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第12回目実習 ニワトリ胚の発生 組織レベルの観察 神経板と神経管形成の組織観察 神経管から脊髄の形成

第12回目実習 ニワトリ胚の発生 組織レベルの観察 embryo...目的 1.脳胞期より前の神経板の時期の胚を見る 2.前の2回の実習で全体像としてみた脊椎動物の発生が、

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第12回目実習 ニワトリ胚の発生 組織レベルの観察 神経板と神経管形成の組織観察 神経管から脊髄の形成

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目的 1.脳胞期より前の神経板の時期の胚を見る 2.前の2回の実習で全体像としてみた脊椎動物の発生が、 組織レベルではどのように変化しているかをしる 3.解剖で学習する発生過程を実際のものとしてみる 4.三胚葉を意識しながら胚を見る(三胚葉の成り立ち) 5.組織内で分裂細胞を同定してみよう ゴール 1.三胚葉の形成を説明できる 2.三胚葉のそれぞれに由来する組織を説明できる 3.神経管形成(+神経堤)を説明できる 4.体節に由来する構造を説明できる 5.基底膜はどこに見られる構造か説明できる

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サンプル 孵卵0日目、1日目、3日目、5日目のニワトリ胚組織 酢酸アルコール(95%エタノール+5%酢酸)で固定 パラフィン切片 4µm厚

ヘマトキシリン・エオジン染色

ヘマトキシリン 青、紫、赤紫色 エオジンは赤~オレンジ色

ヘマトキシリンは(塩基性色素)で核やリボソームなどを酸性物質

を染める。 エオジンは酸性色素で細胞質や細胞外基質を染める

Tissue stained with haematoxylin and eosin shows cytoplasm stained pink-orange and nuclei stained darkly, either blue or purple. Eosin also stains red blood cells intensely red. Eosin is an acidic dye and shows up in the basic parts of the cell, i.e. the cytoplasm. Haematoxylin however is a basic dye and shows up in the acidic part of the cell like the nucleus, where nucleic acids (DNA and RNA) are concentrated.

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神経板

三脳胞期

五脳胞期; 軸の屈曲がない段階

五脳胞期; 軸の屈曲がみられる段階

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孵卵0日目 三胚葉と神経板

神経板 (外胚葉) 基底膜 中胚葉 内胚葉

薄ピンク色の膜は卵の黄味を包む膜 (気にしなくていい)

外胚葉の端の薄くなった部分は 表皮外胚葉

神経溝

神経上皮は多列上皮の形態 Basalには基底膜がある Apidalに分裂細胞がある

Apical basal

基底膜:外胚葉と中胚葉の境目、もしくは上皮と間葉の境目にはほぼ 必ず見られる境界膜、光学顕微鏡で確認できる場合が多い

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三胚葉の分化とそれに由来する組織

脊索は椎間円板になる(線維軟骨) 体節が何になるか注意する

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基底膜

基底膜は見えない

原腸嵌入 中胚葉の誘導

胚葉板上層と胚葉板下層の間に入っていく過程

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基底膜の有無の違い

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孵卵1日目 神経管の形成

表皮外胚葉

神経管(多列上皮)

体節

内胚葉

内腔(中心管)

脊索 内胚葉

神経管は背側部で閉じかけているが、まだ外見上は領域の違いは見られない。レベルによっては体節がきれいに見える。三胚葉ははっきり区別可能である

(円柱上皮)

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内腔に近い部分 丸い細胞 核膜がみえない 染色体が染まる

分裂細胞を見つけよう

体節

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孵卵1日目 神経管の形成と神経堤細胞

表皮 神経管

内胚葉(?) 血管

脊索

神経堤細胞

内腔(中心管)

同じ胚でも少し吻側部では表皮と神経管の境界部に神経堤細胞がみられる。 この細胞集団が何に分化する、発生学で学習するので形態をよく見ておく

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孵卵3日目 体節と神経管の分化

蓋板

底板

脊索

前根(運動神経の軸索)

体節(皮筋節)

血管

分裂細胞は内腔面に見られる

中心管

表皮

脊髄神経節(?)

神経管は底板と蓋板とが形態的に区別できる。周辺部には神経細胞がやや疎な領域が見られるようになり、白質の形成が始まっている。しかし灰白質(かいはくしつ;細胞体が集まる)の細胞の形態はほぼ均一である。

蓋板 TGFβ、GDF

底板 Shh

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孵卵5日目 脊髄の形成

神経管は脊髄としての基本構造を持つ。周辺部に白質(軸索の集まり)が形成され、後索、側索、前索が区別可能となる。灰白質(かいはくしつ;細胞体が集まる)は後角と前角が明瞭となり、前角にはややおおきな細胞(運動ニューロン)がみられる。中心感周囲には上衣細胞層が形成され、細胞分裂が続いている。脊髄神経、前根、後根、も切片によっては綺麗に見える。背骨となる脊椎骨が軟骨として認められる。脊索は、椎間円板に変わりつつある。

脊椎骨(軟骨)

脊髄神経節

脊索

後角

前角

後索

側索

前索

上衣細胞層

前角と後角の細胞の大きさを比べてみよう

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前角ニューロン 大きい核の周囲に 細胞質が染まっている

後角ニューロン やや小さい核 細胞質も少ない

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丸い細胞 内腔に面している 核がみえない 染色体が濃く染まっている

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各ステージを若い方から順番にスケッチをする それぞれのステージの構造が 次のステージでどのように変化するか

ひとつ前のステージではどのような構造であったか、を考えながらスケッチする

スケッチしたあとで、順番に見直して構造の変化の連続性を意識する