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平成17年度 簡易土壌診断事業の構築のための研究 報 告 書 · 2013-06-18 · 3 1・1 研究目的 ・平成15年2月、土壌汚染対策法が施行された。

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平成17年度

簡易土壌診断事業の構築のための研究

報 告 書

平成18年3月 岐阜社会基盤研究所

社団法人 岐阜県建設業協会

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目 次 第1章 1・1 研究目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 1・2 研究組織・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 1・3 研究経緯・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4~6

第2章 プロトタイプの実施・・・・・・・・・・・・・ 7~9 第3章 事業の内容・・・・・・・・・・・・・・・・・10~12 第4章 事業実施上の組織体制・推進体制・スキーム・・・13 第5章 理念・方針・戦略・・・・・・・・・・・・・・・14~15 第6章 課題及び対応策・・・・・・・・・・・・・・・・16 第7章 今後の見通し・展開・・・・・・・・・・・・・・17~18

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1・1 研究目的 ・平成15年2月、土壌汚染対策法が施行された。 ・土壌汚染対策法による規制は、工場等の跡地を住宅転用する場合等の人の健康被害が生

じる恐れがある場合に汚染状況調査が命じられることとなっており、調査の実施は指定調

査機関が行う。また、汚染が発覚したした場合の措置は、土地取引時に契約書に瑕疵とし

ての明記が義務つけられている。 ・簡易土壌診断は、土壌汚染対策法に基づく指定調査機関が実施する土壌汚染調査とは一

線を画した、指定区域以外を対象とした、施主又は土地所有者の土壌汚染への関心ごとに

対して対応するために、簡易な診断方法で安価で提供できる仕組みとしての事業化目指す。 1・2 研究組織 [研究委員] 社会基盤工学科教授 佐藤 健 NPO岐阜大学環境技術研究会 専務理事 津田 博俊 (財)岐阜県建設研究センター 研究課長 広瀬 道夫 内藤建設㈱ 常務取締役 内藤 篤 ㈱土屋組 専務取締役 浜口 巌 [オブザーバー] 岐阜県基盤整備部 建築指導課宅地指導係長 岩田 友明 岐阜県経営管理部 工事検査室検査監 坂口 義博 (社)岐阜県宅地建物取引業協会 副会長 小野木 匡夫 (社)全日本不動産協会 理事 和田 惶 [GIS構築ワーキンググループ委員]

内藤建設㈱ 土木部部長 水野 鋭二

㈱土屋組 土壌汚染対策室主任 木村 正道

(財)岐阜県建設研究センター 主任技師 松井 智一

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1・3 研究経緯

平成17年2月3日(第1回委員会)

・岐阜大学佐藤先生より一般的な土壌汚染

調査の内容説明。 ・今後のフロー研究 ・簡易土壌診断士の育成 ・GISの活用研究

平成 17年 2月 23日 (第 2回委員会)

・簡易土壌診断事業のニーズを掴むた

め、(社)岐阜県宅地建物取引業協会

及び(社)全日本不動産協会の会員に

対するアンケートの実施を決定。 ・研究委員会に建築指導課、(社)岐阜

県宅地建物取引業協会及び(社)全日

本不動産協会からも参加することを

決定。 ・経済産業省が行う地域申請コンソーシ

平成 17年 3月 25日 (第 3回委員会)

・アンケート結果として、「土壌汚染に対

する住民の関心度」は高く(80%弱)、「簡易土壌診断事業のニーズ予測」に

ついても 90%近くが活用すると回答。 ・「GISの活用研究」及び「土壌診断士の制度設計」のWGの設置を検討。

・WG の設置について、土壌診断士よりGIS の比重が高いことから、当年度は「GIS」のWGのみの設置を決定。 ・岐阜大学及び建築指導課へは必要に応

じ参加を要請する。 平成 17年 4月 19日 (第 4回委員会)

・簡易土壌診断事業の構築のための研究開

発計画について。 ・「土壌診断士」、「GIS の可視化」に向けたWGの設置について

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平成 17年 5月 13日 (GIS WG第 1回)

・GISを利用する項目の検討。 (次回WGまでの課題) ・入手可能なデータを(財)岐阜県建設

研究センターにおいて調査。 ・各委員において、必要な入力項目をま

平成 17年 4月 19日

・経済産業省が行う地域申請コンソーシア

ム事業へ申請。

平成 17年 7月 1日

・経済産業省より地域新生コンソーシアム

事業落選通知。

平成 17年 7月 22日

平成 17年 8月 30日

・財団法人建設業振興基金が実施する「地

域における中小・中堅建設企業の新分野

進出等モデル構築支援事業」に申請。

・国土技術研究センターが実施する「JICE研究開発助成」へ申請。

平成 17年 10月 31日 (GIS WG第 2回)

・GISへの入力項目の検討。

平成 17年 10月 18日 (第 5回委員会)

・経過報告。 ・研究委員会の今後の進め方について。

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平成 17年 12月 5日 (GIS WG第 3回)

・GISへの入力項目の検討。 ・簡易診断手法と判定方法の検討。

平成 17年 12月 6日 (第 6回委員会)

・簡易土壌診断手法について。 ・プロトタイプの実施について。 ・簡易土壌診断士(仮称)の制度設計。

平成 18年 1月 31日 (第 7回委員会、第 4回GISWG合同) プロトタイプの実施

・プロトタイプを実施。 [場所:岐阜県建設会館] ・土壌汚染対策法のフェーズ 1の診断 ・VOC、蛍光X線診断

平成 18年 2月 2日 ・経済産業省に地域新生コンソーシアム研

究開発事業に補助金申請。

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第2章 プロトタイプの実施 開催日時 平成 18年 1月 31日 午前 10時~午後 2時 場 所 岐阜県建設会館 参 加 者 研究委員、GISWG委員他 診断項目 ①土地利用変遷(対象地及びその周辺の土地利用の変遷を調べる) ②土壌地下水環境(岐阜県土壌地下水汚染調査) ③地形・地質・土質(ボーリングデータなど) ④有害物質(重金属) ⑤有害物質(揮発性有機塩素化合物) ⑥毒性(毒性評価) 診断手法 診断

項目 診断手法 確認方法

登記簿謄本関係(全部事項証明書、閉鎖登記

簿謄本、移記済謄本) 法務局

建物の所在確認(住宅地図、航空写真) ゼンリン、(財)日本地図センター ①

ヒアリング 水質調査関係(環境白書) 県環境局水環境室 全国井戸台帳 国土交通省 ダイオキシン類濃度の測定結果(環境白書) 県環境局大気環境室 閉鎖廃棄物処分場の位置 県環境局廃棄物対策室 周辺での工場の有無 水質汚濁防止法に基づく届出工場

ヒアリング

ボーリング柱状図 GIS(位置のみ、データは建設研究センター)

地質図 GIS(表層地層のみ) ③

地下水規制区域 県環境局水環境室 ④ 蛍光X線 岐阜大学 ⑤ VOCモニター 岐阜大学

※ ○:問題なし,×:問題あり,△:要注意 ■写真1 土壌汚染対策法のフェーズ1の診断風景(上記診断項目の①、②、③の診断)

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■写真 2 VOCモニター診断状況

現地説明

約 1mのボーリング

診断結果

ガス検知管

ガス検知管の設置

[VOCモニター] ボーリング孔内の土壌ガスを吸引し、揮発性 有機化合物(VOC)の測定を実施。 左写真がその測定結果。 土壌ガスの検出なし。

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■写真 3 蛍光X線診断状況

土壌の掘削

蛍光X線分析装置を積んだ車両

測定状況(パソコン画面)

採取した土を分析装置に投入

[蛍光X線]

蛍光X線分析装置により、採取した土壌

試料の重金属分析を実施

診断の結果、重金属汚染なし

表土と 20cm.地中の土を採取

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第3章 事業の内容 地球環境規模での環境対策が叫ばれる中、自然とインフラを一体的に県民共有の

資産(アセット)ととらえ、これらの持続的運用によって次世代に豊かな県土を引

き継ぐため、県土アセットマネジメントのための簡易土壌診断事業を創出する。診

断法の特徴は、土壌汚染対策法とは一線を画す、バイオと IT技術を駆使する画期的診断法で、事業化後を睨み、エンドユーザーの宅地建物取引協会、不動産協会もコ

ンソーシアムにオブザーバーで参画している。

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○研究開発の内容 ①酵母アレイによる簡易土壌診断技術の開発 土壌サンプルの前処理方法(抽出,濃縮,精製) 比較対象(安全な土地)のデータ集積によるバックグラウンドの閾値設定 酵母 DNAの固定法 プロモーターの改良 ②蛍光 X線解析・ガス検知管など物理化学的診断技術の高度化 既存開発技術(蛍光 X線,ガス検知管,酵母アレイ)の精度確認 検出不能物質(フッ素,ホウ素)に対する検出限界の拡大 ③土壌診断士の制度設計と運用方法の開発 運用保守体制及びセキュリティーポリシーの確立 診断士育成の講習テキスト作成と技術支援体制の確立 ④簡易土壌診断結果のデータベース構築と GISによる結果の可視化 『産官学』の連携による GIS 技術の高度利用化の検証

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○研究開発の特徴

ⅰ .環境技術の裾野は広く、社会基盤関係の産官学連携に加え、分野横断組織も必要で、岐阜大学応用生物科学部の微生物工学の専門家、遺伝子

工学、分子生物学の専門家も参加する NPO 法人岐阜大学環境技術研究会をコンソーシアムに加えている。 ⅱ.新規事業を展開する市場(宅建業協会、不動産協会)も研究開発段

階にオブザーバーで参加するので、研究開発段階からエンドユーザーの

意見を取り入れやすい。 ⅲ.建設業協会、岐阜県が参加するので県土各地の広範なサンプルを入手

しやすい。 ⅳ.既存の開発技術(地歴情報、物理化学、生物学)を組み合わせた土

壌診断事業である。 ⅴ .先駆的技術を採用し岐阜県内の行政地図情報を集積した岐阜県域統合型 GIS と連携したデータベース構築による、高度地理情報提供可能なシステムの実現が可能。 ⅵ .岐阜大学のシーズ、県域統合型 GIS を活用した高度な診断技術を目指しており、建設業協会の参加『産・官・学』の情報共有化が推進し、開

発技術のより一層の普及促進が可能である。

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第4章 事業実施上の組織体制・推進体制・スキーム

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第5章 理念・方針・戦略 ○事業化計画 指定調査機関が実施する土壌診断とは一線を画した簡易診断事業のため競合

はない。 産官学連携による新事業のため、社会的な信用度が高い。民間企業が実施する

簡易診断に比べ、利益追求しない公益性の高い組織(岐阜大学、NPO 法人、岐阜県建設研究センター)での対応のため、価格は安価(2 万円程度を目指す)となる。本研究に宅地建物取引団体が加入し、共同で事業化に向けた取組みを行

うため、宅地建物取引時での説明要件とするなどの活用が期待される。 ○期待される効果 本研究は、産官学連携による取り組みのため、社会的認知がされやすく、

宅地建物取引時、住宅建築時等に買主への説明が容易となり、事業化を目指す土壌診断法の活用が期待される。

土壌汚染等環境への取り組みは全国的にニーズが高まっており、当事業が産業の活性化及び他県に波及することが予測される。県内アンケートから類推すると、10 万件の宅地取引が全国的に実施され、事業化を目指す土壌診断法の単価2万円/件を当初考えているので、事業化後、5 年の売上げ予測1,200,000,000 円となる。 新規雇用については、他県に先駆けて簡易土壌診断士を養成するため、特殊な知識と資格を有した診断士資格による雇用の確保が期待される。 ○研究開発の目標 蛍光 X線解析、土壌ガス調査、酵母アレイが簡易土壌診断の基本的要素技術

で、これら先行技術の適応性(精度検証と計測結果の関連付け)を把握することがまず重要になる。そうした視点で、先行技術の問題点を整理し、本研究開発の目標をまとめる。 「岐阜県域統合型 GIS」と連携したデータベースの構築による、高度地理情

報システムによるサービス提供を実現するための、基本情報のデータベース最適化及びシステム構築に必要な技術的機能要求、マネジメント、セキュリティーポリシーの確保にかかる体制をまとめる。 簡易土壌診断技術の開発には、診断を実施する診断士の養成が必要であり、

診断士が行う診断技術開発の目標をまとめる。 ○事業化計画 <生産> 本研究は、産官学連携による取り組みのため、社会的認知がされやすく、宅地建物取引時、住宅建築時等に買主への説明が容易となり、事業化を目指す土壌診断法の活用が期待される。 診断手法は、建設業協会会員企業 750 社の社員が簡易土壌診断士となり、県

下各地の診断依頼に対して対応するもので、特殊な知識と資格を有した診断士資格による雇用の確保が期待される。

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診断には、GIS による過去の地歴、ボーリングデータ、航空写真等を活用し、岐阜大学で研究開発する技術シーズをもとに実施するもので、調査結果を GIS に蓄積することで、精度アップを図るものとなる。 他県からの診断依頼には、診断する土壌を試料として郵送してもらい、NPO法人岐阜大学環境技術研究会で診断する。 <販売、市場獲得> 土壌汚染等環境への取り組みは全国的にニーズが高まっており、当事業が

産業の活性化及び他県に波及することが予測される。 特に、岐阜県をはじめとする東海各県では、フェロシルト(土壌改良剤)

による土壌汚染問題が深刻化しており、住民の土壌汚染に関する不安を取り除くため、土砂等の搬出時に土壌診断を義務付ける等の条例制定に向けた動きが展開されており、本研究による簡易土壌診断技術の活用が期待される。 また、県内宅地建物取引業者のアンケートから類推すると,10 万件の宅地

取引が全国的に実施され,事業化を目指す土壌診断法の単価2万円/件を当初考えているので,事業化後,5 年の売上げ予測 1,200,000,000 円となる. 産官学連携事業のため、安価で機動性があるため、簡易土壌診断では 60%

のシェアを見込む

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第6章 課題及び対応策 ○課 題 (1)物理化学的方法における課題 <蛍光 X線による重金属の分析> 簡易土壌診断で考える小型機種はエネルギー分散型の分析装置で、分解能粗

く、質量の軽い重金属の計測には不向きである。分解能の高い波長分散型装置は大型で、機動性に問題点のあることがわかっている。 <土壌ガス調査>

携行可能な小型ガスモニターによる分析を考えており、計測対象物質が限定さ

れる。土壌汚染対策法で規定される揮発性有機塩素化合物のうち、ジクロロメ

タン,1,1,1,-トリクロロエタン,1,2,-ジクロロエタン,四塩化炭素,1,1,2,-トリクロロエタンは検出できない。また、計測値として揮発性有機塩素化合物のト

ータル濃度が検出でき、物質によっては土壌汚染対策法の定量下限値の精度を

満足しないものもある (2)生物学的方法の課題 岐阜大学で開発された DNAマイクロアレイによる土壌診断は、土壌地下水

中の揮発性有機塩素化合物に有効な嫌気性微生物の同定に実用化されており、土壌の毒性評価に利用されたことがない。テトラクロロエチレンの分解に有効な微生物を、酵母 DNAアレイに置き換えるだけの操作で、土壌の毒性評価ができるか、土壌汚染対策法で求められる精度を十分に満足できるか、土壌サンプルの前処理をどうするのか、簡易診断法に見合うコストで DNA診断が可能になるのか、酵母アレイによる簡易土壌診断は世界最初の試みであるため現状の技術に基づく診断法の適応性が未知数である。 (3)GIS と連携したデータベースの構築の課題 土壌診断を実施するためには診断のための基礎情報が不可欠であるが、現状

では紙による膨大な情報である。岐阜県域統合型 GIS は当コンソーシアムに参加する(財)岐阜県建設研究センター(ふるさと地理情報センター)が平成 18 年1 月の本格稼働に向け整備を進めており,これを活用した高度地理情報システム構築に必要なデータ項目の抽出・最適化、経済的なシステム構築のための技術的検証、マネジメント、セキュリティーポリシーの確立にかかる検討の他、ユーザビリティーに関する調査が未実施である。 (4)簡易土壌診断技術の課題 当研究開発による診断技術は岐阜大学のシーズと GIS を活用した高度な技

術を用いるため、診断士が診断を実施できるための診断技術の開発が課題である。

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第7章 今後の見通し・展開 ○研究開発の目標 ⅰ .酵母アレイによる土壌簡易診断システムの開発 バックグラウンド(安全な土壌)の閾値設定、土壌サンプルの抽出・濃縮・

精製法の確立、酵母 DNAの固定法、必要ならばプロモーターの改良 ⅱ .地歴情報や土地利用情報を併用した蛍光 X線診断・ガスモニター診断の

計測項目拡大と計測精度改良 ⅲ .診断結果の GIS データベース化と結果の可視化 ユーザビリティーに優れた高度地理情報と連携したデータベースの構築に

かかる,システム構築機能要求・検証を実施 アセットマネジメント実現にかかる、データベース最適化、保守運用体制に

かかる検討の他、セキュリティーポリシーの確立を検討 ⅳ .簡易診断システム運用における、岐阜大学のシーズと GIS を活用した高

度な診断技術の開発 ○優位性、予想される市場規模及び市場占有率 指定調査機関が実施する土壌診断とは一線を画した簡易診断事業のため競

合はない。 産官学連携による新事業のため、社会的な信用度が高い。 民間企業が実施する簡易診断に比べ、利益追求しない公益性の高い組織(岐

阜大学、NPO 法人、岐阜県建設研究センター)での対応のため、価格は安価(2 万円程度を目指す)となる。 本研究に宅地建物取引団体が加入し、共同で事業化に向けた取組みを行うた

め、宅地建物取引時での説明要件とするなどの活用が期待される。 公共工事における地盤汚染対策への取り組みの進展による、当診断事業の活

用も見込まれる。 全国的に環境への関心が高く、今後ますますニーズが増すことが想定され、

本事業が他県に波及することが予想される。 産官学による取り組みであること、高度な診断技術による診断が安価で機動

的に実施できることから、簡易土壌診断としては 60%のシェアが見込まれる。 具体的な数値として、アンケート結果から下記の目標値が見込まれる。 ・宅地建物取引において簡易土壌診断を任意の説明事項とし、

宅地建物取引業者の約 5 割 700 社程度の活用 ・宅地建物取引時以外の診断依頼予測として建築物着工件数から、 岐阜県の年間建築物着工件数約 16,000 件 内、約 3 割の 5,000 件程

度の活用 ・岐阜県が発注する建設工事の内、

年間約 3,000 件超の活用 また、環境へのニーズの高まりから県下各市町村、国の直轄工事においても、同様の活用が予想される。

<宅地建物取引業者に対するアンケート調査結果>

①今後、土壌汚染に対する住民の関心は増してくると思うか? 回 答 回答数 %

増すと思う 558 76.2%

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増さないと思う 28 3.8% どちらとも言えない 132 18.0% 無回答 14 1.9% ②簡易土壌診断による安価な指導・助言で住民に安心感を与える環境が整った場合、住民のニーズはあると思うか? 回 答 回答数 %

活用すると思う 188 25.7% ある程度見込まれる 467 63.8% 活用されないと思う 60 8.2% 無回答 17 2.3% ③上記②の場合、宅地建物取引上で活用しようと思うか?

回 答 回答数 % 活用する 426 58.2% 活用しない 44 6.0% どちらとも言えない 251 34.3% 無回答 11 1.5%