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7 1 7 柱部材 : において 7.1 3.5 (b) ひずみ

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第 7章 柱部材 1

第 7章 柱 部 材

座 屈 : 鋼構造物の圧縮部材の設計において最も重要な事項

図 7.1 座屈実験 図 3.5 (b) 応力 –ひずみ曲線

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第 7章 柱部材 2

7.1 短柱

• 短柱 −→ 断面積に比べ部材の長さが比較的短い柱

• 座屈は生じない. −→ 力学的挙動は引張部材と同じ

図 7.2 部材図心軸に集中力が作用したときの

応力分布図 7.3 部材図心軸に偏心して集中力が作用し

たときの応力分布

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第 7章 柱部材 3

7.2 弾性座屈

• 比較的短い柱 −→ 断面の降伏により柱の耐荷力が決定される.

• 比較的長い柱 −→ ある荷重になったとき,それが降伏荷重よりかなり低くても,突然荷重作用方向と直交

した方向に変位が生じる. 弾性座屈

図 7.4 短柱と長柱に圧縮力が作用したときの挙動

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第 7章 柱部材 4

図 7.5 図 7.6

図 7.7 弾性座屈の発生

•任意点xでの曲げモーメント M = Pw (7.3)

•曲率ρと曲げモーメントMの関係(EI :曲げ剛性)

M = −EI

ρ= −EI

d2w

dx2 (7.4)

•つり合い方程式 (式(7.3)および(7.4)を等値)

EId2w

dx2 + Pw = 0 (7.5)

•P/EI = α2とおくと,式(7.5)の一般解

w = A sinαx + B cosαx

•支持条件 : x = 0, lで w = 0

B = 0, A sinαl + B cosαl = 0

•したがって, A sinαl = 0 (7.7)

このときの柱の変形形状 w = A sinαx

•A = 0 −→ 自明な解,

•A �= 0 −→ sinαl = 0 αl = nπ (n = 1, 2, · · · , n)

P =(nπ)2EI

l2

•n = 1 最小限界荷重値 オイラーの座屈荷重

P =π2EI

l2= PE

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第 7章 柱部材 5

7.3 細長比,細長比パラメータ

• オイラーの座屈応力σE =

PE

A= π2 EI

Al2=

π2E

(l/r)2 =π2E

λ2 r =√I/A :断面二次半径, λ = l/r : 細長比

• 細長比パラメータλc =

λ

λY=

√√√√σY

σE(∵ λY = π

√E/σY , λ = π

√E/σE)

図 7.8 柱の細長比と圧縮応力 図 7.9 無次元表示された座屈曲線

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第 7章 柱部材 6

7.4 有効座屈長 (端末条件の影響)

座屈後の部材の微小要素 dx

• x 方向の荷重 P による部材直角方向の分力

Pdw

dx− P

dw

dx+

d2w

dx2 dx

= −P

d2w

dx2

単位長さ当りの横荷重 q = −Pd2w

dx2

• 部材の横たわみ w と横荷重 q(x) 関係

EId4w

dx4 = q(x)

• 一般的な柱の座屈後のつりあい方程式

EId4w

dx4 + Pd2w

dx2 = 0

PE =π2EI

(βl)2 =π2EI

(lef)2

lef : 有効座屈長, β :有効座屈長係数

端末条件 x = 0 x = l

両端ピン支持 w(0) = 0, M(0) = −EId2w

dx2 = 0 w(l) = 0, M(l) = −EId2w

dx2 = 0

両端固定 w(0) = 0, θ(0) =dw

dx= 0 w(l) = 0, θ(l) =

dw

dx= 0

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第 7章 柱部材 7

表 7.1 柱の有効座屈長 (道示:鋼橋編) l : 部材長 (cm)

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第 7章 柱部材 8

図 7.10 a 座屈モードと有効座屈長

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第 7章 柱部材 9

図 7.10 b 座屈モードと有効座屈長

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第 7章 柱部材 10

7.5 不完全さのある柱

(1) 偏心載荷を受ける柱

EId2w

dx2 + (w + e)P = 0

α2 = P/EIとおくと,一般解は,

w = A sinαx + B cosαx − e

支持条件 : x = 0, lで w = 0

B = e, A =e(1 − cosαl)

sinαl

w = e

(1 − cosαl) sinαx + cosαx sinαl

sinαl− 1

= e

{sinαl cosαx − cosαl sinαx + sinαx

sinαl− 1

}

= e

sin(αl − αx) + sinαx

sinαl− 1

中央点のたわみ wc = e

1

cos(αl/2)− 1

曲げモーメント Mc = P (wc + e) =Pe

cos(αl/2)

図 7.11 偏心載荷を受ける圧縮材

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第 7章 柱部材 11

図 7.12 偏心載荷を受ける柱の荷重たわみ関係

図 7.13 偏心載荷を受ける柱の荷重と縁応力の

関係 (e=0.01k)

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第 7章 柱部材 12

(2) 元 (初期)たわみのある柱

EId2w

dx2 + P (w + w0) = 0

元たわみw0を正弦半波曲線と仮定

w0 = A0 sinπx

l

α2 = P/EIとおくと,一般解は,

w = A sinαx + B cosαx − α2

α2 − (π/l)2w0

支持条件 : x = 0, lで w = 0

x = 0 −→ B = 0

x = l −→ A sinαl = 0

∴ A = 0

(sinαl = 0は元たわみの仮定に反する)

w = A0α2 sin(πx/l)

(π/l)2 − α2

中央点のたわみ wc =A0α

2

(π/l)2 − α2 =A0P

PE − P

曲げモーメント

Mc = P (wc + A0) = A0P

1

1 − P/PE

図 7.14 元たわみのある柱

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第 7章 柱部材 13

図 7.15 元たわみのある柱の荷重たわみ関係図 7.16 元たわみ A0の変化に伴なう σcrの変化

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第 7章 柱部材 14

7.6 非弾性座屈

土木構造物 : 実際の橋の座屈 −→ 非弾性域で生じる

図 7.17 残留応力を有する短柱を圧縮したときの応力 –ひずみ挙動

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第 7章 柱部材 15

接線係数理論 (tangent modulus theoty)

• 弾性座屈理論の Eを Etに変えること

により非弾性域にまで拡張したもの.

• σ = P/A > σcr =π2Et

(l/r)2

−→ 分岐

• Et : 応力 σ での接線係数

•(

l

r

)cr

= π

√√√√Et

σcr(7.33)

ステップ 1 実験により σ − ε を求める

ステップ 2 σ − Et 曲線を求める

ステップ 3 (7.33)より座屈細長比の計算

図 7.18 接線係数理論

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第 7章 柱部材 16

等価係数理論 (reduce modulus theoty)

仮定

1© たわみは微小

2© 平面保持

3© 座屈時に荷重は変化しない

座屈応力 σcr =π2Er

(l/r)2 Er :等価係数

• 等価係数法 :載荷側,除荷側の剛性考慮 合理的!

• 座屈荷重 : 等価係数法 > 接線係数法

• 実験結果は接線係数法に近い

図 7.19 等価係数理論

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第 7章 柱部材 17

外力モーメント : Mext = Pw

内部モーメント :

(応力) × (断面積) × (中立面からの距離)

σ = Eε = Ey

R= Eφy

φ = 1/R (R : 曲率半径)

Mint =1

2(φEtd1)d1b

(2

3d1

)+

1

2(φEd2)d2b

(2

3d2

)

=

(1

R

)b

3(Etd

31 + Ed3

2) =ErI

R

Er =

(1

I

) (b

3

)(Etd

31 + Ed3

2) (7.39)

限界断面でのつり合い式1

2× φEtd1 × d1 × b =

1

2× φEd2 × d2 × b

∴ d21 =

E

Etd2

2,d1

d2=

√√√√E

Et(7.41)

式(7.41)とI =1

12b(d1 + d2)

3を式(7.39)に代入すると

Er =4EEt

(√

E +√

Et)2(7.42)

図 7.20 等価係数理論の適用 (矩形断面柱)

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第 7章 柱部材 18

Shanley モデル

接線係数荷重 −→ 柱の強度の下限値 等価係数荷重 −→ 柱の強度の上限値

図 7.21 Shanley の柱モデル

図 7.22 柱の非弾性座屈挙動

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第 7章 柱部材 19

図 7.23 座屈の進行と応力分布 (接線係数理論)

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第 7章 柱部材 20

残留応力

• フランジやウェブなどの板要素内 −→ 単純な形に仮定 一様分布,直線分布

• 圧縮残留応力 −→ 降伏応力 σY の 1/3 程度に仮定

図 7.24 圧延 H形鋼の残留応力の測定例図 7.25 溶接組立部材の残留応力の測定例

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第 7章 柱部材 21

7.7 柱の耐荷力,設計許容応力

• 柱の耐荷力 設計基準値

– 許容応力度設計法 :

設計許容応力 = 設計基準値 / 安全率

– 荷重・抵抗係数設計法 :

設計値 = 設計基準値 × 抵抗係数

• 柱の強度

Pcr =π2Et

(βl/r)2Ag = σcrAg

Et : 接線弾性係数,Ag : 部材断面積,

βl/r : 有効細長比,β : 有効座屈長係数,

l :部材長,r : 断面二次半径

• 実験 : 部材の初期不整,部材端の拘束,

残留応力,荷重の偏心

−→ 解析モデルの確立 困難 !

図 7.26 柱の強度

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第 7章 柱部材 22

残留応力が存在する H断面柱の耐荷力曲線

接線係数法,細長比,短柱載荷試験による応力 –ひずみ関係

曲げモーメント (dA要素) dM = (θEty)(dA)(y) (全断面) M =∫A

θEty2dA = θ

∫A

Ety2dA

R =1

θθ =

1

R=

M

E ′IE

′I =

M

θ=∫A

Ety2dA −→ E

′=

1

I

∫A

Ety2dA

座屈強度は弾性域の断面二次モーメント : Ie E′=

E

I

∫A:elastic

y2dA = EIe

I

柱が曲がり始まる応力 Pcr =

π2E

∫y2dA

(βl/r)2I

Ag =

π2E(Ie/I)

(βl/r)2

Ag

図 7.18 接線係数理論 図 7.27 残留応力が存在する柱の耐荷力の求め方

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第 7章 柱部材 23

H断面柱の座屈

ケースA 弱軸まわりの座屈

弾性域の割合 k =2x0

b=

Ae

Af

EIe

I= E

tf(2x0)3

12

12

tfb3

= Ek3

Et =公称応力増分量弾性ひずみ増分量

=dP/A

dP/Ae

E

=AeE

A

∴ EtA = AeE = (Aw + 2kAf)E (7.54)

Aw :ウェブ断面積,Af :フランジ断面積,A : 総断面積

式(7.54)をkについて解く.

k =EtA

2EAf− Aw

2Af

σcr =π2Ek3

(βl/r)2 =π2E

(βl/r)2

AEt

2AfE− Aw

2Af

3

ケースB 強軸まわりの座屈

•ウェブを無視したときE

Ie

I= E

2Ae(d/2)2

2Af(d/2)2 = Ek

σcr =π2Ek

(βl/r)2 (7.61)

•ウェブを考慮したときE

Ie

I= E

2kAf(d

2/4) + twd3/12

2Af(d2/4) + twd3/12

= E

2kAf + Aw/3

2Af + Aw/3

=

EtA/E − 2Aw/3

2Af + Aw/3

(式(7.54)より,2kAf = EtA/E − Aw)

σcr =π2E

(βl/r)2

EtA/E − 2Aw/3

2Af + Aw/3

(7.62)

図 7.28 H断面柱の弱軸まわりの座屈

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第 7章 柱部材 24

[例 –1] 下図に示す H断面柱の耐荷力曲線 (σcr − βl)を求

めよ.断面内の残留応力分布は図 (a)のとおりとする.

図 7.30 [例 -1]の耐荷力曲線

•弾性範囲内 P =∫A

σdA = σA

•塑性域 P = (A − Ae)σY +∫Ae

σdA

•σcr = P/A ≤ (2/3)σY −→ 全断面が弾性域

Et = E, E′= EIe/I, Ie = I

σcr =2

3σY =

π2E

(βl/r)2

βl

r=

√√√√√π2(200000)

2/3(690)= 65.4

•σcr = P/A > (2/3)σY → フランジ端 : 塑性域

Ie/I = (b/2)3/b3 = 1/8

σcr =2

3σY =

π2E(Ie/I)

(βl/r)2 =π2E

8(βl/r)2

βl

r= 23.2

•σcr = P/A = σY

σcr = σYπ2E

8(βl/r)2

βl

r= 18.9

•残留応力がないときσcr = σYβl

r= 53.5

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第 7章 柱部材 25

[例 –2] H型断面の柱の弱軸まわりの耐荷力曲線を,残留応力がより現実的なケースとして下図

に示すような線形分布をする場合について求めよ.

図 7.31 座屈強度の計算例 2

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第 7章 柱部材 26

図 7.32 H断面柱の弱軸まわりの座屈強度

•σcr = P/A ≤ (2/3)σY −→ 全断面が弾性域

Et = E, σcr =2

3σY =

π2E

(βl/r)2

•σcr = P/A > (2/3)σY → 断面の一部 : 塑性域

σcr =π2EIe/I

(βl/r)2

Ie

I=

2(1/12)(2z0)3t

2(1/12)b3t=

8(z0)3

b3

ウェブを無視するとσcr =8π2E(z0/b)

3

(βl/r)2

•弾塑性状態での荷重Pcr = 2

[σbt − 2

(1

2

) (σ − 2

3σY

) (1

2− z0

b

)bt

]

σ − 23σY(

12 − z0

b

) =23σY

b2

−→ σ =

[1 − z0

b

]4

3σY

Pcr = 2bt

{(1 − z0

b

)4

3σY −

[(1 − z0

b

)4

3σY − 2

3σY

] (1

2− z0

b

)}

= AfσY

1 − 4

3

(z0

b

)3

σcr =Pcr

Af= σY

1 − 4

3

(z0

b

)3

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第 7章 柱部材 27

図 7.33 柱の耐荷力曲線

図 7.34 SSRC 耐荷力曲線

σcr = σY

1 − σY

4π2E

(βl

r

)2 , λc =βl

r

√σY

π2E

σcr

σY= 1 − λ2

c

4(λc ≤

√2),

1

λ2c

(λc ≥√

2)

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第 7章 柱部材 28

柱の強度曲線 : ECCS Eurocode 3

σcr

σY= 1.0 (λ ≤ λ0)

σcr

σY=

1

2λ2

1 + α(λ − λ0) + λ

2 −√{1 + α(λ − λ0) + λ

22− 4λ

2} (λ > λ0)

λ0 : 限界細長比パラメータ

図 7.35 ECCS の複数柱曲線

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第 7章 柱部材 29

座屈設計ガイドライン

図 7.36 座屈設計ガイドラインの複数柱曲線

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第 7章 柱部材 30

道路橋示方書

σ = 1.0 (λc ≤ 0.2)

σ = 1.109 − 0.545λc (0.2 < λc ≤ 1.0)

σ = 1.0/(0.773 + λ2c) (1.0 < λc)

図 7.37 耐荷力曲線 (道路橋示方書)

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第 7章 柱部材 31

道路橋示方書 構造用鋼材の許容軸方向圧縮応力度 基準耐荷力曲線 (図 7.37), 安全率 1.7

σca = σcag · σcal/σcao

σca :許容軸方向圧縮応力度,σcag : 局部座屈を考慮しない許容軸方向圧縮応力度,

σcal : 局部座屈に対する許容応力度,σcao :局部座屈を考慮しない許容軸方向圧縮応力度の上限値,

表 7.2 局部座屈を考慮しない許容軸方向圧縮応力度 (道路橋示方書)