

慮されたか。

・ 人材については、トレーナー

が育成されるなど、ラオス人

だけでも十分実施できるだけ

の体制が構築されつつある。

ただしトレーナーの質につい

ては、今後より向上させるこ

とが必要と思われる。 ・ C/P は団体の撤退戦略を強く

認識している様子ではない

が、撤退後の運営プラン(授

業料と、教育局予算による施

設運営)を持ってはいる。し

かしながらそのプランの実現

可能性には疑問が残る。今後

もマネジメント体制の確立の

ため、団体の一定の関与は必

要である。

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32

第 3 章 調査の総括

3-1 ラオスにおける草の根技術協力事業全般

JICA ラオス事務所

・ ラオス事務所は、技術協力事業費が逼迫している中で、草の根技協事業を積極的に活用し、よい事業

内容のものについては、団体に対して二期目の事業提案も勧めている。

・ 同事務所からは、a)NGO の提案事業は行政ではできない部分があり、NGO ならではの発想を大事に

したいため、国内機関や本部による審査コメントについては、ネガティブチェックではなく、団体の長所

を伸ばすよう心がけてほしい。b)技協事業と同じような視点での、制度構築やインパクト、サステナビリテ

ィに重きを置くよりも、むしろ NGO ゆえの部分、特徴を尊重してほしい。技術協力事業でやれない部分

で草の根技協では実施できると考えているため、国別事業実施計画は念頭には置いているものの、必

ずしもこの中に当てはまらなくてもよいと考えている。読書推進やスポーツなどの分野でもニーズはある、

との提言があった。

・ 他方、支援型案件については、a)特にこれまでコンタクトの全くなかった団体のコンサルテーションが難

しいと感じているほか、b)プロジェクト終了時を見越し、制度的な capacity development が必要であると

考えている。また、c)事務所と東京とのギャップを感じることもあり、情報共有が不足しているとの課題が

提示された。

・ NGO との連携に関しては、現在事務所とは別の場所に JICafe ラオス版を準備中であるとの報告を受け

た。

在ラオス日本大使館

・ 日本 NGO 支援無償については、年間 2 件程ラオスで実施している。今年は増えてきているが、今後特

に対ラオス予算の拡張あるいは縮小の話はない由。草の根技協のように常連で複数回申請してくると

ころはないとのこと。なお、申請は本省、大使館のどちらでも可能。

・ 同大使館からは、a)草の根提案事業の中には、この国のためというよりも、団体のための事業と思われ

るものがあるところ、現地住民の自立性を伸ばす事業内容となっているか、妥当性について十分検討

すべき。b)支援型案件について、国内機関からのコメントは多いが、事業提案書は記述が不十分な状

態のまま在外コメントが求められることが多々ある。もう少し内容を記述できる状態になってからコメント

を依頼すべき。c)パートナー型の在外公館コメントについて、ポジティブ・ネガティブいずれかというの

は回答しづらい。○か×かというよりも、支援型のように問題のあり・なしを問われる形にすべき。との提

言があった。

・ JICA としては、今後、在外公館コメントを依頼するタイミングとその要件について検討の余地があると思

われる。

ラオス外務省 NGO Division

・ NGO の管理機能は 1996 年に内閣府の計画協力委員会から外務省に移り、NGODivision ができた。

米仏加、欧、他(日本を含む亜)をそれぞれ 3 人の担当官でみている。

・ NGO 登録は NGO が同課に申請し、基本的には各分野の省庁にも流した後、外務省内で決定・登録

するが、難しい案件の時には内閣府まで上げている。現在登録している団体は 124 団体で、うち半分

の団体はラオスに事務所を持っている。なお、事業実施にあたり、MOU の締結は必須であるとのこと。

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・ 新たに登録を希望する日本の団体が登録に係る情報を得たい場合、大使館と本国との連絡体制も構

築されているところ、在京ラオス大使館に連絡してほしいとの要望があった。→JICA として今後確認し

たい。

・ 現在、地方で活動する NGO は少ないため、地方の村への支援、特に教育や農業分野についての支

援を求めたいとの要望もあった。→今後コンサルテーションに反映する旨言及した。

・ ラオスは周辺国に比べ、活動を実施する NGO の数が少ない。今後、NGO に対し、正しい情報を提供

できるようにするため、在京ラオス大使館に NGO 登録に関する確認をするとともに、ラオス事業に関す

る提案があった場合は、現地におけるニーズなどをコンサルテーションに反映していくべきと考える。

3-2 公共図書館支援を通じた図書・読書支援事業

(社)シャンティ国際ボランティア会(SVA)

・ 商業出版が成立せず、今なお図書不足が課題となっているラオスにおいて、本事業により、図書補充

と併せ、図書館スタッフを育成し、読書推進を図ることの重要性が確認された。行政(情報文化省、教

育省)との連携は、縦割り行政の影響で、中央、地方とも芳しくなく、円滑な事業運営に課題が残る。今

後、両省参加のセミナーに地方の情報文化局、教育局職員も参加予定のところ、連携強化の端緒が

築かれることが期待される。

・ 今後、連携強化のための諸活動実施にあたり、事業実施パートナーの JICA としてのプレゼンスを示す

ことが有効であれば、内政干渉とならない範囲で、惜しみない協力をすべきであろう。

・ 他方、ストリートチルドレンへのアプローチについては、その困難さが報告されているところ、今後は、一

般児童・生徒へのアプローチが所定の成果を挙げたことが確認された後、改めてそのアプローチ方法

について検討すべきと考える。

サバナケット県教育局

・ SVAの事業により、読書推進の知識と技術を身につけた県教育局職員が県内の学校巡回等を実施し

ていることが確認された。本プロジェクト実施期間中に、各学校の図書担当教員への知識普及が教育

局経由で図られることが期待される。同局からは、主にハード面での要望が多く挙げられたため、本事

業が、「技術協力」であることを説明させていただいた。縦割り行政のため、県教育局、文化情報局、S

VAの三者が相互に情報共有し、それぞれの活動がリンクするような体制の構築が課題であるが、改善

を JICA としてお願いした。

サバナケット県文化情報局

・ 同県教育局よりも主体性が強く認められた。各職員とも読書推進に必要な知識と技術を身につけてお

り、異動の可能性も低いので知識と技術の定着ならびに波及効果が期待できる。この実績から得た経

験や手法が、今回のパートナー事業でヴィエンチャンに建設される予定の公立図書館でも活かされる

可能性があることが確認された。今後、同県教育局と連携し、効率よく読書推進運動が展開されること

を期待したい。

国立図書館

・ 国立図書館長自らタイで視察した図書箱をラオスにも持ち込むなど、ラオスにおける読書推進運動を

積極的に進めている。教育局および情報文化局双方の連携が必須であることや、SVAが進める図書

館協会設立の必要性についても認識されている。課題として、地方への展開が難しいことを挙げており、

特に地方では子供の親たちの読書への興味をひくのが大変であるため、まずはヴィエンチャンでモデ

ル的に運動を進めていけるとよいとのコメントがあった。なお、国立図書館が植民地時代からの古い建

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物であり、蔵書の保管状況もよくないことから、改築、増築の支援を JICA にお願いできないかとの要望

があったが、草の根技協での対応は難しい旨説明し、理解を得た。

3-3 カムアン県における持続的農業および森林管理プロジェクト

(特活)日本国際ボランティアセンター(JVC)

・ 組織改変の影響で、県の農林普及職員が郡にシフトし、かつ近年カムアン県で始まったダム建設や植

林事業に職員が振り向けられるなど、現段階で県農林局に信頼に足るC/Pがいないことが懸念材料で

ある。同じく組織改変の影響か、土地森林委譲も計画通り進んでおらず、来年度以降にしわ寄せが発

生することが懸念される。県農林局との信頼関係は構築されているものの、今後 C/P をいかに巻き込

みながら事業を実施できるかが課題である。プロジェクトサイトでは、住民参加で、住民の意思を尊重し

ながら、ゆっくり粘り強く活動を展開している様子が確認された。

・ 今後は、県農林局に信頼に足る C/P が配置されることが急務であるが、事業実施パートナーの JICA と

してのプレゼンスを示すことが有効であれば、内政干渉とならないよう注意を払いつつ、惜しみない協

力をすべきであろう。JVC としても、引き続き粘り強い交渉を行う中で、課題克服の糸口を得られるよう

期待したい。

カムワン県農林局

・ かつての JVC の事業で研修を受けた県職員が他の部局に転勤となるなど、研修効果の定着に問題が

あることが確認された。また、組織改変等の影響で JVC 事業との連携が懸念されているところ、今後、

村への同行など JVC 事業への積極的な関与を JICA からお願いした。ただし、農林局も本事業の重要

性については十分な理解を示している。

3-4 ラオス国女性のための職業訓練プログラム

(特活)国際協力NGO IV-JAPAN〉

・ 訓練修了生への聞き取り調査で、訓練内容への満足度が高いことが確認された。他方、トレーナーも

順調に育成されている。ただし、C/P である都教育局の職業訓練関係の予算が今後増加することも期

待できないため、事業の継続に当たっては、急激な規模の拡大は避け、訓練施設運営システムの構築

と訓練内容の品質の安定化などに重点をおきつつ、C/P 機関との協議の中で十分な撤退戦略を練る

必要があると思われる。

ヴィエンチャン市教育局

・ IV-JAPANとの連携が良好であることが確認できた。団体撤退後、受講料と行政の一定の負担によ

る訓練施設運営を考えているが、ラオスの財政状況を考えるとどの程度期待できるか疑問である。今後

IV-JAPANと継続的に協議し、緩やかにハンドオーバーされることを期待したい。

3-5 身障者のための車椅子普及支援事業

(特活)難民を助ける会(AAR)

・ 今回の調査で、車椅子および三輪車の製作、配布のシステムは確立されたことは確認された。ただし、

団体からの報告の通り、配布された車椅子が必ずしも常時使用されていないケースも散見されるところ、

今後は適正な仕様の車椅子を配布するための精査や、利用状況のフォローアップ(いずれも大変な手

間がかかる)が重要となる。残り期間で精査及びフォローアップのシステムを確立し、NRC および PRC

(県リハビリテーションセンター)に技術移転することが急務である。理学療法士の常時確保も事業の成

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功の可否を握る要素であると思われる。

国立リハビリテーションセンター(NRC)

・ AARの撤退戦略を承知しており、限られた予算の中で車椅子の普及事業を継続していく意思が確認

された。他方、他ドナーから寄付される(必ずしも障害者の体に合わない)車椅子の扱いと、AARが行

う査定に基づく車椅子製作・配布との方向性のずれをどのように調整するかも課題となると思われる。

3-6 読書推進運動の自主的運営のための拠点構築事業

(特活)ラオスのこども(ALC)

・ ラオスで長年学校への図書配布事業を続けており、C/Pとの関係は良好で、配布後の学校へのモニ

タリング活動も行われている。今後はSVAとも連携をしていく話をしており、2月に予定されるSVA主催

のセミナーへの参加を検討しているところである。

・ 図書配布のみの活動になっていないか懸念されるところがあるが、ラオス人作家によるラオス語の本の

出版事業も計画されている。草の根事業終了後もすぐに撤退ということは考えていないが、15 年間活

動してきて、ラオスにおける本に対する考え方も徐々にではあるが変わってきているため、少しずつ自

立に向けて、5年、10年計画くらいでハンドオーバーしていきたいとのこと。なお、草の根事業以外の資

金で昨年ラオス初の国語辞典を出版。日本の 4 団体のスポンサーを得て 1 万部作成し、無償・有償配

布を進めている。

・ 学校現場における配布図書の利用状況は良好であり、読書推進自体は順調に進捗していると思われ

る。今後は、保管図書、配布図書の管理を徹底させつつ、ALC が本事業の目標に掲げる、受益者によ

る図書の自立調達の端緒が築かれることを期待したい。

国立図書館

3-2を参照。

3-7 全体総括

・ ラオスにおける草の根技術協力事業の場合、ほとんどが中央あるいは地方行政をカウンターパートとし

ている。しかしながら国家経済がなお逼迫している状況や、援助慣れしていることもあってか、どの事業

でも、カウンターパートへのハンドオーバーが大きな課題となっているようである。

・ そのような状況の中で、各事業実施団体がそれぞれのカウンターパートに積極的な関与を呼びかけ、

住民と行政を有機的に結びつける役割を果たしていることが、いずれの事業からも確認できた。

・ いずれの事業も、住民一人一人に直接手を差し伸べ、一人一人の声に耳を傾けるなどといった、NGO

ならではの視点、思想により、ともすると既存のプロジェクトでは対象から外れることもあった地域の子ど

もや女性、障害者一人一人に手を差し伸べ、また、読書推進や車椅子普及支援など、JICA としては新

しい分野にも、NGO と連携することによりはじめて、技術協力を展開することが可能となった。ラオスに

おける草の根技術協力事業は、「NGO ならでは」をフルに活用した ODA 事業であると評価することが

できると考えられる。

・ 本事業は最大3年という年限があるが、その間、NGO と JICA がパートナー関係を構築し、双方が各事

業の過去を評価し、現在に活かし、未来を展望できるか、ここに、各事業の成否がかかっていると言っ

ても過言ではない。その意味からすると、各事業実施団体と JICA ラオス事務所の関係は極めて良好で

あると言える。国内機関も今後より一層各団体との連絡を密にすることによって、事業の成功に貢献す

べきと考える。 以 上