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被災地復興を牽引する 地域住民間の コミュニケーション活性化支援 08. 23. 2013 HCS & VNV 2013年8月研究会 坂井田瑠衣・忽滑谷春佳・栗本美可子・諏訪正樹(慶應義塾大学)

被災地復興を牽引する地域住民間のコミュニケーション活性化支援 (HCS&VNV 2013年8月研究会)

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被災地復興を牽引する 地域住民間の コミュニケーション活性化支援

08. 23. 2013 HCS & VNV 2013年8月研究会 坂井田瑠衣・忽滑谷春佳・栗本美可子・諏訪正樹(慶應義塾大学)

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漁業と観光の町、気仙沼

被災地復興を牽引する地域住民間のコミュニケーション活性化支援

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宮城県気仙沼市

被災地復興を牽引する地域住民間のコミュニケーション活性化支援

【被災事業所数】 3,314 事業所 (80.8%)

【被災従業者数】 25,236 人 (83.5%)

※総務省推計

※その他被害状況 死者:1,026人(平成23年9月30日時点) 行方不明者:383人(平成23年9月30日時点) 浸水面積:18.65km2(5.6%) 人口:68,676人(平成25年7月末日現在)

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大規模な店舗・事業所移転

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揺れる復興像

被災地復興を牽引する地域住民間のコミュニケーション活性化支援

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コミュニティとコミュニケーション

•  各々の価値観を自分のことばで語り,身近な他者と議論するのは難しい

•  「内からの復興」 v  住民のボトムアップな議論による主体的復興

•  内からの復興基盤をつくる仕掛け (1) 市民一人ひとりが自らの考え方を語る (2) 複数人の考え方を互いに共有する (3) 各々が自らの考え方をリデザインする

被災地復興を牽引する地域住民間のコミュニケーション活性化支援

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哲人 ―おとなりさんの哲学―

気仙沼で、お店を切り盛りする人、一心にモノを作る人、自分を表現する人。 彼らには、彼らにしか持ちえない「哲学」があります。 「あなたの哲学を教えてください」―― そんなふうに聴いて回った、哲人たちの想いが、カードになりました。 哲人から哲人へと紹介の輪が広がって、気仙沼の哲学が、つながりはじめています。

(哲人 ―おとなりさんの哲学― 紹介ポスターより) 被災地復興を牽引する地域住民間のコミュニケーション活性化支援

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住民の想いをことば化する

被災地復興を牽引する地域住民間のコミュニケーション活性化支援

【2】

記事にして住民に共有する

【1】

ことば化

商店主・会社経営者など =地域コミュニティの 核となりうる存在

・仕事に対する情熱 ・気仙沼に対する想い ・人生哲学

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ポストカードとして編集する

被災地復興を牽引する地域住民間のコミュニケーション活性化支援

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ポストカードとして編集する

被災地復興を牽引する地域住民間のコミュニケーション活性化支援

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哲人自身の気づきを促す

被災地復興を牽引する地域住民間のコミュニケーション活性化支援

ü  からだと環境の関係性をことば化することによる学びの方法論。 ü  ことば化により体験の捉え方や体験を表現する言葉が変化し、    自らの振舞いが変化し、体験自体が進化する。

からだメタ認知(諏訪, 2013)

仕事・復興の理想像や 議論するための ことばを持つ

人生哲学をことば化 (仕事内容や幼少期の体験など)

ポストカードに編集し 哲人自身へ フィードバック

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哲人同士で共有する

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地域に共有する

被災地復興を牽引する地域住民間のコミュニケーション活性化支援

哲人同士/哲人と読み手/ 読み手同士の

コミュニケーションの きっかけとなる

読み手が自らの 人生哲学を再考する

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地域に共有する

被災地復興を牽引する地域住民間のコミュニケーション活性化支援

中華そばまるき

コヤマ菓子店

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気仙沼の哲人たち

被災地復興を牽引する地域住民間のコミュニケーション活性化支援

小野寺充太(学習塾ホライズン) 熊谷一政(中華そば まるき) 牛渡徹士(カフェラテ) 田村恭子(気仙沼プラザホテル) 鈴木真和(新富寿し) 清水敏也(株式会社八葉水産) 宮井和夫(気仙沼観光タクシー) 谷村明信(冠婚葬祭 アーバン株式会社)

熊谷育美(シンガーソングライター) 白幡昇一(大島観光協会) 石川勇人(石川電装) 小山裕隆(コヤマ菓子店) 斉藤道有(マルト齋藤茶舗) 鈴木朋之(パソコン救急隊) 原田雄介(原田新聞店) 朝田慶太(波座物産)

千葉宣彦(交流空間フリーダム) 小野寺耕(とんかつ勝子) 村上力男(あさひ鮨) 坂本正人(南町柏崎青年会) 高橋朋広(青空市場) 三浦喜市(時計屋 J’s Miura) 小野寺惠喜(株式会社パルポー) 小松礼子(もうかの星本舗)

※計25名・敬称略

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ことば化が発端となり議論を呼ぶ

被災地復興を牽引する地域住民間のコミュニケーション活性化支援

小野寺充太 2012年4月19日

(前略)先日、慶応SFCの諏訪研究室のお二人が、インタビューにいらしてくれて、いろいろお話しました。(中略)それをまとめた文章の中で、「いかに他者を意識できるか」っていうことを、しゃべった自分を再発見することとなりました。

(中略)お互いがより「幸せ」であるために、「仲良くなくても、うまくやっていく」、距離感とか、お互いを「尊重」するとかが大事なんじゃないかと。

(中略)思春期で自意識過剰の中にある、子供たちにも、どこかで、そういうことを意識する機会ができないものかなとか、どうしたら、それを伝えられるのかとか、思っちゃうわけです。すると解決策は、結構シンプルで、狭い人間関係で閉じるから、ドロドロしちゃうので、どーんと、広いつながりを持てよと・・・。(後略)

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ことば化が発端となり議論を呼ぶ

被災地復興を牽引する地域住民間のコミュニケーション活性化支援

自分が社会にとって何ができるか?社会によって生かされている自分を認識するようになったのは最近です(W) 2012年4月19日10:03

(前略)同感です。組織や個人を強くするのは「多様性」だし、そのためには自分と違う考えや行動と、安易に和せずぶつかった上で許容するという過程が必要だよね。(中略)「違うこと」が良いと感じれる若者が気仙沼に増えると良いね! 2012年4月19日10:34

(前略)気づきを与えてもらいました。狭い関係に陥らないよう、今後も自分の世界を広げていきたいです。 2012年4月19日19:25

同感ですね。自分もそのスタンスでしたから。まぁ意識してないだけで、今でもそうなんでしょうけど笑 2012年4月19日21:55

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哲人同士の日常的交流が生まれる

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震災後、移転先で偶然隣同士に

学習塾ホライズン 小野寺満太

中華そばまるき 熊谷一政

小野寺さんとは、お互いに「おめでとうございます」っていう感じで。一緒にやってきたっていう感じはしますね。

ラーメンを食べて「ごちそうさま」と言って帰る程度(の交流しかない)

(2012年2月12日) (2012年4月12日)

次の哲人として 紹介

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哲人同士の日常的交流が生まれる

被災地復興を牽引する地域住民間のコミュニケーション活性化支援

熊谷一政 昨日はお疲れ様でした! 出来上がったみなさんのてつじんカード拝見させていただきました~。ひとりひとりの想いが形になる。。お隣りさんも哲学者ですね(笑) あらためてありがとうございました! 2013年2月24日21:48

小野寺充太 いや、おとなりさんの真摯さこそ素敵です(笑)また、食べに行きます(笑)そこには、美味いものを食いたいという「食欲」しかないですが(笑) 2013年2月24日21:50

小野寺充太 今日は教え子ともども、ご馳走様でした!「ここ、おいしいってお母さんに、(まるきさんを)紹介しなきゃ!」っていって帰っていきましたので(笑) 2013年3月5日14:09

熊谷一政 いや、かえってありがとうございました!感謝します! 2013年3月5日14:17

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今後の展望

•  ポストカード設置後の追跡調査 v  フォローアップ・インタビュー v  質問紙調査

•  現場のコミュニケーションの検証は困難 v  来店客との関係性まで包含するのは難しい

•  さらなる検証手法を模索

被災地復興を牽引する地域住民間のコミュニケーション活性化支援

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まとめ

•  被災地コミュニティにおけるコミュニケーション活性化方法論を提案

•  内からの復興 v  住民が主体的に議論し復興を牽引する

•  住民が議論する素地を作る仕掛けが必要 v  復興を語ることばを持つ v  互いに他のことばを共有し、自らのことばをリデザインする

被災地復興を牽引する地域住民間のコミュニケーション活性化支援